JP2023027702A - 木部用塗料、木部外装建材及び木部外装構造 - Google Patents

木部用塗料、木部外装建材及び木部外装構造 Download PDF

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Abstract

Figure 2023027702000001
【課題】塗装された木材が外装材として使用され、木材に塗装され形成された被膜が剥離しても、外観変化が視認され難い木部用塗料を提供すること。
【解決手段】木部用塗料は、建築物の外壁材11の外側に設置された断熱材12と、断熱材の外側に設置された防水シート13と、防水シート13の外側に、胴縁14を介して設置された木部外装建材21と、を備える木部外装構造の木部外装建材21に塗装される。木部用塗料は、合成樹脂を結合材とする木部用塗料であって、木材へ塗装されて形成される被膜が、促進耐候性試験(キセノンランプ法)500時間後の光沢保持率が5~50%である。
【選択図】図1

Description

本明細書の技術分野は、木部(木材)に塗装される木部用塗料、木部用塗料が塗装された木部外装建材、及び、木部外装建材が使用された木部外装構造、に関する。
従来から、木材を外装建材として使用するために、木材に塗装される木部用塗料が知られている(たとえば、特許文献1及び2)。
特許第3524548号公報 特開2014-101504号公報
しかし、従来の木部用塗料は、塗装された木材が外装材として使用され、木材に塗装され形成された被膜(塗膜)が経時的に劣化して部分的に剥がれた際に、被膜が剥がれた部分と剥がれていない部分とで色調が異なり、外観変化が視認されやすいという課題があった。
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、塗装された木材が外装材として使用され、木材に塗装され形成された被膜が剥離しても、外観変化が視認され難い木部用塗料を提供することを目的とする。
本明細書の実施形態に係る木部用塗料は、合成樹脂を結合材とする木部用塗料であって、
木材へ塗装されて形成される被膜が、促進耐候性試験(キセノンランプ法)500時間後の光沢保持率が5~50%である、ことを特徴とする。
本明細書の実施形態に係る木部用塗料によれば、木材へ塗装されて形成される被膜が、促進耐候(光)性に劣るため、木部用塗料が塗装された木材が屋外環境で直射日光と風雨に曝されることによって、早期に、結合材の合成樹脂が紫外線劣化する。被膜は、結合材の合成樹脂が紫外線劣化することによって、不連続となり、細かい被膜片となる。また、合成樹脂が不連続化することにより、木材への付着が弱くなり、被膜は、直射日光と風雨に曝されることによって、細かい被膜片ごとに徐々に剥離する。細かい被膜片が徐々に剥離するため、木材に塗装され形成された被膜は、剥離しても外観変化が視認され難いものとすることができる。
ここで、上記木部用塗料において、墨を含有し、
塗装されて形成される厚さ40μmの被膜の光透過率が、波長300~350nmにおいて15~45%、波長350~400nmにおいて25~55%であるものとすることができる。
これによれば、木材に塗装されて形成される被膜は、紫外線を透過する。このため、木部用塗料が塗装された木材の表層は、紫外線劣化する。木部用塗料が塗装された木材が屋外環境で直射日光と風雨に曝されることによって、紫外線劣化した木材の表面は略灰色を呈す。また、木部用塗料が墨を含有しているため、木部用塗料が塗装された木材は、略灰色を呈し、紫外線劣化した木材の表面の色と近似した色となる。木部用塗料が塗装された部分と劣化した木材の表面の色とが近似しているため、細かい被膜片が徐々に剥離する際に、外観変化が視認され難いものとすることができる。
また、上記木部用塗料において、前記合成樹脂が、ビニル変性エポキシエステル樹脂であるものとすることができる。
これによれば、木部用塗料が木材に塗装され形成された被膜を早期に紫外線劣化させることができる。
ここで、実施形態に係る木部外装建材は、墨と合成樹脂とを含有する木部用塗料から形成される被膜によって被覆され、直射日光と風雨に曝される屋外用途の、木材を母材とする木部外装建材であって、
該被膜が、紫外線を透過し、直射日光と風雨に曝されることにより徐々に剥離する、ことを特徴とする。
実施形態に係る木部外装建材によれば、被膜が紫外線を透過するため、木材の表層は、紫外線劣化する。木部用塗料が塗装された木材が屋外環境で直射日光と風雨に曝されることによって、紫外線劣化した木材の表面は略灰色を呈す。また、被膜が墨を含有しているため、被膜が被覆された木材は、略灰色を呈し、紫外線劣化した木材の表面の色と近似した色となる。直射日光と風雨に曝されることによって、被膜が徐々に剥離するため、木部外装建材は、被膜が剥離しても外観変化が視認され難いものとすることができる。
また、実施形態に係る木部外装建材は、上記の木部用塗料から形成される被膜が被覆されているものとすることができる。
これによれば、直射日光と風雨に曝されることによって、細かい被膜片が徐々に剥離するため、外観変化が視認され難いものとすることができる。
また、実施形態に係る木部外装構造は、建築物の外壁材の外側に設置された断熱材と、該断熱材の外側に設置された防水シートと、該防水シートの外側に設置された上記の木部外装建材と、を備えるものとすることができる。
これによれば、建築物の外壁に、外観変化が視認され難い木部外装建材を備える木部外装構造とすることができる。
本明細書の木部用塗料によれば、木材へ塗装されて形成される被膜が、直射日光と風雨に曝されることによって、細かい被膜片ごとに徐々に剥離する。細かい被膜片が徐々に剥離するため、木材に塗装され形成された被膜は、剥離しても外観変化が視認され難いものとすることができる。
(A)は実施形態の木部用塗料を塗装された木部外装建材が備えられた木部外装構造の構成を示す図、(B)は図1(A)のIB-IB線位置の断面図である。
以下、本明細書の実施形態に係る木部用塗料、木部外装建材及び木部外装構造について説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。図1に示すように、実施形態に係る木部外装構造は、建築物の外壁材11の外側に設置された断熱材12と、断熱材の外側に設置された防水シート13と、防水シート13の外側に、胴縁14を介して設置された木部外装建材21と、を備える。これにより、木部外装構造は、建築基準法第2条第8号に定められた防火構造とすることができる。木部外装建材21は、木材に、実施形態に係る木部用塗料が塗装され、木材の表面に木部用塗料からなる被膜22が形成されたものである。
ここで、本明細書における色の表記は、以下の通りである。
略灰色とは、色をCIELAB(L***)で表した際に、a*とb*の絶対値がそれぞれ50以下であるものをいう。別の実施形態として、a*とb*の絶対値がそれぞれ30以下とすることができ、さらに別の実施形態として、a*とb*の絶対値がそれぞれ20以下とすることができる。
近似した色とは、ある色に対して近似した色であり、色をCIELAB(L***)で表した際に、2つの色の色差(ΔE*=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2)が20以下であるものをいう。別の実施形態として、色差(ΔE*)は10以下とすることができ、さらに別の実施形態として、色差(ΔE*)は5以下とすることができる。
また、本明細書における促進耐候性試験(キセノンランプ法)500時間後の光沢保持率は、「JIS K 5600-7-7:2008 塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)に規定されている、方法1、サイクルAにより、乾燥期間中の相対湿度:50±5%、300~400nm放射照度:60W/m2、ブラックパネル温度:63±2℃、として500時間試験したときの光沢保持率である(方法1:紫外域及び可視域で水平面全天放射の分光分布に一致させるもの(耐候性試験に用いる)、サイクルA:ぬれ時間18分、乾燥時間102分、乾燥期間中の相対湿度40~60%、放射照度連続運転)。
木部用塗料は、原材料として、合成樹脂を含有し、必要に応じて、墨、マイカ、シリカ、分散剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤を含有することができる。木部用塗料は、これら原材料をディゾルバーミキサなどの混合機を用いて混合することによって製造することができる。
実施形態の木部用塗料に使用する合成樹脂は、木材へ塗装されて形成される被膜22が、促進耐候性試験(キセノンランプ法)500時間後の光沢保持率が5~50%であるものであり、耐候性が劣る合成樹脂である。木材へ塗装されて形成される被膜22の耐候性が劣るため、木部用塗料が塗装された木材は、屋外環境で直射日光と風雨に曝されることによって、早期に、結合材の合成樹脂が紫外線劣化して低分子化させられる。結合材の合成樹脂が低分子化されることによって、被膜22は、不連続となり、細かい被膜片となるとともに、木材への付着が弱くなり、直射日光と風雨に曝されることによって、細かい被膜片ごとに徐々に剥離する。細かい被膜片が徐々に剥離するため、木材に塗装され形成された被膜は、剥離しても外観変化が視認され難いものとすることができるものである。
このような合成樹脂として、実施形態では、重量平均分子量10万以下のアクリル樹脂、ビニル変性エポキシエステル樹脂、ポリビニルアルコール、などを使用することができる。実施形態の木部用塗料に使用する合成樹脂は、液状であれば、そのまま用いることができ、水に乳化(合成樹脂エマルジョン)、分散、溶解させた形態で用いることもでき、有機溶媒等の溶媒に分散、溶解させた形態で用いることもできる。
別の実施形態として、木部用塗料に使用する合成樹脂は、ビニル変性エポキシエステル樹脂とすることができる。ビニル変性エポキシエステル樹脂を結合材とする木部用塗料から形成される被膜22は、粘着性を有し、粘着性によって木材への付着を保つことができるため、細かい被膜片となってもすぐには剥離せず、徐々に剥離させる効果に優れるものである。実施形態の木部用塗料から形成される被膜22の粘着性として、引っかき硬度(鉛筆法)(JIS K 5600-5-4:1999)が2B以下であるものとすることができる。別の実施形態として、引っかき硬度は、4B以下、さらに別の実施形態として、6B以下とすることができる。なお、実施形態のビニル変性エポキシエステル樹脂の重量平均分子量は、1千~20万とすることができる。早期に、木部用塗料から形成される被膜22紫外線劣化させることができるためである。別の実施形態として、ビニル変性エポキシエステル樹脂の重量平均分子量は、1万~10万とすることができる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂は、エポキシ樹脂と脂肪酸との付加反応により得られる縮合物と、ビニル化合物の混合物との重合反応によって得ることができる。また、ビニル変性エポキシエステル樹脂は、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(A1)、下記一般式(I)
Figure 2023027702000002
(nは1~10、R1は炭素数2~18のアルキレン基を示す。)
で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体(a1)およびその他のビニル単量体(a2)を塊状重合させて得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(A2)と、塩基性化合物と、水を用い、前記ビニル変性エポキシエステル樹脂(A2)に含有されているカルボキシル基の一部又は全部の塩基性化合物(N,N-ジメチルアミノエタノール)による中和と、この中和で得られるビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(A3)の水への分散を行なって得ることができる。
また、ビニル変性エポキシエステル樹脂は、市販品も使用することができる。ビニル変性エポキシエステル樹脂の市販品として、モデピクス(荒川化学株式会社製)、リポキシ(昭和電工株式会社製)、バーノック(DIC株式会社製)、ハリポール(ハリマ化成株式会社製)などを使用することができる。
実施形態の木部用塗料は、塗装されて形成される厚さ40μmの被膜22の光透過率が、波長300~350nmにおいて15~45%、波長350~400nmにおいて25~55%であるものである。これにより、木材に塗装されて形成される被膜22は、紫外線を透過することになる。このため、木部用塗料が塗装された木材の表層は、紫外線劣化する。木部用塗料が塗装された木材が屋外環境で直射日光と風雨に曝されることによって、紫外線劣化した木材の表面は略灰色を呈す。
墨は、木部用塗料から形成される被膜22に、略灰色の色彩を付与し、木材が灰化するまでの間の灰化した色を疑似的に表現する。このため、木部用塗料が塗布される木材は、灰化していない無垢材であっても使用することができ、略灰色の色彩が付与されることにより、灰化した色に近似した色となる。木材に塗装されて形成される被膜22が紫外線を透過するため、木部用塗料が塗装された木材の表層は、徐々に劣化(灰化)し、次第に略灰色を呈し、木部用塗料が塗装された部分と劣化した木材の表面の色とが近似した色となる。つまり、劣化前後で色の差が小さいものとなる。このため、木材に塗装されて形成される被膜22の細かい被膜片が徐々に剥離する際に、被膜22が残っている部分の色と剥離した部分の色とが近似し、外観変化が視認され難いものとすることができる。
実施形態の墨は、松煙墨、油煙墨などの和墨を使用することができる。なお、和墨は、煤と膠とを含むものである。
煤としての松煙は松の木とその樹脂を燃やして作成したものであり、松煙墨を用いることにより、煤粒子の大きさを不均一なものとすることができ、重厚な黒味から青灰色に至るまで色彩に幅を持たせることができる。一方、油煙は植物油を燃やして作成したものであり、油煙墨を用いることにより、煤粒子を細かく均一なものとすることができ、色彩に光沢と深みを生じさせることができるとともに、墨を墨汁の形態で用いる場合に、煤の凝集を抑制することができる。別の実施形態として、油煙墨を使用することができる。
膠(煮皮)は、牛や馬などの動物の皮や骨を煮込んで冷却した際にゼリー状の物体として得られるゼラチン質である。膠には墨の形に整える役割と、墨をすりおろした際の液に適度な粘りを与える役割がある。和墨には、龍脳や麝香などの香料を含ませることができる。香料により、膠の臭みを和らげることができるためである。
墨は、取り扱いが容易な墨汁の形態で用いことができる。墨汁は、塩化カルシウムを含有させることができる。塩化カルシウムを含有させることにより、墨汁中の煤コロイドを安定化させることができるとともに、木材に木部用塗料を塗布した際に、木材の木目に煤が浸透しやすくなるためである。市販の油煙墨の墨汁として、例えば、書芸呉竹 紫紺、書芸呉竹 純黒、書芸呉竹 青味、濃墨 書芸呉竹、超濃墨 書芸呉竹、書芸呉竹 紫紺 極(いずれも株式会社呉竹製)などを使用することができる。市販の松煙墨の墨汁として、例えば、純松煙磨墨液 松潤 改(株式会社呉竹製)などを使用することができる。墨汁の不揮発分は、15~35質量%とすることができる。また、墨の粒子径は、0.01~1μmとすることができる。
実施形態のマイカは、薄板状の珪酸塩鉱物(雲母)を酸化チタンなどの金属酸化物で被覆したものであり、パール顔料とも呼称されることがあるものである。マイカは、木部用塗料に含有されることによって、木部用塗料からなる被膜22に、光の干渉によるパール状の光沢を付与し、墨の光沢を強調することができる(墨のsp2混成軌道のπ結合に由来すると考えられる。)。
また、マイカは、木材の木目を際立させる効果も有している。木材表面は、木目(年輪)によって吸水が異なり、木部用塗料を木材表面に塗布した際に、吸水の大きい部分では、木部用塗料の合成樹脂が木材に吸収され、マイカが被膜22の表面に配向するように浮き出て、パール状の光沢が強調される。一方、吸水の小さい部分では、マイカの被膜22の表面への配向が小さいため、パール状の光沢が鈍くなるためである。
マイカの粒子径は、10~100μmとすることができる。墨の光沢を強調することができるためである。マイカの粒子径が10μm未満である場合には、光沢がぼけたものとなり、墨の光沢を強調することができないおそれがある。一方、100μmを超えると、強い光沢となり、墨の光沢としてはふさわしくなくなるおそれがある。別の実施形態として、マイカの粒子径は、10~60μmとすることができる。
シリカは、木部用塗料からなる被膜22の光沢を下げるために添加する原材料である。実施形態のシリカの粒子径は、1~10μmとすることができる。好適に被膜22の光沢を下げることができるためである。シリカの粒子径が1μm未満だと、木部用塗料に均一に分散させることができないおそれがある。一方、10μmを超えると、好適に被膜22の光沢を下げることができないおそれがある。別の実施形態として、シリカの粒子径は、2~5μmとすることができる。なお、シリカは、その表面が親水性であるものを使用することができる。被膜22におけるシリカと合成樹脂との界面に、微細な隙間が生じ、被膜22が吸水しやすくなり、降雨と乾燥の繰り返しにより、被膜22が膨張と収縮を繰り返すことによって、被膜22が木材表面から徐々に剥離することができるようになるためである。
分散剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤は、それぞれ、市販品を適宜選択して、必要に応じて、適量を添加することができる。
実施形態の木部用塗料の配合例と、合成樹脂エマルジョンを100(質量部)とした時の他の原材料の好ましい範囲(質量部)を表1に記載する。
Figure 2023027702000003
実施形態の木部用塗料は、ローラや刷毛などを用いて塗装することができる。塗布量は、不揮発分換算で30~50g/m2であり、膜厚としては30~50μmである。
実施形態の木部用塗料が塗装される木材は、厚みを有する平板であり、平板の短手方向の長さと厚さの比(短手方向の長さ÷厚み)が2~10とすることができる。長期にわたる木材の反りを抑制することができるためである。別の実施形態として、平板の短手方向の長さと厚さの比は、4~8とすることができる。
実施形態に係る木部外装構造は、建築物の外壁材11の外側に設置された断熱材12と、断熱材の外側に設置された防水シート13と、防水シート13の外側に、胴縁14を介して設置された木部外装建材21と、を備える。木部外装建材21は、木材に実施形態の木部用塗料が塗装され、表面に被膜22を備えるものである。
実施形態の外壁材11としては、特に限定されるものではないが、例えば、合板、MDF(中密度繊維板)、OSB(配向性ストランドボード)、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、パーティクルボードなどを使用することができる。
実施形態の断熱材12としては、特に限定されるものではないが、鉱物繊維系断熱材、木質繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材を使用することができる。これらは、市販品を適宜選択して使用することができる。別の実施形態として、断熱性に優れる発泡プラスチック系断熱材を使用することができ、さらに別の実施形態として、発泡プラスチック系断熱材のフェノールフォーム断熱材を使用することができる。フェノールフォーム断熱材の厚さは、50~200mmとすることができる。木部外装構造は、建築基準法第2条第8号に定められた防火構造とすることができるためである。
実施形態の防水シート13としては、特に限定されるものではないが、透湿性を備える防水シートを使用することができる。透湿性を備えることにより、木部外装構造の結露を抑制することができるためである。防水シート13には、紫外線吸収剤を含有させ、防水シート13の耐候性を高めることができる。防水シート13には、透湿性塗料を塗装することができる。
透湿性塗料は、原材料として、合成樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、湿潤剤、pH調整剤、増粘剤を含有する。透湿性塗料の配合例と、合成樹脂エマルジョンを100(質量部)とした時の他の原材料の好ましい範囲(質量部)を表2に記載する。
Figure 2023027702000004
合成樹脂エマルジョンは、透湿性塗料の結合材であり、樹脂の組成として、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレンブタジエン共重合樹脂、シリコーン樹脂を使用することができる。これらは、単独で用いても良く、2以上を混合して用いても良く、また、異なるモノマを共重合させて用いても良い。コロイダルシリカは、透湿性塗料から形成される被膜の透湿性を高める原材料である。着色顔料は、被膜に色彩を付与する原材料であり、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄などを使用することができる。体質顔料は、結合材と共に被膜を形成するものであり、炭酸カルシウム、珪砂、タルク、硫酸バリウムなどを使用することができる。
実施形態の透湿性塗料は、隠蔽率(隠ぺい力(淡彩色塗料用)(JIS K 5600-4-1:1999))が80%以上となる塗布厚で塗装する。透湿性塗料が紫外線吸収剤を含有していなくても耐候性を向上させることができるとともに、防水シート13の透湿性を低下させることが少ないためである。別の実施形態として隠蔽率は90%以上、さらに別の実施形態として、95%以上とすることができる。
実施形態の透湿性塗料は、隠蔽率が80%以上となる塗布厚で塗装することによって、その塗布厚により防水性を高めることができる。透湿性塗料から形成される被膜の防水性が高められることにより、木部外装構造は、防水シート13を省略することができる。防水性が透湿性塗料から形成される被膜によって担保されるためである。このとき、透湿性塗料が断熱材12に直接塗布されることになるため、透湿性塗料のpHは、6~8に調整されたものとする。断熱材12(フェノールフォーム断熱材)の加水分解を抑制することができるためである。
木部外装建材21は、防水シート13が貼付され、透湿性塗料が塗布された、断熱材12に、胴縁14を介して設置される。
胴縁14は、特に限定さるものではないが、金属、木材、プラスチックからなる胴縁14を使用することができ、下地(透湿性塗料からなる被膜)が平らであること(不陸が少ないこと)を条件に、胴縁14を省略することもできる。
次に、実施形態の木部外装構造の施工方法について記載する。実施形態の木部用塗料は、外壁材11に断熱材12を張り付ける第1の工程、断熱材12に防水シート13を張り付ける第2の工程、防水シート13に透湿性塗料を塗布する第3の工程、透湿性塗料が塗布された防水シート13に胴縁14を配置する第4の工程、胴縁14に木部外装建材21を固定する第5の工程、から構成される。
外壁材11に断熱材12を張り付ける第1の工程は、釘、螺子、接着剤などを用いて、断熱材12を外壁材11に張り付ける。断熱材12の継ぎ目は、汎用の防水テープを貼付することによって、気密性を確保する。断熱材12に防水シート13を張り付ける第2の工程は、ピンタッカ、釘などを用いて、断熱材12に防水シート13を張り付ける。
防水シート13に透湿性塗料を塗布する第3の工程は、ローラや刷毛などを用いて透湿性塗料を防水シート13に塗装する。塗布量は、不揮発分換算で100~150g/m2ある。透湿性塗料が塗布された防水シート13に胴縁14を配置する第4の工程は、螺子又は釘を用いて、胴縁14を透湿性塗料が塗布された防水シート13が貼付された断熱材12に固定する。
胴縁14に木部外装建材21を固定する第5の工程は、螺子、釘、接着剤を用いて、木部外装建材21を胴縁14に固定する。木部外装建材21は、目透かしでも突き付けで配置(固定)することができ、突付けでは、サネや合いじゃくりを設けることもできる。木部外装建材21は、木部外装建材21を構成する木材の木目が横張りとなるように配置することができる。木材の導管からの吸水を抑制することができるためである。
このようにして施工された木部外装構造は、建築物の外壁に、木部外装建材21を備える木部外装構造とすることができ、建築基準法第2条第8号に定められた防火構造とすることができる。
木部用塗料から形成される被膜22を備える木部外装建材21は、細かい被膜片が徐々に剥離するため、剥離しても外観変化が視認され難いものとすることができる。
実施形態の木部用塗料は、配合の異なる木部用塗料について、幅105mm×長さ300mm×厚さ12mmのスギ製材の表面に、塗布量150g/m2(湿潤状態)で塗布して乾燥させた試験体を作成し、以下に記載する評価(試験)を行なった。実施例及び比較例の塗料組成、並びに、試験結果を表3に記載する。
外観変化
外観変化は、1年間、試験体を屋外暴露し、控え試験体(屋外暴露をしていない試験体)との外観を比較して評価を行なった。そして、暴露試験体と控え試験体とに、ほとんど差が見られないものを○、横に並べると差が確認できるが、離隔して観察すると差が分からないものを△、離隔しても差が分かるものを×、として評価した。
劣化後の無塗装木材との外観近似性
劣化後の無塗装木材との外観近似性は、1年間、試験体を屋外暴露し、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材との外観を比較して評価を行なった。そして、暴露試験体と無塗装木材とに、それぞれの外観が近いものを◎、横に並べると差が確認できるが、離隔して観察すると違和感がないものを○、無塗装木材が、暴露試験体をさらに暴露させたものに見えるものを△、外観がかけ離れているものを×、として評価した。
Figure 2023027702000005
原材料の詳細を以下に記載する。
合成樹脂A
ビニル変性エポキシエステル樹脂
重量平均分子量 約5万
不揮発分 60質量%
鉛筆硬度 <6B
合成樹脂B
ウレタン-アクリル共重合樹脂
重量平均分子量 約100万
不揮発分 50質量%
鉛筆硬度 2H
金属酸化物被覆マイカ
粒子径 30μm
組成 マイカ 70wt%、酸化チタン 29.5wt%、シリカ 0.5wt%
シリカ
粒子径 3.4μm
墨汁A
種類 油煙墨
不揮発分 19.5質量%
墨の粒子径 0.1μm
墨汁B
種類 松煙墨
不揮発分 27.8質量%
墨の粒子径 0.1μm
分散剤、消泡剤、防腐剤及び凍結防止剤は、それぞれ市販品を選定して使用した。
(実施例1)
ベストモードとなる実施例1は、結合材にビニル変性エポキシエステル樹脂である合成樹脂Aを使用し、墨に墨汁Aを使用し、金属酸化物被覆マイカとシリカをそれぞれ添加したものである。屋外暴露した試験体は、被膜22が紫外線を透過するため、木部用塗料が塗装された木材の表層は、紫外線劣化(灰化)し、略灰色を呈し、被膜22は、墨により略灰色を呈していた。屋外暴露した試験体の被膜22は、耐候性が劣るため、細かい被膜片ごとに剥離していたが、被膜片が細かいため、かつ、被膜22と木材の表層(被膜22がはがれた部位)とが近似した色(ΔE*=5.0)であるため、剥離した部位が外観から視認され難く、およそ単一色として視認できるものであった。このため、屋外暴露した試験体は、控え試験体と外観を比較してもほとんど差が見られないものであった。また、屋外暴露した試験体は、金属酸化物被覆マイカによって、墨の光沢が強調され、シリカによって、被膜22の光沢が抑えられ、屋外暴露した試験体は、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較して、外観が近いものであった。
(実施例2、3)
実施例2は、実施例1から金属酸化物被覆マイカを増量したものである。実施例3は、実施例1から、金属酸化物被覆マイカを減量し、シリカを増量したものである。それぞれ、屋外暴露した試験体は、控え試験体と外観を比較してもほとんど差が見られないものであり、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較して、外観が近いものであった。
(実施例4~6)
実施例4は、実施例1から、金属酸化物被覆マイカを無くし、シリカを増量したものである。実施例5は、実施例1から、シリカを無くし、金属酸化物被覆マイカを増量したものである。実施例6は、実施例1から金属酸化物被覆マイカとシリカを無くしたものである。それぞれ、屋外暴露した試験体は、控え試験体と外観を比較してもほとんど差が見られないものであったが、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較すると、実施例4は墨の光沢が足りず、実施例5は墨の光沢がきつく、実施例6は樹脂光沢が見られ、離隔すると違和感がないものの、横に並べると差が確認できるものであった。
(実施例7)
実施例7は、実施例1から、合成樹脂を減量し、金属酸化物被覆マイカとシリカの配合量を調整し、かつ、分散剤と消泡剤とを追加したものである。屋外暴露した試験体は、控え試験体と外観を比較してもほとんど差が見られないものであり、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較して、外観が近いものであった。
(実施例8)
実施例8は、実施例1から、合成樹脂を増量し、墨を墨汁Bに変更し、金属酸化物被覆マイカとシリカの配合量を調整したものである。屋外暴露した試験体は、控え試験体と外観を比較してもほとんど差が見られないものであり、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較して、外観が近いものであった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1から、合成樹脂を耐候性に優れるウレタン-アクリル共重合樹脂である合成樹脂Bに変更し、墨を無くしたものである。屋外暴露した試験体は、樹脂劣化が少ないため、濡れ色が見られるものの、木材表層の紫外線劣化(灰化)がほとんど見られず、無塗装板に近い状態であり、控え試験体との差が少なく、横に並べると差が確認できるが、離隔すると差が分からない程度のものであった。しかし、同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較すると、無塗装のスギ製材に紫外線劣化(灰化)が見られるため、外観がかけ離れるものとなった。
(比較例2)
比較例2は、比較例1に、墨を足したものである。屋外暴露した試験体は、樹脂劣化が少ないため、濡れ色が見られるものの、木材表層の紫外線劣化(灰化)がほとんど見られず、無塗装板に近い状態であり、控え試験体との差が少なく、横に並べると差が確認できるが、離隔すると差が分からない程度のものであった。同じ条件で暴露した無塗装のスギ製材と比較すると、無塗装のスギ製材に紫外線劣化(灰化)が見られ、比較例2の屋外暴露した試験体は、墨を足したことにより、略灰色を呈し、横に並べると差が確認できるが、離隔すると違和感がないものとなった。
11…外壁材、12…断熱材、13…防水シート、14…胴縁、21…木部外装建材、22…被膜。

Claims (6)

  1. 合成樹脂を結合材とする木部用塗料であって、
    木材へ塗装されて形成される被膜が、促進耐候性試験(キセノンランプ法)500時間後の光沢保持率が5~50%である、ことを特徴とする木部用塗料。
  2. 墨を含有し、
    塗装されて形成される厚さ40μmの被膜の光透過率が、波長300~350nmにおいて15~45%、波長350~400nmにおいて25~55%であることを特徴とする請求項1に記載の木部用塗料。
  3. 前記合成樹脂が、ビニル変性エポキシエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の木部用塗料。
  4. 墨と合成樹脂とを含有する木部用塗料から形成される被膜によって被覆され、直射日光と風雨に曝される屋外用途の、木材を母材とする木部外装建材であって、
    該被膜が、紫外線を透過し、直射日光と風雨に曝されることにより徐々に剥離する、ことを特徴とする木部外装建材。
  5. 請求項1に記載の木部用塗料から形成される被膜が被覆されていることを特徴とする木部外装建材。
  6. 建築物の外壁材の外側に設置された断熱材と、該断熱材の外側に設置された防水シートと、該防水シートの外側に設置された請求項4又は5に記載の木部外装建材と、を備えることを特徴とする木部外装構造。
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