JP2023053628A - 撓み噛合い式歯車装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外歯歯車と起振体軸受の外輪との間の摩耗を抑制する。【解決手段】起振体10Aと、起振体により撓み変形する外歯歯車11と、起振体と外歯歯車との間に配置される起振体軸受12と、を備えた撓み噛合い式歯車装置1であって、起振体軸受は、外歯歯車の内周に嵌合する外輪123を有し、外歯歯車の内周面と外輪の外周面とのうち少なくとも一方の面は、含油性素材111,124により構成されている。そして、起振体10Aの回転時には、起振体軸受12の転動体122が外輪123と外歯歯車11を径方向外側に押圧するが、これらの界面には、含油性素材111,124により潤滑剤が供給される。【選択図】図2

Description

本発明は、撓み噛合い式歯車装置に関する。
従来、撓み変形する外歯歯車を備えた撓み噛合い式歯車装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。外歯歯車は、起振体軸受を介して内嵌された起振体が回転することで撓み変形する。
特許第5337008号公報
撓み変形する外歯歯車と起振体軸受の外輪との間では、長軸側で強く接触して界面の潤滑剤が外部に漏れ出し、フレッチング等の摩耗が発生する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外歯歯車と起振体軸受の外輪との間の摩耗を抑制することを目的とする。
本発明は、起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記起振体と前記外歯歯車との間に配置される起振体軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、
前記起振体軸受は、前記外歯歯車の内周に嵌合する外輪を有し、
前記外歯歯車の内周面と前記外輪の外周面とのうち少なくとも一方の面は、含油性素材により構成されている構成とした。
本発明によれば、外歯歯車と起振体軸受の外輪との間の摩耗を抑制することができる。
実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置を示す断面図である。 外歯歯車及び含油性素材層を有する起振体軸受の外輪の軸垂直断面図である。 図2の外歯歯車及び起振体軸受の外輪の軸方向に沿った拡大断面図である。 図4(A)~図4(C)は図2の領域Eにおける拡大断面図である。 含油性素材層を有する外歯歯車及び起振体軸受の外輪の軸垂直断面図である。 図6(A)~図6(C)は図5の外歯歯車及び起振体軸受の外輪の軸方向に沿った拡大断面図である。 図7(A)~図7(C)は図5の領域Fにおける拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[撓み噛合い式歯車装置の構成]
図1は、本発明に係る撓み噛合い式歯車装置1を示す軸方向断面図である。図1に示す撓み噛合い式歯車装置1の上半分は後述する起振体10Aの短軸を含む軸方向断面であり、撓み噛合い式歯車装置1の下半分は起振体10Aの長軸を含む軸方向断面である。
この図に示すように、撓み噛合い式歯車装置1は、筒型の撓み噛合い式歯車装置であり、起振体軸10、外歯歯車11、第1内歯歯車31G及び第2内歯歯車32G、2つの起振体軸受12、ケーシング33、第1カバー34、第2カバー35を備える。
起振体軸10は、回転軸O1を中心に回転する中空筒状の軸であり、回転軸O1に垂直な断面の外形が非円形(例えば楕円状)の起振体10Aと、起振体10Aの軸方向の両側に設けられた軸部10B、10Cとを有する。楕円状は、幾何学的に厳密な楕円に限定されるものではなく、略楕円を含む。軸部10B、10Cは、回転軸O1に垂直な断面の外形が円形の軸である。
なお、以下の説明では、回転軸O1に沿った方向を「軸方向」、回転軸O1に垂直な方向を「径方向」、回転軸O1を中心とする回転方向を「周方向」という。また、軸方向のうち、外部の被駆動部材と連結される側(図中の左側)を「出力側」といい、出力側とは反対側(図中の右側)を「反出力側」という。
外歯歯車11は、可撓性を有するとともに回転軸O1を中心とする円筒状の部材であり、外周に歯が設けられている。
第1内歯歯車31Gと第2内歯歯車32Gは、回転軸O1を中心として起振体軸10の周囲で回転を行う。これら第1内歯歯車31Gと第2内歯歯車32Gは、軸方向に並んで設けられ、外歯歯車11と噛合している。具体的には、第1内歯歯車31G及び第2内歯歯車32Gの一方が、外歯歯車11の軸方向の中央より片側の歯部に噛合し、他方が、外歯歯車11の軸方向の中央よりもう一方の片側の歯部に噛合する。
このうち、第1内歯歯車31Gは、第1内歯歯車部材31の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。一方、第2内歯歯車32Gは、第2内歯歯車部材32の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。
2つの起振体軸受12は、例えばコロ軸受であり、起振体10Aと外歯歯車11との間に配置される。起振体10Aと外歯歯車11とは、2つの起振体軸受12を介して相対回転可能となっている。
各起振体軸受12は、可撓性を有するとともに外歯歯車11の内周に嵌入される外輪123と、複数の転動体(コロ)122と、複数の転動体122を保持する保持器121とを有する。複数の転動体122は、周方向に並べられ、起振体10Aの外周面と外輪123の内周面とを転走面として転動する。本実施形態においては、起振体10Aの外周面が内輪側転走面を構成しているが、これに限定されるものではなく、起振体に10Aとは別に内輪を有してもよい。
2つの起振体軸受12は、軸方向に並設されており、第1内歯歯車31Gの径方向内方に配置された第1起振体軸受12Aと、第2内歯歯車32Gの径方向内方に配置された第2起振体軸受12Bとを含む。以下、第1起振体軸受12Aの構成要素には「A」、第2起振体軸受12Bの構成要素には「B」の符号を末尾に付してこれらを識別する場合がある(図2参照)。
起振体軸受12及び外歯歯車11の軸方向の両側には、これらに当接して、これらの軸方向の移動を規制する規制部材41、42が設けられている。
ケーシング33は、ボルト51により第1内歯歯車部材31と連結され、第2内歯歯車32Gの外径側を覆う。ケーシング33は、内周部に形成された主軸受38(例えばクロスローラ軸受)の外輪部を有しており、当該主軸受38を介して第2内歯歯車部材32を回転自在に支持している。撓み噛合い式歯車装置1が外部の相手装置と接続される際、ケーシング33と第1内歯歯車部材31は相手装置に共締めにより連結される。
第1カバー34は、ボルト52により第1内歯歯車部材31と連結され、外歯歯車11と第1内歯歯車31Gとの噛合い箇所を軸方向の反出力側から覆う。第1カバー34と起振体軸10の軸部10Bとの間には軸受36(例えば玉軸受)が配置されており、第1カバー34は、当該軸受36を介して起振体軸10を回転自在に支持している。
第2カバー35は、ボルト53により第2内歯歯車部材32と連結され、外歯歯車11と第2内歯歯車32Gとの噛合い箇所を軸方向の出力側から覆う。第2カバー35と起振体軸10の軸部10Cとの間には軸受37(例えば玉軸受)が配置されており、第2カバー35は、当該軸受37を介して起振体軸10を回転自在に支持している。撓み噛合い式歯車装置1が外部の相手装置と接続される際、第2カバー35と第2内歯歯車部材32は、相手装置の被駆動部材に共締めにより連結され、減速された回転を当該被駆動部材に出力する。
さらに、撓み噛合い式歯車装置1は、シール用のオイルシール43,44,45及びOリング46,47,48を備える。
オイルシール43は、軸方向の反出力側の端部で、起振体軸10の軸部10Bと第1カバー34との間に配置され、反出力側への潤滑剤の流出を抑制する。オイルシール44は、軸方向の出力側の端部で、起振体軸10の軸部10Cと第2カバー35との間に配置され、出力側への潤滑剤の流出を抑制する。オイルシール45は、ケーシング33と第2内歯歯車部材32との間に配置され、この部分からの潤滑剤の流出を抑制する。
Oリング46,47,48は、第1内歯歯車部材31と第1カバー34との間、第1内歯歯車部材31とケーシング33との間、第2内歯歯車部材32と第2カバー35との間にそれぞれ設けられ、これらの間から潤滑剤が流出することを抑制する。
これにより、潤滑剤は、オイルシール43~45とOリング46~48とでシールされた撓み噛合い式歯車装置1内部のシール空間S内に封入される。
[撓み噛合い式歯車装置の減速動作]
続いて、撓み噛合い式歯車装置1の減速動作について説明する。
モータ等の駆動源により起振体軸10の回転駆動が行われると、起振体10Aの運動が外歯歯車11に伝わる。このとき、外歯歯車11は、起振体10Aの外周面に沿った形状に規制され、軸方向から見て、長軸部分と短軸部分とを有する楕円形状に撓んでいる。さらに、外歯歯車11は、固定された第1内歯歯車31Gと長軸部分で噛合っている。このため、外歯歯車11は起振体10Aと同じ回転速度で回転することはなく、外歯歯車11の内側で起振体10Aが相対的に回転する。そして、この相対的な回転に伴って、外歯歯車11は長軸位置と短軸位置とが周方向に移動するように撓み変形する。この変形の周期は、起振体軸10の回転周期に比例する。
外歯歯車11が撓み変形する際、その長軸位置が移動することで、外歯歯車11と第1内歯歯車31Gとの噛合う位置が回転方向に変化する。ここで、例えば、外歯歯車11の歯数が100で、第1内歯歯車31Gの歯数が102だとすると、噛合う位置が一周するごとに、外歯歯車11と第1内歯歯車31Gとの噛合う歯がずれていき、これにより外歯歯車11が回転(自転)する。上記の歯数であれば、起振体軸10の回転運動は減速比100:2で減速されて外歯歯車11に伝達される。この場合、減速比は「50」となる。
一方、外歯歯車11は第2内歯歯車32Gとも噛合っているため、起振体軸10の回転によって外歯歯車11と第2内歯歯車32Gとの噛合う位置も回転方向に変化する。ここで、第2内歯歯車32Gの歯数と外歯歯車11の歯数とが同数であるとすると、外歯歯車11と第2内歯歯車32Gとは相対的に回転せず、外歯歯車11の回転運動が減速比1:1で第2内歯歯車32Gへ伝達される。これらによって、起振体軸10の回転運動が減速比100:2で減速されて、第2内歯歯車部材32及び第2カバー35へ伝達され、この回転運動が被駆動部材に出力される。
[外歯歯車と起振体軸受の外輪の構造的な特徴(1)]
撓み噛合い式歯車装置1では、外歯歯車11の内周面と各起振体軸受12の外輪123の外周面とのうち少なくとも一方の面が含油性素材により構成されていることを構造的な特徴としている。
図2~図4は、各起振体軸受12の外輪123の外周面が含油性素材により構成されている例を示す。これらの図により、外歯歯車11と各起振体軸受12の外輪123の構造的な特徴についてより詳細に説明する。
図2は外歯歯車11及び起振体軸受12の外輪123の軸垂直断面図である。なお、図2において、外歯歯車11の外歯については図示を省略している。
図2に示すように、起振体軸受12の外輪123は、いずれも、外周面を含む外周側に含油性素材の層(以下、含油性素材層124とする)を有し、含油性素材層124の径方向内側に、当該含油性素材層124よりもヤング率が大きい素材により構成された高剛性層125を有する。高剛性層125の内周面は、転動体122の転走面となる。
高剛性層125は、鋳鉄や鋼材(例えば、高炭素クロム軸受鋼鋼材等)から構成されている。
含油性素材層124は、焼結金属、多孔質材料、含油性樹脂等により構成されており、高剛性層125よりもヤング率は小さくなるが、素材の構造により、高剛性層125や外輪123よりも多量の潤滑剤を含浸することができる。
含油性素材層124は、摺動する相手部材(外歯歯車11)に対する適度な耐摩耗性が確保可能であれば、焼結金属、多孔質材料、含油性樹脂等のいずれの素材でもよいが、ここでは、焼結金属からなる場合を例示する。
また、外輪123の含油性素材層124と摺動する外歯歯車11は、鋼材(例えば、クロムモリブデン鋼鋼材等)から構成されている。
焼結金属としては、粉末焼結、金網又はエッチング部レートの積層焼結、ファイバー焼結等のいずれの方法で形成されたものであってもよい。焼結金属材料としては、鉄、ステンレス、銅合金、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ホウ化ジルコニウム等を用いることができるが、これらの中で耐摩耗性に優れる材質を選択してもよい。
含油性素材層124と高剛性層125とは、接合により一体化されている。例えば、含油性素材層124の内周面と高剛性層125の外周面とは、拡散接合により接合されている。なお、含油性素材層124と高剛性層125の接合は、拡散接合に限定されないが、相互の接合面の金属被膜の一部または全部の消失を伴う接合であることが好ましく、さらには、含油性素材層124と高剛性層125の素材の溶融を伴わない接合であることが好ましい。
図3は外歯歯車11及び起振体軸受12の外輪123の軸方向に沿った拡大断面図である。図3では上方が径方向内側、下方が径方向外側となる。
図示のように、各起振体軸受12の外輪123の含油性素材層124は、当該外輪123が径方向の内側に擁する転動体122(の転走面)よりも軸方向の幅が広く、径方向から見て、転動体122(の転走面)が含油性素材層124の内側となるように設定されている。
これにより、起振体軸10の回転により起振体10Aの長軸位置が周方向に移動すると、転動体122から押圧されながら外輪123の外周面と外歯歯車11の内周面とが摺動する。その際、転動体122が押圧する範囲全体が含油性素材層124の範囲内となるので、転動体122が押圧する範囲において潤滑剤が十分確保され、摺動の円滑化を図ることができる。
さらに、含油性素材層124は、高剛性層125よりも軸方向の幅が狭く、径方向から見て、含油性素材層124が高剛性層125の内側となるように設定されている。
このように、含油性素材層124が高剛性層125よりも軸方向の幅が狭いことにより、外歯歯車11と外輪123との間において、含油性素材層124の両側に隙間領域n1を形成することができる。これらの隙間領域n1は、潤滑剤溜まりとなるので、外歯歯車11と外輪123の間に安定的に潤滑剤を供給することができ、良好な潤滑を行うことができる。
図4(A)~図4(C)は図2の領域Eにおける拡大断面図であり、各図は外輪123の含油性素材層124と高剛性層125の径方向の厚さの比率が異なる例を示している。図4(A)は含油性素材層124と高剛性層125の厚さが等しく、図4(B)は含油性素材層124が高剛性層125よりも厚く、図4(C)は含油性素材層124よりも高剛性層125が厚い例を示す。
図4(B)の例では、含油性素材層124が高剛性層125よりも厚いので、外歯歯車11と外輪123の間により多くの潤滑剤を安定的に供給することができる。図4(C)の例では、含油性素材層124よりも高剛性層125が厚いので、外輪123の強度を高く維持することができる。図4(A)の例では、含油性素材層124と高剛性層125の厚さが等しいので、強度と潤滑性についてバランスのよい外輪123を提供することができる。
[外歯歯車と起振体軸受の外輪の構造的な特徴(2)]
図5~図7は、外歯歯車11の内周面が含油性素材により構成されている例を示す。これらの図により、外歯歯車11と各起振体軸受12の外輪123の構造的な特徴についてより詳細に説明する。
図5は外歯歯車11及び起振体軸受12の外輪123の軸垂直断面図である。なお、図5の場合も外歯歯車11の外歯については図示を省略している。
図5に示すように、外歯歯車11は、内周面を含む内周側に含油性素材の層(以下、含油性素材層111とする)を有し、含油性素材層111の径方向外側に、当該含油性素材層111よりもヤング率が大きい素材により構成された高剛性層112を有する。
高剛性層112は、鋼材(例えば、クロムモリブデン鋼鋼材等)から構成されており、その外周には外歯が形成されている。
含油性素材層111は、前述した、外輪123の含油性素材層124と同じ焼結金属、多孔質材料、含油性樹脂等から構成されており、ここでも焼結金属からなる場合を例示する。
また、含油性素材層111と高剛性層112とは、拡散接合により接合されている。
また、外歯歯車11の含油性素材層111と摺動する起振体軸受12の外輪123は、全体が前述した高剛性層125の材料(鋼材)から構成されている。
図6(A)~図6(C)は外歯歯車11及び起振体軸受12の外輪123の軸方向に沿った拡大断面図である。これらの図では上方が径方向内側、下方が径方向外側となる。
図6(A)は外歯歯車11の内周側において軸方向のほぼ全幅に渡って含油性素材層111が一体的に設けられた例を示し、図6(B)は外歯歯車11の内周側において含油性素材層111が軸方向に並んで複数(二つ)設けられた例を示し、図6(C)は外歯歯車11の内周側において含油性素材層111が軸方向に並んで複数(二つ)設けられ且つ軸方向の幅が図6(B)の例よりも狭い例を示す。
図6(A)に示すように、外歯歯車11の含油性素材層111は、軸方向について高剛性層112と同じ幅で全幅に渡って設けられている。また、含油性素材層111は、径方向から見て二つの転動体122の転走面を全て含む範囲となるように設定されている。
これにより、起振体軸10の回転により起振体10Aの長軸位置が周方向に移動すると、外歯歯車11の含油性素材層111は、二つの起振体軸受12の転動体122から外輪123を介して押圧されて撓み変形を生じ、各外輪123の外周面が外歯歯車11の含油性素材層111の内周面を押圧しながら摺動する。その際、各転動体122が押圧する範囲全体が含油性素材層111の範囲内となるので、各転動体122が押圧する範囲に潤滑剤が十分に確保され、摺動の円滑化を図ることができる。
一方、図6(B)の構成の場合、含油性素材層111が軸方向の中央部に設けられた溝を介して二つ設けられている。この場合、二つの含油性素材層111の間の溝に隙間領域n2を形成することができる。この隙間領域n2は、潤滑剤溜まりとなるので、外歯歯車11と外輪123の間に安定的に潤滑剤を供給することができ、良好な潤滑を行うことができる。
また、各含油性素材層111は、いずれも転動体122よりも軸方向に幅広であって、径方向から見て各転走面を含む範囲に設けられている。
また、図6(C)の構成の場合、含油性素材層111が軸方向の中央部に設けられた溝を介して二つ設けられ、さらに、二つの含油性素材層111の全体的な軸方向の幅(溝を含む二つの含油性素材層111の合計幅)を、二つの外輪123の全体的な軸方向の幅(合計幅)よりも狭くしている。
また、この場合も、各含油性素材層111は、いずれも転動体122よりも軸方向に幅広であって、径方向から見て各転走面を含む範囲に設けられている。
この場合、二つの含油性素材層111の軸方向の両外側にも隙間領域n2を形成することができる。従って、これら複数の隙間領域n2が潤滑剤溜まりとなるので、外歯歯車11と外輪123の間にさらに安定的に潤滑剤を供給することができ、良好な潤滑を行うことができる。
なお、図6(C)の構成の場合、軸方向の両端部の隙間領域n2を潤滑剤溜まりとすることができるので、二つの含油性素材層111の間の溝による隙間領域n2を形成しなくともよい。
図7(A)~図7(C)は図5の領域Fにおける拡大断面図であり、各図は外歯歯車11の含油性素材層111と高剛性層112の径方向の厚さの比率が異なる例を示している。図7(A)は含油性素材層111と高剛性層112の厚さが等しく、図7(B)は含油性素材層111が高剛性層112よりも厚く、図7(C)は含油性素材層111よりも高剛性層112が厚い例を示す。
図7(B)の例では、含油性素材層111が高剛性層112よりも厚いので、外歯歯車11と外輪123の間により多くの潤滑剤を安定的に供給することができる。図7(C)の例では、含油性素材層111よりも高剛性層112が厚いので、外歯歯車11の強度を高く維持することができる。図7(A)の例では、含油性素材層111と高剛性層112の厚さが等しいので、強度と潤滑性についてバランスのよい外歯歯車11を提供することができる。
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、撓み噛合い式歯車装置1は、外歯歯車11の内周側又は起振体軸受12の外輪123の外周側に含油性素材層111又は124を有するので、外歯歯車11と起振体軸受12の外輪123との間に潤滑剤が保持されやすくなり、外歯歯車11と起振体軸受12の外輪123との間の摩耗を抑制することができる。
また、起振体軸10の回転により外歯歯車11と起振体軸受12の外輪123の界面が長軸側で強く接触した場合でも、含油性素材層111又は124が潤滑剤を保持するので、潤滑剤が外部に漏れ出して不足することがなく、フレッチング等の摩耗を効果的に抑制することが可能となる。
特に、含油性素材層111,124を焼結金属とした場合には、強度や耐摩耗性を確保しつつ潤滑剤を保持することができるため、フレッチング等の摩耗をより長く効果的に抑制することが可能となる。
また、外歯歯車11の内周側に含油性素材層111を有し、含油性素材層111の径方向外側に高剛性層112を有する構成の場合、外歯歯車11が強度を維持しつつ起振体軸受12の外輪123との間で潤滑性も維持することが可能となる。
同様に、起振体軸受12の外輪123の外周側に含油性素材層124を有し、含油性素材層124の径方向内側に高剛性層125を有する構成の場合も、外輪123が強度を維持しつつ外歯歯車11との間で潤滑性を維持することが可能となる。
また、図6(B)に示すように、外歯歯車11の含油性素材層111が軸方向に並んで複数(上記実施形態では二つ)設けられている場合には、含油性素材層111と含油性素材層111との間に隙間領域n2が形成され、当該隙間領域n2を潤滑剤溜まりとすることができ、外歯歯車11と起振体軸受12の外輪123の潤滑性をさらに高めることが可能となる。
さらに、図6(C)に示すように、外歯歯車11の含油性素材層111の全体的な軸方向の幅が起振体軸受12の外輪123の全体的な軸方向の幅よりも狭くした場合には、外歯歯車11の二つの含油性素材層111の軸方向両外側にも隙間領域n2を設けることができ、これらを潤滑剤溜まりとすることにより、外歯歯車11と起振体軸受12の外輪123の潤滑性をさらに高めることが可能となる。
また、図3に示すように、軸方向に並んだ複数(上記実施形態では二つ)の外輪123の外周に含油性素材層124を設け、各含油性素材層124を径方向の内側に擁する転動体122よりも軸方向の幅を広くした場合には、起振体軸10の回転により長軸位置で各転動体122により外輪123及び外歯歯車11が強く押圧される範囲について、各含油性素材層124が潤滑剤を良好に供給することができるので、各転動体122の押圧により外輪123と外歯歯車11の間から潤滑剤が外部に漏れ出して不足することが効果的に抑制され、フレッチング等の摩耗をより効果的に抑制することが可能となる。
また、外歯歯車11又は起振体軸受12の外輪123において、含油性素材層111又は124と高剛性層112又は125とが拡散接合等により接合されている場合、嵌め合いによる嵌合と異なり、含油性素材層111又は124に加わる周方向の引っ張り応力又は圧縮応力を抑制することができるので、含油性素材層111又は124を保護し、その強度を維持することが可能となる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、撓み噛合い式歯車装置1として筒型の噛合い式歯車装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、例えばカップ型又はシルクハット型の撓み噛合い式歯車装置などにも好適に適用できる。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 撓み噛合い式歯車装置
10 起振体軸
10A 起振体
10B、10C 軸部
11 外歯歯車
12 起振体軸受
111,124 含油性素材層
112,125 高剛性層
122 転動体(コロ)
123 外輪
O1 回転軸
n1 隙間領域
n2 隙間領域

Claims (8)

  1. 起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記起振体と前記外歯歯車との間に配置される起振体軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、
    前記起振体軸受は、前記外歯歯車の内周に嵌合する外輪を有し、
    前記外歯歯車の内周面と前記外輪の外周面とのうち少なくとも一方の面は、含油性素材により構成されている撓み噛合い式歯車装置。
  2. 前記含油性素材は、焼結金属である請求項1に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  3. 前記外歯歯車の内周面が前記含油性素材により構成され、
    前記含油性素材の層の径方向外側に当該含油性素材よりもヤング率が大きい素材により構成される高剛性層を有し、当該高剛性層に外歯が形成される請求項1又は請求項2に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  4. 前記外歯歯車の前記含油性素材の層は、軸方向に沿って複数並んで形成されている請求項3に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  5. 前記外歯歯車の前記含油性素材の層は、軸方向の幅が前記外輪よりも狭い請求項3又は請求項4に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  6. 前記外輪の外周面が含油性素材により構成され、
    前記含油性素材の層の径方向内側に当該含油性素材よりもヤング率が大きい素材により構成される高剛性層を有し、当該高剛性層の内周に転走面が形成される請求項1又は請求項2に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  7. 軸方向に並んだ複数の転動体と、軸方向に並んだ複数の前記外輪とを有し、
    複数の前記外輪の前記含油性素材の層は、径方向の内側に擁する前記転動体よりも軸方向の幅が広い請求項6に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  8. 前記含油性素材の層と前記高剛性層との境界面は接合されている請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の撓み噛合い式歯車装置。
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