JP2023002015A - マグネシウム合金板 - Google Patents

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百合 城野
Yuri Jono
和葉 諏澤
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Abstract

【課題】強度と延性とのバランスに優れたマグネシウム合金板を提供する。【解決手段】マグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、マグネシウム合金は、0.5質量%以上2.0質量%以下の亜鉛と、0.05質量%以上0.3質量%以下のカルシウムとを含み、残部がマグネシウム及び不可避不純物である組成を有し、マグネシウム合金の結晶の底面の極点図において、圧延方向における底面の結晶方位の平均強度が2.50以上4.00以下であり、圧延方向の平均強度は、第一領域における底面の結晶方位の平均強度と、第二領域における底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、第一領域は、円周方向の角度が0°±30°の範囲で、かつ、半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、第二領域は、円周方向の角度が180°±30°の範囲で、かつ、半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域である、マグネシウム合金板。【選択図】図4

Description

本開示は、マグネシウム合金板に関する。
特許文献1は、カルシウムと亜鉛とを含むマグネシウム合金からなるマグネシウム合金板を開示する。このマグネシウム合金板は、(0002)面の結晶方位が板表面に対して10°以上70°以下傾斜すると共に、その極密度が2.5以上のピークが3つ以上存在する組織を有する。
特開2018-80363号公報
強度と延性とのバランスに優れたマグネシウム合金板の開発が望まれている。
マグネシウム合金の結晶は稠密六方晶の結晶構造を有する。一般に、マグネシウム合金板は、マグネシウム合金の結晶の底面が、圧延加工によって板表面に平行な状態になり易い。そのため、結晶の底面の結晶方位が板表面に対して傾斜した結晶の割合が少ない。板表面に対して傾斜した結晶の割合が少ないほど、マグネシウム合金板の強度が向上するが、マグネシウム合金板の延性が低下する。このようなマグネシウム合金板は塑性加工性に劣る。
特許文献1では、圧延加工した圧延板を熱処理することによって、マグネシウム合金板の組織を(0002)面が特定の配向性を有するように制御している。特許文献1のマグネシウム合金板は、塑性加工性に優れるとはいうものの、強度の点で改善の余地がある。
本開示は、強度と延性とのバランスに優れたマグネシウム合金板を提供することを目的の一つとする。
本開示のマグネシウム合金圧板は、
マグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、
前記マグネシウム合金は、
0.5質量%以上2.0質量%以下の亜鉛と、
0.05質量%以上0.3質量%以下のカルシウムとを含み、
残部がマグネシウム及び不可避不純物である組成を有し、
前記マグネシウム合金の結晶の底面の極点図において、圧延方向における前記底面の結晶方位の平均強度が2.50以上4.00以下であり、
前記圧延方向の前記平均強度は、前記極点図の第一領域における前記底面の結晶方位の平均強度と、前記極点図の第二領域における前記底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、
前記第一領域は、前記極点図における円周方向の角度が0°±30°の範囲で、かつ、前記極点図における半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
前記第二領域は、前記円周方向の角度が180°±30°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
前記円周方向の角度は、前記圧延方向を0°として、前記圧延方向から反時計回りに0°から360°の範囲で表した角度であり、
前記半径方向の角度は、前記極点図の中心を0°とし、前記極点図の外周を90°として、0°から90°の範囲で表した角度である。
本開示のマグネシウム合金板は、強度と延性とのバランスに優れる。
図1は、実施形態に係るマグネシウム合金板の概略斜視図である。 図2は、実施形態に係るマグネシウム合金板の結晶の概略斜視図である。 図3は、実施形態に係るマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図の一例を示す図である。 図4は、実施形態に係るマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図を説明する図である。 図5は、実施形態に係るマグネシウム合金板におけるKAM値を説明する図である。 図6は、試料No.1-1のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図7は、試料No.1-2のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図8は、試料No.1-3のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図9は、試料No.1-4のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図10は、試料No.1-11のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図11は、試料No.1-12のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図12は、試料No.1-13のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図13は、試料No.1-14のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。 図14は、試料No.1-15のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図である。
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施態様に係るマグネシウム合金板は、
マグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、
前記マグネシウム合金は、
0.5質量%以上2.0質量%以下の亜鉛と、
0.05質量%以上0.3質量%以下のカルシウムとを含み、
残部がマグネシウム及び不可避不純物である組成を有し、
前記マグネシウム合金の結晶の底面の極点図において、圧延方向における前記底面の結晶方位の平均強度が2.50以上4.00以下であり、
前記圧延方向の前記平均強度は、前記極点図の第一領域における前記底面の結晶方位の平均強度と、前記極点図の第二領域における前記底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、
前記第一領域は、前記極点図における円周方向の角度が0°±30°の範囲で、かつ、前記極点図における半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
前記第二領域は、前記円周方向の角度が180°±30°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
前記円周方向の角度は、前記圧延方向を0°として、前記圧延方向から反時計回りに0°から360°の範囲で表した角度であり、
前記半径方向の角度は、前記極点図の中心を0°とし、前記極点図の外周を90°として、0°から90°の範囲で表した角度である。
本開示のマグネシウム合金板は、強度と延性とのバランスに優れる。本開示のマグネシウム合金板は、圧延方向における底面の結晶方位の平均強度が特定の範囲であることで、板表面に対して底面の結晶方位が特定の角度で傾斜した結晶を特定の範囲で含む。圧延方向の平均強度が2.50以上であることで、マグネシウム合金板の強度を高めることができる。圧延方向の平均強度が4.00以下であることで、マグネシウム合金板の延性を確保できる。したがって、本開示のマグネシウム合金板は、強度と延性とをバランスよく両立させることができる。
(2)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記底面の結晶方位の最大強度が4.5以上6.5以下であってもよい。
上記形態は、強度と延性とをより両立させ易い。最大強度が4.5以上であることで、マグネシウム合金板の強度をより高め易い。最大強度が6.5以下であることで、マグネシウム合金板の延性をより確保し易い。
(3)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記圧延方向の前記平均強度と、前記極点図の板幅方向における前記底面の結晶方位の平均強度との比が0.80以上1.20以下であってもよい。
前記板幅方向の前記平均強度は、前記極点図の第三領域における前記底面の結晶方位の平均強度と、前記極点図の第四領域における前記底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、
前記第三領域は、前記円周方向の角度が90°±10°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が30°から70°の範囲で囲まれた領域であり、
前記第四領域は、前記円周方向の角度が270°±10°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が30°から70°の範囲で囲まれた領域であり、
前記板幅方向は板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する方向である。
上記形態は、強度と延性とのバランスが良好である。圧延方向の平均強度と板幅方向の平均強度との比が特定の範囲であることで、底面の結晶方位が圧延方向に傾斜した結晶と、底面の結晶方位が板幅方向に傾斜した結晶とをバランスよく含む。
(4)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記マグネシウム合金の結晶粒のKAM値が0.4°以上1.1°以下であってもよい。
上記形態は、強度と延性とをより両立させ易い。KAM値が0.4°以上であることで、マグネシウム合金板の強度をより高め易い。KAM値が1.1°以下であることで、マグネシウム合金板の延性をより高め易い。
(5)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、
前記圧延方向の伸びが20%以上であってもよい。
上記形態は、0.2%耐力が高く、かつ、伸びが大きい。
(6)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記圧延方向の0.2%耐力と、板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する板幅方向の0.2%耐力との平均値が150MPa以上であり、
前記圧延方向の伸びと前記板幅方向の伸びとの平均値が18%以上であってもよい。
上記形態は、0.2%耐力が高く、かつ、伸びが大きい。
(7)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記圧延方向の0.2%耐力と、板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する板幅方向の0.2%耐力との差が50MPa以上であってもよい。
上記形態は、強度と延性とをより両立させ易い。圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力うち、一方の0.2%耐力が高いことで、十分な強度を有する。他方の0.2%耐力が低いことで、延性が向上する。
(8)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
前記圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、
エリクセン値が4.5mm以上であってもよい。
上記形態は、高強度であると共に、塑性加工性に優れる。
(9)本開示のマグネシウム合金板の一形態として、
熱伝導率が120W/m・K以上であってもよい。
上記形態は、熱伝導性に優れる。
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
《実施形態》
〔マグネシウム合金板〕
図1、図2を参照して、実施形態に係るマグネシウム合金板1を説明する。マグネシウム合金板1は、マグネシウム合金からなる板材である。板とは、マグネシウム合金板1の板表面1fを平面視した状態で、マグネシウム合金板1の輪郭を内包する最小の長方形をとり、長方形の短辺の長さがマグネシウム合金板1の厚さの10倍以上を満たすものをいう。板表面1fは、図1に示す板厚方向NDに直交する面である。マグネシウム合金板1の特徴の一つは、特定の組成及び特定の組織を有する点にある。以下、詳細に説明する。
実施形態のマグネシウム合金板1は圧延板である。マグネシウム合金板1は、製造過程で圧延加工が施される。マグネシウム合金板1において、圧延方向は、圧延時に板材が搬送される方向である。一般的には、圧延方向は次のように判断できる。コイル材のように長尺のマグネシウム合金板1であれば、マグネシウム合金板1の長手方向が圧延方向である。適宜な形状・サイズに切断されたマグネシウム合金板1であれば、板厚方向と直交する断面において、伸長した結晶粒の長軸方向が圧延方向である。図1に示すマグネシウム合金板1を板厚方向NDから平面視し、マグネシウム合金板1の長手方向を圧延方向RDとした場合、板幅方向TDは、板厚方向NDと圧延方向RDとの双方に直交する方向である。即ち、圧延方向RD及び板幅方向TDの各々は板厚方向NDに直交する。板幅方向TDは圧延方向RDに直交する。
[組成]
マグネシウム合金板1を構成するマグネシウム合金は、マグネシウム(Mg)を最も多く含む。マグネシウム合金におけるMgの含有量は、例えば92質量%以上である。Mgの含有量は、更に95質量%以上、特に97質量%以上でもよい。マグネシウム合金は、添加元素として、亜鉛(Zn)と、カルシウム(Ca)とを含む。マグネシウム合金は、更に、希土類元素を含んでもよい。マグネシウム合金は、上記元素以外に、不可避不純物を含むことを許容する。
(Zn)
Znはマグネシウム合金板1の強度の向上に寄与する。マグネシウム合金板1の強度を表すものとしては、例えば0.2%耐力、引張強さなどがある。Znの含有量は0.5質量%以上2.0質量%以下である。
Znの含有量が0.5質量%以上であることで、マグネシウム合金板1の強度を向上させ易い。Znの含有量が多いほど、マグネシウム合金板1の強度が高くなり易い。マグネシウム合金板1の高強度化を図る観点から、Znの含有量は、更に0.6質量%以上、0.8質量%以上、1.0質量%以上が好ましい。Znの含有量は、特に1.2質量%以上、1.4質量%以上が好ましい。
Znの含有量が2.0質量%以下であることで、マグネシウム合金板1の軽量化を図り易い。Znの含有量が2.0質量%以下であることで、マグネシウム合金板1の熱伝導性を向上させ易い。Znの含有量が少ないほど、Znの固溶量が少なくなる。そのため、Znの固溶に起因する熱伝導率の低下が抑えられる。マグネシウム合金板1の軽量化と、熱伝導性の向上とを図る観点から、Znの含有量は、更に2.0質量%未満、1.9質量%以下が好ましい。Znの含有量は、特に1.8質量%以下が好ましい。
Znの含有量は、例えば0.6質量%以上2.0質量%未満が好ましく、1.2質量%以上1.8質量%以下がより好ましい。
(Ca)
Caは、マグネシウム合金板1の強度の向上に寄与する。Caの含有量は0.05質量%以上0.3質量%以下である。
Caの含有量が0.05質量%以上であることで、マグネシウム合金板1の強度と耐食性とを向上させ易い。Caの含有量が多いほど、マグネシウム合金板1の強度と耐食性とが高くなり易い。Caの含有量は、更に0.06質量%以上、特に0.08質量%以上が好ましい。
Caの含有量が0.3質量%以下であることで、マグネシウム合金板1の製造過程において圧延加工性を向上させ易い。Caの含有量が少ないほど、マグネシウム合金板1の圧延加工性が高くなり易い。Caの含有量は、更に0.2質量%以下、特に0.15質量%以下が好ましい。
Caの含有量は、例えば0.06質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.08質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
(希土類元素)
希土類元素は、マグネシウム合金板1の強度の向上に寄与する。希土類元素は、周期表3族の元素、即ちスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド、及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。希土類元素の含有量は、例えば0.01質量%以上2.0質量%以下である。複数の種類の希土類元素を含む場合、希土類元素の含有量は全ての希土類元素の合計の含有量である。
希土類元素の含有量が0.01質量%以上であれば、マグネシウム合金板1の強度を向上させ易い。希土類元素の含有量は、更に0.05質量%以上、特に0.15質量%以上が好ましい。希土類元素の含有量が2.0質量%以下であれば、マグネシウム合金板1を軽量化し易く、マグネシウム合金板1の熱伝導性を向上させ易い。希土類元素の含有量は、更に1.6質量%以下、特に1.2質量%以下が好ましい。
希土類元素の含有量は、例えば0.05質量%以上1.6質量%以下が好ましく、0.15質量%以上1.2質量%以下がより好ましい。
(不可避不純物)
不可避不純物の種類は特に限定されない。不可避不純物としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)などがある。不可避不純物の含有量は、実用上、1質量%以下である。不可避不純物の含有量は、更に0.5質量%以下、特に0.2質量%以下が好ましい。不可避不純物として複数の元素を含む場合、不可避不純物の含有量は合計の含有量である。Alの含有量は、実用上、0.4質量%以下である。Alの含有量は、更に0.3質量%以下、特に0.2質量%以下が好ましい。Feの含有量は、実用上、0.01質量%以下である。Feの含有量は、更に0.009質量%以下、特に0.008質量%以下が好ましい。Siの含有量は、実用上、0.3質量%以下である。Siの含有量は、更に0.2質量%以下、特に0.1質量%以下が好ましい。
マグネシウム合金の組成は、例えば、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)により求めることができる。
[組織]
マグネシウム合金板1の組織は、図2に示すように、マグネシウム合金の結晶10を含む。マグネシウム合金の結晶10は稠密六方晶である。図2の結晶11は、結晶11の底面15の結晶方位が板表面1fに対して傾斜した結晶を例示している。図2の結晶12は、結晶12の底面15の結晶方位が板表面1fに平行な結晶を例示している。底面15は、結晶10の(0001)面である。(0001)面は、図2に模式的に示す六方晶において、六角形で構成される面である。図2では、説明の便宜上、底面15である(0001)面にハッチングを付している。
マグネシウム合金板1を構成するマグネシウム合金の結晶10は、圧延方向における底面15の結晶方位の平均強度Iが特定の範囲を満たす。底面15の結晶方位の強度は、底面の極点図から求められる。先に、図3、図4を参照して、極点図について説明する。
〈極点図〉
図3の極点図70は、マグネシウム合金板1における結晶の底面の極点図の一例を示している。極点図70は、EBSD(Electron Back Scattered Diffraction Pattern)法により、結晶の底面の結晶方位を測定したものである。極点図70は、結晶の底面の結晶方位の分布をステレオ投影した図である。極点図70において、底面の結晶方位の強度は等高線で表される。結晶方位の強度は、ランダムな結晶配向に対する相対的な結晶方位の集積度合いを示す指標である。結晶方位の強度が高いほど、その結晶方位に配向している結晶が多いことを示す。
図4に示すように、極点図70において、円周方向Cの角度α、半径方向Rの角度βをとる。角度αは、極点図70の右側のRD方向を0°として、RD方向から反時計回りに0°から360°の範囲で表した角度である。RD方向から反時計回りに90°及び270°回転した方向をTD方向とする。即ち、角度α=90°及びα=270°の方向をTD方向とする。図3、図4の極点図70では、極点図70の中心を通る紙面左右方向をRD方向とし、極点図70の中心を通る紙面上下方向をTD方向とする。RD方向は圧延方向である。TD方向はRD方向に直交する板幅方向である。角度βは、極点図70の中心を0°とし、極点図の外周を90°として、0°から90°の範囲で表した角度である。極点図70の中心軸は板厚方向に沿う。
〈底面の結晶方位の強度〉
(圧延方向の平均強度)
圧延方向、即ちRD方向における底面の結晶方位の平均強度Iは2.50以上4.00以下である。平均強度Iは、図4に示す極点図70の第一領域AR1における底面の結晶方位の平均強度IR1と、極点図70の第二領域AR2における底面の結晶方位の平均強度IR2との平均値である。第一領域AR1は、角度αが0°±30°の範囲で、かつ、角度βが5°から25°の範囲で囲まれた領域である。第一領域AR1の角度αの範囲は、0°から30°までの範囲と、330°から360°までの範囲とを合わせた60°の範囲である。第二領域AR2は、角度αが180°±30°の範囲で、かつ、角度βが5°から25°の範囲で囲まれた領域である。第二領域AR2の角度αの範囲は、150°から210°までの60°の範囲である。
平均強度Iが2.50以上4.00以下であるマグネシウム合金板1は、板表面1fに対して底面の結晶方位が圧延方向に傾斜した結晶を特定の範囲で含む。平均強度Iが2.50以上であることで、マグネシウム合金板1の強度を高めることができる。平均強度Iが4.00以下であることで、マグネシウム合金板1の延性を確保できる。よって、マグネシウム合金板1の強度と延性とをバランスよく両立させることができる。平均強度Iは、更に2.70以上3.50以下が好ましい。
(板幅方向の平均強度)
板幅方向、即ちTD方向における底面の結晶方位の平均強度Iは、例えば2.80以上4.00以下が好ましい。平均強度Iは、図4に示す極点図70の第三領域AT1における底面の結晶方位の平均強度IT1と、極点図70の第四領域AT2における底面の結晶方位の平均強度IT2との平均値である。第三領域AT1は、角度αが90°±10°の範囲で、かつ、角度βが30°から70°の範囲で囲まれた領域である。第三領域AT1の角度αの範囲は、80°から100°までの範囲の20°の範囲である。第四領域AT2は、角度αが270°±10°の範囲で、かつ、角度β30°から70°の範囲で囲まれた領域である。第四領域AT2の角度αの範囲は、260°から280°までの範囲の20°の範囲である。
平均強度Iが2.80以上4.00以下であるマグネシウム合金板1は、板表面1fに対して底面の結晶方位が板幅方向に傾斜した結晶を特定の範囲で含む。平均強度Iが2.80以上であることで、マグネシウム合金板1の延性を高め易い。平均強度Iが4.00以下であることで、マグネシウム合金板1の強度を確保し易い。よって、マグネシウム合金板1の強度と延性とをより両立させ易い。平均強度Iは、更に2.90以上3.50以下が好ましい。
(圧延方向の平均強度と板幅方向の平均強度との比)
平均強度Iと平均強度Iとの比I/Iは、例えば0.80以上1.20以下が好ましい。比I/Iが上記範囲であることで、底面の結晶方位が圧延方向に傾斜した結晶と、底面の結晶方位が板幅方向に傾斜した結晶とをバランスよく含む。その結果、マグネシウム合金板1は、強度と延性とのバランスが良好である。比I/Iは、更に0.90以上1.10以下が好ましい。
(最大強度)
底面の結晶方位の最大強度Imaxは、例えば4.5以上6.5以下が好ましい。最大強度Imaxが4.5以上6.5以下であるマグネシウム合金板1は、板表面1fに対して底面の結晶方位が傾斜した結晶を特定の範囲で含む。最大強度Imaxが4.5以上であることで、マグネシウム合金板1の強度をより高め易い。最大強度Imaxが6.5以下であることで、マグネシウム合金板1の延性をより確保し易い。よって、マグネシウム合金板1の強度と延性とをより両立させ易い。最大強度Imaxは、更に4.6以上6.0以下が好ましい。
〈KAM値〉
更に、マグネシウム合金板1は、マグネシウム合金の結晶粒のKAM(Kernel Average Misorientation)値が0.4°以上1.1°以下が好ましい。KAM値は、測定点とその隣接する測定点間の結晶方位差の平均値である。KAM値が大きいほど、結晶粒内の歪が大きいことを示す。つまり、KAM値が大きいほど、歪が多く導入されているため、強度が向上するが延性が低下する。一方、KAM値が小さいと、歪が少ないため、延性が向上するが強度が低下する。KAM値が0.4°以上であることで、マグネシウム合金板1の強度をより高め易い。KAM値が1.1°以下であることで、マグネシウム合金板の延性をより高め易い。よって、マグネシウム合金板1の強度と延性とをより両立させ易い。
KAM値は、EBSD法によって得られた測定点において、隣り合う測定点の間の結晶方位差を測定することで求めることができる。図5に示すように、1つのピクセルPmを測定点として、ピクセルPmと、ピクセルPmに隣接する6つのピクセルP1,P2,P3,P4,P5,P6との間の全ての方位差を求める。隣接する6点の方位差の平均値を計算する。この際、隣接する6点のうち、方位差が任意の上限値より大きい点は、結晶粒界とみなし、平均値の計算から除外する。即ち、隣接する6点のうち、方位差が任意の上限値以下である点での方位差の平均値を計算する。この平均値をピクセルPmのKAM値とする。例えば、ピクセルPmとピクセルP1との方位差が2.6°、ピクセルPmとピクセルP2との方位差が2.4°、ピクセルPmとピクセルP3との方位差が1.1°、ピクセルPmとピクセルP4との方位差が1、3°であったとする。また、ピクセルPmとピクセルP5との方位差が41.2°、ピクセルPmとピクセルP6との方位差が35.6°であったとする。方位差の上限を5°に設定した場合、ピクセルPmとピクセルP5との間、及び、ピクセルPmとピクセルP6との間は結晶粒界とみなされる。この場合、ピクセルPmのKAM値は、(2.6°+2.4°+1.1°+1.3°)/4=1.85°となる。そして、同様の計算を全てのピクセルにおいて行い、計算して求めた上記KAM値の平均値を、マグネシウム合金板1のKAM値とする。但し、全てのピクセルのうち、外縁に位置するピクセルは、その周囲が他のピクセルで囲まれていないので、計算から除外する。
[特性]
マグネシウム合金板1は、以下の特性を有することが好ましい。以下の説明において、板幅方向は、板厚方向と圧延方向との双方に直交する方向である。
(0.2%耐力)
圧延方向の0.2%耐力は、例えば190MPa以上、更に200MPa以上が好ましい。板幅方向の0.2%耐力は、例えば125MPa以上、更に130MPa以上好ましい。0.2%耐力が高いマグネシウム合金板1は強度に優れる。圧延方向の0.2%耐力の上限値は、実用上、300MPa程度である。即ち、圧延方向の0.2%耐力は、190MPa以上300MPa以下、更に200MPa以上300MPa以下が好ましい。板幅方向の0.2%耐力の上限値は、実用上、200MPa程度である。即ち、板幅方向の0.2%耐力は、125MPa以上200MPa以下、更に130MPa以上200MPa以下が好ましい。
圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力との平均値は、例えば150MPa以上、更に160MPa以上が好ましい。このマグネシウム合金板1は強度に優れる。0.2%耐力の上記平均値の上限値は、実用上、250MPa程度である。即ち、0.2%耐力の上記平均値は、150MPa以上250MPa以下、更に160MPa以上250MPa以下が好ましい。
圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力との差は、例えば50MPa以上、更に60MPa以上が好ましい。上記差は絶対値である。0.2%耐力の上記差が50MPa以上であることで、マグネシウム合金板1の強度と延性とを両立させることができる。このマグネシウム合金板1は、圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力うち、一方の0.2%耐力が高いことで、十分な強度を有する。このマグネシウム合金板1は、圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力うち、他方の0.2%耐力が低いことで、延性が向上する。0.2%耐力の上記差の上限値は、実用上、110MPa程度、更に100MPa程度である。即ち、0.2%耐力の上記差は、50MPa以上110MPa以下、更に60MPa以上100MPa以下が好ましい。
(伸び)
圧延方向の伸びは、例えば20%以上、更に21%以上が好ましい。板幅方向の伸びは、例えば22%以上、更に24%以上が好ましい。伸びが大きいマグネシウム合金板1は延性に優れる。圧延方向の伸びの上限値は、実用上、30%程度である。即ち、圧延方向の伸びは、20%以上30%以下、更に21%以上30%以下が好ましい。板幅方向の伸びの上限値は、実用上、40%程度である。即ち、板幅方向の伸びは、22%以上40%以下、更に24%以上40%以下が好ましい。上記伸びは破断伸びである。
圧延方向の伸びと板幅方向の伸びとの平均値は、例えば18%以上、更に20%以上、特に22%以上が好ましい。このマグネシウム合金板1は延性に優れる。伸びの上記平均値の上限値は、実用上、35%程度である。即ち、伸びの上記平均値は、18%以上35%以下、更に20%以上35%以下、特に22%以上35%以下が好ましい。
(引張強さ)
圧延方向の引張強さは、例えば260MPa以上、更に265MPa以上が好ましい。板幅方向の引張強さは、例えば235MPa以上、更に238MPa以上が好ましい。引張強さが高いマグネシウム合金板1は強度に優れる。圧延方向の引張強さの上限値は、実用上、320MPa程度である。即ち、圧延方向の引張強さは、260MPa以上320MPa以下、更に265MPa以上320MPa以下が好ましい。板幅方向の引張強さの上限値は、実用上、300MPa程度である。即ち、板幅方向の引張強さは、235MPa以上300MPa以下、更に265MPa以上300MPa以下が好ましい。
圧延方向の引張強さと板幅方向の引張強さとの平均値は、例えば245MPa以上、更に255MPa以上が好ましい。このマグネシウム合金板1は強度に優れる。引張強さの上記平均値の上限値は、実用上、300MPa程度である。即ち、引張強さの上記平均値は、245MPa以上300MPa以下、更に255MPa以上300MPa以下が好ましい。
0.2%耐力、伸び、及び引張強さは、「金属材料引張試験方法 JIS Z 2241(2011)」に準拠して測定できる。0.2%耐力、伸び、及び引張強さは、室温での測定値である。室温は20℃±15℃である。
(エリクセン値)
エリクセン値は、例えば4.5mm以上、更に5.0mmが好ましい。エリクセン値が4.5mm以上であることで、塑性加工性に優れる。エリクセン値の上限値は、実用上、10mm程度である。即ち、エリクセン値は、4.5mm以上10mm以下、更に5.0以上10mm以下が好ましい。
エリクセン値は、「エリクセン試験機 JIS B 7729(2005)」及び「エリクセン試験方法 JIS Z 2247(2006)」に準拠して測定できる。エリクセン値は、室温での測定値である。
(熱伝導率)
熱伝導率は、例えば120W/m・K以上が好ましい。熱伝導率が120W/m・K以上であることで、熱伝導性に優れる。熱伝導率は高いほど好ましく、熱伝導率の上限は特に設けない。熱伝導率の上限は、例えば150W/m・Kである。
熱伝導率は、光交流法によって測定できる。
マグネシウム合金板1は、強度と延性とのバランスの観点から、以下の4つの特性のうち、少なくとも1つの特性を満たすことが好ましい。
第一の特性は、圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、かつ、圧延方向の伸びが20%以上である。このマグネシウム合金板1は、0.2%耐力が高く、かつ、伸びが大きい。よって、このマグネシウム合金板1は、強度と延性とのバランスに優れる。
第二の特性は、圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力との平均値が150MPa以上であり、かつ、圧延方向の伸びと板幅方向の伸びとの平均値が18%以上である。このマグネシウム合金板1は、0.2%耐力が高く、かつ、伸びが大きい。よって、このマグネシウム合金板1は、強度と延性とのバランスに優れる。
第三の特性は、圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力との差が50MPa以上である。上記差は絶対値である。このマグネシウム合金板1は、強度と延性とを両立させることができる。圧延方向の0.2%耐力と板幅方向の0.2%耐力うち、一方の0.2%耐力が高いことで、十分な強度を有する。他方の0.2%耐力が低いことで、延性が向上する。
第四の特性は、圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、かつ、エリクセン値が4.5mm以上である。このマグネシウム合金板1は、高強度であると共に、塑性加工性に優れる。
マグネシウム合金板1は、上記した4つの特性のうち、2つ以上の特性を満たすことがより好ましい。マグネシウム合金板1は、上記した4つの特性を全て満たすことが好ましい。
[厚さ]
マグネシウム合金板1の厚さは、用途に応じて適宜選択できる。マグネシウム合金板1の厚さは、例えば0.4mm以上2.0mm未満である。
マグネシウム合金板1の厚さは、次のようにして求めることができる。マグネシウム合金板1から所定の大きさの試験片をとる。所定の大きさは、例えば、長さが300mm以上600mm以下、幅が200mm以上350mm以下とする。試験片から、10点以上の測定点をとる。例えば、試験片を長さ方向に10等分以上の小領域に分け、各小領域から測定点をとる。各測定点での厚さを平均した値を厚さとする。
[製造方法]
本実施形態のマグネシウム合金板1は、以下に示すマグネシウム合金板の製造方法によって製造できる。マグネシウム合金板の製造方法は、例えば、鋳造工程と、熱処理工程と、圧延工程とを備える。このマグネシウム合金板の製造方法では、圧延工程の後に熱処理工程を行わない。以下、各工程を順に説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程は、マグネシウム合金からなる鋳造板を作製する工程である。マグネシウム合金は、上述した特定の組成を有する。鋳造板は、マグネシウム合金の溶湯を鋳造して作製する。鋳造方法は、例えば、連続鋳造法、重力鋳造法などである。連続鋳造法としては、例えば、双ロール法がある。双ロール法は、可動鋳型である一対のロール間に溶湯を供給して、ロールに接触させることで溶湯を急冷凝固させる方法である。溶湯を急冷凝固させることで、引け巣、ポア、偏析などの内部欠陥が少ない鋳造板を作製し易い。また、溶湯を急冷凝固させることにより、マグネシウム合金の結晶粒が小さくなるため、微細な結晶組織が得られる。
鋳造時における冷却速度は、例えば100℃/秒以上が好ましい。冷却速度は、マグネシウム合金の結晶粒の微細化の観点から、更に200℃/秒以上、500℃/秒以上が好ましい。冷却速度の上限は、実用上、2000℃/秒s以下である。
鋳造板の厚さは、例えば2mm以上6mm以下である。鋳造板の厚さは、更に2.5mm以上5.5mm以下、3mm以上5mm以下が好ましい。
(熱処理工程)
熱処理工程は、上記鋳造板を熱処理して、処理板を作製する工程である。熱処理は、例えば、連続熱処理炉、バッチ式熱処理炉などで行う。この熱処理は、均質化処理である。熱処理工程では、鋳造板の温度を350℃以上400℃以下とすることが好ましい。鋳造板の温度を350℃以上とすることで、マグネシウム合金中に溶け込んでいない元素を十分に固溶させ易い。鋳造板の温度を400℃以下とすることで、鋳造板の温度が過度に高過ぎず、過剰な酸化による変色を抑制し易い。また、鋳造板の温度を400℃以下とすれば、金属間化合物の溶融に起因する欠陥が少ない表面性状に優れた処理板を作製し易い。鋳造板の温度は、更に380℃以上400℃以下、390℃以上400℃以下が好ましい。
(圧延工程)
圧延工程は、上記処理板を圧延加工して、圧延板を作製する工程である。圧延加工は、リバース圧延又はタンデム圧延のいずれでもよい。圧延加工は、例えば、上下に互いに向かい合って配置される一対の圧延ロールを用いる。圧延工程では、一対の圧延ロール間に処理板を通すことで、処理板を圧延加工する。各圧延ロールは、互いに同径である。圧延ロールの回転軸は偏心しておらず、圧延ロールの中心に位置する。各圧延ロールの回転数は同一とする。
圧延加工は、圧延板の厚さが所定の厚さとなるように、複数パス行う。1パスあたりの圧下率Dは、例えば10%以上35%以下が好ましい。1パスあたりの圧下率Dは、{(t-t)/t}×100として求められる。tは、各パスにおける圧延前の板厚である。tは、各パスにおける圧延後の板厚である。各パスの圧下率は、同一であってもよいし、上記範囲内で異なっていてもよい。1パスあたりの圧下率Dは、更に20%以上35%以下、25%以上32%以下が好ましい。
1パス目から最終パスまでの総圧下率Dtは、例えば50%以上95%以下が好ましい。総圧下率Dtは、{(t-t)/t}×100として求められる。tは、圧延開始前の処理板の厚さである。この厚さを初期板厚という。初期板厚は鋳造板の厚さと実質的に同じである。tは、圧延終了後の圧延板の厚さである。この厚さを最終板厚という。総圧下率Dtは、更に60%以上95%以下、70%以上95%以下が好ましい。
圧延加工は、一対の圧延ロール間に供する処理板を特定の温度とすると共に、一対の圧延ロールを特定の温度とした状態で行う。処理板の温度及び圧延ロールの温度はそれぞれ、150℃以上300℃以下とする。処理板の温度は、各パスにおいて圧延ロールに処理板が通される直前の板の表面温度をいう。圧延ロールに通される直前とは、板材の幅方向中央の表面のうち、圧延ロールの直下から圧延方向とは反対向きに200mm以上500mm以下離れた地点をいう。圧延ロールの温度とは、圧延ロールの表面の温度をいう。
処理板の温度と圧延ロールの温度とを150℃以上とすることで、圧延加工が行い易い。処理板の温度と圧延ロールの温度とを300℃以下とすることで、マグネシウム合金の結晶粒の粗大化を抑制し易い。処理板の温度及び圧延ロールの温度は、更に200℃以上290℃以下、220℃以上260℃以下が好ましい。処理板の温度と圧延ロールの温度とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。処理板の温度と圧延ロールの温度とが同じであれば、圧延加工中に板の温度が変化せず、全長にわたって均質な組織を有する圧延板を作製し易い。
圧延加工は、複数のパスのうち、少なくとも最終パスにおいて特定の条件で行う。最終パス以外のパスでも特定の条件で圧延加工を行ってもよい。最終パスを含む全パスにおいて特定の条件で圧延加工を行うことが好ましい。
特定の条件とは、圧延温度を230℃以上とすることである。圧延温度とは、各パスにおいて圧延ロールから出た直後の板の表面温度をいう。圧延ロールから出た直後とは、板材の幅方向中央の表面のうち、圧延ロールの直下から圧延方向に200mm以上500mm以下離れた地点をいう。圧延温度は、更に235℃以上、240℃以上が好ましい。
〈その他の工程〉
圧延工程の後に、矯正工程を行ってもよい。矯正工程は、圧延板を矯正する工程である。矯正工程では、圧延板をレベラーロールに通すことで、圧延板の曲りを除去する。圧延板の矯正は、圧延板を構成するマグネシウム合金において再結晶が生じない状態で行う。具体的には、圧延板の矯正は、圧延板の温度を、例えば180℃以上250℃未満、更に200℃以上240℃以下とし、その温度で処理する時間を0.5分以上3分以下、更に1分以上2分以下とするとが好ましい。
圧延工程より後の工程では、圧延板に対してマグネシウム合金の再結晶が生じるような熱処理は行わない。具体的な熱処理としては、焼鈍処理が挙げられる。焼鈍処理では、圧延板を例えば250℃以上で1時間以上焼鈍する。そのため、本実施形態では、圧延工程の後に、焼鈍処理を実施しない。
[用途]
マグネシウム合金板1は、輸送機器の構成部材や電気・電子機器の構成部材などに利用できる。輸送機器としては、例えば自動車、航空機、鉄道などである。電気・電子機器は、例えば携帯電話やラップトップコンピュータなどである。特に、マグネシウム合金板1は、プレス加工品の素材に好適に利用できる。プレス加工品とは、マグネシウム合金板1を曲げ、絞りなどによってプレス加工したものをいう。曲げとは、マグネシウム合金板1を所定の形状に曲げる加工である。絞りとは、マグネシウム合金板1を所定の容器形状に成形する加工である。
[試験例1]
マグネシウム合金板の試料を作製した。作製したマグネシウム合金板を評価した。
(試料の作製)
マグネシウム合金板の試料は、上述したマグネシウム合金板の製造方法と同様にして、鋳造工程、熱処理工程、圧延工程を経て作製した。作製したマグネシウム合金板は圧延板である。
(鋳造工程)
鋳造工程では、マグネシウム合金からなる鋳造板を作製した。鋳造板は、双ロール連続鋳造装置を用いて、双ロール法により連続鋳造して作製した。鋳造時における冷却速度は1000℃/秒以上である。この試験例では、組成が異なるマグネシウム合金の溶湯を鋳造して、マグネシウム合金の組成が異なる鋳造板を作製した。
鋳造板の厚さは4.0mm又は4.2mmとした。鋳造板の幅は410mmとした。鋳造板の長さは20m以上とした。
(熱処理工程)
圧延工程では、鋳造板を熱処理して処理板を作製した。熱処理は、鋳造板の温度が400℃となるように鋳造板を加熱し、鋳造板を400℃で5時間保持した。
(圧延工程)
圧延工程では、処理板を圧延加工して圧延板を作製した。圧延加工は、1パスあたり一対の圧延ロールを備える圧延装置を用いて、圧延ロールの間に処理板を通すことで行った。一対の圧延ロールは、上下に互いに向かい合って配置されている。各圧延ロールは、互いに同径である。各圧延ロールの回転軸は偏心しておらず、圧延ロールの中心に位置する。各圧延ロールの回転数は同一とした。
圧延加工は、複数パス行った。各試料において圧延条件を異ならせた。但し、No.1-13からNo.1-15の試料については、No.1-1と同じ圧延条件とした。各試料における圧延条件を表1、表2に示す。
No.1-1、No.1-2、No.1-4及びNo.1-11は、厚さが4.0mmの鋳造板を熱処理した処理板を用いた。No.1-3及びNo.1-12は、厚さが4.2mmの鋳造板を熱処理した処理板を用いた。No.1-1からNo.1-3、及びNo.1-12からNo.1-15は5パスの圧延を行った。No.1-4は7パスの圧延を行った。No.1-11は6パスの圧延を行った。各パスにおける圧下率D、及び総圧下率Dtを表1に示す。表1中、「初期板厚」は、圧延開始前の処理板の厚さである。処理板の厚さは鋳造板の厚さと同じである。「最終板厚」は、圧延終了後の圧延板の厚さである。
圧延加工は、複数パスの各圧延において、圧延温度を制御した。圧延温度は、上述したように、圧延ロールから出た直後の板の表面温度である。各パスにおける圧延温度を表2に示す。各パスにおける圧延温度は、各パスにおける圧延ロールの温度と各パスにおける処理板の温度とを制御することにより制御した。各パスにおける圧延ロールの温度と各パスにおける処理板の温度とは、表2に示す圧延温度となるように、それぞれ設定した。各パスにおける圧延ロールの温度と各パスにおける処理板の温度とは表2に示す圧延温度と必ずしも一致しない。圧延温度の制御は、例えば、各パスにおける処理板の温度を圧延温度より高く設定し、各パスにおける圧延ロールの温度を圧延温度より低く設定する場合がある。また、圧延温度の制御は、例えば、各パスにおける処理板の温度、及び各パスにおける圧延ロールの温度を圧延温度より高く設定する場合がある。各パスにおける処理板の温度を圧延温度より高く設定しても、圧延ロールに接触するまでに板の温度が下がることがある。この試験例では、各パス間で板を加熱した。加熱時間は30分間とした。
No.1-1からNo.1-4は、最終パスを含む全パスにおいて、圧延温度を230℃以上とした。No.1-11及びNo.1-12は、最終パスの圧延温度を230℃未満とした。
No.1-13からNo.1-15は、圧延工程の後、焼鈍処理を行った。表2中、「焼鈍処理(有/無)」の欄が「有」の場合、圧延板を焼鈍したことを示す。また、「無」の場合、圧延板を焼鈍していないことを示す。No.1-13は、圧延板を250℃で1時間焼鈍した。No.1-14は、圧延板を300℃で1時間焼鈍した。No.1-15は、圧延板を350℃で1時間焼鈍した。No.1-1からNo.1-4、No.1-11及びNo.1-12は、圧延工程の後、焼鈍処理を含む熱処理を行っていない。
Figure 2023002015000002
Figure 2023002015000003
(組成)
各試料のマグネシウム合金板を構成するマグネシウム合金の組成を表3に示す。マグネシウム合金の組成はICP発光分光分析法に求めた。表3に示す各元素の含有量は、マグネシウム合金に含まれる元素の合計含有量を100質量%としたときの値である。No.1-1の組成とNo.1-13からNo.1-15の各組成とは同じである。No.1-3の組成とNo.1-12の組成とは同じである。
Figure 2023002015000004
(組織)
各試料のマグネシウム合金板の組織分析として、マグネシウム合金の結晶の底面の結晶方位の分布を調べた。底面の結晶方位の分布は次のようにして測定した。
組織分析用の第一測定片を各試料のマグネシウム合金板から作製した。
第一測定片は、研磨に先立ち、板幅方向に直交する断面が研磨面となるように研磨用治具に固定した。研磨治具を株式会社池上精機製IS-POLISHERに取り付け、第一測定片に対して面出し研磨、中間研磨、仕上げ研磨の順に行った。面出し研磨は、炭化ケイ素を砥粒とする研磨紙を用いた。研磨紙の番手は、#400、#1200、#2000の3種類とした。中間研磨は、研磨剤として粒度が0.3μmの酸化アルミニウムを用いた。仕上げ研磨は、研磨剤として粒度が0.04μmの二酸化ケイ素を用いた。仕上げ研磨後、エタノールにより表面を洗浄し、組織分析用の第一測定片とした。
各第一測定片を、EBSD測定用の試料台に固定した。その際、圧延方向が試料台の取付面の水平方向に一致するように取り付けた。このとき、圧延方向と試料台の取付面の水平方向との誤差は概ね0.5°以下である。第一測定片が固定された試料台をFE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)に挿入した。このFE-SEMの装置は、日本電子社製JSM-7000Fを用いた。FE-SEMの試料室内を真空状態とした。測定条件は、室温、加速電圧を10kVとした。
各第一測定片の断面から観察視野を1つとる。観察視野の大きさは、板厚方向の長さを板表面から板厚中央までとし、圧延方向に沿った長さを180μm以上とした。
EBSD法により、第一測定片ごとの各観察視野における結晶方位を測定した。株式会社TSLソリューションズ社製OIM Analysis(Version8.5)を用いて、結晶方位の分布を解析して、極点図を取得した。極点図は、結晶の底面の結晶方位の強度分布を等高線で示している。照射した電子線のスポット径は0.05μm程度である。電子線の走査間隔は、0.5μmとした。上記解析ソフトウェアにおける信頼値係数(Confidence Index)が0.1以上のデータ点を採用した。信頼値係数とは、EBSD法による指数付け/方位計算の結果の信頼性を表す指標で、0.1以上の信頼値係数は、95%以上の正しい指数付け/方位計算がされたことを表す。
各試料のマグネシウム合金板における結晶の底面の極点図を図6から図14に示す。
(底面の結晶方位の強度)
各試料の極点図から、上述した平均強度I、平均強度I、最大強度Imaxを求めた。その結果を表4に示す。平均強度Iと平均強度Iとの比I/Iを求めた。その結果も表4に併せて示す。
(KAM値)
また、各試料におけるマグネシウム合金の結晶粒のKAM値を調べた。KAM値は次のようにして求めた。EBSD法により、第一測定片ごとの各観察視野における結晶方位を測定し、上記解析ソフトウェアを用いて解析することにより、KAM値を取得した。KAM値の計算は、上述したように、測定点のピクセルと隣接するピクセルとの方位差が5°以下の境界に対して行った。そして、全ての測定点におけるKAM値の平均値を計算し、当該試料のKAM値とした。その結果を表4に示す。
Figure 2023002015000005
表4に示すように、No.1-1からNo.1-4は、平均強度Iが2.50以上4.00以下の範囲内であった。更に、No.1-1からNo.1-4は、最大強度Imaxが4.5以上6.5以下の範囲内であった。No.1-1からNo.1-4は、KAM値が0.4°以上1.1°以下の範囲内であった。これに対し、No.1-11からNo.1-15は、平均強度I、最大強度Imax、及びKAM値がそれぞれ上記範囲外であった。
(機械的特性)
各試料のマグネシウム合金板の機械的特性を評価した。ここでは、機械的特性として、0.2%耐力、伸び、及び引張強さをそれぞれ測定した。伸びは破断伸びとする。0.2%耐力、伸び、及び引張強さは、圧延方向及び板幅方向のそれぞれについて測定した。0.2%耐力、伸び、及び引張強さは次のように測定した。
各試料のマグネシウム合金板から第一試験片と第二試験片の2種類の試験片を作製した。各試験片は、JIS 13B号の板状片とし、マグネシウム合金板の任意の箇所から採取する。なお、マグネシウム合金板の周縁及びその近傍の領域を除いて試験片をとると、適正な測定が行い易く好ましい。例えば、上記周縁から5mm以上離れた内側の領域から、各試験片をとる。各試験片は、標点間距離50mm、幅12.5mmの小型試験片とした。第一試験片は、その長手方向がマグネシウム合金板の圧延方向に沿ったものとした。第二試験片は、その長手方向がマグネシウム合金板の板幅方向に沿ったものとした。「金属材料引張試験方法 JIS Z 2241:2011」に準拠し、室温で各試験片の長手方向に沿って引張力を付与した。
各試料のマグネシウム合金板における0.2%耐力、伸び、及び引張強さを表5に示す。表5中、「方向」の欄に示す「RD」は圧延方向であることを示す。また、「TD」は板幅方向であることを示す。0.2%耐力については、圧延方向の0.2%耐力、板幅方向の0.2%耐力、両方の0.2%耐力の平均値、及び両方の0.2%耐力の差を表5に示す。0.2%耐力の差は絶対値で示す。伸びについては、圧延方向の伸び、板幅方向の伸び、及び両方の伸びの平均値を表5に示す。引張強さについては、圧延方向の引張強さ、及び板幅方向の引張強さを表5に示す。
Figure 2023002015000006
(塑性加工性)
各試料のマグネシウム合金板の塑性加工性を評価した。ここでは、No.1-1、No.1-2、No.1-4、No.1-11、及びNo.1-13からNo.1―15については、エリクセン値を測定した。No.1-3、及びNo.1-12については、実際に絞り加工を行い、絞り加工性を評価した。
(エリクセン値)
マグネシウム合金板から正方形状の試験片を切り出した。試験片の一辺の長さは90mmとした。エリクセン値は、「エリクセン試験機 JIS B 7729(2005)」及び「エリクセン試験方法 JIS Z 2247(2006)」に準拠して測定した。測定は室温で行った。エリクセン値を表6に示す。No.1-3、及びNo.1-12については、エリクセン値を測定していないので、「エリクセン値」の欄は「-」とする。
(絞り加工性)
絞り加工性は、マグネシウム合金板を常温の状態で円筒深絞り加工し、割れの有無を目視にて確認することで評価した。常温とは、室温下で外部から加熱や冷却を行わないことを意味し、室温と同じである。
マグネシウム合金板から円板状の試験片を切り出した。試験片の径は80mmとした。円筒深絞り加工には、パンチとダイとホルダとを備える金型を用いた。パンチは、試験片を押圧する。パンチの形状は円柱状である。パンチの径は40mmとした。即ち、絞り比は2.0である。絞り比は、試験片の径/パンチの径、である。パンチの肩の曲げ半径は5mmとした。ダイとホルダとは、試験片を挟む。ダイとホルダとは、パンチが挿通される孔部を有する。ダイは、試験片が載置される。ホルダは、試験片の周縁部を支持して、試験片の加工時におけるしわの発生を抑制する。ダイとホルダとは、試験片を加熱できるようにヒータが内蔵されている。試験片は、ダイの孔部を塞ぐようにダイの端面に配置され、ダイとホルダとによって挟まれる。
金型の温度は250℃とした。プレス速度は50mm/sとした。常温のマグネシウム合金板を金型に配置した直後にプレスした。「金型に配置した直後」とは、マグネシウム合金板が金型にセットされてから、プレスを開始するまでの時間が10秒以内であることをいう。プレス加工中、マグネシウム合金板を加熱するためにプレスの停止は行わない。プレスは、試験片とパンチとの間と試験片とダイとの間とにフッ素樹脂シートを介在させて行った。円筒深絞り加工後、加工品のコーナー部分における割れの有無を目視にて観察した。割れが観察されなかった場合、絞り加工性の評価を「A」とする。割れが1つでも観察された場合、絞り加工性の評価を「B」とする。その結果を表6に示す。No.1-1、No.1-2、No.1-4、No.1-11、及びNo.1-13からNo.1―15については、絞り加工性を評価していないので、「絞り加工性」の欄は「-」とする。
(熱伝導率)
各試料のマグネシウム合金板の熱伝導率を測定した。熱伝導率は次のようにして求めた。各試料のマグネシウム合金板から測定用の試験片を採取した。試験片のサイズは、長さが25mm、幅が5mm、厚さが0.4mmとした。市販の測定装置を用いて、光交流法により熱拡散率を測定した。ここでは、測定装置として、アドバンス理工株式会社製、光交流法熱拡散率測定装置 LaserPITを用いた。測定した熱拡散率に基づいて、熱伝導率を算出した。熱伝導率は、熱拡散率×比熱容量×密度として求めた。測定は室温で行った。測定方向は板厚方向とした。熱伝導率を表6に示す。
Figure 2023002015000007
表5に示すように、No.1-1からNo.1-4は、RD方向、即ち圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上、かつ、RD方向の伸びが20%以上を満たしていた。更に、No.1-1からNo.1-4は、0.2%耐力の平均値が150MPa以上、かつ、伸びの平均値が18%以上であった。No.1-1からNo.1-4は、0.2%耐力の差が50MPa以上であった。No.1-1からNo.1-4は、高強度でありながら、十分な延性を確保できており、強度と延性とのバランスに優れている。
表6に示すように、No.1-1からNo.1-4は、エリクセン値が4.5mm以上を満たす、又は、絞り加工性の評価が「A」であった。したがって、No.1-1からNo.1-4は、良好な塑性加工性を有している。
これに対し、No.1-11からNo.1-15は、RD方向の0.2%耐力が190MPa以上、かつ、RD方向の伸びが20%以上を満たしていない。No.1-11及びNo.1-12は、0.2%耐力が高いが、伸びが小さい。そのため、No.1-11及びNo.1-12は、高強度であるが、延性点で不十分である。No.1-11は、エリクセン値が4.5mm未満であり、塑性加工性が低い。No.1-12は、絞り加工性の評価が「B」であり、塑性加工性が低い。
一方、No.1-13からNo.1-15は、0.2%耐力が低いが、伸びが大きい。そのため、No.1-13からNo.1-15は、塑性加工性に優れるとはいうものの、強度点で不十分である。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 マグネシウム合金板
1f 板表面
10,11,12 結晶
15 底面
70 極点図
R1 第一領域、AR2 第二領域
T1 第三領域、AT2 第四領域
Pm,P1,P2,P3,P4,P5,P6 ピクセル
RD 圧延方向
TD 板幅方向
ND 板厚方向
C 円周方向、R 半径方向
α,β 角度

Claims (9)

  1. マグネシウム合金からなるマグネシウム合金板であって、
    前記マグネシウム合金は、
    0.5質量%以上2.0質量%以下の亜鉛と、
    0.05質量%以上0.3質量%以下のカルシウムとを含み、
    残部がマグネシウム及び不可避不純物である組成を有し、
    前記マグネシウム合金の結晶の底面の極点図において、圧延方向における前記底面の結晶方位の平均強度が2.50以上4.00以下であり、
    前記圧延方向の前記平均強度は、前記極点図の第一領域における前記底面の結晶方位の平均強度と、前記極点図の第二領域における前記底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、
    前記第一領域は、前記極点図における円周方向の角度が0°±30°の範囲で、かつ、前記極点図における半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
    前記第二領域は、前記円周方向の角度が180°±30°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が5°から25°の範囲で囲まれた領域であり、
    前記円周方向の角度は、前記圧延方向を0°として、前記圧延方向から反時計回りに0°から360°の範囲で表した角度であり、
    前記半径方向の角度は、前記極点図の中心を0°とし、前記極点図の外周を90°として、0°から90°の範囲で表した角度である、
    マグネシウム合金板。
  2. 前記底面の結晶方位の最大強度が4.5以上6.5以下である、請求項1に記載のマグネシウム合金板。
  3. 前記圧延方向の前記平均強度と、前記極点図の板幅方向における前記底面の結晶方位の平均強度との比が0.80以上1.20以下であり、
    前記板幅方向の前記平均強度は、前記極点図の第三領域における前記底面の結晶方位の平均強度と、前記極点図の第四領域における前記底面の結晶方位の平均強度との平均値であり、
    前記第三領域は、前記円周方向の角度が90°±10°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が30°から70°の範囲で囲まれた領域であり、
    前記第四領域は、前記円周方向の角度が270°±10°の範囲で、かつ、前記半径方向の角度が30°から70°の範囲で囲まれた領域であり、
    前記板幅方向は板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する方向である、請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム合金板。
  4. 前記マグネシウム合金の結晶粒のKAM値が0.4°以上1.1°以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
  5. 前記圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、
    前記圧延方向の伸びが20%以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
  6. 前記圧延方向の0.2%耐力と、板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する板幅方向の0.2%耐力との平均値が150MPa以上であり、
    前記圧延方向の伸びと前記板幅方向の伸びとの平均値が18%以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
  7. 前記圧延方向の0.2%耐力と、板厚方向と前記圧延方向との双方に直交する板幅方向の0.2%耐力との差が50MPa以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
  8. 前記圧延方向の0.2%耐力が190MPa以上であり、
    エリクセン値が4.5mm以上である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
  9. 熱伝導率が120W/m・K以上である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板。
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