JP7155564B2 - 処理液組成物、インクセット、布帛及びインクジェット捺染方法 - Google Patents

処理液組成物、インクセット、布帛及びインクジェット捺染方法 Download PDF

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Description

本発明は、処理液組成物、インクセット、布帛及びインクジェット捺染方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルからインクの小滴を吐出して、記録媒体に付着させて記録を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で記録できるという特徴を有する。インクジェット記録方法においては、用いるインクの性質、記録における安定性、得られる画像の品質をはじめとして、非常に多くの検討要素があり、用いる各種の組成物に対する研究も盛んである。
また、インクジェット記録方法を用いて、布帛等を染色(捺染)することも行わている。従来、布帛(織布や不織布)に対する捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラー捺染法等が用いられてきたが、多種少量生産性ならびに即時プリント性等の観点から、インクジェット記録方法を適用することが有利であるため種々検討されている。
インク組成物に顔料と定着樹脂とを配合して布帛を捺染する、いわゆる顔料捺染についても検討が為されている。顔料捺染の場合には、布帛の繊維等に顔料を物理的に固着させることが重要となる。
特許文献1には、顔料捺染において、インク組成物を布帛に付着させる前に、反応液、前処理液等と称する多価金属塩等を含む処理液を布帛に付着させて、画像の発色性を向上させる試みが開示されている。
特開2015-083629号公報
顔料捺染において、多価金属塩を含む前処理液を用いることは、インク組成物と反応して早期に色材を固着させて布帛へのインク組成物の浸透を防止し、発色性を高めることが期待できる。しかし、係る技術では、顔料の凝集が進む結果、画像に粒状性が生じることがあり、特に打ち込み量の少ない領域では、画像に粒状感を生じることがあった。本発明の目的の一つは、布帛に捺染インク組成物によって形成される画像の粒状性を優れたものとすることができる処理液組成物、インクセット及びインクジェット捺染方法を提供すること、並びに、粒状性の良好な画像を形成できる布帛を提供することである。
[適用例1]本発明に係る処理液組成物の一態様は、
捺染において、布帛に付着させて用いる処理液組成物であって、
カチオン性化合物と、
乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、
水と、
を含有する。
-O-X-A ・・・(1)
(一般式(1)中、
は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格であり、
Aは、-SOM、-POHM、又は、-CHCOOMを表し、
Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
-O-X-H ・・・(2)
(一般式(2)中、
は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格である。)
[適用例2]適用例1において、
前記一般式(2)で表されるノニオン性化合物のHLB値は12以上であってもよい。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、
前記処理液組成物は、インクジェット顔料捺染に用いられてもよい。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一項において、
前記布帛がポリエステルであってもよい。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一項において、
さらに樹脂粒子を含有してもよい。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか一項において、
前記乳化剤の含有量が、前記処理液組成物の全質量に対し0.3質量%以上1.0質量%以下であってもよい。
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか一項において、
前記カチオン性化合物の含有量が、前記乳化剤の含有量に対し、質量比で10以上100以下であってもよい。
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれか一項において、
前記カチオン性化合物が、多価金属塩であってもよい。
[適用例9]本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物と、
色材と樹脂粒子と水とを含有する捺染インク組成物と、
を含む。
[適用例10]適用例9において、
前記色材が顔料であり、前記捺染インク組成物がインクジェット顔料捺染インク組成物であってもよい。
[適用例11]本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物を、布帛に付着させる工程を備える。
[適用例12]本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物を付着した領域に、インクジェット顔料捺染インク組成物を付着させる工程を備える。
[適用例13]本発明に係る布帛の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一項に記載の処理液組成物が付着したものである。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.処理液組成物
本実施形態に係る処理液組成物は、捺染において、布帛に付着させて用いられる。そして本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物と、乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する。
1.1.布帛
布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、これらのうちポリエステルを含む繊維で形成されたもの(ポリエステルの布帛)がより好ましい。このような布帛を用いることで、本実施形態の処理液組成物の優れた効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態で使用する布帛の目付は、1.0oz(オンス)以上10.0oz以下、好ましくは2.0oz以上9.0oz以下、より好ましくは3.0oz以上8.0oz以下、さらに好ましくは4.0oz以上7.0oz以下の範囲である。このような範囲の目付の布帛であれば、処理液組成物を付与した際にカチオン性化合物を適切に配置させることができる。また、換言すると、布帛の目付がこのような範囲であれば、より良好な捺染を行うことができる。
1.2.水
本実施形態に係る処理液組成物は、水を含有する。処理液組成物は水系処理液であることが好ましい。水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含有する組成物である。水は、処理液組成物の主となる溶媒成分として含んでもよく、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。水の含有量は処理液組成物の総量に対して好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。
1.3.カチオン性化合物
本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物を含有する。カチオン性化合物は、捺染インク組成物に含まれる色材、捺染インク組成物に含まれる樹脂粒子などの成分と反応することで、色材や樹脂粒子を凝集させる作用を有する。ただし、カチオン性化合物による顔料や樹脂粒子の凝集の程度はカチオン性化合物、色材、樹脂粒子のそれぞれの種類によって異なり、調節することができる。また、カチオン性化合物は、捺染インク組成物に含まれる色材及び樹脂粒子と反応することで、色材及び樹脂粒子を凝集させることができる。このような凝集により、例えば、色材の発色を高めること、樹脂粒子の定着性を高め
ること、及び/又は、インク組成物の粘度を高めることができる。
カチオン性化合物としては、特に限定されるものではないが、金属塩、無機酸、有機酸、カチオン性化合物等が挙げられ、カチオン性化合物としては、カチオン性樹脂(カチオン性ポリマー)、カチオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの中でも、カチオン性化合物としては、多価金属塩、カチオン性樹脂が好ましい。さらに、カチオン性化合物としては多価金属塩を用いることが特に好ましい。また、カチオン性化合物は複数種を併用することも可能である。
多価金属塩とは、2価以上の金属イオンとアニオンから構成される化合物である。2価以上の金属イオンとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、クロム、コバルト、鉄等のイオンが挙げられる。これらの多価金属塩を構成する金属イオンの中でも、インク組成物の成分の凝集性に優れているという点から、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくとも一方であることが好ましい。また、多価金属塩はマグネシウム塩、カルシウム塩である場合、処理液組成物の安定性がより良好となる。なお、多価金属塩は、水和によりカチオンだけでなくアニオンを生成するが、本明細書では「カチオン性化合物」として扱う。
多価金属塩を構成するアニオン(多価金属の対イオン)としては、無機イオン又は有機イオンである。多価金属塩とは、無機イオン又は有機イオンと多価金属とからなるものである。このような無機イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオン等が挙げられる。有機イオンとしては有機酸イオンが挙げられ、例えばカルボン酸イオンが挙げられる。
多価金属塩の具体例としては、重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムといった炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。これらの多価金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、水への十分な溶解性を確保でき、かつ、処理液組成物による跡残りが低減する(跡が目立たなくなる)ため、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムの少なくともいずれかが好ましく、塩化カルシウムがより好ましい。なお、これらの多価金属塩は、原料形態において水和水を有していてもよい。
多価金属塩以外のカチオン性化合物としてはナトリウム塩、カリウム塩などの一価の金属塩が挙げられる。硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。また、カチオン性化合物としての有機酸としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機酸の塩で金属塩であるものは上記の金属塩に含める。
カチオン性化合物としての無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。無機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性樹脂(カチオン性ポリマー)としては、例えば、カチオン性のウレタン系樹
脂、カチオン性のオレフィン系樹脂、カチオン性のアミン系樹脂等が挙げられる。
カチオン性のウレタン系樹脂としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。カチオン性のウレタン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、ハイドラン CP-7010、CP-7020、CP-7030、CP-7040、CP-7050、CP-7060、CP-7610(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR-2120C、WBR-2122C(商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
カチオン性のオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。また、カチオン性のオレフィン樹脂は、水や有機溶媒等を含む溶媒に分散させたエマルジョン状態であってもよい。カチオン性のオレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB-1200、CD-1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
カチオン性のアミン系樹脂(カチオン性ポリマー)としては、構造中にアミノ基を有するものであればよく、公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ポリアミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂などが挙げられる。ポリアミン樹脂は樹脂の主骨格中にアミノ基を有する樹脂である。ポリアミド樹脂は樹脂の主骨格中にアミド基を有する樹脂である。ポリアリルアミン樹脂は樹脂の主骨格中にアリル基に由来する構造を有する樹脂である。
ポリアリルアミン樹脂は、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩コポリマー、アリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩コポリマー、アリルアミン・ジメチルアリルアミンコポリマー、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩、ポリメチルジアリルアミン酢酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄コポリマー、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミドコポリマー等を挙げることができる。このようなカチオン性のアリルアミン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、PAA-HCL-01、PAA-HCL-03、PAA-HCL-05、PAA-HCL-3L、PAA-HCL-10L、PAA-H-HCL、PAA-SA、PAA-01、PAA-03、PAA-05、PAA-08、PAA-15、PAA-15C、PAA-25、PAA-H-10C、PAA-D11-HCL、PAA-D41-HCL、PAA-D19-HCL、PAS-21CL、PAS-M-1L、PAS-M-1、PAS-22SA、PAS-M-1A、PAS-H-1L、PAS-H-5L、PAS-H-10L、PAS-92、PAS-92A、PAS-J-81L、PAS-J-81(商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo-600、ハイモロック Q-101、Q-311、Q-501、ハイマックス SC-505、SC-505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
また、カチオン性のポリアミン系樹脂としては、センカ株式会社製のユニセンスKHE103L(ヘキサメチレンジアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約5.0、粘度20~50(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)、ユニセンスKHE104L(ジメチルアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約7.0、粘
度1~10(mPa・s)、固形分濃度20質量%の水溶液)などを挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン塩型化合物、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩、イミダゾリニウム塩等があげられる。具体的には、例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジメチルエチルラウリルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルオクチルアンモニウムエチル硫酸塩、トリメチルラウリルアンモニウム塩酸塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミン、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらのカチオン性化合物は、複数種を使用してもよい。また、これらのカチオン性化合物のうち、多価金属塩を選択すれば、凝集作用がより良好であるので、より高画質な(特に発色性の良好な)画像を形成することができる。
処理液組成物における、カチオン性化合物の合計の含有量は、例えば、処理液組成物の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であり、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。なお、カチオン性化合物が溶液や分散体で供給される場合においても、固形分の含有量として上記範囲であることが好ましい。カチオン性化合物の含有量が0.1質量%以上であれば、カチオン性化合物が捺染インク組成物に含まれる成分を凝集させる能力が十分得られる。また、カチオン性化合物の含有量が30質量%以下であることで、処理液組成物中でのカチオン性化合物の溶解性や分散性がより良好になり、処理液組成物の保存安定性等を向上できる。
1.4.乳化剤
本実施形態の処理液組成物は、乳化剤として、特定構造のアニオン性化合物及び特定構造のノニオン性化合物から選択される一種以上を含む。
1.4.1.アニオン性化合物
処理液組成物に含有され得るアニオン性化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
-O-X-A ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、Xはポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格を表し、Aは、-SOM、-POHM、又は、-CHCOOMを表し、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
また、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物のうち、下記一般式(1-1)で表される構造を有するものも好ましい。
-O-(CHR-CHR-O)-A ・・・(1-1)
(一般式(1-1)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R及びRの一方は水
素であり、Aは、-SOM、-POHM、又は、-CHCOOMを表し、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表し、nは、2以上20以下の整数を表す。)
一般式(1)で表される化合物及び一般式(1-1)で表されるアニオン性化合物は、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの縮合鎖の一方の末端がモノアルキルエーテルとなり、他方の末端が酸塩となっている。かかるアニオン性化合物は、主にアニオン性基(酸)及び縮合鎖の部分が親水性を有し、主にアルキルエーテル部分のアルキル基(R)が疎水性を示す。これにより乳化剤としての活性を示すことができる。
一般式(1)で表される化合物及び一般式(1-1)で表される化合物において、Rが炭素数16以上であることにより、十分な疎水性を有するので、乳化剤として機能できると考えられる。また、Rが炭素数18以上であることがより好ましい。炭素数の上限としては、20以下であることが好ましい。
このような化合物を用いることにより、画像の粒状性や、風紋発生といった画質の課題を良好に改善することができる。これは上述の乳化剤がインク中の分散系を安定化し、カチオン性化合物との反応性を好適に抑えることができることに起因すると推測される。顔料捺染インクは、インク中の分散系である樹脂等がカチオン性化合物と反応し、凝集することで、良好な発色性や耐擦性を得るが、この反応が急速すぎると、ドットが濡れ広がる前に凝集してしまい、画像に粒状感を生じたり、風紋を生じることがある。そして、インクを低Dutyで塗布する場合には、その傾向がより顕著なものとして知覚される。上述の乳化剤を含有することによって、インク中の分散系とカチオン性化合物との反応が好適に抑制され、十分に濡れ広がることで画像の粒状性や、風紋発生の抑制が好適になっているものと推測される。
なお、カチオン性化合物の含有量を減らすことによっては、インク中の分散系とカチオン性化合物の反応性は変わらず、カチオン性化合物の含有量によって発色性を良好に維持しながら、粒状性を改善することは困難である。
1.4.2.ノニオン性化合物及びそのHLB
処理液組成物に含有され得るノニオン性化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有する。
-O-X-H ・・・(2)
(一般式(2)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、Xはポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格を表す。)
また、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物のうち、下記一般式(2-1)で表される構造を有するものも好ましい。
-O-(CHR-CHR-O)-H ・・・(2-1)
(一般式(2-1)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R及びRの一方は水素であり、mは、2以上20以下の整数を表す。)
一般式(2)で表される化合物及び一般式(2-1)で表されるノニオン性化合物は、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの縮合鎖の一方の末端がモノアルキルエーテルとなり、他方の末端が水酸基となっている。かかるアニオン性化合物は、主に縮合鎖の部分が親水性を有し、主にアルキルエーテル部分のアルキル基(R)が疎水性を示す。これにより乳化剤としての活性を示すことができる。
一般式(2)で表される化合物及び一般式(2-1)で表される化合物において、Rが炭素数16以上であることにより、十分な疎水性を有するので、乳化剤として機能できると考えられる。また、Rが炭素数18以上であることがより好ましい。炭素数の上限としては、20以下であることが好ましい。
このような化合物を用いることにより、画像の粒状性や、風紋発生といった画質の課題を良好に改善することができる。これは上述の乳化剤がインク中の分散系を安定化し、カチオン性化合物との反応性を好適に抑えることができることに起因すると推測される。顔料捺染インクは、インク中の分散系である樹脂等がカチオン性化合物と反応し、凝集することで、良好な発色性や耐擦性を得るが、この反応が急速すぎると、ドットが濡れ広がる前に凝集してしまい、画像に粒状感を生じたり、風紋を生じることがある。そして、インクを低Dutyで塗布する場合には、その傾向がより顕著なものとして知覚される。上述の乳化剤を含有することによって、インク中の分散系とカチオン性化合物との反応が好適に抑制され、十分に濡れ広がることで画像の粒状性や、風紋発生の抑制が好適になっているものと推測される。
なお、カチオン性化合物の含有量を減らすことによっては、インク中の分散系とカチオン性化合物の反応性は変わらず、カチオン性化合物の含有量によって発色性を良好に維持しながら、粒状性を改善することは困難である。
また、一般式(2)で表されるノニオン性化合物については、HLB値を定義することができ、一般式(2)で表されるノニオン性化合物を用いる場合には、そのHLB値は、12以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。ここで、HLB値とは、グリフィン法で定義されるHLB値である。
1.4.3.乳化剤の含有量
本実施形態の処理液組成物における上記乳化剤の含有量は、処理液組成物の全体に対して合計で0.10質量%以上1.50質量%以下、好ましくは0.30質量%以上1.00質量%以下、より好ましくは0.50質量%以上0.80質量%以下である。このような範囲であれば、処理液組成物を布帛に対して適度に浸透させることができ、カチオン性化合物を布帛の表面及び内部に適切に配置させることができる。またこのような作用は、布帛を構成する繊維の疎水性が高い場合に特に顕著となる。そのような布帛としてはポリエステルの布帛が挙げられる。
また、本実施形態の前処理組成物に含まれる乳化剤の含有量は、上述したカチオン性化合物の含有量に対して相対的に好ましい範囲が存在する。乳化剤の含有量は、カチオン性化合物の含有量に対し、質量比で0.083以上0.154以下であることが好ましく、0.010以上0.154以下であることがより好ましく、0.020以上0.100以下であることがより好ましい。言い換えると、カチオン性化合物の含有量は、乳化剤の含有量に対し、質量比で6.5以上120以下であることが好ましく、6.5以上100以下であることがより好ましく、10以上100以下であることがより好ましく、10以上50以下であることがより好ましい。カチオン性化合物及び乳化剤の相対的な含有量がこの範囲にあることにより、処理液組成物を付着させた布帛におけるカチオン性化合物の配置をより適切にできるので、捺染インク組成物が付着された場合に、その成分の凝集を適度に行うことができ、画像の粒状性を抑制しつつ、画像の発色性を高めやすい。
1.5.その他の物質
処理液組成物は、上記した水、カチオン性化合物、乳化剤の他に、以下のような物質を
含有してもよい。
1.5.1.樹脂粒子
処理液組成物は、樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子は、布帛に付着させた処理液組成物の密着性を向上させることができる。また、目止め効果があり、インクを布帛の表面に留めやすくなるため、より好適な発色性を得やすくなる。このような樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
処理液組成物に樹脂粒子を含有させる場合には、処理液組成物中のカチオン性化合物によって凝集作用を受けにくい種類のものを選択することが好ましい。処理液組成物に樹脂粒子を含有させる場合には、下記に例示する樹脂粒子のうち、非凝集性のものを選択して使用することが好ましい。
ウレタン系樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン系樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。ウレタン系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840、E-4000(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D-1060、D-2020、D-4080、D-4200、D-6300、D-6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS-6021、W-512-A-6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、パーマリンUA-150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を選択して用いてもよい。
アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体を1成分として重合して得られる重合体の総称であって、例えば、アクリル系単量体から得られる樹脂や、アクリル系単量体とこれ以外の単量体との共重合体などが挙げられる。例えばアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であるアクリル-ビニル系樹脂などがあ挙げられる。さらに例えば、スチレンなどのビニル系単量体との共重合体が挙げられる。
アクリル系単量体としてはアクリルアミド、アクリロニトリル等も使用可能である。アクリル系樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK-854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等の中から選択して用いてもよい。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂は、後述するスチレンアクリル系樹脂であってもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとの表記は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン単量体とアクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合
体等が挙げられる。スチレンアクリル系樹脂には、市販品を用いても良く、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(日信化学工業社製)等の中から選択して用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB-1200、CD-1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等の中から選択して用いてもよい。
また、樹脂粒子は、エマルジョンの形態で供給されてもよく、そのような樹脂エマルジョンの市販品の例としては、マイクロジェルE-1002、E-5002(日本ペイント社製商品名、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート4001(DIC社製商品名、アクリル系樹脂エマルジョン)、ボンコート5454(DIC社製商品名、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAM-710、AM-920、AM-2300、AP-4735、AT-860、PSASE-4210E(アクリル系樹脂エマルジョン)、ポリゾールAP-7020(スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールSH-502(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAD-13、AD-2、AD-10、AD-96、AD-17、AD-70(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールPSASE-6010(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)(昭和電工社製商品名)、ポリゾールSAE1014(商品名、スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK-200(商品名、アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)、AE-120A(JSR社製商品名、アクリル樹脂エマルジョン)、AE373D(イーテック社製商品名、カルボキシ変性スチレン・アクリル樹脂エマルジョン)、セイカダイン1900W(大日精化工業社製商品名、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2682(アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2886(酢酸ビニル・アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン5202(酢酸アクリル樹脂エマルジョン)(日信化学工業社製商品名)、ビニブラン1008(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、エリーテルKA-5071S、KT-8803、KT-9204、KT-8701、KT-8904、KT-0507(ユニチカ社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、ハイテックSN-2002(東邦化学社製商品名、ポリエステル樹脂エマルジョン)、タケラックW-6020、W-635、W-6061、W-605、W-635、W-6021(三井化学ポリウレタン社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス870、800、150、420、460、470、610、700(第一工業製薬社製商品名、ウレタン系樹脂エマルジョン)、パーマリンUA-150(三洋化成工業株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、サンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、NeoRez R-9660、R-9637、R-940(楠本化成株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、アデカボンタイター HUX-380,290K(株式会社ADEKA製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、モビニール966A、モビニール7320(日本合成化学株式会社製)、ジョンクリル7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630A、352J、352D、PDX-7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(以上、BASF社製)、NKバインダーR-5HN(新中村化学工業株式会社製)、ハイドランWLS-210(非架橋性ポリウレタン:DIC株式会社製)、ジョンクリル7610(BASF社製)等の中から選択して用いてもよい。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-50℃以上200℃以下であり、より好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、処理液組成物をインクジェット法により付着させる場合に、耐目詰まり性により優れる傾向にある。ガラス転移温度の測定は、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC7000」を用いて、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じて行われる。
樹脂粒子の体積平均粒子径(処理液混合前)は、10nm以上300nm以下が好ましく、50nm以上250nm以下がより好ましく、100nm以上230nm以下がさらに好ましく、150nm以上210nm以下が特に好ましい。体積平均粒子径が上記範囲の場合、所望の樹脂粒子を入手しやすい点や、樹脂粒子の特性などを好ましいものにし易い点で好ましい。体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
本発明の処理液組成物が樹脂粒子を含有する場合の含有量は、処理液組成物の全質量に対して、固形分として、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
1.5.2.界面活性剤
処理液組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、処理液組成物の表面張力を低下させ布帛との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エア・プロダクツ&ケミカルズ社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例と
しては、BYK-3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
処理液組成物に界面活性剤を含有させる場合には、複数種を含有させてもよい。処理液組成物に界面活性剤を含有させる場合の含有量は、処理液組成物の全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは、0.3質量%以上0.8質量%以下とすることができる。
1.5.3.その他
処理液組成物は、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。尿素類としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等、及び、ベタイン類(トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、N,N,N-トリメチルアラニン、N,N,N-トリエチルアラニン、N,N,N-トリイソプロピルアラニン、N,N,N-トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等)等が挙げられる。
アミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。尿素類やアミン類は、pH調整剤として機能させてもよい。
糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
本実施形態に係る処理液組成物は、さらに必要に応じて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
1.5.4.処理液組成物の物性
本実施形態に係る処理液組成物は、布帛への浸透性や濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP-Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
1.5.5.処理液組成物を布帛に付着させる手法
処理液組成物を布帛に付着させる方法としては、インクジェット法による微細液滴の吐出・塗布による方法、処理液組成物を各種のスプレーを用いて布帛に塗布する方法、処理液組成物に布帛を浸漬させて塗布する方法、処理液組成物を刷毛やローラー等により布帛に塗布する方法等の非接触式及び接触式のいずれか又はそれらを組み合わせた方法が挙げられる。
処理液組成物をインクジェット法以外の方法によって布帛に付着させる場合には、20℃における粘度は、インクジェット法による場合よりも高くてもよく、例えば、1.5mPa・s以上100mPa・s以下、好ましくは1.5mPa・s以上50mPa・s以下、より好ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下とすることが好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10から1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
また、処理液組成物は、インクジェット法によって布帛に付着されてもよく、そのようにする場合には、20℃における粘度を、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上5mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上3.6mPa・s以下とすることがより好ましい。
1.6.作用効果等
本実施形態の処理液組成物は、カチオン性化合物と、乳化剤として上述のアニオン性化合物、及び、ノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する。これにより、本実施形態の処理液組成物が付着された布帛に対して、インク組成物を付着させた際に、画像の粒状性を良好にすることができ、画像の発色性も高くすることができる。このような効果は、特にインク組成物の打ち込み量の少ない領域において顕著であり、布帛にポリエステルを採用した場合に顕著となる。そのような効果の生じるメカニズムの一つとしては、処理液組成物が上述の特定の乳化剤を含有することにより、インクが塗布された際、乳化剤がインク中の分散系を安定化し、カチオン性化合物との反応性を好適に抑えたためであると推測される。顔料捺染インクは、インク中の分散系である樹脂等がカチオン性化合物と反応し、凝集することで、良好な発色性や耐擦性を得るが、この反応が急速すぎると、ドットが濡れ広がる前に凝集してしまい、画像に粒状感を生じる。そして、インクを低Dutyで塗布する場合には、その傾向がより顕著なものとして知覚される。特定の乳化剤を含有することによって、インク中の分散系とカチオン性化合物との反応が好適に抑制され、十分に濡れ広がることで画像の粒状性が好適になっているものと推測される。
また、処理液組成物に乳化剤が配合されることにより、処理液組成物が布帛に浸透する、あるいは布帛中で拡散する際に、カチオン性化合物の会合が抑制され、カチオン性化合物を布帛の表面や内部に適切に均一に配置できることにも起因すると考えられる。
1.7.処理液組成物が付着した布帛
上述した布帛に、上述した処理液組成物を付着させた布帛は、捺染インク組成物を付着させて用いる場合に、粒状性のよい画像を形成することができる。本実施形態の処理液組成物が付着された布帛は、乾燥した状態であっても、乾燥していない状態であっても、当該布帛に対して捺染インク組成物を付着させることにより、粒状性、発色性の良好な画像を形成することができる。したがって、本実施形態の処理液組成物を付着させた布帛の態様としては、処理液組成物を付着させて乾燥させた布帛、処理液組成物を付着させて乾燥する前の布帛等の態様が存在する。前者は例えばインクジェット法により捺染インク組成物を付着させる用途に用いることができる。また、後者は、例えば、インクジェット法によって処理液組成物を付着させて、乾燥する前の状態に相当し、これに対してインクジェット法によって捺染インク組成物を付着させる用途に用いることができる。
2.インクセット
本実施形態のインクセットは、上述の処理液組成物、及び、下記の捺染インク組成物を含む。
2.1.捺染インク組成物
捺染インク組成物は、色材と、樹脂粒子と、水と、を含有する。
2.1.1.色材
本実施形態の捺染インク組成物は、色材を含む。本実施形態に係る捺染インク組成物が色材を含むことにより、着色された捺染インク組成物として使用することができる。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、捺染インク組成物及び捺染物の耐光性を向上させることができる。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。顔料は、例えば、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックなどの着色顔料や、白色顔料、光輝性顔料などの特色顔料を挙げることができる。
有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、アニリンブラック、及び、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ系顔料、等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては下記のものが挙げられる。
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、16、22、60等;C.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、及び209、C.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185、等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、及び138からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36もしくは43またはこれらの混合物である。
グリーン顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7もしくは36またはこれらの混合物である。
ブラック顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等(C.I.ピグメントブラック7)、市販品として、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等(商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上全て商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(商品名、キャボット社製)が挙げられる。これらのカーボンブラックは単独ある
いは二種類以上の混合物として用いてよい。
光輝性顔料としては、布帛に付着させたときに光輝性を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、及び銅からなる群より選択される1種又は2種以上の合金(金属顔料ともいう)の金属粒子や、パール光沢を有するパール顔料を挙げることができる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。また、光輝性顔料は、水との反応を抑制するための表面処理が施されていてもよい。
また、白色顔料としては、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色顔料には、中空構造を有する粒子を用いてもよい。
上記顔料は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。顔料は、耐光性、耐候性、耐ガス性などの保存安定性の観点から有機顔料であることが好ましい。
顔料の体積基準の平均粒子径(D50)(「体積平均粒子径」ともいう。)(処理液混合前)は、10nm以上200nm以下が好ましく、30nm以上170nm以下がより好ましく、50nm以上150nm以下がさらに好ましく、70nm以上120nm以下が特に好ましい。体積平均粒子径がこの範囲であれば、入手しやすい点や、特性を好ましいものにし易い。また顔料の体積平均粒子径が前記範囲であれば、顔料粒子が沈降しにくく、分散安定性を良好にすることができ、また、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの目詰まり等を生じにくくすることができる。また、顔料の体積平均粒子径が前記範囲内であれば画像の色濃度を十分に満足できる。
顔料の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
顔料は、インク中で安定に分散できることが好ましい。例えば、オゾン、次亜塩素酸、発煙硫酸等により、顔料表面を酸化、あるいはスルホン化して顔料粒子の表面を修飾することにより、自己分散型の顔料として使用してもよいし、樹脂分散剤によって分散させて使用してもよい。
樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α―メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α―メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体等及びこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
(染料)
色材として染料を用いてもよい。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。これらの染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の合計の含有量は、捺染インク組成物の総質量(100質量%)に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましい。
2.1.2.樹脂粒子
捺染インク組成物は、樹脂粒子を含む。樹脂粒子は、布帛に付着させた捺染インク組成物の色材を定着させる機能を有する。このような樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂粒子は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
捺染インク組成物に含まれる樹脂粒子は、布帛に付着された処理液組成物中のカチオン性化合物によって凝集作用を有する種類のものを選択することが好ましい。
2.1.3.水
捺染インク組成物は、水を含有する。捺染インク組成物は水系であることが好ましい。水は、上記処理液組成物の説明で述べたと同様である。
2.1.4.水溶性有機溶剤
捺染インク組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤の機能の一つは、布帛に対する捺染インク組成物の濡れ性を向上させることや、捺染インク組成物の保湿性を高めることが挙げられる。水溶性有機溶剤としては、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、多価アルコール等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などをあげることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などがあげられる。
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコー
ルジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
環状エステル類としては、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、β-ヘキサノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、δ-ヘキサノラクトン、β-ヘプタノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、ε-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、δ-オクタノラクトン、ε-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、ε-ノナラクトン、ε-デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1~4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-
n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、等を例示することができる。
環状アミド類としては、ラクタム類が挙げられ、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、等のピロリドン類などが挙げられる。これらは樹脂粒子の皮膜化を促進させる点で好ましく、特に2-ピロリドンがより好ましい。
多価アルコールとしては、1,2-アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(別名:プロパン-1,2-ジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルカンジオール類)、1,2-アルカンジオールを除く多価アルコール(ポリオール類)(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(別名:1,3-ブチレングリコール)、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等が挙げられる。
多価アルコール類は、アルカンジオール類とポリオール類に分けることができる。アルカンジオール類は、炭素数5以上のアルカンのジオールである。アルカンの炭素数は好ましくは5~15であり、より好ましくは6~10であり、更に好ましくは6~8である。好ましくは1,2-アルカンジオールである。
ポリオール類は炭素数4以下のアルカンのポリオールか、炭素数4以下のアルカンのポリオールの水酸基同士の分子間縮合物である。アルカンの炭素数は好ましくは2~3である。ポリオール類の分子中の水酸基数は2以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。ポリオール類が上記の分子間縮合物である場合、分子間縮合数は2以上であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。
アルカンジオール類及びポリオール類は、主に浸透溶剤及び/又は保湿溶剤として機能することができる。しかし、アルカンジオール類は浸透溶剤としての性質が強い傾向があり、ポリオール類は保湿溶剤としての性質が強い傾向がある。
捺染インク組成物が水溶性有機溶剤を含む場合、一種単独でも二種以上を併用してもよい。また、水溶性有機溶剤の、捺染インク組成物全質量に対する合計の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下であり、10質量%以上45質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、濡れ拡がり性と乾燥性のバランスがさらによく、さらに高画質な画像を形成しやすい。
2.1.5.その他の成分
捺染インク組成物は、添加剤として、尿素類、アミン類、糖類等を含有してもよい。ま
た、捺染インク組成物は、さらに必要に応じて、キレート化剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防黴剤等の成分を含有してもよい。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)や、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等が挙げられる。
防腐剤としては、の例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL-2、プロキセルIB、及びプロキセルTN(いずれもLonza社製)などを挙げることができる。
pH調整剤としては、例えば、モルホリン類、ピペラジン類、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類、を例示できる。
2.2.捺染インク組成物の物性
本実施形態に係る捺染インク組成物は、布帛への浸透性や濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力は、40mN/m以下、好ましくは38mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下であることが好ましい。
2.3.捺染インク組成物を布帛に付着させる手法
捺染インク組成物を布帛に付着させる方法としては、インクジェット法による微細液滴の吐出・塗布による方法が挙げられる。この場合、20℃における粘度を、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上5mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上3.6mPa・s以下とすることがより好ましい。なお、本明細書では捺染インク組成物が顔料を含み、インクジェット法を適用できる場合には、インクジェット顔料捺染インク組成物と称することがある。
3.インクジェット捺染方法
本実施形態のインクジェット捺染方法は、上述の処理液組成物を布帛へ付着させる工程を含む。既に述べたが、処理液組成物は、各種の手法で布帛へ付着させることができるが、インクジェット法によって付着させることが好ましい。インクジェット捺染方法で用い得るインクジェット記録装置について説明する。
3.1.インクジェット記録装置
インクジェット記録装置は、シリアル型及びライン型のいずれでも使用することができる。これらの型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドが搭載されており、布帛と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔から処理液組成物や捺染インク組成物の液滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、布帛に処理液組成物や捺染インク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置には、例えば、乾燥ユニット、ロールユニット、巻き取り装置などの公知の構成を任意に採用することができる。また、インクジェット記録装置は、布帛を搬送する搬送手段、処理液組成物や捺染インク組成物を用いて画像を記録する画像層形成手段、乾燥手段、記録面の加熱及び送風を行なう全体乾燥手段等を有することができる。
搬送手段は、例えば、ローラーによって構成されることができる。搬送手段は、複数のローラーを有してもよい。搬送手段は、布帛が搬送できる限り、設けられる位置や個数は
任意である。搬送手段は、給紙ロール、給紙トレイ、排紙ロール、排紙トレイ、及び各種のプラテンなどを備えてもよい。
画像層形成手段は、布帛の記録面に対して、本実施形態の処理液組成物や捺染インク組成物を吐出して画像層を記録する。画像層形成手段は、ノズルを備えた記録ヘッドを備えており、各組成物毎に記録ヘッドを異ならせてもよいし、各組成物毎にノズル列を割り当ててもよい。
乾燥手段は、記録面に形成される画像層の乾燥又は記録媒体上の揮発成分の除去のために使用できる。乾燥手段は、付着工程を行なうタイミングと、布帛の搬送経路等を考慮していずれの位置に設けてもよいし、いくつ設けてもよい。画像層乾燥手段としては、プラテン加熱等により布帛に熱を加える方法、記録媒体上の画像に風を吹きつける方法、さらにそれらを組み合わせる方法等が挙げられる。具体的には、これらの方法に用いられる手段としては、強制空気加熱、輻射加熱、電導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等であってもよい。
3.2.その他の工程
本実施形態のインクジェット捺染方法は、インクジェット顔料捺染インク組成物を布帛へ付着させる工程を有してもよい。捺染インク組成物を布帛へ付着させる工程は上述のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
また、インクジェット顔料捺染インク組成物を布帛へ付着させる工程は複数回含まれてもよく、工程の順序及び回数には制限はなく、必要に応じて適宜に行うことができる。また、処理液組成物及び捺染インク組成物は、互いに布帛上の同じ領域に付着させることができる。
例えば、処理液組成物を付着させる工程の後に、捺染インク組成物を付着させる工程を行い、処理液組成物を付着させた布帛の領域に、捺染インク組成物を付着させるようにすれば、処理液組成物中のカチオン性化合物を捺染インク組成物に対して確実に作用させることができる。
また、本実施形態のインクジェット捺染方法は、適宜、布帛を加熱する工程を備えてもよい。布帛を加熱する工程は、例えば、インクジェット記録装置を用いる場合には、上述の乾燥手段を用いて行うことができる。また、インクジェット記録装置に限らず、適宜の乾燥手段により行うことができる。これにより得られる画像を乾燥させ、より十分に定着させることができるので、例えば、捺染物を直ちに使用できる状態にすることができる。この場合の布帛の温度は、特に限定されないが、捺染インク組成物等に含まれる樹脂粒子を構成する樹脂成分のTg等を鑑みて設定し得る。樹脂粒子を構成する樹脂成分のTgを考慮する場合には、樹脂粒子を構成する樹脂成分のTgよりも5℃以上、好ましくは10℃以上に設定するとよい。
加熱工程の加熱によって到達する布帛の温度は、より具体的には、30℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下である。布帛の温度がこの程度の範囲であれば、捺染物中に含まれる樹脂粒子の皮膜化、平坦化を行うことができるとともに、得られる画像を乾燥させ、より十分に定着させることができる。
本実施形態のインクジェットは、さらに、他の工程を適宜付加することができ、例えば、クリアインクを布帛に付着させる工程等を有してもよい。
4.実施例及び比較例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.捺染物の作成
表1の実施例、参考例及び表2の比較例に記載の各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合および攪拌し十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、各例の処理液組成物を得た。なお、表中の数値の単位は質量%である。化合物名以外で記載したものについては有効成分の濃度(たとえば樹脂粒子では、樹脂固形分濃度)を表す。
各例の処理液組成物をスポンジローラーに十分に含ませ、該ローラーを、ポリエステル布帛(glimmer ACTIVE WEAR 3.5oz インターロック ドライTシャツ001 ホワイト)又は綿布帛(プリントスター へビーウェイト(白)5.6oz)に対して、上下左右にそれぞれ3~4回ころがし、できるだけ均一に処理液組成物を塗布した。
処理液組成物の塗布量は、A4サイズの面積あたり、約20gであった。処理液組成物を塗布した布帛を、ヒートプレスで165℃・45秒の熱処理を行い乾燥させた。
乾燥後の布帛に、セイコーエプソン株式会社製プリンター(SC-F200)を用いて、表3に記載の捺染インク組成物により、100%Dutyとして解像度1440dpi×1440dpiとし、塗布量200mg/inchで印刷を行った。また、20%Dutyとして解像度1440dpi×1440dpiとし、塗布量40mg/inchで印刷を行った。該印刷後に、再度コンベアオーブン(熱風乾燥法)にて、165℃・5分間の熱処理を行い、捺染物の定着を行った。
Figure 0007155564000001
Figure 0007155564000002
表1、表2中、化合物名以外で記載した物質は以下の通りである。
・エマルゲン350(花王株式会社製):ポリオキシエチレンステアリルエーテル。式(2)のRの炭素数18である。また、HLBは17.8である。
・エマルゲン420(花王株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のRの炭素数18である。また、HLBは13.6である。
・ニューコール1860(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレンステアリルエーテル。式(2)のRの炭素数18である。また、HLB値は18.1である。
・ニューコール1210(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のRの炭素数18である。また、HLB値は12.4である。
・ニューコール1204(日本乳化剤株式会社):ポリオキシエチレンオレイルエーテル。式(2)のRの炭素数18である。また、HLB値は7.9である。
・ラテムルWX(花王株式会社製):ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸Na。式(1)のRの炭素数18である。
・エマルゲン103(花王株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル。HLBは8.1である。
・ニューコール1006(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル。HLB値は13.4である。
・ニューコール1020(日本乳化剤株式会社製):ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル。HLB値は17.4である。
・サンデッドEN(三洋化成工業株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na。
・ラテムルE-50(花王株式会社製):ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na

・ビニブラン1008(日信化学工業社製):酢酸ビニル樹脂エマルジョン。
・オルフィンE1010(日信化学工業社製):アセチレン系界面活性剤。
Figure 0007155564000003
表3中、化合物名以外で記載した物質は以下の通りである。
・シアン顔料分散体
C.I.ピグメントブルー15:3の20質量%液;樹脂分散剤は、ジョンクリル611(商品名:BASFジャパン株式会社製、スチレンアクリル樹脂)であり、4質量%含有する。
・ウレタン樹脂エマルジョン(タケラックWS6021):(三井化学社製、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン、自己乳化タイプ、固形分濃度30%)
・オルフィンE1010(日信化学工業社製):アセチレン系界面活性剤
・プロキセルXL2:(Lonza社製:防腐剤)
4.2.捺染物の評価
4.2.1.粒状性の評価
各例の高duty及び低dutyの印捺物について、それぞれ画像の粒状の度合いを目視観察し、下記の基準に従って粒状性の評価を行った。結果を表1及び表2に記載した。
S:全域で、ざらつき感は全く認められない。
A:一部領域で若干のざらつきが認められるがほぼ良好な粒状性である。
B:一部領域でざらつきが目立つが、実用上許容される範囲にある。
C:全域で粒状の粗さが目立ち、実用上問題となる品質である。
4.2.2.発色性の評価(高Duty)
各例の高duty(100%Duty)の印捺物のOD値を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X-RITE社製)により測定し、得られたOD値に基づいて、下記評価基準により発色性を評価し、結果を表1及び表2に記載した。
SS:OD値が1.45以上である。
S:OD値が1.40以上1.45未満である。
A:OD値が1.35以上1.40未満である。
B:OD値が1.35未満である。
4.2.3.発色性の評価(低Duty)
各例の低duty(20%Duty)の印捺物のOD値を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X-RITE社製)により測定し、得られたOD値に基づいて、下記評価基準により発色性を評価し、結果を表1及び表2に記載した。
SS:OD値が0.29以上である。
S:OD値が0.28以上0.29未満である。
A:OD値が0.27以上0.28未満である。
B:OD値が0.27未満である。
4.3.評価結果
上記の結果から、以下のことがわかった。
カチオン性化合物と、乳化剤として一般式(1)で表されるアニオン性化合物、又は、一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、水と、を含有する、実施例の処理液組成物を用いて作成した捺染物では、いずれも、粒状性及び発色(濃度)が、高duty及び低dutyにおいて良好であった。
これに対して乳化剤を含まない比較例1、7、及び、一般式(1)に当てはまらないアニオン性化合物、又は、一般式(2)当てはまらないノニオン性化合物を含む比較例2-6の処理液組成物を用いて作成した捺染物では、いずれも粒状性及び発色(濃度)が、低dutyにおいて不良であった。
参考例3、16、及び、比較例1、7を比較すると、本発明の処理液組成物は、対象の布帛が綿よりもポリエステルであるほうがより高い効果が得られることがわかった。
参考例1-4、6をみると、一般式(2)で表されるノニオン性化合物の配合量が高くなると、発色が若干低下することがわかった。これは、一般式(2)で表されるノニオン性化合物を添加しすぎると、捺染インク組成物が布帛の深さ方向に浸透する傾向が強くなるので、捺染物の発色濃度が低下することを示唆している。
また、実施例1-3をみると、樹脂粒子が配合されることにより、発色がさらに向上することがわかった。これは樹脂粒子の存在によって処理液組成物の成分が布帛の表面側に局在しやすくなり、これにより捺染インク組成物の色材が布帛のより表面側に留まりやすくなったことが一因と考えられる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (11)

  1. 捺染において、布帛に付着させて用いる処理液組成物であって、
    多価金属塩と、
    乳化剤として下記一般式(1)で表されるアニオン性化合物、及び、下記一般式(2)で表されるノニオン性化合物から選択される1種以上と、
    水と、
    を含有し、
    酢酸ビニル樹脂からなる樹脂粒子を含有する処理液組成物。
    -O-X-A ・・・(1)
    (一般式(1)中、
    は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
    Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格であり、
    Aは、-SOM、-POHM、又は、-CHCOOMを表し、
    Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンを表す。)
    -O-X-H ・・・(2)
    (一般式(2)中、
    は、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、
    Xは、ポリオキシエチレン骨格又はポリオキシプロピレン骨格である。)
  2. 請求項1において、
    前記一般式(2)で表されるノニオン性化合物のHLB値は12以上である、処理液組成物。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記処理液組成物は、インクジェット顔料捺染に用いられる、処理液組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記布帛がポリエステルである、処理液組成物。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記乳化剤の含有量が、前記処理液組成物の全質量に対し0.3質量%以上1.0質量%以下である、処理液組成物。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記カチオン性化合物の含有量が、前記乳化剤の含有量に対し、質量比で10以上100以下である、処理液組成物。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の処理液組成物と、
    色材と樹脂粒子と水とを含有する捺染インク組成物と、
    を含む、インクセット。
  8. 請求項において、
    前記色材が顔料であり、前記捺染インク組成物がインクジェット顔料捺染インク組成物である、インクセット。
  9. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の処理液組成物を、布帛に付着させる工程を備えたインクジェット捺染方法。
  10. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の処理液組成物を付着した領域に、インクジェット顔料捺染インク組成物を付着させる工程を備えたインクジェット捺染方法。
  11. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の処理液組成物が付着した布帛。
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