JP2023061513A - 下水汚泥焼却灰の処理方法 - Google Patents

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【課題】低コストかつ簡易な方法により下水汚泥に含まれるリンを効率的に回収することができる下水汚泥の処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】粉末状の塩化アンモニウムを加熱処理して得られたアンモニアガスと塩化水素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとして下水汚泥焼却灰に反応させると、下水汚泥焼却灰の成分のうちリン成分以外の酸化物が混合ガスと反応して塩になることで、沸点が比較的低くなっている鉄成分が揮発し、それ以外の成分は易溶解性の反応生成物となる。そして、混合ガスによる反応後の反応生成物を水溶液浸出することで、残渣である焼却灰からリン成分を回収することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥の処理方法に関する。詳しくは、低コストかつ簡易な方法により下水汚泥に含まれるリンを効率的に回収することができる下水汚泥の処理方法に係るものである。
リンは食糧生産、工業プロセスで必須の元素であるが、その原料であるリン鉱石は産出地が限定的であり、世界的にも戦略資源に指定されている。そして我が国においては、リン鉱石の主な産出国である中国やモロッコをはじめとする諸外国からの輸入に頼っているのが現状である。そのため、リン鉱石の輸出国からの供給が途絶える事態が生じれば、即座に国内の社会、経済、及び個人生活に甚大な影響を与えることになる。
ところで、農作物をはじめとする食料品に含まれているリンは、例えば人間の日常生活において消費されることで屎尿として下水等の生活排水となる。そして、下水処理場にて活性汚泥処理等の排水処理プロセスを経ることで、生活排水に含まれるリンの大部分が汚泥中に濃縮される。汚泥中に濃縮されなかったリンは排水として放流されるが、その排水中のリンは海域において環境汚染物質として作用するため、排水中のリンの含有量が多くなることにより富栄養化等の環境悪化を招くことにもなりかねない。
そこで、下水処理の分野では、富栄養化防止の観点で排水中に含まれるリンを沈殿除去する技術が導入されている。例えば特許文献1には、リン含有排水に無機凝集剤および高分子凝集剤の少なくともいずれかを加えて、リンを汚泥として沈殿させ、固液分離して回収する方法が開示されている。
前記した特許文献1に開示の方法によれば、排水中のリンを凝集剤により所定の基準値以下に低減することができるため、海域での富栄養化現象を抑制することができる。その一方で、沈殿物としての下水汚泥が大量に発生する。そのため、発生した下水汚泥は焼却されて下水汚泥焼却灰としてセメントやブロックなどへの活用を促進する取り組みが行われている。
ここで、下水汚泥焼却灰中にはリンが濃縮されており、図9に示す通り、アルミ系凝集剤と鉄系凝集剤を使用した場合において有意差は生じるものの、その含有量は重量換算でリン鉱石と同程度であるといわれている。
従って、下水汚泥焼却灰からリンを全量回収することができれば、我が国におけるリン資源の多くを賄えることが期待できる。しかしながら、図9に示すように、下水汚泥焼却灰にはリン鉱石に比べ、リン以外の多くの不純物が含まれているため、下水汚泥焼却灰からリンを選択的に回収することは容易なことではない。そこで、下水汚泥焼却灰から積極的にリンを分離回収して再資源化するための技術が求められている。
従来、下水や下水汚泥からリンを回収する方法として、嫌気性消化脱離液または下水の高度処理において水に溶解しているリン酸をHAP(塩基性リン酸カルシウム)として回収する方法(特許文献2参照)や、MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)として回収する方法(特許文献3参照)、或いは下水汚泥焼却灰からアルカリ薬剤によってリンを抽出、及び析出して回収する灰アルカリ抽出法(特許文献4参照)等が知られている。
特開平6-39396号公報 特開2010-42365号公報 特開平8-24875号公報 特開2012-56784号公報
しかしながら、HAP法は反応速度が遅いため、巨大な反応層が必要になること、及び回収した結晶粒子のリン含有率が低いことから、その実用に応じては多大なコストを要することが課題になっている。また、MAP法は、回収したMAPがリンとアンモニアを等量ずつ含んでいるため、利用用途がリン酸アンモニウム系肥料の原料として用いる方法に限定されてしまう。
また、灰アルカリ抽出法は、室温に保たれた反応槽内においてリン抽出液とカルシウム化合物とを混合してリン酸カルシウムを析出させているが、室温では反応が完了するまでに数時間以上掛かるため操業効率が悪い。一方、反応槽を加温すれば反応時間を短縮できるが、そのための燃料が余分に必要となる。さらに、リンの反応割合も低いため、過剰のリンを使用して反応させ、余剰のリンを排水として放出しており、貴重なリンを捨てるだけでなく、捨てるための排水設備も必要となる。
以上のことから、下水や下水汚泥からリンを回収する代表的な方法であるHAP法、MAP法、或いは灰アルカリ抽出法については、コストと販路が障害となり広く普及していないのが実情であり、これら従来技術に代わる新たなリンの回収技術の開発が求められていた。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、低コストかつ簡易な方法により下水汚泥に含まれるリンを効率的に回収することができる下水汚泥の処理方法に係るものである。
前記の目的を達成するために、本発明の下水汚泥の処理方法は、アンモニアガス、及び塩化水素ガスを含む混合ガスを雰囲気ガスとして、下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程を備える。
以上のように下水汚泥を焼却して得られる下水汚泥焼却灰を、アンモニアガス、及び塩化水素ガスを含む混合ガスを雰囲気ガスとして反応させることで、下水汚泥焼却灰に含まれる成分のうち、リン成分以外の酸化物が混合ガスと選択的に反応して塩化物に変化する。生成された塩化物は易溶解性、低温揮発性のため、水溶液浸出、及び揮発により除去することが可能であり、下水汚泥焼却灰を構成する成分からリン成分を効率的に回収することができる。
また、下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程は、下水汚泥焼却灰に粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成する工程と、混合物を所定の温度で加熱する工程とを有する場合には、熱分解(NH4Cl→HCl+NH3)で発生する塩化水素ガスの温度は300℃以上となり高い反応活性があるため、下水汚泥焼却灰に含まれる酸化物のうち鉄成分が低温揮発性の塩化物(沸点略300℃)となって揮発し、その他の成分は塩化アンモニウムと迅速に反応し、易溶解性の塩化物に変化させることができる。
また、下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程は、下水汚泥焼却灰と粉末状の塩化アンモニウムとを所定の温度で加熱する工程を有する場合には、前記の通り、熱分解(NH4Cl→HCl+NH3)で発生する塩化水素ガスの温度は300℃以上となり高い反応活性があるため、下水汚泥焼却灰に含まれる酸化物のうち鉄成分が低温揮発性の塩化物(沸点略300℃)となって揮発し、その他の成分は塩化アンモニウムと迅速に反応し、易溶解性の塩化物に変化させることができる。
また、混合ガスの雰囲気温度が300℃~500℃である場合には、下水汚泥焼却灰の成分のうちリン成分以外の酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO等)について混合ガスによる選択的な反応が進む。そして、これら酸化物が混合ガスと反応して塩になることで、低温揮発性となっている鉄成分は揮発が促進され、それ以外の成分は易溶解性の反応生成物となる。そして反応生成物を水溶液浸出することで、固液分離された残渣である処理灰からリン成分を効率的に回収することができる。
なお、混合ガスの雰囲気温度が300℃未満の温度領域である場合には、混合ガスによる反応が促進されないため、下水汚泥焼却灰に含まれる鉄成分が完全に揮発せず、揮発物と反応生成物とに十分に分離することができない。また、その他の成分についても混合ガスとの反応が促進されないため易溶解性の塩化物に変化しにくくなり、不純物を十分に除去することができず、回収されたリン成分の純度が低くなる虞がある。
また、混合ガスの雰囲気温度が500℃よりも高い温度領域である場合には、混合ガスに含まれるアンモニアガスが熱分解により水素ガスと窒素ガスに分解される。このとき、塩化水素ガスの存在下において水素ガスが還元剤となり、酸化物は塩化物に変化するものと推定されが、その場合、アンモニアガスの存在下における低温反応のメリットを享受することができない。また、未反応のアンモニアガス、及び塩化水素ガスは固体の塩化アンモニウムとして再利用することができるが、仮にアンモニアガスの代替として水素ガスを還元剤として使用する場合には、水素ガスは回収が困難であり再利用に不向きである。従って、低温反応、及び反応剤の再利用による処理コストの低減という観点からも、混合ガスの雰囲気温度としてはアンモニアガスが熱分解しない程度の上限温度(約500℃)に抑制する必要がある。
また、反応生成物を水溶液で浸出し、浸出液と残渣に固液分離する工程を有する場合には、反応生成物のうち、易溶解性の塩化物は浸出液に溶解する。そのため、固液分離された残渣である処理灰中にはリン以外の不純物が除去された状態となるため、残渣からリン成分を効率的に回収することができる。
また、反応生成物を800℃以上の加熱温度で加熱し、揮発物と残留物とに分離する工程を有する場合には、反応生成物を加熱処理することで、リン以外の不純物が揮発により除去される。具体的には、下水汚泥焼却灰を混合ガスと反応させることで、下水汚泥焼却灰からは鉄成分が揮発した反応生成物が生成される。係る反応生成物を構成するリン成分以外の主な酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO等)は混合ガスと反応して低温揮発性の塩化物となる。そのため、反応生成物をさらに800℃以上の加熱温度で加熱することで、これら塩化物は容易に揮発する。従って、加熱処理後の残留物からはリン以外の不純物が揮発により除去されているため、残留物からリン成分を効率的に回収することができる。
なお、反応生成物を加熱する加熱温度の上限としては、800℃以上であれば特に限定されず、処理コストを考慮のうえ適宜上限値を設定することができる。
また、混合ガスの雰囲気温度が800℃以上である場合には、下水汚泥焼却灰を構成するリン成分以外の主な酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO等)は混合ガスと反応して低温揮発性の塩化物となる。そして下水汚泥焼却灰が800℃以上の混合ガスに曝され続けることで、リン成分以外の成分が揮発により除去されるため、下水汚泥焼却灰からリン成分のみを効率的に回収することができる。
本発明に係る下水汚泥の処理方法は、低コストかつ簡易な方法により下水汚泥に含まれるリンを効率的に回収することができるものとなっている。
本発明の第1の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図である。 本発明の第2の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図である。 本発明の第3の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図である。 実施例で採用した試験装置の概略図である。 実施例において、混合ガスによる反応前の下水汚泥焼却灰の状態を示す外観写真である。 実施例において、混合ガスによる反応後の試験管内の状態を示す外観写真である。 実施例において、混合ガスによる反応後の反応生成物を水溶液で浸出して得られた残渣の外観写真である。 実施例において、浸出液中の成分の分析結果を示す表である。 下水汚泥処理灰、及びリン鉱石に含まれる各成分を示す表である。
以下、本発明の実施形態に係る下水汚泥の処理方法について図面等を用いて詳細に説明し、本発明の理解に供する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図を示す。下水汚泥の処理方法においては、下水汚泥を焼却することにより得られた下水汚泥焼却灰と粉末状の塩化アンモニウムを混合し(工程1)、混合物を加熱処理することでアンモニアガスと塩化水素ガスを含む混合ガスを生成し(工程2)、混合ガスを雰囲気ガスとして下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離し(工程3)、反応生成物をさらに水溶液で浸出処理することで浸出液と残渣(処理灰)に固液分離する(工程4)、一連の工程から主に構成されている。
ここで、必ずしも、工程1においては下水汚泥焼却灰と塩化アンモニウムを混合する必要はない。例えば、下水汚泥焼却灰の近傍に粉末状の塩化アンモニウムを配置し、該塩化アンモニウムを加熱することにより発生した混合ガスを雰囲気ガスとしてもよい。さらにはアンモニアガスと塩化水素ガスを事前に準備しておき、所定の温度に昇温させた状態で外部から下水汚泥焼却灰が収容された反応炉に供給するようにしてもよい。
混合ガスを生成する際の温度条件としては、混合ガスの雰囲気温度が300℃~500℃の範囲となるように調整する。塩化アンモニウム(NHCl)は加熱により所定温度以上になると、(式1)の熱分解によってアンモニアガス(NH)と塩化水素ガス(HCl)が生成される。この反応によって生成される塩化水素ガスは約300℃以上に昇温することができるため、反応性が非常に高くなる。
NHCl→NH↑+HCl↑ (式1)
工程2において、下水汚泥焼却灰が300℃~500℃に温度調整された混合ガスに曝されると、前記した下水汚泥焼却灰の成分のうち、鉄成分(FeO)が低温揮発性の塩化物(沸点略300℃)となって揮発しはじめる。そして、下水汚泥焼却灰は鉄成分を主な成分とする揮発物と、リン成分をはじめとするその他の成分からなる反応生成物に分離される(工程3)。そして反応生成物のうち、主な酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO)は混合ガスと選択的に反応し、易溶解性の塩化物に変化する。一方、リン成分をはじめとする一部の酸化物(SiO等)については混合ガスと反応せずに難溶解性の酸化物のまま存在する。
なお、混合ガスの雰囲気温度は前記の通り300℃~500℃の温度領域が適切となるが、例えば混合ガスの雰囲気温度として300℃未満となる場合には、(式1)の熱分解が生じないため、下水汚泥焼却灰の塩化アンモニウムによる反応が促進されない。そのため工程2において下水汚泥焼却灰から鉄成分が揮発せず、また反応生成物を構成する成分のうち、リン成分以外の酸化物を塩化物に十分に変化させることができない。従って、反応生成物には不純物としての鉄成分が残るとともに、その後の工程である浸出処理においてリン成分とそれ以外の成分に固液分離することができないため、リン成分の回収率が悪化する。
また、混合ガスの温度領域が500℃よりも高い場合には、混合ガスに含まれるアンモニアガスが熱分解により水素ガスと窒素ガスに分解される。このとき、塩化水素ガスの存在下において水素ガスが還元剤となり、酸化物は塩化物に変化するものと推定されるが、その場合アンモニアガスの存在下における低温反応のメリットを享受することができない。また、未反応のアンモニアガス、及び塩化水素ガスは固体の塩化アンモニウムとして再利用することができるが、仮にアンモニアガスの代替として水素ガスを還元剤として使用する場合には、水素ガスは回収が困難であり再利用に不向きである。従って、低温反応、及び反応剤の再利用による処理コストの低減という観点からも、混合ガスの雰囲気温度としてはアンモニアガスが熱分解しない程度の上限温度(約500℃)に抑制する必要がある。
続いて、工程4においては、工程3で得られた反応生成物を水溶液により浸出して残渣(処理灰)と浸出液に分離する。なお、水溶液浸出において使用する水溶液としては特に限定されるものではないが、例えば水道水、蒸留水、イオン交換水、純水、或いは薄い酸(塩酸または硝酸)等から適宜選択することができるものとする。
反応生成物のうち、リン成分以外の主な酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO)は混合ガスと選択的に反応して易溶解性の塩化物に変化するが、リン成分は難溶解性の酸化物である。そのため、反応生成物を水溶液で浸出することにより、難溶解性のリン成分を含む処理灰が残渣として回収され、その他の易溶解性の塩化物は浸出液中に溶解させることができる。
工程3により得られた処理灰は大半の不純物が除去されている。従って、得られた処理灰を高濃度の酸(pH1前後)を用いて浸出させることができるため、不純物の少ないリン酸水溶液を得ることができる。また、処理灰をそのまま肥料として使用することや、或いは高温還元のうえ黄リンを製造することも可能である。
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について説明する。図2は本発明の第2の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図を示す。第2の実施形態においては、工程1から工程3までは第1の実施形態と共通し、工程4のみが異なる。即ち、第1の実施形態においては、工程3で得られた反応生成物を水溶液浸出することで、リン成分を含む処理灰である残渣とそれ以外の不純物からなる浸出液に固液分離し、固液分離後の残渣である処理灰からリン成分を回収した。一方、第2の実施形態においては、反応生成物を所定の加熱温度(例えば800℃以上)で高温加熱することで、反応生成物に含まれる不純物を揮発させた後の残留物からリン成分を回収する方法である。
工程2において下水汚泥焼却灰を混合ガスと反応させることで、第1の実施形態において説明した通り、下水汚泥焼却灰の成分のうち、鉄成分(FeO)が低温揮発性の塩化物(沸点略300℃)となって揮発しはじめる。そして、下水汚泥焼却灰は鉄成分を主な成分とする揮発物と、リン成分をはじめとするその他の成分からなる反応生成物に分離される(工程3)。
そして反応生成物のうち、主な酸化物(CuO、ZnO、FeO、MnO、CdO、CaO、PbO)は混合ガスと選択的に反応し、易溶解性の塩化物に変化する。一方、リン成分をはじめとする一部の酸化物(SiO等)については混合ガスと反応せずに難溶解性の酸化物のまま存在する。このとき塩化物は、易溶解性であるとともに低温揮発性となっている。従って、反応生成物を、例えば800℃以上の加熱温度で加熱することで、反応生成物中の塩化物の大半は揮発し、主にリン成分を含む処理灰としての残留物を得ることができる。
なお、加熱温度が800℃未満の場合には、反応生成物に含まれる塩化物の揮発が促進されず、加熱後の残留物に多くの不純物(塩化物)が残存する虞がある。また、加熱温度の上限値は、加熱処理のコストを考慮して適宜変更することができる。
ここで、工程4における反応生成物の加熱においては、例えば粉末状の塩化アンモニウムを追加投入するようにしてもよい。工程2における反応により、下水汚泥焼却灰に含まれる成分のうち、リン成分をはじめとする未反応の酸化物(SiO等)以外の成分は塩化物に変化しているため、反応生成物をそのまま高温加熱することで反応生成物に含まれる塩化物は容易に揮発させることができると推定されるが、塩化アンモニウムをさらに追加投入することで、未反応物の反応促進を図ることが期待できる。
[第3の実施形態]
次に本発明の第3の実施形態について説明する。図3は本発明の第3の実施形態に係る下水汚泥の処理方法の工程図を示す。第3の実施形態においては、混合ガスを生成して雰囲気ガスとする工程1から工程2は第1の実施形態、及び第2の実施形態と共通するが、混合ガスの初期温度が800℃以上となるように設定されている点で他の実施形態と異なる。
このように、800℃以上の混合ガスを雰囲気ガスとして下水汚泥焼却灰に曝すと、前記の通り、下水汚泥焼却灰に含まれるリン成分をはじめとする一部の酸化物(SiO等)以外の酸化物は混合ガスと選択的に反応して低温揮発性の塩化物に変化する。そして、下水汚泥焼却灰に含まれる成分のうち、まず低温揮発性の鉄成分が揮発する。その後、混合ガスの温度が上昇することで、その他の塩化物が揮発し、最終的には酸化物であるリン成分を含む処理灰としての残留物を得ることができる。
以上のように、第3の実施形態においては、第1の実施形態や第2の実施形態のように、2段階の処理を行うことなく1段階の処理で迅速に下水汚泥焼却灰からリン成分を回収することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。図4は実験設備を模式的に示した図である。実験に供したサンプルとして、下水汚泥を焼却して得られた下水汚泥焼却灰を0.2g、反応剤として粉末状の塩化アンモニウムを1.0g準備し、それぞれ混合した状態(以下、下水汚泥焼却灰と塩化アンモニウムを混合したものを「混合物」という。)で試験管に投入した。なお、図5は加熱前(反応前)の下水汚泥焼却灰の様子を示す外観写真である。
図4に示すように、試験管は縦長の円筒型空洞状に形成された石英管内に収容され、係る石英管を筒状の電気管状炉の内部にセットして加熱を開始した。加熱は試験管内に空気(又は窒素)を送り込みながら混合物が設置されている底部を約10分間加熱した。
図6は混合物の加熱終了後の試験管の様子を示す外観写真である。加熱により試験管の内面には、再析出した塩化アンモニウムや揮発した塩化鉄が付着している様子が確認できる。
加熱後の試験管を放冷した後に、試験管内の残留物をビーカーに取り出し、約100mlのイオン交換水を注入しながら攪拌して懸濁液を生成した。図7には、懸濁液をさらにろ過して固液分離し、残渣を乾燥させた後の外観写真を示す。下水汚泥焼却灰に含まれる鉄成分が揮発したことにより、図5に示す加熱前の状態と比べて全体が白色となっていることが確認できる。
生成した懸濁液はろ過して浸出液と処理灰を得た。図8は、浸出液の成分を分析した結果であり、下水汚泥焼却灰に含まれる代表的な成分の除去率として示している。
図8に示すように、Pの除去率は8%程度に留まる一方で、ZnやCuなどの不純物成分の多くが浸出液として除去できていることが確認できる。
以上、本発明に係る下水汚泥の処理方法は、低コストかつ簡易な方法により下水汚泥に含まれるリンを効率的に回収することができる。

Claims (7)

  1. アンモニアガス、及び塩化水素ガスを含む混合ガスを雰囲気ガスとして、下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程を備える
    下水汚泥の処理方法。
  2. 前記下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程は、
    前記下水汚泥焼却灰に粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成する工程と、
    該混合物を所定の温度で加熱する工程と、を有する
    請求項1に記載の下水汚泥の処理方法。
  3. 前記下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程は、
    前記下水汚泥焼却灰と粉末状の塩化アンモニウムとを所定の温度で加熱する工程を有する
    請求項1に記載の下水汚泥の処理方法。
  4. 前記混合ガスの雰囲気温度が300℃~500℃である
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の下水汚泥の処理方法。
  5. 前記反応生成物を水溶液で浸出し、浸出液と残渣に固液分離する工程を有する
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の下水汚泥の処理方法。
  6. 前記反応生成物を800℃以上の加熱温度でさらに加熱し、揮発物と残留物とに分離する工程を有する
    請求項4に記載の下水汚泥の処理方法。
  7. 前記混合ガスの雰囲気温度が800℃以上である
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の下水汚泥の処理方法。
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