JP2023038516A - 布帛の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】滲みの少ない画像を形成できる布帛の処理方法を提供する。【解決手段】カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、前記第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、を備える、布帛の処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、布帛の処理方法に関する。
インクジェット法は、記録媒体に対して高品質の画像を形成できるため、従来から種々の技術開発が行われてきた。例えば、インクジェット記録装置の開発のみならず当該装置で使用するインクジェットインク組成物等の開発も盛んである。さらに、記録装置、インクジェットインク組成物、記録媒体等の組み合わせにおいても種々の検討が為されている。
例えば、特許文献1には、インクジェット法により記録媒体に画像を形成した後に、不揮発成分を含む塗布液を加熱気体と共に噴霧する画像形成方法が提案されている。同文献には、かかる方法によれば、形成された画像を不揮発成分により保護することができる旨の記載がある。
特開2020-175665号公報
特許文献1に記載の方法は、インクで形成された画像の上に噴霧により不揮発成分を配置する方法であり、記録媒体についても紙を想定している。しかし、インクジェット法では、布帛に対して画像を形成することが行われており、記録媒体が布帛である場合は、記録媒体が紙である場合よりも、オーバーコートによる印刷品質の向上は期待しにくい。
また、布帛は、インクが浸透しやすいため、従来から、布帛の表面近傍でインクを凝集させ、発色性を良好とするために、予め布帛に前処理液を塗布することが行われている。この場合、前処理液の種類や塗布する条件によっては、後から付着されるインクの滲みが生じることがある。
本発明に係る布帛の処理方法の一態様は、
カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、
顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、前記第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、
を備える。
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
1.布帛の処理方法
本実施形態に係る布帛の処理方法は、カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、を備える。
1.1.布帛
本実施形態の処理方法により処理する布帛としては、特に限定されない。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド(例えば、ナイロン(登録商標))、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよいし、混織等を施したものでもよい。
本実施形態の布帛の処理方法においては、布帛が、ポリエステル、ポリアミドから選択される繊維を含む場合により顕著な効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の布帛の処理方法によれば、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維を含み高温に曝すことが難しい布帛である場合に、特に良好な堅牢性の画像を形成することができる。
1.2.第1処理液付着工程
第1処理液付着工程では、カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる。
1.2.1.第1処理液
第1処理液は、カチオン性化合物と、水と、を少なくとも含有する。第1処理液は、後述する第2処理液中の顔料や樹脂粒子のような分散成分を凝集させる機能を有する。第1処理液は、第2処理液が布帛に付着する前に布帛に付着されるので、いわゆる前処理液に相当する。
1.2.1.1.カチオン性化合物
第1処理液は、カチオン性化合物を含有する。カチオン性化合物は、第2処理液の樹脂粒子や顔料を凝集させる作用を有し、第2処理液による滲み等の低減された優れた画質の画像を得る一要因となる。
カチオン性化合物は、樹脂粒子、顔料、水分散性樹脂など分散成分の分散性に作用する。カチオン性化合物による分散体の凝集の程度は、カチオン性化合物と対象のそれぞれの種類によって異なり、調節することができる。このような凝集作用により、例えば、画像の滲みを抑制すること、発色を高めること、及び/又は、画像の定着性を高めることができる。
カチオン性化合物としては、特に限定されるものではないが、金属塩、酸、カチオン性有機化合物等が挙げられ、カチオン性有機化合物としては、カチオン性樹脂(カチオン性ポリマー)、カチオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの中でも、金属塩としては多価金属塩が好ましく、カチオン性有機化合物としてはカチオン性樹脂が好ましい。酸としては有機酸、無機酸が挙げられ有機酸が好ましい。
金属塩としては好ましくは多価金属塩であるが、多価金属塩以外の金属塩も使用可能である。また、カチオン性化合物は複数種を併用することも可能である。
多価金属塩とは、2価以上の金属イオンとアニオンから構成される化合物である。2価以上の金属イオンとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、クロム、コバルト、鉄等のイオンが挙げられる。これらの多価金属塩を構成する金属イオンの中でも、インクの成分の凝集性に優れているという点から、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくとも一方であることが好ましい。
多価金属塩を構成するアニオンとしては、無機イオン又は有機イオンである。すなわち、本発明における多価金属塩とは、無機イオン又は有機イオンと多価金属とからなるものである。このような無機イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオン等が挙げられる。有機イオンとしては有機酸イオンが挙げられ、例えばカルボン酸イオンが挙げられる。
なお、多価金属化合物はイオン性の多価金属塩であることが好ましく、特に、上記多価金属塩がマグネシウム塩、カルシウム塩である場合、処理液の安定性がより良好となる。また、多価金属の対イオンとしては、無機酸イオン、有機酸イオンのいずれでもよい。
上記の多価金属塩の具体例としては、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムといった炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸アルミニウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウム等が挙げられる。これらの多価金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、水への十分な溶解性を得られる点で、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム、乳酸アルミニウム、プロピオン酸カルシウムのうち少なくともいずれかが好ましい。なお、これらの金属塩は、原料形態において水和水を有していてもよい。
多価金属塩以外の金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩などの一価の金属塩が挙げられ、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。
有機酸としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機酸の塩で金属塩であるものは上記の金属塩に含める。
無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。無機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性樹脂(カチオン性ポリマー)としては、例えば、カチオン性のウレタン系樹脂、カチオン性のオレフィン系樹脂、カチオン性のアミン系樹脂、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性のウレタン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP-7010、CP-7020、CP-7030、CP-7040、CP-7050、CP-7060、CP-7610(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR-2120C、WBR-2122C(商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶媒等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB-1200、CD-1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアミン系樹脂(カチオン性ポリマー)としては、構造中にアミノ基を有するものであればよく、公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ポリアミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂などが挙げられる。ポリアミン樹脂は樹脂の主骨格中にアミノ基を有する樹脂である。ポリアミド樹脂は樹脂の主骨格中にアミド基を有する樹脂である。ポリアリルアミン樹脂は樹脂の主骨格中にアリル基に由来する構造を有する樹脂である。
また、カチオン性のポリアミン系樹脂としては、センカ株式会社製のユニセンスKHE103L(ヘキサメチレンジアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約5.0、粘度20~50(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)、ユニセンスKHE104L(ジメチルアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約7.0、粘度1~10(mPa・s)、固形分濃度20質量%の水溶液)などを挙げることができる。さらにカチオン性のポリアミン系樹脂の市販品の具体例としては、FL-14(SNF社製)、アラフィックス100、251S、255、255LOX(荒川化学社製)、DK-6810、6853、6885;WS-4010、4011、4020、4024、4027、4030(星光PMC社製)、パピオゲンP-105(センカ社製)、スミレーズレジン650(30)、675A、6615、SLX-1(田岡化学工業社製)、カチオマスター(登録商標)PD-1、7、30、A、PDT-2、PE-10、PE-30、DT-EH、EPA-SK01、TMHMDA-E(四日市合成社製)、ジェットフィックス36N、38A、5052(里田化工社製)が挙げられる。
ポリアリルアミン樹脂は、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級、及び第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等があげられる。具体的には、例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。なお、カチオン性界面活性剤は、後述するカチオン性化合物として機能するが、インクジェットインク組成物に含有されてもよい。しかし、カチオン性界面活性剤は、処理液にカチオン性化合物として含有されることがより好ましい。
これらのカチオン性化合物は、複数種を使用してもよい。また、これらのカチオン性化合物のうち、多価金属塩、有機酸、カチオン性樹脂の少なくとも一種を選択すれば、凝集作用がより良好であるので、より高画質な(特に滲み抑制の良好な)画像を形成することができる。
第1処理液における、カチオン性化合物の合計の含有量は、例えば、第1処理液の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であり、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。カチオン性化合物の含有量がこの範囲であると、第2処理液による画像のより良好な発色性及びより良好な堅牢性を得ることができる。また、カチオン性化合物の含有量が1質量%以上であれば、カチオン化合物が第2処理液に含まれる成分を凝集させる能力が十分得られる。また、カチオン性化合物の含有量が30質量%以下であることで、第1処理液中でのカチオン性化合物の溶解性や分散性がより良好になり、第1処理液の保存安定性等を向上できる。
1.2.1.2.水
第1処理液は、水を含有する。第1処理液は、水を含有する水系組成物である。水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含有する組成物である。水は主となる溶媒成分として含んでもよく、乾燥により蒸発する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、処理液やインクジェットインク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。水の含有量は第1処理液の総量に対して好ましくは40質量%以上であり、さらには45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。
1.2.1.3.その他の物質
第1処理液は、上記成分の他、反応性化合物、有機溶剤、界面活性剤、及びその他の物質から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
(1)反応性化合物
第1処理液は、反応性化合物を含有してもよい。反応性化合物としては、架橋性を有する化合物が好ましく、例えば、加熱により複数の化合物と反応することで架橋構造を形成する化合物が好適である。
架橋性の反応性化合物の典型例としては、イソシアネート基(-N=C=O)(イソシアナト基ともいう)を複数有する化合物が挙げられ、例えば、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、又は芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジイソシアネートとしては、樹脂の変色を抑制できるという点で、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートが好ましく、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンがより好ましい。
また、架橋性の反応性化合物は、第1処理液中でイソシアネート基が反応しにくいように、イソシアネート基がブロック剤によりブロック(マスク)されたブロック化イソシアネート基となっている化合物がより好ましい。このようなブロック化イソシアネート基を有する化合物を用いると、第1処理液を長期間保存してもイソシアネート基の反応が抑えられて、貯蔵安定性が向上する。
ブロック剤は、所定の温度以上に加熱されることでイソシアネート基から解離する。すなわち、反応性化合物が含まれる第1処理液を、布帛に付着させた後、加熱することでイソシアネート基の反応性が解放される。解放されたイソシアネート基は、ヒドロキシ基と反応してウレタン結合を形成すること、複数のイソシアネートと水との反応によりウレア結合を形成すること、ウレア結合とイソシアネート基との反応によりビュレット結合を形成すること、ウレタン結合とイソシアネート基との反応によりアロファネート結合を形成すること、イソシアネート基の二量化によりウレトジオン結合を形成すること、及び、イソシアネート基の三量化によりイソシアヌレート結合を形成すること、の少なくとも一種の結合を形成することができる。これらの結合は、反応温度等により積極的に生じさせたり、生じさせないようにしたりすることができる。
ブロック剤としては、第1処理液の吐出安定性を良好に保つため60℃以上180℃以下程度で解離することが好ましい。なお本実施形態ではノズル先端口の温度が180℃以上であるが、第1処理液が貯留容器等からノズル先端口に到達するまでの経路は加熱されないように設計され、ノズル先端口付近でブロック剤が解離するように設定できる。
ブロック剤の具体例としては、アルコール、アルキルフェノール類、フェノール類、活性メチレン系化合物、メルカプタン類、酸アミド、酸イミド、イミダゾール類、尿素系化合物、オキシム、アミン、イミド、ピラゾール類、メチルエチルケトキシム、カプロラクタム類等が挙げられる。
ブロック化イソシアネートの市販品としては、以下に限定されないが、下記の各種製品等が挙げられる。明成化学工業株式会社製のDM-6400〔MDIブロック化体、水系分散液、固形分濃度:43%〕、SU-268A〔HDIブロック化体、水系乳化液、固形分濃度:30%、アニオン性〕、NBP-873D〔HDIブロック化体、水系乳化液〕、NBP-211〔HDIブロック化体、水系乳化液〕、商品名メイカネートシリーズのうちDM-3031CONC〔MDIブロック化体、水系分散液〕、DM-350Z〔MDIブロック化体、水系分散液〕、TP-10〔TDIブロック化体、水系乳化液、固形分濃度:44%、ノニオン性〕、CX〔HDIブロック化体、水系乳化液、カチオン性〕。Baxenden(バクセンデン)社製のAqua BI200〔HDIトリマーのブロック化体、水系、固形分濃度:40%〕、Aqua BI220〔HDIトリマーのブロック化体、水系、固形分濃度40%〕、7950〔IPDIブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:65%〕、7951〔IPDIトリマーのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:65%〕、7960〔HDIビウレットのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:70%〕、7961〔HDIビウレットのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:70%〕、7982〔HDIトリマーのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:70%〕、7990〔IPDIトリマーのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:65%〕、7991〔HDIビウレットのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:70%〕、7992〔HDIトリマーのブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:70%〕。DIC株式会社製のバーノック(登録商標)シリーズのうちD-500〔TDIブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:64~66%〕、D-550〔HDIブロック化体、有機溶剤溶液、固形分濃度:54~56%〕。三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)シリーズのうちB-830〔TDIブロック化体〕、B-815N〔4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)ブロック化体〕、B-842N〔1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンブロック化体〕、B-846N〔1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンブロック化体〕、B-874N〔IPDIブロック化体〕、B-882N〔HDIブロック化体〕。旭化成株式会社製のデュラネート(登録商標)シリーズのうちMF-B60X〔HDIブロック化体〕、MF-K60X〔HDIブロック化体〕、SBN-70D〔HDIブロック化体〕。第一工業製薬株式会社製のF2462D1〔MDIブロック化体、ノニオン性〕、エラストロン(登録商標)シリーズのうちBN-11〔HDIブロック化体、水系乳化液、ノニオン性〕、BN-P17〔MDIブッロク化体、粉体〕、BN-77〔MDIブロック化体、水系乳化液、アニオン性〕、BN-04、BN-08、BN-44、BN-45〔以上、ウレタン変性多価イソシアネートブッロク化体1分子あたり3~5官能〕が挙げられる。
これらのブロック化イソシアネートは、1種または2種以上を用いることができる。
この第1処理液が反応性化合物を含有することにより、第2処理液により得られる画像の洗濯堅牢性を向上することができる。本実施形態の布帛の処理方法においては、第2処理液が布帛の表面近傍に存在することで滲みが低減されるが、堅牢性が劣りやすくなる場合がある。これに対し第1処理液に反応性化合物を含有することで、堅牢性を良好とすることができる。また、二流体ノズルで噴霧する場合には、短時間で布帛に付着できるので、噴霧中に反応性化合物の反応性(架橋性)が失活しにくく、堅牢性をより良好なものとすることができる。
また第1処理液が反応性化合物を含有することにより、オーバーコート処理(後処理)に劣らない湿潤摩擦堅牢性も向上でき、さらに、第1処理液が先に布帛に付着されることにより、反応性化合物の反応により、第2処理液と布帛との密着性を高めることができる。そのため、オーバーコート処理では得難い程度の洗濯堅牢性を発現することができる。
(2)有機溶剤
第1処理液は、有機溶剤を含んでもよい。本実施形態に係る布帛の処理方法で用いる第1処理液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は水溶性を有することが好ましい。有機溶剤の機能の一つは、布帛に対する第1処理液の濡れ性を向上させることや、第1処理液の保湿性を高めることが挙げられる。また、有機溶剤は、浸透剤としても機能できる。
有機溶剤としては、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、多価アルコール等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などを挙げることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などが挙げられる。
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
また、上記のアルキレングリコールは、モノエーテルよりも、ジエーテルのほうが、インク中の樹脂粒子を溶解又は膨潤させやすい傾向があり、形成される画像の耐擦性を向上させる点でより好ましい。
環状エステル類としては、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、β-ヘキサノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、δ-ヘキサノラクトン、β-ヘプタノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、ε-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、δ-オクタノラクトン、ε-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、ε-ノナラクトン、ε-デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1~4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、等を例示することができる。
環状アミド類としては、ラクタム類が挙げられ、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、等のピロリドン類などが挙げられる。これらはカチオン性化合物の溶解性や、後述する樹脂粒子の皮膜化を促進させる点で好ましく、特に2-ピロリドンがより好ましい。
また、アルコキシアルキルアミド類として、下記一般式(1)で表される化合物を用いることも好ましい。
-O-CHCH-(C=O)-NR ・・・(1)
上記式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、R及びRは、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基であることができる。上記式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
式(1)で表される化合物の機能としては、例えば、記録媒体上に付着させた第1処理液の表面乾燥性及び定着性を高めることが挙げられる。
また、上記式(1)中、Rは、炭素数1のメチル基であることがより好ましい。上記式(1)において、Rがメチル基である化合物の標準沸点は、Rの炭素数が2以上4以下のアルキル基である化合物の標準沸点と比較して低い。そのため、上記式(1)において、Rがメチル基である化合物を用いると、付着領域の表面乾燥性(特に高温多湿環境下で記録された場合の画像の表面乾燥性)を一層向上できる場合がある。
上記式(1)で表される化合物を用いる場合の含有量は、第1処理液の全質量に対して、特に限定されないが、5質量%以上50質量%以下程度であり、8質量%以上48質量%以下であることが好ましい。上記式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲にあることで、画像の定着性及び表面乾燥性(特に高温多湿環境下で記録された場合の表面乾燥性)を一層向上できる場合がある。
多価アルコールとしては、1,2-アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(別名:プロパン-1,2-ジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルカンジオール類)、1,2-アルカンジオールを除く多価アルコール(ポリオール類)(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(別名:1,3-ブチレングリコール)、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等が挙げられる。
多価アルコール類は、アルカンジオール類とポリオール類に分けることができる。アルカンジオール類は、炭素数5以上のアルカンのジオールである。アルカンの炭素数は好ましくは5~15であり、より好ましくは6~10であり、更に好ましくは6~8である。好ましくは1,2-アルカンジオールである。
ポリオール類は炭素数4以下のアルカンのポリオールか、炭素数4以下のアルカンのポリオールの水酸基同士の分子間縮合物である。アルカンの炭素数は好ましくは2~3である。ポリオール類の分子中の水酸基数は2以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。ポリオール類が上記の分子間縮合物である場合、分子間縮合数は2以上であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。多価アルコール類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルカンジオール類及びポリオール類は、主に浸透溶剤及び/又は保湿溶剤として機能することができる。しかし、アルカンジオール類は浸透溶剤としての性質が強い傾向があり、ポリオール類は保湿溶剤としての性質が強い傾向がある。
第1処理液が有機溶剤を含む場合、有機溶剤を一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、有機溶剤の、第1処理液全質量に対する合計の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下であり、10質量%以上45質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、濡れ拡がり性と乾燥性のバランスがさらによく、さらに高画質な画像を形成しやすい。
また、第1処理液が、有機溶剤を含む場合、SP値が9.0以上12.0以下である有機溶剤を含有することがより好ましく、SP値が9.0以上12.0以下の有機溶剤のみを含有することも好ましい。有機溶剤をこのように選択すれば、第1処理液の布帛への濡れ性がより良好となるため、比較的少ない塗布量であっても均一に塗布することができる。また、第1処理液が加熱されたノズルから噴霧されるので、布帛に第1処理液が到達するまでに、揮発成分が減少している。そのような状態であっても、さらに十分に良好な濡れ性を確保することができる。
ここで、溶解度パラメーター(SP値)について説明する。本発明におけるSP値とは、ハンセン(Hansen)法に基づくSP値である。ハンセン法はSP値δを3つの項に分類し、δ=δd+δp+δhと表して算出したものである。δd、δp、δhはそれぞれ分散力項、双極子間力項、水素結合力項に相当する溶解度パラメーターである。
また、SP値の単位は、(cal/cm1/2であり、SP値は、「分子間の相互作用が似ている2つの物質は、互いに溶解しやすい」との考えに基づいておりハンセン氏により提唱された値である(HSPとも称される。)。計算により見積もることができる他、実験的、経験的に求めることができ、各種の文献にその値の記載があるものが多い。本実施形態において、SP値は、計算ソフトウエアであるHansen-Solubility HSPiPを用いて導出した値を用いることができる。
以下に限定されないが、いくつかの有機溶剤及びそのHansen法に基づくSP値を例示する。メタノール(SP値:14.84)、エタノール(SP値:11.8)、2-プロパノール(SP値:12.7)、n-プロピルアルコール(SP値:11.8)、1,3-ブタンジオール(SP値:14.47)、1,2-ヘキサンジオール(SP値:12.2)、ブトキシプロパノール(SP値:8.9)、ジプロピレングリコール(SP値:12.9)、トリエチレングリコール(SP値:13.8)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(SP値:11.6)、テトラエチレングリコール(SP値:12.6)、グリセリン(SP値:16.5)、ヘキサン(SP値:7.45)、シクロヘキサン(SP値:8.40)、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(SP値:8.87)、キシレン(SP値:8.95)、エチルベンゼン(SP値:8.93)、γ-ブチロラクトン(SP値:14.8)、2-ピロリドン(γ-ブチロラクタム)(SP値:14.2)、酢酸ブチル(SP値:8.70)、エチルオクタノエート(SP値:8.3)、3-メトキシブチルアセテート(SP値:8.71)、オレイン酸(SP値:8.69)、ドデシルアクリレート(SP値:8.63)、ジエチルエーテル(SP値:7.82)、エチルプロピルエーテル(SP値:8.8)、エチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:11.4)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値:9.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:9.8)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.7)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:9.5)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値:8.7)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:9.4)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(SP値:8.3)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値:8.1)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(SP値:7.9)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(SP値:8.1)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(SP値:7.7)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.4)、プロピレングリコールn-プロピルエーテル(SP値9.8)、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(SP値:9.7)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(SP値:9.4)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:9.6)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(SP値:10.9)、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(SP値:9.5)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(SP値:9.4)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.88)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.5)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.0)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.7)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(SP値:8.0)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:9.1)、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル(SP値:9.3)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.4)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.7)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.96)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値:8.91)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値:8.85)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値:8.94)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.6)。
(3)界面活性剤
第1処理液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、第1処理液の表面張力を低下させ布帛との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エア・プロダクツ&ケミカルズ社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学工業社製)、シルフェイスSAG002、005、503A、008(以上商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
第1処理液に界面活性剤を含有させる場合には、複数種を含有させてもよい。第1処理液に界面活性剤を含有させる場合の含有量は、第1処理液の全質量に対して、0.1質量%以上2質量%以下、好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以上1.0質量%以下とすることができる。
これらのうち、第1処理液には、アセチレングリコール系界面活性剤を含有させることがより好ましく、この場合、HLB値が10以上16以下のアセチレングリコール系界面活性剤を選択して含有することがさらに好ましい。
本明細書におけるHLB値とは、以下で定義される。「HLB値(hydrophilic lipophilic balance:親水性親油性バランス)」とは、グリフィン法により算出される値である。具体的には、下記式(H)にしたがって界面活性剤のHLB値を算出することができる。
HLB値=20×(親水基の質量%) ・・・(H)
HLB値は、界面活性剤分子の親水基と親油基とのバランスから決められる値であり、HLB値が高いと親水性が高い界面活性剤であることを示し、HLB値が低いと親油性が高い界面活性剤であることを定性的に示す。
このような、HLB値が10以上16以下のアセチレングリコール系界面活性剤を第1処理液が含有すると、第1処理液の布帛への濡れ性をさらに高めることができるので、さらに均一に塗布することができる。
(4)その他の物質
第1処理液は、さらに必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
1.2.2.ノズル
本実施形態に係る布帛の処理方法では、第1処理液付着工程は、180℃以上のノズル先端口から、上述した第1処理液を噴霧して布帛に付着させて行われる。ノズル先端口とは、ノズル孔内部と外部との境界の位置に相当し、噴射される第1処理液の形状が規定される内壁が途絶える位置に相当する。
ノズル先端口の温度は、例えば、熱電対やサーモグラフィーにより測定することができる。ノズル先端口の温度は、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることがさらに好ましい。ノズル先端口の温度の上限は、第1処理液を噴射できる範囲であれば限定されないが、例えば、450℃以下、好ましくは400℃以下、より好ましくは、380℃以下である。
第1処理液を噴射するノズルとしては、例えば、スプレーノズル、アトマイザー等の霧吹き等に用いられる種類のもの、ベンチュリ効果を利用したキャブレター等に用いられる種類のもの、並びに、液体及び気体の両者を噴射する二流体ノズル等を例示することができる。
これらのうち、液体のみを噴射する霧吹き等に用いられる種類を採用する場合には、ノズル先端口をヒーター等により加熱してノズル先端口の温度を180℃以上として用いることが好ましい。また、液体及び気体の両者を噴射する種類を採用する場合には、気体を加熱してノズル先端口の温度を180℃以上として用いることが好ましい。このようにすれば、ノズル内部において液体(第1処理液)が加熱されにくくなり、第1処理液の保存安定性が向上し、第1処理液に反応性化合物が含まれる場合には、ノズル内部で反応性化合物が反応することを抑制できる。
さらに、第1処理液付着工程では、二流体ノズルを用いて行われることがさらに好ましい。二流体ノズルを用いて第1処理液を噴霧することで、液滴サイズをより小さくすることができ、水、有機溶剤等の揮発成分の揮発(特に、布帛に付着するまでの揮発)が促進される。これにより、第1処理液が布帛に付着した際、第1処理液の布帛内部への浸透がより抑えられやすくなり、布帛の表面近傍により留まりやすくなるため、得られる画像の滲みの低減をさらに良好とすることができる。
また、二流体ノズルを用いることで、第1処理液は、ノズル先端口を出た後、噴霧の際に加熱気体によっても加熱されることとなるため、高温状態の時間をより長く維持することができる。高温状態の時間が長いことで、第1処理液に含まれる揮発成分の揮発がより促進されるので、第1処理液の布帛内部への浸透をさらに抑制できる。また、二流体ノズルを用いることで、第1処理液をより高圧で噴霧でき、より短時間で布帛に付着させることもできる。
1.2.3.その他
第1処理液付着工程における布帛の表面温度は、特に限定されないが、100℃以上150℃以下であることがより好ましい。本実施形態の布帛の処理方法では、加熱された第1処理液が付着することで布帛も加熱される。そのため、プラテンヒーター等による布帛の加熱を省略又は弱くすることができ、処理に要するエネルギーを低減することができる。
1.3.第2処理液付着工程
本実施形態に係る布帛の処理方法は、第2処理液付着工程を含む。第2処理液付着工程では、顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、第1処理液が付着した布帛に付着させる。
1.3.1.第2処理液
第2処理液は、顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを少なくとも含有する。第2処理液は、第1処理液中のカチオン性化合物によって凝集作用を受ける顔料、樹脂粒子を含有し、顔料により布帛上に画像を形成する機能を有する。第2処理液は、インクジェットインク組成物に相当する。
1.3.1.1.顔料
第2処理液は、顔料を含有する。顔料は、白色顔料、非白色顔料のいずれでもよく、複数種を組み合わせて含有されてもよい。
白色顔料としては、例えば、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色顔料には、中空構造を有する粒子を用いてもよく、中空構造を有する粒子としては、公知のものを用いることができる。
これらの中でもより好ましい白色顔料としては、二酸化チタンが挙げられ、例えば、タイペークCR-50-2、CR-57、CR-58-2、CR-60-2、CR-60-3、CR-Super-70、CR-90-2、CR-95、CR953、PC-3、PF-690、PF-691、PF-699、PF-711、PF-728、PF-736、PF-737、PF-739、PF-740、PF-742、R-980、UT-771(いずれも石原産業株式会社製)、C.I.ピグメントホワイト6、等を例示できる。
白色顔料に二酸化チタンを選択すると、白色画像の発色性をさらに高めることができる。なお白色顔料は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
非白色顔料としては、例えば、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックなどのカラー色材とすることが好ましい。非白色顔料は、耐光性、耐候性、耐ガス性などの保存安定性に優れ、さらにその観点から有機顔料であることが好ましい。
具体的には、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、カーボンブラックなどが用いられる。上記顔料は、1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。さらに、非白色顔料として、光輝性顔料を用いてもよい。
顔料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
なお本実施形態では、非白色顔料において、自己分散型顔料として、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、オゾンによる酸化処理、又は過硫酸及び/又は過硫酸塩による酸化処理により表面処理されたブラック自己分散型顔料が、高発色という点で好ましい。また、ブラックインク組成物の自己分散型顔料としては、市販品を利用することも可能であり、好ましい例としてはマイクロジェットCW1(オリヱント化学工業株式会社製)などが挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントバイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体又は合金からなる粒子が挙げられる。
顔料は、分散媒中に安定的に分散できることが好適であり、必要に応じて分散剤を使用して分散させてもよい。分散剤としては、樹脂分散剤等が挙げられ、第2処理液中での顔料の分散安定性を良好とできるものから選択される。
また、顔料は、例えば、オゾン、次亜塩素酸、発煙硫酸等により、顔料表面を酸化、あるいはスルホン化して顔料粒子の表面を修飾することにより、自己分散型の顔料として使用してもよい。なお、顔料を自己分散型とする場合、顔料の表面には負電荷が生じるように修飾することで、カチオン応答性を向上させることができる。そのような負電荷を生じさせる官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、処理を適宜選択することにより導入することができる。
顔料表面を修飾した自己分散顔料の市販品としては、たとえば、キャボット社製CAB-O-JETシリーズ(CAB-O-JET200、300、250C、260M、270C)、オリエント化学株式会社製CW-1、CW-2が挙げられる。
樹脂分散剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-(メタ)アクリル酸共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂及びその塩;スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂及びその塩;イソシアネート基とヒドロキシル基とが反応したウレタン結合を含む高分子化合物(樹脂)であって直鎖状及び/又は分岐状であってもよく、架橋構造の有無を問わないウレタン系樹脂及びその塩;ポリビニルアルコール類;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体及びその塩;酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体及びその塩;並びに;酢酸ビニル-クロトン酸共重合体及びその塩等の水溶性樹脂を挙げることができる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
スチレン系樹脂分散剤の市販品としては、例えば、X-200、X-1、X-205、X-220、X-228(星光PMC社製)、ノプコスパース(登録商標)6100、6110(サンノプコ株式会社製)、ジョンクリル67、586、611、678、680、682、819(BASF社製)、DISPERBYK-190(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、N-EA137、N-EA157、N-EA167、N-EA177、N-EA197D、N-EA207D、E-EN10(第一工業製薬製)等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂分散剤の市販品としては、BYK-187、BYK-190、BYK-191、BYK-194N、BYK-199(ビックケミー株式会社製)、アロンA-210、A6114、AS-1100、AS-1800、A-30SL、A-7250、CL-2東亜合成株式会社製)等が挙げられる。
さらに、ウレタン系樹脂分散剤の市販品としては、BYK-182、BYK-183、BYK-184、BYK-185(ビックケミー株式会社製)、TEGO Disperse710(Evonic Tego Chemi社製)、Borchi(登録商標)Gen1350(OMG Borschers社製)等が挙げられる。
なお、上記では市販品を列挙したが、分散剤は合成により得てもよい。
分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。分散剤の合計の含有量は、顔料50質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上25質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以上20質量部以下、よりさらに好ましくは1.5質量部以上15質量部以下である。分散剤の含有量が顔料50質量部に対して0.1質量部以上であることにより、顔料の分散安定性をさらに高めることができる。また、分散剤の含有量が顔料50質量部に対して30質量部以下であれば、得られる分散体の粘度を小さく抑えることができる。
分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、少なくとも1種以上がカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を含むように選択することで、カチオン応答性を向上させることができる。
顔料の含有量は、第2処理液の全質量に対して、好ましくは0.3質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。さらには、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上7質量%以下がより好ましい。
1.3.1.2.樹脂粒子
第2処理液は、樹脂粒子を含有する。樹脂粒子は、布帛に付着させた第2処理液中の顔料による画像の密着性などをさらに向上させることができる。樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂(スチレンアクリル系樹脂を含む)、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。なかでも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオフレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状で供給されてもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。また、ウレタン系樹脂として、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840、E-4000(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D-1060、D-2020、D-4080、D-4200、D-6300、D-6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS-6021、W-512-A-6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、パーマリンUA-150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を用いてもよい。
アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体を1成分として重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体との共重合体などが挙げられる。例えばアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であるアクリル-ビニル系樹脂などが挙げられる。また例えば、ビニル系単量体としては、スチレンなどが挙げられる。
アクリル系単量体としてはアクリルアミド、アクリロニトリル等も使用可能である。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK-854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等の中から選択して用いてもよい。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂は、後述するスチレン・アクリル系樹脂であってもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとの表記は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。スチレン・アクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(日信化学工業社製)等を用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB-1200、CD-1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等を用いてもよい。
なお、上記では市販品を列挙したが、樹脂粒子は合成により得てもよい。
第2処理液における樹脂粒子の含有量は、第2処理液の全質量に対して、固形分として、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
なお、樹脂粒子は、カチオン応答性を有してもよい。樹脂粒子の表面に負電荷を有する基を配置することにより、カチオン応答性を発現させることができる。そのようなカチオン応答性を有する樹脂粒子の市販品の例としては、タケラックWS-6021、モビニール966A(日本合成化学社(Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、アクリル樹脂エマルジョン)、マイクロジェルE-1002、マイクロジェルE-5002(以上商品名、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd)製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK-200(商品名、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC-1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX-7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX-7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASF社製)、NKバインダー R-5HN(新中村化学社製商品名、アクリル樹脂エマルジョン、固形分44%)が挙げられる。樹脂粒子がカチオン応答性を有する場合には、第2処理液の成分の凝集性がさらに高まるので、より発色性の良好な画像を得ることができる。
1.3.1.3.水・有機溶剤
第2処理液に含まれる水、有機溶剤については、第1処理液の項で述べたと同様のものを用いることができるが、インクジェット法による吐出性を好適とする観点で多価アルコール類を含有することが好ましく、グリセリンを含有することがより好ましい。
1.3.1.4.その他の物質
第2処理液は、界面活性剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。これらの物質は、第1処理液の項で述べたと同様であるので説明を省略する。
1.3.2.インクジェット法
第2処理液付着工程では、第2処理液は、インクジェット法により布帛に付着される。第2処理液をインクジェット法により記録媒体へ付着させる工程では、プリンターのインクジェットヘッドから、記録媒体に対して第2処理液のインク滴(液滴)を付着させる。このとき、インク滴を、所定のタイミングで間欠的に、かつ所定の質量で吐出させることにより、記録媒体にインク滴を付着させ、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが形成(記録)される。
インクジェット法による第2処理液の付着は、シリアル型のインクジェットヘッドを搭載したシリアル型記録装置によっても、ライン型のインクジェットヘッドを搭載したライン型の記録装置によっても行うことができる。
1.4.その他の工程
本実施形態の布帛の処理方法は、例えば、色材を含まないクリアインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、布帛に付着させるクリアインク付着工程、を備えてもよい。また、加熱した布帛に第2処理液を付着させる一次乾燥工程、第2処理液の付着後に布帛を加熱する二次乾燥工程等を備えてもよく、これらの工程は複数回行われてもよい。
1.5.工程の間隔や温度等
本実施形態の布帛の処理方法において、第1処理液付着工程と第2処理液付着工程との時間間隔は、特に限定されないが、3秒以上であることがより好ましい。すなわち、第1処理液の噴霧が完了してから、第2処理液を着弾させるまでの時間は、3秒以上であることがより好ましい。このようにすれば、第1処理液の乾燥がより良好となり、滲みの抑制効果がさらに高まる。
また、第2処理液付着工程の後、布帛を加熱する乾燥工程(二次乾燥工程)を備える場合には、100℃以上140℃以下で布帛を加熱することがより好ましい。この程度の温度範囲であれば、例えば、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維を含む布帛に熱的負荷を加えにくく好ましい。さらに、二次乾燥工程における加熱時間は2分以上3分以下程度であることがより好ましい。このようにすることで布帛への熱的負荷をより低減することができる。
1.6.作用効果
本実施形態の布帛の処理方法によれば、第1処理液(前処理液)を、加熱されたノズル先端口から噴霧することで、第1処理液は、処理液中の水や溶剤等揮発成分が一部揮発した状態で、布帛に付着する。これにより、濡れ広がりのために必要最小限の溶剤のみを含有する状態で付着するため、布帛の内部にまで第1処理液が浸透してしまうことが抑制される。そのため、第1処理液は布帛の表面近傍に保持されやすくなり、布帛の表面近傍で第2処理液の成分を凝集する効果がより高く得られるようになる。これにより、第2処理液による画像の滲みを低減することができる。また、最初から第1処理液中の水や溶剤を減らした場合に比べ、第1処理液の保存安定性や噴霧性も優れたものとすることができる。さらに、第1処理液の揮発成分を噴霧の際に減少させることにより、処理品(捺染物)の乾燥時に与える熱量を減少させ、乾燥に要する時間を短縮させることができる。
2.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
2.1.顔料分散体の調製
自己分散型顔料である、オリエント化学株式会社製、CW-1をイオン交換水に分散させて濃度を調整し、顔料分散体(顔料固形分20質量%、樹脂固形分5重量%)を得た。表1~表3には、第2処理液中の顔料の固形分濃度を記載した。
2.2.各処理液の調製
表1~表3の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、実施例及び比較例に係る処理液を得た。
Figure 2023038516000001
Figure 2023038516000002
Figure 2023038516000003
表1~表3中の略称、物性値等は以下の通りである。
・ユニセンスKHE100L(センカ株式会社製)
・PAA-HCL-05(ニットーボーメディカル社製)
・硝酸カルシウム四水和物(Ca:17%)
・オルフィンE1004(日信化学工業社製)HLB=7~9
・オルフィンE1010(日信化学工業社製)HLB=13~14
・オルフィンE1020(日信化学工業社製)HLB=15~16
・オルフィンE1030W(日信化学工業社製)HLB=16~18
・エチレングリコールジエチルエーテル SP=8.6
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル SP=9.5
・2-メチル-1,3-ペンタンジオール SP=10.3
・エチレングリコールモノメチルエーテル SP=11.4
・1,4-ブタンジオール SP=12.1
・NBP-211 (ブロックイソシアネート)(明成化学工業社製)
・タケラックW-6061(三井化学製)非架橋性ウレタン樹脂
2.3.評価方法
2.3.1.前処理
噴霧器としての、二流体ノズルのミニアトマイズノズルMMA-10(エバーロイ商事社製)に加熱した空気と第1処理液を送り、布帛から垂直方向に30cm離れた位置から布帛の印刷面に対して噴霧し、第1処理液を塗布した。このとき、塗布液の塗布量がA4サイズ当たり5gとなるようにノズルの走査速度(布帛とノズルとの相対速度)を調整した。加熱した空気は、温風発生器HAP4020(八光電機社製)で生成し、ノズルで塗布液と混合される直前の温度を、先端溶接タイプで、線径が0.2mmのK型熱電対(スリーハイ社製)で測定した。この時、空気の温度が目的の値となるように温風発生器の設定温度を調整した。また、ノズルへの塗布液の送液量は10mL/minに調整した。更に、第1処理液の塗布が終了した後に、コンベア乾燥機を用いて、布帛を加熱した。
用いた布帛は、表1~表3に記載した。「PES」とあるのは、ポリエステル布帛(ポリエステル100%、タフタ生地)であり、「ナイロン」とあるのは、ナイロン布帛(ナイロン100%、タフタ生地)であり、「綿」とあるのは、綿布帛(コットン100%、シーチング生地)である。
また、二流体ノズルでないノズル(一流体ノズル)を用いた実施例5では、スプレーイングシステムズ社製 AAB10000AUH-03を用い、ノズル先端口をヒーターで加熱して行った以外は、二流体ノズルと同様にして第1処理液を噴霧して処理された布帛を得た。
表1~表3中、「ノズル」「先端口温度」は、二流体ノズルを用いた例においてはノズルで塗布液と混合される直前の加熱空気の温度を記載し、一流体ノズルを用いた例においてはノズル先端口の温度を記載した。また、第1処理液を噴霧する際の布帛の温度を記載した。
2.3.2.印捺物の作成
各例において前処理された布帛に対して、インクジェットプリンター(PX-G930:セイコーエプソン株式会社製)を用いたインクジェット法により第2処理液を用いて印刷した。印刷パターンは、1440×1440dpiの解像度とした。なお、比較例1は、前処理を行っていない布帛に対して印刷した。印刷後の乾燥温度及び時間を表1~表3に記載した。
2.3.3.発色の評価
各例の印捺後の布帛に対して、蛍光分光濃度計(「FD-7」、コニカミノルタ社製)を用いてOD値を測定し、発色性を評価した。次の評価基準によって判定し、結果を表1~表3に記載した。なお、実施例27では布帛にダメージが生じていた。
A:OD値が1.5を超える
B:OD値が1.47を超える
C:OD値が1.45を超える
D:OD値が1.4を超える
E:OD値が1.4以下
2.3.4.滲みの評価
得られた各例の印捺物につき、画像の記録領域と未記録の白地部の境界部の滲みを目視により評価した。以下の基準で評価し、その結果を表1~表3に記載した。C評価以上であれば良好な効果が得られているといえる。
A:滲みなし
B:滲みがわずかにあるが目視でわからない
C:滲みが目視でわずかに確認できるが問題ないレベル
D:滲みが目視でも目立つレベルで問題あり
2.3.5.洗濯機試験
得られた各例の印捺物をそれぞれA4サイズに切り取り、2kgのダミーとともに洗浄した。洗濯機(シャープ社製、ES-GW11E)を使用した。水20L、洗濯時間15min脱水なしの設定で5回洗濯をおこない、その後陰干しし、色の落ち具合を確認した。蛍光分光濃度計(「FD-7」、コニカミノルタ社製)にて測色を行い、以下の基準で洗濯前後のOD値の差(色落ち)を評価して結果を表1~表3に記載した。なお、比較例1では、前処理を行っていないため、「発色性」が「E」評価であり、洗濯前後のOD値評価を行うに値しないため評価を行わなかった。
A:洗濯前後のOD値の差が0.03未満
B:洗濯前後のOD値の差が0.03以上0.06未満
C:洗濯前後のOD値の差が0.06以上0.09未満
D:洗濯前後のOD値の差が0.09を超える
2.3.6.乾燥摩擦堅牢性試験
各例の印捺後の布帛に対して、テスター産業株式会社製の学振式摩擦磨耗試験機を使用し、印字物表面に乾燥状態の平織綿布(黒色)を乗せ荷重500gをかけて100回擦る摩擦堅牢性試験を行った。擦った後の平織綿布の汚れ具合と、擦られた印捺部の表面状態を観察し、以下の評価基準によってグレースケールをもちいて判定して、結果を表1~表3に記載した。
(ISO 105-X12)
A:4級を超える
B:3級を超える
C:2級を超える
D:1.5級を超える
2.3.7.湿潤摩擦堅牢性試験
各例の印捺後の布帛に対して、移染濃度を観察し、以下の評価基準によってグレースケールを用いて判定して、結果を表1~表3に記載した。
(ISO 105-X12)
A:4級を超える
B:3級を超える
C:2級を超える
D:1.5級を超える
2.4.評価結果
カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、により処理された各実施例の印捺物は、いずれも画像の滲みが少なく良好であった。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
布帛の処理方法は、
カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、
顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、前記第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、
を備える。
この布帛の処理方法によれば、第1処理液(前処理液)を、加熱されたノズルから噴霧することで、第1処理液は、処理液中の水や溶剤等揮発成分が一部揮発した状態で、布帛に付着する。これにより、濡れ広がりのために必要最小限の溶剤のみを含有する状態で付着するため、布帛の内部にまで第1処理液が浸透してしまうことが抑制される。そのため、第1処理液は布帛の表面近傍に保持されやすくなり、布帛の表面近傍で第2処理液の成分を凝集する効果がより高く得られるようになる。これにより、第2処理液による画像の滲みを低減することができる。また、最初から第1処理液中の水や溶剤を減らした場合に比べ、第1処理液の保存安定性や噴霧性も優れたものとすることができる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液付着工程は、二流体ノズルを用いて行われてもよい。
この布帛の処理方法によれば、二流体ノズルを用いて第1処理液を噴霧することで、液滴サイズをさらに小さくすることができ、揮発成分の揮発(特に、布帛に付着するまでの揮発)が促進される。これにより、第1処理液が布帛に付着した際、第1処理液の布帛内部への浸透がさらに抑えられやすくなり、布帛の表面近傍により留まりやすくなるため、滲みの低減をさらに良好とすることができる。
また、二流体ノズルを用いることで、第1処理液は、噴霧の際に加熱気体によっても加熱されることとなるため、高温状態の時間をより長く維持することができる。高温状態の時間が長いことで、第1処理液に含まれる揮発成分の揮発がより促進され、第1処理液の布帛内部への浸透をさらに抑制できる。また、二流体ノズルを用いることで、第1処理液をより高圧で噴霧でき、より短時間で布帛に付着させることもできる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液は、反応性化合物を含有してもよい。
この布帛の処理方法によれば、得られる画像の洗濯堅牢性を向上することができる。上記布帛の処理方法においては、第2処理液が布帛の表面近傍に存在することで滲みが低減されるが、堅牢性が劣りやすくなる場合がある。これに対し第1処理液に反応性化合物を含有することで、堅牢性を良好とすることができる。また、二流体ノズルで噴霧する場合には、短時間で布帛に付着できるので、噴霧中に反応性化合物の反応性(架橋性)が失活しにくく、堅牢性をより良好なものとすることができる。
なお、この布帛の処理方法によれば、オーバーコート処理(後処理)に劣らない湿潤摩擦堅牢性も向上できる。しかし、第1処理液が先に布帛に付着されることにより、反応性化合物の反応により、第2処理液と布帛との密着性を高めることができる。そのため、オーバーコート処理では得難い程度の洗濯堅牢性を発現することができる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液は、SP値が9.0以上12.0以下である有機溶剤をさらに含有してもよい。
この布帛の処理方法によれば、第1処理液の布帛への濡れ性がより良好となるため、比較的少ない塗布量であっても均一に塗布することができる。また、第1処理液が加熱されたノズルから噴霧されるので、布帛に第1処理液が到達するまでに、揮発成分が減少している。そのような状態であっても、さらに十分に良好な濡れ性を確保することができる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液は、HLB値が10以上16以下のアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含有してもよい。
この布帛の処理方法によれば、第1処理液の布帛への濡れ性をさらに高めることができるので、さらに均一に塗布することができる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液付着工程における前記布帛の表面温度は、100℃以上150℃以下であってもよい。
この布帛の処理方法では、加熱された第1処理液が付着することで布帛も加熱される。そのため、プラテンヒーター等による布帛の加熱を省略又は弱くすることができ、処理に要するエネルギーを低減することができる。
上記布帛の処理方法において、
前記第1処理液における前記カチオン性化合物の含有量は、前記第1処理液の総量に対して0.5質量%以上10.0質量%以下であってもよい。
この布帛の処理方法によれば、第2処理液による画像のより良好な発色性及びより良好な堅牢性を得ることができる。
上記布帛の処理方法において、
前記布帛が、ポリエステル、ポリアミドから選択される繊維を含んでもよい。
この布帛の処理方法によれば、化学繊維を含み高温に曝すことが難しい布帛であっても良好な堅牢性の画像を形成することができる。すなわち、第1処理液の揮発成分を噴霧の際に減少させることにより、処理品の乾燥時に与える熱量を減少させ、乾燥に要する時間を短縮させることができる。

Claims (8)

  1. カチオン性化合物と、水と、を含有する第1処理液を、180℃以上のノズル先端口から噴霧し布帛に付着させる、第1処理液付着工程と、
    顔料と、樹脂粒子と、水と、有機溶剤とを含有する第2処理液を、インクジェット法により、前記第1処理液が付着した布帛に付着させる、第2処理液付着工程と、
    を備える、布帛の処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1処理液付着工程は、二流体ノズルを用いて行われる、布帛の処理方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記第1処理液は、反応性化合物を含有する、布帛の処理方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記第1処理液は、SP値が9.0以上12.0以下である有機溶剤をさらに含有する、布帛の処理方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記第1処理液は、HLB値が10以上16以下のアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含有する、布帛の処理方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記第1処理液付着工程における前記布帛の表面温度は、100℃以上150℃以下である、布帛の処理方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記第1処理液における前記カチオン性化合物の含有量は、前記第1処理液の総量に対して0.5質量%以上10.0質量%以下である、布帛の処理方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    前記布帛が、ポリエステル、ポリアミドから選択される繊維を含む、布帛の処理方法。
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