JP2022144100A - アーク溶接装置及びアーク溶接方法 - Google Patents

アーク溶接装置及びアーク溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設定電圧を適宜制御することによって、立上り及び立下りでの溶接電流の急激な変動を抑制できるアーク溶接装置及びアーク溶接方法を提供する。【解決手段】母材に形成される凹状の溶融部分の内側空間に前記溶接ワイヤの先端部を挿入してアーク溶接を行うアーク溶接装置において、前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるために設定電圧の制御を行い、前記溶接電流に上昇及び下降間の転換が生じる際に前記溶接電流の変動を制御する電源部を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、消耗電極式のアーク溶接装置及びアーク溶接方法に関する。
アーク溶接は、溶接トーチのチップに保持された溶接ワイヤの先端を母材に設けた開先に近接させ、溶接ワイヤと母材との間に電圧を印加し、アークを生じさせて実行される。
一般的なアーク溶接に比して、高速で溶接ワイヤの送給を行い、かつ300A以上の大電流を供給することによって、厚板の1パス溶接を実現する技術がある。溶接ワイヤの高速送給及び大電流供給を行うと、母材に凹状の溶融部分が形成され、溶融部分によって囲まれた斯かる溶融部分の内側空間に溶接ワイヤの先端部が進入する。このように、溶接ワイヤの先端部が母材表面よりも深部に進入することによって、溶融部分が母材の厚み方向裏面側にまで貫通し、1パス溶接が可能になる。以下、凹状の溶融部分によって囲まれる内側空間を埋もれ空間と称し、該埋もれ空間に進入した溶接ワイヤの先端部と母材又は溶融部分との間に発生するアークを、埋もれアークと称する。
例えば、特許文献1には、埋もれアークを用いる埋もれアーク溶接において、埋もれ空間の安定的な維持のため、設定電圧を周期的に変動させることによって、溶接ワイヤを流れる溶接電流を周期的に変動させることが開示されている。
特開2017-144480号公報
ところが、特許文献1の如く、埋もれ空間を安定的に維持するために設定電圧を変動させる際に、設定電圧が矩形波形状に変動する場合、即ち、立上り及び立下りでの設定電圧の変動が急である場合は、これに伴って変動する溶接電流も立上り及び立下りにて急激に変動する。このように、溶接電流が急激に立上り、又は、立下がる場合、溶融部分の状態が不安定になる、又は、アークが不安定になるという問題があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設定電圧を適宜制御することによって、立上り及び立下りでの溶接電流の急激な変動を抑制できるアーク溶接装置及びアーク溶接方法を提供することにある。
本発明に係るアーク溶接装置は、母材に形成される凹状の溶融部分の内側空間に前記溶接ワイヤの先端部を挿入してアーク溶接を行うアーク溶接装置において、前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるために設定電圧の制御を行い、前記溶接電流に上昇及び下降間の転換が生じる際に前記溶接電流の変動を制御する電源部を備える。
本発明にあっては、前記電源部が前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるための設定電圧を制御することによって、前記溶接電流が上昇から下降、又は、下降から上昇に転換する際、前記溶接電流の急激な変化を抑制する。
本発明に係るアーク溶接装置は、前記電源部は、前記設定電圧を交互に上限値と下限値とに切り替え、下限値から上限値への切り替え、又は、上限値から下限値への切り替えを、第1時間かけて行う。
本発明にあっては、前記電源部が、前記設定電圧の下限値から上限値への切り替え、又は、上限値から下限値への切り替えを第1時間かけて行うので、斯かる切り替えの際の前記溶接電流の急激な変化を抑制できる。
本発明に係るアーク溶接装置は、前記設定電圧は、前記第1時間の間、一定割合で変化する。
本発明にあっては、前記電源部は、前記第1時間の間、一定割合で前記設定電圧を変化させるので、前記溶接電流の急激な変化を抑制できる。
本発明に係るアーク溶接装置は、前記第1時間の前半における前記設定電圧の変化は、前記第1時間の後半よりも小さい。
本発明にあっては、前記電源部は、前記第1時間の前半における変化が前記第1時間の後半よりも小さくなるように前記設定電圧を変化させるので、前記溶接電流の急激な変化を抑制できる。
本発明に係るアーク溶接装置は、前記電源部は上限値及び下限値にて前記設定電圧を第2時間維持させ、前記第1時間は前記第2時間の5-15%である。
本発明にあっては、前記第1時間は、設定電圧が上限値及び下限値にて維持される前記第2時間の5-15%であるので、アーク溶接への影響を最小限にしつつ、前記溶接電流の急激な変化を抑制できる。
本発明に係るアーク溶接装置は、前記第1時間は前記第2時間の8-12%である。
本発明にあっては、前記第1時間は、設定電圧が上限値及び下限値にて維持される前記第2時間の8-12%であるので、アーク溶接への影響を最小限にしつつ、前記溶接電流の急激な変化を抑制できる。
本発明に係るアーク溶接方法は、母材に形成される凹状の溶融部分の内側空間に前記溶接ワイヤの先端部を挿入してアーク溶接を行うアーク溶接方法において、前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるために設定電圧の制御を行い、前記溶接電流に上昇及び下降間の転換が生じる際に前記溶接電流の変動を制御する。
本発明にあっては、前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるための設定電圧の制御によって、前記溶接電流が上昇から下降、又は、下降から上昇に転換する際、前記溶接電流の急激な変化が抑制される。
本発明によれば、設定電圧を適宜制御することによって、前記設定電圧に伴って変動する溶接電流が立上り及び立下りで急激に変動することを抑制できる。
実施形態1に係るアーク溶接装置の一構成を示す模式図である。 実施形態1に係るアーク溶接装置におけるアーク溶接の手順を示すフローチャートである。 溶接対象の母材を示す側断面図である。 電源部によって生成された設定電圧と、該設定電圧に応じた溶接電流の変動を示すグラフである。 実施形態1に係る埋もれアーク溶接の様子を示す模式図である。 実施形態2に係るアーク溶接装置にて電源部により生成された設定電圧を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態に係るアーク溶接装置及びアーク溶接方法を、図面に基づいて詳述する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアーク溶接装置100の一構成を示す模式図である。実施形態1に係るアーク溶接装置100は、いわゆる消耗電極式のガスシールドアーク溶接装置であり、手動又は半自動によるアーク溶接に用いられる。アーク溶接装置100は、埋もれアークを用いる埋もれアーク溶接及びオープンアーク溶接のいずれの溶接も行うことができる。
アーク溶接装置100は、溶接電源1、トーチ2及びワイヤ送給部3を備える。
トーチ2は、コンタクトチップ及びノズルを有する(図示せず)。コンタクトチップは、軸心を貫通する細径の孔を有する丸棒形状であり、銅合金等の導電性材料からなり、母材4の被溶接部へ溶接ワイヤ5を案内すると共に、アーク7(図5参照)の発生に必要な溶接電流Iを供給する。また、コンタクトチップは、その内部を挿通する溶接ワイヤ5に接触し、溶接電流Iを溶接ワイヤ5に供給する。更に、トーチ2は、コンタクトチップを囲繞する円筒形状をなし、被溶接部へシールドガスを噴射するノズルを有する。シールドガスは、アーク7によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の酸化を防止するためのものである。シールドガスは、例えば炭酸ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスの混合ガス、アルゴン等の不活性ガス等である。
溶接ワイヤ5は、例えばソリッドワイヤであり、その直径は0.9mm以上1.6mm以下であり、消耗電極として機能する。溶接ワイヤ5は、例えば、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。
ワイヤ送給部3は、溶接ワイヤ5をトーチ2へ送給する送給ローラと、当該送給ローラを回転させるモータとを有する。ワイヤ送給部3は、送給ローラを回転させることによって、ペールパック又はワイヤリールから溶接ワイヤ5を引き出し、引き出された溶接ワイヤ5をトーチ2へ所定速度で供給する。溶接ワイヤ5の送給速度は、埋もれアーク溶接の場合、例えば、約5~100m/分である。
溶接電源1は、給電ケーブルを介して、トーチ2のコンタクトチップ及び母材4に接続されており、溶接電流Iを供給する電源部11と、溶接ワイヤ5の送給速度を制御する送給速度制御回路12とを備える。
電源部11は、定電圧特性の電源であり、トーチ2のコンタクトチップ及び母材4に出力する電圧を制御することによって、溶接電流Iを周期的に上下させる制御を行う。電源部11は、PWM制御された直流電流を出力する電源回路11a、電圧制御回路11b、電流等設定回路11d、電圧検出部11e及び電流検出部11fを備える。
電流等設定回路11dは、溶接電流Iの設定電流値を示す電流設定信号Irを電圧制御回路11b及び送給速度制御回路12へ出力する。送給速度制御回路12は電流設定信号Irに基づいて溶接ワイヤ5の送給速度を制御する。埋もれアーク溶接の際、電流等設定回路11dは、300A以上の設定電流値、好ましくは300A以上1000A以下の設定電流値、より好ましくは500A以上800A以下の設定電流値を示す電流設定信号Irを電圧制御回路11b及び送給速度制御回路12へ出力する。
また、電流等設定回路11dは、母材4及び溶接ワイヤ5間の溶接電圧V及び溶接電流Iを周期的に変動させる周波数、周期的に変動する溶接電流Iの振幅、周期的に変動する溶接電流Iの平均電流等を定め、溶接電流Iが目標とする周波数、電流振幅及び平均電流となるように設定された設定電圧を生成する。電流等設定回路11dは、設定された設定電圧を示した出力電圧設定信号Erを電圧制御回路11bへ出力する回路である。
電圧検出部11eは、溶接電圧Vを検出し、検出した電圧値を示す電圧値信号Vdを電圧制御回路11bへ出力する。
電流検出部11fは、例えば、溶接電源1からトーチ2を介して溶接ワイヤ5へ供給され、アーク7を流れる溶接電流Iを検出し、検出した電流値を示す電流値信号Idを電流等設定回路11dへ出力する。
電圧制御回路11bは、定電圧特性で動作し、出力電圧設定信号Erに応じた電圧が電源回路11aから出力されるように、電源回路11aの動作を制御する回路である。電圧制御回路11bは、溶接電源1の通電経路に存在する電気抵抗R及びリアクトルLを電子的に制御し、定電圧特性を実現する。
また、電圧制御回路11bは、電圧検出部11eから出力された電圧値信号Vdと、電流等設定回路11dから出力された電流設定信号Ir及び出力電圧設定信号Erとに基づいて、差分信号Eiを算出し、算出した差分信号Eiを電源回路11aへ出力する。差分信号Eiは、検出された電流値と、電源回路11aから出力されるべき電流値との差分を示す信号である。
電源回路11aは、商用交流を交直変換するAC-DCコンバータ、交直変換された直流をスイッチングにより所要の交流に変換するインバータ回路、変換された交流を整流する整流回路等を備える。電源回路11aは、電圧制御回路11bから出力された差分信号Eiに従って、差分信号Eiが小さくなるようにインバータをPWM制御し、電圧を溶接ワイヤ5へ出力する。その結果、母材4及び溶接ワイヤ5間に、周期的に上下する溶接電圧Vが印加され、周期的に上下する溶接電流Iが通電する。
なお、溶接電源1には、図示しない制御通信線を介して外部から出力指示信号が入力されるように構成されており、電源部11は、出力指示信号をトリガにして、電源回路11aに電圧の供給を開始させる。出力指示信号は、例えば、トーチ2側に設けられた手元操作スイッチが操作された際にトーチ2側から溶接電源1へ出力される信号である。
図2は、本実施形態に係るアーク溶接装置100におけるアーク溶接の手順を示すフローチャートであり、図3は、溶接対象の母材4を示す側断面図である。
以下では、例えば、溶接ワイヤ5として直径1.4mmのソリッドワイヤを用い、シールドガスとして炭酸ガスを用いており、溶接電流が500A、溶接電圧が42Vである埋もれアーク溶接を行う場合を例に説明する。また、設定電圧は±10V、かつ周期11msにて変動させる。
まず、接合されるべき一対の母材4を用意し、電圧及び電流を含む溶接条件、溶接モード等の設定を行う(ステップS11)。例えば、図3に示すように板状の第1母材41及び第2母材42を用意し、被溶接部である端面41a、42aを突き合わせて、所定の溶接作業位置に配する。なお、必要に応じて、第1母材41及び第2母材42にY形、レ形等の任意形状の開先を設けても良い。第1及び第2母材41、42は、例えば軟鋼、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼等の鋼板である。
各種設定が行われた後、溶接電源1は、前記出力指示信号が入力されたか否かを判定することによって、電圧の出力開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS12)。出力指示信号が入力されておらず、電圧の出力開始条件を満たさないと判定した場合(ステップS12:NO)、溶接電源1は、出力指示信号の入力まで斯かる判定を繰り返して行う。
電圧の出力開始条件を満たすと判定した場合(ステップS12:YES)、溶接電源1の送給速度制御回路12は、溶接ワイヤ5の送給を指示する送給指示信号を、ワイヤ送給部3へ出力し、電流設定信号Irに応じた速度で溶接ワイヤ5を送給させる(ステップS13)。
次いで、溶接電源1の電源部11は、電圧検出部11e及び電流検出部11fにて溶接電圧V及び溶接電流Iを検出し(ステップS14)、検出された溶接電圧V及び溶接電流I並びに溶接電源1の外部特性が、設定された溶接条件に一致するように、電源部11の出力をPWM制御する(ステップS15)。例えば、電源部11は、100Aの溶接電流Iの増加に対する溶接電圧Vの低下が2V以上20V以下となる外部特性を有する。
即ち、電源部11は、定電圧特性において、検出された溶接電流Iの周波数、電流振幅及び平均電流が設定された溶接条件に一致し、溶接電流Iが周期的に上下するように、設定電圧を生成して出力することによって、PWM制御を行う。
更に、本実施形態に係るアーク溶接装置100においては、設定電圧を適宜制御することによって、周期的に上下に変動する溶接電流Iにおいて、上昇及び下降間の転換が生じる極値部で溶接電流Iが急激に変化することを制御する。以下、詳しく説明する。
図4は、電源部11によって生成された設定電圧と、該設定電圧に応じた溶接電流Iの変動を示すグラフである。図4に示す各グラフの横軸は時間を示し、図4A-図4Bに示す各グラフの縦軸はそれぞれ、設定電圧及び溶接電流Iである。
本実施形態に係るアーク溶接装置100においては、定電圧特性の電源部11が、図4Aに示すように、設定電圧を周期的に上下させる。例えば、10Hz以上1000Hz以下の周波数、好ましくは50Hz以上300Hz以下の周波数、より好ましくは80Hz以上200Hz以下の周波数で設定電圧を周期的に上下させると良い。
図4Aの如く、設定電圧は、交互に、上限値(+10V)と下限値(-10V)とに切り替えられる。即ち、半周期毎に、下限値から上限値へ切り替えられ、又は、上限値から下限値へ切り替えられる。下限値から上限値への上向切り替え、及び、上限値から下限値への下向切り替えは、第1時間かけて行われる。即ち、上向切り替えの場合、前記第1時間の間、設定電圧が徐々に下限値から上限値へ直線状に一定割合で上昇し続ける。また、下向切り替えの場合、前記第1時間の間、設定電圧が徐々に上限値から下限値へ直線状に一定割合で下降し続ける。換言すれば、設定電圧における立上りエッジ及び立下りエッジが横軸に対して斜めである。
上向切り替えの後、設定電圧は上限値で第2時間維持された後、下限値に切り替えられる。下向切り替えの後、設定電圧は下限値で第2時間維持された後、上限値に切り替えられる。
上述の如く、設定電圧の変動周期は11msであり、前記第1時間は0.5msであって、前記第2時間は5msである。即ち、上向切り替え及び下向切り替えは、上限値又は下限値が維持される第2時間の10%の時間に亘って行われる。
このように設定電圧を周期的に上下させると、これに伴い、図4Bに示すように溶接電流Iも周期的に上下する。上述の如く、本実施形態のアーク溶接装置100においては、設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えが所定の時間をかけて行われるように制御されている。即ち、設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えが急に起きないように、つまり設定電圧における立上りエッジ及び立下りエッジが垂直にならないように制御されている。
これによって、上下に変動する溶接電流Iにおいて極値部での急激な変化が抑制され、緩やかに制御されている。即ち、溶接電流Iが下向を終えて上向に転じる極小部(図4のP1参照)、及び、溶接電流Iが上向を終えて下向に転じる極大部(図4のP2参照)で、溶接電流Iは曲線を描いて緩やかに変化している。
図5は実施形態1に係る埋もれアーク溶接の様子を示す模式図である。例えば、平均電流300A以上の溶接電流Iが溶接ワイヤ5に供給され、約5~100m/分で溶接ワイヤ5が送給されている。この際、溶接ワイヤ5の先端部5a及び被溶接部間に発生したアーク7の熱によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の溶融金属からなる凹状の溶融部分6が母材4に形成され、溶接ワイヤ5の先端部5aが溶融部分6によって囲まれる埋もれ空間6aに進入する。電源部11が溶接電流I(設定電圧)を周期的に上下させると、溶接ワイヤ5が埋もれ空間6aに深く進入し、溶接ワイヤ5の先端部5a及び溶融部分6の底部61間にアーク7が発生する第1状態(図5A参照)と、溶接ワイヤ5が埋もれ空間6aに浅く進入し、先端部5a及び溶融部分6の側部62間にアーク7が発生する第2状態(図5B参照)とが周期的に発生する。
第1状態においては、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに深く進入し、溶融部分6の底部61に照射されるアーク7によって、深い溶け込みが得られる。また、第2状態においては、溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに浅く進入し、溶融部分6の側部62に照射されるアーク7の力によって溶融部分6が支えられる。
上述の如く、溶接電流Iを周期的に上下させることによって第1状態と第2状態とが周期的に繰り返して発生するので、埋もれ空間6aを安定的に維持することができる。
図2の説明に戻る。次いで、溶接電源1の電源部11は、溶接電流Iの出力を停止するか否かを判定する(ステップS16)。斯かる判定は、出力指示信号の入力が継続しているか否かに基づいて行われる。出力指示信号の入力が継続している場合、電源部11は電圧の出力を停止しないと判定し(ステップS16:NO)、処理はステップS13へ戻る。出力指示信号の入力が継続していない場合、電源部11は電圧の出力を停止すると判定し(ステップS16:YES)、処理はステップS12へ戻る。
上述の如く、埋もれアーク溶接においては、埋もれ空間6aの安定的な維持のため、設定電圧を周期的に上下させることによって溶接電流Iを周期的に上下させる制御が行われる。ところが、斯かる設定電圧の変動が矩形波形状を成し、立上り及び立下りでの設定電圧の変動が急である場合、これに伴って上下変動する溶接電流Iも立上り及び立下りにて急激に変動する。溶接電流Iの急激な立上り(上昇)の場合、溶融部分6においてアーク7が形成されている領域では、アーク7から受ける力が急激に変化するので、溶融部分6の状態が不安定になる。一方、溶接電流Iの急激な立下り(下降)の場合、瞬間的にアーク7の硬直性が失われてアーク7がふらつくので不安定になる。
これに対して、本実施形態のアーク溶接装置100においては、以上のように、設定電圧を周期的に上下させる際、設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えが急に起きないように、上向切り替え及び下向切り替えを所定の時間をかけて行う。これによって、上下に変動する溶接電流Iにおいて極値部での急激な変化が抑制され、緩やかな変動が得られる。従って、上述した、溶接電流Iの急激な立上りの場合に溶融部分6の状態が不安定になる問題、及び、溶接電流Iの急激な立下りの場合にアーク7が不安定になる問題の発生を未然に防止できる。更に、溶接電流Iの急激な変化が抑制されるので、溶接電流Iの急激な変化の際に発生する騒音を緩和させることが可能である。
以上においては、上向切り替え及び下向切り替えにかかる第1時間が、設定電圧の上限値又は下限値が維持される第2時間の10%である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
第1時間が第2時間に対して5%を下回ると、溶接電流Iの立上り/立下りでの電流変化が十分抑制されず、上述した問題を解決できなく、埋もれアークの安定化効果が得られない。第1時間が第2時間に対して15%を上回ると、設定電圧を矩形で変化させる場合よりも埋もれアークが不安定化する。よって、第1時間は第2時間に対して5%-15%であれば良く、この範囲内では、埋もれアークの安定性に及ぼす影響も軽微である。
また、第1時間が第2時間に対して5%以上になるにつれて埋もれアークの安定化効果が得られ、更に8%以上になると上述の騒音が緩和される。一方、第1時間が第2時間に対して12%を超えると、本実施形態の設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えの制御を行わない場合と比較して電流変化量が全体的に小さくなるため、本来意図する埋もれアーク安定化効果が小さくなりはじめる。よって、第1時間は第2時間に対して8%-12%であることがより望ましい.
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るアーク溶接装置100にて電源部11により生成された設定電圧を示すグラフである。図6に示すグラフの横軸は時間を示し、縦軸は設定電圧を示す。実施形態2のアーク溶接装置100でも、埋もれアーク溶接において、埋もれ空間6aの安定的な維持のため、設定電圧を周期的に上下させることによって溶接電流Iを周期的に上下させる制御が行われる。
設定電圧は、交互に、上限値(+10V)と下限値(-10V)とに切り替えられる。即ち、半周期毎に、下限値から上限値へ切り替えられ、又は、上限値から下限値へ切り替えられる。下限値から上限値への上向切り替え、及び、上限値から下限値への下向切り替えは、第1時間かけて行われる。即ち、上向切り替えの場合、前記第1時間の間、設定電圧が徐々に下限値から上限値へ下に凸の曲線状に上昇し続ける。また、下向切り替えの場合、前記第1時間の間、設定電圧が徐々に上限値から下限値へ上に凸の曲線状に下降し続ける。上向切り替え及び下向切り替えの何れの場合においても、前記第1時間の前半における設定電圧の変化は、前記第1時間の後半よりも小さい。
上向切り替えの後、設定電圧は上限値で第2時間維持された後、下限値に切り替えられる。下向切り替えの後、設定電圧は下限値で第2時間維持された後、上限値に切り替えられる。実施形態1と同様、上向切り替え及び下向切り替えにかかる第1時間は、上限値又は下限値が維持される第2時間の10%の時間である。
このように設定電圧を周期的に上下させると、これに伴い、溶接電流Iも周期的に上下する。上述の如く、本実施形態のアーク溶接装置100においては、設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えが急に起きないように、設定電圧の上向切り替え及び下向切り替えが所定の時間をかけて行われる。これによって、上下に変動する溶接電流Iにおいて極値部での急激な変化が抑制され、緩やかに変動される(図4参照)。
以上においては、下限値から上限値への設定電圧の切り替え、及び、上限値から下限値への設定電圧の切り替えの何れもが第1時間かけて行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。下限値から上限値への設定電圧の切り替え、及び、上限値から下限値への設定電圧の切り替えの何れか一方のみが第1時間かけて行われるように構成しても良い。
また、以上においては、設定電圧を制御することによって、上下に変動する溶接電流Iの極値部での急激な変化を抑制することについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、溶接電流Iの立上り又は立下りの際、溶接電流Iの変化速度に制限を与えることによって、溶接電流Iの極値部での急激な変化を抑制しても良い。
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、上述した実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
4 母材
5 溶接ワイヤ
5a 先端部
6 溶融部分
11 電源部
100 アーク溶接装置

Claims (7)

  1. 母材に形成される凹状の溶融部分の内側空間に溶接ワイヤの先端部を挿入してアーク溶接を行うアーク溶接装置において、
    前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるために設定電圧の制御を行い、前記溶接電流に上昇及び下降間の転換が生じる際に前記溶接電流の変動を制御する電源部を備えるアーク溶接装置。
  2. 前記電源部は、
    前記設定電圧を交互に上限値と下限値とに切り替え、
    下限値から上限値への切り替え、又は、上限値から下限値への切り替えを、第1時間かけて行う
    請求項1に記載のアーク溶接装置。
  3. 前記設定電圧は、前記第1時間の間、一定割合で変化する
    請求項2に記載のアーク溶接装置。
  4. 前記第1時間の前半における前記設定電圧の変化は、前記第1時間の後半よりも小さい
    請求項2に記載のアーク溶接装置。
  5. 前記電源部は上限値及び下限値にて前記設定電圧を第2時間維持させ、
    前記第1時間は前記第2時間の5-15%である
    請求項2から4の何れか一項に記載のアーク溶接装置。
  6. 前記第1時間は前記第2時間の8-12%である
    請求項5に記載のアーク溶接装置。
  7. 母材に形成される凹状の溶融部分の内側空間に溶接ワイヤの先端部を挿入してアーク溶接を行うアーク溶接方法において、
    前記溶接ワイヤに流れる溶接電流を変動させるために設定電圧の制御を行い、前記溶接電流に上昇及び下降間の転換が生じる際に前記溶接電流の変動を制御するアーク溶接方法。
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