JP2023023461A - シリンダボアの真円度推定システム及び真円度推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダボアの真円度を精度良く推定することを可能にする。【解決手段】推定システム1は、シリンダボア11内で回転する回転軸3であって、その中心軸Osを挟んで180°対向する二箇所に、対向するシリンダボア11の内周面11aとの離間距離α,βを計測する測長センサ36A,36Bが取り付けられた回転軸3を備える。回転軸3が所定角度回転する毎に、二つの測長センサ36A,36Bがそれぞれ計測した離間距離α,βに基づいてシリンダボア11の中心軸Obに対する回転軸3の中心軸Osのズレ量δ1が算出されると共に、このズレ量δ1により離間距離αに基づいて算出されるシリンダボア11の半径値が補正される。【選択図】図5
Description
本発明は、エンジンのシリンダブロックに形成されるシリンダボアの真円度(横断面形状)を推定するためのシステム及び方法に関する。
周知のように、レシプロエンジンにおいては、シリンダブロックのシリンダボア内に配設されたピストンが上死点と下死点との間を往復動するのに伴って吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の行程が繰り返し実行されることにより、回転動力が連続的に出力されるようになっている。ピストンの外周面にはOリング等のピストンリングが嵌合されており、このピストンリングはピストンの往復動に伴ってシリンダボアの内周面を摺動する。このとき、シリンダボアの真円度が低下していると、シリンダボアに対するピストンリングの摺動抵抗(エンジンの機械損失)が増大するため、エンジンの出力効率が低下する。そのため、シリンダボアの真円度を計測し、その結果をエンジンの設計や加工(製造)に反映させる取り組みがなされている。
特開2015-197296号公報(特許文献1)には、シリンダボア(の内周面)の真円度を測定するためのシステムが記載されている。このシステムは、シリンダヘッド及びシリンダブロックのそれぞれを燃焼室及びシリンダボア内から加熱しながらシリンダボアの真円度を測定・算出可能とした点、すなわち、シリンダブロックの温度をエンジンの実働状態に近付けた状態でシリンダボアの真円度を測定可能とした点に特徴がある。これにより、実働状態のエンジンにおけるシリンダボアの真円度を推測することが可能となり、エンジンの設計などに有用なデータを取得することができる、としている。
上記システムにおいては、シリンダボアの内周にその中心軸回りに回転する回転軸が同軸に配置され、この回転軸に取り付けられた(1個の)ギャップセンサにより、互いに対向する回転軸の外周面とシリンダボアの内周面との間に形成される径方向のギャップが検出される。そして、制御装置が、回転軸が所定角度(例えば、5°)回転する毎にギャップセンサによる検出値(ギャップ値)を取得し、複数のギャップ値(例えば、回転軸が一回転する間に取得した計72個のギャップ値)に基づいてシリンダボアの真円度を算出するようになっている。
本発明者らが特許文献1に記載された技術手段を用いて複数のギャップ値を取得し、これに基づいてシリンダボアの横断面形状に関する図形データを作成したところ、実際には存在し得ないような大きな凹凸を有する図形データが得られ、参考のために真円度測定器を用いて作成された常温のシリンダボアの横断面形状に関する図形データとの形状の相違が顕著であった。
特許文献1の技術手段を用いて作成した図形データに大きな凹凸(形状の崩れ)が生じた主な理由は、ギャップセンサが取り付けられた回転部材の回転駆動時に軸振れが生じ、その振れ量がギャップセンサによる検出値に反映されたためだと推察される。従って、特許文献1に記載された技術手段は、大きな計測誤差が生じ易く、エンジンの設計等に有効に活用し得るような信頼性の高いデータを適切に取得することができない可能性が高いと言え、改善の余地がある。
係る実情に鑑み、本発明は、エンジンのシリンダブロックに形成されるシリンダボアの真円度(横断面形状)を精度良く推定可能とすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明では、シリンダブロックに形成されたシリンダボアの真円度を推定するシステムであって、シリンダボア内でその中心軸回りに回転する回転軸と、回転軸に取り付けられ、対向するシリンダボアの内周面との離間距離を計測する測長センサと、を備え、測長センサは、少なくとも、回転軸の中心軸を挟んで180°対向する二箇所に配設されており、回転軸が所定量回転する毎に、各測長センサが計測した上記離間距離に基づいてシリンダボアの中心軸に対する回転軸の中心軸のズレ量が算出されると共に、このズレ量により上記離間距離に基づいて算出されるシリンダボアの半径値が補正されることを特徴とするシリンダボアの真円度推定システムを提供する。
上記の構成によれば、回転軸の中心軸を挟んで180°対向する二箇所に配設された測長センサのそれぞれによる計測値に基づいて、回転軸が所定量回転したときのシリンダボアの中心軸に対する回転軸の中心軸のズレ量(回転軸の振れ量)を算出することができる。これにより、各回転角でシリンダボアの内径寸法を算出する際には、回転軸の軸振れの影響を緩和することができる。また、上記ズレ量により測長センサが計測した離間距離に基づいて算出されるシリンダボアの半径値(内径寸法)が補正されるので、各回転角で算出すべきシリンダボアの内径寸法の正確性(信頼性)が高まる。本発明では、回転軸が所定量回転する毎、換言するとシリンダボアの内径寸法が算出される毎に上記のズレ算出処理及び補正処理が実施されるので、シリンダボアの真円度(横断面形状)を精度良く推定することが可能になる。
測長センサは、回転軸に対し、上記のように180°ピッチで2つ取り付けることができる他、90°ピッチで4つ取り付けることもできる。
また、上記の目的を達成するため、本発明では、シリンダブロックに形成されたシリンダボアの真円度を推定するに際し、シリンダボア内でその中心軸回りに回転する回転軸のうち、少なくともその中心軸を挟んで180°対向する二箇所に、対向するシリンダボアの内周面との離間距離を計測する測長センサを取り付け、回転軸が所定量回転する毎に、各測長センサが計測した上記離間距離に基づいて算出されたシリンダボアの中心軸に対する回転軸の中心軸のズレ量により上記離間距離に基づいて算出されるシリンダボアの半径値を補正する補正処理が実施されることを特徴とするシリンダボアの真円度推定方法を提供する。
係る方法によっても、上述した本発明に係るシステムと同様の作用効果を享受することができる。
以上より、本発明によれば、シリンダブロックに設けられるシリンダボアの真円度(横断面形状)を精度良く推定することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る推定システム1の全体概略構造を示し、図2に、同推定システム1の部分拡大図を示す。図1等に示す推定システム1は、エンジンのシリンダブロック10に形成されるシリンダボア11の真円度(横断面形状)を推定するために使用されるシステムである。シリンダブロック10には、シリンダボア11と連通する燃焼室13と、燃焼室13と連通する吸気ポート14及び排気ポート15と、点火プラグが収容されるプラグ収容室16とが形成されたシリンダヘッド12が取り付けられている。シリンダブロック10及びシリンダヘッド12には、それぞれウォータージャケット17,18が形成されている。シリンダブロック10及びシリンダヘッド12は、何れも鋳鉄製又はアルミ合金製とされる。
推定システム1は、図示しない治具を介してシリンダブロック10を固定的に保持する基台2Aと、基台2Aに対して昇降可能に設けられたブラケット2Bと、ブラケット2Bに対して回転可能に支持された回転軸3と、回転軸3をその中心軸回りに回転駆動させる回転駆動部4と、回転駆動部4等の動作を制御する制御部5(図3参照)とを備える。
シリンダブロック10は、クランクケース側が下側に配置されると共に、シリンダボア11の中心軸が上下方向に沿って配置されるように基台2Aに保持される。
シリンダヘッド12が取り付けられた状態で基台2Aに保持されたシリンダブロック10には、シリンダヘッド12に形成された燃焼室13(及びこれに連通するシリンダボア11)に常温よりも高温の流体(例えば、油)を供給するための高温流体供給部20が接続される。すなわち、本実施形態の推定システム1は、高温流体供給部20をさらに備える。高温流体供給部20は、例えば、油を貯留したオイルタンク(図示省略)と、オイルタンクに貯留された油(高温油)を圧送するオイルポンプ21と、一端がオイルポンプ21の吐出ポートに接続された給油管22と、一端がオイルポンプ21の吸入ポートに接続された排油管23と、を備えるものが使用される。係る構成の高温流体供給部20は、図3に模式的に示すように、制御部5と電気的に接続されている。
本実施形態では、プラグ収容室16に給油管22の他端が接続され、排気ポート15に排油管23の他端が接続され、吸気ポート14が図示しない蓋材により閉塞されている。このため、オイルポンプ21から吐出された高温油は、給油管22及びプラグ収容室16を介して燃焼室13、さらにはシリンダボア11に流入し、シリンダボア11に流入した高温油は、燃焼室13、排気ポート15及び排油管23を介してオイルタンクに還流する。上記態様で高温油が流通することにより、シリンダブロック10のシリンダボア11を常温よりも高温(高温油の油温に応じた温度)に加熱することができる。
回転軸3は、シリンダボア11と同軸に配置された縦姿勢(鉛直姿勢)の状態で軸受6を介してブラケット2Bに支持されており、下端が回転駆動部4に連結された軸部31と、軸部31の上端部に設けられた頭部32とを備える。この回転軸3は、シリンダブロック10の形成材料よりも線膨張係数が小さい材料で形成される。
図2中の拡大図にも示すように、頭部32は、円筒面状の外周面33を有し、この外周面33は円筒面状に形成されたシリンダボア11の内周面11aと径方向の隙間7を介して対向する。頭部32の外周面33の上端部には環状溝34が形成されており、この環状溝34には、シリンダボア11の内周面11aに圧接したOリング35が嵌合されている。そのため、回転軸3が回転駆動部4の出力を受けて回転するとき、及びブラケット2Bの昇降移動に伴って回転軸3が昇降移動するとき、Oリング35は、シリンダボア11の内周面11aを摺動する。また、係る態様でOリング35が設けられていることにより、回転軸3とシリンダボア11との間に画成される空間が密封されるので、シリンダボア11に供給された高温油の外部漏洩を阻止することができる。これにより、シリンダブロック10をシリンダボア11内から適切に加熱することができる。
図4にも示すように、回転軸3の頭部32のうち環状溝34よりも下側には、対向するシリンダボア11の内周面11aとの径方向の離間距離を計測可能な測長センサ36が取り付けられている。測長センサ36は、頭部32に対して周方向等間隔で偶数個取り付けられ、本実施形態では、回転軸3の中心軸(回転中心)Osを挟んで180°対向する二箇所に取り付けられている。各測長センサ36は制御部5と電気的に接続されている(図3参照)。測長センサ36は、変位センサやギャップセンサとも称されるものであり、レーザ式、LED式、超音波式、渦電流式などといった非接触タイプが好ましく使用される。なお、以下、頭部32に取り付けられた二つの測長センサ36を区別する必要がある場合には、一方を第1測長センサ36Aと、また他方を第2測長センサ36Bと言う。
回転駆動部4は、回転軸3を回転させるための回転動力を発生させるモータ41と、モータ41の出力軸に設けられた駆動ギヤ42と、回転軸3の軸部31の下端に設けられ、駆動ギヤ42と噛合した受動ギヤ43と、回転角検出センサとしてのロータリーエンコーダ44と、ロータリーエンコーダ44の回転軸に設けられ、受動ギヤ43と噛合したエンコーダギヤ45とを備えている。以上の構成を有する回転駆動部4は、ブラケット2Bに保持されており、回転軸3とともに昇降移動する。
回転駆動部4は制御部5と電気的に接続されており、モータ41の動作が制御部5により制御される。モータ41が駆動され、その出力軸及び駆動ギヤ42が一体に回転すると、駆動ギヤ42と噛合した受動ギヤ43、及び受動ギヤ43が設けられた回転軸3が一体に回転する。受動ギヤ43が回転すると、これに噛合したエンコーダギヤ45及びこれが設けられたロータリーエンコーダ44の回転軸も回転する。ロータリーエンコーダ44の回転軸が所定角度回転する毎にロータリーエンコーダ44から信号(パルス信号)が出力され、このパルス信号は制御部5に入力される。なお、モータ41としては、例えば回転検出センサが一体的に設けられたサーボモータを使用することも可能である。この場合には、図示例のようにモータ41とロータリーエンコーダ44を個別に設置する必要はない。
本実施形態の真円度推定システム1は概ね以上の構成を有し、以下のような手順を踏むことでシリンダボア11の真円度が計測・推定される。
まず、図1及び図2に示すように、シリンダヘッド12が取り付けられたシリンダブロック10を基台2Aに保持させると共に、回転軸3及び回転駆動部4を支持したブラケット2Bを昇降移動させることにより、シリンダブロック10に形成されたシリンダボア11に対する回転軸3の頭部32(に取り付けられた測長センサ36)の上下方向での位置決めを行う。
次いで、制御部5により高温流体供給部20が制御されて、シリンダヘッド12が取り付けられたシリンダブロック10に対して高温油が供給される。高温油の供給時には、シリンダボア11の周囲に配置された図示しない温度センサによってシリンダボア11の内周面11a付近の温度が検出され、その検出値が制御部5に送られる。制御部5は、シリンダボア11の内周面11aの温度を所定の温度範囲内に収めるべく、温度センサから送られてきた上記検出値に基づき、油温を調整するための指令を高温流体供給部20に与える。そして、例えば、制御部5により、温度センサにより検出される温度が所定範囲内に収まったと判断されると、回転駆動部4のモータ41が駆動されて回転軸3がその中心軸Os回りに回転し、回転軸3の頭部32に取り付けられた2つの測長センサ36(第1測長センサ36A及び第2測長センサ36B)のそれぞれにより、対向するシリンダボア11の内周面11aとの離間距離α,β(図4参照)が計測される。
より具体的に説明すると、回転駆動部4のモータ41が駆動されると、制御部5により、ロータリーエンコーダ44から入力されるパルス信号に基づいて回転軸3がステップ的に所定角度(例えば、5°)ずつ回転する。回転軸3が所定角度回転する毎に、制御部5により、第1測長センサ36Aの検出信号、すなわち第1測長センサ36Aが計測した計測値(離間距離α:図4参照)に関する信号と、第2測長センサ36Bの検出信号、すなわち第2測長センサ36Bが計測した計測値(離間距離β:図4参照)に関する信号とが取得される。そして、回転軸3を一回転させる間に、両測長センサ36A,36Bの検出信号がそれぞれ複数個(ここでは72個)取得される。
ここで、横軸を回転軸3の回転角とし、縦軸を測長センサ36により計測される上記の離間距離とした図6に、回転軸3が一回転する間に第1測長センサ36Aが計測した計測値(離間距離α)に基づく線図を細実線で示し、回転軸3が一回転する間に第2測長センサ36Bが計測した計測値(離間距離β)に基づく線図を破線で示す。
図6中に細実線及び破線で示す2つの線図は、何れも、各測長センサ36による計測値が回転軸3の回転角に応じて大きく異なっている。これはすなわち、シリンダボア11の内周面11aの真円度が(非常に)低いことを意味するが、推定システム1の使用に際してシリンダボア11の内周面11aを高温油によって加熱しているといえども、上記2つの線図が上下に大きく波打つ(内周面11aの真円度が大きく低下する)ほどにまでシリンダボア11の内周面11aが大きく熱変形するとは考え難い。従って、各測長センサ36による計測値が回転軸3の回転角に応じて大きく異なっているのは、別の要因があると推察される。
具体的には、回転軸3が回転駆動されるときに、回転軸3の中心軸Osがシリンダボア11の中心軸Ob(図4参照)に対して径方向に位置ズレする、いわゆる軸振れが生じ、軸振れによる径方向の移動量が計測値に反映されていることに大きな一因があると推察される。軸振れは、例えば、軸受による回転軸3の支持箇所を増やすことによって抑制することができるとも考えられるが、シリンダブロック10に形成されるシリンダボア11の構造上、そのような対策を講じるのは容易ではない。
そこで、本発明の実施形態に係る推定システム1においては、回転軸3が所定量(所定角度)回転する毎に、各測長センサ36(36A,36B)が計測した離間距離α,βに基づいてシリンダボア11の中心軸Obに対する回転軸3の中心軸Osのズレ量δ1(図5参照)が算出されると共に、このズレ量δ1により上記離間距離α(又はβ)に基づいて算出されるシリンダボア11の半径値が補正される。この補正処理の具体的な手順を、図5を参照しながら以下説明する。
[第1ステップ]
まず、回転軸3の中心軸(測長センサ36A,36Bが取り付けられた軸方向位置における回転軸3の中心軸。当段落において以下同様。)Osと第1測長センサ36Aの検出面との離間距離DSA、及び回転軸3の中心軸Osと第2測長センサ36Bの検出面との離間距離DSBを計測する。この計測作業は、回転軸3の頭部32に測長センサ36A,36Bを取り付けた段階で実施しておいても良い。
[第2ステップ]
回転軸3を所定角度(ここでは5°)回転させてから、各測長センサ36A,36Bにより、当回転角におけるセンサの検出面とシリンダボア11の内周面11aとの離間距離α,βを計測する。
[第3ステップ]
第1ステップ及び第2ステップで計測された計測値DSA,DSB,α,βから、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の内径寸法Db(=DSA+DSB+α+β)を求める。
[第4ステップ]
第3ステップで求めた、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の内径寸法Dbを2等分する(=Db/2)ことにより、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の半径寸法、換言するとシリンダボア11の中心軸Obを求める。
[第5ステップ]
第1ステップで計測していた離間距離DSA,DSBに基づき、回転軸3の半径寸法(=(DSA+DSB)/2)を求める。この半径寸法と、第4ステップで求めた当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の半径寸法とから、回転軸3の中心軸Osと当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の中心軸Obとのズレ量δ1を求める。
[第6ステップ]
第1ステップで計測した離間距離DSA(又はDSB)と第2ステップで計測した離間距離α(又はβ)とを加算することで得られる当回転角におけるシリンダボア11の半径寸法(=DSA+α)を、第5ステップで求められたズレ量δ1を用いて補正する。
以降、回転軸3が所定角度回転する毎に、上記の第2ステップ~第6ステップが順に実施される。
まず、回転軸3の中心軸(測長センサ36A,36Bが取り付けられた軸方向位置における回転軸3の中心軸。当段落において以下同様。)Osと第1測長センサ36Aの検出面との離間距離DSA、及び回転軸3の中心軸Osと第2測長センサ36Bの検出面との離間距離DSBを計測する。この計測作業は、回転軸3の頭部32に測長センサ36A,36Bを取り付けた段階で実施しておいても良い。
[第2ステップ]
回転軸3を所定角度(ここでは5°)回転させてから、各測長センサ36A,36Bにより、当回転角におけるセンサの検出面とシリンダボア11の内周面11aとの離間距離α,βを計測する。
[第3ステップ]
第1ステップ及び第2ステップで計測された計測値DSA,DSB,α,βから、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の内径寸法Db(=DSA+DSB+α+β)を求める。
[第4ステップ]
第3ステップで求めた、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の内径寸法Dbを2等分する(=Db/2)ことにより、当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の半径寸法、換言するとシリンダボア11の中心軸Obを求める。
[第5ステップ]
第1ステップで計測していた離間距離DSA,DSBに基づき、回転軸3の半径寸法(=(DSA+DSB)/2)を求める。この半径寸法と、第4ステップで求めた当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の半径寸法とから、回転軸3の中心軸Osと当回転角での計測値に基づくシリンダボア11の中心軸Obとのズレ量δ1を求める。
[第6ステップ]
第1ステップで計測した離間距離DSA(又はDSB)と第2ステップで計測した離間距離α(又はβ)とを加算することで得られる当回転角におけるシリンダボア11の半径寸法(=DSA+α)を、第5ステップで求められたズレ量δ1を用いて補正する。
以降、回転軸3が所定角度回転する毎に、上記の第2ステップ~第6ステップが順に実施される。
以上のような手順を踏んで補正された数値に基づく線図を図6中に太実線で示している。当該線図においても、縦軸に示す「距離」の値は回転軸3の回転角に応じて異なっているが、その最大値と最小値の差は相当に小さくなっている。そのため、図6中に太実線で示す線図は、シリンダボア11(常温よりも高温に加熱されたシリンダボア11)の内周面11aの横断面形状を精度良く反映しているものと考えられる。
なお、回転軸3を一回転させた後(所定の上下方向位置におけるシリンダボア11の真円度が求められた後)には、回転軸3及び回転駆動部4を支持したブラケット2Bを昇降させることにより、シリンダボア11に対する回転軸3の頭部32の上下方向位置を変更する。そして、変更後の上下方向位置において、以上で説明したようにしてシリンダボア11の内周面11aの真円度を求める。
以上で説明した本実施形態に係る真円度推定システム1では、回転軸3の中心軸Osを挟んで180°対向する二箇所に配置した測長センサ36(第1測長センサ36A及び第2測長センサ)のそれぞれで計測された離間距離α,βに基づいて、シリンダボア11の中心軸Obに対する回転軸3の中心軸Osのズレ量δ1、つまり回転軸3の振れ量が算出される。これにより、回転軸3の各回転角でシリンダボア11の内径寸法を算出する際には、回転軸3の軸振れの影響を緩和することができる。また、上記ズレ量δ1により、測長センサ36(ここでは第1測長センサ36A)が計測した離間距離αに基づいて算出されるシリンダボア11の半径値(=DSA+α)が補正されるので、回転軸3の各回転角で算出すべきシリンダボア11の内径寸法の正確性・信頼性が高まる。
特に、本実施形態のシステム1は、常温よりも高温の流体(高温油)をシリンダブロック10に供給する高温流体供給部20を有し、シリンダボア11に供給された上記高温油によって常温よりも高温に加熱された状態のシリンダボア11の内周で回転軸3が所定角度回転する毎に、ズレ算出処理(上記の第2~第5ステップ)及び補正処理(上記の第6ステップ)が実施されることから、実働状態のエンジンにおけるシリンダボア11の真円度(横断面形状)を精度良く推定することができる。
以上、本発明の一実施形態に係るシリンダボア11の真円度推定システム1及び推定方法について説明を行ったが、本発明の実施の形態は、以上で説明したものに限定されるわけではない。
例えば、回転軸3の頭部32には、図7に示すように、その中心軸Osを挟んで180°対向する二箇所に配設された第1測長センサ36A及び第2測長センサ36Bに加え、第1測長センサ36Aに対して周方向一方側及び他方側に90°シフトした位置に第3測長センサ36C及び第4測長センサ36Dを取り付けても良い。つまり、測長センサ36は、回転軸3の頭部32に対して90°ピッチで4つ取り付けることもできる。なお、第3測長センサ36C及び第4測長センサ36Dも、第1測長センサ36Aと同様に、対向するシリンダボア11の内周面11aとの離間距離を計測するセンサである。
係る構成によれば、回転軸3の中心軸Osを挟んで180°対向する二箇所に配設された第3測長センサ36C及び第4測長センサ36Dによる計測値(上記離間距離)に基づいてシリンダボア11の中心軸Osに対する回転軸3の中心軸Obのズレ量δ2(図8参照)を算出することができる。このズレ量δ2は、第1測長センサ36A及び第2測長センサ36Bによる計測値に基づいて算出されるズレ量δ1に対して直交する方向のズレ量である。そのため、本実施形態の構成によれば、シリンダボア11の内径寸法を算出する際には、互いに直交する二つの方向における回転軸3の軸振れを考慮することができる。従って、シリンダボア11の内周面11aの真円度(横断面形状)を一層精度良く推定することができる
本発明の実施形態に係る推定システム1は、高温流体供給部20から供給される高温油により加熱されたシリンダボア11(温間又は熱間にあるシリンダボア11)の真円度を推定する場合のみならず、常温のシリンダボア11(冷間にあるシリンダボア11)の真円度を推定する場合に使用できるのはもちろんである。
1 推定システム
3 回転軸
4 回転駆動部
5 制御部
10 シリンダブロック
11 シリンダボア
11a 内周面
12 シリンダヘッド
20 高温流体供給部
32 頭部
36 測長センサ
Ob シリンダボアの中心軸
Os 回転軸の中心軸
α 離間距離
β 離間距離
δ1 ズレ量
3 回転軸
4 回転駆動部
5 制御部
10 シリンダブロック
11 シリンダボア
11a 内周面
12 シリンダヘッド
20 高温流体供給部
32 頭部
36 測長センサ
Ob シリンダボアの中心軸
Os 回転軸の中心軸
α 離間距離
β 離間距離
δ1 ズレ量
Claims (3)
- シリンダブロックに形成されたシリンダボアの真円度を推定するシステムであって、
前記シリンダボア内でその中心軸回りに回転する回転軸と、
前記回転軸に取り付けられ、対向する前記シリンダボアの内周面との離間距離を計測する測長センサと、を備え、
前記測長センサは、少なくとも、前記回転軸の中心軸を挟んで180°対向する二箇所に配設されており、
前記回転軸が所定量回転する毎に、各測長センサが計測した前記離間距離に基づいて前記シリンダボアの中心軸に対する前記回転軸の中心軸のズレ量が算出されると共に、このズレ量により前記離間距離に基づいて算出される前記シリンダボアの半径値が補正されることを特徴とするシリンダボアの真円度推定システム。 - 前記測長センサが、前記回転軸の周方向四箇所に等配されている請求項1に記載のシリンダボアの真円度推定システム。
- シリンダブロックに形成されたシリンダボアの真円度を推定するに際し、
前記シリンダボア内でその中心軸回りに回転する回転軸のうち、少なくともその中心軸を挟んで180°対向する二箇所に、対向する前記シリンダボアの内周面との離間距離を計測する測長センサを取り付け、
前記回転軸が所定量回転する毎に、各測長センサが計測した前記離間距離に基づいて算出された前記シリンダボアの中心軸に対する前記回転軸の中心軸のズレ量により、前記離間距離に基づいて算出される前記シリンダボアの半径値を補正する補正処理が実施されることを特徴とするシリンダボアの真円度推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021129023A JP2023023461A (ja) | 2021-08-05 | 2021-08-05 | シリンダボアの真円度推定システム及び真円度推定方法 |
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- 2021-08-05 JP JP2021129023A patent/JP2023023461A/ja active Pending
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