JP2023051169A - エアバッグ装置及びエアバッグ装置の展開方法 - Google Patents

エアバッグ装置及びエアバッグ装置の展開方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアバッグ装置の信頼性を向上させる技術を提供する。【解決手段】エアバッグ装置が、点火により燃焼ガスを発生させる第1のガス発生剤及び前記第1のガス発生剤に点火する点火部を備えるガス発生器と、前記ガス発生器から前記燃焼ガスの供給を受けて展開するエアバッグとを備え、前記エアバッグが、前記ガス発生器と接続し、当該ガス発生器から供給される前記燃焼ガスを前記エアバッグの内部空間内に流入させる流入部と、前記流入部から前記燃焼ガスが流入する内部空間を外部と画す袋状の部材であって、前記燃焼ガスの供給を受ける前の時点では折り畳み状態とされ、前記燃焼ガスの供給を受けることで展開状態となる袋状部と、前記袋状部の内側面における所定位置に配置され、前記燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生する第2のガス発生剤とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、エアバッグ装置及びエアバッグ装置の展開方法に関する。
近年、車両には、衝突時にエアバッグを展開して乗員を保護するエアバッグ装置(エアバッグ装置)が装備されている。この車両におけるエアバッグ装置は、ステアリングホイールや、シート側部、ルーフの窓側付近などに設けられる種々のものが提案されている。
特許文献1には、事故の発生時にガスを急速に生成してコンファインメントを膨張させ、乗員を保護するエアバッグ装置が開示されている。
米国特許第3552770号明細書
エアバッグ装置は、車両の衝突時にエアバッグを速やかに展開させるため、エアバッグ内にガスを高い圧力で供給する。特に、車両の側面衝突時に、乗員が車両内面に衝突する場合の衝撃を緩和するサイドエアバッグ装置では、乗員と車両内面との距離が近いため、他のエアバッグ装置と比べても急速に展開させることが望ましく、供給するガスの圧力が高くなる傾向にある。またエアバッグモジュールを破る力のため、初期のエアバッグ内の圧力を高める必要がある。なお、エアバッグ装置は、例えエアバッグに供給するガス圧が高かったとしても、乗員がシートベルトを装着し、正規の位置に乗車していれば、エアバッグの展開時に乗員へ影響することが無いように設計される。しかしながら、乗員が正規の位置に乗車せず、エアバッグ装置にもたれ掛かる、或はエアバッグ装置の展開する部分に物を載せるなど、不適切な状態でエアバッグ装置が作動した場合、もたれ掛かっている乗員に展開時の圧力が伝わる、展開部分に載せられた物が弾き飛ばされて乗員に当たるなどの不具合が生じることが考えられる。このような場合に、エアバッグに供給するガス圧が高いと乗員への影響も高くなる可能性がある。
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアバッグ装置の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示のエアバッグ装置は、
点火により燃焼ガスを発生させる第1のガス発生剤及び前記第1のガス発生剤に点火する点火部を備えるガス発生器と、
前記ガス発生器から前記燃焼ガスの供給を受けて展開するエアバッグとを備え、
前記エアバッグが、
前記ガス発生器と接続し、当該ガス発生器から供給される前記燃焼ガスを前記エアバッグの内部空間内に流入させる流入部と、
前記流入部から前記燃焼ガスが流入する内部空間を外部と画す袋状の部材であって、前記燃焼ガスの供給を受ける前の時点では折り畳み状態とされ、前記燃焼ガスの供給を受けることで展開状態となる袋状部と、
前記袋状部の内側面における所定位置に配置され、前記燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生する第2のガス発生剤と、を備える。
前記エアバッグ装置は、前記ガス発生器における前記燃焼ガスの排出孔が前記内部空間内に向けて配置され、
前記第2のガス発生剤が、前記折り畳み状態の前記袋状部において、前記排出孔に面するように配置されてもよい。
前記エアバッグ装置は、前記ガス発生器における前記燃焼ガスの排出孔が前記内部空間内に向けて配置され、
前記第2のガス発生剤は、前記袋状部の前記内側面のうち、前記燃焼ガスの流入によって前記袋状部が前記折り畳み状態から展開した場合に、前記排出孔から展開方向へ離間する位置に配置されてもよい。
前記エアバッグ装置は、前記ガス発生器が、前記燃焼ガスを排出するガス排出孔が形成されたハウジングを備え、
前記ガス排出孔の周囲に前記燃焼ガスの流れる向きを袋状部の展開方向に偏向させるディフレクタを配置し、前記第2のガス発生剤が、前記ディフレクタによって偏向された燃焼ガスが導かれる部分に配置されてもよい。
前記第2のガス発生剤は、前記燃焼ガスの熱エネルギーによって分解、気化、又は昇華してガスを発生させる物質であってもよい。
前記燃焼ガスは、前記第2のガス発生剤からガスが発生されるべきタイミングよりも所定時間早いタイミングで供給されてもよい。
前記エアバッグ装置は、前記燃焼ガスが前記袋状部に供給される期間を第一期間とした場合に、前記第2のガス発生剤が、前記第一期間より長い第二期間にわたってガスを発生させてもよい。
前記エアバッグ装置は、前記第2のガス発生剤の少なくとも一部を覆うように、前記燃焼ガスの熱エネルギーによって消尽するカバーを配置してもよい。
前記エアバッグ装置は、前記ガスを発生させる際の反応温度が異なる第2のガス発生剤が複数箇所に設けられており、
前記複数箇所に設けられた前記第2のガス発生剤のうち、他の第2のガス発生剤と比べて前記反応温度が高い前記第2のガス発生剤が、前記ガス発生器から供給された前記燃焼ガスの流れる方向において前記他の第2のガス発生剤より上流側に配置されてもよい。
上記課題を解決するために、本開示のエアバッグ装置の展開方法は、
第1のガス発生剤及び前記第1のガス発生剤に点火する点火部を備えるガス発生器により、前記第1のガス発生剤に点火して燃焼ガスを発生させるステップと、
前記ガス発生器と接続し、当該ガス発生器から供給される前記燃焼ガスを前記エアバッグの内部空間内に流入させる流入部、及び前記流入部から前記燃焼ガスが流入する前記内部空間を外部と画す袋状の部材であって、前記燃焼ガスの供給を受ける前の時点では折り畳み状態とされ、前記燃焼ガスの供給を受けることで展開状態となる袋状部と、前記袋状部の内側面における所定位置に配置された第2のガス発生剤とを有するエアバッグを含んだエアバッグ装置が、前記点火によって発生した燃焼ガスの供給を受けて、前記袋状部の展開を開始するステップと、
前記袋状部内に配置された第2のガス発生剤から、前記燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生させるステップと、
を含む。
本開示によれば、エアバッグ装置の信頼性を向上させる技術を提供できる。
第一実施形態に係るエアバッグ装置の概略構成図である。 ステアリングホイールに取り付けられたエアバッグ装置の作動前の状態を示す正面図である。 ステアリングホイールに取り付けられたエアバッグ装置の作動時の状態を示す正面図である。 ステアリングホイールに取り付けられたエアバッグ装置1の作動時の状態を示す側面図である。 エアバッグ装置の分解斜視図である。 ガス発生器の外観図である。 ガス発生器の奥行き方向の断面図である。 展開した状態のエアバッグを示す図である。 エアバッグ装置のエアバッグを展開させる工程の説明図である。 燃焼ガス及び非燃焼ガスの供給タイミングと、袋状部内の圧力の関係を示す図である。 第一の変形例に係るエアバッグ装置を示す図である。 第二の変形例に係るエアバッグの構成を示す図である。 第三の変形例に係るエアバッグ装置を示す図である。 第二実施形態に係るエアバッグ装置を示す図である。 ディフレクタの構成を示す図である。
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。なお、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るエアバッグ装置1の概略構成図である。エアバッグ装置1は、例えば車両内に設けられ、車両の衝突時にエアバッグ20を展開させて乗員を保護する。これに限らず、エアバッグ装置1は、車両の外側(例えばボンネットの周囲)に設けられ、歩行者を保護するものであってもよい。また、エアバッグ装置1は、自転車やオートバイ、遊興上の乗物(ジェットコースターやゴーカート等)又はその運転者や乗員に設けられてもよい。更に、エアバッグ装置1は、歩行者に装着されるものであってもよい。図1では、車両のステアリングホイール40に取り付けられた所謂運転席エアバッグ装置の例が示されている。
図2は、ステアリングホイール40に取り付けられたエアバッグ装置1の作動前の状態を示す正面図、図3は、ステアリングホイール40に取り付けられたエアバッグ装置1の作動時の状態を示す正面図、図4は、ステアリングホイール40に取り付けられたエアバッグ装置1の作動時の状態を示す側面図、図5はエアバッグ装置1の分解斜視図である。図1~図5では、上下方向をY方向、左右方向をX方向、前後方向をZ方向として示す。これらの方向は、説明の便宜のため一例として示すものであり、エアバッグ装置1の構成をこれに限定するものではない。例えばエアバッグ装置1を配置する方向は、図示の方向に限定されない。以降の図面についても同様である。
ステアリングホイール40は、乗員(運転者)が操舵時に把持され、操舵方向へ回転されるリング状の操舵輪42と、回転中心に位置するボス部43と、このボス部43と操舵輪42を接続するスポーク44を備えている。ボス部43は、車両の操舵機構と接続された回転中心軸(ステアリングカラム)45の乗員側端部に取り付けられ、運転者による操舵輪42の操作を回転中心軸45に伝達する。
エアバッグ装置1は、ボス部43の運転者側に取り付けられている。即ち、エアバッグ装置1は、ステアリングホイール40と運転者の間であって、ステアリングホイール40の回転中心部分に配置されている。エアバッグ装置1は、作動時にガスを発生させるガス発生器10と、このガスの供給を受けて展開するエアバッグ20と、外殻ケース30とを備えている。
外殻ケース30は、ガス発生器10及びエアバッグ20を保持する保持基体31と、保持基体31の運転者側に取り付けられるカバー部材32とを備える。保持基体31は、正面視においてボス部43と同様の形状に形成されたベース板部31Aを有し、ベース板部31Aのほぼ中央にガス発生器10を嵌め込む円形の凹部31Bが設けられている。ガス発生器10が凹部31Bに嵌め込まれてベース板部31Aに固定されると共に、ガス発生器10からのガスの流入によって展開するエアバッグ20の流入口部分がベース板部31Aに固定されることで、保持基体31はガス発生器10及びエアバッグ20を保持する。
カバー部材32は、保持基体31に保持されたエアバッグ20を覆うように保持基体31に取り付けられる。換言すると、カバー部材32は、保持基体31に取り付けられることで、この保持基体31及びカバー部材32が成す外殻ケース30の内側に収容空間32Aを形成し、この収容空間内にガス発生器10及びエアバッグ20を収容する。カバー部材32は、合成樹脂等で形成され、所定の位置に、他の部分よりも脆弱に形成された不図示の開裂線が設けられている。
<ガス発生器>
図6は、ガス発生器10の外観図であり、(A)はガス発生器10の前面、(B)はガス発生器10の側面、(C)はガス発生器10の後面から見た図を示す。図7は、ガス発生器10の奥行き方向に沿う縦断面図である。ガス発生器10は、ハウジング11、点火器14、樹脂製保持部15、フィルタ16、カップ状カバー体17、伝火薬18、ガス発生剤19等を備えている。ガス発生器10は、点火器14を作動させることでガス発生剤(第1のガス発生剤)19を燃焼させ、その燃焼生成物である燃焼ガスをハウジング11に形成されたガス排出孔111から放出するように構成されている。以下、ガス発生器10の各構成について説明する。
ハウジング11はガス発生器10を構成する各部品を収容する金属製の外殻容器であり、前部シェル112及び後部シェル113を含んで構成されている。前部シェル112及び後部シェル113は、それぞれ有底略円筒状に形成されており、これらが互いの開口端同士を向き合わせた状態で接合されることで、中心軸C1方向の両端が閉塞した短尺円筒状の外殻容器としてハウジング11が形成されている。前部シェル112及び後部シェル113は、例えばステンレス鋼板をプレス加工することで成形することができる。
ハウジング11の内部には、点火器14、フィルタ16、カップ状カバー体17、伝火薬18、及びガス発生剤19等が配置されている。また、ハウジング11の内部には、燃焼室160が形成されており、燃焼室160にガス発生剤19が収容されている。ここで、ハウジング11の中心軸C1方向に沿った方向において、前部シェル112側(即ち、図7における右側)をガス発生器10の前側(正面側)とし、後部シェル113側(即ち
、図7における左側)をガス発生器10の後側とする。
前部シェル112は、筒状の前側周壁部121と該前側周壁部121の前端を閉塞する前壁部122とを有している。前部シェル112は、前壁部122が平面視において概ね円形状を有しており、前側周壁部121の後端部が開放端として形成されている。また、前部シェル112における前側周壁部121の後端部には、径方向外方に向かって鍔状に延在する接合部123が設けられている。また、後部シェル113は、筒状の後側周壁部131と該後側周壁部131の下端を閉塞する後壁部132とを有している。後部シェル113は、後壁部132が平面視において概ね円形状を有しており、後側周壁部131の前端部が開放端として形成されている。また、後側周壁部131の前端部には、径方向外方に向かって鍔状に延在する接合部133が連設されている。また、後部シェル113における後壁部132の中央には、点火器14を後壁部132に取り付けるための取付孔13Aが形成されている。
前部シェル112の接合部123と後部シェル113の接合部133は、互いに重ね合わされてレーザ溶接等によって接合されることでハウジング11が形成されている。また、前部シェル112の前側周壁部121には、ハウジング11の内部空間と外部空間とを連通するガス排出孔111が、周方向に沿って複数並んで形成されている。
点火器14は、後部シェル113の後壁部132に形成された取付孔13Aに樹脂製保持部15を介して固定されている。点火器14は、金属製のカップ体の内部に点火薬が収容された点火部141と一対の導電ピン142,142等を有する電気式の点火器である。一対の導電ピン142,142には、カップ体に収容された点火薬を着火するための着火電流が供給されるようになっている。一対の導電ピン142,142の基端側は、樹脂製保持部15によって電気的絶縁状態に保持されてカップ体の内部に挿入されている。また、一対の導電ピン142,142の基端同士を連結するように、カップ体の内部に設けられたブリッジワイヤ(抵抗体)が連架されている。ブリッジワイヤは、例えばニクロム線等であってもよい。また、点火薬としては、ZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)
、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、THPP(水素化チタン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等を採用してもよい。なお、点火薬は、ブリッジワイヤに接触した状態でカップ体の内部に収容されている。
点火器14を作動させる際、一対の導電ピン142,142に供給される着火電流によってブリッジワイヤが発熱する。その結果、点火器14のカップ体の内部に収容された点火薬が着火、燃焼し、燃焼生成物(例えば、火炎)が生成される。そして、点火薬の燃焼に伴ってカップ体の内部圧力が上昇し、カップ体が開裂することで、カップ体の開裂箇所から燃焼生成物が放出される。また、点火器14における一対の導電ピン142,142の一部は、取付孔13Aを通じてハウジング11の外側に形成されたコネクタ挿入空間S1に露出するように配置されている。コネクタ挿入空間S1は外部コネクタを挿入するための空間であり、樹脂製保持部15の一部によって形成されている。エアバッグ装置1がステアリングホイール40のボス部に取り付けられる際、車両側の制御部50と接続された外部コネクタ(不図示)が、このコネクタ挿入空間S1に挿入されることで、点火器14と制御部50とが電気的に接続される。制御部50が車両の衝突を検知し、エアバッグ装置1を作動させる場合に、制御部から外部コネクタを介して導電ピン142,142に着火電流が供給されることで、点火器14が作動する。
樹脂製保持部15は、点火器14を後部シェル113の後壁部132に固定する円柱状のベース部151、ベース部151から前壁部122に向かって上方に延設される円筒状の内筒壁部152等を含んで構成されている。
内筒壁部152は、ベース部151の前面から前方に向けて立設しており、その内側に伝火薬18を収容する伝火室158が形成されている。内筒壁部152は、点火器14における点火部141の周囲を囲むように配置されている。そのため、内筒壁部152の内側に形成される伝火室158は、点火器14における点火部141に面するように形成されている。ガス発生器10の製造時においては、内筒壁部152の前端開口153から伝火室158に伝火薬18を充填することができる。そして、カップ状カバー体17が、内筒壁部152の開口端側から外挿されることで、伝火薬18が伝火室158内に封じこめられる。なお、内筒壁部152及びカップ状カバー体17は樹脂製であり、伝火室158における伝火薬18が燃焼した際に容易に溶融又は破裂が可能である。
フィルタ16は、例えば円筒形状を有し、ハウジング11と同心円状に配置されている。フィルタ16は、例えば、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮することで形成することができる。ハウジング11の内側にはフィルタ16と間隔をおいて内筒壁部152に装着されたカップ状カバー体17が配置されており、フィルタ16の内周面161とカップ状カバー体17との間に形成された環状空間によってガス発生剤19を収容する燃焼室160が形成されている。ガス発生剤19の燃焼温度は、例えば1000~1700℃の範囲に設定することができる。このようなガス発生剤19としては、例えば、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物を含む、公知のものを用いることができる。また、ガス発生剤19には、例えば顆粒状、ペレット状、円柱状、ディスク状等、種々の形状を採用できる。
図7に示すように、フィルタ16は、前端面及び後端面がそれぞれ前部シェル112における前壁部122及び後部シェル113における後壁部132の各内壁面に当接し、軸方向に圧縮された状態でハウジング11の内部に組み付けられている。フィルタ16は、燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を捕集することで、当該燃焼ガスを濾過する機能を有する。
<エアバッグ>
エアバッグ20は、外殻ケース30に折り畳み状態で収容されている。このエアバッグ20は、ガス発生器10からガスの供給を受けた場合に膨張し、外殻ケース30のカバー部材32を開裂させ、エアバッグ装置1の正面側に展開する。
図8は、展開した状態のエアバッグ20を示す図であり、(A)はエアバッグ20の前面、(B)はエアバッグ20の側面、(C)はエアバッグ20の後面を示す。エアバッグ20は、燃焼ガスの供給を受ける流入部21と、流入部21から燃焼ガスが流入する内部空間22を外部と画す袋状部23とを有する。袋状部23は、外形が共に円形の前側シート231と後側シート232との外周縁を互いに接合して袋状に形成されている。前側シート231及び後側シート232は、折り畳み可能なように可撓性の材料で形成されている。例えば、前側シート231及び後側シート232は、ポリアミドや、ナイロン、ポリエステルなど合成樹脂のシート、織布、織布を合成樹脂で被覆したもの等であってもよい。
袋状部23は、袋状に形成され、所定の出入口以外でガスが出入りすることを制限するため、内部空間22にガスが供給された場合に膨張し、エアクッションとして機能する。流入部21は、エアバッグ20におけるガスの出入口の一つである。流入部21は、図8(C)のように後側シート232の中央に設けられ、燃焼ガスを供給するガス発生器10の前端部分が挿入される開口211を有している。袋状部23は、ガスの出入口として、余剰となったガスを排出するベントホールを有してもよい。
エアバッグ20は、図1に示すようにリテーナ24によって流入部21の部分が外殻ケース30の保持基体31に固定されることで、保持基体31に取り付けられる。リテーナ
24は、円環状の板金であり、袋状部23の内側から流入部21に当接し、流入部21を保持基体31との間に挟持した状態で保持基体31にネジ等で締結される。この取付時において袋状部23は、図1に示すように折り畳まれた状態とされ、カバー部材32が袋状部23を覆うように保持基体31に取り付けられる。即ち、エアバッグ装置1が作動する前の初期状態において、エアバッグ20は、折り畳まれた状態で外殻ケース30に収容される。
また、エアバッグ20は、ガス発生器10から燃焼ガスが供給された場合に、この燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生する第2のガス発生剤233が、袋状部23の内側面における所定位置に配置されている。第2のガス発生剤233は、例えば、常温では固体であって、燃焼ガスの熱によって昇華し、ガスとなる物質(以下、昇華物質とも称す)である。昇華物質としては、ナフタレン(昇華点:209℃)、テ
レフタル酸(昇華点:333℃)、ビフェニル‐4,4'‐ジオール(昇華点:<300℃)等が挙げられる。なお、昇華物質では、例えば昇華点が反応温度(ガス発生温度)である。また、第2のガス発生剤233は、例えば、常温では固体又は液体であって、燃焼ガスの熱によって気化し、ガスとなる物質(以下、気化物質とも称す)であってもよい。
更に、第2のガス発生剤233は、常温では固体又は液体であって、燃焼ガスの熱によって分解し、少なくとも一部がガスとなる物質(以下、熱分解物質とも称す)であってもよい。熱分解物質としては、例えば、炭酸水素ナトリウムや脂肪族ポリカーボネート(APC)が挙げられる。炭酸水素ナトリウムの場合、270℃前後の反応温度(ガス発生温度)で分解し、COとH0を気体成分として発生させる。また、脂肪族ポリカーボネートの場合、230℃前後で分解し、H0とCOを気体成分として発生させる。
本実施形態において、第2のガス発生剤233は、図1に示すように、折り畳み状態の袋状部23において、ガス発生器10のガス排出孔111に面する位置に配置されている。
<制御装置>
制御部50は、センサ60により車両の状態又は車両の周囲の状態を検出し、この検出結果に基づいて、エアバッグ装置1を作動させるか否かを判定し、作動させる場合にエアバッグ装置1へ着火電流を供給する。
センサ60は、例えば、車両の衝突を検出するための衝撃センサである。なお、センサ60は、衝撃を検出するものに限らず、車両への衝突を予測するために車両周囲の情報を検出するものであってもよい。例えば、センサ60は、加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ)、測位装置、カメラ、レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、三次元スキャナなどの感知手段を含むものであってもよい。測位装置としては、例えばGPS(Global Positioning System)等の
衛星測位システムが挙げられる。レーダ及びLIDARは、車両の周囲に存在する物体との距離や、当該物体の移動速度を求める。
制御部50は、センサ60による検出結果を取得し、検出結果が所定条件を満たした場合、後述のように着火電流を供給してエアバッグ装置1を作動させる。
<展開方法>
図9は、エアバッグ装置1のエアバッグ20を展開させる工程の説明図である。制御部50は、車両のイグニッション電源がONになる等して電源が投入されると、センサ60による検出結果を取得し(ステップS10)、エアバッグ装置1を作動させるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、センサ60の検出結果が所定値以上の場合や、周囲
の物体(他車両等)の移動方向と自車両の移動方向とに基づいて衝突が予測された場合など、検出結果が所定条件を満たした場合に、エアバッグ装置1を作動させると判定し(ステップS20,Yes)、所定条件を満たしていない場合には、エアバッグ装置1を作動させないと判定する(ステップS20,No)。
エアバッグ装置1を作動させると判定した場合、制御部50は、ガス発生器10の点火器14における導電ピン142,142に着火電流を供給する(ステップS30)。すると、点火器14における点火部141のカップ体に収容された点火薬が燃焼し、カップ体が開裂することで、点火部141から放出される火炎や高温ガス等によって伝火薬18が着火し、燃焼する。伝火薬18が燃焼することで伝火室158内の温度及び内圧が急激に上昇し、そのエネルギーによって内筒壁部152及びカップ状カバー体17が溶融又は破裂することで燃焼生成物(火炎や高温ガス)が伝火室158から燃焼室160へと放出される。そして、当該燃焼生成物が燃焼室160に収容されているガス発生剤19と接触することでガス発生剤19が着火される(ステップS40)。
燃焼室160におけるガス発生剤19が燃焼することで生成された高温・高圧の燃焼ガスは、フィルタ16を通過し、ガス排出孔111からハウジング11の外部へと放出される。即ち、ガス発生器10からエアバッグ20の袋状部23内へ燃焼ガスが供給される(ステップS50)。
燃焼ガスが内部空間22に供給されると、袋状部23が膨張して展開を開始する(ステップS60)。そして、袋状部23の内側面に配置された第2のガス発生剤233が燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガス(非燃焼ガス)を発生させる(ステップS70)。これによりガス発生器10からの燃焼ガス及び第2のガス発生剤233によるガス(以下、非燃焼ガスとも称す)がエアバッグ20を展開させ、クッションとして機能させることで乗員を保護する。
このように本実施形態では、ガス発生器10から燃焼ガスが供給(ステップS50)された後、この燃焼ガスの熱エネルギーを利用して第2のガス発生剤233が非燃焼ガスを発生させる(ステップS70)。即ち、燃焼ガスは、第2のガス発生剤233から非燃焼ガスを発生させるべきタイミングよりも所定時間早いタイミングで供給される。このタイミングの差は、例えば、第2のガス発生剤233を配置する位置(例えばガス排出孔111からの距離)や、各位置に配置する第2のガス発生剤233の量を変更することで調整できる。また、非燃焼ガスを発生させる温度が低い物質を第2のガス発生剤233として採用することでガスの発生タイミングを早くする、或は非燃焼ガスを発生させる温度が高い物質を第2のガス発生剤233として採用することでガスの発生タイミングを遅くするなど、非燃焼ガスを発生させる温度に応じて第2のガス発生剤233として採用する物質を選択することでガスの発生タイミングを調整してもよい。
また、第2のガス発生剤233により非燃焼ガスの供給を開始してから終了するまでのタイミング、即ち非燃焼ガスの供給期間を調整してもよい。例えば、熱により非燃焼ガスを発生させる際の反応速度が早い物質を第2のガス発生剤233として採用することで、非燃焼ガスの供給期間を短くし、熱により非燃焼ガスを発生させる際の反応速度が遅い物質を第2のガス発生剤233として採用することで、非燃焼ガスの供給期間を長く設定することができる。また、第2のガス発生剤233を薄く広く設けることで、非燃焼ガスの供給期間を短くし、第2のガス発生剤233を厚く狭く設けることで、非燃焼ガスの供給期間を長く設定してもよい。そして、この供給タイミングや供給期間を調整することで、エアバッグ20を展開させる際に、展開初期の圧力や、展開を完了させるタイミング、所要の圧力を維持する期間などを調整でき、EA(エネルギーアブソーブ)特性を適切に設定できる。
図10は、燃焼ガス及び非燃焼ガスの供給タイミングと、袋状部23内の圧力の関係を示す図である。図10では、横軸に作動開始からの経過時間、縦軸に圧力をとり、実線SAが袋状部23内の圧力を示す。点火器14に点火電流が供給されてエアバッグ装置1の作動が開始されると(T0)、第1のガス発生剤の燃焼により直ちにガス発生器10から燃焼ガスが供給される。この燃焼ガスの供給開始タイミングがT1、供給終了タイミングがT2であり、供給期間(第一期間)がP1である。そして燃焼ガスが供給されると、この熱エネルギーを用いて第2のガス発生剤233から非燃焼ガスが供給される。この非燃焼ガスの供給開始タイミングがT3、供給終了タイミングがT4であり、供給期間(第二期間)がP2である。図10に示すように、本実施形態では、先ずタイミングT1で燃焼ガスの供給を開始し、その後、タイミングT3で非燃焼ガスの供給を開始する。また、第2のガス発生剤233から非燃焼ガスを供給する期間P2が、ガス発生器10から燃焼ガスを供給する期間P1よりも長くなるように設定されている。このようにタイミングを異ならせて燃焼ガスと非燃焼ガスを供給することで、展開初期の最大圧力PMを低く抑えることができる。また、非燃焼ガスの供給期間P2を燃焼ガスの供給期間P1よりも長くすることにより、エアバッグ20がクッションとして機能する所要の圧力PRを長く維持することができ、多重衝突などにより複数回衝撃を受けた場合でも乗員を保護することができる。
このように本実施形態におけるエアバッグ装置1によれば、ガス発生器10と袋状部23内に配置された第2のガス発生剤233との双方からガスが供給されることで、ガス発生器10から供給する燃焼ガスの圧力や供給量を低減できる。またガス発生器10自体の小型軽量化も可能となる。このため、展開初期の圧力を低減でき、乗員が規定の着座位置から外れ、エアバッグ20の近くに存在するような場合でも、乗員への悪影響が抑えられ、エアバッグ装置1の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態におけるエアバッグ装置1では、第2のガス発生剤233が、ガス排出孔111に面するように配置されている。これにより、ガス排出孔111から放出された直後の温度の高い燃焼ガスが、第2のガス発生剤233に接することになるため、第2のガス発生剤233から効率良くガスを発生させることができる。また、このとき第2のガス発生剤233が、燃焼ガスの熱を消費するので、燃焼ガスの熱による袋状部23への影響を低減でき、エアバッグ装置1の信頼性を向上させることができる。
更に、本実施形態におけるエアバッグ装置1では、燃焼ガスが、第2のガス発生剤からガスを発生させるべきタイミングよりも所定時間早いタイミングで供給される。これにより、展開初期の圧力を低減させるなど、適切なEA特性を得ることができる。
<第一の変形例>
図11は、第一の変形例に係るエアバッグ装置1Aを示す図である。本変形例のエアバッグ装置1Aは、前述の実施形態と比べて、第2のガス発生剤233を配置する位置が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
本変形例では、図11に示すように第2のガス発生剤233がガス発生器10のガス排出孔111から展開方向に離れた位置に配置されている。ここで展開方向とは、エアバッグ20が展開する方向であり、さらに第2のガス発生剤233が、展開前のガス排出孔111側から袋状部23の展開完了時の位置へ向かう方向である。図11では袋状部23の展開完了時の状態を示し、エアバッグ20の展開とともに第2のガス発生剤233Aが、矢印51で示す展開方向へ移動することが示されている。このように本変形例では、ガス発生器10のガス排出孔111と第2のガス発生剤233Aとが分散して配置されるよう
に、第2のガス発生剤233Aが展開方向に離間して配置されている。例えば、第2のガス発生剤233Aは、ガス排出孔111から当該第2のガス発生剤233Aの位置PAまでの距離LAが、距離L0以上となるように配置されている。ここで距離L0は、例えば展開完了時に排出孔111と第2のガス発生剤233Aとの間に確保すべき距離であり、この値を適切に設定することで、ガスの発生源である排出孔111と第2のガス発生剤233Aとを適切に分散配置することができる。また、エアバッグ20が展開前の折り畳まれた状態において、第2のガス発生剤233Aがガス発生器10のガス排出孔111から展開方向に離間して配置されてもよく、距離L0は、このエアバッグ20が折り畳まれた状態のときに排出孔111と第2のガス発生剤233Aとの間に確保すべき距離であってもよい。つまり、第2のガス発生剤233Aが、ガス排出孔111に直接対向しない位置となるようにエアバッグ20が折り畳まれ、この展開前の状態で排出孔111と第2のガス発生剤233Aとの間に距離L0が確保される構成であってもよい。更に、距離L0は、エアバッグ20の展開途中において排出孔111と第2のガス発生剤233Aとの間に確保すべき距離であってもよい。このように第2のガス発生剤233Aがガス排出孔111から展開方向に離間して配置されることにより、エアバッグ20は、初期の展開(エアバッグ20が半分の大きさに開くまで等)をガス発生器10からの燃焼ガスで行い、途中で第2のガス発生剤233Aからの非燃焼ガスを併用する。なお、距離L0は、エアバッグ20の大きさ、形状、燃焼ガスの供給開始タイミングT1と非燃焼ガスの供給開始タイミング3との差などにより設定されてもよい。また、第2のガス発生剤233Bは、矢印52で示す展開方向へ移動し、ガス排出孔111から展開完了時の位置PBまでの最短距離LBが所定距離L0以上となるように配置されている。なお、ガス排出孔111は複数設けられているため、このうち最短となるものとの距離、即ち最短距離を距離LA,LBとしている。
このように本変形例では、第2のガス発生剤233が、エアバッグ20の内側面のうち、ガス排出孔111に対し展開方向に所定距離離れた位置に配置されている。これによりガスの発生源が分散して配置され、ガス排出孔111からだけでなく、展開方向側に配置された第2のガス発生剤233A,233Bからもガスが供給されるため、ガス発生器10から供給する燃焼ガスの圧力を低減し、展開初期の圧力を抑えることができ、エアバッグ装置の信頼性を向上させることができる。
<第二の変形例>
図12は、第二の変形例に係るエアバッグ20の構成を示す図である。本変形例のエアバッグ装置1Bは、前述の実施形態と比べて、第2のガス発生剤233をカバー部材で覆った構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
本変形例では、図12に示すように第2のガス発生剤233を袋状部23の内側面に設け、更にその内側面をカバー部材234で覆っている。これにより燃焼ガスの供給が開始されても燃焼ガスが第2のガス発生剤233に直接接しない。しかし高温の燃焼ガスによってカバー部材234が消尽した後、第2のガス発生剤233から非燃焼ガスが供給されるため、被燃焼ガスの発生タイミングを遅らせることができる。ここで、カバー部材234の消尽とは、カバー部材234が第2のガス発生剤233を覆う機能を果たさなくなることである。例えば、カバー部材234が、燃焼ガスの熱によって溶融する材料で構成され、燃焼ガスの供給が開始されカバー部材234が溶融することで燃焼ガスが第2のガス発生剤233に接し、第2のガス発生剤233から非燃焼ガスを発生させる構成であってもよい。また、溶融に限らず、燃焼ガスの熱がカバー部材234を介して第2のガス発生剤233に伝わり、第2のガス発生剤233から非燃焼ガスが発生してカバー部材234を開裂させるような構成であってもよい。そして、カバー部材234の溶融温度や厚みを適切に設定し、消尽に係る時間を調整することで、非燃焼ガスの供給タイミングを任意に
設定できる。
なお、カバー部材234が第2のガス発生剤233を完全に覆う構成に限定されるものではなく、カバー部材234は、第2のガス発生剤233の少なくとも一部を覆うように設けられていてもよい。即ち、袋状部23の内側面に設けた第2のガス発生剤233のうち、一部(例えば半分)にカバー部材234を設け、他の部分にはカバー部材234を設けない構成としてもよい。これにより、カバー部材234を設けていない部分から先に非燃焼ガスを発生させ、その後、カバー部材234を設けた部分から非燃焼ガスを発生させることで、全体として非燃焼ガスの供給期間を長くすることができる。
このように本変形例によれば、非燃焼ガスの供給タイミングや供給期間を任意に設定でき、EA特性を適切に設定することができる。
<第三の変形例>
図13は、第三の変形例に係るエアバッグ20の構成を示す図である。本変形例のエアバッグ装置1Cは、前述の実施形態と比べて、非燃焼ガスを発生させる温度が異なる複数種類の第2のガス発生剤233を設けた構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
本変形例では、図13に示すように、第2のガス発生剤233Cと第2のガス発生剤233Dとを袋状部23上の位置を異ならせて配置している。ここで第2のガス発生剤233Cは、第2のガス発生剤233Dと比べて非燃焼ガスを発生させる温度(以下、ガス発生温度とも称す)が高い物質である。即ち、第2のガス発生剤233Dは、第2のガス発生剤233Cと比べてガス発生温度が低い物質である。第2のガス発生剤233Dの材料は、特段限定されるものではなく、昇華物質、気化物質、又は熱分解物質であってもよい。例えば、第2のガス発生剤233Cをテレフタル酸(ガス発生温度:333℃)とし、第
2のガス発生剤233Dをナフタレン(ガス発生温度:209℃)としてもよい。また、第
2のガス発生剤233Cを炭酸水素ナトリウム(ガス発生温度:270℃)とし、第2のガ
ス発生剤233Dを脂肪族ポリカーボネート(ガス発生温度:230℃)としてもよい。
そして、第2のガス発生剤233Cは、ガス排出孔111から放出された燃焼ガスの流れる方向において、第2のガス発生剤233Dよりも上流側に配置されている。
図13(A)は、ガス排出孔111から燃焼ガスが放出された直後を示している。燃焼ガスの放出が開始されると、先ず燃焼ガスが第2のガス発生剤233Cと接し、第2のガス発生剤233Cが非燃焼ガスを発生させる。
次に図13(B)に示すように第2のガス発生剤233Cから発生した非燃焼ガスが、燃焼ガスと混合して下流側へ流れる。このため、燃焼ガスと非燃焼ガスの混合ガスは当初の燃焼ガスよりも温度が低下する。この混合ガスが第2のガス発生剤233Dに達すると、図13(C)に示すように第2のガス発生剤233Dが混合ガスの熱エネルギーを利用して非燃焼ガスを発生させる。
そして、図13(D)に示すように第2のガス発生剤233Dによる非燃焼ガスの発生が完了すると、ガスの供給が停止する。
このように燃焼ガスの下流側では、非燃焼ガスと混合することで温度が低下するが、本変形例によれば、下流側にはガス発生温度の低い第2のガス発生剤233Dを配置しているので、温度低下の影響を受けることなく、効率良く非燃焼ガスを発生させることができる。
<第二実施形態>
図14は、第二実施形態に係るエアバッグ装置1Dを示す図である。本変形例のエアバッグ装置1Dは、前述の実施形態と比べ、ガス排出孔の周囲に燃焼ガスの流れる向きを偏向させるディフレクタ110を配置し、偏向された燃焼ガスが向かう位置に第2のガス発生剤233を配置した構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
図15は、ディフレクタ110の構成を示す図であり、(A)はディフレクタ110の前面、(B)はディフレクタ110の側面、(C)はディフレクタ110の後面、(D)は(C)におけるA-A線に沿った断面を示す。
ディフレクタ110は、図15(A)に示すように、前面視において円環状であり、中央にガス発生器10を挿入可能な開口114を有している。ディフレクタ110は、後面側に、外殻ケース30の保持基体31と接して取り付けられる平面状の後壁部115と、当該後壁部115の外周部が椀状に湾曲され、前方に向けて延設された偏向部116を有している。ディフレクタ110は、例えば、板金をプレス加工することで形成することができる。
図14に示すように、ディフレクタ110は、開口114にガス発生器10の後部を通した状態で後壁部115がガス発生器10の接合部123・133と共に、保持基体31に対してネジ等で固定される。このようにディフレクタ110は、ガス排出孔111の周囲に配置され、前方に向けて湾曲した偏向部116がガス排出孔111の出口側を囲むように配置される。これによりガス排出孔111から放出された燃焼ガスは、偏向部116に沿って偏向され、矢印150で示すように前方へ導かれる。
そして、第2のガス発生剤233は、袋状部23の内側面のうち、ディフレクタによって偏向された燃焼ガスが導かれる部分、即ち本実施形態では前側シート231の中央内側に配置されている。
このように本実施形態では、ディフレクタ110によってガス排出孔111から放出される燃焼ガスを第2のガス発生剤が位置する方向へ導くため、燃焼ガスが第2のガス発生剤233の位置に集中して流れ、効率良く第2のガス発生剤233からガスを発生させることができる。また、ガス排出孔111から放出された直後であって高温の燃焼ガスを金属のディフレクタで受けることで、燃焼ガスの熱による袋状部23の損傷を防止することができる。
以上、本開示に係るエアバッグ装置について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。例えば、第二の実施形態のエアバッグ装置1Dにおいても、第一乃至第三の変形例のように構成してもよい。なお、第二の実施形態において、第三の変形例のように第2のガス発生剤233Cを第2のガス発生剤233Dの上流側に配置する場合、ディフレクタ110によって変更された燃焼ガスの流れる方向に応じて上流側及び下流側を設定してもよい。例えば、第二の実施形態のエアバッグ装置1Dでは、ディフレクタ110によって燃焼ガスが前方に向けられ、前側シート231の内側中央付近に突き当たって、この中央付近から周縁側へ流れる。このため、前側シート231の内側中央付近を上流側、これに対して周縁側を下流側とする。即ち、前側シート231の内側中央付近に第2のガス発生剤233Cを配置し、これより周縁側に第2のガス発生剤233Dを配置する。これにより第三の変形例と同様に効率良く非燃焼ガスを発生させることができる。
1,1A-1D エアバッグ装置
10 ガス発生器
11 ハウジング
13A 取付孔
14 点火部
15 樹脂製保持部
16 フィルタ
17 カップ状カバー体
18 伝火薬
19 ガス発生剤(第一のガス発生剤)
20 エアバッグ
21 流入部
22 内部空間
23 袋状部
24 リテーナ
30 外殻ケース
31 保持基体
31A ベース板部
31B 凹部
32 カバー部材
32A 収容空間
40 ステアリングホイール
42 操舵輪
43 ボス部
44 スポーク
50 制御部
60 センサ
110 ディフレクタ
111 ガス排出孔
112 前部シェル
113 後部シェル
114 開口
115 後壁部
116 偏向部
121 前側周壁部
122 前壁部
123・133 接合部
131 後側周壁部
132 後壁部
141 点火部
142,142 導電ピン
151 ベース部
152 内筒壁部
153 前端開口
158 伝火室
160 燃焼室
161 内周面
211 開口
231 前側シート
232 後側シート
233 第2のガス発生剤
234 カバー部材

Claims (10)

  1. 点火により燃焼ガスを発生させる第1のガス発生剤及び前記第1のガス発生剤に点火する点火部を備えるガス発生器と、
    前記ガス発生器から前記燃焼ガスの供給を受けて展開するエアバッグとを備え、
    前記エアバッグが、
    前記ガス発生器と接続し、当該ガス発生器から供給される前記燃焼ガスを前記エアバッグの内部空間内に流入させる流入部と、
    前記流入部から前記燃焼ガスが流入する内部空間を外部と画す袋状の部材であって、前記燃焼ガスの供給を受ける前の時点では折り畳み状態とされ、前記燃焼ガスの供給を受けることで展開状態となる袋状部と、
    前記袋状部の内側面における所定位置に配置され、前記燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生する第2のガス発生剤と、を備える、
    エアバッグ装置。
  2. 前記ガス発生器における前記燃焼ガスの排出孔が前記内部空間内に向けて配置され、
    前記第2のガス発生剤が、前記折り畳み状態の前記袋状部において、前記排出孔に面するように配置されている、請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記ガス発生器における前記燃焼ガスの排出孔が前記内部空間内に向けて配置され、
    前記第2のガス発生剤は、前記袋状部の前記内側面のうち、前記燃焼ガスの流入によって前記袋状部が前記折り畳み状態から展開した場合に、前記排出孔から展開方向へ離間する位置に配置されている、請求項1に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記ガス発生器が、前記燃焼ガスを排出するガス排出孔が形成されたハウジングを備え、
    前記ガス排出孔の周囲に前記燃焼ガスの流れる向きを袋状部の展開方向に偏向させるディフレクタを配置し、前記第2のガス発生剤が、前記ディフレクタによって偏向された燃焼ガスが導かれる部分に配置されている、請求項3に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記第2のガス発生剤は、前記燃焼ガスの熱エネルギーによって分解、気化、又は昇華してガスを発生させる物質である、請求項1から4の何れか1項に記載のエアバッグ装置
  6. 前記燃焼ガスは、前記第2のガス発生剤からガスが発生されるべきタイミングよりも所定時間早いタイミングで供給される、請求項1から5の何れか1項に記載のエアバッグ装
    置。
  7. 前記燃焼ガスが前記袋状部に供給される期間を第一期間とした場合に、前記第2のガス発生剤が、前記第一期間より長い第二期間にわたってガスを発生させる、請求項1から6の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
  8. 前記第2のガス発生剤の少なくとも一部を覆うように、前記燃焼ガスの熱エネルギーによって消尽するカバーを配置した、請求項1から7の何れか1項に記載のエアバッグ装置
  9. 前記ガスを発生させる際の反応温度が異なる第2のガス発生剤が複数箇所に設けられており、
    前記複数箇所に設けられた前記第2のガス発生剤のうち、他の第2のガス発生剤と比べて前記反応温度が高い前記第2のガス発生剤が、前記ガス発生器から供給された前記燃焼
    ガスの流れる方向において前記他の第2のガス発生剤より上流側に配置された、請求項1から8の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
  10. 第1のガス発生剤及び前記第1のガス発生剤に点火する点火部を備えるガス発生器により、前記第1のガス発生剤に点火して燃焼ガスを発生させるステップと、
    前記ガス発生器と接続し、当該ガス発生器から供給される前記燃焼ガスをエアバッグの内部空間内に流入させる流入部、及び前記流入部から前記燃焼ガスが流入する前記内部空間を外部と画す袋状の部材であって、前記燃焼ガスの供給を受ける前の時点では折り畳み状態とされ、前記燃焼ガスの供給を受けることで展開状態となる袋状部と、前記袋状部の内側面における所定位置に配置された第2のガス発生剤とを有するエアバッグを含んだエアバッグ装置が、前記点火によって発生した燃焼ガスの供給を受けて、前記袋状部の展開を開始するステップと、
    前記袋状部内に配置された第2のガス発生剤から、前記燃焼ガスの熱エネルギーを利用して燃焼反応を伴わずにガスを発生させるステップと、
    を含む、エアバッグ装置の展開方法。
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