JP2022523929A - ヒトlag-3に結合する抗体、その製造方法および用途 - Google Patents

ヒトlag-3に結合する抗体、その製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトLAG-3に特異的に結合しうる抗体又はその抗原結合断片を提供し、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、混合リンパ球反応を亢進させる生体活性を備え、癌免疫療法に適用可能な薬物の製造に有用である。【選択図】なし

Description

本発明は、抗体工学の分野に属し、より具体的には、ヒトLAG-3に結合する抗体、その製造方法および用途に関する。
様々なタイプに分けられる悪性腫瘍は、人々の生命を脅かし、発症率も日増しに増加している。しかしながら、通常の臨床処置として手術治療、化学療法および放射線療法は、悪性腫瘍に対して一定の治療効果を示す傍らで患者の体に対して損害が大きく、中毒性副作用をもたらすのが一般的である。現段階の分子標的薬であるモノクロ-ナル抗体(例えば、HER2を標的とするトラスツズマブ)および低分子キナ-ゼ阻害剤(例えば、一部のチロシンキナ-ゼを標的とするイマチニブ)は、腫瘍治療において期待以上の臨床効果を示すものの、特定の分子標的を発現する腫瘍のみに対して有効であり且つ治療可能な癌の種類が限られ、客観的な反応率が低く且つ耐薬性の問題が頻発し、腫瘍が再発したり、更に悪化したりする問題を抱えている。腫瘍免疫療法は、免疫学的原理と方法を利用して免疫活性を亢進させて腫瘍に対する免疫寛容状態を変えることにより、腫瘍抗原に対する免疫細胞の識別能を強化し、同時に腫瘍細胞に対する体の抗腫瘍免疫応答を誘起、増強して腫瘍細胞を抑制または殺傷し、最終的には腫瘍治療の目的を達成する療法である。近年、腫瘍免疫療法が腫瘍治療分野の焦点として注目を浴び、並びに画期的な進展を成し遂げている。例えば、プログラム細胞死受容体1(programmed death 1、以下では「PD-1」とも称する)は癌免疫療法において最も注目される分子標的であり、PD-1を分子標的とする免疫チェックポイント阻害薬としてニボルマブ(nivolumab)およびペムブロリズマブ(pembrolizumab)などのモノクロ-ナル抗体類薬物がメラノーマ、非小細胞肺がんなどの腫瘍の臨床治療において優れた抗腫瘍活性を示すため、米国食品医薬品局(FDA)によって臨床での使用許可が得られている。腫瘍免疫療法は、その優れた治療効果や革新性から2013年にScience誌によって該年度の最も重要な科学的進歩と評され、手術治療、化学療法、放射線療法や分子標的治療に続く腫瘍治療分野の技術革新として期待されつつある。
T細胞は免疫系において重要な役割を果たすが、T細胞の活性化は、抗原提示細胞が有害な外来抗原を消化してT細胞によって識別しうる抗原形態に変えることに依存する。T細胞および抗原提示細胞は、上記の活性化プロセスに関与する調節タンパク質を発現し、これらの調節タンパク質は、T細胞の受容体を仲介とするシグナル伝達を調節する機能を備える。これらの補助性受容体は2種類に分けられ、そのうちの一類は活性化シグナルを伝達する共刺激性受容体であり、別の一類は阻害シグナルを伝達する共抑制性受容体であり、現在、これらの抑制性分子は免疫チェックポイントの受容体およびリガンドと称されている。上記のPD-1は、CD28スーパーファミリーメンバーに属し、典型的な免疫チェックポイントの受容体であり、その重要なリガンドとしてはプログラム細胞死リガンド-1(programmed death ligand 1、以下では「PD-L1」とも称される)が挙げられる。PD-1とPD-L1の結合は、T細胞を活性化させる共抑制シグナルを伝達することでT細胞の活性化および増殖を下方調節する。なお、陳列平らの研究によって初めてPD-L1が腫瘍組織において高発現し、腫瘍浸潤CD8+T細胞を調節する役割を果たすことが解明されている。現在、PD-1/PD-L1を分子標的とする免疫調節療法は、臨床現場の抗腫瘍治療において既に大きな成功を収めている。
リンパ球活性化遺伝子3(lymphocyte activation gene-3、以下では「LAG-3」とも称する)は、主に活性化したTリンパ球において発現し、PD-1に類似する免疫負調節因子である。LAG-3は、MHC-IIファミリーを主な結合リガンドとし、CD4分子と競合してMHC-IIリガンドに高い結合力で結合することにより、細胞内部へ阻害シグナルを伝達し、PD-1に類似した分子機構を利用して細胞の活性化、増殖および動的バランスを下方調節し、かつT細胞の免疫寛容状態の維持にも寄与し、若しくは持続的に活性化状態にあるT細胞を疲弊状態に落とさせて内部環境を安定化させ、負の免疫制御に関与することで腫瘍の発生と進展に緊密に関わっている。そのため、LAG-3関連の経路を遮断しうる抗体が免疫反応を亢進させ、PD-1抗体と併用するときの相乗的活性化効果が顕著であることが研究により解明され、抗LAG-3抗体(以下、「LAG-3抗体」とも称する)が癌の免疫治療において潜在力が大きいと考えられている。
LAG-3を分子標的とするモノクロ-ナル抗体類薬物の開発は、多くが初期段階にあり、その先頭に立つのがBMS社(Bristol-Myers Squibb)、ノバルティス社(Novartis)等といった国際的な大手製薬企業であり、中でもBMS社のLAG-3モノクロ-ナル抗体であるBMS-986016が第I相試験の段階にあり、この治験ではPD-1抗体であるニボルマブと併用する際の安全性と有効性に対する確認がその主な研究目的になっており、かかる臨床研究からBMS-986016とニボルマブの併用がメラノーマの臨床治療において治療効果が良好であることが確認できた。なお、LAG-3抗体は、自己免疫疾患の治療にも有用であることが実証され、自己免疫疾患を対象とするときの作用機序として抗体依存性細胞介在性の細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、以下では「ADCC」とも略称する)を利用して活性化したT細胞を殺傷し、免疫反応を抑制することが挙げられ、よって、自己免疫疾患を治療する目的を達成する。一方、LAG-3を分子標的とし、特異性や有効性に優れた新規薬物に対する需要が依然として大きく、より多くの薬品が開発されて臨床免疫療法への実用化に期待されている。
上記の課題を解決するため、本発明者が抗原免疫からハイブリドーマの選別、抗体の発現と精製、生体活性評価に至るまで鋭意検討を重ねた結果、ヒトLAG-3に特異的に結合するマウス由来の134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体を選出し、さらに、マウス由来抗体に基づいてキメラ抗体134-Chimeric、5E7-Chimericおよびヒト化抗体134-Hu-IgG4-C91S、5E7-Hu-IgG4を構築することに至った。マウス由来の134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体は、斬新なエピトープを利用してヒトLAG-3に結合し、かつ細胞レベルでの実験からは、そのヒト化抗体である134-Hu-IgG4-C91S、5E7-Hu-IgG4がLAG-3とRaji細胞の結合を効率よく遮断し且つSEAによって刺激されるPBMCのIL-2分泌を増強することのできることが実証できた。したがって、本発明のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、癌免疫療法に適用可能な薬物の製造に有用であると認められる。
以上に鑑み、本発明の第1側面では、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
本発明の第2側面では、もう1種のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
本発明の第3側面では、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を提供する。
本発明の第4側面では、前記ヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクターを提供する。
本発明の第5側面では、前記発現ベクターを含んでなるホスト細胞を提供する。
本発明の第6側面では、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片の製造方法を提供する。
本発明の第7側面では、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を含んでなる薬物組成物を提供する。
本発明の第8側面では、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片または前記薬物組成物の用途を提供する。
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の技術案により構成される。
本発明の第1側面では、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供し、ヒトLAG-3における前記抗体又はその抗原結合断片の結合エピトープは、配列番号50で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAを含む。
本発明の一好適な実施形態において、ヒトLAG-3における前記抗体又はその抗原結合断片の結合エピトープは、配列番号48で表されるアミノ酸配列GPPAAAPGHPLA、または配列番号49で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAPGPHPAAPSSを有する。
本発明の第2側面では、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供し、かかる抗体又は抗原結合断片は、
a)重鎖相補性決定領域として配列番号9で表されるHCDR1、配列番号10で表されるHCDR2および配列番号11で表されるHCDR3と、軽鎖相補性決定領域として配列番号12で表されるLCDR1、配列番号13で表されるLCDR2および配列番号14又は配列番号43で表されるLCDR3とを有し、又は
b)重鎖相補性決定領域として配列番号15で表されるHCDR1、配列番号16で表されるHCDR2および配列番号17で表されるHCDR3と、軽鎖相補性決定領域として配列番号18で表されるLCDR1、配列番号19で表されるLCDR2および配列番号20で表されるLCDR3とを有する。
本発明によれば、前記抗体は、モノクロ-ナル抗体またはポリクロ-ナル抗体であり、好ましくは、モノクロ-ナル抗体である。
本発明によれば、前記抗体としてはマウス由来の抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体などであり、好ましくは、ヒト化抗体である。
本発明によれば、前記抗原結合断片は、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片などからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有し、
a)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号2で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号4で表され、又は
b)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号6で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8で表され、又は
c)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号22で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号24で表され、又は
d)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号26で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号28で表される。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を有し、前記重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域、IgG2重鎖定常領域、IgG3重鎖定常領域及びIgG4重鎖定常領域からなる群より選ばれ、前記軽鎖定常領域は、κ軽鎖定常領域およびλ軽鎖定常領域からなる群より選ばれる。好ましくは、前記重鎖定常領域としてはIgG4重鎖定常領域であり、前記軽鎖定常領域としてはκ軽鎖定常領域である。より好ましくは、前記重鎖定常領域のアミノ酸配列が配列番号30で表され、前記軽鎖定常領域のアミノ酸配列が配列番号34で表される。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖および軽鎖を有し、
a)前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号32で表され、前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号36で表され、又は
b)前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号38で表され、前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号40で表される。
本発明の第3側面では、ヌクレオチド配列を提供し、前記ヌクレオチド配列は、上記何れかのヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片をコードする。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、
a)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号1で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号3で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
b)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号5で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号7で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
c)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号21で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号23で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
d)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号25で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号27で表されるヌクレオチド配列を含む。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、重鎖定常領域をコードし且つ配列番号29で表されるヌクレオチド配列、および配列番号33で表される軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明の一好適な実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、
a)重鎖をコードし且つ配列番号31で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖をコードし且つ配列番号35で表されるヌクレオチド配列を有し、又は
b)重鎖をコードし且つ配列番号37で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖をコードし且つ配列番号39で表されるヌクレオチド配列を有する。
本発明の第4側面では、発現ベクターを提供し、前記発現ベクターは、上記何れかのヌクレオチド配列を含む。
本発明の第5側面では、ホスト細胞を提供し、前記ホスト細胞は、前記発現ベクターを含む。
本発明の第6側面では、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片の製造方法を提供し、かかる製造方法は、発現条件下で前記ホスト細胞を培養することにより、前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を発現するステップaと、ステップaで発現した前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を分離、精製するステップbと、を含む。
本発明の第7側面では、薬物組成物を提供し、前記薬物組成物は、上記何れかのヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片と、薬学的に許容可能な担体と含んでなる。
本発明の一好適な実施形態において、前記薬物組成物は、さらにPD-1阻害剤を含む。好ましくは、前記PD-1阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
本発明の第8側面では、上記何れかのヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片または上記薬物組成物の、癌を治療するための薬物の製造における用途を提供する。
本発明によれば、前記癌は、メラノーマ、腎細胞癌、非小細胞肺がん、古典的ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん、大腸がんおよび肝臓がんからなる群より選ばれる任意の1種である。
本発明に係るヒトLAG-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、斬新なエピトープを利用してヒトLAG-3に結合し、かつ混合リンパ球反応を効果的に亢進させる生物活性を備えるため、癌免疫療法に適用可能な薬物の製造に用いることができ、臨床への実用化が有望である。
混合リンパ球反応に対するマウス由来のヒトLAG-3抗体の影響を示す図であり、そのうち図1Aは、1次スクリーニングの結果を示し、図1Bは、2次スクリーニングの結果を示す。 ヒトLAG-3抗体としてヒト化抗体とキメラ抗体の相対結合性を比較するときの結果を示す図である。 PBMCのIL-2分泌に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の増強効果を示す図であり、そのうち図3Aおよび図3Bに示すPBMCは、異なるドナーから得られたものである。 細胞表面に局在するLAG-3に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の結合特性を示す図である。 ヒトLAG-3抗体の結合エピトープを示す概略図である。 Raji細胞とLAG-3の結合に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の阻害作用を示す図である。 FGL1とLAG-3の結合に対するヒトLAG-3抗体の阻害作用についてフローサイトメトリーを用いて測定するときの結果を示す図である。 遺伝子改変マウスMC38の移植腫瘍モデルに対するヒトLAG-3抗体の阻害効果を示す図である。
本発明において「LAG-3」とは、リンパ球活性化遺伝子3(以下、「CD223」とも称する)を指す。
本発明において、「抗体(Ab)」及び「免疫グロブリンG(IgG)」とは、構造特徴が同じである約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同じ軽鎖(L)と2つの同じ重鎖(H)で構成される。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合を介して重鎖に結合し、異なる免疫グロブリンにおいて同型重鎖の間のジスルフィド結合数が異なる。各重鎖および軽鎖は規則的な間隔で鎖内ジスルフィド結合を有し、各重鎖の一端に可変領域(VH)を有し、可変領域に続いて3つの構造ドメインCH1、CH2およびCH3からなる定常領域を有する。各軽鎖の一端に可変領域(VL)を有し、他端に1つの構造ドメインCLからなる定常領域を有する。軽鎖の定常領域と重鎖の第1定常領域が対向し、かつ軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域が対向して構成される。定常領域は、抗体と抗原の結合に直接に関与せず、例えば抗体依存性細胞介在性の細胞毒性(ADCC)に関与するなど、他の生体機能を示す。重鎖の定常領域としてはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgE定常領域が挙げられ、軽鎖の定常領域としてはκまたはλ定常領域が挙げられる。
本発明の抗体としては、モノクロ-ナル抗体、ポリクロ-ナル抗体および少なくとも2種類の抗体からなる多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)などを含む。
本発明において、「モノクローナル抗体」とは、ほぼ均一な群から得られる抗体を指し、すなわち極一部が自然変異を形成する以外、該群に含まれる単一抗体が同じであることを意味する。モノクローナル抗体は、1つの抗原サイトを高い特異性で認識して結合する。そして、通常のポリクローナル抗体製剤(通常、異なる決定基を認識しうる複数の抗体を含む)と異なり、各モノクローナル抗体は抗原における単一決定基を認識して結合する。こうした特異性に加え、モノクローナル抗体の優勢としてはハイブリドーマを培養することにより得られ、他の免疫グロブリンによって汚染されないことが挙げられる。なお、本発明において「モノクローナル」とは抗体の特性を指すものであり、すなわちほぼ均一な抗体群から得られ、何らの特別な方法で製造されるものと解釈してはいけない。
本発明において、「抗原結合断片」とは、抗原(例えば、ヒトLAG-3)に特異的に結合しうる抗体の断片を指す。本発明の抗原結合断片としはFab断片、F(ab’)2断片、Fv断片などが挙げられる。Fab断片は、抗体をパパインで消化して得られ、F(ab’)2断片は、抗体をペプシンで消化して得られる。Fv断片は、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が非共有結合を介して緊密に連結されたダイマーで形成される
本発明において、「Fcフラグメント」とは、抗体をパパインで消化して2つの完全に一致するFabフラグメントおよび1つのFcフラグメントにし、そのうちFcフラグメントとは結晶性断片(fragment crystallizable,Fc)であり、抗体のCH2とCH3構造ドメインで構成される。Fcフラグメントは、抗原への結合活性を示さず、抗体とそのエフェクター分子または細胞が相互作用する部位である。
本発明において、「可変」とは、抗体可変領域の一部に配列差異があり、特定抗原に対する各抗体の結合性や特異性を決定する構成である。可変度としては、抗体可変領域全体に渡って均一に分布するわけでなく、軽鎖および重鎖の可変領域における相補性決定領域(complementarity-determining region,CDR)又は超可変領域と称される3つのフラグメントに集中して存在する。可変領域において保存性が比較的高い部分がフレームワーク領域(frame region,FR)であり、天然重鎖および軽鎖の可変領域にそれぞれ4つのFR領域を含む。これらのFR領域はβ-折り畳み構造を形成し、接続リングを構成する3つのCDRによって互いに連結され、若しくは場合によって部分的なβ-折り畳み構造を形成することができる。各鎖のCDRは、FR領域を介して緊密に隣接し、かつ他鎖のCDRと共に抗体の抗原結合サイトを形成する[Kabatら、NIH Publ.No.91-3242、第I巻第647~669頁(1991)]。
本発明の抗体としては、マウス由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などが挙げられる。
本発明において「マウス由来抗体」とは、ラット由来抗体又はモウス由来抗体を指し、中でもマウス由来抗体が好ましい。本発明のマウス由来抗体は、ヒトLAG-3の細細胞外領域を抗原としてマウスを免疫し、さらにハイブリドーマ細胞をスクリーニングして得られる。好ましくは、本発明のマウス由来抗体としては134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体である。
本発明において「キメラ抗体」とは、ある種に由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列と、別の種に由来の定常領域配列とからなる抗体を指し、例えばヒト定常領域と連結したマウス重鎖および軽鎖の可変領域を有する抗体が挙げられる。好ましくは、本発明のキメラ抗体としては、マウス由来134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列をそれぞれヒト定常領域と繋ぐことで得られる。より好ましくは、本発明のキメラ抗体の重鎖は、マウス由来134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体の重鎖可変領域配列をそれぞれヒトのIgG4重鎖定常領域と繋ぐことで得られ、軽鎖は、マウス由来134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体の軽鎖可変領域配列をそれぞれヒトのカッパ(Kappa)軽鎖定常領域と繋ぐことにより得ることができる。より好ましくは、本発明のキメラ抗体としては134-Chimericおよび5E7-Chimericが挙げられる。
本発明において「ヒト化抗体」とは、CDRがヒト以外の動物(例えば、マウス)抗体に由来し、それ以外のフレームワーク領域や定常領域部分がヒト抗体に由来するものを指す。なお、結合性を維持する目的からフレームワーク領域の残基を変更することも可能である。好ましくは、本発明のヒト化抗体としてはマウス由来134号および2-34号(すなわち、5E7)抗体のCDR領域とヒト抗体の非CDR領域を組合わせ、さらに、埋め込み残基、CDR領域に直接作用する残基、並びに134号および2-34(すなわち、5E7)号抗体のVLおよびVH構造に影響を与える残基に対して復帰変異を導入することで得られる。より好ましくは、本発明のヒト化抗体としては134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4を含む。
本発明において「エピトープ」および「ヒトLAG-3エピトープ」とは、ヒトLAG-3に位置し且つ抗体に特異的に結合する領域を指す。好ましくは、本発明のヒトLAG-3エピトープは、ヒトLAG-3の細細胞外領域に位置し、前記ヒトLAG-3の細細胞外領域は、配列番号41で表されるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、本発明のヒトLAG-3エピトープは、配列番号50で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAを含む。より好ましくは、本発明のヒトLAG-3エピトープは、配列番号48で表されるアミノ酸配列GPPAAAPGHPLA、または配列番号49で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAPGPHPAAPSSを含む。
本発明において「ヒトLAG-3に結合する抗体」または「ヒトLAG-3抗体」とは、ヒトLAG-3エピトープに特異的に結合する的抗体を指す。また、「特異的結合」とは、抗体が1×10-7M未満、好ましくは1×10-8M未満、より好ましくは1×10-9M未満、より好ましくは1×10-10M未満、1×10-11M未満の解離定数(以下、「KD」とも称する)で結合することを意味する。本発明において、「KD」とは、特定の抗体と抗原が相互作用する際の解離定数であり、抗体と抗原の結合力を指すものである。解離定数が低いほど抗体と抗原の結合が強く、すなわち抗体と抗原の結合力が高くなる。例えば、使用表面プラズモン共鳴法(Surface Plasmon Resonance,SPR)を利用し、BIACORE装置を用いて抗体与抗原の結合力を測定することができ、またはELISA法を利用して抗体と抗原が結合する際の相対結合力を測定することができる。
本発明において、発現ベクターについては特に制限がなく、例えばpTT5、pSECtag系、pCGS3系、pCDNA系発現ベクターなど、並びに他の哺乳動物発現系に用いるベクターを使用することができ、発現ベクターには適切な転写調節配列や翻訳調節配列が連結された融合DNA配列が含まれる。
本発明に適用可能なホスト細胞としては、上記発現ベクターを発現しうる細胞が挙げられ、例えば哺乳類動物や昆虫ホスト細胞培養系の真核細胞を利用して本発明の融合タンパク質を発現することができ、CHO(Chinese Hamster Ovary)、HEK293、COS、BHK及びこれらに由来の変性細胞などを本発明に利用可能である。
本発明において「薬物組成物」とは、本発明のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片と、薬学的に許容可能な担体とで構成される薬物製剤を指し、本発明に係る薬物組成物は、安定な治療効果を確保すると同時に本発明のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸コア配列の構造完全性を維持することができ、さらに、タンパク質の多官能基を分解(例えば、凝集、脱アミノ化や酸化)から免れるようにすることができる。
以下、実施例や実験例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例や実験例に制限されない。以下においてベクターやプラスミドの構築方法、タンパク質をコードする遺伝子をベクターやプラスミドに導入する方法、プラスミドをホスト細胞に導入する方法など、従来周知の操作については説明を省略することがある。これらの操作は当業者が熟知し、例えばSambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniais,T.(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition,Cold spring Harbor Laboratory Pressなどの出版物に詳細な説明がある。
実施例1:ヒトLAG-3タンパク質および抗LAG-3陽性対照抗体の調製
ヒトLAG-3細胞外ドメインのアミノ酸配列は、https://www.uniprot.org/uniprot/P18627に登録され、アミノ酸配列が配列番号41で表され、上海生工バイオテック社に委託してコドン最適化を行い、遺伝子を合成した。そして、合成された遺伝子断片をpUC57ベクターに導入し、プライマーを設計してPCR(Polymerase Chain Reaction)法によりLAG-3細胞外ドメイン(Extracellular Domain,ECD)のコーディング領域(配列番号41)及びヒト免疫グロブリンIgG1のFcフラグメントのコーディング領域(配列番号51)を増幅した。上記増幅された断片を回収し、組換えPCR法により上記断片を一体に繋ぎ、同時にシグナルペプチドとして配列番号42で表されるMGVKVLFALICIAVAEAのコーディング領域を付け、その両端に更に対応する制限酵素サイトを追加した。制限酵素を用いてpTT5発現ベクター(NRC生命工学研究機構製)および上記組換えPCR断片を分解し、分解産物を精製してからDNAリガーゼで繋ぎ、大腸菌TOP10の受容株に導入してLB培地プレート(+Amp)に播種して一晩培養した。シングルクロニーを拾って引続き拡大培養し、培養物からプラスミドを抽出し、制限酵素でプラスミドを分解することにより遺伝子断片の挿入があるかどうかを確認した。適切な陽性クローンを選出して配列測定を行い、配列が完全に正しいと確認できるところで当該クローンを増幅してプラスミドを抽出した。ポリエチレンイミン(PEI)を用いて上記LAG-3発現ベクターをHEK293E細胞(NRC生命工学研究機構製)に導入して発現させ、5日後に細胞培養液から上澄みを回収し、Protein Aカラムで精製して得られたタンパク質をLAG-3-ECD-hFcと命名し、マウス免疫および後のスクリーニングに備えた。化学成分が限定されたFreeStyle 293無血清培地(Thermo Fisher Scientific社製)を用いてHEK293E細胞を培養し、紫外分光光度法を利用してタンパク質を定量した。
陽性対照物であるLAG-3モノクロ-ナル抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、米国特許出願公開公報US20140093511A1に記載の配列番号12および14であり、上海生工バイオテック社に委託してコドン最適化を行い、遺伝子を合成した。重鎖可変領域および軽鎖可変領域の遺伝子を、それぞれヒトIgG4重鎖定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号29で表され、アミノ酸配列が配列番号30で表される)及びヒトKappa軽鎖定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号33で表され、アミノ酸配列が配列番号34所示)と繋ぎ、さらに、配列番号42で表されるシグナルペプチド配列を付けて完全な重鎖および軽鎖の遺伝子を構築し、そして上述と同様の方法で重鎖および軽鎖の遺伝子をそれぞれpTT5発現ベクターに導入した。上述と同様の方法で重鎖および軽鎖の遺伝子を含むpTT5発現ベクターを組み合せ、HEK293E細胞に導入して発現させ、5日後に細胞培養液から上澄みを回収し、Protein Aカラムを用いて抗体を精製して得られた抗体をLAG3.5抗体と命名した。化学成分が限定されたFreeStyle 293無血清培地(Thermo Fisher Scientific社製)を用いてHEK293E細胞を培養し、紫外分光光度法を利用してタンパク質を定量した。
実施例2:ヒトLAG-3-ECD-hFc抗原によるマウス免疫及びハイブリドーマの調製とスクリーニング
実施例1で得られたLAG-3-ECD-hFcを生理塩水で適切な濃度に希釈し、同量の完全フロイントアジュバント(Sigma社製)と混ぜ合わせて超音波で乳化させた後、4~5週齢のBalb/cマウス(上海霊暢バイオテック社製、動物製造認定証SCXK(滬)2013-0018)に皮下多箇所にわたって注射した。3週間後、LAG-3-ECD-hFcを生理塩水で希釈し、同量の不完全フロイントアジュバント(Sigma社製)と混ぜ合わせて超音波で完全に乳化させた後、マウスに皮下多箇所にわたって注射し、2週間後にはかような処理を繰り返して行った。3回の免疫が終わってから7日目にマウスから少量の血液サンプルを取って血清を分離し、通常のELISA法で血清抗体価を測定した。血清抗体価が10000を超えるマウスを選出し、7日後に各マウスに抗原タンパク質10μgを尾静脈経由で注射した。
静脈経由で抗原タンパク質を注射してから3日目に一定数のマウスを選んで処分し、解剖して脾臓を摘出、粉砕して脾細胞を回収し、細胞数を計測してハイブリドーマの調製に備えた。骨髄腫細胞Sp2/0細胞(中国科学院細胞バンクにより入手)をリガンドとし、37℃、5%COのインキュベータを用いて培養し、培地としてはRPMI-1640完全培地(RPMI-1640基本培地に10%のウシ胎児血清、1%のペニシリン-ストレプトマイシンを添加し、試薬はいずれもThermo Fisher Scientific社製であった)を使用した。融合前日に培地を1回交換して細胞が良好な生長状態になるようにし、電気融合法を利用してハイブリドーマ細胞を調製した。電気融合およびハイブリドーマスクリーニングは、以下のように行った。つまり、脾臓細胞とSp2/0細胞を2:1の割合で混ぜ合わせ、遠心した後に上澄みを捨て、細胞融合緩衝液(BTX社製)で細胞を3回洗い流した。集めた細胞塊を1×10/mLの密度で融合緩衝液に懸濁し、融合チャンバーに細胞懸濁液を2mL加えて電気融合装置ECM2001(BTX社製)に設置し、AC60V,30秒~DC1700V,40微秒×3回、AC60V,3秒の条件下で電気刺激を行った。そして、処理済みの細胞を予め37℃に加温したRPMI-1640完全培地に移し、室温、1時間静置してから細胞を1ウェル当たり1×10細胞、100μLずつ96ウェルプレートに播種した。翌日、各ウェルに2×HAT(50×HATはThermo Fisher Scientific社製であり、使用時に培地で適切に希釈する)を含むRPMI-1640完全培地を100μL補充し、4日目および7日目に古い培地を1×HATを含むRPMI-1640完全培地に交換し、融合してから9日目にサンプルを取ってELISA法で検出し、陽性クローンを確認した。
陽性クローン(すなわち、LAG-3抗体を分泌しうるクローン)の検出は、ELISA法を利用して以下のように行われた。つまり、LAG-3-ECD-hFc抗原を用いて1ウェル当たり100ngの被覆量でELISAプレートを被覆し、室温、2時間インキュベートした後にPBST(0.05%のTween-20を含むPBS)で洗浄した。各ウェルに1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBST溶液を200μL加え、室温、1時間インキュベートすることによりブロッキング処理を行い、処理後にPBSTで洗浄し、プレートを軽く叩いて残液が残らないようにしてから冷蔵庫に静置して次の処理に備えた。検出は、以下のようにして行われた。つまり、ELISAプレートの各ウェルにハイブリドーマ培養液の上澄みを100μLずつ加えて1時間程度インキュベートし、PBSTで3回洗浄した。1%のBSAを含むPBSTでHRP標識のヤギ抗マウスIgG抗体(KPL社製)を適宜希釈してウェルに加え、室温、1時間程度インキュベートしてからPBSTで3回洗浄した。各ウェルにTMBを基質とする着色液を100μL加え、そして2MのHSOを加えて反応を停止させ、即時にプレートリーダー(Molecular Device社製)で波長450nmの吸光量OD450値を測定し、得られたデータに基づき陽性クローンを確定した。
スクリーニングによって得られた陽性クローンがモノクローナルでなく、若しくはクローン株が安定でないため、適時にサブクローニングを実施することでモノクローナル株を得ることが行われる。サブクローニングは、限界希釈法により行われ、具体的には以下の通りであった。陽性クローンと確定できたハイブリドーマ細胞を懸濁させ、具体的には、細胞をHT培地(HT培地とは、RPMI-1640完全培地で100×HT溶液を必要とされる濃度に希釈したものを指し、そのうち100×HTはThermo Fisher Scientific社製であった)で10個細胞または20個細胞/mLの濃度に希釈し、1ウェル当たりに0.2mLの量で96ウェルプレートに播種し、各ウェルにおけるハイブリドーマ細胞を平均2個または4個となるようにした。COインキュベータにおいて7~10日間培養し、肉眼で確認可能なクローンが現われると、倒立顕微鏡で観察しながらシングルクローンが生えたウェルを標記し、かかるウェルから上澄みを取って上述と同様にしてELISA法で検出を行った。ELISA法によって陽性だと確認できたウェルからクローン株を拾って24ウェルプレートで拡大培養し、限界希釈法を利用してサブクローニングをもう1回実施し、こうした操作から少なくとも24個のクローン株を得た。ELISA法によって検出を行い、100%陽性だと確認できた時点で目的抗体を安定に発現するモノクローナル株が得られ、これらのモノクローナル株を拡大培養し、冷凍保存した。
安定発現のモノクローナル株をHybriGRO SF無血清培地(Corning社製)において5~7日程度かけて拡大培養し、培養物から上澄みを集めて遠心、濾過して沈降物を取り除き、Protein Gカラム(GE Healthcare社製)を用いてマウス由来抗体を精製した。かような融合とスクリーニングを数回実施することにより、本発明では安定発現のモノクローナルハイブリドーマを約200株得られ、さらに、これらのモノクローナル株からマウス由来抗体を精製して次の実験に備えた。
実施例3:混合リンパ球反応に対するマウス由来のヒトLAG-3抗体の影響
本実施例では、混合リンパ球反応(以下、「MLR」とも称する)に対する影響を評価することでマウス由来ヒトLAG-3抗体の活性を確認し、このとき、市販の抗LAG3.5抗体を陽性対照物とした。
MLR実験は、以下のように行われた。つまり、Histopaque(Sigma社製)を用いてヒト血液から末梢血単核球(以下、「PBMC」とも称する)を分離し、そして接着法を利用してPBMCのサブポピュレーションを分離し、IL-4およびGM-CSFを併用することで単核球を樹状細胞に分化誘導し(p38 MAPK-inhibited dendritic cells induce superior antitumour immune responses and overcome regulatory T-cell-mediated immunosuppression. Nat Commun.2014Jun 24;5:4229. doi:10.1038/ncomms5229.)、7日後に接着細胞を消化して上述の樹状細胞を回収した。別のドナーの血液からも上述と同様にしてPBMCを分離し、そしてMACS磁気カラムおよびCD4マイクロビーズ(MiltenyiBiotec社製)を用いてCD4陽性T細胞を分離した。上記樹状細胞(10個/ウェル)とCD4陽性T細胞(10個/ウェル)を10:1の割合で均一に混ぜ合わせ、96ウェルプレートの各ウェルに150μLずつ播種した。2時間後、AIM-V培地で希釈したマウス由来LAG-3抗体を96ウェルプレートに50μL加え、同時に抗LAG3.5抗体およびLAG-3に結合しない同型抗体を加えてそれぞれ陽性対照、空白対照とした。96ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベータに静置して3~4日間インキュベートし、適量の上澄みを取ってサンドイッチELISA法によってIL-2分泌量を測定した(試薬は、何れもBD Biosciences社製であった)。多機能プレートリーダー(Molecular Device社製)を利用して波長450nmの吸光量OD450値を測定し、データをGraphPad Prism6で処理して解析グラフを作成した。本実施例では、AIM-V無血清培地(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて細胞培養を行った。
実験結果は図1A~図1Bに示され、スクリーニングを2回実施することによりMLRのIL-2分泌を顕著に亢進させる2つのマウス由来ヒトLAG-3抗体が得られ、それぞれ134号および2-34(すなわち、5E7)号抗体とした。
実施例4:マウス由来ヒトLAG-3抗体のヌクレオチド及びアミノ酸配列の測定
実施例3の通りスクリーニングを行った結果、モノクロ-ナル抗体として134号および5E7号抗体を候補として選出し、配列測定を行った。TRIzol(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて134号および5E7号抗体に対応するハイブリドーマ株からトータルRNAを抽出し、逆転写キット(Takara社製)を用いてmRNAからcDNAを合成し、PCR法によって文献(Roland Kontermannら編集、抗体工学第1巻のP323に記載されたプライマーペア)に記載されたプライマーペアを用いてマウス由来のヒトLAG-3抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域遺伝子を増幅し、得られたPCR産物をpMD18-Tベクターに導入し、配列測定を行って可変領域の遺伝子配列を解析した。
134号抗体の配列情報として重鎖可変領域の遺伝子は、配列全長が360bpであり、120個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号1で表され、アミノ酸配列が配列番号2で表され、軽鎖可変領域の遺伝子は、配列全長が321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号3で表され、アミノ酸配列が配列番号4で表される。
134号抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、EVQLQQSGPVLVKPGASVKMSCKASGYTLTAYYMNWVKQSRGKSLEWIGVINPYNGDSSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELNSLTSEDSAVYYCARDDGYYRWYFDVWGTGTTVTVSS(配列番号2)であった。
134号抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、IQMTQSPSSLSASLGERVSLTCRASQDIGSRLNWLQQGPDGSIKRLIYATSSLESGVPKRFSGSRSGSDYFLTISSLESEDFVDYYCLQCGSSPPTFGGGTKLEIK(配列番号4)であった。
5E7号抗体の配列情報として重鎖可変領域の遺伝子は、配列全長が348bpであり、116個のアミノ酸残基をコードする、ヌクレオチド配列が配列番号5で表され、アミノ酸配列が配列番号6で表され、軽鎖可変領域の遺伝子は、配列全長が321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号7で表され、アミノ酸配列が配列番号8で表される。
5E7号抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、EVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDDYMAWFRQTPEKRLEWVASISHGGDYIYYADNLKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLKSEDTAIYFCSRDRRSIDYWGQGTTLTVSS(配列番号6)であった。
5E7号抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、DIQMTQITSSLSASLGDRVTITCRASQDISNYLSWYQQKPDGTIKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISDLEQEDIATYFCQQGKTLPYTFGGGTKLERK(配列番号8)であった。
実施例5:マウス由来ヒトLAG-3抗体のヒト化
実施例4の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を解析し、KABAT法則に則って134号抗体および5E7号抗体の重鎖および軽鎖の3つの抗原相補性決定領域(CDR)および4つのフレームワーク領域(FR)をそれぞれ確定した。
そのうち、134号抗体の重鎖相補性決定領域としてHCDR1のアミノ酸配列がAYYMN(配列番号9)であり、HCDR2のアミノ酸配列がVINPYNGDSSYNQKFKG(配列番号10)であり、HCDR3のアミノ酸配列がDDGYYRWYFDV(配列番号11)であり、軽鎖相補性決定領域としてLCDR1のアミノ酸配列がRASQDIGSRLN(配列番号12)であり、LCDR2のアミノ酸配列がATSSLES(配列番号13)であり、LCDR3のアミノ酸配列がLQCGSSPPT(配列番号14)であった。
また、5E7号抗体の重鎖相補性決定領域としてHCDR1のアミノ酸配列がDDYMA(配列番号15)であり、HCDR2のアミノ酸配列がSISHGGDYIYYADNLKG(配列番号16)であり、HCDR3のアミノ酸配列がDRRSIDY(配列番号17)であり、軽鎖相補性決定領域としてLCDR1のアミノ酸配列がRASQDISNYLS(配列番号18)であり、LCDR2のアミノ酸配列がYTSRLHS(配列番号19)であり、LCDR3のアミノ酸配列がQQGKTLPYT(配列番号20)であった。
134号抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列については、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/においてヒト免疫グロブリンの可変領域の生殖系(Germline)配列と相同性対比を行い、134号抗体と相同性が最も高いIGHV1-46*01を重鎖可変領域のヒト化テンプレートとし、マウス由来134号抗体の重鎖CDRをIGHV1-46*01の関連CDRに置き換えることにより重鎖CDR移植可変領域を構築した。同時に、相同性対比を行ってIGKV1-39*01生殖系配列を軽鎖可変領域のヒト化テンプレートとし、マウス由来134号抗体の軽鎖CDRをIGKV1-39*01の関連CDRに置き換えることにより軽鎖CDR移植可変領域を構築した。そして、重鎖および軽鎖CDR移植可変領域に基づき、フレームワーク領域における一部のアミノ酸サイトに復帰変異を導入した。このとき、復帰変異とはCDR移植可変領域のフレームワーク領域における一部のアミノ酸残基(抗体の構造や結合性に比較的重要なアミノ酸残基)をマウスフレームワーク領域における対応位置のアミノ酸残基に変更することを意味する。復帰変異に際してアミノ酸配列に対してKABAT編集を行い、各アミノ酸の位置をKABATナンバリングに変更した。本発明では、重鎖CDR移植可変領域のKABATナンバリング第44位GをS、第48位MをI、第67位VをA、第69位MをL、第71位RをV、第73位TをK、第78位VをAに復帰変異することが好ましく、また、軽鎖CDR移植可変領域のKABATナンバリング第36位YをL、第43位AをS、第44位PをI、第46位LをR、第66位GをR、第69位TをS、第71位FをYに復帰変異することが好ましい。配列番号14で表される134号抗体の軽鎖CDR3に、KABATナンバリング第91位においてシステイン残基が1個余っており、該システイン残基に起因して抗体構造に異変が起こる恐れがあるため、該システイン残基をセリン残基に変えた(配列番号43のC91S)。上記復帰変異を携える重鎖および軽鎖CDR移植可変領域の末端に、それぞれ配列番号44で表されるアミノ酸配列WGQGTKVEIKおよび配列番号45で表されるアミノ酸配列FGQGTKVEIKを付けることにより、完全なヒト化重鎖および軽鎖可変領域を構築し、かかる遺伝子配列を上海生工バイオテック社に委託してコドン最適化を行い、遺伝子を合成した。
得られた134ヒト化重鎖可変領域(134-Hu-VH)は、遺伝子配列全長が354bpであり、118個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号21で表され、アミノ酸配列が配列番号22で表され、134ヒト化軽鎖可変領域(134-Hu-VL-C91S)は、遺伝子配列全長が321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号23で表され、アミノ酸配列が配列番号24で表される。
134ヒト化重鎖可変領域(134-Hu-VH)のアミノ酸配列は、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTLTAYYMNWVRQAPGQSLEWIGVINPYNGDSSYNQKFKGRATLTVDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDGYYRWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号22で表され、そのうち下線が引かれた部分は重鎖相補性決定領域である)であった。
134ヒト化軽鎖可変領域(134-Hu-VL-C91S)のアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIGSRLNWLQQKPGKSIKRLIYATSSLESGVPSRFSGSRSGSDYTLTISSLQPEDFATYYCLQSGSSPPTFGQGTKVEIK(配列番号24で表され、そのうち下線が引かれた部分は軽鎖相補性決定領域である)であった。
上記と同様に、5E7号抗体についてもヒト化処理を行った。5E7号抗体と相同性が最も高いIGHV3-21*01を重鎖可変領域のヒト化テンプレートとし、マウス由来5E7号抗体の重鎖CDRをIGHV3-21*01の関連CDRに置き換えることにより、重鎖CDR移植可変領域を構築した。同様に、相同性対比を行ってIGKV1-33*01生殖系配列を軽鎖可変領域のヒト化テンプレートとし、マウス由来5E7号抗体の軽鎖CDRをIGKV1-33*01の関連CDRに置き換えることにより軽鎖CDR移植可変領域を構築した。そして、重鎖および軽鎖CDR移植可変領域に基づき、フレームワーク領域における一部のアミノ酸サイトに復帰変異を導入した。復帰変異に際してアミノ酸配列に対してKABAT編集を行い、各アミノ酸の位置をKABATナンバリングに変更した。本発明では、重鎖CDR移植可変領域のKABATナンバリング第37位VをF、第44位GをR、第49位SをA、第91位YをF、第93位AをSに復帰変異することが好ましく、また、軽鎖CDR移植可変領域のKABATナンバリング第43位AをT、第44位PをI、第71位FをY、第87位YをFに復帰変異することが好ましい。上記復帰変異を携えた重鎖および軽鎖CDR移植可変領域の末端に、それぞれ配列番号44で表されるアミノ酸配列WGQGTKVEIKおよび配列番号45で表されるアミノ酸配列FGQGTKVEIKを付けることにより、完全なヒト化重鎖和軽鎖可変領域を構築し、かかる遺伝子配列を上海生工バイオテック社に委託してコドン最適化を行い、遺伝子を合成した。
得られた5E7ヒト化重鎖可変領域(5E7-Hu-VH)は、遺伝子配列全長が354bpであり、118個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号25で表され、アミノ酸配列が配列番号26で表され、また、5E7ヒト化軽鎖可変領域(5E7-Hu-VL)は、遺伝子配列全長が321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列が配列番号27で表され、アミノ酸配列が配列番号28で表される。
5E7ヒト化重鎖可変領域(5E7-Hu-VH)のアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDDYMAWFRQAPGKRLEWVASISHGGDYIYYADNLKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYFCSRDRRSIDYWGQGTLVTVSS(配列番号26で表され、そのうち下線が引かれた部分は重鎖相補性決定領域である)であった。
5E7ヒト化軽鎖可変領域(5E7-Hu-VL)のアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLSWYQQKPGKTIKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYFCQQGKTLPYTFGQGTKVEIK(配列番号28で表され、そのうち下線が引かれた部分は軽鎖相補性決定領域であり)であった。
上述の134ヒト化重鎖可変領域を、ヒト免疫グロブリンIgG4の定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号29で表され、アミノ酸配列が配列番号30で表される)と繋ぐことにより完全な134ヒト化重鎖を構築し、134-Hu-IgG4-HC(ヌクレオチド配列が配列番号31で表され、アミノ酸配列が配列番号32所示)と名付け、上述の134ヒト化軽鎖可変領域を、ヒト免疫グロブリンKappa鎖の定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号33で表され、アミノ酸配列が配列番号34で表される)と繋ぐことにより完全な134ヒト化軽鎖を構築し、134-Hu-LC-C91S(ヌクレオチド配列が配列番号35で表され、アミノ酸配列が配列番号36で表される)と名付けた。
ヒト免疫グロブリンIgG4の定常領域のアミノ酸配列は、ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号30)であった。
134ヒト化重鎖134-Hu-IgG4-HCのアミノ酸配列は、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTLTAYYMNWVRQAPGQSLEWIGVINPYNGDSSYNQKFKGRATLTVDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDGYYRWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号32で表され、そのうち下線が引かれた部分は重鎖相補性決定領域である)であった。
ヒト免疫グロブリンKappa鎖の定常領域のアミノ酸配列は、RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)であった。
134ヒト化軽鎖134-Hu-LC-C91Sのアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIGSRLNWLQQKPGKSIKRLIYATSSLESGVPSRFSGSRSGSDYTLTISSLQPEDFATYYCLQSGSSPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号36で表され、そのうち下線が引かれた部分は軽鎖相補性決定領域である)であった。
上述の5E7ヒト化重鎖可変領域を、ヒト免疫グロブリンIgG4の定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号29で表され、アミノ酸配列が配列番号30で表される)と繋ぐことにより完全な5E7ヒト化重鎖を構築し、5E7-Hu-IgG4-HC(ヌクレオチド配列が配列番号37で表され、アミノ酸配列が配列番号38で表される)と名付け、また、5E7ヒト化軽鎖可変領域を、ヒト免疫グロブリンKappa鎖の定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号33で表され、アミノ酸配列が配列番号34で表される)と繋ぐことにより完全な5E7ヒト化軽鎖を構築し、5E7-Hu-LC(ヌクレオチド配列が配列番号39で表され、アミノ酸配列が配列番号40で表される)と名付けた。
5E7ヒト化重鎖5E7-Hu-IgG4-HCのアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDDYMAWFRQAPGKRLEWVASISHGGDYIYYADNLKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYFCSRDRRSIDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号38で表され、そのうち下線が引かれた部分は重鎖相補性決定領域である)であった。
5E7ヒト化軽鎖5E7-Hu-LCのアミノ酸配列は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLSWYQQKPGKTIKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYFCQQGKTLPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号40で表され、そのうち下線が引かれた部分は軽鎖相補性決定領域である)であった。
上記134-Hu-IgG4-HC及び134-Hu-LC-C91S遺伝子を、それぞれpTT5発現ベクターに導入し、構築済みの2つの発現ベクターをPEI法でHEK293E細胞に導入して一過的に発現させた。HEK293E細胞をFreeStyle 293無血清発現培地(Thermo Fisher Scientific社製)で培養し、5日後に遠心して細胞培養液から上澄みを回収し、Protein Aカラムで精製して得られた抗体を134-Hu-IgG4-C91Sと名付けた。同じくして5E7ヒト化重鎖和軽鎖の発現ベクターを構築し、発現、精製して得られた抗体を5E7-Hu-IgG4と名付けた。
なお、マウス由来134号抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、組換えPCR法を利用してそれぞれヒト免疫グロブリンIgG4の重鎖定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号29で表され、アミノ酸配列が配列番号30で表される)およびカッパ(Kappa)軽鎖の定常領域(ヌクレオチド配列が配列番号33で表され、アミノ酸配列が配列番号34で表される)と繋いでpTT5発現ベクターに導入し、上述と同様にして発現、精製し、得られたキメラ抗体を134-Chimericと名付けた。また、上述と同様にして5E7抗体のキメラ抗体として5E7-Chimericが得られた。
ELISA法を利用し、抗体と抗原の結合力に対するヒト化改良の影響を検討した。具体的には、LAG-3-ECD-His(Hisタグ付きのLAG-3細胞外ドメイン、SinoBiological社製)を用い、1ウェル当たり10ngの量でELISAプレートを被覆し、室温、2時間インキュベートしてからPBST(0.05%のTween-20を含むPBS)で洗い流した。1%のBSAを含むPBST溶液をブロッキング液とし、200μLを取って各ウェルに加えてブロッキング処理を行い、PBSTでELISAプレート洗い流した後に軽く叩いて残液を取り除いた。ブロッキング液で段階的に希釈したヒトLAG-3抗体をELISAプレートに加え、室温、1時間程度インキュベートした後にELISAプレートを洗い流し、ブロッキング液で希釈したヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Fc特異的なもの、Sigma社製)、室温で約1時間インキュベートしてからELISAプレートを洗い流した。ELISAプレートの各ウェルにTMBを基質とする着色液100μLを加え、そして2MのHSOを50μL加えて反応を停止させ、SpectraMax 190(Molecular Device社製)を用いて波長450nmの吸光量OD450値を測定し、得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成し、EC50を算出した。
図2に示すように、LAG3.5抗体、134-Chimeric、134-Hu-IgG4-C91S、5E7-Chimericおよび5E7-Hu-IgG4は、何れもLAG-3に効果的に結合することができ、EC50がそれぞれ27.63ng/mL、8.685ng/mL、8.782ng/mL、9.741ng/mLおよび9.078ng/mLであった。また、ヒト化抗体とそれに対応するキメラ抗体は、EC50がほぼ一致し、ヒト化改良によって抗体と抗原の結合が変わらないのが実証され、このとき、同種対照物としてはLAG-3に結合しないIgG4抗体を用いた。
実施例6:PBMCのIL-2分泌に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の増強効果
ブドウ球菌エンテロトキシン(SEA)は、1種のスーパー抗原毒素であり、抗原提示細胞(APC)のMHC-IIクラス分子およびT細胞表面に局在するT細胞受容体(TCR)と交差反応を起こすことにより、T細胞クローンを大量に亢進させて免疫反応を激化する作用がある。T細胞が活性化されるとLAG-3を発現し、LAG-3は、APC表面のMHC-IIクラス分子に結合して免疫阻害効果を示す。本実施例では、SEAでPBMCを刺激した後にヒトLAG-3抗体を加え、そしてIL-2の分泌を検出することによりヒト化抗ヒトLAG-3抗体の機能活性を評価した。
具体的には、ヒスチジンタグ付きのSEA遺伝子をpET28aベクターに導入し、大腸菌発現系でタンパク質を発現させ、ニッケルカラムでSEAを精製した。Histopaqueを用いてヒト血液からPBMCを分離し、PBSで洗浄してから遠心し、そして10%のウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で細胞を再懸濁させ、配列番号52で表される自家製のSEAを加えて終濃度が1ng/mLとなるようにした。96ウェルプレートにPBMCを150μLずつ、1ウェル当たり2×10個細胞の量で播種し、各ウェルに更に段階的に希釈した抗ヒトLAG-3抗体を50μL加えた。96ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベータに静置して2日間インキュベートした後、培養液から適量の上澄みを取ってサンドイッチELISA法、BD Biosciences社製の検出キットを用いてIL-2分泌量を検出し、ELISAプレートリーダー(Molecular Device社製)でOD450値を測定し、得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成した。
図3Aおよび3Bに示すPBMCは、それぞれ異なるドナーから得られたものであった。LAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4が何れもSEA刺激によるPBMCのIL-2分泌を亢進させ、図3Aに示す実験ではLAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4のEC50がそれぞれ98.09ng/mL、50.71ng/mLおよび78.12ng/mLであり、図3Bに示す実験ではこれらの抗体のEC50がそれぞれ16.21ng/mL、10.85ng/mLおよび3.068ng/mLであることが確認できた。また、2回に渡って実施された実験からは、PBMCを刺激してIL-2分泌を亢進させる活性からして134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4がLAG3.5抗体を上回ることが確認でき、このとき、同種対照物としてはLAG-3に結合しないIgG4抗体を用いた。
実施例7:細胞表面LAG-3に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の結合活性
SEAスーパー抗原毒素はPBMCに含まれるT細胞を活性化させ、活性化されたT細胞はLAG-3を発現することが既に知られている。そこで、本実施例ではフローサイトメトリーを用い、細胞表面LAG-3に対する本発明のヒト化抗ヒトLAG-3抗体の結合活性を測定した。
具体的には、Histopaqueを用いてヒト血液からPBMCを分離し、PBSで2回洗浄し、遠心して細胞を集めて回収した。10%のウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で細胞を再懸濁させ、SEAを加えて終濃度が1ng/mLとなるようにし、そして96ウェルプレートにPBMCを1ウェル当たり2×10個細胞の量で播種した。96ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベータに静置して2日間インキュベートした後、PBSで細胞を洗浄し、遠心して上澄みを捨てた。ビオチンN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(商品番号&規格H1759-100MG、Sigma社製)を用いてメーカー提供のマニュアルに従って抗体をビオチン化し、段階的に希釈したビオチン標識のヒトLAG-3抗体を加えて約1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗い流し、1%のBSAを含むPBSで適宜希釈したPE標識ストレプトアビジン(BD Biosciences社製)を加えて更に約1時間インキュベートし、そしてPBSで細胞を2回洗い流した。4%のパラホルムアルデヒドを加えて細胞を固定し、CytoFLEXフローサイトメーターシステム(Beckman Coulter社製)を用いて細胞のPE蛍光強度を検出し、フローサイトメーター専用の解析ソフトで実験データを処理して平均蛍光強度を算出し、得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成し、EC50を算出した。
実験結果は図4に示され、LAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4が何れも細胞表面に局在するLAG-3に効果的に結合し、EC50がそれぞれ71.68ng/mL、80.45ng/mLおよび53.13ng/mLであり、3者がほぼ同等レベルの結合活性を示すのが確認できた。このとき、同種対照物としてはLAG-3に結合しないIgG4抗体を用い、縦座標は平均蛍光強度を示す。
実施例8:ヒトLAG-3抗体のエピトープ解析
LAG-3細胞外ドメインにおける第1免疫グロブリン様の構造は、外部へ露出する「extra loop」を含む、そのアミノ酸配列はGPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRY(配列番号46)であり、該ペプチド部分がLAG-3とMHC-IIクラス分子の結合に大きく寄与することが既に解明されている(Baixeras E,Huard B,Miossec C,et al.,Characterization of the lymphocyte activation gene 3-encoded protein.A new ligand for human leukocyte antigen class II antigens.Journal of Experimental Medicine,1992,176(2):327-337)。本発明の抗ヒトLAG-3抗体と該ペプチドの結合特性を検証し、かつ各抗体の結合エピトープを確定するため、以下の通りにしてペプチドマッピング実験を実施した。具体的には、化学合成法を利用して一連の部分的に重なるペプチド断片を合成し、これらのペプチド断片は、「extra loop」領域を完全に覆い且つそのN末端にそれぞれビオチン標識が付けられた。ストレプトアビジンを1ウェル当たり200ngの量でELISAプレートに加えて被覆を行い、被覆が終わるとELISAプレートを洗浄し、ブロッキング液として1%のBSAを含むPBST溶液でブロッキングした。ビオチン化のペプチド断片をブロッキング液で1μg/mLに希釈してからELISAプレートに加え、室温、1時間インキュベートすることによりビオチン化のペプチド断片をストレプトアビジンで捕捉した。ELISAプレートを洗浄し、更にブロッキング液で段階的に希釈したヒトLAG-3抗体を加え、室温、約1時間インキュベートしてからELISAプレートを洗い流した。ヒトLAG-3抗体とペプチド断片の結合強度を検出するに当たって、ブロッキング液で適宜希釈したヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Fc特異的なもの、Sigma社製)を加えて室温、約1時間インキュベートした後、各ウェルにTMBを基質とする着色液を100μL加え、そして2MのHSOを50μL加えて反応を停止させ、SpectraMax 190(Molecular Devices社製)を用いてOD450値を測定した。得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成し、EC50を算出した。
ペプチドマッピング実験の結果は、下記表1に纏めて示す。
Figure 2022523929000001

Figure 2022523929000002

表1に示す実験結果から、LAG3.5抗体のエピトープが配列番号47で表されるPHPAAPSSWであり、134号抗体のエピトープが配列番号48で表されるGPPAAAPGHPLAであり、かつ5E7号抗体のエピトープが配列番号49で表されるAAAPGHPLAPGPHPAAPSSであることが確認できた。図5は、これらの結果を概略的に示す図である。
実施例9:Raji細胞へのLAG-3結合に対するヒト化抗ヒトLAG-3抗体の阻害作用
Raji細胞は、Bリンパ球に由来する1種のバーキットリンパ腫細胞であり、MHC-IIクラス分子を高発現する。本実施例ではフローサイトメトリーを用い、Raji細胞表面に局在するMHC-IIクラス分子とLAG-3の結合に対する本発明のヒト化抗ヒトLAG-3抗体の阻害作用を測定した。
具体的には、Raji細胞株(アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)により入手、ATCC(登録商標)CCL-86TM(商標))をPBSで2回洗い流し、丸底の96ウェルプレートに1ウェル当たり2×10個細胞の量で播種し、遠心して上澄みを捨てた。一方、1%のBSAを含むPBSを用いてビオチン化LAG-3(ACROBiosystems社製)を0.5μg/mLに希釈し、同時に上記1%のBSAを含むPBS溶液でヒトLAG-3抗体を段階的に希釈し、ビオチン化LAG-3とヒトLAG-3抗体を含む混合溶液を調製して上記丸底の96ウェルプレートに加えて室温、約1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗い流した後、1%のBSAを含むPBSで適宜希釈したPE標識のストレプトアビジン(BD Biosciences社製)を加えて約1時間インキュベートし、反応が終わると細胞をPBSで2回洗い流した。4%のパラホルムアルデヒドを加えて細胞を固定し、CytoFLEXフローサイトメーターシステム(Beckman Coulter社製)を用いて細胞から発したPE蛍光強度を測定し、測定が終わるとフローサイトメトリー専用の解析ソフトで実験データ処理し、平均蛍光強度を算出した。得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成し、EC50を算出した。
実験結果は図6に示され、LAG3.5抗体および134-Hu-IgG4-C91Sが何れもLAG-3とRaji細胞の結合を効率よく遮断でき、IC50がそれぞれ256.9ng/mLおよび288.8ng/mLであり、両者がほぼ同じ阻害特性を示すことが実証された。また、LAG3.5抗体および134-Hu-IgG4-C91Sの場合と異なり、5E7-Hu-IgG4は、高濃度の場合に限ってLAG-3とRaji細胞の結合を部分的に遮断し、低濃度では逆にLAG-3とRaji細胞の結合を促すことが確認できた。このとき、同種対照物としてはヒトLAG-3に結合しないIgG4抗体を用い、LAG-3非存在下におけるRaji細胞のバック蛍光値を陰性対照とした。
実施例10:Biacore法による結合性評価
本実施例では、分子間相互作用解析装置としてBiacore 8K(GE healthcare社製)を用いてLAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4とLAG-3の結合性を評価した。
HBS-EP溶液(pH7.4)を希釈液とし、LAG-3抗体試料を濃度0.5μg/mLに希釈し、組換えLAG-3(商品番号16498-H08H、SinoBiological社製)を1.024nM、2.56nM、6.4nM、16nM、40nMおよび100nMに希釈し、同時に組換えLAG-3を含まない零濃度の試料も用意した。Biacore 8K装置においてProtein AチップでLAG-3抗体を捕捉し、そしてカラムに組換えLAG-3を注入することにより結合・解離グラフを取得し、カラム再生には6Mのグアニジン塩酸塩溶液を用いた。得られたデータをBiacore 8K専用のInsight Evaluationソフトで解析し、結果を下記表2に纏めて示す。
Figure 2022523929000003


表2に示すように、LAG-3に対するLAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4の解離定数(KD)がそれぞれ5.68E-10M、4.78E-10Mおよび4.17E-12Mであり、LAG-3に対する結合力からして134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4がLAG3.5抗体を上回ることが確認でき、そのうち5E7-Hu-IgG4の解離速度定数(Koff)が最も小さく、解離定数(KD)も最も小さいことから、そのLAG-3に対する結合力が最も高いと認められた。
実施例11:FGL1とLAG-3の相互作用に対するヒトLAG-3抗体の阻害効果評価
陳列平らは、フィブリノゲン様タンパク質1(以下、「FGL1」とも称する)がLAG-3の主なリガンドであり、かかる腫瘍阻害経路の基本的な作用機序を解明した(Wang J,Sanmamed M F,Datar I,et al.,Fibrinogen-like protein 1 is a major immune inhibitory ligand of LAG-3.Cell,2019,176(1-2):334-347.e12.)。本実施例ではフローサイトメトリーを用い、FGL1とLAG-3の相互作用に対するLAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4の阻害効果を評価した。
組換えヒトFGL1タンパク質を、以下の通りにして調製した。具体的には、ヒトFGL1配列としてはhttp://www.uniprot.org(Entry:Q08830)に登録されており、アミノ酸配列がLEDCAQEQMRLRAQVRLLETRVKQQQVKIKQLLQENEVQFLDKGDENTVIDLGSKRQYADCSEIFNDGYKLSGFYKIKPLQSPAEFSVYCDMSDGGGWTVIQRRSDGSENFNRGWKDYENGFGNFVQKHGEYWLGNKNLHFLTTQEDYTLKIDLADFEKNSRYAQYKNFKVGDEKNFYELNIGEYSGTAGDSLAGNFHPEVQWWASHQRMKFSTWDRDHDNYEGNCAEEDQSGWWFNRCHSANLNGVYYSGPYTAKTDNGIVWYTWHGWWYSLKSVVMKIRPNDFIPNVI(配列番号53)であり、上海生工バイオテック社に委託して上記アミノ酸配列をコードする遺伝子を合成した。組換えPCRを利用してFGL1の遺伝子とヒト人IgG1のFcフラグメント遺伝子を一体に繋ぎ、そして該Fc標識付きの遺伝子を哺乳動物発現ベクターに挿入し、HEK293E細胞に導入して一括的に発現させた。発現開始から5日後、Protein Aカラムを用いて培養液の上澄みから組換えタンパク質を精製し、紫外分光光度法を利用してタンパク質の濃度を測定し、得られたタンパク質をFGL1-hFcと命名した。FGL1-hFcについては、さらに、以下の通りにしてビオチン標識を付けた。具体的には、無水DMSOを用いてビオチンN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(商品番号H1759-100MG、Sigma社製)を100mMの母液に調製し、かつFGL1-hFcの分子量および濃度に基づいて物質量と濃度を計算した上で適量のビオチンN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル溶液とFGL1-hFcを物質量20:1の割合で均一に混ぜ合わせ、室温、1時間インキュベートした。試料を透析した後に紫外分光光度法を利用してタンパク質の濃度を測定し、得られたビオチン化タンパク質をBiotin-FGL1-hFcと命名した。
また、ヒトLAG-3を安定に発現するCHO-S細胞株は、以下の通りにして構築した。具体的には、CHO-S細胞としてはThermo Fisher Scientific社製のものを使い、ヒトLAG-3の全長遺伝子をpCHO1.0発現ベクターに挿入した後、ポリエチレンイミン(PEI)法を利用して該発現ベクターをCHO-S細胞に導入した。そして、培地にメトトレキサートとピューロマイシンを加えてスクリーニングを行い、限界希釈法を利用してシングルクローンを分離してヒトLAG-3を安定に発現するCHO-S株を取得し、この細胞株をCHO-S-LAG-3と命名した。
FGL1とLAG-3の相互作用に対する抗体の阻害特性については、フローサイトメトリーを利用して以下の通り評価した。
丸底フタ付きの96ウェルプレートに、CHO-S-LAG-3細胞を1ウェル当たり20万個細胞の量で播種し、300g、5分間遠心してからピペットで上澄みを吸い取って捨て、各ウェルに1%のウシ血清アルブミンを含むPBS溶液を200μL加えて細胞を再懸濁させ、300gで遠心してから上澄みを取り除いた。そして、段階的に希釈したLAG-3抗体と濃度が2μg/mLのBiotin-FGL1-hFcを加えて室温、1時間インキュベートした後、300gで遠心して上澄みを取り除き、1%のBSAを含むPBSで細胞を2回洗い流し、洗い流す度に300gで遠心して上澄みを取り除いた。そして、各ウェルに1%のBSAを含むPBSで1:2000の比例で希釈したPE標識のストレプトアビジンを1ウェル当たり200μL加え、室温、0.5時間インキュベートした。300gで遠心して上澄みを取り除き、1%のBSAを含むPBSで細胞を2回洗い流し、最後に200μLのPBSで細胞を再懸濁させた。フローサイトメトリーを用いて細胞が蒔かれている各ウェルのPEチャンネルにおける蛍光強度を測定し、得られたデータをGraphPad Prism6で処理して解析図を作成し、IC50を算出した。
図7に示すように、FGL1とLAG-3の相互作用を阻害するに当たってLAG3.5抗体、134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4のIC50がそれぞれ785.6ng/mL、97.57ng/mLおよび97.71ng/mLであり、かかる阻害活性からして134-Hu-IgG4-C91Sおよび5E7-Hu-IgG4がLAG3.5抗体を上回ることが実証された。
実施例12:遺伝子改変マウスMC38の移植腫瘍モデルに対するヒト化LAG-3抗体の阻害効果
動物実験は、以下の通りにして行われた。つまり、ヒトLAG-3遺伝子改変マウス(遺伝的背景品系:C57BL/6)およびMC38マウスの結腸直腸細胞株は、上海南方モデル動物研究センターにより入手し、該遺伝子改変マウスにおいて、マウスLAG-3細胞外ドメイン部分はヒトLAG-3遺伝子の相同部分によって置き換えられた。そのため、本発明のヒト化LAG-3抗体は、該遺伝子改変マウスのLAG-3分子を認識することができる。
具体的には、以下の通りにして実験を行なった。MC38細胞株を体外で拡大培養し、培地としては10%のウシ胎児血清を含むDMEM(ウシ胎児血清およびDMEM培地は、何れもThermo Fisher Scientific社製であった)を用いた。拡大培養で得られたMC38をLAG-3遺伝子改変マウス1匹当たりに1×10個細胞接種し、腫瘍細胞体積が100mmにまで生長すると、動物をランダムで5つの組に分け、各組は5匹ずつとした。同種の対照組は同種の対照抗体を投与し、mPD-1抗体組は、Bio X Cell社製のmPD-1抗体(商品番号BP0146)を10mg/kg投与し、また、別の投与組としてmPD-1抗体10mg/kg+LAG3.5抗体20mg/kg、mPD-1抗体10mg/kg+134-Hu-IgG4-C91S抗体20mg/kg、およびmPD-1抗体10mg/kg+5E7-Hu-IgG4抗体20mg/kgをそれぞれ設定した。投与は、各組ごとに週2回の頻度、腹腔内注射にて3週間続けて行われ、腫瘍体積を毎週2回測定して記録した。図8は、各組の生長グラフを示す。Wooらの研究(Woo S R,Turnis M E,Goldberg M V,et al.,Immune inhibitory molecules LAG-3 and PD-1 synergistically regulate T-cell function to promote tumoral immune escape.Cancer research,2012,72(4):917-927)によれば、LAG-3モノクロ-ナル抗体を単独投与するときの抗腫瘍効果が比較的弱く、動物の生存状態を考慮してLAG-3モノクロ-ナル抗体の単独投与組を省略した。
図8に示すように、mPD-1抗体は、対照組に比べてマウス体内のMC38腫瘍生長を著しく抑制することができ(P=0.0249)、一方、mPD-1抗体を単独投与する場合に比べ、LAG3.5抗体とmPD-1抗体を併用した場合にMC38腫瘍生長を更に抑制することができるものの、統計学的な有意差がなかった(P=0.1174、統計学的な有意差の指標であるP<0.05には至らなかった)。また、mPD-1抗体を単独投与する場合に比べ、134-Hu-IgG4-C91SとAnti-mPD-1を併用した場合にMC38腫瘍生長を更に抑制することができ(P=0.0159)、5E7-Hu-IgG4とAnti-mPD-1を併用した場合においてもMC38腫瘍生長を更に抑制することのできることが確認できた(P=0.0003)。

Claims (25)

  1. ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、
    ヒトLAG-3における前記抗体又はその抗原結合断片の結合エピトープは、配列番号50で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAを含むことを特徴とする、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  2. ヒトLAG-3における前記抗体又はその抗原結合断片の結合エピトープは、配列番号48で表されるアミノ酸配列GPPAAAPGHPLA、または配列番号49で表されるアミノ酸配列AAAPGHPLAPGPHPAAPSSを含む、請求項1に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  3. a)重鎖相補性決定領域として配列番号9で表されるHCDR1、配列番号10で表されるHCDR2および配列番号11で表されるHCDR3と、軽鎖相補性決定領域として配列番号12で表されるLCDR1、配列番号13で表されるLCDR2および配列番号14又は配列番号43で表されるLCDR3とを有し、又は
    b)重鎖相補性決定領域として配列番号15で表されるHCDR1、配列番号16で表されるHCDR2および配列番号17で表されるHCDR3と、軽鎖相補性決定領域として配列番号18で表されるLCDR1、配列番号19で表されるLCDR2および配列番号20で表されるLCDR3とを有することを特徴とする、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  4. 前記抗体は、モノクロ-ナル抗体またはポリクロ-ナル抗体である、請求項1~3の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  5. 前記抗体は、モノクロ-ナル抗体である、請求項4に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  6. 前記抗体は、マウス由来抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体である、請求項1~3の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  7. 前記抗体は、ヒト化抗体である、請求項6に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  8. 前記抗原結合断片は、Fab断片、F(ab’)2断片およびFv断片からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  9. 前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
    a)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号2で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号4で表され、又は
    b)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号6で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8で表され、又は
    c)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号22で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号24で表され、又は
    d)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号26で表され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号28で表される、請求項1~3の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  10. 前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含み、
    前記重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域、IgG2重鎖定常領域、IgG3重鎖定常領域およびIgG4重鎖定常領域からなる群より選ばれ、前記軽鎖定常領域は、κ軽鎖定常領域およびλ軽鎖定常領域からなる群より選ばれる、請求項9に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  11. 前記重鎖定常領域は、IgG4重鎖定常領域であり、
    前記軽鎖定常領域は、κ軽鎖定常領域である、請求項10に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  12. 前記重鎖定常領域のアミノ酸配列が配列番号30で表され、
    前記軽鎖定常領域のアミノ酸配列が配列番号34で表される、請求項11に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  13. 前記ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片は、重鎖および軽鎖を含み、
    a)前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号32で表され、前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号36で表され、又は
    b)前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号38で表され、前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号40で表される、請求項9~12の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片。
  14. 請求項1~13の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片をコードすることを特徴とする、ヌクレオチド配列。
  15. 前記ヌクレオチド配列は、
    a)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号1で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号3で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
    b)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号5で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号7で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
    c)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号21で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号23で表されるヌクレオチド配列を含み、又は
    d)重鎖可変領域をコードし且つ配列番号25で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖可変領域をコードし且つ配列番号27で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項14に記載のヌクレオチド配列。
  16. 前記ヌクレオチド配列は、重鎖定常領域をコードし且つ配列番号29で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖定常領域をコードし且つ配列番号33で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載のヌクレオチド配列。
  17. 前記ヌクレオチド配列は、
    a)重鎖をコードし且つ配列番号31で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖をコードし且つ配列番号35で表されるヌクレオチド配列を有し、又は
    b)重鎖をコードし且つ配列番号37で表されるヌクレオチド配列、および軽鎖をコードし且つ配列番号39で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項14~16の何れか1項に記載のヌクレオチド配列。
  18. 請求項14~17の何れか1項に記載のヌクレオチド配列を含んでなることを特徴とする、発現ベクター。
  19. 請求項18に記載の発現ベクターを含んでなることを特徴とする、ホスト細胞。
  20. 請求項1~13の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を製造する方法であって、
    発現条件下で請求項19に記載のホスト細胞を培養することにより、ヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を発現するステップaと、
    前記ステップaで発現したヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片を分離、精製するステップbと
    を含むことを特徴とする、製造方法。
  21. 請求項1~13の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなることを特徴とする、薬物組成物。
  22. 前記薬物組成物は、PD-1阻害剤を更に含む、請求項21に記載の薬物組成物。
  23. 前記PD-1阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその抗原結合断片である、請求項22に記載の薬物組成物。
  24. 請求項1~13の何れか1項に記載のヒトLAG-3に結合する抗体又はその抗原結合断片または請求項21~23の何れか1項に記載の薬物組成物の、癌を治療するための薬物の製造における用途。
  25. 前記癌は、メラノーマ、腎細胞癌、非小細胞肺がん、古典的ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん、大腸がん、および肝臓がんからなる群より選ばれる任意の1種である、請求項24に記載の用途。
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