JP2022167478A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 Download PDF

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悠子 山中
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Abstract

【課題】本発明の目的は、結晶挙動が良好であり、そり特性や形状追従性が良好である、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、内層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.00以上であり、前記(010)面の強度が40000以下である、ことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びの製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に、強度の観点から、強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。この連続繊維強化樹脂複合材料としては、強化繊維に添加する集束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)、連続強化繊維と樹脂の界面における接着力、親和性等が良好なもの(例えば、以下の特許文献5参照)が提案されている。
特開2003-238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017-222859号公報 特開2009-19202号公報 国際公開第2019/208586号
しかしながら、従来技術の連続繊維強化樹脂複合材料では、いずれも、結晶挙動が最適ではないため、十分なそり特性や形状追従性が発現しない点で改善の余地がある。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、結晶挙動が良好であり、そり特性や形状追従性が良好である、連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
内層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.00以上であり、前記(010)面の強度が40000以下である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料。
[2]
内層における結晶相の(010)面の前記半値全幅が1.15以下である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[3]
表層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.25以下である、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[4]
内層における結晶相の(100)面の半値全幅が0.85以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[5]
内層における結晶相の(010)面の格子面間隔が0.30~1.2である、[1]~[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[6]
表層における結晶相の(100)面の半値全幅が0.85以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[7]
表層における結晶相の(100)面のピークの2θが20.34°以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[8]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む原料積層体を加熱下で成形することを含み、
連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅が、下記関係式を満たす、ことを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)<0.0037×(成形時の加熱の最高温度)+0.15
[9]
連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅と、表層における結晶相の(010)面の半値全幅と、の比率が下記式の関係を満たす、[8]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
(連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(010)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)≧-0.0034×(成形時の最高温度)+2.02
[10]
加熱下で成形した後に、冷却することを含み、
連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅と、表層における結晶相の(100)面の半値全幅と、の比率が下記式の関係を満たす、[8]又は[9]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
(連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(100)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅)≧0.0125×(成形時の冷却速度)+0.318
本発明に係る連続繊維強化樹脂複合材料は、表層と内層の結晶挙動に優れているため、そり特性や形状追従性が良好である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう。)は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、内層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.00以上であり、上記(010)面の強度が40000以下である。
上記内層における結晶相の(010)面の半値全幅は、1.03以上であることが好ましく、1.05以上であることがより好ましい。上記内層における結晶相の(010)面の半値全幅は1.20以下であることが好ましく、1.17以下であることがより好ましく、1.15以下であることが更に好ましく、1.14以下であることがより更に好ましく、1.13以下であることが特に好ましい。
上記内層における結晶相の(010)面の強度は、37000以下であることが好ましい。上記内層における結晶相の(010)面の強度は、10000以上であることが好ましく、15000以上であることがより好ましく、20000以上であることが更に好ましい。
上記内層における結晶相の(010)面の半値全幅及び強度が上記範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる、熱可塑性樹脂の結晶子サイズと結晶の連続性のバランスが良好となり、そり特性や形状追従性が良好となる。
上記内層における結晶相の(010)面の半値全幅及び強度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、加熱工程及び冷却工程を有する連続繊維強化樹脂複合材料の製造時の連続繊維強化樹脂複合材料の成形時の最高温度と、連続繊維強化樹脂複合材料と連続繊維強化樹脂複合材料と接する異種材料との冷却工程開始時の温度差と、を調整し、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の高温時と室温時の接触角を調整する方法等が挙げられる。連続繊維強化樹脂複合材料の成形時の最高温度を高くし、連続繊維強化樹脂複合材料と連続繊維強化樹脂複合材料と接する異種材料との冷却工程開始時の温度差を大きくすることで、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の高温時の接触角が小さくなり、また、連続強化繊維に含まれる熱可塑性樹脂が結晶化する際の、熱可塑性樹脂分子鎖の運動性が小さくなるため、内層における結晶相の(010)面の半値全幅が大きくなり、内層における結晶相の(010)面の強度が小さくなる傾向にある。
連続繊維強化樹脂複合材料の成形時の温度は、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の内層に熱電対を挟んで測定する方法が挙げられる。異種材料とは、製造工程で、加熱、冷却、賦形等の工程に供せられる材料であり、例えば、金属や、セラミック、樹脂材料、水、オイル等からなる材料であってよく、金型、鋳型、ベルト等が挙げられる。異種材料の温度は、例えば、異種材料と連続繊維強化樹脂複合材料が接する箇所を熱電対や非接触温度計、接触式温度計等により測定する方法が挙げられる。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅及び強度は、連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、集中法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.25以下であることが好ましく、1.24以下であることがより好ましい。上記連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(010)面の半値全幅は0.90以上であることが好ましく、1.00以上であることがより好ましい。
上記連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(010)面の半値全幅が上記範囲であると、そり特性や形状追従性が良好となる傾向にある。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(010)面の半値全幅は、連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、射入射法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(100)面の半値全幅は、0.85以上であることが好ましく、0.85~1.1であることがより好ましく、0.87~1.0であることが更に好ましい。
上記連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(100)面の半値全幅が上記範囲であると、そり特性や形状追従性が良好となる傾向にある。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅は連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、集中法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(010)面の格子面間隔は、0.30~1.2であることが好ましく、0.6~1.1であることがより好ましい。
上記連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(010)面の格子面間隔が上記範囲であると、そり特性や形状追従性が良好となる傾向にある。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の格子面間隔は連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、集中法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(100)面の半値全幅が0.85以上であることが好ましく、0.86以上であることがより好ましい。
上記連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(100)面の半値全幅が上記範囲であると、そり特性や形状追従性が良好となる傾向にある。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(100)面の半値全幅は連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、射入射法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(100)面のピークの2θは、20.34°以上であることが好ましく、20.34°~20.45°であることがより好ましく、20.35°~20.40°であることがさらに好ましく、20.36°~20.39°であることが特に好ましい。
上記連続繊維強化樹脂複合材料の、表層における結晶相の(100)面のピークの2θが上記範囲であると、そり特性や形状追従性が良好となる傾向にある。
なお連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(100)面のピークの2θは連続繊維強化樹脂複合材料のXRD測定を、射入射法により測定でき、詳細には実施例の方法で測定することができる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の形態]
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物や編み物、ノンクリンプファブリック、組紐、パイプ状のものと熱可塑性樹脂とを複合化した形態、一方向に引き揃えた連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて賦形した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる糸とを織物や編み物、組紐、パイプ状にして賦形した形態等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、平板であってよく、連続強化繊維の層と熱可塑性樹脂の層とを含む積層体であってよい。例えば、連続強化繊維の長さ方向が平板の表面に略平行に配置されていてもよい。なお、連続強化繊維の層とは、連続強化繊維(例えば、連続強化繊維基材)を含む層であり、連続強化繊維の内部に熱可塑性樹脂が含浸している層であってよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の賦形前の中間材料の形態としては、特に制限されず、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め樹脂を含浸させテープ状にしたもの、連続強化繊維を樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維の間に予め樹脂を含浸させたもの、連続強化繊維と溶融した樹脂とを接触させた形態等が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、特に制限されず、以下の種々の方法が挙げられる。
一方法では、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材(例えば、連続強化繊維からなる基材、熱可塑性樹脂からなる基材)を、所望の枚数重ね合わせて裁断又は賦形し、目的とする製品の厚みを考慮して必要個数積み重ね又は必要枚数積層させ、金型に金型形状に合わせてセットする。なお、本明細書において、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材を重ね合わせた、金型にセットする積層体(金型内に設置された、加熱成形直前の積層体)を、原料積層体と称する場合がある。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は、任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等が挙げられる。中でも、断面形状に優れ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材の賦形は、任意の方法で行ってよく、例えば、シート状の形状に賦形してよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
基材(例えば、原料積層体)を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ、賦形する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長い方が好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
その他の方法としてダブルベルトプレス機や連続圧縮成形装置により連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材を連続的に供給して熱可塑性樹脂の融点以上に加熱して任意の圧力で圧縮成形し、熱可塑性樹脂の結晶化温度やガラス転移温度以下に冷却して製造する方法が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続繊維強化樹脂複合材料の製造時の最高温度(例えば成形時の最高温度)を、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の内、最も高い融点を有する熱可塑性樹脂の、融点+10℃~融点+75℃(好ましくは、融点+12℃~融点+60℃)に設定し、上記最高温度に達した後に冷却工程を開始する時の連続繊維強化樹脂複合材料と、連続繊維強化樹脂複合材料と接する異種材料との温度差を、60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上にする方法が好ましい。連続繊維強化樹脂複合材料の温度は、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料の内層に熱電対を挟んで測定する方法が挙げられる。異種材料は、上記冷却工程で使用する材料(好ましくは、冷却工程において、加熱成形後の複合材料と接することで複合材料を冷却する材料)であり、例えば、金属や、セラミック、樹脂材料、水、オイル等が挙げられる。異種材料の温度は例えば、異種材料と連続繊維強化樹脂複合材料が接する箇所を熱電対や非接触温度計、接触式温度計等により測定する方法が挙げられる。なお、冷却工程開始時とは、製造時の冷却工程の開始時点(例えば、加熱成形後に冷却工程用の上記異種材料と複合材料とが接する時点)をいう。
最高温度と、冷却工程開始時の連続繊維強化樹脂複合材料と、連続繊維強化樹脂複合材料と接する異種材料との温度差が上記範囲であると、連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(010)面の半値全幅が大きくなり、内層における結晶相の(010)面の強度が小さくなる傾向にある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む原料積層体を加熱下で成形することを含み、連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅と成形時の最高温度が、下記式の関係であることが好ましい
(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)<0.0037×(成形時の最高温度)+0.15
成形時の最高温度と、連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅とが上記の関係を満たすと、連続繊維強化樹脂複合材料の生産性が高くなる傾向にある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅と表層における結晶相の(010)面の半値全幅との比率と、成形時の最高温度が下記式の関係であることが好ましい。
(連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(010)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)≧-0.0034×(成形時の最高温度)+2.02
連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面と表層における結晶相の(010)面の半値全幅の比率と成形時の最高温度が上記の関係であると、そり特性が良くなる傾向にある。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、原料積層体を成形金型等に入れて加熱下で成形した後に、冷却することを含み、連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅と表層における結晶相の(100)面の半値全幅との比率と成形時の冷却速度が下記式の関係であることが好ましい。
(連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(100)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅)≧0.0125×(成形時の冷却速度)+0.318
連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面と表層における結晶相の(100)面の半値全幅の比率と成形時の冷却速度が上記の関係であると、そり特性が良くなる傾向にある。
なお、成形時の冷却速度(℃/秒)とは、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度と上記連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の融点-65℃との温度差と、連続繊維強化樹脂複合材料が上記最高温度から上記連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の融点-65℃まで低下するのに要する時間とから、求めることができる。なお、冷却速度を測定する際の冷却条件は、上記連続繊維強化樹脂複合材料を製造する際の冷却工程の条件と同一条件で測定するものとする。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法において、連続強化繊維と熱可塑性樹脂との280℃での接触角が、23℃における接触角の1.3~7.0倍であることが好ましく、1.4~6.0倍であることがより好ましく、1.5~5.5倍であることが更に好ましい。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂との接触角は、ガラスカバーに連続強化繊維の単糸と熱可塑性樹脂のフィルムとを挟み、温度を熱可塑性樹脂の融点以上に上げ、冷却を開始する直前の連続強化繊維と熱可塑性樹脂との接触角を光学顕微鏡で観察することで高温時の接触角、冷却後、室温での連続強化繊維と熱可塑性樹脂との接触角を光学顕微鏡で観察することで室温時の接触角を測定することができ、詳細には実施例に記載の方法で測定することができる。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂との高温と室温での接触角が、上記関係であると、そり特性や形状追従性が良好になる傾向にある。
連続繊維強化樹脂複合材料は、さらにハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填してハイブリッド複合材料としてもよい。ハイブリッド複合材料の製造工程においては、金型内に上記基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、基材の熱可塑性樹脂と、所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド複合材料を製造してもよい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、熱可塑性樹脂の基材間の界面強度に大きく影響する。所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、基材を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、更に好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、更により好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド複合材料において、基材を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成されたハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物との接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出するハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは、界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、上記保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
また、保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
(ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物)
ハイブリッド複合材料を製造するために用いる射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば、特に限定されない。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上を混合した混合物などが挙げられる。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物は、着色剤を含む、黒色の樹脂組成物としてよい。
各種充填材としては、上記連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する上記連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤から群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いるハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、接合する熱可塑性樹脂との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する接合面の熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、接合面の熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
その他の方法として、基材を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した基材の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、基材を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法や連続圧縮成形機により加圧して成形する方法等が挙げられる。
ダブルベルトプレス機や連続圧縮成型機により加圧して成形する方法では、ベルトや型の材質は成形する連続繊維強化樹脂複合材料とは異なる材質であり、耐久性の面から金属またはセラミクスであることが好ましい。投入する連続強化繊維基材と熱可塑性樹脂は積層されていてもよい。
(連続強化繊維)
連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記連続強化繊維は表面処理剤(好ましくは、後述の集束剤)が処理されていてもよい。
-集束剤-
連続強化繊維は、集束剤を付着させていることが好ましい。
上記連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、表面処理剤として集束剤を用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上を含むものであってよく、少なくとも結束剤又はシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、集束剤は、シランカップリング剤及び結束剤からなるものとしてよく、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなるものとしてもよい。
連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)とその周りを被膜する樹脂との強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。
集束剤は、使用される材料に対して外的に加えられてもよく、使用される材料に内的に含まれていてもよい。例えば、潤滑剤は、用いられる熱可塑性樹脂の市販品に含まれている場合がある。
--シランカップリング剤--
シランカップリング剤は、通常、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、ポリアミド系樹脂の末端基であるカルボキシル基またはアミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましく、アミノシラン類が好ましい。
--潤滑剤--
潤滑剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、シランカップリング剤及び結束剤を阻害しない限り、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
--結束剤--
結束剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としての上記熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマーにおける、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル等が挙げられる、上記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル等が挙げられる。上記共重合性モノマーとしては、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上のモノマー(好ましくは、無水マレイン酸)が挙げられる。中でも、1種のアクリル酸エステルと、1種のメタクリス酸エステルと、1種の共重合性モノマーとのコポリマーが好ましい。上記コポリマーの重量平均分子量としては、1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20~90%とすることが好ましく、40~60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体として連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又はそのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体、又は、不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーの単独重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれら不飽和カルボン酸のエステル化体(メチルエステル、エチルエステル等)等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂がオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合である場合、モノマー比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60~95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5~40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70~85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15~30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200,000が好ましく、50,000~150,000がより好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂は、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40~99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1~10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40~60質量%、ポリオール40~60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45~55質量%、ポリオール45~55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000~100,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上用いることが好ましく、60質量%以上用いることがより好ましい。
集束剤が、シランカップリング剤及び結束剤からなる場合、集束剤は、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%付与して付着させる。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、集束剤は、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量(合計付着質量割合)として、好ましくは0.01~0.3質量%、より好ましくは0.02~0.2質量%、更に好ましくは0.03~0.15質量%付着させる。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.01質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から0.3質量%以下であることが好ましい。
--ガラス繊維用の集束剤の組成--
ガラス繊維用の集束剤におけるシランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、集束剤100質量%に対して、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合であって、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
--ガラス繊維用の集束剤の使用態様--
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
また、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合も同様に、集束剤を用いてもよく、集束剤は、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した熱可塑性樹脂と濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
炭素繊維に用いる集束剤の種類については、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015-101794号公報に記載のものを用いることができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いることが可能な集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
(連続強化繊維の形状)
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維の単糸径Rは、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることが更に好ましく、8~18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5~100μm・g/cm、より好ましくは10~50μm・g/cm、更に好ましくは15~45μm・g/cm、より更に好ましくは20~45μm・g/cmである。
密度Dは、比重計により測定することができる。
他方、単糸径R(μm)は、密度D(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2022167478000001
により算出することができる。また、単糸径R(μm)は例えば、連続強化繊維単糸のSEM観察によって求めることができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2~40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8~55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4~68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。
連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維の形態は、特に制限されず、織物や編み物、組紐、パイプ状のもの、ノンクリンプファブリック、一方向材等、種々の形態が挙げられ、好ましくは、織物、ノンクリンプファブリック、一方向材の形態である。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド1010、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド410、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
-ポリエステル系樹脂-
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
-ポリアミド系樹脂-
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられる。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω-アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω-アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2-メチルペンタンジアミンや2-エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p-フェニレンジアミンやm-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612等の脂肪族ポリアミド、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)等の半芳香族ポリアミド、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2-メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
ポリアミド樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂が、(A)脂肪族ポリアミドを50~99質量部、及び、イソフタル酸単位を少なくとも75モル%含むジカルボン酸単位と、炭素数4~10のジアミン単位を少なくとも50モル%含むジアミン単位とを含有する(B)半芳香族ポリアミドを1~50質量部、を含有してもよい。
熱可塑性樹脂が、上記範囲の(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドを含むと、ポリアミドとして(A)脂肪族ポリアミドのみを含む場合と比較して、連続繊維強化樹脂複合材料の物性(強度、剛性、高温特性、吸水特性、衝撃特性、及び外観等)が向上する傾向にある。
熱可塑性樹脂100質量%に対して、(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドの合計含有量は、70~100質量%であることが好ましく、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%である。
上記(A)脂肪族ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612等が挙げられる。
熱可塑性樹脂中のポリアミド100質量%中の、(A)脂肪族ポリアミドの含有量は、50~99質量%であることが好ましく、より好ましくは60~90質量%、更に好ましくは70~80質量%である。
上記(B)半芳香族ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド10I等が挙げられる。
上記イソフタル酸単位及び炭素数4~10のジアミン単位の合計量は、(B)半芳香族ポリアミドの全構成単位100モル%に対して、80~100モル%であることが好ましく、90~100モル%であることがより好ましく、95~100モル%であることが更に好ましい。
なお、(B)半芳香族ポリアミドを構成する単量体単位の割合は、例えば、13C核磁気共鳴分光法(NMR)により測定することができる。
(B)半芳香族ポリアミドにおいて、ジカルボン酸単位中のイソフタル酸単位の割合は、少なくとも75モル%であり、好ましくは85モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。ジカルボン酸単位中のイソフタル酸単位の割合が上記範囲であると、高温特性と吸水特性が向上する傾向にある。
(B)半芳香族ポリアミドにおいて、ジアミン単位中の炭素数4~10のジアミン単位の割合は、少なくとも50モル%であり、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上である。ジアミン単位中の炭素数4~10のジアミン単位の割合が上記範囲であると、高温特性と吸水特性が向上する傾向にある。
熱可塑性樹脂中のポリアミド100質量%中の、(B)半芳香族ポリアミドの含有量は、1~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~40質量%、更に好ましくは20~30質量%である。
上記(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドは、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよく、(A)脂肪族ポリアミドと(B)半芳香族ポリアミドとを合わせたポリアミド1gに対する当量として表される(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドの封止された末端量の合計が、5~180μ当量/gであることが好ましく、10~170μ当量/gがより好ましく、20~160μ当量/gがさらに好ましく、30~140μ当量/gが特に好ましく、40~140μ当量/gが最も好ましい。封止された末端量が、上記範囲であると、物性(強度、剛性、高温特性、吸水特性、衝撃特性、及び外観等)が向上する傾向にある。
ここで、封止された末端量とは、封止剤により封止されたアミノ末端及びカルボキシル末端の合計量である。封止された末端量は、H-NMRを用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)脂肪族ポリアミドの末端基濃度は、(B)半芳香族ポリアミドの末端基濃度の1/2以下であることが好ましく、2/5以下であることがより好ましい。(A)脂肪族ポリアミドの末端基濃度が(B)半芳香族ポリアミドの末端基濃度の1/2以下であると、物性(強度、剛性、高温特性、吸水特性、衝撃特性、及び外観等)が向上する傾向にある。
(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドの末端基濃度は、H-NMRを用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)脂肪族ポリアミドと(B)半芳香族ポリアミドとは、tanδのピーク温度の差が45~100℃であることが好ましく、50~90℃であることがより好ましく、60~90℃であることが更に好ましい。(A)脂肪族ポリアミドと(B)半芳香族ポリアミドとのtanδのピーク温度の差が、上記範囲であると、高温特性と吸水特性が向上する傾向にある。
(A)脂肪族ポリアミド及び(B)半芳香族ポリアミドのtanδのピーク温度は、例えば、粘弾性測定解析装置を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)脂肪族ポリアミドと(B)半芳香族ポリアミドとの粘度の差が3倍以上であることが強度、剛性、成形性、外観の観点から好ましく、4倍以上であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の粘度はMFR測定(ISO1133に準拠)により求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により観察することができる。
[添加剤]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の複合材料は、例えば、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等の添加剤を含有してもよい。なお、上記添加剤とは、上述の成分(例えば、上記熱可塑性樹脂、上記連続強化繊維、上記ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物中の含有成分、集束剤中の含有成分)を除くものをいう。
添加剤の含有量は、複合材料100質量%に対して、3質量%以下としてよい。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アルミ顔料、二酸化チタン、群青、シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドン、珪藻土、モノアゾ塩、ペリレン、ジスアゾ、縮合アゾ、イソインドリン、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ジケトンピロロピロール、金属塩、ペリレンレッド、金属酸化物、バナジン酸ビスマス、コバルトグリーン、コバルトブルー、アンスラキノン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等が挙げられる。中でも、黒色の着色剤が好ましく、カーボンブラック、ニグロシンがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が90~525質量部、これら以外の成分の含有量が0~2質量部であり、より好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が150~340質量部、これら以外の成分の含有量を0~1質量部である。
[連続繊維強化樹脂複合材料の用途]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
[複合材料の成形]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形することができる。上記の方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
[連続繊維強化樹脂複合材料の内層及び外層の結晶相の測定]
連続繊維強化樹脂複合材料をバンドソーにより1cm角に切削し、X線回折(XRD)装置(SmartLab 9kW)により、内層は集中光学系集中法、表層は平行光学系射入射法で下記条件により測定を実施し、(010)面の半値全幅、強度、格子面間隔、(100)面の半値全幅、各結晶面のピークを生じる2θを求めた。各結晶面の同定はシミュレーションにより求めた。
出力:9kW(45kV/200mA)、2θ=5~40°、ω=0.3°(平行光学系)、測定間隔:0.1deg/min、検出器:半導体検出器、発散スリット:1/2°、発散縦制限スリット:5mm、散乱スリット:0.5°、受光スリット:2mm、Kβフィルター
測定は5回実施し、平均値から求めた。また、統計変動1%以下とするため、測定範囲内の強度は10000を下回らないように測定した。
[連続強化繊維と熱可塑性樹脂の接触角の測定]
熱可塑性樹脂フィルムと強化繊維一本の単糸とをカバーガラスに挟み、ホットプレート上で100℃/minで280℃まで昇温し、5分放置したのち、100℃/minで室温まで冷却した。冷却開始直前と室温での画像を撮影し、ImageJにより、強化繊維表面と熱可塑性樹脂とのなす角度(接触角)(°)を求め、50か所の平均値を接触角として求め、冷却開始直前の接触角を高温時の接触角、室温での接触角を室温での接触角とし、(高温時の接触角)/(室温での接触角)を求めた。
[そり特性]
アームにダイヤルゲージを固定して、各実施例で得られた連続繊維強化樹脂複合材料の板をなぞり最大値と最小値の差を読み取った。
[形状追随性]
各実施例で得られた連続繊維強化樹脂複合材料からバンドソーにより150mm×150mmの試験片を切り出し、赤外線ヒーター(インフラスタインH7GS-71298NGK、日本ガイシ、波長3~7μm)を用いて各実施例で使用した樹脂の溶融温度+25℃まで加熱し、平面部100mm×100mm、壁部25mm×100、壁部のRが10°の180℃に加熱した金型に設置し、10MPaの圧力でプレスした。得られた箱型形状の成形体の壁部と金型の隙間の最大値が、0mm以上1mm未満の場合に「〇」(優れる)、1mm以上3mm未満の場合に「△」(良好)、3mm以上の場合に「×」(不良)、として評価した。
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維]
(ガラス繊維)
ガラス繊維1(GF1):集束剤を0.45質量%付着させた、繊度11500dtexで単糸数2000本のガラス繊維を製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は17μmとした。
ガラス繊維集束剤の付着には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、アミノシラン)KBE-903(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、カルナウバワックスを1質量%、ポリウレタン樹脂Y65-55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、共重合化合物水溶液が3質量%となるように脱イオン水で調整することで作製した集束剤水溶液を使用した。
ガラス繊維に付着した各成分は、ガラス繊維100質量%に対して、γ-アミノプロピルトリエトキシシランは0.034質量%、ポリウレタン樹脂は0.14質量%、カルナウバワックスは0.069質量%、共重合化合物は0.21質量%であった。
[連続強化繊維基材の作製]
ガラスクロス:レピア織機(織幅1m)を用い、上記ガラス繊維を経糸、緯糸として用いて製織することで連続繊維強化基材を製造した。得られたガラスクロスの織形態は、(平織、織密度は6.5本/25mm、目付は640g/m)であった。
[熱可塑性樹脂]
樹脂1:ポリアミド66(レオナ1300S、旭化成)、融点:265℃
樹脂2:ポリアミド6(1011FB、宇部興産)、融点225℃
[熱可塑性樹脂フィルムの作製]
Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することで熱可塑性樹脂フィルムを得た。熱可塑性樹脂フィルムの厚さは180μmであった。
[実施例1]
樹脂1を用いて、上記方法で熱可塑性樹脂フィルム1を得た。
ガラスクロス1を5枚と熱可塑性樹脂フィルム1を6枚準備し、熱可塑性樹脂フィルム1が表面となるようにガラスクロス1と熱可塑性樹脂フィルム1とを交互に重ねた原料積層体を用いて成形を行い、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。この時、熱可塑性樹脂の仕込み体積の割合は50%であった。
成形機として、連続圧縮成形機を使用した。上記ガラスクロスと上記熱可塑性樹脂フィルム1とを上記のように重ねて成形機に設置し、成形機内の加熱ゾーンの温度を330℃、冷却ゾーンを180℃の油で温度調整し、圧力3MPa、ベルト速度0.5m/minで圧縮成形を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は313℃、冷却速度は15℃/秒、炭素鋼の金型を使用した。なお、実施例1において、成形機中の冷却ゾーンは180℃に温調しているため、冷却工程開始時の異種材料(炭素鋼の金型)の温度180℃と、連続繊維強化樹脂複合材料の温度313℃との温度差は、133℃である。
[実施例2]
成形機内の加熱ゾーンの温度を345℃、冷却ゾーンの温度を130℃に設定した以外は実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は320℃、冷却速度は24℃/秒であった。
[実施例3]
成形機としてダブルベルトプレスを使用し、冷却ゾーンの温度を50℃に設定したこと以外は、実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は306℃、冷却速度は60℃/秒、ベルトは炭素鋼の金属を使用した。
[実施例4]
成形機内の加熱ゾーンの温度を300℃、冷却ゾーンの温度を180℃に設定した以外は実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は279℃、冷却速度は7℃/秒であった。
[実施例5]
成形機内の加熱ゾーンの温度を315℃、冷却ゾーンの温度を180℃に設定した以外は実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は290℃、冷却速度は11℃/秒であった。
[実施例6]
熱可塑性樹脂として、樹脂2を使用し、冷却ゾーンの温度を140℃にしたこと以外は実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は313℃、冷却速度は18℃/秒であった。
[比較例1]
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機、金型として炭素鋼の金型を用いて、成形機内温度を330℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、5分間圧縮成形した後、金型を冷却プレス機に移し水冷し、金型を開放し、成形体を取り出したこと以外は実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は266℃、冷却速度は42℃/秒であった。
[比較例2]
ポリアミド66をガラスクロスに含浸したBond Laminate製「Tepex dynalite 101」を用いて同様に評価を行った。
[比較例3]
連続強化繊維としてGF1の代わりに、GF1を電気炉により、650℃3時間処理し、集束剤(サイジング剤)を含まないGFを用いたこと以外は、実施例1と同様に連続繊維強化樹脂複合材料を得て、評価を行った。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は313℃、冷却速度は15℃/秒、冷却時は炭素鋼の金型を使用した。
Figure 2022167478000002
実施例1~6は、上記連続繊維強化樹脂複合材料の、内層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.00以上であり、内装における結晶相の(010)面の強度が40000以下であるため、高いそり特性や形状追随性を示した。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、疲労や衝撃等により破壊が生じる材料の、回復可能な補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物の複合材料として、産業上の利用可能である。

Claims (10)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、
    内層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.00以上であり、前記(010)面の強度が40000以下である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料。
  2. 内層における結晶相の(010)面の前記半値全幅が1.15以下である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  3. 表層における結晶相の(010)面の半値全幅が1.25以下である、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  4. 内層における結晶相の(100)面の半値全幅が0.85以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  5. 内層における結晶相の(010)面の格子面間隔が0.30~1.2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  6. 表層における結晶相の(100)面の半値全幅が0.85以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  7. 表層における結晶相の(100)面のピークの2θが20.34°以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  8. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む原料積層体を加熱下で成形することを含み、
    連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅が、下記関係式を満たす、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
    (連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)<0.0037×(成形時の最高温度)+0.15
  9. 連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅と、表層における結晶相の(010)面の半値全幅と、の比率が下記式の関係を満たす、請求項8に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
    (連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(010)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(010)面の半値全幅)≧-0.0034×(成形時の最高温度)+2.02
  10. 加熱下で成形した後に、冷却することを含み、
    連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅と、表層における結晶相の(100)面の半値全幅と、の比率が下記式の関係を満たす、請求項8又は9に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
    (連続繊維強化樹脂複合材料の表層における結晶相の(100)面の半値全幅)/(連続繊維強化樹脂複合材料の内層における結晶相の(100)面の半値全幅)≧0.0125×(成形時の冷却速度)+0.318
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