JP2022530954A - 真空装置を有するプリンタ - Google Patents

Abstract

印刷ステーション（１０）と、印刷ステーション（１０）を通過させて搬送経路上で印刷メディア（１８）を運ぶように配置されたメディア搬送機構（１２、１４）であって、メディア（１８）を支持するための支持面（１６）を有するメディア搬送機構（１２、１４）と、印刷ステーション（１０）の下流の搬送経路の一部分（１４）上の支持面（１６）に対してメディア（１８）を引き付けるように配置された真空装置（２２）と、を含むプリンタであって、真空装置（２２）は、搬送経路に沿った方向において少なくとも２つのセグメント（２４、２６）に分割され、２つのセグメント（２４、２６）では、メディアは、異なるゼロではない吸引圧力で引き付け可能であることを特徴とするプリンタが開示される。

Description

本発明は：
－ 印刷ステーションと、
－ 印刷ステーションを通過させて搬送経路上で印刷メディアを運ぶように配置されたメディア搬送機構であって、メディアを支持するための支持面を有するメディア搬送機構と、
－ 印刷ステーションの下流の搬送経路の一部分上の支持面に対してメディアを引き付けるように配置された真空装置と、
を含むプリンタに関する。

特に、本発明は、インクジェットプリンタに関する。

インク又は別のマーキング材料が、例えば紙のシート等、印刷メディアシート又はウェブの表面に塗布される場合、マーキング材料は、マーキング材料が塗布された領域において、シートの材料を膨潤させる又は縮小させる恐れがある。マーキング材料が塗布されていない他の領域では、シートは膨潤も縮小もしないため、シートは必然的にコックルを生じさせてしまう。そのようなコックルは、印刷された画像の質を危うくする。

典型的に、コックリングは、マーキング材料が適用された後で、例えば１秒足らずの間等、特定の遅延時間の後に最大となる。遅延時間は、マーキング材料がシートに浸透して、シートを膨潤させる又は縮小させる速度に依存する。次に、シートが能動的又は受動的に乾燥させられると、コックルはある程度減少するが、シートの膨潤によりシートにおいて内部ひずみが生成され、これらのひずみは乾燥後でさえも残るため、一定量のコックリングは残る。

上述のタイプのプリンタの一例が、特許文献１において記載されている。

ここで、コックルを減らすために、メディアシートは、コックルが平らにさせられるか又は形成さえ開始されないほど強い力で支持面に対して吸引される。真空装置が、プリンタの乾燥ステーションにおいて特定の長さにわたって延びるため、シートが乾燥させられ、次に、平らでコックルの無い状態で残るまで、吸引圧力は加えられる。

しかし、この解決策は、高い吸引圧力が生成されることによって、エネルギー消費量が増加し、吸引装置の上でシートが運ばれる際の摩擦量の増加にもつながるという欠点を有する。このために、既知のプリンタでは、メディアシートのコックルが生じる傾向が、メディア及びマーキング材料の既知の材料特性に基づき予測され、コックルが生じる傾向に従って吸引圧力が調整される。

マーキング材料が塗布されるときに、シートをすでに支持面に対して引き付けることができるように、印刷ステーションの下の領域内に上流方向において吸引装置を延ばすことも可能である。シートは、この状態で支持面と密着しているため、平らな状態でシートを保持するのに必要な吸引圧力は、形成された後にコックルを除去するのに必要となるであろう吸引圧力よりも小さい。

もう一方で、この解決策にはいくつかの欠点がある。特に、これは、印刷ステーションと乾燥ステーションとの熱的デカップリングをより困難にする。典型的に、印刷されたシートは、熱（例えば、放射熱等）をシートに加えることによって能動的に乾燥させられる。従って、乾燥ステーションでは温度の上昇が望ましく、印刷ステーションでは、プリントヘッドのノズル内でインクを完全に乾かす恐れがあるためにノズルの故障の可能性が高くなるので、熱の上昇は望ましくない。

さらに、印刷ステーション及び乾燥ステーションの両方の領域にわたって吸引装置が延びる配置は、プリンタの全体の設計をより大きなものにし、印刷ステーション及び乾燥ステーションが変化する要求に互いに独立して適応することができるモジュール設計とは互換性がない。

米国特許出願公開第２００９／０８５９４７号（Ａ１）

従って、本発明の目的は、高いレベルの設計柔軟性を提供することができ、それにもかかわらず、少ないエネルギー消費量でコックルを効率的に抑制する能力を有するプリンタを提供することである。

この目的を達成するために、本発明によると、真空装置は、搬送経路に沿った方向において少なくとも２つのセグメントに分割され、少なくとも２つのセグメントでは、メディアは、異なるゼロではない吸引圧力で引き付け可能である。

少なくとも２つのセグメントにおける吸引圧力を独立して制御することにより、そのうちに、従って、吸引装置上でのメディアの移動の間に変わる実際の必要条件に吸引圧力をより細かく調整することが可能となる。このようにして、最小限のエネルギー消費量と摩擦で、印刷ステーションの領域内に吸引装置を延ばす必要なく、コックルを抑制することができる。

本発明のより具体的な任意の特徴が、従属請求項において示されている。

メディア搬送機構は、別個の搬送部分を含んでもよく、そのうちの１つは、印刷ステーションを通過させてメディアを動かすために使用され、もう１つは、真空装置上でさらに下流にメディアを運ぶために使用される。２つの搬送部分間の分離は、印刷ステーションと乾燥ステーションの良好な熱的デカップリングを可能にする。

真空装置は、２つの搬送部分間のおおよその境界で始まり且つ高い真空圧力が作られる上流セグメントを含み得るため、すでに形成されているかもしれないコックルを確実に平らにすることができる。次に、メディアシートが支持面に対して完全に引き付けられると、メディアシートの関連部分が、より小さな真空圧力が印加される真空装置の下流セグメントに入り、この圧力は、シートが再びコックルを生じさせるのを防ぐのに十分なだけの圧力である。

実施形態の例が、次に、図面と組み合わせて記載される。
本発明によるプリンタの主要部分の概略図である。 画像が印刷されたメディアシートの平面図である。 印刷された画像の領域における、図２において示されているメディアシートの膨潤の影響を例示した図である。 コックルが生じたシートを示し、そのコックルの高さが誇張されている、図１における詳細の拡大図である。

図１において示されているように、インクジェットプリンタは、印刷ステーション１０と、この例では、２つの別個の搬送部分１２及び１４を含むメディア搬送機構１２、１４とを含む。各搬送部分は、エンドレスコンベアベルトを含み、その上面は、メディアシート１８を支持する支持面１６を構成し、メディアシート１８は、上流の搬送部分１２内の印刷ステーション１０を通過して運ばれ、次に、乾燥ステーション２０を通過させてシートを動かす下流の搬送部分１４に引き渡される。

印刷ステーション１０は、メディアシート１８の表面上に異なる色のインク滴を噴射するように配置された複数のインクジェットプリントヘッドを有するプリントヘッドアセンブリを含んでもよい。例えば、インクは水性インクであってもよく、メディアシート１８は、それに塗布されたインクによって湿潤される紙のシートであってもよい。

乾燥ステーション２０は、例えば、シートの温度を上昇させ且つ揮発性のインク成分を蒸発させることによってインクを乾燥させるために、赤外線をシート１８に照射するためのラジエータを含んでもよい。

下流の搬送部分１４には真空装置２２が備わっており、真空装置２２は、別個のプレナムチャンバによって構成される２つの隣接するセグメント２４、２６を含んでおり、その各々が、それぞれ送風機２８及び３０に接続されている。

セグメント２４及び２６内のプレナムチャンバは、穴あき上壁を有し、搬送部分１４内のコンベアベルトも穴をあけられるため、コンベアベルトの穿孔及びプレナムチャンバの上壁を通して空気が吸い込まれる。このようにして、シート１８は、セグメント２４及び２６上を通過するに従い支持面１６に対して引き付けられる。その結果、コンベアベルトはプレナムチャンバの穴あき上壁に押し付けられ、これによって、シート１８及びそれを支持するコンベアベルトの一部が乾燥ステーション２０を通って一緒に動くに従い、ある程度の摩擦が生じる。

吸引装置２２の主な目的は、シート１８がコックルを生じさせるのを防ぐことであり、シート１８がコックルを生じさせるのは望ましくない効果であり、次に、図２及び３と組み合わせて説明される。

図２は、画像３２が印刷されたメディアシート１８の平面図である。画像３２が印刷ステーション１０において印刷されているときには、液体の水性インクが画像３２の領域においてシートに塗布され、水がシート１８の紙に浸透し、それを膨潤させる。

これは、図３において象徴されており、そこでは、画像３２は、膨潤のためにわずかに拡大して示されており、画像の元の輪郭３２´が二点鎖線で示されている。画像３２は、シートの紙が膨潤しないマージン部分３４によって取り囲まれている。これは、紙における内部ひずみにつながり、画像３２の領域においてしわ又はコックル３６を紙に形成させる。

図４は、図１に示されているプリンタの一部を、拡大したスケールで示している。メディアシート１８は、印刷ステーション１０をちょうど離れるところであり、シートの前縁は、乾燥ステーション２０内の真空装置の下流セグメント２６にすでに到達している。画像３２を形成するためにインクが塗布されたシート１８の一部は、水が紙に浸透する時間に対応する特定の遅延時間でコックルを生じさせ始めている。図４においてシート１８が右から左に動くに従い、コックル３６が印刷ステーション１０のわずかに下流で形成され始める。例示を目的として、コックル３６の高さは図４において誇張されている。

コックル３６は、上流の搬送部分１２から下流の搬送部分１４へと移行領域上を通過する。この移行領域では、シート１８を支持面に対して引き付けることができないため（実際には、２つのコンベアベルト間の隙間において支持面がないため）、コックルの形成を防ぐことはできない。しかし、コックルがセグメント２４の領域に到達するとすぐに、支持面１６に対してしっかりと引き付けられる。これは、このセグメントのプレナムチャンバに関連する送風機２８が、例えば３ｋＰａの大きさほどの高い真空圧力を作り出すように制御されるからである。その結果、図４において示されているように、コックル３６の高さは、セグメント２４の上流側から下流側までに減少する。

搬送方向におけるセグメント２４の長さ、及びそのセグメントにおける真空圧力は、セグメント２４と２６との移行においてコックルが完全に除去されるように選択される。次に、シート１８は、その全領域において支持面１６と対になるため、セグメント２６のプレナムチャンバにおける例えば１ｋＰａのより小さな真空圧力が、平らな状態でシートを保持し、コックルが再び形成されるのを防ぐのに十分である。最終的に、シート１８の対応する領域が乾燥ステーション２０を離れると、紙は、もはやコックルが形成されない程度まで乾燥させられる。

このように、セグメント２４の上方のゾーンは、コックル３６を除去するために高い吸引圧力が加えられる修復ゾーンと考えることができる。この修復ゾーンは比較的短いため、関連する送風機２８のエネルギー消費量及びコンベアベルトとプレナムチャンバの上壁との摩擦を小さく保つことができる。次に、シートがより長いセグメント２６上を通過するときには、このセグメントにおける減らされた真空圧力のために、（送風機３０の）エネルギー消費量及び摩擦は小さく保たれる。

当然ながら、上記の概念は、吸引圧力を互いに独立して制御することができる３つ以上の連続した吸引ゾーンを有する設計まで容易に拡張することができる。

Claims (7)

1. － 印刷ステーションと、
   － 前記印刷ステーションを通過させて搬送経路上で印刷メディアを運ぶように配置されたメディア搬送機構であって、前記メディアを支持するための支持面を有するメディア搬送機構と、
   － 前記印刷ステーションの下流の前記搬送経路の一部分上の前記支持面に対して前記メディアを引き付けるように配置された真空装置と、
   を含むプリンタであって、
   前記真空装置は、前記搬送経路に沿った方向において少なくとも２つのセグメントに分割され、前記２つのセグメントでは、前記メディアは、異なるゼロではない吸引圧力で引き付け可能であり、前記吸引装置は、上流セグメント及び別個の下流セグメントを有し、前記上流セグメントにおける吸引圧力は、前記下流セグメントにおける吸引圧力よりも大きい、プリンタ。
2. インクジェットプリンタである、請求項１に記載のプリンタ。
3. 前記メディア搬送機構は、前記印刷ステーションを通過させて前記メディアを運ぶための上流の搬送部分と、前記真空装置が配置される別個の下流の搬送部分とを有する、請求項１又は２に記載のプリンタ。
4. 前記下流の搬送部分は、穴あきエンドレスコンベアベルトを含む、請求項３に記載のプリンタ。
5. 乾燥ステーションが前記下流の搬送部分に設けられている、請求項３又は４に記載のプリンタ。
6. 前記上流部分における吸引圧力と前記下流部分における吸引圧力との比は、１．３：１から５：１、特に２．５：１から３．５：１である、請求項５に記載のプリンタ。
7. インクジェット印刷方法であって、
   － 印刷ステーションを通過させてメディアシートを動かし、前記メディアシートに画像を印刷するステップと、
   － 前記メディアシートが支持面上で支持されている間に、乾燥ステーションを通して、印刷された画像を有する前記メディアシートを運ぶステップと、
   － 吸引装置によって前記支持面に対して前記メディアシートを引き付けるステップと、
   を含み、
   前記引き付けるステップは、前記シートからコックルを除去するために、高い吸引圧力で、前記支持面に対して前記シートを引き付ける第１のサブステップと、前記第１のサブステップにおける前記吸引圧力よりも低い吸引圧力を加えることによって、前記シートを前記支持面に係合させて保持する第２のサブステップとを含むことを特徴とする、インクジェット印刷方法。
   

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