JP2022153974A - 塩化ビニル樹脂組成物およびこれを用いた絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層の押出成形特性及びロングラン耐熱性を向上させる。【解決手段】電線(絶縁電線)10は、導体11と、導体11を被覆する絶縁層12と、を有する。絶縁層12は、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、4質量部以上のハイドロタルサイトと、総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、塩化ビニル樹脂組成物およびこれを用いた絶縁電線に関する。
塩化ビニル系重合体の熱や光に対する安定性を向上させるための安定剤として、表面処理されたハイドロタルサイト類を塩化ビニル系重合体に添加する技術がある(例えば特許文献1参照)。
特開2003-40614号公報
例えば、電子機器の内部配線に使用される絶縁電線には、電子機器の小型化や軽量化の観点から、導体を覆う絶縁層の被覆厚を薄くするニーズがある。絶縁電線の被覆材として、塩化ビニル樹脂組成物が用いられる。塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル;PVC)は、化学構造中にハロゲンである塩素を含み、塩化ビニル樹脂単体の難燃性が高い。塩化ビニル樹脂は硬質なので、電線の被覆材として利用する場合、塩化ビニル樹脂組成物を軟化させるための可塑剤を塩化ビニル樹脂のベースポリマに添加して用いる。しかし、可塑剤など、添加剤の影響により、塩化ビニル樹脂組成物の特性(例えば難燃性、加熱変形特性、電気的特性、電線の被覆加工時の押出線速、耐熱性など)が変化し、特性が低下する場合がある。本願発明者は、塩化ビニル樹脂組成物、特に、電線の被覆材として利用される場合に特に好適な塩化ビニル樹脂組成物の特性の改善について検討した。
本発明の目的は、絶縁層の押出成形特性及びロングラン耐熱性を向上させることが可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することである。
一実施の形態である塩化ビニル樹脂組成物は、[1]ポリ塩化ビニル100質量部に対して、4質量部以上のハイドロタルサイトと、総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、を含む。
[2]例えば[1]において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、0.1質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、可塑剤と、をさらに含み、前記フェノール系酸化防止剤は、前記可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含み、前記フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値が0.02以下である。
[3]例えば[1]において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上のステアリン酸系の金属石鹸をさらに含む。
他の実施の形態である絶縁電線は、[4]導体と、前記導体を被覆する絶縁層と、を有する。前記絶縁層は、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、4質量部以上のハイドロタルサイトと、総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、を含む。
[5]例えば[4]において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、0.1質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、可塑剤と、をさらに含み、前記フェノール系酸化防止剤は、前記可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含み、前記フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値が0.02以下である。
[6]例えば、[5]において、前記絶縁層が前記導体を被覆する被覆厚は、0.2mm以下であり、前記絶縁層は、5Mrad以下の強度の電子線を照射することにより架橋されている。
[7]例えば、[6]において、前記絶縁層は、焼成クレーと、SiO2の含有量がAl23の含有量よりも多いクレーと、をさらに含む。
[8]例えば、[6]において、黒色加工顔料をさらに含み、前記黒色加工顔料は、フタル酸ジイソノニル(DINP)を含む。
[9]例えば[4]において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上のステアリン酸系の金属石鹸をさらに含む。
本発明の代表的な実施の形態によれば、絶縁層の押出成形特性及びロングラン耐熱性を向上させることができる。
一実施の形態である電線の構造例を示す断面図である。 図1に示す電線を含むケーブルの構造例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
<電線およびケーブルの基本構造例>
図1は、一実施の形態である電線の構造例を示す断面図である。図2は、図1に示す電線を含むケーブルの構造例を示す断面図である。
図1に示す電線(絶縁電線)10は、導体11は、導体11と、導体11を被覆する絶縁層12と、を有する。電線10は、絶縁電線である。絶縁層12は、例えば架橋されている。電線10は、架橋絶縁電線と言いかえることができる。
図2に示すケーブル20は、複数の電線10と、複数の電線10を一括して被覆するシース(絶縁層)21と、を有する。図2に示す例では、シース21が2本の電線10を被覆する例を示している。ただし、シース21内の電線10の本数は、2本には限定されず、例えば、3本以上の場合もある。また、図2に示すように、シース21に被覆されるすべての電線が電線10であることが好ましいが、変形例としては、電線10とは異なる構造の電線が、電線10と一緒にシース21に被覆されている場合がある。
また、以下では、絶縁層12の材料としての塩化ビニル樹脂組成物について説明するが、以下で説明する塩化ビニル樹脂組成物を、図2に示すシース21の材料として用いることもできる。
<塩化ビニル樹脂組成物>
本願発明者は、絶縁電線の絶縁層として適用されて特に好適な塩化ビニル樹脂組成物の特性を改善する取り組みを行っている。以下の実施の形態では、ベースポリマとしての塩化ビニル樹脂に添加剤を加えることにより得られる塩化ビニル樹脂組成物の特性を改善する技術について説明する。以下、図1に示す電線10の絶縁層12に使用される塩化ビニル樹脂組成物について説明する。電子機器類の内部配線に使用される電線10は、電子機器のコンパクト化、あるいは軽量化の観点から、絶縁層12による導体11の被覆厚が薄肉化された細径電線のニーズが高まっている。塩化ビニル樹脂の加工性を向上させるために可塑剤を添加すると、塩化ビニル樹脂組成物の特性が変化する。例えば、塩化ビニル樹脂組成物の難燃性が塩化ビニル樹脂単体よりも低下し易い。また例えば、塩化ビニル樹脂組成物の電気的特性(絶縁性や電気的ノイズに係る特性等)、あるいは、加熱変形特性が塩化ビニル樹脂単体よりも低下する場合がある。特に、絶縁層12による被覆厚を薄くする場合、可塑剤の添加量を減らした半硬質系の塩化ビニル樹脂組成物が用いられる場合がある。この場合、十分な量の可塑剤が添加された軟質系の塩化ビニル樹脂組成物と比較して、被覆材の押出成形特性、特に、外径寸法の安定性、ロングラン耐熱性(実施例に記載の所定の条件にて連続的に押出成形を行ったときに、ヤケ(炭化物)が発生しないこと)、あるいは押出成形時の線速などが低下し易い。また、半硬質系の塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層に電子線を照射して架橋させる場合、架橋の程度が抑制されやすい傾向がある。
そこで、本願発明者は、絶縁層12の被覆厚を薄くした場合における、絶縁層12の押出成形特性やロングラン耐熱性を向上させることが可能な塩化ビニル樹脂組成物について検討した。
図1に示す絶縁層12を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、(A)ベースポリマとしてのポリ塩化ビニル(塩化ビニル樹脂)と、(D)ハイドロタルサイトと、(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、を含む。詳しくは、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、4質量部以上のハイドロタルサイトと、総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、を含む。また、絶縁層12を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、0.1質量部以上の(C)フェノール系酸化防止剤と、(F)可塑剤と、をさらに含むことが好ましい。(C)フェノール系酸化防止剤は、(F)可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含み、フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値は、0.02以下であることが好ましい。また、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上の(B)ステアリン酸系の金属石鹸をさらに含むことが好ましい。
[ベースポリマ]
本実施の形態の塩化ビニル樹脂組成物は、ベースポリマとして(A)ポリ塩化ビニルを含む。ベースポリマとしてのポリ塩化ビニルは、K値が71.6以上のものを1種類以上選定して用いることができる。K値とは、JIS K7367-2、または、ISO 1628-2に規定される試験法により測定される値である。K値は、重合度の指標として利用できる。電子線を照射することにより、塩化ビニル樹脂組成物を架橋する場合、電子線を照射した後の耐熱性や加熱変形特性に尤度を持たせる観点から、K値が71.6のものを単独で用いるよりも、K値が75.7以上78.1以下のものを用いることが好ましい。
[難燃剤]
難燃剤として、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、臭素系難燃剤、非晶質シリカなどが添加される。また、上記した(D)ハイドロタルサイトも難燃剤として機能する。難燃剤として多量の水酸化アルミニウムを添加した場合、塩化ビニル樹脂組成物の耐熱性が低下する。難燃剤および塩化水素補足剤として機能するハイドロタルサイトを添加することにより、耐熱性と難燃性を両立させることができる。ハイドロタルサイトの添加量は、上記したように、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、4質量部以上のハイドロタルサイトが添加されていることが好ましい。これにより、塩化ビニル樹脂組成物のロングラン耐熱性が得られる。また、4質量部以上のハイドロタルサイトが添加されていることにより、電子線照射による架橋処理後の塩化ビニル樹脂組成物の耐圧性を向上させることができる。詳細は後述するが、本願発明者が実験的に評価した結果によれば、4質量部以上のハイドロタルサイトが添加されていることにより、押出成形時、および架橋のための電子線の照射後のそれぞれにおいて、6000Vのスパーク電圧に対する絶縁耐圧性能を備える絶縁層12が得られる。また、4質量部以上のハイドロタルサイトが添加されていることにより、塩化ビニル樹脂組成物のロングラン耐熱性を向上させることができる。
なお、ハイドロタルサイトの添加量が多くなると、塩化ビニル樹脂組成物の滑性が増大する。(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量を増やせば、滑性の増大を抑制することはできるが、塩化ビニル樹脂組成物の電気的特性の観点(および原料コストの観点)からは、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量は、1質量部以下とすることが好ましい。したがって、ハイドロタルサイトの添加量は、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、10質量部未満であることが好ましい。
一方、4質量部以上のハイドロタルサイトが添加されている塩化ビニル樹脂組成物の滑性を低下させる観点から、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量の総和は、0.03質量部以上である必要がある。(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量の総和を、0.03質量部以上とすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂組成物を絶縁層12として成形した時の厚さの均一性を向上させることができる。詳細は後述するが、例えば、本願発明者が実験的に評価した結果によれば、押出成形を行う際の線速を200m/分とした場合において、0.1mm~0.2mmに設定された絶縁層12の被覆厚さの最大誤差を30μm以下にすることができる。また、酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量の総和は、0.6質量部以下であることが好ましい。
[安定剤]
難燃剤により、脱塩化水素反応が促進された場合、架橋処理として電子線を照射した時に、塩化ビニル樹脂組成物が変色する場合がある。このため、電子線の照射による塩化ビニル樹脂組成物の変色を抑制するために安定剤が添加される。安定剤は、(B)ステアリン酸系の金属石鹸を含む。このステアリン酸系の金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、あるいはステアリルベンゾイルメタンを例示できる。上記したようにステアリン酸系の金属石鹸の添加量は、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、総和として1質量部以上のステアリン酸系の金属石鹸が添加される。ステアリン酸系の金属石鹸の添加量は、ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、総和として1.5質量部以下であることが好ましい。
[可塑剤]
(F)可塑剤は特には限定されず、公知の可塑剤を用いることができる。ただし、トリメリテート系可塑剤を用いることが好ましい。トリメリテート系可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリノルマルアルキル、トリメリット酸トリイソノニル、あるいは、トリメリット酸イソデシル等を例示することができる。後述する実施例では、TOTM(トリメリット酸トリノルマルアルキル)(花王社製 トリメックス N-08:フェノール系酸化防止剤量0.5質量%)、または、TINTM(トリメリット酸イソノニル)(UPC社製:フェノール系酸化防止剤量0.35質量%)を使用したが、架橋処理時の照射強度や添加量を調整すれば、他のトリメリット酸エステルを使用することもできる。
[その他の添加剤]
本実施の形態の塩化ビニル樹脂組成物は、酸化防止剤として、(C)フェノール系酸化防止剤を含む。フェノール系酸化防止剤としては、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、4,4'-ブチリデンビス-(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)などが挙げられる。ポリ塩化ビニルを100質量部とした場合に、フェノール系酸化防止剤の添加量は、0.15質量部以下であることが好ましい。
また、上記したベースポリマおよび各添加剤の他、必要に応じて、滑剤、着色剤、充填剤、加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、架橋助剤、およびその他の改質剤などのうち、いずれか1種以上を組み合わせて用いる場合もある。滑剤としては、金属石鹸系であるステアリン酸マグネシウム、脂肪酸系であるステアリン酸、シリコーン、脂肪酸アミド系、炭化水素系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。上記した(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムは加工助剤として機能する。充填剤としては、カーボン、クレー(焼成クレーを含む)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、珪素化合物、石英、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリアリルイソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリアリルシアヌレート、N,N'-メタフェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛などが挙げられる。
上記した架橋助剤のうち、TMPTを添加すると、以下の利点が得られる。このため、本実施の形態の塩化ビニル樹脂組成物は、TMPTを含んでいることが好ましい。TMPTは3つの官能基を持つアクリレート系モノマーである。電子線照射によりTMPT自体がポリ塩化ビニルの分子間に結合し、架橋構造をとるため架橋助剤として有効である。TMPTは、モノマーの反応性が高いため低線量でもこの反応が起こる。
上記したように、フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値は、0.02以下になっている必要がある。フェノール系酸化防止剤を添加することにより、電子線照射による塩化ビニル樹脂の劣化を抑制することができる。ただし、フェノール系酸化防止剤は、TMPTの架橋反応の起点となるラジカル部位を捕捉し安定化させるため、架橋の抑制剤として働く。このTMPTの添加量に対するフェノール系酸化防止剤の割合を0.02以下とすることで性能を落とさず架橋度を調整することができる。このTMPTの添加量に対するフェノール系酸化防止剤の割合は、0.01以上であることが好ましい。
また、詳細は後述するが、図1に示す絶縁層12に電子線を照射することによる架橋試験を施す場合には、絶縁層12が導体11を被覆する被覆厚は、0.2mm以下であり、絶縁層12は、5Mrad以下の強度の電子線を照射することにより架橋されていることが好ましい。これにより、絶縁層12の評価において、耐熱性を向上させることができる。
また、絶縁層12は、焼成クレーと、SiO2の含有量がAl23の含有量よりも多いクレーと、をさらに含むことが好ましい。焼成クレーと、SiO2の含有量がAl23の含有量よりも多いクレーと、を併用することで、アニオン系の電解質補足能が増大する。この結果、電気的特性を向上させることができる。
また、絶縁層12は、黒色加工顔料をさらに含み、黒色加工顔料は、フタル酸ジイソノニル(DINP)を含むことが好ましい。これにより、塩化ビニル樹脂組成物を混練する際に、可塑化が促進されるので、成形性が向上する。
<評価>
次に、図1に示す電線10の実施例および実施例に対する比較例をいくつか作成し、それぞれについて評価した結果について説明する。表1は、実施例1~6の配合割合と評価結果を示す。表2は、実施例7~12の配合割合と評価結果を示す。表3は、比較例1~6の配合割合と評価結果を示す。
表1および表2に示す複数の実施例および表3に示す複数の比較例のそれぞれは、以下の手順で図1に示す電線10と同じ構造を持つように製造した。導体11は、例えば、外径0.127mmφの錫めっき軟銅線を素線とし、7本の素線を撚り線とした錫めっき導体である。導体11の直径は例えば0.38mmである。絶縁層12は、表1~表3に示す配合のものを、170℃に加熱したオープンロールミキサにて混練し、造粒機でペレット化して、塩化ビニル樹脂組成物を得た。その後、得られた塩化ビニル樹脂組成物を原料として押出機を用いて押出成形を行い、導体11を被覆した。塩化ビニル樹脂組成物から成る絶縁層12の厚さ(被覆厚)は、例えば0.1mmとした。押出成形の条件は、例えばシリンダ温度を170℃、ヘッド温度を180℃に設定し、線速300m/分の速度で押出成形処理を行った。その後、得られた電線10に電子線を照射することにより架橋処理を行った。電子線の照射量は、3.5Mradに設定した。なお、絶縁層12の被覆厚や電子線の照射条件を変化させた場合の実施例については、後述する。
表1~表3の評価項目のうち、「高速押出時の外径寸法の安定性」の項目では、以下のように評価を実施した。すなわち、300m/分の線速で押出成形を行い、5分後、30分後、60分後のそれぞれにおいて電線10を採取し、電線10の断面の4か所の直径について、マイクロスコープを用いて計測した。5分後、30分後、60分後のそれぞれにおいて、直径の4つの測定値のうち、最大値と最小値の差が30μm以内であるものを〇と評価し、どれか一つでも30μmを超えている場合には、×と評価した。
表1~表3の評価項目のうち、「押出時の耐熱性」の項目では、以下のように評価を実施した。すなわち、300m/分の線速で60分間連続的に押出成形を行い、ヤケ(炭化物)発生が認められないこと、絶縁層12に発泡がないこと、押出機を解体した後、ブレーカプレート周辺に炭化物の付着が認められないことの3条件を満たしているものを〇と評価した、上記した3条件のうち、一つでも満たしていないものは×と評価した。
表1~表3の評価項目のうち、「耐圧性 押出時/電子線照射後」の項目では、以下のように評価を実施した。すなわち、押出時の評価は、押出成型機による成形をしながら、6000V荷電のスパークテスタを用いて耐圧(絶縁耐圧)試験を行った。電子線照射後の評価は、電子線を照射して絶縁層12が架橋された電線10に対して、同様に6000V荷電のスパークテスタを用いて耐圧(絶縁耐圧)試験を行った。スパークによる導通が確認されなかったものを〇と評価した。スパークによる導通が確認されたものを×と評価した。
表1~表3の評価項目のうち、「架橋度」の項目では、以下のように評価を実施した。すなわち、電子線を照射した後の電線10から絶縁層12を取り外し、これをサンプルとしてゲル分率を計測した。溶媒としてはテトラヒドロフランを用い、70℃の溶媒に24時間浸漬して抽出を行った。抽出前後のサンプルの重量を測定し、抽出後の重量/抽出前の重量×100をゲル分率として算出した。算出されたゲル分率の値が50%以上であったものを〇と評価し、50%未満であったものを×と評価した。
また、表1~表3に示す原料のうち、SiO2リッチ表面処理クレーとして、水澤化学工業株式会社製、インシュライトLHM-103HPを用いた。また、黒色加工顔料(MXE9749黒)は、カーボンが20~45%添加され、PVC、DINP、および分散剤からなる加工顔料である。また、黒色加工顔料(EP4715黒)は、カーボンが10~40%で、PVCとDINP以外の可塑剤及び他の添加剤からなる加工顔料である。
Figure 2022153974000002
Figure 2022153974000003
Figure 2022153974000004
表1および表2に示すように、実施例1~12の絶縁電線の絶縁層を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、その原材料として、(A)ベースポリマとしてのポリ塩化ビニル(塩化ビニル樹脂)と、(B)ステアリン酸系の金属石鹸と、(C)フェノール系酸化防止剤と、(D)ハイドロタルサイトと、(E)酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、(F)可塑剤と、を含む。詳しくは、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上のステアリン酸系の金属石鹸と、0.1質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、4質量部以上のハイドロタルサイトと、総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、可塑剤と、を含む。(C)フェノール系酸化防止剤は、(F)可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含む。フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値は、0.02以下である。
表3の比較例1~4に示すように、フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値が超えている場合には、架橋度の評価が×であった。
表3の比較例1、4、および5に示すように、ハイドロタルサイトの添加量が4質量部を下回っている場合には、押出時の耐熱性の評価が×であった。
また、表1および表2に示す実施例1~12と、表3に示す比較例1~5と、に示すように、酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムの添加量の総和を0.03質量部以上とすることにより、高速押出時の外径寸法の安定性の評価を〇にすることができる。混和物の内部滑性が向上し、押出機内、特に計量ゾーンでより安定した供給状態が得られ、外径寸法の安定化につながったと考えられる。
次に、図1に示す電線10の絶縁層12に対する加工条件と、上記した各評価項目との関係について説明する。表4は、絶縁電線の絶縁層に対する加工条件と、その特性の評価結果との関係を示す表である。表4に示す各実施例の組成は、表1に示す実施例3と同じ組成とした。表4に示す各実施例では、絶縁層の被覆厚および電子線を照射する際の照射量を変更して試験を行っている。また、表4に示す「耐熱老化試験」の項目では、以下のように評価を実施した。すなわち、電子線を照射した後、電線の絶縁層を構成する塩化ビニル樹脂組成物を136℃で168時間維持する条件で加熱し、加熱の前後における塩化ビニル樹脂組成物の伸び率の変化を評価した。加熱前の伸び率に対する加熱後の伸び率が65%以上のものを〇と評価し、65%未満のものを×とした。
Figure 2022153974000005
表4の実施例13~17に示すように、「高速押出時の外径寸法の安定性」、「押出時の耐熱性」、「耐圧性 押出時/電子線照射後」、および「架橋度」の各項目では、絶縁層の条件を変化させた場合でも、いずれも〇の評価であった。ただし、「耐熱老化試験」の項目では、実施例16および17の評価結果が×であった。実施例16および17は、高い照射強度で電子線を照射する場合の実施例である。高い照射強度により電子線を照射することにより、架橋度を向上させることができるが、耐熱性の低下が確認できることが判った。なお、実施例16の架橋度の値は実施例15の架橋度の値に対して1.4倍であり、実施例17の架橋度の値は実施例15の架橋度の値に対して1.6倍であった。この結果から、図1に示す絶縁層12に電子線を照射することによる架橋試験を施す場合には、絶縁層12が導体11を被覆する被覆厚は、0.2mm以下であり、絶縁層12は、5Mrad以下の強度の電子線を照射することにより架橋されていることが好ましい。
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明は、電線およびケーブルに適用可能である。
10 電線
11 導体
12 絶縁層
20 ケーブル
21 シース(絶縁層)

Claims (9)

  1. ポリ塩化ビニル100質量部に対して、
    4質量部以上のハイドロタルサイトと、
    総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、
    を含む、塩化ビニル樹脂組成物。
  2. 請求項1において、
    前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、
    0.1質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、
    可塑剤と、
    をさらに含み、
    前記フェノール系酸化防止剤は、前記可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含み、
    前記フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値が0.02以下である、塩化ビニル樹脂組成物。
  3. 請求項1において、
    前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上のステアリン酸系の金属石鹸をさらに含む、塩化ビニル樹脂組成物。
  4. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層と、
    を有し、
    前記絶縁層は、
    ポリ塩化ビニル100質量部に対して、
    4質量部以上のハイドロタルサイトと、
    総和として0.03質量部以上の酸化ポリエチレンおよびラウリン酸カルシウムと、
    を含む、絶縁電線。
  5. 請求項4において、
    前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、
    0.1質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、
    可塑剤と、
    をさらに含み、
    前記フェノール系酸化防止剤は、前記可塑剤中に添加されるフェノール系酸化防止剤を含み、
    前記フェノール系酸化防止剤の添加量をTMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)の添加量で除した値が0.02以下である、絶縁電線。
  6. 請求項5において、
    前記絶縁層が前記導体を被覆する被覆厚は、0.2mm以下であり、
    前記絶縁層は、5Mrad以下の強度の電子線を照射することにより架橋されている、
    絶縁電線。
  7. 請求項6において、
    前記絶縁層は、
    焼成クレーと、
    SiO2の含有量がAl23の含有量よりも多いクレーと、
    をさらに含む、絶縁電線。
  8. 請求項7において、
    黒色加工顔料をさらに含み、
    前記黒色加工顔料は、フタル酸ジイソノニル(DINP)を含む、絶縁電線。
  9. 請求項4において、
    前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して、総和として1質量部以上のステアリン酸系
    の金属石鹸をさらに含む、絶縁電線。
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