JP2022153808A - ハブユニット軸受 - Google Patents

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【課題】ハブに対するクリープや軸方向の相対変位を抑制でき、しかも製造コストを抑えられる摺接環を含むシール装置を備えたハブユニット軸受を提供する。【解決手段】シール装置5aの摺接環50は、外側摺接環26と内側摺接環27とを有する。外側摺接環26は、ハブ3の外周面に対して径方向外側に離隔して配置された円環状の摺接芯金29と、摺接芯金29の径方向内側の端部に固定され、かつ、ハブ3の外周面に外嵌された弾性材30とを有し、回転フランジ10の軸方向内側に隣接して配置されている。内側摺接環27は、軸方向外側を向き、弾性材30に当接して該弾性材30の軸方向内側への変位を規制する抑え部53を有し、円環状に構成され、かつ、ハブ3の外周面に外嵌固定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車輪および制動用回転体を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
自動車の車輪および制動用回転体は、ハブユニット軸受により懸架装置に対して回転自在に支持される。ハブユニット軸受は、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、かつ、外輪よりも軸方向外側に位置する部分から径方向外側に突出した回転フランジを有するハブと、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体とを備える。
なお、軸方向に関して「外」とは、ハブユニット軸受を自動車に組み付けた状態で車体の外側をいう。反対に、ハブユニット軸受を自動車に組み付けた状態で車体の中央側を、軸方向に関して「内」という。
ハブユニット軸受は、外輪の内周面とハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐシール装置をさらに備える。従来、このようなシール装置として、外輪の軸方向外側の端部に支持された芯金と、それぞれの先端部をハブの軸方向中間部外周面または回転フランジの軸方向内側面に摺接させた複数本のシールリップを有し、前記芯金に固定されたシール材と、を備えたシールリングが広く知られている。
ここで、特開2017-180599号公報(特許文献1)に記載されているように、シールリップの先端部が摺接する部分である、ハブの軸方向中間部外周面および回転フランジの軸方向内側面には、総型の研削砥石である回転砥石を用いた仕上加工が施されている。総型の研削砥石を用いてハブの軸方向中間部外周面および回転フランジの軸方向内側面に仕上加工を施す際には、ハブの外周面をシューに押し付けつつ、ハブの外周面を総型の研削砥石で仕上加工する。また、この際に、ハブの外周面をシューに押し付ける力を発生させるため、ハブをマグネットチャックに対し、互いの中心軸を偏心させた状態で支持する。シューを超硬合金製として摩耗しにくくしているものの、ハブの量産時においてはシューの摩耗は不可避であるため、ハブの芯高と研削砥石の芯高とが不一致になりやすい。このため、回転フランジの軸方向内側面に対する研削砥石の研削面の位置が、ハブの径方向に関して変化して、回転フランジの軸方向内側面に対数螺旋状すなわち渦巻状の研削筋目が形成される可能性がある。
回転フランジの軸方向内側面に対数螺旋状の研削筋目が形成されると、シールリングのシールリップの先端部が、研削筋目の凹部の内側に深く入り込み、ハブが回転した際に、径方向に往復移動させられて振動し、シール鳴きと呼ばれる異音を生じる可能性がある。
これに対し、特開2017-137973号公報(特許文献2)には、ハブの軸方向中間部外周面に、略L字形の断面形状を有する摺接環に相当するスリンガを外嵌し、かつ、該スリンガにシール本体に備えられたシールリップの先端部を摺接させたシール装置が記載されている。
ところで、ハブユニット軸受には、主に自動車が旋回走行する際に、路面反力に基づくモーメント荷重が加わる。回転フランジの軸方向内側面とハブの軸方向中間部外周面との接続部には、このようなモーメント荷重に基づく応力が集中しやすい。このため、この接続部は、通常、曲率半径が大きい凹曲面部である隅R部により構成される。
また、路面反力に基づくモーメント荷重にかかわらず、車輪のキャンバ角を一定に保ち、自動車の操縦安定性を確保するため、ハブユニット軸受には大きなモーメント剛性が要求される。このため、ハブユニット軸受では、転動体に背面組み合わせ型すなわちDB型の接触角を付与している。さらに、モーメント剛性を向上させる面からは、複列に配置された転動体同士の列間距離を、できる限り大きくすることが好ましい。
上述のように、回転フランジの軸方向内側面の径方向内側部分を曲率半径が大きい凹曲面により構成したり、転動体同士の列間距離を大きくしたりすると、ハブの外周面のうちで軸方向に関して回転フランジと軸方向外側の内輪軌道との間に存在する円筒面部の軸方向長さを確保しにくくなる。この円筒面部の軸方向長さが十分に確保できず、ハブに対するスリンガの嵌合長さを十分に確保できなくなると、スリンガがハブに対して相対回転すなわちクリープしたり、軸方向に相対変位したりしやすくなる。
特に、スリンガの軸方向外側面を回転フランジの軸方向内側面に接触させている場合、モーメント荷重に基づいて、回転フランジが軸方向に倒れるすなわち傾くように変形すると、回転フランジによりスリンガが軸方向に押される。この面からも、スリンガがハブに対して軸方向に相対変位しやすくなる。
なお、特開2018-096444号公報(特許文献3)には、摺接環を、ハブの外周面に外嵌固定された内径側摺接素子と、回転フランジの軸方向内側に隣接して配置された外径側摺接素子とを、弾性材により接合することによって構成した、シール装置が記載されている。このようなシール装置によれば、モーメント荷重に基づいて、回転フランジが軸方向に倒れるように変形し、回転フランジにより外径側摺接素子が軸方向に押された際にも、弾性材が弾性変形することに基づいて、内径側摺接素子に作用する力を十分に抑えられる。このため、ハブに対する摺接環のクリープや軸方向の相対変位を抑制できる。
特開2017-180599号公報 特開2017-137973号公報 特開2018-096444号公報
しかしながら、特開2018-096444号公報に記載されたシール装置では、摺接環を製造する際に、外径側摺接素子と内径側摺接素子とを弾性材により接合する必要があるため、製造工程が複雑になり、製造コストが嵩みやすい。
本発明の目的は、ハブに対するクリープや軸方向の相対変位を抑制でき、しかも製造コストを抑えられる摺接環を含むシール装置を備えたハブユニット軸受を提供することにある。
本発明の一態様のハブユニット軸受は、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、シール装置とを備える。
前記外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有する。
前記ハブは、外周面に、複列の内輪軌道を有し、かつ、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分に、径方向外側に突出した回転フランジを有する。
前記複数個の転動体は、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置されている。
前記シール装置は、摺接環と、シールリングとを有し、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐ。
前記摺接環は、外側摺接環と、内側摺接環とを有する。
前記外側摺接環は、前記ハブの外周面に対して径方向外側に離隔して配置され、軸方向外側面を前記回転フランジの軸方向内側面に接触させた側板部を有する円環状の摺接芯金と、前記側板部の径方向内側の端部に固定され、かつ、前記ハブの外周面に外嵌された弾性材とを有し、前記回転フランジの軸方向内側に隣接して配置されている。
前記内側摺接環は、軸方向外側を向き、前記弾性材に当接して該弾性材の軸方向内側への変位を規制する抑え部を有し、円環状に構成され、かつ、前記ハブの外周面に外嵌固定されている。
前記シールリングは、前記摺接芯金の表面に摺接する外側シールリップと、前記内側摺接環の表面に摺接する内側シールリップとを有し、前記外輪の軸方向外側の端部に支持されている。
本発明のハブユニット軸受の一態様では、前記抑え部が、軸方向外側に向かうにしたがって径方向外側に向かう方向に傾斜した円すい凹面により構成されている。
本発明の一態様によれば、ハブに対するクリープや軸方向の相対変位を抑制でき、しかも製造コストを抑えられる摺接環を含むシール装置を備えたハブユニット軸受を提供できる。
図1は、本発明の実施の形態の1例のハブユニット軸受の断面図である。 図2は、図1のX部拡大図である。 図3は、外側摺接環と内側摺接環とを軸方向に離隔して示す部分断面図である。
[実施の形態の1例]
本発明の実施の形態の1例について、図1~図3を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受1は、駆動輪用のものであって、外輪2と、ハブ3と、複数個の転動体4a、4bと、1対のシール装置5a、5bとを備える。
なお、ハブユニット軸受1に関して、軸方向外側は、車両への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、図1および図2の左側であり、軸方向内側は、車両への組み付け状態で車両の幅方向中央側となる、図1および図2の右側である。
外輪2は、中炭素鋼などの硬質金属により構成されている。外輪2は、内周面に、複列の外輪軌道6a、6bを有し、かつ、軸方向中間部に、径方向外側に突出した静止フランジ7を有する。静止フランジ7は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔8を有する。
本例では、支持孔8は、ねじ孔により構成されている。外輪2は、懸架装置のナックルに備えられた通孔を挿通した支持ボルトを、静止フランジ7の支持孔8に軸方向内側から螺合することで、懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。
ハブ3は、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸に配置される。ハブ3は、外周面に、複列の外輪軌道6a、6bと対向する複列の内輪軌道9a、9bを有し、かつ、外輪2よりも軸方向外側に位置する部分に、径方向外側に突出した回転フランジ10を有する。さらに、ハブ3は、軸方向外側の端部に、円筒状のパイロット部11を有する。
回転フランジ10は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する取付孔12を有する。取付孔12のそれぞれには、ディスクやドラムなどの制動用回転体、および、車輪を構成するホイールを、回転フランジ10に対し結合固定するためのスタッド13が圧入、具体的にはセレーション嵌合されている。すなわち、本例では、取付孔12は、圧入孔により構成されている。
制動用回転体およびホイールは、それぞれの中心部に備えられた中心孔にパイロット部11を挿通し、かつ、それぞれの径方向中間部の円周方向複数箇所に備えられた通孔に、スタッド13を挿通した状態で、スタッド13の先端部にハブナットを螺合することにより、回転フランジ10に結合固定される。
なお、回転フランジの取付孔を、ねじ孔により構成することもできる。この場合には、制動用回転体に備えられた通孔と、ホイールに備えられた通孔とを挿通したハブボルトを、取付孔に螺合することにより、制動用回転体および車輪を回転フランジに結合固定する。
本例では、回転フランジ10は、軸方向内側面の径方向内側部に、ハブ3の中心軸に直交する平坦面部14を全周にわたり備える。また、ハブ3は、外周面のうち、軸方向に関して回転フランジ10と軸方向外側の内輪軌道9aとの間部分に、軸方向に関して外径が変化しない円筒面部15を備える。換言すれば、ハブ3は、軸方向外側の内輪軌道9aの軸方向外側に隣接する軸方向外側の内輪肩部16の外周面に、円筒面部15を有する。さらに、ハブ3は、軸方向中間部外周面に、平坦面部14と円筒面部15とを接続し、かつ、円弧形の断面形状を有する隅R部17を備える。
なお、本例のハブユニット軸受1は、駆動輪用のハブユニット軸受であるため、ハブ3は、中心部に、軸方向に貫通するスプライン孔18を有する。スプライン孔18には、エンジンや電動モータを駆動源として回転駆動する駆動軸の先端部がスプライン係合される。自動車の走行時には、駆動軸によりハブ3を回転駆動することで、ハブ3の回転フランジ10に結合固定された車輪および制動用回転体を回転駆動する。
ただし、本発明のハブユニット軸受は、従動輪用のハブユニット軸受に適用することもできる。この場合には、スプライン孔を省略して、ハブを中実に構成することができる。
本例のハブ3は、内輪19とハブ輪20とを組み合わせてなる。
内輪19は、軸受鋼などの硬質金属により構成されている。内輪19は、外周面に、軸方向内側の内輪軌道9bを有する。
ハブ輪20は、中炭素鋼などの硬質金属により構成されている。ハブ輪20は、外周面の軸方向中間部に、軸方向外側の内輪軌道9aを有する。ハブ輪20は、軸方向外側の内輪軌道9aよりも軸方向外側に位置する部分に、径方向外側に突出した回転フランジ10を有し、かつ、軸方向外側の端部に、円筒状のパイロット部11を有する。
また、ハブ輪20は、軸方向外側の内輪軌道9aよりも軸方向内側に位置する部分に、軸方向外側に隣接する部分よりも外径が小さく、内輪19が外嵌される小径部21を有する。ハブ輪20は、小径部21の軸方向内側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、内輪19の軸方向内側の端面を押え付けるかしめ部22をさらに有する。すなわち、本例では、ハブ輪20の小径部21に内輪19を外嵌し、小径部21の外周面の軸方向外側の端部から径方向外側に折れ曲がった段差面23と、かしめ部22の軸方向外側面との間で、内輪19を軸方向両側から挟持することで、内輪19とハブ輪20とを結合固定することにより、ハブ3を構成している。
転動体4a、4bのそれぞれは、複列の外輪軌道6a、6bと複列の内輪軌道9a、9bとの間に、それぞれ複数個ずつ、保持器24a、24bにより保持された状態で転動自在に配置されている。これにより、ハブ3は、外輪2の径方向内側に回転自在に支持される。本例では、転動体4a、4bとして玉を使用しているが、玉に代えて円すいころを使用することもできる。また、本例のハブユニット軸受1は、軸方向外側列の転動体4aのピッチ円直径と、軸方向内側列の転動体4bのピッチ円直径とが互いに等しい、等径PCD型の構造を有する。ただし、本発明は、軸方向外側列の転動体のピッチ円直径が、軸方向内側列の転動体のピッチ円直径よりも大きいか、または小さい、異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。
1対のシール装置5a、5bは、外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在する転動体設置空間25の軸方向両側の開口を塞ぐ。これにより、外部空間から転動体設置空間25への泥水などの異物の侵入、および、転動体設置空間25内に封入したグリースの外部空間への漏洩を防止している。
1対のシール装置5a、5bのうち、転動体設置空間25の軸方向外側の開口を塞ぐシール装置5aは、摺接環50と、シールリング28とを備える。
摺接環50は、2つの部品、具体的には、外側摺接環26と、内側摺接環27とを有する。換言すれば、摺接環50は、外側摺接環26と内側摺接環27とからなる二体構造を有する。
外側摺接環26は、ハブ3の外周面に対して径方向外側に離隔して配置された円環状の摺接芯金29と、摺接芯金29の径方向内側の端部に固定され、かつ、ハブ3の外周面に外嵌された弾性材30とを有し、回転フランジ10の軸方向内側に隣接して配置されている。
摺接芯金29は、ステンレス鋼板などの防錆性を有する金属板にプレス加工を施すことにより、全体として円環状に構成されている。摺接芯金29は、側板部31と、庇部32とを備える。
側板部31は、全体として略中空円板状に構成されており、その軸方向外側面が、回転フランジ10の軸方向内側面に接触している。側板部31は、径方向外側から順番に、外側側板部33と、傾斜側板部34と、内側側板部35とを有する。
外側側板部33は、中空円板状に構成されている。外側側板部33の径方向内側部の軸方向外側面は、回転フランジ10の平坦面部14に接触、すなわち突き当てられている。
傾斜側板部34は、外側側板部33の径方向内側の端部から軸方向内側に向けて折れ曲がり、軸方向内側に向かうにしたがって径方向内側に向かう方向に傾斜した円すい筒状に構成されている。
内側側板部35は、傾斜側板部34の軸方向内側の端部から径方向内側に向けて折れ曲がり、中空円板状に構成されている。内側側板部35の径方向内側の端部は、ハブ3の外周面に接触しておらず、図示の例では、ハブ3の隅R部17の軸方向内側の端部に対して、径方向外側に離隔して配置されている。
庇部32は、外側側板部33の径方向外側の端部から軸方向内側に向けて折れ曲がり、円筒状に構成されている。庇部32の軸方向内側部の内周面は、外輪2の軸方向外側の端部の外周面に隙間を介して対向している。
弾性材30は、ゴムの如きエラストマなどの弾性材料、すなわち、可撓性を有し、かつ、ハブ3の外周面との間で密封性を確保しやすく、ハブ3を構成する金属材料に対する摩擦係数が大きい弾性材料により、全体として円環状に構成されている。弾性材30は、摺接芯金29の内側側板部35の径方向内側の端部に、加硫成形により結合すなわち接着されている。弾性材30は、軸方向内側を向いた被抑え部51を有する。本例では、被抑え部51は、軸方向外側に向かうにしたがって径方向外側に向かう方向に傾斜した円すい凸面により構成されている。
弾性材30は、摺接芯金29の内側側板部35の径方向内側の端部に覆うように、摺接芯金29に結合された基部52と、該基部52から径方向内側に向かうにしたがって軸方向内側に向かう方向に延出した厚肉リップ36と、基部52から径方向内側に向かうにしたがって軸方向外側に向かう方向に延出した薄肉リップ37とを有する。薄肉リップ37は、厚肉リップ36よりも肉厚が小さい。本例では、被抑え部51は、厚肉リップ36の外周面すなわち軸方向内側面に備えられている。
このような弾性材30は、ハブ3の外周面に全周にわたり弾性的に接触している。具体的には、厚肉リップ36の径方向内側の端部である先端部が、円筒面部15と隅R部17との接続部および該接続部の周辺部に、全周にわたり弾性的に接触している。また、薄肉リップ37の径方向内側の端部である先端部が、隅R部17に、全周にわたり弾性的に接触している。これにより、弾性材30は、摺接芯金29の径方向内側の端部とハブ3の外周面との間部分をシールしている。
内側摺接環27は、軸方向外側を向き、弾性材30に当接して該弾性材30の軸方向内側への変位を規制する抑え部53を有し、全体として円環状に構成され、かつ、ハブ3の外周面に外嵌固定されている。
具体的には、内側摺接環27は、ステンレス鋼板などの防錆性を有する金属板にプレス加工を施すことにより、全体として円環状に構成されている。内側摺接環27は、嵌合筒部38と、傾斜筒部39とを有する。
嵌合筒部38は、円筒状に構成されており、ハブ3の円筒面部15に圧入すなわち締り嵌めにより外嵌されている。
傾斜筒部39は、嵌合筒部38の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、軸方向外側に向かうにしたがって径方向外側に向かう方向に傾斜した円すい筒状に構成されている。本例では、抑え部53は、傾斜筒部39の内周面すなわち軸方向外側面により構成されている。すなわち、抑え部53を構成する傾斜筒部39の内周面は、弾性材30の厚肉リップ36の被抑え部51に弾性的に当接、すなわち突き当てられている。これにより、弾性材30の軸方向内側への変位を規制している。
本例では、外側摺接環26の中心軸に対する被抑え部51の傾斜角度θoと、内側摺接環27の中心軸に対する抑え部53の傾斜角度θiとは、互いに等しい(θo=θi)。本発明を実施する場合、これらの傾斜角度θo、θiは、たとえば、50゜以上70゜以下であることが好ましい。
なお、本例では、被抑え部51を円すい凸面により構成し、かつ、抑え部53を円すい凹面により構成している。このため、抑え部53を被抑え部51に突き当てた状態では、抑え部53と、ハブ3の外周面のうち円筒面部15と隅R部17との接続部および該接続部の周辺部との間で、弾性材30の厚肉リップ36が全周にわたり弾性的に圧縮されている。換言すれば、抑え部53を、厚肉リップ36に備えられた被抑え部51に突き当てることで、厚肉リップ36の内周面をハブ3の外周面に押し付けている。
なお、本例のハブユニット軸受1を組み立てる際には、たとえば、単体のハブ輪20に対し、図2に示すように、外側摺接環26を組み付ける。具体的には、ハブ輪20の軸方向中間部の周囲で、回転フランジ10の軸方向内側に隣接する位置に、外側摺接環26を配置する。これにより、外側側板部33の径方向内側部の軸方向外側面を、回転フランジ10の平坦面部14に接触させる。また、薄肉リップ37の径方向内側の端部を、隅R部17に弾性的に接触させる。また、厚肉リップ36の径方向内側の端部を、円筒面部15と隅R部17との接続部および該接続部の周辺部に弾性的に接触させる。続いて、ハブ輪20に対し、図2に示すように、内側摺接環27を組み付ける。具体的には、嵌合筒部38を、円筒面部15に対し、軸方向内側から軸方向外側に向けて圧入する。そして、この圧入に伴い、傾斜筒部39の内周面に備えられた抑え部53を、厚肉リップ36の外周面に備えられた被抑え部51に押し付ける。これにより、弾性材30の軸方向内側への変位を規制するとともに、抑え部53と、ハブ3の外周面のうち円筒面部15と隅R部17との接続部および該接続部の周辺部との間で、厚肉リップ36を全周にわたり弾性的に圧縮する。
シールリング28は、外側摺接環26の摺接芯金29の表面に摺接する外側シールリップ46と、内側摺接環27の表面に摺接する内側シールリップ47a、47bとを有し、外輪2の軸方向外側の端部に支持されている。
シールリング28は、外輪2の軸方向外側の端部に内嵌固定された芯金40と、外側シールリップ46および内側シールリップ47a、47bを有し、かつ、芯金40に結合固定されたシール材41とを備える。
芯金40は、軟鋼板などの金属板を曲げ成形することにより、全体として円環状に構成されている。芯金40は、シール側嵌合筒部42と、外向鍔部43と、折れ曲がり板部44とを備える。
シール側嵌合筒部42は、円筒状に構成され、外輪2の軸方向外側の端部の内周面に圧入により内嵌されている。
外向鍔部43は、シール側嵌合筒部42の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、中空円板状に構成されている。外向鍔部43の軸方向内側面は、シール材41の基部45の一部を介して、外輪2の軸方向外側の端面に突き当てられている。
折れ曲がり板部44は、シール側嵌合筒部42の軸方向内側の端部から径方向内側かつ軸方向外側に向けて略U字形に折り返され、さらに、先端部が径方向内側に向けて折れ曲がっている。
シール材41は、ゴムの如きエラストマなどの可撓性および密封性を有する弾性材料により全体として円環状に構成され、芯金40に加硫成形により結合すなわち接着されている。シール材41は、基部45と、外側シールリップ46と、内側シールリップ47a、47bと、堰部48とを備える。
基部45は、芯金40のうち、外向鍔部43の軸方向内側面の径方向外側の端部、外周面および軸方向外側面と、シール側嵌合筒部42の内周面と、折れ曲がり板部44の軸方向外側面、内周面および軸方向内側面の径方向内側の端部とを覆うように、芯金40に結合されている。
外側シールリップ46は、基部45の径方向中間部から摺接芯金29の外側側板部33に向けて延出し、先端部を、外側側板部33の軸方向内側面に全周にわたり摺接させている。
内側シールリップ47a、47bのうち、転動体設置空間25から遠い側の内側シールリップ47aは、基部45の径方向内側の端部から内側摺接環27の傾斜筒部39に向けて延出し、先端部を、傾斜筒部39の外周面に全周にわたり摺接させている。
内側シールリップ47a、47bのうち、転動体設置空間25に近い側の内側シールリップ47bは、基部45の径方向内側の端部から内側摺接環27の嵌合筒部38に向けて延出し、先端部を、嵌合筒部38の外周面に全周にわたり摺接させている。
堰部48は、基部45のうち、外向鍔部43の外周面を覆う部分から径方向外側に向けて突出している。堰部48は、径方向外側の端部を、外輪2の軸方向外側の端面よりも径方向外側に突出させ、かつ、外周面を、摺接芯金29の庇部32の内周面に近接対向させている。これにより、外輪2の外周面に付着し、外輪2の外周面を伝って、外側シールリップ46と外側側板部33の軸方向内側面との摺接部に侵入しようとする水分を堰き止められるようにし、かつ、堰部48の外周面と庇部32の内周面との間にラビリンスシール49を構成している。
1対のシール装置5a、5bのうち、転動体設置空間25の軸方向内側の開口を塞ぐシール装置5bは、例えば、組み合わせシールリングにより構成される。具体的には、軸方向内側のシール装置5bは、ハブ3の軸方向内側の端部に外嵌固定されたスリンガと、先端部をスリンガの表面に全周にわたり摺接させた少なくとも1本のシールリップを有し、外輪2の軸方向内側の端部に内嵌固定されたシールリングとを備えることができる。
なお、従動輪用のハブユニット軸受の場合には、軸方向内側のシール装置として、組み合わせシールリングに代えて、あるいは、組み合わせシールリングに加えて、外輪の軸方向内側の端部開口を塞ぐ軸受キャップを採用することもできる。
本例によれば、ハブ3に対するクリープや軸方向の相対変位を抑制でき、しかも製造コストを抑えられる摺接環50を含むシール装置5aを備えたハブユニット軸受1を提供できる。
すなわち、本例の構造では、摺接環50は、外側摺接環26と、内側摺接環27とを備える。このうちの外側摺接環26は、ハブ3の外周面に対して径方向外側に離隔して配置された円環状の摺接芯金29と、摺接芯金29の径方向内側の端部に固定され、かつ、ハブ3の外周面に外嵌された弾性材30とを有し、回転フランジ10の軸方向内側に隣接して配置されている。このため、モーメント荷重に基づいて、回転フランジ10が軸方向に倒れるように変形し、回転フランジ10の平坦面部14により摺接芯金29が軸方向に押された際にも、弾性材30が弾性変形することに基づいて、ハブ3に対する外側摺接環26のクリープや軸方向の相対変位を抑制できる。
また、本例では、摺接芯金29の側板部31は、全体として略中空円板状に構成されており、その軸方向外側面が、回転フランジ10の軸方向内側面に接触している。このため、側板部31の軸方向外側面と回転フランジ10の軸方向内側面との接触部に大きな摩擦力を発生させることができる。この面からも、ハブ3に対する外側摺接環26のクリープを抑制できる。
また、本例では、内側摺接環27の抑え部53を、弾性材30の被抑え部51に突き当てることにより、弾性材30の軸方向内側への変位を規制している。この面からも、ハブ3に対する外側摺接環26の軸方向の相対変位を抑制できる。
また、本例では、ハブ3の外周面に外嵌された弾性材30は、ハブ3を構成する金属材料に対する摩擦係数が、ステンレス鋼板などの金属板を構成する金属材料よりも大きい弾性材料により構成されている。したがって、ハブ3の外周面に対する厚肉リップ36の内周面の嵌合強度を大きくすることができ、換言すれば、ハブ3の外周面と厚肉リップ36の内周面との間に作用する摩擦を大きくすることができる。この面からも、ハブ3に対する外側摺接環26のクリープや軸方向の相対変位を抑制できる。
さらに本例では、内側摺接環27の抑え部53と、ハブ3の外周面との間で、弾性材30の厚肉リップ36を弾性的に圧縮している。換言すれば、抑え部53を、厚肉リップ36に備えられた被抑え部51に突き当てることで、厚肉リップ36の内周面をハブ3の外周面に押し付けている。この面からも、ハブ3の外周面に対する厚肉リップ36の内周面の嵌合強度を大きくできて、ハブ3に対する外側摺接環26のクリープや軸方向の相対変位を抑制できる。
なお、内側摺接環27は、ハブ3に対し金属嵌合により外嵌されているが、外側摺接環26よりも外径が小さく、ハブ3の回転時に作用する慣性力も小さい。このため、内側摺接環27をハブ3に対し金属嵌合により外嵌した場合であっても、内側摺接環27とハブ3との嵌合部で、クリープは生じにくい。
また、本例では、摺接環50を構成する外側摺接環26は、金属製の摺接芯金29の径方向内側の端部に、弾性材料製の弾性材30を固定してなる。摺接環50を構成する内側摺接環27は、金属製の一体部品である。それぞれが金属部品である外側摺接環26の摺接芯金29と内側摺接環27とは、弾性材30によって接合されてはいない。すなわち、本例では、摺接環50を製造する際に、2つの金属部品を弾性材により接合するような複雑な工程を行う必要がなく、製造工程を単純にできる。したがって、この面から、摺接環50の製造コストを抑えられる。
また、本例では、弾性材30により、摺接芯金29の径方向内側の端部とハブ3の外周面との間部分をシールしている。このため、回転フランジ10の軸方向内側面と摺接芯金29の軸方向外側面との間を通じて外部空間から侵入してきた泥水が、摺接芯金29の径方向内側の端部とハブ3の外周面との間部分を通じて転動体設置空間25に入りこむことを防止できる。
特に、本例では、弾性材30の厚肉リップ36は、内側摺接環27の抑え部53と、ハブ3の外周面との間で、弾性的に圧縮されている。このため、弾性材30のシール性能を十分に確保できる。
本例では、外側摺接環26を構成する弾性材30に備えられた被抑え部51を、円すい凸面により構成し、かつ、内側摺接環27に備えられた抑え部53を、円すい凹面により構成した構造について説明した。ただし、本発明のハブユニット軸受を実施する場合には、たとえば、抑え部を、軸方向外側を向き、かつ、内側摺接環の中心軸に直交する平坦面により構成することもできる。この場合には、たとえば、被抑え部を、軸方向内側を向き、かつ、外側摺接環の中心軸に直交する平坦面により構成することができる。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4a、4b 転動体
5a、5b シール装置
6a、6b 外輪軌道
7 静止フランジ
8 支持孔
9a、9b 内輪軌道
10 回転フランジ
11 パイロット部
12 取付孔
13 スタッド
14 平坦面部
15 円筒面部
16 内輪肩部
17 隅R部
18 スプライン孔
19 内輪
20 ハブ輪
21 小径部
22 かしめ部
23 段差面
24a、24b 保持器
25 転動体設置空間
26 外側摺接環
27 内側摺接環
28 シールリング
29 摺接芯金
30 弾性材
31 側板部
32 庇部
33 外側側板部
34 傾斜側板部
35 内側側板部
36 厚肉リップ
37 薄肉リップ
38 嵌合筒部
39 傾斜筒部
40 芯金
41 シール材
42 シール側嵌合筒部
43 外向鍔部
44 折れ曲がり板部
45 基部
46 外側シールリップ
47a、47b 内側シールリップ
48 堰部
49 ラビリンスシール
50 摺接環
51 被抑え部
52 基部
53 抑え部

Claims (2)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
    外周面に、複列の内輪軌道を有し、かつ、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分に、径方向外側に突出した回転フランジを有するハブと、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体と、
    摺接環と、シールリングとを有し、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐシール装置と、を備え、
    前記摺接環は、外側摺接環と、内側摺接環と、を有し、
    前記外側摺接環は、前記ハブの外周面に対して径方向外側に離隔して配置され、軸方向外側面を前記回転フランジの軸方向内側面に接触させた側板部を有する円環状の摺接芯金と、前記側板部の径方向内側の端部に固定され、かつ、前記ハブの外周面に外嵌された弾性材とを有し、前記回転フランジの軸方向内側に隣接して配置されており、
    前記内側摺接環は、軸方向外側を向き、前記弾性材に当接して該弾性材の軸方向内側への変位を規制する抑え部を有し、円環状に構成され、かつ、前記ハブの外周面に外嵌固定されており、
    前記シールリングは、前記摺接芯金の表面に摺接する外側シールリップと、前記内側摺接環の表面に摺接する内側シールリップとを有し、前記外輪の軸方向外側の端部に支持されている、
    ハブユニット軸受。
  2. 前記抑え部が、軸方向外側に向かうにしたがって径方向外側に向かう方向に傾斜した円すい凹面により構成されている、
    請求項1に記載のハブユニット軸受。
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