JP2023031733A - 感光性組成物、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法、転写フィルム - Google Patents

感光性組成物、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法、転写フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 比誘電率が低いパターンを形成できる感光性組成物、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法及び転写フィルムの提供。【解決手段】 カルボキシ基を有するポリマーを含む感光性組成物であって、所定の要件を満たす、感光性組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性組成物、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法及び転写フィルムに関する。
静電容量型入力装置等のタッチパネルを備えた表示装置(例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置等)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線等の導電パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的に、パターン化した層(以下、単に「パターン」ともいう。)の形成には感光性組成物が使用されている。目的のパターン形状を少ない工程で得られることから、仮支持体と、感光性組成物を用いて形成される感光性層とを有する転写フィルムを用いる方法が広く使用されている。転写フィルムを用いてパターンを形成する方法としては、転写フィルムから任意の基材上に転写された感光性層に対し、所定のパターン形状を有するマスクを介して露光及び現像を実施する方法が挙げられる。上記方法により任意の基材上に形成されたパターンの用途としては、例えば、エッチングレジスト膜、導電パターンを保護する保護膜(具体的には、上述したタッチパネル内部に設けられた導電パターンを保護する保護膜(永久膜))としての用途が挙げられる。
感光性組成物及び転写フィルムとして、例えば、特許文献1では、「基材上に、酸価が75mgKOH/g以上のカルボキシル基を有するバインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物」及び「支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられた上記感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備えた感光性エレメント」が開示されている。
国際公開第2013/084886号
ところで、感光性組成物には、比誘電率が低いパターンを形成できることが求められている。
本発明者らは、特許文献1に記載されるような感光性組成物を用いてパターンを形成したところ、得られるパターンの比誘電率が昨今の要求を満たしていないことを知見した。
そこで、本発明は、比誘電率が低いパターンを形成できる感光性組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法及び転写フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
(1) カルボキシ基を有するポリマーを含む感光性組成物であって、
後述する要件1及び後述する要件2の少なくとも一方を満たす、感光性組成物。
(2) 後述する要件A1を満たす、(1)に記載の感光性組成物。
(3) ポリマーが、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を有する、(1)又は(2)に記載の感光性組成物。
(4) ポリマーが、重合性基を有する繰り返し単位を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の感光性組成物。
(5) 更に、塩基性化合物を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の感光性組成物。
(6) 更に、重合性化合物を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の感光性組成物。
(7) 更に、光重合開始剤を含む、(1)~(6)のいずれかに記載の感光性組成物。
(8) 光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びアミノアセトフェノン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(7)に記載の感光性組成物。
(9) 仮支持体と、(1)~(8)のいずれかに記載の感光性組成物を用いて形成された感光性層と、を有する転写フィルム。
(10) 基材上に、(1)~(8)のいずれかに記載の感光性組成物または(9)に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
(11) 導電層を有する基板上に、(1)~(8)のいずれかに記載の感光性組成物または(9)に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、
パターンが配置されていない領域における導電層に、エッチングする工程、又は、めっきする工程と、
パターンを剥離する工程と、
更に、めっきする工程を有する場合、パターンを剥離する工程によって露出した導電層を除去し、基板上に配線パターンを形成する工程と、をこの順に含む、回路配線の製造方法。
(12) 導電層を有する基板上に、(1)~(8)のいずれかに記載の感光性組成物または(9)に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程と、をこの順に含む、タッチパネルの製造方法。
本発明によれば、比誘電率が低いパターンを形成できる感光性組成物を提供できる。
また、本発明によれば、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法及び転写フィルムを提供できる。
実施形態に係る転写フィルムの層構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本明細書において、「透明」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。例えば、「透明樹脂層」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が80%以上である樹脂層を指す。
また、可視光の平均透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所株式会社製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
本明細書において、「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、g線、h線及びi線等の水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線並びに電子線(EB)を意味する。また、本発明において、「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書において、「露光」とは、特段の断りがない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光、並びに、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む概念である。
本明細書において、特段の断りがない限り、ポリマーの各構造単位の含有比率はモル比である。
また、本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターによって測定される値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある場合の分子量は、重量平均分子量である。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求められる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
また、「(イソ)キノリニウム」は、キノリニウム及びイソキノリニウムの両方を包含する概念である。
本明細書において、特段の断りがない限り、層の厚み(膜厚)は、膜厚が0.5μm以上である場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定される平均厚みである。また、膜厚が0.5μm未満である場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定される平均厚みである。上記平均厚みは、ウルトラミクロトームを用いて測定対象の切片を作製し、任意の5点の厚みを測定して算術平均した値である。
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、カルボキシ基を有するポリマー(以下、「ポリマーA」ともいう。)を含む感光性組成物であって、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす。
要件1:感光性組成物が、要件A1、要件B1、要件C1及び要件D1からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
要件A1:感光性組成物が、無置換又はハメット則のσp値が0以下の置換基を有する炭素数10以上の芳香族炭化水素構造を有する化合物A11、及び、ハメット則のσp値が0超の置換基を有する芳香族炭化水素構造を有する化合物A12を含む。
要件B1:感光性組成物が、芳香族イミド構造を有する化合物を含む。
要件C1:感光性組成物が、アクリジニウム構造を有する化合物及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
要件D1:感光性組成物が、イリジウム錯体を含む。
以下、化合物A11及び化合物A12の組み合わせ、芳香族イミド構造を有する化合物、アクリジニウム構造を有する化合物、(イソ)キノリニウム構造を有する化合物、並びに、イリジウム錯体を総称して、「化合物β」ともいう。
要件2:感光性組成物が、要件A2、要件B2、要件C2及び要件D2からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
要件A2:感光性組成物が化合物A11を更に含み、ポリマーAが化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有するか、又は、感光性組成物が化合物A12を更に含み、ポリマーAが化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件B2:ポリマーAが、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件C2:ポリマーAが、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する。
要件D2:ポリマーAが、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
感光性組成物は、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たしていればよく、要件1及び要件2の両方を満たしてもよい。
感光性組成物は、要件1を満たすことが好ましく、要件A1、要件B1及び要件C1からなる群から選択される少なくとも1つを満たすことがより好ましく、要件A1を満たすことが更に好ましい。また、感光性組成物は、要件2を満たすことも好ましく、要件A2、要件B2及び要件C2からなる群から選択される少なくとも1つを満たすことがより好ましく、要件A2を満たすことが更に好ましい。
本発明の感光性組成物の特徴点としては、所定の成分を含む点が挙げられる。
活性光線又は放射線の照射(以下、「露光」ともいう。)によって、上記感光性組成物を用いて形成される感光性層中の上記カルボキシ基の含有量が減少する。言い換えると、上記感光性組成物を用いて形成される感光性層は、露光によって、感光性層中のポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する。なお、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少するとは、カルボキシ基がCOとして脱離することをいい、エステル化等によってカルボキシ基がカルボキシ基以外に変化することは含めない。
上記機構により、上記感光性組成物から形成される感光性層は、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少することで、露光前と比べて、露光後の比誘電率が低下することを確認している。
以下、比誘電率がより低いことを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
以下、化合物βを例に挙げて、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させ得る推定機構を説明する。
上記化合物βは、露光されると電子の受容性が増大し、ポリマーAが有するカルボキシ基から電子を受け渡される。なお、電子を受け渡す際、上記カルボキシ基はアニオンになっていてもよい。
上記アニオンになっていてもよいカルボキシ基が、化合物βに電子を受け渡すと、上記カルボキシ基は不安定化し、二酸化炭素になって脱離する。カルボキシ基が二酸化炭素になって脱離すると、その部分の極性が低下する。つまり、上記作用機構により、感光性層は、露光部でポリマーAのカルボキシ基が脱離することによる極性の変化が生じており、現像液に対する溶解性が変化する(露光部は、アルカリ現像液に対する溶解性が低下し、有機溶剤系現像液に対する溶解性が増大する)。一方で、未露光部において現像液に対する溶解性は、概ね変化していない。その結果、感光性層は、パターンを形成できる。
現像液がアルカリ現像液である場合、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が低減され、比誘電率が低いパターンを形成可能となる。現像液が有機溶剤系現像液である場合、更に、現像後のパターンを露光処理することで、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が低減され、比誘電率が低いパターンを形成可能となる。
要件1を満たす感光性組成物は、上述した化合物βを含む。
化合物βは、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の量を減少させる機能を有する。具体的には、化合物βは、光励起状態において、ポリマーAが有するカルボキシ基から電子を受容できる機能を有する。なお、化合物A11及び化合物A12に関しては、2つの化合物を組み合わせて用いることにより、上記機能が発現する。
また、要件2を満たす感光性組成物は、カルボキシ基、及び、化合物βに由来する基を有するポリマーを含む。なお、要件A2に関しては、化合物A11及び化合物A12のいずれか一方に由来する基(いずれか一方の化合物から水素原子を1つ除いて形成される基)が、化合物βに由来する基に該当する。
感光性組成物は、重合性化合物を含むことも好ましい。
上述のように、上記カルボキシ基が、化合物βに電子が受け渡すと、上記カルボキシ基は不安定化し、二酸化炭素になって脱離する。この際、ポリマーAが有するカルボキシ基が二酸化炭素になって脱離した箇所にはラジカルが生じ、上記ラジカルによって重合性化合物のラジカル重合反応が生起される。その結果、感光性層は、特にアルカリ現像液に対して、より優れたパターン形成能を有し、形成されるパターンは膜強度も優れている。
感光性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを含むことも好ましい。
感光性組成物が光重合開始剤を含む場合、ポリマーAが有するカルボキシ基の脱離反応と、重合反応とを異なるタイミングで生起できる。例えば、感光性層に、まず、カルボキシ基の脱離反応がほとんど生じないような波長又は露光量を用いて第1の露光をし、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を進行させて硬化させてもよい。その後、硬化させられた感光性層に第2の露光をし、カルボキシ基を脱離させてもよい。
感光性組成物から形成される感光性層は、特にアルカリ現像液に対して、より優れたパターン形成能を有する点で、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が5モル%以上の減少率で減少していることが好ましく、10モル%以上の減少率で減少していることがより好ましく、20モル%以上の減少率で減少していることが更に好ましく、30モル%以上の減少率で減少していることがより更に好ましく、40モル%以上の減少率で減少していることが特に好ましく、50モル%以上の減少率で減少していることが最も好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100モル%以下である。
なお、感光性層におけるポリマーAが有するカルボキシ基の含有量の減少率は、例えば、露光前後における感光性層のカルボキシ基の量を測定することで算出できる。露光前の感光性層のカルボキシ基の量の測定に際しては、例えば、電位差滴定により分析定量できる。露光後の感光性層のカルボキシ基の量の測定に際しては、カルボキシ基の水素原子をリチウム等の金属イオンに置換し、この金属イオンの量をICP-OES(Inductivity Coupled Plasma Optical Emission Spectrometer)により分析定量することで算出できる。
また、感光性層におけるポリマーAが有するカルボキシ基の含有量の減少率は、露光前後における感光性層のIR(Infrared)スペクトルを測定し、カルボキシ基に由来するピークの減少率を算出できる。
以下、本発明の感光性組成物の実施形態の一例を示す。
<実施形態Y-1-a1の感光性組成物>
ポリマーAを含み、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、重合性化合物及び光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物。
<実施形態Y-1-a2の感光性組成物>
ポリマーAを含み、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物。
<実施形態Y-1-a3の感光性組成物>
ポリマーAを含み、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性組成物。
実施形態Y-1-a1の感光性組成物において、「感光性組成物が重合性化合物を実質的に含まない」とは、重合性化合物の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、3質量%未満であればよく、0~1質量%であることが好ましく、0~0.1質量%であることがより好ましい。
また、実施形態Y-1-a1及び実施形態Y-1-a2の感光性組成物において、「感光性組成物が光重合開始剤を実質的に含まない」とは、光重合開始剤の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%未満であればよく、0~0.05質量%であることが好ましく、0~0.01質量%であることがより好ましい。
なお、固形分とは、感光性組成物の溶媒を除く、全ての成分を意味する。
実施形態Y-1-a1及び実施形態Y-1-a2の感光性組成物は、後述する実施形態1のパターン形成方法に適用されるのが好ましい。また、実施形態Y-1-a3の感光性組成物は、後述する実施形態2のパターン形成方法に適用されるのが好ましい。
〔要件1〕
以下、要件1を満たす感光性組成物について詳述する。
要件1を満たす感光性組成物は、要件A1、要件B1、要件C1及び要件D1からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
要件A1:感光性組成物が、無置換又はハメット則のσp値が0以下の置換基を有する炭素数10以上の芳香族炭化水素構造を有する化合物A11、及び、ハメット則のσp値が0超の置換基を有する芳香族炭化水素構造を有する化合物A12を含む。
要件B1:感光性組成物が、芳香族イミド構造を有する化合物を含む。
要件C1:感光性組成物が、アクリジニウム構造を有する化合物及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
要件D1:感光性組成物が、イリジウム錯体を含む。
以下、要件1を満たす感光性組成物が含み得る成分について詳述する。
<<<各種成分>>>
<<化合物β>>
要件1を満たす感光性組成物は、化合物βを含む。
<要件A1>
要件A1を満たす感光性組成物は、無置換又はハメット則のσp値が0以下の置換基を有する炭素数10以上の芳香族炭化水素構造を有する化合物A11、及び、ハメット則のσp値が0超の置換基を有する芳香族炭化水素構造を有する化合物A12を含む。
(化合物A11)
化合物A11は、無置換又はハメット則のσp値が0以下の置換基を有する炭素数10以上の芳香族炭化水素構造を有する化合物である。
芳香族炭化水素構造は、単環構造及び多環構造のいずれであってもよい。
多環の芳香族炭化水素構造としては、例えば、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が縮合環を形成する構造、及び、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が非縮合環を形成する構造が挙げられ、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が縮合環を形成する構造が好ましい。
上記非縮合環としては特に制限されないが、単環の芳香族炭化水素構造と単環の芳香族炭化水素構造とが単結合を介して結合して形成される多環の芳香族炭化水素構造(例えば、ビフェニル構造等)が挙げられる。上記のような、単環の芳香族炭化水素構造と単環の芳香族炭化水素構造とが単結合を介して結合する態様は、2つの単環の芳香族炭化水素構造の共役がつながっており、このような態様は全体で芳香族炭化水素構造と判断する。
上記芳香族炭化水素構造の合計環員数は、6~30が好ましく、6~18がより好ましい。
上記芳香族炭化水素構造の合計炭素数は、10以上であり、12以上が好ましい。上限は、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。上記合計炭素数には、ハメット則のσp値が0以下の置換基及びそれ以外の置換基は含まれない。具体的には、4-メチルビフェニルにおいて、芳香族炭化水素構造はビフェニル構造であり、芳香族炭化水素構造の合計炭素数は12である。4-メチルビフェニルにおけるメチル基は、芳香族炭化水素構造ではなく、芳香族炭化水素構造の合計炭素数に含まれない。また、例えば、ジベンジルは2つの単環の芳香族炭化水素構造を含むものの、2つの単環の芳香族炭化水素構造の共役がつながっていないので、芳香族炭化水素構造としては炭素数6となる。
上記芳香族炭化水素構造は、化合物A11の全体を構成する全体構造であってもよく、化合物A11の一部分を構成する部分構造であってもよい。
上記芳香族炭化水素構造が有し得るハメット則のσp値が0以下の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アセトアミノ基、水酸基及びアミノ基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
上記芳香族炭化水素構造が有し得るハメット則のσp値が0以下の置換基の数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
上記置換基のハメット則のσp値は、0以下であり、-0.5~0が好ましく、-0.2~0がより好ましい。
ハメット則のσp値は、Chem.Rev.1991,91,P165-195,Table-1に記載の値を採用できる。
上記芳香族炭化水素構造が複数の上記ハメット則のσp値が0以下の置換基を有する場合、その置換基同士が、互いに結合して環を形成していてもよい。
上記芳香族炭化水素構造は、無置換であることが好ましい。
上記芳香族炭化水素構造としては、例えば、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、ビフェニル構造及びそれらを組み合わせた構造が挙げられ、フェナントレン構造又はビフェニル構造が好ましい。
化合物A11としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式中、Ra11は、ハメット則のσp値が0以下の置換基を表す。na11は、0~5の整数を表す。各式中、Ra11同士及び上記na11同士は、同一又は異なっていてもよい。
Figure 2023031733000002
化合物A11は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
化合物A11の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
化合物A11の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が最も好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、200モル%以下が好ましく、100モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましい。
(化合物A12)
化合物A12は、ハメット則のσp値が0超の置換基を有する芳香族炭化水素構造を有する化合物である。
芳香族炭化水素構造は、単環構造及び多環構造のいずれであってもよい。
多環の芳香族炭化水素構造としては、例えば、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が縮合環を形成する構造、及び、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が非縮合環を形成する構造が挙げられ、芳香族炭化水素構造を構成する芳香族炭化水素環同士が縮合環を形成する構造が好ましい。
上記非縮合環としては特に制限されないが、単環の芳香族炭化水素構造と単環の芳香族炭化水素構造とが単結合を介して結合して形成される多環の芳香族炭化水素構造(例えば、ビフェニル構造等)が挙げられる。
上記芳香族炭化水素構造の合計環員数は、6~30が好ましく、6~18がより好ましい。
上記芳香族炭化水素構造の合計炭素数は、6~30が好ましく、6~12がより好ましい。上記合計炭素数は、上述した化合物A11における芳香族炭化水素構造の合計炭素数と同じ意味である。
上記芳香族炭化水素構造が有するハメット則のσp値が0超の置換基としては、例えば、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、フッ素原子を有するアルキル基、スルファモイル基、スルホニルオキシ基及びスルホニル基が挙げられ、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。
上記芳香族炭化水素構造が有するハメット則のσp値が0超の置換基の数は、2以上が好ましく、2~5がより好ましく、2~3が更に好ましい。
上記置換基のハメット則のσp値は、0超であり、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。上限は、10以下の場合が多い。
ハメット則のσp値は、Chem.Rev.1991,91,P165-195,Table-1に記載の値を採用できる。
上記芳香族炭化水素構造としては、例えば、ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、ビフェニル構造及びそれらを組み合わせた構造が挙げられ、ベンゼン構造又はナフタレン構造が好ましい。
化合物A12としては、式(A1-2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023031733000003
式(A1-2)中、Ra21及びRa22は、それぞれ独立に、ハメット則のσp値が0超の置換基を表す。na2は、0又は1を表す。
ハメット則のσp値が0超の置換基は、上述したとおりである。
na2としては、0が好ましい。
なお、na2が0である場合、式(A1-2)で表される化合物は、ベンゼン構造を有する化合物に該当し、ナフタレン構造を有する化合物には該当しない。na2が1である場合、式(A1-2)で表される化合物は、ベンゼン構造を有する化合物に該当せず、ナフタレン構造を有する化合物には該当する。
化合物A12としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023031733000004
化合物A12は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
化合物A12の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
化合物A12の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が最も好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、200モル%以下が好ましく、100モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましい。
化合物A12の含有量に対する化合物A11の含有量の質量比(化合物A11の含有量/化合物A12の含有量)は、0.5~3.0が好ましく、0.5~1.5がより好ましい。
化合物A12のモル数に対する化合物A11のモル数のモル比(化合物A11のモル数/化合物A12のモル数)は、0.5~3.0が好ましく、0.8~1.2がより好ましい。
<要件B1>
要件B1を満たす感光性組成物は、芳香族イミド構造を有する化合物を含む。
(芳香族イミド構造を有する化合物)
芳香族イミド構造とは、芳香環とイミド環とが縮合して形成される縮合環構造を意味する。
芳香族イミド構造は、単環構造及び多環構造のいずれであってもよい。
上記芳香族イミド構造の合計環員数は、6~30が好ましく、6~18がより好ましい。
芳香族イミド構造の合計炭素数は、6以上が好ましく、8以上がより好ましい。上限は、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。上記合計炭素数には、後述する置換基は含まれない。
上記芳香族イミド構造は、芳香族イミド構造を有する化合物の全体を構成する全体構造であってもよく、芳香族イミド構造を有する化合物の一部分を構成する部分構造であってもよい。
芳香族イミド構造が有するイミド環の数は、1~5が好ましく、1~2がより好ましい。
上記イミド環を構成する窒素原子は、隣接する2つのカルボニル基以外に、置換基を有していてもよく、置換基を有することが好ましい。具体的には、イミド環中の「-C(=O)-NR-C(=O)-」において、Rは水素原子又は置換基を表し、置換基を表すことが好ましい。
上記置換基としては、アルキル基が好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。上記アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~5がより好ましい。上記アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。
芳香族イミド構造が有する芳香環の数は、1~5が好ましく、1~2がより好ましい。
上記芳香環としては、例えば、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましい。
上記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環、トリフェニレン環及びそれらを組み合わせた環が挙げられ、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
上記芳香環は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基が挙げられる。また、上記芳香環が2以上の置換基を有する場合、複数の置換基が互いに結合して非芳香環を形成していてもよい。
芳香族イミド構造としては、例えば、1以上のイミド環及び1以上の芳香環を有する芳香族イミド構造が挙げられ、フタルイミド構造、ナフタルイミド構造又はそれらを組み合わせた構造が好ましく、フタルイミド構造がより好ましい。
芳香族イミド構造を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式中、Rb1は、置換基を表す。nbは、0~3の整数を表す。Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、以下の各化合物は、更に、同一又は異なる以下の化合物と、連結基を介して結合していてもよい(好ましくは、Rb2又はRb3が連結基を介して結合する態様)。
Figure 2023031733000005
芳香族イミド構造を有する化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
芳香族イミド構造を有する化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
芳香族イミド構造を有する化合物は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましく、20モル%以上が最も好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、200モル%以下が好ましく、100モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましい。
<要件C1>
要件C1を満たす感光性組成物は、アクリジニウム構造を有する化合物及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
(アクリジニウム構造を有する化合物)
アクリジニウム構造を有する化合物は、アクリジニウムカチオンとアニオンとを有する化合物である。
アクリジニウムカチオンは、アクリジン中の窒素原子(ピリジン環の環員原子としての窒素原子)にプロトン又は置換基が結合したカチオンである。
上記窒素原子が有し得る置換基としては、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が好ましい。上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3が好ましい。上記アリール基は、単環及び多環のいずれであってもよい。上記アリール基の炭素数は、6~12が好ましい。
アクリジニウムカチオンは、上記窒素原子以外の部分に、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基及びそれらを組み合わせた基(例えば、アルキル基を有するアリール基等)が挙げられる。上記アルキル基及び上記アリール基としては、上記窒素原子が有し得る置換基のアルキル基及びアリール基と同義であり、好適態様も同じである。
アクリジニウムカチオンとしては、N-アルキルアクリジニウムカチオン又はN-アリールアクリジニウムカチオンが好ましい。
上記アニオンとしては、例えば、公知の1価のアニオンが挙げられ、具体的には、ハロゲンアニオン、スルホネートアニオン、PF 、BF 及びClO が挙げられる。
アクリジニウム構造を有する化合物としては、式(C1-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023031733000006
式(C1-1)中、Rc11及びRc12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は、アラルキル基を表す。nc11は、0~3の整数を表す。Xは、アニオンを表す。
c11及びRc12で表される置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3が好ましい。
c11及びRc12で表される置換基を有していてもよいアリール基は、単環及び多環のいずれであってもよい。上記アリール基の炭素数は、6~12が好ましい。
上記置換基としては、アルキル基又はアリール基が好ましい。
c11としては、無置換のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基が好ましい。Rc12としては、無置換のアルキル基が好ましい。
nc11は、0~3の整数を表す。
nc11としては、0~2の整数が好ましく、1がより好ましい。
は、アニオンを表す。
上記アニオンとしては、例えば、公知の1価のアニオンが挙げられ、具体的には、ハロゲンアニオン、スルホネートアニオン、PF 、BF 及びClO が挙げられる。
アクリジニウム構造を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式中、Xは、アニオンを表す。Xで表されるアニオンは、上述したとおりである。
Figure 2023031733000007
アクリジニウム構造を有する化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
アクリジニウム構造を有する化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
アクリジニウム構造を有する化合物の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、100モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
((イソ)キノリニウム構造を有する化合物)
(イソ)キノリニウム構造を有する化合物は、(イソ)キノリニウムカチオンと、アニオンとを有する化合物である。
(イソ)キノリニウムカチオンは、(イソ)キノリン中の窒素原子(ピリジン環の環員原子としての窒素原子)にプロトン又は置換基が結合したカチオンである。
上記窒素原子が有し得る置換基としては、アルキル基、アリール基、又は、アラルキル基が好ましい。上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3が好ましい。上記アリール基は、単環及び多環のいずれであってもよい。上記アリール基の炭素数は、6~12が好ましい。
(イソ)キノリニウムカチオンは、上記窒素原子以外の部分に、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基及びそれらを組み合わせた基が挙げられ、アルキル基が好ましい。上記アルキル基及び上記アリール基としては、上記窒素原子が有し得る置換基のアルキル基及びアリール基と同義であり、好適態様も同じである。
(イソ)キノリニウムカチオンとしては、N-アルキル(イソ)キノリニウムカチオン又はN-アリール(イソ)キノリニウムカチオンが好ましい。
上記アニオンとしては、例えば、公知の1価のアニオンが挙げられ、具体的には、ハロゲンアニオン、スルホネートアニオン、PF 、BF 及びClO が挙げられる。
(イソ)キノリニウム構造を有する化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式中、Xは、アニオンを表す。Xで表されるアニオンは、上述したとおりである。
Figure 2023031733000008
(イソ)キノリニウム構造を有する化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
(イソ)キノリニウム構造を有する化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
(イソ)キノリニウム構造を有する化合物の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、100モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
<要件D1>
要件D1を満たす感光性組成物は、イリジウム錯体を含む。
イリジウム錯体とは、イリジウム金属に配位子が配位して形成される錯体を意味する。イリジウム錯体は、ノニオン性及びイオン性のいずれであってもよい。
イリジウム錯体の配位数は、2~10が好ましく、4~6がより好ましい。
イリジウム錯体が有する配位子数は、2~10が好ましく、2~3がより好ましい。また、イリジウム錯体は、1又は2種以上の配位子を有していてもよい。
イリジウム錯体が有する配位子としては、例えば、単座配位子、並びに、二座配位子及び三座配位子等の多座配位子が挙げられ、二座配位子が好ましい。上記配位子としては、ピリジン環を有する配位子又は酸素原子を有する配位子も好ましい。
イリジウム錯体としては、式(D1-1)で表される化合物又は式(D1-2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023031733000009
式(D1-1)中、Xd11及びXd12は、それぞれ独立に、CH又は窒素原子を表す。Xd11及びXd12のうち少なくとも一方は、窒素原子を表す。Rd11~Rd14は、それぞれ独立に、置換基を表す。d11及びd12は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。nd1及びmd1は、それぞれ独立に、0~3の整数を表す。nd1+md1は、3である。
d11及びXd12は、それぞれ独立に、CH又は窒素原子を表す。Xd11及びXd12のうち少なくとも一方は、窒素原子を表す。
d11及びXd12の両方が、窒素原子であってもよい。
d11及びXd12の一方が窒素原子を表し、他方がCHを表すことが好ましい。
d11~Rd14は、それぞれ独立に、置換基を表す。
上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子及びヨウ素原子等)、アルキル基及びハロゲン原子を有していてもよいアルキル基が挙げられる。上記置換基が複数存在する場合、上記置換基同士は、互いに結合して環を形成していてもよい。
d11及びd12は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
d11及びd12としては、0~3の整数が好ましく、0がより好ましい。
nd1及びmd1は、それぞれ独立に、0~3の整数を表す。nd1+md1は、3である。
nd1としては、1~3の整数が好ましい。md1としては、0又は1が好ましい。
なお、nd1が2又は3の整数を表す場合、nd1に併記されるかっこ内の部分構造同士は、同一又は異なっていてもよい。
なお、md1が2又は3の整数を表す場合、md1に併記されるかっこ内の部分構造同士は、同一又は異なっていてもよい。
式(D1-2)中、Xd21及びXd22は、それぞれ独立に、CH又は窒素原子を表す。Xd21及びXd22のうち少なくとも一方は、窒素原子を表す。Rd21~Rd24は、それぞれ独立に、置換基を表す。d21及びd22は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。nd2及びmd2は、それぞれ独立に、0~3の整数を表す。nd2+md2は、3である。Xは、アニオンを表す。
d21、Rd22、Rd23及びRd24は、それぞれ、上記式(D1-1)中のRd11、Rd12、Rd13及びRd14と同義であり、好適態様も同じである。
d21及びXd22は、それぞれ独立に、CH又は窒素原子を表す。Xd21及びXd22のうち少なくとも一方は、窒素原子を表す。
d21及びXd22の両方が、窒素原子であってもよい。
d21及びd22は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
d21及びd22としては、0~3の整数が好ましい。
nd2及びmd2は、それぞれ独立に、0~3の整数を表す。nd2+md2は、3である。
nd2としては、1~3の整数が好ましく、3がより好ましい。
md2としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
なお、nd2が2又は3の整数を表す場合、nd2に併記されるかっこ内の部分構造同士は、同一又は異なっていてもよい。また、nd2が2又は3を表す場合、nd2に併記されるかっこ内の部分構造同士は、異なっていることが好ましい。
なお、md2が2又は3の整数を表す場合、md2に併記されるかっこ内の部分構造同士は、同一又は異なっていてもよい。
は、アニオンを表す。
上記アニオンとしては、例えば、公知の1価のアニオンが挙げられ、具体的には、ハロゲンアニオン、スルホネートアニオン、PF 、BF 及びClO が挙げられる。
イリジウム錯体としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式中、Xは、アニオンを表す。Xで表されるアニオンは、上述したとおりである。
Figure 2023031733000010
イリジウム錯体は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
イリジウム錯体の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
イリジウム錯体の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、0.1~50モル%が好ましく、0.1~30モル%がより好ましく、0.1~10モル%が更に好ましい。
イリジウム錯体の含有量は、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましい。上限は、得られる膜の膜質の点から、ポリマーAのカルボキシ基の全モル数に対して、100モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。
以下において、化合物βについて説明する。
パターン形成能がより優れる点、及び/又は、形成されるパターンの透湿性がより低くなる点で、化合物βの波長365nmの光に対するモル吸光係数(モル吸光係数ε)は、例えば、1×10(cm・mol/L)-1以下であり、1×10(cm・mol/L)-1以下であることが好ましく、5×10(cm・mol/L)-1未満であることがより好ましく、1×10(cm・mol/L)-1以下が更に好ましい。上記モル吸光係数εの下限に特に制限はなく、例えば、0(cm・mol/L)-1超である。
なお、化合物A11及び化合物A12の組み合わせに関しては、化合物A11及び化合物A12の両方が上記モル吸光係数を満たすことが好ましい。
化合物βのモル吸光係数εが上記範囲内であることは、仮支持体(好ましくはPETフィルム)越しに感光性層を露光する場合に、特に利点がある。
また、感光性層を保護膜(永久膜)の作製用途に用いる場合、化合物βのモル吸光係数εを上記範囲内とすることで、膜の着色を抑制できる。
また、パターン形成能がより優れる点、及び/又は、形成されるパターンの透湿性がより低くなる点で、化合物βの波長313nmの光におけるモル吸光係数(モル吸光係数ε’)に対する化合物βの波長365nmの光におけるモル吸光係数(モル吸光係数ε)の比(モル吸光係数ε/モル吸光係数ε’)は、3以下であるのが好ましく、2以下であるのがより好ましく、1未満であるのが更に好ましい。下限値としては特に制限されず、例えば、0.01以上である。
なお、化合物A11及び化合物A12の組み合わせに関しては、化合物A11及び化合物A12の両方が上記モル吸光係数の比を満たすことが好ましい。
なお、化合物βの波長365nmの光に対するモル吸光係数(モル吸光係数ε)及び波長313nmの光に対するモル吸光係数(モル吸光係数ε’)は、化合物βをアセトニトリル中に溶解して測定するモル吸光係数である。化合物βがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物βを溶解させる溶媒は適宜変更してよい。
また、塗布により感光性層を形成する場合において、塗布プロセスでの揮発しにくく、感光性層中における残存率がより優れる点(ひいては、パターン形成能がより優れる点、及び/又は、形成されるパターンの透湿性がより低くなる点)で、化合物βの分子量は120以上であるのが好ましく、130以上であるのがより好ましく、180以上であるのが更に好ましい。なお、化合物βの分子量の上限値としては特に制限されないが、例えば、50,000以下であり、10,000以下が好ましく、5,000未満がより好ましく、1,000未満が更に好ましい。
なお、化合物A11及び化合物A12の組み合わせに関しては、化合物A11及び化合物A12の両方が上記分子量を満たすことが好ましい。
化合物βは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
パターン形成性がより優れる点で、感光性組成物中、化合物βの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1~50質量%が好ましい。
なかでも、実施形態Y-1-a1の感光性組成物においては、化合物βの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、例えば、0.2~45質量%であり、2~40質量%が好ましく、4~35質量%がより好ましく、8~30質量%が更に好ましい。
実施形態Y-1-a2の感光性組成物においては、化合物βの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
実施形態Y-1-a3の感光性組成物においては、化合物βの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.3~20質量%が好ましく、0.5~8質量%がより好ましい。
なお、化合物βが化合物A11及び化合物A12の組み合わせである場合(要件A1を満たす感光性組成物である場合)、上記化合物βの含有量は、化合物A11及び化合物A12の合計含有量を意味する。
<<ポリマーA>>
要件1を満たす感光性組成物は、ポリマーAを含む。
ポリマーAは、カルボキシ基を有するポリマーである。ポリマーAは、カルボキシ基以外の酸基を更に有していてもよい。ポリマーAが有するカルボキシ基以外の酸基としては、pKaが12以下のプロトン解離性基であるのが好ましい。具体的には、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホ基、フェノール性水酸基及びスルホニルイミド基が挙げられる。
ポリマーAは、アルカリ可溶性樹脂である。
本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、以下の方法によって求められる溶解速度が0.01μm/秒以上であることをいう。
対象化合物(例えば、樹脂等)の濃度が25質量%であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をガラス基板上に塗布し、次に、100℃のオーブンで3分間加熱することによって上記対象化合物の塗膜(厚み2.0μm)を形成する。上記塗膜を炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温30℃)に浸漬させることにより、上記塗膜の溶解速度(μm/秒)を求める。
なお、対象化合物がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解しない場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート以外の沸点200℃未満の有機溶剤(例えば、テトラヒドロフラン、トルエン及びエタノール等)に対象化合物を溶解させる。
また、ポリマーAが有する酸基の一部又は全部は、感光性層中でアニオン化していてもアニオン化していなくてもよい。なお、本明細書において酸基という場合、アニオン化した酸基及びアニオン化していない酸基の両方を含む概念である。
上記同様に、ポリマーAが有するカルボキシ基(-COOH)の一部又は全部は、感光性層中でアニオン化していてもアニオン化していなくてもよい。なお、本明細書においてカルボキシ基という場合、アニオン化したカルボキシ基(-COO)及びアニオン化していないカルボキシ基の両方を含む概念である。
ポリマーAは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
ポリマーAの含有量の下限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、45質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が最も好ましい。ポリマーAの含有量の上限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、93質量%以下が特に好ましく、85質量%以下がより特に好ましく、75質量%以下が最も好ましい。
以下、ポリマーAが有し得る繰り返し単位について詳述する。
<カルボキシ基を有する繰り返し単位>
ポリマーAは、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
カルボキシ基を有する繰り返し単位としては、例えば、式(A)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2023031733000011
式(A)中、RA1は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
上記2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S―、-SO-、-SO-、-NR-(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基及びフェニレン基等のアリーレン基等)及びそれらを組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
カルボキシ基を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び、4-カルボキシスチレンが挙げられる。なかでも、パターニング性により優れる点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。すなわち、カルボキシ基を有する繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位であるのが好ましい。
ポリマーA中のカルボキシ基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、5~100モル%が好ましく、10~65モル%がより好ましく、15~45モル%が更に好ましい。
また、ポリマーA中のカルボキシ基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、1~100質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、12~50質量%が更に好ましい。
<重合性基を有する繰り返し単位>
ポリマーAは、上記繰り返し単位以外に、重合性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びスチリル基等)及び環状エーテル基(例えば、エポキシ基及びオキセタニル基等)が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
重合性基を有する繰り返し単位としては、例えば、式(B)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2023031733000012
式(B)中、XB1及びXB2は、それぞれ独立に、-O-又は-NR-を表す。
は、水素原子又はアルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましい。
Lは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。上記アルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキレン基の炭素数は1~5が好ましい。上記アリーレン基は、単環でも多環でもよい。上記アリーレン基の炭素数は、6~15が好ましい。上記アルキレン基及び上記アリーレン基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、例えば、水酸基が好ましい。
B1及びRB2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
ポリマーA中の重合性基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、3~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~30モル%が更に好ましい。
ポリマーA中の重合性基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、1~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、12~45質量%が更に好ましい。
<芳香環を有する繰り返し単位>
ポリマーAは、上記繰り返し単位以外に、芳香環を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。
例えば、芳香環を有する(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
スチレン及び重合可能なスチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマーが挙げられる。
芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、式(C)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2023031733000013
式(C)中、RC1は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
Arは、フェニル基又はナフチル基を表す。上記フェニル基及び上記ナフチル基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基が挙げられる。
Arとしては、フェニル基が好ましい。
芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2023031733000014
ポリマーA中の芳香環を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、5~80モル%が好ましく、15~75モル%がより好ましく、30~70モル%が更に好ましい。
ポリマーA中の芳香環を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
<脂環式構造を有する繰り返し単位>
ポリマーAは、上記繰り返し単位以外に、脂環式構造を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
脂環式構造は、単環でも多環でもよい。脂環式構造としては、例えば、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、イソボルニル環構造、アダマンタン環構造及びシクロヘキシル環構造が挙げられる。
脂環式構造を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリマーA中の脂環式構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、3~70モル%が好ましく、5~60モル%がより好ましく、10~55モル%が更に好ましい。
ポリマーA中の脂環式構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、3~90質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
<その他の繰り返し単位>
ポリマーAは、上記繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を有していてもよい。
その他の繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。上記アルキル基は、更にヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、1~50が好ましく、1~10がより好ましい。
ポリマーA中のその他の繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、1~70モル%が好ましく、2~50モル%がより好ましく、3~20モル%が更に好ましい。
ポリマーA中のその他の繰り返し単位の含有量は、ポリマーAの全繰り返し単位に対して、1~70質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~35質量%が更に好ましい。
ポリマーAの重量平均分子量の下限値としては、感光性層の形成性に優れる(言い換えると、感光性層を形成するための製膜能に優れる)点で、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、11,000が更に好ましく、15,000以上が特に好ましい。上限値としては特に制限されないが、200,000以下の場合が多く、任意の基材と貼り合わせる際(転写の際)の密着性(ラミネート密着性)がより優れる点で、60,000以下であるのが好ましい。
現像性の点から、ポリマーAの酸価は、60~300mgKOH/gが好ましく、60~275mgKOH/gがより好ましく、75~250mgKOH/gが更に好ましい。
本明細書において、ポリマーAの酸価は、JIS K0070(1992)に規定される滴定方法で測定される値である。
ポリマーAは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
実施形態Y-1-a1の感光性組成物においては、ポリマーAの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、40~98質量%が好ましく、50~96質量%がより好ましく、60~93質量%が更に好ましい。
実施形態Y-1-a2の感光性組成物においては、ポリマーAの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、30~85質量%が好ましく、45~75質量%がより好ましい。
実施形態Y-1-a3の感光性組成物においては、ポリマーAの含有量は、感光性組成物の全質量に対して、30~85質量%が好ましく、45~75質量%がより好ましい。
<<重合性化合物>>
要件1を満たす感光性組成物は、重合性化合物を含むのが好ましい。
なお、上記重合性化合物は、ポリマーAとは異なる成分であり、カルボキシ基を含まない。
重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、5,000未満であることが好ましく、重合性モノマーであることも好ましい。
重合性化合物は、一分子中にエチレン性不飽和基を1つ以上(例えば、1~15個)有する重合性化合物である。
重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物を含むことが好ましい。
ここで、2官能以上の重合性化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上(例えば2~15個)有する重合性化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びスチリル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性化合物としては、(メタ)アクリレートも好ましい。
感光性組成物は、2官能の重合性化合物(好ましくは2官能の(メタ)アクリレート)と、3官能以上の重合性化合物(好ましくは3官能以上の(メタ)アクリレート)と、を含むのが好ましい。
2官能の重合性化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能の重合性化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP 新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP 新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N 新中村化学工業社製)及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N 新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上の重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標) 135等)及びエトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)が挙げられる。
重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)が挙げられる。官能基数の下限は、6官能以上が好ましく、8官能以上がより好ましい。官能基数の上限は、20官能以下が好ましい。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製);UA-32P、U-15HA及びUA-1100H(いずれも新中村化学工業社製);共栄社化学社製のAH-600;UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H及びUX-5000(いずれも日本化薬社製)が挙げられる。
重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、5,000未満が好ましく、200~3000がより好ましく、250~2600が更に好ましく、280~2200が特に好ましい。
感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の分子量のうち、最小の分子量は、250以上が好ましく、280以上がより好ましい。
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、3~70質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、20~55質量%が更に好ましい。
ポリマーAの含有量に対する重合性化合物の含有量の質量比(重合性化合物の含有量/ポリマーAの含有量)は、0.2~2.0が好ましく、0.4~0.9がより好ましい。
2官能の重合性化合物の含有量は、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の合計質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~85質量%がより好ましく、30~80質量%が更に好ましい。
また、3官能以上の重合性化合物の含有量は、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の合計質量に対して、10~90質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、感光性組成物は、2官能以上の重合性化合物及び単官能の重合性化合物を含んでいてもよい。
感光性組成物に含まれる重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物が主成分であることが好ましい。具体的には、2官能以上の重合性化合物の含有量は、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の合計質量に対して、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
<<光重合開始剤>>
要件1を満たす感光性組成物は、光重合開始剤を含むことも好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤でもよく、光カチオン重合開始剤でもよく、光アニオン重合開始剤でもよく、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤は、オキシムエステル化合物(オキシムエステル構造を有する光重合開始剤)及びアミノアセトフェノン化合物(アミノアセトフェノン構造を有する光重合開始剤)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、それらの両方の化合物を含むことがより好ましい。それらの両方の化合物を含む場合、オキシムエステル化合物の含有量は、それらの両方の化合物の合計含有量に対して、5~90質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましい。
上記光重合開始剤以外に、その他の光重合開始剤を含んでいてもよい。
その他の光重合開始剤としては、例えば、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物及びビストリフェニルイミダゾール化合物が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落0031~0042及び特開2015-014783号公報の段落0064~0081に記載の重合開始剤も挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE-01、IRGACUREシリーズ、BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、[8-[5-(2,4,6-トリメチルフェニル)-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾイル][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メタノン-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-03、BASF社製)、1-[4-[4-(2-ベンゾフラニルカルボニル)フェニル]チオ]フェニル]-4-メチルペンタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-04、BASF社製、及び、商品名:Lunar 6、DKSHジャパン社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、及び、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
アミノアセトフェノン化合物としては、例えば、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、OmniradシリーズはIGM Resins B.V.社製品)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907)、及び、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名:Omnirad 369)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(商品名:Omnirad 184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad TPO H)、及び、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad 819)が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
<<塩基性化合物>>
要件1を満たす感光性組成物は、塩基性化合物を含むことが好ましい。
塩基性化合物は、化合物βとは異なる化合物である。
塩基性化合物は、含窒素有機塩基が好ましく、アンモニウムヒドロキシド化合物又はアミン化合物がより好ましい。
塩基性化合物は、共役酸のpKaが8以上(好ましくは、10以上)の塩基性化合物が好ましい。上記共役酸のpKaの上限は、40以下が好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、アンモニウムヒドロキシド化合物(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラメチルアンモニウムヒドロシキドなど)、トリアルキルアミン(トリブチルアミン、及び、トリオクチルアミンなど)、及び、環状アミン(ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、及び、ジアザビシクロオクタンなど)が挙げられる。
<<界面活性剤>>
要件1を満たす感光性組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0120~0125に記載の界面活性剤も使用できる。
また、界面活性剤としては、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤も使用できる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、(株)NEOS製)、U-120E(ユニケム株式会社)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック DS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002、KP-101KP-103、KP-104、KP-105、KP-106、KP-109、KP-109、KP-112、KP-120、KP-121、KP-124、KP-125、KP-301、KP-306、KP-310、KP-322、KP-323、KP-327、KP-341、KP-368、KP-369、KP-611、KP-620、KP-621、KP-626、KP-652(以上、信越シリコーン株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK300、BYK306、BYK307、BYK310、BYK320、BYK323、BYK330、BYK313、BYK315N、BYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348、BYK349、BYK370、BYK377、BYK378、BYK323(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.0001~10質量%が好ましく、0.001~5質量%がより好ましく、0.005~3質量%が更に好ましい。
<<溶媒>>
要件1を満たす感光性組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、通常用いられる溶媒を特に制限なく使用できる。
溶媒としては、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n-プロパノール、2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
溶媒としては、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶媒、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶媒、又はメチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶媒が好ましい。
溶媒は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が溶媒を含む場合、感光性組成物の固形分は、5~80質量%が好ましく、8~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。つまり、感光性組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、20~95質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%が更に好ましい。
感光性組成物が溶媒を含む場合、感光性組成物の粘度(25℃)は、塗布性の点から、1~50mPa・sが好ましく、2~40mPa・sがより好ましく、3~30mPa・sが更に好ましい。
粘度は、例えば、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて測定する。
感光性組成物が溶媒を含む場合、感光性組成物の表面張力(25℃)は、塗布性の点から、5~100mN/mが好ましく、10~80mN/mがより好ましく、15~40mN/mが更に好ましい。
表面張力は、例えば、Automatic Surface Tensiometer
CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて測定する。
溶媒としては、米国出願公開2005/282073号明細書の段落0054及び0055に記載のSolventを用いることもでき、この明細書の内容は本明細書に組み込まれる。
また、溶媒として、必要に応じて沸点が180~250℃である有機溶媒(高沸点溶媒)を使用することもできる。
<<その他の添加剤>>
要件1を満たす感光性組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、増感剤、ヘテロ環状化合物、及びアルコキシシラン化合物が挙げられる。
可塑剤、増感剤、ヘテロ環状化合物、及びアルコキシシラン化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0097~0119に記載されたものが挙げられる。
その他の添加剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
〔要件2〕
以下、要件2を満たす感光性組成物について詳述する。
要件2:感光性組成物が、要件A2、要件B2、要件C2及び要件D2からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
要件A2:感光性組成物が化合物A11を更に含み、ポリマーAが化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有するか、又は、感光性組成物が化合物A12を更に含み、ポリマーAが化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件B2:ポリマーAが、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件C2:ポリマーAが、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する。
要件D2:ポリマーAが、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
以下、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基及び化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基の一方を有するポリマーA、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有するポリマーA、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有するポリマーA、及び、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有するポリマーAを総称して、「ポリマーB」ともいう。
以下、要件2を満たす感光性組成物が含み得る成分について詳述する。
<<<各種成分>>>
<<ポリマーB>>
ポリマーBは、要件A2、要件B2、要件C2及び要件D2からなる群から選択される少なくとも1つを満たすポリマーAである。言い換えると、ポリマーBは、要件A2、要件B2、要件C2及び要件D2からなる群から選択される少なくとも1つを満たし、かつ、カルボキシ基を有するポリマーである。
<要件A2>
要件A2を満たす感光性組成物は、化合物A11を更に含み、上記感光性組成物に含まれるポリマーAが化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有するか、又は、化合物A12を更に含み、上記感光性組成物に含まれるポリマーAが化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件A2を満たす感光性組成物が化合物A11を更に含む場合、上記感光性組成物に含まれるポリマーAは化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件A2を満たす感光性組成物であって上記態様である場合、要件A2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、カルボキシ基を有し、化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有していれば特に制限されないが、化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
上記化合物A12及び上記化合物A11は、それぞれ要件1を満たす感光性組成物が含む化合物A12及び化合物A11と同義であり、好適態様も同じである。
なお、上記ポリマーAは、カルボキシ基を有し、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。カルボキシ基を有する繰り返し単位の説明は、要件1で説明した通りであり、その好適範囲も同じである。
要件A2を満たす感光性組成物が化合物A12を更に含む場合、上記感光性組成物に含まれるポリマーAは化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件A2を満たす感光性組成物であって上記態様である場合、要件A2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーBは、カルボキシ基を有し、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有していれば特に制限されないが、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
上記化合物A12及び上記化合物A11は、それぞれ要件1を満たす感光性組成物が含む化合物A12及び化合物A11と同義であり、好適態様も同じである。
なお、上記ポリマーAは、カルボキシ基を有し、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。カルボキシ基を有する繰り返し単位の説明は、要件1で説明した通りであり、その好適範囲も同じである。
化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位、及び、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位としては、式(A2)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2023031733000015
式(A2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Zは、化合物A11又は化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
としては、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
上記2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO-、-NR-(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基及びフェニレン基の等のアリーレン基等)及びそれらを組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位、又は、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60モル%が好ましく、2~40モル%がより好ましく、5~30モル%が更に好ましい。
化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位、又は、化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
なお、要件A2を満たす感光性組成物が更に含み得る化合物A11及び化合物A12の含有量は、それぞれ上述した要件A1を満たす感光性組成物における化合物A11及び化合物A12の好適含有量と同じである。
<要件B2>
要件B2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件B2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、カルボキシ基を有し、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有していれば特に制限されないが、芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、上記ポリマーAは、カルボキシ基を有し、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。カルボキシ基を有する繰り返し単位の説明は、要件1で説明した通りであり、その好適範囲も同じである。
上記芳香族イミド構造を有する化合物は、要件1を満たす感光性組成物が有する芳香族イミド構造を有する化合物と同義であり、好適態様も同じである。
芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位としては、上記式(A2)で表される繰り返し単位であって式(A2)中のZが芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を表す、繰り返し単位が好ましい。
芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60モル%が好ましく、2~40モル%がより好ましく、5~30モル%が更に好ましい。
芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
<要件C2>
要件C2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する。
要件C2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、カルボキシ基を有し、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有していれば特に制限されないが、アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、上記ポリマーAは、カルボキシ基を有し、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。カルボキシ基を有する繰り返し単位の説明は、要件1で説明した通りであり、その好適範囲も同じである。
上記アクリジニウム構造を有する化合物及び上記(イソ)キノリニウム構造を有する化合物は、それぞれ要件1を満たす感光性組成物が有する、上記アクリジニウム構造を有する化合物及び上記(イソ)キノリニウム構造を有する化合物と同義であり、好適態様も同じである。
アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する繰り返し単位としては、上記式(A2)で表される繰り返し単位であって式(A2)中のZがアクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を表す、繰り返し単位が好ましい。
アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60モル%が好ましく、2~40モル%がより好ましく、5~30モル%が更に好ましい。
アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
<要件D2>
要件D2を満たす感光性組成物のポリマーAは、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
要件D2を満たす感光性組成物に含まれるポリマーAは、カルボキシ基を有し、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有していれば特に制限されないが、イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、上記ポリマーAは、カルボキシ基を有し、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。カルボキシ基を有する繰り返し単位の説明は、要件1で説明した通りであり、その好適範囲も同じである。
上記イリジウム錯体は、要件1を満たす感光性組成物が含むイリジウム錯体と同義であり、好適態様も同じである。
イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位としては、上記式(A2)で表される繰り返し単位であって式(A2)中のZがイリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を表す、繰り返し単位が好ましい。
イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60モル%が好ましく、2~40モル%がより好ましく、5~30モル%が更に好ましい。
イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマーBの全繰り返し単位に対して、1~60質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
上記ポリマーBは、上記繰り返し単位以外に、ポリマーAが有し得る繰り返し単位を有していてもよい。例えば、重合性基を有する繰り返し単位、脂環式構造に有する繰り返し単位及びその他の繰り返し単位が挙げられる。その好適含有量は、要件1で説明した通りであり、その好適内容も同じである。
ポリマーBは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
ポリマーBの含有量の下限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、45質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が最も好ましい。ポリマーBの含有量の上限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、93質量%以下が特に好ましく、85質量%以下がより特に好ましく、75質量%以下が最も好ましい。
要件2を満たす感光性組成物は、上記以外の成分として、要件1を満たす感光性組成物が含み得る、重合性化合物、光重合開始剤、塩基性化合物、溶媒、界面活性剤及び/又はその他の添加材を含んでいてもよく、好適態様も同じである。その好適含有量は、要件1で説明した通りであり、その好適内容も同じである。
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムは、仮支持体と、ポリマーAを含み、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす感光性組成物を用いて形成される感光性層とを有する。後述するように、上記感光性層は、上述した感光性組成物を用いて形成されることが好ましい。
図1は、本発明の転写フィルムの実施形態の一例を示す断面模式図である。
図1に示す転写フィルム100は、仮支持体12と、感光性層14と、カバーフィルム16とがこの順に積層された構成である。
なお、図1で示す転写フィルム100はカバーフィルム16を配置した形態であるが、カバーフィルム16は、配置されなくてもよい。
以下において、転写フィルムを構成する各部材について説明する。
<<<仮支持体>>>
仮支持体は、感光性層を支持し、感光性層から剥離可能な支持体である。
仮支持体は、感光性層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性層を露光し得る点で、光透過性を有することが好ましい。
ここで「光透過性を有する」とは、露光(パターン露光でも全面露光でもよい)に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味する。露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度がより優れる点で、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、具体的には、ガラス基板、樹脂フィルム、及び紙等が挙げられ、強度及び可撓性等がより優れる点で、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルム等が挙げられる。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる粒子や異物や欠陥の数は少ない方が好ましい。直径2μm以上の微粒子や異物や欠陥の数は、50個/10mm以下であることが好ましく、10個/10mm2以下であることがより好ましく、3個/10mm以下であることが更に好ましい。下限は特に制限は無いが、1個/10mm以上とすることができる。
仮支持体は、ハンドリング性をより向上させる点で、感光性層が形成される側とは反対側の面に、直径0.5~5μmの粒子が1個/mm以上存在する層を有することが好ましく、1~50個/mm存在するのがより好ましい。
仮支持体の厚みとしては特に制限されず、取扱い易さ及び汎用性に優れる点で、5~200μmが好ましく、10~150μmがより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、及び最初の露光工程で要求される光透過性等の点から、材質に応じて適宜選択し得る。
仮支持体の好ましい態様としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~0018、特開2016-027363号公報の段落0019~0026、WO2012/081680A1公報の段落0041~0057、及びWO2018/179370A1公報の段落0029~0040に記載があり、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
仮支持体としては、例えば、東洋紡(株)製のコスモシャイン(登録商標)A4100、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)16FB40、又は、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)16QS62(16KS40)を使用してもよい。
また、仮支持体の特に好ましい態様としては、厚さ16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、厚さ9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
<<<感光性層>>>
要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす感光性組成物を用いて形成される感光性層は、ポリマーAを含み、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する機構を有する。
感光性層は、ポリマーAを含み、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす感光性組成物から形成される層である。つまり、感光性層に含まれる各成分は、上述した感光性組成物に含まれる各成分と同じであり、好適範囲も同じである。
なお、感光性層中における各成分の含有量の好適数値範囲は、上述した「感光性組成物の全固形分に対する各成分の含有量(質量%)」を「感光性層の全質量に対する各成分の含有量(質量%)」に読み替えた好適範囲と同じである。したがって、例えば、「感光性組成物中、ポリマーAの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、25質量%以上が好ましい。」との記載は、「感光性層中、ポリマーAの含有量は、感光性層の全質量に対して、25質量%以上が好ましい。」と読み替える。なお、固形分とは、感光性組成物の溶媒を除くすべての成分を意図する。また、感光性組成物に含まれる溶媒以外の成分が液状であったとしても、溶媒以外の成分は固形分とみなす。
<<感光性層の平均厚さ>>
感光性層の平均厚さとしては、0.5~20μmが好ましい。感光性層の平均厚みが20μm以下であるとパターンの解像度がより優れ、感光性層の平均厚みが0.5μm以上であるとパターン直線性の点から好ましい。感光性層の平均厚さとしては、0.8~15μmがより好ましく、1.0~10μmが更に好ましい。感光性層の平均厚さの具体例として、3.0μm、5.0μm、及び8.0μmが挙げられる。
<<感光性層の形成方法>>
感光性層は、感光性層の形成に用いる成分と、溶媒とを含む感光性組成物を調製し、塗布及び乾燥して形成できる。各成分を、それぞれ予め溶媒に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、例えば、孔径0.2~30μmのフィルター等を用いて濾過されることが好ましい。
感光性組成物を仮支持体又はカバーフィルム上に塗布し、乾燥させることで、感光性層を形成できる。
塗布方法としては特に制限されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等の公知の方法が挙げられる。
また、仮支持体又はカバーフィルム上に後述するその他の層を形成する場合、感光性層は、上記その他の層の上に形成されてもよい。
感光性層の波長365nmの光の透過率としては、パターン形成能がより優れる点、及び/又は、形成されるパターンの透湿性がより低くなる点で、20%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、100%以下である。
また、感光性層の波長313nmの光の透過率に対する感光性層の波長365nmの光の透過率の比(感光性層の波長365nmの光の透過率/感光性層の波長313nmの光の透過率で表される比)としては、パターン形成能がより優れる点、及び/又は、形成されるパターンの透湿性がより低くなる点で、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、1000以下である。
感光性層は、活性光線又は放射線の照射によって、感光性層中のカルボキシ基の含有量が5モル%以上の減少率で減少するのが好ましい。
感光性層の膜厚1.0μmあたりの可視光透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。
上記可視光透過率は、波長400~800nmの光の平均透過率、波長400~800nmの光の最小透過率、及び、波長400nmの光の透過率のいずれもが上記を満たすことが好ましい。
感光性層の膜厚1.0μmあたりの可視光透過率としては、例えば、87%、92%及び98%が挙げられる。
感光性層の炭酸ナトリウム1.0質量%水溶液に対する溶解速度は、現像時の残渣抑制の観点から、0.01μm/秒以上が好ましく、0.10μm/秒以上がより好ましく、0.20μm/秒以上がより好ましい。また、パターンのエッジ形状の観点から、5.0μm/秒以下が好ましい。具体的な好ましい数値としては、例えば、1.8μm/秒、1.0μm/秒、0.7μm/秒等が挙げられる。
1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する感光性層の単位時間あたりの溶解速度は、以下のように測定するものとする。
ガラス基板に形成した、溶媒を十分に除去した感光性層(膜厚1.0~10μmの範囲内)に対し、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて25℃で、感光性層が溶け切るまでシャワー現像を行う(但し、最長で2分までとする)。
感光性層の膜厚を、感光性層が溶け切るまでに要した時間で割り算することで求める。なお、2分で溶け切らない場合は、それまでの膜厚変化量から同様に計算する。
現像は、(株)いけうち製1/4MINJJX030PPのシャワーノズルを使用し、シャワーのスプレー圧は0.08MPaとする。上記条件の時、単位時間当たりのシャワー流量は1,800mL/minとする。
パターン形成性の観点から、感光性層中の直径1.0μm以上の異物の数は、10個/mm以下であることが好ましく、5個/mm以下であることがより好ましい。
異物個数は以下のように測定するものとする。
感光性層の表面の法線方向から、感光性層の面上の任意の5か所の領域(1mm×1mm)を、光学顕微鏡を用いて目視にて観察して、各領域中の直径1.0μm以上の異物の数を測定して、それらを算術平均して異物の数として算出する。
具体的な好ましい数値としては、例えば、0個/mm、1個/mm、4個/mm、8個/mmが挙げられる。
現像時の凝集物発生抑止の観点から、1.0質量%炭酸ナトリウムの30℃水溶液1.0Lに1.0cmの感光性層を溶解させて得られる溶液のヘイズは60%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
ヘイズは以下のように測定するものとする。
まず、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液を準備し、液温を30℃に調整する。炭酸ナトリウム水溶液1.0Lに1.0cm3の感光性層を入れる。気泡を混入しないように注意しながら、30℃で4時間撹拌する。撹拌後、感光性層が溶解した溶液のヘイズを測定する。ヘイズは、ヘイズメーター(製品名「NDH4000」、日本電色工業社製)を用い、液体測定用ユニット及び光路長20mmの液体測定専用セルを用いて測定される。
具体的な好ましい数値としては、例えば、0.4%、1.0%、9%、24%が挙げられる。
<感光性組成物>
感光性組成物は、上述した、感光性層の形成に用いる成分と、溶媒とを含むことが好ましい。各成分と溶媒とを混合して粘度を調節し、塗布及び乾燥することで、感光性層を好適に形成できる。
(感光性層の形成に用いる成分)
感光性層の形成に用いる成分は、上述した要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす感光性組成物に含まれる成分であり、既述のとおりである。
<<<その他の層>>>
また、仮支持体又はカバーフィルム上に後述する高屈折率層及び/又はその他の層を形成する場合、感光性層は、上記高屈折率層及び/又はその他の層の上に形成されてもよい。
<<高屈折率層>>
転写フィルムは、更に、高屈折率層を有することも好ましい。
高屈折率層は、感光性層に隣接して配置されることが好ましく、感光性層からみて仮支持体とは反対側に配置されることも好ましい。
高屈折率層は、波長550nmにおける屈折率が1.50以上である層であること以外は特に制限はない。
高屈折率層の上記屈折率は、1.55以上が好ましく、1.60以上がより好ましい。
高屈折率層の屈折率の上限は特に制限されないが、2.10以下が好ましく、1.85以下がより好ましく、1.78以下が更に好ましく、1.74以下が特に好ましい。
また、高屈折率層の屈折率は、感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
高屈折率層は、光硬化性(すなわち、感光性)を有してもよいし、熱硬化性を有していてもよいし、光硬化性及び熱硬化性の両方を有してもよい。
高屈折率層が感光性を有する態様は、転写後において、基材上に転写された感光性層及び高屈折率層を、一度のフォトリソグラフィによってまとめてパターニングできるという利点を有する。
高屈折率層は、アルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。
また、高屈折率層は、透明層であることが好ましい。
高屈折率層の膜厚としては、500nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。
また、高屈折率層の膜厚は、20nm以上が好ましく、55nm以上がより好ましく、60nm以上が更に好ましく、70nm以上が特に好ましい。
高屈折率層は、転写後において、透明電極パターン(好ましくはITOパターン)と感光性層との間に挟まれることにより、透明電極パターン及び感光性層とともに積層体を形成する場合がある。この場合、透明電極パターンと高屈折率層との屈折率差、及び高屈折率層と感光性層との屈折率差を小さくすることにより、光反射がより低減される。これにより、透明電極パターンの隠蔽性がより向上する。
例えば、透明電極パターン、高屈折率層、及び感光性層をこの順に積層した場合において、透明電極パターン側からみた時に、この透明電極パターンが視認されにくくなる。
高屈折率層の屈折率は、透明電極パターンの屈折率に応じて調整することが好ましい。
透明電極パターンの屈折率が、例えばIn及びSnの酸化物(ITO)を用いて形成した場合のように1.8~2.0の範囲である場合は、高屈折率層の屈折率は、1.60以上が好ましい。この場合の高屈折率層の屈折率の上限は特に制限されないが、2.1以下が好ましく、1.85以下がより好ましく、1.78以下が更に好ましく、1.74以下が特に好ましい。
透明電極パターンの屈折率が、例えばIn及びZnの酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)を用いて形成した場合のように2.0を超える場合は、高屈折率層の屈折率は、1.70以上1.85以下が好ましい。
高屈折率層の屈折率を制御する方法は特に制限されず、例えば、所定の屈折率の樹脂を単独で用いる方法、樹脂と金属酸化物粒子又は金属粒子とを用いる方法、及び金属塩と樹脂との複合体を用いる方法、等が挙げられる。
金属酸化物粒子又は金属粒子の種類としては、特に制限はなく、公知の金属酸化物粒子又は金属粒子を使用できる。金属酸化物粒子又は金属粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及びTe等の半金属も含まれる。
粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)の平均一次粒子径は、例えば、透明性の観点から、1~200nmであることが好ましく、3~80nmであることがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、Nb粒子、酸化チタン粒子(TiO粒子)、及び二酸化珪素粒子(SiO粒子)、及びこれらの複合粒子よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、金属酸化物粒子としては、例えば、高屈折率層の屈折率を1.6以上に調整しやすいという観点から、酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子よりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
高屈折率層が金属酸化物粒子を含む場合、高屈折率層は、金属酸化物粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)の含有量は、電極パターン等の被隠蔽物の隠蔽性が良好になり、被隠蔽物の視認性を効果的に改善できる点で、高屈折率層の全質量に対し、1~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、40~85質量%であることが更に好ましい。
金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、酸化チタン粒子の含有量は、高屈折率層の全質量に対して、1~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、40~85質量%であることが更に好ましい。
金属酸化物粒子の市販品としては、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F04)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F74)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F75)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F76)、酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30M、日産化学工業(株)製)酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30K、日産化学工業(株)製)が挙げられる。
高屈折率層は、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である無機粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である樹脂、及び屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である重合性化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
この態様であると、高屈折率層の屈折率を1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)に調整し易い。
また、高屈折率層は、バインダーポリマー、重合性モノマー、及び粒子を含むことが好ましい。
高屈折率層の成分については、特開2014-108541号公報の段落0019~0040及び0144~0150に記載されている硬化性透明樹脂層の成分、特開2014-010814号公報の段落0024~0035及び0110~0112に記載されている透明層の成分、国際公開第2016/009980号の段落0034~0056に記載されているアンモニウム塩を有する組成物の成分、等を参照できる。
また、高屈折率層は、金属酸化抑制剤を含むことも好ましい。
高屈折率層が金属酸化抑制剤を含む場合には、高屈折率層を基材(即ち、転写対象物)上に転写する際に、高屈折率層と直接接する部材(例えば、基材上に形成された導電性部材)を表面処理できる。この表面処理は、高屈折率層と直接接する部材に対し金属酸化抑制機能(保護性)を付与する。
金属酸化抑制剤は、窒素原子を含む芳香環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子を含む芳香環を有する化合物は、置換基を有してもよい。
窒素原子を含む芳香環としては、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環が好ましく、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環であることがより好ましい。
縮合環を形成する「他の芳香環」は、単素環でも複素環でもよいが、単素環が好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環が更に好ましい。
金属酸化抑制剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、メルカプトチアジアゾール、又はベンゾトリアゾールが好ましく、イミダゾール、ベンズイミダゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール又はベンゾトリアゾールがより好ましい。
金属酸化抑制剤としては、市販品を用いてもよい。
金属酸化抑制剤の市販品としては、例えば、ベンゾトリアゾールを含む城北化学工業(株)製のBT120が挙げられる。
高屈折率層が金属酸化抑制剤を含む場合、金属酸化抑制剤の含有量は、高屈折率層の全固形分に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
高屈折率層は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
高屈折率層が含み得るその他の成分としては、感光性層が含み得る得るその他の成分と同様の成分が挙げられる。
高屈折率層は、界面活性剤を含むことも好ましい。
高屈折率層の形成方法には特に限定はない。
高屈折率層の形成方法としては、例えば、仮支持体上に形成された上述の感光性層上に、水系溶媒を含む態様の高屈折率層形成用組成物を塗布し、必要に応じ乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
高屈折率層形成用組成物は、上述した高屈折率層の各成分を含み得る。
高屈折率層形成用組成物は、例えば、バインダーポリマー、重合性モノマー、粒子、及び水系溶媒を含む。
また、高屈折率層形成用組成物としては、国際公開第2016/009980号の段落0034~0056に記載されている、アンモニウム塩を有する組成物も好ましい。
感光性層及び高屈折率層は無彩色であることが好ましい。具体的には、全反射(入射角8°、光源:D-65(2°視野))が、CIE1976(L*、a*、b*)色空間において、L*値は10~90であることが好ましく、a*値は-1.0~1.0であることが好ましく、b*値は-1.0~1.0であることが好ましい。
<<カバーフィルム>>
本発明の転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、カバーフィルムを有していてもよい。
本発明の転写フィルムが高屈折率層を備える場合には、カバーフィルムは、高屈折率層からみて仮支持体とは反対側(即ち、感光性層とは反対側)に配置されることが好ましい。この場合、転写フィルムは、例えば「仮支持体/感光性層/高屈折率層/カバーフィルム」の順で積層された積層体である。
カバーフィルムは、カバーフィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m以下であることが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、及び/又は、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び/又は、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
カバーフィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数が30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。これにより、カバーフィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性層に転写されることにより生じる欠陥を抑制できる。
カバーフィルムの表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。Raがこのような範囲内であれば、例えば、転写フィルムが長尺状である場合に、転写フィルムを巻き取る際の巻き取り性を良好にできる。
また、転写時の欠陥抑制の観点から、Raは、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
カバーフィルムとしては、例えば、特開2006-259138号公報の段落0083~0087及び0093に記載のものを用いてもよい。
カバーフィルムとしては、例えば、王子エフテックス(株)製のアルファン(登録商標)FG-201、王子エフテックス(株)製のアルファン(登録商標)E-201F、東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標)25WZ、又は、東レ(株)製のルミラー(登録商標)16QS62(16KS40)を使用してもよい。
<<その他の層>>
転写フィルムは、上述した層以外のその他の層(以下、「その他の層」ともいう。)を含んでいてもよい。その他の層としては、例えば、中間層、及び熱可塑性樹脂層等が挙げられ、公知のものを適宜採用できる。
熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014-085643号公報の段落0189~0193、及び上記以外の他の層の好ましい態様については特開2014-085643号公報の段落0194~0196にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<<<転写フィルムの製造方法>>>
転写フィルムの製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法が適用できる。
転写フィルムの製造方法としては、仮支持体上に、溶媒を含む感光性組成物を塗布及び乾燥することによって感光性層を形成する工程を含むことが好ましく、上記感光性層を形成する工程の後に、更に、上記感光性層上にカバーフィルムを配置する工程を含むことがより好ましい。
また、上記感光性層を形成する工程の後に、更に、高屈折率層形成用組成物を塗布及び乾燥することによって高屈折率層を形成する工程を含んでもよい。この場合、上記高屈折層を形成する工程の後に、更に、上記高屈折層にカバーフィルムを配置する工程を含むことがより好ましい。
[パターン形成方法]
本発明に関するパターン形成方法(「本発明のパターン形成方法」ともいう)は特に制限されず、本発明の感光性組成物または転写フィルムを使用したパターン形成方法であればよく、基材上に感光性層を形成する工程と、上記感光性層をパターン露光する工程と、露光された上記感光性層を現像(特に、アルカリ現像)する工程と、をこの順に含むことが好ましい。なお、上記現像が有機溶剤現像である場合、得られたパターンを更に露光する工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法の具体的な実施形態としては、実施形態1及び 実施形態2のパターン形成方法が挙げられる。
以下において、実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法の各工程に ついて詳述する。
<<<実施形態1のパターン形成方法>>>
実施形態1のパターン形成方法は、工程X1~工程X3を有する。なお、下記工程X2は、露光により、感光性層中のポリマーAに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。ただし、工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、工程X3の後に更に工程X4を有する。
工程X1:基材上に感光性層を形成する工程
工程X2:感光性層をパターン状に露光(パターン露光)する工程
工程X3:感光性層を、現像液を用いて現像する工程
工程X4:工程X3の現像工程の後に、更に、現像により形成されたパターンを露光する工程
実施形態1のパターン形成方法においては、工程X1により、基材と感光性層とを有する積層体が形成される。次いで、得られた積層体の感光性層に対して工程X2(露光処理)を実施すると、露光部においてカルボキシ基の含有量が減少する。一方で、未露光部においては、カルボキシ基の含有量は、概ね変化しない。すなわち、上記工程X2を経ることで、感光性層の露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が生じ得る。その結果、続く工程X3(現像工程)において、現像液がアルカリ現像液である場合、感光性層の未露光部がアルカリ現像液に溶解除去されてネガ型のパターンを形成できる。なお、上記工程X2を実施することにより露光部(残膜)におけるカルボキシ基の含有量が減少していることから、形成されるパターンは、低透湿性に優れる。
一方で、工程X3の現像液が有機溶剤現像液である場合、感光性層の露光部が現像液に溶解除去されてポジ型のパターンが形成されるので、続く工程X4により上記パターンを露光してカルボキシ基の含有量を減少させる処理を実施する。工程X4を経て形成されるパターンは、低透湿性に優れる。
つまり、実施形態1のパターン形成方法は、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する機構を有する感光性層により、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が低減され、比誘電率が低いパターンの形成を可能としている。
なかでも、実施形態1のパターン形成方法は、アルカリ現像液を使用した現像方法に対して好適である。露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する機構を有する感光性層により、アルカリ現像液に対する優れたパターン形成性を有しながら、カルボキシ基の含有量が低減され、比誘電率が低いパターンの形成が可能となる。また、実施形態1のパターン形成方法がアルカリ現像液を使用した現像を実施する場合、感光性層は、更に重合性化合物(ラジカル重合性化合物)を含んでいるのも好ましい。
工程X3の現像液としてアルカリ現像液を使用する場合、上記感光性層は、実施形態Y-1-a1及び実施形態Y-1-a2の感光性組成物を用いて形成されることが好ましい。
また、工程X3の現像液として有機溶剤系現像液を使用する場合、上記感光性層は、実施形態Y-1-a1の感光性組成物を用いて形成されることが好ましい。
<<<工程X1>>>
実施形態1のパターン形成方法は、基材上に感光性層を形成する工程を有する。
<<基材>>
基材としては特に制限されず、例えば、ガラス基板、シリコン基板、及び樹脂基板、並びに、導電層を有する基板が挙げられる。導電層を有する基板が含む基板としては、ガラス基板、シリコン基板、及び樹脂基板が挙げられる。
上記基材は、透明であることが好ましい。
上記基材の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
上記基材は、ガラス基板等の透光性基板で構成されていてもよく、例えば、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラス等も使用できる。また、上記基材に含まれる材料としては、特開2010-086684号公報、特開2010-152809号公報、及び特開2010-257492号公報に用いられている材料も好ましい。
上記基材が樹脂基板を含む場合、樹脂基板としては、光学的な歪みが小さい及び/又は透明度が高い樹脂フィルムを使用することがより好ましい。具体的な素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、及びシクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
導電層を有する基板が含む基板としては、ロールツーロール方式で製造する点から、樹脂基板が好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。
導電層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層が挙げられる。
導電層としては、導電性及び細線形成性の点から、金属層、導電性金属酸化物層、グラフェン層、カーボンナノチューブ層、及び導電ポリマー層からなる群より選ばれる1種以上の層が好ましく、金属層がより好ましく、銅層又は銀層が更に好ましい。
また、導電層を有する基板中の導電層は、1層であっても、2層以上であってもよい。
導電層を有する基板が、導電層を2層以上含む場合、各導電層は、互いに異なる材質の導電層であることが好ましい。
導電層の材料としては、金属単体及び導電性金属酸化物等が挙げられる。
金属単体としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo、Ag、及びAu等が挙げられる。
導電性金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、及びSiOが挙げられる。なお、「導電性」とは、体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることをいい、体積抵抗率が1×10Ωcm未満が好ましい。
導電層を有する基板中の導電層が2層以上である場合、導電層のうち少なくとも一つの導電層は導電性金属酸化物を含むことが好ましい。
導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
また、導電層は、透明層であることが好ましい。
<<工程X1の手順>>
工程X1は、基材上に上記感光性組成物または上記転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程であることが好ましい。
感光性組成物を用いて感光性層を形成する方法としては、基材上に感光性組成物を塗布して、必要に応じて塗膜を乾燥させて、基材上に感光性層を形成する方法が挙げられる。このような基材上に感光性層を形成する方法としては、例えば、転写フィルムの説明中で上述した感光性層の形成方法と同様の方法が挙げられる。
また、転写フィルムを用いて感光性層を形成する方法としては、工程X1は、転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと基材とを貼り合わせる工程であることが好ましい。このような工程を特に工程X1bともいう。
上記工程X1bは、ロール等による加圧及び加熱による貼り合わせ工程であるのが好ましい。貼り合わせには、ラミネーター、真空ラミネーター、及びオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
工程X1bは、ロールツーロール方式により行われることが好ましく、このため、転写フィルムを貼り合わせる対象となる基材は、樹脂フィルム、又は導電性層を有する樹脂フィルムであるのが好ましい。
以下において、ロールツーロール方式について説明する。
ロールツーロール方式とは、基材として、巻き取り及び巻き出しが可能な基材を用い、本発明のパターン形成方法に含まれるいずれかの工程の前に、基材を巻き出す工程(「巻き出し工程」ともいう。)と、いずれかの工程の後に、基材を巻き取る工程(「巻き取り工程」ともいう。)と、を含み、少なくともいずれかの工程(好ましくは、全ての工程、又は加熱工程以外の全ての工程)を、基材を搬送しながら行う方式をいう。
巻き出し工程における巻き出し方法、及び巻き取り工程における巻取り方法としては、特に制限されず、ロールツーロール方式を適用する製造方法において、公知の方法を用いればよい。
<<工程X2>>
実施形態1のパターン形成方法は、上記工程X1の後、感光性層をパターン露光する工程(工程X2)を含む。工程X2は、露光により、感光性層中のポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、感光性層中の化合物βを励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に制限されない。
例えば、実施形態1のパターン形成方法を回路配線の製造に適用する場合、実施形態1のパターン形成方法により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくできる点から、パターンの少なくとも一部(特に、タッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分に相当する部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
露光に使用する光源としては、感光性層中のポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させることが可能な波長域の光(化合物βを励起させる波長の光。例えば、感光性層が上述の感光性層である場合、254nm、313nm、365nm、405nm等の波長域の光が挙げられる。)を照射するものであれば、適宜選定し得る。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及びLED(Light Emitting Diode)が挙げられる。
露光量としては、10~10000mJ/cmが好ましく、50~3000mJ/cmがより好ましい。
工程X1が工程X1bであった場合、工程X2においては、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止、及びマスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたダイレクト露光でもよい。
なお、工程X1が工程X1bであった場合、後述する工程X3の前には、感光性層から仮支持体は剥離する。
<<工程X3>>
実施形態1のパターン形成方法は、上記工程X2の後、パターン露光された感光性層を、現像液(アルカリ現像液又は有機溶剤系現像液)を用いて現像する工程(工程X3)を含む。
工程X2を経た感光性層は、露光部の感光性層中のカルボキシ基の含有量が減少することにより、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が生じている。感光性層に溶解コントラストが形成されることで、工程X3においてパターンの形成が可能となる。なお、上記工程X3の現像液がアルカリ現像液である場合、上記工程X3を実施することで、未露光部が除去されてネガパターンが形成される。一方、上記工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、上記工程X3を実施することで露光部が除去されてポジパターンが形成される。得られたポジパターンに対しては、後述する工程X4により、ポリマーAに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる処理を実施する必要がある。
(アルカリ現像液)
アルカリ現像液としては、感光性層の未露光部を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5-072724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を使用できる。
アルカリ現像液としては、pKa=7~13の化合物が0.05~5mol/Lの濃度のアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。
また、アルカリ現像液は、更に水溶性の有機溶剤及び界面活性剤を含んでいてもよい。アルカリ現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が好ましい。
(有機溶剤系現像液)
有機溶剤系現像液としては、感光性層の露光部を除去することができれば特に制限はなく、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤等の有機溶剤を含む現像液を使用できる。
有機溶剤系現像液において、有機溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤又は水と混合し使用してもよい。ただし、有機溶剤系現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。有機溶剤系現像液における有機溶剤(複数混合の場合は合計)の濃度は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。なお、上限値としては、例えば、100質量%以下である。
現像方式としては特に制限はなく、パドル現像、シャワー現像、スピン現像、及びディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の感光性層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、不要部分を除去できる。また、現像の後に、洗浄剤等をシャワーにより吹き付け、ブラシ等で擦りながら、現像残渣を除去することも好ましい。現像液の液温度としては、20~40℃が好ましい。
実施形態1のパターン形成方法は、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークは8.1~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、50.66kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、111.46kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが更に好ましい。
ポストベークの温度は、80~250℃が好ましく、110~170℃がより好ましく、130~150℃が更に好ましい。
ポストベークの時間は、1~60分が好ましく、2~50分がより好ましく、5~40分が更に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
<<工程X4>>
上記工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、得られたパターンに対して工程X4を実施する。工程X4は、工程X3で得られたパターンを露光し、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、化合物βを励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
露光に使用する光源及び露光量としては、工程X1にて述べた光源及び露光量と同じであり、好適態様も同じである。
<<<実施形態2のパターン形成方法>>>
実施形態2のパターン形成方法は、工程Y1、工程Y2P、及び工程Y3をこの順で有し、更に、工程Y2Q(工程Y2Pにおいて露光された感光性層を、更に、露光する工程)を、工程Y3の前又は工程Y3の後に有する。
工程Y1:基材上に感光性層を形成する工程
工程Y2P:感光性層を、露光する工程
工程Y3:感光性層を、現像液を用いて現像する工程
実施形態2のパターン形成方法としては、感光性層が、更に、光重合開始剤及び重合性化合物を含む場合に適用可能な態様に該当する。
実施形態2のパターン形成方法において、工程Y2P及び工程Y2Qにおいて露光処理を実施するが、露光処理のうちいずれかは、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光であり、露光処理のうちいずれかは、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光に該当する。また、露光処理は、全面露光及びパターン露光のいずれであってもよいが、露光処理のうちのいずれかはパターン露光である。
例えば、工程Y2Pが露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液はアルカリ現像液であってもよく有機溶剤系現像液であってもよい。ただし、有機溶剤系現像液で現像をする場合、工程Y2Qは、通常、工程Y3の後に実施される。工程Y2Qを実施することで、現像された感光性層(パターン)において、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起されるとともに、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する。
また、例えば、工程Y2Pが光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液は、通常、アルカリ現像液である。この場合、工程Y2Qは、工程Y3の前後のいずれで実施されてもよく、工程Y3の前に実施される場合の工程Y2Qは、通常、パターン露光である。
実施形態2のパターン形成方法としては、なかでも、工程Y1、工程Y2A、工程Y3及び工程Y2Bをこの順に有しているのが好ましい。なお、工程Y2A及び工程Y2Bの一方は、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程であり、他方は光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程に該当する。
工程Y1:転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと基材とを貼り合わせる工程
工程Y2A:感光性層をパターン露光する工程
工程Y3:感光性層を、アルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された感光性層を形成する工程
工程Y2B:パターン化された感光性層を露光する工程
以下において、工程Y2Aが光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であり、工程Y2Bが露光によりポリマーAに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程である態様を一例として、実施形態2のパターン形成方法の構成及び作用機構について説明する。
実施形態2のパターン形成方法においては、工程Y1により、基材と感光性層とを有する積層体が形成される。次いで、得られた積層体の感光性層に対して工程Y2Aの露光工程を実施すると、露光部において重合性化合物の重合反応(硬化反応)が進行し、続く工程Y3の現像工程において、感光性層の未露光部がアルカリ現像液に溶解除去されてネガ型のパターン状の感光性層(硬化層)が形成される。そして工程Y4において、工程Y3で得られたパターン化した感光性層を露光(好ましくは全面露光)し、感光性層中のカルボキシ基の含有量を減少させる。
つまり、実施形態2のパターン形成方法においては、工程Y2Aのアルカリ現像工程の際には、感光性層中に所定量のカルボキシ基が存在することから、感光性層はアルカリ現像液に対する優れたパターン形成性を有する。更に、工程Y4において感光性層中のカルボキシ基の含有量を減少させることで、比誘電率が低いパターンを形成している。すなわち、実施形態2のパターン形成方法は、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する機構を有する感光性層により、アルカリ現像液に対する優れたパターン形成性を有しながら、カルボキシ基の含有量が低減され、比誘電率が低いパターンの形成を可能としている。
上記では工程Y2Aが、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であり、工程Y2Bが、露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程である態様を説明したが、工程Y2Aと工程Y2Bとを入れ替えた態様においても同様の作用機構が得られる。
実施形態2のパターン形成方法としては、上述したとおり、感光性層が、更に、光重合開始剤及び重合性化合物を含む場合に好適に適用できる。したがって、実施形態2のパターン形成方法は、上述した実施形態Y-1-a3の感光性組成物を用いて形成される感光性層を含む転写フィルムに適用されるのが好ましい。
以下において、実施形態2のパターン形成方法について説明するが、工程Y1及び工程Y3については、工程X1及び工程X3とそれぞれ同様であり、説明を割愛する。
なお、工程Y3は、少なくとも工程Y2Pよりも後に実施されていればよく、工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施されていてもよい。
なお、実施形態2のパターン形成方法は、工程Y3の後、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。ポストベーク工程については、上述した実施形態1のパターン形成方法が有していてもよいポストベーク工程と同様の方法により実施できる。工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施される場合、ポストベーク工程は、工程Y3の後に実施されていれば、工程Y2Qの前に実施されていてもよいし、工程Y2Qの後に実施されていてもよい。
<<工程Y2P、工程Y2Q>>
実施形態2のパターン形成方法は、工程Y1を経た感光性層を露光する工程(工程Y2P)と、露光された感光性層を、更に、露光する工程(工程Y2Q)とを含む。
露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち一方は、主に、露光によりポリマーAに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光であり、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち他方は、主に、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光に該当する。また、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)は、それぞれ、全面露光及びパターン露光のいずれであってもよいが、露光処理のうちのいずれかはパターン露光である。
例えば、工程Y2Pが露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液はアルカリ現像液であってもよく有機溶剤系現像液であってもよい。ただし、有機溶剤系現像液で現像をする場合、工程Y2Qは、通常、工程Y3の後に実施され、現像された感光性層(パターン)において、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起されるとともに、ポリマーAが有するカルボキシ基の含有量が減少する。
また、例えば、工程Y2Pが光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液は通常アルカリ現像液である。この場合、工程Y2Qは、工程Y3の前後のいずれで実施されてもよく、工程Y3の前に実施される場合の工程Y2Qは、通常パターン露光である。
工程Y2P及び工程Y2Qにおいて、露光に使用する光源としては、感光性層中のポリマーAに由来するカルボキシ基の含有量を減少させることが可能な波長域の光(化合物βを励起させる波長の光。例えば、感光性層が上述の感光性層である場合、254nm、313nm、365nm、405nm等の波長域の光が挙げられる。)、又は、感光性層中の光重合開始剤に基づく重合性化合物の反応を生起させることが可能な波長域の光(光重合開始剤を感光させる波長の光。例えば、254nm、313nm、365nm、405nm等)を照射するものであれば、適宜選定し得る。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及びLED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。
感光性層中のポリマーAが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光において、露光量としては、10~10000mJ/cmが好ましく、50~3000mJ/cmがより好ましい。
感光性層中の光重合開始剤に基づく重合性化合物の反応を生起させるための露光において、露光量としては、5~200mJ/cmが好ましく、10~150mJ/cmがより好ましい。
工程Y1が転写フィルムを用いる場合、工程Y2P及び工程Y2Qにおいては、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止、及びマスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたダイレクト露光でもよい。
露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に制限されない。
例えば、実施形態2のパターン形成方法を回路配線の製造に適用する場合、実施形態2のパターン形成方法により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくできる点から、パターンの少なくとも一部(特に、タッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分に相当する部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
〔実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法が有していてもよい任意の工程〕
実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法は、上述した以外の任意の工程(その他の工程)を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に制限されない。
<<カバーフィルム剥離工程>>
上記パターン形成方法は、転写フィルムがカバーフィルムを有する場合、上記転写フィルムのカバーフィルムを剥離する工程(以下、「カバーフィルム剥離工程」ともいう。)を含むことが好ましい。カバーフィルムを剥離する方法は特に制限されず、公知の方法を適用できる。
<<可視光線反射率を低下させる工程>>
基材が導電層を有する基板である場合、上記パターン形成方法は、更に、導電層の可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。なお、上記基板が複数の導電層を有する基板である場合、可視光線反射率を低下させる処理は、一部の導電層に対して実施してもよいし、全ての導電層に対して実施してもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理が挙げられる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<<その他の実施形態>>
上記パターン形成方法は、両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有する基板を用い、両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時にパターン形成することも好ましい。
このような構成により、基板の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成できる。ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
〔パターン〕
上述した実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法により形成されるパターンは、カルボキシ基の含有量が低減されているため、極性が低く、透湿性及び比誘電率が低い。
上記パターン中のカルボキシ基の含有量は、工程X1又は工程Y1で形成される感光性層中のカルボキシ基の含有量に対して、5モル%以上減少していることが好ましく、10モル%以上減少していることがより好ましく、20モル%以上減少していることが更により好ましく、31モル%以上減少していることが更に好ましく、40モル%以上減少していることが特に好ましく、51モル%以上減少していることが特により好ましく、71モル%以上減少していることが最も好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100モル%以下である。
上記パターンの透湿度は、工程X1又は工程Y1で形成される感光性層の透湿度に対して、5%以上減少していることが好ましく、10%以上減少していることがより好ましく、20%以上減少していることが更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100%以下である。
上記パターンの比誘電率は、工程X1又は工程Y1で形成される感光性層の比誘電率に対して、5%以上減少していることが好ましく、10%以上減少していることがより好ましく、15%以上減少していることが更に好ましく、20%以上減少していることが特に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100%以下である。
上述したパターン形成方法により形成されるパターンの平均厚さとしては、0.5~20μmが好ましい。パターンの平均厚さとしては、0.8~15μmがより好ましく、1.0~10μmが更に好ましい。
上述したパターン形成方法により形成されるパターンは無彩色であることが好ましい。具体的には、全反射(入射角8°、光源:D-65(2°視野))が、CIE1976(L)色空間において、パターンのL値は10~90であることが好ましく、パターンのa値は-1.0~1.0であることが好ましく、パターンのb値は-1.0~1.0であることが好ましい。
上述したパターン形成方法により形成されるパターンの用途としては特に制限されず、各種の保護膜又は絶縁膜として使用できる。
具体的には、導電パターンを保護する保護膜(永久膜)としての用途、導電パターン間の層間絶縁膜としての用途、及び、回路配線の製造の際のエッチングレジスト膜としての用途等が挙げられる。上記パターンは低透湿性に優れ、比誘電率が低いことから、なかでも、導電パターンを保護する保護膜(永久膜)又は導電パターン間の層間絶縁膜としての用途が好ましい。導電パターンとしては、表示装置の配線、撮像装置の配線、入力装置の配線、各種プリント配線、及び、半導体パッケージの配線等が挙げられる。
なお、上記パターンは、例えば、タッチパネル内部に設けられた、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分、及び取り出し配線部分の配線等の導電パターンを保護する保護膜(永久膜)又は導電パターン間の層間絶縁膜としての用途として使用できる。
[回路配線の製造方法]
本発明の回路配線の製造方法は、上述の感光性組成物または転写フィルムを使用した回路配線の製造方法であれば特に制限されないが、導電層を有する基板上に、感光性組成物または転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程(感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程(現像工程)と、パターンが配置されていない領域における上記導電層に、エッチングする工程(エッチング工程)、又は、めっきする工程(めっき工程)と、パターンを剥離する工程(剥離工程)と、更に、めっきする工程を有する場合、パターンを剥離する工程によって露出した導電層を除去し、基板上に配線パターンを形成する工程(除去工程)とを有することが好ましい。
本発明の回路配線の製造方法において、感光性層形成工程、第1の露光工程、及び、アルカリ現像工程は、いずれも上述した実施形態1のパターン形成方法の工程X1、工程X2、及び、工程X3と同様の手順により実施できる。
また、感光性層が実施形態Y-1-a3の感光性組成物の場合、現像処理の前後において、パターンを露光する処理(第2の露光処理)をさらに実施してもよい。第2の露光処理は、上述した実施形態2のパターン形成方法の工程Y2Qと同様の手順により実施できる。
また、本発明の回路配線の製造方法において使用される導電層を有する基板は、上述した工程X1で使用される導電層を有する基板と同様である。また、本発明の回路配線の製造方法は、上述の工程以外のその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、第1実施形態及び第2実施形態のパターン形成方法が有していてもよい任意の工程と同様のものが挙げられる。
本発明の回路配線の製造方法は、上記貼り合わせ工程、上記第1の露光工程、上記現像工程、上記第2の露光工程、及び上記エッチング工程の4工程を1セットとして、複数回繰り返す態様であることも好ましい。
エッチングレジスト膜として使用した膜は、形成された回路配線の保護膜(永久膜)としても使用できる。
以下、エッチング工程、めっき工程、剥離工程、及び、除去工程について詳述する。
<<エッチング工程>>
エッチング工程は、パターンが配置されていない領域における上記導電層に、エッチングする工程である。
エッチング処理の方法としては、特開2010-152155号公報の段落0048~0054等に記載のウェットエッチングによる方法、及び公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法等を適用できる。
例えば、エッチング処理の方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、及びリン酸等の酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、又は過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に制限されないが、45℃以下が好ましい。本発明の回路配線の製造方法において、エッチングレジスト膜として使用される、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3により形成されたパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。上記構成により、エッチング工程中にエッチングレジスト膜が剥離することが防止され、エッチングレジスト膜の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチング処理された基板を洗浄する洗浄工程、及び洗浄された基板を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。
<<めっき工程>>
めっき工程は、パターンが配置されていない領域にある導電層(現像工程によって表面に露出した導電層)上に、めっき処理によってめっき層を形成する工程である。
めっき処理の方法としては、例えば、電解めっき法及び無電解めっき法が挙げられ、生産性の点から、電解めっき法が好ましい。
めっき工程を実施すると、導電層を有する基板上に、パターンが配置されていない領域(パターンの開口部)と同様のパターン形状を有するめっき層が得られる。
めっき層に含まれる金属としては、例えば、公知の金属が挙げられる。
具体的には、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず及び亜鉛等の金属、並びに、これらの金属の合金が挙げられる。
なかでも、めっき層は、銅又はその合金を含むことが好ましい。また、めっき層は、主成分として銅を含むことが好ましい。
めっき層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。上限は、20μm以下が好ましい。
<<保護層形成工程>>
めっき処理工程と後述の剥離工程との間に、保護層形成工程を有することも好ましい。
保護層積層工程は、めっき層の上に保護層を形成する工程である。
保護層の材料としては、剥離工程及び/又は除去工程における剥離液及び/又はエッチング液に対する耐性を有する材料が好ましい。例えば、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、マグネシウム、金、銀等の金属、これらの合金及び樹脂が挙げられ、ニッケル又はクロムが好ましい。
保護層の形成方法としては、例えば、無電解めっき法、電気めっき法等が挙げられ、電気めっき法が好ましい。
保護層の厚みは、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。上限は、3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。
<<剥離工程>>
剥離工程は、パターンを剥離する工程である。
パターンを剥離する方法としては、例えば、薬品処理により除去する方法が挙げられ、剥離液を用いて除去する方法が好ましい。
パターンを剥離する方法としては、例えば、剥離液を用いて、スプレー法、シャワー法及びパドル法等の公知の方法により除去する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、アルカリ性化合物を、水、ジメチルスルホキシド及びN-メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つに溶解させた剥離液が挙げられる。
アルカリ性化合物(水に溶解してアルカリ性を示す化合物)としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ性無機化合物、並びに、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物等のアルカリ性有機化合物が挙げられる。
剥離方法の好適態様としては、液温が50~80℃である撹拌中の剥離液に、除去対象のパターンを有する基板を1~30分間浸漬する方法が挙げられる。
<<除去工程>>
めっき工程を有する場合、除去工程を有することが好ましい。
除去工程は、剥離工程によって露出した導電層を除去して、基板上に配線パターンを得る工程である。
なお、除去工程では、めっき工程によって形成されためっき層をエッチングレジストとして使用し、非パターン形成領域(換言すると、めっき層で保護されていない領域)に位置する導電層のエッチング処理を行う。
導電層の一部を除去する方法としては特に制限されないが、公知のエッチング液を使用するのが好ましい。
公知のエッチング液の一態様としては、例えば、塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、アンモニアアルカリ溶液、硫酸-過酸化水素混合液、及び、リン酸-過酸化水素混合液等が挙げられる。
除去工程を行うと、基板上から表面に露出していた導電層が除去されるとともに、パターン形状を有するめっき層(配線パターン)が残存し、配線パターンを有する積層体が得られる。
形成される配線パターンの線幅は、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。下限は、1μm以上の場合が多い。
[タッチパネルの製造方法]
本発明のタッチパネルの製造方法は、上述の感光性組成物または転写フィルムを使用したタッチパネルの製造方法であれば特に制限されないが、導電層(好ましくはパターン化された導電層であり、具体的には、タッチパネル電極パターン又は配線等の導電パターン)を有する基板上に、感光性組成物または転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程(感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程(アルカリ現像工程)とを有することが好ましい。
保護膜は、導電層の表面を保護する膜としての機能を有する。また、絶縁膜は、導電層間の層間絶縁膜としての機能を有する。
本発明のタッチパネルの製造方法において、感光性層形成工程、第1の露光工程、及び、アルカリ現像工程は、いずれも上述した実施形態1のパターン形成方法の工程X1、工程X2、及び、工程X3と同様の手順により実施できる。
また、感光性層が実施形態Y-1-a3の感光性組成物の場合、現像処理の前後において、パターンを露光する処理(第2の露光処理)をさらに実施してもよい。第2の露光処理は、上述した実施形態2のパターン形成方法の工程Y2Qと同様の手順により実施できる。
なお、上記第2の露光処理を実施する場合、本発明のタッチパネルの製造方法は、更に、形成された絶縁膜上に導電層(好ましくはパターン化された導電層であり、具体的には、タッチパネル電極パターン又は配線等の導電パターン)を形成する工程を有するのが好ましい。
また、本発明の回路配線の製造方法において使用される導電層を有する基板は、上述した工程X1で使用される導電層を有する基板と同様である。その他の工程としては、第1実施形態及び第2実施形態のパターン形成方法が有していてもよい任意の工程と同様のものが挙げられる。
本発明のタッチパネルの製造方法としては、上述した態様以外の構成は、公知のタッチパネルの製造方法を参照できる。
本発明のタッチパネルの製造方法により製造されたタッチパネルは、透明基板と、電極と、保護層(保護膜)とを有することが好ましい。
上記タッチパネルにおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び光学方式等公知の方式いずれでもよい。なかでも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、特開2012-089102号公報の図1及び図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-054727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)、及び各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1F等)等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
なお、以下の実施例において、ポリマーAの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
以下の実施例において、特に断りのない限り、高圧水銀ランプとしては、アイグラフィックス社製 H03-L31を使用した。上記高圧水銀ランプは、波長365nmを主波長として、波長254nm、波長313nm、波長405nm及び波長436nmに強い線スペクトルを有する。また、特に断りのない限り、超高圧水銀ランプとしては、USHIO電気社製 USH-2004MBを使用した。上記超高圧水銀ランプは、波長313nm、波長365nm、波長405nm及び波長436nmに強い線スペクトルを有する。
[実施例1系]
<感光性組成物の各成分>
(ポリマーA)
・スチレン/アクリル酸共重合体A:組成比がスチレンに由来する繰り返し単位/アクリル酸に由来する繰り返し単位=63/37(モル比)、ARUFON UC3910(商品名)、Mw8,000、酸価218mgKOH/g、カルボキシ基の含有量3.89mmol/g、ガラス転移温度85℃、東亞合成社製)
(化合物β)
・フェナントレン
・4-シアノ安息香酸メチル
・ビフェニル
・1,4-ジシアノナフタレン
・N-ブチルフタルイミド
・アクリジニウム塩A:下記化合物(東京化成社製)
・イリジニウム錯体A:下記化合物(東京化成社製)
Figure 2023031733000016
(塩基性化合物)
・DBU:ジアザビシクロウンデセン
<感光性組成物の調製>
表1に示す成分及び含有量で、かつ、最終的に得られる感光性組成物の固形分濃度が20質量%になるように、ジメチルホルムアミド/プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルエチルケトン=25/25/50(質量比)の混合溶剤に、混合及び溶解させて混合液を得た。上記混合液に、界面活性剤としてメガファックF551(フッ素含有ノニオン系界面活性剤、DIC社製)を、感光性組成物の全固形分に対して、100質量ppmの濃度になるように添加して、各実施例又は各比較例の感光性組成物を調製した。なお、表中に示した配合量(質量部)は、各成分の固形分量である。
<感光性組成物の評価>
(感光性層の作製)
各実施例又は各比較例の感光性組成物を、シリコンウェハにスピン塗布し、その後、ホットプレートを用いて得られた塗膜を100℃で乾燥して、膜厚5μmの感光性層を得た。
得られた感光性層を以下のように評価した。
(カルボキシ基消費率評価(IR測定))
高圧水銀ランプを用いて、得られた感光性層を全面露光した。波長365nmの照度計で計測した積算露光量は1000mJ/cmであった。
露光前、及び、露光後にそれぞれ感光性層のIR(Infrared)スペクトルを測定し、カルボキシ基のC=O伸縮のピーク(1710cm-1のピーク)の減少率からカルボキシ基消費率(モル%)を算出した。なお、カルボキシ基消費率が高いほど脱炭酸反応が進行していることを表す。
感光性組成物が化合物βを含むことによって露光によりポリマーAが有するカルボキシ基の量を減少させることができることが確認された。
(パターン形成性評価1)
得られた感光性層を、ラインサイズ=25μmであり、かつ、ライン:スペース=1:1であるマスクを介して露光した。波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、1000mJ/cmであった。
露光された感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で30秒間ディップ現像したのち、純水で20秒間リンス及び乾燥し、パターン(ラインアンドスペースパターン)を得た。上記で作製されたラインアンドスペースパターンを観察し、以下のように評価した。
A:ラインアンドスペースパターンが解像しており(スペース部の感光性層が除去できており)、パターンは膜減りしていない。
B:ラインアンドスペースパターンが解像しているが、パターンはわずかに膜減りが見られた。
C:ラインアンドスペースパターンが解像しているが、パターンは大きく膜減りが見られた。
D:ラインアンドスペースパターンは解像していなかった(スペース部の感光性層が残っていたか、又は、パターンが全て溶解して消失していた)。
(比誘電率の測定)
アルミ基板上に、各実施例又は各比較例の感光性組成物をスピン塗布して塗膜を形成し、ホットプレートを用いて得られた塗膜を100℃で乾燥して、膜厚5μmの感光性層を得た。次に、感光性層を、高圧水銀ランプを用いて全面露光した。波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、1000mJ/cmであった。
露光後の感光性層について、LCRメータ4284A(Agilent社製)、及び、誘電体テスト・フィクスチャ16451Bを用いて、1kHzにおける比誘電率を、23℃、50%RH環境下で測定した。
比較例1-Aの感光性組成物を用いて形成された感光性層の露光後の比誘電率を100%とし、これと比較して、各実施例の感光性組成物を用いて形成された感光性層の露光後の比誘電率がどれだけ減少しているか減少率を算出し、下記基準に従って評価した。
減少率の値が大きいほど、比較例1-Aに対して比誘電率が低下しており、絶縁膜として有用である。
A:減少率が20%以上
B:減少率が15%以上20%未満
C:減少率が10%以上15%未満
D:減少率が5%以上10%未満
E:減少率が5%未満
Figure 2023031733000017
表に示す結果から、本発明の感光性組成物は、所望も効果が得られることが確認された。
感光性組成物が、要件A1、要件B1及び要件C1からなる群から選択される少なくとも1つを満たす(好ましくは要件A1を満たす)場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1-1~1-6の比較等)。
感光性組成物が、更に塩基性化合物を含む場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1-1及び1-2の比較等)。
[実施例2系]
<転写フィルムの成分>
(ポリマーA-1の合成)
-重合工程-
プロピレングリコールモノメチルエーテル(113.5g)をフラスコに仕込み、窒素気流下90℃にて加熱した。得られた溶液に、スチレン(172g)、メタクリル酸メチル(4.7g)、及びメタクリル酸(112.1g)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(30g)に溶解させた溶液、及び、重合開始剤V-601(富士フイルム和光純薬社製)(27.6g)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(57.7g)に溶解させた溶液を、同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた溶液に、1時間おきに3回V-601(2.5g)を添加した。その後、更に溶液を3時間反応させた。
-付加工程-
上記重合工程後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(160.7g)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(233.3g)で重合後の溶液を希釈して希釈溶液を得た。得られた希釈溶液に対して、空気気流下、反応液を100℃に昇温し、テトラエチルアンモニウムブロミド(1.8g)及びp-メトキシフェノール(0.86g)を更に添加した。その後、希釈溶液に、グリシジルメタクリレート(ブレンマーGH、日油社製)(71.9g)を、更に20分間かけて滴下した。次に、得られた溶液を100℃で7時間反応させ、ポリマーA-1が溶解した溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度は36.3質量%であった。ポリマーA-1の重量平均分子量は、GPCにおける標準ポリスチレン換算で18000であり、ポリマーA-1の分散度は2.4であり、ポリマーA-1の酸価は124mgKOH/gであった。
また、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した残存モノマー量は、いずれのモノマーにおいても、ポリマーA-1の固形分に対して、0.1質量%未満であった。
(ポリマーA-2~A-7及びAb0-1の合成)
表に示すとおりに、各ポリマーに含まれる各構造単位を得るためのモノマーの種類及び各繰り返し単位の含有量及び重合開始剤の含有量等を変更した以外は、ポリマーA-1の合成と同様にして、ポリマーA-2~A-7及びAb0-1を合成した。ポリマーA-5~A-7及びAb0-1は付加工程を行わず、重合工程のみを行った。いずれのポリマーも、ポリマー溶液として合成し、かつ、ポリマー溶液におけるポリマーの濃度(固形分濃度)が36.3質量%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で希釈した。ポリマーAb0-1は要件B2を満たすポリマーである。
Figure 2023031733000018
(化合物β)
・フェナントレン
・4-シアノ安息香酸メチル
・ビフェニル
・1,4-ジシアノナフタレン
・N-ブチルフタルイミド
・アクリジニウム塩A:上述した化合物と同じ
・イリジウム錯体A:上述した化合物と同じ
(塩基性化合物)
・DBU:ジアザビシクロウンデセン
(重合性化合物)
・DPHA:ジペンエリスリトールヘキサアクリレート(A-DPH、新中村化学社製)
・A-NOD-N:1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学社製)
・DTMPT:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(KAYARAD T-1420(T)、日本化薬社製)
・A-DCP:ジシクロペンタンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学社製)
・TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学社製)
(光重合開始剤)
・OXE-02:Irgacure OXE02(オキシムエステル化合物、BASF社製)
・Omn907:Omnirad 907(アミノアセトフェノン化合物、IGM Resins B.V.社製)
・Api307:1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン(Shenzhen UV-ChemTech LTD社製)
(界面活性剤)
・F551:メガファックF551(DIC社製)
<転写フィルムの作製>
表2に示す成分及び含有量で混合し、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルエチルケトン(質量比25/25/50)を固形分濃度が25質量%となるように混合して感光性組成物を調製した。厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(16KS40(16QS62)、東レ社製)(仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、各実施例又は各比較例の感光性組成物を、乾燥後の厚みが5μmになるように調整して塗布し、100℃で2分間乾燥させ、感光性層を形成した。
得られた感光性層上に、厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(16KS40(16QS62)、東レ社製)(カバーフィルム)を圧着し、各転写フィルムを作製した。
(パターン形成性評価2)
上記で作製した転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、ITO層が積層されたガラス基板(ITO基材)にラミネートすることにより、ITO層の表面に転写フィルムの感光性層を転写し、「仮支持体/感光性層/ITO層/基板(ガラス)」の積層構造を有する積層体Cを得た。ラミネートの条件は、ITO基板の温度40℃、ゴムローラー温度(ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm及び搬送速度2m/分とした。ラミネート性は良好であった。ここで、ITO基材は、タッチパネルの電極基板を想定した基材である。得られた感光性層を、仮支持体越しにラインサイズ=25μmであり、且つ、ライン:スペース=1:1であるマスクを介して露光した。波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、1000mJ/cmであった。
仮支持体を剥離し、露光された感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で30秒間ディップ現像したのち、20秒間純水でリンス及び乾燥し、パターン(ラインアンドスペースパターン)を得た。上記で作製されたラインアンドスペースパターンを観察し、以下のように評価した。
A:ラインアンドスペースパターンが解像しており(スペース部の感光性層が除去できており)、パターンは膜減りしていない。
B:ラインアンドスペースパターンが解像しているが、パターンはわずかに膜減りが見られた
C:ラインアンドスペースパターンが解像しているが、パターンは大きく膜減りが見られた
D:ラインアンドスペースパターンは解像していなかった(スペース部の感光性層が残っていたか、又は、パターンが全て溶解して消失していた)
(比誘電率評価)
上記にて作製した転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、厚さ0.1mmのアルミ基板上に、上記(パターン形成性評価2)と同じ条件でラミネートし、「仮支持体/感光性層/アルミ基板」の積層構造を有する積層体を得た。ラミネートの条件は、基板の温度40℃、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。次に、積層体から仮支持体を剥離した。露出した感光性層に対して、高圧水銀ランプを用い、全面露光した。365nmの照度計で計測した積算露光量は1000mJ/cmであった。
露光後の感光性層について、LCRメータ4284A(Agilent社製)、及び、誘電体テスト・フィクスチャ16451Bを用いて、1kHzにおける比誘電率を、23℃、50%RH環境下で測定した。
比較例2-Aの感光性組成物を用いて形成された感光性層の露光後の比誘電率を100%とし、これと比較して、各実施例又は各比較例の感光性組成物を用いて形成された感光性層の露光後の比誘電率がどれだけ減少しているか減少率を算出し、下記基準に従って評価した。
減少率の値が大きいほど、比較例2-Aに対して比誘電率が低下しており、絶縁膜として有用である。
A:減少率が20%以上
B:減少率が15%以上20%未満
C:減少率が10%以上15%未満
D:減少率が5%以上10%未満
E:減少率が5%未満
Figure 2023031733000019
表に示す結果から、本発明の感光性組成物は、所望も効果が得られることが確認された。
感光性組成物が、要件A1、要件B1及び要件C1からなる群から選択される少なくとも1つを満たす(好ましくは要件A1を満たす)場合、又は、要件A2、要件B2及び要件C2からなる群から選択される少なくとも1つを満たす(好ましくは要件A2を満たす)場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例2-1~2-17の比較等)。
感光性組成物が、更に塩基性化合物を含む場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例2-1及び2-2の比較等)。
ポリマーAが重合性基を有する繰り返し単位を有する場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例2-2、2-3、2-7~2-12及び2-14~2-17の比較等)。
実施例2-1~2-17の転写フィルムの作製において、各実施例又の感光性組成物を、乾燥後の厚みが3.5μmになるように調整して塗布したこと以外は同様に作製、評価したところ、実施例2-1~2-17と同様の結果が得られた。
実施例2-1~2-17の転写フィルムの作製において、各実施例の感光性組成物を、乾燥後の厚みが8μmになるように調整して塗布したこと以外は同様に作製、評価したところ、実施例2-1~2-17と同様の結果が得られた。
[回路配線の製造]
表2の実施例の感光性組成物を用いて作成した転写フィルムからカバーフィルムを剥がして、厚さ188μmのPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にスパッタ法にて厚さ500nmの銅層を作製した銅層付きPET基板に感光性層がPET基板表面の銅層に接するように、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートして、積層体を得た。この時点で、積層体は、「PETフィルム-銅層-感光性層-仮支持体」の構成を有する。ここまでを、積層体作製段階とする。
次に、得られた積層体にライン(μm)/スペース(μm)が10/10フォトマスクを、積層体の仮支持体と密着させた。高圧水銀灯露光機(MAP-1200L、大日本科研社製、主波長:365nmの光)を用いて光を照射した。露光量は、現像後に得られるパターンが、10μmのラインアンドスペース形状を再現する露光量とした。
仮支持体を剥離後、28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液(pH=11.4)を現像液として使用して現像を行った。現像は、具体的には、シャワー処理を30秒間行い、AirKnife(エアナイフ)処理をして現像液を切った後、純水で30秒間シャワー処理をして、更にAirKnife処理を行った。
これにより、ライン幅:スペース幅=1:1の、ラインアンドスペース形状のパターンを有する積層体を得た。この時点で、積層体は、「PETフィルム-銅層-パターン」の構成を有する。このパターンを有する積層体を用いて、以下に示すめっき処理又はエッチング処理による配線パターン形成を行った。
(めっきによる配線パターン形成)
上記積層体を、硫酸銅めっき液(硫酸銅75g/L、硫酸190g/L、塩素イオン50質量ppm、メルテックス株式会社製、「カパーグリームPCM」、5mL/L)に入れ、1A/dmの条件で銅めっき処理を行った。
銅めっき処理後の上記積層体を水洗し乾燥した後、50℃の1質量%水酸化カリウム水溶液(pH=13.5)に浸漬することによりレジストパターンを剥離した。
その後、積層体が有する銅層(シード層)を0.1質量%硫酸、及び、0.1質量%過酸化水素を含む水溶液で除去し、銅配線パターンを得た。銅配線パターンの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、矩形でLWRの小さい銅パターンが形成できていた。
(エッチングによる配線パターン形成)
パターンを有する積層体を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒間エッチングし、更に、アルカノールアミン水溶液系剥離液(pH=13.1)を用いて40℃でパターンを剥離することで、銅配線がパターンニングされた基板(配線パターンを有する積層体)を得た。銅配線パターンの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、LWRの小さい銅パターンが形成できていた。
12:仮支持体
14:感光性層
16:カバーフィルム
100:転写フィルム

Claims (12)

  1. カルボキシ基を有するポリマーを含む感光性組成物であって、
    要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす、感光性組成物。
    要件1:前記感光性組成物が、要件A1、要件B1、要件C1及び要件D1からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
    要件A1:前記感光性組成物が、無置換又はハメット則のσp値が0以下の置換基を有する炭素数10以上の芳香族炭化水素構造を有する化合物A11、及び、ハメット則のσp値が0超の置換基を有する芳香族炭化水素構造を有する化合物A12を含む。
    要件B1:前記感光性組成物が、芳香族イミド構造を有する化合物を含む。
    要件C1:前記感光性組成物が、アクリジニウム構造を有する化合物及び(イソ)キノリニウム構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
    要件D1:前記感光性組成物が、イリジウム錯体を含む。
    要件2:前記感光性組成物が、要件A2、要件B2、要件C2及び要件D2からなる群から選択される少なくとも1つを満たす。
    要件A2:前記感光性組成物が前記化合物A11を更に含み、前記ポリマーが前記化合物A12から水素原子を1つ除いて形成される基を有するか、又は、前記感光性組成物が前記化合物A12を更に含み、前記ポリマーが前記化合物A11から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
    要件B2:前記ポリマーが、前記芳香族イミド構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
    要件C2:前記ポリマーが、前記アクリジニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基及び前記(イソ)キノリニウム構造を有する化合物から水素原子を1つ除いて形成される基からなる群から選択される少なくとも1つを有する。
    要件D2:前記ポリマーが、前記イリジウム錯体から水素原子を1つ除いて形成される基を有する。
  2. 前記要件A1を満たす、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記ポリマーが、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を有する、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4. 前記ポリマーが、重合性基を有する繰り返し単位を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. 更に、塩基性化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 更に、重合性化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 更に、光重合開始剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 前記光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びアミノアセトフェノン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項7に記載の感光性組成物。
  9. 仮支持体と、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成された感光性層と、を有する転写フィルム。
  10. 基材上に、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性組成物または請求項9に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
  11. 導電層を有する基板上に、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性組成物または請求項9に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における前記導電層に、エッチングする工程、又は、めっきする工程と、
    前記パターンを剥離する工程と、
    更に、前記めっきする工程を有する場合、前記パターンを剥離する工程によって露出した前記導電層を除去し、前記基板上に配線パターンを形成する工程と、をこの順に含む、回路配線の製造方法。
  12. 導電層を有する基板上に、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性組成物または請求項9に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された前記導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程と、をこの順に含む、タッチパネルの製造方法。
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