JP2022170899A - 分析装置 - Google Patents

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昌平 山本
Shohei Yamamoto
文男 畑中
Fumio Hatanaka
健一郎 廣瀬
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Abstract

【課題】分析装置において、分析と観察の光学条件を双方とも最適化する。【解決手段】分析観察装置Aは、ベース41と、ベース41に対して垂直な第1方向に延びるスタンド42と、サンプルSPを載置するための載置面51aを有する載置台5と、サンプルSPからの光を集光する反射型対物レンズ74が収容された分析筐体70と、分析筐体70によって保持され、サンプルSPからの光を集光する対物レンズ92を有する観察ユニット9aと、スタンド42と接続され、第1方向に対して垂直な第2方向に延びる第1のガイド部材101と、分析筐体70と接続されかつ第2方向に沿って相対的にスライド可能な状態で第1のガイド部材101と連結された第2のガイド部材102と、を備え、第1のガイド部材101に対する第2のガイド部材102のスライドに応じて、分析筐体70と観察ユニット9aとが一体的に移動するように構成される。【選択図】図18A

Description

ここに開示する技術は、分析装置に関する。
例えば特許文献1には、レーザ誘起ブレークダウン分光法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)を用いた成分分析を行う装置が開示されている。具体的に、この特許文献1に開示された成分計測装置は、分析対象物(試料)にレーザ光を照射し、その分析対象物で発生した光(プラズマ光)を検出器で受光して分析することで、観察対象物の成分分析を行うように構成されている。
さらに、前記特許文献1に係る成分計測装置は、分析対象物(試料)から検出器に至る光路上に配置された観察光学系(観測光学系)を備えており、この観察光学系を通じて検出器に光を導くように構成されている。
特開2020-101441号公報
ところで、分析対象物を詳細に観察したり、分析対象の位置を詳細に特定したりするためには、適切な観察光学系によって観察画像を取得できるようにすることが好ましい。そこで、分析用対物レンズと観察用対物レンズをレボルバなどで切り替えることにより、分析と観察を切り替えることが考えられる。
しかしながら、レボルバ等によって2種類の対物レンズを切り替えるように構成した場合、分析光学系および観察光学系の大部分が共有化されて一体になるため、分析と観察の双方を最適な光学条件で行うことは困難である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、分析装置において、分析と観察の光学条件を双方とも最適化することにある。
本開示の第1の態様は、分析対象物の成分分析を行う分析装置に係る。この分析装置は、ベースと、前記ベースと接続され、該ベースに対して垂直な第1方向に延びるスタンドと、前記ベースまたは前記スタンドによって支持され、前記分析対象物を載置するための載置面を有する載置台と、前記載置台に載置された前記分析対象物からの光を集光する第1の対物レンズが収容された分析筐体と、前記分析筐体によって保持され、前記分析対象物からの光を集光する第2の対物レンズを有する観察ユニットと、前記スタンドと接続され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に延びる第1のガイド部材と、前記分析筐体と接続され、かつ前記第2方向に沿って相対的にスライド可能な状態で前記第1のガイド部材と連結された第2のガイド部材と、を備える。
そして、本開示の第1の態様によれば、前記分析装置は、前記第1のガイド部材に対する前記第2のガイド部材のスライドに応じて、前記分析筐体と前記観察ユニットとが一体的に移動するように構成される。
前記第1の態様によると、前記分析装置は、第1および第2のガイド部材の相対的なスライドによって、分析筐体と観察ユニットとを一体的に移動させる。ここで、分析筐体に収容された第1の対物レンズと、観察ユニットにおける第2の対物レンズは、それぞれ独立した光学系を構成するため、各光学系に係る光学条件を、個別に調整することができる。これにより、分析と観察の光学条件を双方とも最適化することができる。
また、本開示の第2の態様によれば、前記第1のガイド部材は、前記スタンドとは別体であり、前記第1のガイド部材は、前記第2のガイド部材および前記分析筐体とともに前記スタンドに対して着脱可能に構成される、としてもよい。
前記第2の態様によると、第1のガイド部材は、第2のガイド部材と一体的に、スタンドに対して着脱することができる。第2のガイド部材は分析筐体に接続されるため、分析筐体ごと、第1のガイド部材をスタンドから取り外すことができる。これにより、分析筐体の着脱に係るユーザビリティを向上させることができる。
また、本開示の第3の態様によれば、前記第1方向は、鉛直方向に沿って延び、前記第1および第2のガイド部材は、それぞれ、前記第1方向の寸法に比して、前記第1および第2方向に直交する第3方向の寸法が短くなるように構成される、としてもよい。
前記第3の態様によると、前記第1および第2のガイド部材は、第1方向を長手方向とし、かつ、第3方向を短手方向とするように構成される。このように構成することで、第1および第2のガイド部材に対し第3方向に隣接するスペースを広く確保することができるようになる。これにより、スライド機構によるスライド方向(第2方向)の寸法を嵩張らせることなく、観察ユニットをレイアウトすることが可能になる。その結果、スライド機構による移動量を抑制することができるようになる。
また、長手方向を鉛直方向に沿わせたことで、第1および第2のガイド部材に作用する重力に起因した第1および第2のガイド部材の撓み変形等を抑制することができる。これにより、分析筐体および観察ユニットの支持を安定させ、ひいては各々が有する対物レンズの光軸を揺らすことなく支持することが可能になる。
また、本開示の第4の態様によれば、前記分析装置は、前記第1および第2のガイド部材のうちの一方に設けられ、前記第1方向において離間するように配置されているとともに、それぞれ前記第2方向に沿って延びるように形成された一対のレール部と、前記第1および第2のガイド部材のうちの他方に設けられ、それぞれ前記レール部をスライド可能に支持する複数の支持部材と、を備え、前記レール部および前記支持部材は、前記第1のガイド部材に対して前記第2のガイド部材を前記第2方向に沿ってスライドさせるスライド機構を構成する、としてもよい。
前記第4の態様によると、第1のガイド部材と第2のガイド部材とは、第1方向に沿って離れて配置されたレール部と支持部材とによって連結される。このように連結することで、第1方向に垂直な回転軸(第2方向または第3方向に沿った回転軸)まわりの第1のガイド部材に対する第2のガイド部材の回転を抑制することができる。これにより、第1のガイド部材に対する第2のガイド部材の相対的な揺れを抑制することができる。このことは、第2のガイド部材によって分析筐体と観察ユニットを両方とも支持する構成等、第2のガイド部材に比較的大きな荷重が作用するような構成において、取り分け有効となる。
また、本開示の第5の態様によれば、前記スライド機構は、前記第1のガイド部材に設けられた送りナット部と、前記第2のガイド部材に設けられ、前記送りナット部に挿入されたネジ軸と、を備え、前記送りナット部は、前記ネジ軸と螺合され、該ネジ軸が回転することで該ネジ軸を前記第2方向に沿って相対的に移動させる第1ブロックと、前記第2方向において前記第1ブロックと前記スタンドの間に配置されかつ、前記ネジ軸とは非接触な状態で前記第1のガイド部材に固定された第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの離間を検出する検出部と、を有し、前記第1および第2ブロックのうちの一方は、磁力によって他方を吸着し、前記スライド機構は、前記第1および第2ブロックを相互に離間させる方向に作用する力が所定以上となった場合に、前記磁力による吸着を解除させるように構成されている、としてもよい。
前記第5の態様によると、第1ブロックはネジ軸を介して第2のガイド部材に固定されている一方、第2ブロックは第1のガイド部材に固定されることになる。したがって、第1ブロックと第2ブロックとを引き離す方向に力を作用させたときに、双方を離間させることが可能となる。
ここで、例えば、分析筐体とスタンドとを接近させるようにスライド機構を作動させた場合において、スタンドの前面と分析筐体の後面との間に異物等が挟まった場合を考える。この場合、分析筐体には、スライドから離間する方向(スライドに対して分析筐体を押し返す方向)に力が作用することになる。この力は、第2のガイド部材を介してネジ軸に伝わることになる。
ここで、前記第5の態様によると、前述のようにしてネジ軸に伝わった力は、ネジ軸に螺合された第1ブロックには伝わるものの、ネジ軸と非接触な状態とされた第2ブロックには伝わらない。よって、ネジ軸から力が伝わるか否かの差異を利用して、第1ブロックを第2ブロックから離間させることが可能となる。この離間を前記検出部が検出することで、分析装置に異物等の挟まりを検知させることができる。
またそもそも、前記第5の態様のように、第1ブロックと第2ブロックとを離間可能に構成した場合、非挟み検知時、つまり、スライド機構によって第1および第2のガイド部材を相対的にスライドさせようとしたときには、ネジ軸と第1ブロックとの供回りを防ぐことが望ましい。
そこで、前記第5の態様のように第1ブロックと第2ブロックとを磁力によって吸着させておくことで、第2ブロックによって第1ブロックを固定することも可能になる。つまり、前記第5の態様は、非挟み検知時におけるスライド移動の実現と、異物等の挟まりの検知と、を両立する上で有効である。
また、本開示の第6の態様によれば、前記スライド機構は、前記載置台上の測定視野に前記第1の対物レンズを向かい合わせた第1の状態と、前記載置台上の測定視野に前記第2の対物レンズを向かい合わせた第2の状態と、の間で第2のガイド部材をスライドさせるように、該第2のガイド部材の可動範囲を規定する、としてもよい。
前記第6の態様によると、スライド機構は、分析対象物の分析に適した第1の状態と、分析対象物の観察に適した第2の状態と、の間で第2のガイド部材をスライドさせることができる。これにより、分析対象物の分析と観察を両立する上で有利になる。
また、本開示の第7の態様によれば、前記第1の状態における前記スタンドと前記第1の対物レンズの中央部との距離を第1の距離とし、前記第2の状態における前記スタンドと前記第2の対物レンズの中央部との距離を第2の距離とすると、前記スライド機構は、前記第1の距離と前記第2の距離とが略一致するように、前記第2のガイド部材の可動範囲を規定する、としてもよい。
ここで、「第1の対物レンズの中央部」とは、第1の対物レンズのうち、該第1の対物レンズの中心軸(光軸)が通過する部位を指す。「第2の対物レンズの中央部」についても同様である。
前記第7の態様によると、第2のガイド部材の可動範囲は、第1の距離と第2の距離とが一致するように規定される。このように規定することで、第1の対物レンズおよび分析対象物の相対位置と、第2の対物レンズおよび観察対象物の相対位置と、を略一致させることができる。その結果、第2の対物レンズによって観察された位置と略同じ位置に対し、電磁波による破壊試験等の分析を実施することができるようになる。これにより、2つの状態の間でユーセントリック関係を維持することが可能となり、分析対象物の分析と観察を両立する上で有利になる。
また、本開示の第8の態様によれば、前記載置面は、所定の回転軸まわりに回転可能に構成され、前記スタンドと前記回転軸との距離は、前記第1の状態においては前記第1の距離に一致し、前記第2の状態においては前記第2の距離に一致する、としてもよい。
前記第8の態様によると、載置面を前記回転軸まわりに回転させたときに、第1の状態における第1の対物レンズおよび分析対象物の相対位置と、第2の状態における第2の対物レンズおよび分析対象物の相対位置と、を同様に変化させることができる。これにより、載置台を回転させた場合においてもなお、2つの状態の間でユーセントリック関係を維持することが可能となり、分析対象物の分析と観察を両立する上で有利になる。
また、本開示の第9の態様によれば、前記第1の対物レンズの光軸と前記第2の対物レンズの光軸とは、前記第2方向に沿って並んだ状態で互いに平行に延び、前記スライド機構は、前記第2方向における前記第1の対物レンズおよび第2の対物レンズそれぞれの光軸間の距離以上となるように、前記第2のガイド部材の可動範囲を規定する、としてもよい。
前記第9の態様によると、2つの光軸間の距離以上となるように第2のガイド部材の可動範囲を規定することで、分析対象物の分析と観察を両立する上で有利になる。
また、本開示の第10の態様によれば、前記レール部は、前記第2のガイド部材に設けられ、前記支持部材は、前記第1のガイド部材に設けられかつ前記第2方向に沿って間隔を空けて配置された一対の部材からなり、前記第1の状態においては、前記一対の部材の間に前記第1の対物レンズの光軸が配置される一方、前記第2の状態においては、前記一対の部材の間に前記第2の対物レンズの光軸が配置される、としてもよい。
前記第10の態様によると、第1のガイド部材において支持部材が配置された部位と、第2のガイド部材においてレール部が配置された部位とは、相互に重なり合うことになる。そうして重なり合う部位は、他の部位に比して高い剛性を有する。そうした高剛性の部位に第1および第2の対物レンズそれぞれの光軸を配置することで、各光軸の揺れを抑制することが可能になる。このことは、分析対象物の分析と観察を両立する上で有効である。
また、本開示の第11の態様によれば、前記分析筐体には、前記分析対象物を分析するための電磁波を出射する電磁波出射部と、前記分析対象物において発生した電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する検出器と、が収容され、前記第1の対物レンズは、前記電磁波出射部により出射された電磁波を集光して前記分析対象物に照射するとともに、該分析対象物において発生した電磁波を集光して前記検出器に導く、としてもよい。
前記第11の態様によると、第1の対物レンズは、分析対象物への電磁波の照射と、分析対象物からの電磁波の集光と、を同軸で行うように構成されており、2つの機能を兼ね備えた構成とすることができる。このことは、分析用の光学系の集約化、ひいては、分析筐体のコンパクト化に資する。分析筐体のコンパクト化は、観察筐体の取付スペースを確保する上で有効であり、分析対象物の分析と観察の両立に資する。
また、本開示の第12の態様によれば、前記第1のガイド部材には、前記第1の対物レンズを遮蔽する保護カバーが接続され、前記保護カバーは、前記第1および第2のガイド部材の相対的なスライド移動に伴って、前記第1の対物レンズによって集光する場合には、前記第1の対物レンズを露出させる一方、前記第2の対物レンズによって集光する場合には、前記第1の対物レンズを遮蔽するように移動する、としてもよい。
第1の対物レンズには、成分分析用のレーザ光等、電磁波出射部から出射された電磁波が通過する。そこで、第1の対物レンズによって電磁波を集光する場合、つまり集光される電磁波と同軸化された電磁波が第1の対物レンズから出射される場合においては、保護カバーによって第1の対物レンズを遮蔽する。これにより、電磁波等の漏洩を抑制することが可能になる。また、前記第11の態様は、外部からの塵等の侵入を抑制できるという点で、第1の対物レンズとして反射型対物レンズを用いる場合において取り分け有効となる。
また、本開示の第13の態様によれば、前記第1の対物レンズは、前記第2方向に直交するように延びる光軸を有し、前記分析筐体は、前記光軸および前記第2方向に垂直な第4方向の一側に配置される第1の領域と、前記第4方向の他側に配置される第2の領域と、前記第4方向において前記第1および第2の領域の間に配置される第3の領域と、に区分され、前記第1の領域には、前記第2方向に沿って突出しかつ前記第2のガイド部材を収容してなる突出部が設けられ、前記第2の領域には、前記検出器が収容され、前記第3の領域には、前記第1の対物レンズを介して前記分析対象物を撮像するカメラが収容され、前記観察ユニットは、前記第4方向に沿って前記突出部と隣接するように配置される、としてもよい。
前記第13の態様によると、分析筐体は、第4方向において非対称な形状を有する。ここで、第1の領域に設けられた突出部に第1および第2のガイド部材を収容するとともに、第4方向において突出部と観察ユニットとを並べて配置することで、例えば第2方向に沿って両要素を並べた構成に比して、第2方向における装置の寸法を抑制することができる。これにより、第1および第2のガイド部材の間の移動量を抑制し、ひいては装置のコンパクト化に有利になる。
また、第2方向における装置の寸法を抑制することで、分析筐体および観察ユニット全体の重心位置を、第2方向においてスタンドに接近させることが可能となる。これにより、分析筐体および観察ユニットの支持を安定させ、ひいては、第1および第2の対物レンズそれぞれの光軸の揺れを抑制することが可能になる。このことは、分析対象物の分析と観察を両立する上で有効である。
また、第2の領域に検出器を収容することで、第3の領域において第2方向の寸法を抑制し、第3の領域付近に観察ユニットを配置するためのスペースをより広く確保することができるようになる。これにより、第4方向において第1および第2のガイド部材と観察ユニットを近接させる上で有利になる。これらの要素を第4方向において近接させることで、第1および第2のガイド部材による観察ユニットの支持を安定させ、ひいては、第2の対物レンズの光軸の揺れを抑制することが可能になる。このことは、分析対象物の観察を行う上で有効である。
さらに、前記第13の態様によると、分析筐体および観察ユニットは、第1の領域に配置された第1および第2のガイド部材によって、片持ち状態で支持されることになる。これにより、第4方向において第1の領域の反対側に位置する第2の領域周辺のスペースを広く確保することができ、そのスペースを観察ユニットの着脱等を行うための作業スペース(ユーザが手作業を行うためのスペース)として用いることができるようになる。これにより、分析装置のユーザビリティを向上させることができる。
また、本開示の第14の態様によれば、前記突出部および前記観察ユニットは、前記第2方向において前記第1の対物レンズよりも前記スタンドから離間するように配置され、前記電磁波出射部は、前記第2方向において前記第1の対物レンズと前記スタンドとの間に配置される、としてもよい。
前記第14の態様によると、第2の方向における一側から順に、スタンド、電磁波出射部、第1の対物レンズ、および、観察ユニットの順番で配置されることになる。第2方向において電磁波出射部をスタンドに近接させることで、分析筐体、および、その収容物全体の重心が、スタンドに近接するようになる。これにより、スタンドによる分析筐体の支持(より詳細には、第1のガイド部材を介して行われる支持)を安定させ、ひいては、第1の対物レンズの光軸の揺れを抑制することが可能になる。このことは、分析対象物の分析を行う上で有効である。
さらに、前記第14の態様によると、第1および第2のガイド部材の相対移動に伴って、スタンドと電磁波出射部とが離間することになる。そのため、例えば、第2の方向において第1の対物レンズと、観察ユニットと、の間に電磁波出射部を配置するような構成に比して、電磁波出射部からの放熱をより効果的に行うことができる。
また、本開示の第15の態様によれば、前記分析装置は、前記第2の対物レンズと、該第2の対物レンズを通して受光された前記分析対象物からの光の受光量を検出することで該分析対象物を撮像するカメラと、が収容された観察筐体を備え、前記観察筐体は、前記分析筐体の外側に配置される、としてもよい。
前記第15の態様によると、観察筐体は、分析筐体の外部空間に配置されることになる。これにより、観察筐体の着脱が容易となり、ひいては、分析装置のユーザビリティを向上させることができる。
また、本開示の第16の態様によれば、前記観察筐体は、該観察筐体とは別体の筐体連結具を介して前記分析筐体に保持され、前記第2のガイド部材の上面または下面には、該第2のガイド部材と一体的に設けられた固定部が配置され、前記筐体連結具は、前記固定部を介して前記第2のガイド部材に支持される、としてもよい。
前記第16の態様によると、観察筐体は、第2のガイド部材によって支持される。分析筐体ではなく、第2のガイド部材によって直に支持するように構成することで、第2のガイド部材による観察ユニットの支持を安定させ、ひいては、第2の対物レンズの光軸の揺れを抑制することが可能になる。このことは、分析対象物の観察を行う上で有効である。
以上説明したように、本開示によれば、分析装置において、分析と観察の光学条件を双方とも最適化することができる。
図1は、分析観察装置の全体構成を例示する模式図である。 図2は、光学系アセンブリを例示する斜視図である。 図3は、光学系アセンブリを例示する側面図である。 図4は、光学系アセンブリを例示する正面図である。 図5は、光学系アセンブリを例示する分解斜視図である。 図6は、光学系アセンブリの構成を模式化して示す側面図である。 図7は、分析光学系の構成を例示する模式図である。 図8は、ヘッド部を前側から見て例示する斜視図である。 図9は、ヘッド部を後側から見て例示する斜視図である。 図10は、第1および第2のガイド部材を左側から見て例示する斜視図である。 図11は、第1および第2のガイド部材を右側から見て例示する斜視図である。 図12は、図11に示す状態から第2のガイド部材をスライド移動させた状態を例示する斜視図である。 図13は、第1のガイド部材を右側から見て例示する斜視図である。 図14は、第2のガイド部材を左側から見て例示する斜視図である。 図15は、第1および第2のガイド部材の連結構造を例示する断面図である。 図16は、第1および第2のガイド部材を左側から見て例示する側面図である。 図17Aは、第1モードにおける送りネジ機構について説明するための図である。 図17Bは、第2モードにおける送りネジ機構について説明するための図である。 図17Cは、第1モードから第2モードへの移行途中における送りネジ機構の状態を説明するための図である。 図18Aは、第1モードにおける分析筐体の内部構造を示す図である。 図18Bは、第2モードにおける分析筐体の内部構造を示す図である。 図19Aは、第2のガイド部材と分析筐体との接続構造を例示する斜視図である。 図19Bは、第2のガイド部材と分析筐体との接続構造を例示する斜視図である。 図20は、筐体連結具の構成を例示する斜視図である。 図21は、筐体連結具の内部構造を例示する横断面図である。 図22は、観察ユニットの着脱について説明するための図である。 図23Aは、ヘッド部の水平移動について説明するための図である。 図23Bは、ヘッド部の水平移動について説明するための図である。 図24Aは、傾斜機構の動作について説明するための図である。 図24Bは、傾斜機構の動作について説明するための図である。 図25は、コントローラ本体の構成を例示するブロック図である。 図26は、制御部の構成を例示するブロック図である。 図27は、分析観察装置の基本動作を例示するフローチャートである。 図28は、分析光学系によるサンプルの分析手順を例示するフローチャートである。 図29は分析観察装置の観察用アセンブリを例示する斜視図である。 図30は、第3の取付構造について説明するための斜視図である。 図31は、分析観察装置の光学系アセンブリと観察用アセンブリを比較して示す平面図である。 図32は、スイング式の観察ユニットを装着した状態を例示する図4対応図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
<分析観察装置Aの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る分析装置としての分析観察装置Aの全体構成を例示する模式図である。図1に例示される分析観察装置Aは、観察対象物および分析対象物としてのサンプルSPの拡大観察を行うとともに、該サンプルSPの成分分析を行うこともできる。
詳しくは、本実施形態に係る分析観察装置Aは、例えば微少物体等の試料、電子部品、被加工物等からなるサンプルSPを拡大して撮像することで、そのサンプルSPにおいて成分分析が行われるべき部位を探索したり、その外観の検査、計測等を行ったりすることができる。分析観察装置Aは、その観察機能に着目した場合、拡大観察装置と呼称したり、単に顕微鏡と呼称したり、あるいは、デジタルマイクロスコープと呼称したりすることができる。
分析観察装置Aはまた、サンプルSPの成分分析に際し、レーザ誘起ブレークダウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)、レーザ誘起プラズマ分光法(Laser Induced Plasma Spectroscopy:LIPS)等と呼称される手法を実施することができる。分析観察装置Aは、その分析機能に着目した場合、成分分析装置と呼称したり、単に分析装置と呼称したり、あるいは、分光装置と呼称したりすることもできる。
図1に示すように、本実施形態に係る分析観察装置Aは、主要な構成要素として、光学系アセンブリ(光学系本体)1と、コントローラ本体2と、操作部3と、を備える。
このうち、光学系アセンブリ1は、サンプルSPの撮像および分析を行うとともに、その撮像結果および分析結果に対応した電気信号を外部に出力することができる。
コントローラ本体2は、第1カメラ81等、光学系アセンブリ1を構成する種々の部品を制御するための制御部21を有する。コントローラ本体2は、制御部21を介して、光学系アセンブリ1にサンプルSPの観察および分析を行わせることができる。コントローラ本体2はまた、種々の情報を表示可能な表示部22を有する。この表示部22には、光学系アセンブリ1において撮像された画像、サンプルSPの分析結果を示すデータ等を表示することができる。
操作部3は、ユーザによる操作入力を受け付けるマウス31、コンソール32およびキーボード33を有する(キーボード33は、図25にのみ図示)。コンソール32は、ボタン、調整ツマミ等を操作することで、コントローラ本体2に画像データの取込、明るさ調整、第1カメラ81のピント合わせ等を指示することができる。
なお、操作部3は、マウス31、コンソール32およびキーボード33を3つとも有する必要はなく、任意の1つまたは2つを有していてもよい。また、マウス31、コンソール32およびキーボード33に加えてまたは代えて、タッチパネル式の入力装置、音声式の入力装置等を用いてもよい。タッチパネル式の入力装置の場合、表示部22に表示されている画面上の任意の位置を検出可能に構成することができる。
<光学系アセンブリ1の詳細>
図2~図4は、それぞれ、光学系アセンブリ1を例示する斜視図、側面図および正面図である。また、図5は光学系アセンブリ1の分解斜視図であり、図6は光学系アセンブリ1の構成を模式化して示す側面図である。
図1~図6に示すように、光学系アセンブリ1は、各種機器を支持するとともにサンプルSPが載置されるステージ4と、このステージ4に取り付けられるヘッド部6と、を備える。ここで、ヘッド部6は、分析光学系7が収容された分析筐体70に、観察光学系9が収容された観察筐体90を装着してなる。ここで、分析光学系7はサンプルSPの成分分析を行うための光学系である。観察光学系9はサンプルSPの拡大観察を行うための光学系である。ヘッド部6は、サンプルSPの分析機能と拡大観察機能とを兼ね備えた装置群として構成されている。
なお、以下の説明では、図1~図4に示すように光学系アセンブリ1の前後方向および左右方向を定義する。すなわち、ユーザと対面する一側が光学系アセンブリ1の前側であり、これと反対側が光学系アセンブリ1の後側であり、ユーザと光学系アセンブリ1とが対面したときに、そのユーザから見て右側が光学系アセンブリ1の右側であり、ユーザから見て左側が光学系アセンブリ1の左側である。なお、前後方向および左右方向の定義は、説明の理解を助けるためのものであり、実際の使用状態を限定するものではない。いずれの方向が前となるように使用してもよい。
また、以下の説明では、光学系アセンブリ1の左右方向を「X方向」とし、光学系アセンブリ1の前後方向を「Y方向」とし、光学系アセンブリ1の上下方向を「Z方向」とし、このZ軸に平行な軸を中心に回転する方向を「φ方向」と定義する。X方向とY方向とは同一水平面上で互いに直交しており、その水平面に沿った方向を「水平方向」と定義する。Z軸は、その水平面に対して直交する法線の方向である。これらの定義についても、適宜変更することが可能である。Z方向(上下方向)は、鉛直方向に沿って延びる方向であり、本実施形態における「第1方向」の例示である。また、Y方向(前後方向)は「第2方向」の例示であり、X方向(左右方向)は「第3方向」の例示である。
また詳細は後述するが、ヘッド部6は、図2~図6に示す中心軸Acに沿って移動したり、この中心軸Ac回りに揺動したりすることができる。この中心軸Acは、図6等に示すように、前述の水平方向、特に前後方向に沿って延びるように構成される。
(ステージ4)
ステージ4は、作業台等に設置されるベース41と、ベース41に接続されたスタンド42と、ベース41またはスタンド42によって支持された載置台5と、を有する。このステージ4は、載置台5およびヘッド部6の相対的な位置関係を規定するための部材であり、少なくとも、ヘッド部6の観察光学系9および分析光学系7を取付可能に構成される。
ベース41は、ステージ4の略下半部を構成しており、図2に示すように、左右方向の寸法に比して、前後方向の寸法が長い台座状に形成される。ベース41は、作業台等に設置される底面を有する。ベース41の前側部分には、載置台5が取り付けられる。
また、図6等に示すように、ベース41の後側部分(特に、載置台5よりも後側に位置する部分)には、第1支持部41aと第2支持部41bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2支持部41a,41bは、双方ともベース41から上方へ突出するように設けられる。第1および第2支持部41a,41bには、前記中心軸Acと同心になるように配置される円形の軸受孔(不図示)が形成される。
スタンド42は、ステージ4の上半部を構成しており、図2~図3、図6等に示すように、ベース41(特にベース41の底面)に対して垂直な上下方向に延びる柱状に形成される。スタンド42における上側部分の前面には、別体の装着具43を介してヘッド部6が取り付けられる。
また、図6等に示すように、スタンド42の下側部分には、第1取付部42aと第2取付部42bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2取付部42a,42bは、前述の第1および第2支持部41a,41bに対応した構成とされている。具体的に、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bは、第1取付部42aと第2取付部42bによって第1支持部41aを挟み込むとともに、第1支持部41aと第2支持部41bによって第2取付部42bを挟み込むようにレイアウトされる。
また、第1および第2取付部42a,42bには、第1および第2支持部41a,41bに形成された軸受孔と同心かつ同径に構成された円形の軸受孔(不図示)が形成される。これら軸受孔に対し、クロスローラベアリング等のベアリング(不図示)を介して軸部材44が挿入される。この軸部材44は、その軸心が前述の中心軸Acと同心になるように配置される。軸部材44を挿入することで、ベース41とスタンド42は、相対的に揺動可能に連結される。軸部材44は、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bとともに、本実施形態における傾斜機構45を構成する。
傾斜機構45を介してベース41とスタンド42を連結することで、スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動可能な状態で、ベース41によって支持されることになる。スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動することで、所定の基準軸Asに対して左右方向に傾斜することになる(図24Aおよび図24Bを参照)。この基準軸Asは、図4等に示す非傾斜状態においては、載置台5の上面(載置面51a)に垂直に延びる軸とすることができる。特に、本実施形態に係る基準軸Asは、後述のように、載置台5の回転軸と一致するように設定することができる。また、中心軸Acは、傾斜機構45による揺動の中心軸(回転中心)として機能することになる。
具体的に、本実施形態に係る傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。前述のように、スタンド42にはヘッド部6が取り付けられることになるため、このヘッド部6もまた、基準軸Asに対して左右方向に傾斜させることができる。ヘッド部6を傾斜させることは、分析光学系7および観察光学系9を傾斜させること、ひいては、後述の分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを傾斜させることに等しい。
なお、後述の図24Aおよび図24Bに示すように、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度を「傾きθ」と呼称すると、傾きθは、所定の第1閾値θmaxを下回る範囲内で調整可能とされている。傾きθを第1閾値θmax未満に収めるために、傾斜機構45にハード的な制約を課すことができる。例えば傾斜機構45に不図示のブレーキ機構を設けることで、傾斜機構45の動作範囲を物理的に制限してもよい。第1閾値θmaxの具体的な設定については後述する。
装着具43は、スタンド42の長手方向に沿ってヘッド部6を案内するレール部43aと、レール部43aに対するヘッド部6の相対位置をロックするためのロックレバー43bと、を有する。ここで、スタンド42の長手方向は、非傾斜状態では上下方向(第1方向)に一致するとともに、分析光軸Aa、観察光軸Aoおよび基準軸Asに沿って延びる方向に一致する。スタンド42の長手方向は、傾斜状態では上下方向および基準軸Asに沿って延びる方向とは不一致になるものの、分析光軸Aaおよび観察光軸Aoに沿って延びる方向とは依然として一致する。スタンド42の長手方向は、以下の記載では「略上下方向」とも呼称される。
レール部43aにはヘッド部6の後面部分(具体的にはヘッド取付部材61)が挿入される。レール部43aは、ヘッド部6の後面部分を略上下方向に沿って移動させることができる。そして、ヘッド部6を所望位置に設定した状態でロックレバー43bを操作することで、ヘッド部6を所望位置に固定することができる。また、図2~図3に示される第1操作ダイヤル46を操作することで、ヘッド部6の位置調整を行うこともできる。
さらに、ステージ4またはヘッド部6には、該ヘッド部6を略上下方向に移動させるためのヘッド駆動部47が内蔵される。このヘッド駆動部47は、コントローラ本体2によって制御される不図示のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を略上下方向の直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいてヘッド部6を移動させる。ヘッド駆動部47がヘッド部6を移動させることで、このヘッド部6、ひいては分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを略上下方向に沿って移動させることができる。
載置台5は、ベース41の前後方向中央部よりも前側に配置されており、このベース41の上面に取り付けられている。載置台5は、電動式の載置台として構成されており、その載置面51a上に載置されたサンプルSPを水平方向に沿って移動させたり、上下方向に沿って昇降させたり、φ方向に沿って回動させたりすることができる。
具体的に、本実施形態に係る載置台5は、図2~図4に示すように、サンプルSPを載置するための載置面51aを有する載置台本体51と、ベース41および載置台本体51の間に配置されかつ載置台本体51を変位させる載置台支持部52と、後述の図25に示す載置台駆動部53と、を有する。
載置台本体51は、いわゆるXYステージとして構成されている。載置台本体51の上面は、サンプルSPが載置される載置面51aを構成している。この載置面51aは、略水平方向に沿って延びるように形成される。載置面51aには、大気開放状態、すなわち真空室等に収容されない状態でサンプルSPが載置される。
載置台支持部52は、ベース41と載置台本体51とを連結する部材であり、上下方向に沿って延びる略円柱状に形成される。載置台支持部52には、載置台駆動部53を収容することができる。
載置台駆動部53は、コントローラ本体2によって制御される不図示かつ複数のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて載置台本体51を移動させる。載置台駆動部53が載置台本体51を移動させることで、この載置台本体51、ひいては、その載置面51aに載置されたサンプルSPを、水平方向および上下方向に沿って移動させることができる。
同様に、載置台駆動部53は、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて、載置台本体51を所定の回転軸まわりにφ方向に沿って回転させることもできる。載置台駆動部53が載置台本体51を回転させることで、載置面51aに載置されたサンプルSPを、φ方向に回動させることもできる。なお、載置台駆動部53を備えた構成は必須ではない。載置台本体51を手動で回転させるように構成してもよい。
特に、本実施形態に係る載置面51aは、前記回転軸として、図6等に示した基準軸Asまわりに回転可能に構成されている。つまり、本実施形態では、傾きθの大きさの目安(傾きθの基準)となる基準軸Asと、載置面51aの回転軸とが同軸化されている。後述のようにユーセントリック関係を良好に維持するためには、この回転軸(基準軸As)と、中心軸Acとが垂直に交差するように構成すれば有利になる。
また、図2に例示される第2操作ダイヤル54等を操作することで、載置台本体51を手動で移動および回転させることもできる。第2操作ダイヤル54の詳細は省略する。
なお、ベース41およびスタンド42の説明に戻ると、前述したベース41には、第1傾斜センサSw2が内蔵されている。この第1傾斜センサSw2は、重力方向に対する、載置面51aに垂直な基準軸Asの傾きを検出することができる。一方、スタンド42には、第2傾斜センサSw3が取り付けられている。この第2傾斜センサSw3は、重力方向に対する分析光学系7の傾き(より詳細には、重力方向に対する分析光軸Aaの傾き)を検出することができる。第1傾斜センサSw2と第2傾斜センサSw3の検出信号は、双方とも制御部21に入力される。
(ヘッド部6)
ヘッド部6は、分析筐体70に収容された分析光学系7と、観察筐体90に収容された観察光学系9と、ヘッド取付部材61と、筐体連結具64と、スライド機構(水平駆動機構)65と、を有する。このうち、ヘッド取付部材61は、分析筐体70をスタンド42に接続するための部材である。筐体連結具64は、観察筐体90を分析筐体70に接続するための部材である。スライド機構65は、スタンド42に対して分析筐体70をスライド移動させるための機構である。
以下、分析光学系7および分析筐体70、観察光学系9および観察筐体90、ヘッド取付部材61、筐体連結具64、ならびに、スライド機構65の構成について順番に説明する。
-分析光学系7-
図7は、分析光学系7の構成を例示する模式図である。分析光学系7は、分析対象物としてのサンプルSPの分析を行うための部品の集合であり、各部品が分析筐体70に収容されるようになっている。分析光学系7を構成する部品には、サンプルSPからの光を集光する第1の対物レンズが含まれる。分析筐体70は、少なくとも、第1の対物レンズを収容するように構成されている。この第1の対物レンズは、本実施形態では、後述の反射型対物レンズ74によって例示されている。
分析光学系7は、例えばLIBS法を用いた分析を行うことができる。この分析光学系7には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC1が接続される。この通信ケーブルC1は必須ではなく、分析光学系7とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
なお、ここでいう「光学系」の語は、広義で用いる。すなわち、分析光学系7は、レンズ等の光学素子に加え、光源、撮像素子等を包括したシステムとして定義される。観察光学系9についても同様である。
図7に示すように、本実施形態に係る分析光学系7は、電磁波出射部71と、出力調整手段72と、ノッチフィルタ73と、反射型対物レンズ74と、ダイクロイックミラー75と、第1パラボリックミラー76Aと、第1検出器77Aと、第1ビームスプリッター78Aと、第2パラボリックミラー76Bと、第2検出器77Bと、第2ビームスプリッター78Bと、LED光源79と、結像レンズ80と、第1カメラ81と、光学素子82と、を含んでなる。反射型対物レンズ74は、本実施形態における「第1の対物レンズ」の例示である。また、第1検出器77Aと第2検出器77Bは、本実施形態における「検出器」の例示である。分析光学系7の構成要素のうちの一部は、図6にも示す。
電磁波出射部71は、サンプルSPを分析するための電磁波を出射する。特に、本実施形態に係る電磁波出射部71は、電磁波としてのレーザ光を出射するレーザ光源によって構成される。
詳細な図示は省略するが、本実施形態に係る電磁波出射部71は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成される励起光源と、その励起光源から出力されたレーザを集光してレーザ励起光として出射するフォーカシングレンズと、そのレーザ励起光に基づいて基本波を生成するレーザ媒質と、基本波をパルス発振するためのQスイッチと、基本波を増幅するためのリアミラーおよび出力ミラーと、出力ミラーから出力されたレーザ光の波長を変換する波長変換素子と、を有する。
ここで、レーザ媒質としては、1パルスあたりのエネルギーを高くとるべく、例えばロッド状のNd:YAGを用いることが好ましい。なお、本実施形態では、誘導放出によってレーザ媒質から放出される光子の波長(いわゆる基本波長)は、本実施形態では赤外域の1064nmに設定されている。
また、Qスイッチとしては、減衰率を外部から制御可能ないわゆるアクティブQスイッチではなく、基本波の強度が所定の閾値を超えると透過率が増大するパッシブQスイッチを用いることができる。パッシブQスイッチは、例えばCr:YAG等の過飽和吸収体によって構成される。パッシブQスイッチを用いることで、レーザ媒質に所定以上のエネルギーが蓄積されたタイミングで自動的にパルス発振することが可能になる。
また、波長変換素子としては、LBO(LiB)等の非線形光学結晶を2つ用いた構成とされている。2つの結晶を用いることで、基本波から3次高調波を生成することができる。3次高調波の波長は、本実施形態では紫外域の355nmに設定されている。
すなわち、本実施形態に係る電磁波出射部71は、電磁波として、紫外線からなるレーザ光を出力することができる。これにより、ガラスの様に光学的に透明なサンプルSPに対してもLIBS法による分析を行うことができる。加えて、紫外域にあるレーザ光は、人間の網膜に到達する割合が非常に少ない。網膜上でレーザ光が結像しないように構成することで、装置の安全性を高めることができる。
出力調整手段72は、電磁波出射部71とノッチフィルタ73を結ぶ光路上に配置されており、電磁波(レーザ光)の出力を調整することができる。具体的に、本実施形態に係る出力調整手段72は、1/2波長板72aと、偏向ビームスプリッター72bと、を有する。1/2波長板72aは、偏向ビームスプリッター72bに対して相対的に回転するように構成されており、その回転角度を制御することで、偏向ビームスプリッター72bを通過する光量を調整することができる。
ノッチフィルタ73は、電磁波出射部71から出力されて出力調整手段72を通過したレーザ光を反射させ、これを反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに導く一方、このレーザ光に対応してサンプルSPから戻る光(サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる光)を透過させ、これを第1検出器77A、第2検出器77Bおよび第1カメラ81に導くようにレイアウトされている。なお、本実施形態に係るノッチフィルタ73は、355nmの波長帯に属する光のみを反射し、残りの光を透過させるように構成されている。
反射型対物レンズ74は、電磁波出射部71により出射された電磁波(レーザ光)をサンプルSPに照射するとともに、そのサンプルSPにおいて発生した電磁波(光)を集光して第1および第2検出器77A,77Bに導く。具体的に、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、前述の略上下方向に沿って延びる分析光軸Aaを有し、電磁波出射部71から出射された電磁波を集光してサンプルSPに照射するとともに、サンプルSPに照射された電磁波(レーザ光)に対応してサンプルSPから戻る光(サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる光)を集光する。分析光軸Aaは、観察光学系9の対物レンズ(第2の対物レンズ)92が有する観察光軸Aoと平行になるように設けられる。ここで、分析光軸Aaは、上下方向(第1方向)、前後方向(第2方向)および左右方向(第3方向)のうち、少なくとも前後方向に直交するように延びる。
この反射型対物レンズ74は、第1カメラ81での受光に係る光学系と、電磁波出射部71から出力されてサンプルSPに照射されるレーザ光に係る光学系と、サンプルSPから戻って第1および第2検出器77A,77Bに至る光に係る光学系と、を同軸化するように構成されている。言い換えると、反射型対物レンズ74は、3種類の光学系で共有化されている。
具体的に、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、2枚のミラーからなるシュヴァルツシルト型の対物レンズであり、円環状かつ相対的に大径の1次ミラー74aと、円板状かつ相対的に小径の2次ミラー74bと、を内蔵してなる。
1次ミラー74aは、その中央部に設けた開口によってレーザ光を通過させる一方、その周囲に設けられた鏡面によってサンプルSPから戻る光(プラズマ状態から気体等の状態に戻るときに電子から放射される電磁波)を反射させる。後者の反射光は、2次ミラー74bの鏡面によって再び反射され、レーザ光と同軸化された状態で1次ミラー74aの開口を通過する。
2次ミラー74bは、レーザ光を透過させる一方、1次ミラー74aによって反射された光を集光した状態で反射するように構成される。前者のレーザ光はサンプルSPに照射される一方、後者の反射光は、前述のように1次ミラー74aの開口を通過して、ノッチフィルタ73に至る。ノッチフィルタ73に到達した反射光は、該ノッチフィルタ73を通過してダイクロイックミラー75に至る。
反射型対物レンズ74にレーザ光を入力すると、そのレーザ光は、反射型対物レンズ74の中央部に配置された2次ミラー74bを通過してサンプルSPの表面に到達する。レーザ光によってサンプルSPが局所的にプラズマ化し、それに伴って光が発せられると、その光は2次ミラー74bの周囲に設けた開口を通過して1次ミラー74aに到達する。1次ミラー74aに到達した光は、その鏡面によって反射されて2次ミラー74bに到達し、2次ミラー74bによって反射されて反射型対物レンズ74からノッチフィルタ73に戻る。
ダイクロイックミラー75は、サンプルSPから戻る光のうちの一部を第1検出器77Aに導く一方、他部を第2検出器77B等へ導く。具体的に、サンプルSPから戻る光には、レーザ光の波長以外にも種々の波長成分が含まれる。そこで、本実施形態に係るダイクロイックミラー75は、サンプルSPから戻る光のうち短い波長帯域の光を反射させ、これを第1検出器77Aに導く。このダイクロイックミラー75はまた、それ以外の帯域の光を透過し、これを第2検出器77Bに導く。
第1パラボリックミラー76Aは、いわゆる放物面鏡として構成されており、ダイクロイックミラー75と第1検出器77Aとの間に配置される。第1パラボリックミラー76Aは、ダイクロイックミラー75によって反射された光を集光し、集光された光を第1検出器77Aに入射させる。
第1検出器77Aは、サンプルSPにおいて発生しかつ反射型対物レンズ74によって集光された光(サンプルSPから戻る光)の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。この第1検出器77Aは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。第1検出器77Aとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第1検出器77Aの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置にアライメントされている。第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルは、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
第1ビームスプリッター78Aは、ダイクロイックミラー75を透過した光のうちの一部を反射して第2検出器77Bに導く一方、他部を透過して第2ビームスプリッター78Bに導く。
第2パラボリックミラー76Bは、第1パラボリックミラー76Aと同様に放物面鏡として構成されており、第1ビームスプリッター78Aと第2検出器77Bとの間に配置される。第2パラボリックミラー76Bは、第1ビームスプリッター78Aによって反射された光を集光し、集光された光を第2検出器77Bに入射させる。
第2検出器77Bは、第1検出器77Aと同様に、サンプルSPにおいて発生しかつ反射型対物レンズ74によって集光された光(サンプルSPから戻る光)の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。第2検出器77Bとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第2検出器77Bの入射スリットは、第2パラボリックミラー76Bの焦点位置にアライメントされている。第2検出器77Bによって生成された強度分布スペクトルは、第1検出器77Aと同様に、図1等に示す制御部21に入力される。
第2ビームスプリッター78Bは、第1ビームスプリッター78Aを透過した光のうちの少なくとも一部を透過させ、結像レンズ80を介して第1カメラ81に入射させる。第2ビームスプリッター78Bはまた、LED光源79から発せられて光学素子82を通過した照明光を反射して、これを第1ビームスプリッター78A、ダイクロイックミラー75、ノッチフィルタ73および反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。
なお、LED光源79から照射される照明光は、電磁波出射部71から出力されてサンプルSPに照射されるレーザ光と同軸化されており、いわゆる「同軸落射照明」として機能することになる。LED光源79は、図7に示す例では分析筐体70に内蔵されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、分析筐体70の外部に光源をレイアウトし、その光源と分析光学系7とを光ファイバーケーブルを介して光学系に結合してもよい。
第1カメラ81は、反射型対物レンズ74を通して受光されたサンプルSPからの光の受光量を検出することで、該サンプルSPを撮像する。具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、その受光面に配置された複数の画素によって結像レンズ80を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第1カメラ81は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるイメージセンサによって構成されているが、この構成には限定されない。第1カメラ81としては、例えばCCD(Charged-Coupled Device)からなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第1カメラ81は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成し、その画像データをコントローラ本体2に入力する。
なお、サンプルSPから戻る光は、第1検出器77Aと、第2検出器77Bと、第1カメラ81と、に分割されて入射する。そのため、第1カメラ81における受光量は、後述の第2カメラ93に比して小さくなる。
-分析光学系7による分析の基本原理-
制御部21は、検出器としての第1検出器77Aおよび第2検出器77Bから入力された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。具体的な分析手法としては、前述のようにLIBS法を用いることができる。LIBS法は、サンプルSPに含まれる成分を元素レベルで分析する手法(いわゆる元素分析法)である。
一般に、物質に高いエネルギーを付与すると、原子核から電子が分離することで、その物質はプラズマ状態となる。原子核から分離した電子は、一時的に高エネルギーかつ不安定な状態となるものの、その状態からエネルギーを失うことで、再び原子核によって捕捉されて低エネルギーかつ安定な状態に遷移する(換言すれば、プラズマ状態から非プラズマ状態に戻る)ことになる。
ここで、電子から失われるエネルギーは、電磁波として電子から放出されるものの、その電磁波のエネルギーの大きさは、各元素に固有の殻構造に基づいたエネルギー準位によって規定されることになる。つまり、プラズマから非プラズマ状態に電子が戻る際に放出される電磁波のエネルギーは、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の軌道)毎に固有の値を持つ。電磁波のエネルギーの大きさは、その電磁波の波長によって規定される。ゆえに、電子から放出される電磁波の波長分布、すなわちプラズマ化に際して物質から放出される光の波長分布を解析することで、その物質に含まれる成分を元素レベルで解析することができるようになる。このような手法は、一般に原子発光分光(Atomic Emission Spectroscopy:AES)法と呼称される。
LIBS法は、このAES法に属する分析手法である。具体的に、LIBS法では、物質(サンプルSP)にレーザを照射することで、その物質にエネルギーを付与することになる。ここで、レーザの照射部位が局所的にプラズマ化されるため、そのプラズマ化に伴い発せられる光の強度分布スペクトルを解析することで、物質の成分分析を行うことができるようになっている。
すなわち、上記のように、各光(電磁波)の波長は、元素毎に固有の値を持つため、強度分布スペクトルが特定の波長においてピークを形成する場合、そのピークに対応した元素がサンプルSPの成分となる。そして、強度分布スペクトルに複数のピークが含まれる場合、各ピークの強度(受光量)を比較することで、各元素の成分比を算出することができる。
LIBS法によれば、真空引きが不要であり、大気開放状態で成分分析を行うことができる。また、サンプルSPの破壊試験ではあるものの、サンプルSP全体を溶解させるなどの処理は不要であり、サンプルSPの位置情報が残存する(局所的な破壊試験にすぎない)。
ここまでに説明した光学部品は、前述の分析筐体70に収容される。分析筐体70の下面には、貫通孔70aが設けられている。反射型対物レンズ74は、この貫通孔70aを介して載置面51aと対峙する。
分析筐体70内には、図7に示す遮蔽部材83が配置されている。この遮蔽部材83は、貫通孔70aと反射型対物レンズ74の間に配置されており、コントローラ本体2から入力される電気信号に基づいて、レーザ光の光路上に挿入することができる(図7の点線部を参照)。遮蔽部材83は、少なくともレーザ光を透過不能に構成されている。
光路上に遮蔽部材83を挿入することで、分析筐体70からのレーザ光の出射を制限することができる。遮蔽部材83は、電磁波出射部71と出力調整手段72との間に配置してもよい。
-分析筐体70-
分析筐体70には、少なくとも、電磁波出射部71と、第1検出器77Aと、第2検出器77Bと、が収容される。本実施形態に係る分析筐体70は、分析光学系7を構成する全光学部品を収容する。
図4に示すように、分析筐体70は、平面視または上下方向に垂直な断面視においては、前後方向の寸法に比して左右方向の寸法が長い箱状に形成されている。そして、分析筐体70の前面70bの左側部分は、前方に向かって突出している。以下、この突出した前面70bおよびその内部空間を「突出部」と呼称し、これに符号70cを付す。この突出部70cは、上下方向においては、前記前面70bの中央部または下半部の周辺に配置される。言い換えると、本実施形態に係る前面70bの上半部は、前方に向かって非突出となるように形成されている。
ここで、分析光軸Aaおよび前後方向(第2方向)に垂直な方向を「第4方向」と呼称する。第4方向は、非傾斜状態では左右方向(第3方向)に一致する。第4方向は、傾斜状態では、左右方向に対して傾きθの分だけ傾斜する。図18Aおよび図18Bに示す例は、θ=0、すなわち、第4方向が左右方向に一致する場合に相当する。
図18Aおよび図18Bに示すように、分析筐体70は、第4方向に沿って3つの領域に区分することができる。具体的に、分析筐体70は、第4方向の一側(図例では左側)に配置される第1の領域R1と、第4方向の他側(図例では右側)に配置される第2の領域R2と、第4方向において第1および第2の領域R1,R2の間に配置される第3の領域R3と、に区分される。
第1の領域R1には、前述の突出部70cが設けられる。この突出部70cには、少なくとも第2のガイド部材102が収容されるようになっている。第2のガイド部材102は、ヘッド部6を前後方向にスライドさせるためのスライド機構65を構成する。また、分析筐体70において突出部70cに相当する部分の後面には開口部が設けられている。第2のガイド部材102とともにスライド機構65を構成する第1のガイド部材101は、この開口部に挿入される。前後方向における第3の領域R3の寸法は、少なくとも第1および第2のガイド部材101,102の寸法よりも長い。また、前後方向における突出部70c単体の寸法は、本実施形態では観察筐体90の寸法(観察筐体90の外径)より長い。
また、後述のように、第2のガイド部材102の上面または下面には、該第2のガイド部材102と一体的に設けられた固定部102dが配置される(図15等を参照)。本実施形態に係る固定部102dは、第2のガイド部材102の上面に配置されており、図8に示すように、突出部70cの上面から外部に露出している。この固定部102dには、分析筐体70に観察筐体90を保持するための筐体連結具64が固定される。
第2の領域R2には、第1および第2検出器77A,77Bが上下に並んだ状態で配置される(図例では、第1検出器77Aのみを図示)。図18Aおよび図18Bに示すように、第1検出器77Aは、上下方向に垂直な断面視において、矩形状の横断面を有している。
ここで、第1検出器77Aは、その長手方向を前後方向に沿わせるのではなく、長手方向を前後方向に傾斜させた姿勢で収容されている。具体的に、第1検出器77Aは、前後方向に沿って前方に向かうにつれて、左右方向において外方に向かう(左右方向における中央部から離れる方向に向かう)ような姿勢で支持されている。このように傾斜させた姿勢で第1検出器77Aを収容することで、例えば第1検出器77Aの長手方向を左右方向に沿わせた姿勢に比して、左右方向における分析筐体70の寸法を短くすることが可能となる。さらに、このように傾斜させた姿勢で第1検出器77Aを収容することで、突出部70cに比して、前後方向における分析筐体70の突出を抑制することが可能となる。第2検出器77Bは、第1検出器77Aと同様に傾斜させた姿勢で、該第1検出器77Aの上方に配置されている。
第3の領域R3には、ノッチフィルタ73と、ダイクロイックミラー75と、第1ビームスプリッター78Aと、第2ビームスプリッター78Bと、結像レンズ80と、第1カメラ81と、が収容される。また、第3の領域R3の前方には、観察ユニット9a、ひいては観察筐体90の配置スペースが設けられる。具体的に、この配置スペースは、分析筐体70の外部空間に区画されており、突出部70cの右側面と、第3の領域R3における分析筐体70の前面70bと、によって区画されている。この配置スペースにおいて、観察ユニット9aは、左右方向に沿って突出部70cと隣接するように配置される。そして、観察ユニット9aおよび観察筐体90は、分析筐体70の外面によって保持される。観察筐体90の保持構造については後述する。
このように、観察筐体90およびスライド機構65は、該スライド機構65による移動方向に沿った直線(前後方向に沿ってのび、かつスライド機構65の軌跡に対応する直線)に対してねじれの位置にある直線(左右方向に沿ってのび、かつ、スライド機構65の軌跡に対して上方または下方に位置する直線)に沿って並ぶように配置される。
また、突出部70cおよび観察ユニット9aは、前後方向において反射型対物レンズ74よりもスタンド42から離間するように配置されている。言い換えると、突出部70cは、前後方向においてスタンド42の反対側(前側)に突出するとともに、観察ユニット9aは、前後方向において該観察ユニット9aとスタンド42との間に反射型対物レンズ74が位置するように配置される。
そして、分析光学系7における電磁波出射部71は、左右方向においては第2の領域R2から第3の領域R3にわたって配置されている一方、前後方向においては突出部70cおよび観察ユニット9aの反対側に位置するように構成されている。すなわち、本実施形態における電磁波出射部71は、前後方向において反射型対物レンズ74とスタンド42との間に配置されている。
電磁波出射部71を後側に配置することで、上下方向および左右方向における分析筐体70の寸法を抑制することが可能となる。このように、本実施形態に係る分析筐体70は、第1および第2検出器77A、77B、ならびに、電磁波出射部71のレイアウトに工夫を凝らすことで、上下方向および左右方向における分析筐体70の寸法を抑制し、ひいては両方向における分析筐体70の設計自由度を高めるように構成されている。その結果、本実施形態に係る分析筐体70は、前後方向に沿って正面視した場合において、下方に向かって先細りとなるように形成されている。
具体的に、本実施形態に係る分析筐体70は、左右方向の寸法が略一定の箱状部分と、下方に向かうにしたがって、左右方向の寸法が徐々に短くなる台形状部分と、からなる。箱状部分および台形状部分は、非傾斜状態において上下に並んでおり、互いに連通した一体的な収容空間を区画している。台形状部分は、分析筐体70の容積を絞り込む切り欠きとして機能する。なお、箱状部分を用いることなく、分析筐体70全体を台形状部分によって構成してもよい。
反射型対物レンズ74は、台形状部分の下端部に配置される。台形状部分は、傾斜機構45による揺動の中心となる中心軸Acよりも上方に配置される。そのため、台形状部分を設けることで、分析筐体70に許容される傾斜範囲をより広くする(より急峻な角度まで傾斜させる)ことができるようになる。
詳しくは、基準軸Asに対する分析光軸Aaの傾きθは、図24Aおよび図24Bを用いて説明したように、所定の第1閾値θmaxを下回る範囲内で調整可能である。この第1閾値θmaxの大きさは、載置台5と分析筐体70とが干渉しない範囲内で設定可能である。
一方、傾斜機構45が動作することで、台形状部分において台形の斜辺に相当する斜面部70eと、載置面51aとが接離する。そのため、斜面部70eの傾斜角度を通じて、第1閾値θmaxの大きさを設定することができる。具体的に、本実施形態に係る傾斜機構45は、前後方向に沿って観察光学系9および分析光学系7を正面視した場合において、台形状部分の斜面部70eと載置面51aとが少なくとも平行になるまで観察光学系9および分析光学系7を傾斜させることができる。第1閾値θmaxは、好ましくは30°以上、さらに好ましくは45°以上に設定される。
なお、図例では、斜面部70eは、上下方向および左右方向に対して傾斜し、かつ前後方向に平行な側面として構成されていたが、この構成には限定されない。斜面部70eは、前後方向に対して傾斜させることもできる。
また、図8等に示すように、本実施形態に係る分析筐体70の上面には取っ手70dが設けられる。ヘッド部6を構成する各部品は、便宜上、ヘッド取付部材61および第1のガイド部材101によって構成される固定部と、第2のガイド部材102、分析光学系7、分析筐体70、観察光学系9、観察筐体90および筐体連結具64によって構成される可動部と、に二分することができる。可動部は、スライド機構65の作動時にスライド移動する部品の集合であり、固定部は、スライド機構65の作動時にスライド移動しない部品の集合である。本実施形態では、固定部ではなく可動部(具体的には分析筐体70)に取っ手70dが設けられることになる。
そして、本実施形態では、固定部に比して可動部が重くなるように構成されている。そのため、固定部を構成する部品ではなく、可動部を構成する分析筐体70に取っ手70dを設けることで、ヘッド部6の可搬性を高めることができる。なお、例えば、第1のガイド部材101に比較的重量があり、可動部に比して固定部が相対的に重い場合、ヘッド取付部材61の上端部等、固定部を構成する部品に取っ手70dを設けることが好ましい。
-ヘッド取付部材61-
図8は、ヘッド部6を前側から見て例示する斜視図である。また、図9は、ヘッド部6を後側から見て例示する斜視図である。
前述のように構成された分析筐体70は、ヘッド取付部材61を介してスタンド42に接続される。具体的に、ヘッド取付部材61は、上下方向および左右方向に広がるプレート状の部材として構成されており、分析筐体70の背面(後面)と、スタンド42の前面との間に配置されている。ヘッド取付部材61は、スタンド42の装着具43に固定される。
ヘッド取付部材61は、プレート本体61aと、保護カバー61bと、挿入部61dと、ケーブル保持部61eと、第2のガイド部材102とともにスライド機構65を構成する第1のガイド部材101と、を有する。
このうち、プレート本体61aは、ヘッド部6の後面と略平行に延びるプレート状の部材として構成されている。プレート本体61aは、図6、図23Aおよび図23Bに示すように、後述の第2モード(第2の状態)においては、分析筐体70の後面と密着または近接する。プレート本体61aは、図23Aおよび図23Bに示すように、後述の第1モード(第1の状態)においては、前後方向において分析筐体70の後面から離間する。
保護カバー61bは、プレート本体61aの下端部から前方に突出する舌状の部材として構成されている。図9に示すように、保護カバー61bは、第1の対物レンズとしての反射型対物レンズ74を遮蔽することができる。保護カバー61bは、プレート本体61aを介して第1のガイド部材101と接続されている。
挿入部61dは、プレート本体61aの後面に設けられている。挿入部61dは、装着具43のレール部43aに挿入可能な形状を有している。挿入部61dをレール部43aに挿入した状態でロックレバー43bを操作することで、スタンド42にヘッド取付部材61が支持される。これにより、ヘッド取付部材61を介してスタンド42にヘッド部6が接続されることになる。
ケーブル保持部61eは、プレート本体61aの上縁部から左方に向かって延びるアーム状の部材と、該アーム状の部材から上方に向かって略管状の部材と、から構成されている。後者の管状部材には、分析筐体70から延びる通信ケーブルC1を取り付けて保持することができる。
ここで、図9に示すように、通信ケーブルC1の基端部(分析筐体70との接続部)から、通信ケーブルC1においてケーブル保持部61eによって保持される部位までの長さは、少なくとも、スライド機構65によるヘッド部6の移動量よりも長くなるように設定されている。このように設定した場合、通信ケーブルC1は、図9に示すように、重力を受けて弛んだ状態で保持されることになる。これにより、後述の第1モードと第2モードとの間でヘッド部6を切り替えた場合に、通信ケーブルC1に過度な張力が作用するのを抑制することが可能となる。
第1のガイド部材101は、分析筐体70に内蔵された第2のガイド部材102とともに、本実施形態に係るスライド機構65を構成する。第1のガイド部材101は、第2のガイド部材102に対してスライド可能な状態で分析筐体70に接続されている。そのため、第1のガイド部材101は、基本的には、分析筐体70および分析光学系7、ひいてはヘッド部6と一体的にスタンド42に脱着されることになる。第1のガイド部材101、ひいてはスライド機構65の詳細は後述する。
なお、第2モードかつ非傾斜状態においては、図9等に示すように、保護カバー61bは、上下方向において分析筐体70の取っ手70dと並ぶようにレイアウトされている。
詳しくは、本実施形態に係る取っ手70dは、反射型対物レンズ74の分析光軸Aaに沿って延びる直線状に配置されている。一方、この分析光軸Aaは、例えば図6に示すように、第2モードでは保護カバー61bを貫くように配置される。
したがって、分析光軸Aaは、第2モードでは取っ手70dと保護カバー61bを両方とも貫くことになる。言い換えると、第2モードでは、取っ手70dと保護カバー61bは、両方とも、分析光軸Aaに沿って延びる直線上に配置されることになる。ここで、分析光軸Aaは、非傾斜状態においては上下方向に沿って延びるようになっている。よって、第1モードかつ非傾斜状態においては、取っ手70dと保護カバー61bは、上下方向に沿って延びる共通の直線上に配置されることになる。
このようなレイアウトを採用することで、ユーザは、ヘッド部6を持ち運ぶ際に、一方の手で取っ手70dを把持する一方、他方の手で保護カバー61bを下方から支えるのが容易となる。このことは、分析観察装置Aにおけるユーザビリティの向上に資する。
-観察光学系9-
観察光学系9は、観察対象物としてのサンプルSPの観察を行うための部品の集合であり、各部品が観察筐体90に収容されるようになっている。観察光学系9を構成する部品には、第2の対物レンズ(後述の対物レンズ92)と、第2カメラ93とが含まれる。第2の対物レンズとしての対物レンズ92は、サンプルSPからの光を集光する。第2カメラ93は、対物レンズ92を通して受光されたサンプルSPからの光(反射光)の受光量を検出することで、該サンプルSPを撮像する。第2カメラ93は、本実施形態における「カメラ」の例示である。観察筐体90は、少なくとも、第2の対物レンズと第2カメラ93とを収容するように構成されている。
観察光学系9は、第2の対物レンズとしての対物レンズ92を有する観察ユニット9aを備える。この観察ユニット9aは、図3等に示すように、観察筐体90の下端側に配置された筒状のレンズ鏡筒に相当する。観察ユニット9aは、分析筐体70によって保持される。観察ユニット9aは、観察光学系9から単体で取り外すことができる。
観察光学系9には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC2と、外部から照明光を導光するための光ファイバーケーブルC3と、が接続される。なお、通信ケーブルC2は必須ではなく、観察光学系9とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
具体的に、観察光学系9は、図6に示すように、ミラー群91と、対物レンズ92と、第2カメラ93と、を含んでなる。第2カメラ93は、本実施形態における「カメラ」の例示である。
ミラー群91は、光ファイバーケーブルC3から導光された照明光を反射して、対物レンズ92を介してサンプルSPの表面に導く。この照明光は、対物レンズ92の観察光軸Aoと同軸化されており、いわゆる「同軸落射照明」として機能することになる。なお、光ファイバーケーブルC3を介して外部から照明光を導光する代わりに、観察筐体90の内部に光源を内蔵してもよい。その場合、光ファイバーケーブルC3は不要となる。
ミラー群91はまた、サンプルSPからの反射光を透過させ、これを第2カメラ93に導く。本実施形態に係るミラー群91は、図6に例示されるように全反射ミラーとハーフミラー等を用いて構成することができる。
対物レンズ92は、略上下方向に沿って延びる観察光軸Aoを有し、照明光を集光して載置台5に載置されたサンプルSPに照射するとともに、そのサンプルSPからの光(反射光)を集光する。観察光軸Aoは、分析光学系7の反射型対物レンズ74が有する分析光軸Aaと平行になるように設けられる。
また、詳細は省略するが、図6に模式的に例示したように、対物レンズ92にリング照明92aを装着し、このリング照明92aを観察用の照明(非同軸落射照明)として用いることもできる。
また、対物レンズ92は、観察ユニット9aに対して着脱可能に構成されている。これにより、観察ユニット9aごと観察光学系9を交換せずとも、観察光学系9の拡大倍率を変更することができる。
第2カメラ93は、その受光面に配置された複数の画素によってサンプルSPから対物レンズ92を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第2カメラ93は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。本実施形態に係る第2カメラ93は、第1カメラ81と同様にCMOSからなるイメージセンサによって構成されているが、CCDからなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第2カメラ93は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成し、その画像データをコントローラ本体2に入力する。
なお、サンプルSPから戻る光は、検出器等に分割されずに第2カメラ93に入射する。そのため、第2カメラ93における受光量は、前述の第1カメラ81における受光量に比して大きい。第2カメラ93は、第1カメラ81よりも明るい画像を生成することができる。
-観察筐体90-
図3等に示すように、観察筐体90は略円筒状に形成される。観察筐体90の長手方向は、前述の観察光軸Aoが延びる方向と一致する。図3に示すように、前後方向における観察筐体90の寸法は、同じく前後方向における分析筐体70の寸法よりも短い。また、図4に示すように、左右方向における観察筐体90の寸法は、同じく左右方向における分析筐体70の寸法よりも短い。
このように、観察筐体90は分析筐体70よりもコンパクトに構成されるようになっている。また、分析筐体70には、検出器としての第1検出器77Aおよび第2検出器77B等、観察光学系9には含まれない光学部品も収容されることになる。それらの事情に起因して、本実施形態では、観察光学系9および観察筐体90の総重量は、分析光学系7および分析筐体70の総重量に比して軽量となる。
図5等に示すように、観察筐体90は、該観察筐体90とは別体の筐体連結具64を介して分析筐体70(本実施形態では、突出部70cの上面)に保持される。以下、筐体連結具64の詳細について説明する。
-筐体連結具64-
図20は、筐体連結具64の構成を例示する斜視図であり、図21は、筐体連結具64の内部構造を例示する横断面図である。また、図22は、観察ユニット9aの着脱について説明するための図である。
筐体連結具64は、分析筐体70に観察筐体90を接続するための部材である、筐体連結具64は、分析筐体70および観察筐体90とは別体にすることが可能であり、両筐体70,90を相対的に移動不能に接続する。筐体連結具64が両筐体70,90を接続することで、分析光学系7と、観察光学系9とが一体的に移動するようになる。図示は省略したが、筐体連結具64は、分析筐体70または観察筐体90と一体に構成することもできる。
筐体連結具64は、分析筐体70の内外、すなわち分析筐体70の内部もしくは外部に取り付けることができる。特に本実施形態に係る筐体連結具64は、第2のガイド部材102の上面に配置されかつ突出部70cの上面から露出した固定部102dに固定されるようになっている(図8を参照)。
筐体連結具64は、固定部102dを介して第2のガイド部材102に支持される。したがって、観察筐体90、および、その収容物に加わる重力は、筐体連結具64を介して第2のガイド部材102、ひいてはスライド機構65に作用することになる。
詳しくは、筐体連結具64は、図20に示すように、固定部102dの上面に締結される締結部64aと、締結部64aから下方に向かって延びるアーム部64bと、アーム部64bから右方に向かって延びかつ観察筐体90を保持可能に構成された筐体挿入部64cと、を有する。
このうち、締結部64aは、水平方向に沿って延びる平板状に形成されている。この締結部64aを突出部70cの上面に配置された固定部102dに載置した状態で上方からボルト等の締結具を締結することで、固定部102d、ひいては第2のガイド部材102に対して筐体連結具64を固定することができる。
アーム部64bは、前後方向の寸法に比して上下方向の寸法が長い長板状に形成されている。前記締結部64aを固定部102dに締結することで、図8に示すように、アーム部64bの左側面と突出部70cの右側面とが接触し、観察筐体90をぐらつかせることなく、これを安定して位置決めすることができる。
筐体挿入部64cは、水平方向に沿って延びかつ貫通孔64dが形成された平板状に形成されている。貫通孔64dの内径は、観察筐体90の外径と略一致する。図21に示すように、筐体挿入部64cの外面には、観察光軸Aoまわりの観察筐体90の回転角度を調整するための第1ネジ64eと、水平方向における観察筐体90の位置決めを調整するための第2ネジ64fおよび第3ネジ64gと、観察筐体90の回転角度および位置決めを調整した後に、筐体挿入部64cに対して観察筐体90を固定するための第4ネジ64hと、が設けられている。第4ネジ64hは、その中心軸方向に沿って観察筐体90の外面を押圧する。
また、筐体挿入部64cにおける第4ネジ64hの反対側(第4ネジ64hの中心軸方向における反対側)には、第4ネジ64hによる押圧に抗する付勢力を観察筐体90の外面に加える付勢部材64iが内蔵されている。
第1ネジ64e、第2ネジ64f、第3ネジ64gおよび第4ネジ64hは、それぞれ、左右方向における突出部70cの反対側(右側)のスペースから、前後方向における分析筐体70の前面70bの反対側(前側)のスペースにかけて配置されている。このように配置することで、分析筐体70によって妨げられることなく、第1ネジ64e~第4ネジ64hを操作することが可能になる。
本実施形態に係る分析観察装置Aは、筐体連結具64に設けられる調整機構(第1ネジ64e、第2ネジ64f、第3ネジ64g、第4ネジ64hおよび付勢部材64iによって構成される調整機構)によって、観察筐体90の回転角度および位置決めを調整するように構成されている。しかしながら、観察筐体90の回転角度等の調整は、他の手段を用いて行うこともできる。
例えば、筐体連結具64に設けられる調整機構の代わりに、第2のガイド部材102に対して前記固定部102dを回転および/またはスライドさせる調整機構を新設し、その調整機構によって観察筐体90の回転角度および位置決めを調整するように構成してもよい。あるいは、そのようにして構成される調整機構(固定部102dに設けられる調整機構)と、筐体連結具64に設けられる調整機構とを組合わせて用いてもよい。2つの調整機構を組み合わせて用いる場合、例えば、一方の調整機構によって観察筐体90の回転角度を調整するとともに、他方の調整機構によって観察筐体90のX方向およびY方向の位置決めを調整する等、各調整機構に異なる機能を持たせてもよい。
本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70に対して観察筐体90を接続することで、観察光軸Aoに対する分析光軸Aaの相対位置を固定することができる。
具体的に、図18Aおよび図18Bに示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、スライド機構65による移動方向である第2方向(本実施形態では前後方向)に沿って並ぶように配置される。特に本実施形態では、観察光軸Aoは、分析光軸Aaに比して前側に配置される。
また、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、第1方向および第2方向に直交する第3方向(本実施形態では左右方向)における位置が一致するように配置される。
また、観察筐体90は、分析筐体70に対して適宜付け替えることができる。互いに異なる観察ユニット9a,9a’を有してなる複数種類の観察筐体90,90’を付け替えようとしたときに、一方の観察筐体90と、他方の観察筐体90’とで設定されるべきワーキングディスタンス(Working Distance:WD)が相異する場合がある。なお、ここでいうWDとは、サンプルSP(観察対象物)と対物レンズ92との距離を指す。
図22に示すように、観察筐体90,90’の仕様に応じた複数種類の筐体連結具64,64’を用意するとともに、筐体連結具64,64’ごと観察筐体90,90’を付け替えるように構成することで、各観察筐体90,90’に適したWDを実現することができるようになる。
例えば、相対的に長いWDに設定されるべき観察ユニット9aを有してなる観察筐体90については、上下方向の寸法が相対的に短いアーム部64bを有する筐体連結具64によって保持することで、上下方向において観察筐体90とサンプルSPとを離間させることができる。これにより、図22のWD1に示すように、相対的に長いWDに設定することができる。
一方、相対的に短いWDに設定されるべき観察ユニット9aを有してなる観察筐体90’については、上下方向の寸法が相対的に長いアーム部64b’を有する筐体連結具64’によって保持することで、上下方向において観察筐体90’とサンプルSPとを接近させることができる。これにより、図22のWD2に示すように、相対的に短いWDに設定することができる。
また、詳細な図示は省略するが、設定されるべきWDが同一の観察筐体90,90’であったとしても、上下方向における観察ユニット9a,9a’の寸法が相異する場合も考えられる。その場合、アーム部64b,64b’の長さを調整することで、観察ユニット9a,9a’間の寸法の差異を補償してWDを一致させることができる。
例えば、WDが相対的に長い観察ユニット9aを有してなる観察筐体90については、上下方向の寸法が相対的に短いアーム部64bを有する筐体連結具64によって保持するように構成する一方、WDが相対的に短い観察ユニット9a’を有してなる観察筐体90’については、上下方向の寸法が相対的に長いアーム部64b’を有する筐体連結具64’によって保持するように構成することができる。
なお、アーム部64bの寸法ではなく、筐体挿入部64cの厚み等、種々の部位の寸法を調整することによって、観察筐体90の付け替え前後においてサンプルSPと対物レンズ92との焦点距離(WD)を一致させることができる。
また、筐体連結具64,64’ごと観察筐体90,90’を付け替える代わりに、先端の観察ユニット9a,9a’のみを付け替えるように構成してもよい。このように構成する場合、筐体連結具64,64’は、観察筐体90,90’における観察ユニット9a,9a’の外周面を保持することが好ましい。
また、複数種類の対物レンズが装着されたレボルバを観察筐体90の下端部に配置して、そのレボルバを回転させることで対物レンズ92を切り替えるように構成してもよい。このように構成する場合、WDに見合う筐体連結具64を用意する代わりに、後述のように、ヘッド駆動部47または載置台駆動部53を介してWDを調整することができる。
各観察筐体90,90’は、少なくとも観察ユニット9a,9a’の種類を識別可能に構成されている。例えば、各観察ユニット9a,9a’には、そうした種類を検出するためのレンズセンサSw1が取り付けられている。レンズセンサSw1の検出信号は、コントローラ本体2に入力される。
なお、コントローラ本体2に入力される信号には、レンズセンサSw1の検出信号だけでなく、例えば、対物レンズ92の拡大倍率を示す信号が含まれてもよい。観察ユニット9aが取り付けられることによって、コントローラ本体2と、その観察ユニット9aとが電気的に接続される。この接続を通じて、コントローラ本体2が、観察ユニット9aの種類、拡大倍率等を取得してもよい。なお、光学系アセンブリ1にレンズセンサSw1を取り付ける代わりに、操作部3等を介してコントローラ本体2に観察ユニット9aの種類、拡大倍率等を手入力するように構成することもできる。
さらに、コントローラ本体2は、観察ユニット9aの種類に応じてヘッド駆動部47を駆動し、ヘッド部6をZ軸方向に移動させてもよい。コントローラ本体2は、例えばレンズセンサSw1の検出信号によって観察ユニット9aの種類を特定することで、筐体連結具64によって固定されている対物レンズ92の焦点距離(WD)を取得し、取得した焦点距離(WD)に応じて、サンプルSPと、対物レンズ92との焦点距離(WD)が、観察筐体90または観察ユニット9aの付け変え前後で一致するようにヘッド駆動部47を駆動する。また、ヘッド駆動部47を駆動する代わりに、載置台駆動部53を介して載置面51aをZ軸方向に移動させてもよい。
-スライド機構65-
図10は、第1および第2のガイド部材101,102を左側から見て例示する斜視図である。図11は、第1および第2のガイド部材101,102を右側から見て例示する斜視図である。図12は、図11に示す状態から第2のガイド部材102をスライド移動させた状態を例示する斜視図である。
また、図13は、第1のガイド部材101を右側から見て例示する斜視図である。図14は、第2のガイド部材102を左側から見て例示する斜視図である。図15は、第1および第2のガイド部材101,102の連結構造を例示する断面図である。
また、図16は、第1および第2のガイド部材101,102を左側から見て例示する側面図である。また、図17Aは、第1モードにおける送りネジ機構について説明するための図であり、図17Bは、第2モードにおける送りネジ機構について説明するための図であり、図17Cは、第1モードから第2モードへの移行途中における送りネジ機構の状態を説明するための図である。
また、図18Aは、第1モードにおける分析筐体70の内部構造を示す図である。図18Bは、第2モードにおける分析筐体70の内部構造を示す図である。また、図23Aおよび図23Bは、ヘッド部6の水平移動について説明するための図である。
スライド機構65は、観察光学系9によるサンプルSPの撮像と、分析光学系7によって強度分布スペクトルが生成される場合における電磁波(レーザ光)の照射(換言すれば、分析光学系7の電磁波出射部71による電磁波の照射)と、を観察対象物としてのサンプルSPにおける同一箇所に対して実行可能となるように、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を水平方向に沿って移動させるよう構成されている。
スライド機構65による相対位置の移動方向は、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの並び方向とすることができる。図23A等に示すように、本実施形態に係るスライド機構65は、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を前後方向に沿って移動させる。
スライド機構65は、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70を相対的に変位させるものである。分析筐体70と観察筐体90とは筐体連結具64によって連結されているため、分析筐体70を変位させることで、観察筐体90、ひいては観察光学系9も一体的に変位することになる。
スライド機構65が動作することで、ヘッド部6は、載置台5上の測定視野に分析光学系7の反射型対物レンズ74を向い合わせた第1モード(図18A、ならびに、図23Aおよび図23Bの上図を参照)と、載置台5上の測定視野に観察光学系9の対物レンズ92を向い合わせた第2モード(図18B、ならびに、図23Aおよび図23Bの下図を参照)と、の間で切り替わることになる。第1モードは、本実施形態における「第1の状態」の例示である。第2モードは、本実施形態における「第2の状態」の例示である。
図23Aおよび図23Bに示すように、水平駆動機構としてのスライド機構65が作動することで、ヘッド部6が水平方向に沿ってスライドし、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置が移動(水平移動)することになる。この水平移動によって、ヘッド部6は、反射型対物レンズ74をサンプルSPに対峙させた第1モードと、対物レンズ92をサンプルSPに対峙させた第2モードと、の間で切り替わるようになっている。
図18Aおよび図18B、ならびに、図23Aおよび図23Bに示すように、第1モードにおいては、ヘッド部6は相対的に前進した状態にあり、第2モードにおいては、ヘッド部6は相対的に後退した状態にある。第1モードは、分析光学系7によってサンプルSPの成分分析を行うための動作モードであり、第2モードは、観察光学系9によってサンプルSPの拡大観察を行うための動作モードである。
特に、本実施形態に係る分析観察装置Aは、第1モードにおいて反射型対物レンズ74が指向する箇所と、第2モードにおいて対物レンズ92が指向する箇所と、が同一箇所となるように構成されている。具体的に、分析観察装置Aは、第1モードにおいて分析光軸AaとサンプルSPとが交わる箇所と、第2モードにおいて観察光軸AoとサンプルSPとが交わる箇所と、が同一になるように構成されている(図23Bを参照)。
そうした構成を実現するために、スライド機構65が作動したときのヘッド部6の移動量は、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離と同一となるように設定されている。加えて、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの並び方向は、図18Aおよび図18Bに示すように、ヘッド部6の移動方向と平行になるように設定されている。
このように構成することで、第1モードと第2モードとの切替を行う前後のタイミングにおいて、観察光学系9によるサンプルSPの画像生成と、分析光学系7による強度分布スペクトルの生成(具体的には、分析光学系7によって強度分布スペクトルが生成される場合における、分析光学系7による電磁波の照射)と、をサンプルSP中の同一箇所に対して同一方向から実行することができるようになる。
以下、スライド機構65の具体的構成について、詳細に説明する。
スライド機構65は、少なくとも、第1のガイド部材101と、第2のガイド部材102と、を備える。第1のガイド部材101は、スタンド42と接続され、第1方向としての上下方向に対して垂直な前後方向に延びる部材である。第2のガイド部材102は、分析筐体70と接続され、かつ、前後方向に沿ってスライド可能な状態で第1のガイド部材101と連結された部材である。
本実施形態では、第1のガイド部材101に対する第2のガイド部材102のスライドに応じて、分析筐体70と観察ユニット9aとが一体的に移動するように構成されている。
ここで、第1のガイド部材101は、スタンド42とは別体であり、前述のヘッド取付部材61と一体的に設けられている。よって、第1のガイド部材101は、ヘッド取付部材61の挿入部61dを介することで、第2のガイド部材102、および、該第2のガイド部材102に接続された分析筐体70とともにスタンド42に対して着脱可能に構成されている。
図13、図14および図15に示すように、第1のガイド部材101および第2のガイド部材102は、それぞれ、上下方向の寸法に比して、左右方向の寸法が短くなるように構成される。詳しくは、第1および第2のガイド部材101,102は、それぞれ、略プレート状の第1および第2プレート部101a,102aを有している。第1および第2プレート部101a,102aは、それぞれ、板厚方向を左右方向に沿わせかつ、正面視した場合における長手方向(左右方向から見た場合における短手方向)を上下方向に沿わせた姿勢で配置される。
第1および第2のガイド部材101,102は、分析筐体70における中央部に区画された第3の領域R3ではなく、左側部分に区画された第1の領域R1に配置される。そして、第1および第2のガイド部材101,102の右方には、分析筐体70と観察筐体90とが位置する。つまり、第1および第2のガイド部材101,102は、分析筐体70、観察筐体90、および、各筐体に収容された収容物を片持ち状態で支持するようになっている。
第1のガイド部材101は、前記第1プレート部101aと、送りナット部101bと、複数の支持ブロック101cと、を有する。支持ブロック101cは、本実施形態における「支持部材」の例示である。
第1プレート部101aは、板厚方向を左右方向に沿わせた姿勢で配置された、前後方向に延びるプレート状に形成されている。第1プレート部101aの左側面には送りナット部101bが取り付けられている一方、第1プレート部101aの右側面には複数の支持ブロック101cが取り付けられている。
第1のガイド部材101に設けられた送りナット部101bは、第2のガイド部材102に設けられたネジ軸102cおよびアクチュエータ102bとともに、送りネジ機構を構成する。送りナット部101bには、ネジ軸102cが挿入されており、ネジ軸102cのネジ山に対応したネジ穴を有している。
複数の支持ブロック101cは、上側に設けられた支持ブロック101cと、下側に設けられた支持ブロック101cと、からなる。上側に設けられた支持ブロック101cは、第2のガイド部材102における上側のレール部102eをスライド可能に支持する。下側に設けられた支持ブロック101cは、第2のガイド部材102における下側のレール部102eをスライド可能に支持する。
具体的に、支持ブロック101cは、前後方向に沿って間隔を空けて配置されかつ、対応するレール部102eを挿通可能に構成された前後一対のブロック状の部材からなる。
なお、図18Aおよび図18Bに示すように、第1のガイド部材101において支持ブロック101cが配置された部位は、第1モードおよび第2モードの双方において、第2のガイド部材102と重なり合う(左右方向に沿って見た場合に重なり合う)。
したがって、スライド機構65において支持ブロック101cが配置された領域は、第1のガイド部材101と第2のガイド部材102とが重なり合う分、他の領域に比して剛性が高くなる。後述のように、この領域には、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaが配置されるようになっている。
また、第2のガイド部材102は、前記第2プレート部102aと、アクチュエータ102bと、第2軸受102hと、ネジ軸102cと、上下一対のレール部102eと、スライド規制部102gを有する第3軸受102fと、を備える。第2のガイド部材102にはまた、第2プレート部102aと一体的な固定部102dも設けられている。
第2プレート部102aは、板厚方向を左右方向に沿わせた姿勢で配置された、前後方向に延びるプレート状に形成されている。第2プレート部102aは、第1プレート部101aの右方に配置されている。より詳細には、第2プレート部102aは、図15に示すように、上下方向に反転させた略L字状に形成されている。
第2プレート部102aにおいてL字の短辺に相当する部位は、前後方向および左右方向に沿って延びるプレート状に形成されており、第1プレート部101aの上方に配置されている。一方、第2プレート部102aにおいてL字の長辺に相当する部位は、前述のように板厚方向を左右方向に沿わせた部位に相当し、第1プレート部101aの右方に配置されている。
アクチュエータ102bは、第2プレート部102aにおいて前記短辺に相当する部位の前端部の下面に取り付けられている。アクチュエータ102bは、例えば制御部21からの電気信号に基づいて作動するリニアモータまたはステッピングモータとすることができる。
アクチュエータ102bを駆動させることで、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70ひいては観察光学系9および分析光学系7を相対的に変位させることができる。図15に示すように、左右方向においては、アクチュエータ102bと第2プレート部102aとの間に第1プレート部101aが配置されるようになっている。
また、第1および第2プレート部101a,102aの周辺には、観察光学系9および分析光学系7の移動量を検出するための移動量センサが設けられてもよい(不図示)。移動量センサを設けた場合、ヘッド部6のスライド移動に際して、分析光軸Aaと観察光軸Aoとの相対的な距離分だけヘッド部6が移動したことが移動量センサによって検出され次第、制御部21がスライド移動を停止させるように構成することができる。移動量センサは、例えばリニアスケール(リニアエンコーダ)等で構成することができる。
また、スライド機構65によって実現可能な最大移動量を分析光軸Aaと観察光軸Aoとの相対的な距離に一致させ、その最大移動量だけヘッド部6を移動させるように構成してもよい。この場合、スライド移動の前後で、分析光軸AaとサンプルSPとが交差する点と、観察光軸AoとサンプルSPとが交差する点と、を一致させることができる。
ネジ軸102cは、前後方向を中心軸としたらせん状のネジ山が切られた軸状部材によって構成されている。ネジ軸102cの前端部は、アクチュエータ102bの上方に配置された第2軸受102hによって回転可能に支持されている。一方、ネジ軸102cの後端部は、第3軸受102fによって回転可能に支持されている。ネジ軸102cは、アクチュエータ102bからの動力を受けて回転する。
送りナット部101b、アクチュエータ102b、ネジ軸102c、第2軸受102hおよび第3軸受102fによって構成される送りネジ機構において、アクチュエータ102bを駆動させると、ネジ軸102cがその中心軸まわりに回転する。スライド機構65は、ネジ軸102cが回転することで、該ネジ軸102cが送りナット部101bに対して前後方向に相対的に移動するように構成されている。ここで、ネジ軸102cは、第2プレート部102aに固定されている一方、送りナット部101bは、第1プレート部101aに固定されている。そのため、ネジ軸102cと送りナット部101bとの間の相対移動によって、第1のガイド部材101と第2のガイド部材102との間でスライド移動が実現される。
図17Aに示すように、第1モードにおいては、送りナット部101bの後面と、第3軸受102fの前面とが当接する。一方、図17Bに示すように、第2モードにおいては、送りナット部101bに対してネジ軸102c、第2軸受102hおよび第3軸受102fが第1モード時よりも相対的に後方に移動した結果、送りナット部101bの前面と、第2軸受102hの後面とが当接する。
そして、第2モードから第1モードへの切替に際しては、例えば図16の破線102b’に示すように、送りナット部101bに対してネジ軸102cと第2軸受102hと第3軸受102fとが第2モード時よりも相対的に前方に動いた結果、送りナット部101bの後面と、第3軸受102fの前面とが相対的に接近し、双方が近接または接触することで第1モードへの切替が完了する。
ここで、スライド機構65の動作にしたがって送りナット部101bと第3軸受102fとが接近する際に、ヘッド取付部材61の前面と分析筐体70の後面との間に異物等が挟まる可能性がある。その場合、スライド機構65の動作を可及的速やかに停止することが考えられる。そこで、本実施形態に係る送りナット部101bは、異物の接触を検知するとともに、その検知信号をコントローラ本体2に入力するように構成されている。
具体的に、送りナット部101bは、図17Aおよび図17Bに示すように、ネジ軸102cに挿通された第1ブロック1011、第2ブロック1012および第3ブロック1013と、第2ブロック1012と第3ブロック1013とを離間させる方向に付勢力を及ぼす付勢部材1014と、第2ブロック1012に固定されかつホール素子センサが収容された検出部1015と、を有してなる。
詳しくは、第1ブロック1011、第2ブロック1012および第3ブロック1013は、第2方向の前側からこの順番で配置されている。第1ブロック1011は、不図示の連結具によって第3ブロック1013と連結されており、第1ブロック1011と第3ブロック1013との相対的な位置関係は、スライド機構65の動作状況にかかわらず一定に保持される。第2ブロック1012は、第2方向において、第1ブロック1011とスタンド42およびヘッド取付部材61との間、より詳細には第2方向において第1ブロック1011と第3ブロック1013の間に配置されており、付勢部材1014によって第1ブロック1011に向けて付勢されている。
ここで、第1ブロック1011は、ネジ軸102cのネジ山と螺合するネジ穴を有しており、そのネジ穴を通じてネジ軸102cと連結されている。一方、第1ブロック1011は、第1のガイド部材101とは非接触とされている。この第1ブロック1011は、ネジ軸102cが回転することで、第2方向に沿ってネジ軸102cに対して相対的に移動するように構成されている。本実施形態のように、送りナット部101bが移動せずにネジ軸102c前後方向にスライド移動する場合は、第1ブロック1011は前後に移動せず、ネジ軸102cが回転しながら前後に移動することになる。
第1ブロック1011は、第1のガイド部材101とは直に連結されておらず、ネジ軸102cを介して第2のガイド部材102に取り付けられているため、なんらかの手段で第1ブロック1011を固定しなくては、第1ブロック1011とネジ軸102cとを相対的に回転させることはできない。第1ブロック1011を固定する手段が存在しない場合、第1ブロック1011は、該第1ブロック1011とネジ軸102cとの間に作用する静止摩擦力により、ネジ軸102cと一体的に回転しつつ、該ネジ軸102cと一体的に前後に移動することになる。第1ブロック1011とネジ軸102cは、供回りすることになる。
そこで、本実施形態では、第1ブロック1011に対して第2方向に並んで配置される第2ブロック1012が、前記静止摩擦力を上回る吸着用磁力(磁力)によって第1ブロック1011を吸着し、第1ブロック1011とネジ軸102cとを相対的に回転させるように構成されている。この吸着用磁力を発する吸着用磁石は、本実施形態では第2ブロック1012に収容されているが、第1ブロック1011に吸着用磁石を収容してもよい。
また、本実施形態に係る第1ブロック1011には、該第1ブロック1011と第2ブロック1012とが離れたことを検出部1015に検知させるための検出用磁石が収容されている。この検出用磁石は、第1ブロック1011ではなく、第2ブロック1012に収容してもよい。第2ブロック1012に収容した場合、検出部1015は、第2ブロック1012ではなく、第1ブロック1011または第3ブロック1013に固定されることになる。
なお、磁力による吸着に代えて、もしくは、磁力による吸着に加えて、第1ブロック1011に切り込みを設け、該切込みを貫通するようにネジ軸102cとは異なる別の棒を挿入することで、第1ブロック1011とネジ軸102cとの供回りを防いでもよい。その際、別の棒は、第1ブロック1011に対して堅固に固定される必要はなく、第1ブロック1011に対して遊びを持った状態で接続してもよい。
第2ブロック1012は、ネジ軸102cを挿通可能な貫通孔を有しているものの、その貫通孔の内径はネジ軸102cの外径(具体的には、ネジ軸102cに設けられたネジ山の山部の外径)よりも大きい。そのため、第2ブロック1012は、スライド機構65の動作にかかわらず、ネジ軸102c、ひいては第2のガイド部材102とは非連結な状態を保つ。また、図17A~図17Cに示されているように、第2ブロック1012は、第1プレート部101aと接触しており、不図示の締結具によって、この第1プレート部101aに締結されている。そのため、第2ブロック1012は、スライド機構65の動作にかかわらず、第1のガイド部材101に固定された状態を保つ。
そして、第2ブロック1012は、少なくともその一部が金属製の部材または磁石によって構成されており、第2ブロック1012に収容された吸着用磁石が発する吸着用磁力(磁力)によって、第1ブロック1011を吸着する。第2ブロック1012は、少なくとも前記静止摩擦力を上回る磁力によって第1ブロック1011を吸着し、該第1ブロック1011を固定する。第1ブロック1011は、第2ブロック1012を介して第1のガイド部材101に取り付けられることになる。
第2ブロック1012が第1ブロック1011を固定することで、第1ブロック1011とネジ軸102cとを供回りさせることなく、第1ブロック1011とネジ軸102cとを相対的に回転させることができる。第1ブロック1011を固定した状態でネジ軸102cが回転することで、ネジ軸102cのネジ山は、第1ブロック1011のネジ穴に沿って摺動することになる。この摺動は、ネジ山の中心軸に沿ったスライド移動、つまり第2方向に沿ったスライド移動をネジ軸102cにもたらす。このスライド移動によって、第1のガイド部材101と第2のガイド部材102とが第2方向に沿って相対的にスライド移動することになる。なお、磁力によって第1ブロック1011を固定するかわりに、第1ブロック1011と第2ブロック1012に雌雄の凹凸を形成し、それらを互いに結合させることで回り止めとしてもよい。
第3ブロック1013は、ネジ軸102cのネジ山と螺合するネジ穴を有しており、そのネジ穴を通じてネジ軸102cと連結されている。一方、第3ブロック1013は、第1のガイド部材101とは非接触とされている。この第3ブロック1013は、ネジ軸102cが回転することで、第2方向に沿ってネジ軸102cに対して相対的に移動するように構成されている。第3ブロック1013は、第2ブロック1012には吸着されていないものの、第1ブロック1011とは連結されているため、この第1ブロック1011を介して第2ブロック1012に固定されるようになっている。
ここで、スタンド42と分析筐体70とを接近させるように第1および第2のガイド部材101,102を移動させた場合、つまり、本実施形態では第2モードから第1モードへと遷移させようとした場合(図17Bと図17Aを参照)において、ヘッド取付部材61の前面と分析筐体70の後面との間に異物等が挟まった場合を考える。この場合、分析筐体70の後面には、該分析筐体70を前方(より一般的には、スタンド42から分析筐体70を離間させる方向)に押し出すような力が作用することになる。この力は、第2のガイド部材102、ひいてはネジ軸102cを介して第1ブロック1011に伝搬し、第1ブロック1011をスタンド42から離間させる方向に作用することになる。
ここで、第2ブロック1012は、前述のようにネジ軸102cとは非接触となるように配置されている。そのため、異物等の挟まりに起因して伝搬する力は、第1ブロック1011には作用するものの、第2ブロック1012には作用しない。したがって、この力は、第1ブロック1011を第2ブロック1012から引き離すよう、前記磁力による吸着に逆らうように作用することになる。
本実施形態に係る第1ブロック1011は、第2ブロック1012から離間する方向に作用する力が所定以上になった場合に、吸着用磁力による吸着を解除して、第2ブロック1012との離間を許容するように構成されている(図17Cを参照)。特に本実施形態では、第2ブロック1012から第1ブロック1011を引き離すように作用する力が、前記吸着用磁力と、付勢部材1014による付勢力と、支持ブロック101cおよびレール部102eの間に作用する摩擦力と、の和を上回ったときに、第1ブロック1011と第2ブロック1012との離間を許容するように構成されている。
第1ブロック1011と第2ブロック1012とが離間すると、第1ブロック1011に収容された検出用磁石と、第2ブロック1012に設けられた検出部1015のホール素子センサと、が前後方向に相対的に移動する。ホール素子センサは、その相対移動に基づいた検知信号をコントローラ本体2に出力する。コントローラ本体2は、入力された検知信号に基づいて制御信号を生成し、その制御信号をアクチュエータ102bに入力してスライド移動を停止させる。
このように、例えば取付部材61の前面と分析筐体70の後面との間に異物等が挟まった場合、検出部1015に対する検出用磁石の相対移動が検知されることで、スライド機構65の動作を停止させることができる。
また、第3軸受102fには、その中心軸を前後方向に沿わせた姿勢で配置されたスライド規制部102gが挿入されている。このスライド規制部102gは、第3軸受102fに対して進退可能な調整ネジによって構成されている。スライド規制部102gの先端部は、第3軸受102fを貫いており、前方に向かって突出している。スライド規制部102gの先端部と、第3軸受102fに向かって相対的に後退した送りナット部101bとが当接することで、該送りナット部101dの相対移動を規制する。
スライド規制部102gの突出量は、例えば手作業で調整することができる。これにより、第1モードにおける反射型対物レンズ74の位置(特に、前後方向における位置)を調整することが可能となる。スライド規制部102gを介した反射型対物レンズ74の位置調整は、第1モードと第2モードとの間でユーセントリック関係を維持する上で好適に作用する。
なお、スライド規制部102gによる位置調整だけでは補償できないようなズレについては、載置台駆動部53を介して載置台5を前後方向に移動させることで補償することができる。載置台5の移動に係る制御については後述する。
固定部102dは、第2プレート部102aの前端部の上面に取り付けられている。この固定部102dは、分析筐体70から露出しており、突出部70cの上面に配置されている。
上下一対のレール部102eは、上下方向において離間するように配置されているとともに、それぞれ、前後方向に沿って延びるように形成されている。各レール部102eを対応する支持ブロック101cに連結することで、第1のガイド部材101に対して第2のガイド部材102を前後方向に沿ってスライドさせることが可能となる。上下一対のレール部102eおよび複数の支持ブロック101cは、スライド機構65の要部を構成する(図11および図12も参照)。
スライド機構65は、第1モードと第2モードとの間で第2のガイド部材102を相対的にスライドさせるように、該第2のガイド部材102の可動範囲を規定している。詳しくは、第1モードにおけるスタンド42と反射型対物レンズ74の中央部(より詳細には、分析光軸Aaと反射型対物レンズ74とが交わる部位)との距離を第1の距離とし、第2モードにおけるスタンド42と対物レンズ92の中央部(より詳細には、観察光軸Aoと対物レンズ92とが交わる部位)との距離を第2の距離D2とする。第1の距離D1は、第1モードにおいて、分析光軸Aaに垂直な平面で見た場合におけるスタンド42と分析光軸Aaとの距離に相当する。第2の距離D2は、第2モードにおいて、観察光軸Aoに垂直な平面で見た場合におけるスタンド42と観察光軸Aoとの距離に相当する。
図18Aおよび図18Bに示すように、本実施形態に係るスライド機構65は、第1の距離D1と第2の距離D2とが略一致するように(D1=D2となるように)、第2のガイド部材102の可動範囲を規定する。
このように、第1モードと第2モードとでスタンド42からの距離が一定になるように設定することで、第1モードにおいて分析光軸AaとサンプルSPとが交差する点と、第2モードにおいて観察光軸AoとサンプルSPとが交差する点と、を一致させることができる。これにより、第1モードにおいて分析光学系7がサンプルSPに電磁波を照射する領域(具体的には、電磁波出射部71がレーザ光を照射する領域)と、第2モードにおいて観察光学系9がサンプルSPを観察する領域(具体的には、第2カメラ93が撮像視野に収める領域)と、を略一致させることができる。
また、本実施形態では、分析光軸Aaと観察光軸Aoは、スライド機構65によって実現されるスライド方向(前後方向)に沿って並んだ状態で、互いに平行に延びている。この場合、スライド機構65は、前後方向における反射型対物レンズ74と対物レンズ92との間隔以上となるように、第2のガイド部材102の可動範囲を規定している。
また、第1のガイド部材101は、第1モードと第2モードとの切替に際して移動しないように構成されている。そのため、第1モードにおける分析光軸Aaおよび第1のガイド部材101の相対位置関係と、第2モードにおける観察光軸Aoおよび第1のガイド部材101の相対位置関係と、は互いに略一致するようになっている。
詳しくは、図18Aの直線L1に示すように、第1モードにおいては、前後一対の支持ブロック101cの間(より詳細には、前後一対の支持ブロック101cの中間位置)に観察光軸Aoが配置される。第2モードにおいては、図18Bの直線L2に示すように、前後一対の支持ブロック101cの間(より詳細には、前後一対の支持ブロック101cの中間位置)に分析光軸Aaが配置されるように構成されている。なお、前後方向における観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの位置は、直線L1および直線L2が双方とも第1および第2のガイド部材101,102を貫くことから示されるように、第1のガイド部材101と第2のガイド部材102とが重なり合う部分に相当する。
また、図23Bに示すように、保護カバー61bは、スライド機構65の動作に応じて、第1モードにおいては分析光軸Aa上に位置する反射型対物レンズ74を露出させる一方、第2モードにおいては反射型対物レンズ74を遮蔽するように移動する(図例では、分析光軸Aaにのみ符号を付す)。保護カバー61bによって反射型対物レンズ74を遮蔽することで、レーザ光の不要な出射を抑制するとともに、2次ミラー74b周辺の隙間を介した塵等の侵入を抑制することができる。なお、保護カバー61bは、ヘッド取付部材61とは別体の部材として構成し、該ヘッド取付部材61に着脱されるように構成してもよい。あるいは、保護カバー61bは、ベース41、スタンド42等、ヘッド取付部材61以外の部材に取り付けられるように構成してもよい。
(傾斜機構45の詳細)
図24Aおよび図24Bは、傾斜機構45の動作について説明するための図である。以下、図24Aおよび図24Bを参照しつつ、筐体連結具64との関係等、傾斜機構45についてさらに説明する。
傾斜機構45は、前述の軸部材44等によって構成される機構であり、載置面51aに垂直な基準軸Asに対し、分析光学系7および観察光学系9のうち少なくとも観察光学系9を傾斜させることができる。
前述のように、本実施形態では、筐体連結具64が分析筐体70と観察筐体90とを一体的に連結することで、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置が保持されるようになっている。したがって、観察光軸Aoを有する観察光学系9を傾斜させると、分析光軸Aaを有する分析光学系7は、図24Aおよび図24Bに示すように観察光学系9と一体的に傾斜することになる。
このように、本実施形態に係る傾斜機構45は、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置を保持した状態で、分析光学系7および観察光学系9を一体的に傾斜させるように構成されている。
また、水平駆動機構としてのスライド機構65の動作と、傾斜機構45の動作と、は互いに独立しており、両動作の組合わせが許容されている。したがって、スライド機構65は、傾斜機構45によって少なくとも観察光学系9を傾斜させた姿勢を保持した状態で、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る分析観察装置Aは、観察光学系9を傾斜させたままの状態で、図24Bの両矢印A1に示すようにヘッド部6を前後にスライド可能とされている。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成されているため、スライド機構65は、傾斜機構45によって観察光学系9および分析光学系7を双方とも傾斜させた状態を保持しつつ、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させるようになっている。
また、分析観察装置Aは、ユーセントリック観察が行えるように構成されている。すなわち、分析観察装置Aにおいては、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ平行な3つの軸で形成される装置固有の三次元座標系が定義されている。制御部21の記憶装置21bには、分析観察装置Aの三次元座標系における後述する交差位置の座標がさらに記憶されている。交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの工場出荷時に予め記憶装置21bに記憶されていてもよい。また、記憶装置21bに記憶される交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの使用者により更新可能としてもよい。
対物レンズ92の光軸である観察光軸Aoは、中心軸Acに交差している。対物レンズ92が中心軸Acを中心として揺動する場合、観察光軸Aoと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する観察光軸Aoの角度(傾きθ)が変化する。このように、ユーザは、対物レンズ92を傾斜機構45によって中心軸Acを中心として揺動させた際、例えば、サンプルSPの観察対象部分が上記の交差位置にある場合には、対物レンズ92が傾斜した状態になったとしても、第2カメラ93の視野中心が同じ観察対象部分から移動しないユーセントリック関係が維持される。したがって、サンプルSPの観察対象部分が第2カメラ93の視野(対物レンズ92の視野)から外れることを防止することができる。このように、本実施形態に係る観察光学系9は、ユーセントリック関係を維持するように構成されている。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、反射型対物レンズ74の光軸である分析光軸Aaは、観察光軸Aoと同様に中心軸Acに交差している。反射型対物レンズ74が中心軸Acを中心として揺動する場合、分析光軸Aaと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度(傾きθ)が変化する。分析光軸Aaと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されることで、観察光学系9と同様に、分析光学系7もユーセントリック関係を維持することになる。
分析光学系7および観察光学系9が双方ともユーセントリック関係を維持すべく、本実施形態では、反射型対物レンズ74は、第1モードにおける反射型対物レンズ74および載置台5の間の距離と、第2モードにおける対物レンズ92および載置台5の間の距離と、が所定の許容誤差内に収まるように配置されている。
そして、反射型対物レンズ74とサンプルSPとの距離(第1観察距離)は、観察距離調整機構としてのヘッド駆動部47および載置台駆動部53の少なくとも一方によって行われる対物レンズ92とサンプルSPとの距離(第2観察距離)の調整を通じて、予め定められた距離に調整される。
第1モードにおいて、傾斜機構45は、第1観察距離を予め定められた距離に維持することで、分析光軸AaがサンプルSPと交差する点である所定位置に関してユーセントリック関係を維持したまま、載置台5に対する分析光軸Aaの傾斜角度(傾きθ)が変化するように、回転軸としての中心軸Acを中心として分析光学系7を一体的に傾斜させる。
一方、第2モードにおいて、傾斜機構45は、第2観察距離を予め定められた距離に維持することで、観察光軸AoがサンプルSPと交差する点である所定位置に関してユーセントリック関係を維持したまま、載置台5に対する観察光軸Aoの傾斜角度(傾きθ)が変化するように、回転軸としての中心軸Acを中心として観察光学系9を一体的に傾斜させる。
第1観察距離および第2観察距離を測定すべく、分析観察装置Aには観察距離測定部が設けられている。観察距離測定部は、例えば、レーザ光による三角測距を利用して距離を測定することができる。観察距離測定部による測定結果は、コントローラ本体2に入力される。コントローラ本体2は、測定された第1および第2観察距離に基づいて、ヘッド駆動部47および載置台駆動部53の少なくとも一方を駆動する。ここで、観察距離測定部は、後述の画像処理部214のように、制御部21が有する機能ブロックとして構成することができる。観察距離測定部は、三角測距を利用して距離を測定する代わりに、オートフォーカスにより合焦位置を求めることで、第1観察距離および第2観察距離を測定することもできる。
また、前述のように、第1モードと第2モードとでスタンド42からの距離が一定(D1=D2)になるように設定することで、第1モードおよび第2モードそれぞれ単体で見た場合においてユーセントリック関係が維持されるばかりでなく、第2モードから第1モードに切り替えたり、第1モードから第2モードに切り替えたり等、モード間の切替時においても、ユーセントリック関係を維持させることができる。例えば、第1モードにおいて傾きθを所定角度に設定したときに分析光軸AaとサンプルSPとが交差する点と、その状態から第2モードに切り替えたときに観察光軸AoとサンプルSPとが交差する点とを一致させることができる。
さらに、載置面51aの回転軸である基準軸Asとスタンド42との距離は、第1モードにおいては第1の距離D1に一致し、第2モードにおいては第2の距離D2に一致するように構成されている。このように構成することで、非傾斜状態において、第1モードでは分析光軸Aaと基準軸Asとが一致し、第2モードでは観察光軸Aoと基準軸Asとが一致するようになる。これにより、第1モードにおいて傾斜機構45を作動させた場合に、分析光軸AaとサンプルSPとが交差する点と、基準軸AsとサンプルSPとが交差する点と、を一致させた状態に保つことができる。同様に、第2モードにおいて傾斜機構45を作動させた場合に、観察光軸AoとサンプルSPとが交差する点と、基準軸AsとサンプルSPとが交差する点と、を一致させた状態に保つこともできる。これにより、第1モードおよび第2モードの双方において、載置面51aの回転角度にかかわらず、ユーセントリック関係を維持することができるようになる。
さらに、前述のように第1の距離D1と第2の距離D2とを一致させることで、例えば、第1モードにおいて載置面51aを所定角度回転させたときに分析光軸AaとサンプルSPとが交差する点と、その状態から第2モードに切り替えたときに観察光軸AoとサンプルSPとが交差する点とを一致させることができる。
本実施形態では、中心軸Acおよび基準軸Asが交差する点と、第2モードにおいて中心軸Acおよび観察光軸Aoが交差する点と、第1モードにおいて中心軸Acおよび分析光軸Aaが交差する点とが一致しているのに加えて、基準軸Asと載置台5の回転軸とが同軸化されているため、基準軸Asに対して観察光軸Aoまたは分析光軸Aaを傾斜させたり、そうして傾斜させた状態から載置台5を回転させたりしても、一定の視野を維持する(ユーセントリック関係を維持する)ことができる。
(スライド機構65の接続構造について)
図19Aは、第2のガイド部材102と分析筐体70との接続構造を例示する斜視図であり、図19Bは、その接続構造を模式的に示す図である。図19Aは、分析筐体70からその前面70bを取り外した状態を例示した図に相当する。
ここで、図11および図12に戻ると、第2プレート部102aにおいて第4方向の内側(非傾斜状態では右側)に面する側面には、第2のガイド部材102を分析筐体70に接続するための第1接続部102iと、同じく第2のガイド部材102を分析筐体70に接続するための第2接続部102jと、が設けられている。第1接続部102iおよび第2接続部102jは、第2プレート部102aにおける前記側面の中央部(第2方向および第3方向における中央部)に配置されている。第1接続部102iと第2接続部102jは、第2方向に並んでいる。
第1接続部102iは、分析筐体70内に分析光学系7の収容スペースを区画する隔壁(不図示)に締結されており、図18A、図18Bおよび図19Bに示す第1の領域R1と第3の領域R3との境界付近に接続されている。
第2接続部102jは、第1接続部102iよりも第2方向の先端側(前側)に配置されており、支柱部材103を介して分析筐体70の内壁に締結されている。図19Aおよび図19Bに示すように、支柱部材103は、支柱本体103aと、支柱本体103aに設けられた締結孔103cと、を有する。
支柱本体103aは、第4方向に沿って延びる中空の柱状に形成されている。支柱本体103aは、第2プレート部102aの第2接続部102jから、第4方向において第2のガイド部材102の反対側(右側)に位置する分析筐体70の内壁部70fに至るまで延びている。言い換えると、この支柱本体103aは、第4方向に沿って、第1の領域R1から、第3の領域R3を経由して第2の領域R2に至るまで延びるようになっている。
締結孔103cは、第4方向における支柱本体103aの先端部(第2の領域R2側の端部)に配置されている。締結孔103cにネジ等の締結具を挿入することで、分析筐体70において第2の領域R2に位置する前記内壁部70fに支柱部材103を接続することができる。この内壁部70fは、支柱部材103を介して第2のガイド部材102に接続されることになる。
このように、支柱部材103を介して第2のガイド部材102を接続することで、第2のガイド部材102は、その板厚方向(第4方向)に離間した複数箇所で分析筐体70に接続されることになる。これにより、第1および第2のガイド部材101,102の連結部を支点とした第2のガイド部材102の折れ曲がり変形(特に、第4方向に沿った折れ曲がり変形)を抑制することができる。そのことで、スタンド42に対してスライド機構65を精密に位置決めすることができるようになる。このことは、第1モードおよび第2モードでの動作時、ならびに、モード間の切替に際し、ユーセントリック関係を維持する上で有効である。
また、第4方向において第2のガイド部材102の反対側に位置する内壁部70fまで支柱部材103を延ばしたことで、第4方向の内側に向かって第1および第2のガイド部材101,102を折り曲げようとしたときに、その折り曲げを抑制する支えとして支柱部材103を機能させることができる。このことも、第1モードおよび第2モードでの動作時、ならびに、モード間の切替に際し、ユーセントリック関係を維持する上で有効である。
<コントローラ本体2の詳細>
図25は、コントローラ本体2の構成を例示するブロック図である。また、図26は、制御部21の構成を例示するブロック図である。図25等に示す例では、コントローラ本体2と光学系アセンブリ1とが別体に構成されているが、本開示は、そのような構成には限定されない。コントローラ本体2の少なくとも一部を光学系アセンブリ1に設けてもよい。
前述のように、本実施形態に係るコントローラ本体2は、種々の処理を行う制御部21と、制御部21が行う処理に係る情報を表示する表示部22と、を備える。このうちの制御部21は、CPU、システムLSI、DSP等からなる処理装置21aと、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどからなる記憶装置21bと、入出力バス21cと、を有する。
制御部21は、サンプルSPからの光の受光量に基づいたサンプルSPの画像データの生成と、強度分布スペクトルに基づいたサンプルSPの含有物質の分析と、を双方とも実行可能に構成されている。
詳しくは、図25に例示されるように、制御部21には、少なくとも、マウス31、コンソール32、キーボード33、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79、第1カメラ81、遮蔽部材83、リング照明92a、第2カメラ93、アクチュエータ102b、レンズセンサSw1、第1傾斜センサSw2および第2傾斜センサSw3が電気的に接続されている。
制御部21によって、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79、第1カメラ81、遮蔽部材83、リング照明92a、第2カメラ93、アクチュエータ102bが電気的に制御される。
また、第1カメラ81、第2カメラ93、レンズセンサSw1、第1傾斜センサSw2および第2傾斜センサSwの出力信号は、制御部21に入力される。制御部21は、入力された出力信号に基づいた演算等を実行し、その演算結果に基づいた処理を実行する。
例えば、制御部21は、第1傾斜センサSw2の検出信号と、第2傾斜センサSw3の検出信号とに基づいて、載置面51aに垂直な基準軸Asに対する分析光学系7の傾きθを算出する。制御部21は、その傾きが所定の閾値を超える場合、ユーザに警告等を通知する。
また、制御部21は、筐体連結具64によって分析光学系7に固定されている観察ユニット9aに対応した観察光学系9の種類のうち、少なくとも対物レンズ92の種類を識別するとともに、その識別結果に基づいてサンプルSPの撮像に係る処理を実行することができる。ここで、対物レンズ92の種類の識別は、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて行うことができる。制御部21は、サンプルSPの撮像に係る処理として、例えば、第2カメラ93の露光時間の調整および照明光の明るさの調整等を実行することができる。
具体的に、本実施形態に係る制御部21は、図26に示すように、モード切替部211と、スペクトル取得部212と、スペクトル解析部213と、画像処理部214と、を有する。これらの要素は、論理回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
-モード切替部211-
モード切替部211は、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って分析光学系7および観察光学系9を進退させることで、第1モードから第2モードへと切り替えたり、第2モードから第1モードに切り替えたりする。
具体的に、本実施形態に係るモード切替部211は、予め記憶装置21bに記憶されている観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離を事前に読み込む。次いで、モード切替部211は、スライド機構65のアクチュエータ102bを作動させることで、分析光学系7および観察光学系9を進退させる。
ここで、モード切替部211は、観察光学系9および分析光学系7の移動量が前述の最大移動量に達したタイミングで、分析光学系7および観察光学系9の進退を停止する。
なお、モード切替部211によって第1モードへと切り替えた後に、ヘッド部6を傾斜させることもできる。
また、モード切替部211は、第2モードにおける対物レンズ92と載置面51aとの間の相対位置関係と、第1モードにおける反射型対物レンズ74と載置面51aとの間の相対位置関係と、が一致するようにスライド機構65を移動させるものの、前者の相対位置関係と、後者の相対位置関係との間には、部品の公差等に起因したズレが残存する可能性がある。
そこで、モード切替部211は、載置台駆動部53を介して載置面51aを位置調整することで、前述の如きズレを補償することができる。ここで、補償されるべきズレの大きさは、分析観察装置Aの初期設定に際して記録され、記憶装置21bによって事前に記憶されるようになっている。また、モード切替部211は、スライド機構65による第1モードと第2モードとの間の切替後に、載置台駆動部53を介した載置面51aの位置調整を実行するように構成されている。
-スペクトル取得部212-
スペクトル取得部212は、第1モードにおいて分析光学系7からレーザ光を出射させることで、強度分布スペクトルを取得する。具体的に、本実施形態に係るスペクトル取得部212は、電磁波出射部71から電磁波としてのレーザ光(紫外レーザ光)を出射させ、これを、反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。サンプルSPにレーザ光を照射すると、サンプルSPの表面が局所的にプラズマ化するとともに、プラズマ状態から気体等に戻るときに、エネルギー準位間の幅に対応したエネルギーを有する光(電磁波)が電子から放出される。そうして放出された光は、反射型対物レンズ74を通じて分析光学系7に戻り、第1カメラ81、第1検出器77Aおよび第2検出器77Bに到達する。
第1カメラ81に戻った光は、サンプルSPから戻る光を撮像してなる画像データを生成し、第1および第2検出器77A,77Bに戻った光は、スペクトル取得部212が受光量を波長毎に分光することで、強度分布スペクトルを生成する。スペクトル取得部212によって生成された強度分布スペクトルは、スペクトル解析部213に入力される。
なお、スペクトル取得部212は、第1および第2検出器77A,77Bによる受光タイミングを、レーザ光の出射タイミングと同期させる。このように設定することで、スペクトル取得部212は、レーザ光の出射タイミングに合わせて強度分布スペクトルを取得することができる。
-スペクトル解析部213-
スペクトル解析部213は、スペクトル取得部212によって生成された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。既に説明したように、LIBS法を用いた場合、サンプルSPの表面が局所的にプラズマ化され、プラズマ状態から気体等に戻るときに放出される光のピーク波長は、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の電子軌道)毎に固有の値を持つ。したがって、強度分布スペクトルのピーク位置を特定することで、そのピーク位置に対応した元素がサンプルSPに含まれている成分であると判定することができ、また、ピーク同士の大きさ(ピークの高さ)を比較することで、各元素の成分比を決定するとともに、決定された成分比に基づいて、サンプルSPの組成を推定することもできる。
スペクトル解析部213による分析結果は、表示部22上に表示されたり、所定のフォーマットで記憶装置21bに記憶したりすることができる。
-画像処理部214-
画像処理部214は、観察光学系9における第2カメラ93によって生成される画像データ(第1画像データ)、分析光学系7における第1カメラ81によって生成される画像データ(第2画像データ)、およびスペクトル解析部213による分析結果等に基づいて、表示部22上の表示態様を制御することができる。
特に、本実施形態に係る画像処理部214は、第2カメラ93によって撮像される領域(例えば、領域の中心位置)と、第1カメラ81によって撮像される領域(例えば、領域の中心位置)と、を第1モードと第2モードとの切替前後で一致させる。画像処理部214は、各領域を一致させるように、第1および第2カメラ81,93、ひいては、各カメラ81,93によって生成される第1および第2画像データの表示態様を調整することができる。
その他、画像処理部214は、第2画像データ上に、レーザ光の照射位置(より一般には、電磁波が照射される領域)を示す指標を重ねて表示することもできる。
<制御フローの具体例>
図27は、分析観察装置Aの基本動作を例示するフローチャートである。また、図28は、分析光学系7によるサンプルSPの分析手順を例示するフローチャートである。
まず、図27のステップS1では、第2モードにおいて、観察光学系9による分析対象の探索が実行される。このステップS1では、ユーザによる操作入力に基づいて、制御部21が、第2カメラ93の露光時間、光ファイバーケーブルC3によって導光される照明光など、第2カメラ93によって生成される画像データ(第1画像データ)の明るさ等の条件を調整しながら、サンプルSPの各部のうち、分析光学系7によって分析されるべき部分(分析対象)を探索する。このとき、制御部21は、必要に応じて、第2カメラ93によって生成される第1画像データを保存する。
なお、第2カメラ93の露光時間の調整および照明光の明るさの調整は、ユーザによる操作入力を伴わずとも、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて制御部21が自動的に実行するように構成することもできる。
また、このステップS1の最中、または、同ステップS1と前後して、例えばユーザによる手動操作に基づいて、分析対象の探索に際し、傾斜機構45によって観察光学系9、ひいてはヘッド部6全体が傾けられる。制御部21は、そのときの傾きθの大きさを検知する。その傾きθの大きさは、第2カメラ93によって生成される第1画像データとともに、表示部22上に表示してもよい。
続くステップS2では、モード切替部211がスライド機構65を作動させて観察光学系9と分析光学系7とを一体的にスライド移動させることで、第2モードから第1モードへの切替が実行される。
続くステップS3では、モード切替部211が載置台駆動部53を作動させて載置台5の位置調整を実行する。この位置調整は、前後方向、左右方向および上下方向の少なくとも1方向に沿って行われる。載置台5の位置調整を行うことで、反射型対物レンズ74に対するサンプルSPの相対位置が調整される。なお、第1モードから第2モードへの切替に際して同様の位置調整を実行してもよい。
続いて、図27のステップS4では、第1モードにおいて、分析光学系7によるサンプルSPの成分分析が実行される。ステップS4で行われる処理は、図28に示す通りである。すなわち、図27のステップS4は、図28のステップS41~ステップS46によって構成されている。
本実施形態では、成分分析用の反射型対物レンズ74は、観察用の対物レンズ92に比して、観察時の被写体深度が浅い。そのため、図28のステップS41では、コントローラ本体2における制御部21は、第2画像データ中の各所においてオートフォーカスを実行し、全焦点画像の生成を実行する。これにより、第2画像データの略全体にわたって焦点を合わせ込むことができる。その際、第1カメラ81の露光時間、LED光源79から発せられる照明光の光量等の撮像条件は、第2モードにおける撮像条件に可能な限り近づけられるようになっている。
また、前述した画像処理部214は、反射型対物レンズ74よりも対物レンズ92の拡大倍率が低い場合には、ステップS1で保存された第1画像データをマッピング画像とし、そのマッピング画像内のどの箇所が第2画像データとして撮像されているかを表示部22上に表示することができる。
続くステップS42では、画像処理部214が、レーザ光の照射位置(レーザ照射点)を示唆するマークを第2画像データ上にオーバーレイ表示する(図示省略)。このマークは、レーザ光の照準を示す。ユーザは、マークの位置をチェックすることで、分析対象が適切に設定されているか否かを確認することができる。画像処理部214は、その確認結果を示す操作入力(例えば、ユーザによる手入力)に基づいて、制御プロセスを進めることができる。
また、このステップS42では、分析対象が適切に設定されていない場合、ヘッド部6は、例えばユーザによる操作入力に基づいて、載置台駆動部53を駆動して載置台5の位置を調整する。これにより、マークに対するサンプルSPの相対位置を補正することができる。
続くステップS43においては、制御部21は、レーザ光を照射する直前の第2画像データを記憶装置21bに保存し、それに続くステップS44では、制御部21は、分析光学系7からサンプルSPへとレーザ光を出射させる。
このステップS44では、第1および第2検出器77A,77Bによって、サンプルSPのプラズマ化に起因して発せられる光が受光される。その際、第1および第2検出器77A,77Bによる受光タイミングは、レーザ光の出射タイミングと同期するように設定される。スペクトル取得部212は、レーザ光の出射タイミングに合わせて強度分布スペクトルを取得する。
続くステップS45では、スペクトル解析部213が強度分布スペクトルを解析することで、サンプルSPに含まれる元素の成分および成分比の分析と、成分比に基づいた材料の推定と、を実行する。
それに続くステップS46では、ステップS45を通じて取得された分析結果を、画像処理部214が表示部22上に表示する。その後、制御部21は、図28に示すフローからリターンして図27のフローに戻り、図27に示す制御プロセスも完了する。
(スライド機構65に係る特徴部)
以上説明したように、本実施形態に係る分析観察装置Aは、図18A及び図18Bに示すように、第1および第2のガイド部材101,102の相対的なスライドによって、分析筐体70と観察ユニット9aとを一体的に移動させる。ここで、分析筐体に収容された反射型対物レンズ74と、観察ユニット9aの対物レンズ92とは、それぞれ独立した光学系7,9を構成するため、各光学系7,9に係る光学条件を、個別に調整することができる。これにより、分析と観察の光学条件を双方とも最適化することができる。
また、第1のガイド部材101は、第2のガイド部材102と一体的に、スタンド42に対して着脱することができる。第2のガイド部材102は分析筐体70に接続されるため、分析筐体70ごと、第1のガイド部材101をスタンド42から取り外すことができる。これにより、分析筐体70の着脱に係るユーザビリティを向上させることができる。
また、第1および第2のガイド部材101,102は、図15等に示すように、上下方向を長手方向とし、かつ、左右方向を短手方向とするように構成される。このように構成することで、第1および第2のガイド部材101,102に対し左右方向に隣接するスペースを広く確保することができるようになる(例えば図18Aを参照)。これにより、スライド機構65によるスライド方向(前後方向)の寸法を嵩張らせることなく、観察ユニット9aをレイアウトすることが可能になる。その結果、スライド機構65による移動量を抑制することができるようになる。
また、長手方向を鉛直方向(上下方向)に沿わせたことで、第1および第2のガイド部材101,102に作用する重力に起因した第1および第2のガイド部材101,1-2の撓み変形等を抑制することができる。これにより、分析筐体70および観察ユニット9aの支持を安定させ、ひいては各々が有する対物レンズ74,92の光軸Aa、Aoを揺らすことなく支持することが可能になる。
また、図13~図15に示すように、第1のガイド部材101と第2のガイド部材102とは、それぞれ上下方向に沿って離れて配置されたレール部102eと支持ブロック101cとによって連結される。このように連結することで、上下方向に垂直な回転軸(前後方向または左右方向に沿った回転軸)まわりの第1のガイド部材101に対する第2のガイド部材102の回転を抑制することができる。これにより、第1のガイド部材101に対する第2のガイド部材102の相対的な揺れを抑制することができる。このことは、第2のガイド部材102によって分析筐体70と観察ユニット9aを両方とも支持する構成等、第2のガイド部材102に比較的大きな荷重が作用するような構成において、取り分け有効となる。
また、図18A及び図18Bに示すように、スライド機構65は、サンプルSPの分析に適した第1モードと、サンプルSPの観察に適した第2モードと、の間で第2のガイド部材102をスライドさせることができる。これにより、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有利になる。
また、図18Aおよび図18Bに示すように、第2のガイド部材102の可動範囲は、前記第1の距離D1と第2の距離D2とが双方とも一致するように規定される。このように規定することで、反射型対物レンズ74およびサンプルSPの相対位置と、対物レンズ92およびサンプルSPの相対位置と、を略一致させることができる。その結果、対物レンズ92によって観察された位置と略同じ位置に対し、電磁波による破壊試験等の分析を実施することができるようになる。これにより、2つのモード間でユーセントリック関係を維持することが可能となり、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有利になる。
また、回転軸としての基準軸Asとスタンド42との距離を第1および第2の距離D1,D2に一致させたことで、載置台5を回転させた場合においてもなお、2つのモード間でユーセントリック関係を維持することが可能となる。これにより、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有利になる。
また、図18Aおよび図18Bに示すように、2つの光軸間の距離以上となるように第2のガイド部材の可動範囲を規定することで、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有利になる。
また、図18Aおよび図18Bに示すように、第1のガイド部材101において支持ブロック101cが配置された部位と、第2のガイド部材102においてレール部102eが配置された部位とは、特に左右方向(第3方向)に沿って見た場合において、相互に重なり合うことになる。そうして重なり合う部位は、他の部位に比して高い剛性を有する。そうした高剛性の部位に2つの対物レンズ92,74それぞれの光軸Ao,Aaを配置することで、各光軸Ao,Aaの揺れを抑制することが可能になる。このことは、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有効である。
また、図23Bに示すように、反射型対物レンズ74によって光を集光する場合である第1モードにおいては、対物レンズ92によって光を集光する場合である第2モードとは異なり、保護カバー61bによって反射型対物レンズ74を遮蔽する。これにより、レーザ光の漏洩を抑制することが可能になる。また、この構成は、反射型対物レンズ74の隙間を通じた塵等の侵入を抑制できるという点においても有効である。
また、図18Aおよび図18Bに示すように、分析筐体70は、第4方向において非対称な形状を有する。ここで、第1の領域R1に設けられた突出部70cに第1および第2のガイド部材101,102を収容するとともに、第4方向において突出部70cと観察ユニット9aとを並べて配置することで、例えば前後方向(第2方向)に沿って両要素を並べた構成に比して、前後方向におけるヘッド部6の寸法を抑制することができる。これにより、第1および第2のガイド部材101,102の間の相対的な移動量を抑制し、ひいてはヘッド部6のコンパクト化に有利になる。
また、前後方向におけるヘッド部6の寸法を抑制することで、分析筐体70および観察ユニット9a全体の重心位置を、前後方向においてスタンド42に接近させることが可能となる。これにより、分析筐体70および観察ユニット9aの支持を安定させ、ひいては、分析光軸Aaおよび観察光軸Aoの揺れを抑制することが可能になる。このことは、サンプルSPの分析と観察を両立する上で有効である。
また、第2の領域R2に検出器77A、77Bを収容することで、第3の領域R3において前後方向の寸法を抑制し、観察ユニット9aを配置するためのスペースをより広く確保することができるようになる。これにより、第4方向において第1および第2のガイド部材101,102と観察ユニット9aを近接させる上で有利になる。これらの要素を第4方向において近接させることで、第1および第2のガイド部材101,102による観察ユニット9aの支持を安定させ、ひいては、対物レンズ92の光軸Aoの揺れを抑制することが可能になる。このことは、サンプルSPの観察を行う上で有効である。
さらに、分析筐体70および観察ユニット9aは、第1の領域R1に配置された第1および第2のガイド部材101,102によって、片持ち状態で支持されることになる。これにより、左右方向において反対側の第2の領域R2周辺のスペースを広く確保することができ、そのスペースを観察ユニット9aの着脱等を行うための作業スペース(ユーザが手作業を行うためのスペース)として用いることができるようになる。これにより、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させることができる。
また、図18Aおよび図18Bに示すように、前後方向における後側から順に、スタンド42、電磁波出射部71、分析光軸Aa、および、観察光軸Aoの順番で配置されることになる。前後方向において電磁波出射部71をスタンド42に近接させることで、分析筐体70、および、その収容物全体の重心が、スタンド42に近接するようになる。これにより、スタンド42による分析筐体70の支持(より詳細には、第1のガイド部材101を介して行われる支持)を安定させ、ひいては、反射型対物レンズ74の光軸Aaの揺れを抑制することが可能になる。このことは、サンプルSPの分析を行う上で有効である。
さらに、第1および第2のガイド部材101,102の相対移動に伴って、スタンド42と電磁波出射部71とが離間することになる。そのため、例えば、前後方向において反射型対物レンズ74と、観察ユニット9aと、の間に電磁波出射部71を配置するような構成に比して、電磁波出射部71からの放熱をより効果的に行うことができる。
また、図8等に示すように、観察筐体90は、分析筐体70の外部空間に配置されることになる。これにより、観察筐体90の着脱が容易となり、ひいては、分析観察装置Aのユーザビリティを向上させることができる。
また、図8および図15に示すように、観察筐体90は、固定部102dを介して第2のガイド部材102によって支持される。分析筐体70ではなく、第2のガイド部材102によって直に支持するように構成することで、第2のガイド部材102による観察ユニット9aの支持を安定させ、ひいては、対物レンズ92の光軸Aoの揺れを抑制することが可能になる。このことは、サンプルSPの観察を行う上で有効である。
(その他の特徴部)
-観察用アセンブリ1’に関連した構成-
図29は、分析観察装置Aの観察用アセンブリ1’を例示する斜視図である。また、図30は、第3の取付構造としての挿入部661を例示する斜視図であり、図31は、分析観察装置Aの光学系アセンブリ1と観察用アセンブリ1’を比較して示す平面図である。なお、図29および図31において、コントローラ本体2は、図示を省略している。
前記実施形態では、分析装置と観察装置を兼用するように組み立てられた光学系アセンブリ1が開示されていた。本開示に係る分析観察装置Aは、ステージ4、観察筐体90等、この光学系アセンブリ1における少なくとも一部の要素を流用することで、図29に示すように、観察機能に特化した観察用アセンブリ1’に光学系アセンブリ1を組み替えることもできる。この場合、分析観察装置Aは、拡大観察装置として用いられることになる。
詳しくは、実施形態に係るスタンド42には、分析筐体70を取り付けるための第1の取付構造としてレール部43aが設けられている一方、分析筐体70には、レール部43aに嵌合する第2の取付構造としての挿入部61dが設けられていた。
本実施形態に係るスタンド42には、前記分析筐体70に代えて、観察筐体90を保持するための観察筐体保持具66を取り付けることもできる。この観察筐体保持具66は、前記実施形態と共通のスタンド42に接続される台座部66aと、この台座部66aに接続されかつ観察筐体90を保持する保持部66bと、を備える。
図30に示すように、台座部66aは、レール部43aに嵌合する第3の取付構造としての挿入部661と、挿入部661から第2方向に沿って延びるアーム部662と、アーム部662の先端に設けられる支柱部663と、を有する。
挿入部661は、第1および第3方向に沿って広がる矩形板状に形成されている。挿入部661は、分析筐体70の挿入部61dと同様に、上方からレール部43aに挿入可能である。第1方向および第3方向における挿入部661の寸法、ならびに、第2方向における挿入部661の板厚は、前記挿入部61dと実質的に同じである。挿入部661は、レール部43aに挿入された状態でロックレバー43bが操作されることで、スタンド42に固定されるようになっている。
アーム部662は、挿入部661の前面から前方に向かって延びるように形成されている。アーム部662の先端の上面には、支柱部663が設けられている。支柱部663はは、観察ユニット9aのWDを調整可能とすべく、第1方向に沿って上方に向かって延びる柱状に形成されている。
保持部66bは、支柱部663に挿入されかつ、該支柱部663の外周面に装着される第1接続部664と、該第1接続部664に対して前側に配置されかつ観察筐体90を把持する第2接続部665と、を有する(図29にのみ図示)。第2接続部665は、筐体連結具64と同様に、観察筐体90の回転角度および位置決めを調整可能に構成されている。台座部66aがスタンド42に固定された状態で、支柱部663に第1接続部664が装着されかつ第2接続部665が観察筐体90を把持することで、観察筐体保持具66を介してスタンド42に観察筐体90を取り付けられると同時に、観察用アセンブリ1’が実現される。
このように、分析観察装置Aは、分析機能と観察機能を兼ね備えた光学系アセンブリ1を備えてなる第1の組立状態と、観察機能に特化した観察用アセンブリ1’を備えてなる第2の組立状態と、ユーザのニーズに応じて使い分けることができる。第1の組立状態と、第2の組立状態との双方で、スタンド42は共通である。
ここで、前後方向におけるアーム部662の長さと、アーム部662における支柱部663の位置と、を変更することで、スタンド42と観察光軸Aoとの相対位置を調整することができる。特に本実施形態では、観察光軸Aoに垂直な平面で観察用アセンブリ1’を見た場合における、スタンド42と観察光軸Aoとの距離を第3の距離D3とすると、この第3の距離D3は、図31に示すように、観察光軸Aoに垂直な平面で光学系アセンブリ1(特に、第2モードの光学系アセンブリ1)を見た場合における、スタンド42と観察光軸Aoとの距離(つまり、第2の距離D2)に一致するように調整されている。第3の距離D3は、第1の距離D1とも一致することになる。
このように調整することで、第1の組立状態における分析および観察と同様の使用感で、第2の組立状態においてサンプルSPの観察を行うことが出来る。
-スイング式の観察ユニット9bに関連した構成-
図32は、スイング式の観察ユニット9bを装着した状態を例示する図4対応図である。
前記実施形態では、例えば図6に示されるように、一対物レンズ92を備えた観察ユニット9aを例示したが、本開示は、そうした観察ユニット9aには限定されない。図32に例示されるようなスイング式の観察ユニット(以下、「スイング式ユニット」ともいう)9bを観察筐体90に装着してもよい。
このスイング式ユニット9bは、一対物レンズを収容してなる第1レンズ部911と、それとは別の一対物レンズを収容してなる第2レンズ部912と、を有する。スイング式ユニット9bは、図32の紙面を直交する揺動軸Axまわりに揺動可能に構成されており、第1レンズ部911を載置面51aに向けた状態と、第2レンズ部912を載置面51aに向けた状態と、を使い分けることができる。
ここで、揺動軸Axは、前記中心軸Acに対し平行に延び、かつ前記基準軸Asに対し垂直に延びるように構成される。このように構成された揺動軸Axを用いた場合、図32に示すように、例えば第1レンズ部911を載置面51aに向けた際に、第2レンズ部912は、第1レンズ部911の側方、例えば左方に位置することになる。この場合、分析筐体70に設けた突出部70cと、第2レンズ部912との干渉が懸念される。
そこで、本実施形態に係る突出部70cは、分析筐体70の下端部付近には設けられておらず、分析筐体70において前記第1の領域R1に属する部位のうち、さらに第1方向における中央部(上下方向中央部)に設けられるようになっている。このように、分析筐体70の下端部を意図的に突出させないように構成することで、スイング式ユニット9bによるサンプルSPの観察を支障なく行うことができるようになる。このような構造は、スイング式(揺動式)の観察ユニット9bではなく、レボルバを用いることによって対物レンズを切替可能な回転式の観察ユニットを用いる場合にも有効である。
《他の実施形態》
前記実施形態では、分析光学系7は、観察光学系9と一体的に傾斜するように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。傾斜機構45は、少なくとも観察光学系9のみを傾斜させればよい。観察光学系9のみを傾斜させるように構成した場合、電磁波としてのレーザ光は、サンプルSPの直上方から下方に向かって出射されることになる。
前記実施形態では、スライド機構65は、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させる際に、載置台5ではなく観察光学系9および分析光学系7を移動させるように構成されていた。このような構成により、載置台5の振動を抑制することができ、載置台5の移動に伴って生じる観察対象物の位置変動を抑えることができる。もっとも、本開示は、そうした構成には限定されない。さらに、観察光学系9および分析光学系7の双方を一体的に移動させるとともに、載置台5も移動させ、同一箇所の観察と分析とができるように構成してもよい。
前記実施形態では、スタンド42によって分析光学系7を後方から支持するとともに、その分析光学系7の前側に観察光学系9が配置されるように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。スタンド42と分析光学系7の間に観察光学系9を配置してもよい。
前記実施形態では、第1のガイド部材101とスタンド42とが別体に構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。第1のガイド部材101とスタンド42とを一体的に構成してもよい。
前記実施形態では、第1のガイド部材101および第2のガイド部材102は、その長手方向を上下方向に沿わせるとともに、分析筐体70および観察筐体90を左右方向の片側から片持ち状態で支持するように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、第1のガイド部材101および第2のガイド部材102の長手方向を左右方向に沿わせてもよいし、分析筐体70および観察筐体90を左右方向の両側から支持するように構成してもよい。
また、前記実施形態では、第1のガイド部材101に支持部材としての支持ブロック101cが設けられる一方、第2のガイド部材102にレール部102eが設けられるように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、第1のガイド部材101にレール部を設ける一方、第2のガイド部材102に支持部材を設けるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、分析筐体70の外面によって観察筐体90を支持するように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。観察筐体90または観察ユニット9aを分析筐体70の内面によって支持するように構成してもよい。この場合、観察筐体90または観察ユニット9aは、分析光学系7と同様に、分析筐体70に収容されることになる。
また、前記実施形態では、第2のガイド部材102と観察筐体90とを接続するとともに、この観察筐体90によって分析筐体70を保持するように構成してもよい。この場合、分析筐体70は、観察筐体90を介して間接的に、第2のガイド部材102と接続されることになる。
また前記実施形態では、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaは、互いに平行になるように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。観察光軸Aoと分析光軸Aaとがねじれの位置になるように、分析光学系7および観察光学系9を配置することもできる。
(分析方法の変形例)
前記実施形態に係る分析観察装置Aは、電磁波出射部71から電磁波としてのレーザ光を出射させることで、LIBS法による成分分析を行うように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。
例えば、電磁波として赤外光を用いることで、LIBS法ではなく赤外分光法による分析を行ってもよい。具体的には、赤外光を観察対象物に照射し、透過または反射した光を測定することで、観察対象物に含まれる分子の化学構造を分析してもよい。電磁波として単色光を用い、単色光を観察対象物に照射することで生じるラマン散乱光を用いて観察対象物の性質を調べる、ラマン分光法による分析を行ってもよい。また、電磁波として約180~3000nm程度の紫外領域、可視領域および赤外領域の光を用いることで、紫外可視近赤外分光法による分析を行ってもよい。具体的には、電磁波を観察対象物に照射し、透過または反射した光を測定することで、観察対象物に含まれる目的成分の定性・定量分析を行ってもよい。さらに、電磁波としてX線を用いることで、X線領域の分光分析を行ってもよい。具体的には、X線を観察対象物(試料)に照射し、それによって発生する固有のX線である蛍光X線のエネルギーおよび強度により観察対象物の元素を分析する蛍光X線分析を行ってもよい。電磁波の代わりに電子線を用い、電子線を観察対象物に照射することによって発生する反射電子のエネルギーおよび強度により観察対象物の表面を分析してもよい。本開示に係る構成は、それらの分光を行う場合にも適用可能である。
A 分析観察装置(分析装置)
1 光学系アセンブリ
1’ 観察用アセンブリ
2 コントローラ本体
21 制御部
22 表示部
4 ステージ
41 ベース
42 スタンド
5 載置台
51a 載置面
6 ヘッド部
61b 保護カバー
64 筐体連結具
65 スライド機構
66 観察筐体保持具
7 分析光学系
70 分析筐体
70c 突出部
71 電磁波出射部
74 反射型対物レンズ(第1の対物レンズ)
77A 第1検出器(検出器)
77B 第2検出器(検出器)
81 第1カメラ(カメラ)
9 観察光学系
9a 観察ユニット
90 観察筐体
92 対物レンズ(第2の対物レンズ)
93 第2カメラ(カメラ)
101 第1のガイド部材
101b 送りナット部
1011 第1ブロック
1012 第2ブロック
1015 検出部
101c 支持ブロック(支持部材)
102 第2のガイド部材
102c ネジ軸
102d 固定部
102e レール部
Aa 分析光軸(第1の対物レンズの光軸)
Ao 観察光軸(第2の対物レンズの光軸)
As 基準軸(回転軸)
D1 第1の距離
D2 第2の距離
R1 第1の領域
R2 第2の領域
R3 第3の領域
SP サンプル(分析対象物)

Claims (16)

  1. 分析対象物の成分分析を行う分析装置であって、
    ベースと、
    前記ベースと接続され、該ベースに対して垂直な第1方向に延びるスタンドと、
    前記ベースまたは前記スタンドによって支持され、前記分析対象物を載置するための載置面を有する載置台と、
    前記載置台に載置された前記分析対象物からの光を集光する第1の対物レンズが収容された分析筐体と、
    前記分析筐体によって保持され、前記分析対象物からの光を集光する第2の対物レンズを有する観察ユニットと、
    前記スタンドと接続され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に延びる第1のガイド部材と、
    前記分析筐体と接続され、かつ前記第2方向に沿って相対的にスライド可能な状態で前記第1のガイド部材と連結された第2のガイド部材と、を備え、
    前記第1のガイド部材に対する前記第2のガイド部材のスライドに応じて、前記分析筐体と前記観察ユニットとが一体的に移動するように構成される
    ことを特徴とする分析装置。
  2. 請求項1に記載された分析装置において、
    前記第1のガイド部材は、前記スタンドとは別体であり、
    前記第1のガイド部材は、前記第2のガイド部材および前記分析筐体とともに前記スタンドに対して着脱可能に構成される
    ことを特徴とする分析装置。
  3. 請求項1または2に記載された分析装置において、
    前記第1方向は、鉛直方向に沿って延び、
    前記第1および第2のガイド部材は、それぞれ、前記第1方向の寸法に比して、前記第1および第2方向に直交する第3方向の寸法が短くなるように構成される
    ことを特徴とする分析装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一方に記載された分析装置において、
    前記第1および第2のガイド部材のうちの一方に設けられ、前記第1方向において離間するように配置されているとともに、それぞれ前記第2方向に沿って延びるように形成された一対のレール部と、
    前記第1および第2のガイド部材のうちの他方に設けられ、それぞれ前記レール部をスライド可能に支持する複数の支持部材と、を備え、
    前記レール部および前記支持部材は、前記第1のガイド部材に対して前記第2のガイド部材を前記第2方向に沿ってスライドさせるスライド機構を構成する
    ことを特徴とする分析装置。
  5. 請求項4に記載された分析装置において、
    前記スライド機構は、
    前記第1のガイド部材に設けられた送りナット部と、
    前記第2のガイド部材に設けられ、前記送りナット部に挿入されたネジ軸と、を備え、
    前記送りナット部は、
    前記ネジ軸と螺合され、該ネジ軸が回転することで該ネジ軸を前記第2方向に沿って相対的に移動させる第1ブロックと、
    前記第2方向において前記第1ブロックと前記スタンドの間に配置されかつ、前記ネジ軸とは非接触な状態で前記第1のガイド部材に固定された第2ブロックと、
    前記第1ブロックと前記第2ブロックとの離間を検出する検出部と、を有し、
    前記第1および第2ブロックのうちの一方は、磁力によって他方を吸着し、
    前記スライド機構は、前記第1および第2ブロックを相互に離間させる方向に作用する力が所定以上となった場合に、前記磁力による吸着を解除させるように構成されている
    ことを特徴とする分析装置。
  6. 請求項4または5に記載された分析装置において、
    前記スライド機構は、
    前記載置台上の測定視野に前記第1の対物レンズを向かい合わせた第1の状態と、
    前記載置台上の測定視野に前記第2の対物レンズを向かい合わせた第2の状態と、
    の間で第2のガイド部材をスライドさせるように、該第2のガイド部材の可動範囲を規定する
    ことを特徴とする分析装置。
  7. 請求項6に記載された分析装置において、
    前記第1の状態における前記スタンドと前記第1の対物レンズの中央部との距離を第1の距離とし、前記第2の状態における前記スタンドと前記第2の対物レンズの中央部との距離を第2の距離とすると、
    前記スライド機構は、前記第1の距離と前記第2の距離とが略一致するように、前記第2のガイド部材の可動範囲を規定する
    ことを特徴とする分析装置。
  8. 請求項7に記載された分析装置において、
    前記載置面は、所定の回転軸まわりに回転可能に構成され、
    前記スタンドと前記回転軸との距離は、
    前記第1の状態においては前記第1の距離に一致し、
    前記第2の状態においては前記第2の距離に一致する
    ことを特徴とする分析装置。
  9. 請求項6から8のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記第1の対物レンズの光軸と前記第2の対物レンズの光軸とは、前記第2方向に沿って並んだ状態で互いに平行に延び、
    前記スライド機構は、前記第2方向における前記第1の対物レンズおよび第2の対物レンズそれぞれの光軸間の距離以上となるように、前記第2のガイド部材の可動範囲を規定する
    ことを特徴とする分析装置。
  10. 請求項6から9のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記レール部は、前記第2のガイド部材に設けられ、
    前記支持部材は、前記第1のガイド部材に設けられかつ前記第2方向に沿って間隔を空けて配置された一対の部材からなり、
    前記第1の状態においては、前記一対の部材の間に前記第1の対物レンズの光軸が配置される一方、前記第2の状態においては、前記一対の部材の間に前記第2の対物レンズの光軸が配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記分析筐体には、
    前記分析対象物を分析するための電磁波を出射する電磁波出射部と、
    前記分析対象物において発生した電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する検出器と、が収容され、
    前記第1の対物レンズは、前記電磁波出射部により出射された電磁波を集光して前記分析対象物に照射するとともに、該分析対象物において発生した電磁波を集光して前記検出器に導く
    ことを特徴とする分析装置。
  12. 請求項11に記載された分析装置において、
    前記第1のガイド部材には、前記第1の対物レンズを遮蔽する保護カバーが接続され、
    前記保護カバーは、前記第1および第2のガイド部材の相対的なスライド移動に伴って、
    前記第1の対物レンズによって集光する場合には、前記第1の対物レンズを露出させる一方、
    前記第2の対物レンズによって集光する場合には、前記第1の対物レンズを遮蔽するように移動する
    ことを特徴とする分析装置。
  13. 請求項11または12に記載された分析装置において、
    前記第1の対物レンズは、前記第2方向に直交するように延びる光軸を有し、
    前記分析筐体は、
    前記光軸および前記第2方向に垂直な第4方向の一側に配置される第1の領域と、
    前記第4方向の他側に配置される第2の領域と、
    前記第4方向において前記第1および第2の領域の間に配置される第3の領域と、に区分され、
    前記第1の領域には、前記第2方向に沿って突出しかつ前記第2のガイド部材を収容してなる突出部が設けられ、
    前記第2の領域には、前記検出器が収容され、
    前記第3の領域には、前記第1の対物レンズを介して前記分析対象物を撮像するカメラが収容され、
    前記観察ユニットは、前記第4方向に沿って前記突出部と隣接するように配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  14. 請求項13に記載された分析装置において、
    前記突出部および前記観察ユニットは、前記第2方向において前記第1の対物レンズよりも前記スタンドから離間するように配置され、
    前記電磁波出射部は、前記第2方向において前記第1の対物レンズと前記スタンドとの間に配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  15. 請求項13または14に記載された分析装置において、
    前記第2の対物レンズと、該第2の対物レンズを通して受光された前記分析対象物からの光の受光量を検出することで該分析対象物を撮像するカメラと、が収容された観察筐体を備え、
    前記観察筐体は、前記分析筐体の外側に配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  16. 請求項15に記載された分析装置において、
    前記観察筐体は、該観察筐体とは別体の筐体連結具を介して前記分析筐体に保持され、
    前記第2のガイド部材の上面または下面には、該第2のガイド部材と一体的に設けられた固定部が配置され、
    前記筐体連結具は、前記固定部を介して前記第2のガイド部材に支持される
    ことを特徴とする分析装置。
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