JP2023058256A - 位置判定システム、位置判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯デバイスから発せられる信号をもとに携帯デバイスの位置をより精度良く判定可能な位置判定システム、位置判定方法を提供する。【解決手段】通信制御部F2は、複数の室外機と複数の室内機のそれぞれから携帯デバイスからの信号の受信強度を取得する。また、通信制御部F2は各室外機に順番に携帯デバイスと測距用の信号を送受信させることにより、室外機毎のToF関連値として2周波位相差又はRTT(ラウンドトリップ時間)を取得する。位置推定部F3は、携帯デバイスが車室内に存在するか否かについては室内機で観測された受信強度と室外機で観測された受信強度に基づいて判定する。一方、携帯デバイスが施開錠エリア内に存在するか否かについては2周波位相差又はRTTによって定まる距離情報を用いて判断する。【選択図】図5

Description

本開示は、車両に搭載されて使用されるシステムであって、ユーザによって携帯される携帯デバイスから送信される無線信号の受信状況に基づいて、車両に対する携帯デバイスの相対位置を推定する位置判定システム、位置判定方法に関する。
ユーザによって携帯される携帯デバイスの位置に応じてドアの開錠等を実施する車両用電子キーシステムを実現するためのサブシステムとして、車載装置が携帯デバイスと無線通信を実施することによって、携帯デバイスの位置推定する位置判定システムがある。例えば特許文献1には、車載装置がLF(Low Frequency)帯の電波を用いて携帯デバイスと無線通信できたことに基づいて、携帯デバイスが施開錠エリアに存在すると判定する構成が開示されている。施開錠エリアは、携帯デバイスが携帯デバイスとの無線通信による自動的なドアの開錠の実行を許容するエリアであって、車室外のうち、ドアから所定距離以内となる領域である。
一般的に車両用電子キーシステムでは、盗難防止等の観点から、車両からユーザが一定距離(例えば2m)以上離れている場合には、携帯デバイスとの無線通信による自動的なドアの開錠は実行しないことがシステム要件として求められることがある。前述の施開錠エリアは、上記のセキュリティの観点から、ドアから1m以内など、車両から2m以内の領域に設定されることが多い。
多くの車両用電子キーシステム/位置判定システムにおいて、車両から携帯機への信号送信にLF帯の電波が用いられる理由は、無線信号の到達範囲を車両近傍に限定しやすいためである。車両においてLF帯の電波を送信するためのアンテナは、無線信号が当該施開錠エリアにのみ到達するように、送信電力等が調整されている。
ところで、近年はスマートフォンやウェアラブル端末などの携帯型の情報処理端末を、車両の鍵として機能させたいといった需要が高まっている。それに伴い、LF帯の電波の代わりに、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信で使用される高周波電波の受信強度を用いて車両に対する携帯デバイスの位置を判定可能な構成が求められている。
特許文献2には、スマートフォンなどの携帯デバイスから発せられる所定の近距離無線通信規格に準拠した信号の受信強度に基づいて、携帯デバイスが室外のドア付近、つまり施開錠エリアに存在するか否かを認証装置が判定する構成が開示されている。ここでの近距離通信とは、例えばBluetoothやWi-Fi(登録商標)などといった、通信範囲が例えば数十メートル程度となる所定の無線通信規格に準拠した通信を指す。
なお、特許文献3-7には、携帯デバイスの位置を高精度に推定するための構成が種々開示されている。これら先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用することができる。
特許第5438048号公報 特開2020-85487号公報 特開2020-26996号公報 特開2020-26998号公報 特開2019-158765号公報 特開2019-73960号公報 特開2018-141771号公報
BLE(Bluetooth Low Energy)などの近距離通信には、例えば2.4GHzや920MHzなど、900MHz以上の電波(以降、高周波電波)が使用される。このような高周波電波は、LF帯の電波に比べて直進性が強く、車両のボディなどの金属体で反射されやすい性質を持つ。また、高周波電波は、LF帯の電波に比べて伝搬距離による信号強度の減衰度合いが小さい。さらに、高周波電波は人体によって減衰されやすい。そのため、携帯デバイスから発せられる高周波信号の受信強度を判断材料として、携帯デバイスが室外作動エリアに存在するかを精度良く判別することは現実的には難しい。ここでの室外作動エリアとは例えば施開錠エリアなど、車室外において一部の車両制御を実行可能なエリアを指す。不作動エリアは、室外作動エリアよりもその外側に位置する領域を指す。
なお、車室内と車室外との間には、車両のボディといった電波の伝搬を阻害する要素が存在するため、携帯デバイスが車室内に存在するのか車室外に存在するのかに応じて、携帯デバイスから送信された信号の車載通信機での受信強度には有意な差が生じうる。故に、携帯デバイスが車室内に存在するのか否かについては、受信強度によっても或る程度の確度で判別することはできる。
しかしながら、室外作動エリアと、不作動エリアとの間には車両のボディのような構造体は存在しない。そのため、特許文献2に開示の構成では、携帯デバイスが車室外のうちの、室外作動エリアに存在するのか不作動エリアに存在するのかを判別することは現実的には難しい。
本開示は、上記の課題に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、携帯デバイスから発せられる信号をもとに携帯デバイスの位置をより精度良く判定可能な位置判定システム、位置判定方法を提供することにある。
ここに開示される位置判定システムは、車両のユーザによって携帯される携帯デバイスと無線通信することで車両に対する携帯デバイスの位置を判定する車両用の位置判定システムであって、携帯デバイスと無線通信可能に構成された通信機であって、車両の外面部のそれぞれ異なる位置に設置されている複数の室外機(7a~7e)と、車両の車室内に設置されている通信機である、少なくとも1つの室内機(7p~7r)と、複数の室外機及び少なくとも1つの室内機の動作を制御する通信制御部(F2)と、携帯デバイスが車室内に存在するか否か、及び、車室外において車両から所定距離以内となるエリアである室外作動エリア(Lx、Rm)に携帯デバイスが存在するか否かを判定する位置推定部(F3)と、を備え、通信制御部は、複数の通信機のそれぞれにおける携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、少なくとも1つの室外機から携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、受信強度とは別のパラメータであるToF関連値を取得することと、を実行し、位置推定部は、携帯デバイスが車室内に存在するか否かについては室外機で観測された受信強度と、室内機で観測された受信強度に基づいて判定する一方、室外作動エリアに携帯デバイスが存在するか否かについてはToF関連値に基づいて判定する。
さらに、本開示の位置判定方法は、車両のユーザによって携帯される携帯デバイスの位置を判定するための、少なくとも1つのプロセッサによって実行される位置判定方法であって、携帯デバイスと無線通信可能に構成されている通信機であって、車両の外面部のそれぞれ異なる位置に配置されている複数の室外機から、携帯デバイスからの信号の受信強度を示すデータを取得することと、車室内に配置されている通信機である少なくとも1つの室内機から、携帯デバイスからの信号の受信強度を示すデータを取得することと、室外機で観測された受信強度と、室内機で観測された受信強度に基づいて、携帯デバイスが車室内に存在するか否かを判定することと、少なくとも1つの室外機から携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、受信強度とは別のパラメータであるToF関連値を取得することと、ToF関連値に基づいて、車室外において車両から所定距離以内となるエリアである室外作動エリア(Lx、Rm)内に、携帯デバイスが存在するか否かを判定することと、を含む。
上記位置判定システム/位置判定方法では、携帯デバイスが室内に存在するかの判定と、携帯デバイスが室外の施開錠エリアに存在するか否かの判定とで、判定処理に使用する物理パラメータが変更される。すなわち、室内に存在するかの判定には受信強度が用いられる一方、室外の施開錠エリアに存在するか否かの判定には、通信機から携帯デバイスまでの無線信号の飛行時間を直接的に又は間接的に示すToF関連値が用いられる。
無線信号の飛行時間は通信機から携帯デバイスまでの距離に比例するため、ToF関連値は通信機から携帯デバイスまでの距離を直接的又は間接的に示す。そして、ToF関連値は、人体の影響を受けにくく、受信強度に比べてデバイスとの距離に応じた値を取ることが期待できる。よって上記構成によれば、携帯デバイスが室外作動エリアに存在するか否かの判定精度を、受信強度の強弱により判定する構成よりも高めることができる。つまり、携帯デバイスから発せられる信号をもとに携帯デバイスの位置をより精度良く判定可能となる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
車両用電子キーシステムの全体像を示すブロック図である。 BLE通信機の構成を示すブロック図である。 BLE通信機の搭載位置の一例を示す図である。 携帯デバイスの構成を示すブロック図である。 スマートECUの機能ブロック図である。 接続関連処理についてのフローチャートである。 スタンバイ処理についてのフローチャートである。 車内外判定処理についてのフローチャートである。 スニッフィング方式の概要を説明するための図である。 施開錠エリア判定処理についてのフローチャートである。 強度調整処理についてのフローチャートである。 デバイス位置に応じた送信電力の調整態様の一例を示す図である。 BLE通信機の搭載パターンの変形例を示す図である。 BLE通信機の搭載パターンの変形例を示す図である。 BLE通信機の搭載パターンの変形例を示す図である。 BLE通信機の搭載パターンの変形例を示す図である。 BLE通信機の搭載パターンの変形例を示す図である。 施開錠エリア判定処理の変形例についてのフローチャートである。 デバイス位置の推定材料のバリエーション及びその観測主体の一例を示す図である。 パッシブ2ウェイ方式による送受信位相差の算出原理を説明するための図である。 アクティブ2ウェイ方式による送受信位相差の算出原理を説明するための図である。 1ウェイ方式による送受信位相差の算出原理を説明するための図である。 ウェイク信号を送信可能な車載システム1の構成の一例を示す図である。 UWB通信機を用いて携帯デバイスの位置推定を行うシステム構成例を示す図である。
以下、本開示に係る車両用電子キーシステムの実施形態の一例について、図を用いて説明する。図1は、車両用電子キーシステムの概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように車両用電子キーシステムは、車載システム1と、携帯デバイス2と、を含む。車載システム1は、車両Hvに搭載されているシステムである。携帯デバイス2は、車両Hvのユーザによって携帯されるデバイスである。携帯デバイス2は、複数存在しうる。車両用電子キーシステムが位置判定システムに相当する。
<前置き>
以下の説明における車両Hvは、一例として個人によって所有される車両である。故に、車両Hvのユーザとは、所有者(オーナー)や、その家族などを指す。もちろん、車両Hvは会社組織が保有する社用車や、公的機関が保有する公用車であってもよい。車両Hvが社用車や公用車である場合には、当該車両Hvを管理する組織に属する人物がユーザとなりうる。さらに、車両Hvは、貸出サービスに供される車両(いわゆるレンタカー)であってもよいし、カーシェアリングサービスに供される車両(いわゆるシェアカー)であってもよい。車両Hvは、ロボットタクシーなど、旅客輸送サービスに供される車両でもよい。車両Hvが上記サービスに供される車両(以下、サービス車両)である場合には、それらのサービスの利用契約を行っており、且つ、サービスの利用予約等に基づき、一時的に当該車両Hvを利用する権限を有する人物がユーザとなりうる。
本実施形態では一例として車両Hvはエンジン車とする。ただし、車両Hvは、ハイブリッド車や、電気自動車といった電動車であってもよい。ここでのエンジン車は動力源としてエンジンのみを備える車両を指し、ハイブリッド車は動力源としてエンジンとモータを備える車両を指す。エンジン車にはディーゼル車も含まれる。電気自動車は、モータのみを駆動源として備える車両を指す。また一例として車両Hvは右側に運転席が設けられた車両とするが、車両Hvは左側に運転席が設けられた車両でも良い。以下の説明における前後、左右、上下の各方向は、車両Hvを基準として規定される。前後方向は、車両Hvの長手方向に相当する。左右方向は、車両Hvの幅方向に相当する。上下方向は、車両Hvの高さ方向に相当する。また、本開示は四輪自動車に限らず、トレーラや、二輪自動車、三輪自動車等、道路上を走行可能な多様な車両に搭載可能である。原動機付き自転車も二輪自動車に含めることができる。
<全体概要>
車載システム1及び携帯デバイス2は何れも近距離通信可能に構成されている。ここでの近距離通信とは、実質的な通信可能距離が例えば5mから30m、最大でも100m程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信を指す。ここでの近距離通信の規格としては、例えばBLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を採用することができる。近距離通信の方式としては、UWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)も採用可能である。
本実施形態では車載システム1、及び、携帯デバイス2はそれぞれ、BLE規格に準拠した無線通信(以降、BLE通信)を実施可能に構成されている場合を例にとって各部の作動を説明する。通信接続及び暗号通信などにかかる通信方法の細部はBLE規格で規定されるシーケンスによって実施される。
なお、以下では車両Hvに搭載されたBLE通信機7が携帯デバイス2との通信におけるマスターとして振る舞い、携帯デバイス2がスレーブとして振る舞うように設定されている場合について説明する。BLE通信におけるスレーブは、間欠的にアドバタイズ信号を送信するとともに、マスターからの要求に基づいてデータの送受信を実行するデバイスである。スレーブは、ペリフェラルとも称される。マスターは、スレーブとの通信接続状態や通信タイミングを制御するデバイスである。マスターは、セントラルとも称される。他の態様として、携帯デバイス2が車載システム1との通信におけるマスターとして動作するように設定されていても良い。
なお、アドバタイズ信号は、自分自身の存在を他のデバイスに通知(すなわちアドバタイズ)するための信号である。アドバタイズ信号は、アドバタイズフレームあるいはアドバタイズパケットと呼ぶことができる。アドバタイズ信号など、BLEで送受信される信号には、送信元情報が含まれている。送信元情報は、例えば携帯デバイス2に割り当てられた固有の識別情報(以降、デバイスIDとする)である。デバイスIDとしては例えばデバイスアドレスや、UUID(Universally Unique Identifier)などを採用可能である。なお、Bluetoothにおけるデバイスアドレスは、48ビットで表現されうる。また、UUIDは128ビットで表現されうる。デバイスアドレスは、固定的なパブリックアドレスであってもよいしランダムアドレスであってもよい。パブリックアドレスはEthernet(登録商標)におけるMAC(Media Access Control)アドレスに相当する。
携帯デバイス2は、車両Hvを使用するための鍵情報を保持しており、当該鍵情報を用いて車両Hvの電子キーとして機能するデバイスである。ここでの鍵情報とは、後述する認証処理で使用されるデータである。鍵情報は、車両Hvにアクセスしようとしている人物がユーザであること、つまり、車両Hvにアクセスしようとしている人物の正当性を証明するためのデータである。鍵情報は、認証鍵や、暗号鍵、鍵コードと呼ぶことができる。鍵情報は、例えばユーザが設定したパスワードを所定のハッシュ関数に入れて暗号化した文字列(値)とすることができる。鍵情報は、デバイスIDをもとに生成されても良い。
鍵情報は、携帯デバイス2毎に異なりうる。車載システム1には、携帯デバイス2毎の鍵情報がデバイスIDと対応付けられて保存登録されている。複数の携帯デバイス2は、デバイスIDの代わりに、登録順に割り当てられたキーIDで区別されてもよい。デバイスIDは、48ビット(6バイト)/128ビット(16バイト)程度の長さで表現される一方、キーIDは、1バイトなど数バイトで表現されうる。鍵情報そのものは8ビット以上の長さを有するビット列で表現されうる。鍵情報は長いほどそのセキュリティ性が強固となり好適である。鍵情報は例えば16バイト又は27バイトなどで表現されうる。鍵情報を27バイト以下とする構成によれば暗号通信における1つのパケットで鍵情報を全て送信可能となる。
車載システム1は、携帯デバイス2と、無線通信による自動的な認証処理を行う。そして、認証が成功していることを条件として、車両Hvに対するユーザの位置に応じた車両制御を実施するパッシブエントリパッシブスタートシステムを実現する。ここでの車両制御とは、ドアの施錠/開錠、電源オン/オフ、エンジン始動などである。
例えば車載システム1は、携帯デバイス2が車両Hvに対して予め設定されている施開錠エリアLx内に存在することを確認できている場合、後述するドアボタン5に対するユーザ操作に基づいて、ドアの施錠や開錠といった制御を実行する。また、車載システム1は、携帯デバイス2との無線通信によって携帯デバイス2が車室内に存在することを確認できている場合には、後述するスタートボタン6に対するユーザ操作に基づいて、エンジンの始動制御を実行する。
施開錠エリアLxとは、当該エリア内に携帯デバイス2が存在することに基づいて、車載システム1がドアの施錠や開錠といった所定の車両制御を実行するためのエリアである。施開錠エリアLxは、室外作動エリアの一種であって、パッシブエントリエリアと呼ぶこともできる。例えば、運転席用のドア付近や、助手席用のドア付近、トランクドア付近が施開錠エリアLxに設定されている。ドア付近とは、外側ドアハンドルから、所定の作動距離以内となる範囲を指す。外側ドアハンドルとは、ドアの外側面に設けられた、ドアを開閉するための把持部材を指す。
施開錠エリアLxの大きさを規定する作動距離は、例えば1.5mである。もちろん、作動距離は1mであってもよいし、0.7mであってもよい。作動距離は、セキュリティの観点から2mよりも小さく設定されている。以降では車室外のうち施開錠エリアLxよりもさらに外側となる領域を不作動エリアと称する。不作動エリアは、車両から2m以上遠方となる開錠禁止エリアを含みうる。
車載システム1による携帯デバイス2の認証は、例えばチャレンジ-レスポンス方式によって実施されうる。認証処理は、鍵情報を元に携帯デバイス2で生成されたレスポンスコードと、車両Hvが保持又は動的に生成した検証コードとを照合する処理を伴うため、照合処理と言い換えることもできる。認証処理の詳細は別途後述する。携帯デバイス2の認証が成功したということは、車両Hvにアクセスしようとしている人物が正規のユーザであると判定することに相当する。
<車載システム1の構成について>
ここでは、車載システム1の構成及び作動について述べる。車載システム1は、図1に示すように、スマートECU4、複数のドアボタン5、スタートボタン6、複数のBLE通信機7、電源ECU11、ボディECU12、ボディ系アクチュエータ13、及びボディ系センサ14を備える。部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
スマートECU4は、ドアボタン5、スタートボタン6、及びBLE通信機7のそれぞれと専用の信号線で接続されている。また、スマートECU4は、電源ECU11やボディECU12などと、車両内ネットワークNwを介して相互通信可能に接続されている。車両内ネットワークNwは、車両Hv内に構築されている通信ネットワークである。車両内ネットワークNwの規格としては、Controller Area Network(以降、CAN:登録商標)や、Ethernetなど、多様な規格を採用可能である。なお、ボディECU12などの一部は、車両内ネットワークNwを介さずにスマートECU4と専用線で接続されていてもよい。装置同士の接続形態は適宜変更可能である。
スマートECU4は、BLE通信機7等との協働により、携帯デバイス2の位置を推定する。また、スマートECU4は携帯デバイス2の位置の推定結果に応じた車両制御を他のECUとの協働によって実現する。スマートECU4は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、スマートECU4は、プロセッサ41、RAM42、ストレージ43、I/O44、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。また、本実施形態のスマートECU4は、1つのBLE通信機7が内蔵している。スマートECU4が車両用認証装置に相当する。
プロセッサ41はRAM(Random Access Memory)42と結合された演算処理のためのハードウェア(換言すれば演算コア)である。プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、RAM42へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。RAM42は揮発性の記憶媒体である。ストレージ43は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ43には、プロセッサ41によって実行される各種プログラムが格納されている。プロセッサ41がプログラムを実行することは、当該プログラムに対応する方法、例えばデバイス位置推定方法が実行されることに相当する。I/O44は、他装置と通信するための回路モジュールである。I/O44は、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されている。
ストレージ43には、携帯デバイス2毎のデバイスIDが登録されている。また、ストレージ43には、各BLE通信機7の車両Hvにおける搭載位置を示す通信機設定データが格納されている。ストレージ43が、通信機設定データが格納されている記憶装置に相当する。各BLE通信機7の搭載位置は、例えば、車両Hvの任意の位置を中心とし、車両Hvの幅方向及び前後方向の両方に平行な2次元座標系である車両座標系上の点として表現されうる。車両座標系を形成するX軸は車幅方向に平行に設定し、Y軸は車両の前後方向に平行に設定可能である。座標系の中心としては、例えば、車体の中心や、後輪車軸の中心などを採用可能である。
車載システム1が備える各BLE通信機7には固有の通信機番号が設定されている。通信機番号は、複数のBLE通信機7を識別するための情報として機能する。ストレージ43には、通信機設定データとして、各BLE通信機7の設置位置が通信機番号と対応付けられて保存されている。スマートECU4の機能詳細については別途後述する。
ドアボタン5は、ユーザが車両Hvのドアを開錠及び施錠するためのボタンである。ドアボタン5は、各ドアに設けられている外側ドアハンドル、又はその近傍に設けられている。ドアボタン5は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号を、スマートECU4に出力する。なお、ユーザの開錠指示及び施錠指示の少なくとも何れか一方を受け付けるための構成としては、タッチセンサを採用することもできる。タッチセンサは、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する装置である。タッチセンサはドアボタン5の代わりに、又は、ドアボタン5とともに外側ドアハンドルに設けられうる。
スタートボタン6は、ユーザが走行用電源をオン/オフを切り替えるためのプッシュスイッチである。走行用電源は、車両Hvが走行するための電源であって、車両がエンジン車である場合にはイグニッション電源を指す。車両Hvが電気自動車やハイブリッド車である場合、走行用電源とはシステムメインリレーを指す。スタートボタン6は駆動源(例えばエンジン)を始動させるためのスイッチと解することもできる。スタートボタン6は、ユーザによってプッシュ操作がされると、その旨を示す電気信号をスマートECU4に出力する。
BLE通信機7は、BLE規格に則って携帯デバイス2と無線通信を実施するための通信モジュールである。各BLE通信機7は、図2に示すように基板71、アンテナ72、送受信部73、及び通信マイコン74を備える。基板71は、例えばプリント基板である。基板71には、例えばアンテナ72等のBLE通信機7を構成する電子部品が設けられている。アンテナ72は、BLE通信に用いられる周波数帯、すなわち2.4GHz帯の電波を送受信するためのアンテナである。2.4GHz帯が所定周波数帯の一例に相当する。なお、BLE通信に供される周波数帯は2400MHzから2483.5MHzまでである。アンテナ72は送受信部73と電気的に接続されている。アンテナ72は複数のアンテナ素子を並べてなるアレーアンテナとして構成されていても良い。
送受信部73は、アンテナ72で受信した信号を復調し、通信マイコン74に提供する。また、通信マイコン74を介してスマートECU4から入力された信号を変調して、アンテナ72に出力し、電波として放射させる。送受信部73は、通信マイコン74と相互通信可能に接続されている。送受信部73は、受信強度検出部731と、受信位相検出部732と、を備える。受信強度検出部731は、アンテナ72で受信した信号の強度を逐次検出する構成である。受信強度検出部731が検出する受信強度を示す信号又はその測定値そのものは、RSSI(Received Signal Strength Indicator/Indication)とも呼ばれうる。受信強度検出部731が検出した受信強度は、受信信号の送信元を示すデバイスIDと対応付けられて通信マイコン74に逐次提供される。
また、受信位相検出部732は、測距のための連続波(CW:Continuous Wave)信号を受信している場合、ローカル発振器の出力信号に対する受信信号の位相角である受信位相を検出する。受信位相は、例えば受信信号のI(In-Phase)成分に対するQ(Quadrature-Phase)成分の比を入力値とするアークタンジェントの出力値に相当する。I成分の大きさは、受信信号の同相成分の強度に相当する。Q成分の大きさは、受信信号の直交成分の強度に相当する。I成分は、受信信号にローカル発振器が出力する搬送波を乗じることで得られる。また、Q成分は、ローカル発振器の出力信号の位相を90°ずらした位相シフト信号を、受信信号に乗じることで得られる。位相シフト信号は、位相を90°シフトさせる回路である移相シフト回路にローカル発振器の出力信号を通すことで得ることができる。ローカル発振器は、搬送周波数の正弦波又は余弦波を生成する回路であって、例えば電圧制御発振器(VCO:Voltage-Controlled Oscillator)などを用いて実現されている。受信位相検出部732が検出した位相は、受信信号の周波数と対応付けて通信マイコン74に出力する。受信位相は、ベースバンドまで周波数を落としたIQ信号に基づいて特定されても良い。
通信マイコン74は、スマートECU4とのデータの受け渡しを制御するマイクロコンピュータである。通信マイコン74は、CPUやRAM、ROM(Read Only Memory)等を用いて実現されている。通信マイコン74は、送受信部73から入力された受信データを順次又はスマートECU4からの要求に基づいてスマートECU4に提供する。また、通信マイコン74は、携帯デバイス2のデバイスIDを認証するとともに、スマートECU4からの要求に基づき、携帯デバイス2と暗号通信を実施する機能を備える。暗号化の方式としては、多様な方式を援用することができる。
通信マイコン74は、スマートECU4からの要求に基づいて受信強度検出部731が検出した受信強度を示すデータを、スマートECU4に出力する。なお、通信マイコン74は、スマートECU4からの要求の有無に関わらずに、受信強度データを逐次スマートECU4に出力するよう構成されていてもよい。通信マイコン74は、受信強度と同様に、自発的に又はスマートECU4からの指示に基づき受信信号の周波数ごとの位相情報をスマートECU4に出力する。
BLE通信機7は、車両Hvに少なくとも1つ設けられている。本実施形態では一例として、スマートECU4に1つのBLE通信機7が内蔵されている。また、スマートECU4の外部にも複数のBLE通信機7が、車両の複数箇所に分散配置されている。本実施形態では一例として、図3に示すようにBLE通信機7a~7c、7p~7r、7xを備える。
BLE通信機7aは、右側ドアにおけるBピラーの外側面に設けられている。BLE通信機7bは、左側ドアにおけるBピラーの外側面に設けられている。例えばBLE通信機7a、7bは、左右のドアが備えるBピラーのうち、ベルトラインの上側30cm以内となる領域に配置されている。ベルトラインはサイドウインドウの下端部に沿うラインであって、ウエストラインとも呼ばれうる。BLE通信機7cは、リアバンパの左右方向の中央部に配置されている。
BLE通信機7a~7cは、車両の外側面に設けられたBLE通信機7である室外機に相当する。室外機としてのBLE通信機7a~7cは、主として車外に存在する携帯デバイス2からの信号を受信するための構成に相当する。室外機は車両Hvに搭乗しようとするユーザが所持する携帯デバイス2からの信号を良好に受信可能なように、Bピラー又は外側ドアハンドル付近に配されることが好ましい。本実施形態では一例として、各室外機が個別の施開錠エリアLxを形成する。例えばBLE通信機7aは車両右側の施開錠エリアLxである右側エリアLxRを形成する。また、BLE通信機7bは左側の施開錠エリアLxである左側エリアLxLを形成する。BLE通信機7cは後端部付近の施開錠エリアLxである後方エリアLxBを形成する。
なお、Bピラーとしては、ドアモジュールが備えるドア側Bピラーと、車体の屋根部を備える支柱/フレームとしての車体側Bピラーとがある。ドア側Bピラーは、前席用ドア又は後席用ドアにおいて車体側ピラーと当接する部分に相当する。以下におけるBピラーとは主としてドア側Bピラーを指す。また特に断りがない場合、室外機の取り付け位置としてのドア側Bピラーとは、サイドウインドウに隣接する部分、すなわちサイドウインドウの下端部よりも上側の部分を指すものとする。他の態様として室外機は、ドア側Bピラーの窓枠よりも下側となる部分や、車体側Bピラーに配置されても良い。Bピラーは、車両Hvが備えるピラーのうち、前から2番目のピラーを指す。Bピラーはセンターピラーとも呼ばれうる。前から3番目、あるいは、後部座席の後方に位置するピラーはCピラーと呼ばれる。Aピラーとは、1番前のピラーであって、前部座席の前方に位置するピラーに相当する。
BLE通信機7pは、右側前ドアを構成する金属パネルの車内側の面部において、窓部よりも0.1m以上、下側となる位置に配置されている。例えばBLE通信機7pは、右側前ドアの室内側面において、床から20cm以内となる領域に配置されている。右側前ドアは、右側の前部座席用のドアを指す。BLE通信機7qは、車両の左側においてBLE通信機7pと対応する位置に配置されている。すなわち、BLE通信機7qは、左側前ドアを構成する金属パネルの車内側の面部において、窓部よりも0.1m以上、下側となる位置に配置されている。左側前ドアは、車両左側に設けられた前部座席用のドアを指す。BLE通信機7rはトランクルーム又は後部座席の背もたれ部の背面部に設けられている。
BLE通信機7p~7rは、車室内に設けられたBLE通信機7である室内機に相当する。室内機としてのBLE通信機7p~7rは、主として車内に存在する携帯デバイス2からの信号を受信するための構成に相当する。
室内機は、車外が見通し外となる位置に設けられていることが好ましい。或るBLE通信機7にとっての見通し外とは、当該BLE通信機7から送信された信号が直接的には到達しない領域である。なお、BLE通信機7から送信された信号は種々の構造物で反射されることによって、見通し外にも到達しうる。つまり、携帯デバイス2がBLE通信機7の見通し外に存在する場合であっても、構造物での反射や回折等によって両者は無線通信を実施し得る。
室内機は、ドアなどの金属板を挟んで室外機と対をなす位置からは外れた位置に配置されている。対をなす位置とは、金属ボディを挟んで裏表の関係にある位置をさす。より具体的には室外機からの距離が対象波長の20%未満となる範囲が、室外機と対をなす位置に相当しうる。よって、室内機は室外機から対象波長の20%以上、より好ましくは40%以上離れた位置に配置されている。ここでの対象波長は、BLE通信に供される信号の波長であって、約122mmである。よって、対象波長の20%とは約2.5cm、40%とは約5cm程度となる。上記の配置態様は、室外機から少なくとも上下又は前後方向に10cm以上離れた位置に室内機を配置した構成に相当する。
BLE通信機7xは、スマートECU4に内蔵されている。図3では一例としてスマートECU4が右側Cピラーに取り付けられている態様を示している。スマートECU4は、インストゥルメントパネル内部に収容されていてもよい。スマートECU4の収容箇所としては、インストゥルメントパネルの上面部の内側や、センターガーニッシュの内側などを採用可能である。BLE通信機7xは車室内だけでなく車外に存在する携帯デバイス2とも通信可能な位置配置されていることが好ましい。BLE通信機7xを含むスマートECU4は、車室内天井部など、窓部を介して車室外を見通せる位置に配置されていても良い。また、BLE通信機7xはスマートECU4とは別々に配置されていても良い。
なお、以上で述べたBLE通信機7の搭載位置は一例であって、適宜変更可能である。例えば室外機としてのBLE通信機7a、7bは、前部座席用の外側ドアハンドルに内蔵されていても良いし、ドア下のロッカー部分などに配置されていてもよい。ロッカー部分にはサイドシルカバーの内側部分も含まれる。BLE通信機7cの搭載位置は、リアナンバープレート付近や、リアウインドウ付近、トランク用のドアハンドル付近などであってもよい。BLE通信機7の搭載位置の説明において、或る部材の「付近」とは、当該部材から例えば30cm以内となる範囲を指す。例えばナンバープレート付近とはナンバープレートから30cm以内となる範囲を指す。ドアハンドル付近には、ドアハンドルの内部も含まれる。
室内機としてのBLE通信機7p、7qは、車体側Bピラーの根本や、運転席及び助手席の足元付近に配置されていても良い。車体側Bピラーの根本とは、床面から20cm以内となる部分を指す。BLE通信機7p、7qはインナードアハンドル付近や、ドアスイッチパネル、ドアポケット、アームレストなどに配置されていても良い。BLE通信機7rは、後部座席の中央などに埋没されていても良い。また、車載システム1が備えるBLE通信機7の数は、6個以下であっても良いし、8個以上であっても良い。車載システム1はフロントバンパ/エンブレム付近に配置されたBLE通信機7を備えていても良い。
車載システム1が備えるBLE通信機7のうち、携帯デバイス2とのデータ通信に使用されるものを本開示では代表機又はゲートウェイ通信機と称する。本開示ではBLE通信機7xが基本的には代表機として動作する。代表機の設定はプロセッサ41により動的に変更されうる。
スマートECU4は、複数のBLE通信機7の何れかを用いて、携帯デバイス2と鍵交換プロトコルの実行(いわゆるペアリング)を実施する。ペアリングによって取得した携帯デバイス2についての情報であるデバイス情報は、ストレージ43に保存されるとともに、各BLE通信機7の通信マイコン74が備える不揮発性のメモリにも保存される。デバイス情報とは、例えば、ペアリングによって交換した鍵や、デバイスIDなどである。なお、車両Hvが複数のユーザによって共用される場合には、各ユーザが保有する携帯デバイス2のそれぞれについてのデバイス情報が保存される。また、車両Hvがサービスカーである場合、スマートECU4は、鍵情報を発行するデジタルキーサーバから利用予約しているユーザに対応するデバイス情報を事前に取得して所定の記憶媒体に一時的保管しても良い。
BLE通信機7xひいては車載システム1は、携帯デバイス2から送信されてくる信号、例えばアドバタイズ信号や、スキャン応答信号を受信することで、携帯デバイス2が車載システム1と近距離通信可能な範囲内に存在することを検出する。スキャン応答信号は、マスターから発せられるスキャン要求信号に対してスレーブが発する応答信号に相当する。ここでは一例としてBLE通信機7xがマスターとして振る舞うパッシブスキャン方式にて車両周辺に存在する携帯デバイス2を検出する。車載システム1は、スキャン要求の送信を伴うアクティブスキャン方式によって携帯デバイス2を探索しても良い。2種類のスキャン方式はシーンによって使い分けられても良い。
BLE通信機7xは、携帯デバイス2からのアドバタイズ信号やスキャン応答信号を受信すると、保存済みのデバイス情報を用いて自動的に携帯デバイス2との通信接続を確立する。そして、スマートECU4が携帯デバイス2と暗号化されたデータ通信を開始する。なお、BLE通信機7xは、携帯デバイス2との通信接続を確立すると、通信接続している携帯デバイス2のデバイスIDを接続デバイス情報としてスマートECU4に提供する。
なお、BLE通信では、デバイス間の通信接続が確立している状態では、37個のチャンネルを逐次変更しながらデータの送受信を実施する。代表機としてのBLE通信機7xは、通信制御部F2に対して、携帯デバイス2との通信に使用するチャンネルを示す情報(以降、チャンネル情報)を逐次提供する。チャンネル情報は、具体的なチャンネル番号であっても良いし、使用チャンネルの遷移規則を示すパラメータ(いわゆるhopIncrement)であってもよい。HopIncrementは、通信接続時にランダムに決定される5から16までの数字である。チャンネル情報は、現在のチャンネル番号と、HopIncrementを含むことが好ましい。
スマートECU4の外部に設けられている各BLE通信機7は、専用の通信線又は車両内ネットワークNwを介してスマートECU4と相互通信可能に接続されている。各BLE通信機7は、スマートECU4が備える通信制御部F2からの制御信号に基づいて動作する。また、各BLE通信機7は受信データや、携帯デバイス2からの信号の受信状況に関する情報をスマートECU4に提供する。携帯デバイス2からの信号の受信状況に関する情報については別途後述する。
電源ECU11は、車両Hvに搭載された走行用電源のオンオフ状態を制御するECUである。例えば電源ECU11は、例えばスマートECU4やボディECU12といった、他のECUからの指示信号に基づき、走行用電源をオンに設定する。なお、車両Hvがエンジン車である場合には、電源ECU11は上記指示信号に基づきエンジンを始動させる。
ボディECU12は、スマートECU4やユーザからの要求に基づいて、ボディ系アクチュエータ13を制御するECUである。ボディECU12は、種々のボディ系アクチュエータ13や、種々のボディ系センサ14と通信可能に接続されている。ここでのボディ系アクチュエータ13とは、例えば、各ドアのロック機構を構成するドアロックモータである。ボディ系センサ14には、ドア毎に配置されているカーテシスイッチなどが含まれる。カーテシスイッチは、ドアの開閉を検出するセンサである。ボディECU12は、例えばスマートECU4からの要求に基づいて、車両Hvの各ドアに設けられたドアロックモータに所定の制御信号を出力することで各ドアを施錠したり開錠したりする。
<携帯デバイス2について>
携帯デバイス2は、BLE通信機能を備えた、携帯可能かつ汎用的な情報処理端末である。車両Hvの電子キーとして機能させるためのアプリケーションであるデジタルキーアプリ204がインストールされている。携帯デバイス2としては、例えば、スマートフォンや、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等などを採用することができる。ウェアラブルデバイスは、ユーザの身体に装着されて使用されるデバイスであって、リストバンド型、腕時計型、指輪型、メガネ型、イヤホン型など、多様な形状のものを採用可能である。
携帯デバイス2は、車両Hvの電子キーとしての専用デバイスであるスマートキーであってもよい。スマートキーは、車両Hvの購入時に、車両Hvとともにオーナに譲渡されるデバイスである。スマートキーは車両Hvの付属物の1つと解することができる。スマートキーは、扁平な直方体型や、扁平な楕円体型(いわゆるフォブタイプ)、カード型など、多様な形状を採用可能である。スマートキーは、車両用携帯機、キーフォブ、キーカード、アクセスキーなどと呼ばれうる。
携帯デバイス2は図4に示すように、デバイス制御部20、ディスプレイ21、タッチパネル22、バッテリ23、BLE通信部24、及びセルラー通信部25を備える。
ディスプレイ21は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。ディスプレイ21はデバイス制御部20からの入力信号に応じた画像を表示する。タッチパネル22は、静電容量式のタッチパネルであって、ディスプレイ21に積層されている。タッチパネル22及びディスプレイ21は、ユーザが携帯デバイス2に鍵情報を登録したり、携帯デバイス2を車載システム1とペアリングしたりするためのインターフェースに相当する。バッテリ23は、リチウムイオン電池等の2次電池である。
BLE通信部24はBLE通信を実施するための通信モジュールである。BLE通信部24の概略的な構成はBLE通信機7と同様とすることができる。BLE通信部24はデバイス制御部20と相互通信可能に接続されている。BLE通信部24は、車両Hvから送信されたデータを受信してデバイス制御部20に提供するとともに、デバイス制御部20から入力されたデータを変調して車両Hvに送信する。
セルラー通信部25は、無線基地局を介してインターネットに接続するための通信モジュールであって、例えば4Gや5Gといった規格に準拠した無線通信を実施可能に構成されている。セルラー通信部25は、例えば所定のアプリ配信サーバからデジタルキーアプリ204をインストールするためのデータパッケージを受信しうる。なお、セルラー通信部25は任意の要素であって省略されても良い。また、携帯デバイス2は4Gや5Gといったセルラー回線の代わりにWi-Fi回線でインターネットアクセス可能に構成されていても良い。
デバイス制御部20は、例えばプロセッサ201、RAM202、ストレージ203等を備えた、コンピュータとして構成されている。デジタルキーアプリ204はストレージ203などにインストールされている。また、ストレージ203には、鍵情報が保存されている。なお、デジタルキーアプリ204は、鍵情報の取得、保存、認証処理等をセキュアに行うためのアプリである。デジタルキーアプリ204は任意の要素であって省略されてもよい。
デバイス制御部20は、アドバタイズ信号を所定の送信間隔でBLE通信部24に送信させる。なお、他の態様として、携帯デバイス2は、車載システム1からの要求、例えばスキャン要求に基づいてスキャン応答を送信する態様となっていてもよい。
また、デバイス制御部20は、BLE通信部24から受信データが入力されると、この受信データに対応する応答信号に相当するベースバンド信号を生成し、BLE通信部24に出力する。例えばBLE通信部24がチャレンジコードを受信すると、当該チャレンジコードと鍵情報とをもとに所定の手順/関数を用いてレスポンスコードを生成する。そして、当該レスポンスコードを含むベースバンド信号をBLE通信部24に出力する。デバイス制御部20がBLE通信部24に出力したベースバンド信号は、BLE通信部24にて変調され、無線信号として送信される。
デバイス制御部20は、ユーザによって設定されている休止時間帯においては、レスポンスコードを返送しないように構成されていても良い。当該構成によればユーザが車両Hvを使用する意思がない状況において認証が成功する恐れを低減できる。休止時間帯は、車両Hvを使用する可能性がない時間帯に対応するように、ユーザによって手動設定されうる。例えば、ユーザが寝る時間帯や、学校又は会社に行っている時間帯などが、休止時間帯に設定されうる。休止時間帯は、ユーザの行動履歴情報から自動的に登録されても良い。ユーザの行動履歴は、GPSなどの携帯デバイス2の位置情報に基づいて特定されうる。
また、デバイス制御部20は、携帯デバイス2が一定時間以上静止している場合には、レスポンスコードを返送しないように構成されていても良い。携帯デバイス2が静止しているか否かは例えば携帯デバイス2が備える加速度センサやジャイロセンサの出力に基づき特定されうる。
なお、BLE通信部24の作動をアプリケーション単位で制御可能な場合、デバイス制御部20は、休止時間帯においては、車両Hv向けのアドバタイズの送信を停止させてもよい。そのような構成によれば不要なアドバタイズによる電力消費を抑制することができる。また、BLE通信部24の作動をアプリケーション単位で制御可能な場合、デバイス制御部20は、携帯デバイス2が一定時間以上静止していることに基づいて車両Hv向けのアドバタイズの送信を停止させてもよい。さらにデバイス制御部20は、休止時間帯であること又は一定時間以上停止していることに基づいて、車載システム1との通信接続を禁止するように構成されていても良い。
<スマートECU4の機能について>
ここでは図5を用いてスマートECU4の機能及び作動について説明する。スマートECU4は、ストレージ43に保存されているプログラムを実行することにより、図5に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、スマートECU4は機能ブロックとして、車両情報取得部F1、通信制御部F2、位置推定部F3、認証処理部F4、及び車両制御部F5を備える。通信制御部F2はサブ機能部として、強度収集部F21、代表機選択部F22、及びToF関連値取得部F23を備える。位置推定部F3はサブ機能部として車内外判定部F31及び車外位置判定部F32を備える。また、スマートECU4は、キー情報記憶部M1を備える。
キー情報記憶部M1は、車両Hvの電子キーとして利用される携帯デバイス2の情報を保存するための記憶媒体である。キー情報記憶部M1には少なくとも1つの携帯デバイス2についての情報が保存されている。キー情報記憶部M1には、携帯デバイス2毎の鍵情報が、キーIDや、デバイスID、ユーザIDなどと対応づけられて保存されている。ユーザIDは複数のユーザを識別するための識別子であってユーザごとに設定される。鍵情報には有効期限や、権限、シートポジションなどの情報が紐付けられて保存されていてもよい。
キー情報記憶部M1は、ストレージ43が備える記憶領域の一部を用いて実現されている。なお、キー情報記憶部M1は、ストレージ43とは物理的に独立した不揮発性の記憶媒体を用いて実現されていても良い。キー情報記憶部M1はプロセッサ41によるデータの書き込み、読出、削除等が実施可能に構成されている。
車両情報取得部F1は、車両Hvに搭載されたセンサやECU、スイッチなどから、車両Hvの状態を示す種々の車両情報を取得する。例えば、車両電源の状態や、各ドアの開閉状態、各ドアの施錠/開錠状態、ドアボタン5の押下の有無、スタートボタン6の押下の有無、シフトポジション等が車両情報に該当する。車両電源の状態には、走行用電源がオンであるか否かを含む。車両情報の種類は、上述したものに限らない。ブレーキペダルの踏込量/踏込力を検出するブレーキセンサの出力値や、パーキングブレーキの作動状態を示す信号もまた車両情報に含めることができる。
車両情報取得部F1は、上述した種々の情報に基づいて、車両Hvの現在の状態を特定する。例えば車両情報取得部F1は、エンジンがオフであり、全てのドアが施錠されている場合に、車両Hvは駐車されていると判定する。車両Hvが駐車されていると判定する条件は適宜設計されればよく、多様な判定条件を適用可能である。なお、ドアボタン5やスタートボタン6からの電気信号を取得することは、これらのボタンに対するユーザ操作を検出することに相当する。車両情報取得部F1はドアの開閉や、ドアボタン5の押下、スタートボタン6の押下、ドアの開閉などといった、車両Hvに対するユーザの操作を検出する。
通信制御部F2は、BLE通信機7の動作を制御する。通信制御部F2は、BLE通信機7xを用いて携帯デバイス2とデータ通信を実施する。例えば通信制御部F2は、通信接続している携帯デバイス2宛のデータを生成し、BLE通信機7xに出力する。これにより、所望のデータに対応する信号を電波として送信させる。また、通信制御部F2は、BLE通信機7xが受信した携帯デバイス2からのデータを受信する。本実施形態ではより好ましい態様としてスマートECU4と携帯デバイス2との無線通信は、暗号化して実施される。
通信制御部F2は、携帯デバイス2から送信されるBLE信号を受信したことに基づいて、ユーザが車両Hv周辺に存在することを認識する。また、通信制御部F2は、BLE通信機7xから、通信接続している携帯デバイス2のデバイスIDを取得する。車両Hvが複数のユーザによって共有される車両であっても、スマートECU4は、BLE通信機7が通信接続している携帯デバイス2のデバイスIDに基づいて車両Hv周辺に存在するユーザを特定する。
通信制御部F2は、各BLE通信機7から、携帯デバイス2からの信号の周波数ごとの受信強度を取得する。周波数ごと、通信機ごとの受信強度を取得する構成が強度収集部F21に相当する。
通信制御部F2は、携帯デバイス2の位置判定のために代表機を一時変更しうる。便宜上、BLE通信機7xを代表機に設定している状態を基本状態と称する。また、BLE通信機7x以外のBLE通信機7を代表機に設定している状態を一時変更状態と称する。代表機を変更するサブ機能部が代表機選択部F22に相当する。
通信制御部F2は、代表機としての任意のBLE通信機7に携帯デバイス2と測距用の通信を通信させることで、少なくとも代表機を基準とするToF関連値を取得する。ToF関連値は、BLE通信機7から携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示すパラメータである。測距用の通信とは、代表機としてのBLE通信機7から携帯デバイス2までの距離を測定するための通信である。BLE通信機7から携帯デバイス2までの距離は、信号の飛行時間(ToF:Time of Flight)に対応する。携帯デバイス2までの距離を特定することには、ToFを特定することと等価である。
ToFは、2周波位相差や、ラウンドトリップ時間(RTT:Round-Trip Time)に基づいて定まる。2周波位相差や、RTTがToF関連値に相当する。ToF関連値は距離関連値と呼ぶこともできる。これらToF関連値は、受信強度とは異なるパラメータである。ここでの2周波位相差は、互いに異なる2つの周波数で観測された送受信位相差の差である。2周波位相差は、周波数の変化による位相角の変位量に対応する。送受信位相差は、送信したCW信号と受信したCW信号の位相差に相当する。送受信位相差は単純に位相角とも呼ばれうる。2周波位相差及び送受信位相差は、電波を用いた測距方式の技術分野において2周波CW方式として知られているものと概念的には同じものである。
本実施形態では一例としてToF関連値として、周波数の組み合わせ毎の2周波位相差を採用する。BLE通信においては、通信に供される周波数は2以上存在するため、周波数の組み合わせが異なる2以上の2周波位相差、つまり多周波位相差が得られる。本実施形態のスマートECU4は、多周波位相差をもとにデバイス距離を推定する。
ToF関連値として多周波位相差を用いる構成において、測距用の通信とは2以上の周波数ごとの送受信位相差を特定するための通信と解することができる。複数の周波数でCW信号を送受信することが測距用の通信に該当しうる。代表機の通信マイコン74は、周波数ホッピングが行われるたびに、使用周波数での受信位相を観測する。また、通信マイコン74は、観測された受信位相をもとに送受信位相差を特定する。プロセッサ41は、代表機の通信マイコン74から周波数ごとの送受信位相差を取得する。
なお、送受信位相差の算出は、通信マイコン74から提供される受信位相情報をもとに、プロセッサ41が実施しても良い。本開示におけるデータ取得には、外部から入力される態様に限らず、内部演算によって生成/検出することも含まれる。さらにプロセッサ41は周波数毎の送受信位相差を組み合わせることにより、周波数の組み合わせごとの2周波位相差を複数セット得る。送受信位相差ひいては2周波位相差を取得するサブ機能部がToF関連値取得部F23に相当する。
その他、通信制御部F2は、代表機以外からも、周波数毎のCW信号の受信位相を示すデータを取得しうる。通信制御部F2は、各BLE通信機7での携帯デバイス2からの信号の受信状況を示すデータを、例えば位置推定部F3など、他の機能/回路モジュールにも提供する。なお、通信制御部F2は、携帯デバイス2からの信号の受信状況を示す情報として、信号の到来方向を取得しても良い。信号の到来方向の推定は、例えばMUSIC法やESPRIT法などの多様な手法にて実施可能である。受信強度や、位相、到来方向などは受信信号の特徴と呼ぶことができる。
位置推定部F3は、各BLE通信機7での携帯デバイス2からの信号の受信状況に基づいて、携帯デバイス2の位置を推定する。本開示では携帯デバイス2の位置をデバイス位置とも表現しうる。携帯デバイス2は、ユーザに対応するものであるため、携帯デバイス2の位置を推定することは、ユーザの位置を推定することに相当する。
位置推定部F3は、BLE通信機7xが少なくとも1つの携帯デバイス2と通信接続している間、所定の推定間隔で、デバイス位置の推定処理を逐次実行する。推定間隔は100ミリ秒とすることができる。推定間隔は200ミリ秒や150ミリ秒などであってもよい。位置推定部F3による位置推定処理については、別途後述する。なお、位置推定部F3は、携帯デバイス2からの信号を受信している場合には、通信接続していなくとも、当該受信信号に基づいて送信元の位置を推定するように構成されていても良い。位置推定部F3は、複数の携帯デバイス2からの信号を受信している場合には、複数の携帯デバイス2のそれぞれに対して位置を推定する処理を並列的に実施しうる。位置推定部F3は、携帯デバイス2として登録されている端末に限らず、未登録の端末に対してもその位置を判定するように構成されていてもよい。
位置推定部F3のサブ機能部としての車内外判定部F31は、BLE通信機7で観測される携帯デバイス2からの信号の受信強度に基づいて、携帯デバイス2が車室内に存在するか否かを判定する構成である。また、車外位置判定部F32は、後述するToF関連値に基づいて定まる室外機から携帯デバイス2までの距離情報に基づいて、携帯デバイス2が施開錠エリアLx内に存在するか否かを判定する構成である。本開示では携帯デバイス2が車室内に存在するか否かを判定することを、車内外判定とも称する。また、本開示では携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在するか否かを判定することを、施開錠エリア判定とも称する。車内外判定部F31及び車外位置判定部F32としての位置推定部F3/プロセッサ41の作動の詳細については別途後述する。
認証処理部F4は、BLE通信機7xと連携して、通信相手が携帯デバイス2であることを確認(換言すれば認証)する処理を実施する。認証のための通信は、暗号化されて実施される。認証処理自体は、チャレンジ-レスポンス方式など多様な方式を用いて実施されればよい。例えば認証処理部F4は、所定の/ランダムに生成されるチャレンジコードを携帯デバイス2に向けて送信する。また、当該チャレンジコードに、通信相手のデバイスID/キーIDに応じた鍵情報を用いて所定の手順により検証用コードを生成する。そして、通信相手から返送されてきたレスポンスコードと検証用コードとを照らし合わせ、両者が一致していることに基づいて認証成功と判定する。
認証処理部F4が認証処理を実施するタイミングは、例えばBLE通信機7と携帯デバイス2との通信接続が確立したタイミングとすることができる。認証処理部F4は、BLE通信機7と携帯デバイス2とが通信接続している間、所定の周期で認証処理を実施するように構成されていても良い。また、ユーザによってスタートボタン6が押下された場合やドアが開閉された場合など、車両Hvに対する所定のユーザ操作をトリガとして認証処理のための通信を実施するように構成されていても良い。
車両制御部F5は、認証処理部F4による携帯デバイス2の認証が成功していることを条件として、携帯デバイス2(換言すればユーザ)の位置及び車両Hvの状態に応じた車両制御を、ボディECU12等と協働して実行する構成である。車両Hvの状態は、車両情報取得部F1によって判定される。デバイス位置は、位置推定部F3によって判定される。例えば車両制御部F5は、位置推定部F3によって携帯デバイス2は車室内に存在すると判定されており、かつ、スタートボタン6がユーザによって押下されたことを検出した場合には、電源ECU11と連携してエンジンを始動させる。車室内は、パッシブスタートエリアと呼ぶことができる。
<接続関連処理>
ここでは図6に示すフローチャートを用いて接続関連処理について説明する。接続関連処理は、ユーザとともに車両Hvに接近する携帯デバイス2と通信接続するための処理である。接続関連処理は、主として車両Hvが駐車されている状態において、所定のスキャン間隔で実行される。スキャン間隔は100ミリ秒や200ミリ秒などに設定されうる。接続関連処理はステップS11~S15を含む。接続関連処理は、プロセッサ41がBLE通信機7xと連携して実施する。なお、本開示の種々のフローチャートは何れも一例であって、各フローチャートが備えるステップ数や処理順序は、適宜変更可能である。
まずステップS11では通信制御部F2が、BLE通信機7xを待受状態に設定し、携帯デバイス2の探索(いわゆるスキャニング)を実施させる。ここでの待受状態とは、アドバタイズ信号を受信可能な状態を指す。ステップS11でのスキャニングの結果、携帯デバイス2が1つも検出されなかった場合にはステップS12以降の処理は省略して本フローを終了する。
ステップS12では、BLE通信機7xにステップS11でのスキャニングで検出した携帯デバイス2と通信接続させる。通信接続は、接続要求の送信とその応答とをやり取りすることで実現されうる。プロセッサ41は、アドバタイズ信号等に含まれる送信元情報等に基づき、通信相手を特定する。スキャニングから通信接続、暗号通信の開始にかかる詳細なシーケンスは、BLE規格に準拠して実施されれば良い。
ステップS12では、例えばチャレンジコードと、キー情報記憶部M1に保存されている通信相手の鍵情報とを用いて、通信相手の認証処理を実施する。チャレンジコードは、乱数表など用いて生成される所定長の乱数を採用することができる。通信相手の認証が成功した場合にはステップS15に移り、スタンバイモードに移る。スタンバイモードは、別途図7を用いて別途説明するように、ドアボタン5等に対するユーザ操作に基づいて、開錠/施錠、走行用電源のオン/オフ切り替えなどを実施可能な状態に相当する。スタンバイモードは、1つの側面において正規の携帯デバイス2が車両周辺に存在するとプロセッサ41が認識している状態に対応する。車両周辺とは施開錠エリアLxや車室内が含まれる。
本実施形態では一例として、認証成功との判定結果には有効期限が設定される。有効期限が切れると再認証を実施する。有効期限内においては認証処理を省略可能となるため、携帯デバイス2及びスマートECU4での消費電力を抑制できる。また、有効期限ごとに認証処理が実行されるため、車両Hvが不正に使用される恐れを低減できる。有効期限は走行中か否かなどのシーンによって変更されても良い。走行中に携帯デバイス2が車室外に移動する可能性は小さいため、走行中の有効期限は停車中よりも所定量長く設定されてもよい。例えば停車中の有効期限は1秒や2秒、5秒などに設定される一方、走行中の有効期限は10秒や20秒などに設定されうる。また、認証処理部F4は、ドアの開閉など、所定のイベントを検知したら有効期限が残っていても認証処理を再度実行するように構成されても良い。
スマートECU4は携帯デバイス2の認証に失敗した場合、認証処理を再度実行しても良いし、認証が成功していないことをユーザが認識可能なように車載設備を動作させてもよい。例えば、認証に成功していない場合には、車載ディスプレイ/ディスプレイ21に所定の認証失敗画像を表示しても良いし、サイドミラー等に設けられた灯火装置を所定パターンで点灯させても良い。スマートECU4は認証失敗時、所定の制御信号を送信する事により、ディスプレイ21に認証失敗画面を表示させてもよい。認証未成功であることは、ドア周りの路面に向けて光を発するウェルカムライトの照射光の色によって表現されてもよい。
<スタンバイモード時の作動について>
スタンバイモード時におけるスマートECU4の作動について図7に示すフローチャートを用いて説明する。スタンバイモード時、プロセッサ41は、一例として図7に示すステップS21~S28を順次実行する。
スタンバイモード中、プロセッサ41はステップS21として、各BLE通信機7から携帯デバイス2の位置を特定するための情報である位置推定用情報を逐次取得する。位置推定用情報とは例えば受信強度である。受信位相も位置推定用情報に含めることができる。ToF関連値もまた、位置推定用情報の一種に相当する。プロセッサ41は、携帯デバイス2が車室外に存在すると判定している場合、各室外機から位置推定用情報として、周波数ごとの送受信位相差、又は、周波数の組み合わせ毎の2周波位相差を取得しうる。さらに、ToF関連値としてRTTを採用するシステム構成においては、プロセッサ41は各室外機からRTTを取得しうる。BLE通信機7毎のToF関連値は、複数のBLE通信機7に順次測距用の通信を実施させることにより取得可能である。なお、別途後述するようにスニッフィング方式を援用することにより、各BLE通信機7が個別に携帯デバイス2と双方向通信を実施することなく、個々のBLE通信機7を起点とするToF関連値を取得可能である。
ステップS22は、プロセッサ41(位置推定部F3)が、ステップS21で各BLE通信機7から取得した位置推定用情報に基づき、デバイス位置を判定するステップである。具体的にはプロセッサ41は、デバイス位置が車室内か否か、及び、もし車室外にあると判定している場合には、施開錠エリアLx内か否かを判定する。また、携帯デバイス2が施開錠エリアLx内に存在すると判定している場合、プロセッサ41は最寄り通信機のIDに応じて、右側エリアLxR、左側エリアLxL、及び後方エリアLxBの何れに存在するかを特定する。デバイス位置の判定方法については別途後述する。
ステップS22は、プロセッサ41がドアボタン5やスタートボタン6、カーテシスイッチなどからの信号に基づき、車両に対して所定のユーザ操作が行われたか否かを判定するステップである。プロセッサ41は、ユーザ操作に対応する信号が入力された場合には、ステップS24としてユーザが操作した部材、デバイス位置、及び車両Hvの状態に応じた車両制御を実行する。例えばプロセッサ41(車両制御部F5)は、車両Hvが施錠された状態において、操作部材がドアボタン5であり、かつ、デバイス位置も施開錠エリアLx内と判定されている場合には、ドアを開錠する。また、プロセッサ41は、操作部材がスタートボタン6であり、かつ、デバイス位置も車室内と判定されている場合には、走行用電源をオンに設定する。その他、プロセッサ41は、所定の施錠条件が充足している状態において、ドアボタン5が押下された場合、ドアを施錠する。施錠条件としては、車両Hvが開錠されていること、走行用電源がオフであること、シフトポジションがパーキング又はニュートラルに設定されていること、デバイス位置が施開錠エリアLx内と判定されていることなどを採用することができる。
なお、車両制御部F5は、位置推定部F3が判定しているデバイス位置と、操作ボタン位置が整合していない場合には車両制御の実行をキャンセルしうる。操作ボタン位置とは、ユーザによって押下されたボタンの位置を指す。デバイス位置と操作ボタン位置が整合していない場合とは、例えば、携帯デバイス2が助手席やトランク付近など、運転席から離れた位置にある状況において、運転席用のドアボタン5が押下された場合が該当する。また、携帯デバイス2が車室外に存在すると判定されている状況において、スタートボタン6が押下された場合も、携帯デバイス2の位置と操作ボタン位置が整合していないケースに該当しうる。なお、ボタンの代わりにタッチセンサが適用される場合には、操作ボタン位置はタッチ位置と読み替えることができる。操作ボタン位置やタッチ位置は操作部材位置の概念に含まれる。
ステップS25は、認証結果の有効期限が切れたか否か、すなわち、ステップS14又は後述するステップS26において認証成功と判定してからの経過時間が所定時間以上となったか否かを判定する。最後に認証成功と判定してから所定時間経過していない場合、つまり有効期限内である場合にはステップS21に戻る。一方、最後に認証成功と判定してから所定時間経過している場合、プロセッサ41はステップS26として、携帯デバイス2を認証するための通信を再度実行する。
ステップS26の再認証処理の結果として認証成功と判定された場合には、スタンバイモードを継続する。つまり、ステップS21以降の処理が順次実行される。一方、認証に失敗した場合には、プロセッサ41はステップS28として、スタンバイモードを解除する。なお、スタンバイモードは、認証処理が規定回数連続して失敗したことに基づいて解除されても良い。また、プロセッサ41は、認証に失敗した場合に限らず、携帯デバイス2が所定の認証状態維持エリアから離脱したことを検知した場合に、スタンバイモードを終了してもよい。スタンバイモードを終了させることは、認証結果を破棄することに対応する。認証状態維持エリアは、例えば車室内及び施開錠エリアLxを統合した領域である。
<デバイス位置の判定方法について>
ここでは携帯デバイス2の位置の判定方法について説明する。デバイス位置の判定は、例えば車室内に存在するか否かを判定する車内外判定処理と、施開錠エリアLx内に存在するか否かを判定する施開錠エリア判定処理に分けることができる。
まずは図8を用いて車内外判定処理について説明する。車内外判定処理は一例としてステップS31~S36を備える。車内外エリア判定処理は、スタートボタン6が押下されたことをトリガとして実行されうる。また、車内外判定処理は、施錠に向けた処理として、車両Hvが開錠されている状態において、ドアボタン5が押下されたことをトリガに実行されても良い。車内外判定処理は、車両Hvが開錠されている場合、あるいは、走行用電源がオンに設定されている状態において、推定間隔で定期的に実行されてもよい。
ステップS31は各BLE通信機7から、携帯デバイス2からの信号の受信強度を収集するステップである。受信強度の収集は随時実行されうる。なお、携帯デバイス2からの信号の受信強度を特定する上では、すべてのBLE通信機7が携帯デバイス2と通信接続する必要はない。図9に示すように、代表機としてのBLE通信機7x以外のBLE通信機7は、携帯デバイス2が発した信号の受信強度の観測のみを実行するように構成されていても良い。代表機以外のBLE通信機7を、本開示では観測機又は傍聴機と称する。観測機は、信号送信はせずに受信のみを行うBLE通信機7に相当する。
図9に示すSg_Dは、携帯デバイス2からBLE通信機7x/不特定多数に向けられて送信された信号を示している。Sg_Dは、コネクション確立後はデータ信号である。コネクション確立前はアドバタイズ信号である。Sg_DはCW信号であってもよい。RSSIは受信強度を意味する。
ところで、コネクション確立後のデータ通信時は周波数ホッピングが行われるため、通常は、通信接続しているBLE通信機7xしか携帯デバイス2からのデータ信号を捕捉できない。つまり、観測機は携帯デバイス2からの信号を観測できなくなる。そこでスマートECU4は、代表機としてのBLE通信機7xから取得したチャンネル情報及びデバイスIDを、各観測機に参照情報として配信する。
各観測機は、参照情報に示されるチャンネル情報によって、BLEで使用可能な多数のチャンネルのうち、何れのチャンネルを受信すれば、携帯デバイス2からの信号を受信できるのかを認識可能となる。その結果、観測機は、通信接続せずとも携帯デバイス2からの信号の受信強度等を検出及び報告可能となる。
このように代表機に携帯デバイス2と双方向通信を実施させるとともに、携帯デバイス2から代表機に向けて送られた信号の観測機での受信状況に基づいてデバイス位置を判定する方式を、本開示ではスニッフィング方式とも称する。スニッフィング方式によれば、携帯デバイス2が通信接続するBLE通信機7を最小で1台に抑制可能となるため、携帯デバイス2での消費電力を抑制可能となる。また、スニッフィング方式によれば複数のBLE通信機7から携帯デバイス2までの距離を示す指標を並列的に収集可能となるため、携帯デバイス2を所持したユーザの接近に対するシステム応答性を高めることができる。もちろん、他の態様としては、各BLE通信機7が個別に携帯デバイス2と双方向通信を実施し、受信強度や受信位相などの情報をスマートECU4に提供してもよい。
ステップS31に続くステップS32は、直近一定時間以内において少なくとも1つの室内機で観測された携帯デバイス2からの信号の受信強度を元に、室内機観測強度(RSS_In)を決定するステップである。例えば位置推定部F3は、室内機観測強度を決定するための準備処理として、室内機毎の個別強度代表値を算出する。そして、位置推定部F3は、室内機ごとの個別強度代表値のうちの最大値を室内機観測強度として採用する。
個別強度代表値は、単一の室内機において直近所定時間以内に観測された携帯デバイス2からの信号の受信強度を代表的に示す値である。ここでは一例として、個別強度代表値は、直近100ミリ秒又は200ミリ秒以内の受信強度の平均値とする。1つの個別強度代表値、あるいは、室内機観測強度を決定するための受信強度のサンプリング期間は適宜変更可能である。このような個別強度代表値は、受信強度の移動平均値に相当する。
個別強度代表値は、所定の1つの周波数について算出されてもよいし、複数周波数の受信強度をもとに決定されても良い。また、個別強度代表値は周波数ごとに算出されても良い。代表値は、平均値ではなく、中央値又は最大値であってもよい。さらに、母集団から外れ値を除外したものの平均値、中央値、又は最大値であってもよい。外れ値は、もとの母集団の平均値又は中央値から標準偏差の2倍又は2倍以上離れた値とすることができる。外れ値判定の方法としては、スミルノフグラブス検定や、トンプソン検定など多様な方法を援用できる。なお、個別強度代表値は、必ずしも複数時点での観測値に基づいて決定する必要はない。個別強度代表値は、任意の1つの時点での観測値、例えば最新の受信強度の観測値であっても良い。
また、室内機観測強度は、上記以外の方法で決定されても良い。例えば、次に述べるステップS42~S42と同様の手法により、室内機のうち、携帯デバイス2から最も近いBLE通信機7である最寄り室内機を特定し、当該最寄り室内機での個別強度代表値を室内機観測強度として採用しても良い。なお、最寄り室内機は、最寄り室外機から最も近い室内機であってもよい。プロセッサ41は、通信機設定データを参照し、最寄り室外機から最も近い位置に配置されている室内機を最寄り室内機として採用しても良い。
ステップS32は、直近一定時間以内において少なくとも1つの室外機で観測された携帯デバイス2からの信号の受信強度を元に、室外機観測強度(RSS_Out)を決定するステップである。室外機観測強度の決定方法自体は、室内機観測強度の決定方法と同様とすることができる。
ステップS34では、室内機観測強度(RSS_In)と室外機観測強度(RSS_Out)が車内判定条件を充足しているか否かを判定する。車室内判定条件は、携帯デバイス2が車室内に存在すると判定する条件である。例えば位置推定部F3は、室内機観測強度から室外機観測強度を減算してなる内外差分値(ΔRSS)が、所定の差分閾値(ThGap)よりも大きい場合に、携帯デバイス2は車室内に存在すると判定する(ステップS35)。つまり、RSS_In-RSS_Out=ΔRSS>ThGapを充足する場合、携帯デバイス2は車室内に存在すると判定する。また、内外差分値が差分閾値以下である場合、すなわちΔRSS≦ThGapを充足する場合には、携帯デバイス2は車室外に存在すると判定する(ステップS36)。差分閾値は、5dBや10dB、20dBなどである。差分閾値は0であってもよい。差分閾値を0とする構成は、室内機観測強度が室外機観測強度よりも大きいことに基づいて携帯デバイス2が車室内に存在すると判定する構成に相当する。
また、位置推定部F3はΔRSS≦ThGapを充足する場合であっても、室内機観測強度(RSS_In)が所定の室内判定値(ThIn)を超過している場合には携帯デバイス2は車室内に存在すると判定してもよい。つまり、RSS_In>ThInを充足する場合には、ΔRSSによらずに、携帯デバイス2は車室内に存在すると判定してもよい。ここで使用される室内判定値(ThIn)は、携帯デバイス2は車室内に存在すると判定するための室内機観測強度に対する閾値である。室内判定値は適宜試験等によって設計される。室内判定値は、誤判定の可能性を抑制できるよう十分に大きい値に設定されている。例えば、室内判定値は車室内にキーデバイスKdが存在する場合に観測されうる室内機観測強度の最大値から10dBほど小さい値に設定されている。
また、位置推定部F3は、ΔRSS>ThGapを充足する場合であっても、室外機観測強度(RSS_Out)が室外判定値(ThOut)を超過している場合には携帯デバイス2は車室外に存在すると判定してもよい。つまり、RSS_Out>ThOutを充足する場合には、ΔRSSによらずに、携帯デバイス2は車室外に存在すると判定してもよい。ここで使用される室外判定値(ThOut)は、携帯デバイス2は車室外に存在すると判定するための室外機観測強度に対する閾値である。室外判定値もまた適宜試験等によって設計される。室外判定値もまたは、誤判定の可能性を抑制できるよう十分に大きい値に設定されている。例えば、室外判定値は施開錠エリアLx内にキーデバイスKdが存在する場合に観測されうる室外機観測強度の最大値から10dBほど小さい値に設定されている。さらに、位置推定部F3は、ΔRSS>ThGapを充足する場合であっても、所定の室内機からのデバイス距離が所定値以上であることに基づいて、携帯デバイス2が車室外に存在すると判定しても良い。例えば位置推定部F3は、BLE通信機7xからの距離が3m以上である場合には、ΔRSS>ThGapを充足する場合であっても携帯デバイス2は車室内に存在しないと判定しても良い。
次に図10を用いて施開錠エリア判定処理について説明する。施開錠エリア判定処理は一例としてステップS41~S46を備える。施開錠エリアLx判定部処理は、例えば前述の車内外判定処理の結果として、携帯デバイス2は車室内には存在しない、換言すれば車室外に存在すると判定されていることを条件として実施されうる。施開錠エリアLx判定処理は、通信接続している携帯デバイス2が存在することを条件として、例えば200ミリ秒毎など、所定の周期で実施されうる。また、施開錠エリア判定処理は、ドアボタン5が押下されたことをトリガとして実行されうる。
ステップS41は、複数の室外機に順番に携帯デバイス2と測距用の通信を実施させるステップである。本実施形態ではToFを間接的に示すパラメータとして、多周波位相差を採用する。故にスマートECU4は、複数の室外機に順番に携帯デバイス2とCW信号を送受信させることにより、多周波位相差の算出材料となる個々の周波数での送受信位相差を取得する。通信制御部F2は、例えばBLE通信機7a、7b、7cの順に測距用の通信を実施させる。室外機による測距用の通信は代表機を一時的に変更することにより実施されうる。つまりステップS41は代表機を順番に変更する処理を含みうる。CW信号や、RTTを計測するための信号が測距用の所定信号に相当する。
CW信号の送受信による送受信位相差の算出方法としては多様な方式を採用可能であり、その具体例については多別途後述する。なお、BLEでは周波数ホッピングによって使用周波数は経時変更される。ToF関連値取得部F23としてのプロセッサ41は各周波数でCW信号を送受信させることにより、複数の周波数における送受信位相差を室外機毎に収集する。プロセッサ41は、同一の室外機で観測された周波数ごとの送受信位相差を組み合わせることにより、周波数の組み合わせ毎の2周波位相差を算出する。プロセッサ41は当該2周波位相差の算出処理を室外機毎に実施することにより、各室外機での多周波位相差情報を取得する。
ステップS42は、ステップS41で収集した観測値をもとに各室外機から携帯デバイス2までの距離を推定するステップである。位置推定部F3は、S41で収集された室外機毎の多周波位相差情報に基づいて、各室外機から携帯デバイス2までの距離を推定する。なお、デバイス距離の推定処理は、スマートECU4ではなく、各BLE通信機7の通信マイコン74が実施しても良い。位置推定部F3の機能の一部は通信マイコン74が備えていても良い。
なお、2周波位相差をΔφ、電波の伝搬速度をC(3×10^8m/sec)、2つの周波数の差をΔf、携帯デバイス2までの距離をLとすると、L=C・Δφ/(2πΔf)の関係を有する。ただし、1組の周波数による2周波位相差には、マルチパス等に由来する誤差が含まれうる。一方、周波数毎にマルチパスの影響度合いは異なる。そのような事情から、プロセッサ41は、2組以上の2周波位相差に基づいてデバイス距離を特定する。当該構成によれば、測距精度を高める効果が期待できる。もちろん、他の実施形態として位置推定部F3は1つの2周波位相差に基づいてデバイス距離を推定してもよい。
また、位置推定部F3は、2周波位相差ではなく、RTTを元にデバイス距離を推定しても良い。RTTは、応答要求信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間である。RTTを用いる場合、室外機毎のデバイス距離は、各室外機が個別に携帯デバイス2と測距用の信号を送受信することで特定可能である。RTTを用いて測距を行う場合の測距用の信号とはCW信号である必要はない。RTTを取得するための測距用の信号としては、任意のビット列を含む任意の構成を採用可能である。位置推定部F3は、任意の1つの周波数でのRTTの観測値をもとにデバイス距離を推定しても良いし、複数の周波数でのRTTの観測値の平均又は中央値をもとにデバイス距離を推定しても良い。
ステップS42はステップS42の結果に基づいて、室外機のうち、携帯デバイス2から最も近いBLE通信機7である最寄り室外機を特定する。ステップS44は、最寄り室外機から携帯デバイス2までの距離が所定値未満であるか否かを判定する。ステップS44の判定処理で使用される所定値としては、前述の作動距離を採用可能である。
最寄り室外機から携帯デバイス2までの距離が作動距離未満である場合にはステップS45に移り、携帯デバイス2は施開錠エリアLx内に存在すると判定する。一方、最寄り室外機から携帯デバイス2までの距離が作動距離以上である場合にはステップS46に移り、携帯デバイス2は施開錠エリアLx外であると判定する。ステップS44は、ステップS42で観測された複数のBLE通信機7ごとの距離の中の最小値が作動距離未満であるか否かを判定する処理と解することができる。
なお、位置推定部F3は、最寄り室外機から携帯デバイス2までの距離が作動距離未満であることに加えて、最寄り室外機での受信強度が室内機観測強度よりも大きいことを条件として、携帯デバイス2が施開錠エリアLx内に存在すると判定してもよい。ここで使用される室内機観測強度は、複数の室内機での受信強度の代表値(例えば最大値)であってもよいし、最寄り室外機から最も近い室内機での受信強度であってもよい。
位置推定部F3による携帯デバイス2の位置の判定結果、つまりデバイス位置情報はRAM42に保存される。また、デバイス位置情報は多様なプログラム/機能部によって参照により使用される。また、位置推定部F3は、ステップS41~S42により特定された最寄り室外機と携帯デバイス2との距離情報も、デバイス位置情報として、RAM42に逐次保存する。つまり、RAM42には、携帯デバイス2が、車室内、施開錠エリアLx内、及び施開錠エリアLx外の何れに存在するかだけでなく、最寄り通信機との距離情報も保存されうる。位置推定部F3は、最寄り通信機だけでなく、その他のBLE通信機からのデバイス距離もRAM42に保存してもよい。各データは、取得時刻を示すタイムスタンプとともに保存されうる。
位置推定部F3は、BLE通信機7xが複数の携帯デバイス2からの信号を受信している場合には、携帯デバイス2ごとに、車両Hvに対する相対位置や距離を特定する。また、位置推定部F3は、通信接続している携帯デバイス2のIDなどにより、当該デバイスがスマートキーであるかを判別しうる。
なお、位置推定部F3は、車両Hvが駐車されている状態、すなわち施錠されてあって且つ走行用電源がオフである場合には、携帯デバイス2は車室外に存在するものとみなして、施開錠エリア判定のみを実施するように構成されていても良い。つまり、アンロックに向けられたシーンにおいては施開錠エリア判定のみを実施してもよい。また、車両が開錠されている場合には、車内外エリア判定と施開錠エリア判定を順次実行してもよい。位置推定部F3は、車両Hvが開錠されている状態においてドアボタン5が押下されたことをトリガとして、車内外判定処理、施開錠エリア判定処理の順にじっこうしてもよい。施錠は、携帯デバイス2の車内閉じ込めを抑制するために、携帯デバイス2が車内に存在しないことを確認した上で実施されることが好ましい。
<効果等について>
上記構成は、車内外判定と施開錠エリア判定とで、判定に使用する物理パラメータを変える構成に相当する。すなわち、プロセッサ41は、車内外判定に関しては携帯デバイス2からの信号に対する室外機及び室内機での受信強度を用いて実施する一方、施開錠エリア判定に関しては、2周波位相差やRTTといったToF関連値を用いて実施する。
車室内と車室外との間には、車両のボディといった電波の伝搬を阻害する要素が存在する。そのため、携帯端末が車室内に存在するのか車室外に存在するのかに応じて、携帯端末から送信された信号の室外機、室内機での受信強度には有意な差が生じうる。しかしながら、施開錠エリアLxと不作動エリアとの間には車両のボディのような構造体は存在しない。施開錠エリアLxと不作動エリアは空間的に連続しているため、携帯デバイス2からの信号の受信強度に有意な差が生じにくい。
また、BLE通信は、LF(Low Frequency)帯の電波ではなく、高周波電波を用いる。そのため、マルチパスや人体の影響等によって携帯デバイス2からの信号の受信強度は不安定となりやすい。よって、室外機における携帯デバイス2からの信号の受信強度が強いからといって、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在するとは限らない。同様に、室外機における携帯デバイス2からの信号の受信強度が小さいからといって携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在しないとは限らない。
上記構成によれば、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在するか否かは、室外機が携帯デバイス2と通信することで定まるToF関連値、具体的には多周波位相差やRTTに基づいて判別する。多周波位相差のもととなる送受信位相差やRTTといったToF関連値は、人体の影響を受けにくく、受信強度に比べてデバイス距離に応じた値を取ることが期待できる。故に、携帯デバイス2が車室外のうちの施開錠エリアLxに存在するのか不作動エリアに存在するのかを、単純に受信強度の強弱によって判別する構成に比べて精度良く判定可能となる。なお、本開示における高周波電波とは、900MHz以上の電波を指す。高周波電波には1GHz以上の電波に限らず、920GHzなどのサブギガ帯の電波も含まれる。
一方、位置推定部F3は携帯デバイス2が車室内に存在するのか否かに関しては、室外機及び室内機での受信強度を用いて判定する。具体的には、室外機での受信強度と室内機での受信強度の相対比較、及び/又は、各受信強度の閾値比較によって携帯デバイス2が車室内に存在するのか否かを判定する。前述の通り、車室内と車室外との間には、車両のボディといった電波の伝搬を阻害する要素が存在するため、室外機及び室内機での受信強度を用いて所望の精度で判定可能となる。また、受信強度は、2周波位相差やRTTといったToF関連値に比べて簡易に計測可能である。加えて、受信強度の計測に際しては、双方向通信は不要である。よって、ToF関連値を用いて内外判定を行う構成よりも、プロセッサ41や通信マイコン74等での処理負荷を低減することができる。
上記実施形態では、室外機がドア付近に搭載されているため、車内外判定と施開錠エリア判定とで室外機を兼用可能となる。当該構成によれば、車内外判定用の通信機とは別に及び施開錠エリア判定用の通信機を設ける構成よりもコストを低減することが可能となる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、以上で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については上記説明を適用することができる。
<デバイス位置に応じた送信強度の調整>
通信制御部F2は、車両Hvから携帯デバイス2までの距離、換言すればデバイス位置に応じて、BLE通信機7の電波出力の強度を変更しても良い。例えば、車両Hvから所定距離以内に携帯デバイス2が存在すると判定している場合には、BLE通信機7での送信電力を、所定の標準レベルよりも所定量低い抑制レベルに変更しても良い。当該構成によれば、車載システム1での消費電力を低減できる。
図11は上記技術思想に対応するプロセッサ41の作動例を示したものである。図11に示すフローチャートは、携帯デバイス2と通信接続していることを条件に、逐次実施されうる。まず、プロセッサ41は、例えば施開錠エリア判定処理の結果としてのデバイス位置を取得する(ステップS51)。つまり、プロセッサ41は各室外機でのデバイス距離を取得する。そして、プロセッサ41はデバイス距離が所定値未満である室外機が存在することに基づいて(ステップS52 YES)、各室外機での送信電力を標準レベルから抑制レベルまで下げさせる(ステップS52)。また、プロセッサ41はBLE通信機7xを介して、携帯デバイス2に向けて、所定の電力抑制指示信号を送信する(ステップS54)。電力抑制指示信号は、送信電力を所定量抑制させる指示信号である。
ステップS52で使用する閾値は、例えば2mや、5mなどとすることができる。上記ステップS51~S52の処理を実施する構成によれば、車載システム1の消費電力を低減できる。また、携帯デバイス2が車両Hv周辺に存在することを条件としてステップS54を実施する構成によれば、携帯デバイス2での消費電力も抑制可能となる。
なお、送信電力の調整は、例えば図12に示すようにデバイス位置に応じて多段階で実施されても良い。図12ではステップ状に送信電力を変更する態様を示しているが、最寄り室外機からの距離に応じて送信電力を曲線状、直線状に変更しても良い。なお、図12に示すPs0は標準レベルであり、Ps1~Ps2は抑制レベルに相当する。Ps1~Ps2は、Ps1>Ps2>Ps2の関係を有する。
例えば通信制御部F2は携帯デバイス2が車両Hvから5m以上離れている場合には標準レベル(Ps0)を適用し、携帯デバイス2が2m以上5m未満の位置に存在する場合には第1の抑制レベル(Ps1)を適用する。車両Hvから携帯デバイス2までの距離としては、各室外機を基準とするデバイス距離の最小値を採用することができる。携帯デバイス2が車外において車両Hvから2m以内に存在する場合には第2の抑制レベル(Ps2)を適用する。携帯デバイス2が車室内に存在する場合には第2の抑制レベル(Ps2)を適用する。図12に示すようにデバイス位置に応じたきめ細やかな電力制御を行う構成によれば、より一層の節電効果が期待できる。また、BLE通信機7の送信電力を抑制している状態においては、車両周辺に存在する携帯デバイス2とは別の遠方に存在する携帯デバイス2が応答する恐れを低減できる。
また、プロセッサ41は、携帯デバイス2が車室外に存在すると判定している場合には、携帯デバイス2の位置に応じて、携帯デバイス2でのBLE信号の送信電力を抑制させても良い。抑制量は図12に例示するように近ければ近いほど大きくしてもよい。携帯デバイス2における送信電力の抑制は、電力抑制指示信号を送信することで実現されうる。電力抑制指示信号は、標準レベルに対する抑制量、又は、目標レベルを含んでいても良い。携帯デバイス2に送信電力を抑制させている場合、位置推定部F3は、車内外判定にかかる閾値又は受信強度の観測値に対し、送信電力の抑制量に応じた補正をかけて車内外判定を行ってもよい。
その他、通信制御部F2はデバイス位置に応じて通信頻度/通信間隔を変更しても良い。例えば、車両Hvから5m以内に携帯デバイス2が存在している場合には、所定の標準間隔で通信を実施する。一方、車両Hvから5m以内に携帯デバイス2が存在していない場合には、標準間隔よりも所定量長い節電間隔で通信を実施する。標準間隔を25ミリ秒や50ミリ秒、100ミリ秒などとすると、節電間隔は、200ミリ秒や400ミリ秒などとすることができる。節電間隔は標準間隔の2倍などであってもよい。当該構成によれば、携帯デバイス2との通信頻度を低減できるため、携帯デバイス2及び車載システム1の双方での消費電力を抑制可能となる。
<施開錠エリア判定処理の変形例>
車両Hvから見てユーザの後ろ側に携帯デバイス2が存在し、且つ、他の車両などの反射物が近くに存在する場合、反射波の強度が直接波の強度よりも高くなり、反射物経由の距離を算出しうる。そして、室外機での測距値が所定値以上である場合には、施開錠エリアLx外と判定されてしまう。つまり、直接波よりも反射波のほうが、所定値以上強度が大きくなる状況下においては、携帯デバイス2が施開錠エリアLx内に存在するにも関わらず、施開錠エリアLx外に存在すると誤判定することが起こりうる。なお、車両Hvから見てユーザの後ろ側に携帯デバイス2が存在するケースとは、例えば、ズボンの後ろポケットやリュックなどに携帯デバイス2が収容されている場合などである。
そのような事情を鑑みて、位置推定部F3は、室外機だけでなく、室内機でのToF関連値に基づく測距値も併用して、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在するか否かを判定してもよい。例えば位置推定部F3は、所定の室内機からのデバイス距離が所定値以下である場合には、室外機からのデバイス距離が所定値以上であっても施開錠エリアLx内に携帯デバイス2が存在すると判定しても良い。携帯デバイス2との距離を測定する室内機は、全てであってもよいし、最寄り室外機から最も近い室内機であってもよい。また、車室内天井部の中央やセンターコンソールに配置された室内機である中央機からの測距値が所定値(例えば2m)未満であることに基づいて携帯デバイス2は施開錠エリアLxに存在すると判定しても良い。
なお、スマートECU4は常に室内機の測距値を用いるのではなく、ドアボタン5を介してユーザが所定パターンの操作を行ったことを検知した場合にのみ、室内機の測距値を用いた施開錠エリア判定を実施しても良い。ここで想定される所定パターンの操作とは、例えばドアボタン5が繰り返し押下された場合など、施開錠エリアLxにいるのにも関わらずシステムが応答しない場合にユーザが実施しうる操作パターンを指す。
<BLE通信機の搭載パターンの変形例>
車載システム1におけるBLE通信機7の搭載数、搭載箇所は図13に示す態様であってもよい。すなわち、室内機はBLE通信機7pの1つだけであっても良い。この場合、BLE通信機7pは、例えば車室外に電波が漏れにくいように、運転席と助手席の間の床部やセンターコンソールなどに配置されうる。あるいは、車室外に存在する携帯デバイス2からの信号も受信しやすいように車内天井部の中央部やオーバーヘッドコンソール、リアガラスの上端部などに配置されていても良い。
また、BLE通信機7は、図14に示すように室内機は、BLE通信機7p、7qの2つであっても良い。この場合、BLE通信機7pは、センターコンソールやインストゥルメントパネルなどに配置されうる。また、BLE通信機7qは、リアガラスの上端部などに配置されうる。
図13、図14では実施形態と同様に、左右のBピラー付近と、トランクドア付近の2箇所にBLE通信機7a~7cを配置した構成を示している。もちろん、室外機の配置数等もこれに限らない。例えば室外機としてのBLE通信機7は、図15に示すように、右側前ドア、左前ドア、右後ドア、左後ドアの周りに個別の施開錠エリアLxを形成するよう、室外機としてのBLE通信機7a~7b、7d~7eが配置されていても良い。例えば、BLE通信機7aは右前ドアの外側ドアハンドル又はドア側Bピラーの室外側面に配置されている。BLE通信機7bは左前ドアの外側ドアハンドル又はドア側Bピラーの室外側面に配置されている。BLE通信機7dは右後ドアの外側ドアハンドル又はCピラーに配置されている。BLE通信機7eは右後ドアの外側ドアハンドル又はCピラーに配置されている。右後ドア及び左後ドアとは、車両Hvの左右に設けられた後部座席用のドアを指す。このような構成は、車両Hvが備えるドア毎に室外機を設けた構成に相当する。
図15に示す搭載パターンによれば、各ドアの室外機が受信する携帯デバイス2からの信号の送信元情報に基づいて、各ドアから乗車するユーザを個別に識別可能となり、ひいては、座席毎の着座者を特定可能となる。その結果、スマートECU4は着座者に応じたシート位置の調整や、空調の自動設定変更、車内映像の再生、ウェルカム照明の点灯などといったサービスを実施可能となる。また、BLE通信機7は図16に示すように、車両前端部にも設けられていても良い。図16に示すBLE通信機7dはフロントバンパの車幅方向中央部又はエンブレム付近に配されている。
また室外機としてのBLE通信機7a~7dは、図17に示すように前後左右のコーナ部に配置されていても良い。例えばBLE通信機7a、7bはフロントバンパの左右コーナ部に内蔵されており、BLE通信機7c~dは、リアバンパの左右コーナ部に配置されている。
<リモート操作への適用>
スマートECU4は、携帯デバイス2を用いた遠隔操作によって車両Hvを駐車させるリモート駐車機能のための位置判定を実施していてもよい。リモート駐車は、ユーザが車両Hvから所定距離以内であるリモート駐車エリアRm内に存在することを条件として利用可能であると法規等にて規定されている。自動駐車機能を提供するECUは、スマートECU4によってユーザがリモート駐車エリアRm内に存在すると判定していること、及び、ユーザが携帯デバイス2の自動駐車ボタンを押下していることを条件に、目標駐車位置に向かって車両を自律的に走行させる。
リモート駐車エリアRmは、例えば車両Hvから5m以内に設定されうる。もちろんリモート駐車エリアの大きさを規定する距離は、6mや10mなどであってもよい。車両Hvが使用される地域/国の法律に準拠するようにリモート駐車エリアRmの大きさは設定される。
プロセッサ41は、例えば図16又は図17に示すように、車両Hvの全方位を見通せるよう室外機が車体の前後左右に配置されている場合、これら4つの室外機を用いて携帯デバイス2がリモート駐車エリアRm内に存在するか否かを判定する。具体的には、各室外機に携帯デバイス2と測距通信を実施させ、各室外機からのデバイス距離を取得する。そして、それらの最小値が所定距離(例えば5m)以下のとき、携帯デバイス2はリモート駐車エリアRm内に存在すると判定しうる。リモート駐車にかかる携帯デバイス2からの制御信号は、リモート駐車エリアRm内に携帯デバイス2が存在すると判定されていることを条件に、有効化される。このように位置推定部F3は、リモート駐車エリアRmに携帯デバイス2が存在するか否かを判定しても良い。リモート駐車エリアRmもまた室外作動エリアの一種に相当する。
<通信機の搭載パターンに応じた判定アルゴリズムの自動変更>
プロセッサ41は、例えばストレージ43の通信機設定データを参照することでBLE通信機7の搭載パターンを取得し、当該搭載パターンに対応するように室内外判定や施開錠エリア判定のアルゴリズムを自動的に切り替えてもよい。搭載パターンごとの判定アルゴリズムは予め用意されていれば良い。BLE通信機7の搭載パターンは、室外機及び室内機の台数及びそれぞれの搭載箇所を含む。
例えば施開錠エリア判定に関して、図2、図13、図14、図15に示すように施開錠エリアLx毎に室外機が配置されている場合には、最寄り室外機が配置されている方向にユーザが存在すると判定する。そして、デバイス距離が所定値未満となっている室外機に対応する施開錠エリアLxに携帯デバイス2が存在すると判定する。
一方、図17に示すように車体の4隅に室外機が配置されている場合には、各室外機から携帯デバイス2までの距離を算出し、最寄り室外機と、准最寄り室外機とを特定する。准最寄り室外機とは、2番目に携帯デバイス2から近い室外機を指す。そして、最寄り室外機と准最寄り室外機の両方に連なる外面部が存在する方向にユーザが存在すると判定する。例えば最寄り室外機がBLE通信機7aであり、且つ、准最寄り室外機がBLE通信機7cである場合には、携帯デバイス2及びユーザは車両右側に存在すると判定する。位置推定部F3は、最寄り通信機と准最寄り室外機からのデバイス距離をもとに2点測量でデバイス位置を算出し、そのデバイス位置が施開錠エリアLx内となっている場合に、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在すると判定する。
また、車内外判定に関しても、室内機及び室外機の搭載数に応じてその細部を変更してもよい。例えば室内機が図2及び図15に示すように、室内機が3個以上存在する場合には、複数の室内機のそれぞれで観測された携帯デバイス2からの信号の受信強度の最大値を室内機観測強度(RSS_In)として採用する。また、図13に示すように室内機が1つしかない場合には、当該室内機で観測された受信強度をもとに定まる個別強度代表値をそのまま室内機観測強度として採用する。図14に示すように室内機が2つある場合には、それらの室内機で観測された個別強度代表値のうち、大きい方を室内機観測強度として採用する。
なお、スマートECU4に内蔵されているBLE通信機7xを室内機として使用しても良い。BLE通信機7xを室内機として使用するか否かは、その搭載箇所に応じて判断されれば良い。BLE通信機7xを室内機として使用可能であるか否かは、フラグなどを用いて通信機設定データに事前に登録されていても良い。
ところで、BLE通信機7ごとに、アンテナの構成や取り付け先の環境に応じて、受信感度が異なることが想定される。よって、各BLE通信機7の受信強度は、そのアンテナ特性や取り付け位置に応じた補正値(オフセット)が付加された上で、各種判定に使用されても良い。
また、車両Hvに搭載されているBLE通信機7の位置や数の情報は、車両内ネットワークNwを介してボディECUなどから取得しても良い。車両HvにおけるBLE通信機7の搭載パターンを示すデータを保持する主体は、スマートECU4でなくともよい。BLE通信機7の搭載パターンを示すデータは外部サーバや、ディーラが使用する所定の専用ツールから入力されても良い。
その他、プロセッサ41は、車両HvへのBLE通信機7の搭載パターンに応じて、予め用意されているサービスのうち、適用可能なサービスにフラグを立ててもよい。例えば現行の搭載パターンで実施可能なサービスに対してはフラグ値を1に設定し、現行の搭載パターンで実施不能なサービスに対してはフラグ値を0に設定する。サービスの種類としては、例えば、例えばリモート駐車や、後部座席に対するパーソナル設定の適用などが挙げられる。
<施開錠エリア判定処理の補足>
施開錠エリア判定処理は図18に示す手順で実行されてもよい。図18に示すフローチャートは、ステップS41a~S47aを含む。図18に示すフローチャートは、図10の代替処理として実行されうる。
まずステップS41aでは通信制御部F2が基本代表機に測距用の通信を実施させ、ToF関連値を取得する。ここでの基本代表機とは、基本状態において携帯デバイス2とのデータ通信を担当するBLE通信機7を指す。ここではBLE通信機7xが基本代表機に相当する。なお、リアガラスの上端部や、フロントガラスの上端部、車内天井部の中央部など、車室内だけでなく車室外も見通せる位置に設けられたBLE通信機7が存在する場合には当該通信機を基本代表機に設定しても良い。
ステップS42aでは位置推定部F3が、ステップS41aで取得したToF関連値に基づいて携帯デバイス2までの距離を特定する。そして、基本代表機-携帯デバイス2間の距離が所定の1次閾値未満であるか否かを判定する。基本代表機-携帯デバイス2間の距離が所定の1次閾値未満である場合には、プロセッサ41はステップS43aとして、各室外機での携帯デバイス2からの信号の受信強度に基づいて最寄り室外機を特定する。例えば室外機のうち、携帯デバイス2からの受信強度が最も大きいものを最寄り室外機として選択する。その他、基本代表機がアレーアンテナを備え、携帯デバイス2からの信号の到来方向をデバイス方向として推定可能に構成されている場合には、プロセッサ41はデバイス方向に配置された室外機を最寄り室外機として選択しても良い。
一方、基本代表機-携帯デバイス2間の距離が所定の1次閾値以上である場合には、携帯デバイス2は施開錠エリアLxの外側、つまり不作動エリアに存在すると判定する(ステップS47a)。ここで用いる1次閾値は、施開錠エリアLx内に携帯デバイス2が存在する可能性があるか否かを切り分けるためのパラメータである。1次閾値は作動距離に所定のオフセット量を加えた値に設定されている。オフセット量は基本代表機から施開錠エリアLxまでの距離に応じて設定される。例えば1次閾値は作動距離に1m又は2mを加えた長さに設定されうる。例えば1次閾値は4mや5mに設定されうる。
ステップS44aでは通信制御部F2がステップS42aで決定した最寄り室外機に測距用の通信を実施させ、最寄り室外機を観測点とするToF関連値を取得する。当該ステップは、最寄り室外機を一時的な代表機に設定するステップを内在しうる。
ステップS45aでは位置推定部F3が、ステップS44aで取得したToF関連値に基づいて最寄り室外機から携帯デバイス2までの距離を特定する。そして、最寄り室外機-携帯デバイス2間の距離が所定の2次閾値未満であるか否かを判定する。2次閾値は、携帯デバイス2が施開錠エリアLx内に存在するか否かを判定するためのパラメータであって、作動距離と同じ値に設定される。
位置推定部F3は、最寄り室外機-携帯デバイス2間の距離が所定の2次閾値未満である場合には携帯デバイス2は最寄り室外機に対応する施開錠エリアLx内に存在すると判定する(ステップS46a)。例えば最寄り室外機がBLE通信機7aである場合には右側エリアLxRに存在すると判定する。一方、最寄り室外機-携帯デバイス2間の距離が所定の2次閾値以上である場合には携帯デバイス2はまだ不作動エリアに存在すると判定する(ステップS47a)。
以上の方法によれば、上述した実施形態よりも測距用通信を実施する通信機の数を抑制することができる。換言すれば測距用通信の実施頻度を低減できる。故に、携帯デバイス2や車載システム1での消費電力を抑制することできる。また、基本代表機を基準とするデバイス距離が1次閾値以上である場合には室外機に測距用の通信を実施させない。これにより、上述した実施形態に比べて車載システム1や携帯デバイス2での消費電力を抑制可能となる。なお、ここで述べた技術思想は、ステップS41等の施開錠エリア判定にも適用可能である。例えば通信制御部F2は基本代表機を起点とするデバイス距離が1次閾値未満となったことを検知した場合に、各室外機に順番に測距用の通信を実行させても良い。
<位置判定方法の補足>
携帯デバイス2が車室内に存在するか否かを判定するアルゴリズムとしては、上述したアルゴリズム以外にも、多様なアルゴリズムを採用可能である。例えば、位置推定部F3は、室内機観測強度が室内判定値以上であり、かつ、室外機観測強度が室外判定値未満であることに基づいて、携帯デバイス2は車室内に存在すると判定してもよい。当該判定アルゴリズムでは、室内機観測強度が室内判定値以上であって且つ室外機観測強度が室外判定値未満である場合に携帯デバイス2は車室内に存在すると判定する。また、室内機観測強度が室内判定値以上であっても室外機観測強度が室外判定値以上である場合や、室内機観測強度が室内判定値未満である場合には、携帯デバイス2は車室外に存在すると判定してもよい。
さらに、位置推定部F3は、室内機観測強度に対する2つの閾値、すなわちハイレベル閾値とローレベル閾値を用いて、携帯デバイス2が車室内に存在するか否かを判定するように構成されていても良い。ハイレベル閾値は、室内機観測強度に基づいて携帯デバイス2が車室外から車室内に入ったと判定するための閾値である。ローレベル閾値は、室内機観測強度に基づいて携帯デバイス2が車室内から車室外に出たと判定するための閾値である。ハイレベル閾値は前述の室内判定値と同じであっても良い。ローレベル閾値は、ハイレベル閾値よりも10dB以上低い値に設定されていることが好ましい。
上記構成において、位置推定部F3は、室内機観測強度がいったんハイレベル閾値以上となった場合には、室内機観測強度がローレベル閾値未満となるまで、携帯デバイス2は車室内に存在するとの判定を維持する。また、室内機観測強度がいったんローレベル閾値未満となった場合には、室内機観測強度がハイレベル閾値以上となるまで、携帯デバイス2は車室外に存在するとの判定を維持する。この場合、室外機観測強度は使用されない。故に室外機観測強度を算出する処理を省略可能となる。
以上では車室内に携帯デバイス2が存在するか否かの判定方法の一例を述べた。携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在するか否かについても、携帯デバイス2が車室内に存在するのか否かの判定と同様に、多様な判定アルゴリズムを適用可能である。携帯デバイス2の判定方法としては例えば特許文献2-6に開示の方法を参照により援用可能である。
プロセッサ41は、定期的に携帯デバイス2の位置を判定する場合には、最新の判定結果と過去の判定結果とを併用して、現在位置を最終決定してもよい。例えば過去2回分の判定結果が施開錠エリアLxの外側であって、最新の判定結果が施開錠エリアLx内である場合には、携帯デバイス2の現在位置の最終判定は、施開錠エリアLx外とする。一方、例えば前々回の判定結果が施開錠エリアLxの外側であり、前回及び最新の判定結果が施開錠エリアLx内である場合には、携帯デバイス2の現在位置の最終判定は、施開錠エリアLx内とする。このような構成は、過去の判定結果と最新の判定結果とを母集団とする多数決/平均化により、最終的なデバイス位置を決定する構成に相当する。
最新の判定結果とそれ以前の判定結果とを併用して最終的な現在位置を決定する構成よれば、瞬間的なノイズ等によってデバイス位置を誤判定する恐れを低減できる。なお当該技術思想はデバイス位置をエリア単位で判定する構成だけでなく、別途後述するように、位置座標で判定する場合にも適用可能である。携帯デバイス2の車両Hvに対する相対位置座標を算出する構成においては、過去の所定回数分の推定結果と最新の推定結果とを重み付け平均するなどして最終的な位置座標を確定してもよい。
位置推定部F3は、車両Hvに対する携帯デバイス2の相対的な2次元/2次元位置座標を算出するように構成されていても良い。例えば位置推定部F3は、携帯デバイス2からの信号の受信強度を利用するRSSI方式にて携帯デバイス2の位置を特定してもよい。RSSI方式は、無線信号の電界強度は伝搬距離に応じて減衰するといった特性を利用して、各BLE通信機7から携帯デバイス2までの距離を推定し、各BLE通信機7からの距離に基づいてデバイス位置を推定する方式である。
位置推定部F3は、各BLE通信機7で観測された携帯デバイス2からの信号の受信強度情報を距離情報に変換し、各BLE通信機7から携帯デバイス2までの距離情報を生成する。そして、各BLE通信機7から携帯デバイス2までの距離情報を統合することで携帯デバイス2の位置を算出する。例えば、位置推定部F3は、2つ以上のBLE通信機7で観測された受信強度のそれぞれから算出した距離、及びこれらのBLE通信機7の搭載位置に基づいて、三点測量あるいは三角測量の原理によって車両Hvの基準点に対する携帯デバイス2の位置を特定する。受信強度から距離情報への変換は、受信強度は距離の2乗又は2乗に反比例して減衰するといったモデル式を用いて実現可能である。車両Hvに対する携帯デバイス2の位置は、車両座標系の点として表現することができる。
なお、他の態様として、位置推定部F3は、電波の到来角度を用いるAoA(Angle of Arrival)方式を利用して車両Hvに対する携帯デバイス2の位置を特定してもよい。また、ToFによる距離情報を利用して車両Hvに対する携帯デバイス2の位置を特定してもよい。例えば位置推定部F3は、ToF関連値に基づいて定まる、2つ以上のBLE通信機7からのデバイス距離を組み合わせることにより携帯デバイス2の詳細位置を特定しても良い。他にも、電波の到達時間差を用いて定位を行うTDOA(Time Difference of Arrival)方式を利用して車両Hvに対する携帯デバイス2の位置を特定してもよい。
また、位置推定部F3は、複数の位置推定方式を組み合わせて、デバイスの位置座標を推定しても良い。例えば図19に示すようにスマートECU4は、RSSI方式/ToF方式とAoA方式を組み合わせてデバイス位置を推定しても良い。図19に示すSg_Vは車載システム1、具体的には代表機としてのBLE通信機7xが送信した信号を示している。Sg_Vは、携帯デバイス2を宛先として指定したデータ信号であっても良いし、スキャン要求信号であってもよい。また、Sg_Vは、CW信号であってもよい。
例えばBLE通信機7a~7cは携帯デバイス2からの信号の到来角度(換言すれば到来方向)と受信強度を出力する一方、BLE通信機7p~7rは受信強度を出力する。BLE通信機7xは測距通信を実施し、ToFそのもの、又はToF関連値をプロセッサ41に提供する。この場合、位置推定部F3は、BLE通信機7a~7c、7xの少なくとも何れかで観測された到来方向と、BLE通信機7p~7rの少なくとも何れかで観測された受信強度とを組み合わせてデバイス位置を推定可能である。もちろん、ToF関連値に基づくBLE通信機7xからの距離情報を併用しても良い。到来方向を推定するBLE通信機7は、複数のアンテナ72をアレーアンテナとして備えているものとする。アレーアンテナを備えるBLE通信機7は、での受信結果を解析することで到来方向を算出し、スマートECU4に報告しうる。複数のBLE通信機7は、それぞれが個別に携帯デバイス2と無線信号の送受信を実施することにより、受信強度、到来方向及び飛行時間の少なくとも何れか1つを算出するように構成されていても良い。
その他、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在する場合、最寄り室外機は携帯デバイス2からの直接波を受信可能であるため、周波数の違いによる受信強度のばらつきは小さい。対して、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在する場合、室内機は携帯デバイス2からの信号を、回折や天井等での反射によって受信する。反射や回折等による受信強度への影響度合いは周波数ごとに異なる。つまり、携帯デバイス2が施開錠エリアLxに存在する場合、室内機での周波数毎の受信強度はばらつきが大きくなる。
本開示の位置推定部F3は、周波数の違いによる受信強度のばらつき度合いに基づいて携帯デバイス2が車室内に存在するか否かを判定しても良い。例えば、位置推定部F3は、最寄り室外機及び最寄り室内機のそれぞれで観測された複数周波数での受信強度をもとに、最寄り室外機での受信強度の分散と、最寄り室内機での受信強度の分散を算出する。そして、最寄り室外機での受信強度の分散が、最寄り室内機での受信強度の分散よりも所定値以上小さいことに基づいて、携帯デバイス2は施開錠エリアLxに存在すると判定しても良い。同様に、所定の室内機での受信強度の分散が、所定の室外機での受信強度の分散よりも小さいことに基づいて携帯デバイス2は車室内に存在すると判定しても良い。もちろん、位置推定部F3は、室外機/室内機での受信強度の分散に加えて、受信強度や、ToFなどを併用して車内外判定及び施開錠エリア判定を実施しても良い。
<送受信位相差の検出方法の補足>
送受信位相差の検出方法としては、アクティブ2ウェイ方式や、パッシブ2ウェイ方式、1ウェイ方式などがある。アクティブ2ウェイ方式は、図20に示すように、イニシエータとリフレクタとがCW信号を互いに送受信し合うことで各々が送信信号と受信信号との位相差を検出する。そしてリフレクタで観測された位相差をイニシエータに集めることで、送受信位相差を特定する方式である。イニシエータとは、通信を開始する側のデバイス、換言すれば、応答を要求する側のデバイスである。また、リフレクタとは、応答を返送する側のデバイスである。ここではBLE通信機7がイニシエータに相当し、キーデバイスKdがリフレクタに相当する。リフレクタは、レスポンダとも呼ばれうる。アクティブ2ウェイ方式においては、リフレクタとして携帯デバイス2は、自身で観測した位相差(θr)を示す位相報告信号を、CW信号とは別送する。
図20に示すCW_Iは、イニシエータが送信したCW信号であって、初期位相をδiとする。CW_Rは、リフレクタが送信するCW信号であって、初期位相をδrとする。イニシエータ-リフレクタ間の片道分の距離に応じた本来観測されるべき位相差をφ、対象周波数をfとすると、θr=φ+δi-δrとなる。また、θi=φ-δi+δrとなる。図20に示すRpSgは、リフレクタが観測した受信位相(θr)の情報を含む受信位相報告信号である。
イニシエータは、自身で観測した位相角(θi)と、リフレクタで観測された位相角(θr)の平均値を、送受信位相差(φ)として採用する。なお、ここでは片道分の伝搬による位相差を想定しているため、θiとθrの平均値を送受信位相差としている。他の態様として、送受信位相差として往復分の伝搬による位相差を想定する場合、送受信位相差は、θi+θr=2φで求めることができる。
各デバイスで観測される位相差(θi、θr)には、各デバイスが信号を送信する際の初期位相(δi、δr)が含まれうる。しかしながら、各デバイスで観測された位相差の平均値においては、各デバイスでの初期位相成分は相殺される。上記方式によれば、個々のデバイスから発せられるCW信号の初期位相が不明であっても、送受信位相差を算出可能となる。なお、リフレクタとしての携帯デバイス2は、周波数ごとに個別に受信位相報告信号を送信しても良いし、複数周波数での受信位相をまとめて送信してもよい。
パッシブ2ウェイ方式もまた、図21に示すように、イニシエータとリフレクタとがCW信号を互いに送受信し合う方式である。アクティブ2ウェイ方式との相違点としては、リフレクタはイニシエータから送信されてきたCW信号の受信位相を、送信信号の初期位相に反映して送信する点にある。例えばリフレクタにおける受信位相がθrである場合には、z(t)=A・exp{-i(ωt+θr+2πn)}で表現されるCW信号を送信する。Aは振幅を表す。ωは対象周波数(f)に対応する角周波数であって、ω=2πfの関係を有する。nは自然数であって、リフレクタがCW信号を受信してからCW信号を送信するまでのインターバルに対応する。
上記のような方式によれば、イニシエータで観測される受信位相は、壁などの反射物OBJで反射されて返ってきたCW信号を受信した場合と同じ値となる。故に、受信位相は、イニシエータの初期位相成分が相殺された値となる。その結果、送受信位相差を算出可能となる。なお、パッシブ2ウェイ方式によれば、アクティブ2ウェイ方式に比べて、リフレクタがRpSgを送信する必要がないといった利点を有する。
1ウェイ方式は、図22に示すようにデバイス間での初期位相/ローカル発振器が同期していることを前提として、携帯デバイス2から送信されたCW信号の受信位相をそのまま送受信位相差として採用する方式である。デバイス間での初期位相/ローカル発振器の同期は、例えば所定の同期用信号を送信することで実現されうる。送受信位相差を特定する方法としては上記の方法に限らず、多様な方式を採用可能である。システムが採用する方式に対応するように携帯デバイス2は作動するよう構成されうる。
<スニッフィング方式によるToF関連値の計測方法の補足>
RTTを用いたデバイス距離/ToFの推定は、特許文献2に記載の方法を援用して実施されても良い。つまり、複数のBLE通信機7が携帯デバイス2と個別に通信するのではなく、スニッフィング方式によって観測機から携帯デバイス2までの距離を算出しても良い。例えば、代表機としてのBLE通信機7xは応答要求信号を送信してから携帯デバイス2からの応答信号を受信するまでのRTTを計測してスマートECU4に報告する。代表機以外のBLE通信機7である観測機は、代表機が発した応答要求信号を受信してから、携帯デバイス2が発した応答信号を受信するまでの受信間隔を計測してスマートECU4に報告する。スマートECU4は、RTTに基づいて、携帯デバイス-代表機間の信号飛行時間である第1飛行時間を特定する。また、スマートECU4は、観測機での受信間隔と第1飛行時間に基づいて携帯デバイス-観測機間の信号飛行時間である第2飛行時間を特定する。第1飛行時間と第2飛行時間がそれぞれToFに相当する。
また、車載システム1は、スニッフィング方式によって観測機から携帯デバイス2までの距離指標としての送受信位相差ひいては2周波位相差を算出するように構成されていても良い。或る観測機から携帯デバイス2までの距離指標としての送受信位相差は、観測機での観測値と、代表機での観測値とを組み合わせることで特定可能である。観測機での観測値とは、観測機で検出された、代表機としてBLE通信機7xから発せられたCW信号の受信位相、及び、携帯デバイス2から発せられたCW信号の受信位相などを指す。代表機での観測値とは、代表機が携帯デバイス2とCW信号を送受信することで得られた送受信位相差を指す。
このようにスニッフィングによって観測機での送受信位相差を特定する構成によれば、代表機と携帯デバイス2が測距用の通信を行っている際に、並列的に複数の観測機についての送受信位相差を取得する事が可能となる。よって、上述した実施形態よりも迅速にデバイス位置を特定可能となる。もちろん、観測機ごとのToF関連値の算出は、プロセッサ41ではなく各観測機が実施しても良い。各観測機は、他のBLE通信機7及び携帯デバイス2からの信号をスニッフィングすることによりToF関連値や受信強度を検出し、その検出結果をプロセッサ41に向けて出力するように構成されていてもよい。
<測距処理全体の補足>
送受信位相差と受信強度は、同一の受信信号からそれぞれ抽出されても良いし、それぞれ異なる信号から抽出されても良い。また、システム全体の作動としては、主として3つのパターンがある。1つ目のパターンである第1パターンは、複数のBLE通信機7が携帯デバイス2と個別に双方向通信を実施することにより、BLE通信機7ごとのToF関連値及び受信強度を収集するパターンである。また、2つ目のパターンである第2パターンは、携帯デバイス2と代表機が双方向通信するとともに、複数の観測機は、携帯デバイス2と代表機との通信信号をスニッフィングすることによりToF関連値及び受信強度を収集するパターンである。第2パターンは、2ウェイ方式においてスニッフィング方式を活用するパターンに該当する。
3つ目のパターンである第3パターンは、代表機が携帯デバイス2と双方向通信することで時間同期処理を行った上で、代表機及び観測機が1ウェイ方式によって携帯デバイス2から信号を元に測距を行うパターンである。この際、代表機は、携帯デバイス2と同期した時間情報を、車両内ネットワークNwを通じて各観測機と共有することができる。また、第3パターンにおいては、代表機のみならず携帯デバイス2と各観測機とが双方向通信を行うことで個別に時間同期を行ってもよい。1ウェイ方式での測距に向けて各観測機は代表機と携帯デバイス2との双方向通信時の信号を傍聴(スニッフィング)することで、携帯デバイス2と時間同期してもよい。傍聴対象とする無線信号は、前述の通り、代表機から展開される参照情報にて特定可能である。第3パターンにおいてはスニッフィングが活用されても良いし、活用されなくともよい。
スマートECU4は、複数のパターンの何れか1つのみを実施可能に構成されていても良いし、複数のパターンを実行可能に構成されていてもよい。スマートECU4が複数のパターンを実行可能に構成されている場合、第1~第3パターンの何れを採用するかは、携帯デバイス2又はBLE通信機7の性能/仕様に応じて手動又は自動にて選択されうる。
<LFを用いたスマートキーの起動制御>
前述の通り、携帯デバイス2はスマートキーであってもよい。ただし、スマートキーは1次電池で動作するように構成されている可能性が高く、より一層の節電が求められる。そのような事情から携帯デバイス2としてのスマートキーは、基本的にはBLE通信不能なスリープ状態を維持するように構成されていることが好ましい。そのようなスマートキーは、LF帯の電波を用いて実現される、所定のウェイク信号を受信するか、ユーザによって所定のボタンが押下された場合に、スリープモードからBLE通信可能なアクティブモードに一時的に遷移する。
上記のようなスマートキーの構成を鑑みると、車載システム1もまたLF帯のウェイク信号を送信するための設備が必要となる。例えば車載システム1は図23に示すように、車内の任意の位置にウェイク信号を送信するためのLF送信機8が配置されていても良い。LF送信機8は、スマートECU4からの指示に基づき、LF帯に属する所定の周波数の信号を送信する装置である。ここでのLF帯は30kHzから300kHzまでを指す。当該LF送信機8は、LF送信回路とアンテナとを用いて構成されている。LF送信回路は、デジタルアナログ変換、周波数変換、変調等といった所定の信号処理を行う回路である。なお、LF送信回路はスマートECU4が備えていても良い。
LF送信機8は、例えばインストゥルメントパネルの車幅方向中央部や、センターコンソールボックス付近に設けられている。LF送信機8はオーバーヘッドコンソールや車内天井部に設けられていても良い。LF送信機8は、後部座席の着座面に埋没されてよいし、トランク内に配置されていても良い。LF送信機8は複数配置されていても良い。LF送信機8の設置位置や設置数もまた適宜変更可能である。LF送信機8は、車室内を含む車両Hvから5m以内を有効な通信エリアになるように、送信電力や搭載箇所が設定されている。有効な通信エリアとは、ウェイク信号が所定強度を保って伝搬する範囲を指す。
上記の構成によれば、スマートキーでの消費電力を抑制することができる。なお、デバイスの認証自体は、通信相手がスマートキーである場合もBLE通信で実施される。車両Hvに配置するスマートキーのための設備はLF送信機8だけで済むため、システム導入コストを低減可能となる。
<携帯デバイス2の位置推定に利用可能な通信方式について>
車載システム1と携帯デバイス2とのデータ通信の通信方式と、デバイス位置の特定に用いる通信方式は異なっていても良い。例えば、車載システム1と携帯デバイス2とのデータ通信はBLE通信が使用される一方、デバイス位置の特定には、UWB通信が使用されても良い。UWB通信とはUWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)方式の通信を指す。以下では端末の位置推定にUWB通信を用いるシステム構成をUWB併用構成と称する。
UWB併用構成において、携帯デバイス2となりうる携帯端末やスマートキーは、BLE通信部に加えて、UWB通信で使用されるインパルス状の電波(以下、インパルス信号)を送受信するための回路モジュールを備える。また、車載システム1は、例えば図24に示すように、複数のUWB通信機9を備える。UWB通信機9は、UWB通信で用いられるインパルス信号を受信するための通信モジュールである。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が例えば2ナノ秒といった極短時間の信号である。UWB通信は超広帯域通信と呼ばれることもある。UWB通信に利用できる周波数帯は、例えば、2.1GHz~10.6GHz,2.4GHz~4.8GHz,22GHz~29GHz等である。
車載システム1は例えば図24に示すようにUWB通信機9a~9c、9p~9qを備える。UWB通信機9aは、右側ドアにおけるBピラーの外側面に設けられている。UWB通信機9bは、左側ドアにおけるBピラーの外側面に設けられている。UWB通信機9cは、リアバンパの左右方向の中央部に配置されている。UWB通信機9a~9cは、車両の外側面に設けられたUWB通信機9である室外機に相当する。UWB通信機9pは、例えば室内天井部の中央部よりも所定距離前側となる位置に設けられている。UWB通信機9pは、例えば室内天井部の中央部よりも所定距離後方となる位置に設けられている。
位置推定部F3は、所定の順番で複数のUWB通信機9のそれぞれから携帯デバイス2とインパルス信号を送受信させることにより、各UWB通信機9から携帯デバイス2までの距離を推定する。距離の推定はToF方式などを採用可能である。そして、各UWB通信機9から携帯デバイス2までの距離情報と、通信機設定データに示される各UWB通信機9の搭載位置情報に基づいて携帯デバイス2の位置を推定する。このようにBLE通信機7の代わりにUWB通信機9を用いても、デバイス位置の推定は可能である。すなわち、本明細書におけるBLE通信機7は、UWB通信機9に置き換えて実施することができる。
<付言>
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。例えばスマートECU4が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。また、スマートECU4が備える機能の一部又は全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。スマートECU4が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)や、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を採用可能である。
1 車載システム、2 携帯デバイス、4 スマートECU(車両用認証装置)、5 ドアボタン、6 スタートボタン、7 BLE通信機、8 LF送信機、9 UWB通信部、41 プロセッサ、F2 通信制御部、F21 強度収集部、F22 代表機選択部、F23 ToF関連値取得部、F3 位置推定部、F4 認証処理部、F5 車両制御部、Lx 施開錠エリア(室外作動エリア)、Rm リモート駐車エリア(室外作動エリア)

Claims (15)

  1. 車両のユーザによって携帯される携帯デバイスと無線通信することで前記車両に対する前記携帯デバイスの位置を判定する車両用の位置判定システムであって、
    前記携帯デバイスと無線通信可能に構成された通信機であって、前記車両の外面部のそれぞれ異なる位置に設置されている複数の室外機(7a~7e)と、
    前記車両の車室内に設置されている前記通信機である、少なくとも1つの室内機(7p~7r)と、
    複数の前記室外機及び少なくとも1つの前記室内機の動作を制御する通信制御部(F2)と、
    前記携帯デバイスが車室内に存在するか否か、及び、車室外において前記車両から所定距離以内となるエリアである室外作動エリア(Lx、Rm)に前記携帯デバイスが存在するか否かを判定する位置推定部(F3)と、を備え、
    前記通信制御部は、
    複数の前記通信機のそれぞれにおける前記携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、
    少なくとも1つの前記室外機から前記携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、前記受信強度とは別のパラメータであるToF関連値を取得することと、を実行し、
    前記位置推定部は、
    前記携帯デバイスが車室内に存在するか否かについては前記室外機で観測された前記受信強度と、前記室内機で観測された前記受信強度に基づいて判定する一方、
    前記室外作動エリアに前記携帯デバイスが存在するか否かについては前記ToF関連値に基づいて判定する位置判定システム。
  2. 請求項1に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、複数の前記通信機のうちの所定の基本代表機に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記基本代表機を基準とする前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記基本代表機を基準とする前記ToF関連値に基づいて定まる前記基本代表機から前記携帯デバイスまでの距離が所定値未満であることに基づいて前記携帯デバイスが前記室外作動エリアに存在すると判定するように構成されている位置判定システム。
  3. 請求項1に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、複数の前記室外機に順番に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記室外機毎の前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記室外機毎の前記ToF関連値に基づいて前記携帯デバイスが前記室外作動エリア内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  4. 請求項1に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、
    複数の前記室外機のそれぞれで観測された前記受信強度に基づいて前記携帯デバイスから最も近い前記室外機である最寄り室外機を特定するとともに、
    前記最寄り室外機に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記最寄り室外機を基準とする前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記最寄り室外機を基準とする前記ToF関連値に基づいて前記携帯デバイスが前記室外作動エリア内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  5. 請求項1に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、
    前記携帯デバイスからの受信信号を解析することによって定まる、前記携帯デバイスが存在する方向であるデバイス方向をもとに、複数の前記室外機のうち、前記携帯デバイスから最も近い前記室外機である最寄り室外機を特定するとともに、
    前記最寄り室外機に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記最寄り室外機を基準とする前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記最寄り室外機を基準とする前記ToF関連値に基づいて前記携帯デバイスが前記室外作動エリア内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定システム。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、
    複数の前記通信機のうちの所定の基本代表機に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記基本代表機を基準とする前記ToF関連値を取得することと
    前記基本代表機を基準とする前記ToF関連値に基づいて定まる前記基本代表機から前記携帯デバイスまでの距離が所定の1次閾値未満であることに基づいて、少なくとも1つの前記室外機に前記携帯デバイスと所定信号を送受信させることにより、当該室外機を基準とする前記ToF関連値を取得することと、を実施し、
    前記位置推定部は、前記ToF関連値に基づいて定まる前記携帯デバイスまでの距離が前記1次閾値よりも小さい所定の2次閾値未満である前記室外機が存在することに基づいて前記携帯デバイスが前記室外作動エリア内に存在すると判定するように構成されている位置判定システム。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    複数の前記室内機と、
    前記車両における前記通信機の搭載位置を示す通信機設定データが格納されている所定の記憶装置(43)と、を備え、
    前記位置推定部は、
    複数の前記室外機での前記携帯デバイスからの信号の受信状況に基づいて、前記携帯デバイスから最も近い前記室外機である最寄り室外機を特定するとともに、
    前記通信機設定データに示される前記通信機ごとの搭載位置に基づいて、前記最寄り室外機から最も近い前記室内機である最寄り室内機を特定し、
    前記位置推定部は、前記最寄り室内機での前記受信強度と前記最寄り室外機での前記受信強度の差に基づいて前記携帯デバイスが車室内に存在するか否かを判定する位置判定システム。
  8. 請求項1から7の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、所定の前記室内機に前記携帯デバイスと測距用の所定信号を送受信させることにより、前記室内機を基準とする前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記ToF関連値に基づいて定まる前記室内機から前記携帯デバイスまでの距離が所定値以上であることに基づいて前記携帯デバイスは車室内には存在しないと判定する位置判定システム。
  9. 請求項1から8の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記携帯デバイスとの前記無線通信は、複数の周波数が用いられるものであって、
    前記通信制御部は、前記周波数毎の前記受信強度を前記通信機毎に収集し、
    前記位置推定部は、複数の前記通信機のそれぞれにおける、前記周波数毎の前記受信強度の平均又は分散に基づいて、前記携帯デバイスが車室内に存在するか否かを判定する位置判定システム。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、複数の前記通信機のうちの任意の1つを代表機として前記携帯デバイスと双方向通信を実施させるとともに、その他の前記通信機は信号の受信は行う一方、送信は行わない観測機として動作させ、
    前記通信制御部は、前記代表機だけでなく、前記観測機からも前記受信強度を取得するように構成されている位置判定システム。
  11. 請求項1から10の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    少なくとも4つの前記室外機を備え、
    複数の前記室外機のうちの少なくとも1つは前記車両の前端部に配置されており、
    前記通信制御部は、前記室外機毎の前記ToF関連値を取得し、
    前記位置推定部は、前記ToF関連値に基づいて前記室外機から前記携帯デバイスからの距離を特定し、
    前記携帯デバイスからの距離が所定値以下である前記室外機が存在することに基づいて、前記携帯デバイスが、リモート駐車を行うための前記室外作動エリアとしてのリモート駐車エリア内に存在すると判定するように構成されている位置判定システム。
  12. 請求項1から11の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記通信制御部は、前記車両から前記携帯デバイスまでの距離に基づいて、前記通信機での送信電力、又は、前記携帯デバイスとの通信頻度を変更するように構成されている位置判定システム。
  13. 請求項1から12の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記位置推定部は、前記車両における前記通信機の搭載位置を示す通信機設定データを参照することにより特定される、前記車両における前記通信機の搭載パターンに応じて、前記携帯デバイスの位置を判定するためのアルゴリズムを自動的に切り替えるように構成されている位置判定システム。
  14. 請求項1から13の何れか1項に記載の位置判定システムであって、
    前記ToF関連値は、応答要求信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間であるラウンドトリップ時間、又は、それぞれ異なる複数の周波数の連続波信号を送受信することで得られる前記周波数ごとの送受信位相差である位置判定システム。
  15. 車両のユーザによって携帯される携帯デバイスの位置を判定するための、少なくとも1つのプロセッサによって実行される位置判定方法であって、
    前記携帯デバイスと無線通信可能に構成されている通信機であって、前記車両の外面部のそれぞれ異なる位置に配置されている複数の室外機から、前記携帯デバイスからの信号の受信強度を示すデータを取得することと、
    車室内に配置されている前記通信機である少なくとも1つの室内機から、前記携帯デバイスからの信号の受信強度を示すデータを取得することと、
    前記室外機で観測された前記受信強度と、前記室内機で観測された前記受信強度に基づいて、前記携帯デバイスが車室内に存在するか否かを判定することと、
    少なくとも1つの前記室外機から前記携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、前記受信強度とは別のパラメータであるToF関連値を取得することと、
    前記ToF関連値に基づいて、車室外において前記車両から所定距離以内となるエリアである室外作動エリア(Lx、Rm)内に、前記携帯デバイスが存在するか否かを判定することと、を含む位置判定方法。
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