JP2023061280A - 不織布製造方法 - Google Patents

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文夫 神野
Fumio Jinno
暁師 徐
Xiao Shi Xu
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Abstract

【課題】本発明は、原料にポリ乳酸を用いた不織布を提供することを目的とする。【解決手段】ポリ乳酸系を原料とする不織布製造方法であって、溶融したポリ乳酸系樹脂を口金から吐出し、気流によりポリ乳酸系樹脂を延伸することで繊維状とする紡糸工程と、ポリ乳酸系樹脂の繊維を熱ロールに通して繊維同士を融着させる融着工程と、を含み、紡糸工程において、ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸速度は、180000/min以上である。【選択図】図4

Description

本発明は、不織布製造方法に関する。
従来、複数の繊維層を含む不織布の製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。不織布の原料は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂が一般的である。
特開2021-70875号公報
ところで、近年、自然界で分解される生分解性不織布が注目されている。生分解性不織布の原料には、ポリ乳酸(PLA)が用いられている。ポリ乳酸は、結晶化速度がポリプロピレン等の熱可塑性樹脂よりも遅いため、従来の熱可塑性樹脂を原料とする不織布の製造条件では、ポリ乳酸が結晶化しないという問題がある。結晶化していないポリ乳酸の繊維を熱ロールに通して繊維同士を融着させようとすると、熱ロールに繊維が貼り付いてしまうという問題があるため、原料にポリ乳酸を用いた不織布を製造できなくなる。
本発明は、原料にポリ乳酸を用いた不織布を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、紡糸工程において、ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸速度を180000/min以上とした。
詳細には、本発明は、ポリ乳酸系を原料とする不織布製造方法であって、溶融したポリ乳酸系樹脂を口金から吐出し、気流により前記ポリ乳酸系樹脂を延伸することで繊維状とする紡糸工程と、前記ポリ乳酸系樹脂の繊維を熱ロールに通して繊維同士を融着させる融着工程と、を含み、前記紡糸工程において、前記ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸速度は、180000/min以上である。
前記ポリ乳酸系樹脂には、結晶核剤および結晶促進剤を添加しなくてもよい。
前記紡糸工程において、前記口金からの前記ポリ乳酸系樹脂の吐出量は、0.5g/m
in/hole以下であってもよい。
前記紡糸工程において、前記口金と前記ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸装置の間において冷却風によって、前記ポリ乳酸系樹脂は冷却されてもよい。
前記紡糸工程において、外部からの空気が流入可能であってもよい。
本発明によれば、原料にポリ乳酸を用いた不織布を実現できる。
図1は、実施形態に係る不織布の平面図である。 図2は、実施形態に係る不織布の断面図である。 図3は、不織布の製造条件に関する表である。 図4は、紡糸工程における繊維速度を表すグラフである。 図5は、実施形態に係る不織布の製造方法に関するフローチャートである。 図6は、実施形態に係る不織布を製造する不織布製造装置を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施形態の構成に限定されるものではない。
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る不織布Cを上方から見た場合の平面図である。図2は、不織布Cを図1に示すAA線に沿って切断した場合のCD方向の断面図である。不織布Cは、MD方向が長手方向となるシートであり、複数層で構成されている。
図2に示されるように、不織布Cは、繊維層C1が3層積層された層構造を有している。不織布Cは、各繊維層C1がエンボスによって互い圧搾接合されている。エンボスは、所定温度に加熱された熱ロールを不織布Cが通過することによって、繊維同士が融着されることで行われる。本実施形態に係る不織布は、熱ロールによって繊維同士が融着されて形成されるサーマルボンド不織布である。エンボスの面積率は、5~25%である。また、各繊維層の目付量は、10~30g/mである。このような、不織布Cは、おむつなどの吸収性物品やマスクの材料に適している。
各繊維層C1は、ポリ乳酸系の樹脂を原料とした繊維で形成されている。ポリ乳酸(PLA)は、生分解性樹脂であり、自然界の水分により加水分解を受けて低分子化された後、微生物などにより最終的には二酸化炭素と水にまで分解される。本実施形態に係る不織布Cは、ポリ乳酸系を原料とする生分解性不織布である。
ポリ乳酸は、結晶化速度がポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂よりも遅い。スパンボンド法によりポリ乳酸を原料とする不織布を製造する場合、ポリプロピレンを原料とする不織布の製造条件では、紡糸工程において口金(吐出口、図6に示す紡糸口金23)から吐出されたポリ乳酸の繊維がコンベア上で結晶化しない。また、ポリ乳酸は、結晶化度が低いと耐熱性が低いため、結晶化度が低いポリ乳酸の繊維層同士を熱ロールによって融着させようとすると、耐熱性が低い繊維が熱ロールに貼り付いてしまう。また、ポリ乳酸は、結晶化度が不十分だと加熱した際に熱収縮を起こすため、結晶化度が低いポリ乳酸の繊維を熱ロールに通すと、熱収縮を起こして表面が凸凹になるという問題がある。また、ポリ乳酸のガラス転移温度は60℃程度である。一般的に、熱可塑性樹脂は、結晶化していない、または結晶化度が小さい状態で熱ロールによって繊維のガラス転移温度以上に加熱されると、繊維が熱ロールに貼り付いてしまう現象が生じる。これらの問題を解決するために、原料であるポリ乳酸に結晶核剤(造核剤)を添加することで樹脂の結晶化度を高くする手法を採用し得るが、生分解性不織布の分解後に結晶核剤が残ってしまうという別の問題が生じてしまう。また、不織布の原料樹脂に結晶核剤を含有させると、紡糸工程において繊維を強く引くことが難しく繊維径が大きくなってしまう。不織布は、繊維径が大きくなると硬くなって肌当たりが悪くなってしまう。肌当たりの悪い不織布は、吸収性物品やマスクの材料としては適さない。
そこで、本願発明者達は、ポリ乳酸は結晶化度が高いと耐熱性が高くなるため、ポリ乳酸の結晶化度を高め、ポリ乳酸の繊維が熱ロールに貼り付かないようにする条件を見いだした。そして、本願発明者達は、ポリ乳酸の繊維径が15μm以下になると結晶化度が高くなり、繊維が熱ロールへ貼り付かなくなるという傾向を見出した(実験例1)。すなわ
ち、本願発明者達は、熱可塑性樹脂の繊維は繊維径が細くなると結晶化度が高くなることを見出した。ポリプロピレンに比べて結晶化速度が遅いポリ乳酸は、ポリプロピレンを原料とする不織布の製造条件では、紡糸工程後にポリ乳酸の繊維がアモルファスの状態でコンベアに乗ってしまうものと考えられ、この状態でポリ乳酸の繊維が熱ロールによってポリ乳酸のカラス転移温度(60℃)程度に加熱されることで、繊維が熱ロールに貼り付くものと考えられる。
また、本願発明者達は、ポリプロピレンは紡糸工程で口金からの繊維の吐出量を多くすると繊維径が大きくなるが、ポリ乳酸は紡糸工程で口金からの繊維の吐出量を多くしても繊維径がほぼ変わらないことを見出した(実験例2)。言い換えると、ポリ乳酸は紡糸工程で口金からの繊維の吐出量が変化しても紡糸できる限界まで細繊化した繊維径はほぼ同じである。
また、本願発明者達は、ポリ乳酸は、繊維を引っ張るほど繊維が細くなるという傾向があることを見出した(実験例3)。なお、実験例3はイジェクタ圧を変更すること行われる。
また、本願発明者達は、ポリプロピレンとポリ乳酸とでは、完成後の繊維径が同じであっても繊維の吐出量が大きいと引っ張り量が多くなり、結晶化度が高くなる傾向があることを見出した(実験例4)。これは、繊維の吐出量が大きくなると結晶化度が高くなるということである。
図3は、不織布の製造条件に関する表である。図3の表では、12の各製造条件に1~12の番号を付している。「No.」の欄の各数字は、各製造条件に付した番号を示して
いる。「原料」の欄の「+核剤」は、結晶核剤がポリ乳酸に添加されていることを表している。「吐出量(g/min・孔)」の欄の各数値は、図6に示す紡糸口金23からの毎分あたりの繊維の吐出量を示している。「インジェクタ圧(Mpa)」の欄の各数値は、図6に示すインジェクタ40の圧力を示している。「直径(μm)」の欄の各数値は、紡糸工程後の繊維直径(繊維径)を示している。なお、製造条件のNo.7においては、紡
糸工程後において繊維が切れてしまう現象(糸切れ)が生じたので、繊維直径を測定していない。「結晶化度」の欄の各数値は、紡糸工程後の繊維の結晶化度を示している。なお、製造条件のNo.7においては、紡糸工程後において繊維が切れてしまう現象(糸切れ
)が生じたので、結晶化度を測定していない。「熱ロール温度(℃)」の欄の数値(145℃)は、融着工程における熱ロールの表面温度を示している。「貼り付き現象」の欄は、繊維が熱ロールに貼り付く現象が生じたか否かを表している。
上記の実験例1の一例となる製造条件は、「直径」および「貼り付き現象」の欄に示す数値である。各製造条件の「直径」および「貼り付き現象」の欄に示す通り、ポリ乳酸の繊維径が15μm以下になると結晶化度が35%以上となり、貼り付き現象が生じなかった。一方、ポリ乳酸の繊維径が15μmより大きくなると、結晶化度が35未満となり、貼り付き現象が生じた。例えば、No.1、10、11の「直径」および「貼り付き現象
」の欄に示す通りである。
上記の実験例2の一例となる製造条件は、「吐出量」および「直径」の欄に示す数値である。各製造条件の「吐出量」および「直径」の欄に示す通り、ポリ乳酸は紡糸工程で口金からの繊維の吐出量を多くしたことを原因として繊維径は変化しなかった。例えば、No.9、10の「吐出量」および「直径」の欄に示す通りである。
上記の実験例3の一例となる製造条件は、「インジェクタ圧」および「直径」の欄に示す数値である。各製造条件の「インジェクタ圧」および「直径」の欄に示す通り、ポリ乳
酸は繊維を引っ張るほど繊維が細くなる。例えば、No.9、10の「インジェクタ圧」
および「直径」の欄に示す通りである。
上記の実験例4の一例となる製造条件は、「インジェクタ圧」および「結晶化度」の欄に示す数値である。各製造条件の「インジェクタ圧」および「結晶化度」の欄に示す通り、引っ張り量が多くなるほど結晶化度が高くなる。例えば、No.2、3の「インジェク
タ圧」および「結晶化度」の欄に示す通りである。
なお、図3の表に示すように、ポリ乳酸の繊維径を15μm以下にすることで、ポリ乳酸の樹脂の結晶化度を35%以上とすることができる。なお、繊維径が15μmより大きい場合であっても結晶核剤をポリ乳酸に添加することで、結晶化度を35%以上にできる。ポリ乳酸の樹脂の結晶化度を35%以上にすることで、融着工程において、ポリ乳酸の繊維が熱収縮を起こすのを抑制できる。
また、本願発明者達は、ポリ乳酸の繊維の吐出量が大きくなると繊維径を小さくすることができるため、ポリ乳酸樹脂の結晶化度が高くなることを見出した。吐出量を大きくすると、分子が高配向となるため、ポリ乳酸樹脂の結晶化度が高くなると推定される。そこで、本願発明者達は、繊維の延伸速度を調整することによってポリ乳酸の結晶化度を高められることを見出した。吐出量が大きくなると、繊維径が同一でも繊維速度(糸速度)が速くなり、繊維の延伸時間が短くなる。紡糸工程において、繊維速度が速くなることによって口金からイジェクタを糸が通過する時間が短くなる。また、同じドローダウン率(延伸倍率、イジェクタでの糸速度/口金での糸速度)で繊維を引っ張る速度は同じであっても、延伸速度が速くなる。しかしながら、実際には紡糸工程で繊維がどのような速度推移をたどるかを計測することは困難であるため、計算で算出できる最初と最後の糸の速度の平均から便宜上の平均速度を算出する。
ここで、図4を参照しつつ、紡糸工程における繊維の便宜上の平均速度の算出方法について説明する。図4は、紡糸工程における繊維速度を表すグラフである。図4の横軸は、繊維の位置を表す。図4のグラフでは、原点を口金位置とし、インジェクタ(図6に示すインジェクタ40)までの繊維の位置を横軸で表している。図4の縦軸は、繊維速度を表している。なお、口金での繊維速度をV1とし、インジェクタでの繊維速度をV2とする。また、図4の線L1は相対的に繊維の吐出量が小さい場合の繊維速度の推移を表し、図4の線L2は相対的に繊維の吐出量が大きい場合の繊維速度の推移を表している。実際には、繊維速度は線L1,L2のように曲線的に推移するが、各位置での繊維速度を計測することが困難であるため、V1とV2の速度を足し合わせたものを2で割る以下(1)式によって便宜上の平均速度が算出される。なお、図4のグラフにおいて、V1、V2は、線L2で表す、相対的に繊維の吐出量が大きい場合の繊維速度を表している。
(数1)
平均速度=(V1+V2)/2・・・(1)
また、繊維の通過時間は、以下の式(2)で算出される。
(数2)
通過時間=2L/(V1+V2)・・・(2)
そして、ドローダウン率(糸を引き延ばす割合、延伸倍率)は以下の式(3)で算出される。
(数3)
ドローダウン率=V2/V1・・・(3)
そして、延伸速度は、以下の式(4)で算出される。
(数4)
延伸速度=ドローダウン率/通過時間=V2/V1×(V1+V2)/2L・・・(4)
この延伸速度(1/min)をパラメータとする。本実施形態では、紡糸工程において、ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸速度を180000/min以上とした。
また、繊維径が同じであれば、ドローダウン率は繊維の吐出量に依らない。なお、ドローダウン率は、イジェクタによって繊維がどのくらい引き延ばされたかの指標である。また、ポリ乳酸の繊維の吐出量が大きいほど繊維径が小さくなり、ポリ乳酸の結晶化度が高くなって繊維の熱安定性や強度が高くなる。なお、上述の通り、ポリ乳酸樹脂は、短時間で延伸した方が延伸工程で分子配向が進み、結晶化度が高くなる。
本実施形態では、上述の条件でポリ乳酸を原料とする繊維層を製造することで、樹脂の結晶化度を高くし、この繊維層を熱ロールで加熱しても繊維が熱ロールに貼り付くのを防止することができる。よって、本実施形態によれば、原料にポリ乳酸を用いた不織布実現できる。
なお、本実施形態では、原料のポリ乳酸に結晶核剤が添加されない。結果として、本実施形態に係る不織布は、結晶核剤を含有しない。これにより、本実施形態に係る不織布は、自然界で分解された後に結晶核剤を残すことがない。また、原料樹脂が結晶核剤を含有すると、紡糸工程において当該樹脂を強く引っ張ることができなくなってしまい、繊維が太くなる。また、結晶核剤を使用する分、不織布の製造コストも増大してしまう。しかしながら、本実施形態に係る不織布は、結晶核剤を含有しないため、これらの問題が生じない。なお、本実施形態に係る不織布は、結晶促進剤を含有しない。本実施形態に係る不織布の製造方法では、ポリ乳酸に結晶促進剤を添加しなくてもよい。
次に、図5に基づいて、本実施形態に係る不織布の製造方法について説明する。図5は、本実施形態に係る不織布の製造方法に関するフローチャートである。まず、本実施形態に係る製造方法では、溶融したポリ乳酸樹脂を口金から鉛直下方に吐出し、気流により樹脂を鉛直下方に引っ張ることで繊維状とする(ステップS101、本願でいう「紡糸工程」の一例)。この紡糸工程において、繊維径が15μmm以下とされる。ステップS101の次のステップS102では、繊維がコンベア上に堆積されて搬送される。ステップS102の次のステップS103では、3層に積層した繊維を熱ロールに通して繊維同士を融着させる(本願でいう、「融着工程」の一例)。
次に、図6に基づいて、本実施形態に係る不織布の製造方法および製造装置について説明する。図6は、本実施形態に係る不織布を製造する不織布製造装置Mを示す図である。図6において、不織布製造装置Mは、3組の噴出装置(繊維噴付装置)10を備えており、それぞれの噴出装置10(10A、10B、10C)は、紡糸装置20、冷風装置30およびインジェクタ40を備えて構築されている。不織布製造装置Mは、噴出装置10A、10B、10Cを備えることによって3層の不織布Cを製造することができる。
不織布製造装置Mは、噴出装置10と共に、捕集コンベア(シート搬送装置)50、エンボス加工装置60、およびワインダ70が各種工程を実行可能に直列的に配置されている。その噴出装置10A、10B、10Cは捕集コンベア50上部の搬送面に対して搬送方向に直列的に配置されている。不織布製造装置Mは、図6の紙面に向かう方向をCD方向(幅方向)にする不織布Cを連続的に製造するように構築されており、紡糸する繊維(フィラメント)をシート状にして捕集しつつエンボス加工を施すことによって繊維間を適宜に接合する、所謂、スパンボンド製法により不織布Cを製造する。
紡糸装置20は、押出機21と、紡糸口金23とを備えて構成されている。押出機21は、ホッパ22に供給される原料樹脂R(R1、R2、R3)を溶融しながら、螺旋状のローター21rの回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金23へと送り出す。紡糸口金
23は、所望の繊維状の構造を形成しつつ吐出するように構成された複数の複合紡糸ノズル(不図示)を有し、押出機21からの溶融物を複数のフィラメント(繊維)fの束(以下、「フィラメント集合体」という)Fとして重力方向に紡出(排出)する。原料樹脂Rは、原料樹脂Rとしては、上述の通りポリ乳酸系の樹脂が採用される。
冷風装置30は、対向位置に配置されるオープン型の一対の送風機31、32を備えている。この冷風装置30は、紡糸装置20から排出されて上方から下方に向かって通過するフィラメント集合体Fに送風機31、32のそれぞれから冷却エアーAcを吹き付けて冷却する。ここで、冷風装置30は、一方の送風機31をメインとして利用可能に大型タイプを設置して、対面する他方の送風機32をサブとして補助的に利用可能に小型タイプが選択されて設置されている。オープン型の不織布製造装置Mでは、冷風装置30による冷却の際に不織布製造装置Mの外部からの空気が流入可能である。
インジェクタ40(本願でいう、「延伸装置」の一例)は、紡糸方向である上方から下方に向かってボディ41内を通過するように降下するフィラメント集合体Fに駆動流体として下方に向かう高圧エアーを吹き付けることにより、そのボディ41の入り口側に低圧領域を発生させる構造を備えている。このインジェクタ40は、降下するフィラメント集合体Fをボディ41の入り口側の低圧領域に引き込むように牽引しつつ、そのボディ41内でも高圧エアーにより下方に牽引することで、冷風装置30を経由して上方から下方の紡糸方向に降下するフィラメント集合体Fを延伸させる。なお、紡糸装置20の紡糸口金23からポリ乳酸樹脂が吐出され、フィラメント集合体が捕集コンベア上に堆積される前までが、図5に示すステップS101の工程(紡糸工程)である。
捕集コンベア50は、メインコンベア51と、サブコンベア52、53と、吸引ボックス(吸引手段)54と、を備えて構築されている。メインコンベア51は、フィラメント集合体Fの幅よりも広めに形成されて表裏に通気可能な網状の捕集ベルト151がローラ151r群に巻き掛けられて周回駆動するように設置されている。サブコンベア52、53も、フィラメント集合体Fの幅よりも広めに形成されて表裏に通気可能な網状の捕集ベルト152、153がローラ152r群やローラ群153rのそれぞれに巻き掛けられて逆向きに周回駆動するように設置されている。
捕集ベルト151は、噴出装置10A、10B、10Cの下方の噴付箇所に上面151aが確実に位置する長さを有してローラ151r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Faを受け取りつつ移送することによって布状(シート状)に捕集するようになっている。すなわち、捕集ベルト151は、上面151aの周回移動方向(移送方向)の上流側端部(先頭)から下流側端部(最後尾)に向かって周回駆動することにより、シート状のフィラメント集合体Faを捕集可能な十分な面積を有して捕集面および搬送面として機能する。なお、フィラメント集合体Faは、不織布Cにおいて図2に示す下層側の繊維層C1となる。
捕集ベルト152は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の中間に位置する噴出装置10Bの下方の噴付箇所に上面152aが位置してローラ152r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Fbを受け取りつつ移送することによってシート状に捕集するようになっている。また、捕集ベルト153は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の下流側端部(最後尾)に位置する噴出装置10Cの下方の噴付箇所に上面153aが位置してローラ153r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Fcを受け取りつつ移送することによってシート状に捕集するようになっている。なお、フィラメント集合体Fbは、不織布Cにおいて図2に示す中間の繊維層C1となる。
これら捕集ベルト152、153は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の上流側端部(先頭)に位置する噴出装置10Aの下方から下流側に外れた位置に設置されており、その上面151aと噴出装置10B、10Cとの間に位置して逆転方向に周回駆動することによって、それぞれの上面152a、153aがシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを捕集する捕集面および搬送面として機能する。そして、これら捕集ベルト152、153は、捕集ベルト151の上面(上部)151aに対面する下部との間にシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを剥がれてめくれてしまうことなく挟み込むように周回駆動して下流側への搬送を補助するように機能する。
吸引ボックス54は、メインコンベア51の捕集ベルト151内に収容されて、それぞれ減圧室として機能する吸引チャンバ154a、154a-2、154b、154b-2、154c、154c-2に区画されている。これら吸引チャンバ154a~154c-2は、上部側を吸引するように不図示の吸引口が配置されて、それぞれ個別に駆動可能な吸引ファン155a~155c-2が吸引可能に接続されている。
吸引チャンバ154a、154b、154cは、それぞれ噴出装置10A、10B、10Cのインジェクタ40下方に位置するように設置されており、吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、これら吸引チャンバ154a、154b、154cの下流側に位置するように設置されている。
吸引チャンバ154aは、噴出装置10Aのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155aが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
吸引チャンバ154a-2は、その吸引チャンバ154aの下流側に隣接して、後述するように、噴出装置10Bの下方に位置する吸引チャンバ154bとの間のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155a-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154aにより上面151a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Faは、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて上面151a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。この後に、そのフィラメント集合体Faは、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154aから隣接する吸引チャンバ154a-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
吸引チャンバ154bは、噴出装置10Bのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155bが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下からサブコンベア52の捕集ベルト152の上方を吸引する。
吸引チャンバ154b-2は、その吸引チャンバ154bの下流側に隣接して、後述するように、噴出装置10Cの下方に位置する吸引チャンバ154cとの間のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155b-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faは、上述の吸引チャンバ154a、154a-2に続けて、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154b、154b-2により上面151a上にシート状のまま吸引保持されて移
送される。
また、噴出装置10Bの紡糸するフィラメント集合体Fbは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154bにより上面151a上のサブコンベア52の捕集ベルト152の上面152a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Fbは、捕集ベルト152が長さ方向に周回移動するのに連れて上面152a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。
ところで、サブコンベア52の捕集ベルト152は、メインコンベア51の捕集ベルト151に対して逆向きに周回回転することから、その捕集ベルト152の上面152aが逆方向に移動した後に上下が反転されてメインコンベア51の捕集ベルト151の上面151aに対面して同一方向に移動することになる。このため、噴出装置10Bの紡糸するフィラメント集合体Fbは、サブコンベア52の捕集ベルト152の上面152a上でシート状に捕集保持されて移送された後に、メインコンベア51の捕集ベルト151の上面151a上のシート状のフィラメント集合体Faに重なるように合わされて、そのメインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154bによりシート状のまま吸引保持されて移送される。
このことから、噴出装置10Bの下方でシート状に捕集保持されて重ねられるフィラメント集合体Fab(Fa、Fb)は、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154bから隣接する吸引チャンバ154b-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
吸引チャンバ154cは、噴出装置10Cのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155cが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下からサブコンベア53の捕集ベルト153の上方を吸引する。
吸引チャンバ154c-2は、その吸引チャンバ154cの下流側に隣接して、後述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151の端部手前の直下に位置するように設置されており、吸引ファン155c-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10A、10Bの紡糸するフィラメント集合体Fabは、上述の吸引チャンバ154a~154b-2に続けて、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154c、154c-2により上面151a上に重なるシート状のまま吸引保持されて移送される。
また、噴出装置10Cの紡糸するフィラメント集合体Fcは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154cにより上面151a上のサブコンベア53の捕集ベルト153の上面153a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Fcは、捕集ベルト153が長さ方向に周回移動するのに連れて上面153a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。なお、フィラメント集合体Fcは、不織布Cにおいて図2に示す上層側の繊維層C1となる。
ところで、サブコンベア53の捕集ベルト153も、メインコンベア51の捕集ベルト151に対して逆向きに周回回転することから、その捕集ベルト153の上面153aが逆方向に移動した後に上下を反転されてメインコンベア51の捕集ベルト151の上面151aに対面して同一方向に移動することになる。このため、噴出装置10Cの紡糸するフィラメント集合体Fcは、サブコンベア53の捕集ベルト153の上面153a上でシ
ート状に捕集保持されて移送された後に、メインコンベア51の捕集ベルト151の上面151a上のシート状のフィラメント集合体Fabにさらに重なるように合わされて、そのメインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154cによりシート状のまま吸引保持されて移送される。
このことから、噴出装置10Cの下方でシート状に捕集保持されて重ねられるフィラメント集合体Fabc(Fa、Fb、Fc)は、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154cから隣接する吸引チャンバ154c-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
要するに、捕集コンベア50は、捕集ベルト151~153の上面151a~153a上に噴出装置10A、10B、10Cの紡糸するフィラメント集合体Fa、Fb、Fcを吸引ボックス54によって所定厚さのシート状に吸引捕集しつつ保持した後に重ねることによってエンボス加工前のフィラメント集合体Fabc(不織布C)にして下流に搬送すしエンボス加工装置60に受け渡すようになっている。なお、フィラメント集合体が捕集コンベア上に堆積されて搬送される工程が、図5に示すステップS102の工程である。
エンボス加工装置60は、一対のエンボスロール(熱ロール)61、62を備えており、その円筒状の外周面61a、62a同士を圧接させて相対回転する。このエンボス加工装置60は、下側のエンボスロール61の滑らかな円筒外周面61aに、上側のエンボスロール62の円筒外周面62aに規則的あるいは不規則に配列された不図示のエンボス突起を所望の圧接力で押し付ける。
これにより、エンボス加工装置60は、エンボスロール61、62(熱ロールの一例)間に挟み込むフィラメント集合体Fabcを相対回転方向に送り出すとともに、そのエンボス突起の形成位置に対応する複数のエンボス加工箇所でフィラメントf同士を交絡させつつ圧搾接合させるエンボス加工を施して、そのシート状の形態を維持する不織布Cに加工する。なお、エンボスロール62の円筒外周面62aに形成するエンボス突起は、エンボスロール61の円筒外周面61a側に形成してもよく、あるいは、これらの双方の円筒外周面61a、62aに形成するようにしてよく、さらに、凸形状に限らず、凹形状に形成して、相手側円筒面に、例えば、連続するリブ形状を押し付けて圧搾接合させるようにしてもよい。なお、エンボス加工装置60によるフィラメント集合体Fabcフィラメント集合体のエンボス加工が、図5に示すステップS103の工程(融着工程)である。なお、エンボスロール61、62の表面温度は、好ましくは、120℃以上であるとよい。エンボスロール61、62の表面温度を120℃以上とすることで、離型剤をエンボスロール61、62に塗らなくても、繊維のエンボスロール61、62への貼り付きを防止できる。
ワインダ70は、フィラメント集合体Fabcのフィラメントf同士がエンボス加工装置60により交絡接合された不織布Cを、弛まないように張力を調整しつつ受け取って、その不織布Cを連続的に皺なく所望の巻き硬さでロール状に巻き取る。
これにより、ワインダ70は、フィラメント集合体Fabcがシート状にされてロール状に巻かれている所望の長さの不織布Cを、次の加工工程などに供給可能に準備することができる。
そして、本実施形態の捕集コンベア50は、上述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151下に設置されている吸引ボックス54の吸引チャンバ154a~154c-2が噴出装置10A~10Cのインジェクタ40毎に対応するように区画されて設置されており、その個々に接続されている吸引ファン155a~155c-2もその吸引チャ
ンバ154a~154c-2の区画範囲(領域)や必要な吸引圧力に応じた風速(風量)で吸引するように設定されている。ここで、吸引チャンバ154a~154c-2の吸引する区画範囲や吸引圧力は、適宜に設定すればよい。
具体的には、吸引チャンバ154aは、サブコンベアが介在することなく、メインコンベア51の捕集ベルト151直上の噴出装置10Aのインジェクタ40の出口から牽引降下されてくるフィラメント集合体Faを、その捕集ベルト151下から吸引してシート状に捕集し保持する。
この吸引チャンバ154aは、降下するフィラメント集合体Faを安定して保持可能な吸引圧力Paが、その移送方向の噴き付け領域程度の狭い範囲の捕集ベルト151の搬送面下で発生するように区画されており、その区画範囲内が吸引ファン155aにより吸引されて負圧にされる。
吸引チャンバ154b、154cは、それぞれ、サブコンベア52、53の捕集ベルト152、153直上の噴出装置10B、10Cのインジェクタ40の出口から牽引降下されてくるフィラメント集合体Fb、Fcを、そのサブコンベア52、53を介して捕集ベルト151下から吸引してシート状に捕集して保持する。これらサブコンベア52、53は、それぞれ、捕集ベルト152、153上に捕集保持するシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを下部の捕集ベルト151との間に挟み込むようにしてフィラメント集合体Fab、Fabcとして下流へと送り出す。
これら吸引チャンバ154b、154cは、降下するフィラメント集合体Fb、Fcを安定して保持可能な吸引圧力Pb、Pcを捕集ベルト152、153の搬送面下で発生するように吸引ファン155b、155cが駆動して負圧にされる。なお、これら吸引チャンバ154b、154cも、吸引チャンバ154aと同様に、降下するフィラメント集合体Fb、Fcの移送方向の噴き付け領域程度の狭い区画範囲で所望の吸引圧力Pb、Pcが発生するように、吸引ファン155b、155cにより吸引されて負圧にされる。同時に、これら吸引チャンバ154b、154cは、捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fab、Fabcを介在させてサブコンベア52、53の捕集ベルト152、153上を吸引することになる。このため、これら吸引チャンバ154b、154cは、捕集ベルト152、153上で最適な吸引圧力Pb、Pcが発生するように、捕集ベルト151下の移送方向の吸引範囲を調整して吸引容積を増減させてもよく、また、捕集ベルト152、153内も、同様に、吸引範囲を調整可能に区画等してもよい。
これにより、吸引チャンバ154b、154cは、吸引チャンバ154aと同様に、メインコンベア51の捕集ベルト151を介してシート状のフィラメント集合体Faから増量されたフィラメント集合体Fab、Fabcと続けて吸引保持することができる。
吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、吸引チャンバ154a、154b、154cの下流側でメインコンベア51の捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcを連続吸引して保持する。
これら吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcをそのまま続けて吸引保持する吸引圧力Pa-2、Pb-2、Pc-2を発生されるように吸引ファン155a-2が駆動して負圧にされる。なお、吸引チャンバ154a-2、154b-2は、吸引チャンバ154a、154b、154cの間に介在して隙間なく吸引するように連続していることから、その噴出装置10毎の離隔する捕集位置を繋げるように広めの区画範囲を吸引するように設置されている。また、吸引チャンバ154c-2は、吸引チャンバ1
54cから受け取るシート状フィラメント集合体Fabcを下流側に隣接するエンボス加工装置60へと受け渡すだけであることから短めの区画範囲を吸引するように設置されている。
これにより、吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、メインコンベア51の捕集ベルト151を介して上面151a上に位置するシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcを、吸引チャンバ154a、154b、154cに続けて吸引保持することができる。このとき、メインコンベア51の捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fabは、それぞれ、吸引チャンバ154a-2、154b-2により吸引保持されているので、浮き上がることなく、サブコンベア52、53の捕集ベルト152、153の間に挟み込まれる。また、このシート状フィラメント集合体Fa、Fabは、その捕集ベルト152、153で捕集保持されて上下反転されてくるシート状フィラメント集合体Fb、Fcが重ねられてシート状フィラメント集合体Fab、Fabcにされて吸引保持されつつ下流へと移送される。
捕集コンベア50は、上述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151上に、シート状フィラメント集合体Fを捕集して保持するのに十分な吸引圧力Pを吸引ボックス54の吸引チャンバ154a~154c-2毎に発生させるように、個々の吸引ファン155a~155c-2が必要な風速で吸引するように設定されている。なお、下記で説明する吸引チャンバ154a~154c-2毎のフィラメント集合体Fの捕集面(搬送面)における吸引圧力Pの相対関係(強弱)は、吸引ファン155a~155c-2の接続箇所から捕集面までの離隔空間に応じた風速値を算出して代用することによって説明する。
例えば、吸引ボックス54は、捕集コンベア50における噴出装置10A、10B、10Cによるフィラメント集合体Fの噴付箇所に位置する吸引チャンバ154a、154b、154cの吸引圧力Pa、Pb、Pcが個々の下流側に位置する吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2の吸引圧力Pa-2、Pb-2、Pc-2よりも大きくなるように調整されている。また、このうちのフィラメント集合体Fの移送方向における先頭側の吸引チャンバ154a、154a-2の吸引圧力Ps(Pa、Pa-2)と、中間の吸引チャンバ154b、154b-2の吸引圧力Pm(Pb、Pb-2)と、最後尾側の吸引チャンバ154c、154c-2の吸引圧力Pe(Pc、Pc-2)とでは、上流側と下流側との双方が吸引保持されていることから中間位置の吸引圧力Pmは先頭側吸引圧力Psと最後尾側吸引圧力Peとのそれぞれよりも小さく抑えるように(Ps>PmかつPe>Pm)調整することができる。また、それぞれの吸引圧力Pa、Pb、Pcとしては、吸引チャンバ154a、154b、154c内を減圧し過ぎて捕集ベルト151のスムーズな相対移動を妨げてしまわないように搬送面上のフィラメント集合体Fの目付け量に応じて調整している。
詳細には、吸引チャンバ154aは、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faをシート状に捕集保持するメインコンベア51の捕集ベルト151における吸引圧力Paとして、例えば、ワインダ70でロール状に巻き取る半製品の目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa=7.5に設定される。この吸引圧力(風速)Paとしては、フィラメント集合体Faを吸引してシート状への捕集保持を開始する箇所であることから、その目付け量にかかわらず、捕集ベルト151の上面151aに吸着させるよう強めの値に設定されている。
吸引チャンバ154a-2は、吸引チャンバ154aに続けて、同様に、吸引圧力Pa-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa-2=3.8に設定される。ここで、この吸引圧力(風速)Pa-2としては、吸引圧力Paと同様に、フィラメント集合体Faの目付け量(秤量)にかかわらず、シート状に吸
引保持される形状を維持する程度でよく、そのままメインコンベア51とサブコンベア52の捕集ベルト151、152の間に挟み込まれることから、吸引圧力Paの半分程度の低めに抑えられている。
吸引チャンバ154bは、吸引圧力Pbとして、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pb=6.0に設定される。この吸引圧力(風速)Pbとしては、吸引圧力Paと同様に、フィラメント集合体Fbをサブコンベア52の捕集ベルト152上でシート状に捕集形成することから、その目付け量にかかわらず、強めの値に設定されるが、メインコンベア51の捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fabを介在させつつ吸引することから、その捕集ベルト151の移動を制限しないように低めに抑えられている。
吸引チャンバ154b-2は、吸引チャンバ154bに続けて、吸引圧力Pb-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa=3.2に設定される。ここで、この吸引圧力(風速)Pb-2としては、吸引圧力Pbと同様に、フィラメント集合体Fb、Fabの目付け量(秤量)にかかわらず、シート状に吸引保持されている形状を維持する程度でよく、そのままメインコンベア51とサブコンベア53の捕集ベルト151、153の間に挟み込まれることから、極低めの値に抑えられるとともに、確実に吸引保持して捕集ベルト151、153の間に進入させるように目付け量の少ないフィラメント集合体Fの方が強く吸引するように設定されている。なお、このサブコンベア53下のメインコンベア51の捕集ベルト151上には、捕集ベルト153で捕集保持するシート状フィラメント集合体Fcがシート状フィラメント集合体Fabに重ねた状態で挟み込まれつつ吸引保持されて下流へと移送される。
吸引チャンバ154cは、吸引圧力Pcとして、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合にPa=7.4に設定される。この吸引圧力(風速)Pcとしては、吸引圧力Pa、Pbと同様に、フィラメント集合体Fcをサブコンベア53の捕集ベルト153上で捕集形成することから、その目付け量にかかわらず、強めの値に設定されるが、メインコンベア51の捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fabcを介在させつつ吸引することから、その捕集ベルト151の移動を制限しないように低めに抑えられている。
吸引チャンバ154c-2は、吸引チャンバ154cに続けて、吸引圧力Pb-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合にPa=3.2~3.8に設定される。この吸引圧力(風速)Pc-2としては、サブコンベア53下から搬出されるフィラメント集合体Fabcをメインコンベア51の捕集ベルト151で確実に吸引保持してエンボス加工装置60に受け渡すように、その目付け量に応じて吸引圧力Paよりも低めに設定されている。
また、不織布製造装置Mにおいて、捕集ベルト151、152、153のライン速度は、40m/min以上である。また、噴出装置10A、10B、10Cの繊維の吐出量は、0.5/min/hole(0.5/min・hole)以下である。また、フィラメント集合体Fa、Fb、Fc(維層C1)は、紡糸速度が10~150m/sで作成される。また、この条件で作成された不織布Cにおいて、繊維層C1における繊維径は15μm以下である。なお、紡糸速度は、噴出装置10A、10B、10Cの噴射圧によって調整可能である。
以上説明した製造方法によって、ポリ乳酸系の樹脂を原料とした不織布を製造することができる。なお、原材料はポリ乳酸であるが、不織布にはポリ乳酸以外のモノマーが本発明の効果を損なわない範囲内で混在していてもよい。また、乳酸には、光学異性体である
L-乳酸とD-乳酸が存在するが、本実施形態における原料には、L-乳酸のポリマーであるポリ乳酸が用いられる。原料に用いるポリ乳酸において、D-乳酸の割合は、1%以下であることが望ましい。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した種々の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。なお、上記実施形態では、スパンボンド不織布を例として挙げたが本発明はこれに限られない。例えば、本発明は、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布にも適用可能である。
C・・不織布
C1・・繊維層
M・・不織布作製装置
10、10A、10B、10C・・噴出装置
20・・紡糸装置
30・・冷風装置
40・・インジェクタ
50・・捕集コンベア
51・・メインコンベア
52、53・・サブコンベア
54・・吸引ボックス
60・・エンボス加工装置
70・・ワインダ
141、142・・案内板
151、152、153・・捕集ベルト
154a、154b、154c・・吸引チャンバ
162・・調整ローラ
f・・フィラメント
fr・・回転径
F、Fa、Fab、Fabc、Fb、Fc・・フィラメント集合体
Lc・・交差間隔
Ld・・開放間隔
Lr・・退避間隔
P、Pa、Pb、Pc、Pe、Pm、Ps・・吸引圧力(風速)

Claims (5)

  1. ポリ乳酸系を原料とする不織布製造方法であって、
    溶融したポリ乳酸系樹脂を口金から吐出し、気流により前記ポリ乳酸系樹脂を延伸することで繊維状とする紡糸工程と、
    前記ポリ乳酸系樹脂の繊維を熱ロールに通して繊維同士を融着させる融着工程と、
    を含み、
    前記紡糸工程において、前記ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸速度は、180000/min以上である、
    不織布製造方法。
  2. 前記ポリ乳酸系樹脂には、結晶核剤および結晶促進剤を添加しない、
    請求項1に記載の不織布製造方法。
  3. 前記紡糸工程において、前記口金からの前記ポリ乳酸系樹脂の吐出量は、0.5g/m
    in/hole以下である、
    請求項1または2に記載の不織布製造方法。
  4. 前記紡糸工程において、前記口金と前記ポリ乳酸系樹脂を延伸する延伸装置の間において冷却風によって、前記ポリ乳酸系樹脂は冷却される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の不織布製造方法。
  5. 前記紡糸工程において、外部からの空気が流入可能である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の不織布製造方法。
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