JP2023059590A - 金属帯の表面検査装置、表面検査方法、及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、金属帯の表面検査装置、表面検査方法、及び製造方法に関するものである。
薄鋼板等に代表される金属帯は様々な製造工程を経て製品となる。例えば製鋼工程で鋳造されたスラブは、熱間圧延工程によって熱延鋼帯となり、酸洗工程において表面の酸化物が除去された後、所定の板厚まで冷間圧延を行う冷間圧延工程、加工ひずみにより硬質化した金属帯の軟質化を図る焼鈍工程、それに引き続くめっき工程や調質圧延工程等、複数の製造工程を経て製品となる。このように金属帯が複数の製造工程を経て製品となるまでの間には、金属帯が所定の特性や品質を備えているか否かが適宜検査される。これは、最終製品の品質保証を行う目的だけでなく、生産管理の手段として、途中工程において欠陥が検出された場合、その後の製造工程を変更したり、その金属帯の製造を途中で中止したりと、途中段階で金属帯毎に適合性の判断を行うためである。例えば酸洗工程において金属帯に表面欠陥が検出された場合、その欠陥が軽度であれば引き続く冷間圧延工程を実行し、重度の欠陥であれば製造工程を中止してスクラップ処理される場合もある。また、金属帯の先端部又は尾端部のみに表面欠陥が検出された場合には、欠陥が検出された部分を切除し、欠陥が発生していない金属帯の部分のみを下流の製造工程に流す場合もある。金属帯の表面検査は、金属帯の製造工程における複数の工程(例えば焼鈍工程やめっき工程等)で行われることがある。
金属帯の表面欠陥には様々な種類の欠陥が存在するが、製品となる金属帯の用途に応じて追加の処置工程等の要否が決定される。例えば表面欠陥について厳格な品質管理が必要な用途に用いられる金属帯に対しては、表面欠陥の管理基準を厳しく設定し、その後の処置工程において表面欠陥が含まれる部分を除去するケースや、製品としての向け先を変更するケースもある。また、表面欠陥として軽度のものが僅かに含まれる場合には、表面欠陥を含む領域を金属帯から除去することなく、検出した表面欠陥の部分にマーキングを施し、出荷時に通知するような対処を行う場合もある。このように、金属帯の製造工程では、表面欠陥の種類や重度(等級)に応じて処置工程等の対処方針が決定されるため、表面検査装置を用いて金属帯の表面に存在する表面欠陥の種類や重度を判別し、オンラインでそれらを分類していくことが重要となる。
このような課題に対して、従来から表面欠陥を検出し判別するための方法が提案されてきた。例えば特許文献1には、金属帯表面に向けて光を照射する光源と、金属帯表面からの反射光の正反射成分を検出する光電変換器と、乱反射成分を検出する光電変換器と、を設置し、金属帯表面の凹凸状態に起因して正反射成分と乱反射成分との比率が変化するという特性に基づき凹凸を持つ欠陥の検出感度を向上させる方法が記載されている。また、特許文献2には、検査対象物に対して波長の異なる単色光を相異なる方向から照射し、検査対象物からの反射光を赤色、緑色、及び青色の3原色に分光し、分光された各波長成分の受光強度レベルから金属帯の表面欠陥を判別する方法が記載されている。また、特許文献2には、この方法によれば、表面疵のような局所的な凹凸状の形態だけでなく色ムラも検出できると記載されている。
さらに、特許文献3には、光の3原色に対応するレーザー光を相異なる角度から金属帯に照射し、各色に対応する撮像用カメラによってそれぞれの色の反射光を撮像する表面欠陥検査装置が記載されている。また、特許文献3には、乱反射光による画像を得るために、一般光をレーザー光に合成させた合成光を用いる装置が記載されている。一方、特許文献4には、複数の白色光源に対して、白色光源から受光部に至る光路にRGBの色毎に波長領域を2以上に分割するフィルタ装置を設け、フィルタ装置がRGBの色毎にそれぞれ分割された波長領域のうち、それぞれ異なる波長領域が透過・遮断されるように構成された表面検査装置が記載されている。この装置によれば、金属帯表面の同一位置に対して複数の光源から光を照射した場合でも、それぞれの光源から照射された光が互いに干渉されることなく撮像できるため、複数の光源からの反射像を複数取得することができる。
しかしながら、上記の従来技術には以下のような課題がある。まず、特許文献1に記載の方法は、金属帯表面で反射した光の正反射成分と乱反射成分との比率により、金属帯の表面にある凹凸状欠陥の検出感度を向上させるものであるが、検出対象となる表面欠陥は凹凸状欠陥に限定され、多種類の欠陥を検出することが難しい。
また、特許文献2に記載の方法は、表面欠陥に応じて乱反射強度が異なるという特性を利用して、波長の異なる単色光を相異なる方向から照射することにより表面欠陥を検出するものであるが、選択できる光源部の配置や光の波長が限定されるため、検出できる表面欠陥の種類も限定される。
また、特許文献3に記載の装置は、光の3原色に対応するレーザー光と、それぞれの光の波長に対応した正反射光を検出する複数の撮像装置を用いるものである。しかしながら、レーザー光は直線性に優れるため正反射光を検出するには有利ではあるが、乱反射光の情報に基づいて欠陥を検出し判別することが困難となる場合がある。また、特許文献3には、一般光をレーザー光に合成させた合成光を用いる装置が記載されているが、その場合には合成光を生成するための装置が大掛かりとなり、表面検査装置が大型化し、装置が高価になる。
また、特許文献4に記載の装置によれば、白色光を用いて光の波長領域を区分することにより、それぞれの波長領域に対応した表面欠陥の情報を取得できるものの、所定の波長領域の範囲内とはいえ、厳密には同一波長の光を異なる角度から入射することにはならないため、多種類の表面欠陥の検出及び判別には改善の余地がある。
本発明は、以上の問題を解決すべくなされたものであり、その目的は、簡易な装置構成により多種類の表面欠陥を検出及び判別可能な金属帯の表面検査装置及び表面検査方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、金属帯の製造歩留まりを向上させることが可能な金属帯の製造方法を提供することにある。
本発明に係る金属帯の表面検査装置は、金属帯の表面に2以上の波長の光を選択的に出射する2以上の光源部と、前記光源部からの出射光による前記金属帯の反射光を撮像する撮像部と、前記光源部及び前記撮像部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部の撮像タイミングを制御するスキャン信号に同期させて、前記光源部が出射する光の波長が互いに異なるように前記光源部を制御する出射光制御信号を出力する。
前記撮像部は、前記光源部から出射される前記2以上の波長の光を識別可能なセンサ部を備えるとよい。
前記光源部はそれぞれRGBに対応する波長の光を出射する3つの光源部を備えるとよい。
前記光源部は、いずれもライン状光源を出射するライン光源であって、前記光源部からの出射光はいずれも前記金属帯の表面の同一箇所に照射されるとよい。
前記金属帯の表面欠陥を判別する表面欠陥判別部を備え、前記表面欠陥判別部は、前記撮像部が撮像した画像データを取得する画像データ取得部と、前記光源部が出射する光の波長を一巡させる出射光サイクル毎に前記制御部が出力する信号を取得する出射光サイクル信号取得部と、前記出射光サイクル信号取得部が取得した信号に従って、前記出射光サイクル毎に前記画像データ取得部が取得した画像データに基づいて前記金属帯の表面欠陥を判定する欠陥判定部と、を備えるとよい。
本発明に係る金属帯の表面検査方法は、本発明に係る金属帯の表面検査装置を用いて、金属帯の表面欠陥を判別するステップを含む。
本発明に係る金属帯の製造方法は、本発明に係る金属帯の表面検査方法を用いて金属帯の表面欠陥の判別を行いながら金属帯を製造するステップを含む。
本発明に係る金属帯の表面検査装置及び表面検査方法によれば、簡易な装置構成により多種類の表面欠陥を検出及び判別することができる。また、本発明に係る金属帯の製造方法によれば、金属帯の製造歩留まりを向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である金属帯の表面検査装置、表面検査方法、及び製造方法について説明する。
〔検査対象〕
本発明の一実施形態である金属帯の表面検査装置及び表面検査方法は、薄鋼板の製造工程における熱間圧延工程以降の任意の工程での薄鋼板を表面欠陥の検査対象とする。なお、少なくとも熱間圧延工程以降では、薄鋼板はコイル状に巻かれてから処理されるので、本実施形態では当該薄鋼板を「金属帯」と記載する。但し、薄鋼板のような金属帯だけでなく、厚鋼板等のシートの状態で処理が行われる金属帯にも適用できる。また、金属帯は鉄鋼材料に限定されることはなく、アルミニウムや銅等を含む金属帯も対象となる。また、表面欠陥の検査は、熱間圧延工程、酸洗工程、冷間圧延工程、焼鈍工程、めっき工程、調質圧延工程の各工程の設備における入側から出側にかけての任意の位置で行うことができる。また、金属帯の品質保証を行う最終検査工程において行うこともできる。
本発明の一実施形態である金属帯の表面検査装置及び表面検査方法は、薄鋼板の製造工程における熱間圧延工程以降の任意の工程での薄鋼板を表面欠陥の検査対象とする。なお、少なくとも熱間圧延工程以降では、薄鋼板はコイル状に巻かれてから処理されるので、本実施形態では当該薄鋼板を「金属帯」と記載する。但し、薄鋼板のような金属帯だけでなく、厚鋼板等のシートの状態で処理が行われる金属帯にも適用できる。また、金属帯は鉄鋼材料に限定されることはなく、アルミニウムや銅等を含む金属帯も対象となる。また、表面欠陥の検査は、熱間圧延工程、酸洗工程、冷間圧延工程、焼鈍工程、めっき工程、調質圧延工程の各工程の設備における入側から出側にかけての任意の位置で行うことができる。また、金属帯の品質保証を行う最終検査工程において行うこともできる。
本実施形態の表面検査装置による検査対象となる表面欠陥は、凹凸状欠陥及び模様状欠陥と呼ばれる2つの種類に大別できる。凹凸状欠陥は、凹部や凸部、又は複数の凹凸形状から構成される形態の欠陥であり、目視により凹凸形状をある程度認識できるものをいう。具体的には、凹凸状欠陥は、金属帯の表面からみて直径0.1mm以上の円状、楕円状、筋状又は不規則形状の欠陥であり、その凹み部の深さ(又は凸部の高さ)は、概ね5~1000μm程度のものをいう。慣用的には凹凸状欠陥はさらに細かく種類分けされ、デンツ、ダルハゲ、圧着疵、掻き疵、ヘゲ疵等と呼ばれることもある。デンツとは、金属帯が何らかの固い異物をライン通板途中で巻き込んだ際に生成される噛跡状の凹み欠陥をいう。ダルハゲとは、ダル加工を施した圧延ロールによる圧延工程(冷間圧延工程や調質圧延工程)において、金属帯の一部に圧延ロールの凹凸(ダル目)が転写されない部分が生じる欠陥である。ダルハゲは圧延ロールの摩耗や圧延ロールへの異物の付着等が原因で生じる。圧着疵とは、コイルの状態で金属帯に対してバッチ焼鈍を行う際、コイルの層間の一部が凝着し、その凝着部が引き剥がされることで生じる欠陥である。掻き疵とは、金属帯が設備部品等の異物と接触して、金属帯の表面に摺動痕として観察される欠陥である。ヘゲ疵とは、金属帯の内部介在物等により表面の剥離が生じたことによりラップ状に形成された欠陥である。掻き疵やヘゲ疵は、金属帯の長手方向に連続的又は断続的に延伸した欠陥として観察される場合が多い。
一方、模様状欠陥は、金属帯の表面に不均一な色調として、目視により認識できる欠陥である。模様状欠陥であっても、微視的に観察すると微細な凹凸から形成されている場合がある。ここでは、模様状欠陥とは、凹凸の高さが5μm未満のものを指す。例えば、金属帯の表面にめっき処理を施したとき、めっき皮膜の金属粒子の析出状態が他の部分と異なるために模様状欠陥として認識される場合がある。このように析出した粒子による微細な凹凸は、特定の波長以下(例えば600nm以下)の光を散乱させ、見る角度によって褐色に色付いた欠陥(褐色模様)として観察される。模様状欠陥の発生原因としては、数多くのものが挙げられる。例えば錆模様、スケール模様、褐色模様、テンパーカラー、汚れ等と呼ばれることがある。錆模様とは、金属帯表面の一部が酸化し、圧延工程や通板過程において、凹凸形状としては金属帯の他の部分と判別ができないものの、金属帯の表面に錆色の(色調が他の領域と異なる)模様を形成しているものをいう。テンパーカラーとは、金属帯の焼鈍時に表面の酸化膜の厚みが部分的に変化し、酸化膜の表面と金属帯の地肌との間で発生する干渉色が金属帯の面内の場所によって異なることが原因とされる。なお、模様状欠陥が呈する色は、金属帯の表面で光が反射する際の干渉色により発生するものもあり、欠陥の種類によって模様状欠陥が呈する色調が異なる。以上のような、凹凸状欠陥及び模様状欠陥についての欠陥の種類分けは、金属帯の製造ライン毎に予め設定されており、通常は検査担当者の目視によって欠陥の特徴が判別され、各製造ラインで管理されている。
なお、上記の凹凸状欠陥と模様状欠陥の分類は、人の視覚によってどのように認識されるかという違いによる分類である。従って、幾何学的な凹凸でも、それが大きければ凹凸状欠陥と判定され、小さければ模様状欠陥として判定される場合があって、それらの相違は便宜的なものともいえる。本明細書中では、金属帯の表面に存在する凹凸の起伏の高さ(振幅)が5μm以上であれば凹凸状欠陥、凹凸の起伏の高さ(振幅)が5μm未満である、又は、凹凸によるものではなく、光の干渉等により色調や明度差によってのみ観察されるものを模様状欠陥と呼ぶ。
〔構成〕
本実施形態の表面検査装置の構成を図1に示す。図1に示すように、本実施形態の表面検査装置1は、金属帯Sに向けて光を出射する複数の光源部2a~2cと、出射光が金属帯Sの表面で反射した反射光を撮像する撮像部3と、複数の光源部2a~2c及び撮像部3の動作を制御する制御部4と、を備えている。複数の光源部2a~2cは、複数の波長帯における光を選択的に出射するものであり、金属帯Sの表面における検査位置に向けて任意の角度で配置してよい。撮像部3は、制御部4からのスキャン信号を受けて金属帯Sの表面における検査位置を含む画像データを取得する。制御部4は、撮像部3が画像データを取得するタイミングを制御するスキャン信号を出力する。また、制御部4は、スキャン信号に同期させて複数の光源部2a~2cが出射する光の波長を切り替えるように各光源部に対して出射光制御信号を出力する。出射光制御信号は、それぞれの光源部が出射する光の波長を特定する信号でもあり、出射する光の波長がそれぞれ異なるように複数の光源部2a~2cを制御する。
本実施形態の表面検査装置の構成を図1に示す。図1に示すように、本実施形態の表面検査装置1は、金属帯Sに向けて光を出射する複数の光源部2a~2cと、出射光が金属帯Sの表面で反射した反射光を撮像する撮像部3と、複数の光源部2a~2c及び撮像部3の動作を制御する制御部4と、を備えている。複数の光源部2a~2cは、複数の波長帯における光を選択的に出射するものであり、金属帯Sの表面における検査位置に向けて任意の角度で配置してよい。撮像部3は、制御部4からのスキャン信号を受けて金属帯Sの表面における検査位置を含む画像データを取得する。制御部4は、撮像部3が画像データを取得するタイミングを制御するスキャン信号を出力する。また、制御部4は、スキャン信号に同期させて複数の光源部2a~2cが出射する光の波長を切り替えるように各光源部に対して出射光制御信号を出力する。出射光制御信号は、それぞれの光源部が出射する光の波長を特定する信号でもあり、出射する光の波長がそれぞれ異なるように複数の光源部2a~2cを制御する。
図1に示す表面検査装置1では、光源部2a~2cは金属帯Sの表面に対する出射光の入射角がそれぞれα,β,γというように異なるように配置されており、それぞれの光源部から金属帯Sの表面の検査位置に向けて異なる波長の光が出射される。いずれの光源部もRGBの波長帯から選択された波長の光を選択的に出射する機能を備え、制御部4からの出射光制御信号により、いずれの波長帯の光を出射するかが決定される。また、光源部2a~2cから出射される光の波長はそれぞれ互いに異なる波長のものが選択されるように、制御部4が出射光制御信号を出力する。すなわち、任意のタイミングでは、光源部2a~2cはRGBの波長帯から選択された異なる波長の光を出射している状態となる。図1に示す構成例では、光源部2aがRの波長帯の光を出射し、光源部2bがGの波長帯の光を出射し、光源部2cがBの波長帯の光を出射している。
本実施形態における光源部2a~2cは、2以上の波長の光を選択的に出射するものであり、波長帯の異なる複数の光を出射することが可能な光源である。異なる波長帯とは、光のスペクトル分布(分光分布)が互いに異なることをいう。但し、スペクトル分布の一部が重複していてもよく、スペクトル分布のピークの波長が異なればよい。また、撮像部3は、1回の撮像により取得した画像データから異なる波長帯の光に対応した複数の画像を分離するため、光源部2a~2cが出射する光のスペクトル分布のピーク波長は少なくとも50nm以上離れていることが好ましい。より好ましくは100nm以上である。
光源部2a~2cが出射する光として可視光を選択する場合には、紫色(波長域が380~430nmの光)、藍色(波長域が430~460nmの光)、青色(波長域が460~500nmの光)、緑色(波長域が500~570nmの光)、黄色(波長域が570~590nmの光)、橙色(波長域が590~610nmの光)、赤色(波長域が610~780nmの光)等から任意に選択した波長を用いればよい。光源部2a~2cのより好ましい形態は、RGBの3波長を独立に調光可能なLED照明である。例えば株式会社アイテックシステム製のRGB高輝度ライン照明等を用いることができる。なお、光源部2a~2cから出射する光は必ずしも可視光に限定されない。赤外線(IR)や紫外線(UV)等を選択的に出射する光源部であってよい。但し、撮像部3がそれらの波長帯の光を受光した画像を撮像できるものであることが必要である。
撮像部3は、光源部2a~2cから出射された光が金属帯Sの表面に照射される照射位置(検査位置)の画像を撮像するように配置される。撮像部3は2次元カメラであってもラインカメラであってもよい。光源部2a~2cから出射され金属帯Sの表面の検査位置で反射する光を撮像できればよい。撮像部3としては固体撮像素子(CCD、CMOS)を用いたカラーカメラを適用するのが好ましい。固体撮像素子は2以上の波長の光を識別可能なセンサ部を備え、撮像した画像をRGBの3チャンネルの画像に分解できる。固体撮像素子による色分解の方式は多板方式であっても単板方式であってもよい。撮像した画像に対して、固体撮像素子により色分解された画像がそれぞれ電気信号に変換されて取得されるものであればよい。なお、撮像部3は、RGBの光を受光する受光部としてSiフォトダイオードを用いたRGBカラーセンサを単数又は複数配置した構成としてもよい。例えば浜松ホトニクス株式会社製のRGBカラーセンサを用いることができる。但し、撮像部3はカラーカメラに限定されず、同一の位置(図1に示す例では受光角θの位置)に複数のモノクロカメラを設置し、それぞれのカメラには光源部2a~2cから出射される光の波長を選択的に透過させるフィルタ部を設けたものを用いてもよい。これにより、撮像部3は、複数のカメラにより光源部2a~2cから出射する複数の波長の光に対応した画像を取得できる。
撮像部3としては、光源部2a~2cが出射する光のピーク波長と、撮像部3のセンサ部が有する透過波長とが合致しているものを用いるのが好ましい。また、撮像部3のセンサ部を構成する各波長の光を受光するセンサは互いに透過波長について重複がないことが好ましい。但し、透過波長について一部重複領域があっても、透過光の光量に対して10%以下の重複であれば許容できる。
以上のような構成を有する光源部2a~2c及び撮像部3により、光源部2aによる入射角αのRの波長帯の光の反射像と、光源部2bによる入射角βのGの波長帯の光の反射像と、光源部2cによる入射角γのBの波長帯の光の反射像とが、撮像部3により取得される。また、撮像部3は固体撮像素子により撮像した画像をRGBの3チャンネルの画像に分解して取得する。但し、撮像部3としてモノクロカメラを用いる場合には、3台のモノクロカメラに対してRGBのいずれかの波長帯の光のみを透過させるフィルタ部を設けることにより、RGBの波長帯の反射像をそれぞれ取得する。これにより、撮像部3は3つの異なる入射角からのそれぞれ異なる波長帯の光に対応した反射像を計3つ取得できる。このようにして複数の波長の光が複数の入射角から入射され金属帯Sの表面で反射した反射像を撮像部3において複数取得することになり、複数の種類の表面欠陥を検出及び判別することが可能になる。
〔光源部からの出射光の切り替え〕
制御部4は、撮像部3に対してスキャン信号を出力するタイミングに同期して、光源部2a~2cに対して、それぞれの光源部から出射される光の波長が互いに異なるように制御する出射光制御信号を出力する。撮像部3は、制御部4から出力されたスキャン信号に従って金属帯Sからの反射光を撮像する。光源部2a~2cは、制御部4から出力された出射光制御信号に従って所定の波長の光を出射する。この場合、制御部4において光源部2a~2cが出射する光の波長が予め設定された順番で更新されるようにプログラムされている場合には、出射光制御信号は、それぞれの光源部から出射する光の波長を特定する信号である必要はなく、予め設定された順番で光源部2a~2cから出射する光の波長を切り替えるための信号であってよい。
制御部4は、撮像部3に対してスキャン信号を出力するタイミングに同期して、光源部2a~2cに対して、それぞれの光源部から出射される光の波長が互いに異なるように制御する出射光制御信号を出力する。撮像部3は、制御部4から出力されたスキャン信号に従って金属帯Sからの反射光を撮像する。光源部2a~2cは、制御部4から出力された出射光制御信号に従って所定の波長の光を出射する。この場合、制御部4において光源部2a~2cが出射する光の波長が予め設定された順番で更新されるようにプログラムされている場合には、出射光制御信号は、それぞれの光源部から出射する光の波長を特定する信号である必要はなく、予め設定された順番で光源部2a~2cから出射する光の波長を切り替えるための信号であってよい。
図2(a)~(c)は、光源部2a~2cが出射する光の変化を模式的に示したものである。図2(a)に示すScan1は、光源部2aからはRの波長の光、光源部2bからはGの波長の光、光源部2cからはBの波長の光を出射している状態を表しており、このScan1のタイミングで撮像部3は金属帯Sの表面の反射光の画像データを取得する。次に、制御部4が生成するスキャン信号により図2(b)に示すScan2の状態に遷移する。Scan2は、制御部4のスキャン信号に従って出射光制御信号が生成され、予め設定された順番で光源部2a~2cの出射光の波長を切り替えた状態である。図2(b)に示す例では、光源部2aの出射光はBの波長の光、光源部2bの出射光はRの波長の光、光源部2cの出射光はGの波長の光に切り替えられている。そして、Scan2のタイミングで改めて撮像部3が金属帯Sの表面の反射光の画像データを取得する。さらに、制御部4が生成する次のスキャン信号により図2(c)に示すScan3の状態に遷移する。Scan3の状態では、光源部2aの出射光はGの波長の光、光源部2bの出射光はBの波長の光、光源部2cの出射光はRの波長の光に切り替えられている。Scan3の状態でも、上記と同様に撮像部3が金属帯Sの表面の反射光の画像データを取得する。
本実施形態では、各光源部が出射する光の波長が順次更新され、それが一巡することを「出射光サイクル」と呼ぶ。1回の出射光サイクルが完了すると、光源部の数(光源部の位置)×出射光の波長の数に対応した金属帯表面の反射光の画像データが取得される。例えば、図2(a)~(c)に示すScan1からScan3までを1回の出射光サイクルとしてその出射光サイクルが完了すると、光源部の数3×出射光の波長の数3=9種類の画像が取得されることになる。これにより、以下の表1に示すように、光源部の位置と出射する光の波長の全ての組合せについて、金属帯表面の反射光の画像データが取得されることになり、多種類の表面欠陥を検出することが可能となる。なお、光源部の数と光源部から出射される光の波長の数が同数である必要はなく、光源部の数よりも光源部から出射される光の波長の数の方が多くてもよい。
〔スキャン信号〕
制御部4が出力するスキャン信号は、予め設定された時間間隔で出力されるパルス信号でよい。パルス信号の時間間隔は任意に設定されたものでよく、予め制御部4に設定値が記憶される。また、スキャン信号を出力する時間間隔は、撮像部3のスキャンレートに合致するように設定するのが好ましい。撮像部3のスキャンレートに同期させて光源部2a~2cからの出射光の切り替えを行うことにより、一定時間内で多くの画像データを取得できるからである。一方、制御部4が出力するスキャン信号は、金属帯Sの表面検査の過程では必ずしも一定の時間間隔である必要はない。例えば金属帯Sの搬送速度に同期させて、金属帯Sの搬送速度と逆比例する時間間隔でパルス信号を出力してもよい。この場合、金属帯Sの搬送速度が速い場合は、撮像部3は長い時間間隔で画像データを取得し、搬送速度が遅い場合には、短い時間間隔で画像データを取得することになる。これにより、金属帯Sの長手方向に対して等間隔で画像データを取得することができる。具体的には、金属帯Sの搬送設備に設置した搬送速度計測手段が金属帯Sの一定の進行距離毎にPLG信号を制御部4に出力し、制御部4は取得したPLG信号をスキャン信号として光源部2a~2c及び撮像部3に出力するようにしてもよい。
制御部4が出力するスキャン信号は、予め設定された時間間隔で出力されるパルス信号でよい。パルス信号の時間間隔は任意に設定されたものでよく、予め制御部4に設定値が記憶される。また、スキャン信号を出力する時間間隔は、撮像部3のスキャンレートに合致するように設定するのが好ましい。撮像部3のスキャンレートに同期させて光源部2a~2cからの出射光の切り替えを行うことにより、一定時間内で多くの画像データを取得できるからである。一方、制御部4が出力するスキャン信号は、金属帯Sの表面検査の過程では必ずしも一定の時間間隔である必要はない。例えば金属帯Sの搬送速度に同期させて、金属帯Sの搬送速度と逆比例する時間間隔でパルス信号を出力してもよい。この場合、金属帯Sの搬送速度が速い場合は、撮像部3は長い時間間隔で画像データを取得し、搬送速度が遅い場合には、短い時間間隔で画像データを取得することになる。これにより、金属帯Sの長手方向に対して等間隔で画像データを取得することができる。具体的には、金属帯Sの搬送設備に設置した搬送速度計測手段が金属帯Sの一定の進行距離毎にPLG信号を制御部4に出力し、制御部4は取得したPLG信号をスキャン信号として光源部2a~2c及び撮像部3に出力するようにしてもよい。
本実施形態では、光源部からの入射角と使用する光の波長の組合せに基づいて多数の画像を取得することにより多様な表面欠陥を検出するものであるから、光源部の数と光源部から出射する光の波長の数が多いほど、表面欠陥に関する詳細な情報を取得できる。但し、この場合、1回の出射光サイクルが完了するまでに撮像部3が実行するスキャン数も多くなり、表面欠陥に関する複数の画像を取得するのに一定の時間を要する。これにより、検査対象の金属帯Sが高速で搬送される状態では、撮像部3のスキャン毎に取得される画像の位置が少しずつずれた状態となり得る。そのため、金属帯Sの同一箇所に対して詳細な画像情報を取得するためには、撮像部3のスキャン信号の時間間隔を短くすると共に、光源部の数と光源部から出射する光の波長の数をある程度限定するのが好ましい。
このような観点から、撮像部3としてラインスキャンカメラを用いる場合には、スキャンレートが10MHz以上のものを用いるのが好ましく、ラインスキャンカメラのスキャンレートに合わせてスキャン信号の周波数を決定すればよい。ラインスキャンカメラを用いる場合には、撮像部3が1スキャンあたりに取得する画像は金属帯Sの搬送方向については線状の情報であるが、スキャンレートが高い場合には1回の出射光サイクルの間に取得する複数の画像は、概ね同一箇所の画像情報とみなしてよい。具体的には、図2(a)~(c)に示すように3つの光源部と3つの波長の光を用いて3回のスキャンを実行する場合において、金属帯Sの搬送速度が50~2000m/minで表面検査を実行する際には、ラインスキャンカメラのスキャンレートが10~640MHzであれば、1回の出射光サイクルで取得される9種類の画像は、同一箇所の画像情報を取得したものとみなしてよい。ライン速度に対してスキャンレートが十分に高いからである。
一方、撮像部3として2次元カメラを用いる場合のスキャンレートは50~60Hz程度とするとよい。但し、検査ラインにおける金属帯Sのライン速度(検査対象物の移動速度)が150m/minを超える場合には、撮像部3としてハイスピードカメラを用いるのが好ましい。その場合のスキャンレートは50~2000kHz程度とするとよい。2次元カメラを用いる場合に、金属帯Sの進行方向に対しても一定の範囲が撮像された画像を取得できるので、スキャンタイミングが遷移する間に検査対象となる金属帯Sが移動しても、1回の出射光サイクルの間では同一の箇所を含む画像を取得できる。従って、撮像部3に2次元カメラを用いる場合には、ラインスキャンカメラの場合ほどスキャンレートが大きなものを用いる必要はない。なお、1回の出射光サイクルの間に取得した複数の画像データは、後述する表面欠陥判別部5において、金属帯Sの同一位置の画像データとなるように位置補正を行うのが好ましい。
図3(a)~(f)は、光源部及び撮像部の時系列の動作を模式的に示したものである。なお、制御部4が生成するスキャン信号は、撮像部3のスキャンレートに合わせて設定している。また、この例は3つの光源部からRGBの波長帯の光が選択的に出射されるものとして、撮像部3が備える3つの波長の光を識別可能なセンサ部をそれぞれセンサR、センサG、センサBとしている。このとき、制御部4は、設定されたスキャンレートでスキャン信号を生成し、撮像部3にスキャン信号を出力すると同時に、光源部2a~2cに対して出射光制御信号を出力する。出射光制御信号は、光源部2a~2cに対して、RGBの波長から互いに異なる波長の光を予め設定された順番で出射するように設定されたものとなる。光源部2a~2cが出射光の切り替えを行うためには一定の切替応答時間(この場合には50~100ns)を要するため、撮像部3はスキャン信号を取得した後に予め設定された時間遅れをもってセンサ部が画像データを取得する露光タイミングが設定されている。そして、光源部2a~2cから出射される光としてRGBの切り替えが一巡する出射光サイクルが完了すると、撮像部3は3つの光源部2a~2cと3つの波長の光に対応した9つの画像データを取得することになり、このような出射光サイクルを繰り返すことにより、金属帯Sの長手方向に対して連続的な表面検査が可能となる。
〔ライン状光源〕
光源部2a~2cは、金属帯Sの表面にライン状に光を照射するライン状光源であることが好ましい。また、光源部2a~2cからのライン状光源は、金属帯Sの表面に照射する場合、直線状に照射される照射部が金属帯Sの搬送方向に対して直交するように配置することが好ましい。金属帯Sを搬送しながら表面欠陥の検出を行う場合に、金属帯Sの幅方向にライン状の光を照射してその反射光を撮像部3で検出することにより、金属帯Sの幅方向の任意の位置にある表面欠陥を検出できる。ライン状光源とは、線光源に限定されず、金属帯Sに対して長方形の範囲に光を照射する光源であって、1辺の方向の照射範囲が他辺の照射範囲よりも10倍以上長い光源をいう。本実施形態では、長方形の照射範囲の長辺の方向を少なくとも金属帯Sの幅方向より長い範囲として光を照射するのが好ましい。また、複数の光源部2a~2cからの出射光は、金属帯Sの表面の同一箇所に照射するのがよい。但し、複数の光源部2a~2cからの出射光の照射範囲が金属帯Sの表面で完全に一致している必要はない。各光源部による照射範囲の一部に重ならない領域があっても構わない。照射光が重なる領域では上記態様での表面欠陥検査が可能だからである。
光源部2a~2cは、金属帯Sの表面にライン状に光を照射するライン状光源であることが好ましい。また、光源部2a~2cからのライン状光源は、金属帯Sの表面に照射する場合、直線状に照射される照射部が金属帯Sの搬送方向に対して直交するように配置することが好ましい。金属帯Sを搬送しながら表面欠陥の検出を行う場合に、金属帯Sの幅方向にライン状の光を照射してその反射光を撮像部3で検出することにより、金属帯Sの幅方向の任意の位置にある表面欠陥を検出できる。ライン状光源とは、線光源に限定されず、金属帯Sに対して長方形の範囲に光を照射する光源であって、1辺の方向の照射範囲が他辺の照射範囲よりも10倍以上長い光源をいう。本実施形態では、長方形の照射範囲の長辺の方向を少なくとも金属帯Sの幅方向より長い範囲として光を照射するのが好ましい。また、複数の光源部2a~2cからの出射光は、金属帯Sの表面の同一箇所に照射するのがよい。但し、複数の光源部2a~2cからの出射光の照射範囲が金属帯Sの表面で完全に一致している必要はない。各光源部による照射範囲の一部に重ならない領域があっても構わない。照射光が重なる領域では上記態様での表面欠陥検査が可能だからである。
〔光源部と撮像部の配置〕
光源部2a~2cと撮像部3の位置関係については、金属帯Sの表面で反射した光源部2a~2cからの光を撮像部3が受光できる位置にあれば、任意の配置を選択することができる。例えば撮像部3はいずれかの光源部から出射される光の正反射光を受光する位置に配置することができ、他の光源部からは乱反射光を受光する位置に配置してよい。金属帯表面の正反射光により表面の凹凸状欠陥の検出が容易になると共に、乱反射光により模様状欠陥の検出が容易になるからである。その場合、光源部から赤色の光が出射され、金属帯Sの正反射光として撮像部3が撮像した画像データからは、凹凸状欠陥の特定が容易になる。また、撮像部3が乱反射光を受光する位置関係にある光源部から青色の光が出射され、金属帯Sの乱反射光を受光した撮像部3が取得する画像データからは、錆模様等の模様状欠陥の検出が容易になる。本実施形態は、このような光源部2a~2cと撮像部3の位置関係に加えて、種々の光の波長による反射像が取得されるので、模様状欠陥として異なる色調の表面欠陥に対しても検出感度が向上する。
光源部2a~2cと撮像部3の位置関係については、金属帯Sの表面で反射した光源部2a~2cからの光を撮像部3が受光できる位置にあれば、任意の配置を選択することができる。例えば撮像部3はいずれかの光源部から出射される光の正反射光を受光する位置に配置することができ、他の光源部からは乱反射光を受光する位置に配置してよい。金属帯表面の正反射光により表面の凹凸状欠陥の検出が容易になると共に、乱反射光により模様状欠陥の検出が容易になるからである。その場合、光源部から赤色の光が出射され、金属帯Sの正反射光として撮像部3が撮像した画像データからは、凹凸状欠陥の特定が容易になる。また、撮像部3が乱反射光を受光する位置関係にある光源部から青色の光が出射され、金属帯Sの乱反射光を受光した撮像部3が取得する画像データからは、錆模様等の模様状欠陥の検出が容易になる。本実施形態は、このような光源部2a~2cと撮像部3の位置関係に加えて、種々の光の波長による反射像が取得されるので、模様状欠陥として異なる色調の表面欠陥に対しても検出感度が向上する。
図1に示す3つの光源部2a~2cを備える場合の好ましい配置について説明する。撮像部3は光源部2a~2cから選択した1つの光源部(図1では光源部2a)から出射する光の正反射光を受光するように、入射角α=θとなるように配置する。他の光源部として、光源部2bは正反射光の光源部2aと同一象限の位置から光源部2aとは異なる角度から出射し、撮像部3でその乱反射光を受光するように、β≠θとなるように配置する(前方散乱の配置)。そして、光源部2cは、撮像部3と同一象限に配置して乱反射光を受光する位置に配置する(後方散乱の配置)。このように、それぞれの光源部から異なる角度で出射される異なる波長の光についての反射光を撮像することにより、多種類の表面欠陥を検出することができる。
なお、光源部の一つを金属帯Sの表面に対して可能な限り垂直に配置し、撮像部3も金属帯Sの表面に対して可能な限り垂直な位置に配置してもよい。その場合、図4に示すように、金属帯Sの表面に対して垂直方向から光を出射する光源部2aを設ける同軸落射照明方式を選択することができる。同軸落射照明方式は、ハーフミラー10を介して出射光の方向と撮像方向とを一致させる方式であって、光沢面の検査に効果を発揮する。さらに、他の光源部2b,2cを金属帯Sの垂直面に対して対称に配置して、それぞれから異なる波長の光を出射するようにしてもよい。以上のような表面検査装置の構成によれば、1台の撮像部3と金属帯Sの表面の同一位置に光を照射する複数の光源部2a~2cとを備える構成であって、複数の波長の光に対応した表面検査を可能にすることから、光源部と撮像部とを複数組配置する必要がなく、コンパクトな設備構成により多様な表面欠陥の検査が可能となる。
〔表面欠陥判別部〕
図1に戻る。図1に示すように、本実施形態の表面検査装置1は、上記のような複数の光源部と出射光の波長の組合せにより取得される複数の画像データから、金属帯Sの表面で検出された欠陥を判別する表面欠陥判別部5を備えている。表面欠陥判別部5は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータにより構成されている。表面欠陥判別部5は、制御部4から出射光サイクル信号を取得する出射光サイクル信号取得部5a、撮像部3が撮像した画像データを取得する画像データ取得部5b、出射光サイクル毎に画像データ取得部5bが取得した画像データに基づいて金属帯Sの表面欠陥を判定する欠陥判定部5c、及び格納部5dを備えている。欠陥判定部5cは、例えばCPU等であって、格納部5dに格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、表面欠陥の種別や等級(重度)を判定する機能を実現させるために所定の演算を実行する。
図1に戻る。図1に示すように、本実施形態の表面検査装置1は、上記のような複数の光源部と出射光の波長の組合せにより取得される複数の画像データから、金属帯Sの表面で検出された欠陥を判別する表面欠陥判別部5を備えている。表面欠陥判別部5は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータにより構成されている。表面欠陥判別部5は、制御部4から出射光サイクル信号を取得する出射光サイクル信号取得部5a、撮像部3が撮像した画像データを取得する画像データ取得部5b、出射光サイクル毎に画像データ取得部5bが取得した画像データに基づいて金属帯Sの表面欠陥を判定する欠陥判定部5c、及び格納部5dを備えている。欠陥判定部5cは、例えばCPU等であって、格納部5dに格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、表面欠陥の種別や等級(重度)を判定する機能を実現させるために所定の演算を実行する。
この場合、撮像部3は各スキャンタイミングで取得した複数の画像データを表面欠陥判別部5に出力する。制御部4は、表面欠陥判別部5に対して、出射光サイクルが完了する毎に出射光サイクルが完了した情報である出射光サイクル信号を出力する。欠陥判定部5cは、それぞれの出射光サイクル内で取得された画像データを分析し、複数の画像データから得られる欠陥候補に関する情報を集約し、表面欠陥を判定する。この場合、1回の出射光サイクルにつき、光源部の数(光源部の位置)×出射光の波長の数に対応した画像データが取得される。ここでは、1回の出射光サイクルで取得される複数の画像データを検査データと呼ぶ。例えば、図2(a)~(c)に示すScan1からScan3までの1回の出射光サイクルが完了すると、光源部の数3×出射光の波長の数3=9種類の画像データが取得され、これが欠陥判定部5cにおける検査データとなる。
欠陥判定部5cは、具体的には図5に示す欠陥情報処理により表面欠陥を判定する。図5は、本実施形態の欠陥情報処理の一例として、検査データに含まれる任意の画像データに対する処理を示すものである。また、図5に示す例は、光源部にライン光源を使用して、ラインスキャンカメラによって金属帯Sの表面を幅方向にスキャンして撮像した例である。撮像部3がラインスキャンカメラの場合の画像データは、図5に示すような受光強度情報となる。受光強度情報とは、撮像部3により取得した特定の光源部からの特定の波長帯の光強度の情報であって、検査対象である金属帯Sの幅方向位置との対応関係が特定されている情報をいう。図5は、金属帯の幅方向位置と受光強度との関係をチャート画像として表したものである。
なお、受光強度情報が、光学系の構成に伴う不可避的な幅方向分布を有する場合(金属帯Sに表面欠陥がない状態であっても受光強度情報が幅方向に一定の分布を有する場合)、欠陥判定部5cは、前処理として受光信号にシェーディング補正をかけることにより、光学系の特性に起因して撮像部3で生じる受光信号の誤差を低減したものを受光強度情報としてもよい。図5に示す欠陥情報処理では、欠陥判定部5cは、金属帯Sの幅に対応する測定範囲内において、受光強度の分布を予め設定される上下限の閾値(許容範囲)と比較する。そして、欠陥判定部5cは、受光強度に許容範囲外となる部分が生じた場合、その部分(図5中の破線部分)に関する情報を欠陥候補に関する情報として格納部5dに記憶される。ここでは、このようにして生成された欠陥候補に関する情報を欠陥候補情報と呼ぶ。欠陥候補情報は、受光強度情報が上下限の閾値を超えた金属帯Sの幅方向位置と、その位置での受光強度の大きさ(例えば閾値との偏差等)とが対応付けられた情報である。そして、欠陥判定部5cは、同様の処理を検査データに含まれる他の画像データに対しても実行する。これにより、検査データに含まれる画像データ毎に欠陥候補情報が格納部5dに記憶される。なお、上記処理における上下限の閾値は、光源部の配置や選択した光の波長に応じて異なる値に設定してもよく、同一の値であってもよい。過去の表面検査の実績に応じて経験的に設定してもよい。
次に、欠陥判定部5cは、検査データに対して欠陥情報処理を実行し得られた欠陥候補情報を格納部5dから取得し、検査データに含まれる画像データの中で欠陥候補情報が含まれる光源部の位置と光の波長の組合せと、欠陥候補情報が含まれていない光源部の位置と光の波長の組合せとを区分する。但し、金属帯Sの幅方向で複数の欠陥候補情報が検出されている場合には、欠陥判定部5cは、欠陥候補情報の位置情報に基づいて、同一の幅方向位置で検出された欠陥候補情報同士で欠陥候補情報を集約する。例えば以下に示す表2,3は、集約された欠陥候補情報の例として、3つの光源部と3つの波長(RGB)により構成された表面検査装置を用いて取得される9つの画像データに基づいて欠陥候補情報を集約した例である。
表中の「〇」は欠陥候補情報が検出されなかったことを表し、「×」は欠陥候補情報が検出されたことを表す。但し、これらは金属帯Sの幅方向における同一の位置における評価結果を集約したものである。表2は、撮像部3が正反射光を受光するように配置された光源部2aから赤色Rの光を出射した場合にのみ欠陥候補情報が検出された例である。また、表3は、撮像部3に対して後方散乱の位置に配置された光源部2cから青色Bの光が出射された場合にのみ欠陥候補情報が検出された例である。
この場合、表2に示す例では、正反射光の画像データに対して欠陥候補情報が検出されていることから、検出した表面欠陥は表面の凹凸に起因して光が強く散乱したものと推測される。さらに、赤色光に対して欠陥候補情報が取得されていることから、凹凸がある程度大きい欠陥と判定できる。但し、前方散乱及び後方散乱の配置では欠陥候補情報が検出されていないことから、その凹凸状欠陥には模様状欠陥に特有の色調の変化はみられないことがわかる。一方、表3に示す例では、後方散乱の配置に対して、赤色に比べて波長の短い青色の光により欠陥候補が検出されていることから、凹凸状欠陥ではなく、錆色のような模様状欠陥に分類されるものと判断できる。但し、前方散乱の配置では欠陥候補情報が取得されていないことから、金属帯Sの表面の平滑性が高く、極薄の酸化被膜が形成された錆状の表面欠陥であると判定できる。
以上のようにして、複数の光源部の配置及び出射する光の波長の組合せに基づく欠陥候補情報の判定に基づき、検出した表面欠陥が凹凸状欠陥であるか模様状欠陥であるかを判別することができる。また、光の波長によって欠陥候補情報として検出されるものとそうでないものとを区分できるので、検出した表面欠陥の色調も判定でき、模様状欠陥の分類の中でさらに詳細な区分で表面欠陥を判定できる。なお、欠陥の重度について判定する場合には、例えば図5に示す欠陥情報処理において、受光強度情報の許容範囲からの逸脱度により欠陥の重度(等級)を判定してもよい。
さらに、欠陥判定部5cは、出射光サイクル毎に集約された検査データから複数の画像データを重ね合わせた新たな画像データを生成し、この画像データに対して上記欠陥情報処理を行ってもよい。例えば欠陥判定部5cは、同一の光源部から出射された異なる波長の光による画像データに対して欠陥情報処理を行ってもよい。金属帯の表面欠陥として光源部の光の波長帯に対して中間色を呈する模様状欠陥の判定が容易になるからである。また、図4に示すように光源部2bと光源部2cとを金属帯Sの表面垂直方向に対して左右対称に配置した場合、欠陥判定部5cは、光源部2bからの光と光源部2cからの光が同一の波長である場合の2つの画像データからそれらの差分を算出し、差分情報により構成される画像データに対して欠陥情報処理を行ってもよい。これにより、凹凸状の表面欠陥の形状が強調され凹凸状欠陥の判定が容易になる。
予め検査員が判定した表面欠陥のサンプルに対して上記の表面検査装置1を用いたオフラインの検査を実行し、それぞれの欠陥に対する欠陥候補情報の集約表(表2,3に示す一覧表)を取得しておき、欠陥判定情報として格納部5dに記憶しておくのが好ましい。例えば凹凸状欠陥として、デンツ、ダルハゲ、及び圧着疵の分類に対して、その検査データに基づき欠陥候補情報の集約表を作成しておく。また、模様状欠陥についても同様に、錆模様、スケール模様、褐色模様、テンパーカラー、汚れ等に対してオフラインの表面検査を実行し、その検査データに基づき欠陥候補情報の集約表を作成しておく。これらは、オフラインで同定された表面欠陥の特徴量を表す指標であり、欠陥判定情報として格納部5dに保存しておく。
欠陥判定部5cは、オンラインで随時取得される検査データに対して欠陥情報処理を実行し、上記のようにして欠陥候補情報の集約表を生成する。そして、欠陥判定部5cは、予め格納部5dに記憶された欠陥判定情報と比較することにより、検出した表面欠陥の種別を特定する。欠陥判定部5cが特定した表面欠陥の情報は、表面検査装置1の出力部に出力することにより、検査対象である金属帯の処理工程等を適切に選択することができる。例えば金属帯の表面検査工程に対して処置工程を追加して、検出した表面欠陥を除去するようにしてもよい。これにより表面欠陥が少ない金属帯を製造することができる。
なお、上記の欠陥情報処理は、撮像部として2次元カメラを用いる場合や、ラインスキャンカメラを用いて出射光サイクル毎に得られる画像を金属帯の進行方向に結合させて2次元画像を生成した場合にも適用できる。この場合、図5に示す受光強度情報が金属帯の幅方向位置と長手方向位置の2次元の座標により特定されることになるが、上下限の閾値を設定することにより欠陥候補情報を取得でき、その位置情報も特定できるからである。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 表面検査装置
2a~2c 光源部
3 撮像部
4 制御部
5 表面欠陥判別部
5a 出射光サイクル信号取得部
5b 画像データ取得部
5c 欠陥判定部
5d 格納部
10 ハーフミラー
S 金属帯
2a~2c 光源部
3 撮像部
4 制御部
5 表面欠陥判別部
5a 出射光サイクル信号取得部
5b 画像データ取得部
5c 欠陥判定部
5d 格納部
10 ハーフミラー
S 金属帯
Claims (7)
- 金属帯の表面に2以上の波長の光を選択的に出射する2以上の光源部と、
前記光源部からの出射光による前記金属帯の反射光を撮像する撮像部と、
前記光源部及び前記撮像部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像部の撮像タイミングを制御するスキャン信号に同期させて、前記光源部が出射する光の波長が互いに異なるように前記光源部を制御する出射光制御信号を出力する、金属帯の表面検査装置。 - 前記撮像部は、前記光源部から出射される前記2以上の波長の光を識別可能なセンサ部を備える、請求項1に記載の金属帯の表面検査装置。
- 前記光源部はそれぞれRGBに対応する波長の光を出射する3つの光源部を備える、請求項1又は2に記載の金属帯の表面検査装置。
- 前記光源部は、いずれもライン状光源を出射するライン光源であって、前記光源部からの出射光はいずれも前記金属帯の表面の同一箇所に照射される、請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の金属帯の表面検査装置。
- 前記金属帯の表面欠陥を判別する表面欠陥判別部を備え、
前記表面欠陥判別部は、
前記撮像部が撮像した画像データを取得する画像データ取得部と、
前記光源部が出射する光の波長を一巡させる出射光サイクル毎に前記制御部が出力する信号を取得する出射光サイクル信号取得部と、
前記出射光サイクル信号取得部が取得した信号に従って、前記出射光サイクル毎に前記画像データ取得部が取得した画像データに基づいて前記金属帯の表面欠陥を判定する欠陥判定部と、
を備える、請求項1~4のうち、いずれか1項に記載の金属帯の表面検査装置。 - 請求項5に記載の金属帯の表面検査装置を用いて、金属帯の表面欠陥を判別するステップを含む、金属帯の表面検査方法。
- 請求項6に記載の金属帯の表面検査方法を用いて金属帯の表面欠陥の判別を行いながら金属帯を製造するステップを含む、金属帯の製造方法。
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JP2021169685A JP2023059590A (ja) | 2021-10-15 | 2021-10-15 | 金属帯の表面検査装置、表面検査方法、及び製造方法 |
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- 2021-10-15 JP JP2021169685A patent/JP2023059590A/ja active Pending
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