JP2022180216A - 重合性組成物及びフッ素含有ノルボルネン系樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性に優れたフッ素含有ノルボルネン系樹脂を与えることのできる重合性組成物を提供する。【解決手段】重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含む重合性組成物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、耐衝撃性に優れたフッ素含有ノルボルネン系樹脂を与えることのできる重合性組成物、及び、このような重合性組成物を用いて得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂に関する。
ノルボルネン系モノマーを開環重合させることにより得られるノルボルネン系樹脂は、機械的強度、耐熱性、低吸湿性、誘電特性等に優れることが知られており、種々の用途に用いられている。
例えば、特許文献1では、2つ以上の反応性二重結合を有する多環式モノマーと、1つの反応性二重結合を有する環式モノマーとの開環メタセシス重合により形成されるポリマーに関する技術が開示されている。この特許文献1には、反応性二重結合を有する環式モノマーとして、反応性二重結合を有するフッ素化環式モノマーを使用することで、離型性の向上が可能となるとの開示がなされている。
一方、ノルボルネン系モノマーを開環重合させることにより得られるノルボルネン系樹脂においては、用途によっては、耐衝撃性に優れることが求められているところ、上記特許文献1の技術では、耐衝撃性が十分なものではなかった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐衝撃性に優れたフッ素含有ノルボルネン系樹脂を与えることのできる重合性組成物、及び、このような重合性組成物を用いて得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく検討を行ったところ、ノルボルネン系モノマー及びメタセシス重合触媒を含有する重合性組成物に、さらに、重合性モノマーとして重合性フッ素化合物を配合し、界面活性剤を用いて相溶化させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含む重合性組成物が提供される。
本発明の重合性組成物において、前記重合性モノマー中における、前記重合性フッ素化合物の割合が5~20質量%であることが好ましい。
本発明の重合性組成物において、前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。
本発明の重合性組成物において、前記ノルボルネン系モノマーが、ジシクロペンタジエンを50質量%以上の割合で含有することが好ましい。
本発明の重合性組成物は、単独では重合反応を生じない2以上の予備配合液からなり、前記予備配合液を合わせることで前記重合性組成物を形成しうるものであることが好ましい。
本発明の重合性組成物において、前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。
本発明の重合性組成物において、前記ノルボルネン系モノマーが、ジシクロペンタジエンを50質量%以上の割合で含有することが好ましい。
本発明の重合性組成物は、単独では重合反応を生じない2以上の予備配合液からなり、前記予備配合液を合わせることで前記重合性組成物を形成しうるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記の重合性組成物を塊状重合してなるフッ素含有ノルボルネン系樹脂が提供される。
本発明によれば、耐衝撃性に優れたフッ素含有ノルボルネン系樹脂を与えることのできる重合性組成物、及び、このような重合性組成物を用いて得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂を提供することができる。
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含有する。
本発明の重合性組成物は、重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含有する。
ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環構造を有する化合物であればよく、特に限定されないが、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体;ジシクロペンタジエンなどの三環体;テトラシクロドデセンなどの四環体;トリシクロペンタジエンなどの五環体;テトラシクロペンタジエンなどの七環体;及び、これらの、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、炭素数1~10のアルキリデン基、エポキシ基、又は(メタ)アクリル基〔CH2=CHCH2-及び/又はCH2=C(CH3)CH2-〕を有する誘導体などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル基」とは、アクリル基及び/又はメタクリル基の意である(以下、「(メタ)アクリロイル基」等も同様。)。ノルボルネン系モノマーは、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ノルボルネン系モノマーとしては、本発明の作用効果をより高めることができるという観点より、前記三環体が好ましく、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。用いるノルボルネン系モノマーには、前記三環体、中でもジシクロペンタジエンが、50質量%以上含まれるのが好ましい。
本発明の重合性組成物中における、ノルボルネン系モノマーの含有量は、特に限定されないが、重合性組成物に含有させる重合性モノマー全体100質量%中、好ましくは80~95質量%であり、より好ましくは85~92質量%であり、さらに好ましくは87~90質量%である。ノルボルネン系モノマーの含有量を上記範囲とすることにより、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂の耐衝撃性をさらに高めることができる。
また、本発明の重合性組成物は、重合性モノマーとして、上記したノルボルネン系モノマーに加えて、重合性フッ素化合物を含有する。
重合性フッ素化合物は、メタセシス重合触媒の作用により、ノルボルネン系モノマーを開環重合(開環メタセシス重合)させた際に、その重合機構上、通常、重合体末端に結合することとなる。そのため、本発明によれば、重合性フッ素化合物を用いることで、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂を構成する重合体を、末端フッ素化変性されたものとすることができ、これにより、ノルボルネン系樹脂としての特性を十分に維持しながら、耐衝撃性の向上効果を適切に付与できるものと考えられる。なお、重合性フッ素化合物の重合体末端への結合様式としては特に限定されないが、1つの重合性フッ素化合物が重合体末端に結合した形態であってもよいし、2以上の重合性フッ素化合物が重合した状態で重合体末端に結合した形態であってもよい。
重合性フッ素化合物は、メタセシス重合触媒の作用により、ノルボルネン系モノマーを開環重合(開環メタセシス重合)させた際に、その重合機構上、通常、重合体末端に結合することとなる。そのため、本発明によれば、重合性フッ素化合物を用いることで、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂を構成する重合体を、末端フッ素化変性されたものとすることができ、これにより、ノルボルネン系樹脂としての特性を十分に維持しながら、耐衝撃性の向上効果を適切に付与できるものと考えられる。なお、重合性フッ素化合物の重合体末端への結合様式としては特に限定されないが、1つの重合性フッ素化合物が重合体末端に結合した形態であってもよいし、2以上の重合性フッ素化合物が重合した状態で重合体末端に結合した形態であってもよい。
重合性フッ素化合物としては、重合性不飽和基を有する、フッ素原子を含有する化合物であればよいが、重合性不飽和基を1つ有する、フッ素原子を含有する化合物であることが好ましく、CnF2n+1-(ただし、nは1~6であり、好ましくは1~5、より好ましくは3~5である。)で表されるフッ素化アルキル基、及び、重合性不飽和基を1つ有する化合物であることがより好ましい。重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基〔CH2=CHC(O)-及び/又はCH2=C(CH3)C(O)-〕、ビニル基、マレイミド基などが挙げられるが、これらのなかでも、ノルボルネン系モノマーとの反応性の観点より、ビニル基が好ましい。
重合性フッ素化合物の具体例としては、パーフルオロメチルエチレン、パーフルオロエチルエチレン、パーフルオロプロピルエチレン、パーフルオロプロピルエチレン、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロペンチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレンなどが挙げられ、これらの中でも、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレンが好ましく、パーフルオロブチルエチレン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2)が特に好ましい。重合性フッ素化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の重合性組成物中における、重合性フッ素化合物の含有量は、特に限定されないが、重合性組成物に含有させる重合性モノマー全体100質量%中、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは8~15質量%であり、さらに好ましくは10~13質量%である。重合性フッ素化合物の含有量を上記範囲とすることにより、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂の耐衝撃性をさらに高めることができる。
また、本発明においては、重合性組成物に含有させる重合性モノマーとして、単環シクロオレフィンをさらに用いてもよい。
単環シクロオレフィンとしては、特に限定されないが、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロドデセン、シクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、及び、これらの、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、炭素数1~10のアルキリデン基、エポキシ基、又は(メタ)アクリル基を有する誘導体などが挙げられる。単環シクロオレフィンは、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の重合性組成物には、ノルボルネン系モノマー、重合性フッ素化合物、及び、必要に応じて用いられる単環シクロオレフィン以外に、これらと重合可能な他の重合性モノマーが含有されていてもよい。このような他の重合性モノマーとしては、他のシクロオレフィンモノマーや、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーなどが挙げられる。
本発明の重合性組成物中における、ノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物以外の重合性モノマーの含有量は、特に限定されないが、重合性組成物に含有させる重合性モノマー全体100質量%中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下であり、0質量%であってもよい。
なお、本発明の重合性組成物中における、重合性モノマー全体の含有量は、重合性組成物全体100質量%中、好ましくは10~95質量%、より好ましくは15~93質量%、さらに好ましくは20~90質量%である。
また、本発明の重合性組成物は、重合触媒として、メタセシス重合触媒を含有する。メタセシス重合触媒としては、ノルボルネン系モノマーを開環重合(開環メタセシス重合)できるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
本発明で用いるメタセシス重合触媒は、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属原子としては、第5、6及び8族(長周期型周期表、以下同様)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、第5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、第6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、第8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。これら遷移金属原子の中でも、第8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。すなわち、本発明で使用されるメタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状開環重合時の触媒活性に優れるため、得られる重合体には未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質な重合体が得られる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。メタセシス重合触媒は、一種類のみを使用してもよく、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
上記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基;であり、これらの基は、置換基を有していてもよく、また、互いに結合して環を形成していてもよい。R1及びR2が互いに結合して環を形成した例としては、フェニルインデニリデン基等の、置換基を有していてもよいインデニリデン基が挙げられる。
ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニルオキシ基、炭素数2~20のアルキニルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数1~8のアルキルチオ基、カルボニルオキシ基、炭素数1~20のアルコキシカルボニル基、炭素数1~20のアルキルスルホニル基、炭素数1~20のアルキルスルフィニル基、炭素数1~20のアルキルスルホン酸基、炭素数6~20のアリールスルホン酸基、ホスホン酸基、炭素数6~20のアリールホスホン酸基、炭素数1~20のアルキルアンモニウム基、及び炭素数6~20のアリールアンモニウム基等を挙げることができる。これらの、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、及び炭素数6~10のアリール基等を挙げることができる。
X1及びX2は、それぞれ独立して、任意のアニオン性配位子を示す。アニオン性配位子とは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、ハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基等を挙げることができる。
L1及びL2は、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。ヘテロ原子含有カルベン化合物及びヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ化合物である。触媒活性向上の観点からヘテロ原子含有カルベン化合物が好ましい。ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ヒ素原子、及びセレン原子等を挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、窒素原子、酸素原子、リン原子、及び硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。
上記一般式(3)及び(4)中、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20個の有機基;を表す。ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例は、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様である。
また、R3、R4、R5及びR6は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
また、R3、R4、R5及びR6は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、本発明の効果がより一層顕著になることから、R5及びR6が水素原子であることが好ましい。また、R3及びR4は、置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、置換基として炭素数1~10のアルキル基を有するフェニル基がより好ましく、メシチル基がさらに好ましい。
前記中性電子供与性化合物としては、例えば、酸素原子、水、カルボニル類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、イミン類、芳香族類、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニド類、及びチオシアネート類等が挙げられる。
上記一般式(1)及び(2)において、R1、R2、X1、X2、L1及びL2は、それぞれ単独で、及び/又は任意の組合せで互いに結合して、多座キレート化配位子を形成してもよい。
また、本発明で用いるルテニウムカルベン錯体としては、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物の中でも、本発明の効果がより顕著になるという点より、上記一般式(1)で表される化合物が好ましく、中でも、以下に示す一般式(5)又は一般式(6)で表される化合物であることがより好ましい。
上記一般式(5)中、Zは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、NR12、PR12又はAsR12であり、R12は、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基;であるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、Zとしては酸素原子が好ましい。
なお、R1、R2、X1及びL1は、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様であり、それぞれ単独で、及び/又は任意の組み合わせで互いに結合して、多座キレート化配位子を形成しても良いが、X1及びL1が多座キレート化配位子を形成せず、かつ、R1及びR2は互いに結合して環を形成していることが好ましく、置換基を有していてもよいインデニリデン基であることがより好ましく、フェニルインデニリデン基であることがさらに好ましい。
また、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又は珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例としては、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様である。
また、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又は珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例としては、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様である。
上記一般式(5)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、又は炭素数6~20のヘテロアリール基で、これらの基は、置換基を有していてもよく、また、互いに結合して環を形成していてもよい。置換基の例としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数6~10のアリール基を挙げることができ、環を形成する場合の環は、芳香環、脂環及びヘテロ環のいずれであってもよいが、芳香環を形成することが好ましく、炭素数6~20の芳香環を形成することがより好ましく、炭素数6~10の芳香環を形成することがさらに好ましい。
上記一般式(5)中、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基;であり、これらの基は、置換基を有していてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。また、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例としては、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様である。
R9、R10及びR11は、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であることがより好ましい。
なお、上記一般式(5)で表わされる化合物の具体例及びその製造方法としては、例えば、国際公開第03/062253号(特表2005-515260号公報)に記載のもの等が挙げられる。
上記一般式(6)中、mは、0又は1である。mは1が好ましく、その場合、Qは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基又はカルボニル基であり、好ましくはメチレン基である。
R1、X1、X2及びL1は、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様であり、それぞれ単独で、及び/又は任意の組み合わせで互いに結合して、多座キレート化配位子を形成してもよいが、X1、X2及びL1が多座キレート化配位子を形成せず、かつ、R1は水素原子であることが好ましい。
R13~R21は、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくは珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基;であり、これらの基は、置換基を有していてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。また、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又は珪素原子を含んでいてもよい炭素数1~20の有機基の具体例としては、上記一般式(1)及び(2)の場合と同様である。
R13は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、R14~R17は、好ましくは水素原子であり、R18~R21は、好ましくは水素原子又はハロゲン原子である。
なお、上記一般式(6)で表わされる化合物の具体例及びその製造方法としては、例えば、国際公開第11/079799(特表2013-516392号公報)に記載のもの等が挙げられる。
メタセシス重合触媒の含有量は、反応に使用する重合性モノマーの全量1モルに対して、好ましくは0.005ミリモル以上であり、より好ましくは0.01~50ミリモル、さらに好ましくは0.015~20ミリモルである。
また、本発明の重合性組成物は、さらに、界面活性剤を含有する。界面活性剤を含有することで、ノルボルネン系モノマーと、重合性フッ素化合物との相溶性を高めることができ、これにより、重合性フッ素化合物を用いることによる耐衝撃性の向上効果を適切に発揮させることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーと、重合性フッ素化合物との相溶性をより高めることができるという観点より、フッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤が挙げられ、この中でノニオン系界面活性剤がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、CAPSTONE FS-10、CAPSTONE FS-22、CAPSTONE FS-30、CAPSTONE FS-31、CAPSTONE FS-34、CAPSTONE FS-35、CAPSTONE FS-50、CAPSTONE FS-51、CAPSTONE FS-60、CAPSTONE FS-61、CAPSTONE FS-63、CAPSTONE FS-64、CAPSTONE FS-65、CAPSTONE FS-66、CAPSTONE FS-81、CAPSTONE FS-83、CAPSTONE FS-3100(以上、Dupont社製)、フタージェント100、フタージェント110、フタージェント150(以上、ネオス社製)、CHEMGUARD S-760P(Chemguard Inc.社製)等が挙げられる。これらのなかでも、CAPSTONE FS-22などの、ノニオン系のフッ素系界面活性剤としての部分フッ素化アクリル系共重合体を好適に用いることができる。界面活性剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の重合性組成物中における、界面活性剤の含有量は、重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.5質量部、さらに好ましくは0.04~0.1質量部である。界面活性剤の含有量を上記範囲とすることにより、耐衝撃性の向上効果をより高めることができる。
また、本発明の重合性組成物には、ラジカル発生剤、ジイソシアネート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、カップリング剤及びその他の任意成分が、所望により含まれていてもよい。
ラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それにより、フッ素含有ノルボルネン系樹脂において架橋反応を誘起する作用を有する。ラジカル発生剤が架橋反応を誘起する部位は、主にフッ素含有ノルボルネン系樹脂中に含まれる炭素-炭素二重結合であるが、飽和結合部分でも架橋が生ずることがある。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物及び非極性ラジカル発生剤が挙げられる。
本発明の合性組成物中における、ラジカル発生剤の含有量は、重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル(MDI)、トルエン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート、及び4,4’-ジイソシアネートジベンジル等の芳香族ジイソシアネート化合物;メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、及び1,10-デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、及び水添XDI等の脂環式ジイソシアネート化合物等や、これらのジイソシアネート化合物と低分子量のポリオールやポリアミンを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマー等が挙げられる。また、これらの化合物をイソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体、又はポリメリック体とした、多官能のイソシアネート基を有するもので、従来使用されている公知のものが、特に限定なく使用できる。そのようなものとしては、例えば、2,4-トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス-(p-イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート化合物、多官能芳香族脂肪族イソシアネート化合物、多官能脂肪族イソシアネート化合物、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート化合物、ブロック化多官能脂肪族イソシアネート化合物等の多官能ブロック型イソシアネート化合物、ポリイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、及び取り扱い容易性に優れることから、多官能非ブロック型イソシアネート化合物である、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、及び脂環式ジイソシアネート化合物が好適に用いられる。
これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、多官能ブロック型イソシアネート化合物とは、分子内の少なくとも2つのイソシアネート基を活性水素含有化合物と反応させて、常温では不活性としたものである。当該イソシアネート化合物は、一般的にはアルコール類、フェノール類、ε-カプロラクタム、オキシム類、及び活性メチレン化合物類等のブロック剤によりイソシアネート基がマスクされた構造を有する。多官能ブロック型イソシアネート化合物は、一般的に常温では反応しないため保存安定性に優れるが、通常140~200℃の加熱によりイソシアネート基が再生され、優れた反応性を示しうる。
ジイソシアネート化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の重合性組成物中におけるジイソシアネート化合物の配合量は、反応に使用する重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1~15質量部、さらに好ましくは2~10質量部である。
また、フッ素含有ノルボルネン系樹脂を他の材料と複合化させたものとする際に、他の材料に対する接着強度をより向上させるという観点より、多官能(メタ)アクリレート化合物を用いてもよい。多官能(メタ)アクリレート化合物をジイソシアネート化合物と共に用いることで、ジイソシアネート化合物の活性水素反応性基が、多官能(メタ)アクリレート化合物に存在する水酸基と化学結合を形成し、これにより、他の材料に対する接着強度をより高めることができると推定される。多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましい例として挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合性組成物中における多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量は、反応に使用する重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1~15質量部、さらに好ましくは2~10質量部である。
カップリング剤としては、特に限定されないが、フッ素含有ノルボルネン系樹脂を他の材料と複合化させたものとする際に、他の材料に対する接着性向上の観点から、ノルボルネン構造(ノルボルネン骨格)を有する炭化水素基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤が好ましい。かかるシランカップリング剤の具体例としては、ビシクロヘプテニルトリメトキシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルエチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルエチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルヘキシルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられるが、好ましくはビシクロヘプテニルエチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルエチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルヘキシルトリメトキシシラン、及びビシクロヘプテニルヘキシルトリエトキシシランであり、より好ましくはビシクロヘプテニルエチルトリメトキシシラン、及びビシクロヘプテニルエチルトリエトキシシランであり、さらに好ましくはビシクロヘプテニルエチルトリメトキシシランである。
本発明の重合性組成物中のノルボルネン構造を有する炭化水素基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤の含有量としては、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.3~2質量%であり、さらに好ましくは0.5~1質量%である。
また、本発明の重合性組成物には、ノルボルネン構造を有する炭化水素基を有しないシランカップリング剤や、チオールカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤、脂肪酸エステル類等のシランカップリング剤以外のカップリング剤を含有してもよい。
その他の任意成分としては、活性剤、活性調節剤、エラストマー、酸化防止剤(老化防止剤)、着色剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
活性剤は、上述したメタセシス重合触媒の共触媒として作用し、該触媒の重合活性を向上させる化合物である。活性剤としては、例えば、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド;これらのアルキルアルミニウムハライドの、アルキル基の一部をアルコキシ基で置換したアルコキシアルキルアルミニウムハライド;有機スズ化合物等が用いられる。活性剤の使用量は、特に限定されないが、重合性組成物で使用する全メタセシス重合触媒1モルに対して、0.1~100モルが好ましく、より好ましくは1~10モルである。
活性調節剤は、後述のように2以上の反応原液を混合して重合性組成物を調製し、型内に注入して重合を開始させる際に、注入途中で重合が開始することを防止するために用いられる。
メタセシス重合触媒として周期表第5族又は第6族の遷移金属の化合物を用いる場合の活性調節剤としては、メタセシス重合触媒を還元する作用を持つ化合物等が挙げられ、アルコール類、ハロアルコール類、エステル類、エーテル類、ニトリル類等を用いることができる。中でもアルコール類及びハロアルコール類が好ましく、ハロアルコール類がより好ましい。
アルコール類の具体例としては、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。ハロアルコール類の具体例としては、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、2-クロロエタノール、1-クロロブタノール等が挙げられる。
メタセシス重合触媒として、特にルテニウムカルベン錯体を用いる場合の活性調節剤としては、ルイス塩基化合物が挙げられる。ルイス塩基化合物としては、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、n-ブチルホスフィン等のリン原子を含むルイス塩基化合物;n-ブチルアミン、ピリジン、4-ビニルピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N-ベンジリデンメチルアミン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾール等の窒素原子を含むルイス塩基化合物等が挙げられる。また、ビニルノルボルネン、プロペニルノルボルネン及びイソプロペニルノルボルネン等の、アルケニル基で置換されたノルボルネンは、重合性モノマーであると同時に、活性調節剤としても働く。これらの活性調節剤の使用量は、用いる化合物によって適宜調整すればよい。
エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物等が挙げられる。エラストマーを重合性組成物に溶解させて用いることにより、その粘度を調節することができる。また、エラストマーを添加することで、該組成物の塊状重合により形成されるノルボルネン系樹脂の耐衝撃性を改良できる。エラストマーの使用量は、重合性組成物中の重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは2~10質量部である。
酸化防止剤(老化防止剤)としては、フェノール系、リン系、アミン系等の各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤が挙げられる。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黄鉛、酸化鉄黄色、二酸化チタン、酸化亜鉛、四酸化三鉛、鉛丹、酸化クロム、紺青、チタンブラックなどが挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物系難燃剤などが挙げられる。
また、本発明の重合性組成物には、任意成分として、充填材を配合してもよい。充填材としては、種々の充填材を用いることができ、特に限定されないが粒子状の無機充填材を用いることが好ましい。
粒子状の無機充填材は、1~2のアスペクト比を有するものであることが好ましく、1~1.5のアスペクト比を有するものであることがより好ましい。また、粒子状の無機充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1~50μm、より好ましくは1~30μm、特に好ましくは1~10μmである。ここで、アスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比をいう。平均長軸径は、光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
粒子状の無機充填材の具体例としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化アンチモン、赤燐、各種金属粉、クレー、各種フェライト、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらのなかでも、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナが好ましく、水酸化アルミニウム、シリカが特に好ましい。
粒子状の無機充填材は、その表面を疎水化処理したものであってもよい。疎水化処理した粒子状の無機充填材を用いることにより、重合性組成物中における粒子状の無機充填材の凝集・沈降を防止でき、また、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂中における粒子状の無機充填材の分散を均一にすることができる。そして、結果として、フッ素含有ノルボルネン系樹脂の耐衝撃性をより高めることができる。疎水化処理に用いられる処理剤としては、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス等を挙げることができる。なお、疎水化処理に用いられる処理剤を、粒子状の無機充填材に予め反応させることで、その表面を疎水化処理してもよいし、あるいは、疎水化処理に用いられる処理剤を、粒子状の無機充填材に予め反応させることなく、重合体組成物中に配合し、重合体組成物中で、粒子状の無機充填材の表面を疎水化処理するような態様としてもよい。
本発明の重合性組成物中における、粒子状の無機充填材の配合量は、重合性モノマーの全量100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは100~500質量部である。
また、本発明の重合性組成物には、粒子状の無機充填材のほか、繊維状の無機充填材を含有させてもよい。繊維状の無機充填材としては、5~100のアスペクト比を有するものであることが好ましく、10~50のアスペクト比を有するものであることがより好ましい。また、繊維状の無機充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1~50μm、より好ましくは1~30μmである。
繊維状の無機充填材の具体例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、塩基性硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、テトラポッド型酸化亜鉛、石膏繊維、ホスフェート繊維、アルミナ繊維、ウィスカー状炭酸カルシウム、ウィスカー状ベーマイト等を挙げることができる。これらのなかでも、ウォラストナイト及びウィスカー状炭酸カルシウムが好ましい。また、繊維状の無機充填材は、上述した粒子状の無機充填材と同様に、その表面を疎水化処理したものであってもよい。
本発明の重合性組成物は、公知の方法に従って、上記各成分を適宜混合することにより調製される。本発明の重合性組成物は、予備配合液を2以上調製しておき、フッ素含有ノルボルネン系樹脂とする直前に、2以上の予備配合液を、混合装置などを用いて混合することにより調製してもよい。予備配合液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む重合性組成物(各成分含有量の合計100質量%)となるように、上記した各成分を2以上の液に分けて調製される。このような2以上の反応原液の組み合わせとしては、用いるメタセシス重合触媒の種類により、下記(a)、(b)の二通りが挙げられる。
(a):前記メタセシス重合触媒として、単独では重合反応活性を有しないが、活性剤を併用することで重合反応活性を発現するものを用いることができる。この場合は、ノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物を含む重合性モノマーと、活性剤とを含む予備配合液(A液)と、ノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物を含む重合性モノマーと、メタセシス重合触媒とを含む予備配合液(B液)とを用い、これらを混合することで重合性組成物を得ることができる。さらに、ノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物を含む重合性モノマーを含み、かつメタセシス重合触媒及び活性剤のいずれも含まない予備配合液(C液)を併用してもよい。
(b):また、メタセシス重合触媒として、単独で重合反応活性を有するものを用いる場合は、ノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物を含む重合性モノマーを含む予備配合液(i)と、メタセシス重合触媒を含む予備配合液(ii)とを混合することで重合性組成物を得ることができる。このとき予備配合液(ii)としては、通常、メタセシス重合触媒を少量の不活性溶媒に溶解又は分散させたものが用いられる。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル等が挙げられる。
ラジカル発生剤、ジイソシアネート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物などの任意成分は、前記予備配合液のいずれに含有させてもよいし、又は、前記予備配合液以外の混合液の形で添加してもよい。
上記予備配合液の混合に用いられる混合装置としては、例えば、反応射出成型法で一般的に用いられる衝突混合装置のほか、ダイナミックミキサーやスタティックミキサー等の低圧混合機等が挙げられる。
<フッ素含有ノルボルネン系樹脂>
本発明のフッ素含有ノルボルネン系樹脂は、上記した本発明の重合性組成物を塊状重合してなるものである。
本発明のフッ素含有ノルボルネン系樹脂は、上記した本発明の重合性組成物を塊状重合してなるものである。
本発明のフッ素含有ノルボルネン系樹脂を製造する方法としては、例えば、上記した2以上の予備配合液を、衝突混合装置にそれぞれ別個に導入して、ミキシングヘッドで瞬間的に混合させ、型内や基材上で塊状重合させる方法などが挙げられる。
成形型としては、特に限定されないが、例えば、雄型と雌型とで形成される金型を用いることができる。また、用いる型は、必ずしも剛性の高い高価な金型である必要はなく、金属製の型に限らず、樹脂製の型、又は単なる型枠を用いることができる。金属製の型を用いる場合の材質としては、特に限定されないが、スチール、アルミニウム、亜鉛合金、ニッケル、銅、クロム等が挙げられ、鋳造、鍛造、溶射、電鋳等のいずれの方法で製造されたものでもよく、また、メッキされたものであってもよい。型の構造は型に重合性組成物を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、通常、ゲージ圧で0.1~9.8MPa程度である。
型温度は、使用するノルボルネン系モノマーの種類に応じて適宜選定すればよいが、ノルボルネン系モノマーの凝固点よりも5℃以上高い温度とすることが好ましく、凝固点よりも10℃以上高い温度とすることがより好ましい。一方、型温度は使用する重合性フッ素化合物の沸点よりも10℃以下(すなわち、重合性フッ素化合物の沸点を、Fb[℃]とした場合に、(Fb-10)℃以下)とすることが好ましく、20℃以下(すなわち、(Fb-20)℃以下)とすることがより好ましい。型温度が使用する重合性フッ素化合物の沸点よりも高いと重合性フッ素化合物が沸騰、揮発して所望の組成が得られないほか、沸騰による発泡で成形品の品位が低下することから好ましくない。使用する重合性フッ素化合物がパーフルオロブチルエチレンの場合には、型温度としては、通常、5~50℃、好ましくは10~40℃である。塊状重合の時間は適宜選択すればよいが、重合性組成物を型内に配置させた後、通常10~120分、好ましくは20~60分である。塊状重合による発熱により所望の温度から外れる場合には金型を冷却することが好ましい。
塊状重合で重合性組成物が流動しなくなったのちに十分な重合による所望の機械物性を得るために型を加熱し、二段階で硬化させることが好ましい。加熱する温度としては90~200℃が好ましく、100~170℃がより好ましく、110~150℃がさらにより好ましい。
塊状重合で重合性組成物が流動しなくなったのちに十分な重合による所望の機械物性を得るために型を加熱し、二段階で硬化させることが好ましい。加熱する温度としては90~200℃が好ましく、100~170℃がより好ましく、110~150℃がさらにより好ましい。
型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる型温度の調整;型内部に埋設した配管中に循環させる冷温調水、油等の媒体の温度調整;等が挙げられる。
塊状重合の終了後、例えば、型を型開きして脱型することにより、フッ素含有ノルボルネン系樹脂を得ることができる。このようにして得られる本発明のフッ素含有ノルボルネン系樹脂は、上記した本発明の重合性組成物を用いて得られるものであるため、耐衝撃性に優れるものであり、より具体的には、ノルボルネン系樹脂が生来有する特性(例えば、機械的強度、耐熱性、低吸湿性、誘電特性等に優れていること)に加えて、優れた耐衝撃性を実現できるものである。そのため、本発明のフッ素含有ノルボルネン系樹脂は、広範な用途に好適に適用できるものであり、とりわけ、その優れた耐衝撃性により、各種用途に用いた場合に、高い信頼性を実現することができるものである。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。
<アイゾット衝撃強さ(耐衝撃性)>
JIS K7110に準拠し、衝撃試験機IT(東洋精機製作所製)を用いて、アイゾット衝撃強さの測定を行った。
JIS K7110に準拠し、衝撃試験機IT(東洋精機製作所製)を用いて、アイゾット衝撃強さの測定を行った。
<曲げ弾性率、曲げ強さ>
JIS K7171に準拠して、万能試験機AG5000(島津製作所社製)を用いて、曲げ弾性率、及び曲げ強さの測定を行った。
JIS K7171に準拠して、万能試験機AG5000(島津製作所社製)を用いて、曲げ弾性率、及び曲げ強さの測定を行った。
<動的粘弾性>
動的粘弾性測定機Q800(ティーエーインスツルメント社製)を用い、昇温速度3℃/分、1Hzの条件にて、貯蔵弾性率及び損失弾性率の測定を行い、これらの比であるtanδが最大となる温度を求めた。
動的粘弾性測定機Q800(ティーエーインスツルメント社製)を用い、昇温速度3℃/分、1Hzの条件にて、貯蔵弾性率及び損失弾性率の測定を行い、これらの比であるtanδが最大となる温度を求めた。
<TG/DTA測定>
TG/DTA6200(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、昇温速度20℃/分にて、TG/DTA測定を行い、30℃を基準にした150℃までの重量損失、及び、分解による重量減少開始温度(分解温度)を求めた。
TG/DTA6200(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、昇温速度20℃/分にて、TG/DTA測定を行い、30℃を基準にした150℃までの重量損失、及び、分解による重量減少開始温度(分解温度)を求めた。
<接触角>
JIS R3257に準拠し、FTÅ188(ファーストテンオングストロームス社製)を使用して、純水の接触角の測定を行った。純水の接触角の測定は、成形直後のフッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、及び、UV照射を24時間行った後のフッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)のそれぞれについて行った。UV照射は、キセノンウエザーメーターXER-W75(岩崎電気株式会社製)を使用し、ブラックパネル温度65℃、100W/m2の条件にて、24時間照射することにより行った。
JIS R3257に準拠し、FTÅ188(ファーストテンオングストロームス社製)を使用して、純水の接触角の測定を行った。純水の接触角の測定は、成形直後のフッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、及び、UV照射を24時間行った後のフッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)のそれぞれについて行った。UV照射は、キセノンウエザーメーターXER-W75(岩崎電気株式会社製)を使用し、ブラックパネル温度65℃、100W/m2の条件にて、24時間照射することにより行った。
<溶剤に対する膨潤度>
フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)を、100mm角、4mm厚の大きさとし、その重量を測定した後、25℃とした溶剤に、1週間浸漬させ、次いで、溶剤から取り出した後、表面に付着した溶剤をウエスで拭い、重量を測定し、溶剤浸漬による重量増加を百分率にて求めた。なお、溶剤としては、アセトン及びキシレンを使用した。溶剤浸漬による重量増加が少ないほど、溶剤に対する膨潤度が低いと判断できる。
フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)を、100mm角、4mm厚の大きさとし、その重量を測定した後、25℃とした溶剤に、1週間浸漬させ、次いで、溶剤から取り出した後、表面に付着した溶剤をウエスで拭い、重量を測定し、溶剤浸漬による重量増加を百分率にて求めた。なお、溶剤としては、アセトン及びキシレンを使用した。溶剤浸漬による重量増加が少ないほど、溶剤に対する膨潤度が低いと判断できる。
<塗装密着性>
一次塗装密着性を次の方法にて評価した。まず、フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)の表面を400番のサンドペーパーで研磨し、次いで、アセトン脱脂を行った後、塗料(プライマーポリナール800(N)(大橋化学社製)80部、ポリナール800(大橋化学社製、硬化剤)10部、及びシンナー7400(大橋化学社製)35部を混合したもの)を用いて、20μm厚にて吹付塗装を行った。次いで、80℃、3時間乾燥を行ったのち、JIS K5600に準拠して、塗膜試験を行った。試験の結果、分類0~1で合格とし、分類2~5で不合格とした。
また、二次塗装密着性の評価として、上記と同様に塗装した試験片を40℃の純水に浸漬した後、同様に塗膜試験を行った。試験の結果、上記と同様に、分類0~1で合格とし、分類2~5で不合格とした。
一次塗装密着性を次の方法にて評価した。まず、フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)の表面を400番のサンドペーパーで研磨し、次いで、アセトン脱脂を行った後、塗料(プライマーポリナール800(N)(大橋化学社製)80部、ポリナール800(大橋化学社製、硬化剤)10部、及びシンナー7400(大橋化学社製)35部を混合したもの)を用いて、20μm厚にて吹付塗装を行った。次いで、80℃、3時間乾燥を行ったのち、JIS K5600に準拠して、塗膜試験を行った。試験の結果、分類0~1で合格とし、分類2~5で不合格とした。
また、二次塗装密着性の評価として、上記と同様に塗装した試験片を40℃の純水に浸漬した後、同様に塗膜試験を行った。試験の結果、上記と同様に、分類0~1で合格とし、分類2~5で不合格とした。
<絶縁破壊電圧>
フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)を、60mm角、1mm厚の大きさの試験片とし、23℃、湿度60%の条件下に、90時間放置し、JIS C2320適合シリコンオイル中で、上部電極としての直径20mmの球状真鍮、及び下部電極としての直径25mm、5mm厚の円板状真鍮に、それぞれ接触させて、絶縁耐力試験装置(東京変圧器社製)を使用し、2kV/秒で昇圧し、放電が起きる電圧を、絶縁破壊電圧とした。
フッ素含有ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)を、60mm角、1mm厚の大きさの試験片とし、23℃、湿度60%の条件下に、90時間放置し、JIS C2320適合シリコンオイル中で、上部電極としての直径20mmの球状真鍮、及び下部電極としての直径25mm、5mm厚の円板状真鍮に、それぞれ接触させて、絶縁耐力試験装置(東京変圧器社製)を使用し、2kV/秒で昇圧し、放電が起きる電圧を、絶縁破壊電圧とした。
<実施例1>
離型処理された内寸長さ300mm、幅250mm、深さ4mmのアルミニウム5052製金型を準備し、アルミニウム5052製平板で蓋をした。次いで、型を25℃に設定したのち、20℃に設定したRIMモノマー(日本ゼオン社製)90部、パーフルオロブチルエチレン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2)10部、フッ素系界面活性剤(Dupont社製、製品名「CAPSTONE FS-22」、ノニオン性、部分フッ素化アクリル系共重合体)0.05部、及びメタセシス重合触媒として下記式(7)で示すルテニウム触媒(Zhan1N)0.03部からなる重合性組成物を型内一杯に導入した。型を1時間放置した後、型を10℃に冷却し引き続き1時間放置せしめることにより重合性組成物は型内で流動しなくなった。型を引き続いて120℃に昇温して1時間放置した。次いで、型を常温まで冷却した後、脱型することにより、フッ素含有ノルボルネン系樹脂を得て、上記した方法に従って、各測定・評価を行った。結果を表1に示す。なお、上記のRIMモノマーの組成は、ジシクロペンタジエン約90部及びトリシクロペンタジエン約10部からなる。
(式中、Mesはメシチル基を表す。)
離型処理された内寸長さ300mm、幅250mm、深さ4mmのアルミニウム5052製金型を準備し、アルミニウム5052製平板で蓋をした。次いで、型を25℃に設定したのち、20℃に設定したRIMモノマー(日本ゼオン社製)90部、パーフルオロブチルエチレン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2)10部、フッ素系界面活性剤(Dupont社製、製品名「CAPSTONE FS-22」、ノニオン性、部分フッ素化アクリル系共重合体)0.05部、及びメタセシス重合触媒として下記式(7)で示すルテニウム触媒(Zhan1N)0.03部からなる重合性組成物を型内一杯に導入した。型を1時間放置した後、型を10℃に冷却し引き続き1時間放置せしめることにより重合性組成物は型内で流動しなくなった。型を引き続いて120℃に昇温して1時間放置した。次いで、型を常温まで冷却した後、脱型することにより、フッ素含有ノルボルネン系樹脂を得て、上記した方法に従って、各測定・評価を行った。結果を表1に示す。なお、上記のRIMモノマーの組成は、ジシクロペンタジエン約90部及びトリシクロペンタジエン約10部からなる。
<比較例1>
重合性組成物として、RIMモノマーの含有量が100部であり、かつ、パーフルオロブチルエチレン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2)及びフッ素系界面活性剤(Dupont社製、製品名「CAPSTONE FS-22」)を含有しないものを使用した以外は、実施例1と同様にして、ノルボルネン系樹脂(フッ素非含有ノルボルネン系樹脂)を得て、上記した方法に従って、各測定・評価を行った。結果を表1に示す。
重合性組成物として、RIMモノマーの含有量が100部であり、かつ、パーフルオロブチルエチレン(CF3CF2CF2CF2CH=CH2)及びフッ素系界面活性剤(Dupont社製、製品名「CAPSTONE FS-22」)を含有しないものを使用した以外は、実施例1と同様にして、ノルボルネン系樹脂(フッ素非含有ノルボルネン系樹脂)を得て、上記した方法に従って、各測定・評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含む重合性組成物によれば、得られるフッ素含有ノルボルネン系樹脂は、耐衝撃性に優れるものであり、表1の結果からも明らかなように、ノルボルネン系樹脂が生来有する特性を十分に保ちながら、優れた耐衝撃性を実現できるものであった(実施例1)。
Claims (6)
- 重合性モノマーとしてのノルボルネン系モノマー及び重合性フッ素化合物と、メタセシス重合触媒と、界面活性剤とを含む重合性組成物。
- 前記重合性モノマー中における、前記重合性フッ素化合物の割合が5~20質量%である請求項1に記載の重合性組成物。
- 前記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤である請求項1又は2に記載の重合性組成物。
- 前記ノルボルネン系モノマーが、ジシクロペンタジエンを50質量%以上の割合で含有する請求項1~3のいずれかに記載の重合性組成物。
- 請求項1~4のいずれかに記載の重合性組成物であって、
単独では重合反応を生じない2以上の予備配合液からなり、前記予備配合液を合わせることで前記重合性組成物を形成しうる重合性組成物。 - 請求項1~4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなるフッ素含有ノルボルネン系樹脂。
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JP2021087196A JP2022180216A (ja) | 2021-05-24 | 2021-05-24 | 重合性組成物及びフッ素含有ノルボルネン系樹脂 |
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