JP2023029131A - ポリエステル樹脂、およびその製造方法 - Google Patents

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拓也 村岡
Takuya MURAOKA
夢人 福林
Yumeto FUKUBAYASHI
淳記 山本
Atsunori Yamamoto
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Abstract

【課題】バインダー繊維として使用した際に、熱接着性等の糸質特性や、不織布等としたときの特性に優れるポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】ジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂である。全酸成分中、イソフタル酸の含有量が8~30モル%であり、グリコール成分が、エチレングリコールを含むとともに、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールを含み、全グリコール成分中、トリエチレングリコールの含有量が0.1モル%を超え5モル%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂、およびその製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステル樹脂は、機械的特性、化学的特性に優れており、広範な分野(例えば、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用等のフィルムまたはシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等)において使用されている。
さらに、ポリエステル樹脂を使用する用途として繊維があるが、まくらや寝装品用の詰め物、または不織布等を構成する繊維を接着する目的で、ホットメルト型バインダー繊維が広く使用されている。そして、ポリエステル系バインダー繊維として、共重合ポリエステル樹脂からなるものが知られている。例えば、特許文献1には、融点が130~200℃程度のバインダー繊維用の共重合ポリエステルが記載されている。
特開平09-12693号公報
そして近年では、熱接着性等の糸質特性や、不織布等とした際の特性がさらに向上されたポリエステル繊維が要望されている。また、ポリエステル樹脂をチップ化した際に、溶融紡糸時の加水分解を抑制することを目的として、通常、ポリエステル樹脂の乾燥を行うが、この乾燥時間の短縮化が望まれている。
本発明の目的は、熱接着性等の糸質特性や、不織布等とした際の特性にいっそう優れ、原料樹脂としての乾燥時間が短く、バインダー繊維に好適なポリエステル樹脂を得ることである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定組成を満足するポリエステル樹脂であれば、上記課題が解決された繊維が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下(1)~(11)の通りである。
(1)ジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂であって、全酸成分中、イソフタル酸の含有量が8~30モル%であり、グリコール成分が、エチレングリコールを含むとともに、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールを含み、全グリコール成分中、トリエチレングリコールの含有量が0.1モル%を超え5モル%以下である、ポリエステル樹脂。
(2)ガラス転移温度が50~65℃である、(1)のポリエステル樹脂。
(3)繊維化したときの融点が230℃以下である、(1)または(2)のポリエステル樹脂。
(4)テトラエチレングリコールの含有量が全グリコール成分中2.0モル%以下である、(1)~(3)の何れかのポリエステル樹脂。
(5)ジエチレングリコールの含有量が全グリコール成分中2.5モル%以上である、(1)~(4)の何れかのポリエステル樹脂。
(6)ジカルボン酸成分がイソフタル酸およびテレフタル酸のみからなる、(1)~(5)の何れかのポリエステル樹脂。
(7)硫黄成分の含有量が1~500ppmである、(1)~(6)の何れかのポリエステル樹脂。
(8)金属成分の含有量が1ppm以下である、(1)~(7)の何れかのポリエステル樹脂。
(9)(1)~(8)の何れかのポリエステル樹脂からなる、繊維。
(10) (1)~(8)のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂が鞘部に配され、ポリエチレンテレフタレート樹脂が芯部に配された芯鞘型複合断面である芯鞘複合繊維。
(11)(1)~(8)の何れかのポリエステル樹脂を製造する方法であって、ポリエステル原料に対して有機スルホン酸系化合物を添加し、グリコール成分のエーテル化反応を行う工程を含む、ポリエステル樹脂の製造方法。
(12)有機スルホン酸系化合物が、2-スルホ安息香酸無水物、o-スルホ安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、ベンゼンスルホン酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸メチル、5-スルホイソフタル酸、および、これらの塩から選択される1種類以上である、(11)のポリエステル樹脂の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂によれば、繊維とした場合の熱接着性等の糸質特性や不織布等とした場合の特性に優れる繊維を得ることができる。さらに本発明のポリエステル樹脂は、原料樹脂としての乾燥時間が短く、生産性に優れるものである。
以下、本発明のポリエステル樹脂を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる。
<グリコール成分>
本発明のポリエステル樹脂を構成するグリコール成分は、エチレングリコールを含むとともに、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールを含み、グリコール成分におけるトリエチレングリコールの含有量が0.1モル%を超え5.0モル%以下であることが必要である。
本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分がエチレングリコールとジエチレングリコールと所定量のトリエチレングリコールとを同時に含有し、トリエチレングリコールの含有量を特定範囲とすることで、繊維化したときの融点を好ましい範囲とすることができ、熱接着性を向上させることから、不織布等とした場合の特性に優れる繊維を得ることができる。また、ガラス転移温度を好ましい範囲とすることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるトリエチレングリコールの含有量が0.1モル%を超え5.0モル%以下であることが必要であり、0.2~4.0モル%であることが好ましく、0.3~3.5モル%であることがより好ましく、0.5~3.0モル%であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂は、トリエチレングリコールの含有量が0.1モル%以下であると、繊維化したときの融点を好ましい範囲とすることができず、熱接着性に劣ることから、不織布等とした場合の特性に劣るものとなる。一方、5.0モル%を超えると、耐熱性や糸質特性が低下し、また、ガラス転移温度が好ましい範囲を外れて、低くなる。
本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が50~65℃のものであることが好ましく、53~63℃であることがより好ましく、55~63℃であることがさらに好ましい。50℃未満であると、ポリエステル樹脂を乾燥する際に、高温で乾燥することができず、低温で乾燥する必要があることから、長時間の乾燥が必要となる。一方、ガラス転移温度が65℃を超えるようなポリエステル樹脂は、融点も高くなることから、熱接着性を発揮し難くなり、バインダー用途に適さない場合がある。
本発明のポリエステル樹脂は、熱接着性に優れる。熱接着性の指標として、繊維化したときの融点が、230℃以下であることが好ましい。特にバインダー繊維用途として用いる場合には、、繊維化したときの融点が190℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。なお、融点の下限は150℃程度がよい。本発明のポリエステル樹脂は、結晶性が良好であり、繊維化したときに明確な融点を有し、かつ融点が上記範囲のものであることにより、耐熱性を有するとともに、熱接着時の処理温度を低温に設定することができ、また、熱接着性を向上させることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、エチレングリコールは、全グリコール成分の70モル%以上であり、中でも80モル%以上であることが好ましい。エチレングリコールの含有量が70モル%未満であると、得られるポリエステル樹脂は、結晶性や耐熱性に劣るものとなる。
本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるジエチレングリコールの含有量が2.5モル%以上であることが好ましく、3.0モル%以上であることがより好ましく、5モル%以上であることがさらに好ましく、10モル%以上であることが特に好ましく、14モル%以上であることが最も好ましい。ポリエステル樹脂は、ジエチレングリコールの含有量が上記範囲であることにより、繊維化したときの融点が好ましい範囲となり、熱接着性がいっそう向上し、不織布等としたときの特性により優れるものとなる。グリコール成分におけるジエチレングリコールの含有量の上限は、25モル%であることが好ましく、23モル%であることがより好ましい。ジエチレングリコールの含有量が25モル%を超えるとガラス転移温度が低くなる場合がある。
また、本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるジエチレングリコールの含有量とトリエチレングリコールの含有量の合計は、糸質特性の観点から、2.6モル%を超え30モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分がテトラエチレングリコールを含むことが好ましく、グリコール成分におけるテトラエチレングリコールの含有量が2.0モル%以下であることが好ましく、0.1~1.5モル%であることがより好ましく、0.2~1.0モル%であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるテトラエチレングリコールの含有量が2.0モル%を超えると、糸質特性に劣る場合がある。
本発明のポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるトリエチレングリコールの含有量とテトラエチレングリコールの含有量の合計が7.0モル%以下であることが好ましく、0.2~7.0モル%であることがより好ましく、0.3~6.0モル%であることがさらに好ましく、0.4~5.5であることが特に好ましい。ポリエステル樹脂は、グリコール成分におけるトリエチレングリコールの含有量とテトラエチレングリコールの含有量の合計が7.0モル%を超えると、糸質特性に劣る場合がある。
本発明のポリエステル樹脂は、エチレングリコールを含み、さらにジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールを含み、好ましくはテトラエチレングリコールを含むものであるが、それら以外のグリコール成分を含んでいてもよい。その具体例としては、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,10-デカメチレングリコール、1,12-ドデカンジオール等に例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビスフェノール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5-ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール等に例示される芳香族グリコールが挙げられる。
<ジカルボン酸成分>
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステルを構成する全酸成分の合計量を100モル%とするとき、イソフタル酸の含有量が8~30モル%である。
本発明のポリエステル樹脂は、上記のように、グリコール成分がエチレングリコールを含むとともに、グリコール成分におけるトリエチレングリコールの含有量を上記範囲であり、さらにジカルボン酸成分におけるイソフタル酸の含有量を特定範囲とすることで、繊維化した時の融点を好ましい範囲とすることができ熱接着性を向上させることから、不織布等としたときの特性をいっそう向上させることができる。さらにガラス転移温度を好ましい範囲とすることができる。イソフタル酸の含有量は、特にバインダー繊維用途として用いる場合には、15~30モル%であることが好ましく、17~27モル%であることがより好ましく、18~25モル%であることがより好ましい。イソフタル酸の含有量を15~30モル%とすることにより、ポリエステル樹脂の繊維化したときの融点を低くすることができ、バインダー繊維用途に適したものとすることができる。
イソフタル酸の含有量が8モル%未満であると、ポリエステル樹脂の融点、繊維化したときの融点が高くなることから熱接着性を発揮しにくくなる。また、ガラス転移温度が好ましい範囲を外れて高くなる。一方、イソフタル酸の共重合量が30モル%を超えると、樹脂を紡糸・延伸しても配向結晶化せず、非晶性のものとなり、耐熱性を付与しにくくなる。
本発明のポリエステル樹脂を構成する酸成分は、樹脂特性や汎用性の点から、テレフタル酸を含むことが好ましい。酸成分中のテレフタル酸の含有量は、65~92モル%であることが好ましく、中でも70~85モル%であることがより好ましく、70~80モル%であることがさらに好ましい。テレフタル酸の割合が65モル%未満であると、樹脂を紡糸・延伸しても配向結晶化せず、非晶性のものとなる場合があり、適度な耐熱性が付与しにくくなる。一方、テレフタル酸の割合が92モル%を超えると、樹脂の融点が高くなり、熱接着性を発揮しにくくなる。
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分を含有してもよい。このような酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸等に例示される飽和脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、5-(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ビフェニルジカルボン酸、4,4′-ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′-ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p′-ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸等に例示される芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられ、これらを併用してもよい。
中でも、本発明のポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、糸質特性の点から、芳香族ジカルボン酸成分のみからなることが好ましく、テレフタル酸とイソフタル酸のみからなることがより好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸のみから構成される場合、テレフタル酸/イソフタル酸の構成比率(モル比)は、92/8~70/30がよい。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの各々の含有量を調整するために、例えば、後述のポリエステル樹脂の製造方法における重合触媒として有機スルホン酸系化合物を用いたり、有機スルホン酸系化合物の添加量を好ましい範囲としたり、グリコール成分(G)と酸成分(A)とのモル比(G/A)を好ましい範囲としたり、エーテル化反応を行う工程を設けて、その温度または時間を調整したりすることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度が0.45dl/g以上であることが好ましく、0.5dl/g以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.6~0.8dl/gである。極限粘度が0.45dl/g未満であると、繊維にした際に、十分な糸質特性が得られない場合がある。なお、本発明における極限粘度とは、フェノールと四塩化エタンとの等重量混合液を溶媒として測定した値である。
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の重合体、制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、解繊向上剤、その他の添加剤が添加されていてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が挙げられる。安定剤としては、リン酸またはリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が挙げられる。解繊向上剤としては、酸化チタンが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、有機系、無機系または有機金属系のトナー、または蛍光増白剤等が添加されていてもよい。これにより、ポリエステル樹脂の黄み等の着色をさらに抑えることができる。または結晶性を向上させるため、ポリエチレンを初めとする他の樹脂、タルク等の無機核剤が添加されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調改善等の目的で、コバルト化合物が添加されていてもよい。コバルト化合物としては特に限定されないが、具体的には例えば、酢酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、それらの水和物等が挙げられる。中でも特に酢酸コバルト四水和物が好ましい。コバルト化合物の添加量は、コバルト原子として、ポリエステル樹脂に対して10ppm以下であることが好ましく、より好ましくは5ppm以下であり、さらに好ましくは3ppm以下である。
本発明のポリエステル樹脂に、製造工程で発生した廃棄樹脂または市場から回収されたリサイクルポリエステル樹脂等(例えば、PETボトル等)を混合させてもよい。
<ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、ポリエステル樹脂の原料に対して有機スルホン酸系化合物を添加し、次いで、重縮合反応を行う。
また、本発明においては、重縮合反応を行う前または同時に、特定条件でのエーテル化反応を行ってもよい。それにより、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチルグリコールの含有量を特定範囲に調整しやすくなる。その結果、熱接着性等の糸質特性、不織布等とした場合の特性にいっそう優れるポリエステル樹脂を得ることができる。
ポリエステル樹脂の原料としては、例えば、エチレングリコールを主たる成分として含むグリコール成分、ジカルボン酸成分、グリコール成分とジカルボン酸成分とからなる低次縮合物としてのエステル化物等が挙げられる。
上記エステル化物を得る手法としては、例えば、酸成分としてテレフタル酸を用いてエステル化物を製造する場合は、テレフタル酸、エチレングリコ-ル、および、必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去し、エステル化して、ポリエステル樹脂の原料としてのエステル化物を得る。または、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコ-ル、および必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコ-ルを留去し、エステル交換させてエステル化物を得る。
ジカルボン酸、またはそのエステル誘導体1モルに対して好ましくは1.02~2.5モル、より好ましくは1.03~1.8モルのエチレングリコ-ルが含まれたスラリーを調製し、これをエステル化反応器に連続的に供給し、エステル化物を得る。
エステル化反応は、エチレングリコ-ルが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコ-ルを、精留塔で系外に除去しながら行う。エステル化反応は、複数のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いて行うことができる。
第1段階のエステル化反応の温度は、150~270℃であることが好ましく、245~265℃であることがより好ましい。圧力は、0.2~3kg/cm2Gであることが好ましく、0.5~2kg/cm2Gであることがより好ましい。
最終段階のエステル化反応の温度は、150~290℃であることが好ましく、255~275℃であることがより好ましい。圧力は、0~1.5kg/cm2Gであることが好ましく、0~1.3kg/cm2Gであることがより好ましい。
3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段階の反応条件と最終段階の反応条件の間の条件であることが好ましい。多段階でのエステル化反応の反応率は、各段階で滑らかに上昇させることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上に達することが好ましく、93%以上に達することがより好ましい。これらのエステル化反応によりエステル化物を得ることができ、その好ましい分子量は500~5000程度である。
エステル化反応においてテレフタル酸を用いる場合、テレフタル酸の酸としての触媒作用により反応が促進される。
上記のようにして得られたエステル化物に対し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液(エステル化物)、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液を添加し、重合触媒として有機スルホン酸系化合物を添加し、重縮合反応を進行させて、本発明のポリエステル樹脂を得る。
(触媒)
本発明においては、重合触媒として有機スルホン酸系化合物を用いることで、得られるポリエステル樹脂中のジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの含有量を特定範囲とすることができる。有機スルホン酸系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、m-またはp-ベンゼンジスルホン酸、1,3,5-ベンゼントリスルホン酸、o-、m-またはp-スルホ安息香酸、ベンズアルデヒド-o-スルホン酸、アセトフェノン-p-スルホン酸、アセトフェノン-3,5-ジスルホン酸、o-、m-またはp-アミノベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、2-アミノトルエン-3-スルホン酸、フェニルヒドロキシルアミン-3-スルホン酸、フェニルヒドラジン-3-スルホン酸、1-ニトロナフタレン-3-スルホン酸、チオフェノール-4-スルホン酸、アニソール-o-スルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、o-、m-またはp-クロルベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ブロモベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ニトロベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼン-2,4-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-3,5-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-2,5-ジスルホン酸、2-ニトロトルエン-5-スルホン酸、2-ニトロトルエン-4-スルホン酸、2-ニトロトルエン-6-スルホン酸、3-ニトロトルエン-5-スルホン酸、4-ニトロトルエン-2-スルホン酸、3-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、2-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、3-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、5-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、6-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、3,5-ジニトロベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-フルオロベンゼンスルホン酸、4-クロロ-3-メチルベンゼンスルホン酸、2-クロロ-4-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、4-スルホフタル酸、2-スルホ安息香酸無水物、3,4-ジメチル-2-スルホ安息香酸無水物、4-メチル-2-スルホ安息香酸無水物、5-メトキシ-2-スルホ安息香酸無水物、1-スルホナフトエ酸無水物、8-スルホナフトエ酸無水物、3,6-ジスルホフタル酸無水物、4,6-ジスルホイソフタル酸無水物、2,5-ジスルホテレフタル酸無水物、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、メチオン酸、シクロペンタンスルホン酸、1,1-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸無水物、3-プロパンジスルホン酸、β-スルホプロピオン酸、イセチオン酸、ニチオン酸、ニチオン酸無水物、3-オキシ-1-プロパンスルホン酸、2-クロルエタンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、β-フェニルエタンスルホン酸、α-フェニルエタンスルホン酸、クロルスルホン酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、5-スルホサリチル酸ジメチル、4-スルホフタル酸トリメチル等、およびこれらの塩が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、2-スルホ安息香酸無水物、o-スルホ安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、ベンゼンスルホン酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸メチル、5-スルホイソフタル酸、これらの塩などが挙げられる。
重合触媒として、金属系触媒を用いない場合には、得られる本発明のポリエステル樹脂中の、金属系触媒由来の金属成分の含有量を少なくすることができる。金属成分の含有量が多いと、環境負荷が高くなるのみならず、透明性に劣ったり、溶融加工時に異物が発生したりする場合がある。
金属系触媒由来の金属成分の含有量は、1ppm以下であることが好ましく、0.5ppm以下であることがより好ましく、0ppmであることがさらに好ましい。金属系触媒としては、例えばアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガン、ニッケル、コバルト等の化合物が挙げられる。
有機スルホン酸系化合物は、例えば固体状、スラリー状または水、グリコール等に溶解させた溶液として添加することができる。
有機スルホン酸系化合物の添加量は、その種類にもよるが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分1モルに対して0.5×10-4~10×10-4モルとすることが好ましく、2.0×10-4~6.0×10-4モルであることがより好ましい。添加量が上記範囲より少ないと、重合度の高いポリエステル樹脂を短時間で得ることができない場合、またジエチレングリコールとトリエチレングリコールとを同時に含有させたり、トリエチレングリコールの含有量を特定範囲とできない場合がある。一方、上記範囲を超えると、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールとを同時に含有させたり、トリエチレングリコールの含有量を特定範囲とできない場合や、ポリエステル樹脂の着色の原因となる場合がある。
有機スルホン酸系化合物の添加量を上記の範囲とすることで、得られるポリエステル樹脂の硫黄成分の含有量を、5~500ppm、好ましくは6~250ppm、より好ましくは8~100ppm、さらに好ましくは、9~50ppmとすることができる。硫黄成分の含有量が5ppm未満であると、糸質特性に劣る場合がある。一方、500ppmを超えると、分子量が十分に上昇せず、糸質特性に劣ることがある。さらに、加水分解が進みやすく、繊維の著しい強度低下が起こることがあり、実用に耐えることができない場合がある。
(重合反応)
重縮合反応としては、例えば、溶融重縮合反応が挙げられる。重縮合反応は1段階で行ってもよいし、多段階に分けて行ってもよい。
重縮合反応条件としては、特に限定されるものではないが、第1段階の重縮合反応の温度は250~290℃であることが好ましく、260~280℃であることがより好ましい。圧力は500~20hPaであることが好ましく、200~30hPaであることがより好ましい。
多段階の場合、最終段階の重縮合反応の温度は265~300℃であることが好ましく、275~295℃であることが好ましい。圧力は10~0.1hPaが好ましく、5~0.5hPaであることがより好ましい。3段階以上で実施する場合には、中間段階の反応条件は、第1段階と最終段階の間の反応条件とすることが好ましい。これらの各段階において重合度を滑らかに上昇させることが好ましい。
(エーテル化反応)
エーテル化反応は、エステル化反応や重縮合反応と同時に行ってもよい。または、有機スルホン酸系化合物を添加した後に、エーテル化反応を行ってもよい。重合触媒としての有機スルホン酸系化合物を添加し、脱水作用によるエーテル化反応が進行することにより、ジエチレングリコールやトリエチレングリコールが生成しやすくなる。
エーテル化反応の温度は200℃以上であることが好ましく、220~300℃であることがより好ましく、230~280℃であることがさらに好ましく、240~260℃であることがより好ましい。200℃未満であると、反応が十分に進行しないので、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの含有量が特定範囲とならない場合があることから、糸質特性が不十分となることがある。300℃を超えると、反応中にエステル化物の分解が進行し、糸質特性が低下することがある。
エーテル化反応の時間を調整することで、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの含有量を特定範囲としやすくなる。エーテル化反応の時間としては、特に限定されるものではないが、例えば5~120分間が好ましく、10~60分間であることがより好ましい。反応時間が120分を超えると、エーテル化反応が進行しすぎてしまい、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの含有量が特定範囲とならない場合や、反応中にエステル化物の分解が進行する場合があることから、糸質特性が低下することがある。
エーテル化反応は、常圧または加圧下および減圧下において進行させることが好ましく、その圧力は、0~3.0kg/cm2Gまたは1000~0.1hPaであることが好ましい。
エーテル化反応に供される原料における、グリコール成分(G)と酸成分(A)のとのモル比(G/A)を調整することにより、ポリエステル樹脂中のトリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの生成量を調整することができる。G/Aは1.05~3.00であることが好ましく、1.10~2.00であることがより好ましい。G/Aを調整するために、必要に応じて、ポリエステル原料に対し、エチレングリコール等のグリコール成分を追加で添加してもよい。1.05未満であるとトリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの生成量が少なくなる傾向があり、一方、3.00を超えると、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの生成量が多くなる傾向がある。
本発明のポリエステル樹脂を用いて、本発明の繊維とすることができる。本発明の繊維は、常法の溶融紡糸法により製造することができ、こうした紡糸法としては、例えば、紡糸、延伸を2ステップで行う方法、または1ステップで行う方法が挙げられる。さらに、本発明の繊維に対して捲縮を付与したり、熱セットを施したり、所望の長さにカットしてステープル繊維やショートカット繊維とすることができる。また、スパンボンド法により、本発明の繊維を得ることもできる。
繊維の横断面形状は、円形に限らず、異型断面や中空断面としてもよく、また、顔料を含ませて原着繊維としてもよい。また、本発明の繊維は、例えば、混繊、混紡等の他の繊維と複合化して糸とすることや、公知の糸加工手段を採用して加工糸としてもよい。
本発明の繊維は、本発明のポリエステル樹脂のみから構成される単相型の繊維であってもよく、また、本発明のポリエステル樹脂を繊維の一部に用いたものであってもよい。一部に用いたものである場合、他の樹脂と複合した複合型の繊維であってもよい。他の樹脂と複合した複合型としては、本発明のポリエステル樹脂よりも高融点の樹脂を芯部に配し、本発明のポリエステル樹脂を鞘部に配した芯鞘型複合繊維が挙げられる。本発明の繊維をバインダー繊維として用いる場合、、本発明のポリエステル樹脂のみを用いた単相型の繊維は、全融型のバインダー繊維となり、本発明のポリエステル樹脂を鞘部にのみ用いた芯鞘複合型の繊維は、鞘部がバインダー成分となるバインダー繊維である。また、サイドバイサイドに2成分を貼り合わせた複合繊維の一方にのみ、本発明のポリエステル樹脂を用いたものであってもよい。なお、このような複合繊維とする際の他方の成分については、必要とされる繊維の特性や用途に応じて、適宜選択すればよい。例えば、芯部にポリエチレンテレフタレートを配し、鞘部に本発明のポリエステル樹脂を配した芯鞘型複合繊維は、強度と接着性と耐熱性に優れるため好ましい。芯鞘比(質量比)は、適宜選択すればよいが、熱接着処理により溶融せずに骨格となる芯部の機械的強度を考慮すると、芯/鞘=4/6~8/2が好ましい。
本発明の繊維の形態は、長繊維(連続繊維)や短繊維が挙げられ、長繊維の場合は、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。また、短繊維の場合は、ステープル繊維やショートカット繊維であってもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。
繊維の形態として長繊維(連続繊維)とする場合であって、FDY法によって長繊維を製造する方法について説明する。本発明のポリエステル樹脂と、所望により複合する他の樹脂とを溶融押し出し装置にペレットとして供給、溶融し、紡糸口金から吐出させる。吐出された糸条束を冷却固化し、500~1500m/minのローラで引き取ることにより、未延伸糸を得る。そして、未延伸糸をローラ間で2~4倍の延伸倍率で延伸し、巻き取ることによって、長繊維を得る。
また、繊維の形態として長繊維(連続繊維)とする場合であって、POY法によって長繊維を製造する方法について説明する。この場合も、本発明のポリエステル樹脂と、所望により複合する他の樹脂とを溶融押し出し装置にペレットとして供給、溶融し、紡糸口金から吐出させる。吐出された糸条束を冷却固化し、2000~4000m/minのローラで引き取ることにより、高配向の未延伸糸を得る。そして、未延伸糸をローラ間で1.1~2倍の延伸倍率で延伸、巻き取ることによって、本発明の長繊維を得る。
また、スパンボンド法によって、本発明の繊維を得ることもでき、この場合も、本発明のポリエステル樹脂と、所望により複合する他の樹脂とを溶融押し出し装置にペレットとして供給、溶融し、紡糸口金から吐出させる。吐出した糸条は、公知の冷却装置を用いて冷却した後、吸引装置を用いて牽引細化して引き取り、ネット上に堆積させてウェブを得る。牽引細化の際の速度(引取速度)は、2500m~5000m/分程度に設定すればよい。また、スパンボンド法による連続繊維の単繊維繊度は0.5~15デシテックス程度の任意の繊度とすればよい。スパンボンド法により形成したウェブは、熱エンボスロール等に通して熱処理を行うことや、ニードルパンチ処理等により繊維同士を交絡させること等による一般的な不織布化手段により、不織布とすればよい。なお、熱エンボスロール等に通して熱処理を行う場合、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部に本発明のポリエステル樹脂を配し、熱処理では鞘部のポリエステル樹脂のみを溶融させて繊維同士を接着させて不織布を得ることが好ましく、得られたスパンボンド不織布は、耐熱性と不織布強力に優れたものとなる。
繊維の形態が短繊維の場合、ステープル繊維としては、繊維長は20~100mm程度とし、カード通過性等を考慮し、クリンパー等を用いて機械捲縮を付与するとよい。ショートカット繊維としては、主として抄造シートに用いる材料であり、水中での分散性が必要であることから機械捲縮によるクリンプを有さず(ノークリンプ)、繊維長は20mm未満程度であって、好ましくは2~15mm程度である。
短繊維を製造するに際し、延伸倍率は特に限定されるものではなく、延伸された繊維あるいは未延伸の繊維のいずれであってもよく、用途や目標とする特性値に応じて適宜選択すればよい。繊維の製造において、本発明のポリエステル樹脂を用いて、紡糸速度、延伸倍率および熱処理条件等を適宜選定することにより、本発明の繊維を得ることができる。例えば、溶融押し出し装置に、本発明のポリエステル樹脂をペレットとして供給、溶融し、紡糸口金から吐出させる。吐出された糸条束を冷却固化し、引き取り速度900~1200m/minで溶融紡糸し、集束して糸条束とした後、延伸温度40~80℃、延伸倍率2~5倍で延伸した後、所望の長さに切断して短繊維とする。複合型の短繊維を得る場合も同様にして、複合紡糸装置を用いて、他の樹脂と本発明のポリエステル樹脂とをペレットとして供給、溶融して、紡糸・延伸・熱処理を施し、所望の長さに切断すればよい。本発明の短繊維を乾式不織布用や紡績糸用繊維として使用する場合には、熱処理後に押し込み式スタッフィングボックスや加熱ギアを用いて捲縮を付与すればよい。湿式不織布用途として使用する場合は捲縮を付与することなく所望の長さに切断するとよい。
本発明の繊維の特性値としては、例えば、単糸繊度0.5~25.0デシテックス、強度0.1~6.0cN/デシテックス、伸度20~600%の範囲を有するものが挙げられる。
本発明の短繊維をバインダー繊維として用い、不織布とする場合、乾式不織布であってもよいし、湿式不織布であってもよい。不織布の目付は特に限定するものではない。不織布化の手法としては、本発明の繊維を構成するポリエステル樹脂(本発明のポリエステル樹脂)が熱接着成分となり、繊維同士を熱接着することによって不織布形態とする方法が挙げられる。熱接着前に構成繊維同士をニードルパンチ処理や水流交絡処理により三次元的に交絡させてもよい。
不織布には、本発明の繊維以外の他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば、本発明のポリエステル樹脂よりも融点の高いポリエステル樹脂からなる繊維が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート繊維を好ましく用いることができる。
不織布の製造法について一例を挙げる。本発明の短繊維を、他の繊維と混合する場合は、他の繊維を準備して任意の割合で計量する。混合する際の本発明の繊維の割合は、不織布の要求特性に応じて適宜選択すればよく、10~90質量%程度が好ましい。
その後、乾式不織布を製造する場合は、計量した構成繊維となる繊維をカード機に投入し、解繊して乾式ウエブを作製する。得られたウエブを熱風処理がなされる連続熱処理機等の熱処理装置に通して、本発明のポリエステル樹脂が溶融または軟化する温度で熱接着処理を施し、構成繊維同士が熱接着により一体化した乾式不織布を得る。
湿式不織布を製造する場合は、計量した原料に対し、パルプ離解機を用いて攪拌、解繊工程を行った後、抄紙機にて湿式ウエブを作製する。得られたウエブを熱風処理がなされる連続熱処理機等の熱処理装置に通して、本発明のポリエステル樹脂が溶融または軟化する温度で熱接着処理を施し、構成繊維同士が熱接着により一体化した湿式不織布を得る。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、測定、評価は以下の方法により行った。
(1)極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合液を溶媒として測定した。
(2)ジカルボン酸成分、グリコール成分の組成
重水素化クロロホルム/重水素化トリフルオロ酢酸=11/1(体積比)の混合溶媒0.6mLに20mgの試料を溶解し、日本電子社製、核磁気共鳴装置JNM-ECZにてH-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピーク積分強度からジカボン酸成分と、トリエチレングリコール成分とテトラエチレングリコール成分の合計量と、それ以外の各グリコール成分とのモル比を算出した。
(3)トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール成分の定量
ポリエステル樹脂を濃度0.75規定の水酸化カリウム/メタノール溶液中で加水分解した後、テレフタル酸を添加して中和した。次に、濾過して得られた濾液について、ガスクロマトグラフ法による測定を行い、あらかじめ作製した検量線を用いて、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコールとのモル比を算出し、これらのモル比と前述のH-NMRの測定結果(トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールの合計量と、それ以外の各グリコール成分とのモル比)とから、全グリコール成分中の、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールの含有量を算出した。
(4)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー社製示差走査熱量計Diamond DSCを用い、窒素気流中、温度範囲25~280℃、昇温速度20℃/分で測定した。
(5)硫黄成分、金属成分の含有量
ポリエステル樹脂を300℃で溶融成形して直径3cm×厚み1cmの円盤状の成形板とし、リガク社製蛍光X線分析装置 ZSX Primusを用いて、検量線法により定量分析を行った。
(6)繊維化したときの融点
極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを芯部に、得られた樹脂を鞘部に配するよう、孔数1014、孔径0.35mmの口金を用い、吐出量566g/分、芯鞘質量比率50/50とし、紡糸温度270℃、紡糸速度1120m/分の条件で溶融紡糸を行った。次いで、得られた未延伸糸を収束し、80ktexのトウとし、延伸温度60℃、延伸倍率3.0倍の条件で延伸した。次いで、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、繊度1.7dtexの芯鞘型複合短繊維を得た。
得られた短繊維を、パーキンエルマー社製示差走査熱量計Diamond DSCを用い、窒素気流中、温度範囲25~280℃、昇温速度20℃/分で測定した。
(7)繊度(dtex)
JIS-L-1015-8-5-1-1Aの方法により測定した。
(8)短繊維製造の操業性(密着)
延伸工程時の単糸密着がない場合を「○」とし、それ以外の場合を「×」とした。
(9)不織布強力
得られた不織布をMD方向150mm、CD方向50mmにサンプルを切り出し、オートグラフ(島津製作所製AG-50KNI)を用い、引張速度100mm/min、チャック間距離100mmの条件でMD強力を測定した。なおサンプル数はn=5とした。
得られた不織布の引張強度により下記の2段階で評価した。
○:引張強度1000cN以上
×:引張強度1000cN未満
実施例1
〔ポリエステル樹脂〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のエステル化物A(数平均重合度:5)を得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液であるエステル化物Bを得た。
エステル化物A100質量部を重合反応器に仕込み、続いて、エステル化物Bを30質量部仕込んだ。重合触媒として5-スルホサリチル酸二水和物(SS)を2.0×10-4モル/酸成分モル、加え、常圧下、260℃で10分間エーテル化反応を行った。次に温度を260℃に維持したまま、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPaで3時間、溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
実施例2~4、10~14、比較例1、2、4、5
エステル化物A、Bの添加量、エーテル化反応条件を、表1に記載したように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。
実施例5~9
重合触媒である有機スルホン酸系化合物の種類を、それぞれ2-スルホ安息香酸無水物(OSB)、o,m,p-アミノベンゼンスルホン酸(o,m,p-ABS)、p-トルエンスルホン酸メチル(p-TSMe)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。
実施例15、16
原料にアジピン酸とエチレングリコールの1:1(質量比)の混合液(AD液)を、表2に示した量で添加した以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。
比較例3
エーテル化反応を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。
比較例6
5-スルホサリチル酸二水和物(SS)に代えて、三酸化アンチモン(Sb)を用い、エーテル化反応を行なわかった以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂を得た。
実施例、比較例にて得られたポリエステル樹脂の製造条件を表1~3に、特性値を表4~6に示す。
Figure 2023029131000001
Figure 2023029131000002
Figure 2023029131000003
Figure 2023029131000004
Figure 2023029131000005
Figure 2023029131000006
表4~6に示すように、実施例1~16で得られたポリエステル樹脂は、グリコール成分としてジエチレングリコールとトリエチレングリコールとを含み、イソフタル酸(IPA)の含有量、トリエチレングリコールの含有量が本発明で規定する範囲内であった。ガラス転移温度、および繊維化したときの融点が好ましい範囲となり、熱接着性に優れるものとなった。
一方、比較例1で得られたポリエステル樹脂は、イソフタル酸(IPA)の含有量が本発明の範囲を外れて少なかった。このポリエステル樹脂は、繊維化したときの融点、ガラス転移温度が高くなった。
比較例2で得られたポリエステル樹脂は、イソフタル酸(IPA)の含有量が本発明の範囲を外れて多かった。このポリエステル樹脂は、樹脂を紡糸・延伸しても配向結晶化せず、非晶性のものとなり、繊維化したときの融点を測定することができなかった。
比較例3では、エーテル化反応を行わずにポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、トリエチレングリコールの含有量が本発明で規定する範囲を外れて少なくなり、繊維化したときの融点、ガラス転移温度が高くなった。
比較例4では、温度を低くしてエーテル化反応を行ってポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、トリエチレングリコールの含有量が本発明で規定する範囲を外れて少なくなり、繊維化したときの融点、ガラス転移温度が高くなった。
比較例5では、エーテル化反応時間を長くしてポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、トリエチレングリコールの含有量が本発明の範囲を外れて多くなった。ガラス転移温度が低くなった。
比較例6においては、重合触媒として有機スルホン酸系化合物ではなく三酸化アンチモン(Sb)を用いてポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、トリエチレングリコールの含有量が本発明の範囲を外れて少なくなり、繊維化したときの融点、ガラス転移温度が高くなった。
〔短繊維および乾式不織布の製造〕
実施例2-1
極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを芯部に、実施例2で得られたポリエステル樹脂を鞘部に配するよう、孔数1014、孔径0.35mmの口金を用い、吐出量566g/分、芯鞘質量比率50/50とし、紡糸温度270℃、紡糸速度1120m/分の条件で溶融紡糸を行った。次いで、得られた未延伸糸を収束し、50ktexのトウとし、延伸温度50℃、延伸倍率3.0倍の条件で延伸した。次いで、押し込み式クリンパーで機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、繊度1.7dtexの芯鞘型複合繊維を得た。
次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(ユニチカ社製<121>1.7T51mm)を70質量%、バインダー繊維として上記で得た芯鞘型複合繊維を30質量%の混綿比率で混綿し、熱処理後における不織布の目付が50g/mになるように、カード機(大和機工製SC-500DI3HC)に繊維を投入し、ウェブを作製した。その後、連続熱処理機(辻井染機工業製NFD-500E2)を用いて、風量57m/min、180℃×1minの条件にて熱処理し、乾式不織布を作製した。
比較例3-1
実施例2-1において、比較例3で得られたポリエステル樹脂を用いたこと以外は、実施例2-1と同様にして芯鞘型複合繊維を得て、乾式不織布を作製した。
比較例4-1、5-1
実施例2-1において、比較例4、5で得られたポリエステル樹脂を用いたこと以外は、実施例2-1と同様にして芯鞘型複合繊維を得て、乾式不織布を作製した。
比較例6-1
実施例2-1において、比較例6で得られたポリエステル樹脂を用いたこと以外は、実施例2-1と同様にして芯鞘複合型繊維を得て、乾式不織布を作製した。
Figure 2023029131000007
表7から明らかなように、実施例2-1では、実施例2の樹脂を鞘部に配して、芯鞘型複合短繊維を操業性よく得ることができた。また、得られた芯鞘型複合短繊維をバインダー繊維として用いて得られた乾式不織布用は強力が高いものとなった。
一方、比較例3、4、6の樹脂を鞘部に使用した熱接着性芯鞘複合繊維(比較例3-1、比較例4-1、比較例6-1)は、延伸時単糸密着の発生はなかった。しかしながら、比較例3、4、6のポリエステル樹脂は、実施例2のポリエステル樹脂と同様のイソフタル酸の含有量(約20モル%)であったが、トリエチレングリコールやジエチレングリコールの含有量が少なく、実施例2のポリエステル樹脂の繊維融点172.3℃と比較して約30℃も高く、180℃の熱処理では熱接着できずに乾式不織布は強力が低いものとなった。
比較例5の樹脂を鞘部に使用した熱接着性芯鞘複合繊維(比較例5-1)は、比較例5のポリエステル樹脂のガラス転移温度が低いことにより、伸時単糸密着が発生し、操業性が劣るものとなった。

Claims (12)

  1. ジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂であって、
    全酸成分中、イソフタル酸の含有量が8~30モル%であり、
    グリコール成分が、エチレングリコールを含むとともに、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールを含み、全グリコール成分中、トリエチレングリコールの含有量が0.1モル%を超え5モル%以下である、ポリエステル樹脂。
  2. ガラス転移温度が50~65℃である、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 繊維化したときの融点が230℃以下である、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
  4. テトラエチレングリコールの含有量が全グリコール成分中2.0モル%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  5. ジエチレングリコールの含有量が全グリコール成分中2.5モル%以上である、請求項1~4の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  6. ジカルボン酸成分がイソフタル酸およびテレフタル酸のみからなる、請求項1~5の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  7. 硫黄成分の含有量が1~500ppmである、請求項1~6の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  8. 金属成分の含有量が1ppm以下である、請求項1~7の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載のポリエステル樹脂からなる、繊維。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂が鞘部に配され、ポリエチレンテレフタレート樹脂が芯部に配された芯鞘型複合断面である芯鞘複合繊維。
  11. 請求項1~8の何れか1項に記載のポリエステル樹脂を製造する方法であって、ポリエステル原料に対して有機スルホン酸系化合物を添加し、グリコール成分のエーテル化反応を行う工程を含む、ポリエステル樹脂の製造方法。
  12. 有機スルホン酸系化合物が、2-スルホ安息香酸無水物、o-スルホ安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、ベンゼンスルホン酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸メチル、5-スルホイソフタル酸、および、これらの塩から選択される1種類以上である、請求項11に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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