JP2023005106A - 熱輻射素子、熱輻射素子モジュール、及び熱輻射光源 - Google Patents

熱輻射素子、熱輻射素子モジュール、及び熱輻射光源 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の熱輻射素子と比較して、エネルギー効率を高めること。【解決手段】熱輻射素子(1)は、基板(14)と、基板(14)の一方の主面を覆う第1の導体層(導体層13)と、絶縁体層(12)と、第2の導体層(導体層11)と、がこの順番で積層されたプラズモニック完全吸収体(10)と、を備え、第1の導体層(導体層13)には、第1の導体層(13)の主面の面内方向に電流を流す電極(電極パッド132,133)が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、熱輻射素子に関する。また、本発明は、熱輻射素子を備えた熱輻射素子モジュール及び熱輻射光源にも関する。
近年、材料表面へ微細構造を形成することで、材料に依存しない光学特性を得る技術が広く研究されている。微細構造の1つにプラズモニック構造体があり、プラズモニック構造体の1つとして、プラズモニック完全吸収体が報告されている。プラズモニック完全吸収体は、プラズモニック構造体のうち特定の波長帯域で高い吸収率を有するものである。プラズモニック完全吸収体は、導体-絶縁体-導体が積層された共振器構造であり、MIM(metal-insulator-metal)構造とも呼ばれる。
キルヒホッフの法則によれば、不透明な媒体において放射率は吸収率に等しい。そのため、MIM構造を用いて、材料表面における放射率を制御できることも報告されている。放射率とは、実在面と黒体面との放射強度の比により表される。プランクの法則より、黒体面における熱放射が定められ、これに放射率を乗じたものが、実在面における熱放射である。なお、熱放射は、黒体やMIM構造などの物体の温度に応じて、物体の熱エネルギーが電磁波として放出される現象である。以下において、特に断りなく放射という場合、熱放射を意味する。
放射率制御に関する先行技術文献として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、MIM構造を用いた放射率の波長制御により、狭帯域な赤外線の熱放射を行う技術である。
また、特許文献2に記載されているように、MIM構造を用いた放射率制御の技術を適用した熱放射光源が知られている。特許文献2は、表層に酸化を抑制する層を用いることで、大気中で動作させた場合に生じ得るMIM構造の酸化を抑制する技術である。
ところで、特許文献1の図1の(b)及び特許文献2の図1に示されているように、MIM構造は、基板(特許文献1においては下地)上に積層されている。以下において、基板と、基板上に積層されたMIM構造とをまとめて熱輻射素子と称する。
このような熱輻射素子を用いて熱放射を利用するためには、MIM構造を所定の動作温度へ加熱することが必須である。動作温度が高いほど、熱放射の強度は高くなる上、短波長側の輻射を放射する。温度とは熱エネルギーの収支である。熱エネルギーの損失量に対して投入量が多くなるほど、温度が高くなる。同じ材料が同じエネルギーを保有する時、温度上昇量は体積によって異なる。物体の温度を1℃上げるのに必要な熱エネルギーは、熱容量C[J/℃]、比熱c[J/kg・℃]、密度ρ[kg/m]、及び体積V[m]として式(1)の通りに定義される。
C=c×ρ×V ・・・(1)
特開2018-136576号公報 特開2020-64820号公報
上述した特許文献2には、熱輻射光源においてMIM構造を加熱する方法として、基板に通電することにより基板を自己発熱させる方法と、外部加熱部(例えばヒーター)を用いて基板及びMIM構造を外部加熱する方法とが記載されている。これらのいずれの方法においても、MIM構造を加熱する場合の伝熱経路は、基板を経由する。このように、MIM構造からみた場合、基板が熱源として機能する。したがって、MIM構造の温度を上述した動作温度に到達させるためには、熱源である基板の温度を動作温度以上に保つ必要がある。
基板は、MIM構造と比較して、厚みが厚いので必然的に体積が大きくならざるを得ない。すなわち、基板の熱容量Cは、MIM構造の熱容量Cよりも大きくならざるを得ない。そのため、熱源である基板を用いてMIM構造の全体を加熱する従来の方法(例えば特許文献2に記載の方法)には、エネルギー効率を高める余地がある。
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、従来の熱輻射素子である特許文献2の熱輻射素子と比較して、エネルギー効率を高めることを目的とする。また、本発明の一態様は、従来よりもエネルギー効率が高い熱輻射素子を備えた熱輻射素子モジュール及び熱輻射光源を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る熱輻射素子は、一対の主面を有する絶縁体製の基板と、前記基板の一方の主面の少なくとも一部を覆う第1の導体層と、絶縁体層と、第2の導体層と、がこの順番で積層されたプラズモニック完全吸収体と、を備えている。本熱輻射素子においては、前記第1の導体層には、当該第1の導体層の主面の面内方向に電流を流す電極が設けられている、構成が採用されている。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る熱輻射素子モジュールは、本発明の一態様に係る熱輻射素子と、前記熱輻射素子を収容するキャビティ、及び、前記電極に電力を供給する電力端子が設けられた筐体と、を備えている。本熱輻射素子モジュールにおいては、前記キャビティの内部において、前記基板の少なくとも一部は、前記キャビティに対して接合部材を用いて固定されている、構成が採用されている。
また、上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る熱輻射光源は、本発明の一態様に係る熱輻射素子モジュールを備えている。
本発明の一態様によれば、従来の熱輻射素子である特許文献2の熱輻射素子と比較して、エネルギー効率を高めることができる。また、本発明の一態様によれば、従来よりもエネルギー効率が高い熱輻射素子を備えた熱輻射素子モジュール及び熱輻射光源を提供することができる。
上図は、本発明の一実施形態に係る熱輻射素子モジュールの平面図であり、下図は、同じ熱輻射素子モジュールの断面図である。 図1に示した熱輻射素子モジュールが備えている熱輻射素子の断面図である。 図2に示した熱輻射素子が備えているプラズモニック完全吸収体の一部を拡大した拡大斜視図である。 図2に示した熱輻射素子の第1の変形例の断面図である。 図2に示した熱輻射素子の第2の変形例の断面図である。
本発明の一実施形態に係る熱輻射素子モジュールMについて、図1~図3を参照して説明する。図1の上図は、熱輻射素子モジュールMの平面図であり、図1の下図は、熱輻射素子モジュールMの断面図である。熱輻射素子モジュールMの平面図は、筐体20に設けられたキャビティCの開口部APを、光学窓23の主面の法線方向から平面視した場合に得られたものである。熱輻射素子モジュールMの断面図は、光学窓23の主面の法線方向に沿い、且つ、熱輻射素子1を含む断面において得られたものである。図2は、熱輻射素子1の断面図であり、図1における熱輻射素子1の部分を拡大したものである。なお、図2においては、各構成要素の厚み方向を拡大して図示している。図3は、熱輻射素子1が備えているプラズモニック完全吸収体10の一部を拡大した拡大斜視図である。
〔熱輻射素子モジュールの構成〕
熱輻射素子モジュールMは、図1の上図及び下図に示すように、プラズモニック完全吸収体10と、基板14と、筐体20と、光学窓23と、接合部材24と、接合部材31と、金属線32と、電力端子41,42と、を備えている。
熱輻射素子モジュールMの構成のうち、基板14と、プラズモニック完全吸収体10とは、本発明の一態様である熱輻射素子1を構成する。
また、熱輻射素子モジュールMは、電力端子41,42を用いてプラズモニック完全吸収体10の一部を構成する導体層13に通電することによって、熱放射に起因する電磁波(具体的には、可視光、近赤外光、中赤外光、及び遠赤外光のうち少なくとも何れか)を放出する。このように、熱輻射素子モジュールMは、可視光、近赤外光、中赤外光、及び遠赤外光のうち少なくとも何れかの電磁波を出射する熱輻射光源として機能する。すなわち、熱輻射素子モジュールMを用いた熱輻射光源も本発明の範疇に含まれる。なお、熱輻射光源は、熱輻射素子モジュールMと、電力端子41,42を介して熱輻射素子モジュールMに電力を供給する電源モジュールと、を備えていてもよい。
熱輻射素子モジュールMは、電力端子41,42を用いて、導体層13の面内方向に電流を流すように構成されている。導体層13の面内方向に流れる電流は、ジュール熱を発生させる。したがって、熱輻射素子モジュールMにおいては、その熱エネルギーを用いて熱輻射素子1を所定の動作温度まで加熱することによって、上述した電磁波を放出する。熱輻射素子1の動作温度は、プラズモニック完全吸収体10における共晶反応が進まない温度範囲内において適宜定めることができる。プラズモニック完全吸収体10が放出する光は、動作温度を高めれば高めるほどその強度が高まる。本実施形態で説明する熱輻射素子1においては、動作温度として300℃以上1200℃以下を想定している。
<基板>
基板14は、一対の主面14a,14bを有する絶縁体製の板状部材である。図2に示した状態では、主面14aが上側に位置し、主面14bが下側に位置する。基板14の形状は、適宜定めることができるが、長方形状又は正方形状であることが好ましい。本実施形態においては、基板14の形状として正方形を採用している。
本実施形態においては、基板14を構成する材料として、ガラスの一例である石英ガラスを採用している。ただし、基板14を構成するガラスは、石英ガラスに限定されない。基板14を構成するガラスは、SiOを主成分とすることが好ましい。なお、本実施形態において、主成分とは、含有量が最も多い成分を意味する。
また、基板14を構成する材料は、酸化物製又は窒化物製のセラミックであってもよい。このようなセラミックの一例としては、酸化シリコン(SiO)を主成分とするセラミック、窒化シリコン(Si)製のセラミック、酸化ジルコン(ZrO)製のセラミック、及び、ケイ酸カルシウムとリチウムアルミノケイ酸塩との混合物からなるセラミックが挙げられる。ケイ酸カルシウムとリチウムアルミノケイ酸塩との混合物からなるセラミックは、アドセラム(登録商標)とも呼ばれる。
基板14を構成する材料は、上述した材料の中から融点や熱伝導率やコストなどに鑑みて適宜選択することができる。高い動作温度において生じ得る共晶反応を抑制するためには、融点が高いことが好ましい。また、後述するプラズモニック完全吸収体10の導体層13において生じたジュール熱を用いてプラズモニック完全吸収体10を加熱するときのエネルギー効率を高めるためには、基板14の熱伝導率は、後述する導体層13を構成する導体の導電率よりも低いことが好ましい。また、熱輻射素子1の製造コストを抑制するためには、基板14のコストが安いことが好ましい。
また、基板14の厚みt(図2参照)は、100μm以上10mm以下であることが好ましい。
以下では、説明の便宜上、基板14を短冊状の3つの領域であって、各々が平行な3つの領域に分割する。中央領域Rは、基板14の中央を含む主要な領域であって、3つの領域のなかで最も幅(図1及び図2における左右方向の長さ)が最も広い領域である。一対のエッジ領域Rは、中央領域Rを挟み込む2つの領域である。本実施形態において、中央領域R及び一対のエッジ領域Rの輪郭(平面視した場合の形状)は、何れも長方形である。ただし、中央領域R及び一対のエッジ領域Rの輪郭は、これに限定されず、適宜定めることができる。
<プラズモニック完全吸収体>
熱輻射素子1が備えているプラズモニック完全吸収体10は、図3に示すように、導体層11と、絶縁体層12と、導体層13とを備えている。導体層11は、第2の導体層の一例であり、導体層13は、第1の導体層の一例である。基板14の主面14a上には、導体層13、絶縁体層12、及び導体層11がこの順番で積層されている。
(第1の導体膜)
導体層13は、基板14の一方の主面(図2においては上側の主面)である主面14a上に、主面14aを覆うように形成された導体製の膜である。すなわち、導体層13は、中央領域R及び一対のエッジ領域Rの全てに亘って形成されている。
本実施形態においては、導体層13を構成する導体として窒化ハフニウム(HfN)を採用している。ただし、導体層13を構成する導体は、HfNに限定されるものではなく、金属的な導電特性を有する材料であればよい。使用時に高温になることが想定される基材の表面上にプラズモニック完全吸収体10を形成する場合、導体層13を構成する材料は、HfNのように融点が高い材料であることが好ましい。HfNの典型的な融点は、3330℃である。
なお、主面14aのうち導体層13を形成する領域は、主面14aの全部であってもよく、基材の表面の一部であってもよく、適宜定めることができる。本実施形態では、主面14aの全面に導体層13を形成している。
本実施形態においては、導体層13の厚みt13(図2参照)として100nmを採用している。ただし、厚みt13は、100nmに限定されるものではなく、例えば、10nm以上10μm以下の範囲内において適宜定めることができる。なお、厚みt13は、特許請求の範囲に記載の厚みtの一例である。
(絶縁体膜)
絶縁体層12は、導体層13の主面のうち基板14と逆側の主面(図2においては上側の主面)である主面13a上に、少なくとも主面13aの一部を覆うように形成された絶縁体製の膜である。本実施形態において、絶縁体層12は、図2に示すように、中央領域Rを覆うように、導体層13の上に積層されている。本実施形態において、中央領域Rの輪郭が長方形であるため、導体層13の輪郭も長方形である。
なお、本実施形態においては、中央領域Rの全領域を覆うように、厚みが均一なベタ膜である絶縁体層12が形成されている。ただし、絶縁体層12は、中央領域Rのうち複数の導体パターン111が形成される領域にのみ形成されていてもよい。すなわち、絶縁体層12は、導体層11と同様に、周期的に配置された複数の導体パターンであって、各々が円形状又は正多角形状である複数の絶縁体パターンにより構成されていてもよい。
本実施形態においては、絶縁体層12を構成する材料としてSiOを採用している。ただし、絶縁体層12を構成する材料は、絶縁体であればよく、SiOに限定されるものではない。このような材料の例としては、絶縁性の酸化物が挙げられる。なお、使用時に高温になることが想定される基板14の主面14a上にプラズモニック完全吸収体10を形成する場合、絶縁体層12を構成する材料は、SiO、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、及び、SiOとAlとの混合物の何れかであることが好ましい。
本実施形態においては、絶縁体層12の厚みt12(図2参照)として180nmを採用している。ただし、厚みt12は、180nmに限定されるものではなく、例えば、10nm以上10μm以下の範囲内において適宜定めることができる。
(第2の導体層)
導体層11は、絶縁体層12の主面のうち絶縁体層12と逆側の主面(図2においては上側の主面)である主面12a上に形成されている。導体層11は、絶縁体層12と同様に中央領域Rにのみ積層されている。したがって、プラズモニック完全吸収体10においては、中央領域Rのみに絶縁体層12及び導体層11が積層されている。
導体層11は、各々が円形状である複数(図3においては9個)の導体パターン111からなる。ただし、各導体パターン111の形状は、円形状に限定されるものではなく、正多角形状であってもよい。当該正多角形状の好ましい例としては、正六角形状が挙げられる。
なお、符号111は、複数の導体パターン111のうち1つの導体パターン111のみに付している。図3に示すように、複数の導体パターン111は、主面12a上に、2次元的に、且つ、周期的に配置されている。本実施形態においては、図3に示すように、導体パターン111の周期的な2次元配置として正方配置を採用している。ただし、この周期的な2次元配置は、正方配置に限定されるものではなく、例えば、六方配置であってもよい。
なお、図2に示した断面図においては、導体層11を構成する複数の導体パターン111の図示を省略している。実際には、複数の導体パターン111により構成された周期的な2次元構造が主面12aの全面に形成されている。
本実施形態においては、導体層11の各導体パターン111を構成する導体として窒化ハフニウム(HfN)を採用している。ただし、各導体パターン111を構成する導体は、HfNに限定されるものではなく、金属的な導電特性を有する材料であればよい。この点について、各導体パターン111を構成する導体は、導体層13を構成する導体と同じである。
また、本実施形態においては、導体層11の厚みt11(図2参照、すなわち各導体パターン111の厚み)として100nmを採用している。ただし、厚みt13は、40nmに限定されるものではなく、例えば、10nm以上10μm以下の範囲内において適宜定めることができる。なお、厚みt11は、特許請求の範囲に記載の厚みtの一例である。
また、導体層13の厚みt13、及び、絶縁体層12の厚みt11は、t13>1.5×t11の関係を満たす、ことが好ましい。
(一対の電極パッド)
図1及び図2に示すように、一方(図2に示した状態において左側)のエッジ領域Rには、導体層13の上に、下地層131と、電極パッド132と、がこの順番で積層されている。また、他方(図2に示した状態において右側)のエッジ領域Rには、導体層13の上に、下地層131と、電極パッド133と、がこの順番で積層されている。
一対の下地層131と、一対の電極パッド132及び133の各々とは、エッジ領域Rに沿うように帯状に設けられている。一対の下地層131と、一対の電極パッド132及び133は、特許請求の範囲に記載の一対の電極の一例である。
電極パッド132及び133の各々に、それぞれ極性が異なる配線を接続し電力を供給することによって、電極パッド132及び133の何れか一方から他方に向かって電流が流れる。すなわち、導体層13には、主面13aの面内方向に電流が流れる。したがって、導体層13の主面13a上に設けられた一対の下地層131及び電極パッド132,133は、導体層13の主面の面内方向に電流を流す電極の一例である。
本実施形態においては、帯状に細長い一対の下地層131及び電極パッド132,133の各々が、中央領域Rを挟み込むように設けられている。すなわち、一対の下地層131及び電極パッド132,133の各々は、それぞれ、長方形状(本実施形態においては正方形)である中央領域Rにおいて、一対の対辺の各々に沿って設けられている。
なお、本実施形態においては、電極パッド132及び133を構成する材料として金を採用している。ただし、この材料は、金に限定されるものではなく、導電率の高さや、反応性の低さや、融点の高さなどを考慮して適宜定めることができる。
また、本実施形態においては、一対の下地層131として、クロム(Cr)とプラチナ(Pt)とをこの順番で積層したCr/Ptの二層膜を用いる。Cr及びPtの厚みは限定されないが、本実施形態では、何れも50nmとする。ただし、一対の下地層131の構成は、単層膜であってもよし、3層以上の多層膜であってもよい。また、一対の下地層131を構成する各膜の材料も適宜選択することができる。なお、基板14を構成する材料と、電極パッド132及び133を構成する材料との相性や反応性に鑑み、場合によっては一対の下地層131を省略することもできる。
<筐体>
筐体20は、直方体状のブロックである。本実施形態において、筐体20を構成する材料は、金属の一例であるアルミニウムである。ただし、筐体20を構成する金属は、アルミニウムに限定されるものではなく、適宜選択することができる。また、筐体20を構成する材料は、金属に限定されるものではなく、合金であってもいし、セラミックなどの無機化合物であってもよいし、樹脂などの有機化合物であってもよい。ただし、筐体20を構成する材料は、熱輻射素子1の動作温度を150℃以上に設定する場合、金属、合金、及びセラミックの何れかであることが好ましい。
筐体20の一対の主面のうち、図1に示した状態において上側に位置する主面を主面20aと称し、図1に示した状態において下側に位置する主面を主面20bと称する。主面20aには、キャビティCが形成されている。キャビティCの深さは、筐体20の厚みよりも薄い。したがって、キャビティCは、主面20bまでは貫通していない。
キャビティCは、2つのサブキャビティC1,C2により構成されている。
サブキャビティC1は、主面20aに近い領域(すなわち浅い領域)に形成されている。サブキャビティC2は、サブキャビティC1と比較して、主面20aから遠い領域(すなわち深い領域)に形成されている。サブキャビティC1の開口部APは、平面視した場合に、熱輻射素子1を包含することができるように、そのサイズを定められている。なお、図1の上図には符号APを明記しているが、図1の下図ではAPの図示を省略している。
一方、サブキャビティC2の開口部であって、サブキャビティC1の底面に形成された開口部は、平面視した場合に、熱輻射素子1により包含されるように、そのサイズを定められている。このように構成されたキャビティCは、階段状に形成されている。
キャビティCのうちサブキャビティC1には、熱輻射素子1が収容されている。熱輻射素子1を構成する基板14のエッジ領域Rのうち少なくとも一部は、接合部材31を用いてサブキャビティC1の底壁に固定されている。本実施形態では、接合部材31として焼結させた銀(Ag)を採用している。このように焼結された銀は、熱輻射素子1の動作温度(例えば300℃以上1200℃以下の何れかの温度)に耐える耐熱性をもっているので、接合部材31として好ましい。
このように、熱輻射素子1は動作温度が高いので、エネルギー効率を高めるためには、熱輻射素子1から筐体20へ熱が伝導することにより散逸する熱エネルギーを抑制することが好ましい。熱輻射素子モジュールMにおいては、サブキャビティC1に加えてサブキャビティC2が筐体20に形成されていることによって、熱輻射素子1と筐体20との間に生じ得る熱伝導のパスを限定することができる。
サブキャビティC1の底壁には、電極パッド132及び133と並走するように、電極パッド21及び22が設けられている。電極パッド21と電極パッド132とは、金属線32により導通している(図1の下図参照)。同様に、電極パッド22と電極パッド133とは、符号を省略している金属製により導通されている(図1の下図参照)。
なお、本実施形態においては、電極パッド21及び22も電極パッド132及び133と同様に、帯状に延伸されている。電極パッド21及び22、並びに、電極パッド132及び133が何れも帯状に延伸されていることによって、電極間を導通させるために複数の金属線32を用いることができる。したがって、電極パッド21と電極パッド132との間、及び、電極パッド22と電極パッド133との間に生じ得る抵抗値を低減でき、且つ、電極パッド間を導通させる場合に冗長性を確保することができる。
図1の下図に示すように、筐体20には、電力端子41,42が設けられている。電力端子41は、筐体20の外部から内部へ引き込まれている。そのうえで、電力端子41の先端は、電極パッド21に導通している。同様に、電力端子42は、筐体20の外部から内部へ引き込まれている。そのうえで、電力端子42の先端は、電極パッド22に導通している。なお、電力端子41,42の各々を筐体20の内部に卑近でいる部分は、密閉性を保つように封止されている。
図1の上図及び下図に示すように、開口部APは、光学窓23により覆われている。光学窓23を構成する材料は、透光性を有し、且つ、熱輻射素子1の動作温度(例えば300℃以上1200℃以下の何れかの温度)に耐える耐熱性をもっていることが好ましく、本実施形態では、石英ガラス製の板状部材を採用している。
光学窓23は、接合部材24を用いて筐体20の主面20aに接合されている。本実施形態では、接合部材24として金(Au)錫(Sn)はんだを用いている。
また、熱輻射素子モジュールMにおいては、キャビティCの内部の圧力がキャビティCの外部の圧力(例えば大気圧)よりも低くなるように構成されている。この構成は、例えば、大気圧よりも減圧された減圧環境下においてキャビティCを封止することによって実現できる。キャビティCの内部の圧力は、限定されないが、1×10Pa以下であることが好ましい。キャビティCの内部の圧力が低ければ低いほど、キャビティCの断熱性を高めることができる。
〔まとめ〕
本発明の一態様である熱輻射素子1は、絶縁体製の基板14と、主面14aの少なくとも一部(本実施形態では全部)を覆う導体層13(第1の導体層)と、絶縁体層12と、導体層11(第2の導体層)と、がこの順番で積層されたプラズモニック完全吸収体10と、を備えている。プラズモニック完全吸収体10において、導体層13には、主面13aの面内方向に電流を流す電極である下地層131及び電極パッド132,133が設けられている。
この構成によれば、プラズモニック完全吸収体10からみた場合に、導体層13を熱源として用いる。すなわち、プラズモニック完全吸収体10からみた場合に、プラズモニック完全吸収体10よりも体積が大きな基板14は、熱源ではない。したがって、プラズモニック完全吸収体10を動作温度に加熱する場合に、大きな体積を有する基板14を動作温度以上に加熱しなくて済むので、熱輻射素子1は、従来の熱輻射素子である特許文献2の熱輻射素子と比較して、エネルギー効率を高めることができる。
また、熱輻射素子1においては、基板14を構成する絶縁体の熱伝導率は、導体層13を構成する導体の熱伝導率よりも低い、構成が採用されている。
この構成によれば、熱源である導体層13により生成された熱エネルギーが基板14に逃げることを抑制することができるので、エネルギー効率を更に高めることができる。
また、熱輻射素子1においては、導体層11は、2次元的に、且つ、周期的に配置された複数の導体パターン111であって、各々が円形状又は正多角形状である複数の導体パターン111からなる、構成が採用されている。
この構成によれば、複数の導体パターン111の大きさ及び周期的な配置を調整することによって、プラズモニック完全吸収体10から放出される光の波長域を調整することができる。
また、熱輻射素子1においては、導体層13の厚みt13(第1の導体層の厚みt1)、及び、導体層11の厚みt11(第2の導体層の厚みt2)は、t13>1.5×t11(t1>1.5×t2)の関係を満たす、構成が採用されている。
この構成によれば、導体層13の抵抗値が適度に低くなるため、導体層13に大きな電流を流しやすくなる。したがって、導体層13において生じる熱エネルギーを大きくすることができる。
また、熱輻射素子1においては、基板14の厚みtは、100μm以上10mm以下である、構成が採用されている。
この構成によれば、プラズモニック完全吸収体10を支持する基板14の強度を実用十分な強度に高めることができる。このように、基板14に十分な強度を持たせるためには、厚みtがプラズモニック完全吸収体10の合計の厚みよりも大幅に厚くなる。したがって、熱輻射素子1は、従来の熱輻射素子よりも確実にエネルギー効率を高めることができる。
また、熱輻射素子1においては、t13(第1の導体層の厚みt1)、絶縁体層12の厚みt12(絶縁体層の厚みtd)、及び、t11(第2の導体層の厚みt2)は、何れも、10nm以上10μm以下である、構成が採用されている。
この構成によれば、プラズモニック完全吸収体10の合計の厚みが無闇に厚くなることを防ぎ、プラズモニック完全吸収体10の合計の厚みが厚みtよりも厚くなることを防ぐことができる。したがって、熱輻射素子1は、従来の熱輻射素子よりも確実にエネルギー効率を高めることができる。
また、熱輻射素子1においては、導体層13(第1の導体層)が形成されている領域(中央領域R)は、長方形状(本実施形態では正方形)であり、前記電極は、一対の電極である一対の下地層131と、一対の電極パッド132,133とにより構成されている。熱輻射素子1においては、前記一対の電極の各々は、それぞれ、前記長方形状である領域(中央領域R)において、一対の対辺の各々に設けられている、構成が採用されている。
この構成によれば、導体層13の主面13aの面内方向に流れる電流の電流分布を均一に近づけることができる。したがって、導体層13において生じるジュール熱の分布を均一に近づけることができるので、主面13aにおける温度分布を均一に近づけることができる。
また、熱輻射素子1においては、基板14は、ガラス又はセラミックにより構成されている、構成が採用されている。
この構成によれば、基板14を構成する絶縁体の熱伝導率を、導体層13を構成する導体の熱伝導率よりも確実に低くすることができるので、導体層13により生成された熱エネルギーが基板14に逃げることを確実に抑制することができる。したがって、エネルギー効率を確実に高めることができる。
また、熱輻射素子1においては、導体層13(第1の導体層)及び導体層11(第2の導体層)は、窒化ハフニウム(HfN)により構成されている。
この構成によれば、HfNは、融点が高いため、基板14を構成する絶縁体及び絶縁体層12を構成する絶縁体の少なくとも何れかとの間において進み得る共晶反応を抑制することができる。したがって、熱輻射素子1の動作温度を高めることができる。
熱輻射素子1においては、絶縁体層12は、SiO、Al、及びAlNのうち少なくとも何れかにより構成されている、構成が採用されている。
この構成によれば、高い絶縁性を有する絶縁体層12を容易に形成することができる。
本発明の一態様である熱輻射素子モジュールMは、熱輻射素子1と、熱輻射素子1を収容するキャビティC、及び、電極である一対の下地層131及び一対の電極パッド132,133に電力を供給する電力端子41,42が設けられた筐体20と、を備えている。熱輻射素子モジュールMにおいては、キャビティCの内部において、基板14の少なくとも一部は、キャビティCに対して接合部材31を用いて固定されている、構成が採用されている。
熱輻射素子モジュールMは、熱輻射素子1と同様の効果を奏する。また、熱輻射素子モジュールMを構成する熱輻射素子は、熱輻射素子1に限定されず、図4に図示する熱輻射素子1Aであってもよいし、図5に図示する熱輻射素子1Bであってもよい。熱輻射素子1A,1Bについては、後述する。
熱輻射素子モジュールMにおいては、キャビティCの開口部APを平面視した場合(図1の上図参照)に、開口部APは、熱輻射素子1を包含しており、開口部APは、透光性を有する光学窓23により封止されており、キャビティCの内部の圧力は、キャビティCの外部の圧力よりも低い、構成が採用されている。
この構成によれば、キャビティCの内部の圧力が外部の圧力以上である場合と比較して、キャビティCの断熱性を高めることができるので、導体層13により生じた熱エネルギーがキャビティCの外部へ散逸するのを低減することができる。したがって、熱輻射素子モジュールM全体としてもエネルギー効率を高めることができる。
また、熱輻射素子モジュールMにおいては、その熱エネルギーを用いて熱輻射素子1を所定の動作温度まで加熱することによって、熱放射に起因する電磁波(具体的には、可視光、近赤外光、中赤外光、及び遠赤外光のうち少なくとも何れか)を放出する。このように、熱輻射素子モジュールMは、可視光、近赤外光、中赤外光、及び遠赤外光のうち少なくとも何れかの電磁波を出射する熱輻射光源として機能する。すなわち、熱輻射素子モジュールMを備えた熱輻射光源も本発明の範疇に含まれる。
なお、ここでは、図1及び図2に図示した熱輻射素子1を用いて本願発明の一態様が奏する効果を説明した。ただし、上述した熱輻射素子1の効果は、後述する熱輻射素子1A,1Bにおいても同様に得られる。
〔第1の変形例〕
熱輻射素子1の第1の変形例である熱輻射素子1Aについて、図4を参照して説明する。図4は、熱輻射素子1における図2に対応する断面図であって、熱輻射素子1Aの断面図である。
熱輻射素子1Aは、熱輻射素子1が備えている一対の下地層131及び電極パッド132,133を、一対の下地層131A及び電極パッド132A,133Aに置換することによって得られる。したがって、本変形例では、一対の下地層131A及び電極パッド132A,133Aについて説明する。
熱輻射素子1において、電極パッド132,133の幅(図2において左右方向の長さ)は、環状であるエッジ領域Rの幅よりも狭い。そのため、図2に示すように、熱輻射素子1の一断面において、電極パッド132,133は、エッジ領域Rの一部を覆うように形成されている。
一方、熱輻射素子1Aにおいて、一対の下地層131A及び電極パッド132A,133Aの幅(図4において左右方向の長さ)は、環状であるエッジ領域Rの幅と等しい。そのため、図4に示すように、熱輻射素子1Aの一断面において、一対の下地層131A及び電極パッド132A,133Aは、エッジ領域Rを全て覆うように形成されている。
電極パッド132,133及び電極パッド132A,133Aから明らかなように、導体層13に電流を流すための一対の電極パッドの幅は、適宜定めることができ、導体層13に加えて導体層11の一部にも導通していてもよい。一対の下地層131Aも同様である。なお、熱輻射素子1Aにおいて、電極パッド132A,133Aの上端近傍の一部は、導体層11の外縁部分に重なっていてもよい。
〔第2の変形例〕
熱輻射素子1の第2の変形例である熱輻射素子1Bについて、図5を参照して説明する。図5は、熱輻射素子1における図2に対応する断面図であって、熱輻射素子1Bの断面図である。
熱輻射素子1Bは、熱輻射素子1が備えている絶縁体層12、導体層11、一対の下地層131、及び電極パッド132,133の各々を、それぞれ、絶縁体層12B、導体層11B、一対の下地層131B、及び電極パッド132B,133Bに置換することによって得られる。したがって、本変形例では、絶縁体層12B、導体層11B、一対の下地層131B、及び電極パッド132B,133Bについて説明する。
熱輻射素子1において、絶縁体層12及び導体層11は、導体層13の主面13aのうち中央領域Rを覆うように形成されている。
一方、熱輻射素子1Bにおいて、絶縁体層12B及び導体層11Bは、主面13aの全面を覆うように形成されている。
そのうえで、一対の下地層131B及び電極パッド132B,133Bは、図5に示すように、熱輻射素子1Bの一断面において、基板14、導体層13、絶縁体層12B、及び導体層11Bの側面(すなわち熱輻射素子1Bの側面)を覆うように形成されている。一方の下地層131Bと、電極パッド132Bとは、熱輻射素子1Bの一側面(図5において左側の側面)にこの順番で積層されており、他方の下地層131Bと、電極パッド133Bとは、上述した一側面に対向する側面(図5において右側の側面)にこの順番で積層されている。
なお、熱輻射素子1Bにおいて、一対の下地層131B及び電極パッド132B,133Bの下端近傍の一部は、基板14の下側の主面である主面14bのエッジ近傍の領域にも形成されている。熱輻射素子1Bにおいては、主面14bのエッジ近傍の領域に形成された一対の下地層131B及び電極パッド132B,133Bと、電極パッド21,22とを接合部材31(図1の下図参照)を用いて接合する。このように、本変形例において、接合部材31は、キャビティCの内部において、熱輻射素子1BをサブキャビティC1の底壁に固定するとともに、電極パッド132B,133Bと電極パッド21,22との導通を確保する。
なお、一対の下地層131Bは、一対の下地層131及び一対の下地層131Aと同様に、単層膜であってもよいし、二層膜であってもよいし、3層以上の多層膜であってもよい。また、一対の下地層131Bを構成する各膜は、一対の下地層131及び一対の下地層131Aを構成する各膜と同様に構成することができる。
〔第1の実施例〕
本発明の第1の実施例である熱輻射素子モジュールMについて以下に説明する。本実施例では、熱輻射素子として、図4に示した熱輻射素子1Aの構成を採用し、各構成要素を以下の通り設計した。本実施例の熱輻射素子モジュールMにおいては、熱輻射素子1Aの動作温度の一例として500℃を採用した場合に、1.0μm以上2.0μm以下の近赤外光を安定して放出することを確認した。すなわち、本実施例の熱輻射素子モジュールMは、動作温度として500℃を採用した場合に、1.0μm以上2.0μm以下の近赤外光を安定して放出する熱輻射光源として好適に利用できる。
<基板>
基板14として、石英ガラス製であり、厚みtが500μmであり、1辺の長さが5mmの正方形である板状部材を採用した。
<プラズモニック完全吸収体>
導体層13として、厚みt13が100nmであるHfN膜を採用した。
絶縁体層12として、厚みt12が180nmであるSiO膜を採用した。
導体層11として、厚みt11が40nmであるHfN膜を採用した。また、導体層11を構成する複数の導体パターン111の形状として、直径が400nmである円形状を採用した。また、複数の導体パターン111の周期的な配置として、周期が650nmである正方配置を採用した。
一対の下地層131Aとして、Cr/Ptの二層膜を採用した。Cr及びPtの各々厚みとして、何れも50nmを採用した。
電極パッド132A,133Aとして、厚みが400nmであり、幅(図4における左右方向の長さ)が200μmであり、長さ(図4における奥行き方向の長さ)が5mmである、帯状の金膜を採用した。
本実施例で採用したHfNの電気抵抗率は、約1×10-3(Ω・mm)であり、本実施例で採用したSiOの電気抵抗率は、約1×1015(Ω・mm)である。また、本実施例の熱輻射素子1Aにおいて、プラズモニック完全吸収体10Aの厚みは、合計で220nmである。
<熱輻射素子モジュール>
電極パッド21と電極パッド132とを導通させる金属線32、及び、電極パッド22と電極パッド133とを導通させる金属線(図1の下図参照)として、直径φが25μmである金線を採用した。
キャビティCの内部の圧力として、1×10Paを採用した。
〔第2の実施例〕
本発明の第2の実施例である熱輻射素子モジュールMについて以下に説明する。本実施例では、熱輻射素子として、図5に示した熱輻射素子1Bの構成を採用し、各構成要素を以下の通り設計した。本実施例の熱輻射素子モジュールMにおいては、熱輻射素子1Bの動作温度の一例として700℃を採用した場合に、1.0μm以上2.0以下の近赤外光を安定して放出することを確認した。すなわち、本実施例の熱輻射素子モジュールMは、動作温度が700℃であり、1.0μm以上2.0μm以下の近赤外光を安定して放出する熱輻射光源として好適に利用できる。
<基板>
基板14として、石英ガラス製であり、厚みtが500μmであり、1辺の長さが10mmの正方形である板状部材を採用した。
<プラズモニック完全吸収体>
導体層13として、厚みt13が200nmであるHfN膜を採用した。
絶縁体層12として、厚みt12が320nmであるSiO膜を採用した。
導体層11として、厚みt11が40nmであるHfN膜を採用した。また、導体層11を構成する複数の導体パターン111の形状は、第1の実施例において採用した複数の導体パターン111の形状と同じとした。
一対の下地層131Bとして、Cr/Ptの二層膜を採用した。Crの厚みとして100nmを採用し、Ptの厚みとして200nmを採用した。
電極パッド132B,133Bとして、厚み(図5における左右方向の長さ)が500nmである金膜を採用した。基板14及びプラズモニック完全吸収体10Bの一側面には、その全面に一方の下地層131Bと電極パッド132Bとをこの順番で積層し、この一側面に対向する側面には、その全面に他方の下地層131Bと電極パッド133Bとをこの順番で積層した。
本実施例で採用したHfNの電気抵抗率は、約1×10-3(Ω・mm)であり、本実施例で採用したSiOの電気抵抗率は、約1×1015(Ω・mm)である。また、本実施例の熱輻射素子1Bにおいて、プラズモニック完全吸収体10Bの厚みは、合計で580nmである。
<熱輻射素子モジュール>
本実施例では、一方の下地層131B及び電極パッド132Bの一部(図5に示した状態における下端近傍の一部)と、電極パッド21と、を接合するとともに導通させる接合部材31、及び、他方の下地層131B及び電極パッド133Bの一部(図5に示した状態における下端近傍の一部)と、電極パッド22と、を接合するとともに導通させる接合部材31として、焼結させた銀を採用した。
キャビティCの内部の圧力として、1×10Paを採用した。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
M 熱輻射素子モジュール(熱輻射光源の一部)
1 熱輻射素子
10 プラズモニック完全吸収体
11 導体層(第2の導体層)
111 導体パターン
12 絶縁体層
13 導体層(第1の導体層)
131 下地層(電極パッド132,133とともに電極を構成)
132,133 電極パッド(下地層131とともに電極を構成)
14 基板
14a,14b 主面(一対の主面)
中央領域(第1の導体層が形成されている領域)
エッジ領域
20 筐体
23 光学窓
C キャビティ
AP 開口部
41,42 電力端子
31 接合部材

Claims (13)

  1. 一対の主面を有する絶縁体製の基板と、
    前記基板の一方の主面の少なくとも一部を覆う第1の導体層と、絶縁体層と、第2の導体層と、がこの順番で積層されたプラズモニック完全吸収体と、を備え、
    前記第1の導体層には、当該第1の導体層の主面の面内方向に電流を流す電極が設けられている、
    熱輻射素子。
  2. 前記基板を構成する前記絶縁体の熱伝導率は、前記第1の導体層を構成する導体の熱伝導率よりも低い、
    請求項1に記載の熱輻射素子。
  3. 前記第2の導体層は、2次元的に、且つ、周期的に配置された複数の導体パターンであって、各々が円形状又は正多角形状である複数の導体パターンからなる、
    請求項1又は2に記載の熱輻射素子。
  4. 前記第1の導体層の厚みt1、及び、前記第2の導体層の厚みt2は、t1>1.5×t2の関係を満たす、
    請求項1~3の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  5. 前記基板の厚みは、100μm以上10mm以下である、
    請求項1~4の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  6. 前記第1の導体層の厚みt1、前記絶縁体層の厚みtd、及び、前記第2の導体層の厚みt2は、何れも、10nm以上10μm以下である、
    請求項1~5の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  7. 前記第1の導体層が形成されている領域は、長方形状であり、
    前記電極は、一対の電極により構成されており、
    前記一対の電極の各々は、それぞれ、前記長方形状である領域において、一対の対辺の各々に設けられている、
    請求項1~6の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  8. 前記基板は、ガラス又はセラミックにより構成されている、
    請求項1~7の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  9. 前記第1の導体層及び前記第2の導体層は、HfNにより構成されている、
    請求項1~8の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  10. 前記絶縁体層は、SiO、Al、及びAlNのうち少なくとも何れかにより構成されている、
    請求項1~9の何れか1項に記載の熱輻射素子。
  11. 請求項1~10の何れか1項に記載の熱輻射素子と、
    前記熱輻射素子を収容するキャビティ、及び、前記電極に電力を供給する電力端子が設けられた筐体と、を備え、
    前記キャビティの内部において、前記基板の少なくとも一部は、前記キャビティに対して接合部材を用いて固定されている、
    熱輻射素子モジュール。
  12. 前記キャビティの開口部を平面視した場合に、前記開口部は、前記熱輻射素子を包含しており、
    前記開口部は、透光性を有する光学窓により封止されており、
    前記キャビティの内部の圧力は、当該キャビティの外部の圧力よりも低い、
    請求項11に記載の熱輻射素子モジュール。
  13. 請求項11又は12に記載の熱輻射素子モジュールを備えている、
    熱輻射光源。
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