JP2023047606A - コンパウンド、成形体、及びコンパウンドの硬化物 - Google Patents

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大樹 園川
Daiki Sonokawa
由則 遠藤
Yoshinori Endo
貴一 稲葉
Takakazu Inaba
翔平 山口
Shohei Yamaguchi
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Abstract

【課題】絶縁特性に優れる成形体を形成することができるコンパウンド、該コンパウンドを用いた成形体、及びコンパウンドの硬化物が提供すること。【解決手段】本発明の一側面に係るコンパウンドは、磁性粉と、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカップリング剤を含有する樹脂組成物と、を備え、前記カップリング剤が、25℃での動粘度が10~2000mm2/sである多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、コンパウンド、成形体、及びコンパウンドの硬化物に関する。
金属粉末及び樹脂組成物を含むコンパウンドは、金属粉末の諸物性に応じて、多様な工業製品の原材料として利用される。例えば、コンパウンドは、インダクタ、封止材、電磁波シールド(EMIシールド)、又はボンド磁石等の原材料として利用される(下記特許文献1参照。)。
特開2014-13803号公報
インダクタ等に用いられるコンパウンドの透磁率を向上するためには、コンパウンド中の磁性粉の含有量(充填率)が高いことが望ましい。しかしながら、コンパウンド中の磁性粉の含有量を高くすると、成形体の絶縁特性が低下して信頼性に影響を与えることがある。そのため、コンパウンドには、絶縁特性に優れる成形体を形成することが求められる。
本発明は、絶縁特性に優れる成形体を形成することができるコンパウンド、該コンパウンドを用いた成形体、及びコンパウンドの硬化物を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るコンパウンドは、磁性粉と、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカップリング剤を含有する樹脂組成物と、を備え、前記カップリング剤が、25℃での動粘度が10~2000mm/sである多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを含む。
本発明の一側面に係る成形体は、上記コンパウンドを含む。本発明の一側面に係る硬化物は、上記コンパウンドの硬化物である。
本発明によれば、絶縁特性に優れる成形体を形成することができるコンパウンド、該コンパウンドを用いた成形体、及びコンパウンドの硬化物が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[コンパウンド]
本実施形態に係るコンパウンドは、磁性粉と樹脂組成物とを備える。樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂、硬化剤、及びカップリング剤を含有する。カップリング剤は、25℃での動粘度が10~2000mm/sである多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを含む。コンパウンドにおいて、磁性粉及び樹脂組成物は混合されている。樹脂組成物は、他の成分として硬化促進剤、離型剤、添加剤等を更に含有してよい。樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、カップリング剤、硬化促進剤、離型剤、及び添加剤を包含し得る成分であって、有機溶媒と磁性粉とを除く残りの成分(不揮発性成分)であってよい。添加剤とは、樹脂組成物のうち、樹脂、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、及びカップリング剤を除く残部の成分である。添加剤は、例えば、難燃剤、潤滑剤等である。コンパウンドは、粉末(コンパウンド粉)であってよい。
コンパウンドは、磁性粉と、当該磁性粉を構成する個々の磁性粒子の表面に付着した樹脂組成物と、を備えてよい。樹脂組成物は、磁性粒子の表面の全体を覆っていてもよく、磁性粒子の表面の一部のみを覆っていてもよい。コンパウンドは、未硬化の樹脂組成物と、磁性粉とを備えてよい。コンパウンドは、樹脂組成物の半硬化物(例えばBステージの樹脂組成物)と、磁性粉とを備えてもよい。コンパウンドは、未硬化の樹脂組成物及び樹脂組成物の半硬化物の両方を備えてもよい。コンパウンドは、磁性粉及び樹脂組成物からなっていてよい。
(磁性粉)
磁性粉は、磁性を有する磁性体粒子である。磁性粉は、例えば、金属単体、合金及び金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよい。磁性粉は、例えば、金属単体、合金及び金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種からなっていてよい。合金は、固溶体、共晶及び金属間化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。合金とは、例えば、ステンレス鋼(Fe-Cr系合金、Fe-Ni-Cr系合金等)であってよい。金属化合物とは、例えば、フェライト等の酸化物であってよい。磁性粉は、一種の金属元素又は複数種の金属元素を含んでよい。磁性粉に含まれる金属元素は、例えば、卑金属元素、貴金属元素、遷移金属元素、又は希土類元素であってよい。コンパウンドは、一種の磁性粉を含んでよく、組成が異なる複数種の磁性粉を含んでもよい。
磁性粉に含まれる金属元素は、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、鉛(Pb)、銀(Ag)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、及びジスプロシウム(Dy)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。磁性粉は、金属元素以外の元素を更に含んでもよい。磁性粉は、例えば、炭素(C)、酸素(О)、ベリリウム(Be)、リン(P)、硫黄(S)、ホウ素(B)、又はケイ素(Si)を含んでもよい。
磁性粉は、軟磁性合金、又は強磁性合金であってよい。磁性粉は、例えば、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金(センダスト)、Fe-Ni系合金(パーマロイ)、Fe-Cu-Ni系合金(パーマロイ)、Fe-Co系合金(パーメンジュール)、Fe-Cr-Si系合金(電磁ステンレス鋼)、Nd-Fe-B系合金(希土類磁石)、Sm-Fe-N系合金(希土類磁石)、Al-Ni-Co系合金(アルニコ磁石)、及びフェライトからなる群より選ばれる少なくとも一種からなる磁性粉であってよい。フェライトは、例えば、スピネルフェライト、六方晶フェライト、又はガーネットフェライトであってよい。磁性粉は、Cu-Sn系合金、Cu-Sn-P系合金、Cu-Ni系合金、又はCu-Be系合金等の銅合金であってもよい。
磁性粉は、Fe単体であってもよい。磁性粉は、鉄を含む合金(Fe系合金)であってもよい。Fe系合金は、例えば、Fe-Si-Cr系合金又はNd-Fe-B系合金であってよい。磁性粉は、アモルファス系鉄粉及びカルボニル鉄粉のうちの少なくともいずれかであってもよい。磁性粉がFe単体及びFe系合金のうちの少なくともいずれかを含む場合、高い占積率を有し、且つ磁気特性に優れる成形体をコンパウンドから作製し易い。磁性粉は、Feアモルファス合金であってもよい。
Feアモルファス合金粉の市販品としては、例えば、AW2-08、KUAMET 6B2、KUAMET 9A4-II(以上、エプソンアトミックス株式会社製の商品名)、DAP MS3、DAP MS7、DAP MSA10、DAP PB、DAP PC、DAP MKV49、DAP 410L、DAP 430L、DAP HYBシリーズ(以上、大同特殊鋼株式会社製の商品名)、MH45D、MH28D、MH25D、及びMH20D(以上、神戸製鋼株式会社製の商品名)からなる群より選ばれる少なくとも一種が用いられてよい。
磁性粉として鉄を含む磁性粉(鉄含有磁性粉)を用いる場合、鉄含有磁性粉中の鉄の含有率は、80質量%以上であってもよく、83~99質量%、84~97質量%、85~95質量%、又は87~93質量%であってもよい。鉄の含有率が上記範囲内である鉄含有磁性粉を用いることで、コンパウンドは、インダクタ、封止材、電磁波シールド(EMIシールド)、又はボンド磁石等の原材料としてより好適に使用できる。
磁性粉を構成する個々の金属粒子の形状は限定されないが、例えば、球状、扁平形状、角柱状、又は針状であってよい。磁性粉の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、又は1.0μm以上であってよく、100μm以下、80μm以下、又は50μm以下であってよい。平均粒径は、例えば粒度分布計によって測定することができる。コンパウンドは、平均粒径が異なる複数種の磁性粉を備えてよい。磁性粉は、流動性及び磁気特性を向上する観点から、平均粒径が11~45μmの第1の磁性粉と、平均粒径が0.1~9μmの第2の磁性粉とを含むことが好ましい。第1の磁性粉の平均粒径は、15~40μm、18~35μm、又は20~30μmであってもよい。第2の磁性粉の平均粒径は、0.5~6μm、0.8~5μm、又は1.0~4μmであってもよい。
コンパウンドにおける磁性粉の含有量は、コンパウンドの総量を基準として、90質量%以上100質量%未満であることが好ましい。磁性粉の含有量が多くなると、成形体の離型性が担保し難く、作業性に劣る傾向がある。成形体の磁気特性の観点から、磁性粉の含有量は、92質量%以上が好ましく、94質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。磁性粉の含有量の上限値は、99質量%以下、98質量%以下、又は97.5質量%以下であってよい。
(樹脂組成物)
樹脂組成物は、磁性粉を構成する磁性粒子の結合材(バインダ)としての機能を有し、コンパウンドから形成される成形体に機械的強度を付与する。例えば、コンパウンドに含まれる樹脂組成物は、金型を用いてコンパウンドが高圧で成形される際に、磁性粒子の間に充填され、当該粒子を互いに結着する。成形体中の樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物が磁性粒子同士をより強固に結着して、成形体の機械的強度が向上する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有することにより、コンパウンドの流動性を向上することができる。エポキシ樹脂は、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であってよい。エポキシ樹脂の種類は特に制限されず、樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
エポキシ樹脂として、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格を含有するエポキシ樹脂、アルコール類のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル型又はメチルグリシジル型のエポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、並びにオレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
流動性の観点において、エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
機械強度の観点において、エポキシ樹脂は、ビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
エポキシ樹脂は、結晶性のエポキシ樹脂であってもよい。結晶性のエポキシ樹脂の分子量は比較的低いにもかかわらず、結晶性のエポキシ樹脂は比較的高い融点を有し、且つ流動性に優れる。結晶性のエポキシ樹脂(結晶性の高いエポキシ樹脂)は、例えば、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、チオエーテル型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
結晶性のエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピクロン860、エピクロン1050、エピクロン1055、エピクロン2050、エピクロン3050、エピクロン4050、エピクロン7050、エピクロンHM-091、エピクロンHM-101、エピクロンN-730A、エピクロンN-740、エピクロンN-770、エピクロンN-775、エピクロンN-865、エピクロンHP-4032D、エピクロンHP-7200L、エピクロンHP-7200、エピクロンHP-7200H、エピクロンHP-7200HH、エピクロンHP-7200HHH、エピクロンHP-4700、エピクロンHP-4710、エピクロンHP-4770、エピクロンHP-5000、エピクロンHP-6000、N500P-2、及びN500P-10(以上、DIC株式会社製の商品名);NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000-L、NC-7300-L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN-201、BREN-S、及びBREN-10S(以上、日本化薬株式会社製の商品名);YX-4000、YX-4000H、YL4121H、及びYX-8800(以上、三菱ケミカル株式会社製の商品名)が挙げられる。
樹脂組成物は、上記のうち一種のエポキシ樹脂を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種のエポキシ樹脂を含有してもよい。樹脂組成物は、上記のエポキシ樹脂の中でも、ビフェニル骨格を含むエポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、又は2個以上のエポキシ基を含む多官能型エポキシ樹脂を含有してよい。
硬化剤は、低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、加熱に伴ってエポキシ樹脂を硬化させる加熱硬化型の硬化剤と、に分類される。低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド、及びポリメルカプタンが挙げられる。加熱硬化型の硬化剤としては、例えば、芳香族ポリアミン、酸無水物、フェノールノボラック樹脂、及びジシアンジアミド(DICY)が挙げられる。硬化剤の種類は特に制限されず、組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を用いた場合、エポキシ樹脂の硬化物のガラス転移点は低く、エポキシ樹脂の硬化物は軟らかい傾向がある。その結果、コンパウンドから形成された成形体も軟らかくなり易い。一方、成形体の耐熱性を向上させる観点から、硬化剤は、好ましくは加熱硬化型の硬化剤、より好ましくはフェノール樹脂、更に好ましくはフェノールノボラック樹脂であってよい。特に硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を用いることで、ガラス転移点が高いエポキシ樹脂の硬化物が得られ易い。その結果、成形体の耐熱性及び機械的強度を向上し易くなる。
フェノール樹脂は、例えば、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノールとアラルキル型フェノールとの共重合型フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。フェノール樹脂は、上記のうちの二種以上から構成される共重合体であってもよい。フェノール樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学工業株式会社製のタマノル758、昭和電工マテリアルズ株式会社製のHP-850N等を用いてもよい。
フェノールノボラック樹脂は、例えば、フェノール類及び/又はナフトール類と、アルデヒド類と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂であってよい。フェノールノボラック樹脂を構成するフェノール類は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、及びアミノフェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。フェノールノボラック樹脂を構成するナフトール類は、例えば、α-ナフトール、β-ナフトール、及びジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。フェノールノボラック樹脂を構成するアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
硬化剤は、例えば、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物であってもよい。1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物は、例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及び置換又は非置換のビフェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
樹脂組成物は、上記のうち一種のフェノール樹脂を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種のフェノール樹脂を備えてもよい。樹脂組成物は、上記のうち一種の硬化剤を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種の硬化剤を含有してもよい。
エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応する硬化剤中の活性基(フェノール性OH基)の比率は、エポキシ樹脂中のエポキシ基が1当量に対して、好ましくは0.5~1.5当量、より好ましくは0.6~1.4当量、更に好ましくは0.7~1.2当量であってよい。硬化剤中の活性基の比率が0.5当量未満である場合、得られる硬化物の充分な弾性率が得られ難い。一方、硬化剤中の活性基の比率が1.5当量を超える場合、コンパウンドから形成された成形体の硬化後の機械的強度が低下する傾向がある。ただし、硬化剤中の活性基の比率が上記範囲外である場合であっても、本発明に係る効果は得られる。
カップリング剤は、樹脂組成物と、磁性粉を構成する金属元素含有粒子との密着性を向上させ、コンパウンドから形成される成形体の可撓性及び機械的強度を向上させることができる。本実施形態に係る樹脂組成物は、カップリング剤として、25℃での動粘度が10~2000mm/sである多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを含有する。多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを併用することで、コンパウンドの硬化特性を向上して、絶縁特性に優れる成形性を形成することができる。
本明細書において、「多官能シラン化合物」には、1分子中に、2つ以上のアルコキシシリル基と、2つ以上の反応性官能基を有するシラン化合物が包含され、「単官能シラン化合物」には、1分子中に、1つのアルコキシシリル基と、1つの反応性官能基を有するシラン化合物が包含される。「反応性官能基」には、アルコキシ基は含まれない。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基が挙げられる。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、及びメルカプト基が挙げられる。
多官能シラン化合物は、コンパウンドの硬化特性をより向上する観点から、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を2つ以上有してよく、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を2つ以上有することが好ましい。多官能シラン化合物が有する官能基の数は、例えば、2~10、3~8、又は4~6であってもよい。多官能シラン化合物は、一種単独で用いてよく、複数種を混合して用いてよい。
多官能シラン化合物の分子量は、高温下における強度と弾性率とのバランスをより向上する観点から、500以上、600以上、又は800以上であってよく、2500以下、2000以下、1800以下、又は1500以下であってよい。
多官能シラン化合物の25℃での動粘度は、耐電圧性をより向上する観点から、11mm/s以上、12mm/s以上、又は13mm/s以上であってよく、1800mm/s以下、1700mm/s以下、又は1600mm/s以下であってよい。動粘度は、JIS Z 8803:2011に準じて、例えば、レオメータを用いて測定することができる。
多官能シラン化合物の含有量は、耐電圧性をより向上する観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下であってよく、1.0質量部以上15質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以上7.0質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係るチタネート化合物としては、チタン原子に、親水性の加水分解性基と疎水性の有機官能基とが結合したチタネート化合物を用いることができる。加水分解性基としては、例えば、イソプロポキシ基及びエチレンジオキシ基が挙げられる。有機官能基としては、例えば、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、及びアルキルアミノ基が挙げられる。
本実施形態に係るチタネート化合物は、成形体の絶縁特性をより向上する観点から、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、及びイソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエトキシ)チタネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、及びイソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエトキシ)チタネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましい。
チタネート化合物の含有量は、樹脂組成物の硬化性を向上する観点から、多官能シラン化合物の含有量を基準として、1質量%以上10質量%未満であってよく、2質量%以上9.5質量%以下であることが好ましく、4質量%以上9質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上8.5質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係るカップリング剤は、単官能シラン化合物を更に含んでもよい。単官能シラン化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、又はメルカプト基を有するシラン化合物が挙げられる。単官能シラン化合物は、例えば、メルカプト基を有するシラン化合物であってよい。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
樹脂組成物は、コンパウンドの成形性及び離型性を向上するために、硬化促進剤(触媒)を更に含有してもよい。樹脂組成物が硬化促進剤を含有することにより、コンパウンドを用いて製造された成形体(例えば、電子部品)の機械的強度が向上したり、高温・高湿な環境下におけるコンパウンドの保存安定性が向上したりする。硬化促進剤は、例えば、エポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂の硬化を促進させる組成物であれば限定されない。硬化促進剤は、例えば、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、又はウレア系硬化促進剤であってよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、ホスフィン化合物及びホスホニウム塩化合物が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、2MZ-H、C11Z、C17Z、1,2DMZ、2E4MZ、2PZ-PW、2P4MZ、1B2MZ、1B2PZ、2MZ-CN、C11Z-CN、2E4MZ-CN、2PZ-CN、C11Z-CNS、2P4MHZ、TPZ、及びSFZ(以上、四国化成工業株式会社製の商品名)が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、ウレア基を有する硬化促進剤であれば特に限定されないが、保存安定性の向上の観点から、アルキルウレア基を有するアルキルウレア系硬化促進剤であることが好ましい。アルキルウレア基を有するアルキルウレア系硬化促進剤としては、例えば、芳香族アルキルウレア及び脂肪族アルキルウレアが挙げられる。アルキルウレア系硬化促進剤の市販品としては、例えば、U-CAT3512T(商品名、サンアプロ株式会社製、芳香族ジメチルウレア)及びU-CAT3513N(商品名、サンアプロ株式会社製、脂肪族ジメチルウレア)が挙げられる。これらの中でも、開裂温度が適度に低く、コンパウンドを効率的に硬化させ易いことから、芳香族アルキルウレアが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が得られる量であればよく、特に限定されない。樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性を改善する観点から、硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂の100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下、1質量部以上15質量部以下、又は2質量部以上10質量部以下であってよい。硬化促進剤の配合量が0.1質量部以上である場合、十分な硬化促進効果が得られ易い。硬化促進剤の配合量が20質量部以下であると、コンパウンドの保存安定性が低下し難い。
金型を用いてコンパウンドから成形体を形成する場合、樹脂組成物は、ワックスを含有してよい。ワックスは、コンパウンドの成形(例えばトランスファー成形)におけるコンパウンドの流動性を高めると共に、離型剤として機能する。ワックスは、高級脂肪酸等の脂肪酸、及び脂肪酸エステルのうち少なくともいずれか一つであってよい。
ワックスは、例えば、モンタン酸、ステアリン酸、12-オキシステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸類又はこれらのエステル;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアエン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2-エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらの変性物からなるポリエーテル類;シリコーンオイル、シリコングリース等のポリシロキサン類;フッ素系オイル、フッ素系グリース、含フッ素樹脂粉末等のフッ素化合物;並びに、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類;からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
コンパウンドの環境安全性、リサイクル性、成形加工性、及び低コストのために、コンパウンドは難燃剤を含んでよい。難燃剤は、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、水和金属化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素含有化合物、ヒンダードアミン化合物、有機金属化合物、及び芳香族エンプラからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。樹脂組成物は、上記のうち一種の難燃剤を含有してよく、上記のうち複数種の難燃剤を含有してもよい。
コンパウンドを作製する際には、磁性粉と樹脂組成物(樹脂組成物を構成する各成分)とを加熱しながら混合する。例えば、磁性粉と樹脂組成物とを加熱しながらニーダー、ロール、攪拌機などで混練してよい。磁性粉及び樹脂組成物の加熱及び混合により、樹脂組成物が磁性粉を構成する金属元素含有粒子の表面の一部又は全体に付着して金属元素含有粒子を被覆し、樹脂組成物中のエポキシ樹脂の一部又は全部が半硬化物になる。その結果、コンパウンドが得られる。磁性粉及び樹脂組成物の加熱及び混合によって得られた粉末に、更にワックスを加えることによって、コンパウンドを得てもよい。予め樹脂組成物とワックスとが混合されていてもよい。
混練では、磁性粉、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及びカップリング剤を槽内で混練してよい。磁性粉及びカップリング剤を槽内に投入して混合した後、エポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤を槽内へ投入して、槽内の原料を混練してもよい。エポキシ樹脂、硬化剤、及びカップリング剤を槽内で混練した後、硬化促進剤を槽内に入れて、更に槽内の原料を混練してもよい。予めエポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤の混合粉(樹脂混合粉)を作製し、磁性粉とカップリング剤とを混練して金属混合粉を作製し、続いて、金属混合粉と樹脂混合粉とを混練してもよい。
混練時間は、混練機械の種類、混練機械の容積、コンパウンドの製造量にもよるが、例えば、1分以上であることが好ましく、2分以上であることがより好ましく、3分以上であることが更に好ましい。混練時間は、20分以下であることが好ましく、15分以下であることがより好ましく、10分以下であることが更に好ましい。混練時間が1分未満である場合、混練が不十分であり、コンパウンドの成形性が損なわれ、コンパウンドの硬化度にばらつきが生じる。混練時間が20分を超える場合、例えば、槽内で樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂)の硬化が進み、コンパウンドの流動性及び成形性が損なわれ易い。
槽内の原料を加熱しながらニーダーで混練する場合、加熱温度は、例えば、エポキシ樹脂の半硬化物(Bステージのエポキシ樹脂)が生成し、且つエポキシ樹脂の硬化物(Cステージのエポキシ樹脂)の生成が抑制される温度であればよい。加熱温度は、硬化促進剤の活性化温度よりも低い温度であってよい。加熱温度は、例えば、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。加熱温度は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが更に好ましい。加熱温度が上記の範囲内である場合、槽内の樹脂組成物が軟化して磁性粉を構成する金属元素含有粒子の表面を被覆し易く、エポキシ樹脂の半硬化物が生成し易く、混練中のエポキシ樹脂の完全な硬化が抑制され易い。
[成形体]
本実施形態に係る成形体は、上記のコンパウンドを含むことができる。実施形態に係る成形体は、上記のコンパウンドの硬化物を含んでもよい。成形体は、未硬化の樹脂組成物、樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)、及び樹脂組成物の硬化物(Cステージの樹脂組成物)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。本実施形態に係る成形体は、電子部品又は電子回路基板用の封止材として用いられてよい。本実施形態によれば、電子部品又は電子回路基板が備える金属部材と、成形体(封止材)との熱膨張率差に起因する成形体のクラックを抑制することができる。
コンパウンドの硬化物は、磁性粉と樹脂組成物との硬化物である。硬化物の250℃における曲げ強度は、硬化物の強度を高める観点から、5.0MPa以上、5.5MPa以上、又は5.8MPa以上であってよい。250℃における曲げ強度の上限値は、10MPa程度である。硬化物の室温における曲げ強度は、90MPa以上、95MPa以上、又は100MPa以上であってよい。室温における曲げ強度の上限値は、200MPa程度である。本実施形態に係るコンパウンドの硬化物は、高温高湿環境下で吸湿した後も優れた機械特性を有している。例えば、121℃、100%(飽和)の環境下で20時間処理した後の硬化物の室温における曲げ強度は、48MPa以上、50MPa以上、又は52MPa以上であってよい。
本実施形態に係る成形体の製造方法は、コンパウンドを金型中で加圧する工程を備えてよい。成形体の製造方法は、金属部材の表面の一部又は全体を覆うコンパウンドを金型中で加圧する工程を備えてよい。成形体の製造方法は、コンパウンドを金型中で加圧する工程のみを備えてよく、当該工程に加えてその他の工程を備えてもよい。成形体の製造方法は、第一工程、第二工程及び第三工程を備えてもよい。以下では、各工程の詳細を説明する。
第一工程では、上記の方法でコンパウンドを作製する。
第二工程では、コンパウンドを金型中で加圧することにより、成形体(Bステージの成形体)を得る。第二工程では、金属部材の表面の一部又は全体を覆うコンパウンドを金型中で加圧することにより、成形体(Bステージの成形体)を得てよい。第二工程において、樹脂組成物が、磁性粉を構成する個々の金属元素含有粒子間に充填される。そして樹脂組成物は、結合材(バインダ)として機能し、磁性粉同士を互いに結着する。
第二工程として、コンパウンドのトランスファー成形を実施してもよい。トランスファー成形では、コンパウンドを5MPa以上50MPa以下で加圧してよい。成形圧力が高いほど、機械的強度に優れた成形体が得られ易い傾向がある。成形体の量産性及び金型の寿命を考慮した場合、成形圧力は8MPa以上20MPa以下であることが好ましい。トランスファー成形によって形成される成形体の密度は、コンパウンドの真密度に対して、好ましくは75%以上86%以下、より好ましくは80%以上86%以下であってよい。成形体の密度が75%以上86%以下である場合、機械的強度に優れた成形体が得られ易い。トランスファー成形において、第二工程と第三工程とを一括して実施してもよい。
第三工程では、成形体を熱処理によって硬化させ、Cステージの成形体を得る。熱処理の温度は、成形体中の樹脂組成物が十分に硬化する温度であればよい。熱処理の温度は、好ましくは100℃以上300℃以下、より好ましくは110℃以上250℃以下であってよい。成形体中の磁性粉の酸化を抑制するために、熱処理を不活性雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理温度が300℃を超える場合、熱処理の雰囲気に不可避的に含まれる微量の酸素によって磁性粉が酸化されたり、樹脂硬化物が劣化したりする。磁性粉の酸化、及び樹脂硬化物の劣化を抑制しながら樹脂組成物を十分に硬化させるためには、熱処理温度の保持時間は、好ましくは数分以上10時間以下、より好ましくは3分以上8時間以下であってよい。
本実施形態に係るコンパウンドを用いることで、絶縁特性に優れる成形体を作製することができる。
以下では実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び参考例のコンパウンドの調製に使用した各成分の詳細を以下に示す。
(エポキシ樹脂)
ビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製の商品名:NC-3000、エポキシ当量:275g/eq)
多官能型エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製の商品名:TECHMORE VG-3101L、エポキシ当量:215g/eq)
(硬化剤)
フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製の商品名:HF-3M)
(硬化促進剤)
芳香族ジメチルウレア(サンアプロ株式会社製の商品名:U-CAT3512T)
(離型剤)
部分ケン化モンタン酸エステルワックス(クラリアントケミカルズ株式会社製の商品名:LICOWAX-OP)
(カップリング剤)
エポキシ基を有する多官能シラン化合物(信越化学工業株式会社製の商品名:KR-517、動粘度(25℃):14.7mm/s)
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名:TTS)
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名:41B)
イソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエトキシ)チタネート(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名:44)
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の商品名:KBM-403、動粘度(25℃):3.05mm/s)
(磁性粉)
アモルファス系鉄粉(エプソンアトミックス株式会社製の商品名:6B2-53μm、平均粒径:24μm)
FeSiCr合金粉末(新東工業株式会社製、平均粒径:2.1μm)
[コンパウンドの調製]
(実施例1~4)
表1に示す配合量(単位:g)のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及び離型剤を、ポリ容器に投入した。これらの材料をポリ容器内で10分間混合することにより、樹脂混合物を調製した。樹脂混合物とは、樹脂組成物のうち、カップリング剤を除く他の全成分に相当する。
アモルファス系鉄粉及びFeSiCr合金粉末(質量比82:18)を、加圧式2軸ニーダー(日本スピンドル製造株式会社製、容量5L)で5分間混合した後、表1に示すカップリング剤を2軸ニーダー内へ添加した。続いて、2軸ニーダーの内容物を90℃になるまで加熱し、その温度を保持しながら、2軸ニーダーの内容物を10分間混合した。続いて、上記の樹脂混合物を2軸ニーダーの内容物へ添加して、内容物の温度を120℃に保持しながら、内容物を15分間溶融・混練した。以上の溶融・混練によって得られた混練物を室温まで冷却した後、混練物が所定の粒度を有するようになるまで混練物をハンマーで粉砕した。なお、上記の「溶融」とは、2軸ニーダーの内容物のうち樹脂組成物の少なくとも一部の溶融を意味する。コンパウンド中の磁性粉は、コンパウンドの調製過程において溶融しない。以上の方法により、実施例のコンパウンドを調製した。コンパウンドの総量を基準とする磁性粉の含有量を表1に示す。
(比較例1~2)
各成分の種類及び配合量を表2に示すように変更したこと以外は実施例と同様に操作して、比較例のコンパウンドを調製した。
[コンパウンドの評価]
実施例及び参考例で得られたコンパウンドについて、以下の評価を行った。
(体積抵抗率)
コンパウンドを、成形金型温度175℃、成形圧力13.5MPa、硬化時間360秒の条件でトランスファー成形した後、175℃で5.5時間ポストキュアすることによって、厚さ0.2cmの試験片を作製した。試験片の一方の面上に内円(外径:3.7cm)と外円(外径:5.0cm)からなる表面電極を形成し、他方の面上に裏面電極(外径:11cm)を形成した。電極が形成された試験片を超絶縁抵抗箱の中にセットし、室温で、300Vの電圧印加1分後の体積抵抗値を読み取った。下式により体積抵抗率を求めた。
体積抵抗率(Ω・cm)=(πd/4t)×(Rv)
d:表面電極の内円の外径(3.7cm)
t:試験片の厚さ(0.2cm)
Rv:体積抵抗値(Ω)
π:円周率(3.14)
Figure 2023047606000001
Figure 2023047606000002

Claims (8)

  1. 磁性粉と、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカップリング剤を含有する樹脂組成物と、を備え、
    前記カップリング剤が、25℃での動粘度が10~2000mm/sである多官能シラン化合物と、チタネート化合物とを含む、コンパウンド。
  2. 前記チタネート化合物の含有量が、前記多官能シラン化合物の含有量を基準として、1質量%以上10質量%未満である、請求項1に記載のコンパウンド。
  3. 前記チタネート化合物が、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、及びイソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエトキシ)チタネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載のコンパウンド。
  4. 前記多官能シラン化合物が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を2つ以上有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンパウンド。
  5. 前記多官能シラン化合物の含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンパウンド。
  6. 前記磁性粉の含有量が、90質量%以上100質量%未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンパウンド。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のコンパウンドを含む、成形体。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載のコンパウンドの硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023182085A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 パナソニックIpマネジメント株式会社 封止用樹脂組成物及び半導体装置

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