JP2022150514A - 耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】溶鋼中にCeによる酸化物系介在物を生成し、このCe系介在物が凝固時に微細な等軸晶粒が多数発生し、リジングの少ないフェライト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.001~0.03%、Si:0.2~1.0%、Mn:0.05~1.0%、P:0.001~0.04%、S:0.001~0.01%、Cr:10.5~31.0%、Al:0.006~0.20%、Nb:0.03~0.8%、Ti:0.01~0.2%、N:0.001~0.03%、Ce:0.01~0.35%、および、T.O(全酸素濃度):0.001~0.01%の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成であって、Ceの含有量とT.Oの含有量の積が所定の関係を満足し、かつ、Ce酸化物系介在物が存在する鋼組織を有し、円相当直径で1~5μmのCe酸化物系介在物が、鋼板の圧延方向に対して垂直な断面内にて、個数密度が20個/cm2以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板に関する。
現在、多くの種類のステンレス鋼板が、多方面に利用されている。ステンレス鋼板の一つの種類のオーステナイト系ステンレス鋼板は、耐食性、加工性に優れ、さらに、表面性状も優れていることから、構造材として工業用、家庭用に用いられている。それに対して、フェライト系ステンレス鋼板は、オーステナイト系ステンレス鋼板に比べて、Niをほとんど含有していないため安価であり、また、熱膨張率が小さいため、大型施設の屋根材、各種厨房機器、自動車排気系部材などの分野に幅広く使用されるようになってきている。しかし、フェライト系ステンレス鋼板は、プレス加工、ロール加工等の成形加工などを行うと、リジングと呼ばれる成形方向に沿ったうねり状の凹凸模様(以下、単に「リジング」という。)が鋼板表面上に発生することがある。
鋼板表面上にリジングが発生すると、鋼板表面の美観を損ねるため、製造する際に鋼板表面を磨き、リジングを除去している。しかし、製造するプロセスの中で、リジングは局部的な板厚偏差を招いてしまうため、加工方法によっては、亀裂が生ずるという問題がある。
このリジングは、凝固組織において柱状晶が同一方位に成長しているため、圧延・焼鈍によって同一結晶方位の集合組織のコロニーが形成されることによって発生するものと考えられており、この知見に基づいてリジングを改善するための種々の研究および報告例がある(例えば、非特許文献1)。フェライト系ステンレス鋼板では、さらなる多方面の利用のためには、加工後の成形品にリジングや亀裂が存在しないことが切望されている。ところで、フェライト系ステンレス鋼板をプレス成形したときに発生しやすいリジングは、連続鋳造時に生成した粗大な柱状晶組織が熱延工程、冷延工程で十分に破壊されず、近い結晶方位を有する複数の結晶粒の集まりであるコロニーを形成することに原因がある。これに対して、フェライト系ステンレス鋼板が、結晶方位がランダムな等軸晶を多数生成させた金属組織にすることで、リジングの発生を抑えることができることが知られている。
例えば、特許文献1では、REM酸化物によって耐リジング性を改善させる方法が提案されている。具体的には耐リジング性の改善のための鋼中の介在物の組成は、REM酸化物、Al、SiO、MnO、Crで構成される複合介在物における各酸化物の濃度範囲を限定することで圧延・焼鈍時の再結晶組織を均一化して、耐リジング性の改善を図っている。しかし、特許文献1では、REM酸化物とAlとの複合酸化物が提示されているが、REMのそれぞれの各成分が酸素との親和力がAl等よりも強いにも関わらず、Alを含む複合酸化物が形成されるとしていて、かつ、REMの各成分に対する具体的な酸化物形態の具体的な作用・効果が不明であり、効果が十分ではないという問題点がある。
特許第4238454号公報
溝口庄三:第177,178回西山記念技術講座(2001),53
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、REM中のCeによる酸化物(以下、Ce酸化物と記す。)である介在物を存在させて、金属組織として等軸晶を多くし、成形加工によるリジングの発生の少ない耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.001~0.03%、Si:0.2~1.0%、Mn:0.05~1.0%、P:0.001~0.04%、S:0.001~0.01%、Cr:10.5~31.0%、Al:0.006~0.20%、Nb:0.03~0.8%、Ti:0.01~0.2%、N:0.001~0.03%、Ce:0.01~0.35%、および、T.O(全酸素濃度):0.001~0.01%の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成であって、Ceの含有量(%)とT.Oの含有量(%)の積が、下記に示す式(1)の不等式の関係を満足し、かつ、Ceと酸素(O)が結合して生成されるCe酸化物系介在物が存在する鋼組織を有し、Ce酸化物系介在物のうち、円相当直径で1~5μmの寸法を有するCe酸化物系介在物は、鋼板の圧延方向に対して垂直な断面内にて、1cm当たりの個数密度が20個/cm以上である、耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
式(1):1.0×10-5≦(Ce(%))×((T.O(%))≦1.5×10-3
(2)質量%で、Cu:0.01~2.0%、Mo:0.01~3.0%、W:0.002~3.0%、La:0.001~0.05%、および、Y:0.001~0.008%からなる群から選択される1種以上の成分を含む、請求項1に記載の耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
本発明は、CeとT.O(全酸素濃度)の量を適正範囲に制御し、かつ、フェライト系ステンレス鋼板中のCe酸化物系介在物の個数密度を制御することで、等軸晶の多い金属組織を得ることが可能となり、成形加工時のリジングの発生の少ない、耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を得ることができる。
円相当直径1~5μmのCe酸化物系介在物の個数密度(個数/cm)とリジング高さ(μm)との関係を示すグラフである。
本発明の具体的な実施形態について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
(フェライト系ステンレス鋼板)
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、質量%で、C:0.001~0.03%、Si:0.2~1.0%、Mn:0.05~1.0%、P:0.001~0.04%、S:0.001~0.01%、Cr:10.5~31.0%、Al:0.006~0.20%、Nb:0.03~0.8%、Ti:0.01~0.2%、N:0.001~0.03%、Ce:0.01~0.35%、および、T.O(全酸素濃度):0.001~0.01%の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成であって、Ceの含有量とT.Oの含有量の積が、下記に示す式(1)の不等式の関係を満足し、かつ、Ceと酸素(O)が結合して生成されるCe酸化物系介在物が存在する鋼組織を有し、Ce酸化物系介在物のうち、円相当直径で1~5μmの寸法を有するCe酸化物系介在物は、鋼板の圧延方向に対して垂直な断面内にて、1cm当たりの個数密度が20個/cm以上である。以下に、本発明のフェライト系ステンレス鋼板について、詳細に説明する。以下に本発明の成分組成の限定理由について説明する。
(凝固組織の製造)
この耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板(以下、単に「鋼板」と記している。)を得るために、Ce(セリウム)、La(ランタン)、Y(イットリウム)等の希土類金属(以下、「REM」と記すことがある。)で形成される各酸化物の効果を明らかにすべく以下の方法で比較実験を行った。
はじめに、100kg真空溶解炉を用いて原料を投入し、溶解した。用いた炉内耐火物は実操業で使用しているドロマイト系耐火物を用いている。溶解は真空雰囲気下で実施し、溶け落ち後、溶鋼温度を1600℃に保持している。その後、20分間保持した後に脱酸・脱硫を実施する。脱酸・脱硫剤はアルミニウム(Al)を用い、Al脱酸後に、Ce、La、Y等の成分の添加量を変えて添加している。溶融状態の各サンプルは、液相線温度に対して過熱度を約30~50℃に調整した後、鋳型に注入し、凝固させている。得られた鋳塊から所定位置より鋳塊を切断した。その後、切断面をエッチングして凝固組織を現出させている。
(CeとT.Oとの関係)
Ce、La、Yのいずれかを添加した各鋳塊の凝固組織を観察した。
その結果、Ceを添加した鋳塊中において、Ce濃度が0.01~0.35%ならびにT.O(全酸素濃度)が0.001~0.01%で、かつ、式(1)を満足していることで、凝固組織は、大きな柱状晶が発達することなく、小さい結晶粒の多い微細化した凝固組織になっていた。
式(1):1.0×10-5≦(Ce(%))×((T.O(%))≦1.5×10-3
(等軸晶)
溶鋼から鋳塊に至るまで凝固組織を形成し、凝固した状態において等軸晶率を増加させる。具体的には、鋳造前の溶鋼にREM中のCeを適正量添加することで、溶鋼中にCeと酸素(O)が結合して生成されるCe酸化物系の介在物(以下、「Ce酸化物系介在物」と記している。)が生成し、このCe酸化物系介在物が凝固核生成サイトになることで凝固時に微細な等軸晶の結晶粒を多数発生させ、この鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、焼鈍等の処理を実施することで、等軸晶率の高い鋼板を得ることができる。式(1)の中で、Ce(%)、T.O(%)が少ないときには、凝固時における凝固核生成サイトが少なく、等軸晶率を高くすることができず、柱状晶が多くなってしまい、鋼板にしたときにも等軸晶率を高くすることができなかった。式(1)の中で、Ce(%)が多く、T.O(%)が少ないときには生成する溶鋼中のCe酸化物系介在物が少なく、凝固核生成サイトとして作用しない。また、式(1)の中で、Ce(%)が少なく、T.O(%)が多いときには、生成する溶鋼中のCe酸化物系介在物が少なく、等軸晶率を高くすることができなかった。したがって、鋳塊において、かつ、鋼板にしたときにも等軸晶率を高くするためには、式(1)を満足しなければならないことが分かる。
(等軸晶率の評価)
この小さい結晶粒の多い微細化した凝固組織を等軸晶率として式(2)で評価した。等軸晶率は、式(2)に示すように、鋳塊表面全体に占める等軸晶の結晶粒の面積割合(%)を表している。
式(2):等軸晶率(%)=等軸晶組織の面積÷(鋳塊表面全体の面積)×100
本発明のフェライト系ステンレス溶鋼の凝固組織では、等軸晶率が80~98%と高い値であった。
しかしながら、Ce以外のREMに含まれるLa、Y、Sc、Nd等の他の希土類金属、を添加した場合、添加量を変えても凝固組織の等軸晶率を高くする微細化効果は得られなかった。
(Ce酸化物系介在物の評価)
また、各Ce濃度の鋳塊から50mm厚みの熱延用ブロックを切り出した。各ブロックに対して1180~1200℃で約30分間、加熱後、4mm厚の熱延板を得た。その後、熱延板を焼鈍後、表面酸化スケールを取り除き、冷間圧延によって0.8mm厚の冷延鋼板とした。その後、1000℃で冷延鋼板の仕上焼鈍を行い、酸化スケールを酸洗によって除いた。得られた冷延鋼板から圧延方向と平行に、JIS Z2214(金属材料引張試験方法)に既定するJIS-5号試験片を採取した。引張試験機にて15%引張後、板表面のリジングの発生状況を調査した。また、併せて鋼板から介在物調査用サンプルを切り出し、板内部のCe酸化物系介在物の大きさおよび単位面積あたりの個数を調査した。
(Ce酸化物系介在物の円相当直径と個数密度の測定)
Ce酸化物系介在物の具体的調査法であるが、冷延鋼板の圧延方向に対して垂直に板を複数枚、切断(以後、切断面を「C断面」と記述する)、このC断面に対してMQA(Metal Quality Analyzer(登録商標))装置を用いて行った。冷延板の板幅方向におけるC断面のCe酸化物系介在物の大きさは圧延前のCe酸化物系介在物の幅とほぼ変わらない。介在物組成の調査については、MQAの組成分析装置にて実施した。さらに、MQA計測した面積によりCe酸化物系介在物の大きさを円相当直径で算出した。Ce酸化物系介在物における円相当直径とは、対象の面積に相当する真円の直径のことである。また、単位面積あたりのCe酸化物系介在物の個数は、鋼板の圧延方向に対して垂直な断面内にて、1cm当たりの個数を、MQAで介在物組成を計測してCe酸化物系介在物であるとカウントされた個数をもとに個数密度(個数/cm)で算出した。
(Ce酸化物系介在物の個数密度とリジング高さとの関係)
鋼板内部に認められた介在物は、Ce酸化物系介在物であり、円相当直径で1~5μmのCe酸化物系介在物を測定した。さらに、本発明の鋼板内部には、円相当直径1~5μmのCe酸化物系介在物の個数密度(個/cm)が、20(個/cm)以上存在する。鋼板の内部に認められたリジングランクと各Ce濃度の鋼板の単位面積あたりのCe酸化物系介在物の個数密度との相関を検討した。検討の結果を図1に示す。
(耐リジング性の評価)
図1は、円相当直径1~5μmのCe酸化物系介在物の個数密度(個数/cm)とリジング高さ(μm)との関係を示すグラフである。
耐リジング性は、鋼板表面のうねり高さに応じて評価した。鋼板表面のうねり高さの値が大きいほど,耐リジング性は低下する。耐リジング性は、リジング高さ(μm)が、5μm以下をAランク、5μm超え10μm以下をBランク、10μm超え15μm以下をCランク、15μm超え20μm以下をDランク、20μm超えをEランクとして、5段階のランクで評価した。この中で、リジング高さが10μm以下であり、リジングランクが、AおよびBランクのいずれかであれば、鋼板を目視判定してもほとんど凹凸は感知することができないので実用上問題のない耐リジング性であるといえる。また、リジング高さが10μm以上であり、リジングランクでC~Eランクのいずれかであると、鋼板を目視判定して、うねり又は凹凸のリジングが明確に観察することができるため、実用上の問題がある耐リジング性であるといえる。
したがって、図1より、円相当直径で1~5μmのCe酸化物系介在物の個数密度(個/cm)が、20(個/cm)以上で、リジングランクがAおよびBランクで実用上の範囲である鋼板の耐リジング性であることが分かる。
(リジングの抑制)
リジングの発生は、連続鋳造時に生成した粗大な柱状晶組織が熱延工程で十分に破壊されることなく、しかも粗大な柱状晶等の集合組織が残存することに原因があると一般的に考えられている。この集合組織は加工時の割れや異方性など加工性低下の原因ともなる。このような集合組織を抑制するには熱延後に冷延および焼鈍を複数回繰り返して再結晶により金属組織を微細化する手法が有効である。しかし、複数回の冷延・焼鈍を繰り返すのは工程に負荷がかかり、製造コストの上昇や生産性の低下を招くため、安価な鋼板の大量生産に適さない。また、このような手法で集合組織の影響を完全に消失させることは必ずしも容易ではない。Ce酸化物系介在物は、融点が高く容易に軟化しにくく、硬度が硬いことから、熱延加工・冷延加工によっても、Ce酸化物系介在物として破壊され細かくなることがなく、かつ、焼鈍加工等による熱を掛けても、結晶粒の成長を妨げるサイトとして有効に作用する。したがって、Ce酸化物系介在物によって、成形加工時の結晶粒の成長を抑制し、加工時におけるリジングの発生を抑制することができる。
図1から判るようにCe酸化物系介在物の個数が増加する程、リジングランクは改善することがわかった。このリジングランクが改善する理由について凝固組織微細化メカニズムの観点から検討した。普通鋼のケースであるが、異質核を多く生成させて凝固時の核生成サイトとする考えが報告されている(学術文献:B.L.Bramfitt:Metall.Trans.,1(1970),1987.)
(Ce酸化物系介在物の粒径)
また、Ce酸化物系介在物は、円相当直径を1~5μmの範囲にする。円相当直径が1μmから5μmの介在物が必要数存在すると凝固組織が微細化することを見出した。ただし、5μmを越えると、介在物同士が衝突する回数が増大し、凝集合体してクラスター化してしまう。そうなると凝固核生成サイトにはならず、かえって、鋼板の疵の原因になってしまう。以上の検討結果からCe酸化物系介在物の粒径は、円相当直径と個数密度とに対して、そのサイトとしての機能を含めて考慮しなければならない。
(Ce酸化物系介在物の成分)
本発明では、Ce以外のREMに含まれるLa、Y、Sc、Nd等の他の希土類金属では、リジングに対する効果がほとんどなかった。Ce酸化物系介在物は、セリウムと酸素の化合物であり、CeO、Ce等の様々の形態があり、単独でも、複合して形成されてもよい。また、Ce酸化物系介在物には、La、Y、Sc、Nd等の酸化物が含まれることがある。
(フェライト系ステンレス鋼板におけるCeの効果)
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は普通鋼とは異なり、Crを10.5~31.0%含有しているが、C、N濃度が低いため凝固開始から室温に至るまでフェライト相である。ただし、多量のCrを含有しているため、普通鋼の格子定数とは値が異なる。そこで、凝固時に形成される初晶の格子定数とCe酸化物系介在物との結晶不整合度を温度補正して予測した。計算の結果、結晶不整合度は6~9%であった。すなわち、フェライト相の結晶格子間隔とCe酸化物系介在物との結晶格子の間隔のズレは小さく、Ce酸化物系介在物がフェライト相の凝固核生成サイトになりやすい状態であると推測され、その結果、等軸晶率が高くなったものと推察する。その他のREMを添加した場合、添加量を変えても凝固組織の微細化効果は得られなかった。これは、La酸化物、Al酸化物等とフェライト相との結晶格子間隔のズレが大きいためと推察される。
(成分組成)
以下に、本発明の各成分について説明する。なお、ステンレス鋼板中の元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
(C:0.001~0.03%、N:0.001~0.03%)
C(炭素)、N(窒素)は、いずれも耐食性、機械的性質に影響を及ぼす元素である。特にそれぞれが0.03%を超えるとその悪影響が顕著になるので、CおよびNは低濃度にするほど、耐食性等が向上する。しかし、脱C、脱Nはステンレス溶鋼に対して精錬負荷が大きく、C<0.001%、N<0.001%まで低減するのは工業的には不経済である。
(Si:0.2~1.0%)
Si(珪素)は、脱酸剤として有効な元素である。Siが0.2%よりも低い濃度であると脱酸剤としての効果は低下する。さらにSi添加後にCeを添加した場合、すでに生成しているMnO、CrがCe酸化物系介在物と化学反応して、複合酸化物を形成する可能性がある。
この複合酸化物は初晶フェライトとの結晶整合性が良くないため核生成サイトとして有効に作用しない。Si過剰添加の場合も、生成したSiOがCe酸化物系介在物と反応して複合酸化物を生成させてしまう。この場合も、上記したように核生成サイトの役目を果たさない。そのため、Si添加量は0.2~1.0%とする。
(Mn:0.05~1.0%)
Mn(マンガン)は、フェライト系ステンレス鋼の強度を発現させる元素である。Mnが0.05%未満では、この効果は得られない。一方、過剰の添加は冷間加工性の低下を招く。従って、Mn添加量は、0.05~1.0%とする。
(P:0.001~0.04%)
P(リン)は、フェライト系ステンレス鋼の靭性、耐食性を劣化させる元素である。そのため、P添加量の上限値は0.04%とした。P添加量は、少ないほど耐食性が向上するが、ステンレス鋼の脱P精錬は、CrがP活量を低下させるため、熱力学的に極めて難しい。そのため、P添加量の下限値を0.001%とした。
(S:0.001~0.01%)
S(硫黄)は、Laと酸素(O)とともにオキシサルファイド(酸・硫化物)を生成させてしまい、初晶フェライトとの結晶整合性が大きく外れやすくする成分である。このため、S添加量の上限値は0.01%とした。一方、S添加量の下限値は、脱硫精錬を強化すれば可能な濃度であるが、精錬上、耐火物などへの負荷が大きくなるため不経済である。そのためS添加量の下限値は0.001%とした。
(Cr:10.5~31.0%)
Cr(クロム)は、耐食性や耐熱性を確保するために不可欠な元素であり、Cr添加量が10.5%に満たないと十分な耐食性や耐熱性が得られず、一方、Cr添加量が31.0%を超えると、冷間加工性の低下ならびに靭性低下を招くので、Cr添加量は10.5~31.0%の範囲に限定した。尚、特に高い耐食性と加工性が要求される場合には、11~25%とすることが好ましい。
(Al:0.006~0.20%)
Al(アルミニウム)は、Siと同様に脱酸剤として有効な元素である。脱硫して耐食性を向上するためにも必要な元素である。Al添加量が0.006%よりも少ないと、過剰な酸素が残存し、Siが0.2%未満の場合と同様にCeはMn、Cr系酸化物と複合酸化物を形成し核生成サイトとして核生成サイトの役目を果たさなくなる。一方、Al添加量が0.20%を超えると、AlとCeの複合酸化物を生成させてしまうことがある。この場合も核生成サイトの役目を果たさなくなる。そのため、Al添加量は、0.006~0.20%の範囲とした。なお、Alが0.005%以下であれば、Ce酸化物系介在物と複合酸化物を形成することが認められたが、この複合酸化物は凝固核生成サイトにはならず、凝固組織は微細化しなかった。しかし、複合酸化物を形成しない範囲が明確になったことで、脱S、脱N効果、によるフェライト系ステンレス鋼板への貢献のために、0.006%以上添加する。
(Nb:0.03~0.8%、Ti:0.01~0.2%)
Nb(ニオブ)およびTi(チタン)は、フェライト系ステンレス鋼板では、プレス成形性に有害なC,Nを析出固定し、軟質化および加工性向上に有効に寄与する元素である。鋼板の表面欠陥を重視する場合、Tiは添加しない。生成したTiNが表面疵の原因となるからである。よってTiは鋼板の要求特性に応じて選択的に添加する。
Nbは0.8%超え、Tiは0.2%を超えて添加してもその効果は飽和に達する。よってNb添加量の上限は0.8%、Ti添加量の上限は0.2%とした。Nb添加量の下限値は、0.03%、Ti添加量の下限値は0.01%としたが、これは、鋼中のCrとC、Nと反応してCr炭・窒化物を生成させないためのC、N安定剤として最低限必要な濃度である。
(Ce:0.01~0.35%)
Ce(セリウム)は、0.01%未満では溶鋼中に存在するSiやAlなどとCeが酸素と反応して凝固核生成サイトとはならない複合酸化物を生成させてしまう。そのため、Ce添加量の下限値は0.01%である。Ce添加量が0.35%を超えた場合は、酸素親和力が非常に強い元素のため精錬時のスラグや耐火物中の酸素と反応してしまい、Ce酸化物クラスターが生成することがある。クラスターは冷延鋼板の表面疵の原因になりやすいため、Ce添加量の上限値を0.35%とした。
(全酸素量(T.O):0.001~0.01%)
全酸素量(T.O)は凝固核生成サイトの役目を担うCe酸化物系介在物を生成させる重要な元素であり、Ce濃度との関係で式(1)を満たすことが要点である。T.O濃度が0.001%未満の場合は核生成サイトに必要なCe酸化物系介在物の個数が得られない。0.01%を超えると、Ce酸化物系介在物数が多すぎてクラスター化を招きやすくなる。Ce酸化物系介在物のクラスターは冷延鋼板の表面疵の原因となる。
なお、「全酸素量(T.O)」とは、鋼板中の酸素、酸化物や硫酸化物等の介在物として存在している酸素の総和の含有量を意味する。
さらに、本発明のステンレス鋼板では、以下に記載の選択添加成分をさらに含有させてもよい。
(Cu:0.01%~2.0%)
Cu(銅)は、耐食性向上に寄与する元素である。Cuも0.01~2.0%の範囲で添加することが望ましい。
(Mo:0.01%~3.0%)
Mo(モリブデン)は、耐食性をより向上させる元素であり、0.01~3.0%の範囲で添加することが望ましい。
(W:0.002~3.0%)
W(タングステン)も高温強度をより向上させる元素である。ただし、Wは、大変高価な元素であるため、目的の特性に応じた範囲として0.002~3.0%が好ましい。
(Ce以外の希土類金属)
REM(希土類金属:Rare-Earth Metal)は、Sc(スカンジウム)、Yおよびランタノイド系列からなるCe、La、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)等の金属を指しているが、ここでは、Ce、La、Y以外の希土類金属を指している。REMは、Sと親和性が高くS固定元素として作用し、CaS生成抑制効果が見込めるため、0.0005%以上含有させてもよい。ただし、REMを過剰に含有すると鋳造時にノズル閉塞の原因となる他、粗大な硫化物を形成すると却って耐食性の悪化を招く。そのため、REMの合計添加量の上限を0.0100%とする。
(La:0.001~0.1%)
Ceを添加する場合、CeとLa(ランタン)の混合物であるミッシュメタルと称する合金で実施することが多い。ミッシュメタル中に含まれるCeは約70%、Laは約30%の合金である。ミッシュメタルを溶鋼に添加する場合、Ce添加量の上限値は0.35%であるので、La添加量の上限値は0.1%とした。また、ミッシュメタルを溶鋼への添加する場合、この合金の歩留にもよるが、溶鋼には、La添加量の下限値は、通常0.001%程度は混入するため、0.001%とした。
(Y:0.001~0.008%)
Y(イットリウム)は、リジング改善の観点からは不要な元素である。しかしながら、Yは高温強度向上に寄与する元素である。そのため、鋼板の要求特性に応じて添加する場合があるが、Y添加量が0.001~0.008%の範囲であれば、凝固核の役目を担うCe酸化物系介在物生成に影響をほとんど受けない。そのため、Y添加量は、0.001~0.008%の範囲とすることが好ましい。
さらに、以上の成分以外は、残部はFeと不可避的不純物が含まれる。不可避的不純物といては、例えば、Zr(ジルコニウム)、V(バナジウム)、B(ホウ素)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sn(錫)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Zn(亜鉛)、Ta(タンタル)等を0.5%以下で不可避的に含まれることがある。これら元素は本鋼種を現場溶製する際に使用する種々原料から混入するものであるが、上記濃度を超えると熱延時の表面欠陥や鋼板での表面疵の原因となる場合が多い。そのため製造時には、使用する原料中のこれら元素の含有量に留意する必要がある。それぞれが、0.5%以下であれば、フェライト系ステンレス鋼板の耐リジング性に影響を与えることがなく、本発明の効果を阻害するものではない量の混入であれば許容される。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
発明例1~8、比較例1~8におけるフェライト系ステンレス鋼板の金属成分を表1に示している。発明例、比較例のフェライト系ステンレス鋼板を、以下に示す実際の生産ラインで溶製した。連続鋳造法によりスラブを作製し、最終の鋼板にしたときの表面性の判断のために鋼板表面のリジングの発生を確かめた。
電気炉、転炉、真空脱炭装置(VOD)で精錬を実施した。その後、溶鋼が入った取鍋をタンディッシュに移動させて取鍋底部からタンディッシュに溶鋼を注ぎ込んだ。次に、タンディッシュに装着された連続鋳造装置により、浸漬ノズルを介して凝固・冷却後に目標スラブなるよう鋳型に溶鋼を注入した。さらに、このスラブを熱間圧延工程と冷間圧延工程とを経て、冷延板を製造した。さらに、詳細には、表1に示す成分となるように電気炉、転炉、真空脱炭装置(VOD)、タンディッシュ、連続鋳造装置の工程で溶製した。溶製量は1チャージあたり約80トンとした。
Figure 2022150514000002
転炉、真空脱炭装置(VOD)にて脱炭、脱窒素を行った後、真空脱炭装置(VOD)にてAlあるいはSiを用いて脱酸精錬を実施した。脱酸精錬を終えた溶鋼に対してCe、La、Y、Al,Ti等の各元素をFe合金の形、あるいはミッシュメタル(Ce:75%、La:25%)の形態でチャージ毎に変えて投入した。次にタンディッシュに運ばれた溶鋼はタンディッシュを介して鋳型内に注入、幅:約1050mm、厚み:約200mmのスラブを形成すべく連続鋳造した。タンディッシュ内の溶鋼温度は溶鋼の液相線温度よりも約50℃高い状態になるよう調整しながら連続鋳造した。得られたスラブから凝固させたままの状態での介在物形態を調査するサンプルを切り出した。
次に、スラブを熱間圧延の加熱炉に運んで炉内挿入した。炉内温度、約900℃から徐々に温度を上げ、1200℃に達しした後、約30~45分間加熱した。その後、炉内から搬出して粗熱延と仕上げ熱延を実施し、板厚4.5mmの熱延コイルとした。熱延コイルに対して焼鈍を施した後、酸洗して、冷間圧延ならびに焼鈍、酸洗を施して板厚0.8mmの冷延鋼板を得た。
得られた冷延鋼板から、前述した方法と同様な手順で圧延方向と平行に冷延コイルの長手方向、中央付近からJIS-5号試験片を切り出した。併せて試験片を切り出した近傍の領域から介在物観察用の板を複数枚切り出した。これら板について、圧延方向に対して垂直面が観察領域になるように板を重ねて密着させ、介在物の観察に供した。圧延方向に垂直な面であれば上下の圧下方向につぶされたような状態であり、介在物の幅方向の寸法は概ね凝固状態での介在物の直径に近い状態と判断される。このサンプルに対して、前述したようにMQA(自動粒子解析装置:ASPEX Explore VP:FEI社製)を用いて介在物組成ならびに単位面積あたりの介在物個数と撮影した介在物写真を基に円相当直径に換算した。その結果により鋼板内に存在する円相当直径で5μmの介在物について選択して単位面積当たりの数をカウントした。
耐リジング性の評価は前述した方法と同様に、JIS Z2214(金属材料引張試験方法)に既定するJIS-5号試験片伸び15%の引張試験を行い調査した。
得られた結果を等軸晶率と併せて表2に示す。
Figure 2022150514000003
発明例1~8では、Ce、T.Oが本発明の範囲内であり、表2に示すように、式(1)にあるCe(%)とT.O(%)の積の値も本発明の範囲内であった。これによって、鋳塊における凝固組織の等軸晶率が、すべて80%以上になっていた。また、冷延鋼板で観察された円相当直径1~5μmの介在物が、Ce酸化物が主体であることが分かった。また、この介在物の個数密度がすべて20個/cm以上であった。この等軸晶率と個数密度によって、JIS規格JIS Z2214(金属材料引張試験方法)の試験の中で、0.8mm冷延薄板で、耐リジング性に関して、すべてリジング高さ(μm)が、実用上問題のないAランクおよびBランクの評価であった。
比較例1は、YとAlの含有量が過剰で、Ceを含有していない。Ceの含有量(%)とT.Oの含有量(%)の積の値は式(1)を満足しないことから、等軸晶率が30%と低く、かつ、Ce酸化物系介在物が形成されず個数密度は0になっている。これにより、耐リジング性の評価結果はDとなっている。なお、Yは本発明の必須成分ではなく、表2に示すようにY酸化物を形成するが、等軸晶率が低く、耐リジング性への効果は小さかった。
比較例2は、Ceの含有量が過少で式(1)を満足しないことから、等軸晶率が低く、かつ、Ce酸化物系介在物の個数密度が低くなっている。これにより、耐リジング性の評価結果はDとなっている。鋳塊中にAlが形成されるが、等軸晶率が低く、耐リジング性への効果は小さかった。
比較例3は、Ceの含有量が過剰で、また、Alの含有量が過少である。Ceの含有量(%)とT.Oの含有量(%)の積の値は式(1)を満足しているが、等軸晶率が45%と低く、かつ、Ce酸化物系介在物の個数密度は108個/cmと非常に高いが、耐リジング性の評価結果はCとなっている。したがって、耐リジング性を満足するには、式(1)とCe酸化物系介在物の個数密度の両方を満足する必要があることが分かる。
比較例4は、Ceを含有せず、Yを添加したが、T.Oの含有量が過剰であってもCeを含まないので式(1)を満足しないことから、等軸晶率が10%と低く、かつ、Ce酸化物系介在物が形成されず個数密度は0になっている。これにより、耐リジング性の評価結果はDとなっている。
比較例5は、Ceの代わりに希土類金属としてLaを添加したが、Ceを含まないので式(1)を満足しないことから、等軸晶率が25%と低く、かつ、Ce酸化物系介在物が形成されず個数密度は0になっている。これにより、耐リジング性の評価結果はDとなっている。
比較例6は、Y,Sの含有量が過剰で、Yサルファイドを形成し、かつ、Ceの含有量(%)とT.Oの含有量(%)の積の値が小さく式(1)を満足しないことで、等軸晶率が10%と低く、Ce酸化物系介在物の個数密度はわずか5個であるため、耐リジング性の評価結果はDとなっている。
比較例7は、Ceの代わりに希土類金属としてLaを添加したが、Ceを含まないので式(1)を満足しないことから、等軸晶率が30%と低く、かつ、Ce酸化物系介在物が形成されず個数密度は0になっている。これにより、耐リジング性の評価結果はDとなっている。
比較例8は、Alの含有量が過少で、過剰のSを含み、Ceサルファイドを形成することで、Ceの含有量(%)とT.Oの含有量(%)の積の値が式(1)を満足しているが、等軸晶率が40%と低く、かつ、介在物の個数密度は20個/cm以下で、耐リジング性の評価結果はDとなっている。このオキシサルファイドは酸化物の周囲に硫化物が生成するような形態であり、結晶構造がCe単体の酸化物と異なってしまい、結晶不整合度が大きくなったと推察された。
表2の発明例1~8では本発明の範囲を満足しているため、耐リジング性の評価結果が、いずれもAもしくはBと良好であった。一方、比較例1~8は、本発明の範囲から外れてしまったため、耐リジング性の評価結果が、CもしくはDと表面のうねりが大きく実用上の鋼板として適さないことが明らかとなった。本発明では、表面に疵の少ないフェライト系ステンレス熱延・冷延鋼板又はコイルを製造することができる。さらに、これまで表面の疵によって出荷できなかった鋼板の発生を抑え、生産する鋼板の歩留まりを大きく向上させることができる。さらに、鋼板・コイル等の製品の表面の疵の発生を抑えることから、表面を研磨する工程を省略することができる。これらの効果により、本発明は、コスト低減、歩留まり向上、生産性向上に貢献することができる。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.001~0.03%、
    Si:0.2~1.0%、
    Mn:0.05~1.0%、
    P:0.001~0.04%、
    S:0.001~0.01%、
    Cr:10.5~31.0%、
    Al:0.006~0.20%、
    Nb:0.03~0.8%、
    Ti:0.01~0.2%、
    N:0.001~0.03%、
    Ce:0.01~0.35%、および、
    T.O(全酸素濃度):0.001~0.01%
    の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成であって、前記Ceの含有量(%)と前記T.Oの含有量(%)の積が、下記に示す式(1)の不等式の関係を満足し、かつ、前記Ceと前記酸素(O)が結合して生成されるCe酸化物系介在物が存在する鋼組織を有し、
    前記Ce酸化物系介在物のうち、円相当直径で1~5μmの寸法を有するCe酸化物系介在物は、鋼板の圧延方向に対して垂直な断面内にて、1cm当たりの個数密度が20個/cm以上である、耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
    式(1):1.0×10-5≦(Ce(%))×((T.O(%))≦1.5×10-3
  2. 質量%で、
    Cu:0.01~2.0%、
    Mo:0.01~3.0%、
    W:0.002~3.0%、
    La:0.001~0.05%、および、
    Y:0.001~0.008%からなる群から選択される1種以上の成分を含む、請求項1に記載の耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
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