JP2022153685A - バリアシートの製造方法およびバリアシート - Google Patents

バリアシートの製造方法およびバリアシート Download PDF

Info

Publication number
JP2022153685A
JP2022153685A JP2021056335A JP2021056335A JP2022153685A JP 2022153685 A JP2022153685 A JP 2022153685A JP 2021056335 A JP2021056335 A JP 2021056335A JP 2021056335 A JP2021056335 A JP 2021056335A JP 2022153685 A JP2022153685 A JP 2022153685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
barrier
adhesive
cellulose
pulp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021056335A
Other languages
English (en)
Inventor
皓章 安井
Hiroaki Yasui
晴男 金野
Haruo Konno
博邦 田中
Hirokuni Tanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Daishowa Paper Converting Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Daishowa Paper Converting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paper Industries Co Ltd, Jujo Paper Co Ltd, Daishowa Paper Converting Co Ltd filed Critical Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority to JP2021056335A priority Critical patent/JP2022153685A/ja
Publication of JP2022153685A publication Critical patent/JP2022153685A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】ガスバリア性と耐屈曲性に優れたバリアシートの製造方法、及び、ガスバリア性と耐屈曲性に優れたバリアシートを提供すること。【解決手段】原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合する工程、前記接着剤を乾燥する工程、を有するバリアシートの製造方法、及び、原紙、バリア性を有する接着剤層、高密度セルロースシートが、この順で直接積層されているバリアシート。【選択図】なし

Description

本発明は、包装材料等に使用できるバリアシートの製造方法およびバリアシートに関する。
包装材料に要求される特性の一つとして、ガスバリア性が挙げられる。例えば、外気に含まれる酸素が製品容器内へ入り込むと、内容物が変質・劣化して貯蔵寿命が低減する場合がある。また、匂いの強い食品や化成品であれば製品からの移り香が問題となる。さらに、匂いの強い環境下で貯蔵する場合に、容器外部から内容物への匂い移りが問題となる。
紙基材に金属箔やフィルムを積層してガスバリア性を付与した紙製の包装材料が提供されている。バリア層を形成する材料として、アルミニウム等の金属からなる金属箔や金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン‐ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂をコーティングしたフィルム、更に酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルム等がある。
上記以外のガスバリア性を付与した紙製の包装材料としては、水溶性高分子と無機層状化合物からなるガスバリア層を有する紙製のガスバリア材料(特許文献1、特許文献2)が開示されている。
このような紙製のバリア包装材料は、包装容器への加工時や、製品の輸送時や使用時等に屈曲して、バリア性が大きく低下する場合がある。そのため、耐屈曲性に優れた紙製バリア包装材料が求められている。
特開2009-184138号公報 特開2003-094574号公報
本発明は、ガスバリア性と耐屈曲性に優れたバリアシートの製造方法、及びガスバリア性と耐屈曲性に優れたバリアシートを提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合する工程、
前記接着剤を乾燥する工程、
を有することを特徴とするバリアシートの製造方法。
2.前記接着剤が、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロースナノファイバーのいずれか、または両方を含むことを特徴とする1.に記載のバリアシートの製造方法。
3.前記高密度セルロースシートが、グラシン紙またはセルロースナノファイバーシートのいずれかであることを特徴とする1.または2.に記載のバリアシートの製造方法。
4.原紙、バリア性を有する接着剤層、高密度セルロースシートが、この順で直接積層されていることを特徴とするバリアシート。
5.前記接着剤層が、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロースナノファイバーのいずれか、または両方を含むことを特徴とする4.に記載のバリアシート。
6.前記高密度セルロースシートが、グラシン紙またはセルロースナノファイバーシートのいずれかであることを特徴とする4.または5.に記載のバリアシート。
本発明のバリアシートの製造方法は、十分なバリア性と耐屈曲性とを備えるバリアシートを、簡便な工程により、容易に製造することができる。本発明のバリアシートの製造方法は、連続生産が可能であり、生産性が高く、また、歩留まりが高い。
本発明のバリアシートは、バリア性と耐屈曲性とに優れている。
本発明は、原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合する工程、この接着剤を乾燥する工程を有するバリアシートの製造方法と、原紙、バリア性を有する接着剤層、高密度セルロースシートが、この順で直接積層されているバリアシートに関する。
「バリアシートの製造方法」
本発明のバリアシートの製造方法は、原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合する工程と、この接着剤を乾燥する工程を有する。
・原紙
原紙は、パルプ、填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹の未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹の未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のパルプを適宜配合して用いることが可能である。これらの中で、食品に接触する用途にする場合、NBKPなどの化学パルプが好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
本発明において使用する原紙は、25g/m以上400g/m以下であることが好ましい。坪量がこの範囲内であると、食品や産業資材等の包装材料として様々な形態に加工して使用することができる。例えば、柔軟性を有する包装材である軟包装材用途に使用する場合は、坪量30g/m以上110g/m以下であることが好ましい。また、例えば、箱型、筒型等の形状を維持することのできる剛直な包装材用途に使用する場合、坪量150g/m以上350g/m以下であることが好ましい。坪量が150g/m未満では、箱型等の包装材とした際の強度が不足する場合がある。剛直な包装材用途に使用する場合、坪量が350g/mを超えると、加工適性が低下する場合がある。原紙の坪量は、200g/m以上300g/m以下であることが好ましく、210g/m以上290g/m以下であることがより好ましく、220g/m以上280g/m以下であることがさらに好ましい。
・高密度セルロースシート
本発明において、高密度セルロースシートとは、全体の90質量%以上がセルロースからなり、その密度が0.90g/cm以上のものを意味する。本発明で使用する高密度セルロースシートは上記組成と密度を満足するものであれば特に制限されないが、例えば、グラシン紙、コンデンサー紙、セルロースナノファイバーシート等が挙げられる。
高密度セルロースシートは、緻密な構造を有するため、ガスバリア性に優れている。
セルロースナノファイバーシートとしては、例えば、特開2013-256546号公報に記載の結晶化度が70%以上、銅エチレンジアミン溶液を用いた粘度法による重合度が160以下、かつ繊維径が50nm以下である、セルロースナノファイバーを全体の90質量%以上含むシートや、下記実施例2のようにセルロースナノファイバーの分散液を基板上に塗布・乾燥し、基板から剥離して得られるシートが挙げられる。なお、以下、本明細書において、セルロースナノファイバーをCNFとも表す。
・接着剤
本発明は、接着剤としてバリア性を有する接着剤を使用する。バリア性を有する接着剤(以下、バリア性接着剤ともいう)としては、バリア性を有するものとして公知の接着剤を用いることができ、例えば、澱粉由来の高分子化合物、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、ポリビニルアルコール系、無水マレイン酸共重合体系、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;澱粉、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の接着剤や、セルロースナノファイバーを含む接着剤が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系接着剤、セルロースナノファイバーのいずれかまたは両方を含むことが好ましい。
バリア性接着剤として、セルロースナノファイバーを単独で、または他の接着剤に混合して用いることができる。なお、セルロースナノファイバーとは、セルロース系原料を解繊処理することにより得られる微細繊維である。
本発明に用いるセルロースナノファイバーの平均繊維径は、1~200nmであることが好ましく、2~100nm程度であることがより好ましい。本発明に用いるセルロースナノファイバーの平均繊維長は、40~2,000nmであることが好ましく、100~1,000nm程度であることがより好ましい。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、30本以上の繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。なお、本明細書において、「A~B(A、Bは数字)」との記載は、A、Bの値を含む数値範囲、すなわち、A以上B以下を意味する。
本発明において、セルロースナノファイバーを接着剤として用いる場合、セルロース系原料を化学変性してから解繊して得られる化学変性セルロースナノファイバーを用いることが好ましく、カルボキシル化セルロース、カルボキシアルキル化セルロース、エステル化セルロース等のアニオン変性セルロースナノファイバーを用いることが更に好ましい。
カルボキシル化セルロースの場合、セルロースナノファイバーの絶乾質量に対するカルボキシル基の量は、好ましくは0.6mmol/g以上、より好ましくは0.8mmol/g以上、更に好ましくは1.0mmol/g以上である。上限は、好ましくは2.2mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。従って、0.6mmol/g~2.2mmol/gが好ましく、0.8mmol/g~2.0mmol/gがより好ましく、1.0mmol/g~1.8mmol/gが更に好ましい。
カルボキシアルキル化セルロースの場合、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.60未満であることが好ましい。さらにアニオン基がカルボキシメチル基である場合、カルボキシメチル置換度は0.60未満であることが好ましい。この置換度が0.60以上であると結晶性が低下し、溶解成分の割合が増加するため、ナノファイバーとしての機能が失われる。またカルボキシアルキル置換度の下限値は0.01以上が好ましい。操業性を考慮するとこの置換度は0.02~0.50であることが特に好ましく、0.10~0.30であることが更に好ましい。
エステル化セルロースとしては、リン酸エステル化セルロースが好ましい。セルロースにリン酸基または亜リン酸基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発するため、リン酸エステル化セルロースは容易にナノ解繊することができる。セルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上0.40未満であることがより好ましい。グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。
(セルロース系原料)
CNFの製造に用いるセルロース系原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
本発明で使用するバリア性接着剤は、水溶性または水分散性の水系であることが好ましい。バリア性接着剤の固形分濃度は、1.0質量%以上20質量%以下が好ましい。固形分濃度が1.0質量%未満では乾燥に要する時間が長くなりすぎる場合がある。固形分濃度が20質量%より高いと粘度が高くなりすぎて取り扱い性、塗工性が低下する場合がある。
バリア性接着剤の塗工量は特に制限されないが、固形分で0.1g/m以上10g/m以下であることが好ましい。塗工量が0.1g/m未満では、接着力、バリア性が低下する場合がある。塗工量が10g/mを超えると乾燥に要する時間が長くなりすぎる場合がある。
バリア性接着剤は、原紙、高密度セルロースシートのいずれか、または両方に、ロールコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の公知の塗工機で塗工することができる。また、原紙と高密度セルロースシートとの貼合は、公知の貼合装置を用いることができる。
原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合した後、この接着剤を乾燥する。乾燥は、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の公知の乾燥装置により行うことができる。
本発明のバリアシートの製造方法において、貼合した後にバリア性接着剤を乾燥させることにより、バリア性接着剤層のガスバリア性を高く保持することができる。これは、片面が露出した状態でバリア性接着剤を乾燥させると、液分がバリア性接着剤層の露出面から乾燥(揮発)する際に酸素原子等が通過可能なミクロな穴が発生するのに対し、バリア性接着剤層を原紙と高密度セルロースシートとで挟持した状態で乾燥させると、液分が主に原紙に吸水されて原紙から乾燥(揮発)するため、バリア性接着剤層に酸素原子等が通過可能なミクロな穴が生じないためであると推測される。
本発明のバリアシートの製造方法は、上記した貼合する工程、乾燥する工程を有していればよく、他の工程を有することができる。例えば、原紙のバリア性接着剤塗工面とは反対側の面に印刷適性等を付与するためのコート層を設けるラミネート工程、ヒートシール加工可能とするとともに耐水性を付与するためにバリアシートの少なくとも一面に熱可塑性樹脂層を設けるラミネート工程、折り加工により箱状の容器を形成する際の罫線(折り目)を付与する罫線加工工程等を有することができる。
「バリアシート」
本発明のバリアシートは、原紙、バリア性を有する接着剤層、高密度セルロースシートが、この順で直接積層されている。原紙、高密度セルロースシート、バリア性を有する接着剤は、それぞれ上記のものを使用することができる。
本発明のバリアシートは、バリア性を有する接着剤層(以下、バリア性接着剤層ともいう)と高密度セルロースシートの分子構造が緻密なため、酸素原子等が透過しにくく、ガスバリア性に優れている。本発明において、より緻密な構造を形成して酸素原子等の透過を防ぐために、バリア性接着剤、高密度セルロースシートの一方がセルロースナノファイバーを含むことが好ましく、両方がセルロースナノファイバーを含むことがより好ましい。さらに、本発明のバリアシートは、高密度セルロースシートが保護層として働き、バリア性接着剤層に割れが生じにくいため、耐屈曲性に優れ、折加工等した後のガスバリア性の低下を抑えることができる。そのため、本発明のバリアシートは、バリアシートのまま、またはコート層、熱可塑性樹脂層等の各種樹脂等と積層する、各種汎用フィルム、バリアフィルム、アルミ箔等と貼合する等して、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料、または産業用資材などに用いられる積層体とすることが可能である。これらの中で、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料として好適に使用することができる。
本発明のバリアシートを食品などの包装材として用いる場合は、バリアシートの一面、または両面にヒートシール性を有する樹脂層を積層することにより、包装材料としての密閉性を高め、内容物を酸素による酸化や湿気などによる劣化などから守り、保存期間の延長を可能にすることができる。また、産業用資材などに用いられる積層体として使用する場合においても、酸素や湿気の侵入を抑えることで、腐敗、劣化を防止できるほか、溶剤の臭気が漏れ出るのを防止するフレーバーバリア性などの効果が期待される。
以下に、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、特に断らない限り、「%」はすべて「質量%」であり、数値範囲はその端点を含むものとする。
(実施例1)
<原紙の作製>
カナダ式標準ろ水度(CSF)400mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF450mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を20/80の質量比で配合して、原料パルプとした。
原料パルプに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ質量あたり0.1%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対絶乾パルプ質量あたり0.35%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ質量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ質量あたり0.08%添加した後、長網抄造機で抄紙し、坪量250g/mの原紙を得た。
<カルボキシメチル化CNFの調製>
パルプを混ぜることができる撹拌機に、晒クラフトパルプ(BKP、日本製紙株式会社製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g加え、パルプ固形分が20質量%になるように水を加えた。その後、30℃で30分撹拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和した後、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。
その後、カルボキシメチル化したパルプを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、カルボキシメチル化CNFの水分散液を得た。得られたカルボキシメチル化CNFは、平均繊維径が50nm、アスペクト比が120であった。
<接着剤A(CNF/PVA)の調製>
前記で得たカルボキシメチル化CNFの水分散液(固形分1.0%)1000gを、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-105、固形分10%、クラレ社製)100部(有姿)に加えた後、攪拌しながら25℃に保持して、バリア性を有する接着剤であるCNF/PVA接着剤を得た。
<シート1の作製>
上記で製造した原紙(坪量250g/m)上に、メイヤーバーを用いて、接着剤Aを塗工量(乾燥質量)1.5g/mとなるよう塗工し、接着剤が乾燥する前に、高密度セルロースシートであるグラシン紙(坪量17g/m、日本製紙パピリア社製)と貼合し、80℃で乾燥して、シート1を作製した。
得られたシート1について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<坪量の測定>
JIS P 8124:2011に準拠して測定した。
<シートの透気抵抗度の測定>
上記で得られたシートを、JIS P 8117:2009に準拠して測定した。
<折り曲げ後のシート透気抵抗度の測定>
1辺10.0cmのシートを試験片とした。CD軸方向を折り軸として2つ折りとした試験片を、金属ロール/金属ロールからなるニップ処理装置で、通過方向を折り軸と垂直、通過速度50m/min、ニップ圧5kN/mで加圧処理して、元の正方形に戻した。
得られた折り曲げ処理後のシートを、JIS P 8117:2009に準拠して測定した。
<シートの酸素透過度の測定>
シートに、押出しラミネート法により低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、LC602A)を厚み30μm積層し、ラミネート紙を得た。
このラミネート紙について、ツクバリカセイキ社製気体透過率測定装置(K-315N-03)を使用して、酸素導入圧力107kPa、23℃、0%RH条件の差圧法により測定した。
<折り曲げ後のシート酸素透過度の測定>
上記で得たラミネート紙を1辺10.0cmの正方形に切断して試験片とした。CD軸方向を折り軸として2つ折りとした試験片を、金属ロール/金属ロールからなるニップ処理装置で、通過方向を折り軸と垂直、通過速度50m/min、ニップ圧50kN/mで加圧処理した後、元の正方形に戻した。得られた折り曲げ処理後のラミネート紙について、ツクバリカセイキ社製気体透過率測定装置(K-315N-03)を使用して、酸素導入圧力107kPa、23℃、0%RH条件の差圧法により測定した。
<成形加工での折り曲げによる樹脂層の破壊評価>
はがきサイズのシートの両面に、レーザービームプリンター(CASIO N5300)で黒ベタ印刷後を行い、両面に、押し出しラミネート法にて低密度ポリエチレン樹脂を厚さ30μmずつ積層した。得られた積層シートを1辺10.0cmの正方形に切断して試験片とした。CD軸方向を折り軸として2つ折りとした試験片を、金属ロール/金属ロールからなるニップ処理装置で、通過方向を折り軸と垂直、通過速度50m/min、ニップ圧50kN/mで加圧処理した。加圧処理後、折り軸部の両面における樹脂層の破壊を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:樹脂層の破壊が認められない。
○:樹脂層の破壊がわずかに認められるが、いずれか片面だけの破壊にとどまり実用上支障がない。
△:樹脂層の破壊が認められ、かつ破壊が両面に及んでいる。
×:樹脂層の大きな破壊が認められる。
(実施例2)
<カルボキシル化(酸化)セルロースの製造>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することでカルボキシル化セルロース(ナトリウム塩)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.45mmol/gであった。
<カルボキシル化CNFの調製>
上記カルボキシル化セルロースを水で固形分1%とし、超高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、カルボキシメチル化CNFの分散液を得た。得られたカルボキシメチル化CNFは、平均繊維径が3nm、アスペクト比が230であった。
<セルロースナノファイバーシートの作成>
上記カルボキシル化CNFの分散液をPETフィルム上にメイヤーバー(No.40)でキャスト後、ハンドドライヤーで乾燥後、PETフィルムから剥離して、高密度セルロースシートである厚さ20μmのセルロースナノファイバーシートを得た。
<接着剤B(PVA)の調製>
水を撹拌しながらポリビニルアルコール(商品名:PVA-105、クラレ社製)を10%濃度になるように徐々に投入し、撹拌したままで加熱した。温度が95℃に到達後、温度を維持しながら約1時間撹拌を継続した。その後、加熱を止め、撹拌を弱め、徐々に冷却した。さらに5%濃度になるように水で希釈して、バリア性を有する接着剤であるPVA接着剤を得た。
<シート2の作製>
実施例1で使用したグラシン紙の代わりに、上記で製造したセルロースナノファイバーシートを用い、接着剤Aの代わりに接着剤Bを用いて貼合した以外は、実施例1と同様の工程で、シート2を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<接着剤C(酢酸ビニル)の調製>
酢酸ビニルアルコール(商品名:木工用ボンド速乾用、固形分55%、コニシ社製)18.2部(有姿)に固形分が10%濃度となるよう水を加えて、攪拌しながら25℃に保持して、バリア性を有さない接着剤である酢酸ビニル接着剤を得た。
<シート3の作成>
実施例1で使用した接着剤Aの代わりに、接着剤Cを用いた以外は、実施例1と同様の工程で、シート3を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022153685000001

Claims (6)

  1. 原紙と高密度セルロースシートとを、バリア性を有する接着剤で貼合する工程、
    前記接着剤を乾燥する工程、
    を有することを特徴とするバリアシートの製造方法。
  2. 前記接着剤が、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロースナノファイバーのいずれか、または両方を含むことを特徴とする請求項1に記載のバリアシートの製造方法。
  3. 前記高密度セルロースシートが、グラシン紙またはセルロースナノファイバーシートのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のバリアシートの製造方法。
  4. 原紙、バリア性を有する接着剤層、高密度セルロースシートが、この順で直接積層されていることを特徴とするバリアシート。
  5. 前記接着剤層が、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロースナノファイバーのいずれか、または両方を含むことを特徴とする請求項4に記載のバリアシート。
  6. 前記高密度セルロースシートが、グラシン紙またはセルロースナノファイバーシートのいずれかであることを特徴とする請求項4または5に記載のバリアシート。
JP2021056335A 2021-03-30 2021-03-30 バリアシートの製造方法およびバリアシート Pending JP2022153685A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021056335A JP2022153685A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 バリアシートの製造方法およびバリアシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021056335A JP2022153685A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 バリアシートの製造方法およびバリアシート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022153685A true JP2022153685A (ja) 2022-10-13

Family

ID=83556706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021056335A Pending JP2022153685A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 バリアシートの製造方法およびバリアシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022153685A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6985303B2 (ja) ミクロフィブリル化フィルム
US11161948B2 (en) Film comprising microfibrillated cellulose and products made therefrom
JP2021520988A (ja) コーティングされた紙、板紙またはフィルムの製造方法、およびコーティングされた紙、板紙またはフィルム
JP2019510142A (ja) ミクロフィブリル化セルロースを含むフィルムの製造方法
WO2018083592A1 (en) Method for forming a film comprising nanocellulose
JP2021507830A (ja) ミクロフィブリル化セルロースを含む多層フィルム
JP2023549562A (ja) 包装材料用バリアフィルム
CA3120050A1 (en) Process for production of film or coating comprising cellulosic nanomaterial
CN116669944A (zh) 层压体
CN110785526B (zh) 纸筒用原纸及纸筒
JP2022153685A (ja) バリアシートの製造方法およびバリアシート
JP2024519276A (ja) バリアフィルムを製造するための方法およびバリアフィルム
CN114402106B (zh) 包含微纤化纤维素和来自树皮或软木的提取物的组合物、膜或涂层
JP7443983B2 (ja) 発泡断熱紙原紙、積層体、発泡断熱紙製容器
WO2023089466A1 (en) Mfc film with peg
SE2230094A1 (en) Method for manufacturing a barrier subatrate, and a barrier substrate
WO2024009182A1 (en) A method for producing a laminate, and a laminate
WO2024100566A1 (en) Multilayer barrier film, method of manufacturing such film, and a paper or paperboard based packaging material comprising such film
JP2023042254A (ja) 包装用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240319