JP2022133056A - 眼底撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高分解能の眼底画像を得ることができる眼底撮影装置を提供する。【解決手段】 光源からの撮影光を被検眼の眼底に照射する照射光学系、撮影光の眼底反射光を受光する受光素子を有する受光光学系、および、被検眼の屈折誤差を補正する屈折誤差補正部、を備え、前記受光素子からの受光信号に基づいて眼底画像を取得するための撮影光学系と、制御手段と、を備え、屈折誤差補正部は、レンズ部の屈折状態を変化させることで、少なくとも球面成分と正乱視成分とに関して度数を変更可能な可変焦点レンズを有し、制御手段は、可変焦点レンズを制御することで、被検眼の屈折誤差のうち少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正することを特徴とする眼底撮影装置。【選択図】 図2

Description

本開示は、被検眼の眼底を撮影する眼底撮影装置に関する。
眼底撮影装置としては、代表的には眼底カメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、眼底撮影装置としては、補償光学系(Adaptive Optics)を有する装置が提案されている。例えば、特許文献2では、被検眼の波面収差を計測する波面センサと、デフォーマブルミラー等の波面補償デバイスと、を有する補償光学系を備えた装置が提案されている。
特開2009-240625号公報 特開2014-110825号公報
特許文献1に示される眼底カメラでは、フォーカシングレンズを移動させることで被検眼の屈折誤差のうち、球面成分を補正するのみであり、被検眼に屈折誤差の正乱視成分及び高次収差がある場合には、眼底の細部に焦点が合った高分解能の眼底画像を得ることはできない。一方、特許文献2に示される眼底撮影装置によれば、フォーカシングレンズと補償光学系とを用いることで、被検眼に屈折誤差の球面成分に加え、正乱視成分及び高次収差がある場合にも、眼底の細部に焦点が合った高分解能の眼底画像を得ることができる。
しかし、特許文献2においては、補償光学系に加えてフォーカシングレンズも必要になるため、撮影光学系が複雑になり、装置の大型化、高コスト化を招く問題がある。
本開示は、撮影光学系を複雑にすることなく、より高分解能の眼底画像を得ることができる眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼底撮影装置は、光源からの撮影光を被検眼の眼底に照射する照射光学系、撮影光の眼底反射光を受光する受光素子を有する受光光学系、および、被検眼の屈折誤差を補正する屈折誤差補正部、を備え、前記受光素子からの受光信号に基づいて眼底画像を取得するための撮影光学系と、制御手段と、を備え、前記屈折誤差補正部は、レンズ部の屈折状態を変化させることで、少なくとも球面成分と正乱視成分とに関して度数を変更可能な可変焦点レンズを有し、前記制御手段は、前記可変焦点レンズを制御することで、被検眼の屈折誤差のうち少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正することを特徴とする。
本実施例に係る眼底撮影装置の外観図の一例を示す図である。 本実施例に係る眼底撮影装置の光学系の一例を示す図である。 液体レンズの構造の一例を示す図である。 被検眼の屈折誤差のうち球面成分が補正される場合の液体レンズの形状を説明する図である。 被検眼の屈折誤差のうち正乱視成分を補正するために、液体レンズの0°-180°方向の焦点位置が変更される場合について説明する図である。 本実施例に係る眼底撮影装置の制御系の一例を示す図である。 本実施例において制御部の行う制御のフローチャート図である。 制御部が被検眼の屈折誤差のうち正乱視成分及び高次収差を補正する際に行う制御の一例を示すフローチャート図である。 本実施例において被検眼の屈折誤差のうち正乱視成分及び高次収差を補正する際におけるアクチュエータの圧力の増減の一例を示す図である。 眼底撮影装置が屈折誤差取得光学系を備える場合の光学系の一例を示す図である。
[概要]
本開示に係る眼底撮影装置(例えば、眼底撮影装置1)の実施形態を説明する。以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用され得る。
本開示において、例えば、眼底撮影装置は、被検眼の眼底を撮影するための撮影光学系(例えば、撮影光学系30)と、制御手段(例えば、制御部70)を少なくとも有する。
<撮影光学系>
例えば、撮影光学系は、照射光学系(例えば、照射光学系10)と、受光光学(例えば、受光光学系20)と、屈折誤差補正部(例えば、屈折誤差補正部40)と、を有する。
例えば、照射光学系は、光源(例えば、レーザー光源11)からの撮影光を被検眼の眼底へ照射する。
例えば、受光光学系は、撮影光の眼底反射光を受光する受光素子(例えば、受光素子29)を有する。例えば、撮影光学系は、受光素子からの受光信号に基づいて眼底画像を取得するために利用される。
例えば、眼底撮影装置は、画像処理手段(例えば、制御部70)を有する。受光素子からの信号は、画像処理手段へ入力される。画像処理手段では、受光素子からの信号に基づいて被検眼の眼底画像が生成(形成)される。
例えば、屈折誤差補正部は、可変焦点レンズを有する。例えば、可変焦点レンズは、レンズ部(例えば、レンズ部42)の屈折状態を変化させる。これにより、レンズ部の焦点位置(本実施形態では、レンズ部の焦点位置とは、レンズ部の軸上物点の他、軸外物点等から出た光線が像面上で結像する結像点の位置を含むものとして使用する)を変更し、少なくとも球面成分と正乱視成分とに関して度数を変更する。すなわち、屈折誤差補正部は、例えば、一つの可変焦点レンズで、屈折誤差の球面成分(defocus)を補正するフォーカスレンズの機能と、少なくとも正乱視成分を補正する機能と、を有するものが使用される。
なお、本開示において、球面成分とは、被検眼の屈折誤差の度数を表すS(Shpere)、C(Cylinder)、A(Axis)値の、Sで表される成分である。また、正乱視成分とは、S、C、A値のC(及びA)で表される成分である。
例えば、可変焦点レンズは、屈折誤差の球面成分及び正乱視成分に関し、フォーカスレンズ及び乱視補正レンズを用いることなく、それぞれ被検眼の屈折誤差の補正範囲の全体を補正可能にされている。例えば、被検眼の屈折誤差の球面成分に関し、その補正範囲を-10D~+10D(Dは屈折力のディオプタを示す記号)とした場合、可変焦点レンズは、屈折誤差の球面成分の少なくとも-10D~+10Dの範囲を補正可能にされている。また、例えば、可変焦点レンズは、屈折誤差の正乱視成分の少なくとも-6D~+6Dの範囲を補正可能にされている。これにより、フォーカスレンズ、乱視補正レンズ及び補償光学系を使用する場合に比べ、撮影光学系を複雑にせずに、被検眼の屈折誤差の少なくとも球面成分と正乱視成分とが補正された眼底画像の取得が可能にされる。
また、例えば、可変焦点レンズは高次収差のうち、少なくともコマ収差を補正可能にされている。これにより、より高分解能の眼底画像が得られる。
また、例えば、撮影光学系と被検眼とのアライメント(撮影光学系の光軸に直交する方向のアライメント)にズレがあると、眼底画像上では疑似的に被検眼の屈折誤差のコマ収差として現れる。この場合、可変焦点レンズがコマ収差を補正可能にされていることにより、アライメントのズレに起因して現れたコマ収差を補正した、より高分解能の眼底画像を得ることができる。またさらに、撮影光学系の光軸に直交する方向について、撮影光学系の各光学素子の配置に製造上の誤差があった場合においても、可変焦点レンズがコマ収差を補正可能にされていることにより、製造上の誤差を補正でき、より高分解能の眼底画像を得ることができる。
例えば、可変焦点レンズは、液体レンズ(液体レンズ41)である。例えば、液体レンズは、レンズ部の周辺に圧力をかけることにより、レンズ部の形状が変えられ、レンズ部を通る光の屈折状態が変化される。これにより、レンズ部の焦点位置が変えられる。例えば、液体レンズは、レンズ部の中に第1の液体と、第1の液体と異なる屈折率を有する第2の液体と、を収容し、収容された液体に加える電圧の大きさを調整することで、第1の液体と第2の液体の界面の形状が変えられ、これによりレンズ部の屈折率が変えられるものであってもよい。
例えば、可変焦点レンズは、液晶レンズであってもよい。例えば、液晶レンズは、レンズ部に液晶層を有し、液晶層に印加する電圧を調整することで、液晶層の屈折率が変えられ、これによりレンズ部の焦点位置が変えられる。
<制御手段>
例えば、制御手段は、可変焦点レンズを制御することで、被検眼の屈折誤差のうち少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正する。これにより、撮影光学系を複雑にすることなく、より高分解能の眼底画像を得ることができる。
例えば、制御手段は、可変焦点レンズを制御し、被検眼の屈折誤差のうち球面成分を補正した後に、少なくとも正乱視成分を補正する。屈折誤差の内の球面成分が大きい場合に、先に球面成分を補正することで、球面成分と正乱視成分を同時に補正するよりも、効率よく、かつ精度よく屈折誤差を補正できる。
なお、制御手段は、眼底撮影装置における各部の制御処理と、演算処理とを行う機能を兼ねていてもよい。
<評価手段>
例えば、眼底撮影装置は、評価手段(例えば、制御部70)を備える。例えば、評価手段は、撮影光学系の受光素子の受光信号に基づいて、可変焦点レンズによる被検眼の屈折誤差の補正状態を評価する。例えば、評価手段は、受光素子の受光信号を基に眼底画像を取得し、取得した眼底画像に基づいて可変焦点レンズによる被検眼の屈折誤差の補正状態を評価する。
例えば、評価手段は、被検眼の屈折誤差の球面成分に関す補正状態を評価する。また、例えば、評価手段は、被検眼の屈折誤差の正乱視成分及び高次収差の補正状態を評価する。
例えば、制御手段は、評価手段の評価結果に基づいて可変焦点レンズを制御することで被検眼の屈折誤差を補正する。これにより、眼底撮影装置に波面センサ等の特別な検出器を設けず、装置構成を複雑にすることなく、可変焦点レンズを制御できる。
<屈折誤差取得手段、屈折誤差検出部>
例えば、眼底撮影装置は、屈折誤差取得手段(例えば、屈折誤差取得光学系50、制御部70)を備えていてもよい。例えば、制御手段は、屈折誤差取得手段によって取得された屈折誤差データに基づいて可変焦点レンズを制御した後、評価手段の評価結果に基づいて可変焦点レンズを制御する。これにより、効率よく、分解能を高めた眼底画像を得ることができる。
例えば、屈折誤差取得手段は、屈折誤差取得光学系(例えば、屈折誤差取得光学系50)を備える。例えば、屈折誤差取得光学系50は、眼底に測定光を照射する照射光学系(例えば、照射光学系10)を備える。屈折誤差取得光学系50は、測定光の眼底反射光を受光する検出器(例えば、CCDセンサ55)を有する測定光受光光学系(例えば、測定光受光光学系51)を備える。例えば、検出器は、眼底と共役位置に置かれている。屈折誤差取得手段は、検出器からの受光信号に基づき、眼底上での測定光の広がりによって被検眼の屈折誤差データを得る。
例えば、屈折誤差取得手段は、別途、眼底撮影装置とは別の装置(例えば、眼屈折力測定装置)で得られた被検眼の屈折誤差情報(例えば、少なくとも球面度数、乱視度数、乱視軸角度を含む情報)が入力手段(例えば、入力インターフェイス75)によって入力されることで、取得してもよい。
また、例えば、眼底撮影装置は、屈折誤差検出部(例えば、屈折誤差取得光学系50)を備えていてもよい。例えば、屈折誤差検出部は、撮影光の眼底反射光に基づいて被検眼の屈折誤差を検出する。この場合、屈折誤差検出部の検出結果に基づいて可変焦点レンズを制御し、屈折誤差を補正する。
<選択手段>
例えば、眼底撮影装置は、選択手段(例えば、入力インターフェイス75、制御部70)を備えていてもよい。例えば、選択手段は、被検眼の屈折誤差の内の少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正して眼底画像を得る第1撮影モードと、被検眼の屈折誤差の球面成分のみを補正して眼底画像を得る第2撮影モードと、を選択可能にされている。この場合、例えば、制御手段は、選択手段による選択結果に基づいて可変焦点レンズを制御する。例えば、制御手段は、第1撮影モードが選択された場合、被検眼の屈折誤差の内の少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正するように、可変焦点レンズを制御する。例えば、制御手段は、第2撮影モードが選択された場合、屈折誤差の正乱視成分及び高次収差の補正は行わず、屈折誤差の球面成分のみを補正するように、可変焦点レンズを制御する。これにより、例えば、細かな血管まで焦点が合った眼底画像を得る必要がない場合(例えば、従来のSLOの眼底画像の程度で良い場合)は、第2撮影モードを選択することで、第1撮影モードに対して短時間で撮影を終えることができる。このため、被検者への負担も少なくなる。
なお、選択手段は制御手段が兼ねていてもよい。例えば、制御手段は、第1撮影モードと第2撮影モードの実行を選択する。また、例えば、制御手段は、眼底撮影の条件が入力又は設定されている場合、その条件に基づき、第1撮影モードと第2撮影モードの実行を選択することでもよい。
[実施例]
以下、本開示の一実施例である、眼底撮影装置を、図1~図6を参照して説明する。例えば、図1において、眼底撮影装置1は眼底の正面画像を撮影するSLO(scanning laser ophthalmoscope)装置である。
なお、本実施例において、説明の便宜上SLO(scanning laser ophthalmoscope)装置を例に説明するが、本開示が適用可能な眼底撮影装置はこれに限られない。例えば、眼底カメラ(Fundus Camera)及びOCT(optical coherence tomography)においても、本開示は適用できる。
<外観構成>
図1に示すように、本実施例において、装置本体は、撮影部4、位置合わせ機構5、基台6、顔支持ユニット7を有する。撮影部4には、被検眼Eを撮像するための撮影光学系30(図2参照)が格納されている。
位置合わせ機構5は、撮影部4を被検眼Eに対して位置合わせするために用いられる。本実施例において、位置合わせ機構5は、基台6に対して撮影部4を3次元的に移動させる。撮影部4は、Y方向(上下方向)、X方向(左右方向)、および、Z方向(前後方向)の各方向に移動可能であってもよい。
顔支持ユニット7は、図1に示すように、被検眼Eを撮影部4に対向させた状態で被験者の顔を支持する。なお、本実施例において、顔支持ユニット7は、基台6に対して固定されている。
<光学系の構成>
図2を参照して、眼底撮影装置1に設けられた撮影光学系30について説明する。図2に示すように、撮影光学系30は、照射光学系10と、受光光学系20と、を有する。眼底撮影装置1は、撮影光学系30を用いて眼底画像を撮影する。
照射光学系10は、撮影光の光源の例であるレーザー光源11と、屈折誤差補正部40と、を含む。屈折誤差補正部40は、可変焦点レンズの例である液体レンズ41を有する。また、図2に示すように、照射光学系10は、更に、コリメーティングレンズ12、穴開きミラー13、レンズ15、走査部16、および対物光学系17を有してもよい。
レーザー光源11は、例えば、レーザーダイオード(LD)、および、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等を含んで形成されてもよい。
本実施例において、レーザー光源11からのレーザー光は、コリメーティングレンズ12を経て穴開きミラー13に形成された開口部を通り、液体レンズ41およびレンズ15を介した後、走査部16に向かう。走査部16によって反射されたレーザー光は、対物光学系17を通過した後、被検眼Eの眼底Erに照射される。その結果、レーザー光は、眼底Erで反射・散乱される。これらの光(つまり、反射・散乱光)が、戻り光として、瞳孔から出射される。
走査部16(「光スキャナ」ともいう)は、レーザー光源11から発せられたレーザー光を、眼底上で走査するためのユニットである。以下の説明では、特に断りが無い限り、走査部16は、レーザー光の走査方向が互いに異なる2つの光スキャナを含むものとする。即ち、走査部16は、主走査用(例えば、X方向への走査用)の光スキャナ16aと、副走査用(例えば、Y方向への走査用)の光スキャナ16bと、を含む。一例として、主走査用の光スキャナ16aはレゾナントスキャナであり、副走査用の光スキャナ16bはガルバノミラーであってもよい。但し、各光スキャナ16a,16bには、他の光スキャナが適用されてもよい。例えば、各光スキャナ16a,16bに対し、他の反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ、および、MEMS等)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が適用されてもよい。
対物光学系17は、撮影光学系30に含まれる。対物光学系17は、走査部16によって走査されるレーザー光を、眼底Erに導くために利用される。対物光学系17は、対物光学系17の射出瞳(第1射出瞳)の位置に、旋回点Pを形成する。詳細には、旋回点Pの位置は、照射光学系10の光軸L1上であって、対物光学系17に関して走査部16と光学的に共役な位置となる。旋回点Pでは、走査部16を経たレーザー光が旋回される。
なお、本開示において「共役」とは、必ずしも完全な共役関係に限定されるものでは無く、「略共役」を含むものとする。即ち、眼底画像の利用目的(例えば、観察、解析等)との関係で許容される範囲で、完全な共役位置からズレて配置される場合も、本開示における「共役」に含まれる。
走査部16を経たレーザー光は、対物光学系17を通過することによって、旋回点Pを経て、眼底Erに照射される。レーザー光が旋回点Pを中心に旋回されることで、眼底Er上でレーザー光が2次元的に走査される。眼底Erに照射されたレーザー光は、眼底で反射される。眼底反射光は、平行光として瞳孔から出射する。
次に、受光光学系20について説明する。受光光学系20は、1つ又は複数の受光素子を持つ。例えば、図2に示すように、受光光学系20は受光素子29を有する。この場合、照射光学系10によって照射されたレーザー光による眼底反射光は、受光素子29によって受光される。
図2に示すように、本実施例における受光光学系20は、対物光学系17から穴開きミラー13までに配置された各部材を、照射光学系10と共用する。この場合、眼底からの光は、照射光学系10の光路を遡って、穴開きミラー13まで導かれる。穴開きミラー13は、被検眼の角膜,および,装置内部の光学系(例えば対物光学系のレンズ面等)での反射によるノイズ光の少なくとも一部を取り除きつつ、眼底反射光を、受光光学系20の独立光路へ導く。なお、照射光学系10と受光光学系20とを分岐させる光路分岐部材は、穴開きミラー13に限られるものでは無く、その他のビームスプリッタが利用されてもよい。
本実施例の受光光学系20は、穴開きミラー13の反射光路に、レンズ21、ピンホール板23を有する。ピンホール板23は、眼底共役面に配置されており、撮影光学系30における共焦点絞りとして機能する。すなわち、屈折誤差補正部40によって被検眼の屈折誤差が適正に補正される場合において、レンズ21を通過した眼底Erからの光は、ピンホール板23の開口において焦点を結ぶ。ピンホール板23によって、眼底Erの集光点(あるいは、焦点面)以外の位置からの光が取り除かれ、残り(集光点からの光)が受光素子29へ導かれる。
<屈折誤差補正部>
図2に示すように、本実施例の屈折誤差補正部40は、可変焦点レンズの例である液体レンズ41を有する。また、本実施例の光学系において液体レンズ41は、穴開きミラー13と、レンズ15と、の間に配置されている。
例えば、図3に示すように、液体レンズ41は、レンズ部42と、レンズ部42の屈折状態を変化させる駆動部の例としてのアクチュエータ43を有する。アクチュエータ43は、制御部70(図6参照)の制御により、レンズ部42の周縁部に圧力をかける。これにより、レンズ部42の形状が変化し、焦点位置が変えられる。なお、アクチュエータ43はレンズ部42の屈折状態を変化させ、焦点位置を変更させる駆動部の一例である。例えば、駆動部は、レンズ部42に対して電気を流すことで、レンズ部42の屈折状態を変化させ、焦点位置を変更する構成であってもよい。
なお、図3に示される液体レンズ41は可変焦点レンズの一例であり、これに限られない。例えば、液体レンズ41は、レンズ部の中に第1の液体と、第1の液体と異なる屈折率を有する第2の液体と、を収容し、収容された液体に加える電圧の大きさを調整することで、第1の液体と第2の液体の界面の形状が変えられものであってもよい。また、例えば、可変焦点レンズとして、液晶レンズが使用されてもよい。例えば、液晶レンズは、レンズ部に液晶層を有し、液晶層に印加する電圧を調整することで、液晶層の屈折率が変えられものが使用できる。
本実施例の液体レンズ41おいては、レンズ部42の周縁に複数(例えば、8個)のアクチュエータ43(43a、43b、43c、43d、43e、43f、43g、43h)が配置されている。また本実施例では、アクチュエータ43のうち、43aと43e、43bと43f、43cと43g、43dと43h、がレンズ部42の中心軸Cに対して対称となるように配置されている。なお、以下の説明では、便宜上、レンズ部42の中心軸Cを中心として、アクチュエータ43aの中央部を通る方向を0度方向、アクチュエータ43cの中央部を通る方向を90度方向、アクチュエータ43eの中央部を通る方向を180度方向、アクチュエータ43gの中央部を通る方向を270度方向とし、屈折誤差の正乱視成分における乱視軸の角度表記に対応させている。
本実施例において、制御部70は、アクチュエータ43a~43hそれぞれに対して印加される電圧の大きさを変更する。なお、アクチュエータ43a~43hに対して印加される電圧の大きさは、それぞれ異なってもよい。
レンズ部42は、アクチュエータ43からかけられる圧力に応じて形状が変化し、焦点位置が変更される。これによって、被検眼の屈折誤差(球面成分、正乱視成分、及びそれ以上の高次収差)が補正される。
まず、屈折誤差のうち、球面成分が補正される場合のレンズ部42の形状について、図4を用いて説明する。
例えば、図4(a)に示すレンズ部42の状態(各アクチュエータ43によって圧力がかけられていない状態、又は僅かに均等な圧力がかけられている状態)に対し、図4(b)に示すように、アクチュエータ43a~43hそれぞれがレンズ部42に対してかける圧力を均等に増加させると、レンズ部42全体の焦点位置が圧力の大きさに応じて光軸L1の方向に移動する。これによって、被検眼の屈折誤差のうち、球面成分(すなわち、近視成分及び遠視成分)が補正される。
次いで、屈折誤差の正乱視成分が補正される場合について説明する。説明のために、例えば、強主経線の方向が、90°―270°の方向の正乱視の被検眼に対して、乱視成分を補正する場合のレンズ部42の形状について説明する。
例えば、レンズ部42の焦点位置のうち、強主経線方向と直交する方向の焦点位置が移動するように、アクチュエータ43を駆動する。すなわち、アクチュエータ43a~43hのうち、90°―270°の方向に位置するアクチュエータ43c、43gがレンズ部42に対して圧力をかけずに、0°―180°方向に位置するアクチュエータ43a、43eがレンズ部42に対して均等に圧力をかける。なお、45°―225°方向に位置するアクチュエータ43b、43f及び135°―315°方向に位置するアクチュエータ43d,43hは、強主経線方向と弱主経線方向の間が補間されるようにレンズ部42に対して圧力をかければよい。この場合、図5に示すように、レンズ部42のうち0°―180°方向の焦点位置が光軸L1の方向に移動する。これにより、0°―180°方向に直交する90°―270°方向の正乱視成分を補正することができる。このように、アクチュエータ43のうちレンズ部42の中心軸Cを中心として対称に配置された組合わせ(アクチュエータ43aと43e、43bと43f、43cと43g、43dと43h)ごとにレンズ部42にかける圧力が変更されることで、レンズ部42のうち、所定の方向の焦点位置が光軸L1の方向に移動する。これによって、被検眼の正乱視成分が補正される。
次いで、屈折誤差の高次収差が補正される場合について説明する。例えば、高次収差のうちコマ収差を補正する場合、屈折誤差のコマ収差と180度対抗する方向にコマ収差が生じるように、レンズ部42を変形すればよい。すなわち、屈折誤差のコマ収差を補正するために、レンズ部42のカーブ形状が光軸L1に対して偏りを持つようにレンズ部42の形状を変形する。例えば、屈折誤差のコマ収差が0°―180°の方向で0°側に偏って発生している場合、0°方向に位置するアクチュエータ43aに対し、180°方向に位置するアクチュエータ43eの方がレンズ部42に対して大きく圧力をかけるようにする。これにより、0°方向に対して180°方向のレンズ部42のカーブ形状が大きく変形するようになり、屈折誤差のコマ収差を補正するようにレンズ部42の焦点位置が変えられる。
なお、コマ収差以外の高次収差についても、その高次収差に応じて各アクチュエータ43a~43hに対して印加される電圧を異なるものにすることで、レンズ部42のカーブ形状が偏りを持つように変形でき、これによって屈折誤差の高次収差を補正できる。
なお、アクチュエータ43の数や配置は一例であり、これに限定されない。また、液体レンズ41の焦点位置を変更することで高次収差を補正する方法は上記に限られず、例えば、特開2009-37711に記載の方法を用いることができる。
以上のように、屈折誤差補正部40は、液体レンズ41の焦点位置を変更することで、被検眼の屈折誤差(球面成分、正乱視成分、高次収差)を補正する。これにより、眼底撮影装置1は、より高分解能の眼底画像を得ることができる。
<制御系>
図6を参照して、眼底撮影装置1の制御系を説明する。なお、図6は、眼底撮影装置1の制御系を示すブロック図である。眼底撮影装置1は、制御部70によって各部の制御が行われる。制御部70は、眼底撮影装置1の各部の制御処理と、演算処理とを行う電子回路を有する処理装置(プロセッサ)である。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で実現される。制御部70は、記憶部71と、バス等を介して電気的に接続されている。
制御部70は、液体レンズ41のアクチュエータ43a~43hと電気的に接続されている。制御部70は、アクチュエータ43a~43hの駆動により液体レンズ41の焦点位置を変更し、被検眼の屈折誤差を補正する。なお本実施例において、制御部70は、アクチュエータ43a~43hの制御として、被検眼の屈折誤差のうち球面成分を補正する第1補正制御と、被検眼の屈折誤差のうち少なくとも乱視成分を補正する第2補正制御と、の少なくともいずれかを行う(詳細は後述する)。
また、制御部70は、レーザー光源11、受光素子29、走査部16、入力インターフェイス75、およびモニタ80等の各部とも電気的に接続されている。
記憶部71には、各種の制御プログラムおよび固定データ等が格納される。また、記憶部71には、一時データ等が記憶されてもよい。眼底撮影装置1で得られた画像は、記憶部71に記憶されていてもよい。但し、必ずしもこれに限られるものでは無く、外部の記憶装置(例えば、LANおよびWANで制御部70に接続される記憶装置)へ眼底撮影装置1で得られた画像が記憶されてもよい。
本実施例では、制御部70が画像処理部(画像形成部)を兼用する。画像処理部として、制御部70は、例えば、受光素子29から出力される受光信号を基に眼底画像を形成する。より詳細には、制御部70は、走査部16による光走査と同期して眼底画像を形成する。例えば、制御部70は、副走査用の光スキャナ16bがn回(nは、1以上の整数)往復する度に、少なくとも1フレーム(換言すれば、1枚)の眼底画像を、(受光素子毎に)形成する。なお、以下では、特段の断りが無い限り、便宜上、副走査用の光スキャナ16bが1往復する度に、1フレームの眼底画像が形成されるものとする。
制御部70は、逐次形成される複数フレームの眼底画像を、観察画像として時系列にモニタ80へ表示させてもよい。観察画像は、略リアルタイムに取得された眼底画像からなる動画像である。また、制御部70は、逐次形成される複数の眼底画像のうち一部を、撮影画像(キャプチャ画像)として取り込む(キャプチャする)。その際、撮影画像は記憶部71に記憶される。撮影画像が記憶される記憶部71は、不揮発性の記憶媒体(例えば、ハードディスク,フラッシュメモリ等)であってもよい。本実施例では、例えば、撮影開始のトリガ信号(例えば、レリーズ操作信号等)の出力後、所定のタイミング(又は,期間)に形成される眼底画像がキャプチャされる。
また、制御部70は、受光素子29の受光信号に基づき、液体レンズ41による被検眼の屈折誤差の補正状態を評価する機能を兼ねる。例えば、制御部70は、受光素子29の受光信号を基に形成された眼底画像全体の明るさを示す指標、あるいは眼底画像に画像処理を施すことで得られる画像のコントラストを示す指標、等に基づき、被検眼の屈折誤差の補正状態を評価する。
本実施例において、制御部70は、高画質モードと、標準画質モードと、の二つの撮影モードのうち、いずれか一方を実行する。例えば、高画質モードは、制御部70が、液体レンズ41を制御し、少なくとも屈折誤差の球面成分の補正(後述の第1補正制御)と正乱視成分の補正(後述の第2補正制御)を行って眼底画像を取得するモードである。高画質モードでは、高分解能の眼底画像が取得される。例えば、標準画質モードは、制御部70が、液体レンズ41を制御し、屈折誤差の球面成分のみの補正を行って眼底画像を得るモードである。
例えば、高画質モードと標準画質モードの選択は、検者が入力インターフェイス75によって選択信号を入力することによって行われる。なお、制御部70は、実行する撮影モードを選択する選択手段を兼用してもよい。例えば、制御部70は、入力インターフェイス75を介して入力される撮影条件を基に撮影モードを選択してもよい。あるいは、制御部70は、入力インターフェイス75を介して検者に撮影モードを選択させてもよい。もちろん、検者に撮影モードを選択させるための構成(例えば、スイッチ)が眼底撮影装置1に設けられていてもよい。
入力インターフェイス75は、検者の操作を受け付ける操作部である。例えば、入力インターフェイス75はタッチパネルであってもよい。その場合、モニタ80と入力インターフェイス75が兼用されてもよい。もちろん、マウス、および、キーボード等が、入力インターフェイス75として利用されてもよい。このような入力インターフェイス75は、眼底撮影装置1とは別体のデバイスであってもよい。制御部70は、入力インターフェイス75(操作部)から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御する。入力インターフェイス75には、例えば、撮影モードを選択するための操作、レリーズのための操作等の何れかが入力されてもよい。また、例えば、入力インターフェイス75には、被検眼の屈折誤差(すなわち、球面度数、円柱度数及び円柱軸)が外部から入力されても良い。
[動作]
以上のような構成を備える眼底撮影装置1の動作を説明する。
まず、高画質モードにおける眼底撮影装置1の動作を、図7を用いて説明する。なお、図7は、本実施例において制御部70の行う制御のフローチャート図である。
<S101:被検眼と撮影光学系とをアライメント>
制御部70は、位置合わせ機構5の駆動を制御し、被検眼と撮影光学系30との位置関係を変更する。例えば、制御部70が位置合わせ機構5を駆動させることで、眼底が撮影できるように光軸L1と瞳孔中心とのXY方向の位置が調整され、眼底撮影に好適な作動距離となるようにZ方向の位置が調整される。例えば、被検眼と撮影光学系30との位置関係の調整方法は、特開2013-179978号公報に記載された方法を用いることができる。その場合、眼底撮影装置1は被検眼と撮影光学系30との位置関係の調整のためにアライメント光学系を備えていてもよい。
なお、もちろん、検者が手動で被検眼と撮影光学系30との位置関係を調整してもよい。
<S102:第1補正制御>
アライメントが完了し、屈折誤差補正部40の動作開始信号が入力されると(例えば、検者が入力インターフェイス75等によって動作開始信号を入力する)、照射光学系10のレーザー光源11が点灯される。また、走査部16が駆動され、被検眼の眼底Erに対してレーザー光が走査される。また、眼底反射光は受光光学系20の受光素子29によって受光される。例えば、受光素子29は受光した眼底反射光の強度を出力する。制御部70は、走査部16の駆動と、受光素子29の出力した眼底反射光の強度とに基づいて、眼底画像を形成する。
制御部70は形成された眼底画像に基づいて屈折誤差補正部40を制御し、まず、初めに被検眼の屈折誤差の内の球面成分を補正する、第1補正制御を行う。以下に第1補正制御の一例について説明する。
例えば、制御部70は、液体レンズ41のアクチュエータ43に印加する電圧を、変更可能な範囲のうち、最小から最大まで変化させる。これによって、アクチュエータ43がレンズ部42にかける圧力が最小から最大まで変化する。すなわち、レンズ部42の焦点位置が、光軸L1の方向に、移動範囲の端からもう一方の端まで移動していく。
電圧を変化させることと並行して、制御部70は光スキャナ16bを走査させて眼底画像の撮影を行う。すなわち、電圧を変化させる間、制御部70は画像処理部として逐次眼底画像を形成する。なお、逐次形成される眼底画像は動画像としてモニタ80に表示されてもよい。
また、制御部70は、逐次形成された眼底画像それぞれについて、画像処理を行う。そして、制御部70は、眼底画像に基づき、屈折誤差補正部40により球面成分が補正されているか評価するための評価値(以下、評価値Bという)を求める。例えば、制御部70は、眼底画像全体の明るさを基に評価値Bを求める。眼底画像全体の明るさの値が高ければ、評価値Bは高い値とされる。
なお、もちろん、評価値Bはこの例に限定されない。評価値Bとして、眼底画像のコントラストを示す指標が使用されてもよい。例えば、眼底画像のコントラストを示す値は、眼底画像を画像処理して抽出したエッジの強度とすることができる。エッジの強度は、眼底画像をラプラシアンフィルタで処理し、得られた画像全体の輝度の平均値を求めることで得られる。
制御部70は、逐次形成された眼底画像それぞれに対して、求めた評価値Bと、画像の基となる受光信号が取得された際にアクチュエータ43にかかっていた電圧(すなわちアクチュエータ43がレンズ部42にかけていた圧力)と、を対応させて記憶部71に保持する。
その後、制御部70は、評価値Bが最大となるようにアクチュエータ43にかける電圧を変更する。これにより、被検眼の屈折誤差のうち球面成分が補正されるように、液体レンズ41の焦点位置が変更される。
なお、被検眼の屈折誤差のうち球面成分を補正する方法はこれに限られない。例えば、検者がモニタ80に表示される眼底画像を確認しながら入力インターフェイス75を介して液体レンズ41の焦点位置を調整してもよい。例えば、検者は眼底画像が最も明るくなるように、液体レンズ41の焦点位置を変更する。例えば、制御部70は検者によって入力インターフェイス75から入力される信号に基づいてアクチュエータ43の圧力を変更する。
<S103:撮影モードの判定>
制御部70(選択手段の一例)によって、高画質モードが選択されている場合、制御部70はステップS104(第2補正制御)に進む。標準画質モードが選択されている場合、制御部70はステップS105(撮影)に進む。
<S104:第2補正制御>
高画質モードが選択されている場合、被検眼の屈折誤差のうち、球面成分が補正されると、制御部70は、屈折誤差補正部40を制御し、第2補正制御を行う。第2補正制御によって、被検眼の屈折誤差のうち、正乱視成分及び高次収差が補正される。本実施例において、第2補正制御として、制御部70は、評価値Bが高くなるようにアクチュエータ43a~43hの圧力を変更し、前述のように液体レンズ41のレンズ部42の形状を変えることで、結果的に被検眼の正乱視成分及び高次収差を補正する。
なお、この第2補正制御においては、被検眼の屈折誤差の補正状態を評価するための評価値Bは、眼底画像全体の明るさの指標を用いるよりも、眼底画像に画像処理を施して抽出したコントラストの指標が用いられるとよい。屈折誤差の正乱視成分及び高次収差の微妙な変化を評価する上では、眼底画像のコントラストの指標の方が、感度がよいためである。
例えば、第2補正制御として公知の同時摂動最適化法を用いることができる。同時摂動最適化法を用いた制御では、例えば、複数のアクチュエータ43a~43hの圧力を同時にランダムに増減させて、評価値Bが高くなるように(すなわち、正乱視成分及び高次収差の屈折誤差)が補正されるようレンズ部42の形状を変更する。
同時摂動最適化法を用いた第2補正制御の一例を、図8及び図9を用いて以下に説明する。図8は、制御部70が同時摂動最適化法に基づき、被検眼の屈折誤差の正乱視成分及び高次収差を補正する際に行う制御の一例を示すフローチャート図である。
なお、屈折誤差の正乱視成分及び高次収差の補正におけるアクチュエータ43a~43hの圧力変更は、屈折誤差の球面成分の補正が行われ後に、追加的に行われる。
まず、制御部70は、アクチュエータ43a~43hそれぞれがレンズ部42に対してかける圧力を、Δdだけ増加、または減少させる(S11)。例えば、初めのΔdは、屈折誤差の正乱視成分の2.0D(ディオプタ)を補正する量に相当する圧力として初める。
また、それぞれのアクチュエータ43a~43hが圧力を増加させるか、あるいは減少させるかは、ランダムに決定される。例えば、説明のために、アクチュエータ43a、43c、43e及び43gがΔdだけ圧力を増加させ(+Δd)、アクチュエータ43b、43d、43f及び43hがΔdだけ圧力を減少させる(-Δd)とする(図9参照)。もちろん、この組合わせは一例である。
制御部70は、アクチュエータ43a~43hそれぞれの圧力を変更させた後、受光素子29から出力される受光信号を基に眼底画像を形成し、その眼底画像の評価値B(b11)を求める(S12)。
次いで、制御部70は、アクチュエータ43の圧力を、S11で行った圧力の増減とは逆になるように変更(増減の+/-の符号を反転)する(S13)。すなわち、例えば、アクチュエータ43a、43c、43e及び43gはΔdだけ圧力を減少させ(-Δd)、アクチュエータ43b、43d、43f及び43hはΔdだけ圧力を増加させる(+Δd)(図9参照)。
その後、制御部70はS11と同様に眼底画像の評価値B(b12)を求める(S14)。次いで、制御部70は、評価値b11と評価値b12とを比較する。そして、ステップS11で設定した圧力と、ステップS13において設定した圧力のうち、より評価値が大きい眼底画像が得られるように、アクチュエータ43の圧力を変更する(S15)。例えば、説明のために、評価値b11が評価値b12よりも大きいとする。この場合、制御部70は、アクチュエータ43a、43c、43e及び43gがΔdだけ圧力を増加させ、アクチュエータ43b、43d、43f及び43hがΔdだけ圧力を減少させるように圧力を変更する。
次いで、制御部70は、ステップS15における眼底画像の評価値B(すなわち、本説明では評価値b11)が、所定のレベルの基準値Baを超えているか判定する(S16)。例えば、基準値Baは、予め実験的に定められる値である。
眼底画像の評価値Bが基準値Baを超えていた場合、制御部70はステップS104(第2補正制御)を終了し、ステップS105(撮影)に進む。
眼底画像の評価値Bが基準値Baを超えていなかった場合、制御部70はステップS11に戻り、第2補正制御を続行する。すなわち、眼底画像の評価値Bが基準値Baを超えるまで、ステップS11からステップS15(説明のため、フローFとする)を繰り返し実行する。なお、例えば、制御部70は、ステップS11を行う前に、増減させる圧力Δdの調整を行う。例えば、制御部70は、フローFで増減させる圧力Δdを、その前にフローFを実行する際に増減させた圧力Δdよりも小さくする(例えば、前のフローFで使用した圧力Δdに対し、20%小さい圧力とする)。すなわち、フローFが繰り返される度に、増減する圧力Δdは小さくなる。
なお、上記の説明では圧力を変更して眼底画像を取得するごとに、その眼底画像の評価値Bを求める例を説明したが、これに限られない。すなわち、制御部70は、評価値Bを比較する2つの眼底画像を取得してから、それぞれの眼底画像について評価値Bを求め、評価値Bの大小を比較しても良い。言い換えれば、例えば、ステップS12及びステップS14は、ステップS13が終わった後に行われてもよい。
また、例えば、アクチュエータ43a~43hが増減させる圧力Δdは、アクチュエータ43a~43hそれぞれで異なる大きさであってもよい。
また、第2補正制御の終了判定は、基準値Baを用いる代わりに、アクチュエータ43の圧力の+/-の符号を反転した前後における、評価値b11と評価値b12との差分を求め、その差分が所定値以下か否かで判定してもよい。評価値b11と評価値b12との差分が所定値以下になれば、屈折誤差の補正が近似的に収束したものとみなすことができる。
以上により、制御部70は、評価値Bが一定以上となるように液体レンズ41の焦点位置を変更することができる。このため、制御部70は結果的に被検眼の正乱視成分及び高次収差が補正された眼底画像を得ることができる。すなわち、制御部70は画像処理の結果に基づいて被検眼の屈折誤差を補正することで、より高分解能の眼底画像を得ることができる。
もちろん、被検眼の正乱視成分及び高次収差を補正するように液体レンズ41の焦点位置を変更する方法はこれに限られない。例えば、評価値Bが高くなるようにアクチュエータ43の圧力を変更する方法について、山登り法を用いても良い。山登り法を用いた方法とは、例えば、アクチュエータ43a~43hそれぞれの圧力を評価値Bが高くなるように増減させていき、評価値Bが最も高くなったときの圧力に決定する方法である。
また、例えば、制御部70は、入力された被検眼の屈折誤差の情報(乱視度数、乱視軸)に基づいてアクチュエータ43を制御し、液体レンズ41の焦点位置を変更してもよい。その場合、例えば、入力インターフェイス75を通じて外部から被検眼の屈折誤差の情報が入力される。
<S105:撮影>
本実施例において、例えば、撮影のトリガ信号(例えば、レリーズ操作信号等)が検者から入力されると、所定のタイミング(又は,期間)に形成される眼底画像が制御部70によりキャプチャされる。
以上説明した眼底撮影装置1の構成及び動作によれば、撮影光学系を複雑にすることなく、より高分解能の眼底画像を取得することができる。
<標準画質モード>
標準画質モードが選択された場合、第2補正制御(ステップS104)が実行されず、ステップS102の第1補正制御(屈折誤差の球面成分の補正)が終了した時点で屈折誤差の補正が終了する。そのため、標準画質モードでは高画質モードよりもステップS104を実行しない分だけ短時間で眼底画像を取得することができる。
<モード選択>
なお、本実施例において、標準画質モードと高画質モードとの選択はステップS103までに行われる。例えば、標準画質モードと高画質モードとの選択は、動作が開始されてからステップS101が行われるよりも前に行われてもよい。もちろん、ステップS103において標準画質モードと高画質モードとが選択される構成であってもよい。例えば、モニタ80に標準画質モードと高画質モードのいずれかを選択する旨のメッセージが表示され、検者に撮影モードの選択を促してもよい。
例えば、標準画質モードは、細かな血管まで焦点が合った眼底画像を得る必要がない場合(例えば、従来の眼底カメラの眼底画像の程度で良い場合)に選択される。また、標準画質モードは、被検眼に正乱視成分及び高次収差が含まれないことが予め分かっている場合に選択されてもよい。
その一方で、例えば、高画質モードは、被検眼の眼底Erに含まれる微細な組織(例えば、網膜静脈や網膜動脈)まで焦点が合った眼底画像を得る場合に選択される。
例えば、高画質モードが選択されたとき、制御部70は走査部16の動作を制御し、眼底画像を得る範囲(画角)を標準撮影モードの画角よりも小さくしてもよい。例えば、1枚の眼底画像を得るときの走査時間が一定である場合、画角が小さくなるほど単位時間あたりにレーザー光が走査される眼底Erの範囲が小さくなる。このため、走査時間が一定である場合は、画角が小さくなるほどより高い分解能で眼底画像を取得することができる。例えば、眼底撮影装置1は倍率を変更するための光学系やアタッチメントを備えていてもよい。なお、画角を変更する方法については、例えば、特開2019-195422に記載の技術を用いることができる。
[変容例]
本開示は、上記の実施例の記載に必ずしも限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、レンズ部42及びアクチュエータ43a~43hの配置は、乱視軸の角度表記に合わせて一定角度の位置としたが、これに限られない。例えば、中心軸Cを中心にして液体レンズ41(レンズ部42及びアクチュエータ43a~43h)を回転する回転機構を、屈折誤差補正部40に設けてもよい。回転機構は、制御部70により、評価値Bの結果に基づいて制御される。これにより、被検眼が屈折誤差の正乱視成分を持つ場合に、正乱視成分の乱視軸に応じて、より精度よく正乱視成分を補正した状態に液体レンズ41の回転角度を制御できる。このため、より高分解能の眼底画像を得ることができる。
例えば、撮影光学系30は被検眼の屈折誤差を取得するための屈折誤差取得光学系50を備えていてもよい。例えば、図10に示すように、屈折誤差取得光学系50は、測定光を被検眼眼底に照射する測定光照射光学系として照射光学系10を共用する。また、屈折誤差取得光学系50は、測定光の眼底反射光を受光する測定光受光光学系51として、受光光学系20の対物光学系17からレンズ21までの光路を共用し、被検眼からの眼底反射光を分割するビームスプリッタ53と、眼底反射光を受光するCCDセンサ55を備える。例えば、ビームスプリッタ53は、レンズ21とピンホール板23との間に配置されている。例えば、CCDセンサ55は網膜と共役位置に設けられる。
例えば、制御部70は、CCDセンサ55が出力した眼底反射光の受光信号に基づいて、被検眼の屈折誤差を求める。例えば、制御部70はCCDセンサ55によって受光された反射光がどのように広がっているのかを求める(例えば、点広がり関数(PSF)を用いる)ことで、被検眼の屈折誤差を取得してもよい。その場合、制御部70は、取得された被検眼の屈折誤差に基づいて液体レンズ41を制御し、屈折誤差が補正されるように焦点位置を変更してもよい。なお、PSFを用いて被検眼の屈折誤差を求める方法としては、例えば、特表2007-526808に記載された方法を用いることができる。
これによれば、効率よく被検眼の屈折誤差を補正でき、液体レンズ41の焦点位置の調整時間を短縮することができる。このため、より高分解能の眼底画像を得る場合であっても撮影時間が増加することを抑制できる。
なお、本実施例では眼底撮影装置1として、SLO装置を例に説明したが、これに限られない。眼底撮影装置1は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)、視野計などの他の眼科装置と一体化された装置であってもよい。例えば、眼底撮影装置1が光干渉断層計である場合、高画質モードは、血管造影検査(OCT angiography)が行われる場合に使用されてもよい。
1 眼底撮影装置
10 照射光学系
20 受光光学系
30 撮影光学系
40 屈折誤差補正部
41 液体レンズ
42 レンズ部
43 アクチュエータ
70 制御部

Claims (8)

  1. 光源からの撮影光を被検眼の眼底に照射する照射光学系、撮影光の眼底反射光を受光する受光素子を有する受光光学系、及び被検眼の屈折誤差を補正する屈折誤差補正部を備え、前記受光素子からの受光信号に基づいて眼底画像を取得するための撮影光学系と、
    制御手段と、を備え、
    前記屈折誤差補正部は、レンズ部の屈折状態を変化させることで、少なくとも球面成分と正乱視成分とに関して度数を変更可能な可変焦点レンズを有し、
    前記制御手段は、前記可変焦点レンズを制御することで、被検眼の屈折誤差のうち少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正することを特徴とする眼底撮影装置。
  2. 前記可変焦点レンズは、球面成分及び正乱視成分に関し、それぞれ被検眼の屈折誤差の補正範囲の全体を補正可能である、請求項1に記載の眼底撮影装置。
  3. 前記制御手段は、前記可変焦点レンズを制御し、被検眼の屈折誤差のうち球面成分を補正した後に、少なくとも正乱視成分を補正する、請求項1又は2に記載の眼底撮影装置。
  4. 前記眼底撮影装置は、前記受光素子の受光信号に基づき、前記可変焦点レンズによる被検眼の屈折誤差の補正状態を評価する評価手段を備え、
    前記制御手段は、前記評価手段の評価結果に基づいて前記可変焦点レンズを制御することで被検眼の屈折誤差を補正する、請求項1~3のいずれかに記載の眼底撮影装置。
  5. 前記眼底撮影装置は、被検眼の屈折誤差データを取得する屈折誤差取得手段を備え、
    前記制御手段は、前記屈折誤差取得手段によって取得された屈折誤差データに基づいて前記可変焦点レンズを制御した後、前記評価手段の評価結果に基づいて前記可変焦点レンズを制御する、請求項4に記載の眼底撮影装置。
  6. 前記眼底撮影装置は、被検眼の屈折誤差の少なくとも球面成分と正乱視成分とを補正して眼底画像を得る第1撮影モードと、被検眼の屈折誤差の球面成分のみを補正して眼底画像を得る第2撮影モードと、を選択可能な選択手段を備え、
    前記制御手段は、前記選択手段による選択結果に基づいて前記可変焦点レンズを制御する、請求項1~5のいずれかに記載の眼底撮影装置。
  7. 前記眼底撮影装置は、前記受光素子とは別に、撮影光の眼底反射光に基づいて被検眼の屈折誤差を検出する屈折誤差検出部を備え、
    前記制御手段は、前記屈折誤差検出部の検出結果に基づいて前記可変焦点レンズを制御し、屈折誤差を補正する、請求項1~4のいずれかに記載の眼底撮影装置。
  8. 前記可変焦点レンズは、さらに少なくともコマ収差について補正可能である、請求項1~7のいずれかに記載の眼底撮影装置。
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