JP2023042254A - 包装用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックゴミを低減することができる包装用紙、特に耐熱性を有し、電子レンジに好適に使用でき、古紙として回収しやすい包装用紙を提供する。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層の耐熱層を有する包装用紙であって、前記耐熱層がポリ塩化ビニリデン系高分子を含み、前記耐熱層の密度が1.6~2.0g/cm3であることを特徴とするものであり、前記耐熱層が少なくとも一方の面に2層以上で形成されていてもよい包装用紙である。【選択図】なし

Description

本発明は、包装用紙、特に、電子レンジ用の包装用紙に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックゴミの大きな原因の一つになっている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋、容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。特にプラスチックゴミよる海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
一方で、プラスチックゴミ対策として微生物によって完全に分解され得る生分解性プラスチックの応用が世界中で提案されている。生分解プラスチックは自然界で一定期間の内に分解されるが、分解されるまではやはりゴミであり、それらの使用量及び廃棄量が低減されない限りにおいては、即効性のある対策とは言えない(特許文献1、2参照)。
即効性のある対策手段として、プラスチックを紙に代替することが提案されている。しなしながら、紙を袋や容器に加工する際には、バリア層として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックが多量にラミネートされて使用される。これらプラスチックのラミネート量は、商品コンセプトによって様々だが、概ね20~50g/mであり、300g/mと多量になる場合もある。従って、プラスチックを紙に代替した包装容器においても、依然としてプラスチックの使用量は十分に低減されないという問題があり、早急に、直接的にプラスチックの使用を低減する手段が必要である。
更に、耐熱性の包装用紙、特に近年の電子レンジ用包装用紙においては、耐熱性を付与するためのポリプロピレン(PP)フィルムが多量にラミネートされており、ポイ捨て等により自然界に放出された場合にプラスチックゴミとなりやすい。また、プラスチックと紙の離解も実質的に不可能なために古紙としても回収不可能であり、ポイ捨てされやすい。
特開2012-148444号公報 特開2013-141763号公報
上記従来技術の現状を鑑み、本発明の目的はプラスチックゴミを低減することができる包装用紙、特に耐熱性を有し、電子レンジに好適に使用でき、古紙として回収しやすい包装用紙を提供することにある。
本発明においては、従来の耐熱性プラスチックラミネート紙(以降、耐熱性ポリラミ紙と略称する場合がある)におけるポリプロピレンラミレートの使用量を低減するために、ポリ塩化ビニリデン系高分子を使用する。すなわち、本発明による包装用紙は、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも一層の耐熱層を有する包装用紙であって、前記耐熱層がポリ塩化ビニリデン系高分子(PVDCと略称される場合もある)のみであり、前記耐熱層の密度が1.6~2.0g/cmであることを特徴とする。当該構成を有する本発明の包装用紙であれば、従来の耐熱性ポリラミ紙の耐熱層とほぼ同等の耐熱性を有することとなり、特に電子レンジ用の包装用紙に最適である。さらに、本発明の包装用紙はプラスチックと紙を離解しやすいので、古紙としても回収しやすい。
本発明においては、前記耐熱層が少なくとも一方の面に2層以上で形成されていてもよい。このような構成とすることで、塗工層密度が高くなり、耐熱性に優れた包装用紙を得ることができる。
また、本発明における包装用紙の製造方法は、ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを含有する耐熱層用塗工液を調製する工程と、紙基材の少なくとも一方の面に、前記耐熱層用塗工液を2層以上塗工する工程とを有することが好ましい。特にポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンとして、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを使用する事により、塗工量を比較的低くコントロールすることが可能であり、またVOC(揮発性有機化合物)排出が無いことから環境負荷の小さい包装用紙を得ることができる。
本発明により、プラスチックゴミを低減できる耐熱性を有する包装用紙、特に電子レンジ用の包装用紙を製造することが可能である。本発明の包装用紙を用いた容器製品であれば、離解しやすい為に古紙として回収可能であり、プラスチックゴミ問題の解決の一助となる。なお、本発明における包装用紙は、例えば食品を入れて(のせて)電子レンジで温めることが可能な、袋、カートン、カップ、トレイ、箱、ケース、器等の包装容器全般に加工することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明は、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層の耐熱層を有する包装用紙に関し、当該耐熱層がポリ塩化ビニリデン系重合体のみからなる。本実施形態において、ポリ塩化ビニリデン系高分子とは、塩化ビニリデン単量体を主体として多種のビニル化合物(アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、アリルエステル、スチレン等)の1種以上との共重合物高分子である。本発明においては、耐熱層を形成するために前記ポリ塩化ビニリデン系高分子のエマルジョンのみを紙に塗工する。この他の樹脂が耐熱層に存在する場合は、ポリ塩化ビニリデン系高分子以外の樹脂が溶融し、更にポリ塩化ビニリデン高分子の結晶化が阻害されてしまい、耐電子レンジ性が劣ってしまう。更に耐熱層に顔料(例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンクレー、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム)を添加すると、ポリ塩化ビニリデン系高分子の結晶化を阻害し、耐熱層塗工層密度が低下する。自然環境への負荷を小さくするために、前記エマルジョンは水系エマルジョンであることが好ましい。本発明の耐熱層を有する包装用紙であれば、従来のポリプロピレンフィルムを主体とする耐熱層と同等の耐熱性を得ることが可能となり、電子レンジ加熱時の熱に対しても融解することなく実用的に使用することができる。
本実施形態においては、紙基材の少なくとも一方の面に、ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを含有する耐熱層用塗工液を塗工し、乾燥することで耐熱層を設けることができる。ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを用いることにより、塗工量を比較的低くコントロールすることが可能となる。更に、水系のポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを用いることによりVOC排出が無くなり自然環境に対する負荷を小さくすることができる。耐熱層の塗工量は、紙基材の片面あたり、固形分換算で3~30g/mであり、好ましくは4~25g/mである。3g/m未満の場合は、ポリ塩化ビニリデン系エマルジョンが紙層に吸われて塗工層の密度が低下し、十分な耐熱性が得られない場合がある。逆に30g/mを超える場合は、耐熱性の面からは過剰品質であり、かつプラスチック削減効果に乏しくなるし、紙とプラスチックの離解もしにくくなる。また、ポリ塩化ビニリデン系エマルジョンが水系の場合、水で希釈して濃度を下げすぎることも塗工層密度低下の原因となる。水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンの固形分濃度は15~50%が好ましい。更に、耐熱層塗工液が泡立つと塗工層密度低下の原因となるので、脱泡機を使用する、攪拌度合いを適切に設定する、塗工液配管出口にストレーナーを設置する、塗工液投入時にはタンク壁面に沿わせて行う、等の処置を講ずることが好ましい。
耐熱層用塗工液を少なくとも一方の面に2層以上塗工することが好ましい。より耐熱層の密度を上げることが可能であり、耐電子レンジ性に優れる。本発明においては、前記耐熱層の密度が1.6~2.0g/cmであることが必要である。密度が1.6g/cm未満の場合は耐電子レンジ性が劣り、2.0g/cmを超える場合は加工時に耐熱層が割れやすくなる。
耐熱層用塗工液を塗工する方式としては、特に限定するものではなく、一般に使用されている塗工装置が使用できる。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。更に、耐熱層塗工液は塗工後に乾燥させることが一般的である。これにより耐熱層の密度を適切な範囲とすることができる。耐熱層の密度が1.6~2.0g/cmであれば、乾燥温度と乾燥時間は特に指定されないが、耐熱層の塗工量に依存する。上記のように耐熱層の塗工量が、紙基材の片面あたり固形分換算で3~30g/mである場合は、耐熱層塗工液塗工後の乾燥温度は105~200℃が好ましい。また、乾燥時間は2秒~60秒であるとよい。乾燥温度が105℃未満の場合は耐熱層の密度が低下し、乾燥温度が200℃を超える場合は紙の水分が低下し、耐熱層が割れやすくなる。
本実施形態において用いる紙基材としては特に限定するものではなく、パルプを主成分とする公知の紙基材を用いることができる。紙基材の主成分となるパルプとしては、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ及びケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプを用いることができる。これらは、単独で使用するか、又は任意の割合で混合して使用することが可能である。例えば、パルプとして、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)をパルプ中90~100質量部使用することができる。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維を更に配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。また、例えば、適切なパルプの叩解度としては、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、200~700mlCSF、例えば、450~620mlCSFである。
紙基材としては填料を含有するものも使用できる。填料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウムを例示できる。紙基材中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、例えば、1~30質量部である。例えば、パルプの乾燥質量100質量部に対して、軽質炭酸カルシウムを1~10質量部含むとよい。
また、紙基材には、パルプと填料に加えて、各種公知の製紙用添加剤が含まれていてもよい。製紙用添加剤としては、例えば、サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などがある。本発明においては、パルプの乾燥質量100質量部に対して、例えば、カチオン化澱粉を0.1~0.5部、中性ロジンサイズ0.1~0.5部加えてもよい。また、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子が塗布されていてもよい。例えば、酸化澱粉を両面あたりの乾燥塗布量が1~5g/mとなるように塗布すればよい。
紙基材の抄紙方法は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機で製造できる。また、本発明においては、紙基材としては単層抄きでも多層抄きでも、複数層の貼合品であってもよい。
紙基材には、耐熱層以外の顔料塗工層が1層以上設けられていてもよく、例えば、顔料と接着剤を含有する顔料塗工層が設けられていても良い。顔料塗工層中の顔料としては、一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の顔料を用いることができ、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等)、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、又はアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンそのものや、これらを共重合して得られる有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント)が挙げられる。例えば、顔料としては、20~40質量部のカオリンと60~80質量部の重質炭酸カルシウムの組み合わせを使用することができる。また、接着剤も一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の接着剤を用いることができ、例えば、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等を例示できる。顔料塗工層中の顔料と接着剤の配合割合は特に限定されるものではないが、顔料100質量部に対し接着剤5~50質量部とすることが好ましい。例えば、接着剤としては、顔料100質量部に対して、1~5質量部のリン酸エステル化澱粉と5~15質量部のスチレンブタジエンラテックスの組み合わせを使用することができる。顔料塗工層には、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種助剤を含んでもよく、例えば、着色剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が含まれていてもよい。また、このような顔料塗工層の塗工量としては、例えば、紙基材の片面あたり、固形分換算で、2~40g/mである。本発明の包装用紙の実施形態の一つとして、耐熱層はこのような顔料塗工層の上に設けられてもよく、また、別の実施形態としては一方の面のみに顔料塗工層が設けられた紙基材の顔料塗工層が設けられていない面に耐熱層が設けられていてもよい。
本実施形態において、包装用紙の坪量は特に限定するものではないが、例えば10~500g/mである。耐熱層の塗工及び加工適性を考慮すれば好ましくは20~400g/mが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(紙基材の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス550mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP-121、奥多摩工業社製)5部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック30T、日本食品加工社製)0.3部、中性ロジンサイズ(商品名:CC167、星光PMC社製)0.4部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて坪量248g/mの原紙を作製した。この原紙にゲートロールコーターによって、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を両面あたりの乾燥塗布量が2g/mとなるように塗布し、乾燥して250g/mの紙基材を得た。
(顔料塗工層用塗工液の調製)
カオリン(商品名:コンツアー1500、イメリス社製)20部及び重質炭酸カルシウム(商品名:カービラックス、イメリス社製)80部に分散剤(商品名:アロンT-50、東亜合成社製)0.1部を加え、加水してコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとしてリン酸エステル化澱粉(商品名:MS4600、日本食品加工社製)2部及びスチレンブタジエンラテックス(商品名:PA0372、日本エイアンドエル株式会社)8部、更に水を加えて分散させ、固形分濃度50%の顔料塗工層用塗工液を調製した。
(塗工紙の作製)
上記で得られた基紙の両面に、顔料塗工層用塗工液を、片面当たりの乾燥塗工量が10g/mになるようにブレードコーターを用いて塗工、乾燥した。その後、キャレンダー処理を行い、坪量が270g/mの塗工紙を作製した。
(包装用紙の作製)
上記で得られた塗工紙の片面に、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョン(商品名:L536B、旭化成社製)を水で希釈して固形分濃度45%にし、合計乾燥塗工量が10g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて2回塗工し(2回塗工して合計塗工量が10g/m)、130℃で15秒乾燥して耐熱層を設け、包装用紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、耐熱層の塗工量を20g/mにした以外は実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、耐熱層の塗工量を3g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、耐熱層の塗工量を25g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例5)
(紙基材の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス580mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP-121、奥多摩工業社製)5部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック30T、日本食品加工社製)0.2部、中性ロジンサイズ(サイズパインNT-78:荒川化学工業社製)0.2部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて坪量38g/mの原紙を作製した。この原紙にゲートロールコーターによって、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を両面あたりの乾燥塗布量が2g/mとなるように塗布し、乾燥して40g/mの紙基材を得た。
(包装用紙の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョン(商品名:L411A、旭化成社製)を水で希釈して固形分濃度30%にし、合計乾燥塗工量が10g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて2回塗工し(2回塗工して合計塗工量が10g/m)、115℃で25秒乾燥して耐熱層を設け、包装用紙を作製した。
(実施例6)
実施例5において、耐熱層の塗工量を20g/mにした以外は実施例5と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例7)
実施例5において、耐熱層の塗工量を3g/mに変更した以外は、実施例5と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例8)
実施例5において、耐熱層の塗工量を25g/mに変更した以外は、実施例5と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例1)
実施例5で作製した紙基材の片面に、エクストリュージョンコーター(溶融押出し機)にて低密度ポリエチレン(東ソー社製、ペトロセンDLZ19A)を塗工量が30g/mになるようにラミネートして耐熱層を設け、包装用紙を作製した。
(比較例2)
実施例5で作製した紙基材の片面に、エクストリュージョンコーター(溶融押出し機)にてポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ノバテックFL03H)を塗工量が30g/mになるようにラミネートして耐熱層を設け、包装用紙を作製した。
(比較例3)
実施例7において、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを水系アクリルエマルジョン(日新化学工業社製、ビニブラン2685)に変更した以外は実施例7と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例4)
耐熱層塗工液として、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョン(商品名:L411A、旭化成社製)80質量部、カオリン(商品名:コンツアー1500、イメリス社製)20部を水で希釈して固形分濃度28%に変更した以外は実施例7と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例5)
実施例7において、水系ポリ塩化ビニリデン系高分子エマルジョンを1回塗工にした以外は実施例7と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例6)
実施例7において、耐熱層を設ける際の乾燥温度を103℃とした以外は実施例7と同様にして包装用紙を作製した。
各実施例及び比較例で得られた包装用紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(1)耐電子レンジ性
作成した包装用紙を15cm四方に断裁し、耐熱層の上に市販サラダ油を1滴滴下し、市販電子レンジの中で500W,3分間加熱した。加熱終了後にサンプルを取り出し、以下のように目視評価した。電子レンジで加熱する事で、耐熱層が融解して油が浸透する場合は耐電子レンジ性が劣る。
◎:サラダ油が全く浸み込んでおらず実用できる。
○:サラダ油がごくわずかに浸みこんでいるが実用できる。
△:サラダ油が浸み込んでおり実用できない。
×:サラダ油が完全に浸み込んで裏側まで浸透しており実用できない。
(2)塗工層密度
以下のように耐熱層密度を求めた。
密度(g/cm)=塗工量(g/m)/耐熱層厚み(μm)
耐熱層厚みは電子顕微鏡にて断面厚みを20箇所測定した値の平均値を求めた。
Figure 2023042254000001
表1より明らかなように、実施例1~8による包装用紙(水系ポリ塩化ビニリデンエマルジョン塗工品)は比較例1、3、4、5、6と比較して、耐熱性に優れており、電子レンジ用途に適している。また、比較例2の従来ポリプロピレンラミネート品と比較して、耐熱性に関して同等レベルであった。以上のように、特定の密度を有するポリ塩化ビニリデンから成る耐熱層を有する本発明の包装用紙は、優れた耐熱性を示し、電子レンジ用途に適していることが明らかになった。

Claims (4)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも1層の耐熱層を有する包装用紙であって、前記耐熱層がポリ塩化ビニリデン系重合体のみからなり、前記耐熱層の密度が1.6~2.0g/cmであることを特徴とする前記包装用紙。
  2. 前記耐熱層が少なくとも一方の面に2層以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用紙。
  3. 電子レンジ用包装用紙である、請求項1または2に記載の包装用紙。
  4. ポリ塩化ビニリデン系重合体のエマルジョンを含有する耐熱層用塗工液を調製する工程と、紙基材の少なくとも一方の面に、前記耐熱層用塗工液を2層以上塗工する工程とを有する包装用紙の製造方法。
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