JP2023060757A - 樹脂組成物、感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、カラーフィルターおよび画像表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた保存安定性および現像性を有し、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好な感光性樹脂組成物、それに含有される優れた保存安定性を有する樹脂組成物の提供。【解決手段】樹脂と溶剤とを含み、樹脂が、官能基含有樹脂前駆体の有する官能基の一部に、官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物が付加した樹脂であり、官能基含有樹脂前駆体が式(1)(R1は水素原子又はメチル基。R2~R4のうち2つがアルコキシ基、残る1つが水素原子またはアルキル基。またはR2~R4のうち1つがアルコキシ基、残る2つが水素原子またはアルキル基。nは1~10の整数。)で表される構成単位および前記官能基を有する構成単位を含有し、溶剤は第一級及び第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含む樹脂組成物とする。TIFF2023060757000012.tif42170【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、カラーフィルターおよび画像表示素子に関する。
従来、ディスプレイなどの画像表示素子として、カラーフィルターが備えられているものがある。カラーフィルターは、通常、基板上で樹脂組成物を200℃超の温度でベーキングして硬化させる方法を用いて形成されている。
近年、ディスプレイのフレキシブル化、ウェアラブル化に伴って、基板材料において、ガラスから樹脂などの有機系素材への切り替えが進められている。また、より一層、高輝度および高コントラストの画像表示素子を実現するために、カラーフィルターに使用する着色剤において、顔料から、染料、蛍光化合物、量子ドット等の材料への切り替えが進められている。
近年、ディスプレイのフレキシブル化、ウェアラブル化に伴って、基板材料において、ガラスから樹脂などの有機系素材への切り替えが進められている。また、より一層、高輝度および高コントラストの画像表示素子を実現するために、カラーフィルターに使用する着色剤において、顔料から、染料、蛍光化合物、量子ドット等の材料への切り替えが進められている。
従来、カラーフィルターの材料として使用される樹脂組成物として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、光硬化性化合物(A)、結合剤樹脂(B)、光開始剤(D)、および溶剤(E)を含み、光硬化性化合物(A)は、カルボキシ基含有ジペンタエリスリトールペンタアクリレートであり、結合剤樹脂(B)は、主鎖構造にテトラヒドロピラン構造又はテトラヒドロフラン構造のうちの1つ以上を含む着色光硬化性樹脂組成物が開示されている。
特許文献1には、光硬化性化合物(A)、結合剤樹脂(B)、光開始剤(D)、および溶剤(E)を含み、光硬化性化合物(A)は、カルボキシ基含有ジペンタエリスリトールペンタアクリレートであり、結合剤樹脂(B)は、主鎖構造にテトラヒドロピラン構造又はテトラヒドロフラン構造のうちの1つ以上を含む着色光硬化性樹脂組成物が開示されている。
基板材料として使用される有機系素材は、ガラスと比較して耐熱性に劣る。また、カラーフィルターの着色剤として使用される染料は、顔料と比較して耐熱性に劣る。これらのことから、カラーフィルターの材料として使用される樹脂組成物においては、硬化させるための加熱温度を低下させることが望まれている。具体的には、基板材料および着色剤の材料の耐熱性に合わせて、カラーフィルターの材料である樹脂組成物を硬化させるための加熱温度を80~150℃にすることが要求される場合がある。
しかしながら、従来の樹脂組成物は、硬化させるための加熱温度を低くすると、十分な硬度および耐溶剤性を有する硬化物が得られなかった。
硬度が不十分な硬化物からなるカラーフィルターは、傷付きやすい。このため、カラーフィルターを備える画像表示素子において、カラーフィルターの傷に起因する表示不良が生じる恐れがある。また、画像表示素子に備えられるカラーフィルターにおいては、色再現性を高めるために、カラーフィルターの材料として使用する樹脂組成物中における着色剤の含有量を多くする傾向がある。塗料は、顔料と比較して溶剤に対する溶解性が高い。このため、カラーフィルターの耐溶剤性が不十分であると、カラーフィルターに含まれる塗料が溶剤中に溶出して、カラーフィルターの色度が変化する恐れがあった。
硬度が不十分な硬化物からなるカラーフィルターは、傷付きやすい。このため、カラーフィルターを備える画像表示素子において、カラーフィルターの傷に起因する表示不良が生じる恐れがある。また、画像表示素子に備えられるカラーフィルターにおいては、色再現性を高めるために、カラーフィルターの材料として使用する樹脂組成物中における着色剤の含有量を多くする傾向がある。塗料は、顔料と比較して溶剤に対する溶解性が高い。このため、カラーフィルターの耐溶剤性が不十分であると、カラーフィルターに含まれる塗料が溶剤中に溶出して、カラーフィルターの色度が変化する恐れがあった。
さらに、カラーフィルターの材料として使用される樹脂組成物においては、十分な保存安定性および現像性を有することが要求されている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、優れた保存安定性および現像性を有し、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好な感光性樹脂組成物、上記感光性樹脂組成物に含有される優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター、このカラーフィルターを具備する画像表示素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター、このカラーフィルターを具備する画像表示素子を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 樹脂(A)と溶剤(D)とを含み、
前記樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)が付加した樹脂であり、
前記官能基含有樹脂前駆体(a)が、下記式(1)で表される構成単位(a-1)および前記官能基を有する構成単位(a-2)を含有し、
前記溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[1] 樹脂(A)と溶剤(D)とを含み、
前記樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)が付加した樹脂であり、
前記官能基含有樹脂前駆体(a)が、下記式(1)で表される構成単位(a-1)および前記官能基を有する構成単位(a-2)を含有し、
前記溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[2] 前記式(1)中、R2~R4のうち2つが各々独立して炭素原子数1~6のアルコキシ基であって、残る1つが炭素原子数1~6のアルキル基である[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記構成単位(a-2)の有する官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、酸無水物及びエポキシ基から選択される一種以上である[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記構成単位(a-2)の有する官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、酸無水物及びエポキシ基から選択される一種以上である[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有酸無水物、(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上である[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記構成単位(a-2)の官能基が、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選択される一種以上であり、
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートである[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記構成単位(a-2)の官能基が、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選択される一種以上であり、
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートである[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記構成単位(a-2)の官能基が、イソシアナト基であり、
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上である[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 前記樹脂(A)が、前記官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびカルボキシ基を有する化合物(ma-5)がさらに付加した樹脂である[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上である[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 前記樹脂(A)が、前記官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびカルボキシ基を有する化合物(ma-5)がさらに付加した樹脂である[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 前記第一級アルコール及び前記第二級アルコールの合計の含有量が、前記溶剤(D)100質量%に対して、10~95質量%である[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物と、
反応性希釈剤(B)と、
光重合開始剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物。
反応性希釈剤(B)と、
光重合開始剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物。
[10] 着色剤(E)をさらに含有する[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11] 前記溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、
前記樹脂(A)を10質量部~85質量部含有し、
前記反応性希釈剤(B)を10質量部~85質量部含有し、
前記光重合開始剤(C)を0.1質量部~30質量部含有し、
前記溶剤(D)を20質量部~1000質量部含有し、
前記着色剤を(E)4質量部~85質量部含有する、[10]に記載の感光性樹脂組成物。
[11] 前記溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、
前記樹脂(A)を10質量部~85質量部含有し、
前記反応性希釈剤(B)を10質量部~85質量部含有し、
前記光重合開始剤(C)を0.1質量部~30質量部含有し、
前記溶剤(D)を20質量部~1000質量部含有し、
前記着色剤を(E)4質量部~85質量部含有する、[10]に記載の感光性樹脂組成物。
[12] [9]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化膜。
[13] [10]または[11]に記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター。
[14] [13]に記載のカラーフィルターを具備する画像表示素子。
[13] [10]または[11]に記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター。
[14] [13]に記載のカラーフィルターを具備する画像表示素子。
本発明によれば、優れた保存安定性および現像性を有し、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好な感光性樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、本発明の感光性樹脂組成物の材料として感光性樹脂組成物に含有される優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター、このカラーフィルターを具備する画像表示素子を提供できる。
また、本発明によれば、本発明の感光性樹脂組成物の材料として感光性樹脂組成物に含有される優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター、このカラーフィルターを具備する画像表示素子を提供できる。
以下、本発明の樹脂組成物、感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、カラーフィルターおよび画像表示素子について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸及びアクリル酸から選択される少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートから選択される少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリロイル」は、メタクリロイル及びアクリロイルから選択される少なくとも1種を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸及びアクリル酸から選択される少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートから選択される少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリロイル」は、メタクリロイル及びアクリロイルから選択される少なくとも1種を意味する。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む。
〔樹脂(A)〕
本実施形態の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)(以下、「化合物(ma-4)」と略記する場合がある。)が付加した樹脂である。
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む。
〔樹脂(A)〕
本実施形態の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)(以下、「化合物(ma-4)」と略記する場合がある。)が付加した樹脂である。
官能基含有樹脂前駆体(a)は、下記式(1)で表される構成単位(a-1)(以下、「構成単位(a-1)」と略記する場合がある。)および前記官能基を有する構成単位(a-2)(以下、「構成単位(a-2)」と略記する場合がある。)を含有する。官能基含有樹脂前駆体(a)は、必要に応じて、構成単位(a-1)(a-2)以外のその他の構成単位(a-3)(以下、「構成単位(a-3)」と略記する場合がある。)を含有していても良い。官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-1)、構成単位(a-2)、必要に応じて含有される構成単位(a-3)それぞれの繰り返し数および結合順序は特に限定されない。
〔構成単位(a-1)〕
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する構成単位(a-1)は、上記式(1)で表される。樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、官能基含有樹脂前駆体(a)がシリル基を有する構成単位(a-1)を含有していることにより、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好なものとなる。
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する構成単位(a-1)は、上記式(1)で表される。樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、官能基含有樹脂前駆体(a)がシリル基を有する構成単位(a-1)を含有していることにより、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好なものとなる。
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。R1は、原料の入手のしやすさから、メチル基が好ましい。
式(1)中、nは1~10の整数である。nは、原料の入手のしやすさから、1~4の整数であることが好ましく、3であることがより好ましい。
式(1)中、nは1~10の整数である。nは、原料の入手のしやすさから、1~4の整数であることが好ましく、3であることがより好ましい。
式(1)中、R2~R4のうち1つまたは2つが、炭素原子数1~6のアルコキシ基である。式(1)中、R2~R4のうち2つが各々独立して炭素原子数1~6のアルコキシ基である場合、残る1つは水素原子及び炭素原子数1~6のアルキル基から選択される一種である。また、R2~R4のうち1つが炭素原子数1~6のアルコキシ基である場合、残る2つは各々独立して水素原子及び炭素原子数1~6のアルキル基から選択される一種である。
式(1)中、R2~R4のうち1つまたは2つが、炭素原子数1~6のアルコキシ基である。このため、式(1)中のR2~R4のうち1つまたは2つが、樹脂(A)中の架橋点として機能する。その結果、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、十分な硬度および耐溶剤性を有する硬化膜を形成できる。構成単位(a-1)は、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物が、より優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できるものとなるため、式(1)中のR2~R4のうち2つが各々独立して、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。式(1)中のR2~R4のうち2つが、炭素原子数1~6のアルコキシ基である場合、官能基含有樹脂前駆体(a)の製造が容易であるため、2つの炭素原子数1~6のアルコキシ基は同じであることが好ましい。
R2~R4のうち1つまたは2つである炭素原子数1~6のアルコキシ基は、炭素原子数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であることがより好ましく、エトキシ基であることが更に好ましい。樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、優れた現像性が得られるためである。また、炭素原子数1~6のアルコキシ基がエトキシ基である場合、メトキシ基である場合と比較して、経時変化しにくく保存安定性に優れた樹脂(A)となる。
また、式(1)中、R2~R4のうち1つまたは2つが、水素原子及び炭素原子数1~6のアルキル基から選択される一種であり、R2~R4のうち少なくとも1つが炭素原子数1~6のアルキル基であることが好ましい。この場合、炭素原子数1~6のアルキル基に代えて水素原子を有する場合と比較して、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物が、より優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できるものとなるためである。式(1)中のR2~R4のうち2つが、炭素原子数1~6のアルキル基である場合、官能基含有樹脂前駆体(a)の製造が容易であるため、2つの炭素原子数1~6のアルキル基は同じであることが好ましい。
R2~R4のうち1つまたは2つが炭素原子数1~6のアルキル基である場合のアルキル基は、炭素原子数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、優れた現像性が得られるためである。
構成単位(a-1)は、式(1)中のR2~R4のうち2つが各々独立して、炭素原子数1~6のアルコキシ基であって、残る1つが炭素原子数1~6のアルキル基であることが好ましい。この場合、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物が、より優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できるものとなる。また、R2~R4の全てが炭素原子数1~6のアルコキシ基である場合と比較して、樹脂(A)を含む樹脂組成物、およびこれを原料として用いた感光性樹脂組成物の保存安定性が良好となる。
式(1)で表される構成単位(a-1)の具体例としては、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン由来の構成単位(式(1)中、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がメチル基であり、R3及びR4がメトキシ基であり、nが3である)、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルエチルジメトキシシラン由来の構成単位(式(1)中、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がエチル基であり、R3及びR4がメトキシ基であり、nが3である)、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン由来の構成単位(式(1)中、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がメチル基であり、R3及びR4がエトキシ基であり、nが3である)、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルエチルジエトキシシラン由来の構成単位(式(1)中、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がエチル基であり、R3及びR4がエトキシ基であり、nが3である)等が挙げられる。
これらの中でも、材料入手のし易さ及び官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点から、構成単位(a-1)としては、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン由来の構成単位及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン由来の構成単位が好ましい。
官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
構成単位(a-1)の含有量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中、2~80モル%であることが好ましく、5~70モル%であることがより好ましく、5~60モル%であることがさらに好ましい。構成単位(a-1)の含有量が2モル%以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好なものとなる。構成単位(a-1)の含有量が80モル%以下であると、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中の官能基を有する構成単位(a-2)の含有量を十分に確保できる。したがって、化合物(ma-4)が十分に付加された樹脂(A)とすることができる。化合物(ma-4)に由来するエチレン性不飽和基量を十分に有する樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より良好な耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。
〔官能基を有する構成単位(a-2)〕
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する構成単位(a-2)は、ケイ素を含まず、官能基含有樹脂前駆体(a)中の官能基を有する。官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する構成単位(a-2)は、ケイ素を含まず、官能基含有樹脂前駆体(a)中の官能基を有する。官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂(A)を含む樹脂組成物では、官能基含有樹脂前駆体(a)が構成単位(a-2)を含有していることにより、官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部に、エチレン性不飽和基量を有する化合物(ma-4)が付加されている。本実施形態の樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を含むため、硬度及び耐溶剤性の良好な樹脂硬化膜を形成できる。
構成単位(a-2)の有する官能基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、酸無水物及びエポキシ基から選択される一種以上であることが好ましく、特に、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選択される一種以上を含むことが好ましい。
構成単位(a-2)の有する官能基がカルボキシ基を含む場合、官能基含有樹脂前駆体(a)の有するカルボキシ基と、化合物(ma-4)の有している構成単位(a-2)の官能基と反応性を有する基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-4)を付加させることにより、エチレン性不飽和基量を有する樹脂(A)とすることができる。しかも、官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-2)の有するカルボキシ基のうち、化合物(ma-4)が付加せずに残存しているカルボキシ基は、本実施形態の樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物に現像性を付与できる。
構成単位(a-2)の有する官能基がカルボキシ基を含む場合、官能基含有樹脂前駆体(a)の有するカルボキシ基と、化合物(ma-4)の有している構成単位(a-2)の官能基と反応性を有する基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-4)を付加させることにより、エチレン性不飽和基量を有する樹脂(A)とすることができる。しかも、官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-2)の有するカルボキシ基のうち、化合物(ma-4)が付加せずに残存しているカルボキシ基は、本実施形態の樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物に現像性を付与できる。
構成単位(a-2)は、官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)に由来する構成単位であることが好ましい。官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)は、ケイ素を含まず、官能基とエチレン性不飽和基とを有する化合物であればよく、特に限定されない。
官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)としては、例えば、カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)、ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-22)、イソシアナト基含有エチレン性不飽和化合物(ma-23)、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-24)、エチレン性不飽和基含有酸無水物(ma-25)が挙げられる。
官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)としては、例えば、カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)、ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-22)、イソシアナト基含有エチレン性不飽和化合物(ma-23)、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-24)、エチレン性不飽和基含有酸無水物(ma-25)が挙げられる。
カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニルスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る際の反応性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-22)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る際の反応性の観点から、ヒドロキシ基をアルキル基末端に有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアナト基含有エチレン性不飽和化合物(ma-23)としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る際の反応性の観点から、イソシアナト基をアルキル基末端に有するイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-24)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートおよびそのラクトン付加物、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物、並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る際の反応性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
エチレン性不飽和基含有酸無水物(ma-25)としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エチルマレイン酸、無水メチルイタコン酸、無水クロルマレイン酸、無水シトラコン酸、2-ノルボネン-5,6-ジカルボン酸無水物、4-[2-(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル]無水フタル酸等が挙げられる。
構成単位(a-2)の含有量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中、10~98モル%であることが好ましく、30~95モル%であることがより好ましく、40~95モル%であることがさらに好ましい。構成単位(a-2)の含有量が10モル%以上であると、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基に、化合物(ma-4)を十分に付加させることにより、エチレン性不飽和基量を十分に有する樹脂(A)とすることができる。化合物(ma-4)が十分に付加された樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、耐溶剤性の良好な樹脂硬化膜を形成できる。構成単位(a-2)の含有量が98モル%以下であると、構成単位(a-1)の含有量を十分に確保できる。
構成単位(a-2)が、カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)に由来する構成単位を含む場合、その含有量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中、5~70モル%であることが好ましく、10~60モル%であることがより好ましく、20~50モル%であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)に由来する構成単位の含有量が5モル%以上であると、構成単位(a-2)の有する官能基がカルボキシ基を含むことによる効果が十分に得られる。また、カルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)に由来する構成単位の含有量が70モル%以下であると、現像時間の調整のしやすさから好ましい。
〔その他の構成単位(a-3)〕
官能基含有樹脂前駆体(a)は、必要に応じて、構成単位(a-1)(a-2)以外のその他の構成単位(a-3)を含有していても良い。構成単位(a-3)は、上記式(1)で表される基および官能基を含まない。官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-3)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)は、必要に応じて、構成単位(a-1)(a-2)以外のその他の構成単位(a-3)を含有していても良い。構成単位(a-3)は、上記式(1)で表される基および官能基を含まない。官能基含有樹脂前駆体(a)に含まれる構成単位(a-3)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
構成単位(a-3)は、重合することにより構成単位(a-1)または構成単位(a-2)となる化合物以外の、その他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)に由来する構成単位であることが好ましい。
その他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)としては、例えば、ブタジエン等のジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、スチレン類、不飽和ジカルボン酸ジエステル、その他のビニル化合物類が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)としては、例えば、ブタジエン等のジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、スチレン類、不飽和ジカルボン酸ジエステル、その他のビニル化合物類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリルレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ロジン(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、5-メチルノルボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,1,1-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ナフタレン(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ヘキサメチルピペリジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートの有するイソシアナト基を、ブロック剤を用いてブロック化したブロックイソシアナト基を有する化合物を用いてもよい。イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、構成単位(a-2)となる化合物である上述したイソシアナト基含有エチレン性不飽和化合物(ma-23)として例示したものが挙げられる。
上記のイソシアナト基のブロック化に用いられるブロック剤の具体例としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、オキシ安息香酸エステル、チモール、p-ナフトール、p-ニトロフェノール、p-クロロフェノール等のフェノール系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素系;N-フェニルカルバミン酸フェニル、2-オキサゾリドン等のカルバミド酸塩系;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩系が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミド類の具体例としては、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジ-イソプロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルモルフォリン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、スチレンのα-、o-、m-、p-アルキル、ニトロ、シアノ、アミド誘導体が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
その他のビニル化合物類の具体例としては、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-9-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-4-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ-4-エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ-3-エン、(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、ビニルトルエン等が挙げられる。
これらの中でも、その他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)としては、入手のし易さ及び官能基含有樹脂前駆体(a)を合成する際の反応性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル類、その他のビニル化合物類が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン及びノルボルネンが好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、スチレン、及びビニルトルエンがより好ましい。
官能基含有樹脂前駆体(a)が構成単位(a-3)を含有する場合、その含有量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中、1~50モル%であることが好ましく、3~40モル%であることがより好ましく、5~30モル%であることがさらに好ましい。構成単位(a-3)の含有量が1モル%以上であると、構成単位(a-3)を含むことによる効果が十分に得られる。また、構成単位(a-3)の含有量が50モル%以下であると、構成単位(a-1)および構成単位(a-2)の含有量を十分に確保できる。
〔化合物(ma-4)〕
化合物(ma-4)は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する。官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部に付加されている化合物(ma-4)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、化合物(ma-4)が付加していることによってエチレン性不飽和基が導入されたものであるため、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。
化合物(ma-4)は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する。官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部に付加されている化合物(ma-4)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、化合物(ma-4)が付加していることによってエチレン性不飽和基が導入されたものであるため、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。
化合物(ma-4)の有するエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。化合物(ma-4)の有するエチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。しかも、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、優れた現像性が得られる。
エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル基である化合物(ma-4)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有酸無水物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物としては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したカルボキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-21)として例示した化合物などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物としては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-22)として例示したヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物としては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-22)として例示したヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとしては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したイソシアナト基含有エチレン性不飽和化合物(ma-23)として例示したイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物としては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-24)として例示したエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物としては、構成単位(a-2)となる化合物である上述したエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物(ma-24)として例示したエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有酸無水物としては、例えば、4-[2-(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル]無水フタル酸が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物としては、例えば、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物としては、例えば、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
官能基含有樹脂前駆体(a)に付加されている化合物(ma-4)の付加量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位100モルに対して、1~40モルであることが好ましく、5~30モルであることがより好ましく、6~25モルであることがさらに好ましい。化合物(ma-4)の付加量が1モル以上であると、化合物(ma-4)が十分に付加されていることによりエチレン性不飽和基を十分に有する樹脂(A)となる。よって、樹脂(A)を含む樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物は、優れた硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できるものとなる。化合物(ma-4)の付加量が40モル以下であると、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る反応の後に、未反応の化合物(ma-4)が残存することを抑制できる。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して得た樹脂(A)を含む樹脂組成物の保存安定性が良好となる。
官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基に対する化合物(ma-4)の付加率、言い換えると官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中の構成単位(a-2)の含有量に対する化合物(ma-4)の割合は、1~80モル%であることが好ましく、5~70モル%であることがより好ましく、10~60モル%であることがさらに好ましい。化合物(ma-4)の付加率が1モル%以上であると、化合物(ma-4)が十分に付加されていることによりエチレン性不飽和基量を十分に有する樹脂(A)となる。化合物(ma-4)の付加率が80モル%以下であると、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)が付加された樹脂(A)を得る反応の後に、未反応の化合物(ma-4)が残存することを抑制できる。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して得た樹脂(A)を含む樹脂組成物の保存安定性が良好となるとともに、樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物からなる樹脂硬化膜を得る際に発生するアウトガス等を抑制できる。
〔化合物(ma-5)〕
官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部には、必要に応じて、化合物(ma-5)が付加されていても良い。化合物(ma-5)は、エチレン性不飽和基を有さず、官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基と反応性を有する基およびカルボキシ基を有する。化合物(ma-5)の有するカルボキシ基は、本実施形態の樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物に現像性を付与できる。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)がカルボキシ基を有さない場合、すなわち構成単位(a-2)の有する官能基がカルボキシ基を含まない場合には、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-5)が付加されていることが好ましい。官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部に付加されている化合物(ma-5)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部には、必要に応じて、化合物(ma-5)が付加されていても良い。化合物(ma-5)は、エチレン性不飽和基を有さず、官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基と反応性を有する基およびカルボキシ基を有する。化合物(ma-5)の有するカルボキシ基は、本実施形態の樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物に現像性を付与できる。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)がカルボキシ基を有さない場合、すなわち構成単位(a-2)の有する官能基がカルボキシ基を含まない場合には、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-5)が付加されていることが好ましい。官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基の一部に付加されている化合物(ma-5)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
化合物(ma-5)の有する官能基と反応性を有する基としては、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。
化合物(ma-5)の具体例としては、3-ヒドロキシプロピオン酸、アラニン、グリシン、4-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ安息香酸等が挙げられる。
化合物(ma-5)の具体例としては、3-ヒドロキシプロピオン酸、アラニン、グリシン、4-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ安息香酸等が挙げられる。
官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-5)が付加している場合、その付加量は、官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位100モルに対して、1~50モルであることが好ましく、5~40モルであることがより好ましく、10~30モルであることがさらに好ましい。化合物(ma-5)の付加量が1モル以上であると、化合物(ma-5)が十分に付加されていることによって、カルボキシ基を十分に有する樹脂(A)となる。よって、樹脂(A)を含有する樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物に十分な現像性を付与できる。化合物(ma-5)の含有量が50モル以下であると、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-5)が付加された樹脂(A)を得るための反応において、未反応の化合物(ma-5)が残存することを抑制できる。その結果、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して得た樹脂(A)を含む樹脂組成物が、未反応の化合物(ma-5)を含有していることによる影響を抑制でき、保存安定性が良好となる。また、化合物(ma-5)の付加量が50モル以下であると、樹脂(A)中の化合物(ma-5)が付加していない官能基含有樹脂前駆体(a)の割合を十分に確保できる。このため、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。
官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-5)が付加している場合、官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基に対する化合物(ma-4)と化合物(ma-5)の合計の付加率、言い換えると官能基含有樹脂前駆体(a)の全構成単位中の構成単位(a-2)の含有量に対する化合物(ma-4)と化合物(ma-5)の合計の割合は、2~90モル%であることが好ましく、10~85モル%であることがより好ましく、20~85モル%であることがさらに好ましい。化合物(ma-4)と化合物(ma-5)の合計の付加率が2モル%以上であると、化合物(ma-4)および化合物(ma-5)が付加されていることによる効果が十分に得られる樹脂(A)となる。化合物(ma-4)と化合物(ma-5)の合計の付加率が90モル%以下であると、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して化合物(ma-4)および化合物(ma-5)が付加された樹脂(A)を得る反応の後に、未反応の化合物(ma-4)および/または化合物(ma-5)が残存することを抑制できる。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)を変性して得た樹脂(A)を含む樹脂組成物の保存安定性が良好となるとともに、樹脂組成物を原料として用いた感光性樹脂組成物からなる樹脂硬化膜を得る際に発生するアウトガス等を抑制できる。
樹脂(A)としては、構成単位(a-2)の有する官能基と、化合物(ma-4)との組み合わせ(または構成単位(a-2)の有する官能基と化合物(ma-4)および化合物(ma-5)との組み合わせ)が、以下に示す<1>~<5>のいずれかの組み合わせであるものが特に好ましい。以下に示す<1>~<5>のいずれかの組み合わせであると、反応性の点で製造が容易であるため好ましい。
<1>構成単位(a-2)の有する官能基が、イソシアナト基であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物から選択される一種以上であり、さらに必要に応じて化合物(ma-5)が付加された樹脂(A)。<1>の組み合わせにおいては、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上であることがより好ましい。
<2>構成単位(a-2)の有する官能基が、ヒドロキシ基であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート、(メタ)アクリロイル基含有酸無水物、及び(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物から選択される一種以上である樹脂(A)。<2>の組み合わせにおいては、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートであることがより好ましい。
<3>構成単位(a-2)の有する官能基が、酸無水物であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物である樹脂(A)。
<3>構成単位(a-2)の有する官能基が、酸無水物であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物である樹脂(A)。
<4>構成単位(a-2)の有する官能基が、カルボキシ基であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物から選択される一種以上である樹脂(A)。<4>の組み合わせにおいては、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートであることがより好ましい。
<5>構成単位(a-2)の有する官能基が、エポキシ基であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物である樹脂であり、さらに必要に応じて化合物(ma-5)が付加した樹脂(A)。
<5>構成単位(a-2)の有する官能基が、エポキシ基であり、化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物である樹脂であり、さらに必要に応じて化合物(ma-5)が付加した樹脂(A)。
「重量平均分子量(Mw)」
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、1000~50000であることが好ましく、2000~30000であることがより好ましく、3000~10000であることが最も好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が1000以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、現像後の樹脂硬化膜に欠けなどの不具合が生じにくい感光性樹脂組成物が得られる。樹脂(A)の重量平均分子量が50000以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、現像時間が十分に短く、実用性に優れるものとなる。
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、1000~50000であることが好ましく、2000~30000であることがより好ましく、3000~10000であることが最も好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が1000以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、現像後の樹脂硬化膜に欠けなどの不具合が生じにくい感光性樹脂組成物が得られる。樹脂(A)の重量平均分子量が50000以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、現像時間が十分に短く、実用性に優れるものとなる。
本実施形態における樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:ショウデックス(登録商標)LF-804+LF-804(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
試料:樹脂(A)の含有量が0.2質量%であるテトラヒドロフラン溶液
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(商品名:ショウデックス(登録商標)RI-71S、昭和電工株式会社製)
流速:1mL/分
カラム:ショウデックス(登録商標)LF-804+LF-804(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
試料:樹脂(A)の含有量が0.2質量%であるテトラヒドロフラン溶液
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(商品名:ショウデックス(登録商標)RI-71S、昭和電工株式会社製)
流速:1mL/分
樹脂(A)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.3~5.0であることが好ましく、1.5~4.0であることがより好ましく、1.5~3.0であることが最も好ましい。樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以上であると、重量平均分子量(Mw)、酸価などの目標数値範囲の最適化、および樹脂(A)を製造する際の反応条件等を、一定の幅をもって設定することができ、効率よく製造できる。樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、現像性などの性能にばらつきが生じることのない感光性樹脂組成物が得られる。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、上記GPC測定のクロマトグラムを用いて算出する。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、上記GPC測定のクロマトグラムを用いて算出する。
「酸価」
樹脂(A)の酸価は、特に限定されないが、好ましくは10KOHmg/g~300KOHmg/gであり、より好ましくは20KOHmg/g~200KOHmg/gであり、最も好ましくは25KOHmg/g~150KOHmg/gである。樹脂(A)の酸価が10KOHmg/g以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。樹脂(A)の酸価が300KOHmg/g以下であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、アルカリ現像液に対して露光部分(光硬化部分)が溶解することがなく、良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。
樹脂(A)の酸価は、特に限定されないが、好ましくは10KOHmg/g~300KOHmg/gであり、より好ましくは20KOHmg/g~200KOHmg/gであり、最も好ましくは25KOHmg/g~150KOHmg/gである。樹脂(A)の酸価が10KOHmg/g以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。樹脂(A)の酸価が300KOHmg/g以下であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、アルカリ現像液に対して露光部分(光硬化部分)が溶解することがなく、良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。
なお、樹脂(A)の酸価は、JIS K6901 5.3に従ってブロモチモールブルーとフェノールレッドとの混合指示薬を用いて測定された値である。樹脂(A)の酸価とは、樹脂(A)1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を意味する。
「シリル基当量」
樹脂(A)のシリル基当量は、特に限定されないが、好ましくは200g/mol~5000g/molであり、より好ましくは300g/mol~4000g/molであり、最も好ましくは300g/mol~3000g/molである。樹脂(A)のシリル基当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。また、樹脂(A)のシリル基当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。また、樹脂(A)のシリル基当量が5000g/mol以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。
樹脂(A)のシリル基当量は、特に限定されないが、好ましくは200g/mol~5000g/molであり、より好ましくは300g/mol~4000g/molであり、最も好ましくは300g/mol~3000g/molである。樹脂(A)のシリル基当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。また、樹脂(A)のシリル基当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。また、樹脂(A)のシリル基当量が5000g/mol以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。
なお、樹脂(A)のシリル基当量は、樹脂(A)の分子量を1分子当たりのシリル基の平均個数で割った値である。樹脂(A)のシリル基当量は、樹脂(A)を合成する際に原料として用いる重合性不飽和化合物(原料モノマー)と、化合物(ma-4)と、必要に応じて使用される化合物(ma-5)との仕込み量に基づいて算出される計算値である。1分子の樹脂(A)中に、異なる種類のシリル基が含まれている場合、シリル基の種類に関わらず、全てのシリル基をシリル基の個数としてカウントする。
「二重結合当量」
樹脂(A)の二重結合当量は、特に限定されないが、好ましくは200g/mol~5000g/molであり、より好ましくは300g/mol~4000g/molであり、最も好ましくは300g/mol~3000g/molである。樹脂(A)の二重結合当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。また、樹脂(A)の二重結合当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。また、樹脂(A)の二重結合当量が5000g/mol以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。
樹脂(A)の二重結合当量は、特に限定されないが、好ましくは200g/mol~5000g/molであり、より好ましくは300g/mol~4000g/molであり、最も好ましくは300g/mol~3000g/molである。樹脂(A)の二重結合当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。また、樹脂(A)の二重結合当量が200g/mol以上であると、樹脂(A)を含む樹脂組成物を感光性樹脂組成物の原料として用いた場合に、より良好な現像性を有する感光性樹脂組成物が得られる。また、樹脂(A)の二重結合当量が5000g/mol以下であると、樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物は、より優れた硬度を有する樹脂硬化膜を形成できる。
なお、樹脂(A)の二重結合当量は、樹脂(A)の分子量を1分子当たりの不飽和基の平均個数で割った値である。樹脂(A)の二重結合当量は、樹脂(A)を合成する際に原料として用いる重合性不飽和化合物(原料モノマー)と、化合物(ma-4)と、必要に応じて使用される化合物(ma-5)との仕込み量に基づいて算出される計算値である。1分子の樹脂(A)中に、異なる種類の不飽和基が含まれている場合、不飽和基の種類に関わらず、全ての不飽和基を不飽和基の個数としてカウントする。
<樹脂(A)の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)を製造するには、まず、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する。その後、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-4)を付加させることにより、樹脂(A)が得られる。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)を製造するには、まず、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する。その後、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-4)を付加させることにより、樹脂(A)が得られる。
(官能基含有樹脂前駆体(a)の製造)
官能基含有樹脂前駆体(a)は、例えば、以下に示す製造方法を用いて製造できる。すなわち、重合用溶剤の存在下で、下記式(2)で表される化合物(ma-1)と、官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)と、必要に応じて含有されるその他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)とからなる原料モノマーを、重合開始剤を用いて、当該技術分野において公知のラジカル重合方法にしたがって共重合させる。このことにより、官能基含有樹脂前駆体(a)が得られる。
官能基含有樹脂前駆体(a)は、例えば、以下に示す製造方法を用いて製造できる。すなわち、重合用溶剤の存在下で、下記式(2)で表される化合物(ma-1)と、官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)と、必要に応じて含有されるその他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)とからなる原料モノマーを、重合開始剤を用いて、当該技術分野において公知のラジカル重合方法にしたがって共重合させる。このことにより、官能基含有樹脂前駆体(a)が得られる。
具体的には、原料モノマーを重合用溶剤に溶解して原料モノマー溶液を調整した後、原料モノマー溶液に重合開始剤を添加し、例えば、50℃~130℃にて1時間~20時間で攪拌しながら共重合反応させる方法を用いることができる。
式(2)で表される化合物(ma-1)、官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)および必要に応じて用いられるその他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)としては、上述の各構成単位(a-1)~(a-3)の原料(由来)となる化合物として挙げたものをそれぞれ用いることができる。
式(2)で表される化合物(ma-1)、官能基含有エチレン性不飽和化合物(ma-2)および必要に応じて用いられるその他のエチレン性不飽和化合物(ma-3)としては、上述の各構成単位(a-1)~(a-3)の原料(由来)となる化合物として挙げたものをそれぞれ用いることができる。
(重合用溶剤)
官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤としては、原料モノマーの共重合反応に不活性な溶剤であればよく、特に限定されない。官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤は、樹脂組成物の含有している溶剤(D)に含まれる溶剤と同じものであってもよいし、溶剤(D)に含まれる溶剤と一部または全部が異なるものであってもよい。官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤が、樹脂組成物の含有している溶剤(D)に含まれる溶剤と一部または全部が同じである場合、共重合反応終了後の反応液から重合用溶媒を分離、除去することなく、溶剤(D)の一部として用いることができ、好ましい。
官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤としては、原料モノマーの共重合反応に不活性な溶剤であればよく、特に限定されない。官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤は、樹脂組成物の含有している溶剤(D)に含まれる溶剤と同じものであってもよいし、溶剤(D)に含まれる溶剤と一部または全部が異なるものであってもよい。官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤が、樹脂組成物の含有している溶剤(D)に含まれる溶剤と一部または全部が同じである場合、共重合反応終了後の反応液から重合用溶媒を分離、除去することなく、溶剤(D)の一部として用いることができ、好ましい。
官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤としては、後述する溶剤(D)が含有してもよいその他の溶剤として例示するものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、溶剤(D)に含まれる炭素原子数3~10の第一級アルコールおよび炭素原子数3~10の第二級アルコールとの相溶性が良好であり、かつ樹脂(A)の溶解性が良好であるため、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)の有する前記官能基と反応性を有する基との付加反応を阻害することから、重合用溶剤としてアルコールを使用しないことが好ましい。
官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いる重合用溶剤の使用量は、特に限定されないが、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは30質量部~1000質量部であり、より好ましくは50質量部~800質量部である。重合用溶剤の使用量が30質量部以上であると、原料モノマーの共重合反応を安定して行うことができ、官能基含有樹脂前駆体(a)の着色およびゲル化を防止できる。重合用溶剤の使用量が1000質量部以下であると、連鎖移動作用による官能基含有樹脂前駆体(a)の分子量の低下を抑制できるとともに、反応溶液の粘度を適切な範囲に制御できる。
(重合開始剤)
原料モノマーの共重合反応に用いることが可能な重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~20質量部であり、より好ましくは0.5質量部~16質量部である。
原料モノマーの共重合反応に用いることが可能な重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~20質量部であり、より好ましくは0.5質量部~16質量部である。
(化合物(ma-4)の付加反応(官能基含有樹脂前駆体(a)の変性反応))
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-4)を付加させる。このとき、必要に応じて、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-5)を付加させてもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)との付加反応、または官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)および化合物(ma-5)との付加反応は、常法に従って実施できる。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-4)を付加させる。このとき、必要に応じて、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に化合物(ma-5)を付加させてもよい。
官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)との付加反応、または官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)および化合物(ma-5)との付加反応は、常法に従って実施できる。
例えば、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液中に、化合物(ma-4)(または化合物(ma-4)および化合物(ma-5))を加えて付加反応させる方法を用いることができる。また、この付加反応(変性反応)においては、反応溶液中に官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合時に用いた重合用溶剤が含まれていても特に問題はない。このため、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合反応が終了した後の反応溶液から重合用溶剤を除去することなく、付加反応を実施できる。
官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-5)を付加する場合、化合物(ma-5)は、化合物(ma-4)と同時に反応溶液に加えてもよいし、化合物(ma-4)とは別に反応溶液に加えてもよい。すなわち、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と化合物(ma-5)との付加反応は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と化合物(ma-4)との付加反応の前に行ってもよいし、後に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
前記付加反応における反応温度は、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基と、化合物(ma-4)(または化合物(ma-4)および化合物(ma-5))の有する前記官能基と反応性を有する基の種類などに応じて、適宜検定できる。反応温度は、具体的には、30℃~150℃とすることが好ましく、50℃~120℃とすることがより好ましい。反応温度を30℃以上とすることにより、付加反応を十分に進行させることができる。また、反応温度を150℃以下とすることで、反応溶液のゲル化を抑制できるとともに、付加反応により生成した結合の分解を抑制できる。
(重合禁止剤)
前記付加反応を行う際には、付加反応を行うことによる反応溶液のゲル化を防止するために、必要に応じて、反応溶液に重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
前記付加反応を行う際には、付加反応を行うことによる反応溶液のゲル化を防止するために、必要に応じて、反応溶液に重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
(触媒)
前記付加反応を行う際には、必要に応じて、反応を促進するために、反応溶液に触媒を添加してもよい。触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミンのような第3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドのような第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィンのようなリン化合物、クロムのような金属キレート化合物、2-エチルヘキサン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)のようなスズ化合物等が挙げられる。
前記付加反応を行う際には、必要に応じて、反応を促進するために、反応溶液に触媒を添加してもよい。触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミンのような第3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドのような第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィンのようなリン化合物、クロムのような金属キレート化合物、2-エチルヘキサン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)のようなスズ化合物等が挙げられる。
[溶剤(D)]
本実施形態の樹脂組成物に含まれる溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含み、樹脂(A)に対して不活性であり、且つ樹脂(A)を溶解可能な溶剤であればよく、特に限定されない。
溶剤(D)中には、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
溶剤(D)中に官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤が含まれている場合、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合反応が終了した後の反応溶液から重合用溶剤を除去することなく、樹脂(A)を製造するための付加反応を実施し、付加反応が終了した後の反応溶液から重合用溶剤を分離、除去することなく、そのまま樹脂組成物の溶剤(D)の一部または全部として用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含み、樹脂(A)に対して不活性であり、且つ樹脂(A)を溶解可能な溶剤であればよく、特に限定されない。
溶剤(D)中には、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
溶剤(D)中に官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤が含まれている場合、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合反応が終了した後の反応溶液から重合用溶剤を除去することなく、樹脂(A)を製造するための付加反応を実施し、付加反応が終了した後の反応溶液から重合用溶剤を分離、除去することなく、そのまま樹脂組成物の溶剤(D)の一部または全部として用いることができる。
溶剤(D)中に官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤が含まれていない場合とは、樹脂組成物の原料として使用する樹脂(A)が、樹脂(A)を生成させた反応溶液から分離、除去したものである場合である。この場合、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤の種類および使用量に関わらず、樹脂(A)の種類、樹脂組成物の用途などに応じて溶剤(D)の種類および含有量を適宜選択できる。すなわち、樹脂(A)として、樹脂(A)を生成させた反応溶液から分離、除去したものを用いた場合、溶剤(D)として、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤と同じ種類のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含む。炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールは、例えば、第三級アルコールおよび非アルコールと比較して、水への溶媒和が強く、式(1)で示される構成単位(a-1)の有するアルコキシシリル基の加水分解反応を抑制できる。このため、アルコキシシリル基の加水分解反応によりシラノール基が生成し、シラノール基の自己縮合反応により樹脂(A)が高分子量化することを防止できる。したがって、溶剤(D)が上記第一級アルコールおよび/または第二級アルコールを含むことにより、これを含有する樹脂組成物は、保存安定性が良好なものとなる。溶剤(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤(D)に含まれる炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコール溶剤の例としては、例えば、モノアルコール類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
モノアルコール類の具体例としては、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、3-メトキシ-1-ブタノール等の第一級アルコール;ベンジルアルコール等の第二級アルコールが挙げられる。
モノアルコール類の具体例としては、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、3-メトキシ-1-ブタノール等の第一級アルコール;ベンジルアルコール等の第二級アルコールが挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる溶剤(D)は、樹脂組成物としての保存安定性の観点から、炭素原子数3~10の第一級アルコールを含むことが好ましく、入手のし易さ及び樹脂組成物としての保存安定性の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類が好ましく、3-メトキシ-1-ブタノールを含むことがより好ましい。
溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種の溶剤以外に、樹脂(A)を溶解可能な、その他の溶剤を含んでもよい。
その他の溶剤の具体例としては、tert-ブチルアルコール、ダイアセトンアルコール等の第三級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸i-アミル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸i-プロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソ酪酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド類等が挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数3~10の第一級アルコールおよび炭素原子数3~10の第二級アルコールとの相溶性が良好であり、かつ樹脂(A)の溶解性が良好であるため、その他の溶剤として、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
溶剤(D)中に含まれる、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールの合計の含有量は、溶剤(D)100質量%に対して、10質量%~95質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、20質量%~80質量%であることがさらに好ましい。炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールの合計の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物の保存安定性がより一層良好となる。
溶剤(D)中に含まれる、その他の溶剤の含有量は、溶剤(D)100質量%に対して、5質量%~90質量%であることが好ましく、10質量%~80質量%であることがより好ましく、20質量%~80質量%であることがさらに好ましい。溶剤(D)中に含まれる、その他の溶剤の含有量が上記範囲内であると、溶剤(D)中に含まれる、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される一種以上の含有量を確保できる。
本実施形態の樹脂組成物における溶剤(D)の含有量は、樹脂組成物中の溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは30質量部~1000質量部であり、より好ましくは50質量部~800質量部であり、最も好ましくは100質量部~700質量部である。溶剤(D)の含有量が、上記範囲内であると、樹脂組成物の粘度を適切な範囲に調整できる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記の成分に加えて、所定の特性を付与するために、レベリング剤、熱重合禁止剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。樹脂組成物に含まれる上記添加剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、上記の樹脂(A)と溶剤(D)とを公知の方法を用いて混合する方法により製造できる。溶剤(D)が、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤を含む場合、本実施形態の樹脂組成物は、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合反応を行った反応溶液を用いて、樹脂(A)を製造するために付加反応を実施することにより得られた、樹脂(A)を含む反応溶液であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、上記の樹脂(A)と溶剤(D)とを公知の方法を用いて混合する方法により製造できる。溶剤(D)が、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造する際に用いた重合用溶剤を含む場合、本実施形態の樹脂組成物は、官能基含有樹脂前駆体(a)を製造するための共重合反応を行った反応溶液を用いて、樹脂(A)を製造するために付加反応を実施することにより得られた、樹脂(A)を含む反応溶液であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、上記の樹脂(A)と溶剤(D)とを含み、樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に(ma-4)が付加したものである。このため、本実施形態の樹脂組成物は、優れた保存安定性を有する。
また、本実施形態の樹脂組成物は、低温硬化性が良好であり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる本実施形態の感光性樹脂組成物の材料として好適である。
また、本実施形態の樹脂組成物は、低温硬化性が良好であり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる本実施形態の感光性樹脂組成物の材料として好適である。
<感光性樹脂組成物>
次に、本実施形態の感光性樹脂組成物について、詳細に説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の樹脂(A)と溶剤(D)とを含む本実施形態の樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する。本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤(E)を含有しても良い。
次に、本実施形態の感光性樹脂組成物について、詳細に説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の樹脂(A)と溶剤(D)とを含む本実施形態の樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する。本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤(E)を含有しても良い。
本実施形態の感光性樹脂組成物中の樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部~85質量部であり、より好ましくは15質量部~75質量部であり、最も好ましくは25質量部~60質量部である。樹脂(A)の含有量が10質量部以上であると、現像性が良好であり、硬度および耐溶剤性の良好な樹脂硬化膜が得られる。樹脂(A)の含有量が85質量部以下であると光硬化性の良好な感光性樹脂組成物となる。
本実施形態の感光性樹脂組成物中の溶剤(D)の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは20質量部~1000質量部であり、より好ましくは30質量部~800質量部であり、最も好ましくは50質量部~700質量部である。溶剤(D)の含有量が、上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の粘度を適切な範囲に調整できる。
〔反応性希釈剤(B)〕
本実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる(B)反応希釈剤としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和基を有する低分子量化合物であればよく、特に限定されない。反応性希釈剤(B)の具体例としては、芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;単官能(メタ)アクリレート類;多官能(メタ)アクリレート類;トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる(B)反応希釈剤としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和基を有する低分子量化合物であればよく、特に限定されない。反応性希釈剤(B)の具体例としては、芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;単官能(メタ)アクリレート類;多官能(メタ)アクリレート類;トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
芳香族ビニル系モノマー類の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート類の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも反応性希釈剤(B)としては、光硬化性(反応性)の良好な感光性樹脂組成物が得られるため、多官能(メタ)アクリレート類が好ましく、特に、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、および/またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの反応性希釈剤(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの反応性希釈剤(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物における反応性希釈剤(B)の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部~85質量部であり、より好ましくは15質量部~75質量部であり、最も好ましくは25質量部~60質量部である。反応性希釈剤(B)の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の粘度および光硬化性がより適切になる。
[光重合開始剤(C)]
本実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(C)としては、光照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定されない。光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のアルキルフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;キサントン類等が挙げられる。これらの光重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(C)としては、光照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定されない。光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のアルキルフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;キサントン類等が挙げられる。これらの光重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物における光重合開始剤(C)の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~30質量部であり、より好ましくは0.3質量部~20質量部であり、最も好ましくは0.5質量部~15質量部である。光重合開始剤(C)の含有量が0.1質量部以上であると、感光性樹脂組成物が十分な光硬化性を有する。光重合開始剤(C)の含有量が30質量部以下であると、光重合開始剤(C)が感光性樹脂組成物の保存安定性および樹脂硬化膜の性能に悪影響を及ぼすことがない。
[着色剤(E)]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤(E)を更に含有してもよい。着色剤(E)としては、公知の染料および/または顔料を用いることができる。着色剤(E)として染料を用いる場合には、顔料を用いた場合に比べて、輝度の高い着色パターンを得ることができるとともに、良好なアルカリ現像性を示す感光性樹脂組成物となる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤(E)を更に含有してもよい。着色剤(E)としては、公知の染料および/または顔料を用いることができる。着色剤(E)として染料を用いる場合には、顔料を用いた場合に比べて、輝度の高い着色パターンを得ることができるとともに、良好なアルカリ現像性を示す感光性樹脂組成物となる。
染料としては、溶剤(D)およびアルカリ現像液に対する溶解性、感光性樹脂組成物中の他の成分との相互作用、耐熱性等の観点から、カルボキシ基等の酸性基を有する酸性染料、酸性染料の窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体等を用いることが好ましい。このような染料としては、例えば、VALIFAST BLUE 2620;acid alizarin violet N;acid black1、2、24、48;acid blue1、7、9、25、29、40、45、62、70、74、80、83、90、92、112、113、120、129、147;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green1、3、5、25、27、50;acid orange6、7、8、10、12、50、51、52、56、63、74、95;acid red1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、69、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、183、198、211、215、216、217、249、252、257、260、266、274;acid violet 6B、7、9、17、19;acid yellow1、3、9、11、17、23、25、29、34、36、42、54、72、73、76、79、98、99、111、112、114、116;food yellow3及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、アゾ系、キサンテン系、アントラキノン系又はフタロシアニン系の酸性染料が好ましい。これらの染料は、目的とする画素の色に応じて、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等の橙色顔料;C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36、58等の緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、25等の茶色顔料;C.I.ピグメントブラック1、7、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄等の黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、目的とする画素の色に応じて、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤(E)として、顔料を用いる場合、着色剤(E)の分散性を向上させる観点から、感光性樹脂組成物に公知の分散剤を配合してもよい。分散剤としては、経時の分散安定性に優れる高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性エステル系分散剤等が挙げられる。このような高分子分散剤としては、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成株式会社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)等の商品名で市販されているものを用いてもよい。分散剤の配合量は、着色剤(E)として使用する顔料などの種類および量に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物における着色剤(E)の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは4質量部~85質量部であり、より好ましくは9質量部~70質量部であり、最も好ましくは14質量部~49質量部である。着色剤(E)の含有量が4質量部以上であると、着色剤(E)を含有することによる効果が顕著となり、カラーフィルターの着色パターンの材料として好適な感光性樹脂組成物となる。着色剤(E)の含有量が85質量部以下であると、感光性樹脂組成物中の着色剤(E)が、感光性樹脂組成物の硬化性に支障を来すことがなく、低温硬化性の良好なものとなる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて含有される着色剤(E)に加えて、必要に応じて、レベリング剤、熱重合禁止剤、増感剤などの公知の添加剤を、1種または2種以上含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であればよく、特に限定されない。
さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物は、硬化性を高めるために、酸発生剤、塩基発生剤を含有していても良い。特に、潜在性の観点から、光酸発生剤、光塩基発生剤、熱酸発生剤、熱塩基発生剤を用いることが好ましく、保存安定性の観点から、光酸発生剤、光塩基発生剤がさらに好ましい。光酸発生剤の例としては、サンアプロ化学株式会社製の商品名CPI-200K、CPI-210S、CPI-310B、CPI-410S等のスルホニウム塩化合物、IK-1等のヨードニウム塩化合物等が挙げられる。光塩基発生剤の例としては、富士フイルム和光純薬株式会社製の商品名WPBG-266、WPBG-300、WPBG-345等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の粘度は、感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化膜の厚さに応じて適宜調整できる。例えば、樹脂硬化膜の厚さを1~4μmに調整する場合、感光性樹脂組成物の粘度は、1mP・s~25mP・sであることが好ましく、2mP・s~20mP・sであることがより好ましく、3mP・s~15mP・sであることが最も好ましい。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて含有される着色剤(E)および/または添加剤とを、公知の混合装置を用いて混合することによって製造できる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて含有される着色剤(E)および/または添加剤とを、公知の混合装置を用いて混合することによって製造できる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含むため、保存安定性が良好である。このため、本実施形態の感光性樹脂組成物は、塗布することにより、容易に厚みの均一な塗布膜を形成でき、これを硬化させることにより厚みの均一な樹脂硬化膜を容易に形成できる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、低温硬化性が良好であり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる。しかも、本実施形態の感光性樹脂組成物は、優れたアルカリ現像性を有しているので、アルカリ水溶液を用いて現像することにより、微細なパターンを形成できる。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、容易に厚みの均一な塗布膜を形成できるため、パターニングされた樹脂硬化膜を形成する場合に行われる現像工程において、パターン間の未露光部に残渣が残りにくい。したがって、最小現像寸法が10μm以下であっても、パターン間に残渣のない明瞭なパターン形状を有する樹脂硬化膜を形成できる。したがって、本実施形態の感光性樹脂組成物は、レジストとして好適に用いられる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物が、着色剤(E)を含有している場合、カラーフィルターの画素、ブラックマトリックスなどの着色パターンの材料として、好適に用いることができる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物が、着色剤(E)を含有している場合、カラーフィルターの画素、ブラックマトリックスなどの着色パターンの材料として、好適に用いることができる。
<樹脂硬化膜>
次に、本実施形態の樹脂硬化膜について、詳細に説明する。
本実施形態の樹脂硬化膜は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる。
本実施形態の樹脂硬化膜は、例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を、基材上に塗布し、塗布膜を形成する塗布工程と、塗布工程により形成した塗布膜を乾燥させるプリベーク工程と、乾燥させた塗布膜に光を照射して光硬化させる露光工程と、光硬化させた塗布膜を熱硬化させるポストベーク工程とを行う方法により形成できる。
次に、本実施形態の樹脂硬化膜について、詳細に説明する。
本実施形態の樹脂硬化膜は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる。
本実施形態の樹脂硬化膜は、例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を、基材上に塗布し、塗布膜を形成する塗布工程と、塗布工程により形成した塗布膜を乾燥させるプリベーク工程と、乾燥させた塗布膜に光を照射して光硬化させる露光工程と、光硬化させた塗布膜を熱硬化させるポストベーク工程とを行う方法により形成できる。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法により所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合には、例えば、以下に示す方法を用いることができる。すなわち、上述した塗布工程とプリベーク工程とを行う。その後、露光工程において、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、乾燥させた塗布膜に光を照射し、露光部分を光硬化させる。露光工程後、必要に応じて露光後加熱処理を行う。その後、塗布膜の未露光部分を、現像液を用いて溶解して現像する現像工程と、光硬化させた塗布膜を熱硬化させるポストベーク工程とを行う。
[塗布工程]
塗布工程では、基材上に本実施形態の感光性樹脂組成物を塗布し、塗布膜を形成する。本実施形態において、感光性樹脂組成物を塗布する基材としては、公知のものを用いることができ、樹脂硬化膜の用途に応じて適宜決定できる。
感光性樹脂組成物の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法等を用いることができる。
塗布工程では、基材上に本実施形態の感光性樹脂組成物を塗布し、塗布膜を形成する。本実施形態において、感光性樹脂組成物を塗布する基材としては、公知のものを用いることができ、樹脂硬化膜の用途に応じて適宜決定できる。
感光性樹脂組成物の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法等を用いることができる。
[プリベーク工程]
プリベーク(前加熱処理)工程では、塗布工程により形成した塗布膜を乾燥させて、塗布膜中の溶剤残存量を減少させる。プリベーク工程では、塗布膜の形成された基材を、例えば、50℃~120℃、好ましくは70℃~110℃の温度で、10秒間~600秒間、好ましくは120秒間~180秒間加熱する。プリベーク工程において、塗布膜の形成された基材を加熱する方法としては、例えば、ホットプレートを用いる方法などが挙げられる。
プリベーク(前加熱処理)工程では、塗布工程により形成した塗布膜を乾燥させて、塗布膜中の溶剤残存量を減少させる。プリベーク工程では、塗布膜の形成された基材を、例えば、50℃~120℃、好ましくは70℃~110℃の温度で、10秒間~600秒間、好ましくは120秒間~180秒間加熱する。プリベーク工程において、塗布膜の形成された基材を加熱する方法としては、例えば、ホットプレートを用いる方法などが挙げられる。
[露光工程]
露光工程では、プリベーク工程により乾燥させた塗布膜の表面に光を照射して、塗布膜を光硬化させる。光照射に用いられる光源としては、特に限定されないが、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。また、露光工程における露光量は、特に限定されず、感光性樹脂組成物の組成および塗布膜の厚さなどに応じて適宜設定できる。
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合には、露光工程において、プリベーク工程により乾燥させた塗布膜の表面に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して光を照射し、露光部分を光硬化させる。
露光工程では、プリベーク工程により乾燥させた塗布膜の表面に光を照射して、塗布膜を光硬化させる。光照射に用いられる光源としては、特に限定されないが、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。また、露光工程における露光量は、特に限定されず、感光性樹脂組成物の組成および塗布膜の厚さなどに応じて適宜設定できる。
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合には、露光工程において、プリベーク工程により乾燥させた塗布膜の表面に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して光を照射し、露光部分を光硬化させる。
[露光後加熱工程]
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合には、露光工程後に必要に応じて露光後加熱(Post Exposure Baking)工程を行う。この工程を行うことにより、塗布膜の露光部分と未露光部分との溶解コントラストがより顕著となる。露光後加熱工程は、後述するポストベーク工程とは異なり、塗布膜を完全に硬化させるものではない。露光後加熱工程は、現像工程を行うことにより、塗布膜の露光部分だけを基板上に残し、塗布膜の未露光部分をより確実に除去するために行う。したがって、本実施形態の樹脂硬化膜の形成方法における必須の工程ではない。
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合には、露光工程後に必要に応じて露光後加熱(Post Exposure Baking)工程を行う。この工程を行うことにより、塗布膜の露光部分と未露光部分との溶解コントラストがより顕著となる。露光後加熱工程は、後述するポストベーク工程とは異なり、塗布膜を完全に硬化させるものではない。露光後加熱工程は、現像工程を行うことにより、塗布膜の露光部分だけを基板上に残し、塗布膜の未露光部分をより確実に除去するために行う。したがって、本実施形態の樹脂硬化膜の形成方法における必須の工程ではない。
露光後加熱工程を行う場合、露光工程後の基材を、例えば、40℃~70℃で加熱することが好ましく、50℃~60℃で加熱することがより好ましい。加熱温度が40℃以上であると、露光後加熱工程を行うことによって、塗布膜の露光部分と未露光部分との溶解コントラストを向上させる効果が十分に得られる。加熱温度が70℃以下であると、露光部分に発生した酸が、未露光部分まで拡散することがなく、良好な溶解コントラストが得られる。露光後加熱工程における加熱時間は、20秒~600秒であることが好ましい。加熱時間が20秒以上であると、塗布膜全体の温度履歴を均一にすることができる。加熱時間が600秒以下であると、露光部分に発生した酸が、未露光部分まで拡散することがなく、良好な溶解コントラストが得られる。露光後加熱工程において露光工程後の基材を加熱する方法としては、例えば、ホットプレート、オーブン、又はファーネス等を使用できる。
[現像工程]
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合、露光工程後、必要に応じて露光後加熱工程を行った後、塗布膜の未露光部分を現像する現像工程を行う。現像工程において使用する現像液としては、従来、感光性樹脂組成物の現像に用いられている任意のアルカリ水溶液を用いることができる。
所定のパターンを有する樹脂硬化膜を形成する場合、露光工程後、必要に応じて露光後加熱工程を行った後、塗布膜の未露光部分を現像する現像工程を行う。現像工程において使用する現像液としては、従来、感光性樹脂組成物の現像に用いられている任意のアルカリ水溶液を用いることができる。
アルカリ水溶液としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液;エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン系化合物の水溶液;水酸化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩の水溶液;3-メチル-4-アミノ-N,N-ジエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-ヒドロキシエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩等のp-フェニレンジアミン系化合物の水溶液等が挙げられる。これらのアルカリ水溶液の中でも、p-フェニレンジアミン系化合物の水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ水溶液には、必要に応じて、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を1種または2種以上添加してもよい。
現像工程における現像温度、現像時間などの現像条件は、感光性樹脂組成物の組成、現像液の組成、塗布膜の厚みなどに応じて適宜決定できる。
現像工程においては、上記のアルカリ水溶液を用いて塗布膜の未露光部分を溶解して現像した後、水洗して乾燥させることが好ましい。
現像工程における現像温度、現像時間などの現像条件は、感光性樹脂組成物の組成、現像液の組成、塗布膜の厚みなどに応じて適宜決定できる。
現像工程においては、上記のアルカリ水溶液を用いて塗布膜の未露光部分を溶解して現像した後、水洗して乾燥させることが好ましい。
[ポストベーク工程]
本実施形態では、現像工程後、光硬化させた塗布膜を熱硬化させて樹脂硬化膜を形成するポストベーク工程を行う。ポストベーク工程における加熱温度および加熱時間は、特に限定されず、感光性樹脂組成物の組成、塗布膜の厚さ、基板の材質などに応じて適宜設定できる。
本実施形態では、現像工程後、光硬化させた塗布膜を熱硬化させて樹脂硬化膜を形成するポストベーク工程を行う。ポストベーク工程における加熱温度および加熱時間は、特に限定されず、感光性樹脂組成物の組成、塗布膜の厚さ、基板の材質などに応じて適宜設定できる。
ポストベーク工程における加熱温度は、例えば、50℃~210℃とすることができる。加熱温度が210℃以下であると、カラーフィルターの材料として耐熱性の低い材料を使用できる。加熱温度は、例えば、樹脂硬化膜を形成する基材として樹脂基板を用いてカラーフィルターの着色パターンを形成する場合には、150℃以下としてもよく、120℃以下であってもよいし、100℃以下であってもよい。加熱温度を150℃以下にすると、従来着色パターンの材料として使用しにくかった耐熱性の劣る着色剤(E)を含む着色パターンを、着色剤(E)の劣化を抑制しつつ形成できる。また、加熱温度を150℃以下とした場合、従来カラーフィルターの基板として使用し難かった耐熱性の劣る基板上に、着色パターンを形成できる。また、加熱温度を150℃以下とした場合、塗布膜を硬化させるために必要なエネルギー量が少ないものとなり、好ましい。
ポストベーク工程における加熱温度が50℃以上であると、樹脂(A)および反応性希釈剤(B)が十分に架橋するため、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜が得られる。また、加熱温度が50℃以上であると、ポストベーク工程における加熱時間が短時間で済み、効率よく樹脂硬化膜を形成できる。ポストベーク工程における加熱温度は、より好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上である。
ポストベーク工程における加熱時間は、加熱温度、塗布膜の厚さ、感光性樹脂組成物の組成などに応じて適宜選択することができ、例えば、10分~4時間とすることができ、好ましくは20分~2時間である。
本実施形態の樹脂硬化膜は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる。このため、十分な硬度および耐溶剤性を有する。また、本実施形態の樹脂硬化膜は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む感光性樹脂組成物の硬化物からなるものであるため、樹脂硬化膜がパターニングされたパターン形状を有する場合、最小現像寸法が10μm以下であってもパターン間に残渣のない明瞭なものとなる。これは、溶剤(D)によって、感光性樹脂組成物中の式(1)で示される構成単位(a-1)の有するアルコキシシリル基の加水分解反応が抑制され、アルコキシシリル基の加水分解反応により生成したシラノール基の自己縮合反応による樹脂(A)の高分子量化が抑制されるためである。高分子量化した樹脂(A)は、感光性樹脂組成物からなる塗布膜の厚みの均一性を低下させて、現像後のパターン間の未露光部に残渣が残る原因となる。
本実施形態の樹脂硬化膜は、カラーフィルター上部などに設けられる保護膜、タッチパネルの電極間に設けられる絶縁膜、薄膜トランジスタ(TFT)の層間絶縁膜などの各種絶縁膜の材料として、好適に用いることができる。
本実施形態の樹脂硬化膜は、カラーフィルター上部などに設けられる保護膜、タッチパネルの電極間に設けられる絶縁膜、薄膜トランジスタ(TFT)の層間絶縁膜などの各種絶縁膜の材料として、好適に用いることができる。
<カラーフィルター>
次に、本実施形態のカラーフィルターについて、詳細に説明する。
図1は、本実施形態のカラーフィルターの一例を示した概略断面図である。図1に示すカラーフィルターは、基材1と、基材1の一方の面1a上に形成されたRGBの画素2と、各画素2の境界にそれぞれ形成されたブラックマトリックス3と、画素2上及びブラックマトリックス3上に形成された保護膜4とを備える。
次に、本実施形態のカラーフィルターについて、詳細に説明する。
図1は、本実施形態のカラーフィルターの一例を示した概略断面図である。図1に示すカラーフィルターは、基材1と、基材1の一方の面1a上に形成されたRGBの画素2と、各画素2の境界にそれぞれ形成されたブラックマトリックス3と、画素2上及びブラックマトリックス3上に形成された保護膜4とを備える。
図1に示すカラーフィルターに用いられる基材1としては、特に限定されるものではなく、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、アルミニウム基板、プリント配線基板、アレイ基板などからなるものを用途に応じて適宜用いることができる。
図1に示すカラーフィルターにおける画素2及びブラックマトリックス3は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、着色剤(E)と、必要に応じて含有される添加剤とを含む本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンである。
保護膜4としては、公知の材料からなるものを用いることができる。保護膜4は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて含有される添加剤とを含む本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化膜であってもよい。
保護膜4としては、公知の材料からなるものを用いることができる。保護膜4は、樹脂(A)と溶剤(D)とを含む樹脂組成物と、反応性希釈剤(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて含有される添加剤とを含む本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化膜であってもよい。
図1に示す本実施形態のカラーフィルターにおいて、画素2およびブラックマトリックス3の材料以外の構成は、公知のものを採用できる。また、図1に示すカラーフィルターは、本発明のカラーフィルターの一例であり、本発明は、図1に示す例に限定されない。
次に、本実施形態のカラーフィルターの製造方法について説明する。
まず、図1に示す基材1の一方の面1a上に、RGBの各画素2及びブラックマトリックス3を順次形成する。画素2及びブラックマトリックス3は、上述した本実施形態の樹脂硬化膜の製造方法(フォトリソグラフィ法)を用いて製造できる。
次に、画素2及びブラックマトリックス3上に保護膜4を形成する。保護膜4は、公知の形成方法を用いて形成できる。例えば、保護膜4は、上述した本実施形態の樹脂硬化膜の製造方法を用いて製造できる。
以上の工程により、図1に示す本実施形態のカラーフィルターが得られる。
まず、図1に示す基材1の一方の面1a上に、RGBの各画素2及びブラックマトリックス3を順次形成する。画素2及びブラックマトリックス3は、上述した本実施形態の樹脂硬化膜の製造方法(フォトリソグラフィ法)を用いて製造できる。
次に、画素2及びブラックマトリックス3上に保護膜4を形成する。保護膜4は、公知の形成方法を用いて形成できる。例えば、保護膜4は、上述した本実施形態の樹脂硬化膜の製造方法を用いて製造できる。
以上の工程により、図1に示す本実施形態のカラーフィルターが得られる。
本実施形態のカラーフィルターは、上述した感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターン(画素2及びブラックマトリックス3)を有する。このため、本実施形態のカラーフィルターにおける着色パターンは、十分な硬度および耐溶剤性を有する。
<画像表示素子>
本実施形態の画像表示素子は、十分な硬度および耐溶剤性を有する本実施形態のカラーフィルターを具備する。本実施形態の画像表示素子の例としては、例えば、液晶表示素子、有機EL表示素子、固体撮像素子等が挙げられる。本実施形態の画像表示素子は、上述のカラーフィルターを具備するため、カラーフィルターの劣化に起因する輝度の低下が生じにくく、高輝度表示が可能である。
本実施形態の画像表示素子は、十分な硬度および耐溶剤性を有する本実施形態のカラーフィルターを具備する。本実施形態の画像表示素子の例としては、例えば、液晶表示素子、有機EL表示素子、固体撮像素子等が挙げられる。本実施形態の画像表示素子は、上述のカラーフィルターを具備するため、カラーフィルターの劣化に起因する輝度の低下が生じにくく、高輝度表示が可能である。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の内容の理解をより容易にするためのものである。本発明は、これらの実施例のみに制限されるものではない。
[合成例1]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート288.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート288.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、メタクリル酸24.3g(0.29モル)、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン103.8g(0.41モル)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート25.3g(0.20モル)、ビニルトルエン11.5g(0.10モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)21.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート112.0gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。その後、フラスコ内を空気に置換して、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液中に、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート13.7g(0.10モル)と、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)(付加反応触媒)0.11g及びメチルハイドロキノン(重合禁止剤)0.36gを投入し、60℃で2時間付加反応させた。
このことにより、2-ヒドロキシエチルメタクリレート由来の水酸基と2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアナト基とを反応させて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート由来の水酸基を開裂すると同時に、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に重合性不飽和結合を導入し、樹脂(A)を得た。なお、付加反応触媒の存在下では、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートの有するイソシアナト基は、メタクリル酸由来のカルボキシ基ではなく、2-ヒドロキシエチルメタクリレート由来の水酸基と優先的に反応する。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、実施例1の樹脂組成物を得た。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、実施例1の樹脂組成物を得た。
[合成例2]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート279.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート279.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、メタクリル酸23.9g(0.29モル)、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン102.0g(0.41モル)、ビニルトルエン33.9g(0.30モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)20.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート108.5gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。その後、フラスコ内を空気に置換して、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液中に、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート19.6g(0.145モル)及びメチルハイドロキノン(重合禁止剤)0.36gを投入し、60℃で2時間付加反応させた。
このことにより、メタクリル酸由来のカルボキシル基と2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアナト基とを反応させて、メタクリル酸由来のカルボキシル基を開裂すると同時に、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に重合性不飽和結合を導入し、樹脂(A)を得た。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.5gを加え、実施例2の樹脂組成物を得た。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.5gを加え、実施例2の樹脂組成物を得た。
[合成例3]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート259.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート259.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン103.3g(0.55モル)、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート40.7g(0.40モル)、ビニルトルエン4.3g(0.05モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)19.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100.8gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である共重合体官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。その後、フラスコ内を空気に置換して、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液中に、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.7g(0.135モル)と、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)(付加反応触媒)0.10g及びメチルハイドロキノン(重合禁止剤)0.32gを投入し、60℃で2時間付加反応させた。
このことにより、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基と2-ヒドロキシエチルメタクリレートの水酸基とを反応させて、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基を開裂すると同時に、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に重合性不飽和結合を導入した。
次いで、フラスコ内の付加反応させた反応溶液に、4-アミノ安息香酸19.8g(0.20モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40.2gを加え、40℃で2時間付加反応させた。
このことにより、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基と4-アミノ安息香酸のアミノ基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入し、樹脂(A)を得た。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、実施例3の樹脂組成物を得た。
このことにより、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基と4-アミノ安息香酸のアミノ基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入し、樹脂(A)を得た。
次に、樹脂(A)を含む反応溶液に、溶剤(組成物用添加溶剤)として3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、実施例3の樹脂組成物を得た。
[比較合成例1]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート282.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート282.0gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、メタクリル酸26.1g(0.29モル)、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン111.4g(0.41モル)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート27.2g(0.20モル)、ビニルトルエン12.3g(0.10モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)23.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート118.0gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例1の樹脂組成物を得た。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例1の樹脂組成物を得た。
[比較合成例2]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート293.8gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート293.8gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、メタクリル酸26.4g(0.29モル)、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン113.0g(0.41モル)、ビニルトルエン37.5g(0.30モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)23.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート106.2gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例2の樹脂組成物を得た。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例2の樹脂組成物を得た。
[比較合成例3]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート276.5gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、重合用溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート276.5gを入れ、窒素置換しながら攪拌し、98℃に昇温した。
次に、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン110.3g(0.55モル)、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート43.5g(0.40モル)、ビニルトルエン4.6g(0.05モル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(重合開始剤)20.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート107.6gを混合したものを、滴下ロートから前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、98℃にて3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体である共重合体官能基含有樹脂前駆体(a)を生成させた。その後、フラスコ内を空気に置換して、官能基含有樹脂前駆体(a)を合成した反応溶液中に、4-アミノ安息香酸21.1g(0.20モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.9gを加えて40℃で2時間反応させた。
このことにより、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基と4-アミノ安息香酸のアミノ基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入した。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入させた反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例3の樹脂組成物を得た。
このことにより、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアナト基と4-アミノ安息香酸のアミノ基とを反応させて、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入した。
次に、官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入させた反応溶液に、3-メトキシ-1-ブタノール400.0gを加え、比較例3の樹脂組成物を得た。
[合成例4~13、比較合成例4~8]
表1~表4に記載された原料を、表1~表4に記載された割合で用いたこと以外は、合成例1と同様にして、実施例4~13、比較例4~8の樹脂組成物を得た。
表1~表4に記載された原料を、表1~表4に記載された割合で用いたこと以外は、合成例1と同様にして、実施例4~13、比較例4~8の樹脂組成物を得た。
このようにして得られた実施例1~13の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)、比較例1、2の樹脂組成物に含まれる官能基含有樹脂前駆体(a)、比較例3の樹脂組成物に含まれる官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入した樹脂、比較例4、5、8の樹脂組成物に含まれる共重合体、比較例6、7の樹脂組成物に含まれる樹脂について、それぞれ重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、酸価、シリル基当量及び二重結合当量を求めた。その結果を、表1~表4に示す。
<樹脂組成物の評価>
実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物について、以下の方法に従い、保存安定性の評価を行った。
20mlのガラス容器に、実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物から、それぞれ10gずつ計り取ってサンプルとし、粘度を測定した。粘度は、E型粘度計(東機産業製RE-80、ローター1°34’×R24)を使用して、25℃、回転数20rpmで測定した。続いて、各サンプルをそれぞれ12℃に保った恒温器の中に3ヶ月間静置して保存した。その後、上記の方法と同様にして、再び粘度を測定した。
そして、保存前と保存後の粘度の測定値を用いて、下記式より増粘率(粘度の増加率)を求め、以下に示す基準により評価した。その結果を表1~表4示す。
実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物について、以下の方法に従い、保存安定性の評価を行った。
20mlのガラス容器に、実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物から、それぞれ10gずつ計り取ってサンプルとし、粘度を測定した。粘度は、E型粘度計(東機産業製RE-80、ローター1°34’×R24)を使用して、25℃、回転数20rpmで測定した。続いて、各サンプルをそれぞれ12℃に保った恒温器の中に3ヶ月間静置して保存した。その後、上記の方法と同様にして、再び粘度を測定した。
そして、保存前と保存後の粘度の測定値を用いて、下記式より増粘率(粘度の増加率)を求め、以下に示す基準により評価した。その結果を表1~表4示す。
増粘率(%)=(([保存後の粘度]-[保存前の粘度])/[保存前の粘度])×100
増粘率の評価の基準は以下の通りである。
◎:増粘率10%未満
〇:増粘率10~20%
△:増粘率20%超
増粘率の評価の基準は以下の通りである。
◎:増粘率10%未満
〇:増粘率10~20%
△:増粘率20%超
表1または表2に示すように、合成例1~13の樹脂組成物は、保存安定性の評価が◎または○であり、いずれも優れた保存安定性を有していることが確認できた。
これに対し、表3または表4に示すように、比較例4~7の樹脂組成物は、いずれも保存安定性の評価が△であり、保存安定性が不十分であった。
これに対し、表3または表4に示すように、比較例4~7の樹脂組成物は、いずれも保存安定性の評価が△であり、保存安定性が不十分であった。
次に、実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物を用いて、以下に示す方法に従って、感光性樹脂組成物を調製し、以下に示す方法により評価した。
<感光性樹脂組成物の調製>
実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物と、表5に示す(B)(C)(E)成分とを、表5に示す割合で混合し、実施例1~13、比較例1~8の感光性樹脂組成物を調製した。また、樹脂組成物として、比較例1の樹脂組成物と比較例8の樹脂組成物とを質量比で1:1の割合で混合した樹脂組成物を使用したこと以外は、実施例1の感光性樹脂組成物と同様にして、比較例9の感光性樹脂組成物を調製した。
実施例1~13、比較例1~8の樹脂組成物と、表5に示す(B)(C)(E)成分とを、表5に示す割合で混合し、実施例1~13、比較例1~8の感光性樹脂組成物を調製した。また、樹脂組成物として、比較例1の樹脂組成物と比較例8の樹脂組成物とを質量比で1:1の割合で混合した樹脂組成物を使用したこと以外は、実施例1の感光性樹脂組成物と同様にして、比較例9の感光性樹脂組成物を調製した。
なお、表5における樹脂組成物中の共重合体(実施例1~13の樹脂組成物に含まれる樹脂(A)、比較例1、2の樹脂組成物に含まれる官能基含有樹脂前駆体(a)、比較例3の樹脂組成物に含まれる官能基含有樹脂前駆体(a)の側鎖に酸基を導入した樹脂、比較例4、5、8の樹脂組成物に含まれる共重合体、比較例6、7の樹脂組成物に含まれる樹脂)の配合量には、共重合体を合成する際に用いた重合用溶剤は含まれない。また、表5における(D)溶剤の配合量は、樹脂組成物中の共重合体を合成する際に用いた重合用溶剤と、樹脂組成物を調製する際に追加で添加した溶剤との合計量である。
<感光性樹脂組成物の評価>
(1)感光性樹脂組成物の保存安定性
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物について、以下の方法に従い、保存安定性の評価を行った。
20mlのガラス容器に、実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物から、それぞれ10gずつ計り取ってサンプルとし、粘度を測定した。粘度は、E型粘度計(東機産業製RE-80、ローター1°34’×R24)を使用して、25℃、回転数20rpmで測定した。続いて、各サンプルをそれぞれ12℃に保った恒温器の中に3ヶ月間静置して保存した。その後、上記の方法と同様にして、再び粘度を測定した。
そして、保存前と保存後の粘度の測定値を用いて、下記式より増粘率(粘度の増加率)を求め、以下に示す基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
(1)感光性樹脂組成物の保存安定性
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物について、以下の方法に従い、保存安定性の評価を行った。
20mlのガラス容器に、実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物から、それぞれ10gずつ計り取ってサンプルとし、粘度を測定した。粘度は、E型粘度計(東機産業製RE-80、ローター1°34’×R24)を使用して、25℃、回転数20rpmで測定した。続いて、各サンプルをそれぞれ12℃に保った恒温器の中に3ヶ月間静置して保存した。その後、上記の方法と同様にして、再び粘度を測定した。
そして、保存前と保存後の粘度の測定値を用いて、下記式より増粘率(粘度の増加率)を求め、以下に示す基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
増粘率(%)=(([保存後の粘度]-[保存前の粘度])/[保存前の粘度])×100
「増粘率の評価基準」
◎:増粘率10%未満
〇:増粘率10~20%
△:増粘率20%超
「増粘率の評価基準」
◎:増粘率10%未満
〇:増粘率10~20%
△:増粘率20%超
(2)現像性
露光後の厚さが2.5μmとなるようにスピンコート法により、実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物を、それぞれ5cm角のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に塗布した(塗布工程)。感光性樹脂組成物を塗布したガラス基板を、100℃で3分間加熱することにより溶剤を揮発させて、塗布膜を乾燥させた(プリベーク工程)。
露光後の厚さが2.5μmとなるようにスピンコート法により、実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物を、それぞれ5cm角のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に塗布した(塗布工程)。感光性樹脂組成物を塗布したガラス基板を、100℃で3分間加熱することにより溶剤を揮発させて、塗布膜を乾燥させた(プリベーク工程)。
次に、超高圧水銀ランプを用いて200mJ/cm2の光を、乾燥させた塗布膜の表面に、フォトマスクを介して照射した(露光工程)。露光工程は、フォトマスクを塗布膜から100μm離間させた位置に設置して行った。フォトマスクとしては、幅3~100μmのラインアンドスペースパターンを有するものを用いた。次に、水酸化カリウムを主成分とする現像液(商品名;セミクリーンDL-A10、横浜油脂工業社製)を、水で5倍に希釈し、温度23℃、圧力0.1MPaの条件で、塗布膜の表面に60秒間噴霧することにより、未露光部を除去した(現像工程)。現像工程後の塗布膜を有するガラス基板を、100℃の乾燥機中に30分間静置することにより、塗布膜を熱硬化させて(ポストベーク工程)、着色パターンを得た。
このようにして得られた着色パターンを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S-3400を用いて観察し、現像できた最小ライン幅(最小現像寸法)及び現像できたパターン間における未露光部の残渣の有無を評価した。残渣の有無については、以下の基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
「残渣の評価基準」
○:現像できたパターン間の未露光部に残渣無し
×:現像できたパターン間の未露光部に残渣あり
「残渣の評価基準」
○:現像できたパターン間の未露光部に残渣無し
×:現像できたパターン間の未露光部に残渣あり
(3)鉛筆硬度
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物を、スピンコート法により縦5cm、横5cmの正方形のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に塗布し、100℃で3分間加熱して溶剤を揮発させて塗布膜を形成した。次に、塗布膜に波長365nmの光を露光量200mJ/cm2で照射して光硬化させた。次いで、光硬化させた塗布膜を有するガラス基板を、100℃の乾燥機中に30分間静置することにより、塗布膜を熱硬化させて(ポストベーク工程)、膜厚2.5μmの樹脂硬化膜を得た。
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物を、スピンコート法により縦5cm、横5cmの正方形のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に塗布し、100℃で3分間加熱して溶剤を揮発させて塗布膜を形成した。次に、塗布膜に波長365nmの光を露光量200mJ/cm2で照射して光硬化させた。次いで、光硬化させた塗布膜を有するガラス基板を、100℃の乾燥機中に30分間静置することにより、塗布膜を熱硬化させて(ポストベーク工程)、膜厚2.5μmの樹脂硬化膜を得た。
このようにして作製した樹脂硬化膜の鉛筆硬度を、鉛筆硬度計(No.553-M、安田精機製作所製)を用いて、JIS K5600-5-4にしたがって測定し、以下の基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
「鉛筆硬度の評価基準」
○:鉛筆硬度3H以上
×:鉛筆硬度3H未満
「鉛筆硬度の評価基準」
○:鉛筆硬度3H以上
×:鉛筆硬度3H未満
(4)耐溶剤性
上記(3)鉛筆硬度の評価を行う場合と同様にして樹脂硬化膜を有するガラス基板を作製し、分光光度計(UV-1650PC、島津製作所製)を用いて樹脂硬化膜の吸収スペクトルを測定した。また、容量500mLの蓋付きガラス瓶に、200mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを入れ、23℃の温度条件下に静置した。このガラス瓶の中に、樹脂硬化膜を有するガラス基板を入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬して23℃で15分間静置した。その後、樹脂硬化膜を有するガラス基板を取り出し、分光光度計(UV-1650PC、島津製作所製)を用いて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬させる前と同様にして、樹脂硬化膜の吸収スペクトルを測定した。
上記(3)鉛筆硬度の評価を行う場合と同様にして樹脂硬化膜を有するガラス基板を作製し、分光光度計(UV-1650PC、島津製作所製)を用いて樹脂硬化膜の吸収スペクトルを測定した。また、容量500mLの蓋付きガラス瓶に、200mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを入れ、23℃の温度条件下に静置した。このガラス瓶の中に、樹脂硬化膜を有するガラス基板を入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬して23℃で15分間静置した。その後、樹脂硬化膜を有するガラス基板を取り出し、分光光度計(UV-1650PC、島津製作所製)を用いて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬させる前と同様にして、樹脂硬化膜の吸収スペクトルを測定した。
樹脂硬化膜のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへの浸漬前後の色変化(ΔE*ab)を算出し、以下の基準により、樹脂硬化膜の耐溶剤性を評価した。その結果を表6または表7に示す。
「耐溶剤性の評価基準」
○:ΔE*abが3.0未満
×:ΔE*abが3.0以上
「耐溶剤性の評価基準」
○:ΔE*abが3.0未満
×:ΔE*abが3.0以上
(5)総合判定
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物およびその硬化物からなる樹脂硬化膜について、以下に示す基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
「評価基準」
○:以下の項目を全て満たす。
(1)感光性樹脂組成物の増粘率20%以下
(2)最小現像寸法が15μm以下、かつ現像できたパターン間における未露光部の残渣無し
(3)樹脂硬化膜の鉛筆硬度が3H以上
(4)樹脂硬化膜の耐溶剤性評価における色変化ΔE*abが3.0未満
×:上記○の項目のうちいずれか1以上の項目を満たさない。
実施例1~13、比較例1~9の感光性樹脂組成物およびその硬化物からなる樹脂硬化膜について、以下に示す基準により評価した。その結果を表6または表7に示す。
「評価基準」
○:以下の項目を全て満たす。
(1)感光性樹脂組成物の増粘率20%以下
(2)最小現像寸法が15μm以下、かつ現像できたパターン間における未露光部の残渣無し
(3)樹脂硬化膜の鉛筆硬度が3H以上
(4)樹脂硬化膜の耐溶剤性評価における色変化ΔE*abが3.0未満
×:上記○の項目のうちいずれか1以上の項目を満たさない。
表6に示すように、実施例1~13の感光性樹脂組成物は、保存安定性の評価が◎または○であり、いずれも優れた保存安定性を有していることが確認できた。また、実施例1~13の感光性樹脂組成物は、いずれも最小現像寸法が15μm以下であり、かつ現像できたパターン間における未露光部の残渣が無く、優れたアルカリ現像性を有していることが確認できた。
また、表6に示すように、実施例1~13の感光性樹脂組成物を用いて形成した塗布膜を光硬化させてから、100℃の低温で熱硬化させた硬化物からなる樹脂硬化膜は、鉛筆硬度が3H以上であり、優れた硬度を有するものであった。しかも、上記樹脂硬化膜は、耐溶剤性の評価が○であり、優れた耐溶剤性を有していることが確認できた。
これに対し、表7に示すように、比較例1~9の感光性樹脂組成物は、いずれも優れたアルカリ現像性を有するものであった。しかし、比較例4~7の感光性樹脂組成物は、保存安定性の評価が△であり、保存安定性が不十分であった。また、比較例1~3、8、9の感光性樹脂組成物は、いずれも優れた保存安定性を有しているものの、鉛筆硬度および耐溶剤性が不十分であった。
より詳細には、比較例1~3の感光性樹脂組成物に含まれている比較例1~3の樹脂組成物は、原料として官能基含有樹脂前駆体(a)の官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)を含まず、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-4)が付加していないため、二重結合当量が0である。このため、樹脂硬化膜の硬度及び耐溶剤性が劣る結果となった。
また、比較例8の感光性樹脂組成物に含まれている比較例8の樹脂組成物は、原料モノマーが式(2)で表される化合物(ma-1)を含まないため、シリル当量が0である。このため、樹脂硬化膜の硬度及び耐溶剤性が劣る結果となった。
また、比較例4および5の感光性樹脂組成物に含まれている比較例4および5の樹脂組成物は、式(2)で表される化合物(ma-1)に代えて、トリ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基を含む原料モノマーを用いている。トリ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基は、ジ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基と比べて、架橋が速やかに進行する。このため、比較例4および5の樹脂組成物及び感光性樹脂組成物は、保存安定性が不十分であったものと推察される。
また、比較例4および5の感光性樹脂組成物に含まれている比較例4および5の樹脂組成物は、式(2)で表される化合物(ma-1)に代えて、トリ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基を含む原料モノマーを用いている。トリ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基は、ジ(メトキシ)エトキシ型のアルコキシシリル基と比べて、架橋が速やかに進行する。このため、比較例4および5の樹脂組成物及び感光性樹脂組成物は、保存安定性が不十分であったものと推察される。
比較例6、7の感光性樹脂組成物に含まれている比較例6、7の樹脂組成物は、溶媒として炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含まない。このため、比較例6及び7の樹脂組成物及びこれを含む感光性樹脂組成物では、樹脂(A)に含まれる式(1)で表される構成単位(a-1)の有するアルコキシシリル基の加水分解反応が進行しやすく、十分な保存安定性が得られなかったものと推定される。より詳細には、比較例6、7の感光性樹脂組成物では、式(1)で表される構成単位(a-1)の有するアルコキシシリル基の加水分解反応によりシラノール基が生成し、シラノール基の自己縮合反応により樹脂(A)が高分子量化したものと推定される。また、比較例6及び7の感光性樹脂組成物では、樹脂(A)が高分子量化したため、塗布膜の厚みの均一性が低下して樹脂(A)が現像残渣となり、実施例1の感光性樹脂組成物と比較して、最小現像寸法が劣る結果になったものと推定される。さらに、比較例6、7の現像性を評価した着色パターン(硬化物)を観察した結果、現像できたパターン間の未露光部に残渣が残り、いずれも残渣の評価が×となった。したがって、比較例6及び7の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンは、形状が不明瞭なものであった。
比較例1の樹脂組成物と比較例8の樹脂組成物とを質量比で1:1の割合で混合した樹脂組成物を含む、比較例9の感光性樹脂組成物は、官能基含有樹脂前駆体(a)に化合物(ma-4)が付加した樹脂(A)を含まないため、樹脂硬化膜の硬度及び耐溶剤性が劣る結果となった。このことから、同一の共重合体中に重合性不飽和基およびシリル基を有する樹脂(A)を含むことにより、優れた低温硬化性が得られることが示唆された。
本発明によれば、優れた保存安定性および現像性を有し、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜を形成できる低温硬化性の良好な感光性樹脂組成物を提供できる。さらに、本発明によれば、感光性樹脂組成物に含有される優れた保存安定性を有する樹脂組成物、感光性樹脂組成物の硬化物からなり、十分な硬度および耐溶剤性を有する樹脂硬化膜、十分な硬度および耐溶剤性を有するカラーフィルター、このカラーフィルターを具備する画像表示素子を提供できる。本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、透明膜、保護膜、絶縁膜、オーバーコート、フォトスペーサー、ブラックマトリックス、ブラックカラムスペーサー、カラーフィルター用のレジストとして好ましく用いることができる。
1・・・基板、2・・・画素、3・・・ブラックマトリックス、4・・・保護膜。
Claims (14)
- 樹脂(A)と溶剤(D)とを含み、
前記樹脂(A)が、官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(ma-4)が付加した樹脂であり、
前記官能基含有樹脂前駆体(a)が、下記式(1)で表される構成単位(a-1)および前記官能基を有する構成単位(a-2)を含有し、
前記溶剤(D)は、炭素原子数3~10の第一級アルコール及び炭素原子数3~10の第二級アルコールから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 前記式(1)中、R2~R4のうち2つが各々独立して炭素原子数1~6のアルコキシ基であって、残る1つが炭素原子数1~6のアルキル基である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記構成単位(a-2)の有する官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、酸無水物及びエポキシ基から選択される一種以上である請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有酸無水物、(メタ)アクリロイル基含有カルボキシ化合物、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上である請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記構成単位(a-2)の官能基が、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選択される一種以上であり、
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートである請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記構成単位(a-2)の官能基が、イソシアナト基であり、
前記化合物(ma-4)が、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物、及び(メタ)アクリロイル基含有アミノ化合物から選択される一種以上である請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記樹脂(A)が、前記官能基含有樹脂前駆体(a)の有する官能基の一部に、前記官能基と反応性を有する基およびカルボキシ基を有する化合物(ma-5)がさらに付加した樹脂である請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記第一級アルコール及び前記第二級アルコールの合計の含有量が、前記溶剤(D)100質量%に対して、10~95質量%である請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
反応性希釈剤(B)と、
光重合開始剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物。 - 着色剤(E)をさらに含有する請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記溶剤(D)を除く成分の合計100質量部に対して、
前記樹脂(A)を10質量部~85質量部含有し、
前記反応性希釈剤(B)を10質量部~85質量部含有し、
前記光重合開始剤(C)を0.1質量部~30質量部含有し、
前記溶剤(D)を20質量部~1000質量部含有し、
前記着色剤を(E)4質量部~85質量部含有する、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。 - 請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化膜。
- 請求項10または請求項11に記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルター。
- 請求項13に記載のカラーフィルターを具備する画像表示素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021170538A JP2023060757A (ja) | 2021-10-18 | 2021-10-18 | 樹脂組成物、感光性樹脂組成物、樹脂硬化膜、カラーフィルターおよび画像表示素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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