JP2023022783A - ベーカリー食品用組成物 - Google Patents

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亜由菜 水品
Ayuna MIZUSHINA
俊介 松本
Shunsuke Matsumoto
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Abstract

【課題】ホスホリパーゼを使用するベーカリー食品において、生地のひび割れを防止し、かつ口どけが向上し、歯切れに優れるベーカリー食品を提供する。【解決手段】成分(A)とホスホリパーゼを含む、ベーカリー食品用組成物。成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物(1)澱粉含量が75質量%以上(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下【選択図】なし

Description

本発明は、ベーカリー食品用組成物、ベーカリー食品用生地の製造方法、ベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法およびベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法に関する。
ベーカリー食品の中でも、スポンジケーキやロールケーキは、市場のニーズに応じて、風味、食感、外観等に特徴のあるものが種々開発されている。その中でもロールケーキは、加熱後の生地を成形する際に生地の外側がひび割れてしまうと外観が損なわれてしまうため、成形時のひび割れを防止することが求められる。
特許文献1には、ホスホリパーゼを含む洋菓子の割れ防止剤が開示されている。これによると、洋菓子の焼き上がりや蒸し上がりが柔らかくなり、曲げ成形時のひび割れを防止できるとされている。
特開2017-212914
しかしながら、特許文献1の技術において、ホスホリパーゼを生地に添加すると、加熱後の生地がくちゃつき、歯切れが悪くなるという課題があった。
そこで、本発明者等が鋭意検討したところ、ホスホリパーゼを使用するベーカリー食品において、特定の成分を生地に含有させることで、生地のひび割れを防止し、かつ、くちゃつきが低減され口どけが向上し、歯切れに優れるベーカリー食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下のベーカリー食品用組成物、ベーカリー食品用生地の製造方法、ベーカリー食品の製造方法、ベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法およびベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法が提供される。
[1]
成分(A)とホスホリパーゼを含む、ベーカリー食品用組成物。
成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
[2]
前記成分(A)100gに対する前記ホスホリパーゼのUが1000U以上100000U以下である、[1]に記載のベーカリー食品用組成物。
[3]
前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、[1]または[2]に記載のベーカリー食品用組成物。
[4]
ベーカリー食品用生地の製造方法であって、
粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を調製する工程を含み、
ベーカリー食品用生地を調製する前記工程において、
前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下であり、
前記生地中の、前記成分(A)100gに対する前記ホスホリパーゼのUが1000U以上100000U以下である、ベーカリー食品用生地の製造方法。
成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
[5]
前記粉体原料が穀粉を含む、[4]に記載の製造方法。
[6]
[4]または[5]に記載の製造方法で得られたベーカリー食品用生地を、加熱調理する工程を含む、ベーカリー食品の製造方法。
[7]
前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフル、蒸しケーキから選択される1種である、請求項[4]乃至[6]に記載の製造方法。
[8]
粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を加熱調理して得られるベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法であって、
前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下である、前記ベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法。
成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
[9]
前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、[8]に記載のベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法。
[10]
粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を加熱調理して得られるベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法であって、
前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下である、前記ベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法。
成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
[11]
前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、[10]に記載のベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
本発明によれば、成形時の割れを防止しつつ、くちゃつきが低減され口どけが向上し、歯切れに優れたベーカリー食品を得ることができる。なお、ここでいうくちゃつきとは、喫食した際に、口の中で食品が唾液と混じってくちゃくちゃと粘る様子をいう。また、歯切れに優れるとは、食品を歯で噛んだ時に、すっと噛み切れる様子を言う。
以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明におけるベーカリー食品用生地(単に生地ともいう)とは、特にことわりのない限りは焼成前の生地を指す。
(ベーカリー食品用組成物)
本実施形態において、ベーカリー食品用組成物は、成分(A)とホスホリパーゼを含む。
成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
以下、ベーカリー食品用組成物の原材料である各成分について説明する。
(成分(A))
成分(A)は、澱粉を75質量%以上含む粉粒状物である。ここで、粉粒状物とは、粉状物および粒状物のうち少なくとも一方を含むものであり、粉状物および粒状物の両方を含むものであってもよい。
そして、成分(A)は、澱粉として、アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を前記粉粒状物中に3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下であって、25℃における前記粉粒状物の冷水膨潤度が5以上20以下である。
以下、成分(A)についてさらに具体的に説明する。
成分(A)中の澱粉の含有量は、くちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させる観点から、80質量%以上とすることが好ましく、85質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、成分(A)中の澱粉含量の上限に制限はなく、100質量%以下であるが、ベーカリー食品の性状等に応じてたとえば99.5質量%以下、99質量%以下としてもよい。
また、成分(A)は、上記澱粉として、アミロース含量5質量%以上の澱粉を原料とする低分子化澱粉を特定の割合で含み、低分子化澱粉として特定のピーク分子量のものが用いられる。すなわち、成分(A)中の澱粉が、アミロース含量5質量%以上の澱粉を原料とする低分子化澱粉を成分(A)中に3質量%以上45質量%以下含み、低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下である。
低分子化澱粉のピーク分子量は、くちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させる観点から、3×10以上であり、8×10以上とすることが好ましい。また、低分子化澱粉のピーク分子量は、同様の観点から、5×10以下であり、3×10以下とすることが好ましく、1.5×10以下とすることがさらに好ましい。なお、分解後の澱粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項に記載する。
低分子化澱粉は、その製造安定性に優れる観点から、好ましくは、酸処理澱粉、酸化処理澱粉または酵素処理澱粉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは酸処理澱粉である。
前記酸処理の条件は、特に問わないが、例えば、以下のように処理することができる。
前記アミロース含量5質量%以上の澱粉と水を反応装置に投入した後、さらに酸を投入する。あるいは水に酸をあらかじめ溶解させた酸水と原料の澱粉を反応装置に投入する。酸処理をより安定的に行う観点からは、反応中の澱粉の全量が水相内に均質に分散した状態、またはスラリー化した状態にあることが望ましい。そのためには、酸処理を行う上での澱粉スラリーの濃度を、たとえば10質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下の範囲になるように調整する。スラリー濃度が高すぎると、スラリー粘度が上昇し、均一なスラリーの攪拌が難しくなる場合がある。
前記酸処理に用いられる酸として、具体的には塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられ、種類、純度などを問わず利用できる。
酸処理反応において、たとえば酸処理時の酸濃度は.0.05規定度(N)以上4N以下が好ましく、0.1N以上4N以下がより好ましく、0.2N以上3N以下がさらに好ましい。また、反応温度は、30℃以上70℃以下が好ましく、35℃以上70℃以下がより好ましく、35℃以上65℃以下がさらに好ましい。反応時間は、0.5時間以上120時間以下が好ましく、1時間以上72時間以下がより好ましく、1時間以上48時間以下がさらに好ましい。
成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、くちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させる観点から、成分(A)全体に対して3質量%以上であり、8質量%以上であることが好ましく、13質量%以上とすることがさらに好ましい。
一方、成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、同様の観点から、成分(A)全体に対して45質量%以下であり、35質量%以下であることが好ましく、25質量%以下とすることがさらに好ましい。
また、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量は、5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは55質量%以上、よりいっそう好ましくは65質量%以上である。なお、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量の上限に制限はなく、100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
低分子化澱粉の原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉および、これらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。くちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させる観点から、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、および、タピオカ澱粉から選択される1種または2種以上を用いることが好ましく、ハイアミロースコーンスターチを用いることがより好ましい。ハイアミロースコーンスターチのアミロース含量は、40質量%以上のものが入手可能である。アミロース含量5質量%以上の澱粉は、より好ましくはアミロース含量が40質量%以上のコーンスターチである。
また、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は、くちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させる観点から、5以上であり、好ましくは5.5以上であり、さらに好ましくは6以上である。
また、同様の観点から、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は20以下であり、好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。
ここで、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は、以下の方法で測定される。
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社製、型番MX‐50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾物質量を算出する。
(2)この乾物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプター)し、沈殿層と上澄層に分ける。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とする。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とする。
(5)BをCで割った値を冷水膨潤度とする。
成分(A)の、JIS-Z8801-1規格における目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上であり、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、好ましくは23質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。また、目開き0.15mmの篩の篩下の含有量は100質量%以下であり、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、好ましくは97質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは86質量%以下である。
また、成分(A)の、JIS-Z8801-1規格の篩における0.15mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の含有量は、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。また、目開き0.15mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の含有量は、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらにより好ましくは65質量%以下、さらにより好ましくは60質量%以下である。
本実施形態において、成分(A)中の上記低分子化澱粉以外の澱粉成分としては、様々な澱粉を使用することができる。具体的には、用途に応じて一般に市販されている澱粉、たとえば食品用の澱粉であれば、種類を問わないが、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉およびこれらの澱粉を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、コーンスターチを含むことがより好ましく、コーンスターチがさらに好ましい。
また、本実施形態における成分(A)には、澱粉以外の成分を配合することもできる。
澱粉以外の成分の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩や、色素が挙げられ、不溶性塩を配合することが好ましく、不溶性塩の配合量は、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
次に、成分(A)の製造方法を説明する。成分(A)の製造方法は、たとえば、以下の工程を含む。
(低分子化澱粉の調製工程)アミロース含量5質量%以上の原料澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×10以上5×10以下の低分子化澱粉を得る工程。
(造粒工程)原料に低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ低分子化澱粉と低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、原料を加熱糊化して造粒する工程。
低分子化澱粉の調製工程は、アミロース含量5質量%以上の澱粉を分解して低分子化澱粉とする工程である。ここでいう分解とは、澱粉の低分子化を伴う分解をいい、代表的な分解方法として酸処理や酸化処理、酵素処理による分解が挙げられる。この中でも、分解速度やコスト、分解反応の再現性の観点から、好ましくは酸処理である。
また、造粒工程には、澱粉の造粒に使用されている一般的な方法を用いることができるが、所定の冷水膨潤度とする点で、澱粉の加熱糊化に使用されている一般的な方法を用いることが好ましい。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどの機械を使用した方法が知られているが、本実施形態において、冷水膨潤度が上述した特定の条件を満たす成分(A)をより確実に得る観点から、エクストルーダーやドラムドライヤーによる加熱糊化が好ましく、エクストルーダーがより好ましい。
エクストルーダー処理する場合は通常、澱粉を含む原料に加水して水分含量を10~60質量%程度に調整した後、たとえばバレル温度30~200℃、出口温度80~180℃、スクリュー回転数100~1,000rpm、熱処理時間5~60秒の条件で、加熱膨化させる。
本実施形態において、たとえば上記特定の原料を加熱糊化する工程により、冷水膨潤度が特定の条件を満たす成分(A)を得ることができる。また、加熱糊化して得られた造粒物を、必要に応じて、粉砕し、篩い分けをし、大きさを適宜調整して、成分(A)を得るとよい。
以上により得られる成分(A)は、低分子化澱粉を含む粉粒状物であって、澱粉含量、冷水膨潤度、および、低分子化澱粉のピーク分子量がいずれも特定の条件を満たす構成となっているため、ベーカリー食品のくちゃつきを低減し、口どけ、歯切れを向上させることができる。
(ホスホリパーゼ)
ホスホリパーゼとしては、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDが挙げられる。この中でも、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼDが好ましく、ホスホリパーゼA2がより好ましい。
市販品としては、デナベイクRICH(ナガセケムテックス株式会社)を使用することができる。
本発明におけるベーカリー食品用組成物中の成分(A)100gに対するホスホリパーゼのU(Unit、活性単位)は生地のひび割れを防止し、かつ、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、1000U以上であり、好ましくは2000U以上であり、より好ましくは5000U以上であり、さらに好ましくは5500U以上である。同様に、成分(A)100gに対するホスホリパーゼのUは、生地のひび割れを防止し、かつ、くちゃつきを低減させ歯切れを向上させる観点から、100000U以下であり、好ましくは80000U以下であり、より好ましくは50000U以下であり、さらに好ましくは40000U以下であり、さらにより好ましくは35000U以下である。
(粉体原料)
次に粉体原料について説明する。粉体原料は、ベーカリー食品用生地を調製する際に粉状の形態で配合される原材料である。ただし成分(A)は粉体原料には含まない。またホスホリパーゼが粉体の場合、粉体原料には含まない。
粉体原料の具体例として、小麦粉、米粉、ライ麦粉、大豆粉等の穀粉;グルテン、大豆蛋白質等の蛋白質;タピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、エンドウ豆澱粉およびこれらにアセチル化、エーテル化、架橋化、α化、油脂加工等の加工を単独もしくは組み合わせた加工澱粉、難消化性澱粉、デキストリン等の多糖類;砂糖、果糖、ブドウ糖、異性化糖、転化糖、オリゴ糖、トレハロース、糖アルコール等の糖類;アスパルテーム、アセスルファムカリウム等の粉末状の甘味料;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズパウダー等の乳類;食塩;ふすま、セルロース、難消化性デキストリン等の食物繊維;グアーガム、アルギン酸エステル等の増粘多糖類;ココアパウダー、抹茶パウダー等の風味パウダー;アーモンドプードル等のナッツパウダー;膨張剤;イーストフード等の品質改良剤(ただしホスホリパーゼを含まないもの);乳化剤等が挙げられる。
また、ベーカリー食品用生地は、粉体原料として、好ましくは穀粉を含み、より好ましくは小麦粉および米粉から選ばれる1種または2種以上を含み、さらに好ましくは小麦粉を含む。
(食用油脂組成物)
また、ベーカリー食品用生地は原料として、食用油脂組成物を含むことができる。かかる食用油脂組成物の具体例としては、ベーカリー食品に一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、マーガリン、ショートニング、バター等の20℃で固体のもの;菜種油、大豆油、オリーブ油等の20℃で液体のもの、等が挙げられ、好ましくは20℃で固体のものである。
本実施形態における食用油脂組成物は食用油脂を含む。食用油脂の具体例として、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油などの植物油脂;牛脂、豚脂等の動物脂;中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂、およびこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。
本実施形態において、食用油脂組成物中の食用油脂の含有量の下限は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。また、食用油脂組成物中の食用油脂の含有量の上限は、たとえば100質量%以下である。
(ベーカリー食品用生地の製造方法)
本発明におけるベーカリー食品用生地の製造方法は、粉体原料、ホスホリパーゼおよび前述の成分(A)を含み、ベーカリー食品用生地を調製する工程を含む。
また、成分(A)を添加するタイミングは特に限定されず、成分(A)およびそれ以外の原料をすべて同時に混合しても良いし、成分(A)と粉体原料を混合した後に、その他の原料と共に混合しても良い。
ここで、ベーカリー食品がスポンジケーキやロールケーキ等であるときのケーキ生地の製造方法としては、共立て法、別立て法、オールインミックス法が挙げられる。共立て法では、全卵に砂糖を加えて泡立てたのち、小麦粉や油脂を加える工程で生地を製造する。別立て法では、卵白と卵黄を別々に泡立てた後に、両者と粉類を順次合わせて生地を製造する。オールインミックス法では、全ての材料を同時に混合し、泡立てて生地を製造する。配合には乳化起泡剤を使用してもよい。ベーカリー食品用生地の製造方法としては、共立て法、別立て法、オールインミックス法を組み合わせた方法でもよい。
(その他の原材料)
本実施形態において、生地は上述した原材料以外の原材料を含むことができる。具体例としては、水、牛乳、豆乳、果汁、野菜汁、はちみつ、黒蜜、液糖などの液体成分;全卵、卵黄、卵白などの卵類;ナッツ類、ドライフルーツ類、チョコチップ等の各種風味素材;ゴマ;玄米;キビ、アワなどの雑穀類が挙げられる。
(ベーカリー食品)
本実施形態において得られるベーカリー食品は、ロールケーキ、スイスロール、ブッシュ・ド・ノエル、オムレット、ワッフル、スポンジケーキ、シフォンケーキ、パウンドケーキ、パンケーキ等のケーキ類、チーズ蒸しケーキ等の蒸しケーキ類、パン、ピザ、イーストドーナツ、イースト入り蒸しパン等のイースト発酵食品;アルプス蒸し等のイーストを含まない蒸しパン等が挙げられ、好ましくはケーキ類または蒸しケーキ類である。また、その中でもロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフル及び蒸しケーキから選択される1種が好ましく、ロールケーキ及びスポンジケーキから選択される1種がより好ましい。
本実施形態におけるベーカリー食品は、生クリーム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、コーヒークリーム、抹茶クリームなどのクリーム類や、ジャム、フルーツソースなどを塗ってもよいし、果物やナッツなどをトッピングしてもよい。また、例えばベーカリー食品がロールケーキの場合、クリーム類やジャム、フルーツソースを塗って巻いてもよいし、果物やナッツを巻き込んでもよい。オムレットのようにフィリングを挟み込むタイプの洋菓子においても、同様にクリームの種類やフルーツの種類を変えることで、多種多様な製品を作ることができる。
(ベーカリー食品の製造方法)
次に、ベーカリー食品の製造工程について説明する。
本実施形態において、ベーカリー食品の製造工程は、ベーカリー食品用生地を調製する工程、および、前記生地を加熱調理する工程を含む。
ベーカリー食品用生地の調製方法は、前述の(ベーカリー食品用生地の製造方法)に記載したとおりである。
このようにして調製されたベーカリー食品用生地を、加熱調理する工程を経てベーカリー食品を得ることができる。加熱調理の具体例として、焼成加熱、蒸し加熱が挙げられ、より好ましくは焼成である。焼成の具体例としては、フライパンやホットプレートによる焼成、デッキオーブンによる焼成、コンベクション加熱、スチームコンベクション加熱等が挙げられ、ホットプレート焼成、デッキオーブンによる焼成およびコンベクション加熱から選択される1種または2種が好ましく、より好ましくはホットプレート焼成およびデッキオーブンによる焼成であり、さらに好ましくはデッキオーブンによる焼成である。加熱調理の温度は、好ましくは150~230℃、より好ましくは160~220℃である。時間は好ましくは3~60分であり、より好ましくは6~50分である。
本発明のベーカリー食品は、加熱調理後すぐに喫食されてもよいし、保管工程ののち喫食されてもよい。保管工程ののち喫食される場合、保管は、冷凍保管、冷蔵保管、室温保管および温蔵保管等が挙げられ、好ましくは冷凍保管、冷蔵保管および室温保管からなる群から選択される1種または2種以上である。また、保管の温度の下限は具体的には、好ましくは-50℃以上であり、より好ましくは-20℃以上である。保管の温度の上限は、好ましくは35℃以下であり、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下、さらにより好ましくは20℃以下である。
(くちゃつきを低減する方法)
本実施形態においては、粉体原料およびホスホリパーゼを含むベーカリー食品用生地に、上述の成分(A)を、粉体原料と成分(A)の合計の含有量に対する成分(A)の含有量が0.2質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上含み、15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%となるように配合することにより、該生地を加熱調理して得られるベーカリー食品のくちゃつきを低減させることができる。
その際、ベーカリー食品生地中の成分(A)は、ベーカリー食品用生地中のホスホリパーゼ1Uあたり、好ましくは0.001g以上、より好ましくは0.002g以上含み、また、好ましくは0.1g以下、より好ましくは0.05g以下、さらに好ましくは0.02g以下含む。
(歯切れを向上させる方法)
本実施形態においては、粉体原料およびホスホリパーゼを含むベーカリー食品用生地に、上述の成分(A)を、粉体原料と成分(A)の合計の含有量に対する成分(A)の含有量が0.2質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上含み、15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%となるように配合することにより、該生地を加熱調理して得られるベーカリー食品の歯切れを向上させることができる。
その際、ベーカリー食品生地中の成分(A)は、ベーカリー食品用生地中のホスホリパーゼ1Uあたり、好ましくは0.001g以上、より好ましくは0.002g以上含み、また、好ましくは0.1g以下、より好ましくは0.05g以下、さらに好ましくは0.02g以下含む。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
(原材料)
以下の例では、原材料として、主に以下のものを使用した。
(澱粉)
低分子化澱粉:後述する製造例1で製造した酸処理ハイアミロースコーンスターチ
コーンスターチ:コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製
粉粒状物1~3:後述する製造例2の方法で製造された粉粒状物
(ホスホリパーゼ)
デナベイクRICH(ナガセケムテックス株式会社製 3000U/g)
(粉体原料)
薄力粉:フラワー、日清フーズ株式会社製
ベーキングパウダー:Fアップ、大宮食料工業株式会社製
砂糖:上白糖、三井製糖株式会社製
(その他の原材料)
油脂組成物1:スプレンダーL、株式会社J-オイルミルズ製
油脂組成物2:スプレンダーHG、株式会社J-オイルミルズ製
(製造例1)低分子化澱粉の製造
粉粒状物1~3の原料となる低分子化澱粉として酸処理ハイアミロースコーンスターチを製造した。
ハイアミロースコーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製、HS-7、アミロース含量70質量%)を水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチのピーク分子量を後述の方法で測定したところ、ピーク分子量は1.2×10であった。
(ピーク分子量の測定方法)
ピーク分子量の測定は、東ソー株式会社製HPLCユニットを使用しておこなった(ポンプDP-8020、RI検出器RS-8021、脱気装置SD-8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で、目開き0.15mm篩下の画分を回収した。この回収画分を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α-M(7.8mmφ、30cm)(東ソー株式会社製)2本
流速:0.5mL/min
移動相:5mM 硝酸ナトリウム含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC-8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー株式会社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
検量線には、分子量既知のプルラン(Shodex Standard P-82、昭和電工株式会社製)を使用した。
(冷水膨潤度の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、型番MX‐50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプター)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とした。
(5)BをCで割った値を冷水膨潤度とした。
(製造例2)粉粒状物1~3の製造
コーンスターチ79質量%、上述の(製造例1)で得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチ20質量%、および、炭酸カルシウム1質量%を充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業社製KEI-45)を用いて、混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分
加水:17質量%
バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃および100℃
出口温度:100~110℃
スクリューの回転数250rpm
このようにしてエクストルーダー処理により得られた加熱糊化物を110℃にて乾燥し、水分含量を10質量%に調整した。
次いで、乾燥した加熱糊化物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した後、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けした。篩分けした加熱糊化物を、表1の配合割合で混合し、粉粒状物1~3を調製した。粉粒状物1~3の25℃における冷水膨潤度を前述の方法で測定した値を表1に合わせて示す。
Figure 2023022783000001
注)例えば、「1mm篩下、0.5mm篩上」とは、「JIS-Z8801-1規格の目開き1mmの篩の篩下かつ0.5mmの篩の篩上」を意味する。
ベーカリー食品(ロールケーキ)の製造方法は、以下の手順で行った。
(ロールケーキの製造方法)
1.卵、油脂組成物、砂糖、水をミキサーボウルに入れ、軽く混ぜ合わせた。
2.上記1.に薄力粉、粉粒状物、ベーキングパウダー、ホスホリパーゼを加え以下の条件でミキシングし、ベーカリー食品用生地を得た。
ミキシング条件:卓上ミキサーにて1速で30秒、3速で1分40秒
3.上記2.を6取り天板に入れ、オーブンにて以下の条件と時間で焼成した。
焼成条件:上段200℃/下段180℃
焼成時間:12分
4.焼成後、生地をラップで覆い、30分間室温(20℃)に静置した。
5.裏返して10cm×14cmの大きさにカットした。
6.カットした生地をラップで包み、ジッパー付きポリ袋に入れた。
7.ショックフリーザー(-30℃)で30分冷凍後、-20℃の冷凍庫で保管した。
8.評価の際に、冷凍庫から取り出し、常温(20℃)で解凍したものをD0とした。同じタイミングで冷凍庫から取り出し、その後冷蔵庫で4日間保管したものをD4として評価を行った。
(食感の評価方法)
各例で作製したロールケーキについて、焼成後の食感を、以下の評価基準に従い専門パネラ―2名で評価した。評点は2名の合議で示した。
(食感:くちゃつき/口どけ)
5:全くくちゃつきを感じず、非常に口どけが良い
4:ほとんどくちゃつきを感じず、かなり口どけが良い
3:わずかにくちゃつきを感じるが、口どけが良い
2:ややくちゃつきを感じ、口どけがやや悪い
1:くちゃつきを感じ口の中で団子状になり、口どけが悪い
(食感:歯切れ)
5:非常に歯切れが良い
4:歯切れが良い
3:やや歯切れが良い
2:あまり歯切れが良くない
1:歯切れが悪い
(割れ数の評価方法)
各例で作成したロールケーキについて、割れやすさの評価を以下の方法で行った。
1.焼成後の生地を10cm×4cmにカットし、6枚用意した。
2.ステンレスバット2枚を、底面が向かい合うように立て、2枚のステンレスバットの間を8cmにして置いた。
3.2枚のバットの間に焼成後の生地を挟んだ。その際、上側を丸めるようにして挟んだ。
4.バットの間を5.8cmになるようにバットを動かし、5分間その状態を保った。
5.5分後に上部が割れた生地の数を数えた。
(実験1:成分(A)の量による違い)
表2に記載の原材料および配合でロールケーキ生地を調製し、ロールケーキを得た。
評価結果を表2に示す。
Figure 2023022783000002
表2の結果より、ロールケーキ生地にホスホリパーゼと成分(A)を含むことにより、生地の割れを抑制し、かつ口どけと歯切れに優れたロールケーキを得ることができた。成分(A)は粉体原料と成分(A)の合計に対して1.4%以上含むことにより口どけと歯切れがよく、割れも少ないロールケーキであった。また、ホスホリパーゼのUは、成分(A)100gに対して11781U以上39272U以下含むことで、割れを抑制し、かつ口どけと歯切れに優れたロールケーキを得ることができた。また、冷蔵で4日保管後のロールケーキにおいても、口どけと歯切れがよかった。また、このとき、成分(A)は、ホスホリパーゼ1Uあたり、0.0025g以上0.0085g含んでいた。
(実験2:ホスホリパーゼの量による違い)
表3に記載の原材料および配合でロールケーキ生地を調製し、ロールケーキを得た。
評価結果を表3に示す。
Figure 2023022783000003
生地に含まれるホスホリパーゼの量を変えた場合でも、成分(A)を所定量含んだロールケーキは、割れを抑制し、かつ解凍直後および4日後のロールケーキで口どけ及び歯切れが優れていた。このときのホスホリパーゼのUは、成分(A)100gに対して5891U以上35346U以下含むことで生地の割れの抑制と口どけ及び歯切れのよさを両立できた。また、このとき、成分(A)は、ホスホリパーゼ1Uあたり、0.0028g以上0.0170g含んでいた。
(実験3:成分(A)の粒度による違い)
表4に記載の原材料および配合で、ロールケーキ生地を調製し、ロールケーキを得た。
評価結果を表4に示す。
Figure 2023022783000004
表4の結果より、成分(A)は粉粒状物1~3のいずれを使用しても、生地の割れを抑制しかつ口どけ及び歯切れに優れたロールケーキを得ることができた。その中でも、目開き0.15mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の含有量が23.7質量%及び59.4質量%である粉粒状物の方が口どけ及び歯切れが良好であった。割れに関しては粒度の違いによる影響はほとんどなかった。

Claims (11)

  1. 成分(A)とホスホリパーゼを含む、ベーカリー食品用組成物。
    成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)澱粉含量が75質量%以上
    (2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
    (3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
  2. 前記成分(A)100gに対する前記ホスホリパーゼのUが1000U以上100000U以下である、請求項1に記載のベーカリー食品用組成物。
  3. 前記ベーカリー食品がロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフル、蒸しケーキから選択される1種である、請求項1または2に記載のベーカリー食品用組成物。
  4. ベーカリー食品用生地の製造方法であって、
    粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を調製する工程を含み、
    ベーカリー食品用生地を調製する前記工程において、
    前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下であり、
    前記生地中の、前記成分(A)100gに対する前記ホスホリパーゼのUが1000U以上100000U以下である、ベーカリー食品用生地の製造方法。
    成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)澱粉含量が75質量%以上
    (2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
    (3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
  5. 前記粉体原料が穀粉を含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法で得られたベーカリー食品用生地を、加熱調理する工程を含む、ベーカリー食品の製造方法。
  7. 前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、請求項4乃至6に記載の製造方法。
  8. 粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を加熱調理して得られるベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法であって、
    前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下である、前記ベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法。
    成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)澱粉含量が75質量%以上
    (2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
    (3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
  9. 前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、請求項8に記載のベーカリー食品の喫食時のくちゃつきを低減する方法。
  10. 粉体原料、ホスホリパーゼおよび成分(A)を含むベーカリー食品用生地を加熱調理して得られるベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法であって、
    前記生地中の、前記粉体原料と前記成分(A)の合計の含有量に対する前記成分(A)の含有量が0.2質量%以上15質量%以下である、前記ベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法。
    成分(A):以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
    (1)澱粉含量が75質量%以上
    (2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
    (3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
    (4)目開き0.15mmの篩の篩下の含有量が20質量%以上100質量%以下
  11. 前記ベーカリー食品が、ロールケーキ、スポンジケーキ、パウンドケーキ、オムレット、ワッフルおよび蒸しケーキから選択される1種である、請求項10に記載のベーカリー食品の喫食時の歯切れを向上させる方法。

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