JP2022139376A - 離型フィルムおよびフィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】単に剥離力が軽いばかりでなく、移行性が小さく、ブロッキングしにくく、それでいて基材に対する密着性が良好な離型フィルムを新たに提供することにある。【解決手段】基材フィルムと、前記基材フィルムの片面側に設けた離型層とを備え、前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含み、かつ厚みが0.2~1.5μmであり、前記離型層の25℃における弾性率が500MPa以下であり、粒子を実質的に含有せず、離型層を設ける面とは反対側のフィルム表面の最大断面高さ(Rt)が離型層の厚み(μm)よりも大きく、かつ2.0μm以下である離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルム、および離型フィルムを備えるフィルム積層体に関する。
ポリエステルフィルムとして代表的なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に2軸延伸PETフィルムは、透明性、機械強度、耐熱性、柔軟性などに優れているため、工業材料、光学材料、電子部品材料、電池用包装材など様々な分野に使用されている。
ポリエステルフィルムを基材として、シリコーン樹脂を主成分とする硬化型シリコーン系離型剤を硬化してなる離型層を設けた離型フィルムは、多くの分野で使用されている。
近年、粘着剤層を使用する用途においては、特に従来以上に耐久性が必要とされる場合がある。例えば、自動車内部に搭載されるタッチパネルの構成部材接着用として粘着剤層を用いる場合、当該用途においては、屋外での使用であるがゆえに、夏場の高温雰囲気下、あるいは冬場の低温環境下に晒されても、部材間同士が強固に接着していることが必要とされる。そのため、粘着剤層自体の耐久性向上に伴い、従来よりも粘着層自体の粘着力がさらに強くなる傾向にあった。したがって、従来、汎用的に使用していた軽剥離タイプの離型フィルムは、粘着層から剥離する際に剥離困難になることがあり、さらなる軽剥離化(すなわち、超軽剥離化)が求められている。
離型フィルムの超軽剥離化対策として、離型層の厚みを厚くして、軽剥離化しようとすると、使用する離型剤の種類によっては、離型層由来の移行成分が粘着剤層表面に転着し、所望する粘着力を得るのが困難になる場合があった。
一方、離型層からの移行性を抑えるために、移行性の少ない離型剤を用いた場合には、粘着剤層表面への移行成分の転着は低減する反面、離型層を厚塗りすると逆に離型層表面の滑り性が悪く、ロール状にフィルムを巻き取るのが困難になる、或いはフィルム同士がブロッキングするなどの不具合を生じる場合があった。これら不具合を解決するために、離型層中に微粒子を含有させる提案が各種なされている。(例えば、特許文献1、2参照)
特開2004-255704号公報 特開2017-61081号公報
しかしながら、離型層中に微粒子を含有させると、ブロッキング発生は防止する反面、微粒子を安定して離型層表面に存在させることが難しく、離型層自体も脆くなり、粒子の脱落などに伴い、離型層の剥離特性が変動し易くなるため、安定した剥離力を有する離型フィルムを得るのが困難な場合がある。
一方、軽剥離化に伴い、離型層と基材フィルムとの密着性が低下する傾向にあり、粘着層に対する超軽剥離化と、耐ブロッキング性とを高度なレベルで両立させるのも、非常に困難である。
そこで本発明の課題は、単に剥離力が軽いばかりでなく、移行性が低く、ブロッキングしにくく、それでいて基材に対する密着性が良好な離型フィルム、及びその離型フィルムを備えるフィルム積層体を提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の構成からなる離型フィルムを用いれば、上記の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]~[16]を提供するものである。
[1]基材フィルムと、前記基材フィルムの片面側に設けた離型層とを備え、
前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含み、厚みが0.2~1.5μmであり、前記離型層の25℃における弾性率が500MPa以下であり、かつ、粒子を実質的に含有せず、
前記離型層を設ける面とは反対側のフィルム表面の最大断面高さ(Rt)が、前記離型層の厚み(μm)よりも大きく、かつ2.0μm以下である、離型フィルム。
[2]前記基材フィルムの前記離型層が設けられる面とは反対側の面が、平均粒径1~6μmの粒子を0.4~1.0質量%含有するポリエステル層を備える、上記[1]に記載の離型フィルム。
[3]前記離型層と前記基材フィルムとの間に硬化樹脂層を備える、上記[1]または[2]の何れかに記載の離型フィルム。
[4]前記硬化樹脂層が帯電防止層である、上記[3]に記載の離型フィルム。
[5]前記硬化樹脂層が下記化合物(A)~(C)を含有する硬化樹脂層組成物を硬化させてなる、上記[3]又は[4]に記載の離型フィルム。
(A)チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体。
(B)ポリヒドロキシ化合物
(C)ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
[6]基材フィルムがポリエステルフィルムである、上記[1]~[5]の何れかに記載の離型フィルム。
[7]ポリエステルフィルムが三層構成である、上記[6]に記載の離型フィルム。
[8]離型フィルムの離型層が設けられる面にアクリル系粘着テープ(Tesa製の「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で180°で剥離したときの剥離力が10g/inch以下である、上記[1]~[7]の何れかに記載の離型フィルム。
[9]ロール状に巻かれた離型フィルムロールである上記[1]~[8]の何れかに記載の離型フィルム。
[10]車載用である、上記[1]~[9]の何れかに記載の離型フィルム。
[11]上記[1]~[10]の何れかに記載の離型フィルムと、前記離型フィルムの前記離型層側の面に積層される粘着層と、前記粘着層に貼り合わされる他の離型フィルムとを備える、フィルム積層体。
[12]粘着層がアクリル系粘着剤組成物から形成される上記[11]に記載のフィルム積層体。
[13]25℃における粘着層の弾性率が20MPa以上である、上記[11]又は[12]に記載のフィルム積層体。
[14]車載用である、上記[11]~[13]の何れかに記載のフィルム積層体。
[15]上記[11]~[14]の何れかに記載のフィルム積層体において、上記[1]~[10]の何れかに記載の離型フィルムを剥がした後、露出する粘着層表面を光学部材に貼り合わせる、フィルム積層体の使用方法。
[16]光学部材が偏光板またはタッチセンサーである、上記[15]に記載のフィルム積層体の使用方法。
本発明が提案する離型フィルムおよびフィルム積層体は、単に剥離力が軽いばかりでなく、移行性が低く、ブロッキングしにくく、それでいて基材に対する密着性が良好な離型フィルムである。よって、本発明が提案する離型フィルムは、特に粘着力が強いタイプの粘着層保護用に好適である。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<<離型フィルム>>>
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(以下、「本離型フィルム」ということがある)は、基材フィルムと、基材フィルムの片面側に設けた離型層(以下、「本離型層」ということがある)とを備えた離型フィルムである。離型フィルムは、巻き取られてロール状の離型フィルム(離型フィルムロール)とされ、離型フィルムロールの形態で保管などされるとよい。
離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面側に離型層を備えていればよい。離型フィルムにおいて、離型層が設けられる面とは反対側の表面は、以下の説明においては、「反離型面」ということがある。なお、本離型フィルムは、基材フィルムの両面側に離型層を備えていてもよい。また、離型フィルムは、基材フィルムと離型層との間に他の層を備えていてもよいし、基材フィルムの離型層が設けられない面に離型層以外の他の層を備えてもよい。
したがって、「反離型面」は、基材フィルム自体の表面であることもあるが、離型層や、離型層以外の他の層により構成されていてもよい。
本離型フィルムにおいて、離型層は、硬化型シリコーン樹脂を含み、厚みが0.2~1.5μmであり、25℃における弾性率が500MPa以下であり、かつ粒子を実質的に含有しない。また、離型フィルムは、離型層を設ける面とは反対側の離型フィルムの表面(反離型面)の最大断面高さ(Rt:μm)が離型層の厚み(μm)よりも大きく、かつ2.0μm以下である。
以上の構成を有する離型フィルムは、ロール状とされると、反離型面が、離型層表面と重ね合わされるが、その際、反離型面が離型層に密着することを防止して、ブロッキングが発生することを抑制できる。また、離型層は、剥離力が小さく超軽剥離性を実現しながらも、基材に対する密着性も良好で、さらには離型剤成分が粘着テープ等へ移行することも抑制できる。
<基材フィルム>
離型フィルムにおける基材フィルムは、フィルム状を呈するものであれば、その材料を特に限定するものではない。例えば、紙製、樹脂製、金属製などであってもよい。これらの中でも、機械的強度および柔軟性の観点から、樹脂製であることが好ましい。
樹脂製の基材フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドなどの高分子を膜状に形成したフィルムを挙げることができる。また、フィルム化が可能であれば、これらの材料を混合したもの(ポリマーブレンド)や構成単位を複合化したもの(共重合体)であっても構わない。
上記例示したフィルムの中でも、ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れており、特に好ましい。
上記ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(積層フィルム)でもよい。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。
上記ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
なお、主成分樹脂とは、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占める場合が想定される。
上記ホモポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等を例示することができる。
共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分と、グリコール成分とを重縮合させて得られるものが挙げられる。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分の合計に対して、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
上記した中でも、離型フィルムにおける基材フィルムにおいて使用されるポリエステテルは、例えば60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
離型フィルムにおける基材フィルムには、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、尿素樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステルの製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは0.1~6μm、より好ましくは0.5~5μm、その中でも特に好ましくは1~4μmの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
なお、粒子の平均粒径は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、断面形状が楕円形である場合など円以外の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
さらに基材フィルム中の粒子含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.001~3質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.01~1質量%である。粒子がない場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなるが、滑り性が低下することを防止するため、塗布層中に粒子を入れることにより滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。また、粒子含有量を抑制することで、フィルムの透明性は確保できる。
ポリエステルフィルムは、二層以上の多層構成としてもよいが、三層構成のポリエステルフィルムが好ましい。三層構成とすると、後述する通り、両表面におけるポリエステル層(表層)に粒子を含有させる場合でも、中間層において粒子を含有させなくてもよい。したがって、滑り性や耐ブロッキング性などを高めながらも、ポリエステルフィルムの透明性を高めたることもできる。各層を構成するポリエステルは、上記で説明したとおりである。
また、ポリエステルフィルムが二層以上の多層構成の場合、離型層が設けられる面とは反対側の面におけるポリエステル層(典型的には、離型層を設けない側のポリエステル層)中に用いる粒子の平均粒径は、1~6μmが好ましく、より好ましくは2~5μm、その中でも特に好ましくは3~5μmの範囲である。また、該ポリエステル層における粒子含有量は、例えば、0.03~1.0質量%、好ましくは0.3質量%~1.0質量%、より好ましくは0.4~1.0質量%、その中でも特に0.4~0.8質量%が好ましい。前記平均粒径および添加量を同時に満足することにより、反離型面は、最大断面高さ(Rt)が大きくなり、適度な凹凸形状を有し、離型フィルムは、耐ブロッキング防止性と離型性との両立が可能となる。
また、ポリエステルフィルムが単層で構成される場合でも、その単層のポリエステル層は、耐ブロッキング防止性と離型性の観点から、粒子を含有するよく、その粒子の平均粒径と粒子添加量の範囲を上記のようにするとよい。
2層又はそれ以上のポリエステルフィルムにおいては、離型層が設けられる面のポリエステル層(表層)は、粒子を含有してもよいし、粒子を含有しなくてもよいが、滑り性などの観点から、粒子を含有することが好ましい。離型層が設けられる面のポリエステル層(表層)において粒子含有量(質量%)は、離型層が設けられる面とは反対側の面のポリエステル層における粒子含有量(質量%)よりも少ないことが好ましい。具体的には、離型層が設けられる面のポリエステル層における粒子含有量(質量%)は、好ましくは0.001~0.8質量%の範囲であり、より好ましくは0.01~0.5質量%、さらに好ましくは0.02~0.2質量%である。
<ポリエステルフィルムの製造方法>
ポリエステルフィルムの製造方法の一例として、ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムの場合について説明する。但し、ここで説明する製造方法に限定するものではない。
先ずは、公知の方法により、原料、例えばポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得るようにすればよい。
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
そして、引き続き130~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、前記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
<<本離型層>>
本離型層は、硬化型シリコーン樹脂(「本硬化型シリコーン樹脂」)を主成分樹脂とする離型層組成物(「本離型層組成物」と称する)が硬化してなる層であり、上記した基材フィルムの少なくとも片面側に配置される。本離型層は、本離型層組成物が硬化してなる硬化物を含有する離型層であるとも言うことができる。
<本離型層組成物>
本離型層組成物は、硬化型シリコーン樹脂を主成分樹脂とする組成物であればよい。
本離型層組成物は、硬化型シリコーン樹脂以外の他の成分を含有してもよく、必要に応じて、例えば触媒、反応制御剤、架橋剤、重合開始剤、希釈溶剤、その他の添加剤を含有することができる。
なお、上記「主成分樹脂」とは、本離型層組成物を構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、本離型層組成物を構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占める場合が想定される。
本離型層組成物は、全シロキサン成分量に対してビニル基量が一定量以上含有されると離型層が十分に硬化し、一方でアルケニル基、すなわちビニル基量が過剰にならないことで、空気暴露後の剥離力が重くなることを防止できる。これらのことから、本離型層組成物は、全シロキサン成分量に対して0.4~1.0mol%のビニル基を含んでいるのが好ましい。中でもより好ましくは0.5mol%以上、その中でも特に好ましくは0.6mol%以上、また、0.9mol%以下のビニル基を含んでいるのが特に好ましい。
本離型層組成物は、全シロキサン成分量に対して、Si-H基量が一定量以上含有されると離形層が十分に硬化し、一方でSi-H基量が過剰にならないことで、硬化後に残存するSi-H基が粘着層と反応することが防止され、離型フィルムの重剥離化が抑制できる。これらのことから、本離型層組成物は、全シロキサン成分量に対して0.8~2.2mol%のSi-H基を含んでいるのが好ましく、中でもより好ましくは1.2mol%以上,その中でも特に好ましくは1.4mol%以上であり、また、より好ましく2.1mol%以下、その中でも2.0mol%以下のSi-H基を含んでいるのが特に好ましい。
本離型層組成物における全シロキサン成分の含有量は、例えば、1H-NMRで主鎖のジメチルシロキサンユニットとそれ以外のユニットの積分比から測定することができる。また、ビニル基及びSi-H基の含有量は、シロキサン鎖に結合される官能基全量に対する割合を示し、1H-NMRを測定することで評価することができる。但し、かかる方法に限定するものではない。
<本硬化型シリコーン樹脂>
本発明において「硬化型シリコーン樹脂」とは、硬化することができる性質を備えたシリコーン樹脂を意味する。
硬化型シリコーン樹脂の硬化方法は任意である。例えば、空気中の湿気と反応して縮合反応により硬化する性質を備えたものであっても、加熱による付加反応により硬化する性質を備えたものであっても、光により付加重合又はラジカル重合して硬化する性質を備えたものであってもよい。
中でも、硬化反応の副生成物が無く、硬化膜の物性も安定であることから、加熱による付加反応により硬化する熱硬化型シリコーン樹脂であるのが好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂が熱硬化型である場合、構造中にシロキサン結合からなる主鎖の側鎖および/又は末端に、ビニル基(Vi基)、ヘキセニル基などのアルケニル基が導入されていることが特徴である。
本硬化型シリコーン樹脂は、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合を主鎖としてなる重合体であればよい。
本硬化型シリコーン樹脂として、例えば、シロキサン結合からなる主鎖の側鎖又は末端に各種置換基を導入したものを挙げることができる。この際、当該置換基としては、例えば、メチル基、フェニル基、ポリエーテル、エポキシ、アミン類、カルボキシル基、アラルキル基などのいずれか、又は、それらの二種以上の組み合わせを挙げることができる。
本硬化型シリコーン樹脂の一例として、シロキサン結合からなる直鎖状の主鎖の側鎖又は末端に、Si-H基(単に「H基」とも称する)及びビニル基が導入されたシリコーン樹脂を挙げることができる。
本硬化型シリコーン樹脂におけるSi-H基の含有量は、全シロキサン成分量に対して0.8~2.2mol%のSi-H基を含むのが好ましく、中でも1.2mol%以上がより好ましく,その中でも1.4mol%以上が特に好ましく、また、2.1mol%以下がより好ましく、その中でも2.0mol%以下であるのが好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂におけるビニル基の含有量は、全シロキサン成分量に対して0.4~1.0mol%のビニル基を含むのが好ましく、中でも0.5mol%以上がより好ましく、0.6mol%以上がさらに好ましく、また、0.9mol%以下であることがより好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂は、2種類以上の硬化型シリコーン樹脂の組み合わせであってもよい。その場合、上述した各官能基の含有割合は、2種類以上の硬化型シリコーン樹脂全体におけるビニル基の含有量及びSi-H基量が上記範囲内であるのが好ましい。
2種類以上の硬化型シリコーン樹脂を使用する場合には、例えば、ビニル基などのアルケニル基を有する硬化型シリコーン樹脂(主剤)と、Si-H基を有するシリコーン樹脂(シリコーン架橋剤ともいう)とを併用することができる。主剤とシリコーン架橋剤とを併用することで、主剤とシリコーン架橋剤とを混合し、加熱によって付加反応させることで離型層組成物を適切に硬化させることができる。
主剤を構成する硬化型シリコーン樹脂におけるビニル基の含有量は、0.4~2.5mol%であることが好ましく、中でも0.5mol%以上がより好ましく,0.6mol%以上がさらに好ましく、また、2.0mol%以下がより好ましく、1.5mol%以下がさらに好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)は9000以上350000以下であるのが好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)を上記下限値以上とすると、本離型フィルムに粘着層を積層した際、低分子量のシリコーン樹脂が粘着層へ溶出乃至移行する量を低減させることができ、また、本離型層を厚塗りすることで軽剥離化効果を得やすくなる。他方、本硬化型シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)を上記上限値以下とすると、粘度が高くなって本離型層組成物の流動性が低下することを防止する。そのため、本離型層組成物を塗布した際に、筋状のコートムラが生じたりすることを防止して、本離型層表面を平滑にしやすくなる。
かかる観点から、本硬化型シリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)は、9000以上であるのが好ましく、中でも10000以上であるのがより好ましく、中でも20000以上がさらに好ましく、その中でも特に30000以上であるのがさらに好ましい。他方、350000以下であることが好ましく、50000以下であるのがより好ましく、中でも40000以下であることがさらに好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂の質量平均分子量(Mw)は、数平均分子量と同様の観点から、10000~500000であるのが好ましく、中でも20000以上がより好ましく、中でも50000以上がさらに好ましく、その中でも特に80000以上であることが好ましく、また、250000以下であることがより好ましく、その中でも100000以下であることがさらに好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂は、数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率(Mw/Mn)が1.7~2.7であるのが好ましく、中でも1.9以上であることがさらに好ましく、また、2.5以下であるのがさらに好ましい。この範囲を満足することで、架橋反応を効率よく進行させることが期待できる。
なお、数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン基準でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた値であり、具体的な測定方法は、GPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、表2に示した。具体的には、測定用の試料4mgを、4mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して測定した。溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。分析には東ソー(株)製「Ecosec8320」を使用し、ガードカラムには東ソー(株)製「TSKgel guardcolumn HXL-L」、カラムには東ソー(株)製「TSKgel GMHXL」を4本連結して使用した。また、オーブンの温度は40℃、THF流量1.0mL/分の条件で分析を行い、検出にはRIを用いた。
本硬化型シリコーン樹脂は、2種類以上の硬化型シリコーン樹脂の組み合わせからなるものであってもよく、その場合、2種類以上の硬化型シリコーン樹脂の分子量の平均が上記範囲内であるのが好ましい。なお、ここいでいう平均とは、各樹脂の質量により重み付けをした加重平均である。
また、硬化型シリコーン樹脂として、主剤とシリコーン架橋剤を使用する場合には、主剤の数平均分子量、質量平均分子量、Mw/Mnが上記範囲内であるとよい。
本硬化型シリコーン樹脂は、n-ヘプタン溶媒希釈にて15質量%に調整した際の25℃における粘度が1~400mcpsであるのが好ましい。
本硬化型シリコーン樹脂の当該粘度が1mcps以上であれば、塗布液の適度な粘度によりハジキが抑制され、良好なコート外観が得られるため好ましく、400mcps以下であれば、本離型層組成物の流動性を維持することができ、本離型層組成物を塗布した際に、筋状のコートムラが生じるのを抑制でき、本離型層表面を平滑にすることができるから、好ましい。
かかる観点から、本硬化型シリコーン樹脂の当該粘度は、5mcps以上であるのがさらに好ましく、中でも10mcps以上であるのがさらに好ましい。他方、300mcps以下であるのがさらに好ましく、その中でも200mcps以下であるのがさらに好ましい。
粘度の測定は、硬化型シリコーン樹脂をn-ヘプタンで15質量%に溶媒希釈し、この溶液の25℃での粘度を、E型粘度計(東機産業(株)製「TVE-22L」)粘度計を用いて測定した。
本硬化型シリコーン樹脂は、無溶剤型硬化型シリコーン、溶剤型硬化型シリコーンのいずれであってもよい。また、両者を組み合わせて用いてもよい。
ここで、「無溶剤型硬化型シリコーン」とは、溶剤に希釈せずとも塗工できる粘度のシリコーンであり、短いポリシロキサン鎖よりなっており、比較的低分子量のシリコーン樹脂である。
他方、「溶剤型硬化型シリコーン」とは、溶剤に希釈しなければ塗工できない程度に粘度の高いシリコーン樹脂であり、無溶剤型硬化型シリコーンに比べると、比較的高い分子量を有するシリコーンである。
中でも、本硬化型シリコーン樹脂は、上記のように、中程度の数平均分子量(Mn)、中程度の粘度を有するのが好ましく、さらには、本基材フィルムへの密着性が良好となり、且つ、塗布ムラがなく塗布外観も良く、且つ、本離型層の膜厚調整もし易いという観点から、溶剤型硬化型シリコーンであるのが好ましい。
離型層、すなわち、離型層組成物は、粒子を実質的に含有しない。離型層は、粒子を実質的に含有しないことで、剥離特性を安定化しつつ、移行性を低くできる。なお、実質的に含有しないとは、本発明の効果を阻害しない程度に少量であれば離型層(離型層組成物)が粒子を含有してもよいことを意味し、例えば不可避的に混入される粒子が含まれてもよい。具体的な離型層における粒子の含有量は、不揮発成分基準で、例えば0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より好ましくは0.0001質量%未満である。なお、不揮発成分基準の本離型層組成物における粒子の含有量の範囲も、上記粒子の含有量と同じである。
<その他の成分>
本離型層組成物は、本硬化型シリコーン樹脂以外に、必要に応じて、例えば硬化触媒、希釈溶剤、反応制御剤、上記したシリコーン架橋剤以外の架橋剤、重合開始剤、密着強化剤、その他の添加剤を含有することができる。
例えば、本離型層組成物の一例としては、ビニル基などのアルケニル基を有する硬化型シリコーン樹脂(主剤)、シロキサン結合からなる主鎖の側鎖および/又は末端にヒドロシリル基(SiH基)を有するシリコーン架橋剤、白金(Pt)を含む触媒(白金系触媒)、及び、溶剤を含有する組成物を挙げることができる。
(触媒)
上記の通り本離型層組成物は、必要に応じて、硬化触媒、すなわち硬化型シリコーン樹脂の珪素原子に結合したアルケニル基と、シリコーン架橋剤のハイドロジェンシラン(SiH)基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒を含有してもよい。
硬化触媒としては、例えば白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属系触媒などを挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
本離型層組成物における硬化触媒の含有量としては、本硬化型シリコーン樹脂に対して、金属換算量として、0.5~500質量ppmであるのが好ましく、中でも5質量ppm以上がより好ましく、その中でも10質量ppm以上であることがさらに好ましく、また、300質量ppm以下がより好ましく、200ppm質量以下であるのがさらに好ましい。
(希釈溶剤)
上記の通り本離型層組成物は、必要に応じて、希釈溶剤を含有することができる。前記希釈溶剤としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などを挙げることができる。これらは、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用するのが好ましい。
(反応制御剤)
上記の通り本離型層組成物は、必要に応じて、反応制御剤を含有することができる。反応制御剤としては、例えばアセチレンアルコールなどを挙げることができる。反応制御剤は1種類でもよいし、必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。反応制御剤の含有量は、本離型層組成物合計量(不揮発成分基準)100質量部あたり、0.001~5.0質量部であるのが好ましく、中でも0.01質量部以上がより好ましく、その中でも0.05質量部以上がさらに好ましく、また、1.0質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下であるのがさらに好ましい。
<本離型層の厚み>
本離型層の厚みは、超軽剥離化を達成するために0.2~1.5μmの範囲であることが必要である。離型層の厚みが0.2μm未満となると、後述する通り、離型層の弾性率を所定の範囲としても、離型層を超軽剥離化することが難しい。また、1.5μmより厚くすると、離型剤成分が粘着テープ等へ移行する移行性の増大を招いたり、ブロッキングが十分に防止できなかったりする。超軽剥離化、ブロッキング防止、及び移行性の増大抑制の観点から、離型層の厚みは、好ましくは0.4~1.3μm、さらに好ましくは0.5~1.0μmである。
<<その他の層>>
離型フィルムは、本基材フィルムと離型層との間に「他の層」を備えていてもよい。
当該「他の層」としては、例えば帯電防止層やオリゴマー封止層などの各種機能を備えた層を挙げることができる。また、本基材フィルムと離型層との間に設けられる層は、硬化樹脂層であるとよく、帯電防止層である硬化樹脂層が好ましい。
具体的には、本発明の離型フィルムには、外部からの異物の付着及び混入防止の観点から、以下の化合物(A)~(C)を含む硬化樹脂層組成物を硬化させてなる硬化樹脂層を、離型層と基材フィルムとの間に設けるのがよい。
さらに離型層が設けられない基材フィルムの表面にも、硬化樹脂層を設けてもよい。その硬化樹脂層は帯電防止層もなどであればよく、具体的には、以下の化合物(A)~(C)を含む硬化樹脂層組成物を硬化させてなる硬化樹脂層であってもよい。
(A)チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体(a)、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体(b)。
化合物(A)としては、たとえば下記式(1)もしくは(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものが例示される。なお、重合体(a)と重合体(b)を併用してもよい。
Figure 2022139376000001
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数が1~20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などを表す。
Figure 2022139376000002
上記式(2)中、nは1~4の整数を表す。
重合時に使用するポリ陰イオンとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などが例示される。かかる重合体の製造方法としては、例えば特開平7-90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本発明においては、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが好適に用いられる。
またこれらのポリ陰イオンが酸性である場合、一部または全てが中和されていてもよい。中和に用いる塩基としてはアンモニア、有機アミン類、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、化合物(A)は通常5~80質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲である。化合物(A)の比率が上記上限値以下とすることで、硬化樹脂層の強度や透明性が不十分となることが防止できる。一方、化合物(A)の比率が上記下限以上であると、帯電防止性が不十分となることが防止できる。
(B):ポリヒドロキシ化合物
化合物(B)は、1種以上のポリヒドロキシ化合物のことであり、分子構造に水酸基を2個以上有する化合物と定義する。ポリヒドロキシ化合物においては、導電性の観点から糖類や糖アルコールを用いることが好ましい。
化合物(B)には、例えば単糖類、または二糖類とポリヒドロキシ化合物の縮合物等の糖アルコール誘導体も含まれる。糖アルコールの具体例とは、例えばマルチトールやイソマルツロースを還元して得られるソマルツロース還元物(パラチニット)、ラクチトール、エリスリトール、ソルビトール 、キシリトール、マンニトール、リビトール、アラビトール、イジトール、タリトール、ガラクチトールなどに例示されるカテゴリーのC4以上の化合物全般を指す。また、糖アルコールは単独で用いてもよいし、二種以上併用することも可能である。
糖アルコールの中でも、高導電性と高透明性の両立を図る観点から、二糖類または三糖類を還元して得られた糖アルコールが好ましく、さらに該糖アルコールの分子量が200以上600以下かつ水酸基等量が40以下であることはより好ましく、その中でも二糖類に対応する糖アルコールのマルチトール、ラクチトール、イソマルツロース還元物が特に好ましい。
ポリヒドロキシ化合物としては、平均重合度が2~9、好ましくは2~8のポリグリセリンや、ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物なども使用できる。ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物は、ポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。アルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドである。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、化合物(B)は通常5~80質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~30質量%の範囲である。化合物(B)の比率が上記上限値以下であると、他の成分の比率が低くなることを防止でき、帯電防止性や塗工外観が不十分になることが防止される。一方、化合物(B)の比率が上記下限値以上であると、オリゴマーの析出を十分に抑制でき、造膜性が低下することを防止して、均一な塗膜が得られやすくなる。
(C):ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
硬化樹脂層組成物がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有することで、硬化樹脂層の成膜性、透明性、帯電防止性などが向上する。(C)成分は、硬化樹脂層においてバインダーとなる。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価ヒドロキシ化合物との重縮合物である。上記した化合物の中から、多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物それぞれを適宜1つ以上選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。また、ポリエステル樹脂は、水分散体としてもよく、その場合、ポリエステル樹脂には適宜親水性官能基などを導入してもよい。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作製される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。ウレタン樹脂は、水分散体であってもよく、その場合、例えばポリオールに適宜親水性官能基を導入してもよい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、アクリル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
さらには、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれ、これらも本明細書では、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂とする。なお、アクリル樹脂において使用される上記したポリエステル、ポリウレタンは、上記した(C)成分としてのポリエステル、ポリウレタンとして例示されたものから適宜選択して使用できる。
また、アクリル樹脂は、基材フィルムとの密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有してもよい。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、及びそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、化合物(C)は通常15~90質量%、好ましくは45~90質量%、より好ましくは60~85質量%の範囲である。化合物(C)の比率が上記上限値以下であると、他の成分の比率が適度に高くなるため帯電防止性や造膜性が不十分になることが防止できる。一方、化合物(C)の比率が下限値以上とすると、硬化樹脂層の透明性が不十分になることが防止できる。
硬化樹脂層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.002~1.0μm、より好ましくは0.005~0.25μm、さらに好ましくは0.02~0.10μmである。硬化樹脂層の厚みが上記の範囲内であれば、帯電防止性などの硬化樹脂層の機能を適切に発揮できる。また、基材フィルムに配合した粒子により、反離型面の最大断面高さ(Rt)を調整しやすくなる。
<硬化樹脂層の形成方法>
次に硬化樹脂層の形成方法について説明する。
硬化樹脂層の形成方法は特に限定されず、硬化樹脂組成物を基材フィルムに塗布して、必要に応じて乾燥し、硬化することで硬化樹脂層を形成する方法が挙げられる。硬化樹脂組成物の塗布方式は、限定されず、例えば、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
また、硬化樹脂層の形成方法としては、インラインコーティング及びオフラインコーティングがある。乾燥及び硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えばオフラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
一方、インラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、通常、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
本発明では、基材フィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより形成されるのが好ましい。なお、以下では、基材フィルムがポリエステルフィルムである場合を例に説明する。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムの何れかにコーティングする。
以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と硬化樹脂層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、硬化樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に硬化樹脂層を設けることにより、硬化樹脂層をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより硬化樹脂層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦及び横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、硬化樹脂層の造膜性が向上し、硬化樹脂層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な硬化樹脂層とすることができ、硬化樹脂層上に形成され得る各種の機能層との密着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
インラインコーティングによって硬化樹脂層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度(全不揮発成分)が0.1~50質量%程度を目安に調整した硬化樹脂層組成物をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて基材フィルムを製造するのが好ましい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明の基材フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<<離型フィルムの製造方法>>
離型フィルムは、基材フィルムの片面側又は両面側に、必要に応じて、帯電防止層やオリゴマー封止層などの他の層を形成した後、これらの表面に、上記離型層組成物を塗布し、加熱処理などにより離型層を硬化させることにより、製造することができる。加熱処理により、塗布された離型層組成物は適宜乾燥されてもよい。
離型層組成物の塗布方法としては、マルチロールコート、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」(槇書店 原崎勇次著1979年発行)に記載例がある。離型層組成物の塗布量、すなわち本離型層の厚み(乾燥後)は、上記の通りである。
また、離型層組成物を塗布する前に予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を基材フィルムに施してもよい。
塗布された離型層組成物から構成される離型層を加熱処理する際は、従来から公知の加熱処理装置を用いることができる。例えば、加熱オーブン、ホットプレート、熱風乾燥機、近赤外線ランプ、エアードライヤー等が例示される。また、加熱処理温度としては、例えば35~100℃、好ましくは40~100℃、さらに好ましくは50~100℃の範囲がよい。
さらに加熱処理時間としては、例えば3秒~3分、好ましくは5秒~2分、さらに好ましくは5秒~1分の範囲がよい。
基材フィルムに塗布された離型層組成物から形成される離型層は、適宜紫外線が照射されてもよく、例えば、加熱処理した離型層に紫外線照射処理を施すとよい。紫外線照射処理を行う際には、従来から公知の紫外線照射装置を用いることができる。例えば、光源として、フュージョン(H)ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ(オゾン発生タイプ、オゾンレスタイプ)、UV-LEDなどが例示される。
紫外線照射量としては特に限定されるわけではないが、積算光量換算として、10~3000(m J/cm)、好ましくは50~2000(mJ/cm)、さらに好ましくは100~1000(mJ/cm)の範囲がよい。
<<離型フィルムの物性>>
離型フィルムは、次の物性を有することができる。
<離型層の弾性率>
本発明において離型層は、25℃における弾性率が、500MPa以下である。ここでいう弾性率は、ナノインデンターにより測定された値である。弾性率は、500MPaより高くなると、離型フィルムの剥離特性が良好とならず、超軽剥離化することが難しい。
離型層の25℃における弾性率は、好ましくは400MPa以下、さらに好ましくは300MPa以下である。また、下限値に関しては65MPa以上が好ましく、さらに好ましくは80MPa以上である。これら範囲を満足することで、粘着層に対する軽剥離性が特に良好となる。
なお、離型層の弾性率は、使用するシリコーン樹脂の種類、離型層の厚みなどにより調整できる。例えば離型層が薄くなると、弾性率が高くなる傾向がある。
<反離型面の最大断面高さ(Rt)>
離型フィルムロールのブロッキング防止の観点より、反離型面の最大断面高さ(Rt:μm)は離型層の厚み(μm)よりも大きく、かつ2.0μm以下である必要がある。
反離型面の最大断面高さ(Rt)は、ブロッキング防止の観点より、好ましくは0.6~2.0μm、より好ましくは0.9~2.0μm、さらに好ましくは1.2~2.0μm、よりさらに好ましくは1.4~2.0μm、その中でも特に好ましくは1.6~2.0μmである。
また、ブロッキング防止の観点から、反離型面の最大断面高さ(Rt)と、離型層の厚みの差は、0.4μm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.6μm以上、その中でも特に好ましくは0.8μm以上がよい。また、差は、1.8μm以下であればよいが、移行性などの観点から、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。
本発明のように厚塗りの離型層を設けた離型フィルムをロール状に巻き取る場合、反離型面のRtが小さい場合、離型層と反離型面との間の空隙形成が小さくなり、反離型面との接触面積が大きくなり、密着しやすい状態になることが推察されるが、本発明では、反離型面のRtを所定の範囲とすることで密着しにくい状態として、ブロッキングを防止する。
<常態剥離力>
本離型フィルムは、常態剥離力が10g/inch以下であるのが好ましく、さらに好ましくは6g/inch以下、その中でも特に好ましくは4g/inch以下である。常態剥離力は、アクリル系粘着テープ(Tesa製、商品名「No.7475」)を剥離フィルムの離型層面に貼り付けて、50mm×300mmのサイズにカットし室温(23℃)にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°で剥離したときの剥離力である。本発明の離型フィルムは、上記の常態剥離力が低く、低速剥離時においても超軽剥離性を得ることができる。なお、常態剥離力は、特に限定されないが、例えば、0.1g/inch以上であってもよく、0.5g/inch以上であってもよい。
<加熱剥離力>
本離型フィルムは、加熱剥離力を12g/inch以下とすることができ、好ましくは、10g/inch以下、その中でも特に好ましくは8g/inch以下である。加熱剥離力は、試料フィルムの離型面に粘着テープ(Tesa製、商品名「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、熱風式オーブンにて、100℃、1時間熱処理した。その後、サンプルを取り出し、室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力である。本発明の離型フィルムは、上記の加熱剥離力が低く、高温下で使用されても、超軽剥離性を維持できる。なお、加熱剥離力は、特に限定されないが、例えば、0.1g/inch以上であってもよく、1g/inch以上であってもよい。
<残留接着率>
離型フィルムは、上記の通り移行性が低いことが好ましいが、その指標としては残留接着率(%)がある。残留接着率の測定方法の詳細は、実施例に記載の通りである。
残留接着率(%)は、離型フィルムの離型層面に評価フィルムを重ねてプレスした際、その評価フィルムに離型剤がどの程度移行するかを示す指標となるものである。移行性の大きな離型フィルムでは、重ねた評価フィルムに多くのシリコーンが付着するため、その評価フィルムに貼り合わせる粘着テープの剥離力が小さくなり、残留接着率(%)も低下する。そのため、離型フィルムは、残留接着率(%)が高いことが好ましく、具体的には、90%以上が好ましく、92%以上がさらに好ましく、その中でも特に好ましくは94%以上である。
<<粘着層付き離型フィルム>>
本発明の粘着層付き離型フィルムは、上記した本離型フィルムと、その離型フィルムの離型層側の面に積層される粘着層を備える。粘着層は、粘着剤組成物より形成される。
<粘着剤組成物>
粘着剤組成物は、アクリル系樹脂を主成分樹脂とするアクリル系粘着剤組成物であっても、ゴムを主成分とするゴム系粘着剤組成物であっても、ウレタン系樹脂を主成分とするウレタン系粘着剤組成物であっても、シリコーン樹脂を主成分とするシリコーン系粘着剤組成物であってもよい。
中でも、粘着剤組成物は、粘着力と剥離力をバランス良く調整することができ、且つ、安価である点から、アクリル系樹脂を主成分とするアクリル系粘着剤組成物が好ましい。
なお、上記「主成分樹脂」とは、粘着剤組成物を構成する樹脂の中でも最も質量割合の高い樹脂を意味する。例えば、粘着剤組成物を構成する樹脂全量の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上を占める成分を意味する。なお、上限としては100質量%であるが、通常99.99質量%である。
粘着剤組成物は、上記主成分以外、後述する架橋剤のほか、必要に応じて、主成分樹脂以外の粘着剤成分を構成する樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂)を含有してもよい。
また、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物などの添加剤を配合することができる。これら添加剤の配合量は、粘着剤組成物(不揮発成分基準)全体の10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下、その中でも特に5質量%以下であり、添加剤として分子量が1万よりも低い低分子成分は極力含まないことが耐久性に優れる点で好ましい。
(アクリル系樹脂)
粘着剤組成物の主成分樹脂であるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系重合体を挙げることができる。
(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主な構成単位とする重合体である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル及び(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタエニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等を挙げることができる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル系重合体を構成する他の(メタ)アクリレートとの相溶性、硬化樹脂層の耐熱性の点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)の含有割合は、例えば50質量%以上であるが、好ましくは60~99.99質量%、より好ましくは75~98.9質量%、さらに好ましくは87~97.8質量%である。
なお、(メタ)アクリル系重合体はラジカル重合可能な二重結合を有するものであってもよい。
(メタ)アクリル重合体は、ガラス転移温度、機械物性、相溶性等を良好にすることを目的として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、その他ビニル基を有する化合物を共重合することができる。共重合成分として使用できる前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、後述する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸γ-ブチロラクトン等を挙げることができる。
前記ビニル基を有する化合物としては、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、スチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン等のスチレン系化合物、無水マレイン酸等を挙げることができる。
また、これら以外の後述する(a1)成分、(a2)成分も適宜使用することができる。
ガラス転移温度(Tg)は、(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体の種類および質量分率から、下記のFoxの式より求められる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
この式で、Tgは(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(単位はK)、Wは(メタ)アクリル系重合体を構成する単量体i由来の単量体単位の質量分率、Tgiは単量体iの単独重合体のガラス転移温度(単位はK)を示す。Tgiの値は、POLYMERHANDBOOK Volume 1(WILEY-INTERSCIENCE)に記載の値を用いることができる。
本発明において、(メタ)アクリル系重合体を構成する単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、共重合成分としては、後述する架橋剤との反応点となる点でアクリルモノマー(a1)を含有してもよい。
アクリルモノマー(a1)は、その他の共重合成分と共重合されアクリル系樹脂となった際に、架橋構造の反応点となるものであり、後述する架橋剤(B)の含有する官能基と反応しうる官能基を含有するモノマーを用いればよい。このようなアクリルモノマー(a1)としては、例えば、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等を挙げることができる。これらの中でも、架橋剤と効率的に架橋反応ができる点で水酸基含有モノマーが好ましく用いられる。アクリルモノマー(a1)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2-アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、更には、2-ヒドロキシエチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5質量%以下のものを用いることも好ましく、更に0.2質量%以下、殊には0.1質量%以下のものを使用することが好ましい。水酸基含有モノマーとしては、具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートなどが特に好ましく、これらは低分子量であるため精製しやすい点で好ましい。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等を挙げることができる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等を挙げることができる。
(メタ)アクリル系重合体を構成する単量体中におけるアクリルモノマー(a1)の含有量は、好ましくは0.01~20質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、その中でも特に0.2~3質量%である。
アクリルモノマー(a1)が上記下値以上とすると、架橋時の架橋点が適切となるため、架橋後の凝集力が良好となる。また、上記上値以下とすると、(a1)成分に起因して粘着力が低下することを防止できる。
また、(メタ)アクリル系重合体を構成する単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(a1)成分に加えて、必要に応じて、共重合成分として、(a1)以外の共重合性モノマー(a2)を含有することもできる。
共重合性モノマー(a2)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香環含有モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体中における共重合性モノマー(a2)の含有割合は、好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは1~15質量%、その中でも特に2~10質量%であり、共重合性モノマー(a2)の含有量が上記範囲内であると粘着特性が低下するのを防止できる。
(架橋剤)
粘着剤組成物は、その硬化方法に応じて、必要に応じて架橋剤を含有することができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤などを挙げることができる。中でも、基材との密着性向上、あるいはアクリル系樹脂との反応性の点で、イソシアネート系架橋剤が好適に用いられる。
架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、主成分樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~5質量部、その中でも0.1~3質量部である。
架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、凝集力が不足することもなく、所望する耐久性を得ることができる一方、柔軟性および粘着力が低下するのを防ぐことができる。
なお、硬化反応に関して、活性エネルギー線を照射する光硬化による場合は、架橋剤として、粘着剤組成物に多官能(メタ)アクリレートを配合することが好ましい。かかる多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
粘着層は、上記粘着剤組成物を剥離フィルムの離型層上に塗布した後に、適宜乾燥し、硬化などすることで形成するとよい。粘着剤組成物は、架橋剤や、主成分樹脂に応じて硬化させればよく、加熱により硬化してもよいし、紫外線などの光照射により硬化してもよい。また、上記粘着剤組成物は、適宜有機溶剤などに希釈したうえで離型層などの上に塗布するとよい。
<粘着層の厚み>
本粘着層の厚みは、特に限定するものではない。例えば、十分な粘着力を付与したり、粘着剤を貼り合わせる基材の凹凸や段差を埋めたりする観点から、0.1μm以上であるのが好ましく、中でも0.5μm以上、その中でも1μm以上であるのがさらに好ましい。その一方、材料の使用効率や透過度、アウトガスの観点から、10000μm以下であるのが好ましく、中でも3000μm以下、その中でも1000μm以下であるのがさらに好ましい。
<粘着層の弾性率>
本発明において粘着層は、25℃における弾性率が、15MPa以上であることが好ましい。弾性率が15MPa以上となることで、粘着層は耐久性が良好となる。これら観点から、粘着層の弾性率は、より好ましくは20MPa以上、さらに好ましくは25MPa以上である。また、粘着層の25℃における弾性率は、被着体への追従性の観点から、100MPa以下が好ましく、80MPa以下がより好ましく、60MPa以下がさらに好ましい。
粘着剤層の弾性率は、ナノインデンターを用いて、室温(25℃)下により測定された弾性率である。
<<<フィルム積層体>>>
上記粘着層付き離型フィルムは、様々なフィルム積層体に使用できる。例えば、粘着層付き離型フィルムは、粘着層表面に光学部材を貼り合わせてなる構成を備えるフィルム積層体を作製することができる。このようなフィルム積層体は、本離型フィルムを剥がして、露出された粘着層により光学部材を被着体に貼り合わせることができる。
光学部材としては、例えば、偏光板、タッチセンサーなどを挙げることができる。また、自動車に搭載されるタッチパネルなどの車載用光学部材であってもよい。
(偏光板)
上記偏光板の材料および構成は任意である。例えば、ヨウ素を配向色素として用いた延伸ポリビニルアルコールフィルムに保護フィルムとしてTAC(トリアセチルセルロース)フィルムを積層したものが、この種の偏光板として広く実用化されている。また、偏光板は、表面に、実質的に位相差を有しないハードコート、防眩、低反射、帯電防止などの機能を持つ層構成を有するものであってもよい。
(タッチセンサー)
上記タッチセンサーは、ユーザが画面に表示される画像を指やタッチペンなどで接触する場合、この接触に反応してタッチ地点を把握する部材であり、センサー技術により、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線または超音波などを利用した表面波方式などの方法が例示される。
一般にタッチセンサーは液晶表示パネル、有機ELなどの表示装置に搭載される。
また、近年、ガラス基板の代替として、フレキシブル性に着目して、基材フィルムを用いる傾向にあり、タッチセンサーフィルムを使用することが好ましい。
タッチセンサーフィルムは、感知電極の機能を実行するためのパターン化した透明導電層を設けるのが一般的である。
また、フィルム積層体は、上記粘着層付き離型フィルムと、他の離型フィルムとを備え、粘着層付き離型フィルムが粘着層を介して他の離型フィルムに貼り合わされた層構造を有してもよい。このような層構造を有するフィルム積層体は、本離型フィルム/粘着層/他の離型フィルム構成からなり、両面粘着シートとして使用できる。
他の離型フィルムは、樹脂フィルムなどの基材表面に離型層が形成されたものであり、離型層が形成された面が粘着層に貼り合わされるとよい。他の離型フィルムの離型層は、上記した本離型層以外を使用するとよい。
上記構造を有するフィルム積層体は、本離型フィルムの離型層の弾性率(MA)と他の離型フィルムの離型層の弾性率(MB)との比率(MB/MA)が、4~30の範囲が好ましく、さらに好ましくは4~25の範囲である。弾性率の範囲が上記範囲内を満足することで、フィルム積層体において、本来剥離する必要のない場面において、本離型フィルムが剥離する不具合を低減することができる。
上記した他の離型フィルムが貼り合わされたフィルム積層体は、本離型フィルムを剥離して、残された粘着層付き離型フィルムの露出する粘着層表面を光学部材に貼り合わせて使用するとよい。そして、その後、当該粘着層付き離型フィルムの粘着層から、他の離型フィルムを剥離するとよい。また、その後、再度、光学部材に貼り付けられた前記粘着層上に本離型フィルムを貼り付けることもできる。このように本発明の離型フィルムは、超軽剥離性でかつ移行性も低いので、いわゆる離型フィルムの再剥離使用も可能である。
なお、他の離型フィルムは、0.3m/minの剥離速度で180°剥離で測定される常態剥離力が本離型フィルムの常態剥離力より大きく、具体的には本離型フィルムの常態剥離力の2~10倍程度のものが好ましく、さらに好ましくは2~6倍である。前記剥離力比率を満足することで、本離型フィルムが本来、剥離する必要のない場面において剥離する不具合を低減することができる。
上記した離型フィルム及びフィルム積層体は、車載用に使用されることが好ましい。車載用に使用される場合、夏場の高温雰囲気下、あるいは冬場の低温環境下に晒されても、高い粘着力を維持するために、粘着層の粘着力を高くする必要がある。本離型フィルムは、超軽剥離性を実現できるので、粘着層の粘着力が高くても剥離性能が良好となる。
<<<語句の説明など>>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル、タッチパネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明が、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
以下のとおり、離型フィルムを試料フィルムとして種々の物性の測定及び評価は次のように行った。
(1)離型層の厚み測定
裏面からの反射を抑えるために、あらかじめ、試料フィルムの測定裏面に黒テープ(ニチバン(株)製「ビニールテープVT―50」)を貼った。測定には、分光光度計(日本分光(株)製 紫外可視分光光度計「V-670」)を使用して、波長範囲300~800nmでの絶対反射率を、同期モード、入射角5°、N偏光、レスポンス Fast、データ取得間隔1.0nm、バンド幅10nm、走査速度1000m/minの条件で測定した。この測定で得られたデータと、シリコーンの屈折率を1.43として計算したデータとを比較することで、膜厚を求めた。
(2)最大断面高さ(Rt)
JIS B 0601-2001に準拠した表面粗度計(株式会社小坂研究所製 二次元粗度計「surfcorder SE3500」)を用いて、反離型面の最大断面高さ(Rt)を測定した。Rtは、評価長さにおける粗さ曲線の山高さRpの最大値と谷深さRvの最大値との和として求めることができる。
(3)常態剥離力
試料フィルムの離型層面に、ゴムローラー(2kg)で圧着(2往復)し、粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温(23℃)にて1時間放置した後の剥離力を測定した。剥離力の測定は、(株)インテスコ製の「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3m/minの条件下、試料フィルムを180°で剥離して行った。
(判定基準)
試料フィルムの剥離性は、測定された常態剥離力により、以下の判定基準により評価した。
A(good):10g/inch以下
B(poor):10g/inchを超える
(4)加熱剥離力
試料フィルムの離型層面にゴムローラー(2kg)で圧着(2往復)し、粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、熱風式オーブンにて、100℃で1時間熱処理した。その後、試料フィルムをオーブンから取り出し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力の測定は、(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、試料フィルムを180°で剥離して行った。加熱剥離力の値は、低い方が良好である。
(5)粘着剤剥離力
試料フィルムの離型層面に、下記粘着剤組成物を、湿潤状態での膜厚が2milになるように塗布し、150℃で3分間、加熱処理して硬化させて粘着層(厚み(乾燥後)20μm)を形成した。得られた粘着層の弾性率は20MPaであった。粘着剤層の弾性率は、Hysitron社のナノインデンター(TI 950 Tribo Indenter)を用いて、室温(25℃)下により測定された弾性率である。
《粘着剤組成物》
主剤(アクリル系樹脂):AT352(サイデン化学製) 100質量部
架橋剤:AL(サイデン化学製) 0.25質量部
添加剤:X-301-375SK(サイデン化学製) 0.25質量部
添加剤:X-301-352S(サイデン化学製) 0.25質量部
トルエン:40質量部
その後、粘着層に他の離型フィルムをラミネートし、試料フィルム/粘着層/他の離型フィルムからなるフィルム積層体を得た。なお、他の離型フィルムとしては、後述する比較例1で作製した離型フィルムを用いた。
得られたフィルム積層体において、試料フィルムを粘着層から剥がす際の剥離力を測定した。剥離力の測定は、(株)インテスコ製の「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3m/minの条件下、180°剥離で行った。
(6)離型層の弾性率
Hysitron社のナノインデンター(TI 950 TriboIndenter)を用いて、室温(25℃)下、押し込み深さ50nmの地点での離型層の弾性率を測定した。
(7)離型層の残留接着率
試料フィルムを、A4サイズ(210mm×297mm)の大きさに切り取り、その離型層面に、75μm厚みの2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100-75)を重ねて、温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスした。そして、「75μm厚みの2軸延伸PETフィルム」単体を評価フィルムとした。
他方、離型層を設けていないこと以外は離型フィルムと同様に作製した未処理の基材フィルムに、上記と同じ「75μm厚みの2軸延伸PETフィルム」を重ねて上記と同条件でプレスし、「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」単体を基準フィルムとした。
前記評価フィルム及び前記基準フィルムに、ゴムローラー(2kg)で圧着(2往復)し、粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。粘着テープは、評価フィルム及び基準フィルムの試料フィルム及び基材フィルムそれぞれに接触していた面に貼り合わせた。
剥離力の測定は、(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3m/minの条件下、評価フィルム及び基準フィルムそれぞれを180°で剥離して行った。
そして、測定した評価フィルムの剥離力及び基準フィルムの剥離力を次の式に代入して残留接着率(%)を求めた。
残留接着率(%)=(評価フィルムの剥離力/基準フィルムの剥離力)×100
移行性の大きなフィルムでは、重ねたフィルムに多くのシリコーンが付着するため、粘着テープの剥離力が小さくなり、残留接着率(%)も低下する。したがって、離型フィルムの移行性は、残留接着率の値により以下の通り評価した。
(判定基準)
A(very good):94%以上
B(good):90%以上94%未満
C(poor):90%未満
(8)基材フィルムと離型層との密着性
恒温恒湿槽内において、試料フィルムを60℃、80%RH雰囲気下、4週間放置した後、試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型層面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度により、密着性を以下の評価基準によって評価を行った。
《評価基準》
A(very good):塗膜の脱落が見られなかった。
B(good):塗膜が白くなるが脱落はしていなかった。
C(poor):塗膜の脱落が確認された
(9)ブロッキング性評価
実施例及び比較例の離型フィルムの離型層面と反離型面とが対向するように配置し、プレス機で圧力10kg/cm、40℃、80%RHの雰囲気下、20時間加圧をし、耐ブロッキング性評価用の測定用サンプルとした。その後、剥離装置(株式会社島津製作所製「AGI」)を用いて、引張速度300mm/分、180°剥離の条件で剥離力を測定し、この時の剥離力を耐ブロッキング性の指標とした。なお、耐ブロッキング性は、当該剥離力が小さいほど良好であると判断される。
《評価基準》
A(good):剥離力が20g/inch以下であり、問題なく剥離可能。
B(poor):剥離力が20g/inchを超えるため、ブロッキングが発生。
(10)総合評価
剥離性、移行性、ブロッキング性、密着性について、下記評価基準により判定を行った。
(判定基準)
A:剥離性、移行性、ブロッキング性、及び密着性のすべてがA判定。
B:剥離性、移行性、ブロッキング性、及び密着性の中で、移行性のみB判定でその他はA判定。
C:剥離性、移行性、ブロッキング性、及び密着性のいずれか1つがC判定、又は剥離性、ブロッキング性、密着性のいずれか1つがB判定。
[原料]
実施例及び比較例では次の原料を使用した。
<ポリエステル(1)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100質量部とエチレングリコール55質量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.04質量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.02質量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04質量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.59dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度0.59dl/gのポリエステル(1)を得た。
<ポリエステル(2)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100質量部とエチレングリコール45質量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.06質量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03質量部を添加した後、エチレングリコールに分散させた平均粒径2.7μmのシリカ粒子を0.3質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.59dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、固有粘度0.59dl/gのポリエステル(2)を得た。
<ポリエステル(3)の製造方法>
ポリエステル(2)において、シリカ粒子の代わりに、平均粒径4.5μmの有機粒子(スチレンージビニルベンゼン:スチレン系樹脂)を10質量部添加する以外はポリエステル(2)と同様に製造して、固有粘度0.60のポリエステル(3)を得た。
<ポリエステルフィルムの製造方法>
[PET-A]
ポリエステル(1)とポリエステル(2)とを質量比で82/18でブレンドしたものをA層、およびポリエステル(1)のみをB層の原料として、押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して最外層(表層)、B層を中間層とする2種三層(A(A層)/B(B層)/A(C層))の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/A=5/90/5となるよう共押出し、表面温度40~50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させ、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.0倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸延伸フィルムに対して、下記に示す硬化樹脂層組成物を両面に塗布し、次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.1倍延伸し、さらに235℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、膜厚(乾燥後)が0.05μmの硬化樹脂層を両面に備えた、厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルム(PET-A)を得た。
(硬化樹脂層組成物)
(A):チオフェン系帯電防止剤
ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電剤、アグファゲバルト社製「Orgacon ICP1010」を濃アンモニア水で中和してpH=9とした物。
(B)ポリヒドロキシ化合物
平均重合度4のポリグリセリン
(C)下記の組成で共重合した、縮合多環構造を有するポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
A/B/C=7/10/83(質量%)
[PET-B]~[PET-D]
下記表1に示す通り、ポリエステル原料配合が異なる以外はPET-Aと同様にして製造し、PET-B~PET-Dを得た。
Figure 2022139376000003
<離型層組成物>
a1:硬化型シリコーン樹脂(シロキサン結合からなる主鎖の側鎖および/又は末端に、ビニル基が導入されたシリコーン樹脂、数平均分子量:10600、n-ヘプタン溶媒希釈にて15質量%に調整した際の25℃における粘度:1.7mcps)
a2:硬化型シリコーン樹脂(シロキサン結合からなる主鎖の側鎖および/又は末端に、ビニル基が導入されたシリコーン樹脂(数平均分子量:364000)と、シロキサン結合からなる主鎖の側鎖および/又は末端に、Si-H基が導入された架橋剤とを含有する混合物(粘度:n-ヘプタン溶媒希釈にて15質量%に調整した際の25℃における410mcps))
(硬化型シリコーン樹脂の組成分析)
実施例・比較例で用いた硬化型シリコーン樹脂の組成分析を、400MHz-NMR(Bruker Avance400M)を用いて行い、結果を表2に示した。1H-NMR測定には、溶媒としてCDClを用い、ジメチルシロキサンのメチル基に由来するピークを化学シフト基準として、温度30℃にて行った。下記表2には、硬化型シリコーン樹脂における各官能基の含有割合(mol%)を示した。
Figure 2022139376000004
b1:架橋剤(CL750:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)
c1:付加型白金触媒(PL-50T:信越化学工業株式会社製)
c2:付加型白金触媒(CM678:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)
[実施例1]
PET-CのA層側の平坦面に、下記離型層組成物を、塗布量(乾燥後)の厚みが1g/mになるように塗布した後、150℃で30秒乾燥させた後、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
(離型層組成物)
主剤:a1 100質量部
架橋剤:b1 3質量部
触媒:c2 3質量部
溶媒:トルエン 1000質量部
MEK 9000質量部
[実施例2~9]
離型層の厚み及び基材フィルムの組み合わせを下記表3、4の通りに変更する以外は実施例1と同様にして製造し、フィルム積層体を得た。
[比較例1]
離型層組成物を下記離型層組成物に変更する以外は実施例1と同様に製造し、フィルム積層体を得た。
(離型層組成物)
主剤:a2 100質量部
触媒:c1 1質量部
溶媒:トルエン 200質量部
MEK 200質量部
ヘキサン 200質量部
[比較例2]
実施例1において、離型層の組成を下記離型層組成に変更する以外は実施例1と同様に製造し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
(離型層組成物)
主剤:a1 100質量部
架橋剤:b1 3質量部
触媒:c2 3質量部
粒子:モメンティブ社製「トスパール120」(平均粒径2μm)
0.15質量部
溶媒:トルエン 1000質量部
MEK 9000質量部
[比較例3]
実施例1において、基材フィルムの種類をPET-Aに変更する以外は実施例1と同様に製造し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
Figure 2022139376000005


Figure 2022139376000006
本実施例及び発明者がこれまで行ってきた試験結果より、硬化型シリコーン樹脂を含む離型層を比較的厚くし、かつ弾性率を500MPa以下とする一方で、反離型面の最大断面高さ(Rt)を所定の範囲内とすることで、剥離力が軽いばかりでなく、移行性が低く、ブロッキングしにくく、それでいて基材に対する密着性が良好な離型フィルムを得ることができることがわかった。
なお、比較例1と各実施例とを粘着テープによる剥離力(常態剥離力)で比較すると、最も軽いタイプでは、比較例1の1/5まで軽剥離化させることができ、超軽剥離化を実現できた。
それに対して、比較例1は、従来品レベル(軽剥離タイプ)であり、粘着剤層に対する剥離力が大きく、基材フィルムに対する離型層の密着性も不十分な結果であることがわかった。比較例2は離型層中に粒子を含有しているためか、離型層自体が脆く、基材フィルムに対する密着性が不十分であった。さらに離型層の移行性が多い結果であった。
また、比較例3は、軽剥離化効果がある反面、基材フィルムの反離型面の表面粗さ(Rt)が不十分であったため、耐ブロッキング性が低下することがわかった。

Claims (16)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの片面側に設けた離型層とを備え、
    前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含み、厚みが0.2~1.5μmであり、前記離型層の25℃における弾性率が500MPa以下であり、かつ、粒子を実質的に含有せず、
    前記離型層を設ける面とは反対側のフィルム表面の最大断面高さ(Rt)が、前記離型層の厚み(μm)よりも大きく、かつ2.0μm以下である、離型フィルム。
  2. 前記基材フィルムの前記離型層が設けられる面とは反対側の面が、平均粒径1~6μmの粒子を0.4~1.0質量%含有するポリエステル層を備える、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記離型層と前記基材フィルムとの間に硬化樹脂層を備える、請求項1又は2に記載の離型フィルム。
  4. 前記硬化樹脂層が帯電防止層である、請求項3に記載の離型フィルム。
  5. 前記硬化樹脂層が下記化合物(A)~(C)を含有する硬化樹脂層組成物を硬化させてなる、請求項3又は4に記載の離型フィルム。
    (A)チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体。
    (B)ポリヒドロキシ化合物
    (C)ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
  6. 前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1~5の何れか1項に記載の離型フィルム。
  7. 前記ポリエステルフィルムが三層構成である、請求項6に記載の離型フィルム。
  8. 前記離型フィルムの離型層が設けられる面にアクリル系粘着テープ(Tesa製の「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で180°で剥離したときの剥離力が10g/inch以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の離型フィルム。
  9. ロール状に巻かれた離型フィルムロールである請求項1~8の何れか1項に記載の離型フィルム。
  10. 車載用である、請求項1~9の何れか1項に記載の離型フィルム。
  11. 請求項1~10の何れか1項に記載の離型フィルムと、前記離型フィルムの前記離型層側の面に積層される粘着層と、前記粘着層に貼り合わされる他の離型フィルムとを備える、フィルム積層体。
  12. 前記粘着層がアクリル系粘着剤組成物から形成される、請求項11に記載のフィルム積層体。
  13. 前記粘着層の25℃における弾性率が20MPa以上である、請求項11又は12に記載のフィルム積層体。
  14. 車載用である、請求項11~13の何れか1項に記載のフィルム積層体。
  15. 請求項11~14の何れか1項に記載のフィルム積層体において、請求項1~10の何れか1項に記載の離型フィルムを剥がした後、露出する粘着層表面を光学部材に貼り合わせる、フィルム積層体の使用方法。
  16. 前記光学部材が偏光板またはタッチセンサーである、請求項15に記載のフィルム積層体の使用方法。
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