JP2023011526A - 化合物、それを用いた発光素子材料、発光素子、色変換組成物、色変換シート、光学ユニット、表示装置および照明装置 - Google Patents

化合物、それを用いた発光素子材料、発光素子、色変換組成物、色変換シート、光学ユニット、表示装置および照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】緑色発光を示す発光材料を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物。【化1】TIFF2023011526000059.tif60170【選択図】なし

Description

本発明は、新規化合物およびそれを用いた発光素子材料、発光素子、色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、表示装置および照明装置に関する。
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が、両極に挟まれた発光層内で再結合することにより発光する有機薄膜発光素子は、薄型化が可能であること、駆動電圧が低いこと、輝度が高いこと、多色発光が可能であることなどの特徴を有する。
有機発光素子の更なる高色域化に向けて、半値幅の狭い材料の開発が盛んに行われている。かかる技術として、例えば、ホウ素原子と窒素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物(例えば、特許文献1~5および非特許文献1参照)などが提案されている。
国際公開第2015/102118号 国際公開第2020/106032号 国際公開第2020/217229号 国際公開第2021/020929号 韓国公開第210043415号
「Advanced Materials」、2016年、vol.28、p.2777-2781
特許文献1~5および非特許文献1に記載された多環芳香族化合物は、青色発光材料として高い輝度を有するものの、緑色発光材料としては発光波長が不十分であった。そこで、本発明は、緑色発光特性を有する化合物を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2023011526000001
上記一般式(1)~(2)中、R~R11およびR21~R31は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基またはR~R11もしくはR21~R31のうち隣接する基との間に形成される飽和もしくは不飽和の環である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ただし、上記一般式(1)中、R、Rおよび/またはRは、ハメット則における置換基定数σp値が正の基であり、上記一般式(2)中、R23、R26および/またはR28は、ハメット則における置換基定数σp値が正の基である。
12およびR32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、イミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。R12は、単結合または連結基を介して、RまたはRと結合してもよく、R32は、単結合または連結基を介して、R24またはR25と結合してもよい。その場合の連結基は、単結合、-O-、-S-、>CR1314または>SiR1516である。R13~R16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、R13とR14またはR15とR16は、さらに単結合または連結基を介して結合していてもよい。
およびXは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11およびR21~R31と同義である。
本発明の化合物は、従来公知の多環芳香族化合物に比べて長波長化した緑色発光特性を有する。本発明の化合物により、色純度に優れた発光素子材料、発光素子、色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、表示装置および照明装置を提供することができる。
以下に、本発明の内容について詳細に説明する。本発明は、以下に記載する実施態様や具体例に限定されるものではない。
<一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物>
本発明の化合物は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有する。
Figure 2023011526000002
上記一般式(1)~(2)中、R~R11およびR21~R31は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基またはR~R11もしくはR21~R31のうち隣接する基との間に形成される飽和もしくは不飽和の環である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ただし、上記一般式(1)中、R、Rおよび/またはRは、ハメット則における置換基定数σp値が正の基であり、上記一般式(2)中、R23、R26および/またはR28は、ハメット則における置換基定数σp値が正の基である。
12およびR32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、イミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。R12は、単結合または連結基を介して、RまたはRと結合してもよく、R32は、単結合または連結基を介して、R24またはR25と結合してもよい。その場合の連結基は、単結合、-O-、-S-、>CR1314または>SiR1516である。R13~R16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、R13とR14またはR15とR16は、さらに単結合または連結基を介して結合していてもよい。
およびXは、C-R41または窒素原子であり、R41はR~R11およびR21~R31と同義である。より長波長化する観点から、XおよびXは、C-R41であることが好ましい。
ここで、「ハメット則における置換基定数σp値」(以下、単に「σp値」と記載する場合がある)は、L.P.ハメットにより提唱されたものであり、パラ置換ベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化した、置換基毎に定まる反応定数を表す。本発明における「σp値」とは、Hansch, C. et. al.,「Chemical Reviews」、1991年、vol.91、p.165-195に記載のσp値を指す。σp値が正の基は、電子求引性(アクセプター性)を示す傾向がある。
青色発光材料として、特許文献1~5および非特許文献1に記載の多環芳香族化合物は、強固で平面性の高い骨格を有するため、高い蛍光量子収率を示す。また、発光スペクトルにおけるピーク半値幅が小さいため、色純度を向上させることができる。
このような多環芳香族化合物を緑色発光させる手段としては、共役を拡張させ、発光を長波長化する方法が考えられる。しかしながら、前記多環芳香族化合物は、多重共鳴効果を利用した特異的な励起状態を形成するため、単純な共役系の拡張では、長波長化が困難であった。そこで、本発明においては、前記一般式(1)または(2)で示すように、特定の位置に、電子求引性を示すσp値が正の基を導入することを特徴とする。一般式(1)におけるR、Rおよび/またはR、一般式(2)におけるR23、R26および/またはR28、すなわち、ホウ素のp位となる位置に、σp値が正の基を導入することにより、最低空軌道(LUMO)が、σp値が正の基まで拡張するため、長波長化が可能となる。
ハメット則における置換基定数σp値が正の基としては、例えば、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、ハロゲンなどを含む基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基や、キノン環またはピロン環に、置換もしくは無置換のベンゼン環が縮環した構造を有し、ベンゼン環から水素原子を1つ除いた1価の基等が挙げられる。ヘテロアリール基が含むヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ホウ素原子などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
これらの中でも、フッ素置換されたアルキル基、フッ素置換されたシクロアルキル基、フッ素置換されたアリール基、フッ素置換されたヘテロアリール基、シアノ基で置換されたアリール基、シアノ基で置換されたヘテロアリール基、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基などが好ましい。これらの基は、基本骨格の共役長を拡大しつつ、効率的に基本骨格のLUMOを拡張し、より長波長化することができる。発光素子の耐久性の観点から、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基がより好ましい。
電子受容性窒素含有ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環およびチアゾール環から水素原子を1つ除いた1価の基が挙げられる。より色純度の高い緑色発光を得る観点から、下記一般式(a-1)~(a-4)で表される構造が好ましい。
Figure 2023011526000003
一般式(a-1)~(a-4)中、*は結合位置を表す。
一般式(1)または(2)で表される化合物は、電子供与性の元素と電子受容性の元素を用いて分子内の最高被占軌道(HOMO)とLUMOを各元素に局在化させることにより、三重項励起状態から一重項励起状態に逆項間交差が生じ、遅延蛍光を放出する化合物となる。σp値が正の値を示す基として電子受容性窒素含有ヘテロアリール基を選択すると、共役長がより拡大し、LUMOが電子受容性窒素含有ヘテロアリール基まで拡張することにより、HOMOとLUMOの分離がより顕著になり、効率的な逆項間交差過程が進行する。有機発光素子においては、電流励起によって75%三重項励起子が生成する。三重項励起子は通常発光に寄与しないが、効率的な逆項間交差によって一重項励起子へと変換することにより、発光素子効率の向上につなげることができる。そのため、一般式(1)または(2)で表される化合物について、より長波長化しつつ、効率を向上させることができる。
また、発光特性の観点から、R12およびR32は、アルケニル基、イミノ基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、R12は、単結合または連結基を介して、RまたはRと結合した構造が好ましく、R32は、単結合または連結基を介して、R24またはR25と結合した構造が好ましい。単結合または連結基を介して結合することにより、母骨格が縮環構造を有するため、共役長がより長くなり、長波長化により有利であり、より優れた緑色発光特性を有する。また、多環芳香族化合物の回転や振動が制限され、励起状態における構造緩和を抑制することができるため、無垢輻射失活が抑制され、発光素子効率をより向上させることができる。R12およびR32は、平面性による薄膜中における分子間のパッキングを抑制し、発光効率をより向上させる観点から、アルケニル基、イミノ基が好ましい。すなわち、本発明の化合物は、下記一般式(3)または(4)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2023011526000004
上記一般式(3)において、Xは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11と同義である。R17は、R11と同義である。
上記一般式(4)において、Xは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11と同義である。R32は、R31と同義である。
さらなる長波長化の観点から、一般式(3)におけるX、一般式(4)におけるXは、いずれもC-R41が好ましい。
本発明の化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば、分子内の水素原子がすべてHであってもよいし、一部または全部がH(デューテリウムD)であってもよい。
以下の説明において、「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が結合したことを意味する。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
シアノ基とは、構造が-C≡Nで表される基である。ここで他の基と結合するのは炭素原子である。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは、1以上20以下、より好ましくは、1以上8以下の範囲である。ここでいう炭素数とは、アルキル基に結合した置換基に含まれる炭素数も含み、炭素数を規定している他の置換基もこれと同様である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換されていても無置換でもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介して芳香族炭化水素基が結合した基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基などの芳香族炭化水素基を示す。これは置換基を有していても有していなくてもよい。これらの中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下、より好ましくは、6以上30以下の範囲である。
また、置換のフェニル基においては、そのフェニル基中の隣接する2つの炭素原子上に各々置換基がある場合、それらの置換基同士で環構造を形成していてもよい。その結果としてできた基は、その構造に応じて、「置換のフェニル基」、「2つ以上の環が縮環した構造を有するアリール基」、「2つ以上の環が縮環した構造を有するヘテロアリール基」のいずれか1つ以上に該当しうる。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。環形成原子数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基などの、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は置換基を有していても有していなくてもよい。環形成原子数は特に限定されないが、好ましくは、3以上40以下、より好ましくは、3以上30以下の範囲である。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。アミノ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、置換もしくは無置換のケイ素原子が結合した官能基を示し、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基などのアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基などのアリールシリル基を示す。シリル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
また、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これらの置換基は、さらに置換されてもよい。カルボニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下の範囲である。
イミノ基とは、例えばイミンやイミドなどのC=NH、もしくはC-NH-Cと表される官能基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ヘテロアリール基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、またはシリル基であり、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の一例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023011526000005
Figure 2023011526000006
Figure 2023011526000007
Figure 2023011526000008
Figure 2023011526000009
Figure 2023011526000010
Figure 2023011526000011
Figure 2023011526000012
Figure 2023011526000013
Figure 2023011526000014
Figure 2023011526000015
Figure 2023011526000016
Figure 2023011526000017
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物は、例えば、「Advanced.Materials」、2016年、vol.28、p.2777-2781に記載されている方法を参考に製造することができる。
得られた一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物は、再結晶やカラムクロマトグラフィーなどの有機合成的な精製を行った後、さらに、一般的に昇華精製と呼ばれる減圧加熱による精製により低沸点成分を除去し、純度を向上させることが好ましい。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物の純度は、発光素子特性の安定化の観点から、99重量%以上が好ましい。
一般式(1)または(2)で表される化合物の蛍光スペクトルにおいて、緑色発光の色純度をより向上させる観点から、ピーク波長は500nm以上550nm以下であることが好ましく、510nm以上540nm以下がさらに好ましい。ここで、一般式(1)または(2)で表される化合物の蛍光スペクトルは、トルエンを溶媒とする濃度10-5mol/Lの希釈溶液を用いて、蛍光分光光度計を用いて測定することができる。
<発光素子材料>
本発明における発光素子材料とは、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物を含み、発光素子のいずれかの層に使用される材料を表す。例えば、後述する正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および/または電極の保護膜(キャップ層)に使用される材料などが挙げられる。これらの中でも、高い発光素子効率および色純度を有することから、発光層に好適に使用される。
発光素子材料は、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物とともに、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、後述する正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および/または電極の保護膜(キャップ層)を構成する材料として例示したものなどが挙げられる。
<発光素子>
次に、本発明の発光素子の実施の形態について説明する。本発明の発光素子は、陽極と陰極の間に、前述の発光素子材料を含有する発光層を有し、電気エネルギーによって発光する。
本発明の発光素子は、ボトムエミッション型、またはトップエミッション型のいずれであってもよい。トップエミッション型発光素子は、マイクロキャビティによる共振効果により、半値幅が狭いほど発光素子効率が高くなる。そのため、色純度と発光素子効率をより高いレベルで両立することができる。
このような発光素子における陽極と陰極の間の層構成は、発光層のみからなる構成の他に、1)発光層/電子輸送層、2)正孔輸送層/発光層、3)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、7)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、8)正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層のような積層構成が挙げられる。
さらに、上記の積層構成を、中間層を介して複数積層したタンデム型であってもよい。中間層としては、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層などが挙げられ、公知の材料構成を用いることができる。タンデム型の好ましい具体例として、9)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/電荷発生層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層のような積層構成が挙げられる。上記発光層は、それぞれ同一でも異なっていても良い。
また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよく、ドーピングされていてもよい。また、上記各層に加えて、保護層(キャップ層)をさらに有してもよく、光学干渉効果により発光素子効率をより向上させることができる。
以下に発光素子の構成の具体例を挙げるが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
(基板)
発光素子の機械的強度を保ち、熱変形が少なく、発光層に水蒸気や酸素が侵入することを防ぐバリア性を有するために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板としては、特に限定されないが、例えば、ガラス板、セラミック版、樹脂製フィルム、樹脂薄膜、金属製薄板などが挙げられる。これらの中でも、透明であり、加工が容易である観点から、ガラス基板が好適に用いられる。特に、基板を通して光を取り出すボトムエミッション型発光素子の場合、高い透明性を有するガラス基板が好ましい。また、主にスマートフォンなどのモバイル機器において、フレキシブルディスプレイやフォルダブルディスプレイが増加しており、この用途には、樹脂製フィルムやワニスを硬化した樹脂薄膜が好適に用いられる。樹脂製フィルムとしては、耐熱フィルムが使用されており、具体的には、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが例示される。
また、基板の表面には、有機ELを駆動させるための各種配線、回路、およびTFTによるスイッチング素子が設けられていてもよい。
(陽極)
陽極は、前記基板上に形成されることが好ましい。基板と陽極の間に、各種配線、回路、およびスイッチング素子が介在してもよい。陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料であれば特に限定されないが、ボトムエミッション型発光素子の場合、透明または半透明電極であることが好ましく、トップエミッション型発光素子の場合、反射電極であることが好ましい。
透明または半透明電極の材質としては、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、金、銀、アルミニウム、クロムなどの金属、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーが挙げられる。ただし、金属を用いるときは光を半透過できるように、膜厚を薄くすることが好ましい。これらの中でも、透明性と安定性の観点から、酸化錫インジウム(ITO)がより好ましい。
反射電極の材質としては、全ての光に対し吸収がなく高い反射率を有するものが好ましく、例えば、アルミニウム、銀、白金などの金属が挙げられる。
これらの電極材料を2種以上用いてもよく、複数の材料を積層してもよい。
陽極の膜厚は、特に限定されないが、数nm~数百nmが好ましい。
陽極の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を選択することができるが、例えば、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。例えば、金属酸化物によって陽極を形成する場合にはスパッタ法、金属によって陽極を形成する場合には蒸着法が好ましく用いられる。陽極の膜厚は特に限定されないが、数nm~数百nmであることが好ましい。
(陰極)
陰極は、有機層を挟んで陽極の反対側の表面に形成され、特に電子輸送層または電子注入層表面に形成されることが好ましい。陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる材料であれば特に限定されないが、ボトムエミッション型発光素子の場合、反射電極であることが好ましく、トップエミッション型発光素子の場合、半透明電極であることが好ましい。
一般的には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、これらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層膜、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物などが好ましい。これらの中でも、主成分としては、電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光素子効率などの観点から、アルミニウム、銀、マグネシウムが好ましい。また、マグネシウムと銀で構成されると、電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、駆動電圧を低減することができるため好ましい。
(保護層)
陰極保護のために、陰極上に保護層(キャップ層)を積層することが好ましい。保護層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、これら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物などが挙げられる。ただし、トップエミッション型発光素子の場合、保護層に用いられる材料は、可視光領域で光透過性のある材料から選択されることが好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層の間に挿入され、正孔注入を容易にする層である。正孔注入層は1層であっても複数の層が積層されていてもよい。正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層が存在すると、より低電圧駆動し、耐久性も向上するだけでなく、さらに素子のキャリアバランスが向上して発光素子効率も向上するため好ましい。
正孔注入材料の好ましい一例として、電子供与性正孔注入材料(ドナー材料)が挙げられる。これらはHOMO準位が正孔輸送層より浅く、かつ陽極の仕事関数に近いため陽極とのエネルギー障壁を小さくできる材料である。具体的には、ベンジジン誘導体、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4”-トリス(1-ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1-TNATA)などのスターバーストアリールアミンなどの芳香族アミン系材料群、カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、PEDOT/PSSなどのポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが例示される。これらを2種以上用いてもよい。また、複数の材料を積層して正孔注入層としてもよい。
また正孔注入材料の別の好ましい一例として、電子受容性正孔注入材料(アクセプター材料)が挙げられる。ここで正孔注入層はアクセプター材料単独で構成されていても、前記のドナー材料にアクセプター材料をドープして用いられていてもよい。アクセプター材料は、単独で用いる場合は隣接している正孔輸送層との間で、またドナー材料にドープして用いる場合はドナー材料との間で電荷移動錯体を形成する材料である。このような材料を用いると正孔注入層の導電性向上と、素子の駆動電圧低下に寄与し、発光素子効率の向上、耐久性向上といった効果が得られるため、より好ましい。アクセプター材料としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムのような金属酸化物、トリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)などの電荷移動錯体、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN6)、2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、フッ素化銅フタロシアニンのなどのn型有機半導体化合物、フラーレンなどが例示される。正孔注入層にアクセプター性化合物を含む場合、正孔注入層は1層であってもよいし、複数の層が積層されて構成されていてもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を発光層まで輸送する層である。正孔輸送層は単層であっても複数の層が積層されて構成されていてもどちらでもよい。
正孔輸送層は、一種の正孔輸送材料単独で、または二種以上の正孔輸送材料を積層または混合することによって形成される。また正孔輸送材料は、正孔注入効率が高くかつ注入された正孔を効率良く輸送することが好ましい。そのためには適切なイオン化ポテンシャルを持ち、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が発生しにくい物質であることが要求される。
このような条件を満たす物質として、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジジン誘導体、スターバーストアリールアミンと呼ばれる芳香族アミン系材料群、カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、フルオレン誘導体、スピロフルオレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが挙げられる。
(発光層)
発光層は、正孔と電子の再結合によって発生した励起エネルギーにより発光する層である。発光層は単一の材料で構成されていてもよいが、色純度の観点から、半値幅の狭い発光を示すドーパントである第一の化合物と、第二の化合物とを有することが好ましい。第二の化合物として、例えば電荷移動を担うホスト材料や、熱活性化遅延蛍光性の化合物が好適な例として挙げられる。
一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物は、特に優れた蛍光量子収率を有していること、蛍光スペクトルのピーク波長が緑色発光に適しており、半値幅が狭く、色純度に優れることから、発光層のドーパントである第一の化合物として用いることが好ましい。第一の化合物の含有量は、濃度消光現象をより抑制する観点から、発光層中、5重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましい。一方、エネルギー移動をより効率よく行う観点から、第一の化合物の含有量は、発光層中、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。
ホスト材料としては、特に限定されないが、例えば、ナフタセン、ピレン、アントラセン、フルオランテンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8-キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよいし、2種以上のホスト材料を積層しておよい。これらの中でも、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体が好ましい。
ドーパント材料として、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物以外の蛍光発光材料を含有してもよい。具体的には、ナフタセン、ピレン、アントラセン、フルオランテンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、ヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体、クマリン誘導体、アゾール誘導体およびその金属錯体、芳香族アミン誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、ドーパント材料としてリン光発光材料を含有してもよい。リン光発光材料としては、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む金属錯体化合物が好ましく、高効率発光の観点から、イリジウム錯体または白金錯体がより好ましい。配位子は、フェニルピリジン骨格、フェニルキノリン骨格、カルベン骨格などの含窒素ヘテロアリール基を有することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
ただし、色純度をより向上させる観点から、ドーパント材料は、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物のみであることが好ましい。
発光層には、上記ホスト材料またはドーパント材料の他に、発光層内のキャリアバランスを調整するためや発光層の層構造を安定化させるための第三成分を更に含有してもよい。ただし、第三成分としては、ホスト材料およびドーパント材料との間で相互作用を起こさないような材料を選択することが好ましい。
熱活性化遅延蛍光材料は、一般的に、TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)材料とも呼ばれ、一重項励起状態と三重項励起状態間のエネルギーギャップを小さくすることにより、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差を促進し、一重項励起子の生成確率を向上させた材料である。このTADF機構による遅延蛍光を利用することにより、理論的内部効率を100%まで高めることができる。さらに熱活性化遅延蛍光性を有する第二の化合物の一重項励起状態から第一の化合物の一重項励起状態へとフェルスター型のエネルギー移動が起こる場合、第一の化合物の一重項励起状態からの蛍光発光が観測される。ここで、第一の化合物がシャープな蛍光スペクトルを有する蛍光発光材である場合、発光素子効率および色純度により優れた発光素子を得ることができる。このように、発光層が熱活性化遅延蛍光材料を含有すると、素子効率がより向上し、ディスプレイの低消費電力化に寄与する。熱活性化遅延蛍光材料は、単一の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもいいし、エキサイプレックス錯体を形成する場合のように複数の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもよい。
熱活性化遅延蛍光性の化合物としては、単一でも複数の材料でもよく、公知の材料を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ジスルホキシド誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。このような熱活性化遅延蛍光性化合物として、特に限定されるものではないが、以下のような例が挙げられる。
Figure 2023011526000018
Figure 2023011526000019
Figure 2023011526000020
Figure 2023011526000021
Figure 2023011526000022
Figure 2023011526000023
Figure 2023011526000024
上記第二の化合物が、熱活性化遅延蛍光性の化合物であり、上記第一の化合物が、上記一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。また、第二の化合物が熱活性化遅延蛍光性の化合物である場合、発光層がさらに第三の化合物を含み、第一の化合物の励起一重項エネルギーをS(1),第二の化合物の励起一重項エネルギーをS(2)、第三の化合物の励起一重項エネルギーをS(3)とするとき、式1の関係が満たされることが好ましい。
(3)>S(2)>S(1) (式1)
これにより、第三の化合物は発光材料のエネルギーを発光層内に閉じ込める機能を有することができ、効率よく発光させることが可能となる。
第三の化合物としては、電荷輸送能が高く、かつガラス転移温度が高い有機化合物であることが好ましい。第三の化合物として、特に限定されるものではないが、以下のような例が挙げられる。
Figure 2023011526000025
Figure 2023011526000026
Figure 2023011526000027
Figure 2023011526000028
Figure 2023011526000029
Figure 2023011526000030
Figure 2023011526000031
Figure 2023011526000032
Figure 2023011526000033
Figure 2023011526000034
Figure 2023011526000035
(電子輸送層)
電子輸送層は、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、電子親和力が大きいこと、電子移動度が大きいこと、安定性に優れること、およびトラップとなる不純物が発生しにくい物質であることが要求される。また、結晶化による膜質劣化を抑制する観点から、分子量400以上の化合物が好ましい。
本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。正孔阻止層および電子輸送層は単独でも複数の材料が積層されて構成されていてもよい。
電子輸送材料としては、多環芳香族誘導体、スチリル系芳香環誘導体、キノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられる。駆動電圧を低減し、発光素子効率をより向上させる観点から、電子受容性窒素を含むヘテロアリール基を有する化合物を用いることが好ましい。ここで、電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。電子受容性窒素を含むヘテロアリール基は、電子親和力が大きいため、陰極から電子が注入しやすくなり、より低電圧駆動が可能となる。また、発光層への電子の供給が多くなり、再結合確率が高くなるため発光素子効率がより向上する。電子受容性窒素を含むヘテロアリール基構造を有する化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、ナフチリジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、フェナンスロイミダゾール誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、電子輸送材料が縮合多環芳香族骨格を有していると、ガラス転移温度が向上し、電子移動度が大きく、駆動電圧を低減することができるためより好ましい。このような縮合多環芳香族骨格としては、キノリノール骨格、トリアジン骨格、フルオランテン骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格が好ましい。
電子輸送層は、ドナー性材料を含有してもよい。ここで、ドナー性材料とは、電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる化合物である。
ドナー性材料の好ましい例としては、Liなどのアルカリ金属、LiFなどのアルカリ金属を含有する無機塩、リチウムキノリノールなどのアルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩、アルカリ土類金属と有機物との錯体、EuやYbなどの希土類金属、希土類金属を含有する無機塩、希土類金属と有機物との錯体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、金属リチウム、希土類金属、リチウムキノリノール(Liq)が好ましい。
(電子注入層)
本発明において、陰極と電子輸送層の間に、電子注入層を設けてもよい。一般的に、電子注入層は、陰極から電子輸送層への電子の注入を助ける目的で形成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物や、上記のドナー性材料により構成される。また、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、トリアジン誘導体、フェナントロリン誘導体、オリゴピリジン誘導体が好ましく、フェナントロリン誘導体、ターピリジン誘導体がより好ましく、下記一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体がさらに好ましい。すなわち、本発明の発光素子は、電子注入層に一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体を含有することが好ましい。
Figure 2023011526000036
上記一般式(5)中、Arは、p価の芳香族炭化水素基、およびp価の芳香族複素環基からなる群より選ばれる。pは1~3の自然数である。R101~R108は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Arのうち、p個のフェナントロリル基による置換位置は任意の位置である。
芳香族炭化水素基としては、例えば、1価の場合、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基などが挙げられる。中でも、合成容易性、昇華性の観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基や、これらの水素原子の少なくとも1部を除いた基が好ましい。芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。また、隣接する2つの炭素原子上に各々置換基がある場合、それらの置換基同士で環構造を形成していてもよい。
芳香族複素環基とは、炭素以外の原子を1個以上環内に有する環状芳香族基を示し、例えば、1価の場合、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基などが挙げられる。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。芳香族複素環基は置換基を有していても有していなくてもよい。芳香族複素環基の環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
芳香族炭化水素基または芳香族複素環基は、フェナントリル基以外にさらに置換基を有していてもよい。
昇華性および薄膜形成性の観点から、pは2が好ましい。
一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体の一例を以下に示す。
Figure 2023011526000037
また、電子注入層に絶縁体や半導体の無機物を用いることもできる。これらの材料を用いることにより、発光素子の短絡を抑制し、電子注入性を向上させることができるので好ましい。
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物などの金属化合物が好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
(電荷発生層)
本発明における電荷発生層は、一般に二重層からなり、具体的には、n型電荷発生層およびp型電荷発生層からなるpn接合電荷発生層として用いることができる。上記pn接合型電荷発生層は、発光素子中で電圧が印加されることにより、電荷を発生、または電荷を正孔および電子に分離し、これらの正孔および電子を正孔輸送層および電子輸送層を経由して発光層に注入する。具体的には、発光層が積層された発光素子において中間層の電荷発生層として機能する。n型電荷発生層は陽極側に存在する第一発光層に電子を供給し、p型電荷発生層は陰極側に存在する第二発光層に正孔を供給する。そのため、複数の発光層を積層した発光素子における発光素子効率を改善でき、駆動電圧を低減することができ、発光素子の耐久性も向上する。
上記n型電荷発生層は、n型ドーパントおよびホストからなり、これらは従来の材料を用いることができる。例えば、n型ドーパントとして、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アルカリ金属もしくはその塩、希土類金属が好ましく、金属リチウム、フッ化リチウム(LiF)、リチウムキノリノール(Liq)、金属イッテルビウムがさらに好ましい。また、ホストとして、トリアジン誘導体、フェナントロリン誘導体、オリゴピリジン誘導体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、トリアジン誘導体、フェナントロリン誘導体、オリゴピリジン誘導体が好ましく、フェナントロリン誘導体、ターピリジン誘導体がより好ましく、上記一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体がさらに好ましく、下記一般式(6)で表されるフェナントロリン誘導体が特に好ましい。すなわち、本発明の発光素子は、電荷発生層に一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体を含有することが好ましく、一般式(6)で表されるフェナントロリン誘導体を含有することがより好ましい。
Figure 2023011526000038
上記一般式(6)中、Y~Yのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である。Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である。ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。Aはフェニル基またはピリジル基であり、mは0または1である。
一般式(6)で表されるフェナントロリン誘導体の一例を以下に示す。
Figure 2023011526000039
上記p型電荷発生層は、p型ドーパントおよびホストからなり、これらは従来の材料を用いることができる。例えば、p型ドーパントとして、テトラフルオレ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、テトラシアノキノジメタン誘導体、ラジアレン誘導体、ヨウ素、FeCl、FeF、SbClなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アリールアミン誘導体が好ましい。
(発光素子の製造方法)
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、ドライプロセスまたはウェットプロセスのいずれでもよく、例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法などが挙げられる。これらの中でも、素子特性の観点から、抵抗加熱蒸着が好ましい。
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値によるため限定することはできないが、1~1000nmであることが好ましい。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
(発光素子の特性)
本発明の実施の形態に係る発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はなく、素子の目的によって要求される特性値が異なるが、素子の消費電力や耐久性の観点から低電圧で高い輝度が得られることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る発光素子は、色純度を高める観点から、通電による蛍光スペクトルにおいて、色純度をより向上させる観点から、半値幅は、45nm以下が好ましく、35nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。
(発光素子の用途)
本発明の実施の形態に係る発光素子は、高い発光素子効率と高色純度との両立が可能であり、さらに、薄型化や軽量化が可能であることから、例えば、表示装置やバックライト、照明装置などに好適に用いられる。表示装置としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイ等が挙げられる。バックライトは、主に自発光しないディスプレイ等の表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、例えば、液晶ディスプレイ、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などの表示装置のバックライトなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の発光素子は、より薄型化・軽量化が可能なことから、液晶ディスプレイ、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに好ましく用いられる。照明装置としては、例えば、医療用照明、インテリア用照明などが挙げられ、低消費電力と鮮やかな発光色、高いデザイン性を両立することができる。
<色変換組成物>
本発明の化合物は、光源等の発光体からの入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物に用いてもよい。色変換組成物は、上述した一般式(1)または(2)で表される化合物およびバインダー樹脂を含むことが好ましい。ここで、入射光とは異なる波長の光に変換するとは、入射光よりも長波長の光に変換することが好ましい。
<色変換組成物の製造方法>
本発明の色変換組成物は、例えば、バインダー樹脂、一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物、必要に応じて添加剤や溶剤等を所定の組成になるよう混合した後、撹拌・混練機を用いて均質に混合または混練することにより得ることができる。撹拌・混練機としては、例えば、ホモジナイザー、自公転型撹拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。混合または分散後、もしくは混合または分散の過程において、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶剤を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
<色変換シート>
本発明の色変換シートは、光源等の発光体からの入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換するシートであり、前述の本発明の色変換組成物を含有する。入射光よりも長波長の光に変換することが好ましい。
本発明の色変換シートは、前述の色変換組成物から形成される層である色変換層を含むことが好ましい。色変換シートは、より具体的には、前述の色変換組成物またはその硬化物を含むことが好ましい。色変換層の残存溶剤量は、色変換シートの耐久性をより向上させる観点から、0.5重量%以下が好ましい。一方、色変換層の残存溶剤量は、色変換シートの発光効率をより向上させる観点から、0.1重量%以上が好ましい。
<色変換シートの製造方法>
次に、本発明の色変換シートの製造方法の一例を説明する。上述した方法で作製した色変換組成物を基材上に塗布し、乾燥することにより、色変換層を形成する。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、色変換組成物を基材上に塗布した後、加熱硬化して色変換層を形成してもよく、バインダー樹脂が光硬化性樹脂の場合、色変換組成物を基材上に塗布した後、光硬化して色変換層を形成してもよい。
<光源ユニット>
本発明の光源ユニットは、少なくとも光源と、前述の本発明の色変換シートを含む。本発明の光源ユニットに含まれる光源は、上述の励起光の発生源となるものである。光源と色変換シートとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換シートとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換シートとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
<光源>
光源の種類は、発光材料が吸収可能な波長領域に発光を示すものであればいずれの光源でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光などいずれの光源でも原理的には利用可能である。これらの中でも、LEDが好適な光源であり、ディスプレイ(表示装置)や照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、430~500nmの範囲の光源を持つ青色LEDがさらに好適な光源である。
光源は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
本発明における光源ユニットは、空間照明、バックライト等種々の光源に有用であり、具体的には、表示装置、照明、インテリア、標識、看板などの用途に使用できるが、特に表示装置や照明用途に特に好適に用いられる。
<表示装置、照明装置>
本発明の表示装置は、少なくとも、上述した本発明の発光素子および/または上述した色変換シートを備える。例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置には、バックライトユニットとして、上述した本発明の光源ユニットが好ましく用いられる。また、上述した発光素子を用いて、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示する、高発光効率かつ耐久性に優れた有機ELディスプレイ等の表示装置を作製することができる。
また、本発明の照明装置は、少なくとも、上述した本発明の発光素子および/または上述した本発明の色変換シートを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換シートとを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。また、上述した本発明の発光素子を用いて照明装置を得ることもできる。これらの照明装置としては、例えば、医療用照明、インテリア照明などが挙げられ、鮮やかな発光色、高耐久性、高いデザイン性を両立することができる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、化合物G-1~G-7、G-101は、以下に示す化合物である。
Figure 2023011526000040
まず、各実施例および比較例における評価方法を以下に記載する。
(発光素子特性)
各実施例およびおよび得られた発光素子に、電流密度が0.1mA/cmとなるように電圧を印加し、コニカミノルタ(株)製分光放射輝度計CS-1000を用いて発光スペクトルを測定し、ピーク波長を発光波長とした。得られたスペクトルから、ランバシアン放射を行ったと仮定し、発光素子効率を算出した。
(発光素子の耐久性)
発光素子効率を測定した発光素子において、10mA/cmの電流密度を流したときの輝度を測定し、初期輝度とした。さらに、電流密度が10mA/cmとなるように電圧を印加し続け、フォトダイオードを用いて、初期輝度の90%の輝度となる時間(LT90)を測定し、発光素子の耐久性の指標とした。
(色変換シートの発光ピーク波長)
青色LED素子(発光ピーク波長:445nm)および導光板を備えたバックライトユニットに対し、導光板の一面に、実施例29~35および比較例10により得られた色変換シートをそれぞれ設置し、さらに色変換シート上にプリズムシートを設置した。青色LED素子に電流を流して、青色LED素子を点灯させ、青色LED素子からの光の明るさが800cd/mとなるように初期値を設定した。設定した初期値で青色LED素子に電流を流して青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて、400~700nmの波長領域で発光スペクトルを測定し、緑色発光領域のピーク波長を発光波長とした。
(色変換シートの絶対発光量子収率)
実施例29~35および比較例10により得られた色変換シートをそれぞれ1cm角に裁断し、絶対PL量子収率測定装置(Quantaurus-QY、浜松ホトニクス社製)を用いて、絶対発光量子収率を測定し、色変換シートの発光効率の指標とした。
(化合物および色変換シートの耐久性)
前述の色変換シートの発光ピーク波長と同様の評価系を用いて、青色LED素子(発光ピーク波長:445nm)からの光の明るさが10,000cd/mとなるように調整した後、85℃環境下で連続照射し、輝度が5%低下するまでの時間を測定し、化合物および色変換シートの耐久性の指標とした。
実施例1
以下に、本発明における合成例1の化合物G-1の合成方法について説明する。
Figure 2023011526000041
原料1は、Organic Letters、2004年、vol.6、p.4129-4132開示の方法で合成可能である。
2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼン(10.0g)、原料1(54.3g)、炭酸カリウム(17.2g)およびN-メチルピロリドン(260ml)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、170℃で10時間加熱撹拌した。反応停止後、反応液を室温まで冷却し、水およびトルエンを加えて分液した。溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体1A(収率70%)を得た。
中間体1A(37.3g)およびtert-ブチルベンゼン(360ml)の入ったフラスコを-40℃まで冷却し、1.6Mのn-ブチルリチウムヘキサン溶液(34.0ml)を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温した後、再び-40℃まで冷却して三臭化ホウ素(18.1g)を加えた。室温まで昇温して13時間撹拌した後、0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.38g)を添加し、130℃で5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却して、氷浴で冷却した酢酸ナトリウム水溶液を加えて撹拌し、吸引ろ過にて析出した固体を採取した。得られた固体を水、メタノール次いでへプタンの順に洗浄し、更にクロロベンゼンから再結晶させ、中間体1B(収率20%)を得た。
4,4-di-tert-butyl-2,2-bipyridine(38.9mg)、[Ir(COD)(OCH)](48.1mg)、中間体1B(6.93g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.03g)およびテトラヒドロフラン(72ml)の入ったフラスコを、窒素雰囲気化リフラックスした。反応停止後、反応混合物を減圧下で直接濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体1C(収率%84%)を得た。
2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(1.79g)、中間体1C(6.59g)、炭酸カリウム(1.68g)、Pd(PPh(0.35g)、テトラヒドロフラン(60ml)および水(8ml)の入ったフラスコを、窒素雰囲気化リフラックスした。反応停止後、反応混合物を減圧下で直接濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、G-1(3.54g、収率49%)を得た。
(発光素子の作製)
ITO透明導電膜を100nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38mm×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を、“セミコクリーン”(登録商標)56(商品名、フルウチ化学(株)製)を用いて15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV-オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔注入層としてHAT-CN6を10nm蒸着した。第一正孔輸送層として、化合物HT-1を40nm蒸着した。次に、第二正孔輸送層として、化合物HT-2を10nm蒸着した。発光層として、ホスト材料に化合物H-1を、ドーパント材料に化合物G-1を用い、ドーパント材料のドープ濃度が1重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として、電子輸送材料に化合物ET-1を、ドナー性材料として化合物2E-1を用い、ET-1と2E-1の蒸着速度比がET-1:2E-1=1:1になるようにして30nmの厚さに蒸着した。その後、マグネシウムと銀を100nm共蒸着して陰極とし、5×5mm角の発光素子を作製した。なおHAT-CN6HT-1、HT-2、H-1、ET-1、2E-1は以下に示す化合物である。
Figure 2023011526000042
この発光素子について、前述の方法により発光素子特性および発光素子の耐久性を評価したところ、発光波長は523nmを示し、発光素子効率は7.7%、LT90は75時間であった。
(実施例2~7、比較例1)
上記以外の化合物G-2~G-7およびG-101も、種々の原料を変更することにより合成し、ドーパント材料として、化合物G-1に代えて表1に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子材料および発光素子を作製した。評価結果を表1に示す。
Figure 2023011526000043
実施例1~7は、比較例1に比べて長波長化した発光を示し、発光素子効率およびLT90が向上した。
実施例8
(熱活性化遅延蛍光素子評価)
ITO透明導電膜を100nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38mm×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を、“セミコクリーン”(登録商標)56(商品名、フルウチ化学(株)製)を用いて15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV-オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT-CN6を10nm、続いて正孔輸送層として、HT-3を30nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料(第三の化合物)H-2と、ドーパント材料(第一の化合物)化合物G-1と、TADF材料(第二の化合物)である化合物H-3とを、重量比で79.0:1.0:20になるようにして、30nmの厚さに蒸着した。続いて正孔阻止層としてET-2を10nm、電子輸送層としてET-3を40nmの厚さに積層した。次に、電子注入層として2E-1を0.5nm蒸着した後、マグネシウムと銀を100nm共蒸着して陰極とし、5mm×5mm角の発光素子を作製した。なおHT-3、H-2、H-3、ET-2、ET-3は以下に示す化合物である。
Figure 2023011526000044
得られた発光素子について前述の方法により評価したところ、発光波長は523nmを示し、発光素子効率は18.7%、LT90は114時間であった。
(実施例9~14、比較例2)
ドーパント材料としてG-1にかえて表2に記載の化合物を用いたこと以外は実施例8と同様にして、発光素子を作製した。評価結果を表2に示す。
Figure 2023011526000045
実施例8~14は、比較例2に比べて長波長化した発光を示し、発光素子効率およびLT90が向上した。さらに、実施例1~7に比べて、発光素子効率およびLT90がより向上した。このことから、熱活性化遅延蛍光材料を用いることにより、発光素子効率およびLT90をより向上させることができることが分かる。
実施例15
(タンデム型発光素子評価)
ITO透明導電膜を100nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38mm×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を、“セミコクリーン”(登録商標)56(商品名、フルウチ化学(株)製)を用いて15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV-オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT-CN6を10nm、続いて正孔輸送層として、HT-3を30nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料(第三の化合物)H-2と、ドーパント材料(第一の化合物)化合物G-1と、TADF材料(第二の化合物)である化合物H-3とを、重量比で79.0:1.0:20になるようにして、30nmの厚さに蒸着した。続いて正孔阻止層としてET-2を10nm、電子輸送層としてET-3を40nmの厚さに積層した。続いてn型電荷発生層として、n型ホストである化合物ET-4と、n型ドーパントである金属リチウムを、蒸着速度比が99:1になるようにして10nm積層した。さらにp型電荷発生層としてHAT-CN6を10nm積層した。その上に上記と同様に正孔輸送層30nmおよび発光層30nmを形成した。さらに正孔阻止層としてET-2を10nm、電子輸送層としてET-3を40nm順に蒸着した。次に、電子注入層として2E-1を0.5nm蒸着した後、マグネシウムと銀を1000nm共蒸着して陰極とし、5mm×5mm角のタンデム型発光素子を作製した。
得られた発光素子について前述の方法により評価したところ、発光波長は523nmを示し、発光素子効率は29.9%、LT90は167時間であった。
(実施例16~21)
ドーパント材料としてG-1にかえて表3に記載の化合物を用いたこと以外は実施例15と同様にして、発光素子を作製した。評価結果を表3に示す。
(実施例22~28)
n型電荷発生層として、n型ホストである化合物ET-4にかえて化合物ET-5を用い、ドーパント材料として表3に記載の化合物を用いたこと以外は実施例15と同様にして、発光素子を作製した。評価結果を表3に示す。
(比較例3~9)
n型電荷発生層として、n型ホストである化合物ET-4にかえてBphenを用い、ドーパント材料として表3に記載の化合物を用いたこと以外は実施例15と同様にして、発光素子を作製した。評価結果を表3に示す。
なおET-4、ET-5およびBphenは以下に示す化合物である。
Figure 2023011526000046
Figure 2023011526000047
(実施例29)
バインダー樹脂としてアクリル樹脂100重量部に対して、発光材料として化合物G-1を0.25重量部、溶剤としてトルエンを400重量部混合した。得られた混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK-400(クラボウ社製)を用いて、300rpmで20分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂100重量部に対して、溶剤としてトルエンを300重量部混合し、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ社製)を用いて、300rpmで20分間撹拌・脱泡し、接着剤組成物を得た。
次に、得られた色変換組成物を、スリットダイコーターを用いて、第一の基材層である“ルミラー”(登録商標)U48(東レ(株)製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分間加熱乾燥して、平均膜厚16μmの色変換層を形成した。
また、得られた接着剤組成物を、スリットダイコーターを用いて、第二の基材層(PET)の片面に光拡散層を有する光拡散フィルム「ケミカルマット125PW」((株)きもと製、厚さ138μm)の第二の基材層側に塗布し、100℃で20分間加熱乾燥して、接着層/第二の基材層/光拡散層の積層体を得た。
次に、これらの積層体を、色変換層と接着層とが直接積層されるように加温ラミネートし、第一の基材層/色変換層/接着層/第二の基材層/光拡散層の積層構成の色変換シートを作製した。
(実施例30~35、比較例10)
発光材料として化合物G-1にかえて化合物G-2~G-7、G-101をそれぞれ用いた以外は実施例29と同様にして色変換フィルムを作製し、評価した。
実施例29~35、比較例10の結果を表4にまとめる。
Figure 2023011526000048
実施例29~35は、比較例10に比べて絶対発光量子収率および色変換シートの耐久性が向上した。
以上のとおり、本明細書には以下の[1]~[19]の発明が記載されている。
[1]下記一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物。
Figure 2023011526000049
(上記一般式(1)~(2)中、R~R11およびR21~R31は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基またはR~R11もしくはR21~R31のうち隣接する基との間に形成される飽和もしくは不飽和の環である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ただし、上記一般式(1)中、R、Rおよび/またはRは、ハメット則における置換基定数σp値が正の基であり、上記一般式(2)中、R23、R26および/またはR28は、ハメット則における置換基定数σp値が正の基である。
12およびR32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、イミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。R12は、単結合または連結基を介して、RまたはRと結合してもよく、R32は、単結合または連結基を介して、R24またはR25と結合してもよい。その場合の連結基は、単結合、-O-、-S-、>CR1314または>SiR1516である。R13~R16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、R13とR14またはR15とR16は、さらに単結合または連結基を介して結合していてもよい。
およびXは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11およびR21~R31と同義である。
[2]前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、フッ素置換されたアルキル基、フッ素置換されたシクロアルキル基、フッ素置換されたアリール基、フッ素置換されたヘテロアリール基、シアノ基で置換されたアリール基、シアノ基で置換されたヘテロアリール基または電子受容性窒素含有ヘテロアリール基である[1]に記載の化合物。
[3]前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基である[1]または[2]に記載の化合物。
[4]前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、下記構造式(a-1)~(a-4)のいずれかで表される基である[1]~[3]のいずれかに記載の化合物。
Figure 2023011526000050
(構造式(a-1)~(a-4)中、*は結合位置を表す。)
[5]下記一般式(3)または(4)で表される構造を有する[1]~[4]のいずれかに記載の化合物。
Figure 2023011526000051
(上記一般式(3)~(4)中、R~R11、R21~R31、XおよびXは、一般式(1)~(2)記載の通りである。XおよびXは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11およびR21~Rt31と同義である。R17は、R11と同義であり、R32は、R31と同義である。)
[6]前記一般式(3)中、XおよびXがいずれもC-R41である[5]に記載の化合物。
[7]前記一般式(4)中、XおよびXがいずれもC-R41である[5]に記載の化合物。
[8]発光素子用材料である[1]~[7]のいずれかに記載の化合物。
[9]陰極と陽極と、前記陰極と陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層を有し、前記少なくとも1層の有機層に[1]~[8]のいずれかに記載の化合物を含有する発光素子。
[10]前記少なくとも1層の有機層が、発光層である[9]に記載の発光素子。
[11]陰極と陽極と、前記陰極と陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層を有し、前記少なくとも1層の有機層が、発光層であり、前記発光層が第一の化合物と第二の化合物を有し、第一の化合物として[1]~[8]のいずれかに記載の化合物を含有する発光素子。
[12]前記第二の化合物が遅延蛍光を放出する化合物である[11]に記載の発光素子。
[13]前記発光層がさらに第三の化合物を含有し、第一の化合物の励起一重項エネルギーをS(1)、第二の化合物の励起一重項エネルギーをS(2)、第三の化合物の励起一重項エネルギーをS(3)とするとき、式1の関係が満たされる[11]または[12]に記載の発光素子。
(3)>S(2)>S(1) (式1)
[14]さらに電荷発生層を有する[10]~[13]のいずれかに記載の発光素子。
[15]前記電荷発生層が、下記一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体を含有する[14]に記載の発光素子。
Figure 2023011526000052
(一般式(5)において、Arは、p価の芳香族炭化水素基、およびp価の芳香族複素環基からなる群より選ばれる。pは1~3の自然数である。R101~R108は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Arのうち、p個のフェナントロリル基による置換位置は任意の位置である。)
[16]前記電荷発生層が、下記一般式(6)で表されるフェナントロリン誘導体を含有する[14]に記載の発光素子。
Figure 2023011526000053
(一般式(6)において、Y~Yのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である;Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である;ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である;Aはフェニル基またはピリジル基であり、nは0または1である。)
[17]トップエミッション型有機電界発光素子である[9]~[16]のいずれかに記載の発光素子。
[18]入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物であって、[1]~[8]のいずれかに記載の化合物およびバインダー樹脂を含有する、色変換組成物。
[19][18]に記載の色変換組成物またはその硬化物を含む、色変換シート。
[20]光源および請求項19に記載の色変換シートを含む、光源ユニット。
[21][9]~[17]のいずれかに記載の発光素子を含む、表示装置。
[22][20]に記載の光源ユニットを含む、表示装置。
[23][9]~[17]のいずれかに記載の発光素子を含む、照明装置。
[24][20]に記載の光源ユニットを含む、照明装置。

Claims (24)

  1. 下記一般式(1)または(2)で表される構造を有する化合物。
    Figure 2023011526000054
    (上記一般式(1)~(2)中、R~R11およびR21~R31は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基またはR~R11もしくはR21~R31のうち隣接する基との間に形成される飽和もしくは不飽和の環である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。ただし、上記一般式(1)中、R、Rおよび/またはRは、ハメット則における置換基定数σp値が正の基であり、上記一般式(2)中、R23、R26および/またはR28は、ハメット則における置換基定数σp値が正の基である。
    12およびR32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、イミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。R12は、単結合または連結基を介して、RまたはRと結合してもよく、R32は、単結合または連結基を介して、R24またはR25と結合してもよい。その場合の連結基は、単結合、-O-、-S-、>CR1314または>SiR1516である。R13~R16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、R13とR14またはR15とR16は、さらに単結合または連結基を介して結合していてもよい。
    およびXは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11およびR21~R31と同義である。
  2. 前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、フッ素置換されたアルキル基、フッ素置換されたシクロアルキル基、フッ素置換されたアリール基、フッ素置換されたヘテロアリール基、シアノ基で置換されたアリール基、シアノ基で置換されたヘテロアリール基または電子受容性窒素含有ヘテロアリール基である請求項1に記載の化合物。
  3. 前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、電子受容性窒素含有ヘテロアリール基である請求項1に記載の化合物。
  4. 前記ハメット則における置換基定数σp値が正の基が、下記構造式(a-1)~(a-4)のいずれかで表される基である請求項1に記載の化合物。
    Figure 2023011526000055
    (構造式(a-1)~(a-4)中、*は結合位置を表す。)
  5. 下記一般式(3)または(4)で表される構造を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 2023011526000056
    (上記一般式(3)~(4)中、R~R11、R21~R31、XおよびXは、一般式(1)~(2)記載の通りである。XおよびXは、C-R41または窒素原子であり、R41は、R~R11およびR21~Rt31と同義である。R17は、R11と同義であり、R32は、R31と同義である。)
  6. 前記一般式(3)中、XおよびXがいずれもC-R41である請求項5に記載の化合物。
  7. 前記一般式(4)中、XおよびXがいずれもC-R41である請求項5に記載の化合物。
  8. 発光素子用材料である請求項1に記載の化合物。
  9. 陰極と陽極と、前記陰極と陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層を有し、前記少なくとも1層の有機層に請求項1に記載の化合物を含有する発光素子。
  10. 前記少なくとも1層の有機層が、発光層である請求項9に記載の発光素子。
  11. 陰極と陽極と、前記陰極と陽極との間に配置された少なくとも1層の有機層を有し、前記少なくとも1層の有機層が、発光層であり、前記発光層が第一の化合物と第二の化合物を有し、第一の化合物として請求項1に記載の化合物を含有する発光素子。
  12. 前記第二の化合物が遅延蛍光を放出する化合物である請求項11に記載の発光素子。
  13. 前記発光層がさらに第三の化合物を含有し、第一の化合物の励起一重項エネルギーをS(1)、第二の化合物の励起一重項エネルギーをS(2)、第三の化合物の励起一重項エネルギーをS(3)とするとき、式1の関係が満たされる請求項12に記載の発光素子。
    (3)>S(2)>S(1) (式1)
  14. さらに電荷発生層を有する請求項13に記載の発光素子。
  15. 前記電荷発生層が、下記一般式(5)で表されるフェナントロリン誘導体を含有する請求項14に記載の発光素子。
    Figure 2023011526000057
    (一般式(5)において、Arは、p価の芳香族炭化水素基、およびp価の芳香族複素環基からなる群より選ばれる。pは1~3の自然数である。R101~R108は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。Arのうち、p個のフェナントロリル基による置換位置は任意の位置である。)
  16. 前記電荷発生層が、下記一般式(6)で表されるフェナントロリン誘導体を含有する請求項14に記載の発光素子。
    Figure 2023011526000058
    (一般式(6)において、Y~Yのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である;Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である;ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である;Aはフェニル基またはピリジル基であり、nは0または1である。)
  17. トップエミッション型有機電界発光素子である請求項9~16のいずれかに記載の発光素子。
  18. 入射光を、その入射光とは異なる波長の光に変換する色変換組成物であって、請求項1~8のいずれかに記載の化合物およびバインダー樹脂を含有する、色変換組成物。
  19. 請求項18に記載の色変換組成物またはその硬化物を含む、色変換シート。
  20. 光源および請求項19に記載の色変換シートを含む、光源ユニット。
  21. 請求項9~16のいずれかに記載の発光素子を含む、表示装置。
  22. 請求項20に記載の光源ユニットを含む、表示装置。
  23. 請求項9~16のいずれかに記載の発光素子を含む、照明装置。
  24. 請求項20に記載の光源ユニットを含む、照明装置。
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