JP7155564B2 - 処理液組成物、インクセット、布帛及びインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Description
捺染において、布帛に付着させて用いる処理液組成物であって、
カチオン性化合物と、
乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、
水と、
を含有する。
(一般式(1)中、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格であり、
Aは、-SO3M、-PO3HM、又は、-CH2COOMを表し、
Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
R4-O-X-H ・・・(2)
(一般式(2)中、
R4は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格である。)
前記一般式(2)で表されるノニオン性化合物のHLB値は12以上であってもよい。
前記処理液組成物は、インクジェット顔料捺染に用いられてもよい。
前記布帛がポリエステルであってもよい。
さらに樹脂粒子を含有してもよい。
前記乳化剤の含有量が、前記処理液組成物の全質量に対し0.3質量%以上1.0質量%以下であってもよい。
前記カチオン性化合物の含有量が、前記乳化剤の含有量に対し、質量比で10以上100以下であってもよい。
前記カチオン性化合物が、多価金属塩であってもよい。
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物と、
色材と樹脂粒子と水とを含有する捺染インク組成物と、
を含む。
前記色材が顔料であり、前記捺染インク組成物がインクジェット顔料捺染インク組成物であってもよい。
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物を、布帛に付着させる工程を備える。
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物を付着した領域に、インクジェット顔料捺染インク組成物を付着させる工程を備える。
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物が付着したものである。
本実施形態に係る処理液組成物は、捺染において、布帛に付着させて用いられる。そして本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物と、乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する。
布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、これらのうちポリエステルを含む繊維で形成されたもの(ポリエステルの布帛)がより好ましい。このような布帛を用いることで、本実施形態の処理液組成物の優れた効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態に係る処理液組成物は、水を含有する。処理液組成物は水系処理液であることが好ましい。水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含有する組成物である。水は、処理液組成物の主となる溶媒成分として含んでもよく、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。水の含有量は処理液組成物の総量に対して好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。
本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物を含有する。カチオン性化合物は、捺染インク組成物に含まれる色材、捺染インク組成物に含まれる樹脂粒子などの成分と反応することで、色材や樹脂粒子を凝集させる作用を有する。ただし、カチオン性化合物による顔料や樹脂粒子の凝集の程度はカチオン性化合物、色材、樹脂粒子のそれぞれの種類によって異なり、調節することができる。また、カチオン性化合物は、捺染インク組成物に含まれる色材及び樹脂粒子と反応することで、色材及び樹脂粒子を凝集させることができる。このような凝集により、例えば、色材の発色を高めること、樹脂粒子の定着性を高め
ること、及び/又は、インク組成物の粘度を高めることができる。
脂、カチオン性のオレフィン系樹脂、カチオン性のアミン系樹脂等が挙げられる。
度1~10(mPa・s)、固形分濃度20質量%の水溶液)などを挙げることができる。
本実施形態の処理液組成物は、乳化剤として、特定構造のアニオン性化合物及び特定構造のノニオン性化合物から選択される一種以上を含む。
処理液組成物に含有され得るアニオン性化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
(一般式(1)中、R1は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、Xはポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格を表し、Aは、-SO3M、-PO3HM、又は、-CH2COOMを表し、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
R1-O-(CHR2-CHR3-O)n-A ・・・(1-1)
(一般式(1-1)中、R1は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2及びR3の一方は水
素であり、Aは、-SO3M、-PO3HM、又は、-CH2COOMを表し、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表し、nは、2以上20以下の整数を表す。)
処理液組成物に含有され得るノニオン性化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有する。
(一般式(2)中、R4は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、Xはポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格を表す。)
R4-O-(CHR5-CHR6-O)m-H ・・・(2-1)
(一般式(2-1)中、R4は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、R5及びR6は、それぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R5及びR6の一方は水素であり、mは、2以上20以下の整数を表す。)
本実施形態の処理液組成物における上記乳化剤の含有量は、処理液組成物の全体に対して合計で0.10質量%以上1.50質量%以下、好ましくは0.30質量%以上1.00質量%以下、より好ましくは0.50質量%以上0.80質量%以下である。このような範囲であれば、処理液組成物を布帛に対して適度に浸透させることができ、カチオン性化合物を布帛の表面及び内部に適切に配置させることができる。またこのような作用は、布帛を構成する繊維の疎水性が高い場合に特に顕著となる。そのような布帛としてはポリエステルの布帛が挙げられる。
処理液組成物は、上記した水、カチオン性化合物、乳化剤の他に、以下のような物質を
含有してもよい。
処理液組成物は、樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子は、布帛に付着させた処理液組成物の密着性を向上させることができる。また、目止め効果があり、インクを布帛の表面に留めやすくなるため、より好適な発色性を得やすくなる。このような樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
体等が挙げられる。スチレンアクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(日信化学工業社製)等の中から選択して用いてもよい。
処理液組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、処理液組成物の表面張力を低下させ布帛との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
しては、BYK-3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
処理液組成物は、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。尿素類としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等、及び、ベタイン類(トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、N,N,N-トリメチルアラニン、N,N,N-トリエチルアラニン、N,N,N-トリイソプロピルアラニン、N,N,N-トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等)等が挙げられる。
糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
本実施形態に係る処理液組成物は、布帛への浸透性や濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP-Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
処理液組成物を布帛に付着させる方法としては、インクジェット法による微細液滴の吐出・塗布による方法、処理液組成物を各種のスプレーを用いて布帛に塗布する方法、処理液組成物に布帛を浸漬させて塗布する方法、処理液組成物を刷毛やローラー等により布帛に塗布する方法等の非接触式及び接触式のいずれか又はそれらを組み合わせた方法が挙げられる。
本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物と、乳化剤として上述のアニオン性化合物、及び、ノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する。これにより、本実施形態の処理液組成物が付着された布帛に対して、インク組成物を付着させた際に、画像の粒状性を良好にすることができ、画像の発色性も高くすることができる。このような効果は、特にインク組成物の打ち込み量の少ない領域において顕著であり、布帛にポリエステルを採用した場合に顕著となる。そのような効果の生じるメカニズムの一つとしては、処理液組成物が上述の特定の乳化剤を含有することにより、インクが塗布された際、乳化剤がインク中の分散系を安定化し、カチオン性化合物との反応性を好適に抑えたためであると推測される。顔料捺染インクは、インク中の分散系である樹脂等がカチオン性化合物と反応し、凝集することで、良好な発色性や耐擦性を得るが、この反応が急速すぎると、ドットが濡れ広がる前に凝集してしまい、画像に粒状感を生じる。そして、インクを低Dutyで塗布する場合には、その傾向がより顕著なものとして知覚される。特定の乳化剤を含有することによって、インク中の分散系とカチオン性化合物との反応が好適に抑制され、十分に濡れ広がることで画像の粒状性が好適になっているものと推測される。
上述した布帛に、上述した処理液組成物を付着させた布帛は、捺染インク組成物を付着させて用いる場合に、粒状性のよい画像を形成することができる。本実施形態の処理液組成物が付着された布帛は、乾燥した状態であっても、乾燥していない状態であっても、当該布帛に対して捺染インク組成物を付着させることにより、粒状性、発色性の良好な画像を形成することができる。したがって、本実施形態の処理液組成物を付着させた布帛の態様としては、処理液組成物を付着させて乾燥させた布帛、処理液組成物を付着させて乾燥する前の布帛等の態様が存在する。前者は例えばインクジェット法により捺染インク組成物を付着させる用途に用いることができる。また、後者は、例えば、インクジェット法によって処理液組成物を付着させて、乾燥する前の状態に相当し、これに対してインクジェット法によって捺染インク組成物を付着させる用途に用いることができる。
本実施形態のインクセットは、上述の処理液組成物、及び、下記の捺染インク組成物を含む。
捺染インク組成物は、色材と、樹脂粒子と、水と、を含有する。
本実施形態の捺染インク組成物は、色材を含む。本実施形態に係る捺染インク組成物が色材を含むことにより、着色された捺染インク組成物として使用することができる。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
色材として顔料を用いることにより、捺染インク組成物及び捺染物の耐光性を向上させることができる。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。顔料は、例えば、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックなどの着色顔料や、白色顔料、光輝性顔料などの特色顔料を挙げることができる。
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、16、22、60等;C.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
いは二種類以上の混合物として用いてよい。
色材として染料を用いてもよい。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。これらの染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
捺染インク組成物は、樹脂粒子を含む。樹脂粒子は、布帛に付着させた捺染インク組成物の色材を定着させる機能を有する。このような樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
捺染インク組成物は、水を含有する。捺染インク組成物は水系であることが好ましい。水は、上記処理液組成物の説明で述べたと同様である。
捺染インク組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤の機能の一つは、布帛に対する捺染インク組成物の濡れ性を向上させることや、捺染インク組成物の保湿性を高めることが挙げられる。水溶性有機溶剤としては、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、多価アルコール等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などをあげることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などがあげられる。
ルジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、等を例示することができる。
捺染インク組成物は、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。ま
た、捺染インク組成物は、さらに必要に応じて、キレート化剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
本実施形態に係る捺染インク組成物は、布帛への浸透性や濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。
捺染インク組成物を布帛に付着させる方法としては、インクジェット法による微細液滴の吐出・塗布による方法が挙げられる。この場合、20℃における粘度を、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上5mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上3.6mPa・s以下とすることがより好ましい。なお、本明細書では捺染インク組成物が顔料を含み、インクジェット法を適用できる場合には、インクジェット顔料捺染インク組成物と称することがある。
本実施形態のインクジェット捺染方法は、上述の処理液組成物を布帛へ付着させる工程を含む。既に述べたが、処理液組成物は、各種の手法で布帛へ付着させることができるが、インクジェット法によって付着させることが好ましい。インクジェット捺染方法で用い得るインクジェット記録装置について説明する。
インクジェット記録装置は、シリアル型及びライン型のいずれでも使用することができる。これらの型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドが搭載されており、布帛と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔から処理液組成物や捺染インク組成物の液滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、布帛に処理液組成物や捺染インク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
任意である。搬送手段は、給紙ロール、給紙トレイ、排紙ロール、排紙トレイ、及び各種のプラテンなどを備えてもよい。
本実施形態のインクジェット捺染方法は、インクジェット顔料捺染インク組成物を布帛へ付着させる工程を有してもよい。捺染インク組成物を布帛へ付着させる工程は上述のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1の実施例、参考例及び表2の比較例に記載の各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合および攪拌し十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、各例の処理液組成物を得た。なお、表中の数値の単位は質量%である。化合物名以外で記載したものについては有効成分の濃度(たとえば樹脂粒子では、樹脂固形分濃度)を表す。
・エマルゲン350(花王株式会社製):ポリオキシエチレンステアリルエーテル。式(2)のR4の炭素数18である。また、HLBは17.8である。
・エマルゲン420(花王株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のR4の炭素数18である。また、HLBは13.6である。
・ニューコール1860(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレンステアリルエーテル。式(2)のR4の炭素数18である。また、HLB値は18.1である。
・ニューコール1210(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のR4の炭素数18である。また、HLB値は12.4である。
・ニューコール1204(日本乳化剤株式会社):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のR4の炭素数18である。また、HLB値は7.9である。
・ラテムルWX(花王株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸Na。式(1)のR1の炭素数18である。
・エマルゲン103(花王株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル。HLBは8.1である。
・ニューコール1006(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル。HLB値は13.4である。
・ニューコール1020(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル。HLB値は17.4である。
・サンデッドEN(三洋化成工業株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na。
・ラテムルE-50(花王株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na
。
・ビニブラン1008(日信化学工業社製):酢酸ビニル樹脂エマルジョン。
・オルフィンE1010(日信化学工業社製):アセチレン系界面活性剤。
・シアン顔料分散体
C.I.ピグメントブルー15:3の20質量%液;樹脂分散剤は、ジョンクリル611(商品名:BASFジャパン株式会社製、スチレンアクリル樹脂)であり、4質量%含有する。
・ウレタン樹脂エマルジョン(タケラックWS6021):(三井化学社製、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン、自己乳化タイプ、固形分濃度30%)
・オルフィンE1010(日信化学工業社製):アセチレン系界面活性剤
・プロキセルXL2:(Lonza社製:防腐剤)
4.2.1.粒状性の評価
各例の高duty及び低dutyの印捺物について、それぞれ画像の粒状の度合いを目視観察し、下記の基準に従って粒状性の評価を行った。結果を表1及び表2に記載した。
S:全域で、ざらつき感は全く認められない。
A:一部領域で若干のざらつきが認められるがほぼ良好な粒状性である。
B:一部領域でざらつきが目立つが、実用上許容される範囲にある。
C:全域で粒状の粗さが目立ち、実用上問題となる品質である。
各例の高duty(100%Duty)の印捺物のOD値を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X-RITE社製)により測定し、得られたOD値に基づいて、下記評価基準により発色性を評価し、結果を表1及び表2に記載した。
SS:OD値が1.45以上である。
S:OD値が1.40以上1.45未満である。
A:OD値が1.35以上1.40未満である。
B:OD値が1.35未満である。
各例の低duty(20%Duty)の印捺物のOD値を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X-RITE社製)により測定し、得られたOD値に基づいて、下記評価基準により発色性を評価し、結果を表1及び表2に記載した。
SS:OD値が0.29以上である。
S:OD値が0.28以上0.29未満である。
A:OD値が0.27以上0.28未満である。
B:OD値が0.27未満である。
上記の結果から、以下のことがわかった。
カチオン性化合物と、乳化剤として一般式(1)で表されるアニオン性化合物、又は、一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する、実施例の処理液組成物を用いて作成した捺染物では、いずれも、粒状性及び発色(濃度)が、高duty及び低dutyにおいて良好であった。
Claims (11)
- 捺染において、布帛に付着させて用いる処理液組成物であって、
多価金属塩と、
乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、
水と、
を含有し、
酢酸ビニル樹脂からなる樹脂粒子を含有する処理液組成物。
R1-O-X-A ・・・(1)
(一般式(1)中、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格であり、
Aは、-SO3M、-PO3HM、又は、-CH2COOMを表し、
Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
R4-O-X-H ・・・(2)
(一般式(2)中、
R4は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格である。) - 請求項1において、
前記一般式(2)で表されるノニオン性化合物のHLB値は12以上である、処理液組成物。 - 請求項1又は請求項2において、
前記処理液組成物は、インクジェット顔料捺染に用いられる、処理液組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記布帛がポリエステルである、処理液組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記乳化剤の含有量が、前記処理液組成物の全質量に対し0.3質量%以上1.0質量%以下である、処理液組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記カチオン性化合物の含有量が、前記乳化剤の含有量に対し、質量比で10以上100以下である、処理液組成物。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の処理液組成物と、
色材と樹脂粒子と水とを含有する捺染インク組成物と、
を含む、インクセット。 - 請求項7において、
前記色材が顔料であり、前記捺染インク組成物がインクジェット顔料捺染インク組成物である、インクセット。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の処理液組成物を、布帛に付着させる工程を備えたインクジェット捺染方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の処理液組成物を付着した領域に、インクジェット顔料捺染インク組成物を付着させる工程を備えたインクジェット捺染方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の処理液組成物が付着した布帛。
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