本発明は、係留索の取り放し方法及び装置に関する。
一部のターミナルでは、埠頭は船舶の長さよりも短い。これは、船舶が船舶の全長に沿って埠頭側に直接係留され得ないことを意味する。石油タンカーまたは液化天然ガスタンカーの場合、船舶が小さな特注のターミナルまたはサービスプラットフォームに係留されていることが多い。これらのような場合、船舶は、中央埠頭またはサービスプラットフォームに係留されるが、「ムアリングドルフィン」及び「ブレスティングドルフィン」と称されることがある、追加の小型の隣接するサテライトオフショア係留構造体にも係留される。
小型サテライトオフショア係留構造体を、中央埠頭から後退させることができる。これは、船舶の船体が中央埠頭に隣接している場合、船舶のバウ及びスターンが小型のオフショア係留構造体に隣接していないことを意味する。
場合によっては、船舶のバウまたはスターンと、小型サテライトオフショア係留構造体との間の距離が大きいことがある。これは、係留索が船舶から埠頭側に渡される、または投げ落とされることができないことを意味する。この場合、係留索は、曳船によって船舶からサテライトオフショア係留構造体に物理的に移動する必要がある。
係留索を曳船に渡す際の問題は、係留索を船舶の甲板から曳船上に手動で投げなければならないことである。これは難しい場合があり、船員は、係留索が曳船によって拾われるように、係留索を曳船の十分近くにうまく置こうとするのに数回かかることがある。場合によっては、係留索を、曳船上の船員がボートフックで捕らえる。係留索が水に入ると、状況によっては係留索の重量が増加し、その綱取り放しが困難になる。
既知のタグボートは、NL1010650に示されており、これは、曳航索に連結されたフックを使用するタグボートを説明し、このフックは船舶から懸吊する軽い索を捕らえるためにブーム上に取り付けられる。フックは、軽い索を捕らえ、軽い索が船舶まで引き戻されると、曳航索は船舶まで引き上げられ、船舶に取り付けられる。NL1010650に示されている配置は、曳航索を管理するためのものであり、曳航索を船舶上まで渡す必要があるため、綱取り放し時間が長くなる。この配置は、係留索の綱取り放しには適していない。
本発明では、船舶に取り付けられた第一端部を有する係留索を取り放す方法が提供される。方法は、曳船に取り付けられた可動アームを用いて係留索の第二端部を捕捉することと、曳船に対して第一端部と第二端部との間の係留索の中央部を固定することと、係留索の中央部が曳船に固定されている間に、係留索の第二端部を第一位置から第二位置に移動させることとを含む。
任意選択で、捕捉することは、船舶の甲板から懸吊された第二端部を把持することを含む。
任意選択で、固定することは、曳船の船体に対して固定された固定機構内に係留索の中央部を位置決めすることを含む。
任意選択で、方法は、係留索の中央部を固定する前に、係留索の中央部を曳船の周辺部の外側位置から曳船の周辺部の内側位置に移動させることを含む。
任意選択で、可動アームは、係留索の第二端部及び中央部を同時に移動させる。
任意選択で、可動アームは、曳船に対して回転可能である、または摺動可能である。
任意選択で、可動アームは、曳船に対して実質的に180度の弧を描いて回転可能である。
任意選択で、方法は、係留索の中央部が曳船に固定された後、曳航索または係留索を曳船で曳航することを含む。
任意選択で、方法は、係留索の第二端部が第二位置に移動されると、取り放すために、係留索の第二端部を提供することを含む。
任意選択で、係留索の第二端部は、陸にいる人による手動の取り放しのために提供される。
任意選択で、方法は、第二端部と固定された中央部との間の係留索をたるませることを含む。
任意選択で、たるませることは、係留索の第二端部に結合された可動アームを、固定された中央部に向けて移動させることを含む。
任意選択で、係留索の第一端部と、固定された中央部との間の張力は、固定された中央部と係留索の第二端部との間の張力よりも大きい。
任意選択で、可動アームは入れ子式である。
任意選択で、方法は、可動アームの操作者に可動アームの画像を表示することを含む。
任意選択で、方法は、可動アームが係留索の第二端部を把持することに成功したときに可動アームの操作者にフィードバックを提供することを含む。
任意選択で、係留索の中央部は、曳船のプロパルサの前で曳船に対して固定される。
任意選択で、方法は、曳船コントローラによって自律的に、または曳船の操作者によって手動で実行される。
本発明の第二態様では、船舶に取り付けられた第一端部を有する係留索を取り放すための綱取り放し装置が提供される。この綱取り放し装置は、曳船に取り付けられ、係留索の第二端部を捕捉するように配置される可動アームと、曳船に取り付けられ、曳船に対して第一端部と第二端部との間の係留索の中央部を固定するように配置された固定機構とを含み、係留索の中央部が曳船に固定されている間に、可動アームは係留索の第二端部を第一位置から第二位置に移動させるように配置される。
本発明の別の態様では、第二態様による綱取り放し装置を含む曳船が提供される。
本発明は、ここで添付の図面を参照してほんの一例として説明される。
図1は、船舶102を係留するためのターミナル100の斜視図を示す。船舶102は、石油タンカー、LNGタンカー、コンテナ船、ばら積み貨物船、またはターミナルに係留され得る任意の他の船舶など、あらゆるタイプの船舶であることができる。ターミナル100は、桟橋構造体108を介して陸106から延出する中央埠頭またはサービスプラットフォーム104を備える。ターミナル100は、キャットウォーク122、124を介して中央埠頭104に連結された小型サテライトオフショア係留構造体110、112をさらに含む。いくつかの例では、サテライトオフショア係留構造体110、112は、「ブレスティングドルフィン」または「ムアリングドルフィン」と称される。ただし、オフショア係留構造体は、船舶102を係留するのに適切な任意の配置であることができる。以後、「オフショア係留構造体」という用語が使用される。
小型サテライトオフショア係留構造体110、112を、中央埠頭104から後退させる。この方法では、船舶102が中央埠頭104に隣接していると、船舶102のスターン114及びバウ116と、小型サテライトオフショア係留構造体110、112との間に明らかに水がある。いくつかの例では、小型サテライトオフショア係留構造体110、112と船舶102との間の距離は、20mから90mの間である。いくつかの例では、係留索118、120は35mから75mの間である。いくつかの他の例では、係留索118、120は45mから65mの間である。いくつかの他の例では、係留索118、120は約55mである。いくつかの例では、小型サテライトオフショア係留構造体110、112と船舶102との間の距離は、船舶102のビームB(図1に示されるような)の半分よりも大きい。
これは、第一及び第二係留索118、120が、船舶102と、小型サテライトオフショア係留構造体110、112との間で運ばれることを意味する。船舶102と小型サテライトオフショア係留構造体110、112との間の距離が第一及び第二係留索118、120を手動で投げるには遠すぎるため、第一及び第二係留索118、120は、船舶102から小型サテライトオフショア係留構造体110、112に運ばれる。
いくつかの他の例では、第一及び第二係留索118、120は、船舶102から陸106(小型サテライトオフショア係留構造体110、112ではなく)に運ばれる。この例では、船舶102のバウ116及びスターン114は、第一及び第二係留索118、120を介して陸106に係留されている。このように、いくつかの例では、ターミナル100は、任意選択で、小型サテライトオフショア係留構造体110、112を含まない。
図1は、船舶102を係留するために使用される、船舶102のための第一及び第二係留索118、120を示す。ただし、他の例では、船舶102を中央埠頭104に係留するための追加の係留索、及び追加の小型サテライトオフショア係留構造体110、112があり得る。さらに、船舶102を陸106に係留する、さらなる係留索が設けられ得る。
いくつかの例では、曳船200を使用して、係留索118、120を取り放す。曳船200は、第一係留索118及び/または第二係留索120を曳航しながら、船舶102と、小型サテライトオフショア係留構造体110、112との間を移動するように配置される。次に、曳船200は、その他の図面に関してさらに詳細に議論される。
図2は、曳船200及び船舶102の側断面図を示す。曳船200は、係留索118、120を取り放し、それらを必要に応じて小型サテライトオフショア係留構造体110、112または陸106に運ぶように配置される。
下記の例は、曳船200に参照が行われる。ただし、他の例では、曳船200は、他の船舶102に係留索の綱取り放しを必要とする、任意の他のタイプの船舶であり得る。以後、「曳船」という用語は、綱取り放し方法に関連して使用されるが、曳船は、係留索の綱取り放しを実行するのに適切な任意のタイプの船舶であることができる。
さらに、下記の例は、係留索118、120に関してなされている。ただし、綱取り放し方法は、係留中に取り放しが必要なあらゆる索、ワイヤ、またはロープにも適用できる。
図2は、船舶102のバウ116で係留索120を取り放す前の曳船200を示す。明瞭性ために、船舶102の一部のみを図2に示す。水面202を図2に示し、点線で表す。
図2は船舶102のバウ116に位置決めされた曳船200を示しているが、船舶102に対する曳船200の位置は例示であり、曳船200は係留索120を取り放す目的のために、船舶102に対して任意の位置にあり得る。
図1に示されるように、第一小型サテライトオフショア係留構造体110を使用して、船舶102のスターン114に第一係留索116を繋ぐ。同様に、第二小型サテライトオフショア係留構造体112を使用して、船舶102のバウ116に第二係留索120を繋ぐ。他の例では、第一及び第二係留索118、120は、船舶102上の任意の適切な位置に取り付けられることができる。
第一及び第二係留索118、120は、ボラード、キャプスタン、または任意の他の適切な締結配置(図2には示されていない)を介して船舶102に取り付けられる。
図2に示される係留索120は、船舶102に取り付けられる第一端部212を含む。係留索120の第二端部214は、曳船200による捕捉の準備ができている船舶102のバウ116から懸吊される。第一端部212と第二端部214との間には、係留索120の中央部216がある。係留索120の中央部216は、綱取り放し作業中に曳船200に固定されるように構成される。これは、以下でさらに詳細に論議される。係留索120の中央部216は、第一端部212と第二端部214との間の係留索120の任意の部分であることができる。
いくつかの例では、係留索120の第二端部214は、ループまたはアイ218を備える。ループまたはアイ218は、ボラード400またはキャプスタンまたは他の静止構造体の上に置かれるように配置される。いくつかの他の例では、係留索120の第二端部214はループ218を含まず、第二端部214はボラード400に結び付けられる(図4に示されるように)。図4は、曳船200及び船舶102の側断面図を示し、曳船200は埠頭、またはサテライトオフショア係留構造体110、112などの係留構造体に隣接している。
ここでは、曳船200は、図2を参照してさらに詳細に議論される。
曳船200は、船体204、及びこの船体204に取り付けられた少なくとも1つのフェンダー206を含む。フェンダー206は、曳船200が船舶102または埠頭側に安全に係合することができるように、船体204から外向きに突出する。このような方法では、曳船200を船舶102の側面に押し付けることがあるが、船舶102と曳船200の船体204との間の少なくとも1つのフェンダー206により、船舶102か曳船200かいずれかへの損傷が防がれる。
いくつかの例では、曳船200は、船体204の周辺部500(図5に最もよく示される)上に取り付けられる周方向フェンダー206を含む。図5は、軸A-Aを横切る曳船200の断面図を示す。
いくつかの代替例では、フェンダー206は、船体204の周辺部500の周りに配置される複数のフェンダー206であることができる。図2に示されるフェンダー206は、曳船200のガンネル上に取り付けられた圧縮可能なゴム管である。他の例では、フェンダー206は、ゴム製タイヤ(図示せず)などの複数の圧縮可能な物体である。任意選択で、いくつかの例では、少なくとも1つのフェンダー206が省略され得る。
曳船200は、船体204に取り付けられた少なくとも1つのプロパルサ208を含む。
一例では、曳船200は、曳船200に推進力を与えるために複数のプロパルサ208、302(横並びの2つのプロパルサ208、302が図5に最もよく示される)を含む。図2は、単一のプロパルサ208を示すが、さらなるプロパルサが設けられる。いくつかの例では、プロパルサ208は、アジマススラスター208である。いくつかの例では、曳船200は2つのプロパルサ208、302を含む。いくつかの例では、曳船200のプロパルサ208、302は、少なくとも2トンのボラードプルを有する推力を生じるように構成される。
このように、曳船200は、船舶102と、小型サテライトオフショア係留構造体110、112との間で係留索120を運ぶのに十分な推力を用いて係留索120を引くことができる。いくつかの実施形態では、曳船は、1メートルあたり1Kgから20Kgの間の重量を有する係留索120を引くように構成される。一例では、係留索は1メートルあたり10kgの重量を有する。このようにして、曳船は100kgから2000Kgの重さの100mの係留索を引くことができる。
いくつかの例では、複数のプロパルサ208、302は、垂直軸を中心に回転して複数の方向に推力を向けることができる、アジマススラスターである。一部のアジマススラスターは、「アジポッド」としても知られている、アジマスポッドドライブである。以後、アジマスポッドドライブはアジマススラスターと称される。その他のプロパルサ302(図2には示されないが、図5に示される)は、第一プロパルサ208に隣接して平行に位置している。いくつかの他の例では、1つ以上のプロパルサ208、302は、Voith原理を使用することができる。いくつかの他の例(図示せず)では、3つ以上のプロパルサが存在し得る。
一例では、少なくとも1つのプロパルサ208、302は、プロペラ、スラスター、ラダープロペラ、電気ラダープロペラ、固定ピッチプロペラ、可変ピッチプロペラ、アジマススラスター、ウォータージェットプロパルサ、またはアジマスポッドドライブスラスターのうちの1つ以上である。別の例では、少なくとも1つのプロパルサはバウスラスターである。前述のように、少なくとも1つのプロパルサ208、302は、曳船200のスターン210に取り付けられるが、他の例では、追加で、または代替に、少なくとも1つのプロパルサ208、302は、他の箇所、例えば曳船のバウ224で船体204に取り付けられることができる。他の例では、少なくとも1つのプロパルサ208、302は、曳船200に推進力を与えるのに適した任意の手段であり得る。
いくつかの例では、少なくとも1つのプロパルサ208、302は、第一原動機600(図6に示されるような)に結合され、それによって駆動される。図6は、曳船200の構成要素の概略図を示す。いくつかの例では、第一原動機600は、ディーゼル機関、電動機、またはディーゼル電気ハイブリッドシステムであり得る。ディーゼル機関は、4ストロークディーゼル機関または2ストロークディーゼル機関であり得る。他の例では、機関600は、あらゆるタイプの化石燃料を燃焼させることができる内燃機関である。いくつかの例では、第一原動機600は、少なくとも1つのプロパルサ208、302に動力を供給するのに適切な任意の手段であることができる。
曳船200は、甲板502及び/または船体204上に取り付けられる操舵室222を含む。操舵室222は、曳船200の曳船運用制御装置を含む。曳船200の推力及び船首方位は、操舵室制御装置602(図6に示されるような)を備えた曳船200の船長によって操舵室222から制御される。操舵室222からの曳船200の操船はよく知られており、簡潔にするためにこれ以上議論しない。
船長は、以下でさらに詳細に議論される、綱取り放し方法を推し進めるために曳船200の他の運用特徴をさらに制御することができる。いくつかの例では、操舵室222はオプションであり、曳船200の制御は自律的である、または陸106から遠隔制御される。遠隔制御及び自律制御のタグボートは、デンマーク特許出願PA201670186及びPA201670185に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用されている。図6に示されるようなコントローラ608は、曳船200の自律制御または遠隔制御を実行するように構成される。簡潔にするために、曳船200の自律制御または遠隔制御についてこれ以上議論しない。
ここで、綱取り放し方法及び装置についてさらに詳しく議論する。曳船200は、係留索120を取り放すための綱取り放し装置220を備える。綱取り放し装置220は、係留索120が操舵室222の船長によって遠隔で、または他の人によって遠隔で取り放されることができるように配置される。いくつかの例では、綱取り放し方法の遠隔操作は、曳船200上の人によってではなく、陸上で実行される。
遠隔綱取り放しを提供することにより、これは、甲板員が甲板502上に立つ必要がなく、船舶102から投げ落とされた係留索120に衝突する可能性がないことを意味する。これは、係留索120が綱取り放し装置220によって取り放されている間、甲板員が他のより安全な作業を実行していることができることを意味する。したがって、綱取り放し装置220は、曳船200上の船員の安全性及び効率を向上させる。
図2は、曳船200に取り付けられた綱取り放し装置220を示す。綱取り放し装置220は、曳船200の船体204または甲板502に取り付けられ得る。曳船200は、係留索120を綱取り放し装置220及び曳船200に結合する準備ができて、綱取り放し装置220が位置決めされるような構成にある。
綱取り放し装置220は、複数の位置の間で可動な可動アーム226を備える。いくつかの例では、可動アーム226は、曳船200に取り付けられるピボット228を中心に旋回可能である。可動アーム226は、いくつかの例では、実質的に180度の弧を介して旋回可能である。このようにして、可動アーム226は、曳船200上のスターン位置から曳船220上のバウ位置に移動させることができる。可動アーム226の旋回可能な動きは、曲線の点線の矢印Cで図2に示される。図2及び3は、スターンからバウに移動する可動アーム226を示すが、他の例では、可動アーム226は、他の方向を通じて、例えば曳船200の左舷側から右舷側などに旋回可能である。
任意選択で、可動アーム226は、可動アーム226の長手方向軸B-Bに沿って可動である。この方法では、可動アーム226はその到達範囲を伸長することができる。例えば、可動アーム226は、その到達範囲を、曳船200の周辺部500を越えて、懸吊された係留索120に向けて伸長することができる。いくつかの例では、可動アーム226は入れ子式であり、可動アーム226は可動アーム226の長手方向軸B-Bに沿って伸長可能である。
いくつかの例では、可動アーム226は、折りたたみ機構(図示せず)など、入れ子機構以外の他の機構で伸長可能である。代替的は、または追加的に、可動アーム226は折りたたみ可能であり、可動アーム226は、可動アーム226が可動アーム226の到達範囲を伸長することができるように、可動アーム226の中央部分にヒンジまたはピボット(図示せず)を含む。
綱取り放し装置220は、可動アーム226を異なる位置の間(例えば、図2及び3にそれぞれ示されるスターン位置とバウ位置との間)に移動させるために、可動アーム226に結合された少なくとも1つのアクチュエータ230を含む。図2に示されるような少なくとも1つのアクチュエータ230は、甲板502または船体204に取り付けられた油圧シリンダ230であり、可動アーム226の旋回運動を引き起こす。油圧シリンダ230は、油圧システム604(図6に示されるような)に結合される。油圧システム604は、機関600または別個の油圧発電機セット(図示せず)によって動力が供給され、曳船200上で油圧によって動力が供給されるさまざまな機能を駆動する。いくつかの例では、油圧システム604の制御は、操舵室制御装置602から実行されることができる。
可動アーム226の伸縮運動は、いくつかの例では油圧で作動する。同様に、追加の油圧アクチュエータ(図示せず)は、可動アーム226及び油圧システム604に結合されて、可動アーム226の入れ子部品を伸長させる。図2に示されるような可動アーム226は、曳船200の周辺部500を越えて部分的に伸長する。可動アーム226は、曳船200の周辺部500内に完全に引き込まれることができる。可動アーム226が完全に引き込まれると、可動アームは、安全に位置決めされ、出航のために収納され得る。
いくつかの例では、可動アーム226は、曳船200の周辺部500をはるかに越えて伸長することができる。いくつかの例では、可動アーム226は、曳船200の周辺部500を越えて15メートルまたは10メートルまたは7メートルまたは5メートルまたは2メートルまたは1メートルの到達範囲まで完全に伸長する。
いくつかの例(図示せず)では、可動アーム226が軸A-Aを中心に回転可能であるように、可動アーム226は回転可能な基部上に取り付けられる。このようにして、可動アーム226は、曳船200の左舷側から曳船200の右舷側に可動である。いくつかの他の例では、可動アーム226は回転可能な基部上に取り付けられず、可動アーム226は曳船200を操船することによって左舷方向または右舷方向に移動する。
他の例では、可動アーム226は、可動アーム226の旋回可能な動きを引き起こすために、ピボット228に取り付けられた電動機に結合される。他の例では、可動アーム226は、曳船の船体204に対して可動アーム226を移動させるために、レール(図示せず)上で摺動自在に取り付けられ得る。レールは、曳船200の甲板502に取り付けられる。したがって、可動アーム226は、曳船200に対して旋回するのではなく、任意選択で摺動することができる。いくつかの例では、可動アーム226は、曳船200の甲板502に対して摺動可能であり、旋回可能である。
綱取り放し装置220は、係留索120の第二端部214を捕捉するためのグリッパ232を含む。一例では、グリッパ232は、開位置と閉位置との間で動くように構成された一対のジョー234を含む。一対のジョー234は、一対のジョー234が閉位置にあるときに、係留索120の第二端部214を囲み、把持するように構成される。一対のジョー234が閉位置にあるとき、第二端部214はグリッパ232に物理的に結合され、係留索120は遠隔で取り放されることができる。いくつかの例では、グリッパ232は、油圧システム604に連結され、操舵室制御装置602から遠隔操作されることができる。
いくつかの例では、グリッパ232は一対のジョー234を含まない。代わりに、グリッパ232は、第二端部214内のループ218を掛止するためのフックである。いくつかの例では、グリッパ232は、係留索120の第二端部214を物理的に係合するのに適切な任意の機構または装置である。
いくつかの例では、グリッパ232は、可動アーム226の端部に取り付けられ、固定される。他の例では、グリッパ232は、グリッパ232が軸B-Bを中心に回転することができるように、可動アーム226の端部に任意選択で回転自在に取り付けられる。グリッパ232の回転は、油圧システム604に結合されたサーボ(図示せず)または油圧アクチュエータによって実行されることができる。
綱取り放し方法を参照した可動アーム226の動きは、以下でさらに詳細に議論される。
曳船200が船舶102に接近すると、可動アーム226は、任意選択で、曳船200の船体204の周辺部500を越えて伸長する。このようにして、可動アーム226は、係留索120の懸吊された第二端部214に向けて入れ子式で伸長する。他の実施形態では、可動アーム226は入れ子式または伸長可能ではなく、可動アーム226は第二端部214を把持するのに適切な位置で旋回する。
前述のように、可動アーム226及びグリッパ232の動き及び制御は、操舵室制御装置602から制御される。いくつかの例では、可動アーム226の操作者は、操舵室222から可動アーム226及びグリッパ232を見ることができる。ただし、他の例では、可動アーム226は、甲板502に取り付けられた機器のために視界から隠されている。いくつかの例では、可動アーム226の操作者は、操作者が操作中に可動アーム226を見ることができない場合、可動アーム226のステータス情報を受信する。
いくつかの例では、可動アーム226及び/またはグリッパ232のステータスのフィードバック情報を提供する少なくとも1つのセンサ504がある。実際、いくつかの実施形態では、可動アーム226上に取り付けられた少なくとも1つのカメラ504があり、グリッパ232を含む視野を提供する。フィードバックカメラ504は図5及び6に示される。カメラ504からの画像は、操舵室222に取り付けられたディスプレイ610に表示されてもよい。このようにして、可動アーム226の操作者は、操作中にもかかわらず、可動アーム226及びグリッパ232を見ることができる。
いくつかの例では、可動アーム226及び/またはグリッパ232のステータスを決定するために、他のセンサがさらにある。いくつかの例では、グリッパ232上に力センサ(図示せず)があることができ、グリッパ232が係留索120を把持することに成功したと決定することができる。追加的に、または代替的に、グリッパ232内の係留索120の存在を決定するために1つ以上の他のセンサがあってもよい。例えば、グリッパ232は、一対のジョー234間の係留索120の存在を決定するために、光センサ、別のカメラ、近接センサ、超音波センサ、または任意の他の適切なセンサを備えてもよい。
任意選択で、いくつかの例では、フィードバック情報を提供する少なくとも1つのセンサ504は、信号をコントローラ608に送信する。少なくとも1つのセンサ504からのフィードバック情報を受信することに応じて、コントローラ608は、係留索120がグリッパ232によって把持されるのに適切な位置にあるという情報をディスプレイ610から操作者に送信する。
任意選択で、コントローラ608は、係留索120を固定する制御信号を油圧システム604及びグリッパ232及び/または可動アーム226に送信することができる。コントローラ608は、図6に示され、本明細書で論じられる、純粋なソフトウェア特性のものであり得、入力条件の検出及び出力条件の制御のために本明細書で説明されるプログラミング命令を含むことができる。プログラミング命令は、示されていないコントローラ608のメモリに格納されることができる。いくつかの例では、プログラミング命令は、本明細書で説明されるプロセス及び機能に対応する。コントローラ608は、ハードウェアプロセッサによって実行され得る。プログラミング命令はC、C++、JAVA、またはいずれかの他の適切なプログラミング言語で実装され得る。いくつかの例では、コントローラ608の一部分、またはすべての部分は、ASIC及びFPGAなどの特定用途向け回路に実装され得る。
他の例では、操作者は、操舵室222からグリッパ232までの見通しがよい。この場合、係留索120が一対のジョー234の間にあるときに操作者が見ることができるので、カメラ504は必要とされない。係留索120の第二端部214が一対のジョー234内で位置決めされるように、可動アーム226、グリッパ232及び/または曳船200の位置を調整してもよい。
係留索120の第二端部214が一対のジョー234の間にあると、操作者またはコントローラ608はグリッパ232を作動させる。これは、図7のステップ700に示されるように、係留索120の第二端部214が曳船200に取り付けられた可動アーム226によって捕捉されることを意味する。図7は、綱取り放し方法の流れ図を示す。
グリッパ232が係留索の第二端部214を可動アーム226に捕捉すると、図7のステップ702に示されるように、係留索120の中央部216は曳船200に対して固定される。
操作者またはコントローラ608は、制御信号を油圧アクチュエータ230に送信し、可動アーム226を動かす。図3を参照し、可動アーム226は、バウ位置で見えることができ、可動アーム226は、曳船200のバウ224に向けて位置決めされる。油圧アクチュエータ230は、可動アーム226がスターン位置からバウ位置に旋回するように完全に伸長させる。
可動アーム226は、ピボット228を中心に旋回し、曳船200に対して実質的に180度回転する。可動アーム226が曳船200に対して実質的に180度旋回することを可能にするために、操舵室222は、図5に示されるように、任意選択で、甲板502の1つの側に対してオフセットにある。いくつかの他の実施形態では、操舵室222は甲板上で中央に位置決めされ、可動アーム226は同じ回転角度で旋回しない。したがって、可動アーム226がバウ位置にあると、可動アーム226は操舵室222上にある。
曳船200が係留索120を曳航するために、係留索120は、曳船200に固定されなければならない。
係留索120の中央部216を曳船200に固定する固定機構300が設けられる。追加の固定機構300を設けることにより、係留索120が曳船200によりよく固定される。
図2と図3を比較して、可動アーム226をスターン位置とバウ位置との間で旋回させると、係留索120の中央部216は、曳船200の周辺部500の外側位置(図2に示されるような)から曳船200の周辺部500の内側位置(図3に示されるような)まで移動する。係留索の中央部216が曳船200の周辺部500の内側にあると、中央部216は、固定機構300を用いて曳船200に固定されることができる。
いくつかの例では、可動アーム226は、係留索120の第二端部214及び中央部216を同時に移動させる。これは、同じ単一の移動で、第二端部214がバウ位置に移動することができ、中央部216が固定機構300に移動することができることを意味する。これは、係留索120が固定機構300によって固定される前に、可動アーム226のさらなる移動が必要とされなくてよいことを意味する。
次に、固定機構300は、図3及び5に関してさらに詳細に議論される。固定機構300は、船体204または甲板502に取り付けられる。固定機構300は、曳船200上のプロパルサ208、302の前に位置決めされる。これは、係留索120を曳航するときに、曳船200を操舵しやすいことを意味する。
固定機構300は、係留索120の中央部216のいずれかの側に位置決めされるライングリッパ508、510を備える。ライングリッパ508、510は係留索120の中央部216に力を加えることで、係留索120は固定機構300及び曳船200に対して固定される。このように、係留索120の中央部216が固定機構300で固定されると、係留索120の張力は固定機構300を介して曳船200に加えられる。
いくつかの例では、ライングリッパ508、510は、把持位置と解放位置との間で可動である。いくつかの例では、固定機構300は、油圧システム604及びコントローラ608に結合される。このようにして、操舵室制御装置602からの制御信号は、ライングリッパを解放位置から把持位置に移動させる。固定機構300は、係留索120を切断する可能性のある剪断力を加えることなく、係留索120の中央部216上の摩擦を増加させるために、複数のグリッパを含むことができる。
いくつかの例では、固定機構300は、係留索120の中央部216に加えられる力を決定するために力センサを含む。力センサ612は、信号をコントローラ608に送信する。いくつかの例では、この信号から、中央部216上の力が力の閾値を超えるとコントローラ608が決定する場合、コントローラ608は操作者に警告を発することができる。代替的に、または追加的に、コントローラ608は、係留索120が切断されるのを防ぐために、ライングリッパ508、510を完全に、または部分的に解放することができる。
任意選択で、固定機構300は、ラインガイド512を含む。可動アーム226は、係留索120を、グリッパ232が捕捉すると固定機構300上で、かつラインガイド512の間で引きずるように構成される。
ラインガイド512は、ライングリッパと係留索120の中央部216とを含む開口部514のいずれかの側で位置決めされる。ラインガイド512は、係留索の中央部216がラインガイド512を係合すると、中央部216がその自重でラインガイド512を滑り落ちて開口部514内に入るように促されるように傾斜している。このようにして、可動アーム226がスターン位置からバウ位置に移動すると、係留索120はラインガイド512の間に通され、中央部216は常に開口部514内に滑り落ち、ライングリッパ508、510に隣接している。
いくつかの例では、図5に示されるように、ライングリッパ508、510は、係留索120の長さに沿って側面から係留索120を締め付ける要素である。ただし、他の例では、ライングリッパ508、510は、係留索120を把持して固定するための他の機構を含むことができる。例えば、ライングリッパ508、510は、係留索120上に重なって押し下げる一対のシザーアーム(図示せず)を含むことができる。いくつかの例では、ラインガイド512は、代替的に、または追加的に、旋回可能であり、係留索120上で折りたたまれる。開口部514は、固定機構300と係留索120との間の摩擦を増加させる、係留索120のための迷路のような経路(図示せず)を含むことができる。
係留索120が固定機構300によって固定されると、曳船200は、船舶102とサテライトオフショア係留構造体110、112との間の係留索120を曳航することができる。
図4を参照すると、曳船200は、サテライトオフショア係留構造体110、112に隣接して示される。このようにして、曳船200は係留索120を約50から100m曳航した。可動アーム226は、図7のステップ704に示されるように、係留索120の中央部216が曳船200に固定されている間に、係留索120の第二端部214を第一位置P1から第二位置P2まで移動させる。
可動アーム226は、図3に示される完全に伸長した位置P1から、図4に示される部分的に引き込まれた位置P2に移動する。図3は、可動アーム226の第一位置P1及び第二位置P2の相対位置を点線で示す。可動アーム226が第二位置P2に向かって引き込まれると、これにより、グリッパ232及び第二端部214が曳船200及び固定機構300に向かって移動する。いくつかの例では、可動アーム226は、所定の距離D1引き込まれる。いくつかの例では、可動アーム226は、第一位置P1から第二位置P2に入れ子式で引き込まれる。任意選択で、操作者は綱取り放し方法中に距離D1を決定することができる。いくつかの例では、操作者は、埠頭上の人402が係留索120の第二端部214でより多くのたるみを必要とする可能性があると決定することができる。次に、操作者は、可動アーム226を固定機構300の近くに引き込むことができる。
可動アーム226が第二位置P2に移動したときに、係留索120の第二端部214が第二位置P2に移動すると、曳船200は取り放しのために係留索120の第二端部214を提供する。次に、曳船200は、手動取り放しのために、係留索の第二端部214を陸106上の人402に提供する。
可動アーム226が第一位置P1から第二位置P2まで引き込まれると、係留索120は、第二端部214と固定された中央部216との間でたるむ。このようにして、第二端部214と固定された中央部216との間の張力が減少する。これは、係留索120の第一端部212と固定された中央部216との間の張力が、固定された中央部216と係留索120の第二端部214との間の張力よりも大きいことを意味する。
有利には、これは、第二端部214を取り放す人402が、第二端部214をボラード400の上に置くときに、係留索120の全張力に逆らって引っ張る必要がないことを意味する。これにより、係留索120での張力が固定された中央部216と、船舶102に固定された第一端部212との間にあることを曳船200が確保するので、係留索120の取り放しが人402にとって容易になる。
他の例では、上記の例の2つ以上を組み合わせてもよい。他の例では、一例の特徴を1つ以上の他の例の特徴と組み合わせてよい。本発明の実施形態は、特に図示した例を参照して説明されてきた。しかしながら、本発明の範囲内で説明した例に対して変形及び修正がなされてもよいことが理解される。