JP2022523261A - 非平面基体の光学コーティングおよびその製造方法 - Google Patents

非平面基体の光学コーティングおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022523261000001
第1の部分および湾曲したまたは切子面のある第2の部分を含む主面を有する基体、および反射防止コーティングを形成する、その主面上の光学コーティングを備えた被覆物品。第1の方向は、第1の部分に垂直であり、第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、その第1の方向と、第2の方向の各々との間の角度は、約10度から60度である。さらに、その被覆物品は、第1と第2の部分で、約100nm以上の圧入深さで約8GPa以上の硬度を示す。さらに、その被覆物品は、第1と第2の部分で、約3%以下の片面最大反射率を示し、その反射率は、約425nmから約950nmの範囲で測定される。

Description

優先権
本出願は、その各々の内容が、依拠され、ここに全て引用される、2019年5月28日に出願された米国仮特許出願第62/853501号、および2019年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/824687号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
本開示は、耐久性および/または耐引掻性物品およびその製造方法に関し、より詳しくは、非平面基体上の耐久性および/または耐引掻性光学コーティングに関する。
電気製品内の重要なデバイスを保護するために、入力および/または表示のためのユーザインターフェース、および/または多くの他の機能を提供するために、カバー物品が多くの場合で使用されている。そのような製品に、スマートフォン、mp3プレーヤー、およびタブレット型コンピュータなどの携帯機器がある。カバー物品には、建築物品、輸送物品(例えば、自動車用途、列車、航空機、船舶などに使用される物品)、電気器具物品、もしくはある程度の透明性、耐引掻性、耐摩耗性、またはその組合せを必要とする任意の物品もある。これらの用途では、大抵、耐引掻性、並びに最大光透過率および最小反射率に関する強力な光学性能特徴が求められる。さらに、あるカバー用途では、反射および/または透過において、示されるまたは知覚される色が、視野角が変化するにつれて、感知できるほどには変化しないことが求められる。ディスプレイ用途において、これは、反射または透過における色が、視野角により、感知できる程度まで変化すると、製品のユーザが、ディスプレイの色または輝度の変化を知覚し、この変化により、ディスプレイの知覚品質が損なわれ得るからである。他の用途において、色の変化は、審美的要件または他の機能的要件に悪影響を及ぼすことがある。
カバー物品の光学性能は、様々な反射防止コーティングを使用することによって、改善することができる;しかしながら、公知の反射防止コーティングは、摩損、摩耗および/または引掻き損傷を受けやすい。そのような摩損、摩耗および引掻き損傷は、その反射防止コーティングにより達成される任意の光学性能の改善を損ない得る。例えば、光学フィルタは、大抵、異なる屈折率を有し、光学的に透明な誘電材料(例えば、酸化物、窒化物、およびフッ化物)から作られる多層コーティングから作られる。そのような光学フィルタに使用される典型的な酸化物のほとんどは、バンドギャップが幅広い材料であり、これらの材料は、携帯機器、建築物品、輸送物品または電気器具物品に使用するための、硬度などの必須の機械的性質を持たない。窒化物およびダイヤモンド状コーティングは、高い硬度値を示すであろうが、そのような材料は、典型的に、そのような用途に必要とされる透過率を示さない。
ある電子機器には、非平面カバー物品が組み込まれている。例えば、ある種のスマートフォンのタッチスクリーンは非平面であることがあり、そのカバー物品の少なくとも一部は表面で湾曲している。同様に、ある種のスマートウォッチは非平面であることがあり、そのカバー物品の少なくとも一部は表面で湾曲している。非平面物品が組み込まれていると、カバー物品上のコーティングの光学性能が変わることがある。例えば、基体が、平面部分に加え、1つ以上の湾曲した、切子面を有する、または他のやり方で形作られた非平面を含む場合、コーティングがその基体の異なる部分上において2つの異なる角度で見られることになる。
したがって、耐摩耗性である、耐引掻性である、および/または改善された光学性能を有する、非平面カバー物品、およびその製造方法が必要とされている。非平面カバー物品に適したこれらの性質を有する光学コーティング形態およびそのようなコーティングを形成するための様々な視線(line-of-sight)プロセスも必要とされている。
本開示のある態様によれば、被覆物品において、主面を有する基体であって、その主面は第1の部分と第2の部分を含み、その第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、その主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、その主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、その第1の方向と、第2の方向の各々との間の角度は、約10度から60度の範囲内にある、基体;およびその主面の少なくとも第1の部分と第2の部分の上に配置された光学コーティングを備えた被覆物品が提供される。その光学コーティングは反射防止表面を形成し、ここで、(a)被覆物品は、基体の第1の部分および基体の第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し;(b)被覆物品は、基体の第1の部分および第2の部分で、反射防止表面で測定して、約3%以下の片面最大光反射率を示す。第1の部分のこの片面最大光反射率は、第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、この第1の入射照明角度は、第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含む。第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、この第2の入射照明角度の各々は、複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、その第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含む。さらに、第1の部分での片面最大光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定される。
本開示のある態様によれば、被覆物品において、主面を有する基体であって、その主面は第1の部分と第2の部分を含み、その第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、その主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、その主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、その第1の方向と、第2の方向の各々との間の角度は、約10度から約50度の範囲内にある、基体;およびその主面の少なくとも第1の部分と第2の部分の上に配置された光学コーティングを備えた被覆物品が提供される。その光学コーティングは反射防止表面を形成し、ここで、(a)被覆物品は、基体の第1の部分および基体の第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し;(b)主面の第1の部分および第2の部分での被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5である。第1の部分での反射色は、第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、この第1の入射照明角度は、第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含む。第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、その第2の入射照明角度の各々は、複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる。
本開示のある態様によれば、被覆物品において、主面を有する基体であって、その主面は第1の部分と第2の部分を含み、その第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、その主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、その主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、その第1の方向と、第2の方向の各々との間の角度は、約10度から50度の範囲内にある、基体;およびその主面の少なくとも第1の部分と第2の部分の上に配置された光学コーティングを備えた被覆物品が提供される。その光学コーティングは反射防止表面を形成し、ここで、(a)被覆物品は、基体の第1の部分および基体の第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示す;(b)被覆物品は、基体の第1の部分および第2の部分で、反射防止表面で測定して、約2%以下の明所視平均光反射率を示す;および(c)主面の第1の部分および第2の部分での被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5である。第1の部分の片面最大光反射率は、第1の方向に対する第1の入射照明角度で測定され、その第1の入射照明角度は、第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含む。第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、その第2の入射照明角度の各々は、複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、その第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含む。さらに、第1の部分および第2の部分での明所視平均光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定される。それに加え、第1の部分での反射色は、第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、この第1の入射照明角度は、第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含む。さらに、第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、その第2の入射照明角度の各々は、複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる。
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたような実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることが理解されよう。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に含まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明とともに、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、被覆物品の断面側面図 ここに記載された1つ以上の実施の形態による、堆積過程に関する部品の表面曲率に対する光学コーティングの厚さ倍率のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での比較の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図10Aの比較の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図10Aの比較の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での本開示の例示の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図11Aの例示の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図11Aの例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での本開示の例示の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図12Aの例示の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図12Aの例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での本開示の例示の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図13Aの例示の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図13Aの例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での本開示の例示の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図14Aの例示の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 7つの光学コーティングの厚さ倍率値での図14Aの例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 図14A~14Cに示された例示の光学コーティングの3つの変種の圧入深さ(nm)に対する硬度(GPa)のプロット 4つの光学コーティングの厚さ倍率値での本開示の例示の光学コーティングに関するほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロット 9つの光学コーティングの厚さ倍率値での図16Aの例示の光学コーティングに関する入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロット 9つの光学コーティングの厚さ倍率値での図16Aの例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 9つの光学コーティングの厚さ倍率値での図14Cに示された本開示の例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット 9つの光学コーティングの厚さ倍率値での図16Cに示された本開示の例示の光学コーティングに関する0から90度の全ての視野角についてのD65光源による第一面反射光のプロット ここに開示された被覆物品のいずれかを組み込んだ例示の電子機器の平面図 図18Aの例示の電子機器の斜視図
ここで、その例が添付図面に示されている、被覆物品の様々な実施の形態を詳しく参照する。図1を参照すると、ここに開示された1つ以上の実施の形態による、被覆物品100は、非平面基体110、およびその基体上に配置された光学コーティング120を備えることがある。非平面基体110は、互いに反対の主面112、114および互いに反対の副面116、118を含むことがある。光学コーティング120は、第1の主面112上に配置されているものとして図1に示されている;しかしながら、光学コーティング120は、第1の主面112上に配置されていることに加え、またはその代わりに、第2の主面114上、および/または互いの反対の副面の一方または両方の上に配置されてもよい。光学コーティング120は、反射防止表面122を形成する。反射防止表面112は、空気界面を形成し、一般に、光学コーティング120のエッジ並びに被覆物品100全体のエッジを画成する。基体110は、ここに記載されるように、実質的に透明であることがある。
ここに記載された実施の形態によれば、基体110は非平面である。ここに用いられているように、非平面基体は、基体110の主面112、114の少なくとも一方が、形状の点で、幾何学的に平らではない基体を称する。例えば、図1に示されるように、主面112の一部は、曲線形状を含むことがある。主面112の曲率の程度は、様々であってよい。例えば、実施の形態は、約3mmから約30mm、または約5mmから約10mmなど、約1mmから数メートル(すなわち、ほぼ平面)の近似半径により測定される曲率を有することがある。実施の形態において、非平面基体は、図1に示されるように、平面部分を含むことがある。例えば、携帯型電子機器のタッチスクリーンは、中央部分またはその近くでの実質的に平らな表面およびエッジの周りの湾曲(すなわち、非平面)部分を含むことがある。そのような基体の例としては、Apple iPhone(登録商標)6スマートフォンまたはSamsung Galaxy(登録商標)S6 Edgeスマートフォンからのカバーガラスが挙げられる。非平面基体のいくつかの実施の形態が示されているが、非平面基体は、湾曲シート、切子面シート、角度のついた表面を有するシート、またさらには管状シートなど、幅広い形状をとってよいことを理解すべきである。
非平面基体110は、互いに対して平らではない、第1の部分113および第2の部分115(すなわち、部分113、115は、同一平面にない、または他の様式で互いに平行ではない)の少なくとも2つの部分を有する主面112を含む。いくつかの実施の形態によれば、第2の部分115は、形状の点で湾曲している、または切子面がある。方向nは、主面112の第1の部分に垂直であり、方向nは、主面112の位置115Aで第2の部分115に垂直である。さらに、方向nは、主面112の位置115Bで第2の部分115に垂直である。第1の部分113に垂直な方向nと、それぞれ、位置115Aおよび115Bで第2の部分115に垂直な方向nおよびnとは、同じではない。部分115の曲率に応じて、様々な方向n、n、および多くの他の方向n(式中、x>2)などは、第2の部分115に垂直であることがあり、方向n、すなわち、第1の部分113に垂直な方向と異なることがあることを理解すべきである。実施の形態において、nとn(および/またはn)との間の角度は、少なくとも約5度、少なくとも約10度、少なくとも約15度、少なくとも約20度、少なくとも約25度、少なくとも約30度、少なくとも約35度、少なくとも約40度、少なくとも約45度、少なくとも約50度、少なくとも約55度、少なくとも約60度、少なくとも約70度、少なくとも約80度、少なくとも約90度、少なくとも約120度、少なくとも約150度、またさらには少なくとも約180度(例えば、管状基体について、nとnとの間の角度は180度であることがある)であることがある。例えば、nとn(および/またはn)との間の角度は、約10度から約30度、約10度から約45度、約10度から約60度、約10度から約75度、約10度から約90度、約10度から約120度、約10度から約150度、または約10度から約180度の範囲にあることがある。追加の実施の形態において、nとn(および/またはn)との間の角度は、約10度から約80度、約20度から約80度、約30度から約80度、約40度から約80度、約50度から約80度、約60度から約80度、約70度から約80度、約20度から約180度、約30度から約180度、約40度から約180度、約50度から約180度、約60度から約180度、約70度から約150度、または約80度から約180度の範囲にあることがある。
被覆物品100を透過するまたは被覆物品100で反射する光は、図1に示されるように、観察方向vで測定されることがあり(すなわち、nについてv、nについてv、nについてvなど)、これは、基体110の主面112に非垂直であることがある。この観察方向は、各表面で法線方向から測定される、入射照明角度と称されることがある。例えば、ここに説明されるように、反射色、透過色、平均光反射率、平均光透過率、明所視反射率、および明所視透過率。観察方向vは、基体表面に垂直な方向nと観察方向vとの間の角度である入射照明角度θを画成する(すなわち、θは、法線方向nと観察方向vとの間の入射照明角度であり、θは、法線方向nと観察方向vとの間の入射照明角度であり、θは、法線方向nと観察方向vとの間の入射照明角度であるなど)。図1は、0度と等しくない入射照明角度を示しているが、いくつかの実施の形態において、入射照明角度は、vがnと等しいように約0度と等しいことがあることを理解すべきである。被覆物品100の一部の光学的性質は、入射照明角度θを変えると、異なることがある。
まだ図1を参照すると、いくつかの実施の形態において、基体の主面112に垂直な方向で測定される、光学コーティング120の厚さは、基体110の第1の部分113および第2の部分115の上に配置された光学コーティング120の部分の間で異なることがある。例えば、光学コーティング120は、例えば、化学気相成長法(例えば、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、低圧化学気相成長法、大気圧化学気相成長法、およびプラズマ大気圧化学気相成長法)、物理気相成長法(PVD)(例えば、反応性または非反応性スパッタリングまたはレーザアブレーション)、熱または電子ビーム蒸着および/または原子層堆積など、真空蒸着技術によって、非平面基体110上に堆積されることがある。吹き付け塗り、浸漬、回転塗布、またはスロットコーティング(例えば、ゾルゲル材料を使用する)など、液体に基づく方法も使用してよい。いくつかの実施の形態において、堆積チャンバの一部分の中で金属薄層が堆積され、その層が、その堆積チャンバの異なる部分内で、酸素または窒素などの気体と反応させられる「金属モード」の反応性スパッタリングに依存する、PVD技術を用いることができる。いくつかの実施の形態において、材料の堆積および反応が、堆積チャンバの同じセクション内で起こる、「インライン」式反応性スパッタリングに依存する、PVD技術を用いることができる。一般に、蒸着技術は、薄膜を製造するために使用できる様々な真空蒸着方法を含むであろう。例えば、物理気相成長法は、材料の蒸気を生成するための物理過程(例えば、加熱またはスパッタリング)を使用し、次いで、その材料の蒸気が、被覆される物体上に堆積される。これらの堆積過程、特に、PVD法は、堆積方向と、基体表面に垂直な方向との間の角度にかかわらず、堆積される材料が、基体上への堆積中に均一な方向に動く「視線(line-of-sight)」特徴を有することがある。
図1を参照すると、矢印dは、視線堆積方向を示す。図1における堆積方向dは、光学コーティング120の堆積中に基体が主面114上に載っているシステムにおいて一般的であろうように、基体110の主面114に垂直である。線の矢印dは、視線堆積の方向を指し示す。線tは、基体110の主面112に垂直な方向を示す。主面112に垂直な方向に測定される、光学コーティング120の法線厚さは、線tの長さにより表される。堆積角度φは、堆積方向dと、主面112に垂直な方向(すなわち、線t)との間の角度として定義される。視線堆積特徴で光学コーティング120が堆積される場合、光学コーティング120の一部の厚さは、いくつかの蒸着過程について、φのコサインの平方根に一般に従うことが観察された(図9および対応する説明を参照のこと)。それゆえ、φが増加するにつれて、光学コーティング120の厚さは減少する。蒸着により堆積された光学コーティング120の実際の厚さは、コサインφの平方根のスカラーにより決定されるものと異なるかもしれないが、それは、非平面基体110に施された場合、良好な性能を有するであろう光学コーティング設計をモデル化するのに有用な推定を与える。それに加え、nおよびdは、図1において同じ方向にあるが、それらは、全ての実施の形態において、同じ方向にある必要はない。理論で束縛されるものではないが、スパッタリングされる原子と分子との間の複雑な相互作用が、それらがスパッタリング標的からガラス基体110に移動するときに、スパッタリングプラズマによる堆積中に、互いと相互作用し得るので、本開示の物理気相成長法は、必ずしも、完全に視線の特徴にはしたがわないことも観察された。それにもかかわらず、φのコサインの平方根の関係(図9および対応する説明を参照のこと)を達成するために物理気相成長法を調整することができ、次に、第1と第2の部分113、115の両方で、望ましい光学的性質と機械的性質を有するように光学コーティング120の構造を構成する上で、その関係を都合よく利用することができる。
本開示に亘り、特に明記のない限り、光学コーティング120の厚さは、法線方向nで測定されることを理解すべきである。
実施の形態によれば、ここに記載されたように、被覆物品100の様々な部分(例えば、第1の部分113および第2の部分115)は、互いに類似に見える、光反射率、光透過率、反射色、および透過色などの光学特性を有することがある。例えば、第1の部分113での光学特性は、各々が、それぞれの部分113、115で基体110にほぼ垂直な方向で見られた(すなわち、θは約0度と等しく、θは約0度と等しい)ときに、第2の部分115でのものと似ていることがある。他の実施の形態において、第1の部分113での光学特性は、各々が、それぞれの部分113、115で法線方向に対して指定範囲内の入射照明角度で見られた(例えば、θは約0度から約60度であり、θは約0度から約60度であり、θは約0度から約60度である)ときに、第2の部分115でのものと似ていることがある。追加の実施の形態において、第1の部分113での光学特性は、各々がほぼ同じ方向で見られた(例えば、νとνとの間の角度が0度とほぼ等しい)ときに、第2の部分115でのものと似ていることがある。
光学コーティング120は、少なくとも1種類の材料の少なくとも1つの層を含む。「層」という用語は、単層を含んでも、または1つ以上の副層を含んでもよい。そのような副層は、互いに直接接触していてよい。その副層は、同じ材料または2種類以上の異なる材料から形成されてもよい。1つ以上の代わりの実施の形態において、そのような副層は、それらの間に配置された異なる材料の介在層を有することがある。1つ以上の実施の形態において、層は、1つ以上の接触した連続層および/または1つ以上の不連続の断続層(すなわち、互いに隣接して形成された異なる材料を有する層)を含むことがある。層または副層は、個別堆積過程または連続堆積過程を含む、当該技術分野におけるどの公知の方法により形成されてもよい。1つ以上の実施の形態において、その層は、連続堆積過程のみ、または、あるいは、個別堆積過程のみを使用して形成されることがある。
光学コーティング120の厚さは、堆積の方向において約1μm以上であることがあるが、それでも、ここに記載された光学性能を示す物品を提供する。いくつかの例において、堆積方向における光学コーティングの厚さは、約1μmから約20μm、約1μmから約10μm、約1μmから約5μm、約2μmから約10μm、約2μmから約5μm、約2μmから約4μmの範囲内、およびこれらの厚さ値の間の光学コーティング120の全ての厚さ値であることがある。例えば、光学コーティング120の厚さは、約0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、12μm、14μm、16μm、20μm、およびこれらの厚さの間の全ての厚さ値であり得る。
ここに用いられているように、「配置する」という用語は、当該技術分野における任意の公知の方法を使用して表面上に材料を被覆する過程、堆積させる過程、および/または形成する過程を含む。配置された材料は、ここに定義されるような、層を構成することがある。「上に配置された」という句は、材料が表面と直接接触しているように表面上に材料を形成する例を含み、材料が表面上に、その配置された材料と表面との間に1種類以上の介在材料がある状態で形成される例も含む。その介在材料は、ここに定義されるような、層を構成することがある。それに加え、図2~8は、平面基体を概略示しているが、図2~8は、図1に示されたものなど非平面基体を有するものと考えられるべきであり、それぞれの図の概念的教示を単純化するために平面として示されていることを理解すべきである。
図2に示されるように、光学コーティング120は、反射防止コーティング130を含むことがあり、これは、複数の層(130A、130B)を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、反射防止コーティング130は、2つ以上の層を有する周期132を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、その2つ以上の層は、互いに異なる屈折率を有すると特徴付けられることがある。1つの実施の形態において、周期132は、第1の低RI層130Aおよび第2の高RI層130Bを含む。第1の低RI層130Aおよび第2の高RI層130Bの屈折率差は、約0.01以上、約0.05以上、約0.1以上、またさらには約0.2以上であることがある。
図2に示されるように、反射防止コーティング130は、複数の周期132を含むことがある。1つの周期132は、第1の低RI層130Aおよび第2の高RI層130Bを含むことがあり、複数の周期132が設けられた場合、第1の低RI層130A(説明のために「L」と示される)および第2の高RI層130B(説明のために「H」と示される)は以下の層の順序で交互になり:L/H/L/HまたはH/L/H/L、よって、第1の低RI層130Aおよび第2の高RI層130Bは、光学コーティング120の物理的厚さに沿って交互に見える。図2の例において、反射防止コーティング130は三(3つ)の周期132を含む。いくつかの実施の形態において、反射防止コーティング130は、二十五(25)までの周期132(ここでは「N」周期とも称され、ここで、Nは整数である)を含むことがある。例えば、反射防止コーティング130は、約2から約20の周期132、約2から約15の周期132、約2から約12の周期132、約2から約10の周期132、約2から約12の周期132、約3から約8の周期132、約3から約6の周期132、またはこれらの範囲内の任意の他の周期132を含むことがある。例えば、反射防止コーティング130は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25の周期132を含むことがある。
図3に示された実施の形態において、反射防止コーティング130は、追加のキャッピング層131を含むことがあり、これは、第2の高RI層130Bよりも低い屈折率材料を含む。いくつかの実施の形態において、周期132は、図3に示されるように、1つ以上の第3の層130Cを含むことがある。第3の層130Cは、低RI、高RI、または中間RIを有することがある。いくつかの実施の形態において、第3の層130Cは、第1の低RI層130Aまたは第2の高RI層130Bと同じRIを有することがある。他の実施の形態において、第3の層130Cは、第1の低RI層130AのRIと第2の高RI層130BのRIとの間の中間RIを有することがある。あるいは、第3の層130Cは、第2の高RI層130Bよりも高い屈折率を有することがある。第3の層130Cは、以下の例示の配置で光学コーティング120内に設けられることがある:L第3の層/H/L/H/L;H第3の層/L/H/L/H;L/H/L/H/L第3の層;H/L/H/L/H第3の層;L第3の層/H/L/H/L/H第3の層;H第3の層/L/H/L/H/L第3の層;L第3の層/L/H/L/H;H第3の層/H/L/H/L;H/L/H/L/L第3の層;L/H/L/H/H第3の層;L第3の層/L/H/L/H/H第3の層;H第3の層/H/L/H/L/L第3の層;L/M第3の層/H/L/M/H;H/M/L/H/M/L;M/L/H/L/M;並びに他の組合せ。これらの配列において、どのような下付文字もない「L」は、第1の低RI層を称し、どのような下付文字もない「H」は、第2の高RI層を称する。「L第3の副層」への言及は、低RIを有する第3の層を称し、「H第3の副層」は、高RIを有する第3の層を称し、「M」は、中間RIを有する第3の層を称し、全ては、第1の層と第2の層に対するものである。
ここに用いられているように、「低RI」、「高RI」および「中間RI」という用語は、別のものに対するRIに関する相対的値を称する(例えば、低RI<中間RI<高RI)。1つ以上の実施の形態において、「低RI」という用語は、第1の低RI層または第3の層に使用される場合、約1.3から約1.7または1.75の範囲を含む。1つ以上の実施の形態において、「高RI」という用語は、第2の高RI層または第3の層に使用される場合、約1.7から約2.6の範囲(例えば、約1.85以上)を含む。いくつかの実施の形態において、「中間RI」という用語は、第3の層に使用される場合、約1.55から約1.8の範囲を含む。ある場合には、低RI、高RI、および中間RIの範囲は重複することがある;しかしながら、ほとんどの場合、反射防止コーティング130の層は、低RI<中間RI<高RIのRIに関する一般的関係を有する。
第3の層130Cは、図4に示されるように、周期132とは別の層として設けられることがあり、周期132または複数の周期132とキャッピング層131との間に配置されることがある。第3の層はまた、図5に示されるように、周期132とは別の層として設けられることがあり、基体110と複数の周期132との間に配置されることがある。第3の層は、図6に示されるように、キャッピング層131の代わりの、またはキャッピング層131に加えての、追加のコーティング140に加えて、用いることがある。いくつかの実施において、第3の層130C(図示せず)は、図7および8に示された構成における耐引掻性層150または基体110に隣接して配置される。
反射防止コーティング130に使用するのに適した材料としては、SiO、Al、GeO、SiO、AlO、AlN、SiN、SiO、SiAl、Ta、Nb、TiO、ZrO、TiN、MgO、MgF、BaF、CaF、SnO、HfO、Y、MoO、DyF、YbF、YF、CeF、高分子、フルオロポリマー、プラズマ重合高分子、シロキサン重合体、シルセスキオキサン、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、ポリメチルメタクリレート、耐引掻性層に使用するのに適していると下記に挙げられる他の材料、および当該技術分野に公知の他の材料が挙げられる。第1の低RI層に使用するのに適した材料のいくつかの例としては、SiO、Al、GeO、SiO、AlO、SiO、SiAl、MgO、MgAl、MgF、BaF、CaF、DyF、YbF、YF、およびCeFが挙げられる。第1の低RI層に使用される材料(例えば、AlおよびMgAlなどの材料中)の窒素含有量は、最小にされることがある。第2の高RI層に使用するのに適した材料のいくつかの例としては、SiAl、Ta、Nb、AlN、Si、AlO、SiO、SiN:H、HfO、TiO、ZrO、Y、Al、MoOおよびダイヤモンド状炭素が挙げられる。例において、高RI層は、高硬度層または耐引掻性層であることもあり、先に列挙された高RI層の材料も、高硬度または耐引掻性を有することがある。第2の高RI層および/または耐引掻性層のための材料、特に、SiNまたはAlN材料の酸素含有量は、最小にされることがある。AlO材料は、酸素がドープされたAlNであると考えられることがある、すなわち、それらは、AlN結晶構造(例えば、ウルツ鉱)を有することがあり、AlON結晶構造を有する必要はない。例示のAlO高RI材料は、約30原子%から約50原子%の窒素を含みつつ、約0原子%から約20原子%の酸素、または約5原子%から約15原子%の酸素を含むことがある。例示のSiAl高RI材料は、約10原子%から約30原子%または約15原子%から約25原子%のケイ素、約20原子%から約40原子%または約25原子%から約35原子%のアルミニウム、約0原子%から約20原子%または約1原子%から約20原子%の酸素、および約30原子%から約50原子%の窒素を含むことがある。先の材料は、約30質量%まで水素化されることがある。いくつかの実施において、そのSiAl高RI材料は、45原子%から50原子%のケイ素、45原子%から50原子%の窒素、および3原子%から10原子%の酸素を含む。さらなる実施において、そのSiAl高RI材料は、45原子%から50原子%のケイ素、35原子%から50原子%の窒素、および3原子%から20原子%の酸素を含む。中間の屈折率を有する材料が望ましい場合、いくつかの実施の形態は、AlNおよび/またはSiOを利用することがある。第2の高RI層および/または耐引掻性層の硬度が、具体的に特徴付けられることがある。いくつかの実施の形態において、約100nm以上の圧入深さでバーコビッチ圧子硬度試験により測定される、第2の高RI層130Bおよび/または耐引掻性層150(図7および8、並びに下記の対応する説明を参照のこと)の最大硬度は、約8GPa以上、約10GPa以上、約12GPa以上、約15GPa以上、約18GPa以上、または約20GPa以上であることがある。ある場合には、第2の高RI層130Bの材料は、単層として堆積されることがあり、耐引掻性層(図7および8に示され、下記にさらに記載される耐引掻性層150)として特徴付けられることがあり、この単層は、反復硬度測定について約200nmと5000nmの間の厚さを有することがある。第2の高RI層130Bが耐引掻性層(例えば、図7および8に示されるような、耐引掻性層150)の形態で単層として堆積されている他の実施の形態において、この層は、約200nmから約5000nm、約200nmから約3000nm、約500nmから約5000nm、約1000nmから約4000nm、約1500nmから約4000nm、約1500nmから約3000nm、およびこれらの厚さの間の全ての厚さ値の厚さを有することがある。
1つ以上の実施の形態において、反射防止コーティング130の層の内の少なくとも1つは、特定の光学的厚さ範囲を含むことがある。ここに用いられているように、「光学的厚さ」という用語は、層の物理的厚さおよび屈折率の合計により決定される。1つ以上の実施の形態において、反射防止コーティング130の層の内の少なくとも1つは、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、または約15nmから約5000nmの範囲の光学的厚さを有することがある。いくつかの実施の形態において、反射防止コーティング130の層の全ての各々は、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、または約15nmから約5000nmの範囲の光学的厚さを有することがある。ある場合には、反射防止コーティング130の少なくとも1つの層は、約50nm以上の光学的厚さを有する。ある場合には、第1の低RI層の各々は、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、または約15nmから約5000nmの範囲の光学的厚さを有する。他の場合、第2の高RI層の各々は、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、または約15nmから約5000nmの範囲の光学的厚さを有する。さらに他の場合、第3の層の各々は、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、または約15nmから約5000nmの範囲の光学的厚さを有する。
いくつかの実施の形態において、最上部の空気側の層は、高硬度も示す高RI層130B(図2参照)を含むことがある。いくつかの実施の形態において、追加のコーティング140(図6および下記のする記載を参照のこと)が、この最上部の空気側の高RI層の上に位置されることがある(例えば、その追加のコーティングは、低摩擦コーティング、疎油性コーティング、または洗浄し易いコーティングを含むことがある)。厚さが非常に小さい(例えば、約10nm以下、約5nm以下、または約2nm以下)低RI層を追加しても、高RI層を含む最上部の空気側層に追加された場合、光学性能に対する影響は最小である。厚さが非常に小さい低RI層は、SiO、疎油性または低摩擦層、もしくはSiOと疎油性材料の組合せを含むことがある。例示の低摩擦層は、ダイヤモンド状炭素を含むことがあり、そのような材料(または光学コーティングの1つ以上の層)は、0.4未満、0.3未満、0.2未満、またさらには0.1未満の摩擦係数を示すことがある。
1つ以上の実施の形態において、反射防止コーティング130は、約800nm以下の物理的厚さを有することがある。反射防止コーティング130は、約10nmから約800nm、約50nmから約800nm、約100nmから約800nm、約150nmから約800nm、約200nmから約800nm、約300nmから約800nm、約400nmから約800nm、約10nmから約750nm、約10nmから約700nm、約10nmから約650nm、約10nmから約600nm、約10nmから約550nm、約10nmから約500nm、約10nmから約450nm、約10nmから約400nm、約10nmから約350nm、約10nmから約300nm、約50nmから約300nmの範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の物理的厚さを有することがある。いくつかの実施の形態において、反射防止コーティング130は、約250nmから約1000nm、約500nmから約1000nmの範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の物理的厚さを有することがある。例えば、反射防止コーティング130は、約250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nmの物理的厚さ、およびこれらの厚さ値の間の全ての厚さを有することがある。
1つ以上の実施の形態において、第2の高RI層の総計物理的厚さが特徴付けられることがある。例えば、いくつかの実施の形態において、第2の高RI層の総計厚さは、約100mm以上、約150m以上、約200mm以上、約250m以上、約300mm以上、約350m以上、約400mm以上、約450m以上、約500mm以上、約550m以上、約600mm以上、約650m以上、約700mm以上、約750m以上、約800mm以上、約850m以上、約900mm以上、約950m以上、またさらには約10000mm以上であることがある。その総計厚さは、介在する低RI層または他の層がある場合でさえ、反射防止コーティング130中の個々の高RI層の厚さの計算総計である。いくつかの実施の形態において、第2の高RI層の総計物理的厚さは、高硬度材料(例えば、窒化物または酸窒化物材料)も含むことがあり、これは、反射防止コーティングの全物理的厚さの30%より大きいことがある。例えば、第2の高RI層の総計物理的厚さは、反射防止コーティング130の全物理的厚さまたは光学コーティング120の全物理的厚さの約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約75%以上、またさらには約80%以上であることがある。それに加え、またはそれに代えて、その光学コーティングに含まれる高屈折率材料(高硬度材料であることもある)の量は、物品または光学コーティング120の最上部の500nmの物理的厚さ(すなわち、ユーザ側または基体と反対の光学コーティング側)の百分率として特徴付けられることがある。物品または光学コーティングの最上部の500nmの百分率として表される、第2の高RI層の総計物理的厚さ(または高屈折率材料の厚さ)は、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、またさらには約90%以上であることがある。いくつかの実施の形態において、前記反射防止コーティング内の硬質かつ高屈折率材料の大きな比率は、同時に、本明細書中のどこかでさらに記載されるように、低反射率、わずかな色合いの、および高い耐摩耗性も示すように作ることもできる。1つ以上の実施の形態において、第2の高RI層は、約1.85超の屈折率を有する材料を含むことがあり、第1の低RI層は、約1.75未満の屈折率を有する材料を含むことがある。いくつかの実施の形態において、第2の高RI層は、窒化物または酸窒化物材料を含むことがある。ある場合には、光学コーティング(または光学コーティングの最も厚い第2の高RI層上に配置されている層)中の第1の低RI層全ての総計厚さは、約200nm以下(例えば、約150nm以下、約100nm以下、約75nm以下、または約50nm以下)であることがある。
被覆物品100は、図6に示されるような、反射防止コーティング上に配置された1つ以上の追加のコーティング140を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、その追加のコーティングは、洗浄し易いコーティングを含むことがある。適切な洗浄し易いコーティングの一例が、2012年11月30日に出願され、2014年4月24日に米国特許出願公開第2014/0113083号として公開された、「Process for Making of Glass Articles with Optical and Easy-to-Clean Coatings」と題する、米国特許出願第13/690904号明細書に記載されており、各々の主要な部分が、ここに全て引用される。この洗浄し易いコーティングは、約5nmから約50nmの範囲の厚さを有することがあり、フッ素化シランなどの公知の材料を含むことがある。この洗浄し易いコーティングは、それに加え、またはそれに代えて、低摩擦コーティングまたは表面処理を含むことがある。例示の低摩擦コーティング材料としては、ダイヤモンド状炭素、シラン(例えば、フルオロシラン)、ホスホネート、アルケン、およびアルキンが挙げられるであろう。いくつかの実施の形態において、この洗浄し易いコーティングは、約1nmから約40nm、約1nmから約30nm、約1nmから約25nm、約1nmから約20nm、約1nmから約15nm、約1nmから約10nm、約5nmから約50nm、約10nmから約50nm、約15nmから約50nm、約7nmから約20nm、約7nmから約15nm、約7nmから約12nm、または約7nmから約10nmの範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の厚さを有することがある。
追加のコーティング140は、1つまたは複数の耐引掻性層を含むことがある。いくつかの実施の形態において、追加のコーティング140は、洗浄し易い材料および耐引掻性材料の組合せを含む。一例において、その組合せは、洗浄し易い材料およびダイヤモンド状炭素を含む。そのような追加のコーティング140は、約5nmから約20nmの範囲の厚さを有することがある。追加のコーティング140の構成成分は、別々の層に設けられることがある。例えば、ダイヤモンド状炭素は第1の層として配置されることがあり、洗浄し易い材料は、ダイヤモンド状炭素の第1の層上の第2の層として配置することができる。この第1の層と第2の層の厚さは、追加のコーティングについて先に与えられた範囲内にあることがある。例えば、ダイヤモンド状炭素の第1の層は、約1nmから約20nmまたは約4nmから約15nm(またはより具体的には、約10nm)の厚さを有することがあり、洗浄し易い材料の第2の層は、約1nmから約10nm(またはより具体的には、約6nm)の厚さを有することがある。このダイヤモンド状コーティングは、四面体非晶質炭素(Ta-C)、Ta-C:H、および/またはa-C-Hを含むことがある。
ここに述べたように、光学コーティング120は耐引掻性層150を含むことがあり、この耐引掻性層は反射防止コーティング130と基体110との間に配置されることがある。いくつかの実施の形態において、耐引掻性層150(図7および8に示されているような耐引掻性層150)は、反射防止コーティング130の複数の層の間に配置されている。反射防止コーティング130の2つのセクション(すなわち、耐引掻性層150と基体110との間に配置された第1のセクション、およびその耐引掻性層上に配置された第2のセクション)は、互いに異なる厚さを有することがある、または互いに実質的に同じ厚さを有することがある。反射防止コーティング130の2つのセクションの層は、組成、順序、厚さ、および/または配置が互いに同じことがある、または互いに異なることがある。それに加え、反射防止コーティング130の2つのセクションの層は、同じ数の周期132(N)を有することがある、またはこれらのセクションの各々における周期132の数は、互いに異なることがある(図2~6に示され、先に記載された周期132を参照のこと)。それに加え、1つ以上の随意的な層130C(図示せず)を、2つのセクションのいずれかまたは両方の中(例えば、基体110上に直接、耐引掻性層150と接触した第1の反射防止コーティング130のセクションの上、耐引掻性層150と接触した第2の反射防止コーティング130のセクションの底部、および/または基体110と接触した第2の反射防止コーティングの底部)に配置することができる。
耐引掻性層150(または追加のコーティング140として使用される耐引掻性層)に使用される例示の材料としては、無機炭化物、窒化物、酸化物、ダイヤモンド状材料、またはこれらの組合せが挙げられるであろう。耐引掻性層150に適した材料のいくつかのの例としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属オキシ炭化物、および/またはその組合せが挙げられる。例示の金属としては、B、Al、Si、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Sn、Hf、Ta、およびWが挙げられる。耐引掻性層150またはコーティングとして利用されることのある材料の具体例としては、Al、AlN、AlO、Si、SiO、SiAl、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、Si、Si、ZrO、TiO、およびその組合せが挙げられるであろう。耐引掻性層150は、硬度、靱性、または耐摩耗/摩損性を改善するために、ナノ複合材料、または微細構造が制御された材料も含むことがある。例えば、耐引掻性層150は、約5nmから約30nmのサイズ範囲のナノ微結晶を含むことがある。実施の形態において、耐引掻性層150は、転移強化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、またはジルコニア強化アルミナを含むことがある。実施の形態において、耐引掻性層150は、約1MPa√m超の破壊靱性値を示すと同時に、8GPa超の硬度値を示す。
耐引掻性層150は、単層(図7および8に示されるような)、屈折率勾配を示す多数の副層または単層を含んでもよい。多数の層が使用される場合、そのような層は耐引掻性コーティングを形成する。例えば、耐引掻性層150は、SiAlの組成勾配を含むことがあり、ここで、Si、Al、OおよびNのいずれか1つ以上の濃度は、屈折率を増減させるために変えられている。この屈折率勾配は、気孔率を使用して形成されることもある。そのような勾配は、2014年4月28日に出願され、2017年7月11日に米国特許第9703011号として発行された、「Scratch-Resistant Articles with a Gradient Layer」と題する、米国特許出願第14/262224号明細書により完全に記載されており、各々の主要な部分が、ここに全て引用される。
耐引掻性層150は、いくつかの実施の形態によれば、約200nmから約5000nmの厚さを有することがある。いくつかの実施において、耐引掻性層150は、約200nmから約5000nm、約200nmから約3000nm、約500nmから約5000nm、約500nmから約3000nm、約500nmから約2500nm、約1000nmから約4000nm、約1500nmから約4000nm、約1500nmから約3000nmの厚さ、およびこれらの厚さの間の全ての厚さ値を有する。例えば、耐引掻性層150の厚さは、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、1600nm、1700nm、1800nm、1900nm、2000nm、2100nm、2200nm、2300nm、2400nm、2500nm、2600nm、2700nm、2800nm、2900nm、3000nm、3500nm、4000nm、4500nm、5000nm、および先の値の間の全ての厚さの部分的範囲および厚さ値であることがある。
図8に示された1つ以上の実施の形態において、光学コーティング120は、高RI層として組み込まれた耐引掻性層150を含むことがあり、その耐引掻性層150の上に1つ以上の低RI層130Aおよび高RI層130Bが配置されることがあり、ここで、随意的なキャッピング層131が低RI層130Aおよび高RI層130Bの上に配置され、このキャッピング層131は低RI材料から作られている。耐引掻性層150は、あるいは、光学コーティング120全体または被覆物品100全体の中の最も厚い硬質層または最も厚い高RI層として定義されることがある。理論で束縛されるものではないが、被覆物品100は、耐引掻性層150の上に比較的薄い量の材料が堆積された場合、圧入深さで増加した硬度を示すであろうと考えられる。しかしながら、耐引掻性層150の上に低RI層および高RI層を含むと、被覆物品100の光学的性質が向上することがある。いくつかの実施の形態において、比較的少ない層(例えば、たった1、2、3、4、または5層)が耐引掻性層150の上に配置されることがあり、これらの層の各々は、比較的薄い(例えば、100nm未満、75nm未満、50nm未満、またさらには25nm未満)ことがある。他の実施の形態において、耐引掻性層150の上に多量の層(例えば、3から15層)が配置されることがあり、これらの層の各々も比較的薄い(例えば、200nm未満、175nm未満、150nm未満、125nm未満、100nm未満、75nm未満、50nm未満、またさらに25nm未満)ことがある。図8に示された実施の形態の1つの実施において、反射防止コーティング130は、耐引掻性層150の上に4つの周期132と、その耐引掻性層の下に4つの周期132とを有する周期132(すなわち、N=8)、耐引掻性層150または基体110に隣接して配置された層130C(図示せず)、およびキャッピング層131(図8に示されたような)を含むことがある。図8に示された実施の形態の別の実施において、反射防止コーティング130は、耐引掻性層150の上に5つの周期132と、その耐引掻性層の下に3つの周期132とを有する周期132(すなわち、N=8)、耐引掻性層150または基体110に隣接して配置された層130C(図示せず)、およびキャッピング層131(図8に示されたような)を含むことがある。
実施の形態において、耐引掻性層150の上(すなわち、耐引掻性層150の空気側上)に堆積された層は、約1000nm以下、約500nm以下、約450nm以下、約400nm以下、約350nm以下、約300nm以下、約250nm以下、約225nm以下、約200nm以下、約175nm以下、約150nm以下、約125nm以下、約100nm以下、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、約60nm以下、またさらには約50nm以下の全厚さ(すなわち、組合せの)を有することがある。
実施の形態(例えば、図7および8に示された被覆物品100)において、耐引掻性層150の上(すなわち、耐引掻性層150の空気側上)に配置された低RI層の全厚さ(接触していなくとも、全ての低RI層130Aの厚さの合計)は、約500nm以下、約450nm以下、約400nm以下、約350nm以下、約300nm以下、約250nm以下、約225nm以下、約200nm以下、約175nm以下、約150nm以下、約125nm以下、約100nm以下、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、約20nm以下、またさらには約10nm以下であることがある。
光学コーティング120および/または被覆物品100は、バーコビッチ圧子硬度試験により測定される硬度に関して記載されることがある。ここに用いられているように、「バーコビッチ圧子硬度試験」は、ダイヤモンド製バーコビッチ圧子で表面にくぼみを付けることによって、材料の表面上のその材料の硬度を測定する工程を含む。このバーコビッチ圧子硬度試験は、被覆物品100の反射防止表面122(図1~8参照)または光学コーティング120の中の層のいずれか1つ以上の表面にダイヤモンド製バーコビッチ圧子でくぼみを付けて、約50nmから約1000nmの範囲(もしくは光学コーティング120の全厚さまたはその層の厚さのいずれか小さい方)の圧入深さまで圧痕を形成する工程、および一般に、Oliver,W.C.;Pharr,G.M.、「An improved technique for determining hardness and elastic modulus using load and displacement sensing indentation experiments」、J.Mater.Res.,第7巻、No.6、1992年、1564~1583頁;およびOliver,W.C.;Pharr,G.M.、「Measurement of Hardness and Elastic Modulus by Instrument Indentation: Advances in Understanding and Refinements to Methodology」、J.Mater.Res.,第19巻、No.1、2004年、3~20頁に述べられた方法を使用して、圧入深さ範囲全体またはこの圧入深さのセグメント(例えば、約100nmから約600nmの範囲、例えば、100nm以上の圧入深さなどで)に沿ってこの圧入から最大硬度を測定する工程を含み、各々の主要な部分が、ここに全て引用される。ここに用いられているように、「硬度」は、平均硬度ではなく、最大硬度を称する。
典型的に、下にある基体より硬いコーティングのナノインデンテーション測定方法(バーコビッチ圧子を使用することなど)において、測定された硬度は、浅い圧入深さで塑性領域が発生するために、最初に増加するように見えることがあり、次いで、増加し、より深い圧入深さで最大値または平坦域に到達する。その後、硬度は、下にある基体の作用のために、さらにより深い圧入深さで減少し始める。コーティングと比べて硬度が大きい基体が利用される場合、同じ効果が見られる;しかしながら、硬度は、下にある基体の作用のために、より深い圧入深さで増加する。
その圧入深さ範囲および特定の圧入深さ範囲での硬度値は、下にある基体の作用なく、ここに記載された光学膜構造およびその層の特定の硬度応答を特定するように選択することができる。バーコビッチ圧子により光学膜構造(基体上に配置されている場合)の硬度を測定する場合、材料の永久歪みの領域(塑性領域)は、その材料の硬度に関連付けられる。圧入中、弾性応力場は、永久歪みのこの領域をかなり超えて延在する。圧入深さが増すにつれて、見掛け硬度および弾性率は、下にある基体との応力場の相互作用により影響を受ける。硬度に対する基体の影響は、より深い圧入深さで(すなわち、典型的に、光学膜構造または層厚の約10%より大きい深さで)起こる。さらに、一層複雑な事態は、硬度応答は、圧入過程中に完全な塑性を生じるための特定の最小荷重が必要であることである。その特定の最小荷重の前には、硬度は、概して増加する傾向を示す。
小さい圧入深さ(小さい荷重と特徴付けられることもある)(例えば、約50nmまで)では、材料の見掛け硬度は、圧入深さに対して劇的に増加するようである。この小さい圧入深さ範囲は、硬度の本当の測定基準を表さず、代わりに、上述した塑性領域の発生を反映し、これは、圧子の有限曲率半径に関連する。中間の圧入深さでは、見掛け硬度は最大レベルに近づく。より深い圧入深さでは、基体の影響は、圧入深さが増加するにつれて、より著しくなる。硬度は、圧入深さが光学コーティング120の厚さまたは層厚の約30%を一旦超えたら、劇的に低下し始めるであろう。
いくつかの実施の形態において、被覆物品100(例えば、図1~8に示されるような)は、反射防止表面122で測定されたときに、約8GPa以上、約10GPa以上、または約12GPa以上(例えば、約14GPa以上、約16GPa以上、約18GPa以上、または約20GPa以上)の硬度を示すことがある。被覆物品100の硬度は、約20GPaまたは30GPaまででさえあることがある。そのような硬度の測定値は、約50nm以上、または約100nm以上の圧入深さ(例えば、約50nmから約300nm、約50nmから約400nm、約50nmから約500nm、約50nmから約600nm、約100nmから約300nm、約100nmから約400nm、約100nmから約500nm、約100nmから約600nm、約200nmから約300nm、約200nmから約400nm、約200nmから約500nm、または約200nmから約600nm)に沿って光学コーティング120および/または被覆物品100により示されることがある。1つ以上の実施の形態において、被覆物品100は、基体110の硬度(反射防止表面と反対の表面で測定できる)よりも大きい硬度を示す。
実施の形態によれば、前記硬度は、被覆物品100の異なる部分で測定されることがある。例えば、その被覆物品は、第1の部分113および第2の部分115で、反射防止表面112で少なくとも約100nm以上の圧入深さで少なくとも8GPa以上の硬度を示すことがある。例えば、第1の部分113および第2の部分115での硬度は、約8GPa以上、約10GPa以上、または約12GPa以上(例えば、約14GPa以上、約16GPa以上、約18GPa以上、または約20GPa以上)であることがある。
実施の形態によれば、ここに記載された被覆物品は、第1の部分113および第2の部分115など、被覆物品100の様々な部分で、所望の光学的性質(低反射率および中間色など)を有することがある。例えば、光反射率は、各々がそれぞれの部分にほぼ垂直な入射照明角度で見られるときに、第1の部分113および第2の部分115で、比較的低いことがある(そして、透過率は、比較的高いことがある)。別の実施の形態において、各部分がほぼ垂直な入射照明角度で見られるときに、その2つの部分の間の色の差は、裸眼にとって取るに足らないであろう。別の実施の形態において、それらの部分が、同じ方向を有する入射照明角度で見られるときに、色は、裸眼にとって取るに足らないであろうし、各部分での反射率は比較的低いであろう(すなわち、各部分の表面に対する入射照明角度は、それらの部分は互いにある角度にあるので異なるが、入射方向は同じである)。光学的性質としては、平均光透過率、平均光反射率、明所視反射率、最大明所視反射率、明所視透過率、反射色(すなわち、L色座標における)、および透過色(すなわち、L色座標における)が挙げられるであろう。
ここに用いられているように、「透過率」という用語は、材料(例えば、物品、基体または光学膜またはその部分)を透過する所定の波長範囲内の入射光学パワーの割合として定義される。「反射率」という用語は、同様に、材料(例えば、物品、基体または光学膜またはその部分)から反射した所定の波長範囲内の入射光学パワーの割合として定義される。反射率は、反射防止表面112のみで測定された場合(例えば、吸収体に結合された背面上に屈折率一致油を使用すること、または他の公知の方法などにより、物品の非被覆背面(例えば、図1における114)からの反射を除去した場合)、片面反射率(ここでは「第一面反射率」とも称される)として測定されることがある。1つ以上の実施の形態において、透過率および反射率の特徴付けのスペクトル分解能は、5nmまたは0.02eV未満である。色は、反射においてより著しいことがある。角度色は、入射照明角度による分光反射率振動(oscillation)のシフトのために、視野角により反射でシフトする。視野角による透過率における角度色ずれも、入射照明角度による分光透過率振動の同じシフトのためである。入射照明角度による観察色および角度色ずれは、特に、蛍光照明およびいくつかのLED照明などの鋭いスペクトル特徴を有する照明下で、機器の使用者にとって多くの場合、気が散るまたは不快である。透過における角度色ずれも、反射における色ずれにある要因を果たし、その逆も同様であろう。透過および/または反射における角度色ずれにおける要因に、視野角による角度色ずれ、または特定の光源または試験システムにより規定される材料吸収(角度にはいくぶん関係ない)により生じることがある特定の白色点から離れた角度色ずれもあるであろう。
平均光反射率および平均光透過率は、約400nnから約800nm、または約400nmから約1000nmの波長範囲、またはこれらの波長範囲の端点の間の任意の波長範囲または部分的範囲に亘り測定されることがある。追加の実施の形態において、前記光学波長領域は、約450nmから約650nm、約420nmから約680nm、約420nmから約700nm、約420nmから約740nm、約420nmから約850nm、約420nmから約950nm、または約425nmから約950nmなどの波長範囲を含むことがある。
被覆物品100は、様々な部分での明所視透過率および反射率によっても特徴付けられることがある。ここに用いられているように、明所視反射率は、人の目の感受性にしたがって、波長スペクトルに対して反射率を重み付けることによって、人の目の応答を模倣する。明所視反射率は、CIE色空間の慣例などの公知の慣例にしたがって、反射光の輝度、または三刺激Y値として定義されることもある。平均明所視反射率は、光源スペクトルI(λ)および目のスペクトル感度に関連する、CIEの等色関数
Figure 2022523261000002
により乗じられた分光反射率R(λ)として、下記の式に定義されている:
Figure 2022523261000003
平均明所視透過率は、光源スペクトルI(λ)および目のスペクトル感度に関連する、CIEの等色関数
Figure 2022523261000004
により乗じられた分光透過率T(λ)として、下記の式に定義されている:
Figure 2022523261000005
明所視透過率および/または反射率は、所定のスペクトル範囲内(例えば、425nmから950nm)の最大明所視透過率および/または反射率として報告することができる。
1つ以上の実施の形態によれば、被覆物品100は、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1.2%以下、または約1%以下の基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された片面平均、明所視平均、または最大光反射率を示すことがあり、ここで、第1の部分113の片面平均光反射率は、nに対して第1の入射照明角度θで測定され、第1の入射照明角度θは、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む。追加の実施の形態において、第1の入射照明角度θは、nから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。追加の実施の形態において、被覆物品100は、nから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲にある全ての入射照明角度θに亘り、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1.2%以下、または約1%以下の基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された片面平均光反射率を示すことがある。追加の実施の形態において、入射照明角度θの記載された範囲のいずれかを前提として、基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率は、前記光学波長領域に亘り、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、または約0.8%以下であることがある。例えば、その片面平均または最大光反射率は、約0.4%から約9%、約0.4%から約8%、約0.4%から約7%、約0.4%から約6%、または約0.4%から約5%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲にあることがある。
1つの実施の形態によれば、被覆物品100は、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下の基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率を示すことがあり、ここで、第2の部分115での片面平均光反射率は、(a)nに対して入射照明角度θであって、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む入射照明角度θ、および/または(b)nに対して入射照明角度θであって、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む入射照明角度θ、で測定される。追加の実施の形態において、それぞれ、入射照明角度θおよびθは、それぞれ、nおよびnから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約45度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。追加の実施の形態において、被覆物品100は、それぞれ、nおよびnから、約0度から約60度、約0度から約45度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の全ての入射照明角度θおよび/またはθについて、約8%以下の基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率を示すことがある。追加の実施の形態において、それぞれ、入射照明角度θおよびθの記載の範囲のいずれかを前提として、基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率は、前記光学波長領域に亘り、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、または約0.8%以下であることがある。例えば、その片面平均または最大光反射率は、約0.4%から約9%、約0.4%から約8%、約0.4%から約7%、約0.4%から約6%、または約0.4%から約5%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲にあることがある。
別の実施の形態において、開示された角度範囲のいずれかに亘る、基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率と、開示された角度範囲のいずれかに亘る、基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された片面平均または最大光反射率との間の差は、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、またさらには1%以下である。
別の実施の形態において、第1の部分113および/または第2の部分115での明所視反射率は、開示された角度範囲に亘る片面平均または最大光反射率に関して開示された範囲にある。
1つの実施の形態によれば、被覆物品100は、約90%以上の基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された平均光透過率を示すことがあり、第1の部分113の平均光透過率は、nに対して入射照明角度θで測定され、ここで、入射照明角度θは、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む。追加の実施の形態において、第1の入射照明角度θは、nから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。追加の実施の形態において、被覆物品100は、nから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲にある全ての入射照明角度θに亘り、約90%以上の基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された平均光透過率を示すことがある。追加の実施の形態において、入射照明角度θの記載された範囲のいずれかを前提として、基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された平均光透過率は、前記光学波長領域に亘り、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、または約98%以上であることがある。例えば、平均光透過率は、約90%から約95.5%、約91%から約95.5%、約92%から約95.5%、約93%から約95.5%、約94%から約95.5%、約95%から約95.5%、約96%から約96.5%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲にあることがある。
1つの実施の形態によれば、被覆物品100は、約90%以上の基体110第2の部分115での反射防止表面112で測定された平均光透過率を示すことがあり、ここで、第2の部分115の平均光透過率は、(a)nに対して入射照明角度θであって、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む入射照明角度θ、および/または(b)nに対して入射照明角度θであって、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含む入射照明角度θ、で測定される。追加の実施の形態において、それぞれ、入射照明角度θおよびθは、それぞれ、nおよびnから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。追加の実施の形態において、被覆物品100は、それぞれ、nおよびnから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の全ての入射照明角度θおよび/またはθについて、約90%以上の基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された平均光透過率を示すことがある。追加の実施の形態において、入射照明角度θおよびθの記載の範囲のいずれかを前提として、基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された平均光透過率は、前記光学波長領域に亘り、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、または約98%以上であることがある。例えば、平均光透過率は、約90%から約95.5%、約91%から約95.5%、約92%から約95.5%、約93%から約95.5%、約94%から約95.5%、約95%から約95.5%、約96%から約95.5%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲にあることがある。
別の実施の形態において、開示された角度範囲のいずれかに亘る、基体110の第1の部分113での反射防止表面112で測定された平均光透過率と、開示された角度範囲のいずれかに亘る、基体110の第2の部分115での反射防止表面112で測定された平均光透過率との間の差は、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、またさらには1%以下である。
別の実施の形態において、第1の部分113および/または第2の部分115での明所視透過率は、開示された角度範囲に亘る平均光透過率に関して開示された範囲内にある。
別の実施の形態によれば、片面平均または最大光反射率、平均光透過率、明所視反射率、明所視透過率、反射色、および透過色の1つ以上は、第1の部分113および第2の部分115で測定されることがあり、ここで、入射照明角度θは、nから、約0度から約60度の範囲の角度を含み、第2の部分115での所定の光学値(例えば、透過率、反射率など)は、入射照明角度θおよび/またはθで測定され、ここで、入射照明角度θおよびθは、第1の部分113および第2の部分115での光学的性質が同じ観察方向で測定されるように、入射照明角度θの方向と等しい方向にある(すなわち、vはv(および該当する場合にはv)と等しい)が、nはn(および該当する場合にはn)と等しくないので、θはθ(および該当する場合にはθ)と等しくない。
光学コーティング120/空気界面および光学コーティング120/基体110からの反射波の間の光学干渉は、被覆物品100に知覚色を生じる分光反射率および/または透過率振動をもたらし得る。1つ以上の実施の形態において、第1の部分113での被覆物品100は、θの入射照明角度で法線nから観察方向vの間で測定された場合、約10以下、または約5以下の反射率および/または透過率における角度色ずれを示すことがある。それに加え、1つ以上の実施の形態において、第2の部分115での被覆物品100は、θの入射照明角度で法線nから観察方向vおよび/またはθの入射照明角度で法線nから観察方向vの間で測定された場合、約10以下、または約5以下の反射率および/または透過率における角度色ずれを示すことがある。
1つ以上の実施の形態によれば、第1の部分113および第2の部分115での基準点の色は、約10未満(約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、またさらには約2以下など)であることがある。ここに用いられているように、「基準点の色」という用語は、基本色に関する反射率および/または透過率におけるCIE L、a、b測色系の下でのaおよびbを称する。基本色は、(a、b)=(0、0)、(-2、-2)、(-4、-4)、または基体110の色座標であることがある。基準点の色は、様々な入射照明角度θおよびθで測定されることがある。(0、0)基準では、基準点の色は、√((a 物品+(b 物品)と定義され、(-2、-2)基準では、基準点の色は、√((a 物品+2)+(b 物品+2))と定義され、(-4、-40)基準では、基準点の色は、√((a 物品+4)+(b 物品+4))と定義され、基体110の色としての基準では、基準点の色は、√((a 物品-a 基体+(b 物品-b 基体)と定義される。実施の形態において、基準点の色は、角度範囲に亘り測定されることがあり、よって、入射照明角度θおよびθは、n、nおよび/またはnから、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約45度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。別の実施の形態において、第1の部分113、第2の部分115、またはその両方での、開示された入射照明角度の範囲のいずれについても、aは約5以下であることがあり、bは約5以下であることがある、または各々は、約4以下、3以下、2以下、またさらには1以下であることがある。
ここに用いられているように、「角度色ずれ」という句は、移動する入射照明角度による、反射率および/または透過率におけるCIE L、a、b測色系の下でのaおよびbの両方における変化を称する。特に明記のない限り、ここに記載された物品のL座標は、どの角度または基準点でも同じであり、色ずれに影響を与えないことを理解すべきである。例えば、角度色ずれは、以下の式:
√((a -a +(b -b
を使用して被覆物品100の特定の位置で決定されることがあり、式中、a およびb は、入射照明角度で観察されたときの、物品のaおよびb座標を表し、a およびb は、法線またはほぼ法線で観察されたときの、物品のaおよびb座標を表す。
1つ以上の実施の形態において、第1の部分113での角度色ずれは、約10以下、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、またさらには約2以下であることがある。同様に、第2の部分115での角度色ずれは、約10以下、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、またさらには約2以下であることがある。それぞれの入射照明角度θおよびθ(および/またはθおよび任意の他のもの)は、nおよびn(および/または該当する場合にはn)から、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。追加の実施の形態において、被覆物品100は、nおよびn(および/または該当する場合にはn)から、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の全ての入射照明角度θおよびθ(および/またはθおよび任意の他のもの)について、約10以下の、基体110の第1の部分113および第2の部分115での反射および/または透過色ずれにより特徴付けられることがある。いくつかの実施の形態において、角度色ずれは約0であることがある。
光源は、A光源(タングステン・フィラメント照明を表す)、B光源(昼光シミュレーション光源)、C光源(昼光シミュレーション光源)、D系光源(自然昼光を表す)、およびF系光源(様々なタイプの蛍光照明を表す)を含む、CIEにより決定されるような標準光源を含み得る。
別の実施の形態において、基体110の第1の部分113と基体110の第2の部分115との間の被覆物品100の反射色の差は、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、またさらには約1以下など、約10以下であり、ここで、反射色の差は、
√((a 第1の部分-a 第2の部分+(b 第1の部分-b 第2の部分
と定義され、第1の部分113での反射色は、nに対して入射照明角度θで測定され、第2の部分115での反射色は、nに対して測定された入射照明角度θおよび/またはnに対して測定された入射照明角度θ(および第2の部分115に適用できる任意の他の照明角度)で測定される。それぞれの入射照明角度θおよびθ(および/またはθおよび任意の他のもの)は、nおよびn(および/または該当する場合にはn)から、約0度から約60度、約0度から約50度、約0度から約40度、約0度から約30度、約0度から約20度、または約0度から約10度の範囲の角度を含むことがある。別の実施の形態において、√((a 第1の部分-a 第2の部分+(b 第1の部分-b 第2の部分)により定義される反射色の差は、第1の部分113および第2の部分115での光学的性質が同じ観察方向で測定されるように、入射照明角度θが第1の入射照明角度の方向vと等しい方向にある(すなわち、vはvと等しいが、nはnと等しくないので、θはθと等しくない)ように測定されることがある。
基体110は、無機材料を含むことがあり、非晶質基体、結晶質基体、またはその組合せを含むことがある。基体110は、人工材料および/または天然材料(例えば、石英および高分子)から形成されることがある。例えば、ある場合には、基体110は、有機と特徴付けられることがあり、具体的に、高分子であることがある。適切な高分子の例としては、制限なく、ポリスチレン(PS)(スチレン共重合体およびブレンドを含む)、ポリカーボネート(PC)(共重合体およびブレンドを含む)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体を含む、共重合体およびブレンドを含む)、ポリオレフィン(PO)および環状ポリオレフィン(環状PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリルポリマー(共重合体およびブレンドを含む)、熱可塑性ウレタン(TPU)、ポリエーテルイミド(PEI)、並びにこれらの高分子の互いとのブレンドを含む熱可塑性樹脂が挙げられる。他の例示の高分子に、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、およびシリコーン樹脂がある。
いくつかの具体的な実施の形態において、基体110は、具体的に、高分子材料、プラスチック材料および/または金属材料を除外することがある。基体110は、アルカリを含む基体(すなわち、基体は1種類以上のアルカリを含む)として特徴付けられることがある。1つ以上の実施の形態において、基体110は、約1.45から約1.55の範囲の屈折率を示す。具体的な実施の形態において、基体110は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、または少なくとも20の試料を使用するボール・オン・リング試験を使用して測定して、0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上、1%以上、1.1%以上、1.2%以上、1.3%以上、1.4%以上、1.5%以上、またさらには2%以上の、1つ以上の互いに反対の主面上の表面での平均破壊歪みを示すことがある。具体的な実施の形態において、基体110は、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2.2%、約2.4%、約2.6%、約2.8%、または約3%以上の、1つ以上の互いに反対の主面上の表面での平均破壊歪みを示すことがある。
適切な基体110は、約30GPaから約120GPaの範囲の弾性率(またはヤング率)を示すことがある。ある場合には、その基体の弾性率は、約30GPaから約110GPa、約30GPaから約100GPa、約30GPaから約90GPa、約30GPaから約80GPa、約30GPaから約70GPa、約40GPaから約120GPa、約50GPaから約120GPa、約60GPaから約120GPa、約70GPaから約120GPaの範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。
1つ以上の実施の形態において、非晶質基体はガラスを含むことがあり、そのガラスは、強化されていても、されていなくてもよい。適切なガラスの例としては、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスが挙げられる。いくつかの変種において、ガラスはリチアを含まないことがある。1つ以上の代わりの実施の形態において、基体110は、ガラスセラミック基体(強化されていても、いなくてもよい)などの結晶質基体を含むことがある、またはサファイアなどの単結晶構造を含むことがある。1つ以上の具体的な実施の形態において、基体110は、非晶質ベース(例えば、ガラス)および結晶質クラッド(例えば、サファイア層、多結晶アルミナ層および/またはスピネル(MgAl)層)を含む。
1つ以上の実施の形態の基体110は、被覆物品100全体の硬度より低い硬度を有することがある(ここに記載されたバーコビッチ圧子硬度試験により測定される)。基体110の硬度は、以下に限られないが、バーコビッチ圧子硬度試験またはビッカース硬度試験を含む、当該技術分野で公知の方法を使用して測定することができる。
基体110は、実質的に光学的に透き通り、透明であり、光散乱要素を含まないことがある。そのような実施の形態において、その基体は、約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、または約92%以上の、前記光学波長領域に亘る平均光透過率を示すことがある。1つ以上の代わりの実施の形態において、基体110は、不透明である、または約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または約0.5%未満の、前記光学波長領域に亘る平均光透過率を示すことがある。いくつかの実施の形態において、これらの光反射率および透過率の値は、全反射率または全透過率(基体の両方の主面での反射率および透過率を考慮する)であることがある、または基体の片面(すなわち、反対の表面を考慮せずに、反射防止表面112のみ)で観察されることがある。特に明記のない限り、基体のみの平均反射率または透過率は、基体の主面112に対して0度の入射照明角度で測定される(しかしながら、そのような測定は、45度または60度の入射照明角度で与えられることもある)。基体110は、必要に応じて、白、黒、赤、青、緑、黄、オレンジなどの色を示すことがある。
それに加え、またはそれに代えて、基体110の物理的厚さは、審美的および/または機能的理由のために、その寸法の1つ以上に沿って変動してよい。例えば、基体110のエッジは、基体110のより中央の領域と比べて厚いことがある。基体110の長さ、幅および物理的厚さの寸法も、被覆物品100の用途または使途にしたがって、変動してよい。
基体110は、様々な異なる過程を使用して提供されることがある。例えば、基体110が、ガラスなどの非晶質基体を含む場合、様々な形成方法としては、フロートガラス法、フュージョンドロー法およびスロットドロー法などのダウンドロー法が挙げられる。
基体110は、一旦形成されたら、強化基体を形成するために強化されることがある。ここに用いられているように、「強化基体」という用語は、例えば、基体の表面にあるより小さいイオンをより大きいイオンでイオン交換することにより、化学的に強化された基体を称することがある。しかしながら、強化基体を形成するために、熱による焼き戻し、または基体の複数の部分の間の熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域および中央張力領域を作ることなど、当該技術分野で公知の他の強化方法を利用してもよい。
基体110がイオン交換過程により化学的に強化されている場合、その基体の表面層内のイオンは、同じ価数または酸化状態を有するより大きいイオンで置換-交換-されている。イオン交換過程は、典型的に、基体中のより小さいイオンにより交換されるべきより大きいイオンを含有する溶融塩浴中に基体を浸漬することによって、行われる。以下に限られないが、浴の組成と温度、浸漬時間、1つ(または複数)の塩浴中の基体の浸漬回数、多数の塩浴の使用、徐冷、洗浄などの追加の工程を含む、イオン交換過程のパラメータは、基体の組成および強化操作から生じる、基体の所望の圧縮応力(CS)、圧縮応力層の深さ(または層の深さDOL、または圧縮深さDOC)により一般に決まることが当業者により認識されよう。例として、アルカリ金属を含有するガラス基体のイオン交換は、以下に限られないが、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物などの塩を含有する少なくとも1つの溶融塩浴により達成されることがある。その溶融塩浴の温度は、典型的に、約380℃から約450℃までの範囲にあり、一方で、浸漬時間は、約15分から約40時間までに及ぶ。しかしながら、先に記載されたものと異なる温度および浸漬時間も使用してよい。
それに加え、複数の浸漬の間に洗浄工程および/または徐冷工程が行われる、多数のイオン交換浴中にガラス基体が浸漬されるイオン交換過程の非限定例が、異なる濃度の複数の塩浴中の浸漬を含む多数の連続したイオン交換処理によって、ガラス基体が強化される、2008年7月11日に出願された米国仮特許出願第61/079995号からの優先権を主張する、「Glass with Compressive Surface for Consumer Applications」と題する、Douglas C. Allan等により2009年7月10日に出願された米国特許出願第12/500650号明細書、およびガラス基体が、流出イオンにより希釈された第1の浴中のイオン交換と、その後の、第1の浴より小さい濃度の流出イオンを有する第2の浴中の浸漬とにより強化される、2008年7月29日に出願された米国仮特許出願第61/084398号からの優先権を主張する、「Dual Stage Ion Exchange for Chemical Strengthening of Glass」と題する、2012年11月20日に発行された、Christopher M. Lee等による米国特許第8312739号明細書に記載されている。米国特許出願第12/500650号明細書、および米国特許第8312739号明細書が、ここに全て引用される。
イオン交換により達成される化学強化の程度は、中央張力(CT)、表面CS、および圧縮深さ(DOC)のパラメータに基づいて、定量化することができる。圧縮応力(表面CSを含む)は、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM-6000などの市販の計器を使用して、表面応力計(FSM)により測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。次に、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-16に記載されている、手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。最大CT値は、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定される。ここに用いられているように、DOCは、ここに記載された化学強化されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラス中の応力が圧縮から引張に変化する深さを意味する。DOCは、イオン交換処理に応じて、FSMにより、またはSCALPにより測定することができる。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中へのカリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、FSMが使用される。応力が、ガラス物品中へのナトリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、SCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じる場合、DOCはSCALPにより測定される。何故ならば、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを表し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(圧縮から引張への応力の変化ではない)を表すと考えられるからである;そのようなガラス物品におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMにより測定される。
1つの実施の形態において、基体110は、250MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、または800MPa以上の表面CSを有し得る。その強化基体は、10μm以上、15μm以上、20μm以上(例えば、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm以上)のDOC(以前はDOL)、および/または10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上(例えば、42MPa、45MPa、または50MPa以上)であるが、100MPa未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55MPa以下)のCTを有することがある。1つ以上の特別な実施の形態において、その強化基体は、以下の1つ以上を有する:500MPa超の表面CS、15μm超のDOC(以前はDOL)、および18MPa超のCT。
基体110に使用できる例示のガラスとしては、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物またはアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス組成物が挙げられるが、他のガラス組成物も考えられる。そのようなガラス組成物は、イオン交換過程によって化学強化することができる。1つの例示のガラス組成物は、SiO、BおよびNaOを含み、ここで、(SiO+B)≧66モル%およびNaO≧9モル%。ある実施の形態において、そのガラス組成物は、少なくとも6質量%の酸化アルミニウムを含む。さらなる実施の形態において、この基体は、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5質量%であるように、1種類以上のアルカリ土類酸化物を有するガラス組成物を含む。いくつかの実施の形態において、適切なガラス組成物は、KO、MgO、およびCaOの少なくとも1つをさらに含む。特定の実施の形態において、その基体に使用されるガラス組成物は、61~75モル%のSiO、7~15モル%のAl、0~12モル%のB、9~21モル%のNaO、0~4モル%のKO、0~7モル%のMgO、および0~3モル%のCaOを含み得る。
基体110に適したさらなる例示のガラス組成物は、60~70モル%のSiO、6~14モル%のAl、0~15モル%のB、0~15モル%のLiO、0~20モル%のNaO、0~10モル%のKO、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO、0~1モル%のSnO、0~1モル%のCeO、50ppm未満のAs、および50ppm未満のSbを含み、ここで、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%、および0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
基体110に適したさらに別の例示のガラス組成物は、63.5~66.5モル%のSiO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、0~5モル%のLiO、8~18モル%のNaO、0~5モル%のKO、1~7モル%のMgO、0~2.5モル%のCaO、0~3モル%のZrO、0.05~0.25モル%のSnO、0.05~0.5モル%のCeO、50ppm未満のAs、および50ppm未満のSbを含み、ここで、14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%、および2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
特定の実施の形態において、基体110に適したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物は、アルミナ、少なくとも1種類のアルカリ金属、およびいくつかの実施の形態において、50モル%超のSiO、他の実施の形態において、少なくとも58モル%のSiO、およびさらに他の実施の形態において、少なくとも60モル%のSiOを含み、ここで、比(Al+B)/Σ改質剤(すなわち、改質剤の合計)は1より大きく、ここで、この比において、これらの成分はモル%で表され、改質剤はアルカリ金属酸化物である。特別な実施の形態において、このガラス組成物は、58~72モル%のSiO、9~17モル%のAl、2~12モル%のB、8~16モル%のNaO、および0~4モル%のKOを含み、ここで、比(Al+B)/Σ改質剤(すなわち、改質剤の合計)は1より大きい。
さらに別の実施の形態において、基体110は、64~68モル%のSiO、12~16モル%のNaO、8~12モル%のAl、0~3モル%のB、2~5モル%のKO、4~6モル%のMgO、および0~5モル%のCaOを含み、66モル%≦SiO+B+CaO≦69モル%、NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(NaO+B)-Al≦2モル%、2モル%≦NaO-Al≦6モル%、および4モル%≦(NaO+KO)-Al≦10モル%である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物を含むことがある。
代わりの実施の形態において、基体110は、2モル%以上のAlおよび/またはZrO、または4モル%以上のAlおよび/またはZrOを含むアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物を含むことがある。
基体110が結晶質基体を含む場合、その基体は単結晶を含むことがあり、その単結晶はAlを含むことがある。そのような単結晶基体は、サファイアと呼ばれる。結晶質基体のための他の適切な材料としては、多結晶アルミナ層および/またはスピネル(MgAl)が挙げられる。
必要に応じて、基体110は、結晶質であることがあり、ガラスセラミック基体を含むことがあり、この基体は、強化されていてもされていなくてもよい。適切なガラスセラミックの例としては、LiO・Al・SiO系(すなわち、LAS系)ガラスセラミック、MgO・Al・SiO系(すなわち、MAS系)ガラスセラミック、および/またはβ-石英固溶体、β-スポジュメン固溶体、コージエライト、および二ケイ酸リチウムを含む主結晶相を有するガラスセラミックが挙げられる。そのガラスセラミック基体は、ここに開示された化学強化過程を使用して強化されることがある。1つ以上の実施の形態において、MAS系のガラスセラミック基体は、LiSO溶融塩中で強化することができ、それによって、2LiのMg2+との交換が起こり得る。
1つ以上の実施の形態による基体110は、基体110の様々な部分において、約100μmから約5mmに及ぶ物理的厚さを有し得る。例示の基体110の物理的厚さは、約100μmから約500μm(例えば、100、200、300、400または500μm)に及ぶ。さらに、例示の基体110の物理的厚さは、約500μmから約1000μm(例えば、500、600、700、800、900または1000μm)に及ぶ。基体110は、約1mm超(例えば、約2、3、4、または5mm)の物理的厚さを有することがある。1つ以上の具体的な実施の形態において、基体110は、2mm以下または1mm未満の物理的厚さを有することがある。基体110は、表面傷の影響をなくすまたは低下させるために、酸磨きまたは他の方法で処理することができる。
先に述べたように、本開示の被覆物品100の実施の形態(図1~8参照)は、反射率が低く、色が制御された光学コーティング120を備える。これらの物品100中の光学コーティング120は、硬度、反射率、色、および幅広い視野角に亘る色ずれの所望の組合せを与えるために最適化することができる。これらの望ましい組合せは、光学コーティング120が元の設計厚さにあり、そのコーティング中の全ての層が、反応性スパッタリング、熱蒸発、CVD、PECVDなどの被覆過程中の視線効果のために様々な真空蒸着技術の最中に生じ得るコーティングの薄化に対応する倍率だけ薄化したときに維持される。
本開示の実施の形態は、コーティング120が、様々なコーティング堆積過程から生じるコーティングの薄化に対して堅牢であるように設計されている、光学コーティング120と組み合わされる、ある範囲の部品表面角度(部品表面曲率)を有する被覆物品100(図1~8参照)も含む。最終結果は、制御された硬度、反射率、色、および湾曲領域(例えば、第2の部分115での)の一部または全てを含む、物品100の全表面に亘る視野角による色ずれを有する光学コーティング120を備えた、ある範囲の部品表面曲率角度を有する被覆物品100である。一定の目標を満たす、硬度、反射率、および色の絶対レベルに加え、被覆物品100は、コーティング120の厚さが、0から60度の表面曲率角度を有する製造部品に対して、産業的に拡張可能な反応性スパッタリング過程中に生じるコーティング厚さの実際の減少に対応する倍率だけ減少した場合、これらの値において小さい変化、特に、可視反射率および光における小さい変化も示し得る。
表面曲率を有する被覆物品100(図1~8参照)のための最適なコーティング設計を作るための重要な理解は、光学コーティング120の層を形成するために使用される特定の被覆過程、およびその過程中に生じる視線被覆効果のレベルの理解である。分子または原子の単層が一度に堆積される、原子層堆積などのいくつかのコーティング堆積過程は、視線挙動を全く持たない。しかしながら、この過程は、遅くなり得(少なくとも、現行の加工技術によって制限されるので)、典型的に、家庭用電化製品および自動車業界など、費用重視の業界または大型基体を伴う用途にとって費用がかかり過ぎる。光学コーティング120を形成するためのより費用効果の高い過程である反応性スパッタリングは、広い範囲に容易に拡張可能であり、比較的低コストであり得る。しかしながら、工業用反応性スパッタリング過程の性質は、一般に、少なくともある程度の視線特徴を有する堆積を含み、これは、スパッタリング目標に直接面する物品の表面が、より多く堆積材料を受け取る(コーティングがより厚くなる)のに対し、スパッタリング目標に対していくらかの角度で傾斜した物品の表面(例えば、その曲面)は、一般に、より少ない材料を受け取り、コーティングがより薄くなってしまう。
したがって、本開示の実施の形態は、硬度、反射率、色、およびコーティング層の数の間のトレードオフに関して、光学コーティング120が最適化されている被覆物品100(図1~8参照)を含む。その光学コーティングにおいて光学目標(例えば、硬度または他の機械的性質を考慮せずに)を達成するために任意数の層を加えると、コーティングの硬度が、家庭用電化製品、自動車、およびタッチスクリーン用途のための耐引掻性の化学強化されたガラスを目標とする用途の必要範囲より低いレベルに(例えば、約100nm以上の圧入深さで、バーコビッチ圧子硬度試験により測定されるような硬度<<8GPaまで)低下する傾向がある。曲面(例えば、主面112の第2の部分115での)を有する被覆物品100の場合、光学コーティング120の層が、その目標設計厚さから減少または薄化する、量、または倍率に、部品表面曲率がどのように関連するかを評価することが重要であり得る。目標設計厚さ(または100%の倍率または1.0の倍率での厚さ)は、一般に、スパッタリング標的に直接面するように最も近い物品100の部分、またはスパッタリング標的から最も多く材料を受け取る物品100の部分である、物品100の「平らな」区域(例えば、主面112の第1の部分113での)上に被覆された厚さである。この最大厚さ堆積方向から離れて湾曲した物品100のどの部分も、一般に、より少ない材料を受け取り、コーティング120の層の各々が形成されるときに、これらの湾曲区域上により薄いコーティングが生じる。被覆物品100の実施の形態(図1~8参照)の光学コーティング120に関する最適な光学コーティング設計のために、目標の部品曲率に関する設計ウインドウ、並びに部品曲率が堆積過程におけるコーティングの薄化にどのように対応するかを理解することが有益であり得る。これにより、コーティングの硬度、コーティング中の層の数、または他の計量に関して過度の量を犠牲にせずに、例えば、反射率および部品角度の目標範囲に亘る色およびコーティング厚さのばらつきを最適化するようなやり方でコーティング120の光学設計を可能にできる。言い換えると、部品角度の関連ウインドウおよびコーティング厚さの倍率を理解しなければ、コーティングを過度に設計して、多すぎる層を含んで、所望の一連の光学的性質を達成することができず、それゆえ、硬度および耐引掻性を犠牲にし得る。
ここで図9を参照すると、堆積過程に関する部品の表面曲率に対する光学コーティング厚さの倍率のプロットが与えられている。詳しくは、図9は、本開示の実施の形態による、被覆物品100に用いられる反応性スパッタリング(図1~8および対応する先の記載を参照のこと)に関する部品表面角度(すなわち、主面112の第2の部分115での)とコーティング厚さの倍率(すなわち、光学コーティング120に関する)との間の実験的に測定された対応を示す。図9は、本開示の物品の光学コーティングを形成するために用いられる堆積過程を最適化するための目標プロセスウインドウを確立するために利用することができる。図9に示されるように、コーティング厚さの倍率は、平方根(cos(φ))依存性にしたがい、ここで、φは部品表面角度である。図9に示されたデータは、湾曲部品の回転を可能にする試料の固定具により公知の光学干渉計算方法を使用したスパッタリングされた薄膜の測定およびその部品の曲率に沿った各地点で法線角度に沿った反射率スペクトルの測定から得た。図9に示されるように、30度の部品表面角度は、約0.95のコーティング厚さの倍率に対応し、40度は0.85に対応し、50度は0.8に対応し、60度は約0.7に対応する。例えば、第1の部分113に対して30度の角度φを有する非平面の第2の部分115を有する被覆物品100は、0.85の倍率だけ、第2の部分115の上の光学コーティング120の層における薄化を経験し得る。すなわち、第1の部分113および第2の部分115の上のコーティング120の層の厚さは、図9に示されるように、厚さの倍率に基づいて変動し得る。
再び図9を参照すると、本開示の被覆物品100の本発明の設計は、間の全ての表面角度および厚さ倍率とともに、それぞれ、0度(100%の厚さ)、40(85%の厚さ)、および60度(70%の厚さ)の物品表面角度に対応する、100%の厚さ(1.0の倍率)、並びに0.7(70%)から0.85(85%)の範囲の厚さ倍率での視野角(入射光角)による、低反射率、制御された色、および制御された色ずれの有利な組合せにより特徴付けられる光学コーティング120に合うように特別に最適化することができる。また図9を参照すると、本開示の被覆物品100の本発明の設計は、間の全ての表面角度および厚さ倍率とともに、それぞれ、0度(100%の厚さ)、40(85%の厚さ)、および70度(60%の厚さ)の物品表面角度に対応する、100%の厚さ(1.0の倍率)、並びに0.6(60%)から0.85(85%)の範囲の厚さ倍率での視野角(入射光角)による、低反射率、制御された色、および制御された色ずれの有利な組合せにより特徴付けられる光学コーティング120に合うように特別に最適化することができる。各厚さ倍率に関する光学性能を計算するために、100%の厚さの層の設計は、同じ量(厚さ倍率)だけ拡大された層の全てを有し、光学的結果は、本開示の分野における当業者が理解する原理にしたがって、転送行列法の技術を使用して再計算される。光学屈折率分散曲線は、SiO、SiO、およびSiN(または光学コーティング120の層に利用される他の材料)のスパッタリングにより堆積された膜について計算され、これらの屈折率分散値が、本開示の分野における当業者により理解される原理にしたがって、光学モデルに入力される。
ここに開示された被覆物品は、別の物品、例えば、ディスプレイを有する物品(またはディスプレイ物品)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステムなどを含む家庭用電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、船舶など)、電気器具物品、またはある程度の透明性、耐引掻性、耐摩耗性またはその組合せを必要とする任意の物品に組み込まれることがある。ここに開示された被覆物品のいずれかを組み込んだ例示の物品が、図18Aおよび18Bに示されている。詳しくは、図18Aおよび18Bは、前面204、背面206、および側面208を有する筐体202;その筐体の少なくとも部分的に内部にあり、または完全に中にあり、少なくとも制御装置、メモリ、およびその筐体の前面にまたはそれに隣接したディスプレイ210を含む電気部品(図示せず);およびディスプレイ上にあるように、筐体の前面にまたはその上にあるカバー基板212を備えた家庭用電子機器200を示す。いくつかの実施の形態において、カバー基板212または筐体202の一部の少なくとも一方が、ここに開示された被覆物品のいずれかを含むことがある。
様々な実施の形態が、以下の実施例によりさらに明白になるであろう。実施例の光学的性質(例えば、明所視反射率および透過率)は、計算を使用してモデル化した。計算は、アリゾナ州、トゥーソン所在のThin Film Center,Inc.から入手できる薄膜設計プログラム「Essential Macleod」を使用して行った。分光透過率は、選択された波長範囲について、1nm間隔で計算した。所定の被覆物品の各波長での透過率は、入力された層の厚さおよび各層の屈折率に基づいて計算した。コーティングの材料の屈折率値は、実験的に導出されたか、または入手可能な文献で見つけられた。材料の屈折率を実験的に決定するために、コーティングの材料についての分散曲線を用意した。各コーティング材料の層を、イオンアシストを用いて、約50℃の温度でシリコンまたはアルミニウム標的からDC、RFまたはRF重畳DC反応性スパッタリングによって、シリコンウェハー上に形成した。このウェハーをいくつかの層の堆積中に200℃に加熱し、直径3インチ(約7.5cm)の標的を用いた。使用した反応性ガスとしては、窒素および酸素が挙げられ、不活性ガスとしてアルゴンを使用した。RF電力は、13.56MHzでシリコン標的に供給され、DC電力は、Si標的、Al標的および他の標的に供給された。
形成された層の各々およびガラス基体の屈折率(波長の関数として)を、分光エリプソメータを使用して測定した。次に、このように測定した屈折率を使用して、実例の反射率スペクトルを計算した。実例では、便宜上、説明のために表に1つの屈折率値を使用し、これは、約550nmの波長での分散曲線から選択された地点に対応する。
比較例は、コーティングの性能に関する比較として与えられており、これらの比較例は、非平面基体上に堆積されたときの、劣った光学性能を有するであろう。
比較例1
平面のガラス基体を、比較例1と表された下記の表1の比較コーティングで被覆した。比較例1の光学的性質が、図10A~10Cに示されている。詳しくは、図10Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図10Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、7つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75および0.7での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図10Cは、図10Bに用いた7つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表1および図10A~10Cから明らかなように、比較例(比較例1)は、垂直入射および全100%厚での低い反射率を有する。それにもかかわらず、低反射率の比較的狭い帯域幅(約400nmから700nm)は、約0.9より大きい規定の倍率にしたがって、コーティングの厚さが減少するにつれて、増加した反射率および色をもたらす。詳しくは、明所視平均反射率は、0.75以下の倍率について、全ての視野角で1%を超えて上昇し、15度以上の全ての視野角について、0.80以下の倍率について、1%を超えて上昇する。さらに、色の範囲(0から90度の全ての視野角を考える)は、約40度以上の部品表面角度に対応する、0.85以下の厚さ倍率について、b=5およびa=5の値を遙かに超えて上昇する。
Figure 2022523261000006
実施例1
平面のガラス基体を、本開示の原理にしたがって、実施例1と表された下記の表2の例示のコーティングで被覆した。実施例1において、ガラス基体は、ホウケイ酸組成(例えば、75モル%のSiO、10モル%のB、8.6モル%のNaO、5.6モル%のKO、および0.7モル%のBaO)を有した。実施例1の被覆物品の光学的性質が、図11A~11Cに示されている。詳しくは、図11Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図11Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、7つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75および0.7での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図11Cは、図11Bに用いた7つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表2および図11A~11Cから明らかなように、この実施例(実施例1)の例示の被覆物品は、100%のコーティング厚さ、並びに70%から100%の全てのコーティング厚さの倍率で、2%未満の片面明所視平均反射率を有する。実施例1は、70%から100%の全ての厚さ倍率、および0度(垂直)から45度の全ての入射光(視野)角についても、これらの反射率値を示す。実施例1は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、垂直入射で410nmから750nmの全ての波長について3%未満の第一面反射率(すなわち、この波長範囲における最大反射率)も示す。実施例1は、410nmから1000nmの全ての波長について100%の厚さで3%未満の第一面反射率も示す。
これも表2および図11A~11Cから明らかなように、この実施例(実施例1)の被覆物品は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、b<5、または<0を有する垂直入射での第一面反射色をさらに示す。実施例1は、0から25度の全ての視野角について、70%から100%の厚さ倍率について、b<5、またさらには<0の反射色も示す。
表2および図11A~11Cから、この実施例(実施例1)の被覆物品は、80%から100%の全ての厚さ倍率について、0から50度の全ての視野角について、b<5、<2、または<0の反射色をさらに示すことも明らかである。これらの結果は、この実施例(実施例1)の被覆物品は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、0から90度の全ての視野角について、(a+b)<10、<5、または<4の複合反射色を有することも示す。それに加え、表2および図11A~11Cの結果は、この実施例(実施例1)の被覆物品は、先の明所視反射率および反射色の値のいずれかを有する被覆物品を表し、その主面は、100%のコーティング厚さを有する少なくとも1つの平らなまたは平面の部分を持ち、その平らなまたは平面の部分は、90%超または93%超の明所視平均透過率、並びに-2<b<2および-1<a<1を有するほぼ垂直入射透過色を有することをさらに示す。
Figure 2022523261000007
実施例2
平面のガラス基体を、本開示の原理にしたがって、実施例2と表された下記の表3の例示のコーティングで被覆した。実施例2の被覆物品の光学的性質が、図12A~12Cに示されている。詳しくは、図12Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図12Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、7つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75および0.7での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図12Cは、図12Bに用いた7つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表3および図12A~12Cから明らかなように、この実施例(実施例2)の例示の被覆物品は、100%のコーティング厚さ、並びに80%から100%の全てのコーティング厚さの倍率について、1%未満の片面明所視平均反射率を有する。実施例2は、80%から100%の全ての厚さ倍率、および0度(垂直)から25度の全ての入射光(視野)角についても、これらの反射率値を示す。実施例2は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、垂直入射で425nmから670nmの全ての波長について3%未満の第一面反射率(すなわち、この波長範囲における最大反射率)も示す。実施例2は、425nmから950nmの全ての波長について100%の厚さで3%未満の第一面反射率も示す。
これも表3および図12A~12Cから明らかなように、この実施例(実施例2)の被覆物品は、80%から100%の全ての厚さ倍率について、b<5、または<0を有する垂直入射での第一面反射色をさらに示す。実施例2は、0から90度の全ての視野角について、80%から100%の厚さ倍率について、b<5の反射色も示す。
表3および図12A~12Cから、この実施例(実施例2)の被覆物品は、85%から100%の全ての厚さ倍率について、0から25度の全ての視野角について、b<0の反射色をさらに示すことも明らかである。これらの結果は、この実施例(実施例2)の被覆物品は、85%から100%の全ての厚さ倍率について、0から90度の全ての視野角について、(a+b)<10、または<7の複合反射色を有することも示す。これらの結果から、この実施例(実施例2)の被覆物品は、80%から100%の全ての厚さ倍率について、0から90度の全ての視野角について、絶対的な第一面反射色ずれ(すなわち、(a*2+b*2)の平方根)<10、または<8.5を示すことも明らかである。それに加え、表3および図12A~12Cの結果は、この実施例(実施例2)の被覆物品は、先の明所視反射率および反射色の値のいずれかを有する被覆物品を表し、その主面は、100%のコーティング厚さを有する少なくとも1つの平らなまたは平面の部分を持ち、その平らなまたは平面の部分は、90%超または93%超の明所視平均透過率、並びに-2<b<2および-1<a<1を有するほぼ垂直入射透過色を有することをさらに示す。
Figure 2022523261000008
実施例3
平面のガラス基体を、本開示の原理にしたがって、実施例3と表された下記の表4の例示のコーティングで被覆した。実施例3の被覆物品の光学的性質が、図13A~13Cに示されている。詳しくは、図13Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図13Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、7つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75および0.7での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図13Cは、図13Bに用いた7つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表4および図13A~13Cから明らかなように、この実施例(実施例3)の例示の被覆物品は、100%のコーティング厚さ、並びに80%から100%、またさらには70%から100%の全てのコーティング厚さの倍率について、1.2%未満、またさらには1.1%未満の片面明所視平均反射率を有する。実施例3は、80%から100%、またさらには70%から100%の全ての厚さ倍率、および0度(垂直)から35度の全ての入射光(視野)角についても、これらの反射率値を示す。実施例3は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、垂直入射で430nmから670nmの全ての波長について2%未満の第一面反射率(すなわち、この波長範囲における最大反射率)も示す。実施例3は、430nmから950nmの全ての波長について100%の厚さで2%未満の第一面反射率も示す。
これも表4および図13A~13Cから明らかなように、この実施例(実施例3)の被覆物品は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、b<5、<1、または<0を有する垂直入射での第一面反射色をさらに示す。実施例3は、0から90度の全ての視野角について、75%から100%の全ての厚さ倍率について、-10<b<2および/または-5<a<5の反射色も示す。
表4および図13A~13Cから、この実施例(実施例3)の被覆物品は、75%から100%の全ての厚さ倍率について、0から90度の全ての視野角について、(a+b)<10、<8、または<5の複合反射色をさらに示すことも明らかである。これらの結果から、この実施例(実施例3)の被覆物品は、75%から100%の全ての厚さ倍率について、0から90度の全ての視野角について、絶対的な第一面反射色ずれ(すなわち、(a*2+b*2)の平方根)<10、または<8を示すことも明らかである。それに加え、表4および図13A~13Cの結果は、この実施例(実施例3)の被覆物品は、先の明所視反射率および反射色の値のいずれかを有する被覆物品を表し、その主面は、100%のコーティング厚さを有する少なくとも1つの平らなまたは平面の部分を持ち、その平らなまたは平面の部分は、90%超または93%超の明所視平均透過率、並びに-2<b<2および-1<a<1を有するほぼ垂直入射透過色を有することをさらに示す。
Figure 2022523261000009
比較例1、実施例1および実施例3を再び参照すると、これらの例(すなわち、比較例1、実施例1および実施例3)の被覆物品の各々は、100nm以上の圧入深さで12GPa超の、500nm以上の圧入深さで14GPa超のバーコビッチ圧子硬度値により特徴付けられる。比較例1、実施例1および実施例3の試料の硬度試験からの具体的な結果が、下記の表5に示されている。
Figure 2022523261000010
実施例4
平面のガラス基体を、本開示の原理にしたがって、実施例4と表された下記の表6の例示のコーティングで被覆した。実施例4において、このガラス基体は、Corning(登録商標)Gorilla(登録商標)Glass 3である。実施例4の被覆物品の光学的性質が、図14A~14Cに示されている。詳しくは、図14Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図14Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、7つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75および0.7での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図14Cは、図14Bに用いた7つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表6および図14A~14Cから明らかなように、この実施例(実施例4)の例示の被覆物品は、100%のコーティング厚さ、並びに70%から100%の全てのコーティング厚さの倍率で、2%未満の片面明所視平均反射率を有する。さらに、実施例4は、0から30度の入射からの全ての視野角について、1.0から0.7の全ての厚さ倍率で、1.0%未満の明所視平均反射率を示す。実施例4は、70%から100%の全ての厚さ倍率、および0度(垂直)から45度の全ての入射光(視野)角についても、これらの反射率値を示す。実施例4は、70%から100%の全ての厚さ倍率について、垂直入射で410nmから700nmの全ての波長について3%未満の第一面反射率(すなわち、この波長範囲における最大反射率)も示す。実施例4は、410nmから1000nmの全ての波長について100%の厚さで3%未満の第一面反射率も示す。
これも表6および図14A~14Cから明らかなように、この実施例(実施例4)の被覆物品は、1から0.80の全ての厚さ倍率について、垂直入射およびそれから外れた角度の観察の両方について、視野角の関数としての変化またはずれが最小の第一面反射色を示す。これも図14Cから明らかなように、垂直入射色は、0.8から1.0の範囲の全ての厚さ倍率について、aおよびbの両方における、100%の厚さ等級を基準として、±2の範囲内にとどまる(垂直入射での、この範囲内の全ての倍率について、b=-5.5から-2.5、a=-1.8から+0.2)。
Figure 2022523261000011
実施例4A
この実施例によれば、耐引掻性SiON層(すなわち、表6の層10)に異なる厚さを用いたことを除いて、先の実施例(実施例4)の光学コーティングの変種を同じ構成で製造した。詳しくは、表6による本開示の原理にしたがうが、耐引掻性コーティングの厚さを、それぞれ、2000nm(実施例4A)、1500nm(実施例4B)および1000nm(実施例4C)にして、三組の光学コーティングの試料を作製した。
この実施例の試料に関連する光学的性質および機械的性質を得た。これが下記の表6Aに報告されている。表6Aから明らかなように、実施例4A、4Bおよび4Cと示される、実施例4(すなわち、先の実施例からの)の変種の光学性能は、実質的に重複し、図14A~14Cに示された実施例4のモデル化結果と概して一致する。表6Aに与えられた光学的性質の範囲は、各試料群(すなわち、実施例4A、4Bおよび4C)について10を超える製造試料を表す測定結果であり、ある程度の量の典型的な製造変動、並びに典型的な測定変動がある。
表6Aに列挙された機械的性質に関して、500nmの圧入深さでの硬度値は、耐引掻性層(すなわち、層10、この実施例において、2.0μm、1.5μm、および1.0μmに及ぶ)の厚さの減少による、いくらかの減少を示すが、15GPa以上の値で依然として高いままである。光学コーティング内の耐引掻性層に関連するこれらの硬度レベルは、高い耐引掻性および耐摩耗性の測定結果に対応した。これらの結果に基づいて、この実施例におけるコーティング設計の各々の最大硬度レベルは、それらを用いる物品の湾曲したまたは角度の付いた部分でのコーティングの薄化について、かなり安定なままであることも考えられる。これは、湾曲したまたは角度の付いた表面上にコーティングが堆積されたときに、硬質層(例えば、SiおよびSiON)は薄化されているが、軟質層(SiO)も同様に薄化されているという事実のためであると考えられる。
Figure 2022523261000012
ここで図15を参照すると、図14A~14Cに示された例示の光学コーティングの三つ(3)の変種(実施例4A、4Bおよび4C)の圧入深さ(nm)に対するバーコビッチ硬度(GPa)のプロットが与えられている。さらに、100nmおよび500nmの圧入深さに関連する硬度データおよび試料の各々に観察された最大観察硬度が、下記の表6Bに報告されている。図15および表6Bから明らかなように、試料群の各々は、類似の硬度特性結果を示し、良好な光学コーティングの硬度性能を示す。例えば、試料群(実施例4A~4C)の各々は、100nmの圧入深さで少なくとも12.5GPaの、500nmの圧入深さで15.5GPaの硬度を、そして、少なくとも15.8GPaの最大硬度を示した。
Figure 2022523261000013
実施例5
平面のガラス基体を、本開示の原理にしたがって、実施例5と表された下記の表7の例示のコーティングで被覆した。実施例5において、このガラス基体は、「Corning」「Gorilla」Glass 3である。実施例5の被覆物品の光学的性質が、図16A~16Cに示されている。詳しくは、図16Aは、その各々が、それぞれ、0度、約35度、約50度および約60度の部品表面角度に対応する(図9参照)、4つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.9、0.8および0.7でのほぼ垂直な光入射角(8度)での波長に対する第一面明所視反射率のプロットである。図16Bは、その各々が、それぞれ、0度、約25度、約35度、約43度、約50度、約55度、約60度、約65度、および約70度の部品表面角度に対応する(図9参照)、9つの光学コーティングの厚さ倍率値、1、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75、0.7、0.65および0.6での入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットである。さらに図16Cは、図16Bに用いた9つの光学コーティングの厚さ倍率値での0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットである。
表7および図16Aから明らかなように、この実施例(実施例5)の例示の被覆物品は、ほぼ垂直な光入射(8度)について、420nmから1000nmを超える延長された帯域幅に関して、100%のコーティング厚さで1.5%未満の片面明所視最大反射率および約0.92%の平均明所視反射率を有する。図16Bに関して、9つの光学コーティングの厚さ倍率値でのこの実施例(実施例5)の例示の光学コーティングについて、入射光(視野)角に対する第一面明所視平均反射率のプロットが与えられている。特に、明所視平均反射率は、0から20度の入射からの全ての視野角について、1.0から0.65の全ての薄化係数について、1.0%未満である。これも表7および図16Cから明らかなように、この実施例(実施例5)の例示の被覆物品は、1から0.60の全ての厚さ倍数について、垂直入射およびそれから外れた角度の観察の両方について、視野角の関数としての変化またはずれが最小の第一面反射色を示す。全ての角度は、全ての視野角および1.0から0.6の全ての薄化係数について、b=±7およびa=-2から+12(絶対明度)の範囲内にある。
Figure 2022523261000014
ここで図17Aおよび17Bを参照すると、1.0から0.6の9つの光学コーティングの厚さ倍率値での、それぞれ、図14Cおよび16C(すなわち、実施例4および5)に示された本開示の例示の光学コーティングについて、0から90度の全ての視野角に関するD65光源による第一面反射光のプロットが与えられている。実施例5の設計は、1.0から0.75の薄化係数で、実施例4の設計よりもわずかに大きい色の範囲のバリエーションを有する一方で、実施例5の設計は、0.7から0.6の薄化係数について、色制御が著しく改善されており、それゆえ、部品表面曲率の大きい角度(または角度の付いた表面を持つ特徴)を有する物品の被覆が可能であることに留意のこと。それゆえ、実施例4の設計は、部品表面角度が1.0から0.75のコーティングの薄化係数をもたらす用途に好ましいであろうし、実施例5の設計は、部品表面角度が0.7から0.6のコーティングの薄化係数をもたらす用途に好ましいであろう。
本明細書に記載された様々な特徴は、例えば、以下の実施の形態に列挙されたように、任意と全ての組合せで組み合わされてもよい。
実施の形態1.
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から60度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および前記第2の部分で、前記反射防止表面で測定して、約3%以下の片面最大光反射率を示し、前記第1の部分の該片面最大光反射率は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、
さらに、前記第1の部分での片面最大光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定される、被覆物品。
実施の形態2.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施の形態1の被覆物品。
実施の形態3.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施の形態1の被覆物品。
実施の形態4.
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施の形態1~3のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態5.
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施の形態4の被覆物品。
実施の形態6.
前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のキャッピング層を含み、該キャッピング層が低RI材料から作られている、実施の形態4または実施の形態5の被覆物品。
実施の形態7.
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12である、実施の形態4~6のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態8.
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施の形態4~7のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態9.
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施の形態4~8のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態10.
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から約50度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5であり、前記第1の部分での反射色は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、該第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる、被覆物品。
実施の形態11.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施の形態10の被覆物品。
実施の形態12.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施の形態10の被覆物品。
実施の形態13.
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約3である、実施の形態10~12のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態14.
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、(a+b)<約10である、実施の形態10~12のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態15.
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施の形態10~14のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態16.
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施の形態15の被覆物品。
実施の形態17.
前記被覆物品が、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約11GPa以上の硬度を示す、実施の形態15または実施の形態16の被覆物品。
実施の形態18.
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、b<約5であり、該第1の部分での反射色が、前記第1の方向に対して複数の第1の入射照明角度で測定され、該複数の第1の入射照明角度は、0度から20度の照明角度および55度から85度の照明角度を含み、さらに前記第2の部分での反射色が、前記第2の方向に対して複数の第2の入射照明角度で測定され、該複数の第2の入射照明角度は、0度から20度の照明角度および55度から85度の照明角度を含む、実施の形態10~12のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態19.
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施の形態15~18のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態20.
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施の形態15~19のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態21.
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から50度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および前記第2の部分で、前記反射防止表面で測定して、約2%以下の明所視平均光反射率を示し、前記第1の部分の片面最大光反射率は、前記第1の方向に対する第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、さらに、前記第1の部分および前記第2の部分での前記明所視平均光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定され、
(c)前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5であり、前記第1の部分での反射色は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、該第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる、被覆物品。
実施の形態22.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施の形態21の被覆物品。
実施の形態23.
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施の形態22の被覆物品。
実施の形態24.
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施の形態21~23のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態25.
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施の形態21~23のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態26.
前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のキャッピング層を含み、該キャッピング層が低RI材料から作られている、実施の形態24または実施の形態25の被覆物品。
実施の形態27.
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12である、実施の形態24~26のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態28.
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施の形態21~27のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態29.
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施の形態21~28のいずれか1つの被覆物品。
実施の形態30.
家庭用電気製品において、
前面、背面および側面を有する筐体、
前記筐体内に少なくとも部分的にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面またはそれに隣接したディスプレイを含む電気部品、および
前記ディスプレイ上に配置されたカバー基体、
を備え、
前記筐体の一部または前記カバー基体の少なくとも一方が、実施の形態1の被覆物品を含む、家庭用電気製品。
実施の形態31.
家庭用電気製品において、
前面、背面および側面を有する筐体、
前記筐体内に少なくとも部分的にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面またはそれに隣接したディスプレイを含む電気部品、および
前記ディスプレイ上に配置されたカバー基体、
を備え、
前記筐体の一部または前記カバー基体の少なくとも一方が、実施の形態10の被覆物品を含む、家庭用電気製品。
実施の形態32.
家庭用電気製品において、
前面、背面および側面を有する筐体、
前記筐体内に少なくとも部分的にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面またはそれに隣接したディスプレイを含む電気部品、および
前記ディスプレイ上に配置されたカバー基体、
を備え、
前記筐体の一部または前記カバー基体の少なくとも一方が、実施の形態21の被覆物品を含む、家庭用電気製品。
実施の形態33.
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施の形態4または実施の形態5の被覆物品。
実施の形態34.
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施の形態15または実施の形態16の被覆物品。
実施の形態35.
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施の形態24または実施の形態25の被覆物品。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から60度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および前記第2の部分で、前記反射防止表面で測定して、約3%以下の片面最大光反射率を示し、前記第1の部分の該片面最大光反射率は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、
さらに、前記第1の部分での片面最大光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定される、被覆物品。
実施形態2
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施形態1に記載の被覆物品。
実施形態3
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施形態1に記載の被覆物品。
実施形態4
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態5
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施形態4に記載の被覆物品。
実施形態6
前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のキャッピング層を含み、該キャッピング層が低RI材料から作られている、実施形態4または実施形態5に記載の被覆物品。
実施形態7
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12である、実施形態4から6のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態8
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施形態4から7のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態9
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施形態4から8のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態10
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から約50度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5であり、前記第1の部分での反射色は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、該第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる、被覆物品。
実施形態11
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施形態10に記載の被覆物品。
実施形態12
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施形態10に記載の被覆物品。
実施形態13
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約3である、実施形態10から12のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態14
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、(a+b)<約10である、実施形態10から12のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態15
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施形態10から14のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態16
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施形態15に記載の被覆物品。
実施形態17
前記被覆物品が、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約11GPa以上の硬度を示す、実施形態15または実施形態16に記載の被覆物品。
実施形態18
前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の前記反射色が、b<約5であり、該第1の部分での反射色が、前記第1の方向に対して複数の第1の入射照明角度で測定され、該複数の第1の入射照明角度は、0度から20度の照明角度および55度から85度の照明角度を含み、さらに前記第2の部分での反射色が、前記第2の方向に対して複数の第2の入射照明角度で測定され、該複数の第2の入射照明角度は、0度から20度の照明角度および55度から85度の照明角度を含む、実施形態10から12のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態19
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施形態15から18のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態20
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施形態15から19のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態21
被覆物品において、
主面を有する基体であって、該主面は第1の部分と第2の部分を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から50度の範囲内にある、基体、および
前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティングであって、反射防止表面を形成する光学コーティング、
を備え、
(a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
(b)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および前記第2の部分で、前記反射防止表面で測定して、約2%以下の明所視平均光反射率を示し、前記第1の部分の片面最大光反射率は、前記第1の方向に対する第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、さらに、前記第1の部分および前記第2の部分での前記明所視平均光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定され、
(c)前記主面の第1の部分および第2の部分での前記被覆物品の第一面反射色は、国際照明委員会のD65光源下で(L、a、b)測色系における反射率色座標により測定して、b<約5であり、前記第1の部分での反射色は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分での反射色は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約90度の範囲内の角度を含み、該第2の入射照明角度は、少なくとも10度だけ互いに異なる、被覆物品。
実施形態22
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、実施形態21に記載の被覆物品。
実施形態23
前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、実施形態22に記載の被覆物品。
実施形態24
前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、実施形態21から23のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態25
前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、実施形態21から24のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態26
前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のキャッピング層を含み、該キャッピング層が低RI材料から作られている、実施形態24または実施形態25に記載の被覆物品。
実施形態27
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12である、実施形態24から26のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態28
前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、実施形態21から27のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態29
前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、実施形態21から28のいずれか1つに記載の被覆物品。
実施形態30
家庭用電気製品において、
前面、背面および側面を有する筐体、
前記筐体内に少なくとも部分的にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面またはそれに隣接したディスプレイを含む電気部品、および
前記ディスプレイ上に配置されたカバー基体、
を備え、
前記筐体の一部または前記カバー基体の少なくとも一方が、実施形態1から29のいずれか1つに記載の被覆物品を含む、家庭用電気製品。
実施形態31
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施形態4または実施形態5に記載の被覆物品。
実施形態32
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施形態15または実施形態16に記載の被覆物品。
実施形態33
それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、実施形態24または実施形態25に記載の被覆物品。
100 被覆物品
110 非平面基体
112、114 主面
113 第1の部分
115 第2の部分
116、118 副面
120 光学コーティング
122 反射防止表面
130 反射防止コーティング
130A 低RI層
130B 高RI層
130C 第3の層
131 キャッピング層
132 周期

Claims (10)

  1. 被覆物品(100)において、
    主面(112)を有する基体(110)であって、該主面は第1の部分(113)と第2の部分(115)を含み、該第2の部分は湾曲しており、または切子面を有し、さらに、該主面の第1の部分に垂直な第1の方向は、該主面の第2の部分に垂直な複数の第2の方向と等しくなく、該第1の方向と、該第2の方向の各々との間の角度は、約10度から60度の範囲内にある、基体、および
    前記主面の少なくとも前記第1の部分と前記第2の部分の上に配置された光学コーティング(120)であって、反射防止表面(122)を形成する光学コーティング、
    を備え、
    (a)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および該基体の前記第2の部分で、バーコビッチ圧子硬度試験により前記反射防止表面で測定して、約100nm以上の圧入深さで、約8GPa以上の硬度を示し、
    (b)前記被覆物品は、前記基体の前記第1の部分および前記第2の部分で、前記反射防止表面で測定して、約3%以下の片面最大光反射率を示し、前記第1の部分の該片面最大光反射率は、前記第1の方向に対して第1の入射照明角度で測定され、該第1の入射照明角度は、該第1の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、前記第2の部分の片面最大光反射率は、2つ以上の第2の入射照明角度で測定され、該第2の入射照明角度の各々は、前記複数の第2の方向のそれぞれの第2の方向に対するものであり、該第2の入射照明角度の各々は、それぞれの第2の方向から約0度から約45度の範囲内の角度を含み、
    さらに、前記第1の部分での片面最大光反射率は、約425nmから約950nmの範囲内の光学波長領域に亘り測定される、被覆物品。
  2. 前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約20度から約60度の範囲にある、請求項1記載の被覆物品。
  3. 前記第1の方向と前記第2の方向の内の1つとの間の角度が、約10度から約20度の範囲にあり、該第1の方向と該第2の方向の内の別のものとの間の角度が約40度から約60度の範囲にある、請求項1記載の被覆物品。
  4. 前記光学コーティングが、第1の反射防止コーティング(130)、該第1の反射防止コーティング上の耐引掻性層(150)、および前記反射防止表面を画成する、該耐引掻性層上の第2の反射防止コーティングを含み、該第1の反射防止コーティングが少なくとも低RI層(130A)および高RI層(130B)を含み、該第2の反射防止コーティングが少なくとも低RI層および高RI層を含む、請求項1から3いずれか1項記載の被覆物品。
  5. 前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における前記少なくとも低RI層が酸化ケイ素から作られ、該第1の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が酸窒化ケイ素から作られ、該第2の反射防止コーティングにおける前記少なくとも高RI層が窒化ケイ素から作られ、さらに前記耐引掻性層が酸窒化ケイ素から作られている、請求項4記載の被覆物品。
  6. それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12である、請求項4または5記載の被覆物品。
  7. 前記光学コーティングの全厚さが約2μmから約4μmであり、前記第1の反射防止コーティングおよび前記第2の反射防止コーティングの合計全厚さが約500nmから約1000nmである、請求項4から6いずれか1項記載の被覆物品。
  8. 前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmである、請求項4から7いずれか1項記載の被覆物品。
  9. それぞれ、前記第1と第2の反射防止コーティングの各々における各隣接した低RI層および高RI層が周期Nを画成し、さらにNが2から12であり、前記耐引掻性層の厚さが約200nmから約3000nmであり、前記光学コーティングが、前記第2の反射防止コーティング上のSiOから作られたキャッピング層および前記基体と前記第1の反射防止コーティングとの間にあるSiOから作られた低RI層をさらに含む、請求項4または5記載の被覆物品。
  10. 家庭用電気製品(200)において、
    前面(204)、背面(206)および側面(208)を有する筐体(202)、
    前記筐体内に少なくとも部分的にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面またはそれに隣接したディスプレイ(210)を含む電気部品、および
    前記ディスプレイ上に配置されたカバー基体(212)、
    を備え、
    前記筐体の一部または前記カバー基体の少なくとも一方が、請求項1から9いずれか1項記載の被覆物品を含む、家庭用電気製品。
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