JP2022156185A - バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステム - Google Patents

バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステム Download PDF

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Masaomi Miyashita
章王 渡邉
Akikimi Watanabe
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Abstract

Figure 2022156185000001
【課題】本発明は、シャフトの屈曲が起きた場合でもバルーン内の温度勾配が発生するのを抑制し、バルーン内に効率良く加熱された流体を拡散可能なバルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】流体を送通可能なルーメンを有するシャフトと、上記シャフトの先端に取り付けられ、上記ルーメンと連通したバルーンと、上記ルーメン内に配置された第1の電極及び第2の電極と、を備え、上記シャフトの長手方向における上記第1の電極と上記第2の電極の間隔が30mm~150mmである、バルーンカテーテルを提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステムに関する。
アブレーション治療は、体内にアブレーションカテーテルを挿入し、体内の標的部位をアブレーションする治療法である。一例として、標的部位をアブレーションにより破壊することで、心房細動による不整脈、子宮内膜症、癌等の疾患の治療が行われている。アブレーション治療に用いられるカテーテルとして、ルーメンを形成するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に取り付けられ、ルーメンに通じる内部空間を有するバルーンと、バルーン内に設置された高周波通電用電極と、を有するバルーンカテーテルが特許文献1に開示されている。
バルーンカテーテルを体内に挿入する際、バルーンは収縮してカテーテルシャフトの長手方向に伸張している。次に、体内に挿入されたカテーテルシャフトのルーメンに液体が供給され、バルーンが膨張する。バルーン内に設置された高周波通電用電極と患者の体外に設置されている高周波通電用外電極(以下、対極板と云う)との間で高周波通電することでバルーン内の液体は温度調節されており、これにより、バルーンの表面温度を制御することができる。所定の表面温度に調節されたバルーンを、周状の標的部位、例えば静脈の心房への接続部位に接触させることで、周状の標的部位を一度にアブレーションすることができる。
しかしながら、対極板を使用するバルーンカテーテルの場合、アブレーション時の高周波通電によって、患者の体表面に貼り付けられた対極板が高周波通電に伴って発熱する可能性があり、さらに体表面の対極板から体内に挿入したバルーンカテーテルの間を高周波通電するため、標的部位以外の組織がアブレーションされる恐れがある。
バルーン内の液体を加熱する別の手段として、バルーン内部に位置し、カテーテルシャフトに沿って間隔をおいて位置する第1の電極と第2の電極と、を有するバルーンカテーテルが特許文献2に開示されている。特許文献2に記載のバルーンカテーテルでは、バルーンの内部に、高周波通電用の電極の双極がともにバルーンの内部に設置されるため、従来患者の体表面に設置されていた対極板が不要になり、対極板の発熱の可能性がない。さらに、電気的高抵抗素材からなるバルーンの内部に、高周波通電用電極の双極が位置しているため、標的部位以外の組織がアブレーションされる恐れがない。
特許第3611799号 WO2005-065559
特許文献1に記載のバルーンカテーテルでは、バルーン内の液体の温度調節は、バルーン内に配置された高周波通電用電極と患者の体表面に設置された対極板との間に高周波通電することでバルーン内の液体を加熱し、バルーン内の液体を撹拌させて加熱した液体をバルーン内に拡散させる、ということが行われている。しかしながら、施術中にバルーンに押圧力が加わる等してバルーン近傍でカテーテルシャフトが屈曲すると、高周波通電用電極周辺の加熱された液体に撹拌流が衝突しないため、加熱された液体の大部分を拡散させることができない。そのため、バルーン内の液体に高周波通電用電極を中心とした温度勾配が生じて、バルーンの表面温度を所定の表面温度まで上昇させることができない。
特許文献2に記載のバルーンカテーテルでは、高周波通電用の電極の双極がともにバルーンの内部に設置されるため、従来患者の体表面に設置されていた対極板が不要になり、対極板の発熱の可能性がない。しかし、特許文献1に記載のバルーンカテーテルと同様に、カテーテルシャフトが屈曲した場合に、バルーンの表面温度を所定の表面温度まで上昇させることができない。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の(1)~(4)の発明を見出した。
(1) 流体を送通可能なルーメンを有するシャフトと、上記シャフトの先端に取り付けられ、上記ルーメンと連通したバルーンと、上記ルーメン内に配置された第1の電極及び第2の電極と、を備え、上記シャフトの長手方向における上記第1の電極と上記第2の電極の間隔が30mm~150mmである、バルーンカテーテル。
(2) 上記シャフトは、互いに相対移動可能な外筒シャフトと内筒シャフトを有する二重管シャフトであり、上記第1の電極及び上記第2の電極は、上記外筒シャフトと上記内筒シャフトとの間のルーメンに配置されている、(1)記載のバルーンカテーテル。
(3) 上記第2の電極は、上記第1の電極よりも上記シャフトの長手方向における近位端に配置され、温度センサが上記第2の電極と接触するように配置されている、(1)又は(2)記載のバルーンカテーテル。
(4) (1)~(3)のいずれか記載のバルーンカテーテルと、上記第1の電極及び上記第2の電極と電気的に接続し、エネルギーを付与する加熱手段と、を備えた、バルーンカテーテルシステム。
本発明によれば、シャフトの屈曲が起きた場合でもバルーン内の温度勾配が発生するのを抑制し、バルーン内に効率良く加熱された流体を拡散可能なバルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステムを提供することができる。
一実施の形態を説明するための図であって、バルーンカテーテルシステム及びバルーンカテーテルを示す図。 図1のバルーンカテーテルの遠位端部分を、バルーンが膨張した状態にて、示す図。 図1のバルーンカテーテルの遠位端部分を、バルーンが収縮、かつ、伸張した状態にて、示す図。 同軸状態での表面温度の測定実験における実施例1のバルーンカテーテルの遠位端部分を示す図。 非同軸状態での表面温度の測定実験における実施例2のバルーンカテーテルの遠位端部分を示す図。 同軸状態での表面温度の測定実験における比較例1のバルーンカテーテルの遠位端部分を示す図。 非同軸状態での表面温度の測定実験における比較例1のバルーンカテーテルの遠位端部分を示す図。
以下、図面に示された具体例を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1に示されたバルーンカテーテルシステム10は、バルーンカテーテル15と、バルーンカテーテル15に接続した加熱装置70、供給装置74及び攪拌装置75と、を有している。また、バルーンカテーテル15は、長手方向LDを有したカテーテル本体20と、カテーテル本体20の近位端に接続したハンドル50と、を有している。
図2に示す本実施の形態におけるカテーテル本体20は、バルーン25と、バルーン25が取り付けられたカテーテルシャフト28と、を有している。バルーン25は、形状変形が可能であり、膨張及び収縮が可能な電気的高抵抗な素材で形成されている。カテーテルシャフト28は、バルーン25の近位端25bに接続した外筒シャフト30と、バルーン25の遠位端25aに接続した内筒シャフト35と、を有している。内筒シャフト35は、外筒シャフト30内を通過してバルーン25の内部空間に延び出し、外筒シャフト30の内側において外筒シャフト30に沿って移動することが可能であり、外筒シャフト30と内筒シャフト35との間隙がバルーン25の内部空間に連通するルーメンLPを成している。
とりわけ本実施の形態におけるバルーンカテーテル15は、バルーン25内の液体を効率良く拡散し、バルーン25内の液体の温度を均一化することを可能にするための工夫がなされている。具体的には、ルーメンLP内に、第1の電極として、第1の高周波通電用電極40と、第2の電極として、第2の高周波通電用電極41と、を有しており、ルーメンLP内、かつ、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間に存在する液体を加熱することが可能となっている。そのため、加熱された液体を安定的にバルーン25内に供給することができる。なお、バルーンカテーテル15は、一般的には液体をバルーン25内に供給するが、バルーン25内に供給するものは流体であればどのようなものでもよく、流体として、例えば、気体等を供給してもよい。
なお、カテーテル本体20の長手方向LDは、外筒シャフト30及び外筒シャフト30から延び出した内筒シャフト35の中心軸線が延びる方向として特定される。また、本明細書において、バルーンカテーテル15及びカテーテル本体20の各構成について用いる「遠位」側とは、カテーテル本体20の長手方向LDに沿ってハンドル50及びバルーンカテーテル15の操作者(術者)から離間する側、更に言い換えると先端側を意味する。
また、バルーンカテーテル15及びカテーテル本体20の各構成について用いる「近位」側とは、カテーテル本体20の長手方向LDに沿ってハンドル50及びバルーンカテーテル15の操作者(術者)に近接する側、更に言い換えると基端側を意味する。
以下、バルーンカテーテルシステム10及びバルーンカテーテル15について更に詳述する。まず、バルーンカテーテル15のカテーテル本体20について詳述する。上述したように、本実施の形態によるバルーンカテーテル15のカテーテル本体20は、バルーン25、外筒シャフト30、内筒シャフト35及び高周波通電用電極40、高周波通電用電極41を有している。
このうち、外筒シャフト30及び内筒シャフト35は、共に筒状、典型的には円筒状に構成されている。したがって、外筒シャフト30及び内筒シャフト35は、それぞれ内部空間としてのルーメンを形成している。内筒シャフト35が形成するルーメン内には、例えば、図示しないガイドワイヤが挿通される。内筒シャフト35は、外筒シャフト30が形成するルーメン内に挿通されている。すなわち、外筒シャフト30及び内筒シャフト35を有する二重管シャフトの構成となっている。外筒シャフト30の内径は、内筒シャフト35の外径よりも大きい。したがって、外筒シャフト30と内筒シャフト35との間にルーメンが残っている。この外筒シャフト30と内筒シャフト35との間のルーメンであるルーメンLPが、図2のようにバルーン25内と連通しているため、バルーンに流体を送通することができる。また、ルーメンLPはハンドル50内まで延びている。
なお、カテーテルシャフト28は、バルーン25の近位端25bに接続した外筒シャフト30のみから構成されてもよい。この場合、外筒シャフト30の内側の空間がルーメンLPを成し、ルーメンLPはバルーン25の内部空間に連通しており、一本のシャフトのみで構成される。また、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は外筒シャフト30の内側の表面に配置される。
外筒シャフト30及び内筒シャフト35の長さは、それぞれ500mm以上1700mm以下であることが好ましく、600mm以上1200mm以下であることがより好ましい。
外筒シャフト30の外径は、3.0mm以上4.0mm以下であり、外筒シャフト30の内径は、2.5mm以上3.5mm以下が好ましい。また、内筒シャフト35の外径は1.4mm以上1.7mm以下が好ましい。内筒シャフト35の内径は1.1mm以上1.3mm以下が好ましい。
外筒シャフト30及び内筒シャフト35の形成材料は、抗血栓性に優れる可撓性材料を用いて作製されていることが好ましい。抗血栓性に優れる可撓性材料として、フッ素ポリマー、ポリアミド、ポリウレタン系ポリマー又はポリイミド等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、外筒シャフト30は、内筒シャフト35との摺動性と、バルーン25との接着性又は熱溶着性とを両立するため、異なる可撓性材料の層を積層することで作製されることが好ましい。
また、外筒シャフト30及び内筒シャフト35にバルーン25が接続されている。バルーン25は、液体の充填により膨張可能、かつ、液体の排出により収縮可能に形成されている。バルーン25は治療対象となる標的部位(例えば血管)にフィットすることができる形状を有していることが好ましい。一例として、左心房の肺静脈接合部に適合するバルーン25の形状として、直径を15mm以上40mm以下の球状形状を採用することができる。ここで球状形状には、真球状、扁球状及び長球状が含まれる、更に略球状も含まれる。
バルーン25の膜厚は、20μm以上100μm以下が好ましい。また、バルーン25の形成材料は、抗血栓性に優れた伸縮性のある材料が好ましい。更に、高周波通電用電極40A及び40Bに高周波電流が通電された場合に、バルーン25の外部へ高周波電流が漏れるのを防止するために、バルーンの形成材料は、電気的高抵抗素材であることが望ましく、具体的にはポリウレタン系の高分子材料等を用いることが可能である。バルーン25に適用されるポリウレタン系の高分子材料として、熱可塑性ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリウレタンウレア、フッ素ポリエーテルウレタンウレア、ポリエーテルポリウレタンウレア樹脂又はポリエーテルポリウレタンウレアアミドが挙げられる。
図示されたカテーテル本体20では、図2に示すように、バルーン25の遠位端(先端)25aは、内筒シャフト35の遠位端(先端)35aに固定されている。バルーン25の近位端(基端)25bは、外筒シャフト30の遠位端(先端)30aに固定されている。図示された例において、外筒シャフト30の遠位端30aは、バルーン25の内部には入り込んでいない。ただし図示された例に限られず、外筒シャフト30の遠位端30aがバルーン25の内部まで延び入っていてもよい。バルーン25と外筒シャフト30及び内筒シャフト35との接続に、接着又は熱溶着による接合を用いることができる。
次に、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41について説明する。図2に示すように、本実施の形態において、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、第2の高周波通電用電極41は、第1の高周波通電用電極40よりもシャフトの長手方向における近位端に配置され、それぞれの電極は、外筒シャフト30と内筒シャフト35との間隙からなるルーメンLP内の内筒シャフト35の外表面上に固定される。
また、本実施の形態において、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極4として、導線を螺旋状に巻いてコイル状に成形されたコイル電極を用いている。しかしながら、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、内筒シャフト35の外表面上への配置に限定されるものではなく、外筒シャフト30の内周面上に配置されてもよい。しかし、外筒シャフト30の外部への放熱を考慮すると、内筒シャフト35の外表面上に配置した方がより効率的に液体を加熱することができるため、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、内筒シャフト35の外表面上に配置することが望ましい。また、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、コイル電極に限定されるものではなく、どのような形状であってもよい。しかしながら、コイル状又は円筒状等の筒状の電極が望ましい。
第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、それぞれ、高周波通電のための配線42a及び42bと電気的に接続され、外筒シャフト30及び内筒シャフト35の間のルーメンLP内をハンドル50まで延びている。第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41をなす導線の具体例として、配線42a及び42bに用いられる絶縁被覆付きのリード線の被覆を剥ぎ取った導線を、内筒シャフト35の外周面上に巻き付けてなるコイル電極を採用することができる。このようなコイル電極は、配線42と一体的に構成されている点において、断線等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
バルーン25内の液体の温度を均一化する目的において、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔は、30mm以上150mm以下とすることが好ましく、50mm以上100mm以下とすることがより好ましい。
第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41は、後述する加熱装置70から電気的エネルギーを付与されて、高周波通電用電極間かつ、ルーメンLP内に位置する液体がジュール発熱する。また、上述にように、バルーン25内の2つの高周波通電用電極間で通電を行うことができるため、外部からの高周波通電用の対極板が不要になる。
配線42a及び42bの直径は、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましく、0.1mm以上0.4mm以下とすることがより好ましい。第1の高周波通電用電極40、第2の高周波通電用電極41及び配線42をなす導電性材料として、例えば、銅、銀、金、白金、タングステン、合金を例示することができる。配線42a及び42bについては、短絡を防止するために、例えばフッ素ポリマー等の絶縁性被膜によって導電性線状部を被覆した構成をとることが好ましい。
次に、攪拌装置75について説明する。攪拌装置75は、バルーン25内の液体を攪拌するために設けられている。撹拌装置75によってバルーン25内へ液体が供給される際、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間で加熱された液体がバルーン25内に供給され、バルーン25内の液体が撹拌される。これにより、バルーン25内の温度が異なる液体が混合され、バルーン25内の液体温度を均一化させることができ、この結果、バルーン25の表面温度を調節することができる。攪拌装置75は、ルーメンLPへの液体供給と液体排出を繰り返し行う。これにより、ルーメンLPからバルーン25内への液体供給及びバルーン25内からルーメンLPへの液体排出が繰り返し行われ、バルーン25内の液体が撹拌される。攪拌装置75として、ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベローズポンプ、ベーンポンプ、遠心ポンプ、ピストン及びシリンダの組み合わせからなるポンプからなる群から選択されるポンプを採用することができる。
ルーメンLPへの液体供給量及び液体排出量は、一定量(例えば5ml以上30ml以下)とすることができる。また、ルーメンLPへの液体供給及び液体排出は、一定の周期(例えば1秒間に1回以上5回以下)にて繰り返し行われるようにしてもよい。図示しない攪拌制御装置からの制御信号により、或いは操作者からの直接入力により、ルーメンLPへの液体供給量及び液体排出量が調節されるようにしてもよい。同様に、図示しない攪拌制御装置からの制御信号により、或いは操作者からの直接入力により、ルーメンLPへの液体供給及びルーメンLPからの液体排出の周期を調節するようにしてもよい。
次に、温度センサ45について説明する。温度センサ45は、ルーメンLP内に配置され、バルーン25内へ供給する液体の温度に関する情報を取得する。このような情報に基づいて第1の高周波通電用電極40及び第2の41へ電気的エネルギーを付与することにより、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間の液体を適切な温度に加熱することができる。本実施の形態において、温度センサ45は、第2の高周波通電用電極41と接触するように配置されており、接触部分が感熱部46となっている。この温度センサ45によれば、第2の高周波通電用電極41の近傍に位置する液体の温度に関する情報を取得することができる。
温度センサ45として、熱電対又はサーミスタを用いることができる。また、温度センサ45として、とりわけT型熱電対が好適である。T型熱電対によれば、感熱部46の熱容量を小さくすることができる。また、温度センサ45としてT型熱電対を採用することで、熱起電力が安定する。さらに、T型熱電対によれば、50℃以上80℃以下の温度範囲を高精度に検出することができるので、心臓アブレーション治療にとりわけ好適である。なお、温度センサ45が取得する温度に関する情報は、例えば、熱電対から取得できる電位や、サーミスタから取得できる抵抗値となる。
図2及び図3に示すように、温度センサ45は、典型的には、感熱部46と、感熱部46と電気的に接続したリード線47と、を有している。熱電対としての温度センサ45では、互いに異種金属で構成された加熱部材40とリード線47とが接続された部位が、感熱部46をなす。サーミスタとしての温度センサ45では、セラミック素子が感熱部46をなす。リード線47は、外筒シャフト30及び内筒シャフト35の間のルーメンLP内をハンドル50まで延びている。
リード線47の直径は、0.05mm以上0.5mm以下とすることが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下とすることがより好ましい。リード線47については、短絡を防止するため、フッ素ポリマーやエナメル等の電気絶縁性の被膜が設けられていることが好ましい。
次に、以上に説明したバルーンカテーテル15とともにバルーンカテーテルシステム10を構成する、加熱装置70、供給装置74について説明する。
図示された加熱装置70は、配線42を介して第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41と電気的に接続している。加熱装置70は、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への高周波通電を制御する高周波通電制御部71を有している。図示された例では、高周波通電制御部71によって、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への高周波通電を制御することで、高周波通電用電極40からの出力が調節される。また、高周波通電制御部71は、温度センサ45のリード線47と電気的に接続しており、温度センサ45によって取得されたバルーン25内の液体の温度に関する情報に基づいて第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への高周波通電を制御することができる。
加熱装置70は、例えば、CPU等のハードウェアで構成される。加熱装置70に含まれる高周波通電制御部71及び他の構成部の一以上が、別個のハードウェアとして構成されていてもよいし、一部分を共有するようにしてもよい。加熱装置70の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。加熱装置70の一部分が物理的に離間して配置されていてもよい。また、加熱装置70は、その一部の構成部が、他の構成部との間でネットワークを通じた通信によって連携可能であってもよい。また、加熱装置70は、その一部の構成部が、他の構成部との間で外部ネットワークを通じて通信可能な装置、例えばクラウド上のサーバやデータベース上にあってもよい。
次に、供給装置74について説明する。供給装置74は、ルーメンLP内に液体を供給する。供給装置74は、ルーメンLPを介してバルーン25に液体を供給することで、図2に示すようにバルーン25を膨張させることができる。一方、供給装置74は、ルーメンLPを介してバルーン25から液体を排出することで、バルーン25を収縮させることもできる。供給装置74として、図示されているようにシリンジを用いることができ、それ以外にはポンプ等を用いることもできる。なお、ルーメンLP内に供給される液体は、液体で膨張したバルーン25をX線透視画像で確認可能なよう、造影剤又は生理食塩水で希釈した造影剤が好ましい。
次に、以上のように構成されたバルーンカテーテルシステム10の使用方法の一例について説明する。
まず、内筒シャフト35を外筒シャフト30に対して長手方向LDにおける遠位側(先端側)に相対移動させ、図3に示すようにバルーン25を伸張させる。次に、バルーン25を伸張させた状態のカテーテル本体20を体内に挿入する。このとき、バルーン25内に液体は充填されていない。カテーテル本体20の遠位端を標的部位(患部)の近傍に誘導したところで、内筒シャフト35を外筒シャフト30に対して長手方向LDにおける近位側(基端側)に相対移動させ、バルーン25を弛緩させる。次に、弁58を操作して、ハンドル50を介して供給装置74をカテーテル本体20のルーメンLPに通じさせる。その後、供給装置74を操作して、ルーメンLPに液体を流し込み、図2に示すようにバルーン25を液体で膨張させ、膨張したバルーン25を標的部位(患部)に密着させる。さらに、弁58を操作して、供給装置74をルーメンLPから遮断し、攪拌装置75をルーメンLPに通じさせる。攪拌装置75は、ルーメンLPを通じて一定量の液体の供給及び排出を、一定の周期にて繰り返し実施する。これにより、一定量の液体のルーメンLPからバルーン25内への吐出と吸引が、一定の周期で繰り返し行われる。これにより、バルーン25内の液体が攪拌され、バルーン25内の液体の温度が均一化させる。
また、加熱装置70の高周波通電制御部71によって、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への供給出力を制御し、バルーン25内の液体温度を調節する。具体的には、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41に対し、加熱装置70から高周波通電を行う。この結果、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41の間に高周波電流が発生し、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41間の領域が高電流密度領域となり液体が加熱される。この際、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔を30mm以上にすることで、局所的な高電流密度領域の発生が抑制され、電極間の流体を効率よく加熱させる。
以上のようにしてバルーン25内の液体を加熱しながら攪拌する。そして、加熱された液体を収容したバルーン25を標的部位に押し付け、標的部位をアブレーションする。
また、ルーメンLP内に配置された温度センサ45によって、バルーン25内の液体の温度に関する情報が取得される。そして、この情報に基づいて、加熱装置70による電極への高周波通電が制御される。この結果、電極間の液体は、適切な温度に加熱され、バルーン25の表面温度が適切に調節される。
このようなバルーンカテーテルシステム10を用いることで、操作者は、アブレーション治療時に最も重要となるバルーン25の表面温度を理想的な温度に調節しながら施術を進めていくことができる。この結果、アブレーション治療の効果を飛躍的に向上させることができる。
標的部位に対するアブレーションが終了したところで、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41へのエネルギー供給を停止する。また、弁58を操作して、ハンドル50を介して供給装置74をカテーテル本体20のルーメンLPに通じさせ、攪拌装置75をルーメンLPから遮断する。そして、供給装置74を用いてルーメンLPから液体を排出し、バルーン25を収縮させる。次に、第2ハンドル部52を操作して、図3に示すように収縮したバルーン25を伸張させる。そして、バルーン25を伸張させた状態のカテーテル本体20を体外へ引き出され、カテーテルシステム10を用いた治療が終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、バルーンカテーテル15は、バルーン25を備えている。また、バルーンカテーテル15は、バルーン25の近位端25bに接続した外筒シャフト30、及び、バルーン25内に延び出してバルーン25の遠位端25aに接続した内筒シャフト35、を有し、内筒シャフト35は、外筒シャフト30内を通過し、かつ、外筒シャフト30と内筒シャフト35との間隙は、バルーン25内部空間に連通するルーメンLPを成すカテーテルシャフト28を備えている。また、バルーンカテーテル15は、ルーメンLP内かつ、内筒シャフト35の外表面上に配置され、バルーン25内の液体を加熱するための第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41を備えている。
このようなバルーンカテーテル15によれば、高周波通電用電極間の加熱された液体を、バルーン25内に安定して効率良く拡散させることができる。具体的には、施術中にバルーン25に押圧力が加わる等の影響により、バルーン25近傍でカテーテルシャフト28が屈曲する力が加わっても、ルーメンLP内に配置された2つの高周波通電用電極の間の高電流密度領域に安定して撹拌流を衝突させることができる。これにより、加熱された液体を安定してバルーン25内に効率良く拡散することができ、バルーン25内の液体の温度を均一化することができる。
(測定例)
本発明の測定例として、数値流体解析ソフトSTAR-CCM+(SIEMENS社製)を用いたCAE(Computer Aided Engineering)により、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔を変更した場合の、沸騰領域とバルーン表面温度についての検証結果を表1に示す。なお、表1に記載の沸騰領域とは、100℃を超えた合計体積を意味する。
CAEモデルとしては、バルーン25内への流体の注入量は、実際のアブレーション治療でよく使用される15mLとした。また、外筒シャフト30は、外径3.6mm、内径3.0mm、長さ1000mmとし、内径シャフト35は、外径1.6mm、内径1.2mm、長さ1115mmとした。第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41はルーメンLP内に配置した。攪拌を考慮するために、周波数2.3HzでルーメンLPに流体を供給及び排出するようにした。さらに、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の温度が70℃となるよう、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への高周波通電を制御し、駆動電力は150Wとしてモデルの演算を行い、以下の表1の結果が得られた。
Figure 2022156185000002
表1に示すように、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が10mmの場合、沸騰領域が発生する結果となった。第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が短いと、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間の電流密度の増加によりジュール発熱量が増加することで沸騰領域が発生することがわかった。また、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が30mm以上の場合、沸騰は発生しない結果となった。以上より、沸騰を抑制するためには第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔を30mm以上にする必要があることがわかった。
次に、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔がバルーン25の表面温度に与える影響を検証した結果、表1に示すように、第1の高周波通電用電極と第2の高周波通電用電極の間隔が30mm以上150mm以下の間では、バルーン25の表面温度は62.3℃以上64.3℃以下になることがわかった。しかし、第1の高周波通電用電極と第2の高周波通電用電極の間隔が200mm以上の場合は、バルーン25の表面温度は58.1℃となり、同じ設定温度でも得られる表面温度は大きく低下することがわかった。これは、第2の高周波通電用電極41がバルーン25から離れると、第2の高周波通電用電極41の近傍で加熱された液体がバルーン25に流入する前に外筒シャフト25や内筒シャフト35に放熱するため、その結果、バルーン25内に供給される液体の温度が低下し、バルーン25の表面温度が低下した。
以上の結果より、バルーン25内の沸騰を抑制し、バルーン25の表面温度を効率的に上げるためには、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔を30mm以上150mm以下にする必要がある。
次に本発明のバルーンカテーテルのより具体的な実施形態を実施例及び比較例をもって説明する。
(実施例1)
ポリウレタン製チューブを用いたブロー成形によって、直径30mm、厚み20μmのポリウレタン製のバルーン25を作製した。外径3.6mm、内径3.0mm、長さ1000mmのポリウレタン製チューブを成形し、外筒シャフト30とした。また、外径1.6mm、内径1.2mm、長さ1100mmのポリアミド製チューブを成形し、内筒シャフト35とした。外筒シャフト30及び内筒シャフト35の後端(近位端)にハンドル50を接続した。
パーフルオロアルコキシアルカン製の電気絶縁性の被膜が施された直径0.26mm、長さ1700mmの銅線を配線42aとした。配線42aに施された電気絶縁性の被膜を200mm剥ぎ、内筒シャフト35の遠位端から50mmの位置を開始点として、被膜を剥いた配線42aを内筒シャフト35にコイル状に巻きつけ、第1の高周波通電用電極40とした。また、第1の高周波通電用電極40からシャフトの長手方向の近位端側に30mmの間隔を空けた位置に、上述した第1の高周波通電用電極40及び配線42aと同様の作成方法で第2の高周波通電用電極41及び配線42bを作成した。
第2の高周波通電用電極41の近位端に接触するように温度センサ45を配置した。固定方法としては、配線42bを内筒シャフト35にコイル状に巻き付ける際に、リード線42を挟みながらコイル状に巻き付け、第2の高周波通電用電極41の基端側で配線42bとリード線47を溶接して固定し、温度センサ45として熱電対を形成した。
バルーン25に内筒シャフト35の先端側(遠位側)部分を挿入し、バルーン25の後端部(近位端部)を外筒シャフト30の先端部(遠位端部)に熱溶着で固定した。またバルーン25の先端部(遠位端部)を内筒シャフト35に熱溶着で固定した。
第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41とそれぞれ電気的に接続した配線42a及び42bの後端側を、外筒シャフト30と内筒シャフト35との間のルーメンLP及びハンドル50の内部を通過させ、加熱装置70の高周波通電制御部71と電気的に接続した。また、温度センサ45のリード線47も、同様に、ルーメンLP及びハンドル50の内部を通過させ、加熱装置70の高周波通電制御部71と電気的に接続した。
ハンドル50が有する分岐部に延長チューブ57を介して弁58を取り付けた。弁58として三方活栓を用いた。更に、延長チューブ57を介して弁58と攪拌装置75とを接続した。これにより、攪拌装置75から液体に付与される振動を、延長チューブ57、ハンドル50及びルーメンLPを介して、バルーン25内部の液体に伝達して当該液体を攪拌する経路を作製した。
供給装置74からルーメンLP及びバルーン25内に供給した液体は、水に0.9wt%の食塩(塩化ナトリウム)を溶解させた生理食塩水に、更に、X線造影用の造影剤を混入させたものとした。バルーン25内への流体の注入量は、実際のアブレーション治療でよく使用される15mLとした。液体に混入した造影剤は、第一三共社製のオムニパークとした。造影剤の希釈率は1:2とした。ここで造影剤の希釈率とは、「生理食塩水の体積:造影剤の体積」を意味している。
攪拌装置75は、ルーメンLP及びバルーン25内に供給した液体と同様の液体を、駆動周波数2.3HzでルーメンLPに供給及び排出するようにした。
加熱装置70の高周波通電制御部71は、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の温度が70℃となるよう、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41への高周波通電を制御した。駆動電力は150Wとした。
(表面温度の測定実験)
この実験では、人体の左心房肺静脈口を模した疑似生体99にアブレーション治療を施した。疑似生体99は、水槽に保持された生理食塩水内に浸漬した。水槽内の生理食塩水は、水に0.9wt%の食塩(塩化ナトリウム)を溶解させたものとした。
バルーンの表面温度センサ82として、フィルム状のT型熱電対(形状:約5×15mm、厚さ:約0.1mm)を使用した。図5に示すように表面温度センサ82を、疑似生体99とバルーン25の間に設置した。表面温度センサ82は、高精度データロガー83(メーカー:HIROKI、型番:LR8431)と電気的に接続し、表面温度センサ82で取得された情報に基づき温度ロガー83で表面温度を特定した。
(実験例1)
図4に示すように、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。(単に、同軸状態と呼ぶ)制御装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、300秒間高周波を通電した。結果は、通電開始から300秒後の表面温度は65.0℃となった。
(実験例2)
図5に示すように、施術中にバルーンに押圧力が加わる等の影響により、バルーン25近傍でシャフトが屈曲することを想定して、長手方向LDに対して傾斜した方向から疑似生体99へ押し付けた。(単に、非同軸状態と呼ぶ)非同軸状態において、内筒シャフト25は30~45°の角度で曲がっていた。非同軸状態において、バルーン25の形状は、外筒シャフト30及び内筒シャフト35を中心として対称となっていなかった。制御装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、300秒間高周波を通電した。その結果、通電開始から300秒後の表面温度は64.6℃となった。
(実施例2)
実施例1のバルーンカテーテルのシャフトの長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41との間隔を100mmとした。このカテーテルを実験例3のバルーンカテーテルとする。
(実験例3)
実験例1と同様に、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は、外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。制御装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、高周波を通電した。その結果、通電開始から300秒後の表面温度は66.2℃となった。
(実施例3)
実施例1のバルーンカテーテルのシャフトの長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41との間隔を150mmとした。このカテーテルを実験例4のバルーンカテーテルとする。
(実験例4)
実験例1と同様に、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は、外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。制御装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、高周波を通電した。その結果、通電開始から300秒後の表面温度は64.7℃となった。
(比較例1)
従来のバルーンカテーテルとして、図6に示すように、バルーン25内に第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41を配置し、さらに、長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41との間隔を6mmとしたものを用意した。このバルーンカテーテルを、比較例1のバルーンカテーテルとする。
(比較実験例1)
実験例1と同様に、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。加熱装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、300秒間高周波を通電した。その結果、比較例1のバルーンカテーテルでは、通電開始から300秒後の表面温度は65.2℃となった。
(比較実験例2)
図7に示すように、比較例1のバルーンカテーテルを、施術中にバルーンに押圧力が加わる等の影響により、バルーン近傍でシャフトが屈曲することを想定して、実施例2と同様に、長手方向LDに対して傾斜した方向から疑似生体99へ押し付けた。非同軸状態において、内筒シャフト25は、30~45°の角度で曲がっていた。また、非同軸状態において、バルーン25の形状は、外筒シャフト30及び内筒シャフト35を中心として対称となっていなかった。加熱装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、300秒間高周波を通電した。その結果、通電開始から300秒後の表面温度は59.6℃となった。
これらの結果より、比較例1に示すような、従来のバルーンカテーテルでは、非同軸状態において、加熱された液体に撹拌流が衝突しないため拡散効率が低下し、バルーン25の表面温度が低下していたが、本発明の実施形態では、非同軸状態であってもルーメンLP内、かつ、高周波通電用電極間の液体の加熱領域に撹拌流が安定的に供給されるため、バルーンの表面温度の低下を効果的に抑制できると推定される。したがって、アブレーション治療時に最も重要となるバルーン25の表面温度を安定化させることが可能になる。
(比較例2)
実施例1のバルーンカテーテルでは、シャフトの長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41との間隔を10mmとした。このカテーテルを、比較例2のバルーンカテーテルとする。
(比較実験例3)
実験例1と同様に、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は、外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。加熱装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、300秒間高周波を通電した。その結果、比較例2のバルーンカテーテルでは、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が短いため、高周波電流が集中し、第1の高周波通電用電極40及び第2の高周波通電用電極41の周辺で液体の温度が100℃に達することで沸騰し、バルーン25内に気泡が混入する様子が見られた。また、沸騰が起こることにより、電極間のインピーダンスが激しく変化し、加熱装置70とインピーダンス整合をとるのが難しくなった。
(比較例3)
実施例1のバルーンカテーテルでは、シャフトの長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41との間隔を200mmとした。このカテーテルを、比較例3のバルーンカテーテルとする。
(比較実験例4)
実験例1と同様に、標的部位である疑似生体99に対して長手方向LDからバルーン25を押し付けた。このとき、バルーン25の形状は、外筒シャフト25及び内筒シャフト35を中心として対称となっていた。制御装置70の周波数を1.8MHz、第2の高周波通電用電極41周辺の液体の設定温度を70℃とし、高周波を通電した。その結果、比較例3のバルーンカテーテルでは、通電開始から300秒後の表面温度は60.0℃となった。
これらの結果より、本発明の実施形態において、シャフトの長手方向における第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が短すぎると、高周波通電用電極周辺の液体が沸騰し、バルーン25内の液体を加熱することが難しくなるということが判った。さらに、第1の高周波通電用電極40と第2の高周波通電用電極41の間隔が長すぎると、バルーン25の表面温度が低下することが判った。これは、第2の高周波通電用電極41がバルーン25から離れると、第2の高周波通電用電極41の近傍で加熱された液体がバルーン25に流入する前に外筒シャフト25や内筒シャフト35に放熱するため、その結果、バルーン25内に供給される液体の温度が低下し、バルーン25の表面温度が低下したと推定される。
以上より、実施例1のバルーンカテーテルを用いたアブレーションでは、高周波通電用電極が双極とも外筒シャフト25と内筒シャフト35から構成されるルーメンLP内に配置されるため、アブレーション時に、高周波通電用電極間の液体加熱領域に安定的に撹拌流が供給されるため、施術中にバルーンに押圧力が加わる等の影響により、バルーン近傍でシャフトが屈曲した状態であっても安定的にバルーン25の表面温度を制御することができる。これにより、アブレーション治療の効果を向上させることができる。
本発明は、上記の実施例に限られるものではなく、以下のような形態で実施することも可能である。
例えば、実施例1のバルーンカテーテルは、供給装置74、加熱装置70を備えた構成を有するが、供給装置74や加熱装置70は、実施例1のバルーンカテーテルを実際の治療に使用する際に、別途調達し、バルーンカテーテルに接続することが可能であるので、本発明のバルーンカテーテルは、供給装置74、加熱装置70を含まないものであってもよい。
本発明は、心房細動等の不整脈、子宮内膜症、癌等の治療を行うためのバルーンカテーテルシステム及びバルーンカテーテルに用いることができる。
10・・・バルーンカテーテルシステム、15・・・バルーンカテーテル、20・・・カテーテル本体、25・・・バルーン、28・・・カテーテルシャフト、30・・・外筒シャフト、35・・・内筒シャフト、40・・・第1の高周波通電用電極、41・・・第2の高周波通電用電極、42・・・配線、45・・・温度センサ、46・・・感熱部、47・・・リード線、50・・・ハンドル、52・・・第2ハンドル部、56・・・57・・・延長チューブ、弁、70・・・加熱装置、71・・・高周波通電制御部、74・・・供給装置、75・・・撹拌装置、82・・・表面温度センサ、83・・・温度ロガー、99・・・疑似生体、LP・・・ルーメン

Claims (4)

  1. 流体を送通可能なルーメンを有するシャフトと、
    前記シャフトの先端に取り付けられ、前記ルーメンと連通したバルーンと、
    前記ルーメン内に配置された第1の電極及び第2の電極と、
    を備え、
    前記シャフトの長手方向における前記第1の電極と前記第2の電極の間隔が30mm~150mmである、バルーンカテーテル。
  2. 前記シャフトは、互いに相対移動可能な外筒シャフトと内筒シャフトを有する二重管シャフトであり、
    前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記外筒シャフトと前記内筒シャフトとの間のルーメンに配置されている、請求項1記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記第2の電極は、前記第1の電極よりも前記シャフトの長手方向における近位端に配置され、温度センサが前記第2の電極と接触するように配置されている、請求項1又は2記載のバルーンカテーテル。
  4. 請求項1~3のいずれか一項記載のバルーンカテーテルと、
    前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接続し、エネルギーを付与する加熱手段と、
    を備えた、バルーンカテーテルシステム。
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