JP2022167223A - 連続繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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努 秋山
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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い振動疲労回復特性や強度の安定性を有する繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明の連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂を含む連続繊維強化樹脂複合材料であって、前記連続繊維強化樹脂複合材料の以下の式で表される界面被覆率変化指数が0.8~1.2である。(界面被覆率変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)/(破壊試験後の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)【選択図】なし

Description

本発明は、連続繊維強化樹脂複合材料及びの製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器、及び管状の構造物等には、マトリックス樹脂材料にガラス繊維等の強化材が添加された複合材料成形体が使用されている。特に、強度の観点から、強化繊維が連続繊維である連続繊維強化樹脂複合材料が望まれている。この連続繊維強化樹脂複合材料としては、強化繊維に添加する集束剤を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献1参照)、融点と結晶化温度の差を工夫しているもの(例えば、以下の特許文献2参照)、樹脂材料に有機塩を加えているもの(例えば、以下の特許文献3参照)、成形前駆体の布帛を熱可塑性の樹脂で積層しているもの(例えば、以下の特許文献4参照)、連続強化繊維と樹脂の界面における接着力、親和性等が良好なもの(例えば、以下の特許文献5参照)が提案されている。
特開2003-238213号公報 特許第5987335号公報 特開2017-222859号公報 特開2009-19202号公報 国際公開第2019/208586号
しかしながら、従来技術の連続繊維強化樹脂複合材料では、いずれも破壊試験前後での界面厚みが変化するため、界面回復特性や強度の安定性が十分でない点で改善の余地がある。
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高い振動疲労回復特性や強度の安定性を有する繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
連続強化繊維と熱可塑性樹脂を含む連続繊維強化樹脂複合材料であって、
前記連続繊維強化樹脂複合材料の以下の式で表される界面被覆率変化指数が0.8~1.2である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料。
(界面被覆率変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)/(破壊試験後の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)
[2]
以下の式で表される強化繊維露出変化指数が0.8~1.2である、[1]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
(強化繊維露出変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)/(破壊試験後の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)
[3]
界面窒素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]又は[2]に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[4]
界面炭素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]~[3]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[5]
界面アルミニウムの相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]~[4]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[6]
界面ケイ素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]~[5]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[7]
界面カルシウムの相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]~[6]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[8]
界面酸素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、[1]~[7]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
[9]
[1]~[8]のいずれかに記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
熱可塑性樹脂が連続強化繊維に含浸する速度が、前記熱可塑性樹脂がカップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維に含浸する速度の0.8~1.2倍であり、
前記カップリング連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂からなるカップリング連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の0.6倍以上である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
本発明に係る連続繊維強化樹脂複合材料は、振動疲労回復特性が高く強度の安定性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[連続繊維強化樹脂複合材料]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう。)は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを含み、破壊試験前後での、下記に示す界面被覆率変化指数が0.8~1.2である。
(界面被覆率変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)/(破壊試験後の複合材料の界面被覆率)
上記界面被覆率変化指数は、0.9~1.2であることが好ましく、0.95~1.15であることがより好ましい。
本明細書において、連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率(%)とは、連続繊維強化樹脂複合材料から熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させた後の連続強化繊維をX線光電子分光法(XPS)により測定した際の、連続強化繊維表面に残った熱可塑性樹脂に由来する成分元素の相対元素濃度と連続強化繊維に由来する成分元素の相対元素濃度の合計に占める、連続強化繊維表面に残った熱可塑性樹脂に由来する成分元素の相対元素濃度の割合から求めることができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率(破壊試験前の複合材料の界面被覆率)は、3~44%であることが好ましく、より好ましくは10~40%、さらに好ましくは20~37%である。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させた後の連続強化繊維の表面に残った熱可塑性樹脂の被覆率(連続強化繊維樹脂複合材料の界面被覆率)は、例えば、以下の方法で測定することができる。
連続繊維強化樹脂複合材料を溶剤に浸し、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させる。上記溶剤を除去したのち、残った複合材料を新鮮な上記溶剤で再度洗浄し、連続強化繊維表面の熱可塑性樹脂を除去する。この際、連続強化繊維表面の集束剤(好ましくはカップリング剤)と強固に結合する熱可塑性樹脂は、連続強化繊維表面に残り、集束剤と結合していない熱可塑性樹脂のみが溶剤によって除去される。乾燥したのち複合材料をX線光電子分光法(XPS)で測定した際の、連続強化繊維表面に残った熱可塑性樹脂に由来する成分元素の相対元素濃度と連続強化繊維に由来する成分元素の相対元素濃度の合計に占める、連続強化繊維表面に残った熱可塑性樹脂に由来する成分元素の相対元素濃度の割合から、連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率(%)を求めることができる。
例えば、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合、下記の処理方法が挙げられる。
(a)上記連続繊維強化樹脂複合材料を薄片状にカットする。
(b)上記連続繊維強化樹脂複合材料の薄片100mgと溶剤としてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)20mLをミックスローターに入れ23℃で5時間攪拌する。
(c)吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮なHFIP40mLを振りかけて複合材料を洗浄後、風乾する。
(d)(c)で得られた複合材料と新鮮なHFIP20mLをミックスローターに入れて23℃で2時間攪拌する。
(e)吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮なHFIP40mLを振りかけて複合材料を洗浄後、23℃で窒素ブローで乾燥する。
(f)(e)で得られた連続強化繊維と新鮮なHFIP20mLをミックスローターに入れて23℃で2時間攪拌する。
(g)吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮なHFIP40mLを振りかけて複合材料を洗浄後、風乾する。
(h)23℃に設定した真空乾燥機で一晩乾燥する。
界面被覆率は、
(界面被覆率)(%)=[N]/([N]+[Si])×100
で求めることができる。ここで[N]はXPS測定により求められる、窒素の相対元素濃度、[Si]はケイ素の相対元素濃度である。
例えば、熱可塑性樹脂がポリアミドであり、連続強化繊維が炭素繊維の場合、溶剤としてHFIPを用いて、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率は、
(界面被覆率)(%)=[N]/([N]+[O])×100
で求めることができる。ここで[O]はXPS測定により求められる、酸素の相対元素濃度、である。
例えば、熱可塑性樹脂がポリプロピレンであり、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、溶剤としてキシレンを用いて試料を調製する。この際、複合材料と溶剤とを撹拌する際の温度は90℃、乾燥させる際の温度及び窒素ブローの温度は120℃、真空乾燥の温度を120℃としたこと以外は、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製する。界面被覆率は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
で求めることができる。[C]はXPS測定により求められる、炭素の相対元素濃度である。[C0]は連続強化繊維から焼却等により、サイジング剤等の表面処理剤を除去した、表面処理剤が未処理の連続強化繊維を用いて同様に複合材料及び試料を調製し、XPS測定を行った際に求められる、炭素の相対元素濃度である。なお、ポリプロピレンとガラス繊維との組み合わせの場合の界面被覆率は、XPSの測定上、炭素を含有していないと考えられる試料を測定した場合においても、炭素元素が検出されるため、表面処理剤がない連続強化繊維で処理した後の炭素の相対元素濃度を用いて算出している。
熱可塑性樹脂がポリフェニレンエーテルの場合は、連続強化繊維の種類にかかわらず、溶剤としてクロロホルムを用いて、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率を求めることができる。また、界面被覆率の算出式は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
である。
熱可塑性樹脂がポリビニルアルコールの場合は、連続強化繊維の種類にかかわらず、溶剤として水を用いて、調製することができる。この際、複合材料と溶剤とを攪拌する際の温度は95℃、乾燥させる温度及び窒素ブローの温度は120℃、真空乾燥の温度を120℃としたこと以外は、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率を求めることができる。また、界面被覆率の算出式は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
である。
熱可塑性樹脂がポリ酢酸ビニルの場合は、連続強化繊維の種類にかかわらず、溶剤としてアセトンを用いて、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率を求めることができる。また、界面被覆率の算出式は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
である。
熱可塑性樹脂がポリ乳酸の場合は、連続強化繊維の種類にかかわらず、溶剤としてクロロホルムを用いて、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率を求めることができる。また、界面被覆率の算出式は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
である。
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニルの場合は、連続強化繊維の種類にかかわらず、溶剤としてアセントンを用いて、熱可塑性樹脂がポリアミド、連続強化繊維がガラス繊維の場合と同様の方法で試料を調製し、界面被覆率を求めることができる。また、界面被覆率の算出式は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は、
(界面被覆率)(%)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100
である。
界面被覆率変化指数は、連続繊維強化樹脂複合材料の界面樹脂の界面被覆率(破壊試験を行っていない連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)を、破壊試験後(例えば、後述の実施例に記載の片手持ち曲げ疲労試験を実施した後)の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率で除すことで求めることができる。
界面被覆率変化指数が上記範囲であると、高い界面回復特性が発現し、物性(例えば強度)のバラつきを小さくすることができる。
上記界面被覆率変化指数を上記範囲に調整するには、例えば、熱可塑性樹脂が連続強化繊維に含浸する速度が、熱可塑性樹脂がカップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維に含浸する速度の0.8~1.2倍、好ましくは0.85~1.15倍、より好ましくは、0.9~1.1倍とする方法、上記カップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維と上記熱可塑性樹脂からなるカップリング連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度が、上記連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の0.6倍以上、好ましくは0.6~1.2倍となる連続強化繊維と熱可塑性樹脂との組み合わせを用いる方法、実施例記載の方法で表面処理剤を添加したガラス繊維と、実施例記載の方法で製造したPA66の組み合わせを用いる方法が挙げられる。
上記曲げ強度が上述の範囲となる連続強化繊維と熱可塑性樹脂との組み合わせとしては、ポリアミド系樹脂(好ましくは、ポリアミド66、ポリアミド6I、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド410)とガラス繊維又は炭素繊維との組み合わせ、ポリオレフィン系樹脂(好ましくは、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、ポリエチレン、変性ポリエチレン)とガラス繊維又は炭素繊維との組み合わせが好ましい。
含浸速度及び/又は曲げ強度が上記範囲であれば、熱可塑性樹脂と連続強化繊維表面上の集束剤(例えば、集束剤中のカップリング剤)との相性が良くなる。
ここで、含浸速度は、例えば、連続強化繊維基材と熱可塑性樹脂基材を積層し、加熱プレス成形を、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度が熱可塑性樹脂の溶融温度+15℃、成形圧力が5MPaとなるように行なった後、冷却プレスを水冷(水温20℃)、圧力が5MPaとなるように室温まで行い、得られた連続強化繊維複合材料をバンドソー等により切削し、断面を研磨後、SEM観察等により得られた画像から、連続強化繊維束、熱可塑性樹脂、空隙のそれぞれの占有面積を求め、連続強化繊維束(全体)面積に対する空隙面積の割合を求め、以下の式:
含浸率(%)={1-(空隙面積/連続強化繊維束面積)}×100
により算出した含浸率(%)を、加熱プレス成形時及び冷却プレス時の熱可塑性樹脂の温度が融点を有する熱可塑性樹脂は融点以上の時間、融点を有さない樹脂はガラス転移温度以上である時間(分)で除すことによって求めることができる。
連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度は、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料から長さ短冊状の試験片を切り出し、23℃、50%RHの環境下で3点曲げ試験を行うことで求めることができる。
本実施形態の複合材料において、熱可塑性樹脂と連続強化繊維表面上の集束剤(例えば、カップリング剤)との相性が良好であると、連続強化繊維表面上の集束剤と、該集束剤周囲にある熱可塑性樹脂とが結合又は接着する。ここで、上記の方法で熱可塑性樹脂を溶剤で除去した試料では、集束剤と結合又は接着した熱可塑性樹脂のみが連続強化繊維周囲の残り、集束剤と結合していない熱可塑性樹脂が除去される。即ち、該試料を用いることにより、連続強化繊維表面上に存在する、集束剤と結合又は接着した熱可塑性樹脂の割合を測定することができる。
破壊試験を実施すると、衝撃により、連続強化繊維表面上に存在する、集束剤と結合又は接着しない熱可塑性樹脂及び集束剤との結合又は接着が弱い熱可塑性樹脂が、脱落する。連続強化繊維表面上に、集束剤と強固に結合又は接着した熱可塑性樹脂が多く存在すると、破壊試験によって、熱可塑性樹脂が脱落しにくくなり、破壊試験後の連続強化繊維上の熱可塑性樹脂の被覆割合が低下しにくくなる。そして、破壊試験後も連続強化繊維表面に熱可塑性樹脂が多く残り、破壊試験前後で連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率の変化が小さくなる。
なお、上記の例では、連続強化繊維表面上に集束剤がある例を用いて説明としたが、集束剤を用いずに、連続強化繊維に熱可塑性樹脂が直接結合又は接着している場合でも、同様にして評価をすることができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の、下記式で表される強化繊維露出変化指数は0.8~1.2であることが好ましい。
(強化繊維露出変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)/(破壊試験後の複合材料の強化繊維露出割合)
上記強化繊維露出変化指数は0.85~1.15であることがより好ましく、0.90~1.10であることが更に好ましい。強化繊維露出変化指数が上記範囲であると、より高い界面回復特性が発現し、物性のバラつきをより小さくすることができる。
強化繊維露出変化指数は、連続繊維強化樹脂複合材料の熱可塑性樹脂溶解後の連続強化繊維の露出割合を、破壊試験後(例えば、後述の実施例に記載の片手持ち曲げ疲労試験を実施した後)の連続繊維強化樹脂複合材料の熱可塑性樹脂溶解後の連続強化繊維の露出割合で除すことで求めることができる。
熱可塑性樹脂溶解後の連続強化繊維の露出割合は、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料に含まれる熱可塑性樹脂を、上記方法で溶剤に溶解させ、溶剤を除去したのち、残った連続強化繊維を新鮮な上記溶剤で洗浄し、連続強化繊維に結合した熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を除去し、乾燥したのちX線光電子分光法(XPS)で測定し、得られた連続強化繊維に由来する元素の相対元素濃度を、集束剤を処理していない連続強化繊維原料に由来する元素の相対元素濃度で割ることで求めることができる。
複合材料の強化繊維露出割合は、連続強化繊維がガラス繊維の場合は例えば、
(複合材料の強化繊維露出割合)=[Al]/[Al0]
で求められる。[Al]はXPS測定により求められる、アルミニウムの相対元素濃度である。[Al0]はサイジング剤等の集束剤がない連続強化繊維を同様に処理し、XPS測定を行った際に求められる、アルミニウムの相対元素濃度である。
連続強化繊維が炭素繊維の場合は例えば、
(複合材料の強化繊維露出割合)=[O]/[O0]
で求められる。[O]はXPS測定により求められる、酸素の相対元素濃度である。[O0]はサイジング剤等の表面処理剤がない連続強化繊維を同様に処理し、XPS測定を行った際に求められる、酸素の相対元素濃度である。
強化繊維露出割合は、原料である連続強化繊維表面上の、上述の処理後に連続強化繊維が露出している部分の割合である。破壊試験前後で、強化繊維露出割合の変化が少ないことで、振動や衝撃等が起きても、強度が安定した複合材料を得ることができる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面窒素の相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面炭素の相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面アルミニウムの相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面ケイ素の相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面カルシウムの相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の界面酸素の相対元素変化指数は0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。
相対元素変化指数が上記の範囲であると、高い界面回復特性が発現し、物性のバラつきを小さくすることができる。
相対元素変化指数は、連続繊維強化樹脂複合材料の熱可塑性樹脂溶解後の相対元素濃度を、破壊試験(例えば、後述の実施例に記載の片手持ち曲げ疲労試験)を実施した後の連続繊維強化樹脂複合材料の樹脂溶解後の相対元素濃度で除すことで求めることができる。連続繊維強化樹脂複合材料の熱可塑性樹脂溶解は、上述の方法で行うことができる。
相対元素変化指数を上記範囲に調整するには、例えば、熱可塑性樹脂が連続強化繊維に含浸する速度が、熱可塑性樹脂がカップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維に含浸する速度の0.8~1.2倍、好ましくは0.85~1.15倍、より好ましくは、0.9~1.1倍とする方法、上記カップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維と上記熱可塑性樹脂からなるカップリング連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度が、上記連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の、0.6~1.2倍となる連続強化繊維と熱可塑性樹脂との組み合わせを用いる方法が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の形態]
連続繊維強化樹脂複合材料の形態は、特に制限されず、以下の種々の形態が挙げられる。例えば、連続強化繊維の織物や編み物、組紐、パイプ状のものと熱可塑性樹脂とを複合化した形態、一方向に引き揃えた連続強化繊維と熱可塑性樹脂とを複合化した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸を一方向に引き揃えて賦形した形態、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる糸とを織物や編み物、組紐、パイプ状にして賦形した形態等が挙げられる。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、平板であってよく、連続強化繊維の層と熱可塑性樹脂との層を含む積層体であってよい。例えば、連続強化繊維の長さ方向が平板の表面に略平行に配置されていてもよい。なお、連続強化繊維の層とは、連続強化繊維(例えば、連続強化繊維基材)を含む層であり、連続強化繊維の内部に熱可塑性樹脂が含浸している層であってよい。
連続繊維強化樹脂複合材料の賦形前の中間材料の形態としては、特に制限されず、連続強化繊維と樹脂繊維との混繊糸、連続強化繊維の束の周囲を樹脂で被覆したコーティング糸、連続強化繊維に予め樹脂を含浸させテープ状にしたもの、連続強化繊維を樹脂のフィルムで挟んだもの、連続強化繊維に樹脂パウダーを付着させたもの、連続強化繊維の束を芯材としてその周囲を樹脂繊維で組紐としたもの、強化繊維の間に予め樹脂を含浸させたもの、連続強化繊維と溶融した樹脂とを接触させた形態等が挙げられる。
[連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、特に制限されず、以下の種々の方法が挙げられる。
一方法では、例えば、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する基材(例えば、連続強化繊維からなる基材、熱可塑性樹脂からなる基材)を、所望の複合材料に合わせて裁断又は賦形し、目的とする製品の厚みを考慮して必要個数積み重ね又は必要枚数積層させ、金型に金型形状に合わせてセットする。
基材の裁断は、1枚ずつ行ってもよいし、所望の枚数を重ねてから行ってもよい。生産性の観点からは、重ねた状態で裁断することが好ましい。裁断する方法は、任意の方法でよく、例えば、ウォータージェット、刃プレス機、熱刃プレス機、レーザー、プロッター等が挙げられる。中でも、断面形状に優れ、更に、複数を重ねて裁断する際に端面を溶着することで取扱い性がよくなる熱刃プレス機が好ましい。適切な裁断形状は、トライアンドエラーを繰り返すことでも調整できるが、金型の形状にあわせてCAE(computer aided engineering)によるシミュレーションを行うことで設定することが好ましい。
基材の賦形は、任意の方法で行ってよく、例えば、シート状の形状に賦形してよい。
基材を金型にセットした後に金型を閉じて圧縮する。そして、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に金型を温調して熱可塑性樹脂を溶融させ、賦形する。型締め圧力に特に規定はないが、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上である。また、ガス抜き等をするために一旦型締めをし、圧縮成形した後に一旦金型の型締め圧力を解除してもよい。圧縮成形の時間は、強度発現の観点からは、使用される熱可塑性樹脂が熱劣化しない範囲で長い方が好ましいが、生産性の観点からは、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内が適している。
連続繊維強化樹脂複合材料は、さらにハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填してハイブリッド複合材料としてもよい。ハイブリッド複合材料の製造工程においては、金型内に上記基材をセットして金型を閉じ、加圧し、所定の時間後に、更に所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填して成形し、基材の熱可塑性樹脂と、所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物とを接合させることにより、ハイブリッド複合材料を製造してもよい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、両熱可塑性樹脂間の界面強度に大きく影響する。所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填するタイミングは、基材を金型内にセットして金型を閉じた後に金型温度が基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上に昇温してから、30秒以内が好ましい。
所定のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物を射出充填する時の金型温度は、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上又はガラス転移温度以上であることが好ましい。より好ましくは、ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物と接合する、基材を構成する熱可塑性樹脂の融点+10℃以上又はガラス転移温度+10℃以上であり、更に好ましくは、融点+20℃以上又はガラス転移温度+20℃以上、更により好ましくは融点+30℃以上又はガラス転移温度+30℃以上である。
ハイブリッド複合材料において、基材を構成する熱可塑性樹脂と、射出成形により形成されたハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物との接合部分は、互いに混じり合った凹凸構造となっていることが好ましい。
金型温度を射出するハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の融点以上とし、射出成形時の樹脂保圧を高く、例えば、1MPa以上とすることは、界面強度を高める上で有効である。界面強度を高めるためには、上記保圧を5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上とすることがより好ましい。
また、保圧時間を長く、例えば5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは金型温度が熱可塑性樹脂組成物の融点以下になるまでの間の時間保持することは、界面強度を高める観点から好ましい。
上述の本実施形態の複合材料を製造する方法では、熱可塑性樹脂が連続強化繊維に含浸する速度が、前記熱可塑性樹脂がカップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維に含浸する速度の0.8~1.2倍であることが好ましい。ここで、カップリング連続強化繊維は、集束剤をカップリング剤のみに変更すること以外、連続強化繊維と同じ方法で製造した連続強化繊維をいうものとする。連続強化繊維ではカップリング剤と潤滑剤及び/又は結束剤とを含む集束剤を使用し、カップリング連続強化繊維では該カップリング剤を使用することが好ましい。
上述の本実施形態の複合材料を製造する方法では、上記カップリング連続強化繊維と上記熱可塑性樹脂からなるカップリング連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度が、上記連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の0.6倍以上であることが好ましい。ここで、カップリング連続繊維強化樹脂複合材料は、連続強化繊維としてカップリング連続強化繊維を用いること以外、連続繊維強化樹脂複合材料と同じ方法で製造した複合材料をいうものとする。連続強化繊維ではカップリング剤と潤滑剤及び/又は結束剤とを含む集束剤を使用し、カップリング連続強化繊維では該カップリング剤を使用することが好ましい。
(ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物)
ハイブリッド複合材料を製造するために用いる射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物としては、一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂組成物であれば、特に限定されない。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上を混合した混合物などが挙げられる。
ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物には、各種充填材が配合されていてもよい。ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物は、着色剤を含む、黒色の樹脂組成物としてよい。
各種充填材としては、上記連続強化繊維と同種の材料の不連続強化材料である短繊維、長繊維材料等が挙げられる。
不連続強化材料にガラス短繊維、長繊維を用いる場合、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する上記連続強化繊維に塗布される集束剤と同様のもの用いてもよい。集束剤(サイジング剤)は、カップリング剤(好ましくはシランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。シランカップリング剤、潤滑剤、結束剤の種類に関しては、上記連続強化繊維の集束剤と同様のものが使用できる。
射出成形に用いるハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、接合する熱可塑性樹脂との界面強度の観点から、連続繊維強化樹脂複合材料を構成する接合面の熱可塑性樹脂と類似のものが好ましく、同種類のものがより好ましい。具体的には、接合面の熱可塑性樹脂にポリアミド66を用いた場合には、射出成形用のハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物の樹脂材料は、ポリアミド66が好ましい。
その他の方法として、基材を金型に設置してダブルベルトプレス機により圧縮する成形方法や、設置した基材の四方を囲むように型枠を設置し、ダブルベルトプレス機により加圧し成形する方法や、一つ又は複数の温度に設定した加熱用の圧縮成形機と、一つ又は複数の温度に設定した冷却用の圧縮成形機を用意し、基材を設置した金型を順番に、圧縮成形機に投入して成形する成形方法や連続圧縮成形機等が挙げられる。
(連続強化繊維)
連続強化繊維としては、通常の連続繊維強化樹脂複合材料に使用されるものを用いてよい。
連続強化繊維としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。
機械的特性、熱的特性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維、アラミド繊維が好ましく、生産性の面からは、ガラス繊維が好ましい。
上記連続強化繊維は、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
-集束剤-
上記連続強化繊維は、集束剤を付着させていることが好ましい。
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択する場合、集束剤を用いてもよい。
集束剤(サイジング剤)は、カップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上を含むものであってよく、少なくとも結束剤又はカップリング剤を含むことが好ましく、カップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる群から選択される1種以上のみからなることがより好ましい。
カップリング剤は、性質の異なる材料、主には無機材料と有機材料を結合させる化合物である。カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、シランカップリング剤、ポリマーカップリング剤、重合性カップリング剤等が挙げられ、熱可塑性樹脂と連続強化繊維の相性の観点から、シランカップリング剤であることが好ましい。
また、集束剤は、カップリング剤(好ましくはシランカップリング剤)及び結束剤からなるものとしてよく、カップリング剤(好ましくはシランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなるものとしてもよい。
連続強化繊維(好ましくはガラス繊維)とその周りを被膜する樹脂との強い結合を作る集束剤であることにより、空隙率の少ない連続繊維強化樹脂複合材料を得ることができる。
集束剤は、使用される材料に対して外的に加えられてもよく、使用される材料に内的に含まれていてもよい。例えば、潤滑剤は、用いられる熱可塑性樹脂の市販品に含まれている場合がある。
--シランカップリング剤--
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維や炭素繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類、マレイン酸類等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、ポリアミド系樹脂の末端基であるカルボキシル基またはアミノ基と結合しやすいものを選択することが好ましく、アミノシラン類が好ましい。
--潤滑剤--
潤滑剤は、連続強化繊維(好ましくはガラス繊維)の開繊性向上に寄与する。
潤滑剤としては、カップリング剤及び結束剤を阻害しない限り、目的に応じた通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、以下に限定されるものではないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤等が挙げられる。
--結束剤--
結束剤は、連続強化繊維(好ましくはガラス繊維)の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。
結束剤としては、目的に応じたポリマー、連続繊維強化樹脂複合材料の主たる材料としての上記熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂が使用可能である。
結束剤としてのポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、メタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m-キシリレンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン系樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマーとしては、重量平均分子量1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
メタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマーとしては、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル(好ましくはメタクリル酸メチル)と、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水トリメリット酸、二無水ピロメリット酸、及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上の共重合性モノマー(好ましくは無水マレイン酸)との共重合性モノマーであることが好ましい。例えば、1種のメタクリル酸エステルと、1種の共重合性モノマーとのコポリマーであってよい。メタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー100質量%に対する、メタクリル酸エステルに由来する構成単位の質量割合は、30~98質量%であることが好ましく、より好ましくは60~95質量%である。メタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマー100質量%に対する、共重合性モノマーに由来する構成単位の質量割合は、2~70質量%であることが好ましく、より好ましくは5~40質量%である。メタクリル酸エステルと共重合性モノマーとのコポリマーの重量平均分子量としては、1,000~90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~25,000である。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20~90%とすることが好ましく、40~60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000~50,000の範囲が好ましい。連続強化繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合成形体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる際には、結束剤としてはポリアミド樹脂と濡れ性のよい、又は表面張力の近い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリウレタン樹脂のエマルジョンやポリアミド樹脂のエマルジョンやその変性体を選択することができる。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。結束剤として用いられる熱可塑性樹脂は、連続強化繊維の周囲を被覆する樹脂と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂であると、複合材料となった後、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し、好ましい。
更に、一層、連続強化繊維とそれを被覆する熱可塑性樹脂の接着性を向上させ、集束剤を水分散体として連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。
ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
結束剤として用いられる変性熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
結束剤としての変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又はそのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体、又は、不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーの単独重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸及び/又そのエステル体とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれら不飽和カルボン酸のエステル化体(メチルエステル、エチルエステル等)等が挙げられ、これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂がオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合である場合、モノマー比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60~95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5~40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70~85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15~30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。結束剤として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200,000が好ましく、50,000~150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる変性ポリアミド系樹脂は、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。
分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノε-カプロラクタム等を共重合して製造される。
結束剤として用いられる変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。
親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40~99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1~10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。
ジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
変性ポリエステル系樹脂を構成するポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40~60質量%、ポリオール40~60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45~55質量%、ポリオール45~55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000~100,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、ポリマー、熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上用いることが好ましく、60質量%以上用いることがより好ましい。
集束剤が、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤)及び結束剤からなる場合、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対する、カップリング剤及び結束剤の合計付着質量としては、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.15~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%である。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対し、カップリング剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、集束剤が、カップリング剤(好ましくは、シランカップリング剤)、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)100質量%に対する、カップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計付着質量としては、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~2質量%、更に好ましくは0.2~1質量%である。連続強化繊維(例えば、ガラス繊維)の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付着量が、連続強化繊維100質量%に対し、カップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、糸の取扱い性の観点から3質量%以下であることが好ましい。
また、連続強化繊維100質量%に対する、カップリング剤の付着質量としては、0.05~1質量%が好ましく、より好ましくは0.1~0.9質量%である。
--ガラス繊維用の集束剤の組成--
ガラス繊維用の集束剤におけるカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、0.1~2質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1質量%、更に好ましくは0.2~0.5質量%である。
ガラス繊維用の集束剤における潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
ガラス繊維用の集束剤における結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合成形体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合であって、集束剤が、シランカップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなる場合、当該ガラス繊維の集束剤においては、それぞれ、シランカップリング剤を0.1~2質量%、潤滑剤を0.01~1.5質量%、結束剤を1~25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整することが好ましい。
--ガラス繊維用の集束剤の使用態様--
ガラス繊維用の集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液の形態とすることが好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を構成する連続強化繊維としてのガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。
またガラス繊維用の集束剤は、使用態様としては、ガラス繊維を集束剤を含む液に浸漬する方法や、ガラス繊維基材を集束剤に含む液に浸漬する方法も挙げられる。
また、連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合も同様に、集束剤を用いてもよく、集束剤は、カップリング剤、潤滑剤、及び結束剤からなることが好ましい。カップリング剤としては炭素繊維の表面に存在する水酸基と相性の良いもの、結束剤としては選択した熱可塑性樹脂と濡れ性が良いものや表面張力の近いもの、潤滑剤としてはカップリング剤と結束剤を阻害しないものを選択することができる。
炭素繊維に用いる集束剤の種類については、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、特開2015-101794号公報に記載のものを用いることができる。
その他の連続強化繊維を用いる場合、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いることが可能な集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることが好ましい。
(連続強化繊維の形状)
連続強化繊維は複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであり、単糸数は、取扱い性の観点から30~15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維の単糸径Rは、強度の観点、及び、取り扱い性の観点から2~30μmであることが好ましく、4~25μmであることがより好ましく、6~20μmであることが更に好ましく、8~18μmであることが最も好ましい。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、連続強化繊維の取り扱い性と複合材料の強度の観点から、好ましくは5~100μm・g/cm、より好ましくは10~50μm・g/cm、更に好ましくは15~45μm・g/cm、より更に好ましくは20~45μm・g/cmである。
密度Dは、比重計により測定することができる。
他方、単糸径R(μm)は、密度D(g/cm)と繊度(dtex)、単糸数(本)から、以下の式:
Figure 2022167223000001
により算出することができる。また、単糸径R(μm)は例えば、連続強化繊維単糸のSEM観察によって求めることができる。
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度(dtex)及び単糸数(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2~40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8~55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4~68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
連続強化繊維、例えば、ガラス繊維は、原料ガラスを計量、混合し、溶融炉で溶融ガラスとし、これを紡糸してガラスフィラメントとし、集束剤を塗布し、紡糸機を経て、ダイレクトワインドロービング(DWR)、ケーキ、撚りを入れたヤーン等の巻き取り形態として製造される。
連続強化繊維はどのような形態でも構わないが、ヤーン、ケーキ、DWRに巻き取ってあると、樹脂を被覆させる工程での生産性、生産安定性が高まるため好ましい。生産性の観点からはDWRが最も好ましい。
連続強化繊維の形態は、特に制限されず、織物や編み物、組紐、パイプ状のもの、ノンクリンプファブリック、一方向材等、種々の形態が挙げられ、好ましくは、織物、ノンクリンプファブリック、一方向材の形態である。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド6I/6T、ポリアミドMXD6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド1010等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系樹脂;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリフェニレンエーテル;及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテルが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンエーテル及びアクリル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル及びポリエステル系樹脂が更に好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がより更に好ましい。
-ポリエステル系樹脂-
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に-CO-O-(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。
ポリエステル系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。
共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
-ポリアミド系樹脂-
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に-CO-NH-(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、全芳香族系ポリアミド等があげられる。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω-アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω-アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2-メチルペンタンジアミンや2-エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p-フェニレンジアミンやm-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010等の脂肪族ポリアミド、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミドMXD6、ポリアミド6I/6T等の半芳香族ポリアミド、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合体、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合体、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2-メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合体が挙げられる。
[添加剤]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料には、必要に応じて添加剤を含有させてもよい。本実施形態の複合材料は、例えば、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、防菌・防黴剤、防臭剤、導電性付与剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、制振剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤等の添加剤を含有してもよい。なお、上記添加剤とは、上述の成分(例えば、上記熱可塑性樹脂、上記連続強化繊維、上記ハイブリッド用熱可塑性樹脂組成物中の含有成分、集束剤中の含有成分)を除くものをいう。
添加剤の含有量は、複合材料100質量%に対して、3質量%以下としてよい。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アルミ顔料、二酸化チタン、群青、シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドン、珪藻土、モノアゾ塩、ペリレン、ジスアゾ、縮合アゾ、イソインドリン、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ジケトンピロロピロール、金属塩、ペリレンレッド、金属酸化物、バナジン酸ビスマス、コバルトグリーン、コバルトブルー、アンスラキノン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等が挙げられる。中でも、黒色の着色剤が好ましく、カーボンブラック、ニグロシンがより好ましい。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が90~525質量部、これら以外の成分の含有量が0~2質量部であり、より好適には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、連続強化繊維の含有量が150~340質量部、これら以外の成分の含有量を0~1質量部である。
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、熱可塑性樹脂と連続強化繊維とのみからなる複合材料であってもよい。
[連続繊維強化樹脂複合材料の用途]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、航空機、車、建設材料、ロボット等の構造材料用途に好適に使用することができる。
車用途においては、以下に限定されるものではないが、例えば、シャーシ/フレーム、足回り、駆動系部品、内装部品、外装部品、機能部品、その他部品に使用できる。
具体的には、ステアリング軸、マウント、サンルーフ、ステップ、スーフトリム、ドアトリム、トランク、ブートリッド、ボンネット、シートフレーム、シートバック、リトラクター、リタラクター支持ブラケット、クラッチ、ギア、プーリー、カム、アーゲー、弾性ビーム、バッフリング、ランプ、リフレクタ、グレージング、フロントエンドモジュール、バックドアインナー、ブレーキペダル、ハンドル、電装材、吸音材、ドア外装、内装パネル、インパネ、リアゲート、天井ハリ、シート、シート枠組み、ワイパー支柱、EPS(Electric Power Steering)、小型モーター、ヒートシンク、ECU(Engine Control Unit)ボックス、ECUハウジング、ステアリングギアボックスハウジング、プラスチックハウジング、EV(Electric Vehicle)モーター用筐体、ワイヤーハーネス、車載メーター、コンビネーションスイッチ、小型モーター、スプリング、ダンパー、ホイール、ホイールカバー、フレーム、サブフレーム、サイドフレーム、二輪フレーム、燃料タンク、オイルパン、インマニ、プロペラシャフト、駆動用モーター、モノコック、水素タンク、燃料電池の電極、パネル、フロアパネル、外板パネル、ドア、キャビン、ルーフ、フード、バルブ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、可変バルブタイミングユニット、コネクティングロッド、シリンダボア、メンバー(エンジンマウンティング、フロントフロアクロス、フットウェルクロス、シートクロス、インナーサイド、リヤクロス、サスペンション、ピラーリーンフォース、フロントサイド、フロントパネル、アッパー、ダッシュパネルクロス、ステアリング)、トンネル、締結インサート、クラッシュボックス、クラッシュレール、コルゲート、ルーフレール、アッパボディ、サイドレール、ブレーディング、ドアサラウンドアッセンブリー、エアバッグ用部材、ボディーピラー、ダッシュツゥピラーガセット、サスペンジョンタワー、バンパー、ボディーピラーロワー、フロントボディーピラー、レインフォースメント(インパネ、レール、ルーフ、フロントボディーピラー、ルーフレール、ルーフサイドレール、ロッカー、ドアベルトライン、フロントフロアアンダー、フロントボディーピラーアッパー、フロントボディーピラーロワー、センターピラー、センターピラーヒンジ、ドアアウトサイドパネル)、サイドアウターパネル、フロントドアウインドゥフレーム、MICS(Minimum Intrusion Cabin System)バルク、トルクボックス、ラジエーターサポート、ラジエーターファン、ウォーターポンプ、燃料ポンプ、電子制御スロットルボディ、エンジン制御ECU、スターター、オルタネーター、マニホールド、トランスミッション、クラッチ、ダッシュパネル、ダッシュパネルインシュレータパッド、ドアサイドインパクトプロテクションビーム、バンパービーム、ドアビーム、バルクヘッド、アウタパッド、インナパッド、リヤシートロッド、ドアパネル、ドアトリムボドサブアッセンブリー、エネルギーアブソーバー(バンパー、衝撃吸収)、衝撃吸収体、衝撃吸収ガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ルーフサイドインナーガーニッシュ、樹脂リブ、サイドレールフロントスペーサー、サイドレールリアスペーサー、シートベルトプリテンショナー、エアバッグセンサー、アーム(サスペンション、ロアー、フードヒンジ)、サスペンションリンク、衝撃吸収ブラケット、フェンダーブラケット、インバーターブラケット、インバーターモジュール、フードインナーパネル、フードパネル、カウルルーバー、カウルトップアウターフロントパネル、カウルトップアウターパネル、フロアサイレンサー、ダンプシート、フードインシュレーター、フェンダーサイドパネルプロテクター、カウルインシュレーター、カウルトップベンチレータールーパー、シリンダーヘッドカバー、タイヤディフレクター、フェンダーサポート、ストラットタワーバー、ミッションセンタートンネル、フロアトンネル、ラジコアサポート、ラゲッジパネル、ラゲッジフロア、アクセルペダル、アクセルペダルベース等の部品として好適に使用することができる。
[複合材料の成形]
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、さらに成形することができる。上記の方法としては、例えば、本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料を、所定の大きさに切りだし、赤外線ヒーターで加熱し、プレス成形機で加熱圧縮プレスする方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
[連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率変化指数、強化繊維露出変化指数、相対元素濃度変化指数]
薄片状にカットした連続繊維強化樹脂複合材料100mgと樹脂1~4を使用した場合はHFIP、樹脂5を使用した場合はキシレン20mLをミックスローターに入れ、HFIP使用時は温度23℃、キシレン使用時は温度90℃で5時間攪拌した後、吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮な溶剤40mLを振りかけて連続強化繊維を洗浄後、HFIPを用いた場合は風乾、キシレンを用いた場合は120℃の環境下で熱風乾燥した。得られた連続強化繊維と新鮮な溶剤20mLをミックスローターに入れてHFIP使用時は温度23℃、キシレン使用時は温度90℃で2時間攪拌した後、吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮な溶剤40mLを振りかけて連続強化繊維を洗浄後、HFIPを用いた場合は温度23℃、キシレンを用いた場合は120℃の環境下で窒素ブローにより乾燥した。得られた連続強化繊維と新鮮な溶剤20mLをミックスローターに入れて、HFIP使用時は温度23℃、キシレン使用時は温度90℃で2時間攪拌し、吸引ろ過で溶剤を除き、フィルター上で新鮮な溶剤40mLを振りかけて連続強化繊維を洗浄後、HFIPを用いた場合は風乾、キシレンを用いた場合は120℃の環境下で熱風乾燥し、HFIP使用時には温度23℃、キシレン使用時には120℃に設定した真空乾燥機で一晩乾燥した。得られた連続強化繊維を、プレスして平板上にし、2mmの小片を取り出して、XPS(Versa probeII、アルバックファイ株式会社)を用いて、励起源mono.AlKα 20kV×5mA 100W、分析サイズ100μm×1.4mm、光電子取出角45°、取り込み領域(Survey scan):117.4eV、(Narrow scan):C1s、O1s、N1s、Si2p、Ca2p、Al2p、Pass Energy(Survey scan):117.4eV、(Narrow scan):46.95eVで測定を行い、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、カルシウムの相対元素濃度を求めた。
連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率は実施例1~4、6、比較例1~3では下記1式、実施例5では下記2式、実施例7では下記3式で求めた。
(界面被覆率)=[N]/([N]+[Si])×100 (1)
(界面被覆率)=[N]/([N]+[O])×100 (2)
(界面被覆率)=([C]-[C0])/([C]-[C0]+[Si])×100 (3)
複合材料の強化繊維露出割合は実施例1~4、6、7、比較例1~3では下記4式、実施例5では下記5式で求めた。
(連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)=[Al]/[Al0] (4)
(連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)=[O]/[O0] (5)
[Al0]はGF0を用いた際のアルミニウムの相対元素濃度、[C0]はCF0を用いた際のアルミニウムの相対元素濃度である。
界面被覆率変化指数、強化繊維露出変化指数、各元素の相対元素変化指数は下記式で求めた。
(界面被覆率変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)/(破壊試験後の複合材料の界面被覆率)
(強化繊維露出変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)/(破壊試験後の複合材料の強化繊維露出割合)
(界面窒素の相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面窒素の相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面窒素の相対元素指数)
(界面酸素の相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面酸素の相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面酸素の相対元素指数)
(界面炭素の相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面炭素の相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面炭素の相対元素指数)
(界面ケイ素の相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面ケイ素の相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面ケイ素の相対元素指数)
(界面アルミニウムの相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面アルミニウムの相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面アルミニウムの相対元素指数)
(界面カルシウムの相対元素変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面カルシウムの相対元素指数)/(破壊試験後の複合材料の界面カルシウムの相対元素指数)
上記破壊試験は、後述の片手持ち曲げ振動疲労の試験である。
[含浸速度]
成形機として、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用した。連続強化繊維基材5枚と熱可塑性樹脂フィルム6枚とを交互に重ねて積層し、温度センサを取り付けた金型に設置し、熱可塑性樹脂の溶融温度+65℃に設定した加熱プレス成形機に投入して、温度をモニターしながら圧力5MPaでプレスを行い、熱可塑性樹脂の溶融温度になってから、30秒後に加熱プレス成形機から取り出して、冷却プレス機に投入して圧力5MPa、水冷で冷却した。この時、連続繊維強化樹脂複合材料の最高温度は熱可塑性樹脂の融点+15℃であり、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の時間は、1分であった。得られた連続強化繊維複合材料をバンドソーにより切削し、断面を連続強化繊維が傷つかないように研磨した後、倍率50倍でのFE-SEM観察により得られた画像から、ImageJにより連続強化繊維束、熱可塑性樹脂、空隙のそれぞれの占有面積を求め、連続強化繊維束(全体)面積に対する空隙面積の割合を求め、以下の式:
含浸率(%)={1-(空隙面積/連続強化繊維束面積)}×100
により算出した含浸率(%)を、加熱プレス成形時及び冷却プレス時の熱可塑性樹脂の温度が溶融温度以上である時間(分)で除すことによって含浸速度(%/min)を求めた。ここで、連続強化繊維束とは、射出成形品断面の繊維(単糸の束)が密集した領域であり、例えば、密集した繊維の外周を結んだ領域として良い。
ここで、上記溶融温度とは、熱可塑性樹脂が融点を有する場合は融点とし、融点を有さない場合はガラス転移温度とする。
[曲げ強度]
連続繊維強化樹脂複合材料から長さ100mm、幅10mm、肉厚2mmの短冊状の試験片を切り出し、インストロン万能試験機にて、3点曲げ用の治具を用い、スパン間を32mmに設定して速度1mm/minで、23℃、50%RHの環境下で曲げ強度(MPa)を測定した。50点測定し、中央値を曲げ強度とした。
[曲げ振動疲労回復特性]
連続繊維強化樹脂複合材料からASTM-D671 TypeAの試験片を用意し、繰り返し振動疲労試験機(B-70、株式会社東洋精機製作所)により、試験温度23℃、周波数20Hz、波形を正弦波として、片手持ち曲げ振動疲労試験を実施し、各実施例の連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の35%に相当する応力における振動疲労試験の判断回数(A)を求めた。同様に曲げ強度の35%に相当する応力において振動疲労試験を実施し、(A)の半分の回数になった時点で試験を中止し、破壊後試験片を得た。破壊試験後の試験片を、インロー構造の金型内に設置し、最大型締め力50トンの油圧成形機(株式会社ショージ)を使用し、成形機内温度を200℃に加熱し、次いで型締め力5MPaで型締めし、15分間加熱プレスを実施し、回復後試験片を得た。回復後試験片を同様の条件で曲げ振動疲労試験を実施し、判断回数(B)を求めた。
曲げ振動疲労回復特性を下記式により求めた。
(曲げ振動疲労特性)=(B)/(A)
[バラつきの測定]
曲げ強度の試験を試験片50本に対して実施して曲げ強度を測定し、曲げ強度の平均値をA、i個目(i=1~50)の測定での曲げ強度をAiとし、下記式に従って変動係数を求め、バラつきとした。
Figure 2022167223000002
実施例、比較例で用いた材料は以下のとおりである。
[連続強化繊維]
(ガラス繊維)
ガラス繊維1(GF1):
繊度1.15g/mで単糸数2000本のガラス繊維100質量%に対し、集束剤を0.8質量%付着させたものを製造した。巻き取り形態はDWRであり、平均単糸径は約16μmとした。上記集束剤の付着には、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社製)0.8質量%、カラナウバワックス1.2質量%、及び無水マレイン酸10質量%とメタクリル酸メチル90質量%を共重合させた重量平均分子量が15000である共重合化合物2質量%、となるように脱イオン水で調整することで作製した集束剤水溶液を使用した。ガラス繊維に付着した各成分は、ガラス繊維100質量%に対し、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.16質量%、カラナウバワックス0.40質量%、共重合化合物0.24質量%であった。
ガラス繊維2(GF2):
GF1を電気炉により、650℃3時間処理し得られたガラス繊維を、カップリング剤であるγ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社製)の0.2質量%水溶液に30分間浸漬し、110℃で3時間乾燥した。ガラス繊維に付着したγ-アミノプロピルトリメトキシシランは、ガラス繊維100質量%に対し、0.16質量%であった。
ガラス繊維0(GF0):
GF1を電気炉により、650℃3時間処理し、集束剤を含まないGF0を得た。
(炭素繊維)
炭素繊維1(CF1):
単糸数12000のPAN系炭素繊維100質量%に、集束剤を1.0質量%付着させたものを製造した。上記集束剤の付着には、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社製)0.8質量%、カラナウバワックス0.3質量%、及び無水マレイン酸10質量%とメタクリル酸メチル90質量%を共重合させた重量平均分子量が20000である共重合化合物1質量%、となるように脱イオン水で調整することで作製した集束剤水溶液を使用した。炭素繊維に付着した各成分は、炭素繊維100質量%に対し、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.38質量%、カラナウバワックス0.48質量%、共重合化合物0.14質量%であった。
炭素繊維2(CF2):
単糸数12000のPAN系炭素繊維をカップリング剤であるγ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業株式会社製)0.38質量%を含む水溶液に60℃で12時間浸漬し、110℃で6時間乾燥した。炭素繊維に付着したγ-アミノプロピルトリメトキシシランは、炭素繊維100質量%に対し、0.38質量%であった。
炭素繊維0(CF0):単糸数12000のPAN系炭素繊維
[連続強化繊維基材の作製]
ガラスクロス:
レピア織機(織幅1m)を用い、上記GF1を経糸、緯糸として用いて製織することでガラスクロス1(GC1)を製造した。得られたガラスクロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は640g/mであった。
また同様にGF2を用いてGC2を得た。
炭素繊維クロス:
レピア織機(織幅1m)を用い、上記炭素繊維1を経糸、緯糸として用いて製織することで炭素繊維クロス1(CC1)を製造した。得られた炭素繊維クロスの織形態は、平織、織密度は6.5本/25mm、目付は425g/mであった。
また同様に炭素繊維2を用いてCC2を得た。
[熱可塑性樹脂]
樹脂1:ポリアミド66
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
アジピン酸(和光純薬工業)とヘキサメチレンジアミン(東京化成工業)とが45:55のモル比で含まれる塩:1500gとアジピン酸:300gを蒸留水:1500gに溶解させ、原料モノマーの55質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積7.0Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。130℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を225℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.7MPaまで昇圧した。そのまま2時間、内部温度が255℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.7MPaに保ちながら70分間反応させた。次に、1.7時間かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に15分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥した。得られたペレットと潤滑剤(PEG400、東京化成工業)を単軸押し出し機にて成形し、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、樹脂1(ポリアミド66)を得た。Mw=42000、Mw/Mn=2.08、溶融温度(融点(Tm))=264℃、ガラス転移温度(Tg)=50℃であった。
樹脂2:
100質量%の樹脂1に対して、ヨウ化銅0.03質量%、ヨウ化カリウム0.2質量%をドライブレンドし、280℃に設定した二軸混練機(TEM26SS、東芝機械)にて混練し、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、溶融温度=264℃の樹脂2を得た。
樹脂3:ポリアミド6I
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
イソフタル酸(和光純薬工業)とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩とが45:55のモル比で含まれる塩:1500g、及び、とイソフタル酸300gを蒸留水:1500gに溶解させ、均一水溶液を作製した。110℃以上140℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を235℃に昇温した。そのまま70分間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を一定に保ちながら2時間反応させた。次に、90分かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出した。ペレットを100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥した。得られたペレットと潤滑剤(PEG400、東京化成工業)を単軸押し出し機にて成形し、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、樹脂3(ポリアミド6I)を得た。得られた樹脂3(ポリアミド6I)は、Mw=18000、Mw/Mn=1.94、溶融温度(ガラス転移温度(Tg))=130℃であった。
なお、結晶融点を持たない非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度を溶融温度とする。
樹脂4:
樹脂1と樹脂3を2:1の質量比でドライブレンドして溶融温度=259℃の樹脂4を得た。
樹脂5:
マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業株式会社、溶融温度(融点)=160℃)
[熱可塑性樹脂フィルムの作製]
Tダイ押し出し成形機(株式会社創研製)を用いて成形することで熱可塑性樹脂フィルムを得た。熱可塑性樹脂フィルムの厚さは180μmであった。
[実施例1]
樹脂1を用いて、上記方法で熱可塑性樹脂フィルム1を得た。
ガラスクロス1(GC1)を4枚と熱可塑性樹脂フィルム1を5枚準備し、熱可塑性樹脂フィルム1が表面となるようにガラスクロス1と熱可塑性樹脂フィルム1とを交互に重ねて成形を行い、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料を得た。成形機として、連続圧縮成形機を使用した。上記ガラスクロスと上記熱可塑性樹脂フィルム1とを上記のように重ねて成形機に設置し、成形機内の加熱ゾーンの温度を350℃、冷却ゾーンを油冷で温度調整し、圧力5MPa、ベルト速度0.6m/minで圧縮成形を行った。
また、曲げ強度を比較するために、カップリング剤のみが処理されているガラスクロス2(カップリング連続強化繊維)を用いて、同様に厚さ2mmの曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例2]
熱可塑性樹脂として樹脂2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料と曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例3]
熱可塑性樹脂として樹脂3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料と曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例4]
熱可塑性樹脂として樹脂4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料と曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例5]
連続強化繊維基材として炭素繊維クロス1を用いて、炭素繊維クロス1と熱可塑性樹脂フィルム1とからなる複合材料を作製したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料を得た。なお、熱可塑性樹脂フィルムとして、厚さ118μmとしたこと以外は上記熱可塑性樹脂フィルムと同様にして作製したフィルムを使用した。
また、曲げ強度を比較するために、カップリング剤のみ処理されている、炭素繊維クロス2を用いて、同様に厚さ2mmの曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例6]
GF1の代わりに、GF1にアルミニウム濃度を調整する添加剤としてアルミン酸ナトリウム水溶液20wt%を1時間処理して、110℃で2時間乾燥したガラス繊維を用いてガラスクロスGC3を作製したこと以外は実施例1と同様にして厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料を得た。曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)は、実施例1と同様にして作製した。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[実施例7]
熱可塑性樹脂として樹脂5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ2mmの連続繊維強化樹脂複合材料と曲げ試験用材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例1]
ガラスクロス1の代わりに、GF1の作製に用いたガラス繊維100質量%に対し、集束剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-402、信越化学工業株式会社)0.16質量%、エポキシ樹脂エマルジョン0.40質量%、カルナウバワックスを0.24質量%の混合物を付着させたガラス繊維(GF4)を用いて、平織、織密度は6.5本/25mm、目付600g/mのガラスクロス(GC4)を製造して用いたこと以外は実施例1と同様にして、連続繊維強化樹脂複合材料を得た。
また、曲げ強度を比較するために、GF1の作製に用いたガラス繊維100質量%に対し、カップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-402、信越化学工業株式会社)0.16質量%を付着させたガラス繊維(カップリング連続強化繊維、GF5)を用いて、平織、織密度は6.5本/25mm、目付600g/mのガラスクロス(GC5)を用いて、同様に厚さ2mmの曲げ試験用材料(カップリング連続繊維強化樹脂複合材料)を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例2]
ガラスクロス1の代わりに、集束剤を処理していない繊度1.15g/mで単糸数2000本のガラス繊維(GF6)を用いて、平織、織密度は6.5本/25mm、目付640g/mのガラスクロス(GC6)を製造して用いたこと以外は実施例1と同様にして連続繊維強化樹脂複合材料と曲げ試験用材料を得た。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
[比較例3]
ポリアミド66をガラスクロスに含浸したBond Laminate製「Tepex dynalite 101」を用いて、実施例1と同様の評価を行った。
得られた連続繊維強化樹脂複合材料の各物性を表1に示す。
ガラスクロス2又は炭素繊維クロス2を用いた場合の含浸速度及び曲げ強度を表1に示す。
Figure 2022167223000003
本実施形態の連続繊維強化樹脂複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品等、高レベルでの機械的物性が要求される材料の補強材として、また、熱可塑性樹脂組成物との複合成形体材料として、産業上の利用可能である。

Claims (9)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂を含む連続繊維強化樹脂複合材料であって、
    前記連続繊維強化樹脂複合材料の以下の式で表される界面被覆率変化指数が0.8~1.2である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料。
    (界面被覆率変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)/(破壊試験後の連続繊維強化樹脂複合材料の界面被覆率)
  2. 以下の式で表される強化繊維露出変化指数が0.8~1.2である、請求項1に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
    (強化繊維露出変化指数)=(破壊試験前の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)/(破壊試験後の連続繊維強化樹脂複合材料の強化繊維露出割合)
  3. 界面窒素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1又は2に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  4. 界面炭素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  5. 界面アルミニウムの相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  6. 界面ケイ素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  7. 界面カルシウムの相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1~6のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  8. 界面酸素の相対元素変化指数が0.8~1.2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂が連続強化繊維に含浸する速度が、前記熱可塑性樹脂がカップリング剤のみで処理したカップリング連続強化繊維に含浸する速度の0.8~1.2倍であり、
    前記カップリング連続強化繊維と前記熱可塑性樹脂からなるカップリング連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度が、前記連続繊維強化樹脂複合材料の曲げ強度の0.6倍以上である、ことを特徴とする連続繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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