JP2023036535A - 回転電機の制御装置、及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の電力変換回路に共通のコンデンサに流れるリップル電流を低減することができる回転電機の制御装置を提供する。【解決手段】制御装置は、スイッチング操作により直流電源の直流電力を交流電力に変換して出力する第1,第2インバータと、第1インバータに対応して設けられる第1回転電機と、第2インバータに対応して設けられる第2回転電機と、直流電源に並列接続されてかつ各インバータの入力側に設けられ、各インバータに共通の平滑コンデンサと、を備える制御システムに適用される。制御装置は、回転電機間位相差φを0度よりも大きくしつつ、各回転電機の各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間と、各回転電機の各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間とを同じにするように、各インバータのスイッチング操作を行う。【選択図】 図20

Description

本発明は、回転電機の制御装置、及びプログラムに関する。
この種の制御装置として、複数の電力変換回路と、各電力変換回路に対応して設けられる回転電機と、各電力変換回路の入力側に設けられ、各電力変換回路に共通のコンデンサとを備える制御システムに適用されるものがある。各電力変換回路には、直流電源から直流電力が供給される。スイッチング操作により各電力変換回路に供給された直流電力が交流電力に変換され、変換された交流電力が対応する回転電機に供給される。この場合、各電力変換回路のスイッチング操作に応じてコンデンサが充放電され、コンデンサにリップル電流が流れる。例えば、特許文献1には、コンデンサのリップル電流を低減すべく、各電力変換回路の指令電圧とキャリア信号との比較に基づいてスイッチング操作を行う制御装置において、各電力変換回路のキャリア信号を互いにずらす制御を行うことが記載されている。
特開2012-120296号公報
複数の電力変換回路に対して共通に設けられる構成に不具合が生じることが懸念される。例えば、各電力変換回路に対応する回転電機のトルクや回転速度が異なる場合、各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間が、コンデンサのリップル電流を抑制するのに適切な出力期間に調整されない可能性がある。この場合、例えば特許文献1に記載された制御を行ったとしても、コンデンサに流れるリップル電流が増大してしまうことが懸念される。
この点、複数の電力変換回路に対して共通に設けられる構成に不具合が生じることを抑制すべく、各回転電機への電圧ベクトルが適切に出力されるようにする制御技術が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、複数の電力変換回路に対して共通に設けられる構成に不具合が生じる事態の発生を抑制することができる回転電機の制御装置及びプログラムを提供することである。
本発明は、スイッチング操作により直流電源の直流電力を交流電力に変換して出力する複数の電力変換回路と、前記各電力変換回路に対応して設けられ、前記電力変換回路から出力された交流電力が供給される回転電機と、前記直流電源に並列接続されてかつ前記各電力変換回路の入力側に設けられ、前記各電力変換回路に共通のコンデンサと、を備える制御システムに適用され、前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する調整処理を行う調整部と、前記調整部により調整された前記電圧ベクトルを出力すべく、前記各電力変換回路のスイッチング操作を行う操作部と、を備える。
本発明によれば、各回転電機への電圧ベクトルの出力態様が調整される。調整された電圧ベクトルが出力されるように、各インバータのスイッチング操作が行われることにより、複数の電力変換回路に対して共通に設けられる構成に不具合が生じる事態の発生を抑制することができる。
第1実施形態に係る電気自動車を示す模式図。 制御システムの構成図。 各回転電機のトルクと、操舵角との関係を示す図。 各回転電機のトルク差と、操舵角との関係を示す図。 各回転電機の回転速度と、操舵角との関係を示す図。 各回転電機の回転速度差と、操舵角との関係を示す図。 各回転電機のトルクと、操舵角との関係を示す図。 各回転電機のトルク差と、操舵角との関係を示す図。 各回転電機の回転速度と、操舵角との関係を示す図。 各回転電機の回転速度差と、操舵角との関係を示す図。 各電圧ベクトルと各相上,下アームスイッチとの対応関係等を示す図。 60度電圧ベクトルにより指令電圧ベクトルを生成する一例を示す図。 力行駆動制御時に第1有効電圧ベクトルが印加された場合の電流経路を示す図。 力行駆動制御時に第7無効電圧ベクトルが印加された場合の電流経路を示す図。 回生駆動制御時に第1有効電圧ベクトルが印加された場合の電流経路を示す図。 回生駆動制御時に第7無効電圧ベクトルが印加された場合の電流経路を示す図。 平滑コンデンサのリップル電流が増大してしまう比較例の制御を示す図。 平滑コンデンサのリップル電流が増大してしまう比較例の制御を示す図。 60度電圧ベクトル、120度電圧ベクトル及び合成電圧ベクトルを示す図。 有効電圧ベクトルの出力期間が調整される制御の一例を示す図。 有効電圧ベクトルの出力期間が調整される制御の一例を示す図。 インバータ電流と、比率係数との関係を示す図。 第1,第2インバータ電流及びコンデンサ電流の推移を示す図。 制御装置が行う制御の手順を示すフローチャート。 第2実施形態に係る制御装置が行う制御の手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係る各有効電圧ベクトルの出力期間が調整される制御の一例を示す図。 第4実施形態に係るdq軸座標系のベクトル図。 dq軸座標系のベクトル図。 有効電圧ベクトルの出力期間が調整される制御の一例を示す図。 第5実施形態に係る平滑コンデンサのリップル電流を低減するための制御の一例を示す図。 第6実施形態に係る制御システムの構成図。 伝達特性を示す図。 制御装置が行う制御の手順を示すフローチャート。 第3調整処理の手順を示すフローチャート。 周波数変更処理の一例を示すタイムチャート。 第6実施形態の変形例に係る周波数変更処理の一例を示すタイムチャート。 周波数変更処理の一例を示すタイムチャート。 第7実施形態に係る第3調整処理の手順を示すフローチャート。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る制御装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において制御装置は、電気自動車に搭載されている。
図1に示すように、車両10は、左右の前輪11、左右の後輪12及び回転電機21を含む制御システムを備えている。回転電機21は、前輪11の内周側に一体に設けられたインホイールモータである。本実施形態では、車両10の進行方向に対して、左側の前輪11aに対応して第1回転電機21aが設けられており、右側の前輪11bに対応して第2回転電機21bが設けられている。このため、各前輪11は、互いに独立して回転駆動可能な駆動輪とされている。各後輪12は、車両10の走行に伴って従動する従動輪である。
制御システムは、第1インバータ22a、第2インバータ22b、平滑コンデンサ23、インバータケース24及び直流電源30を備えている。第1インバータ22aは、第1回転電機21aに対応して設けられており、第2インバータ22bは、第2回転電機21bに対応して設けられている。各インバータ22a,22bは、スイッチング操作により、直流電源30から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を対応する各回転電機21a,21bへと供給する電力変換回路である。各インバータ22a,22bの直流電源30側には、各インバータ22a,22bに共通の平滑コンデンサ23が設けられている。
制御システムは、アクセルセンサ31,操舵角センサ32及び制御装置33を備えている。アクセルセンサ31は、ドライバのアクセル操作部材としてのアクセルペダルの踏込量であるアクセルストロークを検出する。操舵角センサ32は、ドライバによるステアリングホイールの操舵角を検出する。操舵角に応じて、操舵輪としての左右の前輪11a,11bが操舵される。アクセルセンサ31及び操舵角センサ32の検出値は、制御装置33に入力される。第1,第2インバータ22a,22b、平滑コンデンサ23及び制御装置33は、インバータケース24に収容されている。
制御装置33は、マイコン33a(「コンピュータ」に相当)を主体として構成され、マイコン33aは、CPUを備えている。マイコン33aが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン33aがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコン33aは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、図24,25等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークを介して更新可能である。
図2に示すように、第1回転電機21aは、3相の同期機であり、ステータ巻線として星形結線されたU相巻線26U、V相巻線26V、W相巻線26Wを備えている。各相巻線26U,26V,26Wは、電気角で120°ずつずれて配置されている。第1回転電機21aは、例えば永久磁石同期機である。
第1インバータ22aは、上アームスイッチQUH~QWHと下アームスイッチQUL~QWLとの直列接続体を3相分備えている。各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、具体的にはNチャネルMOSFETが用いられている。このため、各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLの高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLは、ボディダイオードDUH,DVH,DWH,DUL,DVL,DWLを有している。
U相上アームスイッチQUHのソースと、U相下アームスイッチQULのドレインとには、バスバー等の導電部材を介して、U相巻線26Uの第1端が接続されている。V相上アームスイッチQVHのソースと、V相下アームスイッチQVLのドレインとには、バスバー等の導電部材を介して、V相巻線26Vの第1端が接続されている。W相上アームスイッチQWHのソースと、W相下アームスイッチQWLのドレインとには、バスバー等の導電部材を介して、W相巻線26Wの第1端が接続されている。各相巻線26U,26V,26Wの第2端同士は、中性点Oで接続されている。なお、本実施形態において、各相巻線26U,26V,26Wは、ターン数が同じに設定されている。
各上アームスイッチQUH,QVH,QWHのドレインと、直流電源30の正極端子とは、バスバー等の正極側母線Lpにより接続されている。各下アームスイッチQUL,QVL,QWLのソースと、直流電源30の負極端子とは、バスバー等の負極側母線Lnにより接続されている。正極側母線Lpと負極側母線Lnとは平滑コンデンサ23によって接続されている。
第2回転電機21bは、3相の同期機であり、第1回転電機21aと同様に、各相巻線26U~26Wを備えている。第2インバータ22bは、第1インバータ22aと同様に、上アームスイッチQUH~QWHと下アームスイッチQUL~QWLとの直列接続体を3相分備えている。本実施形態において、各回転電機21a,21b及び各インバータ22a,22bの構成は基本的には同じである。このため、第2回転電機21b及び第2インバータ22bの詳細な説明を省略する。
直流電源30は、例えば単電池としての電池セルの直列接続体として構成された組電池であり、端子電圧が例えば数百Vとなるものである。本実施形態では、直流電源30を構成する各電池セルの端子電圧(例えば定格電圧)が互いに同じに設定されている。電池セルとしては、例えば、リチウムイオン電池等の2次電池を用いることができる。
制御システムは、相電流センサ34、電圧センサ35及び角度センサ36を備えている。相電流センサ34は、各回転電機21a,21bに流れる電流を個別に検出する。相電流センサ34によって各回転電機21a,21bに流れるU,V,W相電流Iu,Iv,Iwのうち、少なくとも2相分の電流が検出される。各相電流Iu,Iv,Iwの符号は、各相上,下アームスイッチの直列接続体の接続点から各相巻線へと電流が流れる場合を正とし、各相巻線から各相上,下アームスイッチの直列接続体の接続点へと電流が流れる場合を負とする。電圧センサ35は、平滑コンデンサ23の端子電圧を検出する。角度センサ36は、例えばレゾルバであり、各回転電機21a,21bのロータの回転角を検出する。相電流センサ34、電圧センサ35及び角度センサ36の検出値は、制御装置33に入力される。
制御装置33は、力行駆動制御を行う。力行駆動制御は、直流電源30から出力された直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を各回転電機21a,21bに供給するための、各インバータ22a,22bのスイッチング制御である。この制御が行われる場合、各回転電機21a,21bは、電動機として機能し、力行トルクを発生する。また、制御装置33は、回生駆動制御を行う。回生駆動制御は、各回転電機21a,21bで発電される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を直流電源30に供給するための各インバータ22a,22bのスイッチング制御である。この制御が行われる場合、各回転電機21a,21bは、発電機として機能し、回生制動トルクを発生する。
制御装置33は、アクセルセンサ31により検出されたアクセルストロークと、操舵角センサ32により検出された操舵角とに基づいて、各回転電機21a,21bのロータの指令回転速度を算出する。制御装置33は、各回転電機21a,21bのロータの回転速度を、算出した指令回転速度にフィードバック制御するための操作量として、指令トルクを算出する。なお、各回転電機21a,21bのロータの回転速度は、角度センサ36の検出値に基づいて算出されればよい。
算出された指令トルクが正の値の場合、力行駆動制御が行われる。また、算出された指令トルクが負の値の場合、回生駆動制御が行われる。これにより、駆動輪である左右の前輪11a,11bのトルク及び回転速度が制御される。
ところで、車両10において、ステアリングホイールの操舵角が大きいほど、左右の前輪11a,11bのうち、コーナリング時における内側の前輪が描く軌跡の長さは、外側の前輪が描く軌跡の長さよりも短くなる。そのため、操舵角が大きいほど、左右の前輪11a,11bに対応する各回転電機21a,21bのトルク差及び回転速度差が増大する。図3~10に、左旋回時における各回転電機21a,21bの駆動状態と、操舵角との関係の一例を示す。
図3~6は、車両10が停止している状態から左旋回した場合の各回転電機21a,21bの駆動状態と、操舵角との関係の一例を示す図である。図3は各回転電機21a,21bのトルクと、操舵角との関係を示し、図4は各回転電機21a,21b間のトルク差と、操舵角との関係を示す。図5は各回転電機21a,21bの回転速度と、操舵角との関係を示し、図6は各回転電機21a,21b間の回転速度差と、操舵角との関係を示す。
車両10が停止している状態から左旋回した場合、左右の前輪11a,11bに対応する各回転電機21a,21bでは、共に力行駆動制御が行われる。この場合、操舵角が大きいほど、左側の前輪11aに対応する第1回転電機21aのトルク及び回転速度は、右側の前輪11bに対応する第2回転電機21bのトルク及び回転速度よりも低くなる。そのため、操舵角が大きいほど、各回転電機21a,21bのトルク差及び回転速度差が増大する。
図7~10は、車両10が直進走行している状態から左旋回した場合の各回転電機21a,21bの駆動状態と、操舵角との関係の一例である。図7は各回転電機21a,21bのトルクと、操舵角との関係を示し、図8は各回転電機21a,21b間のトルク差と、操舵角との関係を示す。図9は、各回転電機21a,21bの回転速度と、操舵角との関係を示し、図10は各回転電機21a,21b間の回転速度差と、操舵角との関係を示す。
車両10が直進走行している状態から左旋回した場合、内輪である左側の前輪11aに対応する第1回転電機21aでは回生駆動制御が行われ、外輪である右側の前輪11bに対応する第2回転電機21bでは力行駆動制御が行われる。この場合、操舵角が大きいほど、第1回転電機21aのトルクは負側に上昇し、第2回転電機21bのトルクは正側に上昇する。そのため、操舵角が大きいほど、各回転電機21a,21bのトルク差が増大する。また、操舵角が大きいほど、第1回転電機21aの回転速度は、第2回転電機21bの回転速度よりも低くなる。そのため、操舵角が大きいほど、各回転電機21a,21bの回転速度差が増大する。
制御装置33は、各回転電機21a,21bのトルクを、算出した指令トルクに制御するための指令電圧ベクトルVtrを算出する。指令電圧ベクトルVtrは、各回転電機21a,21b毎に算出される。各回転電機21a,21bの各相巻線26U~26Wへの電圧ベクトルが、指令電圧ベクトルVtrとなるように、各インバータ22a,22bがスイッチング操作される。これにより、各回転電機21a,21bにおいて、互いに120度ずれた正弦波状の相電流が流れる。
図11には、各電圧ベクトルV0~V7に対応した各相上,下アームスイッチQUH~QWLの駆動態様を示す。各相において、Hで示される駆動態様では、上アームスイッチがオンされ、下アームスイッチがオフされる。また、Lで示される駆動態様では、上アームスイッチがオフされ、下アームスイッチがオンされる。
また、図11に、各電圧ベクトルV0~V7において、インバータ電流Idcと、各相電流Iu,Iv,Iwとの対応関係を示す。インバータ電流Idcは、正極側母線Lpのうち、平滑コンデンサ23の高電位側端子との接続点から、各上アームスイッチQUH~QWHのドレイン側へと流れる電流である。各有効電圧ベクトルV1~V6が印加される場合、各有効電圧ベクトルV1~V6に対応する相電流がインバータ電流Idcとして流れる。力行駆動制御時及び回生駆動制御時では、インバータ電流Idcの向きは互いに逆向きとなる。
各無効電圧ベクトルV0,V7が印加される場合、各相巻線26U,26V,26W及びオンされたスイッチを含む閉回路が形成されるため、インバータ電流Idcは、各相電流Iu,Iv,Iwに対応しない。
図12には、指令電圧ベクトルVtrを挟んで、かつ、互いに60度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルである60度電圧ベクトルにより、指令電圧ベクトルVtrが生成される一例を示す。図12の例では、指令電圧ベクトルVtrの生成には、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2が用いられる。この場合、1スイッチング周期Tswにおいて、第1有効電圧ベクトルV1及び第2有効電圧ベクトルV2の出現する時間比率は、平滑コンデンサ23の端子電圧及び各相電圧に基づいて算出される。ここで、平滑コンデンサ23の端子電圧は、電圧センサ35の検出値を用いればよい。また、各相電圧は、電圧センサ35の検出値及び各相上,下アームスイッチQUH~QWLの駆動態様に基づいて算出されればよい。なお、1スイッチング周期Tswのうち第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出現する期間以外では、第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7のうちいずれか一方が出現する。
図13~16に、各回転電機21a,21b、各インバータ22a,22b、平滑コンデンサ23及び直流電源30に流れる電流の電流経路を例示する。なお、図13~16において、便宜上、第1,第2回転電機21a,21bは単に回転電機21と記載する。
図13は、力行駆動制御が行われている場合において、第1有効電圧ベクトルV1が印加された場合の電流経路を示す。電流経路は、平滑コンデンサ23の高電位側端子→U相上アームスイッチQUH→回転電機21→V相下アームスイッチQVL及びW相下アームスイッチQWL→平滑コンデンサ23の低電位側端子となる。この場合、インバータ電流Idcは、U相電流Iuに対応し、U相電流Iuの符号は正となる。この電流経路では、平滑コンデンサ23に流れるコンデンサ電流Icfの符号は負となる。つまり、平滑コンデンサ23は放電される。なお、コンデンサ電流Icfの符号は、正極側母線Lpのうち、平滑コンデンサ23の高電位側端子との接続点から、平滑コンデンサ23の高電位側端子へと流れる方向が正とされる。
図14は、力行駆動制御が行われている場合において、第7無効電圧ベクトルV7が印加された場合の電流経路を示す。電流経路は、平滑コンデンサ23の低電位側端子→直流電源30→平滑コンデンサ23の高電位側端子となる。この場合、直流電源30から平滑コンデンサ23へと正のコンデンサ電流Icfが流れ、平滑コンデンサ23は充電される。なお、インバータ電流Idcは流れない。
図15は、回生駆動制御が行われる場合において、第1有効電圧ベクトルV1が印加された場合の電流経路を示す。電流経路は、平滑コンデンサ23の低電位側端子→V相下アームスイッチQVL及びW相下アームスイッチQWL→回転電機21→U相上アームスイッチQUH→平滑コンデンサ23の高電位側端子となる。この場合、インバータ電流IdcはU相電流Iuに対応し、U相電流Iuの符号は負となる。この電流経路では、平滑コンデンサ23に流れるコンデンサ電流Icfの符号は正となる。つまり、平滑コンデンサ23は充電される。
図16は、回生駆動制御が行われる場合において、第7無効電圧ベクトルV7が印加された場合の電流経路を示す。電流経路は、平滑コンデンサ23の高電位側端子→直流電源30→平滑コンデンサ23の低電位側端子となる。この場合、平滑コンデンサ23から直流電源30へと負のコンデンサ電流Icfが流れ、平滑コンデンサ23は放電される。なお、インバータ電流Idcは流れない。
このように、各インバータ22a,22bにおいて、力行駆動制御又は回生駆動制御が行われる場合、平滑コンデンサ23が充放電される。これに伴い、平滑コンデンサ23にリップル電流が流れる。ここで、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流は、各回転電機21a,21bの駆動状態に応じて増大してしまうことがある。
図17,18に、本実施形態とは異なり、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまう比較例の制御を示す。図17、18において、(a)は第1回転電機21aへの電圧ベクトルを示し、(b)は第2回転電機21bへの電圧ベクトルを示し、(c)は第1インバータ22aに流れる第1インバータ電流Idcaの推移を示し、(d)は第2インバータ22bに流れる第2インバータ電流Idcbの推移を示し、(e)は第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計値の推移を示し、(f)はコンデンサ電流Icfの推移を示す。なお、図17、18では、各回転電機21a,21bにおいて、共に力行駆動制御が行われる例を示す。
なお、第1インバータ電流Idcaは、第1インバータ22aにおいて、正極側母線Lpのうち、平滑コンデンサ23の高電位側端子との接続点から、各上アームスイッチQUH~QWHのドレイン側へと流れる電流である。また、第2インバータ電流Idcbは、第2インバータ22bにおいて、正極側母線Lpのうち、平滑コンデンサ23の高電位側端子との接続点から、各上アームスイッチQUH~QWHのドレイン側へと流れる電流である。
図17では、第1回転電機21aへの電圧ベクトルと、第2回転電機21bへの電圧ベクトルとの回転電機間位相差φが0度にされる。ここで、回転電機間位相差φは、例えば、1スイッチング周期Tswの半分の期間内において、第1回転電機21aに第1有効電圧ベクトルV1が印加され始めるタイミングと、第2回転電機21bに第1有効電圧ベクトルV1が印加され始めるタイミングとの差である。1スイッチング周期Tswは、例えば、第7無効電圧ベクトルV7が印加されてから、次の第7無効電圧ベクトルV7が印加されるまでの期間である。なお、図17には、1スイッチング周期の半分Tsw/2を示している。
回転電機間位相差φが0度にされる場合、第1回転電機21a及び第2回転電機21bにおいて、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出力期間が重なり、第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なる。この場合、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出力期間において、第1インバータ電流Idcaが正の方向に流れ、第2インバータ電流Idcbが正の方向に流れる。これにより、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbの合計値が増大する。また、第1回転電機21a及び第2回転電機21bにおいて、第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なる期間Taが生じてしまう。これにより、期間Taにおいて、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbが共に0になる期間が生じる。この場合、平滑コンデンサ23に流れる充電電流が増大する。第1,第2インバータ電流Idca,Idcbの合計値が増大したり、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbが共に0になる期間が生じたりすることにより、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまう。その結果、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまう。
図18では、第1,第2回転電機21a,21bにおいて、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出力期間が互いにずらされる。具体的には、回転電機間位相差φが90度にされる。これにより、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbが同じ方向に、かつ、同じタイミングで流れることが回避される。ただし、この場合、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbの合計値が増大することを回避できるものの、第1,第2回転電機21a,21bにおいて、第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なる期間Taが生じてしまう。これにより、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbが共に0になる期間が生じてしまう。この場合、平滑コンデンサ23に流れる充電電流が増大する。そのため、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまい、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまうことが懸念される。
図17,18では、各回転電機21a,21bにおいて、共に力行駆動制御が行われる場合、平滑コンデンサ23のリップル電流の増大が懸念されることを説明したが、リップル電流が増大してしまうのはこの場合に限らない。例えば、各回転電機21a,21bにおいて、共に回生駆動制御が行われる場合、回転電機間位相差φが90度にされても、第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なることがある。これにより、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbが0になる期間が重なってしまう。この場合、平滑コンデンサ23に流れる放電電流が増大する。そのため、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまう。その結果、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまうことが懸念される。
また、例えば、第1回転電機21aにおいて力行駆動制御が行われ、第2回転電機21bにおいて回生駆動制御が行われる場合でも、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまうことに伴い、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまうことが懸念される。
具体的には、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なることがある。この場合、第1回転電機21aへ各有効電圧ベクトルV1~V6が出力されることにより平滑コンデンサ23が放電されるとともに、第2回転電機21bへ各無効電圧ベクトルV0,V7が出力されることにより平滑コンデンサ23が放電される。その結果、平滑コンデンサ23に流れる放電電流が増大してしまい、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまう。また、第1回転電機21aへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間とが重なることがある。この場合、第1回転電機21aへ各無効電圧ベクトルV0,V7が出力されることにより平滑コンデンサ23が充電されるとともに、第2回転電機21bへ各有効電圧ベクトルV1~V6が出力されることにより平滑コンデンサ23が充電される。その結果、平滑コンデンサ23に流れる充電電流が増大してしまい、コンデンサ電流Icfの変動が大きくなってしまう。
上述した平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまう状況は、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7の出力期間が、適切に調整されていないことに起因して発生する。
本実施形態では、各回転電機21a,21bは、左右の前輪11a,11bに対応して個別に設けられたインホイールモータである。この場合、ステアリングホイールの操舵角が大きいほど、各回転電機21a,21bのトルク差及び回転速度差が増大する。各回転電機21a,21bのトルク差及び回転速度差が増大することに起因して、各電圧ベクトルV0~V7の出力期間が、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減する観点において、適切な出力期間でなくなる事態が発生し易くなることが懸念される。
そこで、本実施形態の制御装置33は、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整する制御を行う。本実施形態では、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整するために、60度電圧ベクトルと、指令電圧ベクトルVtrを挟んで、かつ、互いに120度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルである120度電圧ベクトルとが用いられる。
制御装置33は、比率係数k(0≦k≦1)に基づいて、60度電圧ベクトルが用いられる期間と、120度電圧ベクトルが用いられる期間との比率を定めることにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整する。ここで、比率係数kは、1スイッチング周期Tswにおいて各有効電圧ベクトルV1~V6が選択される期間のうち、120度電圧ベクトルが用いられる期間の比率を定めるものである。なお、1から比率係数kを差し引いた値「1-k」は、1スイッチング周期Tswにおいて各有効電圧ベクトルV1~V6が選択される期間のうち、60度電圧ベクトルが用いられる期間を定めるものである。
図19に、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2に挟まれた指令電圧ベクトルVtrに対して、各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間が調整される一例を示す。図19において、(a)は第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2からなる60度電圧ベクトルによって、指令電圧ベクトルVtrが生成される場合を示し、(b)は第2,第6有効電圧ベクトルV2,V6からなる120度電圧ベクトルによって、指令電圧ベクトルVtrが生成される場合を示す。120度電圧ベクトルである第2,第6有効電圧ベクトルV2,V6それぞれの長さの合計値は、60度電圧ベクトルである第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2それぞれの長さの合計値よりも長い。言い換えると、1スイッチング周期Tsw内において、120度電圧ベクトルである第2,第6有効電圧ベクトルV2,V6の出力期間は、60度電圧ベクトルである第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出力期間よりも長い。
図19(c)は、60度電圧ベクトルに係数「1-k」を乗じたものと、120度電圧ベクトルに係数「k」を乗じたものとの合成電圧ベクトルによって、指令電圧ベクトルVtrが生成される場合を示す。比率係数kの値が、0≦k≦1の範囲内で大きくされるほど、合成電圧ベクトルである第1,第2,第6有効電圧ベクトルV1,V2,V6それぞれの長さの合計値が大きくされる。これにより、1スイッチング周期Tsw内において、第1,第2,第6有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間を長くなるように調整することができる。
図20,21に、合成電圧ベクトルが用いられることにより、第1,第2,第6有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間が調整される制御の一例を示す。図20(a)~(f)は、図17(a)~(f)に対応しており、図21(a)~(d)は、図17(a)~(d)に対応している。図20において、各回転電機21a,21bでは、共に力行駆動制御が行われる。図21において、第1回転電機21aでは力行駆動制御が行われ、第2回転電機21bでは回生駆動制御が行われる。
図20では、回転電機間位相差φが0度よりも大きくされ、かつ、各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方への各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間と、他方への各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間とが同じにされる。例えば、第1回転電機21aへの第0無効電圧ベクトルV0の出力期間と、第2回転電機21bへの第1,第2,第6有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間が同じにされる。この場合、第1インバータ電流Idcaが正の方向に流れる期間と、第2インバータ電流Idcbが正の方向に流れる期間とが重なることを回避でき、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbの合計値が増大してしまうことを回避できる。また、各回転電機21a,21bへの第0,第7無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なることを回避でき、平滑コンデンサ23に流れる充電電流が増大してしまうのを回避できる。
図21では、回転電機間位相差φが0度にされ、かつ、各回転電機21a,21bにおいて、各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間が同じにされるとともに、各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が同じにされる。各有効電圧ベクトルV1,V2,V6が出力される期間では、第1インバータ電流Idcaが正の方向に流れ、第2インバータ電流Idcbが負の方向に流れる。そのため、第1,第2インバータ電流Idca,Idcbの合計値が増大してしまうことを回避できる。また、各無効電圧ベクトルV0,V7が出力される期間では、第1回転電機21aへ各無効電圧ベクトルV0,V7が出力されることにより平滑コンデンサ23が充電され、第2回転電機21bへ各無効電圧ベクトルV0,V7が出力されることにより平滑コンデンサ23が放電される。そのため、平滑コンデンサ23に流れる充放電電流が増大してしまうのを回避できる。
各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整されても、各インバータ電流Idca,Idcbの大きさの差が大きい場合、コンデンサ電流Icfの変動が増大してしまう。その結果、平滑コンデンサ23のリップル電流が増大してしまうことが懸念される。
そこで、制御装置33は、比率係数kの値を調整することにより、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7の出力期間を調整しつつ、各インバータ電流Idca,Idcbの大きさを互いに近づけるように、各回転電機21a,21bの各電圧ベクトルV0~V7を制御する。制御装置33は、図22に示すように、各回転電機21a,21bにおいて、比率係数kが大きくされるほど、各インバータ電流Idca,Idcbの大きさが低減されるという関係を用いて、各インバータ電流Idca,Idcbの大きさを調整する。
図23には、第1,第2回転電機21a,21bにおいて共に力行駆動制御が行われる場合、第1インバータ電流Idcaの大きさIAと、第2インバータ電流Idcbの大きさIBとが同じにされる制御の一例を示す。これにより、コンデンサ電流Icfの変動を的確に抑制することができ、平滑コンデンサ23のリップル電流を的確に低減することができる。
図24に、制御装置33が行う制御の手順を示す。この制御は、例えば、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS10では、第1回転電機21aの回転速度及び指令トルクを取得する。本実施形態では、第1回転電機21aの回転速度として、角度センサ36の検出値に基づいて算出した値を取得する。第1回転電機21aの指令トルクとして、取得した第1回転電機21aの回転速度を、指令回転速度にフィードバック制御すべく算出した値を取得する。取得した指令トルクに基づいて、第1回転電機21aの指令電圧ベクトルVtrを算出する。
ステップS11では,第2回転電機21bの回転速度及び指令トルクを取得する。本実施形態では、第2回転電機21bの回転速度として、角度センサ36の検出値に基づいて算出したものを取得する。第2回転電機21bの指令トルクとして、取得した第2回転電機21bの回転速度を、指令回転速度にフィードバック制御すべく算出した値を取得する。取得した指令トルクに基づいて、第2回転電機21bの指令電圧ベクトルVtrを算出する。
ステップS12では、各回転電機21a,21bの駆動状態を判定する。本実施形態では、各回転電機21a,21bの双方において、力行駆動制御又は回生駆動制御が行われている駆動状態であるか否かを判定する。例えば、各回転電機21a,21bの駆動状態の判定は、算出した指令トルクに基づいて行えばよい。具体的には、算出した指令トルクが正の値の場合、力行駆動制御状態であると判定し、算出した指令トルクが負の値の場合、回生駆動制御状態であると判定すればよい。
ステップS12において肯定判定した場合、ステップS13に進み、位相シフト処理を行う。位相シフト処理は、第1,第2回転電機21a,21bにおいて、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を互いにずらす処理である。これにより、各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を、他方への各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間内にずらす。本実施形態では、位相シフト処理として、回転電機間位相差φを90度にする。
ステップS14では、各回転電機21a,21bの各有効電圧割合m1,m2を算出する。ここで、各有効電圧割合m1,m2は、各回転電機21a,21bにおいて、1スイッチング周期Tswのうち各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が占める割合である。本実施形態では、ステップS10及びステップS11において、算出した指令電圧ベクトルVtrを、60度電圧ベクトルを用いて実現した場合の各有効電圧割合m1,m2を算出する。
ステップS15では、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間との合計期間が、1スイッチング周期Tswと同じであるか否かを判定する。言い換えると、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが同じ長さであるか否かを判定する。具体的には、m1-(1-m2)=0の関係が成り立つか否かを判定する。ステップS15において肯定判定した場合、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整しないと判定する。一方、ステップS15において否定判定した場合、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整すると判定する。ステップS15の処理によれば、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を、調整すべき状況であることを判定することができる。本実施形態において、ステップS15の処理が「期間判定部」に相当する。
ステップS15において肯定判定した場合には、ステップS16に進み、各回転電機21a,21bへの指令電圧ベクトルVtrを生成するのに用いる60度電圧ベクトルを選択する。本実施形態では、ステップS10及びステップS11において、指令電圧ベクトルVtrを実現するのに用いた60度電圧ベクトルをそのまま選択する。なお、ステップS16において、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整しないのは、出力期間が、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減するのに適切な出力期間に、既に調整されているためである。
ステップS17では、各インバータ22a,22bのスイッチング操作を行う。スイッチング操作では、選択した各電圧ベクトルV0~V7の出力期間に基づいて、各有効電圧ベクトルV1~V6と各無効電圧ベクトルV0,V7とを交互に出力する。本実施形態において、ステップS17の処理が「操作部」に相当する。
ステップS15において否定判定した場合には、ステップS18に進み、第1調整処理を行う。第1調整処理は、各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、他方への各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とを同じにする処理である。ここで、回転電機21a,21bのうち、いずれか一方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間は、位相シフト処理により他方への各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間内にずらした期間である。本実施形態では、60度電圧ベクトルと120度電圧ベクトルとの合成電圧ベクトルを用いることにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整する。その後、ステップS17に進み、ステップS18で調整した各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間に基づいて、スイッチング操作を行う。
ステップS12において否定判定した場合には、ステップS19に進む。なお、ステップS12において否定判定する場合とは、各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方において力行駆動制御が行われており、他方において回生駆動制御が行われている駆動状態であると判定した場合である。本実施形態において、ステップS12の処理が「駆動判定部」に相当する。
ステップS19では、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間とが、同じ長さであるか否かを判定する。具体的には、m1-m2=0の関係が成り立つか否かを判定する。ステップS19において肯定判定した場合、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整しないと判定する。一方、ステップS19において否定判定した場合、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整すると判定する。ステップS19の処理によれば、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を、調整すべき状況であることを判定することができる。本実施形態において、ステップS19の処理が「期間判定部」に相当する。
ステップS19において肯定判定した場合、ステップS20に進み、各回転電機21a,21bの指令電圧ベクトルVtrを生成するために用いる60度電圧ベクトルを選択する。本実施形態では、ステップS10及びステップS11において、算出した指令電圧ベクトルVtrを生成するのに用いた60度電圧ベクトルをそのまま選択する。その後、ステップS17に進む。なお、ステップS20において、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整しないのは、出力期間が、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減するのに適切な出力期間に、既に調整されているためである。
ステップS19において否定判定した場合、ステップS21に進み、第2調整処理を行う。第2調整処理は、回転電機間位相差φを0度にしつつ、各回転電機21a,21bにおいて、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を同じにするとともに、各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間を同じにする処理である。本実施形態では、60度電圧ベクトルと120度電圧ベクトルとの合成電圧ベクトルを用いることにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を調整する。その後、ステップS17に進む。本実施形態において、ステップS18,S21の処理が「第1選択部」及び「第2選択部」に相当し、ステップS13,S16,S18,S20,S21の処理が「調整部」に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
各回転電機21a,21bの駆動状態が異なる状況が発生しても、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を、各回転電機21a,21bの駆動状態に応じて、適切な出力期間に調整することができる。調整された各有効電圧ベクトルV1~V6と、各無効電圧ベクトルV0,V7とが交互に出力されるように、各インバータ22a,22bのスイッチング操作が行われることにより、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を低減することができる。
各回転電機21a,21bの双方において、力行駆動制御又は回生駆動制御が行われる駆動状態であると判定されたことを条件に、第1調整処理が行われる。これにより、各回転電機21a,21bのうち、一方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、他方への各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが同じにされる。そのため、各回転電機21a,21bにおいて、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が互いに重なってしまう期間や、各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が互いに重なってしまう期間の発生を回避できる。その結果、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を的確に低減することができる。
各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方において力行駆動制御が行われており、他方において回生駆動制御が行われている駆動状態であると判定されたことを条件に、第2調整処理が行われる。これにより、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なる期間の発生を回避できる。また、第1回転電機21aへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間とが重なる期間の発生を回避できる。その結果、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を的確に低減することができる。
各インバータ電流Idca,Idcbの大きさが互いに近づけられることにより、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を的確に低減することができる。
左右の前輪11a,11bが回転駆動されることにより走行する車両10において、車両10の操舵角が大きいほど、コーナリング時における左右の前輪11a,11bのうち、内輪が描く軌跡の長さは、外輪が描く軌跡の長さよりも短くなる。そのため、左右の前輪11a,11bに設けられる各回転電機21a,21bのトルク差及び回転速度差が増大する。この場合、左右の前輪11a,11bに設けられる各回転電機21a,21bでは、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減する観点において、適切な出力期間でなくなる事態が発生し易くなることが懸念される。そのため、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整される上述した構成を用いるメリットが大きい。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間の合計期間が、1スイッチング周期Tswと同じであるか否かの判定に加えて、合計期間が1スイッチング周期Tswよりも短いか否かの判定が行われる。具体的には、図25に示すように、ステップS15において否定判定した場合、ステップS22に進む。ステップS22では、m1+m2<1が成り立つか否かを判定する。ステップS22の処理を行うのは、各有効電圧割合m1,m2の合計値が1より大きい場合、合成電圧ベクトルによる各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間の調整を行うことができないためである。ステップS22において肯定判定した場合、ステップS18に進む。一方、ステップS22において否定判定した場合、ステップS16に進む。本実施形態において、ステップS15及びステップS22の処理が「期間判定部」に相当する。
本実施形態のステップS22の処理によれば、合成電圧ベクトルによる各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間の調整を行うことができない状況を適切に判定し、60度電圧ベクトルを用いて、スイッチング操作を行うべき状況であることを適切に判定することができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整されることに代えて、各回転電機21a,21bのうちいずれか一方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整され、他方への各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間は調整されない。
図26に、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整されず、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整される制御の一例を示す。図26において、(a)~(f)は、図17(a)~(f)に対応している。図26において、各回転電機21a,21bでは、共に力行駆動制御が行われる。
図26(d)に示すように、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間が調整されることにより、第1回転電機21aへの第0無効電圧ベクトルV0の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間とが同じにされる。本実施形態において、第2回転電機21bが「特定回転電機」に相当する。
本実施形態によれば、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が共に調整される場合と比べて、制御装置33の処理負荷を低減しつつ、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を低減することができる。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第1調整処理及び第2調整処理において、60度電圧ベクトルと120度電圧ベクトルとの合成電圧ベクトルが用いられることに代えて、弱め界磁制御が行われる。
制御装置33は、取得した指令トルクに基づいて、各回転電機21a,21bのd軸指令電流及びq軸指令電流を算出する。制御装置33は、算出したd,q軸指令電流に基づいて、各回転電機21a,21bのdq軸指令電圧ベクトルVa*を算出する。制御装置33は、算出したdq軸指令電圧ベクトルVa*に基づいて、各回転電機21a,21bの指令電圧ベクトルVtrを算出する。
ここで、弱め界磁制御が行われる場合のdq軸電圧ベクトルVaについて補助的に説明する。図27,28は、dq軸座標系のベクトル図である。図27は弱め界磁制御が行われていない(Id=0)場合のdq軸電圧ベクトルVaを示し、図28は弱め界磁制御が行われる場合のdq軸電圧ベクトルVaを示す。図27,28において、ω×Φaは電機子鎖交磁束による誘起電圧であり、ω×Lq×Iqはq軸電機子反作用磁束による誘起電圧であり、R×Iqはq軸電流の電機子巻線抵抗による電圧降下である。図28において、Idはd軸電流であり、ω×Ld×Idはd軸電機子反作用磁束による誘起電圧であり、R×Idはd軸電流の電機子巻線抵抗による電圧降下である。なお、ωは回転電機の電気角速度である。
弱め界磁制御が行われていない場合のdq軸電圧ベクトルVaは、電機子鎖交磁束による誘起電圧ω×Φaと、q軸電機子反作用磁束による誘起電圧ω×Lq×Iqと、q軸電流の電機子巻線抵抗による電圧降下R×Iqとを足し合わせたベクトルである。一方、弱め界磁制御が行われる場合のdq軸電圧ベクトルVaは、電機子鎖交磁束による誘起電圧ω×Φaと、d,q軸電機子反作用磁束による誘起電圧ω×Ld×Id,ω×Lq×Iqと、d,q軸電流の電機子巻線抵抗による電圧降下R×Id,R×Iqを足し合わせたものである。
弱め界磁制御が行われることにより、電機子反作用磁束による誘起電圧の上昇が抑制される。そのため、弱め界磁制御が行われる場合のdq軸電圧ベクトルVaの大きさは、弱め界磁制御が行われない場合のdq軸電圧ベクトルVaの大きさよりも小さくなる。
制御装置33は、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を短くするように調整する場合、負のd軸指令電流を増大する。この場合、制御装置33は、dq軸指令電圧ベクトルVa*の大きさを低減する。制御装置33は、dq軸指令電圧ベクトルVa*の大きさが小さいほど、指令電圧ベクトルVtrの大きさを小さく算出する。これにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が短くなるように調整が行われる。
制御装置33は、先の図24のステップS18の処理において、第1調整処理を行うことに代えて、弱め界磁制御を行うことにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を短くするように調整を行う。また、制御装置33は、先の図24のステップS21の処理において、第2調整処理を行うことに代えて、弱め界磁制御を行うことにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を短くするように調整を行う。
図29に、弱め界磁制御が行われることにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整される制御の一例を示す。図29において、(a)は第1インバータ22aに流れる第1インバータ電流Idcaの推移を示し、(b)は第2インバータ22bに流れる第2インバータ電流Idcbの推移を示す。なお、図29では、各回転電機21a,21bでは、共に力行駆動制御が行われる例を示す。
図29(a)に示すように、第1インバータ電流Idcaの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が、破線で示す調整前の各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間よりも短くされる。これにより、第1回転電機21aの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が長くされる。その結果、第1回転電機21aへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間と、第2回転電機21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間とが同じにされる。
本実施形態によれば、弱め界磁制御が行われることにより、各回転電機21a,21bへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を的確に調整することができる。
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
車両10において、インホイールモータとしての回転電機は左右の前輪11a,11bに設けられることに限られない。例えば、車両前後にそれぞれ2つの車輪を有する車両では、車両後側の2輪、又は車両前後の4輪に回転電機が設けられてもよい。ただし、車両前後の少なくとも一方が1輪である車両において、車両前後の3輪に回転電機が設けられてもよい。
以下では、3つの駆動輪それぞれに第1~第3回転電機が設けられた車両において、平滑コンデンサのリップル電流を低減するための制御の一例を示す。第1~第3回転電機に対応して、第1~第3インバータが設けられている。平滑コンデンサは、第1~第3インバータに共通とされている。
図30において、(a)は第1回転電機への電圧ベクトルを示し、(b)は第2回転電機への電圧ベクトルを示し、(c)は第3回転電機への電圧ベクトルを示し、(d)は第1インバータ電流Idcaの推移を示し、(e)は第2インバータ電流Idcbの推移を示し、(f)は第3インバータ電流Idccの推移を示す。なお、図30では、第1~第3回転電機全てにおいて、力行駆動制御が行われる例を示す。
図30では、第1~第3回転電機において、第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の出力期間が互いにずらされる。具体的には、第1回転電機間位相差φ1が60度にされるとともに、第2回転電機間位相差φ2が60度にされる。ここで、第1回転電機間位相差φ1は、例えば、1スイッチング周期Tswの半分の期間内において、第1回転電機21aに第0無効電圧ベクトルV0が印加され始めるタイミングと、第2回転電機21bに第0無効電圧ベクトルV0が印加され始めるタイミングとの差である。第2回転電機間位相差φ2は、例えば、1スイッチング周期Tswの半分の期間内において、第2回転電機に第0無効電圧ベクトルV0が印加され始めるタイミングと、第3回転電機に第0無効電圧ベクトルV0が印加され始めるタイミングとの差である。
図30に示すように、第1回転電機の第0無効電圧ベクトルV0の出力期間と、第2,第3回転電機の第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の合計出力期間とが同じにされる。なお、第2回転電機の無効電圧ベクトルの出力期間と、第1,第3回転電機の有効電圧ベクトルの合計出力期間とも同じにされ、第3回転電機の無効電圧ベクトルの出力期間と、第1,第2回転電機の有効電圧ベクトルの合計出力期間とも同じにされる。これにより、第1~第3インバータ電流Idca~Idccが流れる期間が、互いに重なることを回避できる。また、第1~第3回転電機の各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なる期間の発生を回避できる。
なお、第1回転電機の第0無効電圧ベクトルV0の出力期間と、第2,第3回転電機の第1,第2有効電圧ベクトルV1,V2の合計出力期間とが同じでない場合、60度ベクトルと120度電圧ベクトルとの合成電圧ベクトルが用いられてもよい。これにより、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間が調整される。その結果、第1~第3インバータ電流Idca~Idccが流れる期間が互いに重なることを抑制したり、第1~第3回転電機の各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間が重なる期間の発生を抑制したりできる。
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減する観点に加えて、直流電源30に流れる電流を低減する観点において、調整処理が行われる。
図31に、本実施形態の制御システムの構成図を示す。制御システムは、電源電流センサ37を備えている。電源電流センサ37は、直流電源30に流れる電流IBを検出する。なお、図31において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
直流電源30及び平滑コンデンサ23を接続する配線のインダクタンスと、平滑コンデンサ23の静電容量とに起因して発生する電流の共振により、直流電源30に流れる電流IBがインバータ電流Idcに対して増幅されることがある。ここで、直流電源30及び平滑コンデンサ23を接続する配線は、例えば正極側母線Lp及び負極側母線Lnである。この状況では、直流電源30の定格電流よりも大きな電流が直流電源30に流れてしまい、直流電源30の信頼性が低下する懸念がある。
具体的には、図32に示す伝達特性を参照しつつ説明する。図32の伝達特性は、インバータ電流Idcに対する直流電源30に流れる電流IBの比である増幅率(=IB/Idc)と、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbとの関係を示す図である。増幅率は、正極側母線Lp及び負極側母線Ln等の配線におけるインダクタンスと、平滑コンデンサ23の静電容量とにより定まる共振周波数frで最大となり、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数frから離れるほど漸減する。この場合、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数fr又は共振周波数frの近傍の周波数である場合、直流電源30に流れる電流IBがインバータ電流Idcに対して増幅され、直流電源30に大電流が流れる不安定な状態となり得る。この不安定な状態では、直流電源30の定格電流よりも大きな電流が直流電源30に流れ、直流電源30の信頼性が低下する懸念がある。
そこで、本実施形態では、制御装置33は、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを変更すべく、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7の出力態様を調整する第3調整処理を行う。本実施形態では、図33に示すように、ステップS16,S18,S20,S21の処理の後、ステップS30に進み、制御装置33は第3調整処理を行う。ステップS30の処理の後、ステップS17に進む。
図34に、先の図33のステップS30における第3調整処理の処理手順を示す。
ステップS40では、電流パラメータを取得する。本実施形態では、電流パラメータは、直流電源30に流れる電流IBである。直流電源30に流れる電流IBとしては、電源電流センサ37の検出値を用いればよい。
ステップS41では、電流パラメータに基づいて、直流電源30が不安定な状態か否かを判定する。本実施形態では、直流電源30に流れる電流IBの振幅が電流閾値を超えたか否かを判定する。ステップS41において否定判定した場合、直流電源30が安定な状態であると判定し、第3調整処理を終了する。一方、ステップS41において肯定判定した場合、直流電源30が不安定な状態であると判定し、ステップS42に進む。なお、直流電源30に流れる電流IBの振幅が電流閾値を超えたか否かを判定することに代えて、直流電源30に流れる電流IBの実効値が電流閾値を超えたか否かを判定してもよい。
ステップS42では、周波数変更処理を行う。周波数変更処理は、直流電源30に流れる電流の周波数fbを変更する処理である。本実施形態では、周波数変更処理において、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを共振周波数frから離すように低くする。
制御装置33は、周波数変更処理において、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なる重複期間を短くする。ここでは、ステップS18の第1調整処理の後に第3調整処理が行われる場合について説明する。第1調整処理の後では、先の図20に示したように、回転電機間位相差φが0度より大きい値とされる。制御装置33は、周波数変更処理において、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0,V1,V2,V6,V7の出力期間を互いにずらすことにより、回転電機間位相差φを、予め設定された所定位相差Δφだけ小さくする。これにより、重複期間が短くされる。
図35には、周波数変更処理が行われることにより、第2回転電機21bへの電圧ベクトルがずらされた場合の一例を示す。図35において、(a)は第1回転電機21aへの電圧ベクトルを示し、(b)は周波数変更処理が行われる前の第2回転電機21bへ電圧ベクトルを示し、(c)は周波数変更処理が行われた後の第2回転電機21bへの電圧ベクトルを示す。周波数変更処理が行われた後の各回転電機21a,21bへの電圧ベクトルでは、第6有効電圧ベクトルV6の出力期間に相当する所定位相差Δφだけ、回転電機間位相差φが小さくされている。これにより、1スイッチング周期Tswの半分の期間において、周波数変更処理が行われた後の重複期間Tb2が、周波数変更処理が行われる前の重複期間Tb1に比べて、第6有効電圧ベクトルV6の出力期間だけ短くされている。なお、図35では、回転電機間位相差φを、第1回転電機21aに第6有効電圧ベクトルV6が印加され始めるタイミングと、第2回転電機21bに第6有効電圧ベクトルV6が印加され始めるタイミングとの差として例示的に示している。
周波数変更処理が行われることにより、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間との重複期間が短くされる。これにより、1スイッチング周期Tsw内において、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の振動回数が低減される。そのため、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の周波数が低くされる。これに伴い、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを、共振周波数frから離すように低くすることが可能となる。
制御装置33は、周波数変更処理において、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを低くするとよい。例えば、制御装置33は、回転電機間位相差φを所定位相差だけ小さくした後において、直流電源30に流れる電流IBの振幅が、所定の電流振幅値よりも小さいと判定したことを条件に、周波数変更処理を終了するとよい。ここで、電流振幅値は、電流閾値よりも小さい値に設定されるとよい。一方、制御装置33は、上述した条件が成立しないと判定した場合に、さらに回転電機間位相差φを所定位相差だけ小さくするとよい。これにより、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが低くされる。なお、制御装置33は、上述した条件の成否を判定することに代えて、直流電源30に流れる電流IBの実効値が、所定の電流実効値よりも小さいか否かを判定してもよい。
本実施形態によれば、直流電源30に流れる電流IBに応じて、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7を適切な出力態様に調整することができる。調整された各電圧ベクトルを出力すべく、各インバータ22a,22bのスイッチング操作が行われることにより、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが低くされる。これにより、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを、共振周波数frから離すことが可能となる。その結果、直流電源30の定格電流よりも大きな電流が流れてしまい、直流電源30の信頼性が低下する事態の発生を抑制することができる。
直流電源30に流れる電流IBの振幅が電流閾値を超えたと判定された場合、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間との重複期間が短くされる。これにより、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが低くされる。その結果、直流電源30に定格電流よりも大きな電流が流れる事態の発生を的確に抑制することができる。
<第6実施形態の変形例>
なお、第6実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・電流パラメータは、直流電源30に流れる電流IBに限られない。例えば、電流パラメータは、平滑コンデンサ23の端子電圧でもよい。この場合、ステップS40の処理では、平滑コンデンサ23の端子電圧を取得すればよい。平滑コンデンサ23の端子電圧としては、電圧センサ35の検出値を用いればよい。ステップS41では、平滑コンデンサ23の端子電圧の振幅が電圧閾値を超えたか否かを判定すればよい。この場合、制御システムには、電源電流センサ37が備えられていなくてもよい。なお、平滑コンデンサ23の端子電圧の振幅が電圧閾値を超えたか否かを判定することに代えて、平滑コンデンサ23の端子電圧の実効値が電圧閾値を超えたか否かを判定してもよい。
・ステップS40の処理において、電源電流センサ37の検出値を取得することに代えて、直流電源30に流れる電流IBの推定値を取得してもよい。直流電源30に流れる電流IBの推定値としては、相電流センサ34の検出値及び電圧センサ35の検出値のうち少なくとも1つと、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7とに基づいて推定された値を用いればよい。この場合、制御システムには、電源電流センサ37が備えられていなくてもよい。
・周波数変更処理において、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なる重複期間が、短くされることに代えて、長くされてもよい。ここでは、ステップS21の第2調整処理の後に第3調整処理が行われる場合について説明する。この場合、先の図21に示したように、回転電機間位相差φが0度とされる。制御装置33は、周波数変更処理において、各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0,V1,V2,V6,V7の出力期間を互いにずらすことにより、回転電機間位相差φを、予め設定された所定位相差だけ大きくする。これにより、重複期間が長くされる。
図36には、周波数変更処理が行われることにより、第2回転電機21bへの電圧ベクトルがずらされた場合の一例を示す。図36において、(a)は第1回転電機21aへの電圧ベクトルを示し、(b)は周波数変更処理が行われた後の第2回転電機21bへの電圧ベクトルを示す。図36では、周波数変更処理が行われ、第6有効電圧ベクトルV6の出力期間に相当する所定位相差Δφだけ、回転電機間位相差φが大きくされた場合の一例を示す。これにより、1スイッチング周期Tswの半分の期間において、第6有効電圧ベクトルV6の出力期間だけ、重複期間Tcが長くされる。なお、図36では、回転電機間位相差φを、第1回転電機21aに第6有効電圧ベクトルV6が印加され始めるタイミングと、第2回転電機21bに第6有効電圧ベクトルV6が印加され始めるタイミングとの差として例示的に示している。重複期間Tcを、第6有効電圧ベクトルV6の出力期間として例示的に示している。
周波数変更処理が行われることにより、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間との重複期間が長くされる。これにより、1スイッチング周期Tsw内において、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の振動回数が増大される。そのため、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の周波数が高くされる。これに伴い、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを、共振周波数frから離すように高くすることが可能となる。
制御装置33は、周波数変更処理において、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを高くするとよい。例えば、制御装置33は、回転電機間位相差φを所定位相差だけ大きくした後において、直流電源30に流れる電流IBの振幅が、所定の電流振幅値よりも小さいと判定したことを条件に、周波数変更処理を終了するとよい。ここで、電流振幅値は、電流閾値よりも小さい値に設定されるとよい。一方、制御装置33は、上述した条件が成立しないと判定した場合に、さらに回転電機間位相差φを所定位相差だけ大きくするとよい。これにより、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが高くされる。なお、制御装置33は、上述した条件の成否を判定することに代えて、直流電源30に流れる電流IBの実効値が、所定の電流実効値よりも小さいか否かを判定してもよい。
本実施形態によれば、直流電源30に流れる電流IBの振幅が電流閾値を超えたと判定された場合、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間との重複期間が長くされる。これにより、直流電源30に流れる電流IBの振幅が小さくなるように、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが高くされる。その結果、直流電源30に定格電流よりも大きな電流が流れる事態の発生を的確に抑制することができる。
・周波数変更処理において、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを高くする処理は、上述した重複期間を長くすることに限られない。周波数変更処理において、各回転電機21a,21bへの無効電圧ベクトルが、異なる2つの有効電圧ベクトルの間に挿入されることにより、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが高くされてもよい。
ここでは、ステップS18の第1調整処理の後に第3調整処理が行われる場合について説明する。この場合、例えば、各回転電機21a,21bへの電圧ベクトルが、周波数変更処理が行われる前の図37(a),(b)に示す状態から、図37(c),(d)に示す状態へと変更される。具体的には、第7無効電圧ベクトルV7が挿入される場合、第1回転電機21aへの電圧ベクトルが、V7→V2→V7→V1→V7→V6→V0→V6→V7→V1→V7→V2の順に出力され、第2回転電機21bへの電圧ベクトルが、V2→V7→V2→V7→V1→V7→V6→V0の順に出力される。なお、挿入される第7無効電圧ベクトルV7の出力期間は、各上アームスイッチQUH~QWHがオンされると共に、各下アームスイッチQUL~QWLがオフされるのに要する時間よりも長くされるとよい。
各回転電機21a,21bへの電圧ベクトルに対して第7無効電圧ベクトルV7が挿入されることにより、1スイッチング周期Tsw内において、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の振動回数が増大する。そのため、第1インバータ電流Idca及び第2インバータ電流Idcbの合計電流の周波数が高くされる。これに伴い、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを共振周波数frから離すように高くすることが可能となる。
なお、制御装置33は、周波数変更処理において、1スイッチング周期Tsw内の異なる2つの有効電圧ベクトルの間の全てに、無効電圧ベクトルを挿入することに限らない。例えば、制御装置33は、1スイッチング周期Tsw内の異なる2つの有効電圧ベクトルの間のうち1箇所に、無効電圧ベクトルを挿入してもよい。この場合、第1回転電機21aへの電圧ベクトルが、V7→V2→V7→V1→V6→V0→V6→V1→V2の順に出力され、第2回転電機21bへの電圧ベクトルが、V2→V7→V2→V7→V1→V6→V0の順に出力されてもよい。なお、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbは、無効電圧ベクトルが挿入される箇所が多い場合に、無効電圧ベクトルが挿入される箇所が少ない場合に比べて高くされる。
制御装置33は、周波数変更処理において、第1回転電機21aへの電圧ベクトルに対して、第7無効電圧ベクトルV7を挿入することに代えて、第0無効電圧ベクトルV0を挿入してもよい。この場合、例えば、制御装置33は、第1回転電機21aへの電圧ベクトルを、V7→V2→V0→V1→V0→V6→V0→V6→V0→V1→V0→V2の順に出力し、第2回転電機21bへの電圧ベクトルを、V2→V7→V2→V0→V1→V0→V6→V0の順に出力してもよい。なお、挿入される第0無効電圧ベクトルV0の出力期間は、各上アームスイッチQUH~QWHがオフされると共に、各下アームスイッチQUL~QWLがオンされるのに要する時間よりも長くされるとよい。
制御装置33は、周波数変更処理において、第1調整処理により調整された出力期間であって、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減するのに適切な出力期間を保ちつつ、各回転電機21a,21bへの電圧ベクトルに無効電圧ベクトルを挿入するとよい。例えば、図37(c),(d)に示すように、第1回転電機21aへの第1,第2,第6電圧ベクトルV1,V2,V6の出力期間、及び挿入された無効電圧ベクトルの出力期間の合計期間と、第2回転電機21bへの第7無効電圧ベクトルV7の出力期間が等しくされるとよい。これにより、平滑コンデンサ23のリップル電流を低減しつつ、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを高くすることができる。
制御装置33は、各回転電機21a,21bのうちいずれか一方への電圧ベクトルに対して、各無効電圧ベクトルV0,V7を挿入してもよい。
・先の図33において、ステップS15,S18,S19,S21の処理が行われなくてもよい。つまり、第1調整処理及び第2調整処理が行われず、第3調整処理のみが行われてもよい。
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、第6実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第3調整処理の実施態様を変更し、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbに応じて、周波数fbを高く変更したり、周波数fbを低く変更したりする。
図38に、先の図33のステップS30における第3調整処理の処理手順を示す。なお、図38において、先の図34に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS41において肯定判定した場合、ステップS43に進む。ステップS43では、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを算出する。直流電源30に流れる電流IBの周波数fbは、相電流センサ34の検出値、電圧センサ35の検出値、電源電流センサ37の検出値、及び各回転電機21a,21bへの各電圧ベクトルV0~V7のうち少なくとも1つに基づいて算出されればよい。
ステップS44では、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数frよりも低いか否かを判定する。ステップS44において肯定判定した場合、ステップS45に進む。一方、ステップS44において否定判定した場合、ステップS46に進む。なお、ステップS44において、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数frよりも低いか否かを判定することに代えて、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数fr以下か否かを判定してもよい。
ステップS45では、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを低くする低周波数化処理を行う。具体的には、低周波数化処理は、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なる重複期間を短くする処理である。
ステップS46では、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbを高くする高周波数化処理を行う。具体的には、高周波数化処理は、第1回転電機21aへの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bへの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とが重なる重複期間を長くする処理、及び各回転電機21a,21bへの無効電圧ベクトルを、異なる2つの有効電圧ベクトルの間に挿入する処理のうち少なくとも一方である。
先の図32に示す伝達特性によれば、共振周波数frにおいて増幅率がピーク値となる。そのため、直流電源30に流れる電流IBを的確に低減するには、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbと、共振周波数frとの関係性を考慮し、周波数fbを変更することが望ましい。
本実施形態によれば、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数frよりも低い場合、低周波数化処理が行われる。一方、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが共振周波数fr以上の場合、高周波数化処理が行われる。これにより、増幅率が低減する方向へと、直流電源30に流れる電流IBの周波数fbが変更される。その結果、直流電源30に流れる電流IBを的確に低減することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・ステップS15の処理において、m1-(1-m2)=0が成り立つか否かを判定することに代えて、|m1-(1-m2)|<εaが成り立つか否かを判定してもよい。ここで、εaは、第1許容値であり、第1回転電機21aの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bの各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間との不一致期間の許容値である。例えば、第1許容値εaは、|m1-(1-m2)|<εaの関係が成り立つ場合、1スイッチング周期Tswにおいて出力される各電圧ベクトルV0~V7のうち、最も出力期間が短い電圧ベクトルよりも、不一致期間が短くなるように設定されればよい。具体的には、図26では、不一致期間が第1回転電機21aへ出力される第1有効電圧ベクトルV1よりも短くなるように、第1許容値εaが設定されればよい。
・ステップS19の処理において、m1-m2=0が成り立つか否かを判定することに代えて、|m1-m2|<εbが成り立つか否かを判定してもよい。ここで、εbは、第2許容値であり、第1回転電機21aの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、第2回転電機21bの各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間との不一致期間の許容値である。例えば、第2許容値εbは、|m1-m2|<εbの関係が成り立つ場合、1スイッチング周期Tswにおいて出力される各電圧ベクトルV0~V7のうち、最も出力期間が短い電圧ベクトルよりも、不一致期間が短くなるように設定されればよい。
・ステップS18の処理において、第1調整処理を行うことに代えて、例えば上述した|m1-(1-m2)|<εaの関係が成り立つように、各回転電機21a,21bのうち、いずれか一方の各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間と、他方の各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間とを互いに近づける処理を行ってもよい。この場合でも、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を低減することはできる。
・ステップS21の処理において、第2調整処理を行うことに代えて、各回転電機21a,21bにおいて、例えば上述した|m1-m2|<εbの関係が成り立つように、各有効電圧ベクトルV1~V6の出力期間を互いに近づけるとともに、各無効電圧ベクトルV0,V7の出力期間を互いに近づける処理を行ってもよい。この場合でも、平滑コンデンサ23に流れるリップル電流を低減することはできる。
・インバータを構成する半導体スイッチとしては、NチャネルMOSFETに限らず、例えば、IGBTであってもよい。この場合、スイッチの高電位側端子がコレクタであり、低電位側端子がエミッタである。また、各スイッチには、フリーホイールダイオードが逆並列に接続されていればよい。
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
・以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
スイッチング操作により直流電源(30)の直流電力を交流電力に変換して出力する複数の電力変換回路(22a,22b)と、
前記各電力変換回路に対応して設けられ、前記電力変換回路から出力された交流電力が供給される回転電機(21a,21b)と、
前記直流電源に並列接続されてかつ前記各電力変換回路の入力側に設けられ、前記各電力変換回路に共通のコンデンサ(23)と、を備える制御システムに適用され、
前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する調整処理を行う調整部と、
前記調整部により調整された前記電圧ベクトルを出力すべく、前記各電力変換回路のスイッチング操作を行う操作部と、を備える回転電機の制御装置。
[構成2]
前記調整部は、前記調整処理として、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を、前記各回転電機の駆動状態に応じて調整する処理を行い、
前記操作部は、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を前記調整部により調整された出力期間にしつつ、前記各回転電機への有効電圧ベクトルと無効電圧ベクトルとを交互に出力すべく、前記スイッチング操作を行う構成1に記載の回転電機の制御装置。
[構成3]
前記駆動状態として、前記各回転電機が、電動機として機能する力行駆動状態であるか、発電機として機能する回生駆動状態であるかを判定する駆動判定部を備え、
前記調整部は、前記駆動判定部により前記各回転電機全てが前記力行駆動状態又は前記回生駆動状態であると判定されたことを条件に、前記調整処理として、前記各回転電機のうち、いずれか1つである基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間内に残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間が含まれるように、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を互いにずらしつつ、前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とを互いに近づける処理を行う構成2に記載の回転電機の制御装置。
[構成4]
前記スイッチング操作の1スイッチング周期において、前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であるか否かを判定する期間判定部を備え、
前記調整部は、前記期間判定部により前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であると判定されたことを条件に、前記調整処理を行う構成3に記載の回転電機の制御装置。
[構成5]
複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
前記駆動状態として、前記第1回転電機及び前記第2回転電機が、電動機として機能する力行駆動状態であるか、発電機として機能する回生駆動状態であるかを判定する駆動判定部と、を備え、
前記調整部は、前記第1回転電機が前記力行駆動状態であり、前記第2回転電機が前記回生駆動状態であると前記駆動判定部により判定されたことを条件に、前記調整処理として、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とを互いに近づける処理を行う構成2に記載の回転電機の制御装置。
[構成6]
前記スイッチング操作の1スイッチング周期において、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であるか否かを判定する期間判定部を備え、
前記調整部は、前記期間判定部により前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であると判定されたことを条件に、前記調整処理を行う構成5に記載の回転電機の制御装置。
[構成7]
前記調整部は、
前記各回転電機について、該回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに60度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルを選択する第1選択部と、
前記各回転電機について、該回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに120度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルのうち、前記第1選択部により選択された有効電圧ベクトルとは異なる有効電圧ベクトルを選択する第2選択部と、を有しており、
前記調整処理において、前記第1選択部及び前記第2選択部それぞれにより選択された3種類の有効電圧ベクトルを用いて、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を調整する構成2~6のいずれか1つに記載の回転電機の制御装置。
[構成8]
前記調整部は、前記調整処理において、前記各電力変換回路に流れる電流の大きさを互いに近づける請求項7に記載の回転電機の制御装置。
[構成9]
前記調整部は、
前記各回転電機のうち、一部の回転電機である特定回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに60度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルを選択する第1選択部と、
前記特定回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに120度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルのうち、前記第1選択部により選択された有効電圧ベクトルとは異なる有効電圧ベクトルを選択する第2選択部と、を有しており、
前記調整処理において、前記第1選択部及び前記第2選択部それぞれにより選択された3種類の有効電圧ベクトルを用いて、前記特定回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を調整する構成2~6のいずれか1つに記載の回転電機の制御装置。
[構成10]
前記調整部は、前記調整処理において、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を、前記各回転電機に流れる弱め界磁電流を制御することにより調整する構成2~6のいずれか1つに記載の回転電機の制御装置。
[構成11]
前記調整部は、前記調整処理において、
前記直流電源に流れる電流又は該電流の相関値であって、交流成分を含む電流パラメータを取得し、
前記電流パラメータに応じて、前記直流電源に流れる電流の周波数を変更すべく、前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する構成1~10のいずれか1つに記載の回転電機の制御装置。
[構成12]
複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
前記調整部は、前記調整処理において、
取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間とが重なる重複期間を調整することにより、前記直流電源に流れる電流の周波数を変更する構成11に記載の回転電機の制御装置。
[構成13]
前記調整部は、前記調整処理において、
取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記各回転電機への無効電圧ベクトルを、異なる2つの有効電圧ベクトルの間に挿入することにより、前記直流電源に流れる電流の周波数を高くする構成11に記載の回転電機の制御装置。
[構成14]
複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
前記調整部は、前記調整処理において、
前記直流電源に流れる電流又は該電流の相関値であって、交流成分を含む電流パラメータを取得し、
取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記直流電源に流れる電流の周波数が、前記直流電源及び前記コンデンサを接続する配線のインダクタンスと、前記コンデンサの静電容量とで定められる共振周波数よりも高いか低いかを判定し、
前記直流電源に流れる電流の周波数が前記共振周波数よりも低いと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記直流電源に流れる電流の周波数を低くし、
前記直流電源に流れる電流の周波数が前記共振周波数よりも高いと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記直流電源に流れる電流の周波数を高くする構成1~10のいずれか1つに記載の回転電機の制御装置。
[構成15]
前記制御システムは、駆動輪(11a,11b)が回転駆動されることにより走行する車両(10)に適用され、
前記各回転電機は、前記各駆動輪に対応して個別に設けられ、
前記各駆動輪のうち前記車両の左右の操舵輪(11a,11b)の操舵角が大きいほど、前記操舵輪に対応して設けられる各回転電機のトルク差及び回転速度差が増大する請求項1~14のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
21a,21b…第1,第2回転電機、22a,22b…第1,第2インバータ、23…平滑コンデンサ、33…制御装置。

Claims (16)

  1. スイッチング操作により直流電源(30)の直流電力を交流電力に変換して出力する複数の電力変換回路(22a,22b)と、
    前記各電力変換回路に対応して設けられ、前記電力変換回路から出力された交流電力が供給される回転電機(21a,21b)と、
    前記直流電源に並列接続されてかつ前記各電力変換回路の入力側に設けられ、前記各電力変換回路に共通のコンデンサ(23)と、を備える制御システムに適用され、
    前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する調整処理を行う調整部と、
    前記調整部により調整された前記電圧ベクトルを出力すべく、前記各電力変換回路のスイッチング操作を行う操作部と、を備える回転電機の制御装置。
  2. 前記調整部は、前記調整処理として、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を、前記各回転電機の駆動状態に応じて調整する処理を行い、
    前記操作部は、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を前記調整部により調整された出力期間にしつつ、前記各回転電機への有効電圧ベクトルと無効電圧ベクトルとを交互に出力すべく、前記スイッチング操作を行う請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記駆動状態として、前記各回転電機が、電動機として機能する力行駆動状態であるか、発電機として機能する回生駆動状態であるかを判定する駆動判定部を備え、
    前記調整部は、前記駆動判定部により前記各回転電機全てが前記力行駆動状態又は前記回生駆動状態であると判定されたことを条件に、前記調整処理として、前記各回転電機のうち、いずれか1つである基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間内に残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間が含まれるように、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を互いにずらしつつ、前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とを互いに近づける処理を行う請求項2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記スイッチング操作の1スイッチング周期において、前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であるか否かを判定する期間判定部を備え、
    前記調整部は、前記期間判定部により前記基準回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間と、前記残りの回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であると判定されたことを条件に、前記調整処理を行う請求項3に記載の回転電機の制御装置。
  5. 複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
    前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
    前記駆動状態として、前記第1回転電機及び前記第2回転電機が、電動機として機能する力行駆動状態であるか、発電機として機能する回生駆動状態であるかを判定する駆動判定部と、を備え、
    前記調整部は、前記第1回転電機が前記力行駆動状態であり、前記第2回転電機が前記回生駆動状態であると前記駆動判定部により判定されたことを条件に、前記調整処理として、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とを互いに近づける処理を行う請求項2に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記スイッチング操作の1スイッチング周期において、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であるか否かを判定する期間判定部を備え、
    前記調整部は、前記期間判定部により前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間とが異なる長さの期間であると判定されたことを条件に、前記調整処理を行う請求項5に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記調整部は、
    前記各回転電機について、該回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに60度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルを選択する第1選択部と、
    前記各回転電機について、該回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに120度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルのうち、前記第1選択部により選択された有効電圧ベクトルとは異なる有効電圧ベクトルを選択する第2選択部と、を有しており、
    前記調整処理において、前記第1選択部及び前記第2選択部それぞれにより選択された3種類の有効電圧ベクトルを用いて、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を調整する請求項2~6のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 前記調整部は、前記調整処理において、前記各電力変換回路に流れる電流の大きさを互いに近づける請求項7に記載の回転電機の制御装置。
  9. 前記調整部は、
    前記各回転電機のうち、一部の回転電機である特定回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに60度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルを選択する第1選択部と、
    前記特定回転電機への指令電圧ベクトルを挟んで、かつ、互いに120度の位相差を有する2種類の有効電圧ベクトルのうち、前記第1選択部により選択された有効電圧ベクトルとは異なる有効電圧ベクトルを選択する第2選択部と、を有しており、
    前記調整処理において、前記第1選択部及び前記第2選択部それぞれにより選択された3種類の有効電圧ベクトルを用いて、前記特定回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を調整する請求項2~6のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  10. 前記調整部は、前記調整処理において、前記各回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間を、前記各回転電機に流れる弱め界磁電流を制御することにより調整する請求項2~6のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  11. 前記調整部は、前記調整処理において、
    前記直流電源に流れる電流又は該電流の相関値であって、交流成分を含む電流パラメータを取得し、
    前記電流パラメータに応じて、前記直流電源に流れる電流の周波数を変更すべく、前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  12. 複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
    前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
    前記調整部は、前記調整処理において、
    取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
    前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記第1回転電機への有効電圧ベクトルの出力期間と、前記第2回転電機への無効電圧ベクトルの出力期間とが重なる重複期間を調整することにより、前記直流電源に流れる電流の周波数を変更する請求項11に記載の回転電機の制御装置。
  13. 前記調整部は、前記調整処理において、
    取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
    前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記各回転電機への無効電圧ベクトルを、異なる2つの有効電圧ベクトルの間に挿入することにより、前記直流電源に流れる電流の周波数を高くする請求項11に記載の回転電機の制御装置。
  14. 複数の前記電力変換回路は、第1電力変換回路(22a)及び第2電力変換回路(22b)であり、
    前記回転電機として、前記第1電力変換回路に対応して第1回転電機(21a)と、前記第2電力変換回路に対応して第2回転電機(21b)とが設けられ、
    前記調整部は、前記調整処理において、
    前記直流電源に流れる電流又は該電流の相関値であって、交流成分を含む電流パラメータを取得し、
    取得した前記電流パラメータが閾値を超えたか否かを判定し、
    前記電流パラメータが閾値を超えたと判定した場合、前記直流電源に流れる電流の周波数が、前記直流電源及び前記コンデンサを接続する配線のインダクタンスと、前記コンデンサの静電容量とで定められる共振周波数よりも高いか低いかを判定し、
    前記直流電源に流れる電流の周波数が前記共振周波数よりも低いと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記直流電源に流れる電流の周波数を低くし、
    前記直流電源に流れる電流の周波数が前記共振周波数よりも高いと判定した場合、前記電流パラメータの振幅が小さくなるように、前記直流電源に流れる電流の周波数を高くする請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  15. 前記制御システムは、駆動輪(11a,11b)が回転駆動されることにより走行する車両(10)に適用され、
    前記各回転電機は、前記各駆動輪に対応して個別に設けられ、
    前記各駆動輪のうち前記車両の左右の操舵輪(11a,11b)の操舵角が大きいほど、前記操舵輪に対応して設けられる各回転電機のトルク差及び回転速度差が増大する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  16. スイッチング操作により直流電源の直流電力を交流電力に変換して出力する複数の電力変換回路(22a,22b)と、
    前記各電力変換回路に対応して設けられ、前記電力変換回路から出力された交流電力が供給される回転電機(21a,21b)と、
    前記直流電源に並列接続されてかつ前記各電力変換回路の入力側に設けられ、前記各電力変換回路に共通のコンデンサ(23)と、
    コンピュータ(33a)と、を備える制御システムに適用されるプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    前記各回転電機への電圧ベクトルの出力態様を調整する処理と、
    調整された前記電圧ベクトルを出力すべく、前記各電力変換回路のスイッチング操作を行う処理と、を実行させるプログラム。
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