JP2022504941A - 溶接可能なアルミニウムシートならびに関連する方法及び装置 - Google Patents
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Description
関連出願の相互参照
本出願は、共同所有されている同時係属中の2018年10月22日に出願された「WELDABLE ALUMINUM SHEET AND ASSOCIATED METHODS AND APPARATUS(溶接可能なアルミニウムシートならびに関連する方法及び装置)」と題する、米国仮特許出願第62/748,730の関連出願であり、優先権を主張するものであり、その全内容は参照することによりここに組み込まれる。
本出願は、共同所有されている同時係属中の2018年10月22日に出願された「WELDABLE ALUMINUM SHEET AND ASSOCIATED METHODS AND APPARATUS(溶接可能なアルミニウムシートならびに関連する方法及び装置)」と題する、米国仮特許出願第62/748,730の関連出願であり、優先権を主張するものであり、その全内容は参照することによりここに組み込まれる。
本発明は、溶接による材料の接合に関し、より具体的には、電気抵抗溶接によるアルミニウム合金材料の接合のための方法装置及び材料に関する。
鋼の抵抗スポット溶接(RSW)は、多くの場合ロボット溶接機器を用いて、例えば、自動車の製造においてなど、多くの産業用途で使用される。鋼のRSWは、高速かつ低コストのプロセスで、幅広い金属ゲージに柔軟に対応し、操作及び自動化が容易である。鋼のRSWと比較して、類似したゲージのアルミニウムシートは、典型的には、より短い時間で、より高い溶接電流を必要とする。これに対処するために、電極の清浄、サーフェシング、及び機械加工、スタックアップとの接触時に電極をひねる、清浄及び変換コーティングによるシートのコーティング、ならびに電極とスタックアップとの間の犠牲インサートの使用などの試みがなされてきた。にもかかわらず、現在、鋼板を抵抗溶接するメーカーにとって、アルミニウムを直接接合セルに代用することは依然として困難である。したがって、RSWを介してアルミニウムシートを接合するための代替的な方法及び装置は、いまだ当該分野の関心事である。
本開示の主題は、抵抗溶接の方法に関し、(A)アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第一の部材を提供する工程、(B)アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第二の部材を提供する工程であって、第一の部材及び第二の部材の各々が、第一の電気抵抗を有する第一の外面と、第二の電気抵抗を有する第二の外面と、第三の電気抵抗を有する内部とを有する、第二の部材を提供する工程、(C)より低い抵抗面を生成するために、第一の部材の第一の外面の少なくとも一部分の電気抵抗を減少させる工程であって、第一の部材の第二の外面は、より低い抵抗面よりも高い電気抵抗を保持し、より高い抵抗面である、減少させる工程、(D)第一の部材をより高い抵抗面で第二の部材に接して配置して、第二の部材の第一又は第二の外面のいずれかに当接させ、二層スタックアップを作る工程、(E)アノード及びカソードを有する電気抵抗溶接機を提供する工程、(F)スタックアップの、アノードをより低い抵抗面に接して位置付け、カソードを第二の部材に接して位置付ける工程、及び(G)溶接電流をスタックアップに通過させる工程であって、第一の部材と第二の部材との間の当接面で溶接部を生成する、通過させる工程を含む。
別の実施形態では、減少させる工程は、第一の外面をグリットブラストすることによってである。
別の実施形態では、グリットブラストは、30μin~300μinの表面粗さを生じる酸化アルミニウムグリットを用いて実施される。
別の実施形態では、減少させる工程は、化学処理による。
別の実施形態では、当接面はミル仕上げ表面である。
別の実施形態では、第一及び第二の部材の第一及び第二の外面は酸化物層を含み、酸化物層は減少させる工程の間、より低い抵抗面上で薄くなる。
別の実施形態では、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一つはシートである。
別の実施形態では、第一の部材及び第二の部材の両方はシートである。
別の実施形態で、通過させる工程の後にアノードをドレッシングする工程をさらに含むこと、及びここで通過させる工程は、ドレッシングの各工程を実施する前に200回以上実施される。
別の実施形態で、第二の部材の第一の外面の電気抵抗を減少させて第二のより低い抵抗面を生成する工程をさらに含むこと、位置付ける工程の間、第二のより低い抵抗面に接して位置付けられるカソード。
別の実施形態で、少なくとも部分的にアルミニウムから構成された第三の部材を提供する工程であって、ここで第一の部材及び第二の部材のスタックアップは、二層スタックアップである、提供する工程と、二層スタックアップを第三の部材に当接して配置して三層スタックアップを生成する工程であって、二層スタックアップの第三の部材との当接面の各々は接合面である、生成する工程と、をさらに含むこと。
別の実施形態では、第一又は第二の部材の第一及び第二の表面のうちの少なくとも一つの上に配置された潤滑剤は、通過させる工程の間、表面上に留まっている。
別の実施形態では、第一又は第二の部材の第一及び第二の表面のうちの少なくとも一つは、通過させる工程の間、表面上に留まる変換コーティングを有する。
別の実施形態では、アノード及びカソードは、少なくとも部分的に耐熱性金属から構成される。
別の実施形態では、耐熱性金属はタングステンである。
別の実施形態では、アルミニウム合金材料は、第一の電気抵抗を有する第一の外面、第二の電気抵抗を有する第二の外面、及び第三の電気抵抗を有する内部を有し、第一の外面の電気抵抗は第二の外面よりも低い。
別の実施形態では、第一及び第二の外面は酸化物層を含む。
別の実施形態では、第一の外面の酸化物層は、第二の表面の酸化物層よりも薄い。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面の酸化物層は、厚さ3nm~50nmの範囲内である。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面は、30μin~300μinの範囲の粗さを有する。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面の酸化物層は、非結晶性Al2O3から少なくとも部分的に構成されている。
第一の部材の第二の外面は、ミル仕上げ表面である。
別の実施形態では、第一及び第二の外面のうちの少なくとも一つは、その上に潤滑剤を有する。
別の実施形態では、複合材が、アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第一の部材と、アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第二の部材と、を有し、ここで第一の部材及び第二の部材のそれぞれは、第一の電気抵抗を有する第一の外面と、第二の電気抵抗を有する第二の外面と、第三の電気抵抗を有する内部とを有し、第一の部材の第一の外面の少なくとも一部分の電気抵抗は、第一の部材の第二の外面の電気抵抗よりも低く、第二の外面はより高い抵抗面であり、第一の部材はより高い抵抗面で第二の部材と並置され、第二の部材の第一又は第二の外面のいずれかに当接し、及び第一の部材及び第二の部材の当接面を接合する溶接部を有する。
別の実施形態では、溶接部は、抵抗スポット溶接部である。
別の実施形態では、第一の外面の部分は、グリットブラストされた表面である。
別の実施形態では、当接面はミル仕上げ表面である。
別の実施形態では、第一及び第二の外面は酸化物層を含み、第一の部材の第一の外面の酸化物層は、その第二の表面の酸化物層よりも薄い。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面の部分の酸化物層は、厚さ3nm~50nmの範囲内である。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面の部分は、30μin~300μinの範囲の粗さを有する。
別の実施形態では、第一の部材の第一の外面の部分の酸化物層は、非結晶性Al2O3から少なくとも部分的に構成されている。
別の実施形態では、第一の部材の第二の外面は、ミル仕上げ表面である。
別の実施形態では、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一つはシートである。
別の実施形態では、第一の部材及び第二の部材の両方はシートである。
別の実施形態では、複合材は、アルミニウムで少なくとも部分的に構成された第三の部材をさらに含み、第二の部材は第三の部材に当接し、第二の溶接部は第二の部材を第三の部材に接合する。
別の実施形態では、複合材は車両本体の一部を形成する。
本開示をより完全に理解するために、添付の図面と併せて考慮される例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照する。
図は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な対象物及びその特徴を例示する。加えて、図に示される任意の測定値、仕様等は、例示的であり、限定的ではないことを意図する。従って、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に用いることを当業者に教示するための単に代表的な根拠として解釈されるべきである。
開示された利点及び改良点の中で、本発明の他の目的及び利点は、添付図面と共に以下の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態は、本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明を単に例示するものであることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して得られる各実施例は例示的であり、限定的ではないことが意図される。
明細書及び特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書に明示的に関連する意味を取る。本明細書で使用する句「一実施形態では」及び「いくつかの実施形態では」は、必ずしも同じ実施形態を指さないが、それを指す場合もある。さらに、本明細書で使用する句「別の実施形態では」及び「いくつかの別の実施形態では」は、必ずしも異なる実施形態を指さないが、それを指す場合もある。従って、下記に説明するように、本発明の様々な実施形態を、本発明の主題の範囲と趣旨から逸脱することなく、容易に組合せてもよい。
加えて、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は包括的な「又は」であり、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、「及び/又は」と同等である。「に基づく」という用語は排他的ではなく、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、記述されていない追加的な要因に基づくことができる。加えて、本明細書を通して、「a」、「an」、及び「the」の意味は複数の参照を含む。「中に(in)」の意味は、「中に(in)」及び「上に(on)」を含む。
本開示の態様は、RSWによるアルミニウム及びその合金の接合プロセスを、RSWを介した鋼の接合とは異なるものにする、いくつかの要因を認識することである。(本開示では、“アルミニウム”は純アルミニウム及びその合金を含むものとする。)相違点には、i)アルミニウム材料、例えばアルミニウムシートを、RSWを介して接合することは、より高い溶接電流、例えば類似のゲージの鋼に必要とされる溶接電流の2~3倍を必要とする、及びii)アルミニウムは、凝固中により高い収縮、及び溶接中により高い熱膨張係数を示す、が含まれる。上記の要因は、溶接欠陥を避けるために溶接パラメータを狭い範囲内に維持すること、又は代替的には、より高い力及び電流がより広いプロセスウィンドウに使用されること、を必要とする。これらの影響を軽減するために、電極の頻繁な補修が必要であり、電極の固着を軽減するために大面電極が好ましい。より高い電流では、トランスのサイズとユーティリティ配管の引き込みを低減するために、業界はより高い周波数(800Hz超対50~60Hz)で動作する直流(DC)電源で溶接する必要がある。これらの対策があっても、アノード(DC溶接プロセスにおける正極)はアルミニウムを収集し始める。すなわち、シートからのアルミニウムは電極に接着し、一部の合金族に対しては電極及びシートを、10回ほどの溶接のうちに浸食させるが、典型的には25~50回の溶接後である。アノードの浸食は、カソードの浸食をもたらし、均一な圧力及び電流分布を確保するために電極の表面を新しくする必要が生じる。ペルチェ効果によりアノードの浸食がさらに加速され、銅とアルミニウムの間のゼーベック係数の差に比例したさらなる発熱が生じる。電流がアノードとアルミニウムシートの間を流れるにつれて、この追加熱はアノードシート界面において局所的に発生され、界面近傍のアルミニウムシートの局所的溶解を起こす。比較すると、同じ電極を鋼板の溶接に使用すると、より長持ちさせることができる。業界では、通常の電極ドレッシング及び/又は電流ステッピングを採用することにより、電極の摩耗に対処している。鋼板のRSWにおいて、電極のドレッシング又は表面を新しくすることは、典型的には、およそ200~300回の溶接の後に行われる。類似ゲージのアルミニウムシートに必要な電極ドレッシングの間の溶接数は、典型的には、鋼の溶接数の1/4~1/5である。多数の溶接が完了した後に電流を段階的にブーストして電極の摩耗を補償する電流ステッピングは、鋼と比較して一般的に電流がはるかに高く、電流を増加させることが難しいため、アルミニウムには効果的ではない。
アルミニウムのRSWでは、大きな電流が溶接されるシートを通過し、ジュール加熱を生成する。本開示の態様は、接合界面(例えば、アルミニウムのシートなどの溶接される材料間の接触領域)での加熱は、スタックアップの他の領域よりも大きくあるべきで、その結果、接合界面の金属が他の領域の前に溶解し、隣接するシートの領域と合体し、電極のいずれかと接触する表面が溶解する前に、溶接部として再凝固する、という認識である。これは、溶接されるアルミニウム材料の異なる表面(複数可)の酸化物層の厚さを選択的に制御することによって達成されて、それによってスタックアップの異なる領域で電気抵抗及びジュール加熱を制御し得る。これは、ミル仕上げによる、すなわち、圧延ミルにおける圧延プロセスによって決定される厚さの酸化物層を有するシートを溶接すること、あるいはアルミニウムシート全体に、無差別に化学的に清浄を施すか、又は変換コーティングを適用して、ミル仕上げと比較して酸化物を均一に減少させることとは異なる。化学清浄は、一部のミル仕上げ流路で溶接の一貫性を改善する可能性があるが、10~25%の溶接電流の増加を必要とし、鋼板RSWと比較して、溶接機器要件の差異をさらに拡大させる。
本開示の態様は、電極によって接触される溶接されるアルミニウム材料の表面上の、高電気抵抗の酸化物層の存在が、電極の固着及び劣化につながる電極/シート界面における局所的高温を引き起こす可能性があるという認識である。さらに、溶接電流が局所的な凹凸に変形した場所へ優先的に流れ、酸化物層を破壊する、という認識である。シート表面トポグラフィとの電極接触の組み合わせが酸化物を均一に破断しないような、より重篤な事例では、電極材料とアルミニウムとの間のこの局所的反応は、電極の成長又は摩耗を引き起こし、その使用可能寿命を限定する可能性がある。本開示の実施形態によれば、この状態は、電極(複数可)及びシート(複数可)の界面に溶接されるシート(複数可)の表面の処理によって緩和され、シート(複数可)表面を通る電気抵抗を制御し、電極界面(複数可)での発熱を低減することができる。電極(複数可)と接触するシート(複数可)の表面(複数可)の処理は、プラズマ、レーザー、もしくはウォータージェットへの曝露によって科学的に、又はブラスティング用メディア(アルミナ、鉄、ガラスビーズ、ドライアイスなど)への曝露によって機械的(ワイヤブラシ、スコッチブライト研磨など)に、行われてもよい。
本開示の別の実施形態によると、アルミニウムシートのRSWを促進する堅牢で単純な表面処理は、溶接電極の一方又は両方によって接触されるシートの表面をグリットブラストして、一方でスタックアップのシートの接合面は未処理(ミル仕上げ)状態で残すことによる。グリットブラストは、電極(複数可)によって接触される接合面側とは対向する側全体に、又はシートがRSWによって溶接されるときに電極(複数可)によって接触されるシート表面の領域に局所的に適用され得る。
別の実施形態によると、アルミニウムの、アルミニウムへのRSWは、物理的要素を含有するか、あるいは耐熱性又はニッケル系材料でメッキされた特殊電極を使用して実施することができる。このタイプの電極を使用する場合、溶接は、ミル仕上げアルミニウムシート、化学的に清浄されたシート、変換コーティングでコーティングされたシート、又は、例えばグリットブラストなど、シートの一方又は両方の表面上のブラスティングによってその酸化物層が低減されたシートに実施され得る。一実施形態では、特殊電極は、スタックアップのシートの少なくとも一つの電極接触面上の酸化物層の差別的な減少(differential reduction)と組み合わせて使用され、そのシートの接合面は、例えばミル仕上げによって提供されるような、より厚い酸化物層で残す。
本開示の別の実施形態によると、一つの電極接触面のみが、酸化物層を低減することによって処理され、例えば、スタックアップのアノード接触面がグリットブラストされ、スタックアップ中の他のすべてのシートの酸化物層は、カソードと接触している表面であっても、手つかずか又はより大きな厚さのままである。別の実施形態では、アノード及びカソード電極と接触するスタックアップのすべての表面は、例えば、グリットブラストで処理されて、その厚さを減少させる。
本開示の一実施形態では、二つのシートがスタックアップに存在することにより、その結果生じる溶接(複数可)は、二層又は2T接合と称され得る。別の実施形態では、三つ以上のシートがスタックアップに存在して、例えば、三層(3T)接合以上の、より多数の層の溶接部を生じ得る。一実施形態では、外側電極接触面は、酸化の厚さを減少させるように処理され、その結果、それらが接合面よりも低い接触抵抗を有し、アルミニウムシートの溶接接合、例えば、2T又は3T以上の接合を促進する。一実施形態では、スタックアップ中の一つシートのアノード電極が接触する側のみが、酸化物層の厚さを減少させるように処理される。
一実施形態では、本開示によるスタックアップ、例えば、厚さを減少された酸化物層を有する、及びより厚い酸化物層を有する接合面を有する一方又は両方の電極接触面を有するスタックアップは、形成/成形作業中に使用される従来の潤滑剤に融和性がある。典型的には、シートアルミニウムなどのシート材料には、成形型によってシートを様々な形状に形成することを容易にする表面潤滑剤が提供される。例えば、本体パネルなどの自動車部品は、工具(型)摩耗を最小化しながら部品形状を確実に得ることができるように特別に配合された潤滑剤で形成される。次に、清浄、及び潤滑剤が溶接部の一貫性及び品質に影響を与えることなく、複数の形成された部品を溶接し得る。本開示の態様は、接合面での潤滑剤は、電極に曝露されるものに対するほどには、溶接品質に影響を与えないという認識である。スタックアップの電極接触面において、表面潤滑剤は、典型的には、電極の浸食及び摩耗を加速し、溶接部のむら、多孔性、亀裂、電極の固着、爆飛、及び小さな溶接サイズを生じる。例えば本開示によるグリットブラストによって、酸化物層の厚さが低減された電極接触面は、電極界面において生成される熱の量を減少させ、潤滑剤の有害な影響を埋め合わせる。
図1は、中央合金部分12、及び上側面18及び下側面20上にそれぞれ、酸化アルミニウム(Al2O3 )の層14、16を有するアルミニウム合金シート10を示す。Al酸化物表面は、酸化アルミニウム、亜酸化物、水酸化物、及びMg酸化物の混合物とすることができる。自動車製造では、様々な形成潤滑剤及びブランク洗浄コーティングも、溶接プロセス中に層14、16上に存在することが一般的である。アルミニウム合金は、シート及び押出成形物の両方を含む、1XXX、2XXX、3XXX、4XXX、5XXX、6XXX、又は7XXXシリーズにおける鍛錬アルミニウム合金のいずれか一つであってもよい。さらに、アルミニウム合金は、限定されるものではないが、サンドカスト及びダイカストを含む鋳造合金であってもよい。
図2は、本開示の実施形態による、電気抵抗溶接機140のアノード130電極とカソード132電極との間の二つのアルミニウム合金シート110A、110Bのスタックアップ105の概略図である。それぞれシート110A、110Bの酸化物層114A、114Bは、厚さが低減されているが、酸化物層116A、116Bは、製造者によって、例えば圧延ミル(図示せず)から製造されるのと同じ厚さのままである。層114A、112A、116A、116B、112B、及び114Bの各々は、アノード130からカソード130、132へ流れる電流Iに対して関連付けられる、スタックアップ105を通る合計抵抗RTとなる、抵抗114AR、112AR、116AR、116BR、112BR、及び114BRを有する。抵抗114AR、112AR、116AR、116BR、112BR、及び114BRは、図示を容易にするために、それぞれ対応する酸化物層114A、114Bに隣接して示される抵抗114AR及び114BRとともに、図式的に示され、原寸に比例しない。潤滑剤及びその他の材料が表面上に存在する(図示せず)ことも、総抵抗RTに寄与する。
圧延機から得られた5xxx及び6xxxタイプのアルミニウム合金シート上の酸化物層14及び16(図1)の厚さは、5nm~数百nmの範囲内である。溶接を表す力で1.5mmの5xxx-Oシート上の2Tスタックアップに対する電極間で測定された抵抗は、前述の材料の酸化物の厚さに応じて、1500マイクロオームを超える統計的最大値(平均+3*標準偏差)を有してもよい。酸化物層14が本開示に従って厚さが減少された後、例えば、図2の層114A、114Bによって示されるように、結果として生じる厚さは、5nm~50nmの範囲内である。層114A、112A、116A、116B、112B及び114Bのそれぞれを通る電気抵抗は、電気経路の組成(固有抵抗率を有する)及び寸法、すなわち、断面積及び厚さに依存する。酸化アルミニウムの抵抗率は非常に高いため、酸化物層114A及び114Bの厚さの実質的な減少は、電極接合部での溶接電流への抵抗加熱を実質的に減少させる。表面114A及び114Bの機械的摩耗を伴う1.5mm 5xxx-Oの2Tシートスタックアップの統計的最大抵抗はおよそ500マイクロオームであった。比較すると、材料の脱酸化(すべてのシート表面が酸化物を低減される)は、溶接界面における抵抗がより低いという理由で溶接電流がより高いことを必要とする500マイクロオーム未満まで統計的最大値を低減することができる。
酸化物層116A、116Bは、酸化物層114A、114Bよりも大きな厚さを有するため、酸化物層116A、116Bと関連付けられた電気抵抗は大きく、酸化物層116A、116Bを通過する電流Iによって生成される熱の量は、電流Iが酸化物層114A、114Bを通過するときに生成されるものと比較して相応に大きい。抵抗及び加熱における前述の差異により、酸化物層114A、114B及びアノード130及びカソード132に近接する中央合金部分112A、112Bが溶解する前に、所与の電流Iは、酸化物層116A、116B間の接合界面FIに近接する中央合金部分112A、112Bの溶解及び溶接を開始することができる。
例えば114Aのような、小規模の厚さの酸化物層では、その厚さの変動が、例えば溶接電極によって接触される表面積などの、所定の表面積にわたって起こることが予想され得る。マイクロレベルでは、酸化アルミニウムの中央合金部分12及び層14、16は、幾何学的に平坦ではなく、寸法的に変化する。例えば、中央合金部分12の上側面18(図1)は、中央合金部分12の平均高さ又は平均厚さの上下に広がる高点(凹凸)及び低点(ピット)を有すると予想され得る。結果として、電極、例えば130が、酸化物表面114(図2)に押し付けられると、中央合金部分112Aの高さの変動は、アノード電極130との接触領域にわたる電気伝導性の変動を引き起こし、その結果、高伝導性及び低伝導性の局所的な領域が経験されるであろうと予想することができる。上述のように、他の酸化物、要素、及び化合物は、酸化物層、例えば114A及び/又は界面130Iに存在し得る。したがって、酸化物の厚さが低減された表面、例えば114A、114Bは、より高い抵抗(「高抵抗(Hi Res)」)を保持する116A、116Bなどの未処理表面よりも、例えばグリットブラストなどの処理後のより低い抵抗(「低抵抗(Low Res)」)を有するとしてより一般的に記述され得る。酸化物層、例えば、114A、114B、又は116A、116Bの全体的な接触抵抗は、シートトポグラフィ、酸化物化学、及び酸化物の厚さの関数である。したがって、低抵抗(Low Res)界面は、多くの異なる方法で達成され得る。例えば、粗いトポグラフィ上のより厚い酸化物層は、より滑らかなトポグラフィ上のより薄い酸化物層と同じ接触抵抗を生じうる。本開示の一実施形態によれば、接合面(複数可)における抵抗がより高い一方で、電極とシート間の界面において均一で、一貫した、より低い抵抗を提供するトポグラフィ、酸化物の厚さ、及び化学作用の組み合わせを含むシステムは、接合界面における加熱及び溶接を促進し、電極接触界面、例えば、130Iにおける溶解、固着及び電極劣化を減少させる。
図3は、アルミナグリットでブラストされた6022-T4アルミニウム合金シートの表面の四つのトポグラフィ画像218A、218B、218C、218Dを示す。218Aに示される表面を生成するために、表面から5~6インチの距離で表面に垂直に、40psiの空気圧で動作し、約1と1/4平方インチのカバレッジを有するTrincoモデル36/BPメディアブラスターにより、サイズ54のグリットが表面上にブラストされた。七つのパスを3分間の合計ドエル時間にわたって実行し、粗さSa210μinの表面を生成した。218Bに示される表面を生成するために、サイズ54のグリットを60psiの空気圧で、ただし他のパラメータは前と同じで、表面上にブラストして、Sa240μinの粗さの表面を生成した。218Cに示される表面を生成するために、サイズ120のグリットを40psiの空気圧で、他のパラメータは前と同じで、表面上にブラストして、Sa90μinの粗さの表面を生成した。218Dに示される表面を生成するために、サイズ120のグリットを60psiの空気圧で、他のパラメータは前と同じで、表面上にブラストして、Sa113μinの粗さの表面を生成した。
図4は、6022-T4アルミニウムシートの五つの異なる表面のトポグラフィについての、平均Xプロファイル線グラフ318E、318F、318G、318H及び318Iを示す。Xプロファイルは、非接触光学表面プロフィルメーター装置(例えば、ZeScope)を使用して取得された3次元トポグラフィ画像から取得された。プロファイル線318Iは、60psiで120グレードのアルミナグリットによりブラストされた表面から生成され、凹凸Aと低点Lとの間の15μmの高さの差を実証した。一実施形態では、グリットブラストされたシートの表面粗さは、約30μin~300μinである。
図5は、60psiで120グリットのアルミナを用いてグリットブラストした後の6022-T4アルミニウムシートの表面418IのSEM画像を示す。これは、図4の線318I及び図3の218Dによって示される表面と同じ表面である。鋭い凹凸Aは、電極130によって接触された時に図2の114Aのような酸化物層を破砕し、したがって、均一な電流分布のための多数の電気経路を生成する。表面は、図3及び4に示すように、多数の鋭い凹凸Aによって特徴付けられる。本開示によれば、グリットブラストは、表面から初期の厚い酸化物層、例えば、16(図1)を除去する。グリットブラストによって除去される、例えば14などの厚い酸化物層(6~10nmの典型的な厚さ)は、空気への曝露のために、室温で中央合金部分112A上に形成される新しい、より薄い(公称3~4nm)酸化物層、例えば114Aに直ちに置換される。新しい酸化物層114Aは、非結晶性Al2O3からなり、初期酸化物層14よりもはるかに薄いため、初期ミル仕上げ酸化物層14、16と比較してより低い電気抵抗を有する。初期の酸化物層14、16は、例えば熱間圧延、冷間圧延、熱処理などによる調製中にシート10が受けた様々な処理工程の間に形成され、それらの実質的な厚さを生じさせる。本開示によるグリットブラストのその他の結果は、Al12(Fe、Mn)2Si、Al3(Fe、Mn)、Mg2Si、Al3Mg2、及びバリアントなどの、第二相の粒子の一部が、ブラストプロセス中に除去され、表面の化学的不均一性が低減されるということである。さらに、グリットブラストは、グリットブラストされた表面(複数可)に圧縮残留応力を誘導し、基材金属のプラスチック収率がより低く印加される溶接力で開始されて、全力でより高いレベルの完了に近づくにつれて、電極/シート接触を改善する。
実験結果
6022-T4アルミニウムシートの125×450mm×0.9mm厚のパネルについて、溶接性試験を実施した。基準状態はミル仕上げであり、追加の表面処理も変換コーティングも適用されなかった。改善された状態は、上述のように、60psiで120アルミナグリットで片側にグリットブラストされた。MP404潤滑剤を、100mg/平方メートルの被覆率ですべての表面に適用し、例えば自動車本体及びパネルの製造においてなどの、典型的な業界状態を表した。パネル同士を溶接し、溶接パラメータを変更することなく合計300回の溶接を連続的に実行して、各状態を試験した。次いで、パネルを、接合界面FIに共に位置する、例えば図2の層116A、116Bのような、手つかずの酸化物層を有するミル仕上げ表面と、溶接機械140のアノード130及びカソード132にそれぞれ隣接して位置する、グリットブラストに起因する薄い酸化物層114A、114Bとを伴う、図2のスタック105のような、スタックに組み立てた。溶接機140は、およそ500mmの喉厚のピンチ式サーボガン上の、一般的にMFDCと呼ばれる中周波DCを用いるタイプであった。溶接パラメータは以下の通りであった:400daNの溶接力、5kAの予熱ステップを33ミリ秒、その直後に67ミリ秒の26kAの溶接パルス。すべての溶接は、直径16mm、面半径50mmのRWMAクラス2銅オス型電極を通して行われた。各125×450mmのパネル上で、100回の連続溶接を、毎分およそ10回溶接する速度で行った。各パネル上の溶接は、それぞれ20の溶接部がある5つの行に沿って行われた。溶接を行った後、パネルをロール剥離し、検査し、100個のすべての溶接部を破壊試験し、ボタンの引き出し直径(button pullout diameter)を測定した。GMTが支配金属ゲージを示す3.5√GMT未満の溶接ボタンの引き出しは、不具合又は過小サイズであるとみなされた。剥がされた時にボタンを引き出さない、すなわち界面破壊のない、溶接は、融合界面破壊(fused interfacial fracture)が上記3.5√GMT超であったとしても、不具合な溶接とみなされた。
図6は、グリットブラストされた状態について前段落に記載される材料及び手順を使用して作製された、三つの溶接されたアセンブリ505WA、505WB、505WCを示す。上部シート510Aは、溶接部550によって底部シート510B(下縁に沿ってのみ見える)に接合された。合計300個の連続した溶接部550を、上記のパラメータを使用して作製した(アセンブリ505WA、505WB、505WC当たり100個の溶接部550)。すべての溶接部は良好な品質であり、電極130、132(図2)のシート510A、510Bへの固着、又は電極上のアルミニウムの蓄積は観察されなかった。
図7は、図6のそれぞれアセンブリ505WA及び505WCの二つの部分の拡大断片7S1、7S2である。溶接は、溶接部550Sで開始され、アセンブリ505WAで100個の溶接がなされるまで、連続する行及び列で上方向に進んだ。アセンブリ505WB及び505WCに対して同じ溶接アプローチが行われ、アセンブリ505WC上の最後の溶接部550Lで終わった。目視検査から理解され得るように、第一の溶接部550S及び最後の溶接部550Lは、同じ寸法及び外観を有する。最初及び最後の溶接部550S及び550Lはまた、溶接強度及び完全性に関して同じ品質を有することも証明された。これは、電極とシート界面との間の低い抵抗から電極の浸食がないことが、多数の溶接操作にわたって優れた溶接品質及び一貫性を可能にしたことを示す。
図8Aは、アセンブリ505A、505B、及び505Cを形成するために使用された、すなわち、300個の溶接部550の完了後に、検査トレー634に取り付けられたアノード630及びカソード632電極を示す。電極630、632を調べて、摩耗又は蓄積を示さなかったことが見出され、本開示によるアルミニウムシートのRSW溶接が、電極のドレッシングが必要とされる前に、より多くの溶接部を形成し続けることができたことを示す。二つの溶接されたシート10の両側の厚い酸化物層14、16を有するミル仕上げ表面の同等な溶接は、約50回の溶接後に電極劣化と、300回の溶接後に過度の浸食を示す。さらに、ミル仕上げ状態のシートの300回の溶接を通して電極の固着が観察された。
図8Bは、カソード溶接電極732AI、732AF、732BI、732BF、732CI、732CF、732DI、732DFそれぞれの、四つの比較写真セット732A、732B、732C、732Dを示す。カソードは、一連の溶接試験で使用される前の初期状態732AI、732BI、732CI、732DI、及び300回の溶接を行った後の最終状態732AF、732BF、732CF、732DFで示されている。写真732Aに示すように、従来のアプローチを使用してミル仕上げ5182アルミニウム合金上に300回の抵抗スポット溶接を行った後、カソード電極732AFの状態は著しく劣化する。対照的に、写真732Bは、アノード130(図1)と接触する酸化層、例えば114Aのグリットブラストを使用する本開示によるRSW溶接により、5182アルミニウムに300回の抵抗スポット溶接を行った後に、カソード732BFが深刻に劣化しないことを示す。同じ結果は、写真732C及び732Dにおいて明らかであり、本開示の教示に従ってグリットブラストされたシートを使用したカソード732DFの、同じタイプの材料において同じ数の溶接をした後と比較して、カソード732CFの状態は、6022ミル仕上げアルミニウム合金における300回の抵抗スポット溶接後に深刻に劣化する。
図9は、すべての表面がミル仕上げ状態である厚さ0.9mmの6022-T4アルミニウム合金の二枚のシートの、300回のRSW溶接の過程での溶接ボタンサイズ(直径)のグラフ860を示す。およそ200回の溶接後、ボタンの直径は臨界値を下回った、よって不安定であるとみなされる。以下の表1は、図9に示す溶接試験から得られた実際の溶接データを示す。データは、全表面ミル仕上げの0.9mm 6022-T4で、300回の連続溶接に対して溶接ボタンの直径が測定された溶接ボタンの直径を示すように正規化された。表1では、透明セルは、3つの溶接パネル上の不具合な溶接(ボタンの直径が3.5√GMT未満)の位置を示す)。図9は、ミル仕上げアルミニウムが、約200回の溶接後に不具合を示したことを示す。安全マージンと製造ばらつきを考慮する場合、約50回の溶接というドレッシング間隔が必要となる。
図10は、電極側面がグリットブラストされ、ミル仕上げ状態の接合側面を有する、二つの0.9mm厚の6022-T4アルミニウム合金のRSW溶接についての、溶接ボタンサイズのグラフ960を示す。図10に図示した結果は、300回の溶接を通して安定した性能で溶接が進められたことを示し、不具合が観察される前に、より高いレベルの良好な性能を達成することが期待される。鋼RSWについての典型的な業界慣行は、250回程度の溶接で電極ドレッシングを伴い、図10に示す結果は、鋼RSWドレッシングサイクルと比較して遜色ない。以下の表2は、図10に示す溶接試験から得られた実際の溶接データを示す。
表2のデータは、本開示によるグリットブラストされたシートプロセスを使用して達成された溶接の一貫性の点から溶接ボタンの直径を示すように正規化された、そしてその溶接の一貫性を示す。具体的には、表2は、0.9mm 6022-T4(電極側はグリットブラストテクスチャ加工、接合側はミル仕上げ)の300回の連続溶接について測定された溶接ボタンの直径を示す。表2では、透明セルは、三つの溶接パネル上の不具合な溶接(ボタンの直径が3.5√GMT未満)の位置を示す。ミル仕上げ状態でのアルミニウムシートの溶接に関する図9及び表1に示す結果とは異なり、溶接ボタンのない冷間溶接はなかった。図9及び10に図示した二つの溶接状態間の唯一の違いは、図10で溶接されたシートの電極側面はグリットブラストされ、図9及び10の両方の接合面はミル仕上げであることであった。本開示によれば、電極の摩耗、特にアノードの摩耗及び浸食を制御することは、アルミニウムの抵抗溶接プロセスの長期的な一貫性を著しく改善する。
本開示の別の実施形態では、アノード130と接触するシート10上の厚い酸化物層14のみが、すなわち界面130Iで、グリットブラストで除去され、カソード132と接触するシート10上に存在する厚い酸化物層14は、すなわち界面132Iで、そのままである。本開示の態様は、劣化が、スタックアップ105とアノード130との間の界面130Iで、より早期に発生し、より速く増大するという認識である。結果として、アノード130と接触する側、すなわち界面130I、でのみ、酸化物の厚さを低減されたスタックアップ105は、改善された、すなわちより低い、ドレッシング頻度を示す。
電極界面(複数可)130Iで抵抗が低減された電極接触シート表面(複数可)の使用は、生産的に使用されうる電極タイプ及び/又は材料の範囲にも影響を与える。銅系電極は、80%のIACSに近づく、高強度及び伝導性を示す。典型的な銅電極としては、RWMAクラス1(CuZr、又は銅協会名称(copper association designation)C15000)、クラス2(CuCr又はC18200及びCuCrZr C18150)、及び分散強化銅(DSC又はC15760)が挙げられる。クラス1電極は、接触界面において生成される熱を低く保ち、損傷及び固着を防止する並外れた電気及び熱伝導性を有するように意図的に選択される。アルミニウムミル仕上げ表面は、典型的には、非常に高い伝導性の銅(すなわちクラス1)の固着を最小に保ち続ける必要があり、一方、鋼のRSWはクラス2電極を使用できる。クラス1電極はクラス2電極ほどの二次熱を提供しないため、アルミニウムのRSWは、鋼板のRSWと比較して、より高い電流からの追加のジュール加熱を必要とする。
本開示の別の実施形態によると、タングステン(100W又はC74300)、一般的にエルコナイト(1W3/5W3又はC74450、10W3又はC74400、30W3又はC74350)やモリブデン(C42300)と呼称される、タングステン-銅ブレンドなどの材料を含むがこれに限定されない、耐熱性金属電極は、従来のクラス1及び2の銅グレードより有意に低い電流でアルミニウムに溶接部を生成することができる。耐熱性金属電極は、60%未満の、及び多くの場合30~50%の範囲であるIACSの伝導性を有する。
図11及び12は、グラフ1060(溶接電流及び溶接時間の影響を考慮する)、及び1160(溶接電流及び溶接力の影響を考慮する)を示し、それぞれ、クラス2(標準RSWと記載)及び純粋なタングステン(100Wと記載)の両方の電極を用いて、1.1mm 6022-T4シート上に作製された溶接部を特徴付ける。グラフ1060及び1160は、ミル仕上げシートを使用した溶接結果を示しており、青色の点は3sqrt(t)未満、オレンジ色は3 ~4sqrt(t)、黄色は4~5sqrt(t)、緑色は5~6sqrt(t)を示す。 両方の図に示すように、同様の溶接時間と力を用いる一方で、溶接部はタングステン電極を用いて、従来のクラス2電極よりも20~30%低い電流で作製することができる。このプロセスは、抵抗溶接プロセスよりもはるかに低い力で動作するが、高い溶接時間を伴う抵抗ろう付けとは異なる。各個々の溶接パラメータセットについて、いくつかの溶接部を作製し、剥離試験を行い、その結果得られた溶接部を測定した。12~22kAの範囲の電流は、許容可能な溶接ボタンサイズを生成した。これは、従来のクラス2溶接電極の24~32kAと比較して、電流の大幅な減少である。鋼を溶接するためにサイズ決めされた機器は通常、20kA程度の溶接電流制限を有する。したがって、耐熱性金属電極は、エンドユーザーに、鋼を現在溶接している既存の機器を変更することなく、RSWを介してアルミニウムシートを接合する能力を提供する。タングステンに加えて、モリブデン又はニッケル成分を有する電極は、対で、又はこの群の一つの材料から作製された一つの電極と異なる材料から作製された別の電極とで、のいずれかで、同様に利用され得る。これにより、溶接機器(トランス、ガン、制御装置)、ロボット工学(より軽量のペイロード能力、より速いロボット速度)、変電所容量(アップサイズ不要)、及び柔軟性(既存のシステムで複数の材料を処理する)から、資本コストの節約がもたらされる。
耐熱性金属系電極は、必要な溶接電流を低下させるという点で利点を提供するが、従来の銅電極材料の安定した長期性能は示さない。図11及び12の溶接結果を生成する際に、タングステン電極を、各溶接パラメータ設定(およそ溶接部3~5つおき)の後に200グリットのエメリー研磨紙で清浄した。10個超の溶接部を連続的に作製すると、アノード上にアルミニウムの著しい蓄積が観察された。
図13は、溶接プロセスパラメータ試験及び電極寿命試験の両方に使用されるタングステン電極1230(アノード)及び1232(カソード)を示す。6mmのタングステンディスク1230T、1232Tは、標準CuCr電極1230S、1232Sにろう付けされて、それぞれ複合アノード1230及びカソード1232を形成し、以下、より単純に“タングステン電極”と称される。タングステン電極1230、1232は、上述の同じ溶接機器、すなわち、500mmピンチガン、16mm電極直径、50mm面半径などにおいて使用されたが、従来のクラス2銅電極よりも低い電流を使用した、例えばタングステン電極では67ミリ秒で20kA、対する銅電極では67ミリ秒で28kA。この機構を使用して、各々1.1mmの厚さの、ミル仕上げ6022-T4アルミニウム合金シート二つを溶接した。およそ10回以内の溶接で、著しいアノードの固着が観察され、大量の材料が電極から引き出された。
図14は、前段落に記載される条件下で100回の連続溶接の後の、タングステン電極、すなわち、図13に示すようなアノード1330及びカソード1332を示す。カソード1332の蓄積はほとんどなかったが、アノード1330はかなりの量のアルミニウムを収集し、タングステン部分に局所的なひび割れを引き起こした(図13の1230Tを参照されたい)。これらの結果は、耐熱性電極によって示される比較的高い抵抗に関連する高熱及びシート材料の収集が理由で、ミル仕上げアルミニウムシートが耐熱性電極でのRSW溶接を許容しないことを示す。
本開示の態様は、溶接に起因するアノード及びカソードの劣化/摩耗が関連しているという認識である。この関係は、クラス2の銅電極及びタングステン電極を使用して、上記の段落で上述した同じ1.1mmの6022-T4シート上に作製した一連の100回の溶接で示された。これらの試験では、銅アノード及びタングステンアノードは両方とも、毎溶接後に200グリットのエメリー研磨紙でドレッシングされたが、カソードは100回の連続溶接の間、清浄されなかった。タングステン電極及び銅電極の両方について、カソード上に摩耗は観察されず、このことは、アノードが顕著な摩耗及び浸食を示さない場合、カソードもまた摩耗を示さないことを示した。本開示の一実施形態では、タングステンアノード上の蓄積は、本開示の教示に従って、例えばグリットブラストによって確立されるスタックアップとの低抵抗界面によって、低減され得る。グリットブラストされたアノード接触面は、この低抵抗界面を提供し、タングステン電極の使用を可能にし、それによって、関連するより低い溶接電流を使用することの利点を実現することができる。
別の実験では、上述の溶接試験で使用されるような二つの6022-T4シートのそれぞれの両面を、グリットブラストした。MP404潤滑剤をシートのすべての側面に塗布した。RSWによる溶接は、同じ溶接設定を使用して上述のように行われた。この実験は、溶接が行われていなかったことを示した。この結果は、接合界面における処理済み表面の低電気抵抗に起因し、接合する表面を溶解して、それらを接合するのに十分な熱を生じることができなかったのである。
前述の同じクラス2の電極材料、形状、溶接機器、及び溶接パラメータを使用して、0.9mm 6022-T4上の様々な他のアルミニウム合金シート表面に対して、300回RSW溶接の追加のセットを実施した。これらの材料は、従来の、及びEDT仕上げの表面に対して、ミル状態で、及びArconic 951(商標)前処理を用いて、の両方で行われた。これらの材料は、現在自動車産業で供給されている市販のアルミニウム合金シート材料を代表するものであり、上述のミル仕上げシートと同様の電極浸食及び固着、すなわち、50回の溶接後の電極劣化及び300回の溶接後の過度の浸食を示した。
本開示の態様は、抵抗溶接プロセスの一貫性及び反復性を改善し、RSW溶接ミル仕上げアルミニウムと比較して、破壊をもたらすような分解、及びRSWプロセスの効率の改善の必要性を低減する、アルミニウムシートの表面を強化する方法に関する。本開示の一実施形態によれば、電極/スタックアップ界面(複数可)での選択的な表面強化は、シート間(又は接合)表面でよりも、電極/スタックアップ界面での抵抗が低くなり、電極の摩耗及び浸食を減少させる。従来の銅系電極を使用する場合、電極ドレッシング及び交換を延長してプロセスの効率を高めることができる。さらに、選択的な表面強化により、耐熱系金属及び合金、ならびにニッケル系合金などの代替的な電極材料を採用することが可能になる。これらの電極材料は、電気及び熱伝導性がより低いため溶接に追加的な熱を提供し、また従来のアルミニウム表面はこれらの材料から作製された電極を非常に迅速に損傷するため、表面強化を施した場合でのみ使用できる。本開示のアプローチは、低減された電流レベルでの抵抗溶接を可能にし、ユーザーに対して、鋼を溶接するために採用されるのと同じ抵抗溶接機器でアルミニウムを溶接することを可能にする。
図15は、例えば、一対の溶接電極、すなわちアノード1430とカソード1432の間に位置する1410A1及び1410B1のような、アルミニウム合金シートの二つのシート(2T)RSWのスタックアップ1405A、1405B、1405C、1405Dの四つを示す。スタックアップ1405Aは、二つのミル仕上げシート1410A1、1410B1からなる基準構成を示し、これは、表面処理又は変換コーティングを、すべての表面に対して一貫して適用してもよいし、適用しなくてもよい。上述したように、本開示の態様は、アノード1430との界面で、例えばスタックアップ1405Bの1410A2のようなシートの表面上に、より低い電気抵抗酸化物層1414Aを有し、及び対向側の接合界面で、例えば1416Aのようなより高い電気抵抗層を有するスタックアップである。一実施形態では、スタックアップ1405Bによって示されるように、両側1414A及び1416Aの抵抗は、片側のアノード1430との接触界面にわたって、及び上部シート1410A2と底部シート1410B2との間の界面(接合界面)にわたって、安定しており一貫性がある。上部シート1410A2の好ましい配向は、低抵抗側(「Low Res」)をDCタイプの溶接システム用のアノード電極1430に接して配置する配向である。スタックアップ1405B、1405C及び1405Cは、様々なスタックアップを示しており、低抵抗層1416Aが、基準スタックアップ1405Aよりも改善されたRWSを提供するために利用される。スタックアップ1405B、1405C及び1405Cのそれぞれにおいて、アノード1430は、低抵抗面層1414Aに接触する。低抵抗層1414Aを有する上側にあるシート1410A2、1410A3、1410A4は、スタックアップ1405Bでのように、従来的なミル仕上げシート、例えば1410B2と対にすることができ、スタックアップ1405Aの基準構成よりも強化された溶接性能をさらに提供する。あるいは、下側にあるシートは、低抵抗表面層1416C(スタックアップ1405C)又は1414C(スタックアップ1405D)を有してもよく、これは、接合界面又はカソード界面にあり、スタックアップ1405Aの基準よりも強化された溶接を提供する。少なくともアノード側に高溶接性のシートを有することは、基準構成と比較してRSW性能が増加するので、この柔軟性は、複数の供給源から受容される構成要素が一緒に接合されるような商用環境において有益である。スタックアップ1405Cに示されるように、低抵抗層1416Aを有するシート1410A3は、別の類似のシート1410B3と対にすることができる。スタックアップ1405Dに示されるように、低抵抗層1416Cは、カソード1432に接触するように位置付けられ、カソード1432の摩耗又は浸食を低減することが好ましいが、接合界面で高抵抗(High Res)層1416Aに接して位置付けられて、基準構成と比較して層1410A3及び1410B3のRSWの改善をさらにもたらしてもよい。底部シート、例えば1410B3又は1410B4のすべての表面は低抵抗タイプであってもよいが、これは、スタックアップ1405DのRSWに要求されるものよりも少なくとも10%~20%高い溶接電流を必要とする。表3は、図15に示すもののような、考えられる表面位置の組み合わせ、特に、二層のスタックアップについて強化された溶接性能のための高溶接性製品のシート配向を示す。
図16は、例えば、一対の溶接電極、すなわちアノード1530とカソード1532の間に位置する1510A1及び1510B1のような、アルミニウム合金シートの二つのシート(2T)RSWのスタックアップ1505A、1505B、1505C、1505Dの四つを示す。スタックアップ1505Aは、二つのミル仕上げシート1510A1、1510B1からなる基準構成を示し、これは、表面処理又は変換コーティングを、すべての表面に対して一貫して適用してもよいし、適用しなくてもよい。上述したように、本開示の態様は、アノード1530との界面で、例えばスタックアップ1505Bの1510A2のようなシートの表面上に、より低い電気抵抗酸化物層1514Aを有し、及び例えば1510A2のような上部シートの対向側の接合界面で、例えば1516Aのようなより高い電気抵抗層を有するスタックアップである。一実施形態では、低抵抗表面1514Aは、アノード1530及びカソード1532との界面においてアルミニウムシート1512A、1512Bを著しく溶解したり、電極を損傷したりすることなく、熱及び電気伝導性が低い材料から作製されたアノード及びカソードの使用を可能にする。したがって、タングステンなどの電極材料を用いることができ、これは必要な溶接電流を少なくとも10%低減することができる。また、耐熱性電極を使用して、別個の形状シグネチャを有する異なる形状の溶接ナゲットを作製してもよい。耐熱性電極で作製された溶接部は、より楕円形である銅電極で作製された従来のRSW溶接よりも断面が正方形に近い。
図17は、三層(3T)RSW溶接スタックアップ1605を有する、本開示の別の実施形態を示す。アルミニウムの3T RSWスタックアップは、シート表面の変動が理由で一般的ではなく、典型的には、二枚のシートを最初に溶接し、その後これらのシートのうちの一枚を三枚目のシートに溶接するという、二段階作業を必要とする。この二段階アプローチは、溶接の数を増加させ、最終的には三枚のアルミニウムシートを接合するためのプロセスのコストを増加させる。上部シート1612A上の低抵抗層1614Aの開発は、例えば、グリットブラストによって、3Tスタックアップ1605のRSWを促進するために使用され得る。2T接合の場合のように、アノード電極1630は、第一のシート1612Aの低抵抗層1614Aと接触して、電極の摩耗及び浸食を低減する。以下の表4は、3Tスタックアップのシート表面の相対的な抵抗レベル及び位置を表し、その中には、すべての表面がミル仕上げである基準スタックアップ、ならびにアノード界面に低抵抗表面を有する少なくとも一つのシートを利用する、本開示による九つのバリエーションを含む。シート1は、その上側面でアノード1630に接触する上部シートである。九つのバリエーションのうちの一部では、三つのシートのうち二つが、低抵抗表面を一つ有し、九つのバリエーションのうちの一部では、三つのシートのうち三つが、低抵抗表面を一つ有する。
シート2及び3は、従来的なアルミニウム(ミル仕上げ)又は低抵抗側を有するシートであってもよい。低抵抗は、ミル仕上げと対にすると良好な溶接性能を示すため、良好な溶接を3T接合部で得ることができる。一つの低抵抗表面を有するシートが別のそのようなシートに隣接して積み重ねられる場合、隣接する接合面は、好ましくは、接合界面に熱を提供する、ミル仕上げ表面などの高抵抗表面である。一般的に、高抵抗表面に隣接して位置付けられた低抵抗表面は、より良好な接触均一性を有し、二つの高抵抗表面が並置される場合よりも改善された溶接性能をもたらす。界面にわたる電流移動の均一性におけるこの改善は、溶接品質の大幅な向上をもたらし、アルミニウムの3T溶接を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではなく、多くの変更が当業者には明らかになり得ることを理解されたい。さらになお、様々なステップを任意の所望の順序で実行することができる(及び任意の所望のステップを追加することができ、及び/又は任意の所望のステップを排除することができる)。そのような変形及び変更はすべて、本開示の範囲内に含まれるものとする。
Claims (36)
- 抵抗溶接のための方法であって、
(A)アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第一の部材を提供する工程と、
(B)アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第二の部材を提供する工程であって、前記第一の部材及び前記第二の部材の各々が、第一の電気抵抗を有する第一の外面と、第二の電気抵抗を有する第二の外面と、第三の電気抵抗を有する内部とを有する、第二の部材を提供する工程と、
(C)より低い抵抗面を生成するために、前記第一の部材の前記第一の外面の少なくとも一部分の前記電気抵抗を減少させる工程であって、前記第一の部材の前記第二の外面は、前記より低い抵抗面よりも高い電気抵抗を保持し、より高い抵抗面である、減少させる工程と、
(D)前記第一の部材を前記より高い抵抗面で前記第二の部材に接して配置して、前記第二の部材の前記第一又は第二の外面のいずれかに当接させ、二層スタックアップを作る工程と、
(E)アノード及びカソードを有する電気抵抗溶接機を提供する工程と、
(F)前記アノードを前記より低い抵抗面に接して位置付け、前記カソードを前記スタックアップの前記第二の部材に接して位置付ける工程と、
(G)溶接電流を前記スタックアップに通過させる工程であって、前記第一の部材と前記第二の部材との間の当接面で溶接部を生成する、通過させる工程と、を含む、方法。 - 前記減少させる工程が、前記第一の外面をグリットブラストすることによってである、請求項1に記載の方法。
- 前記グリットブラストは、30μin~300μinの表面粗さを生じる酸化アルミニウムグリットを用いて実施される、請求項2に記載の方法。
- 前記減少させる工程が、化学処理によってである、請求項1に記載の方法。
- 前記当接面が、ミル仕上げ表面である、請求項4に記載の方法。
- 前記第一及び第二の部材の前記第一及び第二の外面が酸化物層を含み、前記酸化物層は前記減少させる工程の間、より低い抵抗面上で薄くなる、請求項4に記載の方法。
- 前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくとも一つがシートである、請求項6に記載の方法。
- 前記第一の部材及び前記第二の部材の両方がシートである、請求項7に記載の方法。
- 前記通過させる工程の後に、前記アノードをドレッシングする工程をさらに含み、前記通過させる工程は、ドレッシングの各工程を実施する前に200回超実施される、請求項8に記載の方法。
- 前記第二の部材の前記第一の外面の前記電気抵抗を減少させて第二のより低い抵抗面を生成する工程をさらに含み、前記カソードは前記位置付ける工程の間、前記第二のより低い抵抗面に接して位置付けられる、請求項9に記載の方法。
- 少なくとも部分的にアルミニウムから構成された第三の部材を提供する工程であって、ここで前記第一の部材及び前記第二の部材の前記スタックアップは、二層スタックアップである、提供する工程と、前記二層スタックアップを前記第三の部材に当接して配置して三層スタックアップを生成する工程であって、前記二層スタックアップの前記第三の部材との前記当接面の各々は接合面である、生成する工程と、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
- 前記第一又は第二の部材の前記第一及び第二の表面のうちの少なくとも一つの上に配置された潤滑剤が、前記通過させる工程の間、前記表面上に留まっている、請求項11に記載の方法。
- 前記第一又は第二の部材の前記第一及び第二の表面のうちの少なくとも一つが、前記通過させる工程の間、前記表面上に留まる変換コーティングを有する、請求項12に記載の方法。
- 前記アノード及びカソードが、少なくとも部分的に耐熱性金属から構成される、請求項13に記載の方法。
- 前記耐熱性金属がタングステンである、請求項14に記載の方法。
- アルミニウム合金材料であって、
(A)第一の電気抵抗を有する第一の外面と、
(B)第二の電気抵抗を有する第二の外面と、
(C)第三の電気抵抗を有する内部であって、前記第一の外面の前記電気抵抗が前記第二の外面よりも低い、内部と、を備える、アルミニウム合金材料。 - 前記第一及び第二の外面が、酸化物層を含む、請求項16に記載の材料。
- 前記第一の外面の前記酸化物層が、前記第二の表面の前記酸化物層よりも薄い、請求項17に記載の材料。
- 前記第一の部材の前記第一の外面の前記酸化物層が、厚さ3nm~50nmの範囲内である、請求項17に記載の材料。
- 前記第一の部材の前記第一の外面が、30μin~300μinの範囲の粗さを有する、請求項19に記載の材料。
- 前記第一の部材の前記第一の外面の前記酸化物層が、非結晶性Al2O3から少なくとも部分的に構成されている、請求項20に記載の材料。
- 前記第一の部材の前記第二の外面が、ミル仕上げ表面である、請求項21に記載の材料。
- 前記第一及び第二の外面のうちの少なくとも一つが、その上に潤滑剤を有する、請求項22に記載の材料。
- 複合材であって、
アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第一の部材と、
アルミニウムから少なくとも部分的に構成された第二の部材であって、前記第一の部材及び前記第二の部材のそれぞれは、第一の電気抵抗を有する第一の外面と、第二の電気抵抗を有する第二の外面と、第三の電気抵抗を有する内部とを有し、前記第一の部材の前記第一の外面の少なくとも一部分の前記電気抵抗は、前記第一の部材の前記第二の外面の前記電気抵抗よりも低く、前記第二の外面はより高い抵抗面である、第二の部材と、
前記第一の部材は前記より高い抵抗面で前記第二の部材と並置され、前記第二の部材の前記第一又は第二の外面のいずれかに当接し、
前記第一の部材及び前記第二の部材の前記当接面を接合する溶接部と、を備える、複合材。 - 前記溶接部が抵抗スポット溶接部である、請求項24に記載の複合材。
- 前記第一の外面の前記部分が、グリットブラストされた表面である、請求項25に記載の複合材。
- 前記当接面がミル仕上げ表面である、請求項26に記載の複合材。
- 前記第一及び第二の外面が酸化物層を含み、前記第一の部材の前記第一の外面の前記酸化物層が、その前記第二の表面の前記酸化物層よりも薄い、請求項27に記載の複合材。
- 前記第一の部材の前記第一の外面の前記部分の前記酸化物層が、厚さ3nm~50nmの範囲内である、請求項28に記載の複合材。
- 前記第一の部材の前記第一の外面の前記部分が、30μin~300μinの範囲の粗さを有する、請求項29に記載の複合材。
- 前記第一の部材の前記第一の外面の前記部分の前記酸化物層が、非結晶性Al2O3から少なくとも部分的に構成されている、請求項30に記載の複合材。
- 前記第一の部材の前記第二の外面が、ミル仕上げ表面である、請求項24~31のいずれかに記載の複合材。
- 前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの少なくとも一つがシートである、請求項32に記載の複合材。
- 前記第一の部材及び前記第二の部材の両方がシートである、請求項33に記載の複合材。
- アルミニウムで少なくとも部分的に構成された第三の部材をさらに含み、前記第二の部材は前記第三の部材に当接し、前記第二の部材を前記第三の部材に接合する第二の溶接部をさらに含む、請求項34に記載の複合材。
- 前記複合材が、車両本体の一部を形成する、請求項35に記載の複合材。
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