JP2023013953A - 光学部材、光学フィルター、固体撮像装置および光学センサー装置 - Google Patents

光学部材、光学フィルター、固体撮像装置および光学センサー装置 Download PDF

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洋介 内田
Yosuke Uchida
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幸恵 大橋
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Abstract

【課題】近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークを低減し、赤色領域を含む可視光の高い透過率と近赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材を提供すること。【解決手段】化合物(A)と化合物(B)とを含有する樹脂層を有し、前記樹脂層は、化合物(A)の吸収極大波長をλAとし、化合物(B)の吸収極大波長をλBとした時、下記要件(a)~(d)を満たす、光学部材。(a)λA<λB(b)680nm≦λA≦870nm(c)760nm≦λB≦900nm(d)波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとし、Tb-Taの最大値をTxとした時、Tx<0を満たす【選択図】なし

Description

本発明は、光学部材、光学フィルター、固体撮像装置および光学センサー装置に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子では、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。また、光学センサー装置でも、シリコンフォトダイオードなどが使用されている。
例えば、固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過もしくはカットする光学部材、特に光学フィルター(例:近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されており、例えば、近赤外線吸収剤を含む光学フィルターが知られている。
また、例えば、特許文献1には、樹脂と2種以上の近赤外線吸収剤を含む樹脂層を有する、光選択透過フィルターが開示されている。
特開2014-67019号公報
しかしながら、特許文献1に記載された光選択透過フィルター(近赤外線カットフィルター)は、可視光透過率が低く、近赤外線吸収特性も不十分であった。
なお、前記近赤外線吸収剤としては、従来、スクアリリウム系、ポルフィリン系、ジチオール金属錯体系、フタロシアニン系、ジイモニウム系などの化合物が使用されている。
しかしながら、従来用いられてきたこれらの化合物は、赤色~近赤外線領域の吸収ピークの短波長側にショルダーピークを有することが多いこと、可視光域の吸光度に対する赤外線領域の吸光度の比が小さいこと、近赤外線領域の吸収帯幅が十分ではないこと、可視光における赤色領域の透過率(R透過率)が低いこと、の少なくともいずれかの問題があり、該化合物を用いた従来の光学フィルターには、これらの問題を改良する余地があった。
また、従来の光学フィルターは、該フィルター由来の反射光がフレアやゴーストなどとして、カメラ画像などの画像に悪影響を与えることがあり、特に、近赤外カットフィルターの反射帯域と、センサーが光電変換可能な波長帯域とが重なった場合、前記悪影響がより顕著になる場合がある。
本発明は以上のことに鑑みてなされたものであり、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークを低減し、赤色領域を含む可視光の高い透過率と近赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成例によれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A~B」等の記載は、「A以上、B以下」と同義であり、AおよびBをその数値範囲内に含む。また、本発明において、波長A~Bnmとは、波長Anm以上、波長Bnm以下の波長領域における波長分解能1nmにおける特性を表す。
[1] 化合物(A)と化合物(B)とを含有する樹脂層を有し、
前記樹脂層は、化合物(A)の吸収極大波長をλAとし、化合物(B)の吸収極大波長をλBとした時、下記要件(a)~(d)を満たす、光学部材。
(a)λA<λB
(b)680nm≦λA≦870nm
(c)760nm≦λB≦900nm
(d)波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとし、Tb-Taの最大値をTxとした時、Tx<0を満たす
[2] 化合物(A)が下記要件(i)を満たす、[1]に記載の光学部材。
(i)波長600~(λA-1)nmにおいて、任意の波長Xnmの光の化合物(A)の透過率をTaAとし、波長(X+1)nmの光の化合物(A)の透過率をTbAとした時、TbA-TaA>0を満たす波長Xnmを波長600~(λA-1)nmの一部に有する
[3] 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長λA~λBnmの光の透過率の最小値が3%以下である、[1]または[2]に記載の光学部材。
[4] 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長をWminとした時、該Wminが650~750nmの範囲にある、[1]~[3]のいずれかに記載の光学部材。
[5] 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長Wminと、透過率が50%となる最も長い波長Wmaxとが、Wmax-Wmin≧130nmの関係を満たす、[1]~[4]のいずれかに記載の光学部材。
[6] 前記化合物(A)および(B)が、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物(但し、該ポリメチン系化合物は、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物以外の化合物である)、ジイモニウム系化合物、ジチオール金属錯体系化合物およびピロロピロール系化合物からなる群より選ばれる化合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の光学部材。
[7] 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長450~570nmの光の透過率の平均値が80%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の光学部材。
[8] 前記樹脂層が、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂およびビニル系紫外線硬化型樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の光学部材。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の光学部材と誘電体多層膜とを有する、光学フィルター。
[10] 近赤外線カットフィルター、デュアルバンドパスフィルター、または、シングルバンドパスフィルターである、[9]に記載の光学フィルター。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の光学部材または[9]~[10]のいずれかに記載の光学フィルターを含む、固体撮像装置。
[12] [1]~[8]のいずれかに記載の光学部材または[9]~[10]のいずれかに記載の光学フィルターを含む、光学センサー装置。
本発明によれば、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークを低減でき、赤色領域を含む可視光の高い透過率と近赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを提供することができる。
さらに、本発明によれば、これらの特性を有する、特に、近赤外域の光を幅広く十分に遮蔽しつつ、可視光域の光を高い割合で透過可能な光学部材および光学フィルターを提供することができる。このため、本発明によれば、近赤外線カットフィルター(NIR-CF)のみならず、デュアルバンドパスフィルター(DBPF、例:可視光-近赤外線選択透過フィルター)や、シングルバンドパスフィルター(例:近赤外線透過フィルター(IRPF))などの光学フィルターをも容易に作製することができる。これらのNIR-CF、DBPFおよびシングルバンドパスフィルターは、遮断したい波長域(例えば、赤外線領域)をシャープに遮断でき、かつ透過させたい波長域(例えば、可視光領域)では高い透過率を示すといった光選択透過性に優れる。
前述の通り、本発明によれば、前記特性を有する光学部材および光学フィルターを提供することができ、特に、赤色領域の光に対しても高い透過率を有する光学部材および光学フィルターを提供することができることから、該光学部材または光学フィルターを用いることで、RGBバランスに優れる良好な画像を得ることができ、近赤外線領域の幅広い吸収帯によって光の反射光を抑制することができ、フレアやゴーストの少ない良好な画像を与えることができる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。また、前記光学フィルターが誘電体多層膜を有するフィルターである場合の、該誘電体多層膜による入射角依存性を低減でき、良好な撮影画像を得ることができる。
図1は、実施例4で得られた樹脂層の分光透過率曲線である。 図2は、比較例1~3で得られた樹脂層の分光透過率曲線である。 図3は、実施例4で得られた光学フィルターの分光透過率曲線である。 図4は、比較例1~3で得られた光学フィルターの分光透過率曲線である。 図5は、実施例のRGBバランス評価および色シェーディング評価における撮影画像の説明図である。 図6は、実施例のゴースト評価における撮影画像(一例)の説明図である。
≪光学部材および光学フィルター≫
本発明に係る光学部材(以下「本光学部材」ともいう。)は、化合物(A)と化合物(B)とを含有する樹脂層(以下「本樹脂層」ともいう。)を有し、
本樹脂層は、化合物(A)の吸収極大波長をλAとし、化合物(B)の吸収極大波長をλBとした時、下記要件(a)~(d)を満たす。
(a)λA<λB
(b)680nm≦λA≦870nm
(c)760nm≦λB≦900nm
(d)波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとし、Tb-Taの最大値をTxとした時、Tx<0を満たす
本光学部材は、1層または2層以上の本樹脂層(のみ)からなってもよく、本樹脂層とガラス支持体(機能膜)とを含んでもよく、本樹脂層と、本樹脂層以外の他の樹脂層(機能膜)とを含んでもよい。
本光学部材の具体例としては、例えば、本樹脂層のみからなる光学部材、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体(機能膜)上に本樹脂層が積層された光学部材、本樹脂層上に、硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層(機能膜)が積層された光学部材が挙げられる。これらの中でも、製造コストや光学特性調整の容易性、さらに、本樹脂層の傷消し効果を達成できることや、本樹脂層の耐傷つき性向上等の点から、本樹脂層上に、硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層(機能膜)が積層された光学部材が特に好ましい。
本発明に係る光学フィルター(以下「本フィルター」ともいう。)は、本光学部材を有する以外は、従来公知の構成とすればよく、本光学部材単体を本フィルターとしてもよいが、本光学部材と誘電体多層膜とを有することが好ましく、特に本光学部材の少なくとも一方の面に誘電体多層膜を有することが好ましい。なお、本光学部材の少なくとも一方の面とは、本光学部材の最も面積の大きい面(主面)の一方のことをいう。
本フィルターは、2つ以上の誘電体多層膜を有していてもよい。この場合、本光学部材の片面に2つ以上の誘電体多層膜を有していてもよいが、本光学部材の両面に誘電体多層膜を1つ以上ずつ有していることが好ましい。この場合、誘電体多層膜を1つとしてカウントする。誘電体多層膜を2つ以上含む場合には、同様の多層膜を2つ以上含んでもよいし、異なる多層膜を2つ以上含んでもよい。
このような誘電体多層膜を有する本フィルターとしては、本光学部材の主面の片面に誘電体多層膜を有するフィルター、本光学部材の主面の両面に誘電体多層膜を有するフィルターが好ましい。該誘電体多層膜を片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを容易に得ることができる。本フィルターを固体撮像素子などに使用する場合、該フィルターの反りやねじれが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を本光学部材の両面に設けることが好ましい。
本フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、本光学部材と誘電体多層膜との間、本光学部材の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または、誘電体多層膜の本光学部材が設けられた面と反対側の面に、本光学部材や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、支持体、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本フィルターは、前記機能膜を1つ含んでいてもよく、2つ以上含んでいてもよい。本フィルターが、前記機能膜を2層以上含む場合には、同様の膜を2つ以上含んでいてもよいし、異なる膜を2つ以上含んでいてもよい。
本発明の効果がより発揮される等の点から、前記本フィルターとしては、具体的には、近赤外線カットフィルター(NIR-CF)、可視光-近赤外線選択透過フィルターなどのデュアルバンドパスフィルター(DBPF)、近赤外線透過フィルター(IRPF)などのシングルバンドパスフィルターが挙げられる。また、本フィルターは、科学捜査等に用いられる代替光源(ALS:Alternative Light Sources)用のフィルターや環境光センサー用フィルターとしても用いることができる。
本フィルターが、NIR-CFやDBPFである場合、下記要件(F1)または(F2)を満たすフィルターであることが好ましく、下記要件(F1)および(F2)を満たすフィルターであることがより好ましい。
(F1):本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した波長450~570nmの光の透過率の平均値(Tf_ave)は、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上、さらに好ましくは90%以上である。該透過率の平均値は高い方が好ましいため、その上限は特に制限されず、100%であってもよい。
本フィルターがこの要件(F1)を満たすと、本フィルターは高い可視光透過率を有しているといえ、カットしたい近赤外線領域の波長の光を十分にカットしながらも可視光透過率の低下をより抑制できるため、NIR-CFやDBPFとしてより好適に用いることができる。
なお、本発明において、波長A~Bnmの透過率の平均値は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の合計を、測定した透過率の数(波長範囲、B-A+1)で除すことで算出した値である。
また、本フィルターの面方向に対して垂直方向とは、本フィルターの最も面積の大きい面(主面)に対して垂直方向のことをいう。
(F2):本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した波長λA~λBnmの光の透過率の最小値(Tf_min)は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である。該透過率の最小値は小さい方が好ましいため、その下限は特に制限されず、0%であってもよい。
本フィルターがこの要件(F2)を満たすと、近赤外域の光を十分に遮蔽しつつ、可視光域の光を高い割合で透過可能な光学フィルターを容易に得ることができる。
本フィルターが、NIR-CF等の赤色領域(波長580~650nm)の光を透過させたいフィルターである場合、下記要件(F3)を満たすフィルターであることが好ましい。
(F3):本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した波長580~650nmの透過率の平均値(R透過率)は、好ましくは80~96%、より好ましくは82~94%である。
本フィルターがこの要件(F3)を満たすと、赤色領域の光の透過率が十分に高いといえ、該光学フィルターを用いることで、RGBバランスに優れる良好な画像を容易に得ることができる。
また、本フィルターは、下記要件(F4)を満たすフィルターであることが好ましい。
(F4):本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長をWf_minとした時、Wf_minは、好ましくは650~750nm、より好ましくは660~740nmの範囲にある。
本フィルターがこの要件(F4)を満たすと、可視光における赤色領域の透過率が向上し、該光学フィルターを用いることで、RGBバランスに優れる良好な画像を容易に得ることができる。
さらに、本フィルターは、下記要件(F5)を満たすフィルターであることが好ましい。
(F5):波長600~900nmにおいて、本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が20%となる最も短い波長と、本フィルターの面方向に対して30°角度から入射した光の透過率が20%となる最も短い波長との差(ΔT20(0°-30°)は、好ましくは1~10nm、より好ましくは1~8nmである。
本フィルターがこの要件(F5)を満たすと、入射角依存性が小さく、視感度補正により優れる光学フィルターを容易に得ることができる。
さらに、本フィルターは、下記要件(F6)を満たすフィルターであることが好ましい。
(F6):本フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した波長750~850nmの光の透過率の平均値(750~850nmTave)は、好ましくは0.0~6.0%、より好ましくは0.0~4.0%である。
本フィルターがこの要件(F6)を満たすと、近赤外領域の光が低減し、フレアやゴーストの少ない良好な画像を得ることができる。
本フィルターの厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、近年の固体撮像装置等の薄型化、軽量化等の流れによれば、該本フィルターの厚みも薄いことが好ましい。
本フィルターは、本樹脂層を含むため、薄型化が可能である。
本フィルターの厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましくは280μm以下、さらに好ましくは250μm以下、特に好ましくは240μm以下であり、下限は特に制限されないが、例えば、20μmであることが望ましい。
・NIR-CF
前記NIR-CFは、波長850~1200nmの領域におけるカット性能に優れ、可視光波長域での透過性に優れる光学フィルターであることが好ましい。
このNIR-CFで用いる前記誘電体多層膜は、近赤外線反射膜であることが好ましい。
NIR-CFを固体撮像装置などに使用する場合、近赤外波長域の透過率は低い方が好ましい。特に、波長800~1200nmの領域は固体撮像素子の受光感度が比較的高いことが知られており、この波長域の透過率を低減させることにより、カメラ画像と人間の目との視感度補正を効果的に行うことができ、優れた色再現性を達成することができる。また、さらに、波長850~1200nmの領域の透過率を低減させることで、セキュリティ認証機能に用いる近赤外光がイメージセンサー等に到達するのを効果的に防ぐことが可能になる。
NIR-CFは、波長850~1200nmの領域において、該フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
波長850~1200nmの透過率の平均値がこの範囲にあると、近赤外線を十分にカットすることができ、優れた色再現性を達成できるため好ましい。
・DBPF
前記DBPFは、可視光と、近赤外線のうち透過させたい波長の光とを透過し、近赤外線のうちカットしたい波長の光をカットする光学フィルターであれば特に制限されない。
このDBPFで用いる前記誘電体多層膜は、可視光と、近赤外線のうち透過させたい波長の光とを透過し、近赤外線のうちカットしたい波長の光をカットする膜であることが好ましい。
・IRPF
前記IRPFは、可視光をカットし、近赤外線のうち透過させたい波長の光を透過する光学フィルターであれば特に制限されない。
このIRPFで用いる前記誘電体多層膜は、カットしたい波長の光(可視光および/または近赤外線のうちの一部)をカットする膜であることが好ましい。
また、IRPFは、可視光吸収剤を用いて可視光をカットしてもよい。
IRPFは、赤外線監視カメラ、車載赤外線カメラ、赤外線通信、各種センシングシステム、赤外線警報機、暗視装置等の光学系に好適に使用でき、これらの用途に使用する場合、透過させたい近赤外線以外の波長の光の透過率は低い方が好ましい。
特に、波長380~700nmの領域において、本フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
また、IRPFは、透過させたい近赤外線の透過率は高い方が好ましく、具体的には、波長750nm以上の領域に、光線透過帯Yaを有し、前記光線透過帯Yaにおける、本フィルターの垂直方向から測定した場合の最大透過率(TIR)は、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上である。
本フィルターは、例えば、カットしたい領域の波長の光のカット能と、透過したい波長の光の透過能に優れる。従って、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、赤外線カメラ、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、光学センサー(例:環境光センサー)、各種センシングシステム、赤外線通信等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
<本樹脂層>
本樹脂層は、樹脂と、化合物(A)と、化合物(B)とを含有し、化合物(A)の吸収極大波長をλAとし、化合物(B)の吸収極大波長をλBとした時、下記要件(a)~(d)を満たす。
なお、化合物(A)や(B)が吸収極大を複数有する場合、複数ある吸収極大のうち、吸光度が一番高い(透過率が一番低い)吸収極大の波長をλAやλBとする。
(a):λA<λB(=λB-λA>0)
λB-λAは、好ましくは1~100nm、より好ましくは5~80nm、さらに好ましくは10~70nmである。
λAおよびλBの関係が前記範囲にある化合物(A)および(B)を用いることで、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークが低減され、遮断したい波長域(例えば、赤外線領域)をシャープに遮断できる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
(b):680nm≦λA≦870nm
λAの下限は、好ましくは700nm、より好ましくは720nmであり、λAの上限は、好ましくは850nm、より好ましくは840nmである。
λAが前記範囲にあると、近赤外線領域の光を十分に遮蔽しつつ、可視光領域の光を高い透過率で透過可能な光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
(c):760nm≦λB≦900nm
λBの下限は、好ましくは765nm、より好ましくは770nmであり、λBの上限は、好ましくは880nm、より好ましくは870nmである。
λBが前記範囲にあると、赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを容易に得ることができ、フレアやゴーストの少ない良好な画像を与えることができる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
また、要件(b)および(c)を満たすことで、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークがより低減された樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
(d):波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとし、Tb-Taの最大値をTxとした時、Tx<0を満たす
Txの上限は、好ましくは-0.0005、より好ましくは-0.001であり、Txの下限は、通常、-1である。
要件(d)を満たすということは、本樹脂層の吸収領域において、その分光透過率曲線が常に右肩下がりになっていることを意味し、赤色からの吸収領域にショルダーピークがないことを意味する。従って、要件(d)を満たすことで、遮断したい波長域(例えば、赤外線領域)をシャープに遮断でき、かつ透過させたい波長域(例えば、可視光領域)では高い透過率を示すといった光選択透過性に優れる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。また、光選択透過性に優れることで色シェーディングが良好な撮影画像を得ることができる。
本樹脂層は、さらに下記要件(e)を満たすことが好ましい。
(e):波長600~(λA-1)nm、かつ、透過率が5~70%におけるTb-Taの最大値をTyとした時、Ty<-0.05を満たす
Tyの上限は、好ましくは-0.06、より好ましくは-0.08である。Tyの下限は特に制限されないが、好ましくは-10である。
要件(e)を満たすということは、本樹脂層の吸収領域において、その分光透過率曲線が右肩下がりで、且つ急激な傾きの変化が無くなだらかになっていることを意味する。従って、要件(e)を満たすことで光選択透過性に優れる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。また、光選択透過性に優れることで、色シェーディングが良好な撮影画像を得ることができる。
本樹脂層は、さらに、下記要件(R1)~(R3)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、下記要件(R1)~(R3)の全てを満たすことがより好ましい。
(R1):本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長450~570nmの光の透過率の平均値(Ts_ave)は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは87%以上である。該透過率の平均値は高い方が好ましいため、その上限は特に制限されず、100%であってもよい。
本樹脂層がこの要件(R1)を満たすと、カットしたい近赤外線領域の波長の光を十分にカットしながらも可視光透過率の低下をより抑制できる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
なお、本樹脂層の面方向に対して垂直方向とは、本樹脂層の最も面積の大きい面(主面)に対して垂直方向のことをいう。
(R2):本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長λA~λBnmの光の透過率の最小値(Ts_min)は、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。該透過率の最小値は小さい方が好ましいため、その下限は特に制限されず、0%であってもよい。
本樹脂層がこの要件(R2)を満たすと、近赤外線領域の光を十分に遮蔽しつつ、可視光領域の光を高い透過率で透過可能な光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
(R3):本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長をWminとし、透過率が50%となる最も長い波長をWmaxとした時、Wmax-Wminが、好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、さらに好ましくは150nm以上である。該Wmax-Wminの上限は特に制限されないが、例えば、280nmである。
本樹脂層がこの要件(R3)を満たすと、近赤外線領域の幅広い吸収帯によって光の反射光を抑制することができ、フレアやゴーストの少ない良好な画像を与えることができる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
なお、本樹脂層がこの要件(R3)を満たすということは、該本樹脂層を用いる光学フィルターを、例えば赤外線透過フィルターとする場合にもメリットとなる。
また、本樹脂層は、下記要件(R4)を満たすことが好ましい。
(R4):前記Wminは、好ましくは650~750nm、より好ましくは660~740nmの範囲にある。
本樹脂層がこの要件(R4)を満たすと、可視光における赤色領域の透過率が向上し、該本樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを用いることで、RGBバランスに優れる良好な画像を容易に得ることができる。
本樹脂層を、NIR-CF等の赤色領域(波長580~650nm)の光を透過させたい光学フィルターに用いる場合、本樹脂層は下記要件(R5)を満たすことが好ましい。
(R5):本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長580~650nmの透過率の平均値(R透過率)は、好ましくは72~96%、より好ましくは74~94%である。
本樹脂層がこの要件(R5)を満たすと、赤色領域の光の透過率が十分に高いといえ、該本樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを用いることで、RGBバランスに優れる良好な画像を容易に得ることができる。
本樹脂層は、下記要件(R6)を満たすことが好ましい。
(R6):本樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長λA~λBnmの光の透過率の最大値(Ts_max)は、好ましくは11%以下であり、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。該透過率の最大値は小さい方が好ましいため、その下限は特に制限されず、0%であってもよい。
本樹脂層がこの要件(R6)を満たすと、近赤外領域の透過率が低減し、該本樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを用いることで、ゴーストの少ない良好な画像を容易に得ることができる。
本樹脂層は、単層であっても多層であってもよい。この場合、2層以上の本樹脂層は、同一であっても、異なっていてもよい。
本樹脂層の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、通常0.5~300μm、好ましくは1~250μm、さらに好ましくは2~230μm、特に好ましくは3~150μmである。
本樹脂層の厚みが前記範囲にあると、該本樹脂層を用いた光学部材および本フィルターを薄型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記単層の本樹脂層をカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化、軽量化を実現することができるため好ましい。
〔化合物(A)および化合物(B)〕
化合物(A)および化合物(B)としては、その吸収極大波長が、前記要件(a)~(c)を満たすような化合物であれば特に制限されず、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることができる。
なお、本樹脂層は、吸収極大波長が680~870nmの範囲にある化合物を2種以上含んでいてもよい。本樹脂層が、吸収極大波長が680~870nmの範囲にある化合物を2種以上含む場合、これらの化合物のうち、吸収極大波長が最も長い化合物を化合物(A)という。
また、本樹脂層は、吸収極大波長が760~900nmの範囲にある化合物を2種以上含んでいてもよい。本樹脂層が、吸収極大波長が760~900nmの範囲にある化合物を2種以上含む場合、これらの化合物のうち、吸収極大波長が最も短い化合物(但し、前記要件(a)を満たす化合物)を化合物(B)という。
本樹脂層が2種以上の吸収極大波長が680~870nmの範囲にある化合物や吸収極大波長が760~900nmの範囲にある化合物を含有する場合、本樹脂層に含まれる化合物の吸収極大波長のうち、吸収極大波長の長い順から2番目以降で最も長い波長であり、その吸収極大波長が680~870nmの範囲にある場合、その吸収極大波長をλAとし、本樹脂層に含まれる化合物の吸収極大波長のうち、該吸収極大波長λAより長い吸収極大波長のうち最も短い波長であり、その吸収極大波長が760~900nmの範囲にある場合、その吸収極大波長をλBとする。
つまり、例えば、本樹脂層が、吸収極大波長が700nmの化合物1と、吸収極大波長が800nmの化合物2と、吸収極大波長が850nmの化合物3とを含有する場合、λBは850nmであり、λAは800nmであり、化合物2が化合物(A)であり、化合物3が化合物(B)である。また、例えば、本樹脂層が、吸収極大波長が700nmの化合物1と、吸収極大波長が800nmの化合物2と、吸収極大波長が880nmの化合物3と、吸収極大波長が900nmの化合物4とを含有する場合、λBは880nmであり、λAは800nmであり、化合物2が化合物(A)であり、化合物3が化合物(B)である。
前記化合物(A)および(B)としては、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物(但し、該ポリメチン系化合物は、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物以外の化合物である)、ジイモニウム系化合物、ジチオール金属錯体系化合物およびピロロピロール系化合物からなる群より選ばれる化合物であることが好ましい。
これらの中でも、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークを容易に低減でき、遮断したい波長域(例えば、赤外線領域)をシャープに遮断でき、かつ透過させたい波長域(例えば、可視光領域)では高い透過率を示すといった光選択透過性に優れるとともに、高い可視光透過率と近赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる等の点から、ポリメチン系化合物が好ましい。
・ポリメチン系色素
前記ポリメチン系色素としては、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物以外の化合物であり、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、前記効果がより発揮される光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる等の点から、特開2021-134350号公報、国際公開第2021/085372号、特開2019-164269号公報、特開2022-025669号公報等に記載されている化合物が好ましい。
前記ポリメチン系色素は、一般的に知られている方法で合成すればよい。
・フタロシアニン系化合物
前記フタロシアニン系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2005-220060号公報、特開2007-169343号公報、特開2013-195480号公報、国際公開第2015/025779号、国際公開第2017/164024号に記載の化合物が挙げられ、一般に知られている方法で合成すればよい。
フタロシアニン系化合物を用いる場合には、少なくとも1種の他の近赤外線吸収剤と併用することが好ましい。
・ナフタロシアニン系化合物
前記ナフタロシアニン系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2015-225290号公報、特開2017-142332号公報、国際公開第2018/186490号に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
・スクアリリウム系化合物
前記スクアリリウム化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表されるスクアリリウム系化合物、特開2014-074002号公報、特開2014-052431号公報、国際公開第2017/164024号に記載の化合物が挙げられ、一般に知られている方法で合成すればよい。
Figure 2023013953000001
前記式(4)中のRsq1~Rsq6の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などのアルキル基;2-ヒドロキシエチル基、2-シアノエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、3-シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基の一部が置換基で置換された基;フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基またはアリール基の一部が置換基で置換された基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などのアルケニル基;ベンジル基、p-フルオロベンジル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基またはアラルキル基の一部が置換基で置換された基が挙げられる。
これらRsq1~Rsq6に含まれる任意の個数の水素原子は、置換基Lで置換されていてもよい。ここで置換基Lとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、(アルキル化してもよい)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、水酸基、チオール基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基またはエステル基を含む基が挙げられる。
樹脂への溶解性から、式(4)におけるRsq1~Rsq6は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、およびこれらの基の任意の個数の水素原子が前記置換基Lで置換された基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基およびこれらの基の任意の個数の水素原子が前記置換基Lで置換された基であることがより好ましい。
・クロコニウム系化合物
前記クロコニウム系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2007-31644号公報、特開2007-169315号公報、国際公開第2019/021767号に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
・シアニン系化合物
前記シアニン系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2009-108267号公報、特開2010-072575号公報、特開2016-060774号公報に記載の化合物が挙げられ、一般に知られている方法で合成すればよい。
・ジイモニウム系化合物
前記ジイモニウム系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、下記式(5)で表されるジイモニウム系化合物、特開2005-234558号公報、国際公開第2004/048480号、国際公開第2017/164024号に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
Figure 2023013953000002
Rdi1~Rdi12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、-NRgh基、-SRi基、-SO2i基、-OSO2i基または下記La~Lhのいずれかを表し、RgおよびRhはそれぞれ独
立に、水素原子、-C(O)Ri基または下記La~Leのいずれかを表し、Riは下記La~Leのいずれかを表し、
(La)炭素数1~12の脂肪族炭化水素基
(Lb)炭素数1~12のハロゲン置換アルキル基
(Lc)置換基Kを有してもよい炭素数3~14の脂環式炭化水素基
(Ld)置換基Kを有してもよい炭素数6~14の芳香族炭化水素基
(Le)置換基Kを有してもよい炭素数3~14の複素環基
(Lf)炭素数1~12のアルコキシ基
(Lg)置換基Lを有してもよい炭素数1~12のアシル基、
(Lh)置換基Lを有してもよい炭素数1~12のアルコキシカルボニル基
置換基Kは、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基および炭素数1~12のハロゲン置換アルキル基より選ばれる少なくとも1種であり、置換基Lは、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数1~12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3~14の脂環式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基および炭素数3~14の複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表す。
前記Rdi1~Rdi8としては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基であり、より好ましくはイソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ベンジル基である。
前記Rdi9~Rdi12としては、好ましくは、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N-メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert-ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基、n-ブチルスルホニル基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基であり、より好ましくは、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、水酸基、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert-ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基である。同じ芳香環に結合しているRdi9~Rdi12それぞれの数は、0~4であれば特に制限されないが、0または1であることが好ましい。
前記Xは電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子が必要となる。後者の場合は2つのアニオンは同一であっても異なっていてもよいが、合成上の観点から同一であることが好ましい。Xはアニオンであれば特に制限されないが、一例として、下記表1に記載のアニオンを挙げることができる。
Figure 2023013953000003
Xとしては、酸とした際の酸性度が高いものであれば、ジイモニウム系化合物のアニオンとした際にジイモニウム系化合物の耐熱性を向上できる傾向にあることから、表1中の(X-10)、(X-16)、(X-17)、(X-21)、(X-22)、(X-24)、(X-28)が特に好ましい。
・ジチオール金属錯体系化合物
前記ジチオール金属錯体系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2004-010822号公報、特開2005-232158号公報、特開2006-215395号公報、国際公開第2008/086931号、特開2012-007038号公報、国際公開第2012/152584号、特開2015-40895号公報に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
また、例えば、国際公開第1998/034988号に記載のように、塩化物を用いてもよい。
・ピロロピロール系化合物
前記ピロロピロール系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2018-119077号公報、国際公開第2018/020861号に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
化合物(A)および(B)は、有機溶剤可溶の化合物であることが好ましく、特にジクロロメタン可溶の化合物であることが好ましい。
ここで、有機溶剤可溶とは、25℃の有機溶剤100gに対し、化合物(A)または(B)が0.1g以上溶解する場合のことをいう。
化合物(A)および(B)は、下記要件(C1)を満たす化合物であることが好ましい。
要件(C1):化合物(A)または(B)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて測定される透過スペクトル(但し、該透過スペクトルは、吸収極大波長における透過率が10%となるスペクトルである。)において、波長430~580nmにおける透過率の平均値が、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上である。該透過率の平均値は高い方が好ましいため、その上限は特に制限されず、100%であってもよい。
化合物(A)および(B)がこの要件(C1)を満たすと、カットしたい近赤外線領域の波長の光を十分にカットしながらも可視光透過率の低下をより抑制できる。
化合物(A)および(B)は、下記要件(C2)を満たすことがより好ましい。
要件(C2):化合物(A)または(B)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて測定される分光吸収スペクトルにおいて、極大吸収波長のうち、最も長い波長における吸光度をεa、波長430~580nmにおける吸光度の最大値をεbmaxとした時、εa/εbmaxが、好ましくは20以上、より好ましくは25以上、さらに好ましくは27以上である。εa/εbmaxは、大きい方が好ましいためその上限は特に制限されないが、例えば、10000以下である。
化合物(A)および(B)がこの要件(C2)を満たすと、カットしたい近赤外線領域の波長の光を十分にカットしながらも可視光透過率の低下をより抑制できる。
化合物(A)は、本発明の効果がより発揮される等の点から、下記要件(i)を満たすことが好ましい。
(i):波長600~(λA-1)nmにおいて、任意の波長Xnmの光の化合物(A)の透過率をTaAとし、波長(X+1)nmの光の化合物(A)の透過率をTbAとした時、TbA-TaA>0を満たす波長Xnmを波長600~(λA-1)nmの一部に有する
この要件(i)を満たす化合物(A)は、赤色~近赤外線領域にショルダーピークを有する化合物であるといえ、本発明によれば、このような化合物(A)を用いても、近赤外線吸収剤に基づく赤色~近赤外線領域のショルダーピークが低減された樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
該要件(i)は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
本樹脂層中の化合物(A)の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.02~5.0質量部、より好ましくは0.02~3.0質量部である。
化合物(A)の含有量が前記範囲にあると、赤外域の光を十分に遮蔽しつつ、可視光域の光を高い割合で透過可能な光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
本樹脂層中の化合物(B)の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.02~5.0質量部、より好ましくは0.02~3.0質量部である。
化合物(B)の含有量が前記範囲にあると、赤外線領域に幅広い吸収帯を有する樹脂層を含む光学部材および光学フィルターを容易に得ることができ、フレアやゴーストの少ない良好な画像を与えることができる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
〔樹脂〕
本樹脂層に用いる樹脂としては特に制限されず、従来公知の樹脂を用いることができる。
本樹脂層に用いられる樹脂は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルム(板)形状への成形性等に優れ、かつ、100℃以上程度の蒸着温度で行う高温蒸着で誘電体多層膜を形成し得るフィルムを容易に得ることができる等の点から、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110~380℃、より好ましくは110~370℃、特に好ましくは120~360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のTgが140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成し得るフィルムが得られるため、特に好ましい。
前記樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板の全光線透過率(JIS
K 7375:2008)が、好ましくは75~95%、さらに好ましくは78~95%、特に好ましくは80~95%となる樹脂を用いることができる。
全光線透過率が前記範囲にある樹脂を用いると、透明性に優れる光学部材および光学フィルターを容易に得ることができる。
前記樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000~350,000、好ましくは30,000~250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000~150,000、好ましくは20,000~100,000である。
前記樹脂としては、例えば、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂が挙げられる。
これらの樹脂の具体例としては、国際公開第2019/168090号に記載の樹脂等が挙げられる。
〔その他成分〕
本樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、化合物(A)、(B)および紫外線吸収剤以外の吸収剤(以下「化合物(X)」ともいう。)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光消光剤、金属錯体系化合物、帯電防止剤、光拡散材等のその他成分を含有してもよい。
これらその他成分はそれぞれ、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらその他成分は、本樹脂層を形成する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性等に応じて適宜選択すればよいが、樹脂100質量部に対して、通常0.01~5.0質量部、好ましくは0.05~2.0質量部である。
[化合物(X)]
本樹脂層は化合物(X)を1種または2種以上含んでいてもよい。
該化合物(X)としては、例えば、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、ポリメチン系化合物(但し、該ポリメチン系化合物は、スクアリリウム系化合物およびクロコニウム系化合物以外の化合物である)、オクタフィリン系化合物、ジイモニウム系化合物、ペリレン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、酸化金属微粒子が挙げられる。
前記フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、ポリメチン系化合物、ジイモニウム系化合物、ペリレン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物としては、吸収極大波長が前記要件(b)および(c)の範囲外にある以外は、化合物(A)および化合物(B)の欄で挙げた化合物と同様の化合物等が挙げられる。
前記オクタフィリン系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、特開2013-53120号公報、特開2016-102074号公報に記載の化合物が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
前記酸化金属微粒子としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/018419号に記載の酸化金属微粒子が挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
前記化合物(X)としては、スクアリリウム系化合物を含むことが好ましく、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(X’)とをそれぞれ1種以上含むことがさらに好ましく、該その他の化合物(X’)としては、フタロシアニン系化合物およびポリメチン系化合物が特に好ましい。
前記スクアリリウム系化合物は、吸収ピークがシャープであり、優れた可視光透過性および高いモル吸光係数を有するが、光線吸収時に散乱光の原因となる蛍光が発生する場合がある。この場合、スクアリリウム系化合物と前記化合物(X')とを組み合わせて使用
することにより、散乱光を抑制することができる。このように散乱光が抑制されると、得られる光学部材および光学フィルターを撮像装置などに使用した場合、得られるカメラ画質がより良好となる。
[紫外線吸収剤]
前記紫外線吸収剤としては、例えば、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、アントラセン系化合物、シアノアクリレート系化合物、特開2019-014707号公報等に記載の化合物が挙げられる。これらの中でも、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物が吸収波長と化合物の安定性の観点で特に好ましい。
紫外線吸収剤を含有することで、近紫外波長領域においても入射角依存性が少ない光学部材および光学フィルターを容易に得ることができ、該光学部材や光学フィルターを撮像装置などに使用した場合、得られるカメラ画質がより良好となる。
[酸化防止剤]
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,2’-ジオキシ-3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
〔本樹脂層の製造方法〕
前記本樹脂層は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングしてもよい。
前記支持体(機能膜)上に本樹脂層が積層された積層体は、例えば、支持体に、本樹脂層形成材料を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後、必要に応じて、溶媒を乾燥除去したり光照射や加熱を行うことで、支持体上に本樹脂層が形成された積層体を製造することができる。
前記支持体としては、例えば、ガラス板(近赤外線吸収ガラス等の吸収ガラスを含む)、スチールベルト、スチールドラムおよび樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)製支持体が挙げられる。
さらに、ガラス板、石英またはプラスチック製等の光学部品に、液状の本樹脂層形成材料をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、硬化性の本樹脂層形成材料をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に本樹脂層を形成することもできる。
前記本樹脂層や、前記樹脂層中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、該残留溶剤量は、樹脂層100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。また、前記本樹脂層、前記樹脂層中の溶剤含有量は、100質量ppm以下に抑えることが好ましい。
残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂層が得られる。
<誘電体多層膜>
前記誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した積層体等が挙げられる。
前記高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料が挙げられ、屈折率が通常は1.7~2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0~10質量%)含有させたものが挙げられる。
前記低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2~1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
前記高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、本光学部材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
前記高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ~0.5λの厚さが好ましい。なお、前記高屈折率材料層および低屈折率材料層としては、可視光領域の反射低減や、特定の波長領域の遮蔽性能向上等の目的に応じて、0.1λ~0.5λの範囲外の厚さの層を用いてもよい。λ(nm)の値としては、NIR-CFの場合、例えば700~1400nm、好ましくは750~1300nmである。高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さがこの範囲にあると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)である光学的膜厚が、λ/4とほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、例えばNIR-CFの場合、光学フィルター全体として16~70層であることが好ましく、20~60層であることがより好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本フィルターでは、化合物(A)および(B)の吸収特性等に合わせて、高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、透過したい波長域(例:可視光領域)に十分な透過率を確保した上で、カットしたい近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、かつ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、誘電体多層膜の条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、透過したい波長域(例:可視光領域)の反射防止効果と、カットしたい近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。前記ソフトの場合、例えば、NIR-CFの誘電体多層膜を形成する場合には、波長400~700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705~950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。
これらのパラメーターは本樹脂層の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
<機能膜>
前記機能膜を積層する方法としては特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを本光学部材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で本光学部材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。
コーティング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化特性および取り扱い性等に優れる硬化性組成物を容易に得ることができ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を容易に得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは0.5~10μm、特に好ましくは0.7~5μmである。
また、本光学部材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、本光学部材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
≪固体撮像装置≫
本発明に係る固体撮像装置は、本光学部材または本フィルターを含む。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えた装置であり、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、デジタルビデオカメラ等が挙げられる。
≪光学センサー装置≫
本発明に係る光学センサー装置は、本光学部材または本フィルターを含めば特に制限されず、従来公知の構成とすればよい。該光学センサー装置は、好ましくは環境光センサー装置である。例えば、本フィルター、光電変換素子および光拡散フィルム等を有する装置が挙げられる。ここで、光学センサーとは、周囲の明るさや色調(夕方の時間帯で赤色が強いなど)を感知可能なセンサーであり、例えば、光学センサーで感知した情報により機器に搭載されているディスプレイの照度や色合いを制御することが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[樹脂合成例]
下記式(a)で表される8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(以下「DNM」ともいう。)100質量部、1
-ヘキセン(分子量調節剤)18質量部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300質量部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2質量部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9質量部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱撹拌することで開環重合反応させ、開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2023013953000004
前記で得られた開環重合体溶液1,000質量部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12質量部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反
応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。得られた反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。
<分子量>
東ソー(株)製GPC装置(HLC-8220型、カラム:TSKgelα-M、展開溶剤:THF)を用い、得られた樹脂Aの、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
Mnは32,000であり、Mwは137,000であった。
<ガラス転移温度>
得られた樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
Tgは165℃であった。
[化合物の合成例]
下記実施例で用いた化合物(A)および(B)は、一般的に知られている合成法に基づいて合成した。
化合物(A)および(B)は、例えば、特開2009-108267号公報、特開平5-59291号公報、特開2014-95007号公報、特開2011-52218号公報、国際公開第2007/114398号、特開2003-246940号公報、Chemistry of Heterocyclic Compounds: The Cyanine Dyes and Related Compounds, Volume
18(Wiley, 1964年)、Near-Infrared Dyes for
High Technology Applications(Springer,
1997年)に記載されている方法を参考に合成できる。
[中間体合成例1]
Figure 2023013953000005
撹拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、化合物a-9 4g、ピバル酸エチル21.8gを加え撹拌し、5分後に、水素化ナトリウム(60%、dispersion in Paraffin Liquid)3.2gを加えた後、80℃にて3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し
、1N塩酸水溶液30mLを加え中和した後、酢酸エチル150mLで有機相を抽出した。次いで、有機相に、硫酸マグネシウム15gを加えて15分間撹拌した後、フィルターろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を300mLナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて溶媒を留去することで、化合物a-10を得た。
化合物a-10の入ったナス型フラスコに撹拌子を入れ、濃塩酸20mLを追加し、40℃で撹拌した。1時間撹拌の後、反応溶液を氷冷し、1N水酸化ナトリウム水溶液240mLを加え中和した。次いで、分液ロートに移液し、酢酸エチル200mLを加えて有機相を抽出した後、硫酸マグネシウム15gを加えて15分間撹拌した。その後、フィルターろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を300mLナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。その後、フラスコに残留した化合物をシリカゲルクロマトグラフィーにて単離精製することにより、目的の化合物a-11を2.0g得た。なお、化合物の同定はLC-MSおよび1H-NMR分析により行った。
[中間体合成例2]
Figure 2023013953000006
撹拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、化合物a-11 2.7g、ジエチルエーテル50mLを加え、氷冷した。氷冷5分後に1mol/Lのメチルマグネシウムヨージドジエチルエーテル溶液24.7mLを10分かけて加え、その後、35℃に加熱し、2時間撹拌した。次いで、反応溶液を氷冷し、20%過塩素酸水溶液を50mL加え、析出した固体をろ別し、水50mLで洗浄し、50℃で減圧乾燥することで、化合物a-12を0.7g得た。なお、化合物の同定は1H-NMR分析により行った。
[化合物(z1)の合成例]
Figure 2023013953000007
撹拌子を入れた100mLのナス型フラスコに、化合物a-12 0.5g、マロンアルデヒドジアニリド塩酸塩 0.22g、アセトニトリル7.5mL、無水酢酸2.5mL、および、ピリジン0.2mLを加え、2時間加熱還流した。その後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて回収し、酢酸10mL、アセトニトリル10mLで洗浄し、50℃で減圧乾燥することにより、化合物a-13を0.35g得た。
撹拌子を入れた100mLのナス型フラスコに、化合物a-13 0.3g、リチウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8g、ジクロロメタン50mL、および、水20mLを加え、室温にて3時間撹拌した。次いで、分液ロートに移液し、水相を除去した後、有機相を水20mLで2回洗浄し、エバポレーターを用いて有機相から溶媒を留去した。その後、残留物をアセトン20mLに溶解させ、水を100mL加え、エバポレーターで溶媒を13g分留去した後、氷冷した。その後、析出した固体を吸引ろ過にて回収し、メタノール50mLで洗浄した後、固体を50℃で減圧乾燥することにより、化合物(z1)を0.5g得た。なお、化合物(z1)の同定はLC-MSおよび1H-N
MR分析により行った。
前記化合物(z1)をジクロロメタンに溶解し、7.5mg/Lの溶液を調製した。調製した溶液を、1cm厚の透明石英セルに充填し、紫外可視分光光度計((株)島津製作所製、UV-3100)を用いて波長別透過率を測定した。
化合物(z1)の吸収極大波長は770nmであった。
また、波長600~(吸収極大波長-1)nmにおいて、任意の波長Xnmの光の化合物(z1)の透過率をTa(z1)とし、波長(X+1)nmの光の化合物(z1)の透過率をTb(z1)とした時、Tb(z1)-Ta(z1)>0を満たす波長Xnmを波長700~720nmに有していた。
波長695~730nmにおけるTa(z1)およびTb(z1)の測定値およびTb(z1)-Ta(z1)の計算値を表2に示す。
Figure 2023013953000008
[化合物(z2)の合成例]
用いる原料化合物を変更した以外は、化合物(z1)と同様の方法で下記化合物(z2)を得た。
Figure 2023013953000009
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z2)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z2)の吸収極大波長は790nmであり、Xnmを波長717~736nmに有していた。
[化合物(z3)の合成例]
用いる原料化合物を変更した以外は、化合物(z1)と同様の方法で下記化合物(z3)を得た。
Figure 2023013953000010
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z3)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z3)の吸収極大波長は802nmであり、Xnmを波長727~746nmに有していた。
[化合物(z4)の合成例]
用いる原料化合物を変更した以外は、化合物(z1)と同様の方法で下記化合物(z4)を得た。
Figure 2023013953000011
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z4)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z4)の吸収極大波長は808nmであり、Xnmを波長732~752nmに有していた。
[中間体合成例3]
Figure 2023013953000012
撹拌子を入れた300mLのナス型フラスコに、フラボン(化合物a-6)5gおよびTHF50mLを加え、氷冷した。氷冷5分後に、1mol/Lのメチルマグネシウムヨージドジエチルエーテル溶液24.7mLを10分間かけて加え、その後35℃に加熱し、2時間撹拌した。次いで、反応溶液を氷冷し、20%過塩素酸水溶液を50mL加え、析出した固体をろ別し、水50mLで洗浄し、50℃で減圧乾燥することで化合物a-7を4.5g得た。なお、化合物の同定は1H-NMR分析により行った。
[化合物(z5)の合成例]
Figure 2023013953000013
撹拌子を入れた100mLのナス型フラスコに、化合物a-7 0.7g、マロンアルデヒドジアニリド塩酸塩0.26g、アセトニトリル10mL、無水酢酸5mL、および、ピリジン0.2mLを加え、2時間加熱還流した。その後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて回収し、ジエチルエーテル10mLで洗浄することにより、化合物a-8を0.6g得た。
撹拌子を入れた100mLのナス型フラスコに、化合物a-8 0.1g、リチウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.2g、ジクロロメタン20mL、および、水10mLを加え、室温にて3時間撹拌した。次いで、分液ロートに移液し、水相を除去した後、有機相を水20mLで2回洗浄し、エバポレーターを用いて有機相から溶媒を留去した。その後、残留物をアセトン0.5mLに溶解させ、メタノールを10mL加えて氷冷し、析出した固体を吸引ろ過にて回収し、50℃で減圧乾燥することで、化合物(z
5)を0.07g得た。なお、化合物(z5)の同定はLC-MSおよび1H-NMR分
析により行った。
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z5)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z5)の吸収極大波長は825nmであり、Xnmを波長745~769nmに有していた。
[化合物(z6)の合成例]
用いる原料化合物を変更した以外は、化合物(z1)と同様の方法で下記化合物(z6)を得た。
Figure 2023013953000014
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z6)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z6)の吸収極大波長は835nmであり、Xnmを波長749~773nmに有していた。
[化合物(z7)の合成例]
用いる原料化合物を変更した以外は、化合物(z1)と同様の方法で下記化合物(z7)を得た。
Figure 2023013953000015
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z7)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z7)の吸収極大波長は842nmであり、Xnmを波長764~779nmに有していた。
[化合物(z8)の合成例]
公知の方法で下記化合物(z8)を得た。
Figure 2023013953000016
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z8)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z8)の吸収極大波長は712nmであり、Xnmは存在しなかった。
[化合物(z9)の合成例]
特開2014-67019号公報に記載の方法で下記化合物(z9)を得た。
Figure 2023013953000017
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z9)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z9)の吸収極大波長は696nmであり、Xnmを波長626~648nmに有していた。
[化合物(z10)の合成例]
公知の方法で下記化合物(z10)を得た。
Figure 2023013953000018
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z10)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z10)の吸収極大波長は738nmであり、Xnmを波長662~682nmに有していた。
[化合物(z11)の合成例]
公知の方法で下記化合物(z11)を得た。
Figure 2023013953000019
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z11)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z11)の吸収極大波長は882nmであり、Xnmを波長786~813nmに有していた。
[化合物(z12)の合成例]
特開2022-025669号公報に記載の方法で下記化合物(z12)を得た。
Figure 2023013953000020
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z12)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z12)の吸収極大波長は735nmであり、Xnmを波長664~687nmに有していた。
[化合物(z13)の合成例]
特開2019-164269号公報に記載の方法で下記化合物(z13)を得た。
Figure 2023013953000021
化合物(z1)と同様の方法で、化合物(z13)の吸収極大波長とTb-Ta>0を満たす波長Xnmを求めた結果、化合物(z13)の吸収極大波長は827nmであり、Xnmを波長751~777nmに有していた。
[実施例1]
実施例1では、化合物(A)と化合物(B)を含有する樹脂層を用いて光学フィルターを作製した。
〔光学部材(樹脂層)の作製〕
容器に、樹脂合成例で得られた樹脂A 100質量部、化合物(A)として、前記化合物(z1)0.07質量部、化合物(B)として、前記化合物(z2)0.07質量部、およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜を更に減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦210mm、横210mmの樹脂層(1)を得た。
得られた樹脂層(1)について、該樹脂層(1)の面方向に対して垂直方向から入射した光の分光透過率を、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて測定した。
具体的には、以下の分光透過率を測定した。結果を表7に示す。
・Ts_ave:波長450~570nmの光の透過率の平均値
・Ts_min:波長λA~λBnmの光の透過率の最小値
・Ts_max:波長λA~λBnmの光の透過率の最大値
・Tx:波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとした時の、Tb-Taの最大値
・Wmin:波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長
・R透過率:波長580~650nmの光の透過率の平均値
・Wmax-Wmin:波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長をWminとし、透過率が50%となる最も長い波長をWmaxとした時の差
〔光学フィルターの作製〕
前記樹脂層の作製で得られた樹脂層(1)を光学部材とし、その片面に誘電体多層膜(I)を形成し、さらに樹脂層(1)のもう一方の面に誘電体多層膜(II)を形成し、厚さ約0.110mmの光学フィルターを得た。
誘電体多層膜(I)は、蒸着温度100℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(Ti
2)層とを交互に積層した積層体である(合計26層)。誘電体多層膜(II)は、蒸
着温度100℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とを交互に積層した積層体である(合計22層)。
誘電体多層膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層を、樹脂層(1)側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順となるように交互に積層し、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
各層の厚さと層数については、可視光領域の良好な透過率と近赤外域の反射性能とを達成できるよう、樹脂層(1)の屈折率の波長依存特性や、使用した化合物(A)および(B)の吸収特性に合わせて、光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本実施例においてはソフトへの入力パラメータ(Target値)を下記表3の通りとした。
Figure 2023013953000022
膜構成最適化の結果、前記誘電体多層膜(I)を、物理膜厚約37~168nmのシリカ層と物理膜厚約11~104nmのチタニア層とを交互に積層した、積層数26層の多層蒸着膜とし、誘電体多層膜(II)を、物理膜厚約40~191nmのシリカ層と物理膜厚約10~110nmのチタニア層とを交互に積層した、積層数22層の多層蒸着膜とした。最適化を行った膜構成の一例を下記表4に示す。
Figure 2023013953000023
得られた光学フィルターについて、下記T20(30°)を測定する場合以外、該光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の分光透過率を、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて測定した。
具体的には、以下の分光透過率を測定した。結果を表7に示す。
・Tf_ave:波長450~570nmの光の透過率の平均値
・Tf_min:波長λA~λBnmの光の透過率の最小値
・ΔT20(0°-30°):波長600~900nmの光において、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が20%となる最も短い波長(T20(0°))と、光学フィルターの面方向に対して30°の角度から入射した光の透過率が20%となる最も短い波長(T20(30°))との差
・750~850nmTave:波長750~850nmの光の透過率の平均値
・Wf_min:波長600~900nmにおける透過率が50%となる最も短い波長
・R透過率:波長580~650nmの光の透過率の平均値
<撮影画像のRGBバランス評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際のRGBバランス評価を下記の方法で行った。結果を表7に示す。
特開2016-110067号公報と同様の方法でカメラモジュールを作製し、作製したカメラモジュールを用いて300mm×400mmサイズの白色板をD65光源(X-Rite社製標準光源装置「マクベスジャッジII」)下で撮影した。
なお、図5に示すように、撮影を行う際は撮影画像111の中で白色板112が面積の90%以上を占めるように白色板112とカメラモジュールとの位置関係を調節した。
撮影画像における白色板の中央部113(図5に示す)の色目を、目視により以下の基準で評価した。
撮影画像に青み等がなく許容可能なレベルをA、撮影画像に明らかな青みがあり、カメラモジュール用途としては許容不可能なレベルをCと判定した。具体的には、実施例1のRGBバランス評価の結果を「A」と判定し、実施例1と比較して撮影画像が青みを帯びている場合を「C」と判定した。
光学フィルターの赤色の透過率が低い場合、撮影画像のRGBバランスがくずれ、このことにより、撮影画像が青みを帯びる結果になったと考えられる。
<撮影画像の色シェーディング評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際の色シェーディング評価を下記の方法で行った。結果を表7に示す。
特開2016-110067号公報と同様の方法でカメラモジュールを作製し、作製したカメラモジュールを用いて300mm×400mmサイズの白色板をD65光源(X-Rite社製標準光源装置「マクベスジャッジII」)下で撮影した。
なお、図5に示すように、撮影を行う際は撮影画像111の中で白色板112が面積の90%以上を占めるように白色板112とカメラモジュールとの位置関係を調節した。
撮影画像における白色板の中央部113(図5に示す)と端部114(図5に示す)における色目の違いを、目視により以下の基準で評価した。
色目の違いがなく許容可能なレベルをA、若干色目の違いは認められるがカメラモジュールとして実用上問題がなく許容可能なレベルをB、明らかな色目の違いがあり、カメラモジュール用途としては許容不可能なレベルをCと判定した。具体的には、実施例5の色シェーディング評価結果を「B」と判定し、実施例5と比較して、撮影画像の端部と中央部で全く色目の違いが小さい場合を「A」と判定し、実施例5と同等の色目の違いであった場合を「B」と判定し、実施例5と比較して、色目の違いが大きい場合を「C」と判定した。
Tyが大きく、赤外線領域の光をシャープに遮断できていないことにより、色シェーディングが悪化する結果になったと考えられる。
<撮影画像のゴースト評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際のゴースト評価を下記の方法で行った。
特開2016-110067号公報と同様の方法でカメラモジュールを作製し、作製したカメラモジュールを用いて暗室中ハロゲンランプ光源(林時計工業(株)製「ルミナーエースLA-150TX」)下で撮影した。
なお、図6に示すように、撮影を行う際は、光源122が撮影画像121の右上端部にくるように調節した。
撮影画像121における光源122周辺123(図6に示す)のゴースト発生具合を、目視により以下の基準で評価した。
ゴーストがなく許容可能なレベルをA、若干のゴーストは認められるがカメラモジュールとして実用上問題がなく許容可能なレベルをB、ゴーストの度合いがひどく(ゴーストによる光源周辺部123の色変化が大きく)、カメラモジュール用途としては許容不可能なレベルをCと判定した。具体的には、実施例14のゴースト評価結果を「B」と判定し、実施例14と比較して、ゴーストによる光源周辺部123の色変化が少ない場合を「A」と判定し、実施例14と同等のゴーストが発生した場合を「B」と判定し、実施例14と比較して、ゴーストによる光源周辺部123の色変化が大きい場合を「C」と判定した。
波長λA~λBnmの光の透過率の最大値(Ts_max)が大きいと、センサーに入射する近赤外光が増加するため、ゴーストによる光源周辺部123の色変化が大きくなったと考えられる。
[実施例2~6、12~14および比較例1~3]
実施例1において、化合物(z1)および化合物(z2)の代わりに、表7に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂層(光学部材)を作製し、また、光学フィルターを作製し、これらの分光特性を評価した。
実施例4で得られた樹脂層の分光透過率曲線を図1に示し、実施例4で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を図3に示す。また、比較例1~3で得られた樹脂層の分光透過率曲線を図2に示し、比較例1~3で得られた光学フィルターの分光透過率曲線を図4に示す。
さらに、実施例4で得られた樹脂層の波長600~(λA-1)nm、かつ、透過率が5~70%である場合のTb-Taの値を下記表5に示す。該表5から実施例4で得られた樹脂層のTyは-0.143であることが分かる。
なお、他の実施例および比較例も同様にしてTyを求めた。
Figure 2023013953000024
[実施例7]
容器に、樹脂合成例で得られた樹脂A 100質量部、化合物(A)として、前記化合物(z1)0.07質量部、化合物(B)として、前記化合物(z2)0.07質量部、UV吸収剤(下記化合物(x1))0.17質量部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜を更に減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦210mm、横210mmの樹脂層(7)を得た。
光学部材である該樹脂層(7)を用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製し、樹脂層(7)および得られた光学フィルターの分光特性を評価した。
・化合物(x1):ジクロロメタン中での吸収極大波長394nm
Figure 2023013953000025
[実施例8]
実施例8では、片面に化合物(A)および化合物(B)を含有する樹脂層を有する透明ガラス支持体を用いて光学部材を作製し、また光学フィルターを作製した。
縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス支持体「OA-10G」(日本電気硝子(株)製、厚み200μm)上に下記組成の樹脂層形成用組成物(1)をスピンコーターで塗布し、ホットプレート上80℃で2分間加熱し溶剤を揮発除去した。この際、乾燥後の厚みが4μmとなるように、スピンコーターの塗布条件を調整した。次に、コンベア式露光機を用いて、塗布した組成物に露光(露光量:500mJ/cm2、照度
:200mW/cm2)を行い、組成物(1)を硬化させ、化合物(A)および化合物(B)を含む樹脂層(8)を有する光学部材を作製した。
樹脂層形成用組成物(1):トリシクロデカンジメタノールアクリレート 20質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4質量部、化合物(z1) 1.75質量部、化合物(z2) 1.75質量部、メチルエチルケトン(溶剤、TSC:35%)
樹脂層(1)の代わりに作製した樹脂層(8)を有する光学部材を用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製し、樹脂層(8)および得られた光学フィルターの分光特性を実施例1と同様にして評価した。
なお、樹脂層(8)の分光特性を評価する際には、透明ガラス支持体から剥離した樹脂層(8)を用いた。
[実施例9]
実施例8において、樹脂層形成用組成物(1)の代わりに、下記樹脂層形成用組成物(2)を用いた以外は実施例8と同様にして、樹脂層(9)を有する光学部材を作製し、また、該樹脂層(9)を有する光学部材を用いて光学フィルターを作製し、樹脂層(9)および光学フィルターの分光特性を評価した。
なお、樹脂層(9)の分光特性を評価する際には、透明ガラス支持体から剥離した樹脂層(9)を用いた。
樹脂層形成用組成物(2):トリシクロデカンジメタノールアクリレート 20質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4質量部、化合物(z1) 2.0質量部、化合物(z3) 2.0質量部、メチルエチルケトン(溶剤、TSC:35%)
[実施例10]
実施例10では、片面に化合物(A)および化合物(B)を含有する樹脂層を有する近赤外線吸収ガラス支持体を用いて光学部材を作製し、また光学フィルターを作製した。
透明ガラス支持体(OA-10G)の代わりに、縦60mm、横60mmの大きさにカットした近赤外線吸収ガラス支持体「BS-6」(松浪硝子工業(株)製、厚み210μm)を使用した以外は実施例8と同様にして、樹脂層(10)を有する光学部材を作製し、また、該樹脂層(10)を有する光学部材を用いて光学フィルターを作製し、これらの分光特性を評価した。
なお、樹脂層(10)の分光特性を評価する際には、近赤外線吸収ガラス支持体から剥離した樹脂層(10)を用いた。
[実施例11]
実施例10において、前記樹脂層形成用組成物(1)の代わりに、前記樹脂層形成用組成物(2)を用いた以外は実施例10と同様にして、樹脂層(11)を有する光学部材を作製し、また、該樹脂層(11)を有する光学部材を用いて光学フィルターを作製し、これらの分光特性を評価した。
なお、樹脂層(11)の分光特性を評価する際には、近赤外線吸収ガラス支持体から剥離した樹脂層(11)を用いた。
[比較例4~5]
比較例2~3で得られた樹脂層それぞれの片面に誘電体多層膜(III)を形成し、さらに該樹脂層のもう一方の面に誘電体多層膜(IV)を形成し、厚さ約0.110mmの光学フィルターを得た。実施例1と同様にして、得られた樹脂層および光学フィルターの分光特性を評価した。
誘電体多層膜(III)は、蒸着温度100℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とを交互に積層した積層体である(合計26層)。誘電体多層膜(IV)は
、蒸着温度100℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とを交互に積層した積層体である(合計20層)。
誘電体多層膜(III)および(IV)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層を、樹脂層側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順となるように交互に積層し、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
膜構成最適化の結果、前記誘電体多層膜(III)を、物理膜厚約28~139nmのシリカ層と物理膜厚約9~83nmのチタニア層とを交互に積層した、積層数26層の多層蒸着膜とし、誘電体多層膜(IV)を、物理膜厚約35~177nmのシリカ層と物理膜厚約10~103nmのチタニア層とを交互に積層した、積層数20層の多層蒸着膜とした。最適化を行った膜構成の一例を下記表6に示す。
Figure 2023013953000026
Figure 2023013953000027
比較例1は、化合物(B)を含有しないため、要件(d)および要件(F5)を満たしておらず、得られた光学フィルターの入射角依存性が大きいため、視感度補正性能に優れる光学フィルターが得られなかった。
比較例2は、要件(c)、(R4)、(R5)、(F3)、(F4)、(F6)を満たしておらず、光学部材(樹脂層)および光学フィルターの可視光における赤色領域の透過率が低いため、RGBバランスに優れる画像が得られる光学フィルターが得られなかった。
比較例2と同様の樹脂層を用いて、特性の異なる誘電体多層膜を形成した比較例4においても、光学フィルターの可視光における赤色領域の透過率が低く、さらに要件(F5)も満たさないため、良好な画像が得られる光学フィルターが得られなかった。
比較例3は、要件(c)、(d)、(R4)、(R5)、(F3)、(F4)、(F6)を満たしておらず、光学部材(樹脂層)および光学フィルターの可視光における赤色領域の透過率が低いため、RGBバランスに優れる画像が得られる光学フィルターが得られなかった。
比較例3と同様の樹脂層を用いて、特性の異なる誘電体多層膜を形成した比較例5においても、光学フィルターの可視光における赤色領域の透過率が低く、さらに要件(F5)も満たさないため、良好な画像が得られる光学フィルターが得られなかった。

Claims (12)

  1. 化合物(A)と化合物(B)とを含有する樹脂層を有し、
    前記樹脂層は、化合物(A)の吸収極大波長をλAとし、化合物(B)の吸収極大波長をλBとした時、下記要件(a)~(d)を満たす、光学部材。
    (a)λA<λB
    (b)680nm≦λA≦870nm
    (c)760nm≦λB≦900nm
    (d)波長600~(λA-1)nmにおける任意の波長Xnmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTaとし、波長(X+1)nmの光が樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した場合の透過率をTbとし、Tb-Taの最大値をTxとした時、Tx<0を満たす
  2. 化合物(A)が下記要件(i)を満たす、請求項1に記載の光学部材。
    (i)波長600~(λA-1)nmにおいて、任意の波長Xnmの光の化合物(A)の透過率をTaAとし、波長(X+1)nmの光の化合物(A)の透過率をTbAとした時、TbA-TaA>0を満たす波長Xnmを波長600~(λA-1)nmの一部に有する
  3. 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長λA~λBnmの光の透過率の最小値が3%以下である、請求項1に記載の光学部材。
  4. 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長をWminとした時、該Wminが650~750nmの範囲にある、請求項1に記載の光学部材。
  5. 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長600~900nmの光において、透過率が50%となる最も短い波長Wminと、透過率が50%となる最も長い波長Wmaxとが、Wmax-Wmin≧130nmの関係を満たす、請求項1に記載の光学部材。
  6. 前記化合物(A)および(B)が、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物(但し、該ポリメチン系化合物は、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物以外の化合物である)、ジイモニウム系化合物、ジチオール金属錯体系化合物およびピロロピロール系化合物からなる群より選ばれる化合物である、請求項1に記載の光学部材。
  7. 前記樹脂層の面方向に対して垂直方向から入射した波長450~570nmの光の透過率の平均値が80%以上である、請求項1に記載の光学部材。
  8. 前記樹脂層が、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂およびビニル系紫外線硬化型樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1に記載の光学部材。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学部材と誘電体多層膜とを有する、光学フィルター。
  10. 近赤外線カットフィルター、デュアルバンドパスフィルター、または、シングルバンドパスフィルターである、請求項9に記載の光学フィルター。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学部材を含む、固体撮像装置。
  12. 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学部材を含む、光学センサー装置。
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