JP2023062911A - リチウムシリケート粉末の製造方法 - Google Patents

リチウムシリケート粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】工業的に有利な方法で、一次粒子が微粒子であり、一次粒子の粒径が揃っており、且つ、一次粒子の凝集力が小さいリチウムシリケート粉末を得ることができるリチウムシリケート粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加して、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製する第1工程と、該混合液を加熱処理して、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製する第2工程と、該スラリーを噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第3工程と、該反応前駆体を焼成して焼成物を得る第4工程と、該焼成物を粉砕して、リチウムシリケート粉末を得る第5工程と、を有することを特徴とするリチウムシリケート粉末の製造方法。【選択図】図7

Description

本発明は、リチウムシリケート粉末の製造方法に関するものである。
近年、地球の温暖化が進行し、その原因となっている炭酸ガスを削減することが求められている。そして、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラント、化学プラント、自動車、火力発電所から排出される排気ガスには、大量の炭酸ガスが含まれている。このため、これらの排気ガスから炭酸ガスを分離回収するシステムの検討が行われている。
炭酸ガスを吸収できる材料として、LiSiOで表されるオルト珪酸リチウムは、室温から700℃程度の温度領域で炭酸ガスを効率よく吸収することが知られ、このオルト珪酸リチウムを主成分とする材料を、炭酸ガス吸収材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献1~2等参照)。
また、LiSiO、LiSiO等のリチウムシリケートを固体電解質として用いること(例えば、特許文献3等参照)。また、リチウム二次電池の負極材料の製造原料として用いることも提案されている(例えば、特許文献4等参照)。
これらのリチウムシリケートの製造方法としては、例えば、シリカと炭酸リチウムの混合物を大気中で熱処理する方法が提案されている(特許文献1~4等参照)。
また、下記特許文献5には、水にシリカゲルを分散させてシリカゲル分散液を調製し、該シリカゲル分散液に水酸化リチウムを添加して含水混合液を調製し、該含水混合液を珪酸リチウムのゲル化温度以下に保って該含水混合液中に分散しているシリカゲルを解膠させて半透明スラリーとし、該半透明スラリーを常圧下で前記ゲル化温度より高い温度に保ち、さらに放冷する珪酸リチウム水溶液の製造方法が提案されている。
また、下記特許文献6には、メタ珪酸リチウム(LiSiO)とリチウム化合物とを含有する反応前駆体を焼成してオルト珪酸リチウム(LiSiO)を製造する方法及び珪酸塩が水溶媒に溶解している溶液(a液)に、リチウム化合物が水溶媒に溶解している溶液(b液)を添加し、反応原料溶液を得、次いで該反応原料溶液を加熱してメタ珪酸リチウム(LiSiO)を製造する方法が提案されている。
特開2000-262890号公報 特開2005-342607号公報 特開2018-125286号公報 国際公開WO2015/115068号パンフレット 特開2000-313615号公報 特開2021―75406号公報
しかしながら、シリカと炭酸リチウムからリチウムシリケート粉末を製造する場合に、微粒であり且つ一次粒子の粒径が揃ったものを得ることが難しいという問題がある。
また、特許文献5の珪酸リチウム水溶液はコート材として用いられるものであり、このため該珪酸リチウム水溶液から溶媒を除去して得られるものは、コロイド状の微粒子で、凝集力も強く粉末として用いる場合に取り扱いも難しくなり、粉末として用いる用途には適さない。
全固体電池の製造方法として、多くの場合、例えば正極層、固体電解質層、及び負極層の各材料の粉末をペースト化し、塗布乾燥してグリーンシートを作製し、係るグリーンシートを積層し、作製した積層体を好ましくは700~1100℃の温度で同時焼成し焼結する焼結工程を経て製造する方法等が知られている(特開2015-220099号公報の0017~0022段落、特開2015-220106号公報の0017~0022段落、WO2019/181909号パンフレットの0088~0106段落等参照)。
この際に、固体電解質の場合は、リチウムイオン伝導性を高めるため、緻密な固体電解質とする必要があり、固体電解質粉末として、一次粒子が微粒であり、より一層一次粒子の粒径が揃い、且つ、一次粒子の凝集力が小さく、取り扱いも容易なものが要望されている。
従って、本発明の目的は、工業的に有利な方法で、一次粒子が微粒子であり、一次粒子の粒径が揃っており、且つ、一次粒子の凝集力が小さいリチウムシリケート粉末を得ることができるリチウムシリケート粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、リチウムシリケートの製造方法において、沈降性シリカ等の非晶質シリカは、水酸化リチウムのアルカリ水溶液中では、凝集した状態で固形分として存在する混合液となるため、反応性に優れた反応前駆体を得ることが難しいこと。それに対して、ヒュームドシリカは、水酸化リチウムのアルカリ水溶液中では、水溶媒中に高分散して存在する混合液となることから、反応性に優れた反応前駆体が得られ易くなり、また、固形分として残存するヒュームドシリカは、反応核となるため、得られるリチウムシリケートは、高分散したヒュームドシリカに起因して、粒径が揃ったものになること。また、固形分のヒュームドシリカが高分散で存在している混合液を、加熱処理することにより、固形分としてLi及びSiを含み、且つ固形分中にLi及びSiが均一混合されたスラリーが得られ、このスラリーを噴霧乾燥することで、反応性に優れた反応前駆体が得られること。また、該反応前駆体を焼成することにより、X線回折的に高純度の所望のリチウムシリケートが得られ、次いで、焼成後のリチウムシリケートを粉砕処理することにより、一次粒子が微粒であり、一次粒子の粒度が揃っており、且つ、一次粒子の凝集力が小さいリチウムシリケート粉末となることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明が提供しようとする発明は、ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加して、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製する第1工程と、
該混合液を加熱処理して、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製する第2工程と、
該スラリーを噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第3工程と、
該反応前駆体を焼成して焼成物を得る第4工程と、
該焼成物を粉砕して、リチウムシリケート粉末を得る第5工程と、
を有することを特徴とするリチウムシリケート粉末の製造方法である。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、一次粒子が微粒子であり、一次粒子の粒径が揃っており、且つ、一次粒子の凝集力が小さいリチウムシリケート粉末を得ることができる。
実施例1で得られた反応前駆体のX線回折図。 実施例1で得られたリチウムシリケート試料のX線回折図。 実施例2で得られた反応前駆体のX線回折図。 実施例2で得られたリチウムシリケート試料のX線回折図。 比較例1で得られたリチウムシリケート試料のX線回折図。 比較例2で得られたリチウムシリケート試料のX線回折図。 実施例1で得られたリチウムシリケート試料のSEM写真。 実施例2で得られたリチウムシリケート試料のSEM写真。 比較例1で得られたリチウムシリケート試料のSEM写真。 比較例2で得られたリチウムシリケート試料のSEM写真。
以下、本発明の好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法は、ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加して、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製する第1工程と、
該混合液を加熱処理して、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製する第2工程と、
該スラリーを噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第3工程と、
該反応前駆体を焼成して焼成物を得る第4工程と、
該焼成物を粉砕して、リチウムシリケート粉末を得る第5工程と、
を有することを特徴とするリチウムシリケート粉末の製造方法である。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法により得られるリチウムシリケート粉末は、LiSiO、LiSiO、LiSi、LiSiO等が挙げられ、これらの中、LiSiO及び/又はLiSiOが固体電解質粉末として用いることができる観点から好ましい。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法により得られるリチウムシリケート粉末は、走査型電子顕微鏡写真観察(SEM)から求められる一次粒子の平均粒子径が、好ましくは0.1~1.5μm、特に好ましくは0.1~1.2μmである。リチウムシリケート粉末の一次粒子の平均粒子径が上記範囲にあることにより、グリーンシート成型後に焼成して得られる焼結体が緻密になり、また、焼結体にクラックが入る等の不具合が無い固体電解質として好適な焼結体が得られる。一方、リチウムシリケート粉末の一次粒子の平均粒子径が、上記範囲未満だとグリーンシート成型したときに、成型密度が不足し、焼成後に緻密な焼結体を得ることが難しくなり、また、上記範囲を超えると焼結体にクラックが入るなどの不具合が起こり易くなる傾向がある。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法により得られるリチウムシリケート粉末は、走査型電子顕微鏡写真観察(SEM)から求められる一次粒子の粒子径の標準偏差σが、好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。リチウムシリケート粉末の一次粒子の粒子径の標準偏差σが上記範囲にあることによりグリーンシート成型後に焼成することで固体電解質として好適な緻密な焼結体を得ることができる。一方、リチウムシリケート粉末の一次粒子の粒子径の標準偏差σが、上記範囲を超えるとグリーンシート成型したときに、成型密度が不足し、焼成後に緻密な焼結体を得ることが難しくなる。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法により得られるリチウムシリケート粉末のBET比表面積は、好ましくは2.0~10.0m/g、特に好ましくは3.0~9.0m/gである。リチウムシリケート粉末のBET比表面積が上記範囲にあることにより、グリーンシート成型後に焼成して得られる焼結体が緻密になり、また焼結体にクラックが入る等の不具合が無い固体電解質として好適な焼結体が得られる。一方、リチウムシリケート粉末のBET比表面積が、上記範囲未満だと焼結体にクラックが入るなどの不具合が起こり易くなる傾向があり、また、上記範囲を超えるとグリーンシート成型したときに、成型密度が不足し、焼成後に緻密な焼結体を得ることが難しくなり易い。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法により得られるリチウムシリケート粉末は、一次粒子の表面が丸みを帯びた形状を有する。リチウムシリケート粉末の粒子表面が丸みを帯びていることは、走査型電子顕微鏡写真(SEM)により確認される。
本発明のリチウムシリケートの製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末には、本発明のリチウムシリケートの製造方法に起因して炭酸リチウムや目的とするリチウムシリケート以外にLiSiO等の副生物が含有される場合がある。炭酸リチウムは、得られるリチウムシリケートを焼結させて固体電解質を製造する際に熱分解するため、また、LiSiOは、全固体電池の性能に与える影響が少ないため、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法では、全固体電池の性能に影響を与えない程度であれば、得られるリチウムシリケートが、炭酸リチウムや目的とするリチウムシリケート以外にLiSiOを含有していてもよい。
本発明のリチウムシリケートの製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末中、本発明のリチウムシリケートの製造方法に起因する副生物の炭酸リチウムの含有量は、できるだけ少ないことが望ましいが、副生物として含有される炭酸リチウムは、固体電解質を製造する際に、700℃以上で焼成する焼結工程で必然的に除去される。このため、本発明のリチウムシリケートの製造方法に起因した副生物の炭酸リチウムを、全固体電池の性能に影響を与えない程度であれば、含有していても差し支えない。本発明のリチウムシリケートの製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末が、副生物として炭酸リチウムを含有する場合は、例えば、リチウムシリケート粉末としてLiSiOを製造する場合は、LiSiO粉末を、線源としてCuKα線を用いてX線回折分析したときに、LiSiOに起因する2θ=21.8~22.6°に現れるメインの回折ピーク(a)に対する炭酸リチウムに起因する2θ=20.9~21.7°に現れるメインの回折ピーク(b)のピーク強度比(b/a)が0.5以下である量であれば、特に問題なく用いることができる。また、例えば、リチウムシリケート粉末としてLiSiOを製造する場合は、LiSiO粉末を、線源としてCuKα線を用いてX線回折分析したときに、LiSiOに起因する2θ=18.5~19.3°に現れるメインの回折ピーク(c)に対する炭酸リチウムに起因する2θ=20.9~21.7°に現れるメインの回折ピーク(b)のピーク強度比(b/c)が0.5以下である量であれば、特に問題なく用いることができる。なお、前記ピーク強度比は回折ピークの高さの比を示す。
本発明のリチウムシリケートの製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末中、本発明のリチウムシリケートの製造方法に起因する副生物のLiSiOは、固体電解質を製造する際の焼結工程後においても残存する場合があるが、多くの場合は、副性物として含有されるLiSiOは、固体電解質を製造する際に、700℃以上で焼成する焼結工程でその量は低減する。また、本発明のリチウムシリケート粉末を、特に全固体電池の固体電解質として用いる場合は、副性物のLiSiOも、固体電解質なので(例えば、特開2018-125286号公報の請求項1、請求項13、WO2018/069492号パンフレットの請求項5、固体イオニクス討論会講演要旨集、Vol.35th、Page82-83等参照)、焼結工程後に目的とするリチウムシリケート以外に残存していても、固体電解質の性能にほとんど影響しない。このため、本発明のリチウムシリケートの製造方法に行い得られるリチウムシリケート粉末は、本発明のリチウムシリケートの製造方法に起因した副生物のLiSiOを、全固体電池の性能に影響を与えない程度であれば、含有していても差し支えない。本発明のリチウムシリケートの製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末が、副生物としてLiSiOを含有する場合は、例えば、リチウムシリケート粉末としてLiSiOを製造する場合は、LiSiO粉末を、線源としてCuKα線を用いてX線回折分析したときに、LiSiOに起因する2θ=21.8~22.6°に現れるメインの回折ピーク(a)に対するLiSiOに起因する2θ=18.5~19.3°に現れるメインの回折ピーク(c)のピーク強度比(c/a)で0.5以下であれば、特に問題なく用いることができる。なお、前記ピーク強度比は回折ピークの高さの比を示す。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法に係る第1工程は、ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加して、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製する工程である。
第1工程において、得られる混合液は、溶解分として水酸化リチウムのアルカリと、ヒュームドシリカがアルカリにより溶解したシリカ分を含み、更に固形分として溶解せずに残存するヒュームドシリカを含むものである。
本発明者らは、沈降性シリカ等の非晶質シリカは、水酸化リチウムのアルカリ水溶液中では、凝集した状態で存在する混合液となるため、沈降性シリカ等の非晶質シリカ及び水酸化リチウムを混合した混合液を用いた場合には、反応性に優れた反応前駆体を得ることが難しい一方で、ヒュームドシリカは、水酸化リチウムのアルカリ水溶液中では、水溶媒中に高分散して存在し、また、第1工程に次いで、後述する第2工程、第3工程を行うことにより反応性に優れた反応前駆体が得易くなること。また、水溶媒中に高分散して固形分として残存するヒュームドシリカは、反応核となるため、得られるリチウムシリケートは、ヒュームドシリカに起因して粒度が揃ったものになることを見出した。
このため、この第1工程を行って得られる混合液は、少なくとも固形分としてヒュームドシリカが高分散で存在するLi及びSiの各元素を含有する混合液を得ることが、一次粒子の粒子径が揃ったリチウムシリケート粉末を得る観点から重要である。
ヒュームドシリカは、一般に、四塩化珪素を酸水素炎中で燃焼させて製造され、比表面積がおよそ40~500m/gのものが市販されている。第1工程に係るヒュームドシリカの比表面積は、Li及びSiの各元素を含有する混合液の粘度の上昇を抑えつつ、水酸化リチウムとの反応性にも優れる点で、好ましくは40m/g以上、特に好ましくは40~200m/gである。また、本発明においてヒュームドシリカは、親水性であることが、Li及びSiの各元素を含有する混合液に、ヒュームドシリカを一層高分散させることができる点で好ましい。また、ヒュームドシリカの市販品としては、日本アエロジル社のAEROSIL、東新化成社のアエロジル、Degussa社のAEROSILやCabot社のCAB-O-SILやエポニック・ジャパン社のAerasil等が挙がられる。
また、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液において、ヒュームドシリカを分散させる水溶媒は、水単独でも水と親水性溶媒との混合溶媒であってもよい。
第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶媒に所定量のヒュームドシリカを添加し、撹拌することにより、ヒュームドシリカを含む水性分散液を調製することができる。水溶媒にヒュームドシリカを添加し、撹拌するときの温度は、好ましくは5~50℃、特に好ましくは10~40℃である。
水溶媒中のヒュームドシリカの含有量は、水溶媒100.0質量部に対してヒュームドシリカ2.0~10.0質量部、好ましくは3.0~8.0質量部である。ヒュームドシリカの混合量が上記範囲にあることにより、Li及びSiの各元素を含有する混合液の粘度上昇を抑えることができ、また、生産性が高くなる。なお、第2工程において、第1工程を行い得られるLi及びSiの各元素を含有する混合物の加熱処理中に、Li及びSiの各元素を含有する混合物に、ヒュームドシリカを添加する場合、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法で用いるヒュームドシリカの全使用量のうちの一部を用いて、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液を調製する。
第1工程に係る水酸化リチウムは、工業的に入手できるものであれば、特に制限されない。また、水酸化リチウムは、含水塩であっても無水塩であってもよい。なお、水酸化リチウムは、粉体として水溶媒に添加しても良いが、水酸化リチウム水溶液として添加することが均一に反応を行い、バッチ間のバラツキがなく安定した品質のものを得ることができる観点から好ましい。水酸化リチウム水溶液の濃度は、無水塩換算で3~6質量%、好ましくは4~5質量%とすることが水酸化リチウムの溶け残りが無い水溶液が得られる観点から好ましい。
また、第1工程における水酸化リチウムの添加量は、基本的には所望とするリチウムシリケートのLiとSiの組成となるような添加量であればよい。具体的には、リチウムシリケートとしてLiSiOを製造する場合は、水酸化リチウムの添加量は、ヒュームドシリカ中のSi原子に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比(Si/Li)で0.45~0.55、好ましくは0.48~0.52とすることがX線回折的に高純度のLiSiOを得る観点から好ましい。なお、第2工程において、第1工程を行い得られるLi及びSiの各元素を含有する混合物の加熱処理中に、Li及びSiの各元素を含有する混合物に、ヒュームドシリカを添加する場合、上記ヒュームドシリカ中のSi原子に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比(Si/Li)は、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液中のヒュームドシリカ中のSi原子と第2工程で添加するヒュームドシリカ中のSi原子の合計に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比である。
また、リチウムシリケートとしてLiSiOを製造する場合は、水酸化リチウムの添加量は、ヒュームドシリカ中のSi原子に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比(Si/Li)で0.23~0.27、好ましくは0.24~0.26とすることがX線回折的に高純度のLiSiOを得る観点から好ましい。なお、第2工程において、第1工程を行い得られるLi及びSiの各元素を含有する混合物の加熱処理中に、Li及びSiの各元素を含有する混合物に、ヒュームドシリカを添加する場合、上記ヒュームドシリカ中のSi原子に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比(Si/Li)は、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液中のヒュームドシリカ中のSi原子と第2工程で添加するヒュームドシリカ中のSi原子の合計に対する水酸化リチウム中のLi原子のモル比である。
水酸化リチウムを、ヒュームドシリカを含む水性分散液へ添加する温度は特に制限はないが、水酸化リチウムの溶解度の観点から多くの場合、10~40℃、好ましくは15~35℃である。
Li及びSiの各元素を含有する混合液のpHは、好ましくは10以上、特に好ましくは11~13、より一層好ましくは12~13である。Li及びSiの各元素を含有する混合液のpHが上記範囲にあることにより、ヒュームドシリカの反応性を向上させることができる。
第1工程では、Li及びSiの各元素を含有する混合液の調製直後は、粘性が高い白濁したものであるが、固形分のヒュームドシリカを、一層高分散させるために、該混合液が半透明になるまで混合液を放置してから、第2工程を行うことが好ましい。第1工程において、混合液が半透明になるまで放置することにより、一次粒子の粒子径が揃ったリチウムシリケート粉末が得られ易くなる。
第1工程において、ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加した後、40℃以下、好ましくは10~40℃で、2時間以上、好ましくは4~24時間、撹拌下に混合液を放置することが、粘性が低く半透明な混合液にすることができる点で好ましい。なお、本発明において、第1工程に係る半透明な混合液は、好ましくは撹拌を止めても、容器の底部に沈降物が観察されない。一方、シリカとしてヒュームドシリカ以外の非晶質シリカを用いた場合には、撹拌を止めると、直ぐに容器の底部に沈降物が観察される。
なお、第1工程において、Li及びSiの各元素を含有する混合液のヒュームドシリカの含有量が多いと、第1工程で得られる混合液が半透明になり難くなるので、この場合、第1工程で用いるヒュームドシリカを含む水性分散液中のヒュームドシリカの量を、必要とされるヒュームドシリカ全量のうちの一部とし、第2工程中に、残部のヒュームドシリカを添加してもよい。また、Li及びSiの各元素を含有する混合液のヒュームドシリカの粘度が高い場合には、第1工程で用いるヒュームドシリカを含む水性分散液中のヒュームドシリカの量を、必要とされるヒュームドシリカ全量のうちの一部とし、第2工程中に、残部のヒュームドシリカを添加してもよい。
第2工程は、第1工程で調製したLi及びSiの各元素を含有する混合液を加熱処理して、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを得る工程である。第2工程を行い得られるスラリーでは、第1工程で調製した混合液を加熱処理することにより生じる固形分が、水溶媒に分散しており、該固形分は、Li元素及びSi元素を含有している。なお、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するとは、スラリー中に存在している各粒子が、いずれもLi及びSiの両元素を含有しているということではなく、個々の粒子は、Li及びSiのうちの1種以上を含有しており、且つスラリー中の固形分全体として見たときに、Li及びSiを含有していることを指す。
第1工程で調製したLi及びSiの各元素を含有する混合液を、加熱処理することにより、混合液中の溶解成分のリチウムとシリカが反応し微細なリチウムシリケート粒子として析出する。その他の加熱処理に伴う反応機構は不明であるが、混合液中の固形分のヒュームドシリカも水酸化リチウムと反応し、微細なリチウムシリケートとなり、第2工程で得られるスラリーは、固形分として、Li及びSiの各元素が均一に混合された固形分を含有するスラリーが得られるものと考えられる。
第2工程における加熱処理の温度は、好ましくは50℃以上、特に好ましくは55~70℃である。この理由は、加熱処理の温度が上記範囲未満では析出物の粒子径が不均一となり、一次粒子の粒子径が揃ったものが得られ難くなる傾向があるからである。
第2工程における加熱処理の時間は、反応を完結させる観点から、0.5時間以上、好ましくは1~8時間である。
また、第2工程では、第1工程を行い得られるLi及びSiの各元素を含有する混合物の加熱処理を行っている途中に、Li及びSiの各元素を含有する混合物に、ヒュームドシリカを添加し、ヒュームドシリカを添加した後も、加熱を続けることにより、加熱処理を行うことができる。この場合、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法で用いるヒュームドシリカの全使用量のうちの一部を、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液の調製に用い、残部を、第2工程においてLi及びSiの各元素を含有する混合物に添加する。第2工程においてLi及びSiの各元素を含有する混合物に添加するヒュームドシリカは、第1工程に係るヒュームドシリカを含む水性分散液中のヒュームドシリカ100.0質量部に対して、30.0~70.0質量部とすることが、スラリーの粘度を制御して低粘度とする観点から好ましい。なお、第2工程の加熱処理中にヒュームドシリカを添加する場合、Li及びSiの各元素を含有する混合物の加熱を続けながらヒュームドシリカを添加してもよいし、あるいは、一旦、Li及びSiの各元素を含有する混合物を冷却した後、ヒュームドシリカを添加し、次いで、昇温して加熱処理を続行してもよい。
そして、第2工程を行うことにより、固形分としてLi及びSiの各元素が均一に混合されたスラリーを得ることができるが、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法では、必要により、第3工程を行う前に、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを、更にメディアミル等により湿式粉砕処理を行ってもよい。
また、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法において、Li及びSiの各元素がより一層均一に混合された固形分を含有するスラリーを得るため、第2工程を行う前に、第1工程を行い得られるLi及びSiの各元素を含有する混合物に、あるいは、第2工程における加熱処理を行っているときに、加熱処理中の混合物に、あるいは、第3工程を行う前に、第2工程を行い得られる固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーに、アニオン系界面活性剤を添加することができる。
アニオン系界面活性剤は、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤であることが、Li及びSiの各元素を含有するスラリーの粘度を低くし、また反応性に優れた反応前駆体が得られる点で好ましい。アニオン系界面活性剤としては、ポリカルボン酸系界面活性剤又はポリアクリル酸系界面活性剤が好ましく、ポリカルボン酸系界面活性剤が特に好ましい。ポリカルボン酸系界面活性剤としては、ポリカルボン酸のアンモニウム塩が好ましい。
アニオン系界面活性剤は、市販のものであってもよい。市販のポリカルボン酸型界面活性剤の一例としては、サンノプコ社製のSNディスパーサント5020、SNディスパーサント5023、SNディスパーサント5027、SNディスパーサント5468、ノプコスパース5600、KAO社製のポイズ532A等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の添加量は、第1工程で得られるLi及びSiの各元素を含有する混合液又は第2工程で得られる固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーに対して1~10質量%、好ましくは2~8質量%である。
なお、第1工程に係る水酸化リチウム及びヒュームドシリカは、高純度のリチウムシリケートを得る観点から高純度品を用いることが好ましい。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法に係る第3工程は、第2工程を行い得られる、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る工程である。
なお、第3工程で得られる反応前駆体は、X線回折的には、少なくともLiSiOを含有し、また、その他の成分としてLiSiO以外のリチウムシリケート、水酸化リチウム、炭酸リチウム等が含有されていても差し支えない。
スラリーの乾燥方法には噴霧乾燥法以外の方法も知られているが、本発明においては噴霧乾燥法を選択することが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。詳細には、噴霧乾燥法を用いると、粒子が詰まった状態の造粒粒子を得ることができるので、得られる造粒粒子を反応前駆体として用いて、後述する第4工程で焼成することにより、X線回折的に高純度のリチウムシリケート粉末を得ることができる。
噴霧乾燥法においては、所定手段によってスラリーを霧化し、それによって生じる微細な液滴を乾燥させることで反応前駆体を得る。スラリーの霧化には、例えば回転円盤を用いる方法と、圧力ノズルを用いる方法がある。本工程ではいずれの方法を用いることができる。
噴霧乾燥法においては、霧化されたスラリーの液滴の大きさと、それに含まれる粒子の大きさとの関係が、安定した乾燥や、得られる反応前駆体の性状に影響を与える。詳細には、液滴の大きさに対して粒子の大きさが小さ過ぎると、液滴が不安定になり、乾燥を首尾よく行い難くなる。また、反応前駆体の比表面積や密度を大きくし難くなる。この観点から、スラリー中の粒子の大きさ(二次粒子の大きさ)が前述の範囲であることを条件として、霧化された液滴の大きさは、5~50μm、特に10~40μmであることが好ましい。噴霧乾燥装置へのスラリーの供給量は、この観点を考慮して決定することが望ましい。
第3工程の噴霧乾燥方法において、乾燥温度は、熱風入口温度が170~320℃、好ましくは190~300℃に調整して、熱風出口温度が80~140℃となうように調整することが、粉体の吸湿を防ぎ粉体の回収が容易になることから好ましい。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法に係る第4工程は、第3工程を行い得られる反応前駆体を焼成して、リチウムシリケートの焼成物を得る工程である。
第4工程での焼成温度は、500~700℃、好ましくは550~680℃である。焼成温度が上記範囲未満だと、リチウムシリケートの生成までの焼成時間が長くなり工業的に不利となり、一方、焼成温度が上記範囲を超えると、リチウムシリケートが硬い焼結体となるため好ましくない。
第4工程での焼成雰囲気は、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気である。
第4工程における焼成時間は、特に制限されず、1時間以上、好ましくは2~10時間焼成を行えば、X線回折的に高純度の所望のリチウムシリケートを得ることができる。
第4工程では、一旦焼成を行い得られたリチウムシリケートを必要に応じて、複数回焼成してもよい。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法に係る第5工程では、第4工程を行い得られる焼成物を粉砕処理し、一次粒子の粒径が揃い、且つ、一次粒子の凝集力が小さいリチウムシリケート粉末を得る。
第5工程における粉砕処理は、乾式の粉砕処理であっても、湿式の粉砕処理であってもよい。湿式粉砕装置としては、例えば、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。乾式粉砕装置としては、例えば、ジェットミル、ピンミル、ロールミル、ボールミル、ビーズミル等の公知の粉砕装置が挙げられる。
第5工程終了後は、必要により、解砕、分級等を行うことができる。
このようにして本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は、一次粒子が微粒であり、走査型電子電子顕微鏡写真観察(SEM)から求められる一次粒子の平均粒子径が、好ましくは0.1~1.5μm、より好ましくは0.1~1.2μm、特に好ましくは0.1~1.0μmである。また、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は、一次粒子の粒子径が揃っており、走査型電子顕微鏡写真(SEM)から求められる一次粒子の粒子径の標準偏差σが、好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。また、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法に行い得られるリチウムシリケート粉末のBET比表面積は、好ましくは2.0~10.0m/g、特に好ましくは3.0~9.0m/gである。
また、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は、前記の走査型電子電子顕微鏡写真観察(SEM)から求められる一次粒子の平均粒子径と、レーザー回折・散乱法によりより求められるD50との差が、沈降性シリカ等の非晶質シリカをシリカ源として用いたものに比べて小さい。つまり、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は、一次粒子の凝集力が小さく、取り扱いが容易である。
また、本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は粒子表面が丸みを帯びた形状となる。このため、取り扱いも容易で、充填密度も高くすることができる。
本発明のリチウムシリケート粉末の製造方法を行い得られるリチウムシリケート粉末は、炭酸ガス吸収材料、固体電解質、あるいは、固体電解質や全固体電池やリチウム二次電池で使用する部材の製造原料等として好適に利用され、特に全固体電池の固体電解質粉末として好適に利用される。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
(実施例1)
<第1工程>
純水7300gに親水性ヒュームドシリカ(エボニック・ジャパン社製、Aersil 130、純度99%、BET比表面積140m/g)203gを添加し、室温(25℃)で3時間撹拌し分散液を調製した。次いで、水酸化リチウム一水和物を562g添加し、白濁した溶液を得た(pH12)。この白濁した溶液を室温(25℃)で6時間撹拌下に放置すると半透明な溶液になった。さらに10時間室温(25℃)で撹拌し、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製した。
なお、撹拌を終了後、5分経っても混合液には、容器の底に沈降物は目視で観察されなかった。
<第2工程>
得られたLi及びSiの各元素を含有する混合液を60℃で3時間撹拌下に加熱処理を行い、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製し、次いで、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム、サンノプロ社製SNディスパーサント5468)5.4gを添加し、更に室温(25℃)で2時間撹拌を行った。
<第3工程>
熱風入口の温度を250℃に設定したスプレードライヤーに、4.7L/時間の供給速度で固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを供給し、反応前駆体450gを得た。
得られた反応前駆体をX線回折分析したところ、LiSiOを主成分とし、その他LiSiO、LiOH、LiCOが確認された(図1)。
<第4工程及び第5工程>
得られた反応前駆体を620℃で6時間、大気雰囲気中で焼成し、焼成品を得た。次いで、焼成品をジェットミルで粉砕を行い、粉砕物を得た。
得られた粉砕物をX線回折分析したところ、LiSiOを主成分とし、その他に僅かにLiSiOとLiCOの回折ピークが確認された。これをリチウムシリケート粉末試料とした。また、得られたリチウムシリケート試料のX線回折図を図2に示す。
(実施例2)
<第1工程>
純水4900gに親水性ヒュームドシリカ(エボニック・ジャパン社製、Aersil 130、純度99%、BET比表面積140m/g)135gを添加し、室温(25℃)で3時間撹拌し分散液を調製した。次いで、水酸化リチウム一水和物を375g添加し、白濁した溶液を得た(pH12)。この白濁した溶液を室温(25℃)で6時間撹拌下に放置すると半透明な溶液になった。さらに10時間室温(25℃)で撹拌し、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製した。
なお、撹拌を終了後、5分経っても混合液には、容器の底に沈降物は目視で観察されなかった。
<第2工程>
得られたLi及びSiの各元素を含有する混合液を60℃で3時間撹拌下に加熱処理を行い、一旦、スラリーを室温(25℃)に自然冷却した。次いで、得られたスラリーに第1工程で使用したものと同じ親水性ヒュームドシリカ135g添加した。次いで、60℃まで昇温を行い、60℃で3時間撹拌下に加熱処理を続行し、Li及びSiの各元素を含有する固形分を析出させ、Li及びSiの各元素を含有するスラリーを得た。得られたスラリーにアニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム、サンノプロ社製SNディスパーサント5468)5.4gを添加し、更に室温(25℃)で2時間撹拌を行った。
<第3工程>
熱風入口の温度を250℃に設定したスプレードライヤーに、4.7L/時間の供給速度で固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを供給し、反応前駆体417gを得た。
得られた反応前駆体をX線回折分析したところ、LiSiOが確認された(図3)。
<第4工程及び第5工程>
得られた反応前駆体を620℃で6時間、大気雰囲気中で焼成し、焼成品を得た。次いで、焼成品をジェットミルで粉砕を行い、粉砕物を得た。
得られた粉砕物をX線回折分析したところ、粉砕物は単相のLiSiOであることが確認された。これをリチウムシリケート粉末試料とした。また、得られたリチウムシリケート試料のX線回折図を図4に示す。
(比較例1)
<第1工程>
純水7300gに沈降性シリカ(東ソー・シリカ社製、Nipsil-AQ、純度89%、BET比表面積210m/g)225gを添加し、室温(25℃)で3時間撹拌し分散液を調製した。次いで、水酸化リチウム一水和物を562g添加し、白濁した溶液を得た(pH12)。この白濁した溶液を室温(25℃)で6時間撹拌下に放置すると僅かに半透明な溶液になった。さらに10時間室温(25℃)で撹拌し、混合液を調製した。
なお、撹拌を終了後、5分経つと混合液には、容器の底に多量の沈降物が目視で観察された。
<第2工程>
得られた混合液を60℃で3時間撹拌下に加熱処理を行い固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製した。次いで、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム、サンノプロ社製SNディスパーサント5468)5.4gを添加し、更に室温(25℃)で2時間撹拌を行った。
<第3工程、第4工程及び第5工程>
実施例1と同様にして、第3工程、第4工程及び第5工程を実施し、粉砕物を得た。
得られた粉砕物をX線回折分析したところ、LiSiOを主成分とし、その他に僅かにLiSiOとLiCOの回折ピークが確認された。これをリチウムシリケート試料とした。また、得られたリチウムシリケート試料のX線回折図を図5に示す。
(比較例2)
<第1工程>
純水4900gに沈降性シリカ(東ソー・シリカ社製、Nipsil-AQ、純度89%、BET比表面積210m/g)150gを添加し、室温(25℃)で3時間撹拌し分散液を調製した。次いで、水酸化リチウム一水和物を375g添加し、白濁した溶液を得た(pH12)。この白濁した溶液を室温(25℃)で6時間撹拌下に放置すると僅かに半透明な溶液になった。さらに10時間室温(25℃)で撹拌し、混合液を調製した。
なお、撹拌を終了後、5分経つと混合液には、容器の底に多量の沈降物が目視で観察された。
<第2工程>
得られたスラリーに第1工程で使用したものと同じ沈降性シリカ150gを添加した。次いで、60℃で3時間撹拌下に加熱処理を行い、Li及びSiの各元素を含有する固形分を析出させた。得られたスラリーにアニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム、サンノプロ社製SNディスパーサント5468)5.4gを添加し、更に室温(25℃)で2時間撹拌を行った。
<第3工程、第4工程及び第5工程>
実施例2と同様にして第3工程、第4工程及び第5工程を実施し、粉砕物を得た。
得られた粉砕物をX線回折分析したところ、LiSiOを主成分とし、僅かにLiSiOが検出された。
これをリチウムシリケート試料とした。また、得られたリチウムシリケート試料のX線回折図を図6に示す。
Figure 2023062911000002
1)実施例2の第1工程のLiとSiの仕込みモル比は、第1工程及び第2工程で添加した合計のLiとSiの仕込みモル比を表す。
<諸物性の評価>
実施例及び比較例で得られたリチウムシリケート試料について、一次粒子の平均粒子径、二次粒子の平均粒子径、比表面積、炭酸リチウム及びLiSiOの含有量を測定した。
なお、一次粒子の平均粒子径の測定については、走査型電子顕微鏡において倍率1万倍で観察し、任意に抽出した粒子50個以上の平均値を、一次粒子の平均粒子径として求めた。また、その際に一次粒子の粒径のバラツキについて標準偏差σで評価した。この標準偏差σが小さい方が一次粒子の粒径のバラツキが少ないことを表す。
また、二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(社名:日機装製、品名:マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計、形式:MTEX-SDU)によりD50を測定した。
なお、一次粒子の平均粒子径と、この二次粒子のD50の差が小さい方が一次粒子の凝集力が小さく、粉体として取り扱いが容易であることを示す。
また、炭酸リチウム及びLiSiOについて下記のようにして評価した。また、実施例1~2及び比較例1~2で得られたリチウムシリケート試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図7、図8、図9及び図10にそれぞれ示す。
(炭酸リチウムの含有量)
実施例及び比較例で得られたリチウムシリケート試料を線源としてCuKα線を用いてX線回折分析し、実施例1及び比較例1ではLiSiOのリチウムシリケートに起因する2θ=22.2°付近の回折ピークの強度(a)に対する炭酸リチウムに起因する2θ=21.3°付近の回折ピークの強度(b)の比(b/a)を求めた。また、実施例2及び比較例2では、LiSiOのリチウムシリケートに起因する2θ=18.9°付近の回折ピークの強度(c)に対する炭酸リチウムに起因する2θ=21.3°付近の回折ピークの強度(b)の比(b/c)を求めた。
なお、前記ピーク強度比は回折ピークの高さの比である。
(LiSiOの含有量)
実施例1及び比較例1で得られたリチウムシリケートとしてCuKα線を用いてX線回折分析し、Li4SiOのリチウムシリケートに起因する2θ=22.2°付近の回折ピークの強度(a)に対するLiSiOに起因する2θ=18.9°付近の回折ピークの強度(c)の比(c/a)を求めた。なお、前記ピーク強度比は回折ピークの高さの比である。
Figure 2023062911000003
Figure 2023062911000004
注)表中の「-」は未測定
表2、表3及び図7~図10から明らかなように、本発明の製造方法で得られるリチウムシリケート粉末は、一次粒子の粒子径が揃っており、また、一次粒子が微粒であるのにもかかわらず、比較例のものと比べて、走査型電子顕微鏡で測定した一次粒子の平均粒子径と、レーザー回折・散乱法で測定した二次粒子の平均粒子径との差が比較例のものと比べて差が小さく、凝集力が小さく、取り扱いが容易であることが分かる。
<焼結品の評価>
実施例1で得られたリチウムシリケート試料1gを大気雰囲気中750℃で4時間焼成し、焼結品試料を得た。
得られた焼結品試料について、実施例1と同様にして炭酸リチウム及びLiSiOの含有量を測定し、その結果を表4に示す。
Figure 2023062911000005

Claims (9)

  1. ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加して、Li及びSiの各元素を含有する混合液を調製する第1工程と、
    該混合液を加熱処理して、固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーを調製する第2工程と、
    該スラリーを噴霧乾燥処理して反応前駆体を得る第3工程と、
    該反応前駆体を焼成して焼成物を得る第4工程と、
    該焼成物を粉砕して、リチウムシリケート粉末を得る第5工程と、
    を有することを特徴とするリチウムシリケート粉末の製造方法。
  2. 前記第2工程において、加熱処理中に、前記混合物に、ヒュームドシリカを添加することを特徴とする請求項1に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  3. 前記第1工程を行い得られる前記混合液のpHが10.0以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記ヒュームドシリカを含む水性分散液に、水酸化リチウムを添加後、2時間以上放置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  5. 前記第1工程で用いる前記ヒュームドシリカのBET比表面積が40m/g以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  6. 前記第2工程の加熱処理の温度が50℃以上であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  7. 前記第2工程を行う前に、前記第1工程を行い得られる前記混合物に、あるいは、前記第2工程における加熱処理を行っているときに、加熱処理中の前記混合物に、あるいは、前記第3工程を行う前に、前記第2工程を行い得られる前記固形分としてLi及びSiの各元素を含有するスラリーに、アニオン系界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  8. 前記第4工程の焼成温度が500~700℃であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
  9. 前記リチウムシリケート粉末が、LiSiO及び/又はLiSiOであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のリチウムシリケート粉末の製造方法。
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