JP2022511509A - 神経障害および神経障害の処置方法 - Google Patents

神経障害および神経障害の処置方法 Download PDF

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Abstract

本明細書は、統合失調症などの神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法に関する。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、非D2作用機序を有する抗精神病薬である。D2ドーパミン受容体を標的とする抗精神病薬に関連する有害事象は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩で障害を処置することによって減少することができる。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月5日出願の米国仮出願62/776,247の利益および優先権を主張し、その全内容は引用により本明細書に包含される。
(発明の分野)
本開示は、神経障害および精神障害の処置方法に関する。
D2ドーパミン受容体は、定型および非定型抗精神病薬の主要な標的である。Wang et al. Nature 555, 269-273 (2018).しかし、D2ドーパミン受容体を標的とする薬物の多くは、重篤な、あるいは生命を脅かす可能性がある副作用を引き起こす。Wang et al. Nature 555, 269-273 (2018).非D2作用機序に関する数十年にわたる研究にもかかわらず、安全性と有効性の両方を兼ね備えた非D2型抗精神病療法の開発に挑戦してきた。Girgis et al., J. Psychiatric Res. (2018), https://doi.org/10.1016/j.jpsychires.2018.07.006.特に、統合失調症の実験的処置に関する文献を包括的にレビューした結果、1970年から2017年の間に、グルタミン酸作動性メカニズム、セロトニン作動性メカニズム、コリン作動性メカニズム、神経ペプチド作動性メカニズム、ホルモン系メカニズム、ドーパミン作動性メカニズム、代謝系メカニズム、ビタミン・ナチュロパシー系メカニズム、ヒスタミン系メカニズム、感染・炎症系メカニズム、およびその他の種々雑多なメカニズムで統合失調症を処置する250の研究が含まれており、Girgisは、「NMDA受容体やα7ニコチン受容体のアロステリック調節など、有望な[非D2]標的がいくつかあるにもかかわらず、この総説で取り上げられているメカニズム的に新しい実験的処置のいずれかが、統合失調症の処置に確実に有効であり、臨床使用が可能な状態であると自信を持って主張することはできない」と述べている。そのため、神経学的および精神疾患および障害(例えば、統合失調症)の処置に有効で、かつ有害事象の発生が少ない治療剤が求められている。
本明細書で開示されているように、化合物1は、統合失調症の人々の処置のための新規薬剤として、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬(Breakthrough Therapy Designation)を受けている。画期的治療薬は、重篤な疾患や生命を脅かす症状のための医薬について、一つまたはそれ以上の臨床的に有意なエンドポイントにおいて、既存の療法と比較して大幅な改善が見られることが予備的な臨床証拠によって示された場合に、その開発と審査を促進することを目的としている。化合物1は、ここに開示されている臨床試験の重要な第2相データに基づいて、FDAから画期的治療薬を受けた。
本明細書は、神経および精神疾患および障害を処置する方法に関する。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害を有する患者を処置する方法であって、
Figure 2022511509000002
またはその薬学的に許容できる塩を該患者に経口投与することを含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、
Figure 2022511509000003
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を、該患者に投与することを含む、患者における有害事象を最小化する方法が提供される。いくつかの実施態様において、本方法は、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する。
いくつかの実施態様において、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、有害事象を実質的に引き起こさない方法が提供される。いくつかの実施態様において、患者における有害事象のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。
いくつかの実施態様において、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩から選択される、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない治療有効量の抗精神病薬を該患者に投与することを含む、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬の有害事象を実質的に引き起こさない方法が提供される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害の処置を必要とする患者において有害事象を最小化する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない、化合物1またはその薬学的に許容できる塩である治療有効量の抗精神病薬を該患者に投与することを含む、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関する有害事象を最小化する方法が提供される。
いくつかの実施態様において、患者を臨床的に有意なリスクをさらすことなく、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を該患者に投与することを含む、有害事象のリスクがドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関する、方法が提供される。いくつかの実施態様において、疾患または障害は統合失調症である。
いくつかの実施態様において、抗精神病薬を、それを必要とする患者に、臨床的に有意な有害事象のリスクを引き起こすことなく投与する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を該患者に投与することを含む、該患者が臨床的に有意な有害事象を経験していない方法が提供される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害を有する患者を、臨床的に有意な有害事象のリスクを引き起こすことなく処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与する方法が提供される。いくつかの実施態様において、患者は統合失調症を有する。
いくつかの実施態様において、有害事象は、以下の一つまたはそれ以上を意味する:心血管有害事象(例えば、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈)、錐体外路有害事象(例えば、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦)、高プロラクチン血症、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越(agitation)、悪心、下痢および消化不良。
いくつかの実施態様において、方法は、患者において神経もしくは精神疾患または障害の処置に有効である。いくつかの例において、該方法の結果として、陽性・陰性症状尺度(PANSS)総スコア、PANSSサブスコア(陰性、陽性、一般的な精神病理)、臨床的総合印象尺度-重症度(Clinical Global Impressions- Severity (CGI-S))スコア、簡易陰性症状尺度(Brief Negative Symptom Scale(BNSS))総スコアおよびMontgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアのうち、一つまたはそれ以上を改善する。
いくつかの実施態様において、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない治療有効量の抗精神病薬を該患者に投与することを含む、患者においてドーパミンD2に親和性がある抗精神病薬に関する有害事象を実質的に引き起こさない方法が提供される。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、化合物1塩酸塩のA型結晶である。
図1(FIG.1)は、実施例1の試験のPANSS総スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図2(FIG.2)は、実施例1の試験のPANSS陽性下位尺度スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図3(FIG.3)は、実施例1の試験のPANSS陰性下位尺度スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図4(FIG.4)は、実施例1の試験のPANSS一般的な精神病理下位尺度スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図5(FIG.5)は、実施例1の試験のCGI-Sスコアのベースラインからの変化のMRM解析を示す。
図6(FIG.6)は、実施例1の試験のBNSS総スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図7(FIG.7)は、実施例1の試験のMADRS総スコアのベースラインからの変化のMMRM解析を示す。
図8(FIG.8)は、実施例1の試験のプロラクチンレベルのベースラインから4週目の変化の中央値を示す。
図9(FIG.9)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたPANSS総スコアを示す。
図10(FIG.10)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたPANSS陽性サブスコアを示す。
図11(FIG.11)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたPANSS陰性サブスコアを示す。
図12(FIG.12)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたPANSS一般的な精神病理サブスコアを示す。
図13(FIG.13)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたCGI-Sスコアを示す。
図14(FIG.14)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたBNSS総スコアを示す。
図15(FIG.15)は、二重盲検処置(実施例1)および非盲検継続投与試験(実施例2)期間中に観察されたMADRS総スコアを示す。
図16(FIG.16)は、26週目におけるプロラクチンレベルの非盲検ベースラインからの変化を示す。
図17(FIG.17)は、26週目における(A)体重および(B)肥満度指数(BMI)の非盲検ベースラインからの変化を示す。
図18(FIG.18)は、26週目における脂質:(A)総コレステロール(全体)、(B)トリグリセリド(全体)、(C)HDL(全体)および(D)LDL(全体)の非盲検ベースラインからの変化を示す。
図19(FIG.19)は、26週目における血糖測定:(A)グルコース(全体)および(B)HbA1cの非盲検ベースラインからの変化を示す。
図20(FIG.20)は、(A)実施例2の試験における全ての中止原因までの時間と、(B)他の薬剤の比較データを示す。
図21(FIG.21)は、化合物1塩酸塩のA型結晶を示し、透過モードで測定されたXRPDである。 図22(FIG.22)は、化合物1塩酸塩のA型結晶を示し、反射モードで測定されたXRPDである。
図23(FIG.23)は、化合物1塩酸塩のA型結晶のDSCサーモグラムである。
詳細な説明
本明細書で引用されているすべての公開文書は、その全内容が引用により本明細書に包含される。
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の通常の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。したがって、以下の用語は、以下の意味を有することが意図されるものである。
本明細書で使用される単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他を示す場合を除き、複数形も含むことが意図されるものである。
特に断らない限り、単語「含む(includes)」(またはそのいずれかの変形、例えば「含む(include)」、「含む(including)」)は、制限がないことが意図されるものである。例えば、「Aは1、2および3を含む」とは、Aは1、2および3を含むがそれに限定されないことを意味する。
本明細書で使用されるように、用語「処置(treatment)」、「処置(treat)」および「処置(treating)」とは、疾患もしくは障害またはこれらの一つまたはそれ以上の症状おいて、治療効果を含むがそれに限定されずに、発症を逆転、軽減、遅延するか、進行を阻害することを意味する。いくつかの実施態様において、処置は、一つまたはそれ以上の症状の発展、例えば、症状の急性悪化の後に行われる。いくつかの実施態様において、処置は、症状がないときに行われてよい。例えば、処置は、(例えば、症状の既往歴を考慮して、および/または、遺伝因子または他の感受性因子を考慮して)、症状が発症する前に行われてよい。また、処置は、症状が治まった後も、例えば、それの再発を防止または遅延するために継続してよい。
治療的有用性には、処置下の基礎障害の根絶および/または改善が含まれる。また、対象がまだ基礎障害に罹患しているにもかかわらず、対象において改善が観察されるように、基礎障害に関連する一つまたはそれ以上の症状の根絶および/または改善も含まれる。いくつかの実施態様において、「処置(treatment)」または「処置(treating)」には、以下の一つまたはそれ以上が含まれる:(a)障害を阻害すること(例えば、障害による一つまたはそれ以上の症状を減少させること、および/または、障害の程度を低下させること)、(b)障害に関連する一つまたはそれ以上の症状の発展を遅らせるまたは阻止すること(例えば、障害を安定させること、および/または、障害の悪化もしくは進行を遅延すること)、および/または、(c)障害を緩和すること(例えば、臨床症状の後退を引き起こすこと、障害を改善すること、障害の進行を遅延すること、および/または、クオリティ・オブ・ライフを向上させること)。
本明細書で使用されるように、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の「投与(administering)」または「投与(administration)」は、例えば、本明細書に記載のいずれかの適当な製剤または投与経路を用いて、化合物1、またはその薬学的に許容できる塩、またはそのプロドラッグもしくは他の薬学的に許容できる誘導体を対象に送達することを包含する。
本明細書で使用される用語「治療有効量」または「有効量」とは、所望の生物学的または医学的応答を引き出すのに有効な量を意味し、障害を処置するために対象に投与される場合、そのような障害を処置するのに十分な化合物の量を含む。有効量は、障害およびその重症度、ならびに処置される対象の年齢や体重などに応じて異なる。有効量は、1回またはそれ以上の投与であってもよい(例えば、所望の処置エンドポイントを達成するために、単回投与または多回投与が必要となる場合がある)。有効量は、一つまたはそれ以上の他の物質とと併せて、所望または有益な結果を達成できるか達成する場合に、有効量で与えられると見なされ得る。同時投与される化合物の適当な投与量は、化合物の組み合わせ作用、相加作用、相乗作用によって、低下させることがある。
本明細書で使用される障害の発展を「遅延する」とは、障害の発展を引き延ばす、遅らせる、遅らす、安定させる、および/または延ばすことを意味する。遅延の長さは、疾患の既往歴や処置下の個人に応じて異なる。
本明細書で使用される「予防(prevention)」または「予防(予防)」とは、障害の臨床症状が発展しないように、障害の発症から保護するレジメンを意味する。したがって、「予防」は、対象において疾患の徴候が検出可能になる前に、対象に療法を適用すること(例えば、障害の検出可能な症候群が存在しないときに療法を適用すること)に関する。対象は、障害を発展させるリスクのある個人であってもよい。
本明細書で使用される、「リスクのある」個人とは、処置される障害を発展させるリスクのある個人を意味する。これは、例えば、障害の発展と相関し、当技術分野で知られている測定可能なパラメータである一つまたはそれ以上のリスク因子によって示され得る。
本明細書で使用される、投与が企図される「対象」または「患者」には、ヒト(すなわち、任意の年齢層の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、***の人)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))および/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよび/またはイヌなどの商業的に関連のある哺乳動物を含む哺乳動物;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラおよび/またはシチメンチョウなどの商業的に関連のある鳥類を含む鳥類が含まれるが、これらに限定されない。
「薬学的に許容できる」または「生理学的に許容できる」とは、獣医学的またはヒトの薬学的使用に適した医薬組成物を調製するのに有用な化合物、塩、組成物、投与形態およびその他の材料を意味する。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトや下等動物の組織と接触して使用するのに適した、合理的な利益/リスク比に見合う塩を意味する。薬学的に許容できる塩は、当技術分野でよく知られている。例えば,S. M. Berge et al., describe pharmaceutically acceptable salts in detail in J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容できる塩が詳細に記載されている。化合物1の薬学的に許容できる塩としては、適当な無機および有機の酸および塩基に由来するものが挙げられる。薬学的に許容できる無毒性の酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸で形成される、あるいはイオン交換などの当分野で使用されている他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩が挙げられる。その他の薬学的に許容できる塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩(camphorスルホン酸塩)、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩(cyclopentanepropionate)、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩(glucoheptonate)、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemi硫酸塩)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩(undecanoate)、吉草酸塩などがある。製薬製剤を調製するには、薬学的に許容できる対イオンが好ましいが、他のアニオンも合成中間体として十分に許容される。したがって、Xは、そのような塩が化学的な中間体である場合、ヨウ化物、シュウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩などの薬学的に望ましくないアニオンであってもよい。
本明細書で使用される用語「製薬的に許容できる賦形剤」には、あらゆる結合剤、増量剤、アジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、乳化剤、固化防止剤、香料、乾燥剤、可塑剤、崩壊剤、滑沢剤、ポリマーマトリックスシステムおよび研磨剤など、ヒトまたは家畜に使用するためのものとして米国食品医薬品局の承認を得たものがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される有害事象の「臨床的に有意な」リスクとは、プラシーボと比較して統計的に有意な差で大きいリスクを意味する。有害事象または特定の有害事象のリスクが、プラシーボと比較して低い、同じ、またはほとんど同じである場合、そのリスクは臨床的に有意でない。
本明細書で使用される有害事象の「臨床的に意味な」リスクとは、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬における同じ有害事象のリスクよりも低いが、必ずしも統計的に有意な差があるわけではないことを意味する。有害事象または特定の有害事象のリスクが、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬よりも低い場合、そのリスクは臨床的に意味のあるものでない。いくつかの実施態様において、臨床的に意味のある有害事象のリスクは、必要としている患者に抗精神病薬を処置および/または処方する分野の当業者により決定することができる。いくつかの実施態様において、臨床的に意味のある有害事象のリスクは、患者集団全体で比較計算して決定することができる。
本明細書で使用される有害事象を「実質的に引き起こさない」方法とは、有害事象の発生率がプラシーボよりも低いか、プラシーボと同じか、またはプラシーボとほとんど同じである方法を意味する。
本明細書で使用される有害事象を「最小化」するとは、D2ドーパミン受容体に対する親和性を有する抗精神病薬で処置した患者集団における有害事象のパラダイム発生率と比較して、患者集団における有害事象の発生率が統計的に有意に減少することを意味する。D2ドーパミン受容体に対する親和性を有するそのような抗精神病薬(例えば、本明細書で定義されている)は、当業者が主要な(単独または別の受容体と組み合わせた)作用機序としてD2ドーパミン受容体の直接的な標的化を提案できるように、D2ドーパミン受容体に対する治療的親和性を有するであろう。それに応じて、一人の患者における有害事象の対応するリスクが減少する。いくつかの実施態様において、有害事象の発生率とは、患者集団にわたる特定の有害事象の頻度または百分率を意味する。いくつかの実施態様において、有害事象の発生率とは、個々の対象が経験した有害事象の総数を意味する。
本明細書で使用され「抗精神病薬」は、例えば統合失調症または双極性障害において、精神病を処置、予防または管理するために、そしてより広くはさまざまな神経および精神障害を処置するために特に使用される薬物のクラスである。第一世代の抗精神病薬は「定型抗精神病薬」と知られており、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、チオリダジン、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、チオチキセン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、ハロペリドール、ピモジド、プロクロルペラジン、チオプロペラジン、トリフロペラジンおよびズクロペンチキソールが挙げられる。第二世代の抗精神病薬は「非5B9A型抗精神病薬」と知られており、アリピプラゾール、アセナピンマレイン酸塩、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、オランザピン/フルオキセチン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンが挙げられる。定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の両方は、D2ドーパミン受容体を標的とし、D2ドーパミン受容体に対する親和性を有する。
「ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象」は、D2抗精神病性療法のパラダイムである有害事象として当業者によって理解されている。いくつかの実施態様において、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象は、抗精神病薬のクラス・エフェクトのいずれか一つまたはそれ以上である。いくつかの実施態様において、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象は、定型抗精神病薬のクラス・エフェクトのいずれか一つまたはそれ以上である。いくつかの実施態様において、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象は、非定型抗精神病薬のクラス・エフェクトのいずれか一つまたはそれ以上である。いくつかの実施態様において、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象は、心血管有害事象または錐体外路有害事象である。いくつかの実施態様において、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象には、心血管有害事象(例えば、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈)、錐体外路有害事象(例えば、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦)、高プロラクチン血症、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越、悪心、下痢および消化不良がある。
本明細書には、さまざまな実施態様が記載されている。本明細書を検討する当業者であれば、さまざまな実施態様を任意の変形で組み合わせることができることを容易に認識するであろう。例えば、本明細書の実施態様には、さまざまな障害の処置、患者集団、剤形のさまざまな投与量での投与、さまざまな有害事象の最小化、さまざまな有効性測定の改善などが含まれる。さまざまな実施態様のいずれかの組み合わせは、本明細書の範囲内である。
本明細書の方法で使用するために本明細書で記載の化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、以下の構造:
Figure 2022511509000004
を有する。別段の記載がない限り、または文脈から別段の要求がない限り、本明細書の目的上、用語「化合物1」はまた、
Figure 2022511509000005
の薬学的に許容できる塩も含む。
化合物1の化学名は、(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(「(S)-TPMA」と略記することもある)、またはその薬学的に許容できる塩である。当業者であれば、化合物の命名法が多様であることを理解できるだろう。したがって、化合物1はまた、(S)-1-(4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン、(S)-1-(5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン、またはその薬学的に許容できる塩としても同定することができる。例えば、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、SEP-0363856またはSEP-856として同定されており、統合失調症の人々の処置のための新規物質として、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬(Breakthrough Therapy Designation)を受けている。画期的治療薬は、一つまたはそれ以上の臨床的に有意なエンドポイントにおいて、利用できる療法と比較して大幅な改善が実証できると示す予備的な臨床証拠がある場合に、重篤な症状または生命を脅かす症状のための薬物の開発と審査を促進することを目的とするものである。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、本明細書に開示されている臨床試験の重要な第2相データに基づいて、FDAから画期的治療薬を受けた。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、非直接的なD2作用機序を有する抗精神病薬であり、精神病およびうつ病の動物モデルにおいて幅広い有効性を示す。化合物1またはその薬学的に許容できる塩の抗精神病および抗うつ有効性に関与する分子標的は、微量アミン関連受容体-1(TAAR1)および5HT1A受容体の両方におけるアゴニスト活性であると理解されている。例えば、Dedic et al.に開示されている。The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 371, 1-14 (2019)では、化合物1を知られている分子標的の複数のパネル(イオンチャネル、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)および酵素に対して試験し、化合物1は10μMで、α2A、α2B、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT1D、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2Cおよび5-HT7受容体における特異的結合を50%を超えて阻害したことを示した。さらに、受容体パネルのスクリーニングとフォローアップの機能テストにより、化合物1はいくつかの受容体でさまざまな活性を示すことが示された。ヒトTAAR1受容体(EC50は0.14±0.062μM、最大有効率(Emax)=101.3%±1.3%)および5-HT1A受容体(EC50=2.3μM、範囲は0.1~3μM、Emax=74.7%±19.6%)でのアゴニズム。D2受容体の機能アッセイにおいて、化合物1は弱い部分的なアゴニズムを示し、EC50値は10.44±4μM(cAMP、Emax=23.9%±7.6%)および8μM(β-アレスチン漸増、Emax=27.1%)であった。化合物1は、特定の作用機序に縛られることなく、シナプス前のドーパミンモジュレーターとしても作用すると理論化される。
化合物1は、本明細書に記載の方法において、遊離塩基として、または薬学的に許容できる塩の形態で使用することができる。いくつかの実施態様において、化合物1の塩酸(HCl)塩は、本明細書に記載の方法でが使用される。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、PCT特許公開WO2011/069063(米国特許8,710,245、2014年4月29日発行)またはPCT特許公開WO2019/161238に記載の製造方法(その全内容が引用により本明細書に包含される)、またはそれと同様の方法によって得ることができる。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、非晶質形または結晶非晶質形であってもよい。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の結晶形は、本明細書に記載の方法で使用される。いくつかの実施態様において、化合物1 HCl塩のA型結晶は、本明細書に記載の方法に使用される。
いくつかの実施態様において、化合物1 HCl塩のA型結晶は、2θが9.6±0.2°、14.9±0.2°、20.5±0.2°および25.1±0.2°のピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とし、いくつかの実施態様において、20.2±0.2°および20.8±0.2°のピークをさらに含む粉末X線回折パターンを特徴とし、いくつかの実施態様において、20.2±0.2°、20.8±0.2°およびのピークならびに17.9±0.2°、24.8±0.2°および27.1±0.2°の一つまたはそれ以上の突出したピークをさらに含む粉末X線回折パターンを特徴とする。化合物1 HCl塩のA型結晶を調整する方法の例は、実施例2で提供される。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、実質的には鏡像異性的に純粋である。いくつかの例において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む組成物は、組成物中の化合物1およびその(R)-エナンチオマーの総量に対して、約90%、95%、97%、99%、99.5%、99.7%または99.9%に相当するまたはそれを超える化合物1を含む。いくつかの実施態様において、化合物1 HCl塩の実質的には鏡像異性的に純粋なA型結晶は、本明細に記載の方法に使用される。
また、本明細書では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩と、一つまたはそれ以上の製薬的に許容できる賦形剤とを含む、医薬組成物および剤形が提供される。本明細書で提供される組成物および剤形は、さらに一つまたはそれ以上の追加の活性成分を含んでもよい。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、本明細書に記載の医薬組成物の一部として投与することができる。
神経もしくは精神疾患または障害の処置に適切な医薬品を選択するには、患者にほとんど、あるいは全く有害事象を起こさない医薬品を見つけることを必要とする。本明細書で開示されているように、神経もしくは精神疾患または障害を処置するための試行錯誤アプローチを避けたい医師は、利用可能な抗精神病薬の中から化合物1を選択して、臨床的に有意な有害事象のリスクなしに患者を治療することができる。例えば、QT延長のリスクがある患者にとって、QT延長は死亡につながる重篤な有害事象であるため、これは重要な意味を持つ。本明細書で開示されるように、化合物1は、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する一部の抗精神病薬とは異なり、臨床的に有意なQT延長のリスクを引き起こすことはなく、QT延長のリスクが高まっている患者に対して、より安全な投与を可能にする。以前に神経科薬または精神科薬で処置されたことがない患者におけるQT延長のリスクは不明である可能性がある。しかし、本明細書で提供するいくつかの実施態様において、QT延長の臨床的に有意なリスクなしに、化合物1を投与することができる。その他の心血管事象などの有害事象は、体重増加、血中脂質または血糖値の変化など、現れるまでに時間がかかることがある。時間が経過すると、そのような事象が患者において心血管問題を引き起こすことがある。化合物1の投与により、有害事象を回避または大幅に減少させることができる。
本明細書は、統合失調症などの神経および精神疾患ならびに障害を処置する方法に関する。
いくつかの実施態様において、本明細書では、神経もしくは精神疾患または障害を有する患者を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000006
またはその薬学的に許容できる塩を、該患者に経口投与することを含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000007
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を、該患者に投与することを含む、患者において有害事象を最小化する方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を、該患者に投与することを含む、有害事象を実質的に引き起こさない方法が提供される。いくつかの実施態様において、方法は、患者においてプラシーボとほとんど同じまたは同様の有害事象のリスクを引き起こす。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬の有害事象を実質的に引き起こさない、化合物1またはその薬学的に許容できる塩から選択される、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を、該患者に投与することを含む、方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、神経もしくは精神疾患または障害の処置を必要とする患者において有害事象を最小化する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性有しない、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の抗精神病薬の治療有効量を、該患者に投与することを含む、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する方法が提供される。いくつかの実施態様において、該方法により、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬での処置と比較して、有害事象などの発生率が低下している。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者を有害事象の臨床的に有意なリスクにさらすことなく、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を、該患者に投与することを含む、ここで、有害事象のリスクは、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する、方法が提供される。
いくつかの実施態様において、抗精神病薬を、臨床的に有意な有害事象を経験したことがない、それを必要とする患者に有害事象臨床的的に有意なリスクを引き起こすことなく投与する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を、該患者に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様において、方法は、患者において神経もしくは精神疾患または障害(例えば、統合失調症)を処置する。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を該患者に投与することを含み、患者において有害事象はドーパミンD2に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を実質的に引き起こさない方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の、本明細書に一般的に記載される神経もしくは精神疾患または障害の処置における、例えば、有害事象を最小化する使用が提供される。また、本明細書では、本明細書に一般的に記載される神経もしくは精神疾患または障害の処置のための、例えば、有害事象を最小化する、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が提供される。また、本明細書では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の、本明細書に一般的に記載される神経もしくは精神疾患または障害の処置のための、例えば、有害事象を最小化する、医薬の製造における使用が提供される。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、29日間の処置期間、毎日投与する。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、26週間または30週間の処置期間、毎日投与する。
いくつかの実施態様において、有害事象は、以下の一つまたはそれ以上そ意味する:心血管有害事象(心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧、起立性頻脈)、錐体外路有害事象(静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦、振戦)、高プロラクチン血症、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越、悪心、下痢および消化不良。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法は、患者における神経もしくは精神疾患または障害の処置に有効である。いくつかの例において、本方法は、陽性・陰性症状尺度(PANSS)総スコア、PANSSサブスコア(陰性、陽性、一般的な精神病理)、臨床的総合印象尺度-重症度(CGI-S)スコア、簡易陰性症状尺度(BNSS)総スコアおよびMontgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアのうち、一つまたはそれ以上の改善をもたらす。
いくつかの実施態様において、本方法は、以下の一つまたはそれ以上をもたらす:
PANSS総スコアのベースラインからの低下、例えば、PANSS総スコアがベースラインから少なくとも1、2、3、4、5、7、10、15または17(例えば、少なくとも17.2)低下、またはPANSS総スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはPANSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2、0.3または0.4(例えば、少なくとも0.45)低下、またはプラシーボと比較してPANSSレスポンダー率が統計的に有意に改善(例えば、レスポンダー率がプラシーボより少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%高い);
PANSS陰性下位尺度スコアのベースラインからの低下、例えば、PANSS陰性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5または3(例えば、少なくとも3.1)低下、またはPANSS陰性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはPANSS陰性下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2、0.3または0.35(例えば、少なくとも0.37);
PANSS陽性性下位尺度スコアのベースラインからの低下、例えば、PANSS陽性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも1、2、3、4または5(例えば、少なくとも5.5)低下、またはPANSS陽性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはPANSS陽性下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2または0.3(例えば、少なくとも0.32);
PANSSいパン的な精神病理下位尺度スコアのベースラインからの低下、例えば、PANSS一般的な精神病理下位尺度スコアがベースラインから少なくとも1、2、3、4、5、7または9(例えば、少なくとも9)低下、またはPANSS一般的な精神病理下位尺度スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはPANSS一般的な精神病理下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4または0.5(例えば、少なくとも0.51);
CGI-Sスコアのベースラインからの低下、例えば、CGI-Sスコアがベースラインから少なくとも0.2、0.4、0.6、0.8または1(例えば、少なくとも1)低下、またはCGI-Sスコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはCGI-Sスコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4または0.5(例えば、少なくとも0.52);
BNSS総スコアのベースラインからの低下、例えば、BNSS総スコアがベースラインから少なくとも1、2、3、4、5、6または7(例えば、少なくとも7.1)低下、またはBNSS総スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはBNSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4または0.45(例えば、少なくとも0.48);および
MADRS総スコアのベースラインからの低下、例えば、MADRS総スコアがベースラインから少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5または3(例えば、少なくとも3.3)低下、またはMADRS総スコアがベースラインから少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%低下、またはMADRS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.1、0.2または0.3(例えば、少なくとも0.32)。
いくつかの実施態様において、PANSS(総スコアまたはサブスコア)、CGI-S、BNSSまたはMADRSスコアの低下は、29日間の処置期間後に測定する。
いくつかの実施態様において、スコアの低下は、30週間の処置期間後に測定する。いくつかの実施態様において、本明細書の方法は、(i)PANSS総スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約30低下;(ii)PANSS陽性下位尺度スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約10低下;(iii)PANSS陰性下位尺度スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約5低下;(iv)PANSS一般的な精神病理下位尺度スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約15低下;(v)CGI-Sスコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約1.5低下;(vi)BNSS総スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約10低下;および/または(vii)MADRS総スコアが30週間の処置後にベースラインから少なくとも約5低下、をもたらす。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、例えば、29日間、26週間または30週間の処置期間中、中止に至る有害事象の数の減少をもたらす。例えば、いくつかの実施態様において、本方法により26週間または30週間の処置期間にわたる有害事象のために処置を中止する患者が50%未満、40%未満または35%未満となる。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は統合失調症である。いくつかの実施態様において、患者は統合失調症の急性悪化を有する。いくつかの実施態様において、統合失調症の処置は、統合失調症の症状の改善を含む。いくつかの実施態様において、統合失調症の処置は、統合失調症の陰性症状の処置を含む。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害はパーキンソン病精神病である。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、統合失調症スペクトラム障害、統合失調症陰性症状、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、妄想性障害、精神病、精神病性障害、精神錯乱、トゥレット症候群、外傷後ストレス障害、行動障害、情動障害、うつ病、双極性障害、大鬱病性障害、気分変調症、躁病(躁病の disorder)、季節性情動障害、強迫性障害、ナルコレプシー、REM行動障害、物質濫用または依存状態、Lesch-Nyhan疾患、ウィルソン病、自閉症、アルツハイマー病激越(Alzheimer's disease agitation)および精神病またはハンチントン舞踏病である。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、統合失調症、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、スキゾイドパーソナリティ障害および統合失調症性パーソナリティー障害から選択される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、アルツハイマー病激越および精神病である。いくつかの実施態様において、患者は認知症を有する。いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は認知症関連精神病である。
いくつかの実施態様において、精神病は、器質性精神病、薬物誘発性精神病、パーキンソン病精神病および興奮性精神病(excitative psychosis)から選択される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、双極性障害および双極性うつ病から選択される双極性障害である。
いくつかの実施態様において、患者は、少なくとも一つの定型抗精神病薬または少なくとも一つの非定型抗精神病薬である抗精神病薬に十分に反応しない。いくつかの実施態様において、患者は、定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬である抗精神病薬に十分に反応しない。いくつかの実施態様において、患者は、定型抗精神病薬(例えば、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、チオリダジン、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、チオチキセン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、ハロペリドール、ピモジド、プロクロルペラジン、チオプロペラジン、トリフロペラジン、ズクロペンチキソール)または非定型抗精神病薬(例えば、アリピプラゾール、アセナピンマレイン酸塩、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、オランザピン/フルオキセチン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン)である抗精神病薬に十分に反応しない。
いくつかの実施態様において、患者は高齢者である。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害の処置は、神経もしくは精神疾患または障害の症状の改善を含む。
いくつかの実施態様において、患者は、以下の一つまたはそれ以上を特徴とする:
患者は、成人である;
患者は、少なくとも6ヶ月間統合失調症と診断されている;
患者は、精神病性症状の急性悪化を少なくとも2ヶ月間経験している;
患者は、統合失調症の急性悪化を処置するために過去2回以上入院したことがない;
患者のベースラインのPANSS総スコアが少なくとも80である;
患者のベースラインのPANSSスコアが、妄想、概念の統合障害(conceptual disorganization)、幻覚様行動(hallucinatory behavior)および不自然な思考内容(unusual 思考内容)のうち、二つまたはそれ以上が少なくとも4である;および
患者のベースラインのCGI-Sスコアは少なくとも4である。
いくつかの実施態様において、有害事象とは、以下の一つまたはそれ以上を意味する:心血管有害事象(例えば、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈)、錐体外路有害事象(例えば、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦)、高プロラクチン血症、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越、悪心、下痢および消化不良。
D2ドーパミン受容体は、定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬の両方の主な標的である。Wang et al. Nature 555, 269-273 (2018).残念ながら、D2ドーパミン受容体を標的とする多くの薬物は、関連する受容体に対する乱用作用(promiscuous activities)により、重篤で潜在的に生命を脅かす副作用を引き起こす。Wang et al. NATURE 555, 269-273 (2018).D2ドーパミン受容体に対するて親和性を有する現在利用可能な抗精神病薬には、定型抗精神病薬、例えばクロルプロマジン、クロルプロチキセン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、チオリダジン、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、チオチキセン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、ハロペリドール、ピモジド、プロクロルペラジン、チオプロペラジン、トリフロペラジンおよびズクロペンチキソールならびに非定型抗精神病薬、例えばアリピプラゾール、アセナピンマレイン酸塩、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、オランザピン/フルオキセチン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンがある。定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬に関連する有害事象には、心血管有害事象(例えば、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈)、錐体外路有害事象(例えば、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦)、および高プロラクチン血症、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越、悪心、下痢、および消化不良がある。
いくつかの実施態様において、抗精神病薬に関連する有害事象は、FAERSを用いたEBGMランキングで定義されるクラス・エフェクトのある有害事象のいずれか一つまたはそれ以上である。いくつかの実施態様において、抗精神病薬に関連する有害事象は、以下の一つまたはそれ以上である:高プロラクチン血症(Hyperプロラクチンaemia)、血中プロラクチン異常、血中プロラクチン増加、乳汁漏出症、歯車様硬直、肥満、メタボリック症候群、静座不能、顎口腔ジストニア、パーキンソン病、流涎症、注視発症、強迫性障害、筋硬直、2型糖尿病、糖尿病、過体重、パーキンソン病様症状(Parkinsonian gait)、舌痙攣(Tongue spasm)、遅発性ジスキネジア、動作緩慢、Tic、精神運動遅延、錐体外路障害、尿失禁(Enuresis)、耐糖能異常(Glucose tolerance impaired)、流涎過多、筋緊張異常(Dystonia)、糖尿、情動不安、斜頸、空腹時血中ブドウ糖不良、自傷性皮膚症、肥満度指数上昇、多動、肝炎ウイルス、ジスキネジア、血中トリグリセリド増加、心電図QT延長(心電図 QT prolonged)、睡眠異常、起立性高血圧、歯ぎしり、食欲増加、過度のまばたき(過剰ive eye blinking)、慢性膵炎、体重増加、脂質異常症、下肢静止不能症候群、咬舌または項部硬直。
いくつかの実施態様において、化合物1は、高プロラクチン血症(Hyperプロラクチンaemia)、血中プロラクチン異常、血中プロラクチン増加、乳汁漏出症、歯車様硬直、肥満、メタボリック症候群、静座不能、顎口腔ジストニア、パーキンソン病、流涎症、注視発症、強迫性障害、筋硬直、2型糖尿病、糖尿病、過体重、パーキンソン病様症状(Parkinsonian gait)、舌痙攣(Tongue spasm)、遅発性ジスキネジア、動作緩慢、Tic、精神運動遅延、錐体外路障害、尿失禁(Enuresis)、耐糖能異常(Glucose tolerance impaired)、流涎過多、筋緊張異常(Dystonia)、糖尿、情動不安、斜頸、空腹時血中ブドウ糖不良、自傷性皮膚症、肥満度指数上昇、多動、肝炎ウイルス、ジスキネジア、血中トリグリセリド増加、心電図QT延長(Electrocardiogram QT prolonged, Dyssomnia)、睡眠異常、起立性高血圧、歯ぎしり、食欲増加、過度のまばたき(Excessive eye blinking)、慢性膵炎、体重増加、脂質異常症、下肢静止不能症候群、咬舌または項部硬直のうちいずれかの一つまたはそれ以上の有害事象のリスクを床的に有意に増加させない。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、D2ドーパミン受容体に対する直接的な親和性を有しない。本明細書(例えば、以下の実施例)で記載されるように、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、患者に投与される場合、D2ドーパミン受容体を標的とする定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬に関連する有害事象および重篤な有害事象の高い発生率を引き起こさない。驚いたことに、本明細書の実施例(例えば実施例1、実施例2)に記載されるように、化合物1は強力な有効性、さらにプラシーボと同様の有害事象プロファイルを有していた。特に、患者が経験した(QT延長、起立性低血圧、起立性頻脈を含む)心血管有害事象、錐体外路有害事象、高プロラクチン血症、不眠症、不安および頭痛の発生率は、臨床的に有意でなかった(すなわち、プラシーボより低い、プラシーボと同じ、プラシーボとほとんど同じまたは同様である)。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法は、心血管有害事象を最小化する。いくつかの実施態様において、本方法は、心血管有害事象を実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者における心血管有害事象のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法により、5%未満またはそれと同程度の患者に心血管事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、4.2%未満またはそれと同程度の患者に心血管有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、29日間の処置期間中に、5%未満またはそれと同程度(例えば、4.2%未満またはそれと同程度)の患者に心血管有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、26週間の処置期間中に、6%未満またはそれと同程度(例えば、5.8%未満またはそれと同程度)の患者に心血管事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、プラシーボよりも1%以上高くない百分率で患者に心血管有害事象が発生する。
いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬により、心血管有害事象のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、心血管疾患の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法による心血管有害事象の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による心血管有害事象の影響を受けやすい。
いくつかの実施態様において、患者は、処置期間中に心血管有害事象について積極的にモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、処置期間中に心電図検査モニタリング(electrocardiography monitoring)によってモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、心血管有害事象について警告されない。いくつかの実施態様において、患者は心血管有害事象の処置を同時に受けていない。
いくつかの実施態様において、心血管有害事象あ、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧またはのぼせを特徴とする。いくつかの実施態様において、心血管有害事象は、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈と特徴とする。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、錐体外路有害事象を最小化する。いくつかの実施態様において、本発明は、錐体外路有害事象を実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者における錐体外路有害事象のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法により、5%未満またはそれと同程度の患者に錐体外路有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、3.3%未満またはそれと同程度の患者に錐体外路有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、29日間の処置期間中に、5%未満またはそれと同程度の患者に錐体外路有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、26週間の処置期間中に、5%未満またはそれと同程度(例えば、3.2%未満またはそれと同程度)の患者に錐体外路有害事象が発生する。いくつかの実施態様において、本方法は、プラシーボ以下の百分率で患者に錐体外路有害事象が発生する。
いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による錐体外路有害事象のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法による錐体外路有害事象の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による錐体外路有害事象の影響を受けやすい。
いくつかの実施態様において、患者は、錐体外路有害事象について警告されない。
いくつかの実施態様において、錐体外路有害事象は、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦を特徴とする。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、QT延長を最小化する。いくつかの実施態様において、本方法は、QT延長が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者におけるQT延長のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法により、5%未満またはそれと同程度の患者にQT延長が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、1%未満またはそれと同程度の患者にQT延長が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、29日間の処置期間中に、QT延長が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、本方法は、プラシーボ以下の百分率で患者にQT延長が発生する。
いくつかの実施態様において、患者は、抗精神病薬の投与によるQT延長のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法によりQT延長の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬によるQT延長の影響を受けやすい。いくつかの実施態様において、患者は、低カリウム血症、C型肝炎、HIV、心電図上のT波異常を有し、女性であり、高齢者であり、またはQT延長のリスクを上昇することが知られている第2の活性物質を服用している。
いくつかの実施態様において、患者は、QT延長を積極的にモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、QT延長について警告されない。いくつかの実施態様において、患者は、QT延長の処置を同時に受けない。
いくつかの実施態様において、QT延長は、以下の一つまたは両方を特徴とする:
患者におけるQTcF間隔が、ベースラインに存在しなかったいずれかの時点で450msecを超えること;および
ベースライン後の少なくとも1回の測定において、QTcF間隔のベースラインからの増加が30msecを超えるかそれと同程度であること。
いくつかの実施態様において、QT延長は、以下の一つまたは両方を特徴とする:
患者におけるQTcF間隔が、患者が男性の場合、ベースラインで存在しなかった、いずれかの時点で450msecを超えるか、患者が女性の場合、ベースラインで存在しなかった、いずれかの時点で470msecを超えること;および
ベースライン後の少なくとも1回の測定において、QTcF間隔のベースラインからの増加が30msecを超えるかそれと同程度であること。
いくつかの実施態様において、QT延長は、以下の一つまたは両方を特徴とする:
患者におけるQTcF間隔が、患者が男性の場合、ベースラインで存在しなかった、いずれかの時点で450msecを超えるか、患者が女性の場合、ベースラインで存在しなかった、いずれかの時点で470msecを超えること;および
ベースライン後の少なくとも1回の測定において、QTcF間隔のベースラインからの増加が60msecを超えるかそれと同程度であること。
心電図(ECG)のQTc間隔の延長は、失神の原因となり、心室細動や突然死に進行する可能性のある心室性不整脈である心室頻拍(torsade de pointes)の発生と関連している可能性がある。健康な成人の平均QTc間隔は約400msecである。QTc間隔が500msecまたはそれ以上であれば、心室頻拍の実質的なリスク因子であると見なされる。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、高プロラクチン血症を最小化する。いくつかの実施態様において、本方法は、高プロラクチン血症が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者における高プロラクチン血症のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法は、高プロラクチン血症の臨床的に有意なリスクを有しない。いくつかの実施態様において、本方法は、29日間の処置期間中に高プロラクチン血症が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、本方法は、26週間の処置期間中に高プロラクチン血症が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、本発明は、プラシーボ以下の百分率で患者に高プロラクチン血症が発生する
いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬の投与による高プロラクチン血症のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法による高プロラクチン血症の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による高プロラクチン血症の影響を受けやすい。
いくつかの実施態様において、患者は、高プロラクチン血症を積極手にモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、高プロラクチン血症について警告されない。いくつかの実施態様において、患者は、高プロラクチン血症の処置を同時に受けない。
高プロラクチン血症とは、プロラクチンのレベルが有意に上昇したことを意味し、特定の抗精神病薬の投与中に起こることが知られている。
いくつかの実施態様において、本発明の代謝効果は、プラシーボと同じまたは同様であり、例えば、患者における総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、および/またはグルコースのレベルは、プラシーボと同じまたは同様である。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、起立性低血圧を最小化する。いくつかの実施態様において、本発明は、起立性低血圧が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者における起立性低血圧のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法により、5%未満またはそれと同程度の患者に起立性低血圧が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、4.2%未満またはそれと同程度の患者に起立性低血圧が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、29日間の処置期間中に5%未満またはそれと同程度の患者に起立性低血圧が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、プラシーボ以下の百分率で患者に起立性低血圧が発生する。
いくつかの実施態様において、患者は、抗精神病薬の投与による起立性低血圧のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法による起立性低血圧の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による起立性低血圧の影響を受けやすい。
いくつかの実施態様において、患者は、起立性低血圧を積極的にモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、起立性低血圧について警告されない。いくつかの実施態様において、患者は、起立性低血圧の処置を同時に受けない。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、起立性頻脈を最小化する。いくつかの実施態様において、本方法により、起立性頻脈が実質的に引き起こさない。いくつかの実施態様において、患者における起立性頻脈のリスクは、プラシーボとほとんど同じまたは同様である。いくつかの実施態様において、本方法により、5%未満またはそれと同程度の患者に起立性頻脈が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、4.2%未満またはそれと同程度の患者に起立性頻脈が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、29日間の処置期間中に5%未満またはそれと同程度の患者に起立性頻脈が発生する。いくつかの実施態様において、本方法により、プラシーボよりも2%以上高くない百分率で患者に起立性頻脈が発生する。
いくつかの実施態様において、患者は、抗精神病薬の投与による起立性頻脈のリスクが上昇している。いくつかの実施態様において、患者は、以前の抗精神病性療法による起立性頻脈の既往歴を有する。いくつかの実施態様において、患者は、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有する抗精神病薬による起立性頻脈の影響を受けやすい。
いくつかの実施態様において、患者は、起立性頻脈を積極的にモニターされない。いくつかの実施態様において、患者は、起立性頻脈について警告されない。いくつかの実施態様において、患者は、起立性頻脈の処置を同時に受けない。
化合物1は、非D2作用機序を有する抗精神病薬であり、精神病およびうつ病の動物モデルにおいて幅広い有効性を示す。以下の実施例に記載されるように、化合物1は、統合失調症の処置において有効性を示す。具体的に、化合物1を投与された統合失調症の急性悪化患者において、陽性・陰性症状尺度(PANSS)総スコア、PANSSサブスコア(陰性、陽性、一般的な精神病理)、臨床的総合印象尺度-重症度(CGI-S)スコア、簡易陰性症状尺度(BNSS)総スコアおよびMontgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアの有効性測定はそれぞれ(例えば、プラシーボと比較して)改善を示した。
したがって、いくつかの実施態様において、本方法により、以下の一つまたはそれ以上の結果をもたらす:
・PANSS総スコアがベースラインから少なくとも17.2低下;
・PANSS総エフェクトサイズが少なくとも0.45;
・PANSS陽性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも5.5低下;
・PANSS陽性下位尺度のスコアエフェクトサイズが少なくとも0.32;
・PANSS陰性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも3.1低下;
・PANSS陰性下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.37;
・PANSS一般的な精神病理下位尺度スコアがベースラインから少なくとも9低下;
・PANSS一般的な精神病理下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.51;
・CGI-Sスコアがベースラインから少なくとも1低下;
・CGI-Sスコアにエフェクトサイズが少なくとも0.52;
・BNSS総スコアがベースラインから少なくとも7.1低下;
・BNSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.48;
・MADRS総スコアがベースラインから少なくとも3.3低下;および/または
・MADRS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.32。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法はさらに、患者における不眠症、不安、または頭痛の症状を処置することを含む。いくつかの実施態様において、患者における不眠症、不安、頭痛、またはこれらのいずれかの組み合わせのリスクは、プラシーボよりも低い。いくつかの実施態様において、本明細書の方法により、不眠症、不安、頭痛またはこれらのいずれかの組み合わせを最小化する。
いくつかの実施態様において、症状は不眠症である。いくつかの実施態様において、症状は不安である。いくつかの実施態様において、症状は頭痛である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法はさらに、患者におけるめまいを処置することを含む。いくつかの実施態様において、不眠症、不安、頭痛、統合失調症、傾眠、激越、悪心、下痢および消化不良のリスクが、個別にも群としても、臨床的に有意でない(すなわち、プラシーボより低い、ラシーボと同じまたはほとんど同じもしくは同様である)。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与は、漸増期間および処置期間を含む。いくつかの例において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の最初の用量が漸増漸減(titration)期間中に投与された後、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療量が治療期間中に投与される。漸増用量は、治療量より少ない。いくつかの例において、漸増用量は1日あたり50mgであり、治療量は1日あたり75mgである。いくつかの実施態様において、漸増漸減期間は3日であり、その後治療期間が続く(例えば、4日目に始まり、例えば29日目まで続く)。いくつかの実施態様において、1~3日目に化合物1またはその薬学的に許容できる塩50mgを投与し、4~29日目に化合物1またはその薬学的に許容できる塩75mgを投与する。
いくつかの実施態様において、治療量は、減少した用量に漸減することができる。いくつかの例において、75mgの用量は50mgの用量に減少することができる。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、一日50mgまたは一日75mgの可変用量で投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する方法であって、該患者に、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を最初の用量で1~3日間毎日投与し、続いて患者化合物1またはその薬学的に許容できる塩を治療量で毎日投与することを含み、ここで、最初の用量は治療量より少ない方法が提供される。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、1~3日目に最初の用量で毎日投与し、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、4~29日目に治療量で毎日投与する。いくつかの実施態様において、最初の用量は50mgであり、治療量は75mgである。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、一日一回投与する。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、経口投与する。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する豊富であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を該患者に一日50mg投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、一日一回投与する。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、29日間の処置期間中毎日投与する。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、経口投与する。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する方法であって、
処置期間中患者に、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を一日75mg経口投与するか、投与していること;
患者が処置期間中に有害事象を経験したかどうかを判断するか、判断していること;および
患者が処置期間中に有害事象を経験する場合、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を一日に50mgに減少させるか、減少させていること、
そ含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本方法はさらに、処置期間中に患者の有害事象についてモニタリングすることを含む。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の一日50mgまたは一日75mgの治療有効量を投与して、単回投与後1~4時間または多回投与後2~4時間で患者において化合物1またはその薬学的に許容できる塩の最大血漿中濃度を達成することを含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の一日50mgまたは一日75mgの治療有効量を経口投与して、7日以内に患者において化合物1またはその薬学的に許容できる塩の定常状態血漿中濃度を達成することを含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、統合失調症を有する患者において不眠症、不安または頭痛の症状を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様において、症状は不眠症である。いくつかの実施態様において、症状は不安である。いくつかの実施態様において、症状は頭痛である。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症に関連する不眠症、不安または頭痛を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において統合失調症を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、患者における不眠症、不安もしくは頭痛、またはこれらのいずれかの組み合わせの発生率がプラシーボより低い方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、統合失調症に罹患している患者においてPANSS総スコアを低下する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、(i)PANSS総スコアがベースラインから少なくとも17.2低下、または(ii)PANSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.45である、結果ををもたらす方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、統合失調症に罹患している患者においてCGI-Sスコアを低下する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、(i)CGI-Sスコアがベースラインから少なくとも1低下、または(ii)CGI-Sスコアのエフェクトサイズが少なくとも0.52である、結果をもたらす方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、統合失調症を罹患している患者においてBNSS総スコアを低下する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、(i)BNSS総スコアがベースラインから少なくとも7.1低下、または(ii)BNSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.48である、結果をもたらす方法が提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書では、統合失調症に罹患している患者においてMADRS総スコアを低下する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む、(i)MADRS総スコアがベースラインから少なくとも3.3低下、または(ii)MADRS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.32である、結果をもたらす方法が提供される。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、医薬組成物の一部として投与されてよい。本明細書の医薬組成物は、経口的に、非経腸的に、吸入により、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔に、舌下に、膣に、または移植されたリザーバーを介して投与することができる。本明細書で使用される用語「非経腸」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入手法がある。
いくつかの実施態様において、組成物は、経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与される。本明細書の組成物の無菌注射可能な形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤をもちいて当該分野で知られている手法によって製剤化することができる。無菌注射用製剤は、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液のように、非毒性の非経腸的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。
いくつかの実施態様において、本明細書の薬学的に許容できる組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含めた経口的に許容できる剤形で経口的に投与することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書の医薬組成物は、一つまたはそれ以上の結合剤、増量剤(bulking agent)、緩衝液、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、粘性向上剤または粘性低下剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明剤(opaquing agent)s、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、風味剤、希釈剤、研磨剤、ポリマーマトリックス系、可塑剤、および薬物のエレガントなプレゼンテーションを提供するか、本明細書の組成物を含む医薬または医薬製品の製造に役立つその他の賦形剤を含む、一つまたはそれ以上の製薬的に許容できる賦形剤を含む。担体および賦形剤の例は、当業者によく知られており、詳しくは、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004; Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000; and Rowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に記載されている。
いくつかの実施態様において、賦形剤の非限定的な例として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ガム、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Nos. 2208, 2906, 2910)、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、その他のでんぷん、プレゼラチン化でんぷん、その他のでんぷん、クレー、その他のアルギン類、その他のセルロース類、ガム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウレス酸エチル、寒天、シロイド系シリカゲル(AEROSIL200, manufactured by W.R. Grace Co. of Baltimore, MD)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co. of Plano, TXで販売)、CAB-O-SIL(Cabot Co. of Boston, MAで販売されている発熱性二酸化ケイ素製品)、着色料およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、既知の確立された慣行に従って、一つまたはそれ以上の製薬的に許容できる賦形剤とともに製剤化される。したがって、いくつかの実施態様において、組成物は、例えば、液体、粉末、エリキシル、注射可能な溶液、または懸濁液として製剤化される。
いくつかの実施態様において、経口使用のための製剤は、薬理学的に活性成分が不活性固体希釈剤と混合された、錠剤、カプレットまたはカプセルとして提供されてもよい。
いくつかの実施態様において、経口剤形は、固体経口剤形である。いくつかの実施態様において、固体経口剤形には、錠剤があり、いくつかの実施態様において、固体経口剤形には、カプセルがある。錠剤には造粒剤や崩壊剤が含まれ、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよい。
いくつかの実施態様において、局所使用のための製剤は、例えば、局所溶液、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、パッチ、粉末、固体、スポンジ、テープ、蒸気、ペーストまたはチンキとして提供されてもよい。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の適切な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最低用量である化合物の量である。このような有効量は、一般的に、本明細書に記載の因子に依存するか、または通常の当業者よって理解される。一般的に、患者に対する化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口、静脈内、皮下投与量は、1日あたり体重1kgあたり約0.005mg~約5mgの範囲である。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり体重1kgあたり約0.125mg~体重1kgあたり約2.5mgの範囲である。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり体重1kgあたり約0.25mg~体重1kgあたり約2.5mgの範囲である。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり体重1kgあたり約0.125mg~体重1kgあたり約1.125mgの範囲である。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約10mg~約300mgの範囲である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約20mg~約250mgの範囲である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約100mg~約300mgの範囲である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約10mg~約100mgの範囲である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約50mg~約75mgの範囲である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の経口投与量は、1日あたり約50mg~約200mgの範囲である。上記の投与量の範囲それぞれは、単回または多回の単位製剤として製剤化することができる。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、毎日投与する。いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、1日あたり約50mgまたは約75mgで投与する。
いくつかの実施態様において、本発明の方法により、単回経口投与後1~4時間および多回経口投与後2~4時間で、患者において化合物1またはその薬学的に許容できる塩の最大血漿濃度を達成する。いくつかの実施態様において、本発明の方法により、単回経口投与後1~4時間で、患者において化合物1またはその薬学的に許容できる塩の最大血漿濃度を達成する。いくつかの実施態様において、本発明の方法により、多回経口投与後2~4時間で、患者において化合物1またはその薬学的に許容される塩の最大血漿濃度を達成する。
いくつかの実施態様において、本発明の方法により、7日以内に患者において化合物1またはその薬学的に許容できる塩の定常状態の血漿濃度を達成する。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、29日間の処置期間中に毎日投与する。
いくつかの実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、本明細書に記載の疾患および障害を処置、予防、および/または管理するために、一つまたはそれ以上の第2の活性物質と組み合わせて使用され得る。
本明細書のいくつかの実施態様は、神経および精神疾患ならびに障害を処置する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を患者に投与することを含む方法を含む。いくつかの実施態様は、神経および精神疾患ならびに障害を予防または管理する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を患者に投与して、疾患を予防または管理する方法を含む。
米国精神医学会が2013年に発表した「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and 統計的な Manual of Mental Disorders)第5版」(以下、「DSM-5」)は、様々な病気や障害の診断を行う際に、熟練者が拠り所とする標準的な診断システムを提供している。
本明細書で使用される用語「気分障害」には、うつ病、大うつ病、大鬱病性障害、軽度のうつ病、精神病を伴わない重度のうつ病、精神病を伴う重度のうつ病、メランコリー(旧内因性うつ病)、非定型うつ病、気分変調性障害、躁うつ病、双極性障害、双極性うつ病、双極性I型障害、双極性II型障害、双極性III型障害、気分循環性障害、および慢性軽躁病が含まれる。
精神障害は、認知、感情、気分、または行動の最も統合的な側面の異常をもたらす識別可能な症状を特徴とする脳の病態である。これらの障害は、症状の重症度、期間および機能障害が異なる場合がある。精神疾患は、世界中で何百万人もの人々を苦しめ、多大な人的被害と生産性の低下による経済的負担をもたらしている。気分障害は、精神疾患の一種であり、広汎な気分障害、精神運動機能障害、自律神経症状を特徴とする、単極性(うつ病)および双極性(躁うつ病)を含む、異質で典型的に再発する疾患群と定義される。気分障害患者の最も重篤な合併症である自殺は、未処置の気分障害患者の15~25%の死因となっており、うつ病が認識されていなかったり、処置が不十分であったりすると、完成した自殺の50~70%に関与している。
いくつかの実施態様において、神経障害は、うつ病(例えば、大鬱病性障害または気分変調症);双極性障害、季節性情動障害;認知障害;線維筋痛症; 疼痛(例えば、神経障害性疼痛); 睡眠関連障害(例えば、睡眠時無呼吸、不眠症、ナルコレプシー、脱力発作)(精神精神状態によって生じる睡眠障害を含む);慢性疲労症候群;注意欠如障害(ADD);注意欠陥多動性障害(ADHD);レストレスレッグ症候群;統合失調症;不安(例えば、全般性不安障害、社会性不安障害、パニック障害);強迫性障害;外傷後ストレス障害;季節性情動障害(SAD);月経前不快気分;閉経後の血管運動症状(例えば、ほてり、寝汗);神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病および筋萎縮性側索硬化症);躁病;気分変調性障害;気分循環性障害;肥満;および物質濫用または依存状態(例えば、コカイン中毒、ニコチン中毒)である。別の実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、精神病やうつ病などの共存する二つまたはそれ以上の状態/障害を処置、予防および/または管理するのに有用である。
神経障害にはまた、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、認知、記憶喪失、健忘症/健忘性症候群、てんかん、意識障害、昏睡、注意力低下、言語障害、レノックス症候群、自閉症および運動過多症候群などの大脳機能障害も含まれるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施態様において、本明細書の方法により処置する疾患または障害は、
気分障害、双極性障害(BPD)、双極性うつ病、睡眠障害、REM行動障害、精神病障害、激越および/または精神病を伴うアルツハイマー病、パーキンソン病精神病、統合失調症、減弱精神病症候群、前駆統合失調症および統合失調性感情障害の一つまたはそれ以上を含む。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、気分障害、双極性障害(BPD)、双極性うつ病、睡眠障害、REM行動障害、精神病障害、激越および/または精神病を伴うアルツハイマー病、パーキンソン病精神病、統合失調症、減弱精神病症候群、前駆統合失調症および統合失調性感情障害の一つまたはそれ以上である。
いくつかの実施形態では、神経もしくは精神医学的疾患または障害は、統合失調症(偏執性、無秩序、緊張性または未分化性)、統合失調症障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、精神感情障害(psychoaffective disorder)、攻撃性、精神錯乱、パーキンソン精神病、興奮性精神病、一般的な医学的状態による精神病性障害、物質誘発性または薬物誘発性(例えば、フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)精神病障害、情動障害に関連する精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病を含む精神病、「統合失調症-スペクトラム」障害、例えば統合失調質または統合失調症性パーソナリティー障害、または統合失調症および他の精神病の陽性症状、陰性症状両方および認知症状含む精神病に関連する病気(大うつ病、躁うつ病(双極性)障害、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群);急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、限局性恐怖症、全般性けん光状態に起因する物質誘発不安障害および不安を含む不安障害;物質関連障害および嗜癖行動(物質誘発精神錯乱、持続性認知症、持続性健忘性障害、精神病性障害または不安障害を含む;アルコール、アンフェタミン、***、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬または抗不安薬を含む物質からの耐容性、依存または離脱);および激越および/または精神病を伴うアルツハイマー病。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、単極性うつ病、季節性うつ病、産後うつ病、非定型うつ病、緊張性うつ病、高齢者うつ病、内因性うつ病、メランコリー型うつ病、周産期うつ病、状況依存型うつ病、慢性うつ病、双極性うつ病、大鬱病性障害(MDD)、混合性特徴を有する大鬱病性障害(MDD-MF)、治療抵抗性うつ病(TRD)および気分変調症を含むが、これらに限定されないうつ病性障害から選択され、これらは、憂鬱な気分(悲しみ)、集中力不足、不眠症、疲労、食欲障害、過度の罪悪感および自殺の考え、月経前緊張症(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、全般性健康状態に起因する気分障害および物質誘発気分障害に関連する。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、双極性うつ病、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質/医薬-誘発双極性および関連障害、別の健康状態に起因する双極性および関連障害、別の特定の双極性および関連障害、および特定不能の双極性および関連障害を含むがこれらに限定されない双極性障害から選択される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は肥満、神経性過食症、異食症および強迫性摂食障害などの摂食障害を含むが、これらに限定されない摂食障害から選択される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、不眠症、睡眠妨害(disturbed sleep)、ジェットラグ、過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸、閉塞性 睡眠時無呼吸、レム睡眠行動障害、レストレスレッグ症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠障害、睡眠相後退障害、夢遊病、夜驚症、夜尿症、レム睡眠行動障害(rapid eye movement sleep behavior disorder)、交代勤務睡眠障害、日中の過剰な眠気、非24時間睡眠・覚醒障害、覚醒発作およびナルコレプシーを含むが、これらに限定されない睡眠障害から選択される。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、双極性障害である。(双極性I型および双極性II型両方を含む)双極性障害、罹患率が人口の約2%である重篤な精神疾患で、男女を問わずに影響を与える。高揚した(すなわち、躁病)気分と憂鬱な気分の間の循環を特徴とする再発寛解状態であり、大鬱病性障害および統合失調症などの他の障害とは区別される。
双極性I型は、完全な躁病エピソードの発生によって定義されるが、ほとんどの人は有意なうつ病を経験する。躁病の症状には、気分の高揚や過敏、多動、誇大感(grandiosity)、睡眠の必要性の減少、観念奔放(racing thought)、場合によっては精神病がある。うつ病性エピソードは、無快感症、悲しい気分、絶望感、低い自尊心、集中力減退(diminished concentration)および無気力を特徴とする。双極性II型は、大うつ病エピソードと軽躁(重度ではない躁病)エピソードの発生によって定義されるが、患者はうつ病の状態にいる時間がかなり長い。他の関連する状態には、気分循環性障害がある。
双極性II型障害では、うつ病性エピソードと軽躁病(通常1週間未満の比較的軽度で非精神病性期間)が交互に起こる。軽躁期間中、気分が明るくなり、睡眠の必要性が減少し、精神運動が患者の通常のレベルを超えて加速する。多くの場合、この切り替えは概日因子によって誘発される(例えば、憂鬱な気分で就寝し、軽躁状態で早朝に目覚める)。過眠症と過食は特徴的で、季節的に(例えば、秋や冬に)繰り返すことがあり、不眠症と食欲不振はうつ病性段階に起こる。一部の人にとっては、軽躁の期間は、高いエネルギー、自信および超常的な社会的機能と関連しているため、適応的である。多くの患者は、通常、うつ病の終わりに気分の心地よい高揚を経験するが、特に質問されない限り、それを報告しない。
大うつ病性エピソード、および(非公式には双極性III型と称される)双極性障害の家族歴を有する患者は、しばしば微妙な軽躁傾向を示し、そのような気質は、ハイパーサイミック(hyperthymic)(すなわち、意欲的、野心的および達成志向)と称される。
気分循環性障害では、それほど重度ではない軽躁や小うつ病性期間が不規則な経過をたどり、それぞれの期間が数日続く。気分循環性障害は、一般的には双極性II型障害の前兆である。しかし、主要な気分障害よって複雑化することなく、極度の不機嫌として起こることもある。そのような場合、低い自信と睡眠の増加を伴う遅延性うつ病の短いサイクルは、高揚または熱意の増加と睡眠の短縮と交互になる。別の形態では、低悪性度のうつ病性が主であり、双極性傾向は、主に抗うつ剤によって高揚感または過敏がどれほど簡単に誘発されるかによって示される。慢性軽躁病では、臨床的にめったに見られない形態で、高揚した期間が主であり、睡眠が6時間未満に習慣的に減少する。このタイプの人は、常に陽気すぎで、自信があり、エネルギッシュすぎで、計画性に富み、無思慮な、過度に関与、おせっかいであり、落ち着かない衝動に駆られて、人に声をかけてしまう。
したがって、いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、他の特定の双極性および関連障害、または特定不能の双極性および関連障害、および不安な苦悩の指定子(specifiers of anxious distress)、混合性特徴、急速な循環、メランコリー型特徴、非定型特徴、気分に一致する精神病性特徴、気分に一致しない精神病性特徴、緊張病、周産期発症、および/または季節性パターンを伴う双極性I型障害または双極性II型障害の一つまたはそれ以上である。Huらによる最近の論文[Prim Care Companion CNS Disord. 2014; 16(2): PCC.13r01599]では、双極性障害はプライマリーケアの現場でよく遭遇するものの、誤診や未診断が多いことが強調されている。DSM-5は、混合指定子を含めて、亜症候群性の混合症状を有する患者の大部分を捕捉しようとする。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、うつ病性障害である。うつ病性障害には、単極性うつ病、季節性うつ病、産後うつ病、非定型うつ病、緊張性うつ病、高齢者うつ病、内因性うつ病、メランコリー型うつ病、周産期うつ病、状況依存型うつ病、慢性うつ病、双極性うつ病、大鬱病性障害(MDD)、混合性特徴を有する大鬱病性障害(MDD-MF)、治療抵抗性うつ病(TRD)、および気分変調症があるが、これらに限定されなく、これらは、憂鬱な気分(悲しみ)、集中力不足、不眠症、疲労、食欲障害、過度の罪悪感および自殺の考え、月経前緊張症(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、全般性健康状態に起因する気分障害、および物質誘発気分障害に関連する。
うつ病は情動障害であり、その病因は単一の原因や理論では説明できない。残念ながら、抗うつ剤でお治療に対する臨床反応が最適以下の憂鬱患者の処置選択肢は限られている。抗うつ剤での治療を開始した患者の約30%は、うつ病の処置に一般的に使用されている第一選択の抗うつ剤に対する臨床反応が最適以下であるか、遅延されている。
一般的に、患者が抗うつ剤による数週間の治療後に最適以下であるか、遅れた臨床反応を示した場合、臨床家の最初のアプローチは抗うつ剤の用量を増やすことである。投与量を増やした後も患者の反応が十分でない場合、多くの臨床家が行う最も一般的なアプローチは、a)別の抗うつ剤に変更する、b)2種類目の抗うつ剤を追加する、c)炭酸リチウム、甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン)、精神刺激薬、モダフィニル、非定型抗精神病薬、ブスピロンまたはピンドロリンなどの薬剤を投与することによって増強療法を試みることである。
臨床的うつ病は、その完全な症候学的表現において、大うつ病性障害として現れ、エピソードの経過およびエピソード間でのさまざまな程度の残存症状を伴う。気分は、典型的には、憂鬱、過敏、および/または不安である。患者は、しわが寄った眉、下向きの口角、落ち込んだ姿勢、アイコンタクトの悪さ、および単音節の(または欠如した)発話で、惨めに見えることがある。病的な気分は、罪悪感へのとらわれ、自己否定的な考え、集中力の低下、優柔不断、通常の活動への関心の低下、社会的引きこもり、無力感、絶望感、死や自殺の繰り返しの考えを伴うことがある。睡眠障害は一般的である。一部の人では、涙が枯れるほど病的な気分が深すぎて、悲しみ、喜びおよび楽しみなどの通常の感情を経験することができず、世界が無色、無生命、死んだように感じられると訴える。
メランコリア(以前の内因性うつ病)は、顕著な精神運動(思考および活動)の鈍化または激越(例えば、情動不安、手を握り締めること、スピーチの精神的負荷)、体重減少、不合理な罪悪感、および喜びを経験する能力の喪失を特徴とする。メランコリー型患者の多くは、入眠困難、複数回の覚醒、夜中や早朝における不眠症を訴える。***はしばしば減退または喪失している。無月経が発生することもある。摂食障害や体重減少により、やつれ、電解質バランスの二次的な乱れが生じることがある。
非定型うつ病では、逆植物性の特徴が臨床症状支配しており、不安恐怖症の症状、夕方の悪化、初期の不眠症、しばしば日中に及ぶ過眠症、体重増加を伴う過食症などがある。メランコリーとは異なり、非定型うつ病患者は、前向きな出来事があると気分が明るくなるが、わずかな逆境では麻痺するようなうつ病に激突ことが多い。非定型うつ病と双極性II型障害とは、かなり重複している。
気分変調性障害障害では、うつ病性症状は一般的に、小児期または青年期に知らない間に始まり、何年または何十年にわたって断続的または低悪性度の経過をたどり、大うつ病性エピソードがそれを悪化させることがある(二重うつ病)。純粋な気分変調症では、うつ病性症状は閾値下レベルで発生し、以下のうつ病性気質の症状とかなり重なる:習慣的に暗い、悲観的、ユーモアがないまたは楽しいことができない;消極的で無気力;内向的、懐疑的、酷評的または不平不満が多い;自己批判的、自己反省的および自己嫌悪的;および不完全さ、失敗および否定的な出来事にとらわれること。
多くのうつ病患者を徹底的に評価すると、双極性の特徴が明らかになり、うつ病性障害の患者の5人に1人は、率直な軽躁病または躁病も発症している。単極性障害から双極性障害への切り替えは、ほとんどの場合、うつ病性兆候が発症してから5年以内に起こる。切り換えの予測としては、うつ病の早期発症(25歳未満)、産後うつ病、頻繁なうつ病エピソード、身体上の処置(例えば、抗うつ剤、光線療法、睡眠遮断、電気痙攣療法)で気分がすぐに明るくなること、3世代連続の気分障害の家族歴がが挙げられる。
双極性障害の患者は、エピソード間において、うつ病性不機嫌、時には高エネルギーの活動を示し、双極性うつ病における発展および社会的機能の障害は、単極性障害よりも一般的である。双極性障害では、単極性障害に比べて、うつ病エピソードが(3~6ヵ月)短く、発症年齢が若く、エピソードの発症がより急激で、周期(一つのエピソードが発症してから次のエピソードが発症するまでの時間)が短い。周期性は、双極性障害の急速な循環形態(通常、≧4回のエピソード/年と定義される)で特に強調される。また、双極性障害におけるうつ病性エピソードは、BPDの中でも処置が難しい部分である。たとえば、精神科医は、すべての双極性障害の患者の約25%が躁病エピソード中に難治性であるのに対し、約70%がうつ病性エピソード中に難治性であることを示している。
したがって、いくつかの実施態様において、神経もしくは精神医学的疾患または障害は、双極性うつ病、大鬱病性障害(MDD)、持続性うつ病性障害(気分変調症)、月経前不快気分障害(PMDD)、混合性特徴を有する大鬱病性障害(MDD-MF)、別の健康状態に起因するうつ病性障害、他の特定のうつ病性障害、特定不能のうつ病性障害または治療抵抗性うつ病(TRD)、および不安な苦悩の仕様指定子、混合性特徴、メランコリック型特徴、非定型特徴、気分に一致する精神病性特徴、気分に一致しない精神病性特徴、緊張病、周産期発症、および/または季節性パターンを有するMDD、および季節性感情障害の一つまたはそれ以上である。
TRDは、少なくとも二つの抗うつ剤の適切な経過に適切に反応しない大鬱病性障害(MDD)の症例を説明するために臨床精神科で使用される用語であることを理解すべきである。
いくつかの実施態様において、うつ病性障害が急性の自殺傾向または希死念慮と関連している。米国食品医薬品局は、抗うつ剤がMDDなどのうつ病性障害を有する一部の子供、***の人および若年成人(24歳まで)の自殺念慮および行動のリスクを高める可能性があることを示す「ブラックボックス」ラベル警告を採用している。いくつかの実施態様において、本明細書の組成物および方法は、例えば、MDDを伴ううつ病性障害を有する児童、***の人および/または若年成人における自殺念慮および/または行動のリスクを増加させない。いくつかの実施態様において、本明細書は、自殺念慮および/または行動のリスクを増加させることなく、児童、***の人および/または若年成人におけるうつ病性障害(例えば、MDD)の一つまたはそれ以上の症状を処置するための医薬を提供し、またその方法を提供するものである。
いくつかの実施形態において、神経もしくは精神疾患または障害は統合失調症である。統合失調症は原因不明の障害であり、これは、通常は成人初期に初めて現れ、精神病症状、段階的進行と発展、および/または社会的行動と専門的能力の低下などを特徴とする。特徴的な精神病性症状は、思考内容の障害(例えば、複数、断片的、一貫性のない、信じがたいもしくは単に妄想的な内容、または被害念慮)および精神性障害(例えば、連想の喪失、想像力の飛躍、理解不能までの思考散乱)、ならびに知覚性障害(例えば、幻覚)、感情(例えば、表面的または不十分な感情)、自己認識、意図、衝動および/または人間間の関係および精神病性障害(例えば、緊張病)である。他の症状もこの障害に関連している。統合失調症はサブグループに分類される:妄想や幻覚を特徴とし、思考障害や無秩序な行動および感情の平板化が存在しない偏執症型;思考障害と感情の平板化がともに存在する、「***型統合失調症」とも称される無秩序型;顕著な精神運動障害が明らかで、症状には、緊張性昏迷やろう屈症がある緊張性型;および精神病性症状は存在するが、偏執症型、無秩序型または緊張性型の規準に満たさない未分化型。統合失調症の症状は通常、陽性、陰性、認知症状の3つの大きなカテゴリーに現れる。陽性症状は、幻覚や妄想などの通常の経験の「過剰」を表す症状である。陰性症状は、患者が無快感症や社会的相互作用の欠如などの通常の経験の欠如に苦しんでいる症状である。認知症状は、持続的な注意力の欠如や意思決定の欠如など、精神***病における認知機能障害に関連している。
したがって、いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、統合失調型(人格)障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症障害、統合失調症、統合失調性感情障害、物質/医薬-誘発精神病性障害、別の健康状態に起因する精神病性障害、他の特定の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害、特定不能の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害の一つまたはそれ以上である。
統合失調性感情障害は、統合失調症と、例えば大鬱病性障害や双極性障害などの気分障害の両方の態様を含む状態を含むことを理解すべきである。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は不安障害である。不安障害は、恐怖、心配および懸念を特徴とし、通常、状況に対する過剰反応として一般化され、焦点が絞られていない。不安障害は、恐怖、不安または回避行動を誘発する状況や対象の種類、それに伴う認知的観念が異なる。不安と恐怖の違いは、不安が認識された将来の脅威に対する感情的な反応であるのに対し、恐怖は認識された、または現在の脅威関連することである。また、関連する思考や信念の内容も異なる。不安障害の例としては、分離不安障害、選択的無言症、限局性恐怖症、社会的不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作特定用語(panic attack specifier)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬誘発性不安障害、別の健康状態に起因する不安障害、病気不安障害、社会的(実際的)コミュニケーション障害、他の特定の不安障害、および特定不能の不安障害、ならびに反応性アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害および適応障害を含む緊張関連障害が挙げられる。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は、不眠症、睡眠妨害、ジェットラグ、過眠症、脱力発作、睡眠関連障害(例えば、睡眠時無呼吸、不眠症、ナルコレプシー、脱力発作)、閉塞性睡眠時無呼吸、レム睡眠行動障害、レストレスレッグ症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠障害、睡眠相後退障害、夢遊病、夜驚症、夜尿症、レム睡眠行動障害、交代勤務睡眠障害、日中の過剰な眠気、非24時間睡眠・覚醒障害、覚醒発作およびナルコレプシーを含むが、これらに限定されない、精神状態によって生じる睡眠障害を含む睡眠障害である。
いくつかの実施態様において、神経もしくは精神疾患または障害は社会的機能障害である。いくつかの実施態様において、社会的機能障害は、神経発達障害、強迫性障害または破壊的、衝動制御および行為障害である。いくつかの実施態様において、社会的機能障害は、言語障害、会話音声障害、小児期発症流ちょう症(吃音)、社会的コミュニケーション障害、発達性協調障害、常同性運動障害(stereotypic movement disorder)、チック障害、トゥレット障害、持続性(慢性)運動性障害または音声チック障害、暫定的チック症、別の特定のチック障害、特定不能のチック障害、強迫性障害または衝動制御障害である。いくつかの実施態様において、社会的機能障害は、言語障害、会話音声障害、小児期発症流ちょう症(吃音)、社会的コミュニケーション障害、発達性協調障害、常同性運動障害、チック障害、トゥレット障害、持続性(慢性)運動性障害または音声チック障害、暫定的チック症、別の特定のチック障害または特定不能のチック障害である。いくつかの実施態様において、社会的機能障害は、言語障害、会話音声障害、小児期発症流ちょう症(吃音)または社会的コミュニケーション障害である。いくつかの実施態様において、社会的機能障害は、言語障害、小児期発症流ちょう症(吃音)、社会的コミュニケーション障害、発達性協調障害、常同性運動障害、持続性(慢性)運動性障害または音声チック障害、暫定的チック症、他の特定のチック障害または特定不能のチック障害である。
実施例1:4週間の臨床試験
4週間の無作為化プラシーボ対照試験中、化合物1をヒト患者において評価し、統合失調症の処置におけるその有効性および安全性を研究した。18歳から40歳までの入院患者で、統合失調症のDSM-5の基準を満たし、精神病性症状の急性増悪(PANSS総スコア≧80;概念の統合障害(conceptual disorganization)、異常な思考内容のうち二つまたはそれ以上の項目のスコア≧4)を経験している場合に適格であった。化合物1塩酸塩を1日1回(50mgまたは75mgの用量)経口投与する4週間の可変用量処置を、患者に無作為化、二重盲検で行った。有効性の主要エンドポイントは、陽性・陰性症状尺度(PANSS)総スコアのベースラインから4週目までの変化であった。有効性の副次的エンドポイントには、臨床的総合印象尺度-重症度(CGI-S)スコア、PANSS下位尺度スコア、簡易陰性症状尺度(BNSS)総スコアおよびMontgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)総スコアのベースラインから4週目までの変化があった。主要な有効性測定および副次的有効性測定のベースラインからの変化は、反復測定による混合モデル(Mixed Model for Repeated Measurement、MMRM)分析を用いて分析した。
研究設計:患者はまず、最大14日間のスクリーニング/ウォッシュアウト期間を受けた。 患者をプラシーボ群と処置群に無作為に割り付けた。処置群には、化合物1を50mg/日で3日間投与し、その後、4~29日目に化合物1を50mg/日または75mg/日の可変用量で投与した。プラシーボ群には、29日間プラシーボを投与した。
主な参加基準:
・18~40歳の男性および女性
・統合失調症の初回診断からの時間≧6ヶ月
・現在の精神病性症状の急性増悪からの期間≦2ヵ月
・統合失調症の急性増悪の処置のための過去の入院≦2
・スクリーニングおよびベースラインのPANSS総合スコア≧80、かつ、妄想(P1)、概念の統合障害(P2)、幻覚様行動(P3)、異常な思考内容(G9)のうち二つまたはそれ以上でPANSS項目スコア≧4
・スクリーニングおよびベースラインのCGI-Sスコア≧4
試験エンドポイント:
・主要 エンドポイント:
〇4週目のPANSS総スコアのベースラインからの変化
・副次的エンドポイント:
〇4週目のCGI-Sスコアのベースラインからの変化
〇4週目のPANSS下位尺度スコアのベースラインからの変化
〇4週目のBNSS総スコアのベースラインからの変化
〇4週目のMADRS総スコアのベースラインからの変化
〇有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、および試験中止に至った有害事象の発生率
統計的分析方法:反復測定による混合効果モデル(MMRM)を使用した。PANSS総スコアのベースラインからの変化は、処置と訪問との相互作用、ベースラインのPANSSトータルスコアおよびプール化センターをカテゴリー変数として、処置、訪問(4日目、1~4週目)の一定効果で、MMRMモデルを用いて分析した。センターは国別にプール化した。対象内の相関関係のモデル化には、非構造化共分散行列を使用した。副次的エンドポイントの分析にもMMRMを使用した。
ベースラインの特徴:ベースライン対象の特徴を表1に示す。
Figure 2022511509000008
結果:この無作為化、プラシーボ対照、4週間の試験において、化合物1は、50mgまたは75mg/日の可変用量で、急性増悪を経験した統合失調症患者において、統計的に有意で臨床的に意味のある症状の改善を示した。化合物1は、陽性症状、陰性症状、うつ病性症状および一般的な精神病理症状の範囲にわたって、強力で幅広い活性を示した。陰性症状の改善は特に顕著であり、簡易陰性症状尺度のエフェクトサイズは0.48であった。この4週間の試験において、化合物1の忍容性および安全性プロファイルは、プラシーボと同様であるように見えた。
有効性:
図1は、4週間の試験中の患者のPANSS総スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-9.7であったのに対し、処置群は-17.2であり、これは0.45のエフェクトサイズに相当する。
図2は、4週間の試験中の患者のPANSS陽性下位尺度スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-3.9であったのに対し、処置群は-5.5であり、これは0.32のエフェクトサイズに相当する。
図3は、4週間の試験中の患者のPANSS陰性下位尺度スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-1.6であったのに対し、処置群は-3.1であり、これは0.37のエフェクトサイズに相当する。
図4は、4週間の試験中の患者のPANSS一般的な精神病理下位尺度スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-4.7であったのに対し、処置群は-9.0であり、これは0.51のエフェクトサイズに相当する。
図5は、4週間の試験中の患者のCGI-Sスコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-0.5であったのに対し、処置群は-1.0であり、これは0.52のエフェクトサイズに相当する。
図6は、4週間の試験中の患者のBNSS総スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-2.7であったのに対し、処置群は-7.1であり、これは0.48のエフェクトサイズに相当する。
図7は、4週間の試験中の患者のMADRS総スコアのベースラインからの変化を示す。4週目のベースラインからの変化の最小二乗平均値は、プラシーボが-1.6であったのに対し、処置群は-3.3であり、これは0.32のエフェクトサイズに相当する。
有害事象:
患者の有害事象をモニターした。有害事象とは、試験薬の初回投与と同時またはその後に始まった都合悪い医学的出来事である。処置群での有害事象の発生率は非常に低かった。すべての種類の有害事象において、処置群の発生率はプラシーボと同様であった。特定の有害事象については、処置群の発生率はプラシーボよりも低かった。有害事象の発生率は、D2ドーパミン受容体に対する親和性を有する非定型抗精神病薬を含む、市販の抗精神病薬と比較して良好であった。
表2は、処置群またはプラシーボ群のいずれかの患者の2%以上に発生した一般的な有害事象の発生率をまとめたものである。頭痛、不眠症、統合失調症の急性増悪および不安sそれぞれの発生率は、処置群の方がプラシーボ群よりも低かった。
Figure 2022511509000009
錐体外路 有害事象の発生率を表3にまとめた。処置群における錐体外路有害事象の発生率は、プラシーボとほとんど同じであった。
Figure 2022511509000010
心血管有害事象の発生率を表4にまとめた。心血管有害事象の発生率は、処置群ではプラシーボと同様であった。心血管系有害事象の総発生率は、プラシーボの4.0%に対し、処置群では4.2%であった。
Figure 2022511509000011
重篤な有害事象の発生率を表5にまとめた。処置群の重篤な有害事象の発生率はプラシーボよりも低かった。
Figure 2022511509000012
試験中止に至った有害事象の発生率を表6にまとめた。このような有害事象の発生率は、処置群とプラシーボ群との間で同様であった。
Figure 2022511509000013
図8は、4週目のプロラクチンレベルのベースラインからの変化の中央値を示す。処置群では、平均してプロラクチンの減少を経験した。4週目のベースラインからのプロラクチンの変化を表7にまとめた。化合物1のプロラクチンに対する臨床的に有意な影響はなかった。
Figure 2022511509000014
起立性低血圧および起立性頻脈の発生率を表8にまとめた。起立性低血圧とは、対象
が少なくとも2~4分間起立した後に、仰臥位で測定した収縮期血圧および拡張期血圧と比較して、それぞれ収縮期血圧が20mmHg以上低下、または拡張期血圧が10mmHg以上低下したことに定義される。起立性頻脈とは、仰臥位で測定した心拍数と比較して、対象が少なくとも2~4分間立っていた後に、心拍数が1分間に20回(bpm)以上増加し、かつ心拍数が100回超えることに定義される。処置群における起立性低血圧および起立性頻脈の発生率はプラシーボと同様であり、処置群における起立性低血圧の発生率はプラシーボより低かった。
Figure 2022511509000015
QTcF間隔で測定したQT延長の発生率を表9にまとめた。患者データは心電図(ECG)を介して収集した。QTc値が以下のカテゴリーに分類される対象の数と百分率を特定した。QTcFとQTcBの両方に同じ基準を適用する。
ベースラインに存在しなく、ベースライン後のいずれかの時点(予定外の訪問を含む)で450msecを超える
ベースラインに存在しなく、ベースライン後のいずれかの時点(予定外の訪問を含む)で480msecを超える
ベースラインに存在しなく、ベースライン後のいずれかの時点(予定外の訪問を含む)で500msecを超える
ベースライン後の少なくとも一回の測定(予定外の来院を含む)においてベースラインから30msec秒以上増加、およびベースライン後のすべての測定(予定外の訪問を含む)においてベースラインから60msec未満増加
ベースライン後の少なくとも1回の測定(予定外の訪問を含む)において、ベースラインから60msec以上増加
処置群とプラシーボ群の両方で、QT延長の発生はなかった。
Figure 2022511509000016
表10は、バーンズアカシジア評価尺度(BARS)、異常不随意運動尺度(AIMS)およびシンプソンアンガ尺度(SAS)によって測定された錐体外路症状をまとめたものです。
Figure 2022511509000017
したがって、本明細書の様々な方法では、有害事象の発生率が低く、例えば、プラシーボよりも低い、プラシーボと同じ、またはプラシーボとほとんど同じ、またはプラシーボと同様の有害事象が発生する。これは、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有し、有害事象の発生率がより高い定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬の多くとは対照的である。
実施例2:26週間の拡張試験
実施例1の処置段階を終えた統合失調症対象に、26週間の非盲検継続投与試験を行った。エントリー基準を満たした患者は、実施例1の試験から拡張試験に直ちに移行した。合計157名の患者がこの拡張試験に参加した。患者に、拡張試験の1~3日目に化合物1塩酸塩(表中では「化合物1」と表記)を50mg/日で1日1回経口投与し、その後、残りの26週間は25mg/日、50mg/日、75mg/日のいずれかの可変用量で投与した。
安全性と忍容性は、試験期間中、健康診断結果、心電図、バイタルサイン、AE、臨床検査値(clinical laboratory parameter)、C-SSRS、体重、BMIを収集することでモニターした。有効性は、PANSS総スコアおよびPANSS下位尺度スコア、ならびにCGI-S、BNSSおよびMADRSのスコアを用いて評価した。対象は、質問票を介して主観的な薬物効果に関する情報を提供した。
主要エンドポイントは、全体的なAE、SAE、および中止に至ったAEの発生率であった。副次的エンドポイントには、
・実施例1の臨床検査(血液検査、血清化学検査、尿検査、グルコース・脂質パネル、プロラクチン、グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c))における絶対値、およびベースラインからの変化;
・実施例1の臨床評価(バイタルサイン、体重、BMI、血圧[臥位・立位]、心拍数[臥位・立位]、12誘導心電図)における絶対値、およびDBベースラインからの変化;および
・実施例1のPANSS総スコア、PANSS下位尺度スコア(陽性、陰性、および一般的な精神病理)、CGI-Sスコア、BNSS総スコア、およびMADRS総スコアにおけるDBベースラインからの変化(表1を参照のこと)、が含まれていた。
結果:
105名の対象(66.9%)が26週間の試験を完了し、52名の対象(33.1%)は、有害事象(18;11.5%)、対象による離脱(16;10.2%)、その他(9;5.7%)、有効性の欠如(8;5.1%)、コンプライアンス違反(1;0.6%)により中止した。
26週間の拡張試験の過程で、有効性の評価を記録した。
図9は、拡張試験中のPANSS総スコアを、参考のために示した実施例1の試験のPANSS総スコアデータとともに示すものである。
図10は、拡張試験中のPANSS陽性下位尺度スコアを、参考のために示した実施例1の試験のPANSS陽性下位尺度スコアデータとともに示すものである。
図11は、拡張試験中のPANSS陰性下位尺度スコアを、参考のために示した実施例1の試験のPANSS陰性下位尺度スコアデータとともに示すものである。
図12は、拡張試験中のPANSSの一般的な精神病理下位尺度スコアを、参考のために示した実施例1の試験のPANSSの一般的な精神病理下位尺度スコアデータとともに示すものである。
図13は、拡張試験中のCGI-Sスコアを、参考のために示した実施例1の試験のCGI-Sスコアデータとともに示すものである。
図14は、拡張試験中のBNSS総スコアを、参考のために示した実施例1の試験のBNSS総スコアデータとともに示すものである。
図15は、拡張試験中のMADRS総スコアを、参考のために示した実施例1の試験のMADRS総スコアデータとともに示すものである。
拡張試験中に有害事象をモニターし、記録した。有害事象の発生率は、(i)過去にプラシーボを投与され、拡張試験中に初めて積極的処置を受けた対処、および(ii)実施例1の試験から拡張試験まで継続して積極的処置を受け続けた対象のいずれにおいても低いままであった。表11~16は、拡張試験中に経験した有害事象を示している。
Figure 2022511509000018
Figure 2022511509000019
Figure 2022511509000020
26週目のプロラクチンレベルのベースラインからの変化を図16に示す。
Figure 2022511509000021
Figure 2022511509000022
Figure 2022511509000023
図20Aは、拡張試験におけるすべての中止原因までの時間を示している。図20Bは、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、ペルフェナジンおよびクエチアピンなど、いくつかの他の薬物について中止までの時間を示している。
試験期間中に追加の臨床検査を実施した。26週目の体重およびBMIの非盲検ベースライン(すなわち、拡張試験開始時)からの変化は、図17AおよびBに示している。脂質測定(総コレステロール、トリグリセリド、HDL、LDL)の非盲検ベースラインからの変化は、図18A-Dに示している。血糖測定(グルコース、HbA1c)の非盲検ベースラインからの変化は、図19のA、Bに示している。
機能的な改善は、パフォーマンスベースの技術評価であるUPSA-Bスコアによっても測定した。化合物1は、26週間の期間中、対象のUPSA-B総スコアを平均約76から平均約84に改善した(エフェクトサイズ0.66)。
全体としては、本拡張試験では、高い成功率、統合失調症の症状の継続的な改善(すなわち、有効性スコアの向上)、EPS関連、プロラクチン関連、心血管関連の有害事象の発生率が極めて低いこと、体重、脂質、血糖測定の変化が少ないことを証明した。
実施例3:抗精神病薬全体でのクラス・エフェクト有害事象
抗精神病薬クラスの医薬化合物は、部分的に、統合失調症、双極性障害およびうつ病患者集団の処置におけるそれらの使用に関連する特定の有害事象リスクを特徴とする。医薬品規制用語集(MedDRA)は、有害事象を含む、健康状態、医薬品および医療機器に関連する国際的に使用されている一連の用語である。MedDRAの用語の標準化(優先使用語)を使用して、FDAの実世界の有害事象報告データベース(FAERS)への報告に基づいて、抗精神病薬クラスに関連する有害事象の優先使用語のリストを作成した。特に、最近FDAに承認された11種類の抗精神病薬(アリピプラゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドン)に関連する優先使用語を特定するために、FAERSを使用した。優先使用語は、さまざまな医療システムや臓器の症状を対象としている。Empiricaシグナルサーバーに展開された2018年第2四半期のデータを用いて、合計9,500件以上の有害事象記録を作成した。
11種類の抗精神病薬のプールの有害事象の優先使用語は、計算された経験的ベイズ幾何平均(EBGM)を用いて相対リスクによってランク付けた。統合失調症または双極性障害の臨床試験で使用されている精神症状評価尺度(例えば、PANSS、MADRS)の個々の項目に対応するような、統合失調症および/または双極性障害の個々の症状に対応する優先使用語を選択し、疾患関連としてフラッグし、医薬の副作用としては分析しなかった。あるの薬物のEBGM値が高いほど、他のすべての薬物および他のすべての優先使用語/有害事象と比較して、優先使用語/有害事象とその薬物との間の統計的な関連性が高い。ここでは、EBGM値による等級序列を作成し、抗精神病薬(11種類の抗精神病薬の全体的なプールとして計算)の効果を説明する優先使用語/有害事象を列挙する。したがって、処置を受けた患者集団の臨床的に有意な部分に、高順位の中で優先使用語(例えば、閾値以上のEGBM値を優先使用語)を有する有害事象を引き起こす化合物は、抗精神病薬のクラスと同様の有害事象プロファイルを有すると考えることができる。
一例として、11種類の抗精神病薬のプールに関連する優先使用語を以下の表17に示す。これらの例示されている優先使用語に一致する有害事象を有する患者集団の臨床的に有意な部分を示す化合物は、抗精神病薬のクラスと同様の有害事象プロファイルを有すると考えることができる。
Figure 2022511509000024
Figure 2022511509000025
11種類の抗精神病薬プールの有害事象に関する9,500以上の優先使用語を用いて、例1(4週間の試験)の臨床試験データを照会した。化合物1の好ましい用語のEBGMによるランキングを表18に示す。化合物1は、実世界のの有害事象報告データベース(例えば、クラス関連有害事象)における最大の相対リスクの優先使用語で定義される、現在の抗精神病薬のクラスに関連する有害事象(例えば、高プロラクチン血症、血中プロラクチン異常、血中プロラクチン増加、乳汁漏出症、歯車様硬直、肥満、メタボリック症候群)の発生が臨床的に有意でないことを示した。また、化合物1と比較対象としてプラシーボを投与された対象に観察された優先使用語は、同様の有害事象の発生を示した。従って、化合物1は、抗精神病薬のクラス・エフェクトにマッチングする有害事象プロファイルを示さない。
Figure 2022511509000026
実施例4:薬物動態
化合物1の薬物動態(PK)、安全性および忍容性は、健康な成人男性対象および統合失調症成人男女患者にそれぞれ単回漸増用量(5mg~125mgおよび25mg~150mg)で、また、統合失調症の成人男女患者に多回漸増用量(1日に1回10mg、25mg、50mg、75mg、100mg)で評価した。投与後0時間から144時間までの血液サンプルを採取し、PK分析を行った。安全性の評価には、有害事象、バイタルサイン、臨床検査、身体および神経学的検査、C-SSRS、12誘導心電図、安全脳波が含まれていた。
健康な成人男性対象、単回漸増用量
39名の正常な健康成人男性対象に、化合物1の単回経口投与による安全性、忍容性、最大許容量(MTD)を試験した。対象は、18~50歳(含む)の健康な男性で、BMIが16~32kg/m2(含む)、統合失調症の診断を受けておらず、CNS活性のある薬物やCYP2D6阻害剤を併用していないことが条件となった。
化合物1を5mg、10mg、25mg、50mg、100mgおよび125mgの濃度で対象に単回投与した。9人の対象がその用量を投与された125mgの群を除いて、6人の対象が各群に存在し、13人のプラシーボ対象がいた。本試験では、死亡はなく、検査値(laboratory parameter)に処置下で発生した臨床的に有意な変化もなかった。血漿中PKパラメータの結果を以下の表19に示す。
Figure 2022511509000027
統合失調症成人男性・女性対象、単回漸増用量
統合失調症男性・女性対象に、化合物1の単回経口投与による安全性、忍容性、MTDを評価する試験を実施した。対象は、18~55歳(含む)の男性または女性で、BMIが19.5kg/m2~37kg/m2(含む)であることが条件となった。さらに、対象は、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Fourth Edition; Text Revision(DSM-IV-TR)」の統合失調症の一次診断基準を満たし、CNS活性のある薬物やCYP2D6阻害剤を併用していないことが条件となった。
化合物1を、25mg、50mg、100mgおよび150mgの濃度で対象に単回投与した。各群に9名の対象が存在し、プラシーボ対象は12名であった。本試験では、死亡はなく、検査値(laboratory parameter)に処置下で発生した臨床的に有意な変化もなかった。血漿中PKパラメータの結果を以下の表20に示す。
Figure 2022511509000028
試験設計:統合失調症成人男性・女性対象、多回の漸増用量;2パート臨床試験:多回投与と28日間の非盲検
本試験は、多回投与試験と28日間の非盲検試験の2パートで行った。化合物1は、統合失調症の処置におけるその安全性、忍容性および薬物動態を試験するために、統合失調症と診断されたヒト成人男性・女性対象で評価した。この試験は2つのパートに分かれており、別々のコホートの患者が登録されたが、同じ試験参加基準を使用した。パートAは、多施設、無作為化、単盲検、プラシーボ対照、漸増多回経口投与試験、パートBは、単一施設、非無作為化、非盲検試験で、化合物1を75mg/日の用量で28日間処置した際の安全性、忍容性、薬物動態を評価した。有効性の評価は、パートBの非盲検処置期間中に行った。
試験参加基準:18歳から55歳までの男性・女性対象は、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Fourth Edition; Text Revision(DSM-IV-TR)」の統合失調症の一次診断基準を満たしている場合に参加が可能であった。対象は、肥満度指数(BMI)が19.5~37kg/m2(これを含む)であり;過去6ヵ月間、臨床的に安定しており;CGI-Sスコア≦4であり;PANSS総合スコア≦80(PANSSの次の項目である敵意[P7]、非協力的[G8]のスコア≦4[中等度またはそれ以上])であることが求められた。対象は試験期間中、抗精神病薬、抗うつ薬もしくは気分安定薬、あるいはビタミンや栄養補助食品を含む処方薬または市販薬を使用しないなど、薬物を使用しないことが求められた。許可された医薬には、OTC鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン、ヒドロコルチゾンクリーム、ヒドロコルチゾンクリーム、女性用避妊具、安定した状態(例えば高血圧、高コレステロール血症など)のための医薬が含まれ、ウォッシュアウト期間および処置期間中は、ロラゼパムとゾルピデムの限定的な使用が認められた。
試験設計:多回投与(パートA):60名の対象を、5つの漸増用量コホート(N=12)に無作為に割り付け、以下の化合物1の用量群に割り当てた:10mg、25mg、50mg、75mg、100mg(1日1回、空腹時に経口投与)。各コホートにおいて、対象を化合物1(N=9)または対応するプラシーボ(N=3)のいずれかを7日間投与することに3:1の割合で無作為に割り付けた。
無作為に割り付けた60人の対象のうち、71.7%が男性、平均年齢が41.8歳(範囲、24~55)、85.0%がアフリカ系アメリカ人、平均PANSS合計スコアが59.4であった。1人を除くすべての対象がプロトコルごとに試験を完了した。この対象は、精神病性障害のSAEのために研究を中止した(試験薬とは関係がないと判断された)。
表21は、化合物1を、(A)1日目に昇順濃度で単回経口投与、及び(B)7日目に多回投与した後の薬物動態パラメータを示す。
Figure 2022511509000029
10~100mg/日の用量範囲において、化合物1は7日目のCmaxで用量比例(β=1.17 [95% CI: 0.98-1.37])、AUC0-24でほぼ用量比例(β=1.30 [95% CI: 1.10-1.50])することがわかった。化合物1の7日目における平均Vss/Fおよび平均CLss/Fは、用量の増加に伴って実質的に変化するようには見えなかった。
試験設計:28日間の非盲検投与(パートB):
非盲検試験では、統合失調症と診断された成人患者(N=16)が診療所入院し、それまで服用していた抗精神病薬のウォッシュアウトを完了した。ウォッシュアウトに成功した後、対象に化合物1(75mg/日)を28日間投与した。患者は投与の最初の2週間は診療所に留まり、残りの2週間は外来患者として投与した。安全性評価には、有害事象の発生率、臨床検査測定および運動障害尺度(BARS、AIMSおよびM-SAS)が含まれていた。陽性・陰性症候群(PANSS)尺度および臨床的総合印象尺度-重症度(CGI-S)に対する化合物1の効果も評価した。
合計14名の対施用が28日間の非盲検試験を完了した。2名の対象は、複数の軽度の有害事象により2週間後に試験を中止した。無作為に割り付けた16名の対象のうち、50%が男性であり、平均年齢は31.8歳(範囲、23~40歳)であり、75.0%がアフリカ系アメリカ人であり、平均PANSS総スコアは73.3点であった。
いずれの対象においても、統合失調症の症状の悪化は観察されなかった。検査値(laboratory parameter)、QTcBおよびQTcF間隔を含む心電図パラメータ、神経検査、Barnes静座不能尺度、異常不随意運動尺度、シンプソンアンガ尺度で測定した運動障害への影響において、処置下で発生の臨床的に有意な変化は、本試験のパートAおよびパートBのいずれにおいても認められず、死亡もなかった。
化合物1を75mg/日で多回投与した後の薬物動態パラメータ(パートB、13日目)は以下の通りであった:Cmax(CV%)、316ng/mL(17.5%)、tmax(中央値)、4.0時間、AUC0-24、3487h・ng/mL。化合物1の平均トラフ血漿濃度を目視で確認したところ、7日目には定常状態に達していた。
また、化合物1での処置により、有効性測定(PANSS総スコア、CGI-S)がベースラインと比較して改善した。さらに、アドホックサブグループ解析では、28日間の処置期間終了時のPANSS総スコアのベースラインからの低下は、病気の年間の入院頻度が少ない対象が多い対象と比較して有意に大きいことが示された。
要約すれば、化合物1を10~100mg/日の範囲の用量で7日間、または75mg/日の用量で28日間、多回経口投与しても、安全性の問題は観察されなかった。バイタルサイン、身体検査、検査値(laboratory parameter)、QTcF間隔を含む心電図パラメータに、処置下で臨床的に有意な変化は発生しなかった。また、処置下で自殺念慮または自殺行動を起こした対象はいなかった。化合物1の75mg/日で28日間の処置は、PANSS合計スコアの改善と関連しており、ベースラインのPANSSトータルスコアが高い患者、年齢が低い患者、入院回数が少ない患者で改善がより大きかった。この試験の結果は、統合失調症患者における化合物1(75mg/日)の28日までの許容可能な安全性および忍容性プロファイルを示している。
実施例5:(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(「(S)-TPMA」)HClのA型結晶(すなわち、化合物1塩酸塩のA型結晶)の調製
スキーム1:4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミントリフラートの調製
Figure 2022511509000030
3-チオフェンエタノール(化合物A)77gを、2-メチルテトラヒドロフラン(THF)595ml(508g)中の69gのN-メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールの溶液に加えた。5分間撹拌した後、トリフルオロメタンスルホン酸99g(58.2ml)を添加した。トリフルオロメタンスルホン酸は非常に危険な物質であることに注意が必要です。反応物を1時間加熱還流した(80±2℃)。続いて、大気圧で蒸留して、副生成物のメタノールを除去し、4~8時間かけて反応量を目標量の460mlまで減らした。化合物1Bの残存率が1.0%またはそれ未満(目的のピークのHPLCピーク面積%、化合物A、BおよびC)であれば、反応は完了したと判断した。
化合物Bの量が1%またはそれ以上の場合は、適量の2-メチルTHFを添加して、目標量まで蒸留を続けた。反応終了(約4時間)前に目標量に達した場合は、300mlの2-メチルTHFを添加して蒸留を続けた。反応終了後、反応物を約40~50℃に冷却し、減圧蒸留で目標量の325mlまで濃縮した。続いて、トルエン218g(325ml)を約15分かけて添加し、形成された反応懸濁液を50±2℃で1時間撹拌した後、撹拌しながら1時間45分かけて直線的に20±2℃まで冷却した。懸濁液をろ過し、生成物ケーキを2-メチルTHFとトルエンの混合液(1:1体積/体積)で洗浄した。ウェットケーキを40±5℃、真空下で一定重量まで乾燥させ、ラセミのTPMAトリフラート(化合物C)を灰白色の固体として、約79%の収率で得た。
スキーム2:(S)-(-)-4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(R)マンデラートの調製
Figure 2022511509000031
1668mlのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)中の555.3gのTPMAトリフラート(化合物1C)の懸濁液に、1.77Nの水性KOH 1076gを加えた。10分間攪拌した後、pHを確認し、13未満の場合は、pHが13またはそれ以上になるまで1.77NのKOHを少量加えた。水層および有機層を沈降させ、分離させ、別々に収集した。MTBE(上段)の有機相層を保持し、さらなる処理を加えた。水(下段)相層をMTBEで2回(1回目は835mlで、2回目は150mlで)抽出し、有機(MBTE)層をその都度回収した。MTBE層(有機層)を一緒にし、20%NaCl水溶液(492.9g)で撹拌しながら洗浄し、相を10分間沈降させた。水層を除去し、残ったMTBE有機層を大気圧で蒸留して、反応体積を目標レベルの1.9Lまで減少させた。完了後、プロセスストリームを約45℃に冷却し、温度を35~45℃に維持しながら真空蒸留で目標体積の890mlまで濃縮した。真空蒸留後の水の含有量は、約0.37重量%であることが判明した。続いて、204mlのMTBEの洗浄を用いてろ過を行い、不溶性物質を除去し、プロセス流れ(ろ液)をきれいな反応器に移した。アセトニトリル2512mLを添加し、35~45℃下、真空蒸留で溶媒の切り替えを行い、目標体積の800mLに達したところで、反応器をアセトニトリル150mlで洗浄し、プロセス流れに加えた。得られたプロセス流れ、TPMA遊離塩基(化合物D)のアセトニトリル溶液。続いて、必要に応じTPMA遊離塩基(化合物D)のアセトニトリル溶液にアセトニトリルを添加し、化合物Dの約33重量%を達成した。
1828mlのアセトン中の250.3gの(R)-マンデル酸Aの溶液を48±2℃に温めた。続いて、アセトニトリル中のTPMA遊離塩基溶液(アセトニトリル中の302.1gの化合物Dの溶液917.7g)を、51℃未満の反応温度を維持する速度で添加した。48±2℃で10分間撹拌した後、プロセス流れを45±2℃に冷却し、(S)-TPMA(R)-マンデラート種結晶1.5gをチャージした。プロセス流れを45±2℃で30分間攪拌し、90分かけて21±2℃に直線的に冷却した。45±2℃で約30分間保持した後、プロセス流れを45分間にかけて10±2℃に直線的に冷却した。続いて、反応懸濁液を10±2℃で60分間攪拌し、濾過し、生成物ケーキをアセトン/CH3CN混合物(2.3:1 重量/重量)で洗浄した。ウェットケーキを40±2℃、真空下で一定の重量になるまで乾燥させ、粗製の(S)-TPMA(R)-マンデラート(化合物E)を、白色の結晶性固形物として約41%の収率で得た。
スキーム3:(S)-4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(R)マンデラートの再結晶
Figure 2022511509000032
4205mlのアセトン中のスキーム2からの粗製の(S)-TPMA(R)-マンデラート(化合物E)の懸濁液(200.1g)を、約56℃(アセトンの沸点)に温め、透明な溶液が得られるまで撹拌した。溶液を約20分かけて47±2℃に冷却した後、(S)-TPMA (R)-マンデラート種結晶を加えた。プロセス流れを47±2℃で約30分撹拌し、90分かけて21±2℃に直線的に冷却した。21±2℃で約30分保持した後、懸濁液を45分かけて10±2℃に直線的に冷却し、続いて10±2℃で1時間撹拌し、濾過し、生成物ケーキをアセトンで(毎回401mlで2回)洗浄した。ウェットケーキを約40±2℃、真空下で一定の重量になるまで乾燥させ、(S)-TPMA(R)-マンデラート(精製化化合物E)を白色の結晶性固形物として、約77%の収率で得た。
スキーム4:S)-(-)-4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン塩酸塩のA型結晶の形成
Figure 2022511509000033
本実施例のスキーム4は、(S)-(-)-4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン HCl、((S)-TPMA HCl)を、A型結晶として反応的に結晶化させる。S)-TPMA HClが結晶化すると、2つの異なる形態(多形)、第1はブロック状の結晶(A型)、第2は針状の結晶(B型)を示す。本明細書に記載の単結晶X線回折の研究によると、A型は単斜晶系であり、B型は斜方晶系である。
305mlのMTBE中のスキーム3からの(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(R)-マンデラート塩(化合物E)の懸濁液(100g)に、10%KOH水溶液172.5mlを添加した。20±2℃で10分間攪拌した後、水相および有機相を分離した。有機MTBE(上段)相を保存し、さらなる処理を加えた。水相のpHが13未満の場合は、19%KOH水溶液を少量加えてpHを13に上げた。水(下段)相をMTBEで2回(1回目は208mlのMTBEで、2回目は155mlのMTBEで)逆抽出し、有機相を保存し、毎回さらなる処理を加えた。保存した有機層を一緒にし、この一緒にした有機相を共沸蒸留して水を除去し、大気圧で目標量の140mlまで蒸留した。続いて、プロセス流れを濾過し、不溶性物質(例えば、水の除去により沈殿した塩)を除去し、濾液をきれいな反応器に移した。イソプロパノール775mlを加え(プロセス流れの総量は約1030mlとなる)、45℃未満の温度で真空蒸留により溶媒の切り替えを行い、イソプロパノール中の(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミンの10%~15%溶液を得た。
様々な実施態様において、イソプロパノールの量は、遊離塩基(化合物F)の重量%濃度を6~7%に調整するように選択した。反応混合物を20±2℃に冷却し、濾過し、濾過器をイソプロパノール78mlで洗浄し、濾液をきれいな反応器に移した。続いて、イソプロパノール中の201.6gの6%HCl(w/w)溶液を、約20±2℃で45分かけて反応器に加えた。様々な実施態様において、HClの目標量は、遊離塩基(化合物F)のモル当量に対して約10%の過剰量であることを理解されたい。塩酸を、最初の10%を15分かけて添加し、次の30%を15分かけて添加し、残りを15分かけて添加した。5Lのスケールの反応器で160rpm~270rpmの後退曲線インペラを使用し、プロセス流れの容量は約740mlで、適度な大きさの粒子と粒子分布を生成し、明らかな凝集は観察されなかった。形成された懸濁液を、20分かけて40±2℃まで直線的に温め、40±2℃で約30分間保持した。続いて、20分かけて20±2℃まで直線的に冷却した。20±2℃で約30分攪拌した後、懸濁液をろ過し、生成物ケーキをイソプロパノールで(1回目は86mlで、2回目は92mlで)洗浄した。このケーキを40±2℃、真空下で一定重量まで乾燥させ、(S)-(-)-TPMA塩酸塩(化合物G)を、白色の結晶性固形物として、約84%の収率で得た。
スキーム4のステップ4bでは、ゆっくりとした添加、つまり過飽和度の発生率を低くすることで、望ましくない針(B型)の発生を減少しながら、目的のブロック(S)-(-)-TPMA HCl結晶(A型)の形成を促し、また、温度を高くすることで、B型よりもブロックのようなA型の結晶の形成を促す。
この実施例2で得られた(S)-(-)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン塩酸塩(化合物G)の1H NMR スペクトラムは以下の特徴を有する:1H NMR (300 MHz, DMSO-d6); δ (ppm): 2.53 (s, 3 H, -CH3); 2.5-2.8 (m, ,2 H, -CH2-); 3.15-3.37 (2dd, 2 H, CH2-NH); 3.77 and 4.13 (2ddd, 2 H, CH2-O); 5.19 (dd, 1 H, O-CH-C=); 6.95 (d, J = 5 Hz, 1 H, HC=); 7.49 (dd, J = 5 Hz, 1 H, HC=); 9.12 (br, 2 H, NH2 +).
図21および図22は、(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン塩酸塩のA型のXRPDパターンを示し、図21は、透過モードで測定したXRPDであり、図22は、反射モードで測定したXRPDである。図23は、(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン塩酸塩の多形A型のDSCサーモグラムである。
本発明の様々な好ましい実施態様[A]~[CB]について、以下の本文で説明することができる。
[実施態様 A] 有害事象の臨床的に有意なリスクを経験したことがない、処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000034
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 B] 処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000035
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 C] 有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を有する患者を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000036
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 D] 処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、統合失調症を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000037
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 E] 有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、統合失調症を有する患者を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000038
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 F] 患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
Figure 2022511509000039
またはその薬学的に許容できる塩を該患者に投与することを含む、該患者においてドーパミンD2に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する方法。
[実施態様 G] 患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を該患者に投与することを含む、該患者においてドーパミンD2に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を実質的に引き起こさない方法。
[実施態様 H] ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬が、化合物1
Figure 2022511509000040
またはその薬学的に許容できる塩である、上記の実施態様[G]に記載の方法または本発明の他の実施態様の方法。
[実施態様 I] 神経もしくは精神疾患または障害に対する処置を必要とする患者において有害事象を最小化する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を該患者に投与することを含み、ここで、該抗精神病薬は、化合物1:
Figure 2022511509000041
またはその薬学的に許容できる塩であり、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する方法。
[実施態様 J] 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症である、上記の実施態様[A]~[I]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 K] 統合失調症の陰性症状を処置することをさらに含む、上記の実施態様[J]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 L] 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症スペクトラム障害、統合失調症陰性症状、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、妄想性障害、精神病、精神病性障害、精神錯乱、トゥレット症候群、外傷後ストレス障害、行動障害、情動障害、うつ病、双極性障害、大鬱病性障害、気分変調症、躁病、季節性情動障害、強迫性障害、ナルコレプシー、REM行動障害、物質濫用または依存状態、Lesch-Nyhan疾患、ウィルソン病、自閉症、アルツハイマー病激越および精神病またはハンチントン舞踏病である、上記の実施態様[A]~[I]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 M] 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、スキゾイドパーソナリティ障害および統合失調症性パーソナリティー障害から選択される、上記の実施態様[A]~[J]または[L]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 N] 精神病が、器質性精神病、薬物誘発性精神病、パーキンソン病精神病および興奮性精神病から選択される、上記の実施態様[L]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 O] 患者が、少なくとも1つの定型抗精神病薬または少なくとも1つの非定型抗精神病薬である抗精神病薬に十分に反応しない、上記の実施態様[A]~[N]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 P] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、化合物1塩酸塩を含む、上記の実施態様[A]~[O]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 Q] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、経口投する、上記の実施態様[A]~[P]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 R] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、経口投与する、上記の実施態様[A]~[Q]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 S] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、一日あたり約50mgまたは約75mgで投与する、上記の実施態様[A]~[R]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 T] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、29日間の処置期間中に毎日投与する、上記の実施態様[A]~[S]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 U] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、26週間の処置期間中に毎日投与する、上記の実施態様[A]~[S]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 V] 患者において有害事象のリスクが、プラシーボとほとんど同じまたは同様である、上記の実施態様[A]~[U]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 W] 心血管有害事象を最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 X] 5%未満またはそれと同等の患者に心血管事象が発生する、上記の実施態様[A]~[W]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様に記載の方法。
[実施態様 Y] 患者が、抗精神病薬の投与により心血管有害事象のリスクが上昇している、上記の実施態様[A]~[W]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 Z] 29日間の処置期間中に5%未満またはそれと同程度の患者に心血管有害事象が発生する、上記の実施態様[T]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AA] 26週間の処置期間中に6%未満またはそれと同程度の患者に心血管有害事象が発生する、上記の実施態様[U]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AB] プラシーボとほとんど同じまたは同様の百分率で患者に心血管有害事象が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AC] 心血管有害事象が、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈を特徴とする、上記の実施態様[W]~[AB]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AD] 錐体外路有害事象を最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AE] 5%未満またはそれと同程度の患者に錐体外路有害事象が発生する、上記の実施態様[A]~[V]または[AD]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AF] 患者が、抗精神病薬の投与により錐体外路有害事象のリスクが上昇している、上記の実施態様[A]~[V]または[AD]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AG] 錐体外路有害事象が、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦を特徴とする、上記の実施態様[AD]~[AF]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AH] プラシーボ以下の百分率で患者に錐体外路有害事象が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AI] QT延長が実質的に引き起こさない、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AJ] 5%未満またはそれと同程度の患者にQT延長が発生する、上記の実施態様[A]~[V]または[AI]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AK] 患者が、抗精神病薬の投与によりQT延長のリスクが上昇している、上記の実施態様[A]~[V]または[AI]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AL] 29日間の処置期間中にQT延長が実質的に引き起こさない、上記の実施態様[T]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AM] プラシーボ以下の百分率で患者にQT延長が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AN] QT延長が、以下の一つまたは両方を特徴とする、上記の実施態様[AI]~[AM]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法:
患者におけるQTcF間隔が、ベースラインに存在しなかったいずれかの時点で450msecを超えること;および
ベースライン後の少なくとも1回の測定において、QTcF間隔のベースラインからの増加が30msecを超えるかそれと同程度であること。
[実施態様 AO] 患者において高プロラクチン血症を最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AP] プラシーボ以下の百分率で患者に高プロラクチン血症が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AQ] 患者において起立性低血圧を最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AR] 5%未満またはそれと同程度の患者に起立性低血圧が発生する、上記の実施態様[A]~[V]または[AQ]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AS] 患者が、抗精神病薬の投与により起立性低血圧のリスクが上昇している、上記の実施態様[A]~[V]または[AQ]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AT] プラシーボ以下の百分率で患者に起立性低血圧が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AU] 患者において起立性頻脈を最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AV] 5%未満またはそれと同程度の患者に起立性頻脈が発生する、上記の実施態様[A]~[V]または[AU]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AW] 患者が、抗精神病薬の投与により起立性頻脈のリスクが上昇している、上記の実施態様[A]~[V]または[AU]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AX] プラシーボとほとんど同じまたは同様の百分率で患者に起立性頻脈が発生する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AY] (i)PANSS総スコアがベースラインから少なくとも17.2低下、または(ii)PANSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.45である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[AX]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 AZ] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[AY]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BA] 30日間の処置後にPANSS総スコアがベースラインから少なくとも約30低下する、上記の実施態様[AX]または[AY]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BB] (i)PANSS陽性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも5.5低下、または(ii)PANSS陽性下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.32である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BA]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BC] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BB]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BD] 30週間の処置後にPANSS陽性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも約10低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BB]または[BC]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BE] (i)PANSS陰性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも3.1低下、または(ii)PANSS陰性下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.37である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BD]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BF] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BE]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BG] 30週間の処置後にPANSS陰性下位尺度スコアがベースラインから少なくとも約5低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BE]または[BF]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BH] (i)PANSSの一般的な精神病理下位尺度スコアがベースラインから少なくとも9低下、または(ii)PANSSの一般的な精神病理下位尺度スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.51である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BG]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BI] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BH]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法で。
[実施態様 BJ] 30週間の処置後にPANSSの一般的な精神病理下位尺度スコアがベースラインから少なくとも約15が低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BH]または[BI]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BK] (i)CGI-Sスコアがベースラインから少なくとも1低下、または(ii)CGI-Sスコアのエフェクトサイズが少なくとも0.52である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BJ]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BL] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BK]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BM] 30週間の処置後にCGI-Sスコアがベースラインから少なくとも約1.5低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BK]または[BL]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BN] (i)BNSS総スコアがベースラインから少なくとも7.1低下、または(ii) BNSS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.48である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BM]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BO] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BN]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BP] 30週間の処置後にBNSS総スコアがベースラインから少なくとも約10低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BN]または[BO]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BQ] (i)MADRS総スコアがベースラインから少なくとも3.3低下、または(ii)MADRS総スコアのエフェクトサイズが少なくとも0.32である、結果をもたらす、上記の実施態様[A]~[BP]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BR] 結果が、処置の29日後に測定される、上記の実施態様[BQ]に記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BS] 30週間の処置後にMADRS総スコアがベースラインから少なくとも約5低下する結果をもたらす、上記の実施態様[BQ]または[BR]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BT] 患者において不眠症、不安または頭痛の症状を処置することを含む、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BU] 患者において不眠症、不安、頭痛またはこれらのいずれかの組み合わせを最小化する、上記の実施態様[A]~[V]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BV] 患者において不眠症、不安、頭痛またはこれらのいずれかの組み合わせのリスクが、プラシーボより低い、上記の実施態様[BT]または[BU]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BW] 患者に、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を最初の用量で1~3日間毎日投与し、続いて、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を治療量で毎日投与することを含み、ここで、最初の用量は治療量より少なく、神経もしくは精神疾患または障害が統合失調症である、上記の実施態様[A]~[BV]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BX] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、1~3日目に最初の用量で毎日投与し、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、4~29日目に治療量で毎日投与する、上記の実施態様[A]~[BW]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BY] 最初の用量が50mgであり、治療量が75mgである、上記の実施態様[BW]または[BX]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
[実施態様 BZ] 患者において統合失調症を処置する方法であって、
処置期間中に患者に、化合物1
Figure 2022511509000042
またはその薬学的に許容できる塩を一日75mg経口投与するか、投与していること;
患者が処置期間中に有害事象を経験したかどうかを判断するか、判断していること;および
患者が処置期間中に有害事象を経験する場合、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を一日に50mgに減少させるか、減少させていること、を含む方法。
そ含む
[実施態様 CA] 統合失調症患者において不眠症、不安または頭痛の症状を処置する方法であって、化合物1
Figure 2022511509000043
またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
[実施態様 CB] 化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、化合物1塩酸塩のA型結晶である、上記の実施態様[A]~[CA]のいずれか一つに記載の方法または本発明の他の実施態様による方法。
本明細書に記載されたものに加えて、本発明の様々な変更が、前述の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更も、添付の請求項の範囲内に入ることが意図されている。本出願で引用されたすべての特許、特許出願、および出版物を含む各参考文献は、その全体が引用により本明細書に包含される。

Claims (34)

  1. 有害事象の臨床的に有意なリスクを経験したことがない、処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000044
    またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
  2. 処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000045
    またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
  3. 有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、神経もしくは精神疾患または障害を有する患者を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000046
    またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
  4. 処置を必要とする患者において、有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、統合失調症を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000047
    またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
  5. 有害事象の臨床的に有意なリスクを引き起こすことなく、統合失調症を有する患者を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000048
    またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を該患者に投与することを含む方法。
  6. 患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、化合物1:
    Figure 2022511509000049
    またはその薬学的に許容できる塩を該患者に投与することを含む、該患者においてドーパミンD2に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する方法。
  7. 患者において神経もしくは精神疾患または障害を処置する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を該患者に投与することを含む、該患者においてドーパミンD2に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を実質的に引き起こさない方法。
  8. ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬が、化合物1:
    Figure 2022511509000050
    またはその薬学的に許容できる塩である、請求項7に記載の方法。
  9. 神経もしくは精神疾患または障害に対する処置を必要とする患者において有害事象を最小化する方法であって、ドーパミンD2受容体に対する直接的な親和性を有しない抗精神病薬の治療有効量を該患者に投与することを含み、ここで、該抗精神病薬は、化合物1:
    Figure 2022511509000051
    またはその薬学的に許容できる塩であり、ドーパミンD2受容体に対する親和性を有する抗精神病薬に関連する有害事象を最小化する方法。
  10. 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症スペクトラム障害、統合失調症陰性症状、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、妄想性障害、精神病、精神病性障害、精神錯乱、トゥレット症候群、外傷後ストレス障害、行動障害、情動障害、うつ病、双極性障害、大鬱病性障害、気分変調症、躁病、季節性情動障害、強迫性障害、ナルコレプシー、REM行動障害、物質濫用または依存状態、Lesch-Nyhan疾患、ウィルソン病、自閉症、アルツハイマー病激越および精神病、またはハンチントン舞踏病である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 神経もしくは精神疾患または障害が、統合失調症、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、スキゾイドパーソナリティ障害および統合失調症性パーソナリティー障害から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 精神病が、器質性精神病、薬物誘発性精神病、パーキンソン病精神病および興奮性精神病から選択される、請求項11に記載の方法。
  14. 化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、化合物1のHCl塩を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 患者において有害事象のリスクが、プラシーボとほとんど同じまたは同様である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 心血管有害事象を最小化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. プラシーボとほとんど同じまたは同様の百分率で患者に心血管有害事象が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 心血管有害事象が、心房性頻脈、徐脈、心血管不全、動悸、起立性頻脈症候群、血圧上昇、高血圧、低血圧、のぼせ、QT延長、起立性低血圧または起立性頻脈を特徴とする、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 錐体外路有害事象を最小化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  20. 錐体外路有害事象が、静座不能、情動不安、関節の硬直、筋骨格硬直、項部硬直、姿勢振戦または振戦を特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. プラシーボ以下の百分率で患者に錐体外路有害事象が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  22. QT延長を実質的に引き起こさない、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  23. プラシーボ以下の百分率で患者にQT延長が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  24. QT延長が、以下の一つまたは両方を特徴とする、請求項22~23のいずれか一項に記載の方法:
    患者におけるQTcF間隔が、ベースラインに存在しなかったいずれかの時点で450msecを超えること;および
    ベースライン後の少なくとも1回の測定において、QTcF間隔のベースラインからの増加が30msecを超えるかそれと同程度であること。
  25. 患者において高プロラクチン血症を最小化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  26. プラシーボ以下の百分率で患者にプロラクチン血症が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  27. 患者において起立性低血圧を最小化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  28. 5%未満またはそれと同程度の患者に起立性低血圧が発生する、請求項27に記載の方法。
  29. 患者が、抗精神病薬の投与により起立性低血圧のリスクが上昇している、請求項27に記載の方法。
  30. プラシーボ以下の百分率で患者に起立性低血圧が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  31. 患者において起立性頻脈を最小化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  32. 5%未満またはそれと同程度の患者に起立性頻脈が発生する、請求項31に記載の方法。
  33. 患者が、抗精神病薬の投与により起立性頻脈のリスクが上昇している、請求項31に記載の方法。
  34. プラシーボとほとんど同じまたは同様の百分率で患者に起立性頻脈が発生する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
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