JP2023035091A - 光重合性コーティング組成物および加飾フィルム - Google Patents

光重合性コーティング組成物および加飾フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 各種成型品の加飾に使用した場合に、耐摩耗性、日焼け止め耐性に優れた性能を得ることができる加飾フィルム及び加飾フィルムを製造できる光重合性コーティング組成物を提供すること。【解決手段】(A):2官能以上4官能以下で重量平均分子量が1000以上5000以下であるウレタン(メタ)アクリレート;(B):ポリテトラメチレングリコールにジイソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートまたはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート;(C):無機ナノフィラー:及び(D):光重合開始剤を含有する光重合性コーティング組成物による。【選択図】 なし

Description

本発明は、光重合性コーティング組成物および加飾フィルムに関する。
プラスチック、金属その他の各種材料から得られた成形品において、表面に意匠性を付与したり、表面を保護したりする目的で、成形品の表面に所定のハードコート剤を用いた加飾が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、ハードコート剤の性状に起因して、射出成形前に加飾シートを硬化させているなどの理由により、一定の表面物性は得られても、優れた成形性が得られないという問題があった。
また、上記の表面物性を得つつ、深絞り形状への転写を向上させることを目的として、電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を有する転写シートを金型内で真空・圧空成形してから、電離放射線を照射し、保護層を硬化させてから射出成形を行い、樹脂成形品を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この製造方法でも、より厳しい表面物性や成形性に対する要請に十分に対応できず、さらなる改良が必要である。このように、高硬度性および耐スクラッチ性と成形性とは相反する性能であり、これらの相反する性能を高いレベルで確保することが求められている。
さらに自動車内外装品の品質低下をもたらす要因として風雨や虫など自然界の刺激に加え、使用者の接触による汚れへの対応も必要となっている。ハンドクリームや日焼け止めクリームのようなスキンケア製品が自動車内外装品表面に付着することで、自動車内外装部品の品質低下がもたらされることが特に問題となっており、その対応が検討されている(例えば、特許文献3,4参照。)。しかしながら、これらの製品では、スキンケア製品の付着による表面の劣化を防ぐことは不十分であった。
特開2006-249322号公報 特開2012-041480号公報 特開2010-018720号公報 特開2009-235236号公報
このようなことから、本発明は、上述した課題を解決し、各種成型品の加飾に使用した場合に、耐摩耗性、日焼け止め耐性に優れた性能を得ることができる加飾フィルム及び加飾フィルムを製造できる光重合性コーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1](A):2官能以上4官能以下で重量平均分子量が1000以上5000以下であるウレタン(メタ)アクリレート;
(B):ポリテトラメチレングリコールにジイソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートまたはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート;
(C):無機ナノフィラー:及び
(D):光重合開始剤
を含有する光重合性コーティング組成物。
[2]前記(B)が、下記式(1)で表される構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートである前記[1]に記載の光重合性コーティング組成物。

Figure 2023035091000001

(式(1)において、Yは独立して下記式(1-1)~(1-4)のいずれかで表される基であり、Yは独立して水素またはメチルであり、nは1~50の整数であり、mは1~30の整数である。)

Figure 2023035091000002
[3](E):ポリオルガノシロキサン骨格を有し、その一端または両端に光重合性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する光重合性シリコーン化合物;及び
(F):フッ素含有光重合性アクリル化合物
からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む前記[1]または[2]に記載の光重合性コーティング組成物。
[4]前記(A)と前記(B)の重量比が95/5~65/35であり、かつ前記(A)および前記(B)の合計量と前記(C)の重量比が95/5~65/35である前記[1]~[3]のいずれかに記載の光重合性コーティング組成物。
[5]前記(B)の重量平均分子量が1000~20000である前記[1]~[4]のいずれかに記載の光重合性コーティング組成物。
[6]前記(C)が、シリカ、アルミナ、およびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、1nm以上100nm以下の平均粒径である前記[1]~[5]のいずれかに記載の光重合性コーティング組成物。
[7]前記(F)がフルオロシルセスキオキサン誘導体に由来する下記式(2)で表される構造単位を有する光重合性アクリル系化合物を含む[3]~[6]のいずれかに記載の光重合性コーティング組成物。
Figure 2023035091000003
(式(2)において、R ~R は、それぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1~20の直鎖状もしくは炭素数3~20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6~20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7~20のフルオロアリールアルキルであり、Aは、下記式(2-1)または式(2-2)で表される基である。)
Figure 2023035091000004
(式(2-1)において、Yは炭素数2~10のアルキレンであり、Rは水素、炭素数1~5の直鎖状もしくは炭素数3~5の分岐鎖状のアルキル、または炭素数6~10のアリールである。)
Figure 2023035091000005
(式(2-2)において、Yは単結合または炭素数1~10のアルキレンである。)
[8]前記[1]~[7]のいずれかに記載の光重合性コーティング組成物を硬化して得られる硬化物からなるコート層を備える加飾フィルム。
本発明の加飾フィルムは、耐摩耗性、日焼け止め耐性に優れた性能を有している。また、本発明の光重合性コーティング組成物は、加飾フィルムの表面保護層であるコート層に用いることで、耐摩耗性、日焼け止め耐性に優れた性能の加飾フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光重合性コーティング組成物は、下記(A)~(D)を含有する。
(A):2官能以上4官能以下で重量平均分子量が1000以上5000以下であるウレタン(メタ)アクリレート
(B):ポリテトラメチレングリコールにジイソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレート、もしくはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート
(C):無機ナノフィラー
(D):光重合開始剤
本発明の光重合性コーティング組成物は、下記(E)、および(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでもよい。
(E):ポリオルガノシロキサン骨格を有し、その一端または両端に光重合性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する光重合性シリコーン化合物
(F):フッ素含有光重合性アクリル化合物
本発明の光重合性コーティング組成物において、(A)と(B)の重量比は、95/5~65/35であり、好ましくは90/10~70/30である。(A)と(B)の重量比が、この範囲内であれば、成形性及び日焼け止め耐性に優れたコート層が得られるため好ましい。
また、(A)および(B)の合計量と(C)の重量比は、95/5~65/35でり、好ましくは90/10~70/30であり、さらに好ましくは90/10~80/20である。
(A)および(B)の合計量と(C)の重量比が、この範囲内であれば、耐摩耗性、日焼け止め耐性に優れたコート層が得られるため、好ましい。
本発明において、(A)である2官能以上4官能以下で重量平均分子量が1000以上5000以下であるウレタン(メタ)アクリレートは、両末端に反応性の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー状の化合物であり、例えば、イソシアネート化合物、ポリオール、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートの反応によって得ることができる。
本発明に用いられる(A)としては、紫外線硬化型ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく利用できる。
イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族イソシアネート化合物、および脂環族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種である。ポリオールとしては、例えば、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオール、およびポリカーボネート系ポリオールから選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族イソシアネ-ト化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシレンシジイソシアネートが挙げられる。
エステル系ポリオールとしては、例えば、ジオール類とジカルボン酸とを反応させてなるエステル化合物が挙げられる。上記ジオール類としては、例えば、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオールが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、セバチン酸、アジピン酸、ダイマー酸、琥珀酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シトラコン酸が挙げられ、それらの無水物であってもよい。
エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコールが挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリプロヒピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレン変成ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、カーボネート誘導体とジオール類との反応生成物が挙げられる。カーボネート誘導体としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアリルカーボネートが挙げられる。また、ジオール類としては、上述の化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネートが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエステルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリカーボネートモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
このようなウレタン(メタ)アクリレートの製造においては、以下の反応により生産することができる。
イソシアネート化合物、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを一括仕込みにより反応させることができる。
あるいは、水酸基を有する(メタ)アクリレートとこれらイソシアネート化合物とを反応させ、一旦、イソシアネート基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存イソシアネート基とポリオール化合物と反応させることもできる。
あるいは、イソシアネート基を有する(メタ)アクリルレートとポリオールとを反応させ、一旦、水酸基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存水酸基とイソシアネート化合物を反応させることもできる。
あるいは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させ、一旦、イソシアネート基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存イソシアネート基と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物と反応させることができる。
あるいは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させ、一旦、水酸基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存水酸基とイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物と反応させることができる。
これらの手法で製造されたウレタン(メタ)アクリレートは、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖またはポリカーボネート鎖のいずれか1種以上を有し、かつ、ウレタン結合、ビウレット結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合またはアダクト構造のいずれか1種以上を有する。
このようにして製造されたウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は 1000以上5000以下であり、かつ官能基数が2官能以上4官能以下であることが日焼け止め耐性を付与する観点から好ましい
本発明では、(A)として、市販品である大成ファインケミカル社製8UX-116Aなどを使用することができる。
本発明において、(B)である、ポリテトラメチレングリコールにジイソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレート、もしくはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレートは、両末端に反応性の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー状の化合物である。
本発明で用いられる(B)としては、紫外線硬化型ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく利用できる。下記式(1)で表される構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートであることが加熱成形性を付与する観点からより好ましい。

Figure 2023035091000006
(式(1)において、Yは独立して下記式(1-1)~(1-4)のいずれかで表される基であり、Yは独立して水素またはメチルであり、nは1~50の整数であり、mは1~30の整数である。)

Figure 2023035091000007
ポリテトラメチレングリコールとしては、三菱ケミカル社製PTMG225,PTMG650,PTMG1000,PTMG2000,PTMG3000などが挙げられる。
ジイソシアネートである、脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートである、脂環族イソシアネ-ト化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシレンシジイソシアネートが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエステルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリカーボネートモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネートが挙げられる。
このようなウレタンアクリレートの製造においては、その必須構成成分であるポリテトラメチレングリコール、ジイソシアネート、水酸基を有する(メタ)アクリレートを一括仕込みにより反応させることができる。
またあるいは、イソシアネート化合物とポリテトラメチレングリコールとを反応させ、一旦、イソシアネート基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存イソシアネート基と水酸基を有する(メタ)アクリレートと反応させることができる。
あるいは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させ、一旦、水酸基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存水酸基とイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと反応させることができる。
このようにして製造されたウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は 1000以上20000以下であることが加熱成形性を付与する点から好ましい。
本発明では、(B)として、市販品である、亜細亜化学社製のSUA017,SUA023、SUA030などを使用することができる。
本発明において、(C)である無機ナノフィラーは、1~100nmの平均粒径であることが好ましく、25~75nmの平均粒径であることがより好ましく、30~50nmであることが特に好ましい。無機ナノフィラーを添加することで耐摩耗性が向上し、100nm以下であれば、透明性が低下せず、外見を損なうことがない。具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、およびジルコニウムを使用することができる。このような無機フィラーとしては日産化学社製「MEK-ST」、「MEK-ST-L」、「MEK-ST-40」、「MEK-ST-ZL」、「MEK-ST-UP」、「IPA-ST」、「IPA-ST-L」、「IPA-ST-UP」、ビッグケミー社製「BYK-3601」、「BYK-3602」、「BYK-3610」、「BYK-3611」、御国色素社製「MHIシリーズFM-215M」などが挙げられる。
本発明において、(D)である光重合開始剤としては、活性エネルギー線でラジカルを発生する開始剤(活性エネルギー線重合開始剤)であればよく、特に限定しない。例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤等を挙げることができる。
光重合開始剤として用いられる化合物としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-4′-イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′-トリ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-(4′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4′-ペンチルオキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-[p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)]-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(2′-クロロフェニル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(4′-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3,3′-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、2-(o-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、3-(2-メチル-2-ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6-ビス(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-n-ドデシルカルバゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′-ジ(メトキシカルボニル)-4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′-ジ(メトキシカルボニル)-4,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′-ジ(メトキシカルボニル)-3,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ―2―メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、およびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
光重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂の総量(100質量部)に対して0.01~20質量部であることが好ましい。より好ましくは、1~10質量部である。
本発明において、(E)である、ポリオルガノシロキサン骨格を有し、その一端または両端に光重合性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する光重合性シリコーン化合物は、反応性シリコーンオイル、ポリシロキサン系マクロモノマーとも称される、シリコーン化合物群である。これらは高分子合成分野において、ブロック共重合体やグラフト共重合体の原料として、また成形用樹脂の改質材、塗料の改質剤として用いられている。(E)は、本発明の光重合性コーティング組成物の表面平滑性を向上させる。
このような(E)としては、末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物が好ましく、末端に(メタ)アクリル基を有するポリジメチルシロキサンマクロモノマーがさらに好ましい。このような(E)としては、例えば、「サイラプレーンFM-7711」、「サイラプレーンFM-7721」、「サイラプレーンFM-0711」、「サイラプレーンFM-0721」、「XP1457、下記式(3)」(JNC社製)を用いることができる。
Figure 2023035091000008
本発明の光重合性コーティング組成物は、コート層である表面保護層に顕著な防汚性と撥水性を付与するために、(F)である、フッ素含有光重合性アクリル化合物をさらに含有することが好ましい。このようなフッ素含有光重合性アクリル化合物としては、例えば、東振化学社製「LE-600」、大阪有機化学工業社製「ビスコート8FM」、DIC社製「メガファックRS」、関東電化工業社製「エフクリア(登録商標)」を使用することができる。
(F)は、下記式(2)で表されるフルオロシルセスキオキサン誘導体(以下、フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)と略記することがある。)に由来する構造単位を有する光重合性アクリル系化合物であることが好ましい。
Figure 2023035091000009
式(2)において、R ~R は、それぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1~20の直鎖状もしくは炭素数3~20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6~20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7~20のフルオロアリールアルキルであり、Aは、下記式(2-1)または式(2-2)で表される基である。
具体的には、式(2)におけるR ~R はそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルであることが好ましく、式(2)におけるR ~R はそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルであることがより好ましい。

Figure 2023035091000010
式(2-1)において、Yは炭素数2~10のアルキレンであり、好ましくは炭素数2~6のアルキレンであり、Rは水素、炭素数1~5の直鎖状もしくは炭素数3~5の分岐鎖状のアルキル、または炭素数6~10のアリールであり、好ましくは水素または炭素数1~3のアルキルである。
Figure 2023035091000011
式(2-2)において、Yは単結合または炭素数1~10のアルキレンである。
前記フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)は、以下の方法により製造される。まず、下記式(4)で表される3官能の加水分解性基を有するケイ素化合物(4)をアルカリ金属水酸化物の存在下、含酸素有機溶剤中で加水分解し重縮合させることにより、下記式(5)で表される化合物(5)を製造する。
Figure 2023035091000012
Figure 2023035091000013
式(5)中、Mはアルカリ金属であれば特に限定されない。このようなアルカリ金属として例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムが挙げられる。
式(4)、(5)におけるRは、それぞれ独立して、上記式(2)のR ~R から選ばれる1つの基に一致し、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数1~20の直鎖状もしくは炭素数2~20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた炭素数6~20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた炭素数7~20のフルオロアリールアルキルを示し、式(4)におけるXは、加水分解性基である。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
好ましくは、式(4)、(5)におけるRは、それぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルである。
より好ましくは、式(4)におけるRはそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルである。
次に、前記化合物(5)に、式(6)で表される化合物(6)を反応させることによって、フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)が得られる。
Figure 2023035091000014
式(6)における基Xは、上記式(2-1)または式(2-2)で表される基である。
このようなフルオロシルセスキオキサン誘導体(2)の中でも、以下の式(2-3)で表されるγ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサンが好ましい。
Figure 2023035091000015

式(2-3)において、Fは-CHCHCFである。
γ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサンなどのフルオロシルセスキオキサン誘導体(2)を、積層フィルムのコート層として導入すると、コート層の防汚機能を一層向上することができる。フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)を、ウレタン単位を有さずフッ素原子を含有する光重合性アクリル系化合物類に含有させる際は、これを直接他のウレタン単位を有さずフッ素原子を含有する光重合性アクリル系化合物類に混合してもよいし、これとウレタン単位を有さない光重合性アクリル系化合物類とをあらかじめ架橋及び/又は重合して製造したオリゴマーを、他のウレタン単位を有さずフッ素原子を含有する光重合性アクリル系化合物類に混合してもよい。
一般的には、フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)と単官能アクリレート、二官能アクリレート、多官能アクリレートから選ばれる1種以上のアクリレート系共重合成分とを共重合してフルオロシルセスキオキサン誘導体(2)単位を有する重合体を予め製造し、この重合体を、フッ素原子を含有する光重合性アクリル系化合物類の一部として用いる。この場合、フルオロシルセスキオキサン誘導体(2)単位を含む重合体が上記ウレタンアクリレート100重量部に対して0.01~10重量部、好ましくは0.05~5重量部の割合となるように配合する。
上述の1種以上のアクリレート系共重合成分としては、一般に光硬化性アクリルモノマーと称される化合物、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルやヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルのような単官能アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの二官能アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートのような3官能以上の多官能アクリレートなど、さらに、これらを重合して得られるオリゴマーを使用することができる。
[光重合性コーティング組成物の利用]
本発明の光重合性コーティング組成物を様々な物品の表面に塗布し、乾燥・UV照射することによって、物品表面に耐摩耗性、日焼け止め耐性を付与する表面保護層を形成することができる。表面保護層を形成することのできる物品は特に制限されないが、特に積層フィルムは、液状の本発明の光重合性コーティング組成物を容易に塗布できる点で有利である。また、積層フィルムの中でも、熱成形性が求められる加飾フィルムは特に表面保護層を利用した物品として有用である。
以下、表面保護層を設けた加飾フィルムについて記述する。
[表面保護層]
光重合性コーティング組成物を硬化させるための処理としては、紫外線照射、電子線照射等の硬化処理が挙げられる。なお、塗膜に溶剤を含む場合には、通常、70~200℃の範囲内で数分、塗膜を加熱し、塗膜中に残留している溶剤を除いた後に、硬化処理を行うことが好ましい。紫外線照射による硬化としては、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200~400nmの波長の紫外線を塗膜に短時間(数秒~数十秒の範囲内)照射すればよい。また、電子線照射による硬化としては、300keV以下の自己遮蔽型の低エネルギー電子加速器から低エネルギー電子線を塗布液に照射すればよい。
コート層の厚みは、一般的には1~100μmが利用されており、好ましくは2~50μmであり、より好ましくは3~30μmである。
[基材層]
基材フィルムとしては、熱可塑性樹脂で形成されたフィルムを用いることが望ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を挙げられ、1種または複数の種類が積層されたものを使用することができる。特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。これらの基材フィルムにおいても複数種類が積層されたものを使用することができ、ポリカーボネート系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂を共押し出ししたPMMA/PC2層フィルムなども用いることができる。
基材フィルムの膜厚は特に制限するものではないが、本発明を積層体として用いる場合には、基材フィルムの膜厚は好ましくは25~1000μmであり、より好ましくは100~400μmである。基材フィルムの膜厚が25μm以上であると基材の機械的強度が充分であり、基材上に層を形成することが可能になる。また、膜厚が1000μm以下であると、積層体の厚みが厚くなりすぎることがない。
[加飾フィルムの製造]
本発明の加飾フィルムの製造方法は、基材層に表面保護層を塗布し、上述の方法で硬化して得られる。塗布する方法としては、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ホットメルトコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
本発明の加飾フィルムは、プラスチック、金属その他の各種材料から得られた成形品の表面に意匠性を付与する目的や、表面を保護する目的で使用することができる。上述の積層フィルムのような基材層に表面保護層を塗布したものを使用してもよいし、更に印刷層を設けることで意匠性を付与してもよい。印刷層とは金属調、文字、絵、模様等の様々な装飾を含む意である。前記基材層の表面保護層が形成された反対側の面側に設けることができる。このような加飾フィルムは例えば、加飾フィルムをフィルムインサート成形、ラミネートインジェクションプレス成形、フィルムインモールド成形、TOM成形、真空成形などに使用することができる。
[成分(F)の例である、γ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサン単位を含む重合体の製造]
まず以下の手順でγ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサンを合成した。還流冷却器、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの4つ口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(100g)、THF(500mL)、脱イオン水(10.5g)および水酸化ナトリウム(7.9g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら、室温からTHFが還流する温度までオイルバスにより加熱した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、フラスコをオイルバスから引き上げ、室温で1晩静置した後、再度オイルバスにセットし固体が析出するまで定圧下で加熱濃縮した。
析出した生成物を、孔径0.5μmのメンブレンフィルターを備えた加圧濾過器を用いて濾取した。次いで、得られた固形物をTHFで1回洗浄し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、74gの無色粉末状の固形物を得た。
還流冷却器、温度計及び滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの4つ口フラスコに、得られた固形物(65g)、ジクロロメタン(491g)、トリエチルアミン(8.1g)を仕込み、氷浴で3℃まで冷却した。次いでγ-メタクリロキシプロピルトリクロロシラン(21.2g)を添加し、発熱が収まったことを確認して氷浴から引き上げ、そのまま室温で一晩熟成した。イオン交換水で3回水洗した後、ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過により硫酸マグネシウムを除去した。ロータリーエバポレータで粘調な固体が析出するまで濃縮し、メタノール260gを加えて粉末状になるまで攪拌した。5μmの濾紙を備えた加圧濾過器を用いて粉体を濾過し、減圧乾燥器にて65℃、3時間乾燥を行い、41.5gの無色粉末状固体を得た。得られた個体のGPC、H-NMR測定を行い、γ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサン{式(2-3)}の生成を確認した。
Figure 2023035091000016
式(2-3)において、Fは-CHCHCFである。
次に、以下の手順でγ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサン単位を含む重合体を合成した。
還流器、滴下漏斗を取り付けた窒素シールされた4口丸底フラスコ中に上記化合物5(25g)、サイラプレーンFM0721(6.3g、JNC(株)製)、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル(18.8g)、メタクリル酸メチル(12.5g)、メチルエチルケトン(62g)を加え、オイルバスを用い15分還流・脱気させた後、アゾビスイソブチロニトリル(0.48g)、メルカプト酢酸(0.054g)をメチルエチルケトン(4.8g)に溶解させた溶液を投入し、重合を開始させた。重合開始3時間後にアゾビスイソブチロニトリル(0.48g)をメチルエチルケトン(4.3g)に溶解させ添加し、5時間熟成させ得られた共重合体の溶液を得た。さらに重合禁止剤としてパラメトキシフェノール(0.16g)、ジラウリル酸ジブチルスズ(0.15g、昭和電工(株)製)をメチルエチルケトン(1.5g)に溶解させ添加した後、カレンズAOI(26.4g)を液温35℃から50℃となるように滴下漏斗を用いて滴下し、滴下後3時間45℃で熟成させた。
その後メタノール(9g)を添加し処理した後、さらにパラメトキシフェノール(0.16g)を加え、これをメチルイソブチルケトン(107.3g)で希釈することで目的とする重合体(A-1)の30重量%溶液を得た。
得られた重合体(A-1)は、重量平均分子量:Mw42,000、多分散指数:Mw/Mn1.9であった。重量平均分子量、多分散指数は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、型番:アライアンス2695、ウォーターズ社製、カラム:Shodex GPC KF-804L×2本(直列)、ガードカラム:KF-G)を用いて測定した。GPC分析により、得られた重合体(A-1)はγ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサン単位を含み、側鎖にアクリロイル基を有する重合体であることを確認した。
[光重合性ウレタンアクリレート組成物の調整]
下記成分を表1に示すように選択し、各成分を表1に示す重量比で混合した。希釈剤として、三菱ガス化学社製「2-ヒドロキシイソ酪酸メチル」を用い、25重量%の濃度を含む塗工液に希釈した。また、表に示した重量比は全て固形質量である。
(A):大成ファインケミカル社製光重合性ウレタン(メタ)アクリレートポリマー「8UX-116A」
(B):亜細亜工業社製「SUA-030」
(C):日産化学社製シリカフィラー「MEK-ST-L」
(D):IGM Resins社製「Omnirad127D」
(E):JNC社製「FM-7711」
(F):DIC社製「RS-75A」,JNC社製「XUA-008」(上述の方法で製造した重合体(A-1)である。γ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサン単位を含み、側鎖にアクリロイル基を有する重合体)
[加飾フィルムの製造]
300μm厚みのPMMA/PC2層フィルム(ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー社製PMMA/PC2層フィルム「AW-10FSU」)のPMMA面に、上述のそれぞれの塗工液をR.D.S.Webster社製ワイヤーバーコーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、アイグラフィックス株式会社製 8kW×1灯用 紫外線硬化用コンベア装置 ESC-801G1型を用いて、積算光量:1000mJ/cmで光重合性コーティング液を硬化させた。こうしてPMMA/PC2層フィルムの片面上に厚み3μmの光重合性ウレタン(メタ)アクリレート組成物の硬化物からなる表面保護層(コート層)が形成された加飾フィルムが得られた。
[加飾フィルムの評価]
上記の加飾フィルムを以下の観点・方法で評価し、その結果を表1に示す。
(1)日焼け止めクリーム耐性
得られた加飾フィルムから切り取った50mm×50mmのテスト片の表面保護層上に市販の日焼け止めクリーム(Neutrogena ULTRA SHEER SUNSCREEN SPF45)を2.0g/100cmの量で均一厚みに塗布した。日焼け止めクリームが付着した面に白布を2枚、さらにアルミ板を重ねた。この状態で加飾フィルムを含むテスト物全体を80℃の恒温槽中で4時間静置加熱した。加熱後、アルミニウム板、白布を取り除いた後、中性洗剤で表面保護層に付着した日焼け止めを除去した。日焼け止めクリームが除去された加飾フィルムの状態を以下の基準で判定した。
◎:日焼け止めクリーム塗布前の状態と同じで変質や変形が観察されない
〇:日焼け止めクリームの跡や溶解痕が塗布面の一部に観察される
×;日焼け止めクリームの跡や溶解痕が塗布面の全面に観察される
(2)日焼け止めクリーム耐性試験後密着性
上記の日焼け止めクリーム耐性試験を行った塗膜表面に対して、JIS K5600-6に従って加飾フィルムの1mm間隔でのクロスカット試験を行った。クロスカットで形成された格子の状態を目視観察し、加飾フィルムの表面保護層とPMMA/PC基材の密着状態を以下の基準で判定した。
◎:格子内に剥離が見られず、基材と良好に密着している
〇:格子内に一部剥離がみられる。
×;格子内全面に剥離がみられる。
(3)耐擦傷性
得られた加飾フィルムから切り取った120mm×50mmのテスト片のヘイズ(H)を日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH-5000SP型を用いて測定した。ヘイズHを測定したテスト片を(株)井元製作所社製IMC-1557型耐摩耗試験器Cに設置し、そのコート層を磨耗処理した。摩耗条件は#0000のスチールウールを使用し、荷重400g、15往復とした。摩耗処理後のテスト片のヘイズ(H)を摩耗処理前のヘイズHの測定と同じ方法で測定した。HとHの値から下記式に示す透明性変化度(ΔH)を求めた。ΔHが小さいほどより高い耐擦傷性を示す。
ΔH=|H-H
ΔHが20%以下であることが実用上好ましい。
(4)加熱成形性
島津製作所社製引張試験機AGS-Xを用いて、恒温槽内での引張試験を実施した。得られた加飾フィルムからダンベル状試験片(JIS-K7113規定の2号試験片、平行部分の幅6±0.4mm、並行部分の長さ33±2mm、標線間距離25±1mm)を切り出した。次に、得られたダンベル状試験片を上記引張試験機にチャック間距離80mmで装着し、120℃の恒温槽内で3分保持した。その後、引張速さ50mm/minで試験を行い、試験片にクラックが発生した際の標線間距離(L)と、初期の標線間距離(25mm)との差を測定した。下記の式より加熱時伸長度ΔLを計算した。ΔLが大きいほど高い成形性を示す。
ΔL(%)=(L-25)/25 ×100
ΔLが70%以上であることが実用上好ましい。
(5)表面硬度
JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度測定により表面保護層の硬度を測定した。実用上H以上が好ましい。
Figure 2023035091000017
表1に示すように、本発明の光重合性コーティング組成物を用いてコート層を形成した積層フィルムでは、日焼け止め耐性・摩耗性・加熱成形性に優れた塗膜が形成された。
一方で、(C)を含まない比較例1は耐摩耗性が不十分であり、(B)及び(C)を含まない比較例2は耐摩耗性及び加熱成形性が不十分である結果となった。
本発明の光重合性コーティング組成物は、耐摩耗性、成形性、日焼け止めクリーム耐性、表面硬度、密着性をバランスよく備える。このような本発明の光重合性コーティング組成物は高い機能性とデザイン性が求められる自動車内外装部品、例えばインストルメントパネル、エンブレム、ラジエータグリル、各種ガーニッシュなどの表面保護層として有用である。本発明により近年のより高度化した要求に耐え得る自動車内外装部品を製造することができると期待される。

Claims (8)

  1. (A):2官能以上4官能以下で重量平均分子量が1000以上5000以下であるウレタン(メタ)アクリレート;
    (B):ポリテトラメチレングリコールにジイソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートまたはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたウレタン(メタ)アクリレート;
    (C):無機ナノフィラー;及び
    (D):光重合開始剤
    を含有する光重合性コーティング組成物。
  2. 前記(B)が、下記式(1)で表される構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートである請求項1に記載の光重合性コーティング組成物。

    Figure 2023035091000018

    (式(1)において、Yは独立して下記式(1-1)~(1-4)のいずれかで表される基であり、Yは独立して水素またはメチルであり、nは1~50の整数であり、mは1~30の整数である。)

    Figure 2023035091000019
  3. (E):ポリオルガノシロキサン骨格を有し、その一端または両端に光重合性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する光重合性シリコーン化合物;および
    (F):フッ素含有光重合性アクリル化合物
    からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1または2に記載の光重合性コーティング組成物。
  4. 前記(A)と前記(B)の重量比が95/5~65/35であり、かつ前記(A)および前記(B)の合計量と前記(C)の重量比が95/5~65/35である請求項1~3のいずれか1項に記載の光重合性コーティング組成物。
  5. 前記(B)の重量平均分子量が1000~20000である請求項1~4のいずれか1項に記載の光重合性コーティング組成物。
  6. 前記(C)が、シリカ、アルミナ、およびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、1nm以上100nm以下の平均粒径である請求項1~5のいずれか1項に記載の光重合性コーティング組成物。
  7. 前記(F)がフルオロシルセスキオキサン誘導体に由来する下記式(2)で表される構造単位を有する光重合性アクリル系化合物を含む請求項3~6のいずれか1項に記載の光重合性コーティング組成物。
    Figure 2023035091000020
    (式(2)において、R ~R は、それぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数1~20の直鎖状もしくは炭素数3~20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた炭素数6~20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた炭素数7~20のフルオロアリールアルキルであり、Aは、下記式(2-1)または式(2-2)で表される基である。)
    Figure 2023035091000021
    (式(2-1)において、Yは炭素数2~10のアルキレンであり、Rは水素、炭素数1~5の直鎖状もしくは炭素数3~5の分岐鎖状のアルキル、または炭素数6~10のアリールである。)
    Figure 2023035091000022
    (式(2-2)において、Yは単結合または炭素数1~10のアルキレンである。)
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の光重合性コーティング組成物を硬化して得られる硬化物からなるコート層を備える加飾フィルム。
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