JP2022140271A - 送風機 - Google Patents
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Abstract
【課題】送風効率を向上し、かつ、騒音を低減することの可能な送風機を提供する【解決手段】ケース10は、空気を吸い込む吸込口2を形成するベルマウス11を有する。ファン20は、ケース10の内側で軸心周りに回転可能に設けられる主板21、軸心周りに配置されて主板21に接続される複数の翼22、および、複数の翼22のうち反主板側の部位23に接続されるシュラウド30を有する。ノズル60は、筒状に形成され、ベルマウス11の径方向内側の領域に設けられる。流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間に周方向に断続的に設けられ、ノズル60とベルマウス11との間の空間を空気が流れる複数の仕切流路73に仕切る。【選択図】図2
Description
本発明は、送風機に関するものである。
特許文献1に記載の送風機は、空気の吸込口を形成するベルマウスが設けられたケースの内側に遠心ファンを配置したものである。この送風機は、ファンが回転すると、ベルマウスの内側から吸い込まれる空気が、翼の前縁側から翼同士の間の流路を流れて翼の後縁側の空気出口から吹き出される。この送風機は、ファンのシュラウドの内周面とベルマウスの内周面とを実質的に段差のない形状とすることで、ベルマウスからファンに空気が滑らかに吸い込まれるようにしたものである。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ファンの空気出口側の圧力がファンの吸込口側の圧力よりも大きくなると、ファンの空気出口から吹き出された空気が、再びシュラウドとケースとの隙間を経由してファンの吸込口側に逆流する流れが生じる。この逆流空気の風量が増加すると、送風機の送風効率が低下することが懸念される。
また、ファンの空気出口側からファンの吸込口側に逆流する空気は、ファンの回転方向の速度成分を含んでいるので、その逆流空気がその速度成分を含んだ状態で吸込口から流入する主流と交わりファンの前縁側に吸い込まれると、騒音を発生するおそれがある。
本発明は上記点に鑑みて、ファンの空気出口側から吸込口側へ逆流する空気の風量を低減することで送風効率を向上し、かつ、騒音を低減することの可能な送風機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明によると、送風機は、ケース(10)、ファン(20)、ノズル(60)および流路仕切部材(70)を備える。ケースは、空気を吸い込む吸込口(2)を形成するベルマウス(11)を有する。ファンは、ケースの内側で軸心(CL)周りに回転可能に設けられる主板(21)、軸心周りに配置されて主板に接続される複数の翼(22)、および、複数の翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド(30)を有する。ノズルは、筒状に形成され、ベルマウスの径方向内側の領域に設けられる。流路仕切部材は、ベルマウスとノズルとの間に周方向に断続的に設けられ、ノズルとベルマウスとの間の空間を空気が流れる複数の仕切流路(73)に仕切る。
これによれば、ファンが回転すると、ノズルの内側から吸い込まれる空気は、翼の前縁側から翼同士の間の流路を流れて翼の後縁側の空気出口から吹き出される。このとき、送風機より下流側の流路の圧力損失が大きく、且つ、ファンの回転数の増加に伴いファンの出口側の圧力と吸込口側の圧力との差が大きくなると、ファンの空気出口側からシュラウドおよびケースの隙間を経由して吸込口側に逆流する空気(以下、「逆流空気」という)の風量が増加する。仮に、送風機が流路仕切部材を備えていない場合、その逆流空気は、ノズルのうち反主板側の端部を跨いでノズルの内側に流れる風速および風量が増加することがある。それに対し、請求項1に係る発明では、ベルマウスとノズルとの間に周方向に断続的に設けた流路仕切部材により、ノズルとベルマウスとの間の空間を複数の仕切流路に仕切ることで、その複数の仕切流路を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることが可能である。したがって、請求項1に係る発明によれば、ノズルのうち反主板側の端部を跨いでノズルの内側に流れる逆流空気の風速および風量を低減し、送風機の送風効率を向上することができる。
また、発明者による研究の結果、ノズルのうち反主板側の端部を跨いでノズルの内側に流れる逆流空気は周方向の風速分布が大きいため、その逆流空気がその状態のまま吸込口から流入する主流と交わり翼の前縁側へ流れ込むことで騒音が増大することがわかった。それに対しても、請求項1に係る発明では、流路仕切部材により、複数の仕切流路を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることで、逆流空気の周方向の風速分布を低減することが可能である。したがって、請求項1に係る発明によれば、送風機の騒音を低減することができる。
請求項7に係る発明によると、送風機は、ケース(10)、ファン(20)、ノズル(60)および複数の流路仕切部材(70)を備える。ケースは、空気を吸い込む吸込口(2)を形成するベルマウス(11)を有する。ファンは、ケースの内側で軸心(CL)周りに回転可能に設けられる主板(21)、軸心周りに配置されて主板に接続される複数の翼(22)、および、複数の翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド(30)を有する。ノズルは、筒状に形成され、ベルマウスの径方向内側の領域に設けられる。複数の流路仕切部材は、ベルマウスとノズルとの間に設けられ、ノズルとベルマウスとの間の空間を空気が流れる複数の仕切流路(73)に仕切る。そして、この送風機は、ベルマウスとノズルとの間に形成される空間をファンの空気出口側から複数の仕切流路を通りノズルの内側の吸込口側へ逆流する空気の風速が均一化されるように、複数の流路仕切部材同士の間隔が狭い箇所と、複数の流路仕切部材同士の間隔が広い箇所を有している。
これによれば、複数の流路仕切部材同士の間隔が狭い箇所を逆流空気の風速の速い箇所に配置することで、ノズルとベルマウスとの間で周方向に亘り逆流空気の風速を均一化することが可能である。したがって、請求項7に係る発明によれば、複数の流路仕切部材により、ノズルを跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減し、送風機の騒音を低減することができる。
また、請求項7に係る発明でも、複数の流路仕切部材同士の間隔が狭い箇所を逆流空気の風速の速い箇所に配置し、その箇所を流れる逆流空気の圧力損失を大きくすることで、逆流空気の風量を低減し、送風機の送風効率を向上することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。また、各図面に記載した送風機1の各構成の形状などは、説明を分かりやすくするために模式的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態の送風機1は、例えば車両用空調装置などに用いられる遠心送風機である。
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態の送風機1は、例えば車両用空調装置などに用いられる遠心送風機である。
<送風機1の構成>
図1および図2に示すように、送風機1は、ケース10、ファン20、駆動部50、ノズル60および流路仕切部材70などを備えている。なお、図2では、図を見やすくするため、ファン20および駆動部50などを省略してある。このことは、後述する実施形態および比較例で参照する図5~図9、図13でも同様である。
図1および図2に示すように、送風機1は、ケース10、ファン20、駆動部50、ノズル60および流路仕切部材70などを備えている。なお、図2では、図を見やすくするため、ファン20および駆動部50などを省略してある。このことは、後述する実施形態および比較例で参照する図5~図9、図13でも同様である。
なお、以下の説明では、ファン20の軸心CLを単に「軸心CL」ということがある。その軸心CLは、ファン20の回転中心と一致している。また、送風機1の空気吸込口2側を「軸心方向の一方」とし、送風機1の空気吸込口2とは反対側を「軸心方向の他方」として説明する。以下、空気吸込口2を単に吸込口2という。
ケース10は、車両用空調装置の空気通路の少なくとも一部を形成する部材である。なお、図示は省略するが、一般に、車両用空調装置の空気通路には、エバポレータ等の空気冷却機器、ヒータコアまたは電気ヒータ等の空気加熱機器、および、複数の流路切替ドアなどが設けられている。そのため、車両用空調装置は、空調モードに応じて、空気通路を流れる空気の圧力損失が変化することがある。
ケース10は、ファン20の上流側に、空気を吸い込む吸込口2を形成するベルマウス11を有している。ベルマウス11は、軸心方向の一方から他方に向けて内径が次第に小さくなる曲面形状となっている。また、ベルマウス11は、ファン20の軸心CLを含む平面で切断して得られる断面視(以下、「縦断面視」という)において、径方向内側の面が略円弧状に形成されている。
ケース10は、ベルマウス11の軸心方向一方側の部位から径方向外側に形成される正面壁12を有している。正面壁12は、ファン20の軸心CLに対して略垂直な平面状に形成されている。なお、正面壁12は、ファン20の軸心CLに対して傾斜するように形成されていてもよい。ケース10は、正面壁12のうち径方向外側の部位から軸心方向の一方側に延びる上流側ケース13を有している。
また、ケース10は、ベルマウス11の軸心方向他方側の部位からさらに軸心方向他方側に筒状に延びるケース筒部14と、そのケース筒部14のうち軸心方向他方側の部位から径方向外側に拡がるケース環状部15とを有している。また、ケース10は、ケース環状部15のうち径方向外側の部位から軸心方向の他方側に延びる下流側ケース16を有している。ケース10の各部位は、複数の部材により構成されていてもよく、または、一体に成形されていてもよい。
ケース筒部14は、後述するファン20の有するシュラウド筒部32の径方向外側の領域において、シュラウド筒部32から所定の隙間をあけて設けられている。また、ケース環状部15は、後述するファン20の有するシュラウド環状部31の軸心方向の一方側の領域において、シュラウド環状部31から所定の隙間をあけて設けられている。ケース筒部14とシュラウド筒部32とは略平行に設けられ、ケース環状部15とシュラウド環状部31も略平行に設けられている。
ファン20は、遠心ファン(具体的には、ターボファン)であり、ケース10の内側に回転可能に設けられている。ファン20は、主板21、複数の翼22、シュラウド環状部31およびシュラウド筒部32を有している。なお、第1実施形態における説明では、シュラウド環状部31とシュラウド筒部32とを纏めてシュラウド30と呼ぶことがある。ファン20は、主板21と複数の翼22とシュラウド30とが一体に形成されたクローズドファンである。このファン20は、例えば、樹脂射出成形により一体に形成されるものである。
主板21は、略円盤状に形成され、ケース10の内側に配置されている。主板21は、中央部から径方向外側に向かい軸心方向他方側に傾斜している。言い換えれば、主板21は、外縁部から中央部に向かい吸込口2側に凸となる形状となっている。主板21の中央部に、駆動部50から延びるシャフト51が固定されている。これにより、主板21は、ケース10の内側で軸心周りに回転可能に設けられる。
複数の翼22は、主板21とシュラウド30との間で、軸心周りに所定の間隔で配置されている。複数の翼22は、軸心方向の一方側の部位23(すなわち反主板側の部位23)がシュラウド30に接続され、軸心方向の他方側の部位24が主板21に接続されている。これにより、シュラウド30と主板21の間において隣り合う翼22同士の間に流路が形成される。以下の説明では、その流路を翼間流路25と呼ぶ。ファン20が回転すると、吸込口2から吸いこまれた空気は、翼22の前縁26側から翼間流路25を通り、翼22の後縁27側に形成される空気出口28から吹き出される。
図示は省略するが、複数の翼22は、前縁26から後縁27に向かいファン20の回転方向後ろ向きに延びている。すなわち、第1実施形態のファン20は、ターボファンである。
図示は省略するが、複数の翼22は、前縁26から後縁27に向かいファン20の回転方向後ろ向きに延びている。すなわち、第1実施形態のファン20は、ターボファンである。
翼22の前縁26は、軸心方向の一方側の端部29がシュラウド筒部32に接続している。そして、翼22の前縁26は、軸心方向の一方側の端部29から軸心方向の他方側の端部291に向けて径方向内側に傾斜し、軸心方向の他方側の端部291がノズル60の最内径よりも径方向内側で主板21に接続している。なお、以下の説明では、翼22の前縁26を、翼前縁26ということがある。
第1実施形態においてシュラウド30は、吸込口2側に形成される筒状のシュラウド筒部32と、そのシュラウド筒部32のうち軸心方向の他方側の部位から径方向外側に拡がる環状のシュラウド環状部31とを有している。シュラウド環状部31は、複数の翼22のうち軸心方向の一方の部位23(すなわち、複数の翼22のうち反主板側の部位23)に接続される環状の部位である。シュラウド筒部32は、シュラウド環状部31のうち径方向内側の部位から反主板側に筒状に延びる部位である。シュラウド環状部31とシュラウド筒部32とは連続して形成されている。そして、シュラウド環状部31は、縦断面視が翼間流路25側に凸となる滑らかな曲面形状となっている。これにより、翼間流路25を流れる空気は、シュラウド30の翼間流路25側の面から剥離することが抑制され、そのシュラウド30の翼間流路25側の面に沿って流れる。
駆動部50は、通電によりトルクを出力する電動モータである。駆動部50から突出するシャフト51は、ファン20の主板21に固定されている。駆動部50としての電動モータに通電されると、その駆動部50の出力するトルクにより、シャフト51とファン20が軸心周りに回転する。
ノズル60は、筒状に形成され、ベルマウス11の径方向内側の領域からシュラウド筒部32の径方向内側の領域に亘り設けられている。ノズル60は、後述する流路仕切部材70によってケース10に固定され、静翼として機能する。
ノズル60のうち反主板側の端部61(すなわち、ノズル60のうち軸心方向の一方の端部)は、ケース10の正面壁12よりも反主板側(すなわち、軸心方向の一方側)に突出している。ノズル60は中央部から反主板側の端部61に向かい径方向外側に拡がる形状となっている。また、ノズル60は、反主板側の端部61から主板21側の端部62(すなわち、軸心方向の一方から他方)に向かい外径が次第に小さくなる形状である。
また、ノズル60は、縦断面視において、反主板側の端部61(すなわち、軸心方向の一方の端部)から中央部に亘る部位の板厚に対し、中央部から主板21側の端部62(すなわち、軸心方向の他方の端部)に向かい板厚が次第に薄くなっている。そして、ノズル60は、径方向内側の面に沿った軸心方向の長さが、径方向外側の面に沿った軸心方向の長さよりも長い、いわゆる翼形状となっている。
図1および図2に示すように、ベルマウス11とノズル60との間には、流路仕切部材70が設けられている。流路仕切部材70は、径方向内側の部位がベルマウス11に接続され、径方向外側の部位がノズル60に接続されている。流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間で周方向に断続的に設けられ、ノズル60とベルマウス11との間の空間を空気が流れる複数の仕切流路73に仕切っている。
流路仕切部材70は、複数の仕切流路73を通過する空気の圧力損失が増加するように、ノズル60を支持するために必要な本数(例えば2~4本)に対して2倍以上の本数(例えば8本以上)で構成することが好ましい。また、流路仕切部材70は、ノズル60を支持するために必要な本数(例えば2~4本)としたときの各仕切流路73の空気流れに比べて軸心方向および周方向の空気流れを低減可能な本数(例えば8本以上)で構成することが好ましい。
図2に例示した第1実施形態の送風機1は、流路仕切部材70の本数を20本としている。このように、流路仕切部材70の本数を多くすることで、各仕切流路73を通過する空気の圧力損失を増加することが可能である。また、各仕切流路73において軸心方向および周方向の空気流れを低減し、各仕切流路73の空気流れを整流することが可能である。ただし、流路仕切部材70の本数は、図2に示した本数に限るものでなく、送風機1に要求される性能、仕様等に応じて適宜設定可能である。
また、各流路仕切部材70は、複数の仕切流路73を通過する空気の圧力損失を増加するため、軸心方向から視た厚みを太くすることが好ましい。ただし、樹脂射出成形時の歪防止の観点も考慮すると、各流路仕切部材70の厚みは、1.5~3.0mm程度とすれば好ましく、さらに2.0~2.5mmとするのがより好ましい。
流路仕切部材70の本数を増やし、流路仕切部材70の軸心方向から視た厚みを太くすることで、隣り合う流路仕切部材70同士の間隔(すなわち、各仕切流路73を軸心方向から視た流路断面積)が狭くなる。これにより、仕切流路73を通過する空気の圧力損失を大きくすることが可能である。また、流路仕切部材70の本数を増やし、流路仕切部材70の軸心方向の長さを長くすることで、各仕切流路73の軸心方向の距離が長くなる。これにより、各仕切流路73を通過する空気の圧力損失を大きくすると共に、各仕切流路73を軸心方向および周方向に流れる空気の整流効果を高めることが可能である。
第1実施形態では、流路仕切部材70は、ノズル60とベルマウス11との間に放射状に設けられている。また、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において全周に亘り設けられている。また、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向に均一の間隔で設けられている。なお、周方向に均一の間隔とは、製造公差を含む範囲で均一であり、本明細書では、例えば、流路仕切部材70により形成される複数の仕切流路73同士の断面積の違いが例えば5%以内であれば、均一の範囲に含まれるものとする。
流路仕切部材70のうち反主板側の端部71は、ノズル60のうち反主板側の端部61よりも主板21側に位置している。一方、流路仕切部材70のうち主板21側の端部72は、ノズル60のうち主板21側の端部62よりも反主板側に位置している。そのため、流路仕切部材70は、ノズル60より上流側の流路からノズル60の径方向内側の吸込口2を通ってファン20に吸い込まれる主流の流れを阻害することが無い。
なお、図3および図4に示すように、以下の第1実施形態の説明では、ノズル60とベルマウス11との間において、仕切流路73に対して軸心方向の一方側の空間を第1流路81と呼ぶ。また、ノズル60とケース筒部14との間において、仕切流路73より軸心方向の他方側の空間を第2流路82と呼ぶ。また、ノズル60とシュラウド筒部32との間の空間を第3流路83と呼ぶ。また、シュラウド30(具体的には、シュラウド筒部32およびシュラウド環状部31)と、ケース10の内壁(具体的には、ケース筒部14およびケース環状部15)との間の空間を隙間流路84と呼ぶ。
<送風機1の作動>
続いて、本実施形態の送風機1を作動させたときの空気の流れについて説明する。
続いて、本実施形態の送風機1を作動させたときの空気の流れについて説明する。
<フェイスモード>
まず、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図3を参照して説明する。なお、一般に、空調装置をフェイスモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フットモードまたはデフロスタモードに比べて小さいものとなる。
まず、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図3を参照して説明する。なお、一般に、空調装置をフェイスモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フットモードまたはデフロスタモードに比べて小さいものとなる。
ファン20が回転すると、図3の矢印F1に示すように、ノズル60の径方向内側の領域からファン20の翼間流路25に空気が吸い込まれる。この矢印F1に示す空気の流れを主流と呼ぶ。その主流の一部は、ノズル60の径方向内側の面に沿って流れる。
それと共に、矢印F2、F3に示すように、ケース10の正面壁12に沿ってファン20に吸い込まれる空気は、ノズル60の径方向外側の面に衝突し、その面に沿って第1流路81→仕切流路73→第2流路82→第3流路83を流れ、翼前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。
また、ファン20が回転すると、ファン20の空気出口28の圧力がファン20の吸込口2側の圧力より高くなる。そのため、矢印F4、F5に示すように、隙間流路84には、空気出口28側から吸込口2側へ逆流する空気が流れる。なお、隙間流路84を逆流する空気には、ファン20の回転方向の速度成分が含まれている。そして、矢印F4、F5に示す隙間流路84を流れる空気と、矢印F2に示す第1流路81から流入する空気とは、第2流路82で合流した後、矢印F3に示すように第3流路83を流れ、翼前縁26側から主流と共に翼間流路25に吸い込まれる。
ここで、ノズル60の径方向外側の面に沿って流れる空気の圧力は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20に流入する主流の圧力より高いものとなる。したがって、第1流路81、仕切流路73および第2流路82の圧力と、ファン20の空気出口28側の圧力との差圧が小さくなり、ファン20の空気出口28側から隙間流路84を逆流する空気風量を低減することができる。
また、第1流路81を流れる空気と隙間流路84を逆流した空気とが第2流路82で合流することで、その合流した空気はファン20の回転方向の速度成分が小さくなる。したがって、第3流路83から翼前縁26側に吹き出される空気と、主流との交差角度が小さくなり、騒音を低減することができる。
<フットモードまたはデフロスタモード>
次に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図4を参照して説明する。
次に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図4を参照して説明する。
ファン20が回転すると、図4の矢印F1に示すように、主流は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20の前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。ここで、一般に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フェイスモードに比べて大きいものとなる。そのため、ファン20の回転数の増加に伴い、ファン20の空気出口28側の圧力と吸込口2側の圧力との差は、フェイスモードのときの圧力差よりも大きくなる。それにより、隙間流路84を逆流する空気の風速及び風量が大きくなると、図4の破線矢印F6のように、逆流空気は、第2流路82から仕切流路73および第1流路81を経由し、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れようとする。それに対し、第1実施形態では、ノズル60とベルマウス11との間が流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切られているので、その仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失が大きくなり、逆流空気の風速および風量が低減される。
また、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れようとする逆流空気は周方向の風速分布が大きいことが発明者の研究によりわかった。それに対し、第1実施形態では、ノズル60とベルマウス11との間が流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切られているので、その仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失が大きくなり、逆流空気の周方向の風速分布が低減される。
<比較例>
ここで、上述した第1実施形態の送風機1と比較するため、比較例の送風機100について、図9~図11を参照して説明する。なお、この比較例の送風機100は出願人が創作したものであり、従来技術ではない。
ここで、上述した第1実施形態の送風機1と比較するため、比較例の送風機100について、図9~図11を参照して説明する。なお、この比較例の送風機100は出願人が創作したものであり、従来技術ではない。
図9に示すように、比較例の送風機100は、ベルマウス11とノズル60との間に、ノズル60を支持するために必要な本数(例えば4本)のリブ700が設けられている。このリブ700は、逆流空気の流路抵抗としての作用効果は無視できるほどに小さいものである。
<比較例におけるフェイスモード>
比較例の送風機100において、空調装置をフェイスモードにしたときの空気の流れを図10に示す。図10の矢印F1~F5に示すように、比較例の送風機100においても、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れは、第1実施形態の送風機1と同じである。そのため、比較例の送風機100においても、空調装置がフェイスモードのときには、逆流空気の風量を低減して送風効率を向上し、かつ、騒音を低減することが可能である。
比較例の送風機100において、空調装置をフェイスモードにしたときの空気の流れを図10に示す。図10の矢印F1~F5に示すように、比較例の送風機100においても、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れは、第1実施形態の送風機1と同じである。そのため、比較例の送風機100においても、空調装置がフェイスモードのときには、逆流空気の風量を低減して送風効率を向上し、かつ、騒音を低減することが可能である。
<比較例におけるフットモードまたはデフロスタモード>
次に、比較例の送風機100において、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにしたときの空気の流れを図11に示す。ファン20が回転すると、図11の矢印F1に示すように、主流は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20の前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。上述したように、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにした場合、送風機100より下流側の流路の圧力損失は、フェイスモードに比べて大きいものとなる。そのため、ファン20の回転数の増加に伴い、ファン20の空気出口28側の圧力と吸込口2側の圧力との差は、フェイスモードのときの圧力差よりも大きくなる。それにより、隙間流路84を逆流する空気の風速および風量が大きくなると、図11の矢印F7で示すように、その逆流空気は、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れるようになる。
次に、比較例の送風機100において、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにしたときの空気の流れを図11に示す。ファン20が回転すると、図11の矢印F1に示すように、主流は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20の前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。上述したように、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにした場合、送風機100より下流側の流路の圧力損失は、フェイスモードに比べて大きいものとなる。そのため、ファン20の回転数の増加に伴い、ファン20の空気出口28側の圧力と吸込口2側の圧力との差は、フェイスモードのときの圧力差よりも大きくなる。それにより、隙間流路84を逆流する空気の風速および風量が大きくなると、図11の矢印F7で示すように、その逆流空気は、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れるようになる。
ここで、図9の矢印F8~F13に示したように、発明者による研究の結果、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れる逆流空気(以下、「ノズル60を跨ぐ逆流空気」という)は、周方向の風速分布が大きいことがわかった。すなわち、図9に示した複数の矢印F8~F13は、ノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が大きい箇所を示している。一方、図9に示した各矢印F8~F13の間の領域は、ノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が小さくなっている。このように、比較例の送風機100は、空調装置がフットモードまたはデフロスタモードの状態において、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布が大きい状態のまま主流と合わさり翼22の前縁26側に流れ込むことで騒音が増大するおそれがある。
<第1実施形態の送風機1の作用効果>
このような比較例の送風機100に対し、第1実施形態の送風機1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態の送風機1は、ベルマウス11とノズル60との間に周方向に断続的に設けられる流路仕切部材70を備えている。この流路仕切部材70は、ノズル60とベルマウス11との間の空間を空気が流れる複数の仕切流路73に仕切るものである。これによれば、ノズル60とベルマウス11との間を流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切ることで、その複数の仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることが可能である。したがって、この送風機1は、逆流空気の風速および風量を低減し、送風効率を向上することができる。
このような比較例の送風機100に対し、第1実施形態の送風機1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態の送風機1は、ベルマウス11とノズル60との間に周方向に断続的に設けられる流路仕切部材70を備えている。この流路仕切部材70は、ノズル60とベルマウス11との間の空間を空気が流れる複数の仕切流路73に仕切るものである。これによれば、ノズル60とベルマウス11との間を流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切ることで、その複数の仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることが可能である。したがって、この送風機1は、逆流空気の風速および風量を低減し、送風効率を向上することができる。
また、上述したように発明者による研究の結果、ノズル60を跨ぐ逆流空気は周方向の風速分布が大きく、その逆流空気が風速分布を有した状態で主流と交わり翼22の前縁26側へ流れ込むことで騒音が増大することがわかった。それに対し、第1実施形態の送風機1は、流路仕切部材70により、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることで、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減することが可能である。したがって、この送風機1は、逆流空気が翼の前縁26側に流れ込むときに発生する騒音を低減することができる。
(2)第1実施形態では、流路仕切部材70は、複数の仕切流路73を流れる空気の圧力損失が増加するように、ノズル60とベルマウス11との間に放射状に設けられている。
これによれば、複数の流路仕切部材70の具体的な配置が例示される。
これによれば、複数の流路仕切部材70の具体的な配置が例示される。
(3)第1実施形態では、流路仕切部材70のうち反主板側の端部71は、ノズル60のうち反主板側の端部61よりも主板21側に位置している。また、流路仕切部材70のうち主板21側の端部72は、ノズル60のうち主板21側の端部62よりも反主板側に位置している。
これによれば、流路仕切部材70は、ノズル60より上流側の流路からノズル60の径方向内側を通りファン20に吸い込まれる主流の流れを阻害することが無い。
これによれば、流路仕切部材70は、ノズル60より上流側の流路からノズル60の径方向内側を通りファン20に吸い込まれる主流の流れを阻害することが無い。
(4)第1実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向に均一の間隔で設けられる。
これによれば、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を周方向に亘り均一に大きくすることで、その仕切流路73を流れる逆流空気の風速および風量を低減し、その結果、風速分布を低減することが可能である。また、仮に、送風機1の使用条件などによりノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布の位置が変化する場合にも、その風速分布を低減することが可能である。
これによれば、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を周方向に亘り均一に大きくすることで、その仕切流路73を流れる逆流空気の風速および風量を低減し、その結果、風速分布を低減することが可能である。また、仮に、送風機1の使用条件などによりノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布の位置が変化する場合にも、その風速分布を低減することが可能である。
(5)第1実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において全周に亘り設けられる。
これによれば、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を全周に亘り大きくすることで、その仕切流路73を流れる逆流空気の風速および風量を低減し、その結果、風速分布を低減することが可能である。また、仮に、送風機1の使用条件などによりノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布の位置が変化する場合にも、その風速分布を低減することが可能である。
これによれば、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を全周に亘り大きくすることで、その仕切流路73を流れる逆流空気の風速および風量を低減し、その結果、風速分布を低減することが可能である。また、仮に、送風機1の使用条件などによりノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布の位置が変化する場合にも、その風速分布を低減することが可能である。
(6)第1実施形態では、ファン20は、翼22が前縁26から後縁27に向かい回転方向後向きに延びるターボファンである
これによれば、遠心ファンのうちターボファンは、吸込口2と空気出口28との圧力差が大きいため、逆流空気の風量が増大しやすい特性を有する。このような特性を有するターボファンを備えた送風機1においても、送風効率を向上し、騒音を低減できるといった効果を発揮することができる。
これによれば、遠心ファンのうちターボファンは、吸込口2と空気出口28との圧力差が大きいため、逆流空気の風量が増大しやすい特性を有する。このような特性を有するターボファンを備えた送風機1においても、送風効率を向上し、騒音を低減できるといった効果を発揮することができる。
(7)第1実施形態では、流路仕切部材70は、ノズル60を支持するために必要な本数の2倍以上の本数で構成されている。
これによれば、流路仕切部材70の本数を増加することで、各仕切流路73の流路断面積が小さくなるので、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることが可能である。したがって、逆流空気の風量を低減し、且つ、逆流空気の周方向の風速分布を低減することができる。
これによれば、流路仕切部材70の本数を増加することで、各仕切流路73の流路断面積が小さくなるので、仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくすることが可能である。したがって、逆流空気の風量を低減し、且つ、逆流空気の周方向の風速分布を低減することができる。
(第2~第5実施形態)
第2~第5実施形態は、第1実施形態に対して流路仕切部材70の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第2~第5実施形態は、第1実施形態に対して流路仕切部材70の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態では、ベルマウス11とノズル60との間に設けられる流路仕切部材70は、網状に構成されている。網状の流路形成部材の有する網目が複数の仕切流路73となる。網状の流路仕切部材70は、複数の仕切流路73を通過する空気の圧力損失が増加するように、ベルマウス11とノズル60との間において全周に設けられている。
図5に示すように、第2実施形態では、ベルマウス11とノズル60との間に設けられる流路仕切部材70は、網状に構成されている。網状の流路形成部材の有する網目が複数の仕切流路73となる。網状の流路仕切部材70は、複数の仕切流路73を通過する空気の圧力損失が増加するように、ベルマウス11とノズル60との間において全周に設けられている。
なお、網状の流路形成部材の太さや、複数の仕切流路73の流路断面積、複数の仕切流路73の軸芯方向の流路長さは任意に設定できる。具体的に、図5では、複数の仕切流路73の形状を四角形としているが、これに限らず、複数の仕切流路73の形状は、例えば円形、楕円形、多角形またはそれらの組み合わせなど、任意に設定できる。
以上説明した第2実施形態の送風機1が備える網状の流路仕切部材70も、複数の仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくするので、逆流空気の風速および風量を低減し、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減することが可能である。したがって、第2実施形態の送風機1においても、送風効率を向上し、騒音を低減することができる。
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向の複数箇所に設定される所定角度範囲のみに設けられている。図6では、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲を矢印R1~R3で示している。第3実施形態では、その所定角度範囲は3カ所設定されている。流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、仮に流路仕切部材70を設け無い場合にノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が大きくなる場所に設定される。その場所は、実験またはシミュレーションなどにより設定することが可能である。このように、第3実施形態の送風機1は、ノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が均一化されるように、複数の流路仕切部材70同士の間隔が狭い箇所と、複数の流路仕切部材70同士の間隔が広い箇所を有している。
図6に示すように、第3実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向の複数箇所に設定される所定角度範囲のみに設けられている。図6では、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲を矢印R1~R3で示している。第3実施形態では、その所定角度範囲は3カ所設定されている。流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、仮に流路仕切部材70を設け無い場合にノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が大きくなる場所に設定される。その場所は、実験またはシミュレーションなどにより設定することが可能である。このように、第3実施形態の送風機1は、ノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が均一化されるように、複数の流路仕切部材70同士の間隔が狭い箇所と、複数の流路仕切部材70同士の間隔が広い箇所を有している。
以上説明した第3実施形態の送風機1は、複数の流路仕切部材70同士の間隔が狭い箇所を逆流空気の風速の速い箇所に配置することで、ノズル60とベルマウス11との間で周方向に亘り逆流空気の風速を均一化することが可能である。したがって、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減し、逆流空気の風速および風量を低減することができる。また、第3実施形態では、流路仕切部材70を必要以上に設けない構成とすることができる。
(第4実施形態)
図7に示すように、第4実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において、周方向に亘り不均一の間隔で設けられている。なお、周方向に亘り不均一の間隔とは、仮に周方向に均一配置とした場合に製造公差を含まない程度に不均一であることを言い、例えば、複数の流路仕切部材70により形成される複数の仕切流路73同士の断面積の違いが5%より大きければ不均一と言える。
図7に示すように、第4実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において、周方向に亘り不均一の間隔で設けられている。なお、周方向に亘り不均一の間隔とは、仮に周方向に均一配置とした場合に製造公差を含まない程度に不均一であることを言い、例えば、複数の流路仕切部材70により形成される複数の仕切流路73同士の断面積の違いが5%より大きければ不均一と言える。
第4実施形態の送風機1は、複数の仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失を大きくし、その逆流空気の風速を均一化することが可能である。すなわち、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減し、逆流空気の風速および風量を低減することが可能である。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第3実施形態の変形例である。図8に示すように、第5実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向の6箇所に設定された所定角度範囲のみに設けられている。図8では、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲を矢印R1~R6で示している。流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、仮に流路仕切部材70を設け無い場合にノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が大きくなる場所に設定される。その場所は、実験またはシミュレーションなどにより設定することが可能である。すなわち、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、図8に示した6カ所に限らず、任意に設定できる。
第5実施形態は、第3実施形態の変形例である。図8に示すように、第5実施形態では、流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向の6箇所に設定された所定角度範囲のみに設けられている。図8では、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲を矢印R1~R6で示している。流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、仮に流路仕切部材70を設け無い場合にノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が大きくなる場所に設定される。その場所は、実験またはシミュレーションなどにより設定することが可能である。すなわち、流路仕切部材70が設けられる所定角度範囲は、図8に示した6カ所に限らず、任意に設定できる。
このように、第5実施形態の送風機1も、ノズル60を跨ぐ逆流空気の風速が均一化されるように、複数の流路仕切部材70同士の間隔が狭い箇所と、複数の流路仕切部材70同士の間隔が広い箇所を有している。第5実施形態の送風機1も、第3実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態について図面を参照しつつ説明する。第6実施形態は、第1実施形態に対してシュラウド筒部32を廃した構成であり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分について説明する。
第6実施形態について図面を参照しつつ説明する。第6実施形態は、第1実施形態に対してシュラウド筒部32を廃した構成であり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分について説明する。
<送風機1の構成>
図12に示すように、第6実施形態の送風機1も、ケース10、ファン20、駆動部50、ノズル60および流路仕切部材70などを備えている。
ファン20は、主板21、複数の翼22およびシュラウド30を有している。第6実施形態では、シュラウド30は、複数の翼22のうち反主板側の部位23に接続されるシュラウド環状部31を有している。しかし、第6実施形態では、シュラウド30は、シュラウド環状部31のうち径方向内側の部位から反主板側に筒状に延びる部位(すなわち、第1実施形態で説明したシュラウド筒部32)を有していない。ノズル60は、筒状に形成され、ベルマウス11の径方向内側の領域からケース筒部14の径方向内側の領域に亘り設けられている。第6実施形態の送風機1において、その他の構成は、第1実施形態で説明したものと略同一である。
図12に示すように、第6実施形態の送風機1も、ケース10、ファン20、駆動部50、ノズル60および流路仕切部材70などを備えている。
ファン20は、主板21、複数の翼22およびシュラウド30を有している。第6実施形態では、シュラウド30は、複数の翼22のうち反主板側の部位23に接続されるシュラウド環状部31を有している。しかし、第6実施形態では、シュラウド30は、シュラウド環状部31のうち径方向内側の部位から反主板側に筒状に延びる部位(すなわち、第1実施形態で説明したシュラウド筒部32)を有していない。ノズル60は、筒状に形成され、ベルマウス11の径方向内側の領域からケース筒部14の径方向内側の領域に亘り設けられている。第6実施形態の送風機1において、その他の構成は、第1実施形態で説明したものと略同一である。
図12および図13に示すように、ベルマウス11とノズル60との間には、複数の流路仕切部材70が設けられている。複数の流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間で周方向に断続的に設けられ、ノズル60とベルマウス11との間の空間を空気が流れる複数の仕切流路73に仕切っている。複数の流路仕切部材70の本数、厚み等は、第1実施形態で説明したものと同様である。すなわち、複数の流路仕切部材70は、各仕切流路73を通過する空気の圧力損失を増加して、各仕切流路73において軸心方向および周方向の空気流れを低減し、各仕切流路73の空気流れを整流することを目的として、その本数、厚み等が設定される。
第6実施形態では、図13に例示したように、複数の流路仕切部材70は、ノズル60とベルマウス11との間に放射状に設けられている。また、複数の流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において全周に亘り設けられている。また、複数の流路仕切部材70は、ベルマウス11とノズル60との間において周方向に均一の間隔で設けられている。
ただし、流路仕切部材70の本数、形状および配置などは、図13に示したものに限らず、第2~第5実施形態で説明した構成を適用することができる。
ただし、流路仕切部材70の本数、形状および配置などは、図13に示したものに限らず、第2~第5実施形態で説明した構成を適用することができる。
<送風機1の作動>
続いて、本実施形態の送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図14および図15を参照して説明する。
続いて、本実施形態の送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図14および図15を参照して説明する。
なお、以下の第6実施形態の説明では、図14および図15に示したように、ノズル60とベルマウス11との間において、仕切流路73に対して軸心方向の一方側の空間を第1流路81と呼ぶ。また、ノズル60とケース筒部14との間において、仕切流路73より軸心方向の他方側の空間を第2流路82と呼ぶ。また、シュラウド30と、ケース10の内壁との間の空間を隙間流路84と呼ぶ。
<フェイスモード>
まず、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図14を参照して説明する。なお、一般に、空調装置をフェイスモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フットモードまたはデフロスタモードに比べて小さいものとなる。
まず、空調装置をフェイスモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図14を参照して説明する。なお、一般に、空調装置をフェイスモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フットモードまたはデフロスタモードに比べて小さいものとなる。
ファン20が回転すると、図14の矢印F1に示すように、ノズル60の径方向内側の領域からファン20の翼間流路25に空気が吸い込まれる。この矢印F1に示す空気の流れを主流と呼ぶ。その主流の一部は、ノズル60の径方向内側の面に沿って流れる。
それと共に、矢印F2、F3に示すように、ケース10の正面壁12に沿ってファン20に吸い込まれる空気は、ノズル60の径方向外側の面に衝突し、その面に沿って第1流路81→仕切流路73→第2流路82を流れ、翼前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。
また、ファン20が回転すると、ファン20の空気出口28の圧力がファン20の吸込口2側の圧力より高くなる。そのため、矢印F4、F5に示すように、隙間流路84には、空気出口28側から吸込口2側へ逆流する空気が流れる。なお、隙間流路84を逆流する空気には、ファン20の回転方向の速度成分が含まれている。そして、矢印F4、F5に示す隙間流路84を流れる空気と、矢印F2に示す第1流路81から流入する空気とは、第2流路82で合流した後、矢印F3に示すように翼前縁26側から主流と共に翼間流路25に吸い込まれる。
ここで、ノズル60の径方向外側の面に沿って流れる空気の圧力は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20に流入する主流の圧力より高いものとなる。したがって、第1流路81、仕切流路73および第2流路82の圧力と、ファン20の空気出口28側の圧力との差圧が小さくなり、ファン20の空気出口28側から隙間流路84を逆流する空気風量を低減することができる。
また、第1流路81を流れる空気と隙間流路84を逆流した空気とが第2流路82で合流することで、その合流した空気はファン20の回転方向の速度成分が小さくなる。したがって、第2流路82から翼前縁26側に吹き出される空気と、主流との交差角度が小さくなり、騒音を低減することができる。
<フットモードまたはデフロスタモード>
次に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図15を参照して説明する。
次に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにして送風機1を作動させたときの空気の流れについて、図15を参照して説明する。
ファン20が回転すると、図15の矢印F1に示すように、主流は、ノズル60の径方向内側の面に沿ってファン20の前縁26側から翼間流路25に吸い込まれる。ここで、一般に、空調装置をフットモードまたはデフロスタモードにした場合、送風機1より下流側の流路の圧力損失は、フェイスモードに比べて大きいものとなる。そのため、ファン20の回転数の増加に伴い、ファン20の空気出口28側の圧力と吸込口2側の圧力との差は、フェイスモードのときの圧力差よりも大きくなる。それにより、隙間流路84を逆流する空気の風速及び風量が大きくなると、図15の破線矢印F6のように、逆流空気は、第2流路82から仕切流路73および第1流路81を経由し、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れようとする。それに対し、第6実施形態では、ノズル60とベルマウス11との間が複数の流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切られているので、その仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失が大きくなり、逆流空気の風速および風量が低減される。
また、ノズル60のうち反主板側の端部61を跨いでノズル60の内側に流れようとする逆流空気は周方向の風速分布が大きいことが発明者の研究によりわかった。それに対し、第1実施形態では、ノズル60とベルマウス11との間が複数の流路仕切部材70により複数の仕切流路73に仕切られているので、その仕切流路73を通過する逆流空気の圧力損失が大きくなり、逆流空気の周方向の風速分布が低減される。
以上説明した第6実施形態の送風機1も、第1実施形態等で説明した送風機1と同様に、複数の仕切流路73を通過する逆流空気の風速および風量を低減し、ノズル60を跨ぐ逆流空気の周方向の風速分布を低減することが可能である。したがって、第6実施形態の送風機1においても、送風効率を向上し、騒音を低減することができる。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、送風機1は、車両用空調装置に用いられるものとして説明したが、これに限らず、送風機1は、例えば換気装置または送風装置など、種々の用途に用いることができる。
(1)上記各実施形態では、送風機1は、車両用空調装置に用いられるものとして説明したが、これに限らず、送風機1は、例えば換気装置または送風装置など、種々の用途に用いることができる。
(2)上記各実施形態では、送風機1が備えるファン20をターボファンとして説明したが、これに限らず、例えば、シロッコファンまたはラジアルファンなどの遠心ファンとしてもよい。
(3)上記各実施形態では、送風機1が備えるノズル60を、軸心方向の一方から他方に向かい縮径する翼形状であり、ケース10の正面壁12よりも反主板側に突出するように設けられるものとして説明したが、これに限らない。ノズル60は、例えば、単純な筒形状などとしてもよく、また、ケース10の正面壁12よりも反主板側に突出していなくてもよい。
(4)上記各実施形態では、各図において、流路仕切部材70の本数を14本、20本、21本、24本と例示したが、これに限らず、流路仕切部材70の本数および形状は任意に設定できる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
1 送風機
2 吸込口
11 ベルマウス
20 ファン
21 主板
22 翼
30 シュラウド
60 ノズル
70 流路仕切部材
73 仕切流路
2 吸込口
11 ベルマウス
20 ファン
21 主板
22 翼
30 シュラウド
60 ノズル
70 流路仕切部材
73 仕切流路
Claims (13)
- 送風機において、
空気を吸い込む吸込口(2)を形成するベルマウス(11)を有するケース(10)と、
前記ケースの内側で軸心(CL)周りに回転可能に設けられる主板(21)、軸心周りに配置されて前記主板に接続される複数の翼(22)、および、複数の前記翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド(30)を有するファン(20)と、
前記ベルマウスの径方向内側の領域に設けられる筒状のノズル(60)と、
前記ノズルと前記ベルマウスとの間に周方向に断続的に設けられ、前記ノズルと前記ベルマウスとの間の空間を空気が流れる複数の仕切流路(73)に仕切る流路仕切部材(70)と、を備える送風機。 - 前記流路仕切部材は、複数の前記仕切流路を流れる空気の圧力損失が増加するように、前記ノズルと前記ベルマウスとの間に放射状に設けられている、請求項1に記載の送風機。
- 前記流路仕切部材は、前記ノズルと前記ベルマウスとの間において周方向に均一の間隔で設けられている、請求項1または2に記載の送風機。
- 前記流路仕切部材は、前記ノズルと前記ベルマウスとの間を流れる空気の圧力損失が増加するように、前記ノズルと前記ベルマウスとの間に網状に設けられている、請求項1に記載の送風機。
- 前記流路仕切部材は、前記ノズルと前記ベルマウスとの間において全周に亘り設けられている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の送風機。
- 前記流路仕切部材のうち反主板側の端部(71)は、前記ノズルのうち反主板側の端部(61)よりも前記主板側に位置しており、
前記流路仕切部材のうち前記主板側の端部(72)は、前記ノズルのうち前記主板側の端部(62)よりも反主板側に位置している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の送風機。 - 送風機において、
空気を吸い込む吸込口(2)を形成するベルマウス(11)を有するケース(10)と、
前記ケースの内側で軸心(CL)周りに回転可能に設けられる主板(21)、軸心周りに配置されて前記主板に接続される複数の翼(22)、および、複数の前記翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド(30)を有するファン(20)と、
前記ベルマウスの径方向内側の領域に設けられる筒状のノズル(60)と、
前記ノズルと前記ベルマウスとの間に設けられ、前記ノズルと前記ベルマウスとの間の空間を空気が流れる複数の仕切流路(73)に仕切る複数の流路仕切部材(70)と、を備え、
前記ノズルと前記ベルマウスとの間に形成される空間を前記ファンの空気出口側から複数の前記仕切流路を通り前記ノズルの内側の前記吸込口側へ逆流する空気の風速が均一化されるように、複数の前記流路仕切部材同士の間隔が狭い箇所と、複数の前記流路仕切部材同士の間隔が広い箇所を有している、送風機。 - 複数の前記流路仕切部材は、前記ノズルと前記ベルマウスとの間において周方向の複数箇所に設定される所定角度範囲のみに設けられている、請求項7に記載の送風機。
- 前記複数の流路仕切部材は、前記ノズルと前記ベルマウスとの間に周方向に亘り不均一の間隔で設けられている、請求項7に記載の送風機。
- 前記ファンは、前記翼が前縁から後縁に向かい回転方向後向きに延びるターボファンである、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の送風機。
- 前記流路仕切部材は、前記ノズルを支持するために必要な本数の2倍以上の本数で構成されている、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の送風機。
- 前記シュラウドは、複数の前記翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド環状部(31)を有し、前記シュラウド環状部のうち径方向内側の部位から反主板側に筒状に延びる部位を有していない、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の送風機。
- 前記シュラウドは、複数の前記翼のうち反主板側の部位(23)に接続されるシュラウド環状部(31)と、前記シュラウド環状部のうち径方向内側の部位から反主板側に筒状に延びるシュラウド筒部(32)とを有している、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の送風機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2022/006629 WO2022190818A1 (ja) | 2021-03-10 | 2022-02-18 | 送風機 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021038408 | 2021-03-10 | ||
JP2021038408 | 2021-03-10 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022140271A true JP2022140271A (ja) | 2022-09-26 |
JP2022140271A5 JP2022140271A5 (ja) | 2023-05-22 |
Family
ID=83400090
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021190408A Pending JP2022140271A (ja) | 2021-03-10 | 2021-11-24 | 送風機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022140271A (ja) |
-
2021
- 2021-11-24 JP JP2021190408A patent/JP2022140271A/ja active Pending
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