JP2022165898A - 成形品およびセンサーカバー - Google Patents

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優樹 中川
Yuki Nakagawa
佑一 早田
Yuichi Hayata
顕夫 田村
Akio Tamura
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Abstract

【課題】油系汚れの洗浄性と耐衝撃性を両立する成形品、及びセンサーカバーを提供する。【解決手段】基材と、表面保護層とを有する成形品であって、表面保護層の表面エネルギーの極性成分が5mN/m~60mN/mであり、表面保護層の表面エネルギーの分散力成分が25mN/m以下であり、成形品表面の弾性率が0.1GPa以上である成形品、及び上記成形品を含むセンサーカバー。【選択図】なし

Description

本発明は、成形品およびセンサーカバーに関する。
近年、車両の自動運転支援技術の開発が積極的に行われている。安全な自動運転を実現するためには、車両の外部情報、位置情報などを検知するためのセンサーが必要であり、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)システムなどの導入検討が進んでいる。
上記のようなセンサーには、高精度での検知、安定した検知性能が要求されるため、センサー保護のためにカバーが配置される場合が多い。
車両は高速移動することから、センサーカバー表面にピッチタールや昆虫などが激突し、固着する。この固着物によって検知性能が著しく低下し、自動運転に支障をきたす。自動運転の安定性を高めるためには、これらの固着物を容易に除去できる技術が必要である。特許文献1においては、塗膜表面を親水撥油性にした防汚性膜の検討がなされている。
特開2017-193683号公報
特許文献1の塗膜表面が親水撥油性である防汚性膜を検討したところ、親水性が高いために、水分を含む油汚れがむしろ広がりやすく、汚染しやすいことが判明した。さらには、車両が高速移動する際には、センサーカバーには石などが衝突し、防汚性膜が剥離することもわかった。
本発明の課題は、油系汚れの洗浄性と耐衝撃性を両立する成形品、及びセンサーカバーを提供することにある。
本発明者らは、種々の検討を行ったところ、表面保護層の表面エネルギーの分散力成分、及び表面エネルギーの極性成分を特定の範囲とすることで、飛躍的に油系汚れの洗浄性が向上することを見出した。また、成形品表面の弾性率を特定の範囲とすることで、耐衝撃性が向上することを見出した。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1)
基材と、表面保護層とを有する成形品であって、上記表面保護層の表面エネルギーの極性成分が5mN/m~60mN/mであり、上記表面保護層の表面エネルギーの分散力成分が25mN/m以下であり、上記成形品表面の弾性率が0.1GPa以上である成形品。
(2)
上記表面保護層が、重合性不飽和基を3つ以上有する多官能モノマー由来の繰り返し単位を有する、(1)に記載の成形品。
(3)
上記表面保護層が、分子中に撥油性付与基と親水性付与基とを含む含フッ素化合物を含有する、(1)又は(2)に記載の成形品。
(4)
上記撥油性付与基が、パーフルオロポリエーテル基を有する部分構造を含有する、(3)に記載の成形品。
(5)
上記親水性付与基が、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基及びそれらの塩、アミノ基、水酸基、アンモニウム基、アミド構造、カチオン型、アニオン型並びに両性型からなる群から選択される少なくとも1つである、(3)又は(4)に記載の成形品。
(6)
(1)~(5)のいずれかに記載の成形品を含むセンサーカバー。
本発明によれば、油系汚れの洗浄性と耐衝撃性を両立した成形品、及びセンサーカバーを提供できる。
成形品の第1実施形態の一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
<<第1実施形態>>
本発明の成形品の第1実施形態は、基材と、表面保護層とを有する成形品であって、上記表面保護層の表面エネルギーの極性成分が5mN/m~60mN/mであり、上記表面保護層の表面エネルギーの分散力成分が25mN/m以下であり、上記成形品表面の弾性率が0.1GPa以上である。
上記第1実施形態においては、表面保護層の表面エネルギーの極性成分と分散力成分が所定の範囲であることにより、ピッチタールや昆虫などの油系汚れの洗浄性および耐衝撃性が優れる。
以下、図面を用いて、上記形態について説明する。なお、以下に示す図においては、発明の内容が理解しやすいように実際のデータとは縮尺などが異なる形で記載してある。
図1に示す、成形品10は、基材12と、表面保護層14とを有する。図1においては、基材12と表面保護層14とは直接接しているがこの態様に限定されず、両者の間に他の層が配置されていてもよい。
以下、それぞれの部材について詳述する。
<基材>
基材は、表面保護層を支持する役割を果たす。
基材としては、透明基材が好ましい。なお、透明基材とは、可視光および近赤外光の透過率が60%以上である基材を意図し、その透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
なお、可視光とは、380~780nmの光のことをいう。近赤外光とは、780nm超2500nm以下の光のことをいう。
基材の形状は特に制限されず、例えば、平板状、半球状などが挙げられる。
基材の種類は特に制限されず、公知の基材を使用でき、プラスチック基材、および、ガラス基材などが挙げられる。
基材を構成する材料としては、ポリマーが好ましい。
基材はポリマーを含むフィルム(ポリマーフィルム)であることが好ましい。
基材として用いることのできるポリマーフィルムとしては、例えば、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、並びに、脂環式構造を有するポリマーのフィルム(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))が挙げられる。
基材には、種々の添加剤(例えば、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、など)が含まれていてもよい。
基材の厚みは特に制限されないが、10~5000μmが好ましく、50~1000μmがより好ましい。
基材の厚みは、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて基材の任意の20点測定し、これを平均して求める。接触端子は、底面が直径0.5cmの円柱状の端子を用いる。測定圧は0.1Nとする。
<表面保護層>
表面保護層は、基材上に配置される層であり、成形品の最外層として配置されることが好ましい。
表面保護層の表面エネルギーの極性成分が5mN/m~60mN/mであり、表面保護層の表面エネルギーの分散力成分が25mN/m以下である。
表面エネルギーの極性成分は、油系汚れの洗浄性がより優れる点で、5mN/m~40mN/mが好ましく、7mN/m~37mN/mがより好ましく、10mN/m~30mN/mが更に好ましい。
表面エネルギーの分散力成分は、油系汚れの洗浄性がより優れる点で、20mN/m以下が好ましく、15mN/m以下がより好ましい。また、6mN/m以上であることが好ましい。
ここで、表面保護層の表面エネルギーの極性成分と分散力成分は、D.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)に準じ、表面保護層の表面で、純水HOとヨウ化メチレンCHを用いた液滴法により「表面エネルギー(γs:単位、mN/m)」の分散力成分(γs:単位、mN/m)および極性成分(γs:単位、mN/m)として算出することができる。
純水およびヨウ化メチレンのそれぞれの接触角をθH2OおよびθCH2I2として、下記の連立方程式(SA)および(SB)により、γsおよびγsが求められ、その和で表される値γs(=γs+γs)を表面エネルギーと定義する。
また、接触角は、温度20℃、相対湿度65%RHの環境下で、2時間以上調湿させた後に、温度20℃、相対湿度65%RHの環境下で測定した値を採用し、接触角計(例えば、Dropmaster(協和界面科学株式会社製))を用いて測定することができる。
1+cosθH2O=2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O ) ・・・(SA)
1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 ) ・・・(SB)
(ただし、γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8、γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8とする。)
表面保護層の弾性率は0.1GPa以上であることが好ましい。耐衝撃性が優れる点で、0.5GPa以上であることがより好ましく、1GPa以上がさらに好ましい。また、100GPa以下であることが好ましい。
上記弾性率は、ナノインデンターにより評価し、押込み硬さ(GPa)を算出した。
ナノインデンター評価には、エリオニクス社製のESF-5000Plusを使用した。
[含フッ素化合物]
上述した要件を満たせば、表面保護層に含まれる材料は特に限定されないが、防汚性を高めるため、汚れを付着しにくくするための撥油性と、付着した汚れを水洗で容易に落とせる親水性とを両立できる含フッ素化合物を好適に使用することができる。含フッ素化合物は、分子中に撥油性付与基と親水性付与基とを含むことが好ましい。含フッ素化合物は、重合体(含フッ素重合体)であることが好ましい。
撥油性付与のために、含フッ素化合物は撥油性付与基を有することが好ましい。撥油性付与基は、パーフルオロポリエーテル基を有する部分構造を含有していることが好ましい。
含フッ素化合物は、フッ素原子を含み、かつ2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である重合体であることが好ましく、パーフルオロポリエーテル基と2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である重合体であることがより好ましい。重合体を重合させる際に用いる重合開始剤構造によって重合開始剤断片は異なるが、NMR(核磁気共鳴)スペクトル測定やIR(赤外)スペクトル測定、質量分析測定、あるいは元素分析測定などの方法により、重合体に重合体断片が組み込まれていることが確認できる。
含フッ素化合物は、パーフルオロポリエーテル基を含有していることが好ましく、パーフルオロポリエーテル基を含有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
(パーフルオロポリエーテル基)
パーフルオロポリエーテル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても良い。構成単位としては、特に限定されないが、例えばパーフルオロメチルエーテル、パーフルオロエチルエーテル、パーフルオロプロピルエーテル、パーフルオロブチルエーテル、パーフルオロペンチルエーテル、パーフルオロヘキシルエーテル、パーフルオロ(メチル)エチルエーテル、及びこれらから選ばれる2種以上の組み合わせからなる構造が好ましい。
パーフルオロポリエーテル基を含有する繰り返し単位を有する含フッ素重合体を合成するためには、パーフルオロポリエーテル基を有するモノマー(パーフルオロポリエーテル基含有モノマー)を用いることができる。パーフルオロポリエーテル基含有モノマーは、パーフルオロポリエーテル基と重合性基を有する化合物である。
2個以上の重合性基およびパーフルオロポリエーテル基を有するモノマーとしては、例えばMD-700、AD-1700(いずれもソルベイ社製)が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基を有するモノマーの重量平均分子量は、300~10000が好ましく、1000~7000がさらに好ましく、1500~5000が特に好ましい。パーフルオロポリエーテル基を有するモノマーの重量平均分子量を1500以上とすることで、撥油性をより高めることができる。
ここで、重量平均分子量とは、パーフルオロポリエーテル基を有するモノマーを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)にて測定した値である。
パーフルオロポリエーテル基を含有する繰り返し単位としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2022165898000001
一般式(1)中、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。
Rf、Rf、Rf及びRfはそれぞれ独立にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
uは1以上の整数を表す。
pは2以上の整数を表す。
tは0以上の整数を表す。
複数のRfは同一でもよいし、異なっていてもよい。
複数のRfは同一でもよいし、異なっていてもよい。
Rfが複数存在する場合、複数のRfは同一でもよいし、異なっていてもよい。
Rfが複数存在する場合、複数のRfは同一でもよいし、異なっていてもよい。
一般式(1)中のL及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては特に限定されないが、例えば、-COO-、-CO-、-O-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~20)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20)、-SO-、-SO-、-NH-、-NR-、及びこれらを2つ以上組み合わせてなる2価の連結基が挙げられる。上記Rはアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又はアリール基(好ましくは炭素数6~20)を表す。
一般式(1)中のL及びLは、-COO-、アルキレン基、及び-NH-を組み合わせてなる2価の連結基であることが好ましく、下記一般式(L-1)で表される2価の連結基がより好ましい。
Figure 2022165898000002
一般式(L-1)中、A及びAはそれぞれ独立にアルキレン基を表す。*1及び*2は結合位置を表す。
一般式(L-1)中のA及びAのアルキレン基は、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~7のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることが更に好ましい。
及びAが表すアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、2-メチルオクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
一般式(1)中のL及びLは、-O-、アルキレン基、及びアリーレン基を組み合わせてなる2価の連結基であることも好ましく、下記一般式(L-2)で表される2価の連結基であることも好ましい。
Figure 2022165898000003
一般式(L-2)中、Arはアリーレン基を表し、A及びAはそれぞれ独立にアルキレン基を表す。*3及び*4は結合位置を表す。
一般式(L-2)中のArのアリーレン基は、炭素数6~20のアリーレン基であることが好ましく、炭素数6~15のアリーレン基であることがより好ましく、炭素数6~10のアリーレン基であることが更に好ましく、フェニレン基であることが特に好ましい。
一般式(L-2)中のA及びAのアルキレン基は、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~7のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることが更に好ましい。
及びAが表すアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、2-メチルオクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
一般式(1)中のRf、Rf、Rf及びRfはそれぞれ独立にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
Rf、Rf、Rf及びRfがパーフルオロアルキル基を表す場合、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。
Rf、Rf、Rf及びRfはフッ素原子を表すことが好ましい。
一般式(1)中のuは1以上の整数を表し、1~10を表すことが好ましく、1~6を表すことがより好ましく、1~3を表すことが更に好ましい。
一般式(1)中のpは2以上の整数を表し、2~100を表すことが好ましく、6~80を表すことがより好ましく、10~60を表すことが更に好ましい。
p個の[CRfRfOはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(1)中のtは0以上の整数を表し、1~10を表すことが好ましく、1~6を表すことがより好ましく、1~3を表すことが更に好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位は、下記一般式(1m)で表される化合物(K1)(含フッ素モノマー)を重合することで得られる。
Figure 2022165898000004
一般式(1m)中、R、R、L、L、Rf、Rf、Rf、Rf、u、p及びtは、それぞれ一般式(1)中のR、R、L、L、Rf、Rf、Rf、Rf、u、p及びtと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
含フッ素重合体中の一般式(1)で表される繰り返し単位は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
含フッ素重合体中の一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体中の全繰り返し単位に対して、10~99質量%であることが好ましく、20~95質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましく、40~90質量%であることが特に好ましい。油系汚れの洗浄性に特に優れるという理由から、含フッ素重合体中の一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、50~70質量%であることが最も好ましい。
<親水性付与基>
含フッ素化合物(好ましくは含フッ素重合体)は親水性付与基を含むことが好ましく、親水性付与基を有する化合物(以下、「親水性モノマー」と表記することがある)を重合反応させてなる部分構造を含むことがより好ましく、少なくとも1種の親水性付与基と、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基の少なくともいずれか一方とを有する化合物を重合反応させてなる部分構造を含むことが更に好ましい。
親水性付与基は、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、ホスホノキシ基{-OP(=O)(OH)}及びそれらの塩、アミノ基、水酸基、アンモニウム基、アミド構造、カチオン型、アニオン型並びに両性型からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
含フッ素重合体は、親水性付与基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
[一般式(2)で表される繰り返し単位]
含フッ素重合体は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2022165898000005
一般式(2)中、
は水素原子又はメチル基を表す。
は単結合又は2価の連結基を表す。
は-OH、-COOH、-POH、{-OP(=O)(OH)}、-CO、-SO、-NT、オキサゾリン基、-NG又はベタイン構造を有する基を表す。
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al又はQを表す。
、Q、Q及びQはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
及びTはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を表す。TとTとが結合してもよい。
はアニオンを表す。
、G及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
一般式(2)中のLは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては特に限定されないが、例えば、-COO-、-CO-、-O-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~20)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20)、-SO-、-SO-、-NH-、-NR-、及びこれらを2つ以上組み合わせてなる2価の連結基が挙げられる。上記Rはアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又はアリール基(好ましくは炭素数6~20)を表す。
が2価の連結基を表す場合、-O-、-COO-、-CONH-、-OCO-、及びアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つからなる2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基は、炭素数1~20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~12のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキレン基であることが更に好ましい。
は単結合又は下記一般式(L-3)で表される2価の連結基を表すことが好ましい。
Figure 2022165898000006
一般式(L-3)中、Zは-O-又は-NH-を表す。Aはアルキレン基を表す。kは1~30の整数を表す。*5及び*6は結合位置を表す。
が表すアルキレン基は、炭素数1~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることが更に好ましい。
が表すアルキレン基は、置換基を有していてもよい。
が表すアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2-ヒドロキシトリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、2-メチルオクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
kは1~15の整数であることが好ましく、1~10の整数であることがより好ましく、1~5の整数であることが更に好ましい。
一般式(2)中のXは-OH、-COOH、-POH、{-OP(=O)(OH)}、-CO、-SO、-NT、オキサゾリン基、-NG又はベタイン構造を有する基を表す。
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al又はQを表す。
、Q、Q及びQはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
及びTはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を表す。TとTとが結合してもよい。
はアニオンを表す。
、G及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
が-COを表す場合、塩の状態である-CO ・(Mとなっていることが好ましい。(Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、Mg2+、Al3+又はQを表す。なお、(MがMg2+である場合、1つのMg2+と2つのCO とが塩を形成していることが好ましい。(MがAl3+である場合、1つのAl3+と3つのCO とが塩を形成していることが好ましい。
が-SOを表す場合、塩の状態である-SO ・(Mとなっていることが好ましい。(Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、Mg2+、Al3+又はQを表す。なお、(MがMg2+である場合、1つのMg2+と2つのSO とが塩を形成していることが好ましい。(MがAl3+である場合、1つのAl3+と3つのSO とが塩を形成していることが好ましい。
が表すアルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)が挙げられる。
が表すアルカリ土類金属しては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)が挙げられる。
が表すQ(第4級アンモニウム塩)におけるQ、Q、Q及びQはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。Q、Q、Q及びQが表すアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~7のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましい。
、Q、Q及びQが表すアルキル基は置換基を有していてもよい。
、Q、Q及びQが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、4-ヒドロキシブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
の具体例としては、Q~Qが全て同じである場合、例えば、(CH、(C、(C、(C、(C11、(C13、(C15、(C17、(C19、(C1021等の化合物が挙げられる。
~Qが全てメチル基の場合としては、例えば、Qが(C)、(C13)、(C17)、(C19)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。
及びQがメチル基の場合としては、例えば、Q及びQが(C17)、(C1021)、(C1225)、(C1429)、(C1633)、(C1837)等の化合物が挙げられる。
がメチル基の場合としては、例えば、Q~Qが全て(C)、(C17)等の化合物が挙げられる。
が-NTを表す場合、T及びTはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を表す。TとTとが結合してもよい。
及びTが表すアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~7のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましい。
及びTが表すアルキル基は置換基を有していてもよい。
及びTが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、4-ヒドロキシブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
及びTが表すアルコキシ基は直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1~10のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~7のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基であることが更に好ましい。
及びTが表すアルコキシ基は置換基を有していてもよい。
及びTが表すアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、2-ヒドロキシエトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、3-ヒドロキシプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、4-ヒドロキシブチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
とTとが結合する場合、-NTは環状の基になる。このような基としては、例えばモルホリノ基などが挙げられる。
及びTは水素原子を表すことが最も好ましい。
が-NGを表す場合、塩の状態である-N・Eとなっていることが好ましい。
が表すアニオンは特に限定されず、例えば、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハロゲン化物イオン;水酸化物イオン(OH);シアン化物イオン(CN);硝酸イオン(NO );炭酸イオン(CO 2-);硫酸イオン(SO 2-);メタンスルホネートアニオン(CHSO )、ベンゼンスルホネートアニオン、p-トルエンスルホネートアニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン等のスルホネートアニオン;パークロレートアニオン;テトラフルオロボレートアニオン、テトラフェニルボレートアニオン等のボレートアニオン;ヘキサフルオロホスフェートアニオン;アセテートアニオンなどが挙げられる。なお、Eが2価のアニオンである場合、1つのEと2つのNGとが塩を形成していることが好ましい。
、G及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。G、G及びGが表すアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~7のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましい。
、G及びGが表すアルキル基は置換基を有していてもよい。
、G及びGが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、4-ヒドロキシブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
一般式(2)中のXが表すベタイン構造を有する基は、特に限定されないが、下記一般式(BT1)、(BT2)、(BT3)又は(BT4)で表される基であることが好ましい。
Figure 2022165898000007
一般式(BT1)中、
及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
は2価の連結基を表す。
*は結合位置を表す。
Figure 2022165898000008
一般式(BT2)中、
及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
は2価の連結基を表す。
*は結合位置を表す。
Figure 2022165898000009
一般式(BT3)中、
、G及びG10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
は2価の連結基を表す。
*は結合位置を表す。
Figure 2022165898000010
一般式(BT4)中、
11及びG12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
は2価の連結基を表す。
*は結合位置を表す。
一般式(BT1)中のG及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基についての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のG、G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基について記載したものと同様である。
は2価の連結基を表し、アルキレン基を表すことが好ましい。アルキレン基は、炭素数1~12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることが更に好ましい。
が表すアルキレン基は、置換基を有していてもよい。
が表すアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、2-ヒドロキシトリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、2-メチルオクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
一般式(BT2)中のG及びGはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基についての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のG、G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基について記載したものと同様である。
は2価の連結基を表す。Lについての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のLについて記載したものと同様である。
一般式(BT3)中のG、G及びG10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。G、G及びG10が表す炭素数1~20のアルキル基についての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のG、G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基について記載したものと同様である。
は2価の連結基を表す。Lについての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のLについて記載したものと同様である。
一般式(BT4)中のG11及びG12はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。G11及びG12が表す炭素数1~20のアルキル基についての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のG、G及びGが表す炭素数1~20のアルキル基について記載したものと同様である。
は2価の連結基を表す。Lについての説明、具体例及び好ましい範囲は、前述のLについて記載したものと同様である。
含フッ素重合体は、一般式(2)で表される繰り返し単位を含み、一般式(2)中のXが-COOH、-POH、{-OP(=O)(OH)}、-CO、-SO、-NT、オキサゾリン基、-NG又はベタイン構造を有する基を表すことが好ましく、-NG又はベタイン構造を有する基を表すことがより好ましく、一般式(BT1)、(BT2)、(BT3)又は(BT4)で表される基を表すことが更に好ましく、一般式(BT1)、(BT2)又は(BT3)で表される基を表すことが特に好ましい。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、下記一般式(2m)で表される化合物(K2)(親水性モノマー)を重合することで得られる。
Figure 2022165898000011
一般式(2m)中、R、L及びXは、それぞれ一般式(2)中のR、L及びXと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m)で表される化合物は、下記一般式(2m-1)~一般式(2m-4)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022165898000012
一般式(2m-1)中、Rは、一般式(2)中のRと同じ意味を表し、Rについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-1)中、A及びkは、それぞれ一般式(L-3)中のA及びkと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-1)中、G、G、G及びEは、それぞれ一般式(2)中のXが-NGを表す場合のG、G、G及びEと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
Figure 2022165898000013
一般式(2m-2)中、Rは、一般式(2)中のRと同じ意味を表し、Rについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-2)中、A及びkは、それぞれ一般式(L-3)中のA及びkと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-2)中、G、G及びLは、それぞれ一般式(BT1)中のG、G及びLと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
Figure 2022165898000014
一般式(2m-3)中、Rは、一般式(2)中のRと同じ意味を表し、Rについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-3)中、A及びkは、それぞれ一般式(L-3)中のA及びkと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-3)中、G、G及びLは、それぞれ一般式(BT2)中のG、G及びLと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
Figure 2022165898000015
一般式(2m-4)中、Rは、一般式(2)中のRと同じ意味を表し、Rについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-4)中、A及びkは、それぞれ一般式(L-3)中のA及びkと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2m-4)中、G、G、G10及びLは、それぞれ一般式(BT3)中のG、G、G10及びLと同じ意味を表し、それぞれについての説明、具体例及び好ましい範囲も同じである。
一般式(2)で表される繰り返し単位を形成できる一般式(2m)で表される化合物としては、具体的には、例えば、具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β-カルボキシエチルアクリレート、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、イソプロペニルオキサゾリン、スチレンボロン酸、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(N-tert-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等のアクリルアミド類;N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム=クロリド、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム=ブロミド、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム=ヨージド、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム=メタンスルホネート、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N-ジエチル-N-メチルアンモニウム=メタンスルホネート、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N-ブチル-N,N-ジメチルアンモニウム=ヨージド、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)-N,N-ジエチル-N-メチルアンモニウム=クロリド等の(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム塩類;2-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)アセテート(N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-N,N-ジメチルグリシンともいう)、3-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)プロパノエート、4-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)ブタノエート、5-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)ペンタノエート等のカルボキシベタイン類;((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)メタンスルホネート、2-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)エタンスルホネート、3-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート、4-((2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート等のスルホベタイン類;2-(メタ)アクリロイルオキシエチル=ジビドロゲン=ホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル=ジビドロゲン=ホスフェート等の(メタ)アクリロイル基含有リン酸エステル類;(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスホリルコリン、(4-(メタ)アクリロイルオキシブチル)ホスホリルコリン等のホスホリルコリン類などが挙げられるが、これらに限定されない。
含フッ素重合体が一般式(2)で表される繰り返し単位を有する場合、含フッ素重合体中の一般式(2)で表される繰り返し単位は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
含フッ素重合体中の一般式(2)で表される繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体中の全繰り返し単位に対して、1~90質量%であることが好ましく、5~80質量%であることがより好ましく、10~70質量%であることが更に好ましく、10~60質量%であることが特に好ましい。油系汚れの洗浄性に特に優れるという理由から、含フッ素重合体中の一般式(2)で表される繰り返し単位の含有量は、30~50質量%であることが最も好ましい。
親水性モノマーの使用量は、溶媒溶解性、樹脂分散性及び表面改質効果の観点から、前述の含フッ素モノマーの合計モル数に対して1~1000モル%の量で、より好ましくは、5~500モル%の量で使用することが好ましい。
含フッ素重合体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。a及びbは繰り返し単位の含有比率を表す。
Figure 2022165898000016
Figure 2022165898000017
Figure 2022165898000018
含フッ素重合体は、フッ素原子を含み、かつ2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状であることが好ましい。含フッ素重合体は、特に好ましくはパーフルオロポリエーテル基を有する部分構造を含み、かつ分岐状構造を含むことで、従来の含フッ素ポリマーと比較して分子中に多数の枝分かれ構造を有するために、重合体の分子鎖間の絡み合いが少なく、各種溶剤との溶解性との相溶性が高い。そのため、含フッ素重合体を含む組成物を用いることで、油系汚れの洗浄性に特に優れた塗布膜を形成することが可能となる。
含フッ素重合体は、親水性付与基を有するモノマーとの共重合体であることが好ましく、親水性付与基がカチオン型、アニオン型および両性型のうち少なくとも1つを含むことがより好ましい。
<その他の繰り返し単位>
含フッ素重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記一般式(1)~(2)以外の繰り返し単位を有していてもよい。
含フッ素重合体中の上記一般式(1)~(2)以外の繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体中の全繰り返し単位に対して、0~20質量%であることが好ましく、0~10質量%であることがより好ましく、0~5質量%であることが更に好ましく、0質量%である(一般式(1)~(2)以外の繰り返し単位を有しない)ことが特に好ましい。
含フッ素重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で、1000~20000であることが好ましく、1000~15000であることがより好ましく、1000~10000であることが更に好ましい。
含フッ素重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって下記の条件で測定された値である。
[溶離液]:テトラヒドロフラン(THF)
[装置名]:Ecosec HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
[カラム]:TSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZM200(東ソー株式会社製)
[カラム温度]:40℃
[流速]:50ml/min
[分子量]:標準ポリスチレン換算
<含フッ素重合体の合成方法>
含フッ素重合体は、モノマー(好ましくは、上記一般式(1m)で表される化合物(K1)及び上記一般式(2m)で表される化合物(K2))を、重合開始剤の存在下で重合反応させる工程により合成することができる。重合方法としては公知の方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合、及び塊状重合等が挙げられ、中でも溶液重合又は沈殿重合が好ましい。特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶液重合によって反応を実施することが好ましい。このとき用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n-ヘキサン、n-ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N-メチル-2-ピロリドン等の複素環式化合物系溶媒、ハイドロフルオロエーテル系(商品名Novec7200(3M社製)等)のフッ素系溶媒、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、フッ素系溶媒等であり、特に好ましいものはトルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,4-ジオキサン、メチルセロソルブ、メチルイソブチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、Nocec7200、Novec7300(3M社製)等であり、2種以上の混合溶媒も好ましい。
上記重合反応を有機溶媒の存在下で行う場合、重合反応物全体における有機溶媒の含量は、モノマーの1質量部に対し、好ましくは0.1~100質量部、さらに好ましくは0.5~50質量部である。
重合反応は常圧、加圧密閉下、又は減圧下で行われ、装置及び操作の簡便さから常圧下で行うのが好ましい。また、N等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。重合反応の温度は好ましくは50~200℃、さらに好ましくは70~150℃である。より好ましくは、重合反応の温度は重合開始剤の10時間半減期温度より10℃以上高い温度で実施され、より具体的には、モノマー、重合開始剤及び有機溶媒を含む溶液を、この重合開始剤の10時間半減期温度より10℃以上高い温度に保たれた有機溶媒中へ滴下することにより、重合反応を行うことが好ましい。重合反応の終了後、得られた含フッ素重合体を任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行なう。反応溶液から高分子を回収する方法としては、再沈殿等の方法が挙げられる。
重合開始剤としては、好ましくはアゾ系重合開始剤が用いられる。
アゾ系重合開始剤としては、例えば以下の(1)~(6)に示す化合物を挙げることができる。
(1)アゾニトリル化合物:
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等;
(2)アゾアミド化合物:
2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等;
(3)環状アゾアミジン化合物:
2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’-アゾビス[2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)ジヒドロクロリド等;
(4)アゾアミジン化合物:
2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート等;
(5)その他:
2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリン酸、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)等。
(6)フルオロアルキル基含有アゾ系重合開始剤:
4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸-2-(パーフルオロメチル)エチル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸-2-(パーフルオロブチル)エチル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸-2-(パーフルオロヘキシル)エチル)等。
上記アゾ系重合開始剤の中でも、得られる含メソゲン基重合体の表面エネルギーの観点から、極性の比較的低い置換基を有するものが望ましく、特に2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル又は2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)が好ましい。また、フルオロアルキル基含有アゾ系重合開始剤である4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸-2-(パーフルオロメチル)エチル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸-2-(パーフルオロヘキシル)エチル)も好ましい。
<重合開始剤量>
含フッ素重合体の製造方法は、モノマー(好ましくは、化合物(K1)及び化合物(K2))総量に対して0.1~1000モル当量の重合開始剤の存在下で重合させることが好ましく、0.5~800当量がより好ましく、1~500モル当量が最も好ましい。
含フッ素重合体の製造方法は、モノマー総量に対して210モル%以上の重合開始剤の存在下で重合させることが好ましく、260モル%以上がより好ましい。
上記範囲の重合開始剤によって製造された含フッ素重合体を用いることで、油系汚れの洗浄性に非常に優れた表面保護層を得ることができる。
含フッ素重合体の合成にあたり、分子量の制御の観点から重合反応はラジカル重合反応であることが好ましい。
ラジカル重合反応で得られた含フッ素重合体における二重結合残存率は、ポリマー1モルに対して0.05モル%以下が好ましく、0.01モル%以下がより好ましく、最も好ましくは、0.001モル%以下である。0.05モル%以下とすることにより、光照射によって、モノマーが塗布膜の空気界面に偏在することが無いため、その上層の塗布性が良好である。なお、二重結合残存率は、NMR(核磁気共鳴)測定によるピーク強度から簡便に算出することができる。
表面保護層中の含フッ素化合物(好ましくは含フッ素重合体)の含有量は特に制限されないが、油系汚れの洗浄性が優れる点で、表面保護層の全質量に対して、0.1~15質量%が好ましく、1~12質量%がより好ましく、3~10質量%が更に好ましい。
表面保護層は、上述した含フッ素化合物(好ましくは含フッ素重合体)以外の他の材料を含んでいてもよい。
他の材料としては、バインダー(例えば、多官能モノマーの硬化物、シロキサン化合物(ゾルゲル架橋体)など)、無機粒子、表面改質剤、紫外線防止剤、および、劣化防止剤などが挙げられる。
多官能モノマーは、重合開始剤の作用によって重合する重合性の部位を、分子内に2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、例えばウレタンアクリル系、エポキシアクリル系、各種(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含有する多官能モノマー等が挙げられる。
多官能モノマーは、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれるモノマーであることが好ましい。
多官能モノマーは、フッ素原子を含有しても、含有しなくてもよいが、一態様としては、フッ素原子を含有しないことが好ましい。
多官能モノマーのうち、多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、プロピレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-アクリロイルオキシ-3-メタクリロイルオキシプロパン、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[4-(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3-アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これら化合物は一種を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
これらの例示の中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を3個以上含有する化合物が好ましく、さらにペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を4個以上含有する化合物がより好ましい。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、エチレン性不飽和結合の部位を有する(メタ)アクリロイル基を2個以上有するウレタン化合物が挙げられる。なお、本発明で好適に用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート或いは芳香族ウレタン(メタ)アクリレートの何れであってもよい。これら化合物は一種を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
本発明で好適に用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリイソシアネート化合物と、活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応により得られる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロメタンジイソシアネート或いはこれらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートなどのような2価あるいは3価のジイソシアネート化合物あるいはポリイソシアネート化合物や、これらを多量化させて得られる多量化ポリイソシアネート化合物等のイソシアネート基含有化合物が挙げられる。
また活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらのラクトン付加物(例えば、(株)ダイセル製のプラクセル(登録商標)FAシリーズ、同FMシリーズ等)も使用することができる。また、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」等)も使用可能である。
これら多官能ウレタン(メタ)アクリレートの市販品の具体例としては、共栄社化学(株)製:AH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167等;ダイセル・サイテック(株)製:EBECRYL(登録商標)204、同205、同210、同215、同220、同6202、同230、同244、同245、同264、同265、同270、同280/15IB、同1259、同5129、同8210、同8301、同8307、同8411、同8804、同8807、同9227EA、同9260、同284、同285、同294/25HD、同4820、同4858、同8402、同8405、同9270、同8311、同8701、KRM8200、KRM8200AE、KRM7735、KRM8296、KRM8452等;日本合成化学(株)製:紫光(登録商標)UV-1700B、同UV-6300B、同UV-7550B、同UV-7600B、同UV-7605B、同UV-7610B、同UV-7620E、同UV-7620EA、同UV-7630B、同UV-7640B、同UV-7650B等を挙げることができる。
また多官能モノマーは、上記多官能(メタ)アクリレート化合物と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートを混合して使用してもよい。
バインダーとして機能し得るシロキサン化合物について説明する。
シロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(I)で表されるシロキサン化合物(シロキサンオリゴマー)が挙げられる。
Figure 2022165898000019
一般式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または有機基を表す。mは1~100の整数を表す。R、R、RおよびRは複数存在する場合は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。R、R、RおよびRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよい。
、R、RおよびRが表す有機基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数4~16の複素環基などが挙げられる。
、R、RおよびRは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、または、炭素数6~14のアリール基であることが好ましく、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数6~10のアリール基であることがより好ましい。
、R、RおよびRが表すアルキル基は、分岐状であってもよい。
、R、RおよびRが表す有機基は置換基を有していてもよく、置換基が更に置換基を有していてもよい。
、R、RおよびRの好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
mは、2~20の整数を表すことが好ましく、3~15の整数を表すことがより好ましく、5~10の整数を表すことが更に好ましい。
シロキサン化合物としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基を有するシロキサン化合物が挙げられ、下記一般式(II)で表されるシロキサン化合物(シロキサンオリゴマー)が好ましい。
Figure 2022165898000020
一般式(II)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1~6の有機基を表す。nは1~100の整数を表す。
一般式(II)において、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1~6の有機基を表す。上記有機基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。R、R、RおよびRは複数存在する場合は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。R、R、RおよびRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよい。
、R、RおよびRが表す有機基としては、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましい。上記アルキル基又は上記シクロアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。R、R、RおよびRで表されるアルキル基の炭素数を1~6とすることにより、シロキサンオリゴマーの加水分解性を高めることができる。加水分解の容易さから、R、R、RおよびRで表される有機基としては、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基が更に好ましい。
一般式(II)において、nは2~20の整数を表すことが好ましい。nをこの範囲内とすることにより、加水分解物を含む溶液の粘度を適切な範囲とすることができ、また、シロキサンオリゴマーの反応性を好ましい範囲に制御できる。nは3~15の整数を表すことがより好ましく、5~10の整数を表すことが更に好ましい。
シロキサンオリゴマーは、水成分とともに混合されることによって、少なくとも一部が加水分解された状態となる。シロキサンオリゴマーの加水分解物は、シロキサンオリゴマーを水成分と反応させ、ケイ素に結合したアルコキシ基をヒドロキシ基に変化させることによって得られる。加水分解に際しては必ずしも全てのアルコキシ基が反応する必要はないが、塗布後に親水性を発揮するためにはなるべく多くのアルコキシ基が加水分解されることが好ましい。また、加水分解に際して最低限必要な水成分の量はシロキサンオリゴマーのアルコキシ基と等しいモル量となるが、反応を円滑に進めるには大過剰の量の水が存在することが好ましい。
この加水分解反応は室温でも進行するが、反応促進のために加温してもよい。また反応時間は長い方がより反応が進むため好ましい。また、後述する触媒の存在下であれば半日程度でも加水分解物を得ることが可能である。
加水分解反応は可逆反応であり、系から水が除かれるとシロキサンオリゴマーの加水分解物はヒドロキシ基間で縮合を開始してしまう。従って、シロキサンオリゴマーに大過剰の水を反応させて加水分解物の水溶液を得た場合、そこから加水分解物を無理に単離せずに水溶液のまま用いることが好ましい。
表面保護層の全質量に対するバインダーの含有量は、固形分で、例えば、1~99.9質量%が好ましく、5~99質量%がより好ましく、10~98質量%が更に好ましい。
表面改質剤は、後述する表面保護層形成用組成物の塗布時のレベリング性を高める目的や、表面保護層の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的などのために用いられる。
表面改質剤としては、表面調整剤、レベリング剤、スベリ性付与剤、および、防汚性付与剤などの名称で市販されている、表面物性を改質する各種添加剤が挙げられる。それらのうち、フッ素系表面改質剤およびシリコーン系表面改質剤が好適である。
具体例としては、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸若しくはその塩、パーフルオロアルキル基含有スルホン酸若しくはその塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸若しくはそのリン酸エステルなどのパーフルオロアルキル基含有化合物、上記のパーフルオロアルキル基をパーフルオロアルケニル基に置き換えたパーフルオロアルケニル基含有化合物、上記のパーフルオロアルキル基をパーフルオロエーテル基に置き換えたパーフルオロエーテル基含有化合物、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基・親油性基・カルボキシル基含有オリゴマー、含フッ素基・紫外線(UV)反応性基含有オリゴマー、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン系ポリマーおよびオリゴマー、並びに、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。
具体的な製品として、パーフルオロブタンスルホン酸塩(製品名「メガファックF-114」、DIC(株)製)、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩(製品名「メガファックF-410」、DIC(株)製)、パーフルオロアルキル基・リン酸基含有リン酸エステル(製品名「メガファックF-510」、DIC(株)製)、変性パーフルオロポリエーテル((製品名「オプツールDAC-HP」、ダイキン工業(株)製)、(製品名「KY-108」、「KY-164」、「X-71-195」、「KY-1900」、信越化学工業(株)製))、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー(製品名「メガファックF-281」、「メガファックF-253」、「メガファックF-251」、DIC(株)製)、含フッ素基・親水性基含有オリゴマー(製品名「メガファックF-430」、「メガファックF-551」、「メガファックF-552」、DIC(株)製)、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー(製品名「メガファックF-477」、DIC(株)製)、含フッ素基・親水性基・親油性基・カルボキシル基含有オリゴマー(製品名「メガファックF-570」、DIC(株)製)、含フッ素基・UV反応性基含有オリゴマー((製品名「メガファックRS-56」、「メガファックRS-90」、「メガファックRS-75」、DIC(株)製)、(製品名「KY-1203」、信越化学工業(株)製))が挙げられる。
後述する表面保護層形成用組成物中における表面改質剤の含有量は特に制限されないが、表面保護層の耐擦傷性に優れる点から、表面保護層形成用組成物全質量に対して、0.05~10質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
本発明の成形品の第1実施形態は、上述した基材および表面保護層以外の他の層を有していてもよい。
例えば、基材と表面保護層との間に、両者の密着性を向上させるための密着層を有していてもよい。
本発明の成形品の第1実施形態の製造方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。なかでも、表面保護層形成用組成物を基材上に塗布して、得られた塗膜に硬化処理を施す方法が好ましい。
以下、上記方法について詳述する。
表面保護層形成用組成物は、前述の含フッ素重合体、及び含フッ素モノマーの少なくとも1種を含むことが好ましい。
表面保護層形成用組成物は、含フッ素重合体及び含フッ素モノマー以外の他の材料を含んでいてもよい。他の材料としては、例えば、上述した多官能モノマー及びシロキサン化合物が挙げられる。
表面保護層形成用組成物中における含フッ素重合体、含フッ素モノマー、多官能モノマー及びシロキサン化合物の含有量は特に制限されず、上述した表面保護層中における含フッ素重合体、多官能モノマー及びシロキサン化合物の含有量の好適範囲となるように適宜調整されることが好ましい。
表面保護層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては公知の重合開始剤が挙げられ、光重合開始剤、および、熱重合開始剤が挙げられ、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、および、クマリン類などが挙げられる。
表面保護層形成用組成物中における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、表面保護層形成用組成物中のモノマー全質量に対して、0.1質量%以上15質量%未満が好ましく、1質量%以上10質量%未満がより好ましい。
表面保護層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒の種類は特に制限されず、水および有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、および、フッ素系溶媒などが挙げられる。
表面保護層形成用組成物中における溶媒の含有量は特に制限されないが、塗布性の点から、表面保護層形成用組成物全質量に対して、10質量%以上95質量%未満が好ましく、20質量%以上80質量%未満がより好ましい。
塗布方法は特に制限されず、例えば、スピンコート、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、および、ディップ塗布が挙げられる。
なお、必要に応じて、表面保護層形成用組成物の塗布後に、基材上に塗布された塗膜を乾燥する処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗膜から溶媒を除去できる。
塗膜に施される硬化処理の手順は特に制限されず、光硬化処理および熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。
紫外線照射には、紫外線ランプなどの光源が利用される。
光(例えば、紫外線)の照射量は特に制限されないが、一般的には、100~800mJ/cmが好ましい。
光照射の際の雰囲気は特に制限されず、光照射は空気下で実施されてもよいし、光照射は不活性雰囲気下で実施されてもよい。
本発明の成形品(上述した第1実施形態)は、透明窓(フロントガラス、ランプカバーなど)、レーザーなどの発光素子、および、カメラなどを保護するためのカバーとして好適に用いることができる。
本発明の成形品は、立体形状を有していてもよい。
成形品が立体形状を有する場合、成形品の製造方法としては、平板状の成形品を製造した後、立体形状を有するように成形する方法、および、立体形状を有する基材に表面保護層を貼り付ける方法が挙げられる。また、立体形状を有する基材上にスプレーコートやディップコートで表面保護層形成用組成物を塗布して、表面保護層を形成してもよい。
センサーは、発光素子と、受光素子とを含むことが好ましい。
センサーに含まれる発光素子の種類は特に制限されず、使用される用途に応じて最適な発光素子が選択される。発光素子としては、例えば、レーザダイオード及び発光ダイオード等の半導体発光素子が挙げられる。
受光素子は、入射した光量に応じた受光信号を出力するように構成されている。受光素子としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ及びフォトレジスタが挙げられる。
また、必要に応じて、センサーは他の部材(例えば、プロセッサ)を含んでいてもよい。
本発明の成形品を含むセンサーは、各種用途に適用できる。例えば、赤外線を用いたLiDARが挙げられる。より具体的には、例えば、本発明の成形品を含むセンサーカバーは、移動体としての車両に搭載され、移動体の前方にレーザー光を走査して照射し、移動体から移動体の前方に存在する物体までの距離を測定できる。本発明の成形品は、800~2000nmの発光波長を有するレーザーを含むセンサーに用いることが好ましく、905nmや1550nmの発光波長のレーザーを含むセンサーに用いることがより好ましい。
なお、本発明の成形品が適用されるセンサーカバーは、車両用のセンサーカバーに限定されず、例えば、監視カメラなどの防犯、警備、異常検知、および、行動解析などの外部情報を検知する用途のセンサーカバーにも使用できる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により制限的に解釈されるべきものではない。
<合成例1>
[含フッ素重合体(101)の合成例]
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた300ミリリットル三口フラスコに、n-プロピルアルコール16.25g、シクロヘキサノン16.25g、Novec7200(3M社製)20.00gを仕込んで、97℃まで昇温した。次いで、フルオロリンクMD700(ソルベイ社製)9.00g(5.0ミリモル)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン1.00g(3.4ミリモル)、n-プロピルアルコール7.00g、シクロヘキサノン5.50g、Novec7200を15.00g及び重合開始剤V-601(富士フイルム和光純薬(株)製)10.00g(43.4ミリモル)からなる混合溶液を、60分で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、さらに6時間攪拌を続け、含フッ素重合体(101)のポリマー溶液を84.9g得た。得られたポリマー溶液の固形分濃度は12.9質量%であった。
フルオロリンクMD700(ソルベイ社製)が含フッ素モノマーであり、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが親水性モノマーである。含フッ素重合体(101)に含まれる全繰り返し単位に対する、含フッ素モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は90質量%であり、親水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は10質量%であった。
含フッ素重合体(101)の重量平均分子量は3500であった。
<合成例2~4>
(含フッ素重合体(102)~(104)の合成例)
使用するモノマーの種類とその使用量を変更したこと以外は、合成例1と同様にして含フッ素重合体(102)~(104)を合成した。含フッ素重合体(102)~(104)の構造式を以下に示す。下記構造式に含まれる全繰り返し単位に対する、含フッ素モノマーに由来する繰り返し単位の含有量、及び親水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量の単位は、「質量%」である。
Figure 2022165898000021
<実施例1>
2-エトキシエタノール49.5質量部と、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル17.8質量部と、含フッ素重合体(101)のポリマー溶液8.9質量部と、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、日本化薬(株)製)22.9質量部と、開始剤(IGM Resins B.V.社製「Omnirad 127」、ビスヒドロキシアルキルアセトフェノン誘導体)1質量部とを混合し、表面保護層形成用組成物1を作製した。
透明基材であるポリカーボネートフィルム(テクノロイC000(登録商標)、膜厚125μm、住友化学(株)製)上に、ワイヤーバーを用いて表面保護層形成用組成物1を塗布した。得られた透明基材上の塗膜を100℃で乾燥した。その後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量500mJ/cmの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚さ3μmの表面保護層を形成し、成形品1を得た。
<実施例2~6>
表1に示すように、使用する含フッ素重合体のポリマー溶液の種類および含有量(表面保護層の全質量に対する含フッ素重合体(固形分)の含有量)を変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、成形品2~6を得た。
<実施例7>
純水16.2質量部、酢酸0.2質量部、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE-403、信越化学工業(株)製)7.8質量部を混合し、35℃で1時間攪拌した後、テトラエトキシシラン(商品名:KBE-04、信越化学工業(株)製)2.4質量部を入れて、2時間半攪拌し、さらに、純水35.3質量部、スノーテックスOZL-35(商品名、固形分濃度35.5質量%、日産化学(株)製)22.5質量部、アルミキレートD(商品名、固形分濃度76質量%、川研ファインケミカル(株)製)2.3質量部、ラピゾールA-90(日油(株)製)の1質量%水溶液(3.0質量部)、ナロアクティーCL―95(三洋化成工業(株)製)の1質量%水溶液(2.1質量部)、及び、含フッ素重合体(104)のポリマー溶液8.2質量部を混合し、表面保護層形成用組成物7を作製した。
透明基材であるポリカーボネートフィルム(テクノロイC000(登録商標)、膜厚125μm、住友化学(株)製)上に、ワイヤーバーを用いて表面保護層形成用組成物7を塗布した。得られた透明基材上の塗膜を100℃で乾燥し、塗膜を硬化させ、厚さ1μmの表面保護層を形成し、成形品7を得た。
<比較例1>
透明基材であるポリカーボネートフィルム(テクノロイC000(登録商標)、膜厚125μm、住友化学(株)製)を成形品8とした。
<比較例2>
ガラス基材を成形品9とした。
<比較例3>
純水17.5質量部、酢酸0.2質量部、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE-403、信越化学工業(株)製)8.5質量部を混合し、35℃で1時間攪拌した後、テトラエトキシシラン(商品名:KBE-04、信越化学工業(株)製)2.6質量部を入れて、2時間半攪拌し、さらに、純水38.5質量部、スノーテックスOZL-35(商品名、固形分濃度35.5質量%、日産化学(株)製)24.5質量部、アルミキレートD(商品名、固形分濃度76質量%、川研ファインケミカル(株)製)2.5質量部、ラピゾールA-90(日油(株)製)の1質量%水溶液(3.3質量部)、及びナロアクティーCL―95(三洋化成工業(株)製)の1質量%水溶液(2.3質量部)を混合し、表面保護層形成用組成物9を作製した。
透明基材であるポリカーボネートフィルム(テクノロイC000(登録商標)、膜厚125μm、住友化学(株)製)上に、ワイヤーバーを用いて表面保護層形成用組成物9を塗布した。得られた透明基材上の塗膜を100℃で乾燥し、塗膜を硬化させ、厚さ1μmの硬化膜を得た。
この硬化膜上に、ワイヤーバーを用いて撥水撥油材料であるオプツールUD120(商品名、ダイキン工業(株)製)を塗布した。得られた塗膜を100℃で乾燥し、塗膜を硬化させて成形品10を得た。
<比較例4>
特開2017-193683号公報の実施例4(下記式(5)で表されるスルホベタイン型化合物を使用)により、成形品11を得た。
Figure 2022165898000022
<比較例5>
表1に示すように、含フッ素重合体(101)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順に従って、成形品12を得た。
<比較例6>
表1に示すように、含フッ素重合体(101)に代えて、撥水撥油材料であるメガファックRS-90(DIC(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、成形品13を得た。
<比較例7>
ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)基材を成形品14とした。
(表面エネルギーの極性成分及び分散力成分)
実施例及び比較例の成形品を温度20℃、相対湿度65%RHの環境下で、2時間調湿させた後に、接触角計(Dropmaster、協和界面科学(株)製)を用い、乾燥状態(温度20℃、相対湿度65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先(針サイズ22G)に作り、これを表面保護層の表面に接触させて表面保護層上に液滴を作った。次に、表面保護層と液体とが接する点における、液体表面に対する接線と表面保護層表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とし、測定した。
上記純水の代わりに、ヨウ化メチレンを使用して直径2.0mmの液滴を針先(針サイズ18G)に作ったこと以外は同様の手順に従って、成形品の表面保護層でのヨウ化メチレンに対する接触角を測定した。
表面エネルギー(γs:単位、mN/m)」の分散力成分(γs:単位、mN/m)および極性成分(γs:単位、mN/m)の算出について、純水およびヨウ化メチレンのそれぞれの接触角をθH2OおよびθCH2I2として、下記の連立方程式(SA)および(SB)により算出した。
1+cosθH2O=2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O ) ・・・(SA)
1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 ) ・・・(SB)
(ただし、γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8、γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8とする。)
<ナノインデンター(Nanoindentation Tester;超微小押込み硬さ試験機)>
得られた実施例及び比較例の成形品について、ナノインデンターにより評価し、押込み硬さ(GPa)を求めた。ナノインデンター評価には、エリオニクス社製のESF-5000Plusを使用した。
試験条件は、以下の通りである。
雰囲気:真空(50~300Pa)、圧子:バーコビッチ圧子
設定荷重:10μN、負荷/除荷時間:10sec.、荷重保持時間:1sec.
測定点数:5点×5点、測定間隔:X10μm、Y10μm
試料固定方法:アロンアルファ(登録商標)(接着剤、東亞合成株式会社製)接着
試料サイズ:10×10mm
表面保護層を有する成形品については、表面保護層に圧子を押し込んだ。
(油系汚れ洗浄性評価)
各実施例および比較例にて得られた成形品の表面(表面保護層を有する成形品については表面保護層の表面)に載せたコオロギに荷重をかけて完全に潰した後、表面が汚染した成形品を80℃で30分乾燥させた。
汚染した部分に、40mlの水を20回に分けてスポイトを用いてかけ流すことで洗浄し、乾燥させた後、成形品の表面(表面保護層を有する成形品については表面保護層の表面)を目視観察して、汚れの程度を以下の基準に従って評価した。
汚染した部分20箇所に対して同様な評価を行い、下記の基準により評価を行った。なお、下記の基準に際し、わずかでも汚れが確認できた場合は、汚れが観測される箇所と判定した。
<評価基準>
A :汚れが観測される箇所が5箇所以内。
B :汚れが観測される箇所が6~10箇所。
C :汚れが観測される箇所が11~15箇所。
D :汚れが観測される箇所が16箇所以上。
(耐衝撃性)
耐衝撃性試験は、実施例及び比較例で得られた成形品を45°傾斜させ、高さ2mの位置からナット(2g)を鉛直方向に自然落下させた。表面保護層を有する成形品については、表面保護層に対してナットを落下させた。20箇所に対して同様な操作を行った。
表面保護層を有する成形品(実施例1~7、比較例3~6)については表面保護層の表面の状態を目視により確認し、下記の基準で評価を行った。
<評価基準>
A :剥離部分が観測されない。
B :剥離部分が1~5箇所。
C :剥離部分が6箇所以上。
表面保護層を有さない成形品(比較例1、2及び7)については成形品の表面側の状態を目視により確認し、下記の基準で評価を行った。
<評価基準>
A :傷や凹み部分が観測されない。
B :傷や凹み部分が1~5箇所。
C :傷や凹み部分が6箇所以上 。
Figure 2022165898000023
表1中、「DPHA」は、KAYARAD DPHAを表す。「PC」はポリカーボネートを表す。
表1に示した結果から、実施例の成形品は、油系汚れの洗浄性と耐衝撃性を両立できることを確認した。また、本発明の成形品が適用されるセンサーカバーは、所望の効果を示すことを確認した。
実施例1と実施例4の比較より、含フッ素重合体中の親水性基を含む繰り返し単位の含有量が多いと、油系汚れの洗浄性がより優れることが確認された。
なお、各実施例にて得られたセンサーカバーを、市販のカメラやLiDARといった光学系のセンサーの前方に表面保護層を外側にして設置して、センサーを作製した。得られたセンサーが機能することを確認した。
10 成形品
12 基材
14 表面保護層

Claims (6)

  1. 基材と、表面保護層とを有する成形品であって、
    前記表面保護層の表面エネルギーの極性成分が5mN/m~60mN/mであり、
    前記表面保護層の表面エネルギーの分散力成分が25mN/m以下であり、
    前記成形品表面の弾性率が0.1GPa以上である成形品。
  2. 前記表面保護層が、重合性不飽和基を3つ以上有する多官能モノマー由来の繰り返し単位を有する、請求項1に記載の成形品。
  3. 前記表面保護層が、分子中に撥油性付与基と親水性付与基とを含む含フッ素化合物を含有する、請求項1又は2に記載の成形品。
  4. 前記撥油性付与基が、パーフルオロポリエーテル基を有する部分構造を含有する、請求項3に記載の成形品。
  5. 前記親水性付与基が、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基及びそれらの塩、アミノ基、水酸基、アンモニウム基、アミド構造、カチオン型、アニオン型並びに両性型からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項3又は4に記載の成形品。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の成形品を含むセンサーカバー。
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