JP2022149082A - 装飾体 - Google Patents
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Abstract
【課題】明度の変化を利用して立体感をより強く感じられる装飾体を提供する。【解決手段】装飾体101は、その外観をなす有色透明カバー3と、カバー内面31との間に空間5を隔てて配置される反射板4と、を備える。反射板4は、有色透明カバー3を透過した光を反射する反射面41を有する。カバー内面31及び反射面41において、空間5に対して凹む部位を凹部33、44と定義し、空間5に対して突出する部位を凸部34、43と定義する。カバー内面31と反射面41とに互いに同じパターンの、凹部と凸部とが交互に配置された凹凸形状が形成されている。有色透明カバー3の外面36に正対して見たとき、有色透明カバー3と反射板4とは、「カバー内面31の凹部33の位置と反射面41の凸部43の位置とが一致し、カバー内面31の凸部34の位置と反射面41の凹部44の位置とが一致する重複位置」に配置されている。【選択図】図2
Description
本発明は、立体感を有する板状の装飾体に関する。
従来、車両等の外装部品として用いられる板状の装飾体において、板の表面に凹凸形状を形成したものが知られている。
例えば特許文献1に開示された車両用擬似灯具では、前面レンズの内面に、凹状の魚眼レンズと凸状の魚眼レンズとが所定領域毎に交互に形成されている。また、ランプボディの内面が凹凸状に形成されるとともに内面に反射処理が施されている。
特許文献1では、前面レンズの凹レンズ効果及び凸レンズ効果によりランプボディの内面が縮小又は拡大して見えることを理由として奥行き感が生じるものと記載されている。しかし、前面レンズの板厚の違いによる明度の変化には着目されていない。また、明度の変化と立体感との関連について何ら言及されていない。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、明度の変化を利用して立体感をより強く感じられる装飾体を提供することにある。
本発明の装飾体は、有色透明カバー(3)と反射板(4)とを備える。有色透明カバーは、装飾体の外観をなす。反射板は、有色透明カバーの内面であるカバー内面(31)との間に空間(5)を隔てて配置される。反射板は、有色透明カバーを透過した光を反射する反射面(41)を有する。
カバー内面及び反射面において、空間に対して凹む部位を凹部(33、44)と定義し、空間に対して突出する部位を凸部(34、43)と定義する。カバー内面と反射面とに、互いに同じパターンの、凹部と凸部とが交互に配置された凹凸形状が形成されている。
本発明の第1の態様では、有色透明カバーの外面(36)に正対して見たとき、有色透明カバーと反射板とは、「カバー内面の凹部の位置と反射面の凸部の位置とが一致し、カバー内面の凸部の位置と反射面の凹部の位置とが一致する重複位置」に配置されている。
本発明の第2の態様では、有色透明カバーの外面(36)に正対して見たとき、有色透明カバーと反射板とは、「カバー内面の凹部の位置と反射面の凸部の位置とが一致し、カバー内面の凸部の位置と反射面の凹部の位置とが一致する重複位置」から所定のオフセット長だけずらして配置されている。オフセット長は、有色透明カバーにおいて隣接する凹部同士又は凸部同士のピッチの4分の1未満に設定される。
本発明では、有色透明カバーに凹凸形状を形成することで、板厚変化による色彩の濃淡差が生じ、立体感が増す。また、有色透明カバーと反射板とに同じパターンの凹凸形状を形成し、有色透明カバーと反射板とを重複位置に配置、又は重複位置から微小なオフセット長ずらして配置することで、コントラストが大きくなる。したがって、立体感がより強く感じられる。
以下、本発明の第1、第2実施形態による装飾体を図面に基づいて説明する。この実施形態の装飾体は、例えばフロントグリル等の車両外装部品として用いられる。第1実施形態と第2実施形態とは、いずれも構成要素や概略構成は共通しており、構成要素同士の配置がわずかに異なる。共通事項については第1実施形態の説明に記載し、第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について記載する。第1、第2実施形態の装飾体の符号をそれぞれ「101」、「102」とする。
(第1実施形態)
図1~図6を参照し、第1実施形態の装飾体101について説明する。図1に示すように、装飾体101は車両のフロントグリルとして用いられる。通常、需要者は、図1の視方向である「正面」に対し、左右及び上方に45°程度の範囲内の方向から装飾体101の外観を観察する可能性がある。以下、装飾体101を観察したときに感じる感覚表現について、特に断らない限り、このような視方向からの観察を前提とする。
図1~図6を参照し、第1実施形態の装飾体101について説明する。図1に示すように、装飾体101は車両のフロントグリルとして用いられる。通常、需要者は、図1の視方向である「正面」に対し、左右及び上方に45°程度の範囲内の方向から装飾体101の外観を観察する可能性がある。以下、装飾体101を観察したときに感じる感覚表現について、特に断らない限り、このような視方向からの観察を前提とする。
図1、図3に示すように、装飾体101は、右上から左下に向かって真っ直ぐ延びる第1のラインL1と、左上から右下に向かって折れ曲がりながら進む第2のラインL2とが組み合わされた柄を呈している。第2のラインL2は、隣接する第1のラインL1間を左上から右下に傾斜する部分と、隣接する第1のラインL1間を上下に結ぶ部分とが交互に繰り返されている。
図2、図4に示すように、装飾体101は、有色透明カバー3と反射板4とを備える。有色透明カバー3と反射板4とは空間5を隔てて略平行に配置されている。有色透明カバー3について、空間5側の面をカバー内面31といい、図1の視方向に現れる面をカバー外面36という。反射板4について、空間5側の面を反射板4といい、空間5とは反対側の面を裏面46という。カバー内面31と反射面41とは空間5を隔てて対向している。
有色透明カバー3は、装飾体101の外観をなす。有色透明カバー3は、透明樹脂材に黒系、赤系、青系等の色彩顔料を添加した板厚2~5mm程度の有色透明材で形成されている。有色透明材に形成された意匠彫り込み形状に板厚変化を加えることで、色彩の濃淡差が生じる。色彩の濃淡差が大きいと、意匠彫り込み形状の立体感を増すことができる。
図5、図6を参照し、有色透明材の板厚と明度との関係について説明する。明度はL値で表される。板厚変化による濃淡差の大きい黒系、赤系、青系の3種の有色透明材が選択され、2~5mmの間で0.5mmずつ板厚を変化させた各7通りのサンプルが用意された。図5に示すように、測定対象である有色透明材の各サンプルは、白色校正板の上に置かれた状態で測定器により明度が測定された。
図6に示すように、各サンプルの明度は、板厚が薄いほど高く、板厚が厚いほど低くなるという結果が得られた。黒系及び赤系のサンプルでは、板厚の差による明度の差が特に大きく現れた。このように明度の変化量が大きい有色透明材を用いることで、立体感効果がより増大する。
図2、図4に戻り、反射板4の反射面41は、有色透明カバー3を透過した光を反射する。図4に示すように。反射面41の表層42には、メタリック塗装、又は、シルバーや明るい色のめっきが施されている。めっきには、湿式めっき及び乾式めっき(蒸着)が含まれる。
カバー内面31において、空間5に対して凹む部位を凹部33と定義し、空間5に対して突出する部位を凸部34と定義する。カバー内面31には、凹部33と凸部34とが交互に配置された凹凸形状が形成されている。また、反射面41において、空間5に対して凹む部位を凹部44と定義し、空間5に対して突出する部位を凸部43と定義する。反射面41には、凹部44と凸部と43とが交互に配置された凹凸形状が形成されている。
図1、図3の柄は、カバー内面31及び反射面41に形成された互いに同じパターンの凹凸形状が透けて見えることにより視認される。つまり、カバー内面31と反射面41とに互いに同じパターンの凹凸形状が形成されることで、デザイン性のある柄として視認される。以上の事項が第1実施形態及び第2実施形態における共通事項に該当する。
続いて第1実施形態の装飾体101に特有の事項について説明する。有色透明カバー3の外面36に正対して装飾体101を見たとき、有色透明カバー3と反射板4とは、次のように定義される「重複位置」に配置されている。重複位置では、カバー内面31の凹部33の位置と反射面41の凸部43の位置とが一致し、カバー内面31の凸部34の位置と反射面41の凹部44の位置とが一致する。
図2、図4において、有色透明カバー3の外面36に直交し、カバー内面31の凹部33を通る直線をカバー凹凸基準線Cとし、反射面41の凸部43を通る直線を反射板凹凸基準線Rとする。第1実施形態の装飾体101では、カバー凹凸基準線Cと反射板凹凸基準線Rとが一致している。
重複位置では、有色透明カバー3の板厚が薄く明度が高い部位において、反射面41が有色透明カバー3に近接しているため、明るい部位がより明るく見える。逆に有色透明カバー3の板厚が厚く明度が低い部位において、反射面41が有色透明カバー3から離れているため、暗い部位がより暗く見える。したがって、コントラストが大きくなる。その上で、正面以外の角度から見たとき、有色透明カバー3と反射板4との凹凸形状がずれて見えるため、立体感をより強く感じることができる。
(第2実施形態)
次に図7、図8を参照し、第2実施形態の装飾体102について説明する。図7、図8は、第1実施形態の図3、図4に対応する。図7に示すように、装飾体102では、装飾体101の柄と、装飾体101の柄を斜め下方向にずらした柄とが重なって見えている。つまり、有色透明カバー3と反射板4とは、重複位置からずらして配置されている。図8に示すように、カバー凹凸基準線Cと反射板凹凸基準線Rとはオフセット長δだけずれている。
次に図7、図8を参照し、第2実施形態の装飾体102について説明する。図7、図8は、第1実施形態の図3、図4に対応する。図7に示すように、装飾体102では、装飾体101の柄と、装飾体101の柄を斜め下方向にずらした柄とが重なって見えている。つまり、有色透明カバー3と反射板4とは、重複位置からずらして配置されている。図8に示すように、カバー凹凸基準線Cと反射板凹凸基準線Rとはオフセット長δだけずれている。
第2実施形態では、第1実施形態のコントラスト効果をある程度確保した上で、正面から見たとき、有色透明カバー3と反射板4との凹凸形状がずれて見えるため、立体感をより強く感じることができる。
ところで、オフセット長δを大きく設定し過ぎるとコントラスト効果が低下することが懸念される。仮に、有色透明カバー3において隣接する凹部33同士又は凸部34同士のピッチPの2分の1にオフセット長δを設定すると、カバー内面31の凹部33の位置と反射面41の凹部44の位置とが一致し、カバー内面31の凸部34の位置と反射面41の凸部43の位置とが一致する。この位置を「逆転位置」とする。逆転位置では、有色透明カバー3の板厚による明度と反射板4の作用とが相殺する。
そこで、重複位置と逆転位置との中間よりも重複位置に近くなるように、オフセット長δを設定することが好ましい。よって、オフセット長δは、有色透明カバー3において隣接する凹部33同士又は凸部34同士のピッチPの4分の1未満に設定される。
最適なオフセット長δは、例えば空間5の距離や反射面41の表層42の処理具合等にも依存する。また、オフセットさせる方向も、柄のデザイン性や、需要者が装飾体102をより多く見ると想定される角度等に応じて適宜選択されることが好ましい。
(柄のバリエーション)
図9~図16に、第1、第2実施形態を応用した装飾体の柄のバリエーションを示す。第1実施形態を応用した2種類の柄のバリエーションをA1、B1とする。図9に示す柄のバリエーションA1では、菱形と、隣り合う菱形の辺の間に挟まれた平行四辺形とが組み合わされている。図11に示す柄のバリエーションA2では、斜めに交差する波状の曲線によって略菱形の網目柄が描かれている。
図9~図16に、第1、第2実施形態を応用した装飾体の柄のバリエーションを示す。第1実施形態を応用した2種類の柄のバリエーションをA1、B1とする。図9に示す柄のバリエーションA1では、菱形と、隣り合う菱形の辺の間に挟まれた平行四辺形とが組み合わされている。図11に示す柄のバリエーションA2では、斜めに交差する波状の曲線によって略菱形の網目柄が描かれている。
図10、図12に示すように、各柄A1、B1に対応して有色透明カバー3及び反射板4の凹凸形状の位置が決められている。柄A1の断面を示す図10では、第1実施形態の図2、図4とは逆に、カバー内面31の凸部34を通る直線をカバー凹凸基準線Cとし、反射面41の凹部44を通る直線を反射板凹凸基準線Rとする。柄A2の断面を示す図12では、第1実施形態の図2、図4と同様に、カバー内面31の凹部33を通る直線をカバー凹凸基準線Cとし、反射面41の凸部43を通る直線を反射板凹凸基準線Rとする。図10、図12のいずれにおいても、カバー凹凸基準線Cと反射板凹凸基準線Rとは一致している。つまり、有色透明カバー3と反射板4とは、重複位置に配置されている。
第2実施形態を応用した柄のバリエーションA2、B2は、それぞれ図13、図15に示すように、A1、B1の柄と、A1、B1の柄を斜め下方向にずらした柄とを重ねたものである。図14、図16に示すように、カバー凹凸基準線Cと反射板凹凸基準線Rとはずれている。つまり、有色透明カバー3と反射板4とは、重複位置からずらして配置されている。
このように第1実施形態又は第2実施形態を応用した各柄のバリエーションでは、上述の通り、明度の変化を利用して立体感をより強く感じることができる。
(他の実施形態)
本発明の装飾体は、車両外装部品に限らず、建築外装品、家具、インテリア雑貨など、デザイン性が要求されるあらゆる物品に適用可能である。
本発明の装飾体は、車両外装部品に限らず、建築外装品、家具、インテリア雑貨など、デザイン性が要求されるあらゆる物品に適用可能である。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
101、102・・・装飾体、
3 ・・・有色透明カバー、
31・・・カバー内面、 33・・・凹部、 34・・・凸部、 36・・・外面、
4 ・・・反射板、
41・・・反射面、 43・・・凸部、 44・・・凹部、
5 ・・・空間。
3 ・・・有色透明カバー、
31・・・カバー内面、 33・・・凹部、 34・・・凸部、 36・・・外面、
4 ・・・反射板、
41・・・反射面、 43・・・凸部、 44・・・凹部、
5 ・・・空間。
Claims (4)
- 装飾体の外観をなす有色透明カバー(3)と、
前記有色透明カバーの内面であるカバー内面(31)との間に空間(5)を隔てて配置され、前記有色透明カバーを透過した光を反射する反射面(41)を有する反射板(4)と、
を備え、
前記カバー内面及び前記反射面において、前記空間に対して凹む部位を凹部(33、44)と定義し、前記空間に対して突出する部位を凸部(34、43)と定義すると、
前記カバー内面と前記反射面とに、互いに同じパターンの、前記凹部と前記凸部とが交互に配置された凹凸形状が形成されており、
前記有色透明カバーの外面(36)に正対して見たとき、
前記有色透明カバーと前記反射板とは、前記カバー内面の前記凹部の位置と前記反射面の前記凸部の位置とが一致し、前記カバー内面の前記凸部の位置と前記反射面の前記凹部の位置とが一致する重複位置に配置されている装飾体。 - 装飾体の外観をなす有色透明カバー(3)と、
前記有色透明カバーの内面であるカバー内面(31)との間に空間(5)を隔てて平行に配置され、前記有色透明カバーを透過した光を反射する反射面(41)を有する反射板(4)と、
を備え、
前記カバー内面及び前記反射面において、前記空間に対して凹む部位を凹部(33、44)と定義し、前記空間に対して突出する部位を凸部(34、43)と定義すると、
前記カバー内面と前記反射面とに、互いに同じパターンの、前記凹部と前記凸部とが交互に配置された凹凸形状が形成されており、
前記有色透明カバーの外面(36)に正対して見たとき、
前記有色透明カバーと前記反射板とは、前記カバー内面の前記凹部の位置と前記反射面の前記凸部の位置とが一致し、前記カバー内面の前記凸部の位置と前記反射面の前記凹部の位置とが一致する重複位置から所定のオフセット長だけずらして配置されており、
前記オフセット長は、前記有色透明カバーにおいて隣接する前記凹部同士又は前記凸部同士のピッチの4分の1未満に設定される装飾体。 - 前記反射面は、メタリック塗装又はめっきが施されている請求項1または2に記載の装飾体。
- 車両外装部品として用いられる請求項1~3のいずれか一項に記載の装飾体。
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JP2021051051A JP2022149082A (ja) | 2021-03-25 | 2021-03-25 | 装飾体 |
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