JP2023008800A - 封着材料層付きガラス基板及び気密パッケージの製造方法 - Google Patents

封着材料層付きガラス基板及び気密パッケージの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い気密性を維持し得るガラス基板及び気密パッケージの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス基板に封着材料層が形成された封着材料層付きガラス基板において、ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、封着材料層付きガラス基板及び気密パッケージの製造方法に関する。
紫外LEDなどの電子素子を備えた気密パッケージは、長寿命や省エネルギーなどの理由から、照明や通信などの種々の分野で利用されるに至っている。
この種の気密パッケージでは、電子素子を保護するために、電子素子が搭載されたパッケージ基体に、電子素子が内部に収容されるようにガラス基板(ガラス蓋)を被せる場合がある。
例えば、特許文献1には、電子素子が搭載されたパッケージ基体と、電子素子の周囲を取り囲む枠部と、枠部の一端開口を覆うガラス基板からなる蓋部とを備えた気密パッケージが開示されている。また、特許文献2には、パッケージ基体に電子素子を収納するための凹部を設けて、その凹部を覆うガラス基板からなる蓋部を備えた気密パッケージも開示されている。
国際公開第2015/190242号 特開2016-027610号公報
ところで、石英は、紫外域の波長の光を吸収し難い特性を有する。このため、気密パッケージが紫外線LEDパッケージの場合などには、紫外線透過性を高める観点から、蓋部に石英基板を用いる場合がある。
しかし、石英基板を一般的な金属ロウ材(例えば、金スズ半田)を用いて、枠部やパッケージ基体に接合しようとすると、各材料間における熱膨張係数の整合が問題となる。つまり、石英基板の熱膨張係数(約0.6ppm)は、一般的な金属ロウ材の熱膨張係数(約12.0ppm)に比べて非常に低く、材料間の熱膨張係数差が大きい。この結果、接合部又はその近傍に残留応力が発生して石英基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。このように石英基板が破損すると、気密パッケージの収容空間の気密性を維持できなくなる。
本発明は、高い気密性を維持し得るガラス基板及び気密パッケージの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、紫外線透過率が高いガラス基板に封着材料層を形成し、且つガラス基板と封着材料層の熱膨張係数差を小さくすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス基板に封着材料層が形成された封着材料層付きガラス基板において、ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下であることを特徴とする。なお、「厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率」は、ガラス基板の厚みが0.2mm以外の場合、厚み0.2mm換算して平均透過率を算出することを意味する。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス基板の封着材料層が形成された側の表面において、封着材料層が形成された面積の割合が1~50%であることが好ましい。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層が複数の封着パターンを有し、封着パターンが閉ループ形状であることが好ましい。このようにすれば、封着パターン毎に気密パッケージを形成できることから、一連のレーザー封着により、1枚の封着材料層付きガラス基板を用いて気密パッケージ群(複数の気密パッケージの集合体)を作製することができる。そして、この気密パッケージ群を分割、切断すれば、多数の気密パッケージを簡便に作製することが可能になる。なお、「閉ループ形状」とは、曲線のみによって構成される形状のみならず、曲線と直線との組み合わせにより構成される形状、直線のみによって構成される形状(例えば四角形状その他の多角形状)を含む。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層が少なくともビスマス系ガラス粉末とセラミック粉末を含む複合粉末の焼結体であり、封着材料層中のビスマス系ガラスの含有量が65~95体積%、セラミックの含有量が5~35体積%であることが好ましい。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層が実質的にレーザー吸収剤を含有しないことが好ましい。ここで、「封着材料層が実質的にレーザー吸収剤を含有しない」とは、封着材料層中のレーザー吸収材の含有量が1体積%未満である場合を指す。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層の平均厚みが15μm以下であり、封着材料層の平均厚みをガラス基板の厚みで除した値が0.005~0.5であることが好ましい。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層の平均幅が1000μm以下であり、封着材料層の平均厚みを封着材料層の平均幅で除した値が0.005~0.1であることが好ましい。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス基板が矩形、円形、又はオリエンテーションフラット付きの円形の何れかの形状であることが好ましい。
ガラス基板の何れかの表面に反射防止膜が形成されていることが好ましい。このようにすれば、反射損失が低減されて、LEDデバイスの光取り出し効率が向上する。
また、本発明の封着材料層付きガラス基板は、レーザー光による封着に用いられることが好ましい。このようにすれば、封着時に電子素子の熱劣化を防止し易くなる。
本発明の気密パッケージの製造方法は、パッケージ基体を用意する工程と、複数の封着パターンを有する封着材料層付きガラス基板を用意する工程と、封着材料層を介して、パッケージ基体と封着材料層付きガラス基板とを積層配置する工程と、ガラス基板側からレーザー光を照射し、封着材料層を軟化変形させることにより、ガラス基板とパッケージ基体を気密封着して、気密パッケージ群を得る工程と、気密パッケージ群を分割して、複数の気密パッケージを得る工程と、を備え、封着材料層付きガラス基板が、上記の封着材料層付きガラス基板であることを特徴とする。
本発明の気密パッケージは、ガラス基板とパッケージ基体とが、封着材料層により気密一体化された気密パッケージにおいて、ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高い気密性を維持し得る封着材料層付きガラス基板及び気密パッケージの製造方法を提供することができる。
本発明の気密パッケージの一例を示す断面概略図である。 実施例2における封着材料層付きガラス基板を示す写真である。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率は85%以上、好ましくは86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、特に92%以上である。ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が低過ぎると、紫外光が透過し難くなり、紫外LEDパッケージ等の気密パッケージに適用し難くなる。
ガラス基板の厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率は、好ましくは89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、特に95%以上である。ガラス基板の厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率が低過ぎると、可視光が透過し難くなり、LEDパッケージ等の気密パッケージに適用し難くなる。
封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差は5ppm/℃以下であり、好ましくは4ppm/℃以下、3.5ppm/℃以下、3.2ppm/℃以下、特に3ppm/℃以下である。封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が大き過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、ガラス基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。そして、ガラス基板が破損すると、気密パッケージの収容空間の気密性が低下する虞がある。
ガラス基板の30~300℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは11ppm/℃以下、10ppm/℃以下、9ppm/℃以下、8ppm/℃以下、7ppm/℃以下、6ppm/℃以下、特に3ppm/℃~5ppm/℃である。特に、パッケージ基体がシリコンである場合、ガラス基板の30~300℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは10ppm/℃以下、9ppm/℃以下、8ppm/℃以下、7ppm/℃以下、6ppm/℃以下、特に3ppm/℃~5ppm/℃である。ガラス基板の熱膨張係数が低過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、ガラス基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。そして、ガラス基板が破損すると、気密パッケージの収容空間の気密性が低下する虞がある。
ガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~80%、Al+B(AlとBの合量) 1~45%、LiO+NaO+KO(LiO、NaO及びKOの合量) 0~25%、MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 0~25%であることが好ましい。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を表す。
SiOは、ガラスの骨格を形成する主成分である。SiOの含有量は、好ましくは50~80%、55~75%、58~70%、特に60~68%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなることに加えて、クリストバライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
AlとBは、耐失透性を高める成分である。Al+Bの含有量は、好ましくは1~40%、5~35%、10~30%、特に15~25%である。Al+Bの含有量が少な過ぎると、ガラスが失透し易くなる。一方、Al+Bの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、逆にガラスが失透し易くなる。
Alは、ヤング率を高める成分であると共に、分相、失透を抑制する成分である。Alの含有量は、好ましくは0~20%、1~20%、3~18%、特に5~16%である。Alの含有量が少な過ぎると、ヤング率が低下し易くなり、またガラスが分相、失透し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなる。
は、溶融性、耐失透性を高める成分であり、また傷の付き易さを改善して、強度を高める成分である。Bの含有量は、好ましくは0~25%、1~25%、2~25%、3~25%、5~22%、7~19%、特に9~16%である。Bの含有量が少な過ぎると、溶融性、耐失透性が低下し易くなり、またフッ酸系の薬液に対する耐性が低下し易くなる。一方、Bの含有量が多過ぎると、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。LiO+NaO+KOの含有量は、好ましくは0~25%、1~20%、4~15%、特に7~13%である。LiO+NaO+KOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。一方、LiO+NaO+KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
LiOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。LiOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、特に0~0.1%である。LiOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなる虞がある。一方、LiOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相し易くなる。
NaOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。NaOの含有量は、好ましくは0~25%、1~20%、3~18%、5~15%、特に7~13%である。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなる虞がある。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
Oは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。KOの含有量は、好ましくは0~15%、0.1~10%、1~10%、特に3~5%である。KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0~25%、0~15%、0.1~12%、1~5%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。
MgOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量は、好ましくは0~10%、0~8%、0~5%、特に0~1%である。MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CaOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。またアルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量は、好ましくは0~15%、0.1~12%、0.5~10%、特に1~5%である。CaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。なお、CaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。
SrOは、耐失透性を高める成分である。SrOの含有量は、好ましくは0~7%、0~5%、0~3%、特に0~1%未満である。SrOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、かえってガラスが失透し易くなる。
BaOは、耐失透性を高める成分である。BaOの含有量は、好ましくは0~10%、0~7%、0~5%、0~3%、0~1%未満である。BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、かえってガラスが失透し易くなる。
上記成分以外にも、任意成分として、他の成分を導入してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で10%以下、5%以下、特に3%以下が好ましい。
ZnOは、溶融性を高める成分であるが、ガラス組成中に多量に含有させると、ガラスが失透し易くなる。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、0~1%未満、特に0~0.1%である。
ZrOは、耐酸性を高める成分であるが、ガラス組成中に多量に含有させると、ガラスが失透し易くなる。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%、0~0.5%、特に0.001~0.2%である。
FeとTiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Fe+TiO(FeとTiOの合量)の含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、0.1~60ppm、0.3~40ppm、0.5~30ppm、0.8~20ppm、1~10ppm、特に2~5ppmである。Fe+TiOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。なお、Fe+TiOの含有量が少な過ぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
Feは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Feの含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、0.05~60ppm、0.1~40ppm、0.5~20ppm、1~10ppm、特に2~8ppmである。Feの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。なお、Feの含有量が少な過ぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。Fe2+の割合が少な過ぎると、深紫外線での透過率が低下し易くなる。よって、酸化鉄中のFe2+/(Fe2++Fe3+)の質量割合は、好ましくは0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、特に0.5以上である。
TiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。TiOの含有量は、好ましくは100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、40ppm以下、0.05~20ppm、0.1~10ppm、特に0.5~5ppmである。TiOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。なお、TiOの含有量が少な過ぎると、高純度のガラス原料を使用しなければならず、バッチコストの高騰を招く。
Sbは、清澄剤として作用する成分である。Sbの含有量は、好ましくは1000ppm以下、800ppm以下、600ppm以下、400ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、特に50ppm未満である。Sbの含有量が多過ぎると、深紫外域での透過率が低下し易くなる。
SnOは、清澄剤として作用する成分である。SnOの含有量は、好ましくは2000ppm以下、1700ppm以下、1400ppm以下、1100ppm以下、800ppm以下、500ppm以下、200ppm以下、特に100ppm以下である。SnOの含有量が多過ぎると、深紫外域での透過率が低下し易くなる。
、Cl及びSOは、清澄剤として作用する成分である。F+Cl+SOの含有量は10~10000ppmであることが好ましい。F+Cl+SOの好適な下限範囲は10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、300ppm以上、特に500ppm以上であり、好適な上限範囲は3000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、特に800ppm以下である。また、F、Cl、SOの各々の好適な下限範囲は10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、300ppm以上、特に500ppm以上であり、好適な上限範囲は3000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、特に800ppm以下である。これらの成分の含有量が少な過ぎると、清澄効果を発揮し難くなる。一方、これらの成分の含有量が多過ぎると、清澄ガスがガラス中に泡として残存する虞がある。
ガラス基板のサイズは600mm以上、5000mm以上、特に15000mm以上が好ましい。サイズが大きい程、一枚のガラス基板から多数の気密パッケージを採取し得るため、気密パッケージの製造コストを低廉化し易くなる。
ガラス基板の板厚は2.0mm以下、1.5mm以下、1.0mm以下、特に0.1~0.5mmが好ましい。板厚が大き過ぎると、ガラス基板の質量が大きくなり、ガラス基板を扱い難くなると共に、深紫外域での透過率が低下し易くなる。一方、板厚が小さ過ぎると、搬送ラインでガラス基板が剛性を維持し難くなり、ガラス基板の変形、反り、破損が発生し易くなる。
ガラス基板の表面の表面粗さRaは10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、特に1nm以下が好ましい。表面の表面粗さRaが大き過ぎると、深紫外線での透過率が減少する傾向がある。ここで、「Ra」は、JIS B0601-1994で定義された算術平均粗さ(arithmetical mean roughness)である。
ガラス基板は、矩形、円形、又はオリエンテーションフラット付きの円形の何れかの形状であることが好ましい。このような形状であれば、ガラス基板の表面に複数の封着パターンを形成し易くなる、特に円形またはオリエンテーションフラット付きの円形であれば、半導体製造装置を利用して、レーザー封着を行うことができるため好ましい。
ガラス基板の表面に機能膜を形成してもよく、特に機能膜として反射防止膜が好ましい。これにより、ガラス基板の表面で反射する光を低減することができる。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層は、封着材料を焼結させたものである。封着材料は、一般的に、ガラス粉末とセラミック粉末を含む複合粉末である。ガラス粉末として、種々のガラス粉末を用いることができる。例えば、Bi系ガラス、V系ガラス、SnO系ガラスが低融点特性の点で好適であり、Bi系ガラスが熱的安定性、耐水性の点で特に好ましい。ここで、「~系ガラス」とは、明示の成分を必須成分として含有し、且つ明示の成分の合量が25モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは35モル%以上のガラスを指す。なお、ガラス粉末は、環境的観点から、ガラス組成中に実質的にPbOを含まないこと(0.1モル%未満)が好ましい。
Bi系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi 28~60%、B 15~37%、ZnO 1~30%含有することが好ましい。各成分の含有範囲を上記のように限定した理由を以下に説明する。なお、ガラス組成範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
Biは、軟化点を低下させるための主要成分であり、その含有量は28~60%、33~55%、特に35~45%が好ましい。Biの含有量が少な過ぎると、軟化点が高くなり過ぎて、流動性が低下し易くなる。一方、Biの含有量が多過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、この失透に起因して、流動性が低下し易くなる。
は、ガラス形成成分として必須の成分であり、その含有量は15~37%、20~33%、特に25~30%が好ましい。Bの含有量が少な過ぎると、ガラスネットワークが形成され難くなるため、焼成時にガラスが失透し易くなる。一方、Bの含有量が多過ぎると、ガラスの粘性が高くなり、流動性が低下し易くなる。
ZnOは、耐失透性を高める成分であり、その含有量は1~30%、3~25%、5~22%、特に9~20%が好ましい。その含有量が1%より少なく、或いは30%より多いと、ガラス組成の成分バランスが崩れて、耐失透性が低下し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
SiOは、耐水性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる作用を有する。このため、SiOの含有量は0~5%、0~3%、0~2%、特に0~1%が好ましい。また、SiOの含有量が多過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなる。
Alは、耐水性を高める成分であり、その含有量は0~10%、0~5%、特に0.1~2%が好ましい。Alの含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
LiO、NaO及びKOは、耐失透性を低下させる成分である。よって、LiO、NaO及びKOの含有量は、それぞれ0~5%、0~3%、特に0~1%未満である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、耐失透性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる成分である。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は、それぞれ0~20%、0~10%、特に0~5%である。
Bi系ガラスの軟化点を下げるためには、ガラス組成中にBiを多量に導入する必要があるが、Biの含有量を増加させると、焼成時にガラスが失透し易くなり、この失透に起因して流動性が低下し易くなる。特に、Biの含有量が30%以上になると、その傾向が顕著になる。この対策として、CuO、MnOを添加すれば、Biの含有量が30%以上であっても、ガラスの失透を効果的に抑制することができる。更にCuOを添加すれば、レーザー封着時のレーザー吸収特性を高めることができる。CuO、MnOの個別含有量は0~40%、5~35%、10~30%、特に15~25%が好ましい。CuO、MnOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
Feは、耐失透性とレーザー吸収特性を高める成分であり、その含有量は0~10%、0.1~5%、特に0.5~3%が好ましい。Feの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
Sbは、耐失透性を高める成分であり、その含有量は0~5%、特に0~2%が好ましい。Sbの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが崩れて、逆に耐失透性が低下し易くなる。
ガラス粉末の平均粒子径D50は15μm未満、0.5~10μm、特に1~5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒子径D50が小さい程、ガラス粉末の軟化点が低下する。
封着材料中のセラミック粉末の含有量は、好ましくは5~35体積%、10~33体積%、15~30体積%、特に20~30体積%である。封着材料中のガラス粉末の含有量は、好ましくは65~95体積%、67~90体積%、70~85体積%、特に70~80体積%である。セラミック粉末の含有量が多過ぎると、ガラス粉末の含有量が相対的に少なくなり、所望の流動性及び熱的安定性を確保し難くなる。なお、セラミック粉末の含有量が少な過ぎると、セラミック粉末の添加効果が乏しくなる。
セラミック粉末として、β-ユークリプタイト、コーディエライト、ジルコン、アルミナ、ムライト、ウイレマイト、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム等から選ばれる一種又は二種以上が好ましく、特に熱膨張係数を低下させる効果が高いβ-ユークリプタイトが特に好ましい。
封着材料には、ガラス粉末とセラミック粉末以外にも、他の粉末材料を導入してもよい。また、ガラスビーズ、スペーサー等を導入してもよい。ここで、ガラスビーズやスペーサーは、封着後も形状が維持できるよう耐熱性の高い組成、材料からなるものである。また、レーザー吸収特性を高めるために、Mn-Fe-Al系酸化物、カーボン、Mn-Fe-Cr系酸化物等のレーザー吸収剤を1~15体積%含んでいてもよいが、封着材料の熱的安定性を考慮すれば、レーザー吸収剤を実質的に含まないことが好ましい。
封着材料は、粉末状態で使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペースト化すると取り扱い易くなり、好ましい。ビークルは、通常、溶媒と樹脂を含む。樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて、ガラス基板の表面に塗布される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
溶媒としては、N、N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、α-ターピネオール、高級アルコール、γ-ブチルラクトン(γ-BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3-メトキシ-3-メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン等が使用可能である。特に、α-ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
封着材料層の30~300℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは50ppm/℃~90ppm/℃、55ppm/℃~80ppm/℃、特に60ppm/℃~75ppm/℃である。特に、パッケージ基体がシリコンである場合、封着材料層の30~300℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは60ppm/℃~80ppm/℃、65ppm/℃~75ppm/℃、特に68ppm/℃~73ppm/℃である。封着材料層の熱膨張係数が高過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、ガラス基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。そして、ガラス基板が破損すると、気密パッケージの収容空間の気密性が低下する虞がある。一方、封着材料層の熱膨張係数が低過ぎる場合、耐火性フィラーの割合が多くなるため、封着材料の軟化流動性が低下して、気密パッケージに気密不良等が発生し易くなる。
パッケージ基体の30~300℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは10ppm/℃以上、20ppm/℃以上、特に30ppm/℃~60ppm/℃である。パッケージ基体の熱膨張係数が低過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、気密パッケージに気密不良が発生し易くなる。
封着材料層の平均厚みが15μm以下である場合、ガラス基板とパッケージ基体の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差は、好ましくは6.5ppm/℃以下、4.5ppm/℃以下、3.5ppm/℃以下、2.0ppm/℃以下、特に1.0ppm/℃以下である。封着材料層の平均厚みが15μm以下である場合に、ガラス基板とパッケージ基体の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が大き過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、ガラス基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。そして、ガラス基板が破損すると、気密パッケージの収容空間の気密性が低下する虞がある。
封着材料層とパッケージ基体の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差は、好ましくは5.5ppm/℃以下、4.0ppm/℃以下、特に3.5ppm/℃以下である。封着材料層とパッケージ基体の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が大き過ぎると、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生して、気密パッケージの気密不良が発生し易くなる。
パッケージ基体は、電子素子を収容し得る凹部を有することが好ましい。このようにすれば、パッケージ基体の凹部内にセンサー素子等の電子素子を収容し易くなる。パッケージ基体の凹部は、パッケージ基体の外側端縁領域に沿って、額縁状に形成されていることが好ましい。このようにすれば、デバイスとして機能する有効面積を拡大することができる。また電子素子をパッケージ基体内の空間に収容し易くなり、且つ配線接合等も行い易くなる。
パッケージ基体は、シリコン等の金属、ガラスセラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの何れか、或いはこれらの複合材料(例えば、窒化アルミニウムとガラスセラミックを一体化したもの)であることが好ましい。特にシリコンは、放熱性が良好であり、且つエッチング等で凹部が形成し易いため好ましい。
封着材料層の平均厚みは、好ましくは15μm以下、8.0μm未満、特に1.0μm以上、且つ7.0μm未満である。封着材料層の平均厚みを封着材料層の平均幅で除した値は、好ましくは0.005~0.1、特に0.01~0.05である。封着材料層の平均厚みをガラス基板の厚みで除した値は、好ましくは0.005~0.5、特に0.01~0.1である。封着材料層の平均厚み、封着材料層の平均厚みを封着材料層の平均幅で除した値、封着材料層の平均厚みをガラス基板の厚みで除した値が上記範囲外になると、レーザー封着の精度が低下し易くなる。一方、これらの値が上記範囲内になると、封着材料層とガラス基板の熱膨張係数が不整合である時に、レーザー封着後に封着部分に残留する応力を低減することができる。なお、上記のように封着材料層の平均厚みを規制する方法としては、封着材料ペーストを薄く塗布する方法、封着材料層の表面を研磨処理する方法が挙げられる。
封着材料層の平均幅は、好ましくは1μm以上、且つ1000μm以下、特に100μm以上、且つ800μm以下である。封着材料層の平均幅を狭くすると、レーザー封着後に封着部分に残留する応力を低減し易くなる。一方、封着材料層の最大幅が狭過ぎると、封着材料層に大きなせん断応力がかかった時に、封着材料層がバルク破壊し易くなる。更にレーザー封着の精度が低下し易くなる。
ガラス基板の封着材料層が形成された側の表面において、封着材料層が形成された面積の割合は、好ましくは1~50%、10~48%、20~45%、23~43%、特に25~40%である。封着材料層が形成された表面の面積割合を大きいと、封着後に、接合部又はその近傍に残留応力が発生してガラス基板に破損(例えばクラックなどの割れ)が生じ易くなる。一方、封着材料層が形成された面積の割合を大きい場合、封着パターンを数多く形成すること、つまり1枚の基板から多数の気密パッケージを作製することが可能になる。本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層とガラス基板の熱膨張係数差を厳密に規定していることから、封着材料層が形成された面積の割合を多くしても、封着後に、接合部又はその近傍に発生する残留応力を低減することができる。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層が複数の封着パターンを有し、封着パターンが閉ループ形状であることが好ましい。これにより、気密パッケージ群を得ることができ、この気密パッケージ群を分割すれば、封着パターンの数に応じた気密パッケージを効率よく作製することができる。封着パターンの数は、好ましくは50~5000個、80~3000個、特に200~2500個である。
本発明の気密パッケージの製造方法は、パッケージ基体を用意する工程と、複数の封着パターンを有する封着材料層付きガラス基板を用意する工程と、封着材料層を介して、基体と封着材料層付きガラス基板とを積層配置する工程と、ガラス基板側からレーザー光を照射し、封着材料層を軟化変形させることにより、ガラス基板とパッケージ基体を気密封着して、気密パッケージ群を得る工程と、気密パッケージ群を分割して、複数の気密パッケージを得る工程と、を備え、封着材料層付きガラス基板が、上記の封着材料層付きガラス基板であることを特徴とする。
パッケージ基体とガラス基板を積層配置する工程を設ける工程では、ガラス基板をパッケージ基体の下方に配置してもよいが、レーザー封着の効率の観点から、ガラス基板をパッケージ基体の上方に配置することが好ましい。
ガラス基板側から照射するレーザーとして、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、赤外レーザーは、取扱いが容易な点で好ましい。
レーザー封着時におけるレーザー光のビーム形状は、特に限定されない。ビーム形状としては、円形、楕円形、矩形が一般的であるが、その他の形状でもよい。また、レーザー封着時におけるレーザー光のビーム径は100~1000mmが好ましい。
レーザー封着を行う雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気でもよく、窒素雰囲気等の不活性雰囲気でもよい。
レーザー封着を行う前に、(100℃以上、且つ電気素子の耐熱温度以下の温度)でパッケージ基体を予備加熱することが好ましい。これにより、レーザー封着時にパッケージ基体側への熱伝導を阻害し得るため、レーザー封着を効率良く行うことができる。
ガラス基板を押圧した状態でレーザー封着を行うことが好ましい。これにより、レーザー封着時に封着材料層の軟化変形を促進することができる。
パッケージ基体とガラス基板を積層配置する前に、更にパッケージ基体の凹部内に電気素子を収容する工程を備えることが好ましい。
本発明の気密パッケージは、ガラス基板とパッケージ基体とが、封着材料層により気密一体化された気密パッケージにおいて、ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下であることを特徴とする。本発明の気密パッケージの技術的特徴は、上記に既に記載されているため、ここでは詳細な記載を省略する。
以下、図面を参照しながら、本発明の形態を説明する。図1は、本発明の気密パッケージの一例を示す断面概略図である。気密パッケージ1は、ガラス基板10とパッケージ基体11を備えている。パッケージ基体11は基部12を有し、更に基部12の外周縁部上に枠部を有し、これらにより凹部13が形成されている。また、パッケージ基体11の凹部13内に電気素子14が収容されている。なお、パッケージ基体11内には、電気素子14と外部を電気的に接続する電気配線(図示されていない)が形成されている。
ガラス基板10の表面には、額縁状の封着材料層15が形成されている。封着材料層15の幅は、パッケージ基体11の枠部の頂部16の幅よりも小さくなっている。
ガラス基板10とパッケージ基体11は、ガラス基板10の封着材料層15と、パッケージ基体11の枠部の頂部16の幅方向の中心線とが一致するように積層配置されている。その後、レーザー照射装置17から出射したレーザー光Lが、ガラス基板10側から封着材料層15に沿って照射される。これにより、封着材料層15が軟化流動した後、ガラス基板10とパッケージ基体11が気密封着されて、気密パッケージ1の気密構造が形成される。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
(試料No.1)
先ず、シリコン基板(30~300℃における熱膨張係数3.8ppm/℃、□4mm)を準備した。
次に、アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス基板(30~300℃における熱膨張係数4.2ppm/℃、□4mm、0.2mm厚)を用意した。このガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70%、Al 5.9%、B 18%、LiO 1%、NaO 2%、KO 3%、Cl 0.1%、TiO 0.0001%、Fe 0.0001%を含有し、厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が91%であり、厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率が92%である。
また、ビスマス系ガラス粉末を73体積%、セラミック粉末を27体積%の割合で混合して、封着材料を作製した。ここで、ビスマス系ガラス粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.8μmとし、セラミック粉末の平均粒径D50を1.0μm、99%粒径D99を2.8μmとした。なお、ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi 36.5%、B 28.5%、ZnO 9.5%、Al 1.5%、MnO 9.5%、CuO 13.6%、Fe 0.9%を含有している。またセラミック粉末はβ-ユークリプタイトである。
得られた封着材料の熱膨張係数を測定したところ、その熱膨張係数は、7.1ppm/℃であった。なお、熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定したものであり、その測定温度範囲は30~300℃である。
次に、ガラス基板上に上記封着材料を塗布、乾燥、脱バインダー、焼結を行い、閉ループ形状の封着材料層を形成した。詳述すると、まず粘度が90±20Pa・s(25℃、Shear rate:4)の範囲内になるように、上記の封着材料、ビークル及び溶剤を混練した後、更に三本ロールミルで粉末が均一分散するまで混錬して、ペースト化し、封着材料ペーストを得た。ビークルには、グリコールエーテル系溶剤にエチルセルロース有機樹脂を溶解させたものを使用した。次に、ガラス基板の外周縁部上にスクリーン印刷機により封着材料ペーストを額縁状に印刷した。更に、大気雰囲気下にて、110℃で10分間乾燥して乾燥膜を得た後、電気炉で350℃15分間⇒500℃10分間の加熱処理を行うことにより、乾燥膜を脱バインダー、焼結させて、平均幅約400μm、平均厚み約5μmを有する封着材料層を形成した。
最後に、封着材料層を焼結させたガラス基板と、シリコン基板を積層させて、ガラス基板側からレーザー光を照射し、封着材料層を軟化流動させ、ガラス基板とシリコン基板を気密一体化させることで気密パッケージを得た。なお、レーザー出力は10W、走査速度は15mm/秒、ビーム直径はφ500μmである。
(試料No.2)
試料No.1に係るガラス基板に代えて、アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス基板(30~300℃における熱膨張係数9.9ppm/℃、□4mm、0.2mm厚)を使用した以外は、試料No.1と同様にして気密パッケージを得た。このガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70.2%、Al 1.6%、B 2.3%、NaO 9.6%、KO 9.1%、BaO 7.0%、Cl 0.4%、SrO 0.1%、TiO 0.0001%、Fe 0.0001%を含有し、厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が89%であり、厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率が92%である。
(試料No.3)
試料No.1に係るガラス基板に代えて、石英基板(30~300℃における熱膨張係数0.6ppm/℃、□4mm、0.5mm厚)を使用した以外は、試料No.1と同様にして気密パッケージを得た。
(評価)
試料No.1~3で得られた気密パッケージについて、クラックの有無を観察すると共に、温度サイクル試験、高温高湿高圧試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2023008800000002
クラックの有無は、得られた気密パッケージについて、光学顕微鏡で封着材料層の近傍を観察して、評価したものである。
温度サイクル試験は、得られた気密パッケージについて、125℃⇔-55℃、1000サイクルの条件で温度サイクルを繰り返した後、封着材料層の近傍を観察して、評価したものであり、変質、クラック、剥離等が認められなかったものを「○」、認められたものを「×」として評価した。
高温高湿高圧試験:PCT(Pressure Cooker Test)は、得られた気密パッケージについて、121℃、湿度100%、2atm、24時間の条件で、高温高湿高圧環境下で保持した後、封着材料層の近傍を観察して、評価したものであり、変質、クラック、剥離等が認められなかったものを「○」、認められたものを「×」として評価した。
表1から分かるように、試料No.1及び試料No.2で得られた気密パッケージは、クラックの有無、温度サイクル試験、高温高湿高圧試験の評価が良好であった。一方、試料No.3で得られた気密パッケージは、クラックの有無、温度サイクル試験、高温高湿高圧試験の評価が不良であった。
アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス基板(30~300℃における熱膨張係数4.2ppm/℃、0.2mm厚、□44mm)を用意した。このガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70%、Al 5.9%、B 18%、LiO 1%、NaO 2%、KO 3%、Cl 0.1%、TiO 0.0001%、Fe 0.0001%を含有し、厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が91%であり、厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率が92%である。このガラス基板の一方の表面に、実施例1と同様の方法にて、□3.3mmの閉ループの封着パターン(封着材料層の平均厚み5μm、封着材料層の平均幅400μm)を100個形成し、封着材料層付きガラス基板を得た。図2は、この封着材料層付きガラス基板を示す写真である。
また、シリコン基板(30~300℃における熱膨張係数3.8ppm/℃)を準備した。ここで、ガラス基板の封着材料層が形成された側の表面において、封着材料層が形成された面積の割合は27%であった。
次に、封着材料層を介して、シリコン基板と封着材料層付きガラス基板とを積層配置した。その後、実施例1と同様の方法にて、ガラス基板側からレーザー光を照射し、封着材料層を軟化変形させることにより、ガラス基板とシリコン基板を気密封着して、気密パッケージ群を得た。最後に、封着パターンを分断しないように、気密パッケージ群をダイシングで分割し、100個の気密パッケージを得た。
実施例2に係るガラス基板に代えて、アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス基板(30~300℃における熱膨張係数9.9ppm/℃、□4mm、0.2mm厚)を使用した以外は、実施例2と同様にして封着材料層付きガラス基板及び気密パッケージを得た。このガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 70.2%、Al 1.6%、B 2.3%、NaO 9.6%、KO 9.1%、BaO 7.0%、Cl 0.4%、SrO 0.1%、TiO 0.0001%、Fe 0.0001%を含有し、厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が89%であり、厚み0.2mm、300nm以上1000nm未満における平均透過率が92%である。
本発明の気密パッケージは、センサーチップ、紫外LED等の電気素子が実装された気密パッケージに好適であるが、それ以外にも圧電振動素子や有機樹脂中に量子ドットを分散させた波長変換素子等を収容する気密パッケージ等にも好適に適用可能である。
1 気密パッケージ
10 ガラス基板
11 パッケージ基体
12 基部
13 凹部
14 電気素子

15 封着材料層
16 凹部の頂部
17 レーザー照射装置
L レーザー光

Claims (12)

  1. ガラス基板に封着材料層が形成された封着材料層付きガラス基板において、
    ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、
    封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下である、封着材料層付きガラス基板。
  2. ガラス基板の封着材料層が形成された側の表面において、封着材料層が形成された面積の割合が1~50%である、請求項1に記載の封着材料層付きガラス基板。
  3. 封着材料層が複数の封着パターンを有し、封着パターンが閉ループ形状である、請求項1又は2に記載の封着材料層付きガラス基板。
  4. 封着材料層が少なくともビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含む複合粉末の焼結体であり、
    封着材料層中のビスマス系ガラスの含有量が65~95体積%、耐火性フィラーの含有量が5~35体積%である、請求項1~3の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  5. 封着材料層が実質的にレーザー吸収剤を含有しない、請求項1~4の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  6. 封着材料層の平均厚みが15μm以下であり、封着材料層の平均厚みをガラス基板の厚みで除した値が0.005~0.5である、請求項1~5の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  7. 封着材料層の平均幅が1000μm以下であり、封着材料層の平均厚みを封着材料層の平均幅で除した値が0.005~0.1である、請求項1~6の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  8. ガラス基板が矩形、円形、又はオリエンテーションフラット付きの円形の何れかの形状である、請求項1~7の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  9. ガラス基板の何れかの表面に反射防止膜が形成されている、請求項1~8の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  10. レーザー光による封着に用いられる、請求項1~9の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板。
  11. パッケージ基体を用意する工程と、
    複数の封着パターンを有する封着材料層付きガラス基板を用意する工程と、
    封着材料層を介して、パッケージ基体と封着材料層付きガラス基板とを積層配置する工程と、
    ガラス基板側からレーザー光を照射し、封着材料層を軟化変形させることにより、ガラス基板とパッケージ基体を気密封着して、気密パッケージ群を得る工程と、
    気密パッケージ群を分割して、複数の気密パッケージを得る工程と、を備え、
    封着材料層付きガラス基板が、請求項1~11の何れかに記載の封着材料層付きガラス基板である、気密パッケージの製造方法。
  12. ガラス基板とパッケージ基体とが、封着材料層により気密一体化された気密パッケージにおいて、
    ガラス基板の厚み0.2mm、250nm以上300nm未満における平均透過率が85%以上であり、
    封着材料層とガラス基板の30~300℃の温度範囲おける熱膨張係数差が5ppm/℃以下であることを特徴とする気密パッケージ。
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