JP2022131534A - パルプモールド製蓋体 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくいパルプモールド製蓋体を提供する。【解決手段】パルプモールド製蓋体100は、頂部10と、外周縁部30と、を備え、容器1の開口端部3に嵌合および嵌合解除可能であり、該蓋体100の密度が0.40g/cm3以上であり、かつ、該蓋体100の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する。【選択図】図2

Description

本発明は、パルプモールド製蓋体に関する。
従来、容器の蓋は、コスト等の観点から、プラスチック製であるものが多い。たとえば、特許文献1には、カップ状またはトレー状のプラスチック成形容器に被せて装着して、上周部のフランジにインナーシール材を熱融着して密封するプラスチック成形蓋であって、プラスチック成形蓋の内面側に、インナーシール材を、剥離可能層を介して積層した後に、真空,圧空成形したことを特徴とするインナーシール付のプラスチック成形蓋が記載されている。
特開2007-84075号公報
近年、プラスチックによる海洋汚染等が問題となっており、プラスチックを使用しない、パルプ原料を用いたパルプモールド製品の開発が望まれている。パルプモールド製品は、抄型とプレス乾燥型とを用いて成形され、リサイクルが容易な環境配慮型の工業用包材や食品容器の用途に好適である。しかしながら、パルプモールド製品を容器の蓋体として使用する場合、容器との嵌合および嵌合解除の回数が増えることで変形が生じやすく、容器の内容物が漏れてしまう場合があった。
本発明は、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくいパルプモールド製蓋体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成を有することにより、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくいパルプモールド製蓋体を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<11>に関する。
<1> 頂部と、該頂部の外周縁から垂下する外周縁部と、を備え、容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能なパルプモールド製蓋体であって、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する、パルプモールド製蓋体。
<2> パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを100質量%含有する、<1>に記載のパルプモールド製蓋体。
<3> パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、バガス、および竹よりなる群から選択される1種以上を含有する、<1>または<2>に記載のパルプモールド製蓋体。
<4> パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、針葉樹クラフトパルプおよび広葉樹クラフトパルプから選択される1種以上の木材パルプと、バガスおよび竹から選択される1種以上の非木材パルプとの混合パルプである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<5> パルプモールド製蓋体のパルプ原料中、針葉樹クラフトパルプおよびバガスの配合量が50質量%以上である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<6> パルプモールド製蓋体を構成するパルプのカナダ標準ろ水度が100mL以上700mL以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<7> パルプモールド製蓋体が1層構成である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<8> 前記容器は、飲料用容器である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<9> 前記頂部は、飲み口および切込みの少なくともいずれかを備える、<1>~<8>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<10> 前記容器は、ホット飲料用容器であり、かつ、ホット飲料用である、<1>~<9>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
<11> 前記容器は、紙コップである、<1>~<10>のいずれか1つに記載のパルプモールド製蓋体。
本発明によれば、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくいパルプモールド製蓋体を提供できる。
第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面概略図である。 第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体と容器とが嵌合する状態を説明するための概略図であり、図中の分図(a)は、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を容器の上方に配置した状態を例示する縦断面概略図であり、図中の分図(b)は、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体が容器に嵌合した状態を例示する縦断面概略図である。 第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体と容器との嵌合を解除する状態を説明するための概略図であり、図中の分図(a)は、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体の外周縁部の下端にL字形状の治具を引っ掛けた状態を例示する縦断面概略図であり、図中の分図(b)は、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体と容器との嵌合が解除された状態を例示する縦断面概略図である。 第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する外観斜視図であり、図中の分図(a)は、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する平面側外観斜視図であり、図中の分図(b)は、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する底面側外観斜視図である。 第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する側面図であり、図中の分図(a)は、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する側面図であり、図中の分図(b)は、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する平面側外観斜視図である。 第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体を例示する平面側外観斜視図である。 第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体の小蓋が小蓋嵌合部に嵌合した状態を例示する平面側外観斜視図である。 第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体の小蓋と小蓋嵌合部との嵌合を解除した状態を例示する平面側である。 図7のパルプモールド製蓋体の外観背面図である。 図8のパルプモールド製蓋体の外観背面図である。 変形例に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 変形例に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 変形例に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 変形例に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 変形例に係るパルプモールド製蓋体を例示する縦断面図である。 本実施例に係るパルプモールド製蓋体の一例を示す平面側外観斜視図である。 本実施例に係るパルプモールド製蓋体の一例を示す平面側外観斜視図である。 実施例で作製したパルプモールド製蓋体の斜視図である。
[パルプモールド製蓋体]
本発明のパルプモールド製蓋体は、頂部と、該頂部の外周縁から垂下する外周縁部と、を備え、容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能なパルプモールド製蓋体であって、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する(たとえば、図2参照)。
本発明のパルプモールド製蓋体は、密度及び平均厚みが上記範囲であることにより、容器と繰り返し嵌合および嵌合解除することができ、また、嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくいため、容器の内容物が漏れてしまうことを防ぐことができる。
(密度)
本発明のパルプモールド製蓋体の密度は、パルプモールド製蓋体を容器と繰り返し嵌合および嵌合解除しても漏れにくいものとする観点、ならびに表面平滑性および耐油性をより向上させる観点から、0.40g/cm以上であり、好ましくは0.45g/cm以上、より好ましくは0.50g/cm以上、さらに好ましくは0.55g/cm以上であり、そして、好ましくは1.0g/cm以下、より好ましくは0.95g/cm以下、さらに好ましくは0.90g/cm以下、よりさらに好ましくは0.85g/cm以下である。
パルプモールド製蓋体の密度は、JIS P 8118:2014に準じて測定することができる。なお、JIS P 8118:2014は紙や板紙に用いる方法であり、本発明においては、サンプルの大きさが規定どおりに取れないことがあり、その際にはサンプルサイズを適宜調整して測定に用いる。測定には蓋の平面部分を用いる。
(平均厚み)
パルプモールド製蓋体の平均厚みは、パルプモールド製蓋体を容器と繰り返し嵌合および嵌合解除しても漏れにくいものとする観点から、0.25mm以上であり、好ましくは0.30mm以上、より好ましくは0.35mm以上、さらに好ましくは0.40mm以下であり、そして、1.50mm以下であり、好ましくは1.20mm以下である。パルプモールド製蓋体の平均厚みは、JIS P 8118:2014に準じて、任意に10箇所の厚みを測定し、それらの算術平均値をいう。前記同様にサンプルの大きさが規定どおりに取れない場合、サンプルサイズを適宜調整して測定に用いる。測定には蓋の平面部分を用いる。
(坪量)
パルプモールド製蓋体の坪量は、耐水性や強度の観点から、好ましくは200g/m以上、より好ましくは250g/m以上、さらに好ましくは300g/m以上、さらにより好ましくは350g/m以上であり、そして、経済的観点からは、好ましくは1500g/m以下、より好ましくは1000g/m以下、さらに好ましくは700g/m以下である。
パルプモールド製蓋体の坪量は、JIS P 8124:2011に準じて測定される。前記同様にサンプルの大きさが規定どおりに取れない場合、サンプルサイズを適宜調整して測定に用いる。測定には蓋の平面部分を用いる。
(嵌合力および開封力)
本発明のパルプモールド製蓋体は、閉めやすさと開けやすさとを両立し、通常の使用状態で嵌合状態を維持する観点から、下記要件1および要件2の少なくともいずれかを満たすことが好ましく、下記要件1および要件2を共に満たすことがより好ましい。
要件1:前記パルプモールド製蓋体を前記容器の開口端部の上方に、該開口端部の上端に対して水平に置き、100mm/minの速度で鉛直方向に荷重をかけ、前記容器の開口端部に嵌合したときの最大荷重値である嵌合力(以下、単に「嵌合力」、または「嵌合ショックピーク値」ともいう)が、0.2N/cm以上6.0N/cm以下である。
要件2:前記容器の開口端部に嵌合した前記パルプモールド製蓋体の外周縁部の下端にL字形状の治具を引っ掛け、300mm/minの速度で引き上げ、嵌合が解除されたときの荷重値である開封力(以下、単に「開封力」、または「開封ショックピーク値」ともいう)が、0.05N/cm以上1.5N/cm以下である。
≪嵌合力(要件1)≫
パルプモールド製蓋体の嵌合力は、具体的には、以下のとおり測定される。まず、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、パルプモールド製蓋体と容器とを24時間静置し、調温および調湿する。その後、パルプモールド製蓋体を容器の開口端部の上方に、開口端部の上端に対して水平に置き、100mm/minの速度で、パルプモールド製蓋体上面に鉛直方向に荷重をかける(図2中の分図(a)参照)。そして、パルプモールド製蓋体が、容器の開口端部に嵌合したときの最大荷重値(嵌合ショックピーク値)を嵌合力とする(図2中の分図(b)参照)。ここで、パルプモールド製蓋体上面に鉛直方向に荷重をかける際には、プレート(たとえば、株式会社イマダ製の円盤型圧縮治具「PC-5100」)等を用いることができる。また、ここで、水平とは、概ね水平な状態をいい、たとえば±5°程度の状態を許容するものとする。
パルプモールド製蓋体の嵌合力は、閉めやすさと開けやすさとを両立し、通常の使用状態で、容器1との嵌合状態を維持させる観点から、好ましくは0.2N/cm以上、より好ましくは0.4N/cm以上、さらに好ましくは0.6N/cm以上、よりさらに好ましくは0.8N/cm以上、よりさらに好ましくは1.0N/cm以上であり、そして、好ましくは6.0N/cm以下、より好ましくは5.5N/cm以下、さらに好ましくは5.0N/cm以下、よりさらに好ましくは4.5N/cm以下、よりさらに好ましくは4.0N/cm以下である。
パルプモールド製蓋体は、使用者により、鉛直方向(容器の方向)に押圧されると、プラスチック蓋とは異なり、容器の開口端部の一部のみではなく、容器の開口端部の全周と嵌合しやすいのでしっかり閉まり、容器の内容物が流出してしまうことを防ぐことができる。
≪開封力(要件2)≫
パルプモールド製蓋体の開封力は、具体的には、以下のとおり測定される。まず、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、パルプモールド製蓋体が嵌合した容器を24時間静置し、調温および調湿する。その後、容器の開口端部に嵌合したパルプモールド製蓋体の外周縁部の下端にL字形状の治具を引っ掛け、300mm/minの速度で引き上げる(図3中の分図(a)参照)。そして、パルプモールド製蓋体と容器との嵌合が解除されたときの荷重値(開封ショックピーク値)を開封力とする(図3中の分図(b)参照)。ここで、L字形状の冶具は、株式会社イマダ製のチップ剥離用治具(GT-20)を用いることとする。
パルプモールド製蓋体の開封力は、通常の使用状態で、容器との嵌合状態を維持し、閉めやすさと開けやすさとを両立する観点から、好ましくは0.05N/cm以上、より好ましくは0.15N/cm以上、さらに好ましくは0.25N/cm以上であり、そして、好ましくは1.5N/cm以下、より好ましくは1.4N/cm以下、さらに好ましくは1.3N/cm以下、よりさらに好ましくは1.2N/cm以下である。
<パルプ原料>
本発明のパルプモールド製蓋体のパルプ原料としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙が例示され、木材パルプ、非木材パルプが好ましく、木材パルプおよび非木材パルプの混合パルプであることがより好ましい。ここで、パルプ原料は、パルプモールド製蓋体を構成するパルプである。
木材パルプとしては、一般に製紙用途で使用されている木材パルプが挙げられ、その調製法の違いにより、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ;セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ;砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプ;等に分類される。
木材パルプとしては、原料により、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプが例示される。針葉樹パルプとしては、モミ属、マツ属等から得られるパルプが例示される。また、広葉樹パルプとしては、アカシア属、ユーカリ属、ヤマナラシ属(たとえば、ポプラ)等から得られるパルプが例示される。
これらの中でも、木材パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)がより好ましい。針葉樹クラフトパルプを配合すると、外力によって変形しにくく、容器の内容物が漏れにくい蓋体が得られやすくなる。また、広葉樹パルプを配合すると、平滑性に優れ、口触りが良い蓋体が得られやすくなる。
本発明において、広葉樹パルプとしては、得られるパルプモールド製蓋体の平滑性の観点から、アカシア属およびユーカリ属の木材パルプが好ましい。広葉樹パルプは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、針葉樹パルプとしては、マツ属の針葉樹パルプが好ましく、ラジアータパインがより好ましい。パルプ原料として、針葉樹パルプを含有することにより、より強度に優れたパルプモールド製蓋体が得られる。針葉樹パルプは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプ原料は、耐水性および耐油性をより向上させる観点から、木材パルプである針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、非木材パルプであるバガス、および竹よりなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。なかでも、外力によって変形しにくく、容器の内容物が漏れにくい蓋体を得る観点からは、パルプ原料は、針葉樹クラフトパルプおよびバガスの少なくとも一方を含有することが好ましい。この際、パルプ原料中、針葉樹クラフトパルプおよびバガスの配合量(両方を配合する場合は合計配合量)は、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくくする観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
パルプ原料が木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである場合、パルプ原料中の木材パルプの含有量は、パルプモールド製蓋体の表面平滑性および耐油性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以下である。
非木材パルプは、植物の皮、茎、葉、葉鞘から採取した繊維である。具体的には、コットンリンター、木綿、リネン、***、ラミー、わら、エスパルト、マニラ麻、ザイザル麻、黄麻、亜麻、ケナフ、竹、バガス、がんぴ、みつまた、こうぞ、桑から得られるパルプが挙げられる。
非木材パルプは、パルプモールド製蓋体の耐油性を向上させる観点から、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかを含むことが好ましく、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかであることがより好ましく、バガスであることがさらに好ましい。バガスを配合すると、外力によって変形しにくく、容器の内容物が漏れにくい蓋体が得られやすくなる。
パルプ原料が木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである場合、パルプ原料中の非木材パルプの含有量は、パルプモールド製蓋体の表面平滑性および耐油性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、よりさらに好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、よりさらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以下である。
パルプ原料が木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである場合、非木材パルプは、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかを含むことが好ましく、バガスおよび竹から選択される少なくともいずれかであることがより好ましく、バガスであることがさらに好ましい。また、パルプ原料が木材パルプと非木材パルプとの混合パルプである場合、木材パルプは、広葉樹パルプおよび針葉樹パルプからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、広葉樹クラフトパルプであることがより好ましい。
本発明において、パルプ原料はバージンパルプを80質量%以上含有する。バージンパルプの含有量を80質量%以上とすることにより、より表面平滑性に優れるパルプモールド製蓋体が得られる。パルプ原料中のバージンパルプの含有量は、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、よりさらに好ましくは100質量%である。
バージンパルプとしては、晒しパルプ、半晒しパルプ、未晒しパルプが好ましい。
また、パルプ原料として、マーセルパルプ、架橋パルプを含有すると、パルプモールド製蓋体の強度が低下したり、密度が低下する傾向がある。したがって、パルプ原料中のマーセルパルプおよび架橋パルプの含有量は、それぞれ、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは含有しないこと(0質量%)である。
古紙パルプは、パルプモールド蓋体に含有すると、蓋体の弾性率が低下し、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返した際に、変形が生じやすく、容器の内容物が漏れる恐れがある。また、古紙パルプはインキの残留量が多く、分散性に劣る傾向がある。その他、古紙パルプは毛羽立ちしやすく、白色度が低く、インキがパルプ繊維上に残留したまま細長く黒く見える未脱墨繊維が存在し、黒ひげが発生する傾向にある。また、灰色に見えるビニール等や、黒色斑点スポットが残留しているためにチリが見られる。その結果として、得られるパルプモールド製蓋体として、パルプ原料中の古紙パルプの含有量は、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは含有しないこと(0質量%)である。
(カナダ標準ろ水度(CSF))
本発明において、パルプ原料のカナダ標準ろ水度は、パルプ原料の生産性、およびパルプモールド製蓋体を製造時の抄紙性の観点から、好ましくは100mL以上、より好ましくは150mL以上、さらに好ましくは200mL以上、よりさらに好ましくは250mL以上、よりさらに好ましくは300mL以上であり、そして、表面平滑性の観点から、好ましくは700mL以下、より好ましくは650mL以下、さらに好ましくは600mL以下、よりさらに好ましくは550mL以下、よりさらに好ましくは520mL以下である。
カナダ標準ろ水度が上記範囲内となるように、叩解の程度を調整すればよい。
カナダ標準ろ水度は、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定される。
(引張弾性率)
本発明において、パルプ原料から作製したパルプシート(たとえば、坪量60g/m、密度0.50g/cm)の引張弾性率は、外力によって変形しにくく、容器の内容物が漏れにくい蓋体を得る観点から、好ましくは3.00GPa以上、より好ましくは4.00GPa以上、さらに好ましくは4.10GPa以上である。引張弾性率の上限は、特に限定されないが、たとえば7.00GPa以下、好ましくは6.10GPa以下、より好ましくは6.00GPa以下である。
パルプシートの引張弾性率は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される。
(クレム吸水度)
パルプ原料から作製したパルプシート(たとえば、坪量60g/m、密度0.50g/cm)のパルプシートのクレム吸水度は、耐水性に優れた蓋体を得る観点から、好ましくは75mm以下、より好ましくは65mm以下、さらに好ましくは60mm以下である。クレム吸水度の下限は、特に限定されないが、例えば0mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上、さらにより好ましくは25mm以上である。
パルプシートのクレム吸水度は、JIS P 8141:2004に準拠して測定される。
(油浸透度)
パルプ原料から作製したパルプシート(たとえば、坪量60g/m、密度0.50g/cm)の油浸透度は、耐油性に優れた蓋体を得る観点から、好ましくは2sec以上、より好ましくは3sec以上、さらに好ましくは4sec以上である。油浸透度の上限は、特に限定されないが、好ましくは50sec以下、より好ましくは40sec以下である。
パルプシートの油浸透度は、旧JIS P 8130:1994に準拠して測定される。
<その他の成分>
パルプモールド製蓋体は、上述したパルプを主原料として形成されている。パルプモールド製蓋体は、パルプ100%から形成されていてもよいが、パルプに加えて、各種内添助剤等の他の材料を添加することが可能である。
他の成分としては、タルク、カオリン等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の合成樹脂の粉末または繊維、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、耐油剤、歩留剤、濾水向上剤、嵩高剤、硫酸バンド、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、顔料等の着色剤等が例示される。他の成分として、サイズ剤を含有することが好ましい。
サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤(たとえば、酸性ロジン系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤)、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体などのスチレン含有ポリマーが挙げられ、アルキルケテンダイマーが好ましい。
湿潤紙力増強剤としては、内添用の湿潤紙力増強剤として、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂、エポキシ化ポリアミドポリアミン、ジアルデヒドでんぷん、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド、ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等が例示される。
また、撥水剤としては、ワックスエマルジョン、金属石けん(ナトリウム、カリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム等のアルカリ塩)、脂肪酸クロム錯塩(ミリスチン錯塩、ステアリン酸クロミッククロライド錯塩等)、ジルコニウム撥水剤、シリコーンエマルジョン等が例示される。
本発明のパルプモールド製蓋体は、非木材パルプを含有する場合、パルプ原料のみで耐油性を向上させることが可能であることから、湿潤紙力増強剤および撥水剤の添加量を減少しても、または添加しなくても、十分な耐油性を得ることが可能である。なお、より高い耐油性および耐水性を得ることを目的として、湿潤紙力増強剤または撥水剤を添加する態様を排除するものではない。
本発明のパルプモールド製蓋体は、後述する抄き上げ工程を複数回行ったり、ホットプレス工程において、複数のモールド中間体をホットプレスすることにより、複数層の構成としてもよいが、表面平滑性および耐油性により優れる観点から、1層構成とすることが好ましい。
なお、容器は、内容物を収容することができるものであればとくに限定されないが、食品用容器、飲料用容器であることが好ましく、飲料用容器であることがより好ましく、ホット飲料用容器であることがさらに好ましい。飲料用容器は、たとえば、プラスチック(たとえば、PET(たとえば、C-PET)、PP、PE、PSなどの熱可塑性樹脂;生分解性プラスチック;天然素材混合プラスチック)、発砲スチロール、紙(たとえば、上質紙、パルプモールド)からなるコップが挙げられ、紙コップであることがより好ましい。なお、容器は、開口端部が外巻きのカール形状を有することが好ましい。
容器が飲料用容器である場合、本発明のパルプモールド製蓋体は、頂部に飲み口および切込みの少なくともいずれかを備えることが好ましい。飲み口に、ヒンジ部を介して嵌合解除可能な小蓋を備えることもできる(図7ないし図11参照)。小蓋は、ハンドリング性の観点から、少なくともヒンジ部の反対側に、指を引っ掛けるための取手部を備えることが好ましい(図7ないし図11参照)。
<二次加工パルプモールド製蓋体>
本発明のパルプモールド製蓋体を表面加工して、二次加工パルプモールド製蓋体としてもよい。なお、本発明において、二次加工パルプモールド製蓋体とは、パルプモールド製蓋体に、表面加工を施したものである。なお、本発明のパルプモールド製蓋体は、表面平滑性に優れるため、表面加工を容易に施すことができるという利点をも有する。
二次加工の方法としてはとくに限定されず、パルプモールドの表面加工が可能な方法であればとくに限定されないが、二次加工パルプモールド製蓋体は、直刷法、ラミネート法、転写法、および蒸着法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることが好ましく、直刷法、ラミネート法、および転写法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることがより好ましく、ラミネート法および転写法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることがさらに好ましく、後述する真空ラミネート法およびホットスタンプ転写法の少なくとも1つの表面加工法により表面加工されたものであることがよりさらに好ましい。
なお、これらの方法に限定されず、予め印刷されたシール等を貼付してもよい。
(直刷法)
直刷法は、色、柄、模様等の付与や、防水性、防湿性等の付与を目的として、直接パルプモールド製蓋体の表面にインクや樹脂を付与するものであり、含浸、印刷等により、パルプモールド製蓋体を表面加工する方法が挙げられる。
印刷としては、ゴム版や樹脂版による凸版印刷、シルクスクリーン印刷、タンポ印刷、静電印刷、熱転写印刷などのいずれの印刷手段であってもよい。印刷により、得られたパルプモールド製蓋体の表面に、図柄や文字等を設けることができる。
また、パルプモールド製蓋体への刷毛、スプレーなどによって直刷してもよい。これらの中でも、均一に樹脂等を付与する観点から、スプレー塗布が好ましい。スプレー塗布はエアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー等のいずれにより行ってもよい。
パルプモールド製蓋体の表面に防水または防湿性を付与する場合には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂を固形分に含む水系エマルジョン塗料、またはこれらの樹脂の水溶液塗料若しくは有機溶剤系塗料等を塗工すればよい。
(ラミネート法)
ラミネート加工は、樹脂フィルムで被覆することにより行われることが好ましく、使用される樹脂フィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のポリビニル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂フィルム、変性ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂フィルムが挙げられる。製造コスト、成形性等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、環境に配慮した廃棄性の点からは、生分解性樹脂フィルムが好ましい。ラミネート加工は、これらの樹脂フィルムの2種以上を積層させて形成してもよい。
樹脂フィルムの厚みはとくに限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
上記の樹脂フィルムをラミネート加工することにより、耐水性、耐油性、ガスバリア性等の機能を向上または付与することができる。
また、ラミネート加工する樹脂フィルムに、予め絵柄を印刷してもよく、着色性のある顔料、微細粒子(パール顔料、ホログラム等)、夜光染料・夜光顔料等を添加しておいてもよい。このような樹脂フィルムを使用することにより、パルプモールド製蓋体の表面に、光沢性や意匠性を付与することができる。
ラミネート加工は、パルプモールド製蓋体に対して押出ラミネーション、熱ラミネーション、ドライラミネーション、またはウェットラミネーション等の公知の方法で行えばよい。
これらの中でも、熱ラミネーションが好ましく、真空ラミネーション、真空プレスが好ましく、真空ラミネーションがより好ましい。
真空ラミネーションは、基材側(パルプモールド側)からの吸引により、その上部に置かれたシートを変形させてラミネートを行ってもよく、また、予め真空にされた上下チャンバーを樹脂フィルムで2分割しておき、樹脂フィルム加熱装置を備えた上部チャンバーを圧空とすることにより、下部チャンバーに置かれた基材(パルプモールド製蓋体)にラミネートする方法でもよい。
また、真空プレスは、シリコーンラバー等を基材(パルプモールド製蓋体)側からの真空吸引、場合により上部より圧空力を加えて基材形状に変形させ、シリコーンゴム等と基材との間に挟まれた樹脂フィルムがシリコーンゴムの圧力により基材にラミネートされる。
また、樹脂フィルムを、パルプモールド製蓋体の形状に合わせて、金型により予備成形し、パルプモールド製蓋体とラミネートしてもよい。
ラミネート加工は、従来公知の方法で行えばよく、真空ラミネーション装置としては、TOM成形機(布施真空株式会社製)などが例示される。
また、ラミネーションの際の温度、圧力などの条件は、ラミネートする樹脂フィルムの素材および厚み、基材の形状、接着剤の有無等により適宜選択すればよいが、たとえば、ヒーターの加熱温度は80℃以上200℃以下で、貼合を行う。
ラミネートの際に、樹脂フィルムとパルプモールド製蓋体との間に、接着剤を付与してもよく、また、付与しなくてもよい。接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、ポリアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、セルロース系接着剤、その他のラミネート用接着剤をしようすることができる。接着剤を付与する場合には、接着剤に着色性を有する顔料、パール顔料、微細粒子(ホログラム等)、夜光顔料、夜光染料等を添加してもよい。
(転写法)
転写法としては、ホットスタンプ転写法、インモールド転写法、水圧転写法などの種々の転写法が例示され、乾式転写法、湿式転写法のいずれでもよい。またインモールド転写法において、予備成形工程を加えてもよい。
転写法の中では、ホットスタンプ転写法(以下、単に「ホットスタンプ法」ともいう)が好ましい。ホットスタンプ法は、「箔」と呼ばれる金属を蒸着したり、顔料を塗布したフィルムを使用し、箔表面に設けた熱接着層を介して基材に熱転写する方法である。ホットスタンプ法に使用される箔は、離型性を有するベースフィルム(たとえば、二軸延伸ポリエステルフィルム)、剥離層(保護層)、絵柄層または蒸着層、熱接着層の順に積層されており、必要に応じて、ベースフィルムと保護層との間に離形層が設けられる。ホットスタンプ法としては、(i)アップダウン方式、(ii)ロール転写方式が挙げられ、熱圧の存在する部分の絵柄層または蒸着層が、基材(パルプモールド製蓋体)に転移するという原理は同じである。アップダウン方式では、ヒーターが内蔵された型板を、ベースフィルム側から基材に押し付け、熱接着層を介して、絵柄層または蒸着層を基材に転写する。同様に、ロール転写方式では、加熱したローラをベースフィルム側から押し付けることで、絵柄層または蒸着層を基材に転写する。また、ベースフィルム側に研削加工、艶差処理、凹凸加工等を施すことにより、転写時に、絵柄層、蒸着層に賦形(凹凸を付す)を行うことも可能である。
(蒸着)
蒸着は、従来公知の蒸着法を採用すればよく、物理蒸着でも化学蒸着でもよく、とくに限定されないが、パルプモールド製蓋体に金属光沢を付与する目的で蒸着することが好ましく、物理蒸着である真空蒸着がより好ましい。
蒸着材料は、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケルなどの金属類、SiO、TiO、ZrO、MgFなどの酸化物やフッ化物を使用することが好ましい。
蒸着層の厚みは、とくに限定されないが、0.1μm以上であることが好ましい。
[パルプモールド製蓋体の製造方法]
パルプモールド製蓋体の製造方法はとくに限定されないが、以下の工程1~工程3をこの順で有する製造方法により製造することが好ましい。
工程1:パルプ懸濁液を準備するパルプ懸濁液準備工程
工程2:パルプ懸濁液から抄型を介してパルプを抄き上げる抄き上げ工程
工程3:前記抄き上げ工程後に得られたモールド中間体を加熱しながら第1のプレス金型と前記第1のプレス金型とは反対方向に位置する第2のプレス金型とによりホットプレスするホットプレス工程
工程1では、パルプ原料、サイズ剤等のその他の添加剤を加えて、パルプ懸濁液(パルプスラリー)を調製する。該懸濁液の濃度(スラリー濃度)は、表面平滑性、寸法安定性、および生産性の観点から、好ましくは0.1~1.5質量%、より好ましくは0.2~1.0質量%である。
工程2は、パルプ懸濁液から抄型を介してパルプを抄き上げる抄き上げ工程である。
パルプ懸濁液中に真空引き通水性構造の金網張り金型などの成形金型を浸漬し、パルプ懸濁液を成形金型に吸引して水を排出させると同時にパルプ繊維を型に積層吸着させて型に対称な立体的な湿紙を形成し、次いで、成形金型をパルプ懸濁液から引き上げ、含水した立体的な湿紙の吸引脱水または加圧脱水を行う。
この際、成形金型面にパルプを積層吸着した成形金型は、真空吸引を続けながら、パルプ吸着面と対向させて、真空吸引をきかせた取り型(離型装置)を接近させ、パルプモールド中間体を圧縮真空吸引して脱水した後、成形金型の真空圧を常圧に戻して、取り型にパルプモールド中間体を吸着させた状態で取り方を引き戻して離型する。
工程3は、前記抄き上げ工程後に得られたモールド中間体を加熱しながら第1のプレス金型と前記第1のプレス金型とは反対方向に位置する第2のプレス金型とによりホットプレスするホットプレス工程である。
工程3は、工程2で得られた脱水後のパルプモールド中間体を、たとえば、多孔質金型からなるホットプレス用の第1のプレス金型に移し変える。前記第1のプレス金型に移し変えられたパルプモールド中間体は、第1のプレス金型と、第1のプレス金型とは反対方向に位置し、第1のプレス金型に係合するホットプレス用の第2のプレス金型とによって加熱、加圧されて、所定のパルプモールド製蓋体が得られる。
なお、ホットプレス用の第1のプレス金型および第2のプレス金型の少なくとも1つに内部に電熱ヒータを内蔵させ、それにより前記第1のプレス金型および第2のプレス金型の少なくとも1つを加熱することが好ましい。また、第1のプレス金型および第2のプレス金型を含む金型全体を熱風を導入した炉内に収容することによって、型の内部にも熱風が通過するようにしてもよい。
工程3(ホットプレス工程)において、第1のプレス金型および第2のプレス金型によるプレス時の圧力は、表面平滑性に優れるパルプモールド製蓋体を得る観点から、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.4MPa以上、よりさらに好ましくは0.6MPa以上であり、そして、消費電力および装置負荷の観点から、好ましくは3.0MPa以下、より好ましくは2.0MPa以下、さらに好ましくは1.5MPa以下である。
工程3(ホットプレス工程)において、ホットプレス時の温度は、表面平滑性に優れるパルプモールド製蓋体を得る観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、そして、消費電力、装置負荷、および変色抑制の観点から、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。
上記のようにして得られたパルプモールド製蓋体は、さらに、不要部分の断裁、必要に応じて穴あけ等の加工を施されて、たとえば飲み口および切込みの少なくともいずれかが形成されてもよい。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、図1ないし図3を用いて、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体100について説明する。
[第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体]
図1ないし図3に示すように、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体100は、頂部10と、該頂部10の外周縁から垂下する外周縁部30と、を備え、容器1の開口端部3に嵌合および嵌合解除可能なパルプモールド製蓋体100であって、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する。
頂部10は、パルプモールド製蓋体100の外周縁部30の下端31からの距離が一番長い部分、すなわち、パルプモールド製蓋体100における最高部分であり、容器1の開口部を覆う部分である。頂部10は、容器1の用途等に応じて、段差等を備えていてもよい。頂部10には、成形に用いる金型、レーザー等で凹凸模様を形成することができる。また、パルプモールド製蓋体100と嵌合する容器1が飲料用容器である場合、頂部10は、不図示の飲み口および切込みの少なくともいずれかを備えることが好ましい。切込みには、ストローなどを挿入することができる。
外周縁部30は、頂部10の外周縁から垂下する部分であり、パルプモールド製蓋体100の外周側面を構成する。本実施形態では、外周縁部30の内周側には、容器1の開口端部3と嵌合する凸部33を備えて構成される。外周縁部30は、容器1の用途等に応じて、段差、フランジ等を設けてもよい。外周縁部30にも、成形に用いる金型、レーザー等で凹凸模様を形成することができる。また、外周縁部30は、外周側に凸部を有してもよいし、凹部を有していてもよいし、凸部と凹部とを有していてもよい。
凸部33は、外周縁部30からパルプモールド製蓋体100の内方に向かって、容器1の開口端部3と嵌合することができるように突出していればよい。凸部33は、中実であってもよく、縦断面視において中空であってもよく、外周縁部30を、外周側から窪ませて構成される溝部の内周側が突出して構成されるものであってもよい。凸部33は、外周縁部30の内周1周にわたって1条形成され、連続していてもよく、2条以上形成されていてもよい。また、凸部33は、外周縁部30の内周側に複数形成され、不連続で、破線状に配置されてもよく、外周縁部30の内周の一部だけに形成されていてもよく、たとえば、外周縁部30の内周径の半分に配置されていてもよい。開口端部3の形状等に応じて、凸部33の高さHおよび幅Wを調整することなどにより、後述するパルプモールド製蓋体100の嵌合力および開封力が調整される(図1参照)。なお、上述したパルプ原料を使用したり、上述した製造方法により製造されたパルプモールド製蓋体100は、凸部33を備えていない場合、すなわち凸部33の高さHおよび幅Wが0であっても、液体を適度に吸収する性能等により、容器との間に隙間ができずしっかり嵌合できる。
容器1の上方に配置されたパルプモールド製蓋体100は、鉛直方向(図2中の分図(a)における矢印方向)に押圧されることにより、容器1の開口端部3が、パルプモールド製蓋体100の凸部33を乗り越えて、容器1の開口端部3とパルプモールド製蓋体100の凸部33が嵌合可能である(図2中の分図(b)参照)。
また、容器1と嵌合したパルプモールド製蓋体100は、使用者が、外周縁部30の下端31に指等を引っ掛け、引き上げることにより(図3中の分図(a)参照)、凸部33が、容器1の開口端部3を乗り越えて、容器1との嵌合が解除される(図3中の分図(b)参照)。
以上、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体100について説明した。次に、図4および図5を用いて、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110について説明する。上述した実施形態と同一または類似する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
[第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体]
図4および図5に示すように、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110は、頂部10と、該頂部10の外周縁から垂下する外周縁部30と、を備え、不図示の容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能であり、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する。
第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110の頂部10は、傾斜部11,12と、窪んで段差を有する凹み段差部15と、を備えて構成される。
傾斜部11,12は、凹み段差部15を形成するために配置される。第二の実施形態に係る傾斜部11,12は、第一傾斜部11と第二傾斜部12とを備えて構成される。第一傾斜部11と第二傾斜部12とは、傾斜が異なっているが、傾斜が同じであってもよいし、傾斜が途中で変わっていてもよい。また、傾斜部11,12は、第一傾斜部11のみを有し、第二傾斜部12を有していなくてもよく、傾斜部11,12の数は適宜変更することができる。第一傾斜部11または第二傾斜部12は、凹み段差部15に対して垂直であってもよい。また、第一傾斜部11および第二傾斜部12は、曲線形状の曲線部を有していてもよい。
第二の実施形態に係る凹み段差部15は、後述する外周縁部30の内周側の凸部33が、傾斜部11,12と対向配置される深さまで窪んでいることが好ましい。このような構成により、パルプモールド製蓋体110は、不図示の容器の開口端部が、傾斜部11,12に案内および支持されながら、凸部33を乗り越えて嵌合し、嵌合が完了した状態でも傾斜部11,12が不図示の容器の開口端部を支持するため、容器との嵌合状態がより強固になる。なお、本実施形態では、1つの凹み段差部15を備えて構成されているが、複数の凹み段差部を備えていてもよい。複数の凹み段差部を備える場合、凹み段差部を形成するために、複数の傾斜部が形成されることになる。
第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110の外周縁部30は、不図示の容器の開口端部と嵌合する凸部33と、外周側から窪ませて構成される溝部34と、外周縁部30の下端31から外方に延びる鍔状のフランジ部35と、面取り部37と、を備えて構成される。
本実施形態では、溝部34の内周面側が凸部33となっている。すなわち、外周縁部30を、外周側から窪ませて構成される溝部34の内周側が突出して凸部33が構成される。この凸部33が、不図示の容器の開口端部と嵌合する。本実施形態では、外周縁部30は、溝部34(凸部33)を複数有しており、溝部34(凸部33)が等間隔で不連続に、外周縁部30の上端または下端からの距離が一定となるように配置されている。また、本実施形態では、溝部34(凸部33)が矩形状を有して構成されている。しかし、溝部34および凸部33の形状および配置位置はこれに限定されない。なお、上述した実施形態と同様に、上述したパルプ原料を使用したり、上述した製造方法により製造されたパルプモールド製蓋体100は、凸部33を備えていない場合、すなわち凸部33の高さHおよび幅Wが0であっても、液体を適度に吸収する性能等により、容器との間に隙間ができずしっかり嵌合できる。
フランジ部35を備えることにより、パルプモールド製蓋体110の使用者が、パルプモールド製蓋体110と不図示の容器との嵌合状態を解除する際に、フランジ部35に使用者の指が引っ掛かりやすくなり、パルプモールド製蓋体110を開けやすくなる。
パルプモールド製蓋体110に、面取り部37が形成されると稜角がなくなるので、パルプモールド製蓋体110は全体的に丸みを帯びた印象になり、意匠性に優れるという効果を奏する。
第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110も、パルプモールド製蓋体110の上方から鉛直方向(図2中の分図(a)の矢印参照)に押圧されることにより、不図示の容器の開口端部が、パルプモールド製蓋体110の凸部33を乗り越えて、パルプモールド製蓋体110の凸部33と係合し、不図示の容器と嵌合可能である。
また、不図示の容器と嵌合したパルプモールド製蓋体110は、使用者が、外周縁部30の下端31に指等を引っ掛け、引き上げることにより(図3中の分図(a)参照)、凸部33が、容器の開口端部を乗り越えて、容器との嵌合が解除される(図3中の分図(b)参照)。
以上、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110について説明した。次に、図6を用いて第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体120について説明する。上述した実施形態と同一または類似する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
[第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体]
図6に示すように、第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体120は、頂部10と、該頂部10の外周縁から垂下する外周縁部30と、を備え、不図示の容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能であり、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する。
第三の実施形態に係る頂部10は、第一傾斜部11と、第一凹み段差部15Aと、第二傾斜部12と、第二凹み段差部15Bと、飲み口17と、2つの貫通孔19,19と、第三傾斜部13と、第三凹み段差部15Cと、第四傾斜部14と、を備えて構成される。
第一傾斜部11は、第一凹み段差部15Aを形成するために配置される。第二傾斜部12は、第一凹み段差部15Aと第二凹み段差部15Bとを接続するように配置される。第三傾斜部13および第四傾斜部14は、第三凹み段差部15Cを形成するために配置される。第一傾斜部11、第二傾斜部12、第三傾斜部13、および第四傾斜部14は、それぞれ、第一凹み段差部15A、第二凹み段差部15B、第三凹み段差部15C、および第三凹み段差部15Cに対して垂直であってもよい。また、第一傾斜部11、第二傾斜部12、第三傾斜部13、および第四傾斜部14は、傾斜が一定でなくてもよく、曲線形状の曲線部を有していてもよい。
本実施形態では、飲み口17は、略矩形状に構成されており、頂部10(パルプモールド製蓋体120における最高部)に配置されているが、適宜変更することができる。2つの貫通孔19,19は、蒸気や空気の通り道であり、使用者が飲み口17から飲料をスムーズに飲むために設置される。貫通孔19は、とくに限定されないが、飲み口17から離れた位置に配置されることが好ましい。貫通孔19は、1つ以上あればよく、その数や設置位置は適宜変更することができる。本実施形態では、2つの貫通孔19,19は、それぞれ、頂部10(パルプモールド製蓋体120における最高部)と、第二凹み段差部15Bとに配置されている。
本実施形態では、第一凹み段差部15Aおよび第二凹み段差部15Bは、使用者が飲み口17から飲料を飲む際の使用方向から見たとき、略半円形状となっており、第一凹み段差部15Aは、欠けた部分が下弦に配置され、第二凹み段差部15Bは、欠けた部分が上弦に配置されているが、適宜変更することができる。また、本実施形態では、第三凹み段差部15Cは、第三傾斜部13の下端から外方に向けて鍔状に延びて構成されているが、適宜変更することができる。
第三実施形態に係る頂部10は、第三傾斜部13を含む円柱形状部に鍔状の第三凹み段差部15Cと、第四傾斜部14と、を備えて構成されている。
第三実施形態に係る外周縁部30は、外周側から窪ませて構成される溝部34と、溝部34の内周側において突出する凸部(不図示)と、外周縁部30の下端31から外方に延びる鍔状のフランジ部35と、面取り部37と、を備えて構成される。
第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体120も、パルプモールド製蓋体120上面に鉛直方向(図2中の分図(a)の矢印参照)に荷重がかけられることにより、不図示の容器の開口端部が、パルプモールド製蓋体120の凸部33を乗り越えて、不図示の容器の開口端部とパルプモールド製蓋体120の凸部33が嵌合可能である。なお、上述した実施形態と同様に、上述したパルプ原料を使用したり、上述した製造方法により製造されたパルプモールド製蓋体100は、凸部33を備えていない場合、すなわち凸部33の高さHおよび幅Wが0であっても、液体を適度に吸収する性能等により、容器との間に隙間ができずしっかり嵌合できる。
以上、第三の実施形態に係るパルプモールド製蓋体120について説明した。次に、図 を用いて第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体130について説明する。上述した実施形態と同一または類似する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
[第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体]
図7ないし図11に示すように、第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体130は、頂部10と、該頂部10の外周縁から垂下する外周縁部30と、を備え、不図示の容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能であり、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する。
第四の実施形態に係る頂部10は、第一傾斜部11と、第一凹み段差部15Aと、第二傾斜部12と、第二凹み段差部15Bと、面取り部37と、第三傾斜部13と、フランジ部35と、1つの貫通孔19と、を備えて構成される。
本実施形態では、第一凹み段差部15Aは、飲み口17を形成するために切り込まれた飲み口切込み17Aと、飲み口17にヒンジ部43を介して開閉可能な小蓋41と、小蓋41と嵌合する小蓋嵌合部61と、を備えて構成される。
図8および図10に示すように、本実施形態では、飲み口17は略正方形状を有して構成される。
本実施形態に係る小蓋41は、ヒンジ部43を介して開いた時に飲み口17となる位置に形成される。すなわち、小蓋41は、飲み口17と同一形状を有し、本実施形態では、正方形状を有している。小蓋41は、少なくともヒンジ部43の反対側に備えられる指を引っ掛けるための取手部45と、ヒンジ部43と重畳した位置に配置されるとともに第一凹み段差部15Aの高さより低くなっているヒンジ部凹部47と、後述する小蓋嵌合部61に嵌合する四角柱状部50(51,53,55,57,57)と、を備える。
取手部45は、四角柱状部50の外周に形成されているが、使用者はヒンジ部43を除いた箇所に指を引っ掛かることができる。
ヒンジ部凹部47は、たとえば罫線加工により形成できる。ヒンジ部凹部47を備えることにより小蓋41の開け閉めがしやすくなる。本実施形態では、ヒンジ部凹部47の幅は、四角柱状部50の幅と同一になっている。また、本実施形態では、ヒンジ部凹部47の両端に、飲み口切込み17Aが伸びており、ヒンジ部凹部47の幅よりもヒンジ部43の幅の方が小さくなっている。
本実施形態に係る四角柱状部50は、傾斜部51と、垂直部53と、矩形状部55と、2つの台形状部57,57とから構成され、後述する小蓋嵌合部61に嵌合する。
傾斜部51は、ヒンジ部43側に配置され、かつ第一凹み段差部15Aに対して傾斜するように構成されている。垂直部53は、ヒンジ部43の反対側に配置され、かつ取手部45から上方へ垂直に伸びるように構成されている。矩形状部55は、傾斜部51と垂直部53の間に配置されるとともに矩形状を有して構成される。2つの台形状部57,57は、傾斜部51、矩形状部55、および垂直部53の両端に隣接して配置され、かつ第形状を有して構成されている。
小蓋嵌合部61は、四角柱状部50と同一形状を有することが好ましく、本実施形態では、小蓋41の傾斜部51に対応する小蓋嵌合部傾斜部63と、小蓋41の垂直部53に対応する小蓋嵌合部垂直部65と、小蓋41の矩形状部55に対応する小蓋嵌合部矩形状部67と、小蓋41の2つの台形状部57,57に対応する小蓋嵌合部台形状部69,69と、を有して構成されている。
小蓋嵌合部61の大きさは、四角柱状部50の大きさよりも小さいことが好ましい。具体的には、小蓋嵌合部61の幅が、四角柱状部50の幅よりも、0.01~1.5mm小さい方が好ましく、0.05~1mm小さい方がより好ましく、0.1~0.5mm小さい方がさらに好ましい。このような構成により、小蓋41と小蓋嵌合部61とが嵌合および嵌合解除しやすい。
パルプモールド製蓋体130の使用者は、図7に示した状態から、飲み口17を出すために小蓋41を開ける際には、たとえば垂直部53を指で押して、小蓋嵌合部61近傍に四角柱状部50を移動させ、さらに、取手部45に指を引っ掛けて押圧することにより、図8に示すように、小蓋41と小蓋嵌合部61とが嵌合した状態とすることができる。また、図8に示した状態から、飲み口17を閉じるために小蓋41を閉じる際には、取手部45に指を引っ掛けて小蓋41を使用者側、すなわちヒンジ部43の反対側に引っ張り上げることにより、小蓋41と小蓋嵌合部61との嵌合が解除され、図9に示した状態から、さらに、取手部45または四角柱状部50を、使用者側(ヒンジ部43の反対側)に押すことにより、図7に示すように、飲み口17を閉じることができる。
本実施形態に係るパルプモールド製蓋体130は、上記の小蓋41の開閉を繰り返しても、小蓋41が小蓋嵌合部61にしっかり嵌合し、また、飲み口17を塞ぐ位置にまで小蓋41を移動させる際に隙間ができにくい。したがって、使用者が移動する際などに、飲み口17を閉じたいときには、飲み口17を隙間少なく塞ぐことができ、容器の内容物がこぼれにくいという利点を有する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載された範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。
たとえば、上述した実施形態では、パルプモールド製蓋体110,120,130が、平面視円形状の容器と嵌合および嵌合解除可能なものである場合を例示して説明したが、たとえば平面視矩形状等の容器と嵌合および嵌合解除可能であるものとしてもよい。すなわち、パルプモールド製蓋体の頂部が平面視矩形状等を有していてもよい。
また、たとえば、上述した実施形態では、凸部33が外周縁部30の内周1周にわたって1条形成されている場合、および矩形状を有し、等間隔で不連続に、外周縁部30の上端または下端からの距離が一定となるように配置されている場合を例示して説明した。しかし、凸部33の形状および配置位置はこれに限定されない。たとえば、凸部33は、外周縁部30の上端または下端からの距離が一定でない曲線であってもよいし、不連続曲線であってもよい。また、凸部33は、くの字形状、逆くの字形状、コの字形状、逆コの字形状、C字形状、逆C字形状、U字形状、逆U字形状等の特殊形状を有していてもよく、それらの組み合わせであってもよい。すなわち、外周縁部30が、複数の凸部33を有する場合、凸部33は、同じ形状であっても、異なる形状の組み合わせであってもよい。また、外周縁部30が複数の凸部33を備える場合、その配置間隔は、等間隔でなくてもよい。
さらに、たとえば、上述した実施形態では、凸部33が縦断面視略半円形状を有している場合を例示して説明したが、凸部33の形状は、これに限定されない。図12中の分図(a)に例示するように、凸部は、縦断面視において、三角形状を有していてもよく、四角形状等の多角形状を有していてもよい。また、図12中の分図(b)に例示するように、凸部は、縦断面視において、フック形状を有していてもよい。さらに、図12中の分図(c)に例示するように、凸部は、起伏、すなわち、凹凸を有していてもよい。
また、たとえば、上述した実施形態では、凸部33が1条配置されている場合を例示して説明したが、凸部33の配置は、これに限定されない。図13に例示するように、凸部は、2条配置されていてもよく、3条以上配置されていてもよく、その数や配置位置は適宜変更することができる。図13では、パルプモールド製蓋体の縦断面視において、凸部が、外周縁部の上端または下端から一定の距離を有するように、2条配置されている場合を例示しているが、凸部は、外周縁部の上端または下端からの距離が異なるように配置されていてもよい。また、外周縁部に2条以上配置される凸部は、不連続であってもよく、その形状もとくに限定されず、上述した形状等に適宜変更可能である。さらに、外周縁部に2条以上配置される凸部は、曲線であってもよいし、不連続曲線であってもよい。また、図13に例示するように、本発明のパルプモールド製蓋体は、上述した溝部34を備えていても、備えていなくてもよい。
なお、嵌合ショックピーク値が2つ以上あるときには、最大荷重値(嵌合ショックピーク値)を嵌合力とする。
さらに、たとえば、上述した実施形態では、外周縁部30が凸部33を有している場合を例示して説明したが、図14に例示するように、外周縁部30は凸部33を有していなくてもよい。
また、たとえば、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体100は、頂部10が平らになっている場合を例示して説明したが、図14中の分図(b)に例示するように、頂部は、平らでなくてもよく、パルプモールド製蓋体の中央に向かって高くなるようなドーム形状に構成されていてもよい。また、頂部は、パルプモールド製蓋体の中央に向かって低くなるように構成されていてもよい。すなわち、頂部は、高低差を有していてもよい。
さらに、図15に例示するように、頂部は、第二の実施形態に係るパルプモールド製蓋体110のような傾斜部および凹み段差部を有していてもよい。図15中の分図(a)に例示するように、頂部は、傾斜部および凹み段差部を1つずつ有していてもよいし、図15中の分図(b)および図15中の分図(c)に例示するように、傾斜部および凹み段差部を複数有していてもよく、その数および配置位置等は、適宜変更可能である。また、頂部の凹み段差部に対向する凹み段差部対向部は、図15中の分図(b)に例示するように、直線形状を有して構成されていてもよく、図15中の分図(c)に例示するように、対向する凹み段差部の形状に対応する形状を有していてもよく、その形状は適宜変更可能である。
また、図7ないし図11に示すように、第四の実施形態に係るパルプモールド製蓋体130は、飲み口および小蓋41が略正方形状を有するが、その形状は適宜変更可能である。小蓋嵌合部61と四角柱状部50の形状も、とくに限定されず、小蓋嵌合部61と四角柱状部50が対応する形状を有していればよい。
また、たとえば、上述した実施形態では、外周縁部30の厚さが一定である場合を例示して説明したが、図16に例示するように、外周縁部30の厚さは一定でなくてもよい。図16中の分図(a)に例示するように、外周縁部30の下端に向けて、末広がりになっていてもよいし、図16中の分図(b)に例示するように、外周縁部30の上部から下部に向けて厚さが小さくなっていてもよい。すなわち、外周縁部30の厚さは一定でなくてもよく、差を有していてもよい。
なお、外周縁部30の厚さとは、フランジ部35を有している場合にはフランジ部35を除いた部分の厚さをいう。
上述した変形例に係るパルプモールド製蓋体は、上述した実施形態に係るパルプモールド製蓋体100,110,120,130、または他の変形例に係るパルプモールド製蓋体が備える構成を有していてもよい。
具体的には、上述した変形例に係るパルプモールド製蓋体は、たとえば、フランジ部35を有していてもよいし、飲み口17を有していてもよいし、貫通孔19を有していてもよいし、切込みを有していてもよい。
また、たとえば、図12ないし図14に例示されるパルプモールド製蓋体の外周縁部が、図16中の分図(a)に例示されるパルプモールド製蓋体のように、外周縁部の下端に向けて、末広がりになっていてもよいし、図16中の分図(b)に例示するように、外周縁部の上部から下部に向けて厚さが小さくなっていてもよい。
さらに、たとえば、図12ないし図14、および図16に例示されるパルプモールド製蓋体が、傾斜部および凹み段差部を有していてもよく、その数および配置位置等は、適宜変更可能である。
また、たとえば、図14ないし図16では、パルプモールド製蓋体の外周縁部が、凸部を有していない場合を例示しているが、これに限定されず、凸部を有していてもよい。その場合、第一の実施形態に係るパルプモールド製蓋体100の形状と変形例に係るパルプモールド製蓋体の形状が同一になる場合があるが、凸部の形状や数、配置位置は、とくに限定されず、凸部が上述した形状等を有していてもよく、不連続であってもよく、外周縁部の上端または下端からの距離が異なるように配置されていてもよい。
さらに、たとえば、図12に例示されるパルプモールド製蓋体の凸部が2条以上配置されていてもよいし、不連続で2条以上配置されていてもよい。
その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[パルプ原料]
下記のパルプ原料について、カナダ標準ろ水度(CSF)が450mL、濃度0.3質量%のパルプスラリーを調製し、坪量が60g/m、密度が0.50g/cmであるパルプシートを作製した。各パルプシートの引張弾性率、クレム吸水度、および油浸透度の測定を行った。その結果を表1に示す。
なお、パルプシートの引張弾性率は、JIS P 8113:2006に準拠して測定した。パルプシートのクレム吸水度は、JIS P 8141:2004に準拠して測定した。クレム吸水度の値が小さいほど、耐水性に優れる。パルプシートの油浸透度は、旧JIS P 8130:1994に準拠して測定した。油浸透度の値が大きいほど、耐油性に優れる。
Figure 2022131534000002
表1から、NBKPおよびバガスパルプは、他のパルプに比べて、引張弾性率、耐水性、耐油性に優れることがわかった。
[パルプモールド製蓋体の作製]
実施例1
市販LBKPをカナダ標準ろ水度(CSF)500mLのパルプスラリーにし、該パルプスラリー100質量%に対して、固形分換算でサイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー、星光PMC株式会社製)を、0.8質量%を添加し、撹拌後にスラリー濃度を0.7質量%に調整した。凝集物を除去するために、該スラリーをろ過し、ろ過後の該スラリー中に、表面に金属メッシュを貼った抄紙金型を沈め、金型内部から真空吸引し、メッシュ上にパルプスラリーを吸い付け、立体的な湿紙を形成した。湿紙を脱水用金型へ移送し、0.7MPaの圧力で加圧脱水し、続いて180℃に加熱された金型へ湿紙を移送し、さらに1.2MPaの圧力で加圧乾燥し、余分の部分を断裁した後、パンチングにより図19に示すパルプモールド製蓋体200を得た。
パルプモールド製蓋体200の坪量は、455g/mであった。パルプモールド製蓋体200の内径は、嵌合力および開封力の測定に用いる容器(紙コップ)の外径とほぼ同等の80mmであった。パルプモールド製蓋体200を容器(紙コップ)に嵌合した際の嵌合力(嵌合ショックピーク値)が1.5N/cmになるように、凸部の深さと幅を調整した。そのパルプモールド製蓋体200は、嵌合が解除されたときの開封力(開封ショックピーク値)は0.40N/cmであった。パルプモールド製蓋体のサイズ(外径)は、約82mm、平均厚みは0.7mm、密度は0.65g/cmであった。また、実施例2~6についても同様であった。
実施例2
カナダ標準ろ水度(CSF)を350mLに変更した以外は実施例1と同様に図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例3
市販LBKPを市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)に変更した以外は実施例1と同様に図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例4
市販LBKPをバガス晒しバージンパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF):450mL)に変更した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例5
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)30質量部と、市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)70質量部とを混合してパルプスラリーを調製した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例6
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)10質量部と、市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)90質量部とを混合してパルプスラリーを調製した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例7
坪量および密度を表2に示した値に変更した以外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例8
坪量および密度を表2に示した値に変更した以外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例9
坪量および密度を表2に示した値に変更した以外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例10
坪量および平均厚みを表2に示した値に変更した外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例11
坪量および平均厚みを表2に示した値に変更した以外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例12
坪量および平均厚みを表2に示した値に変更した以外は実施例6と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例13
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)15質量部と、市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)70質量部と、自製古紙パルプ(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)15質量部とを混合してパルプスラリーを調製した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例14
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)25質量部と、市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)70質量部と、自製古紙パルプ(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)5質量部とを混合してパルプスラリーを調製した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例15
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF):500mLに調整)30質量部と、市販バガス晒しバージンパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF)を400mLに調整)70質量部とを混合し、パルプスラリーを得た。このパルプスラリー100質量%に対して、固形分換算でサイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー、星光PMC株式会社製)を、0.8質量%を添加し、撹拌後にスラリー濃度を0.7質量%に調整した。該スラリーを用いて、実施例1と同様に、図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
実施例16
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)10質量部と、バガス晒しバージンパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF)を400mLに調整)90質量部とを混合し、パルプスラリーを調製した以外は実施例15と同様に図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
比較例1
市販LBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)5質量部と、市販NBKP(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)70質量部と、自製古紙パルプ(カナダ標準ろ水度(CSF)を500mLに調整)25質量部とを混合してパルプスラリーを調製した以外は実施例1と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
比較例2
坪量および平均厚みを表2に示した値に変更した以外は実施例5と同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
比較例3
坪量および密度を表2に示した値に変更した以外は実施例5同様の方法で図19に示す形状のパルプモールド製蓋体を得た。
[評価および分析]
上述した実施例および比較例のパルプ原料、パルプモールド製蓋体について、以下の評価および分析を行った。その結果を表2に示す。
<パルプ原料>
(カナダ標準ろ水度(CSF))
パルプモールド製蓋体を構成するパルプ原料のカナダ標準ろ水度は、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定した。
<パルプモールド製蓋体>
(坪量)
パルプモールド製蓋体の坪量は、JIS P 8124:2011に準じて測定した。
(厚さおよび密度)
パルプモールド製蓋体の厚さおよび密度は、JIS P 8118 :2014に準じて測定を行った。
(嵌合力)
パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋の嵌合力は、以下のとおり測定した。まず、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋と容器(市販の紙コップ、外径約80mm)とを24時間静置し、調温および調湿した。その後、パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋を容器の開口端部の上方に、開口端部の上端に対して水平に置き、100mm/minの速度で鉛直方向に荷重をかけた(図2参照)。そして、パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋が、容器の開口端部に嵌合したときの最大荷重値(嵌合ショックピーク値)を嵌合力とした。
(開封力)
パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋の開封力は、以下のとおり測定した。まず、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋が嵌合した容器(市販の紙コップ、外径:約80mm)を24時間静置し、調温および調湿した。その後、容器の開口端部に嵌合したパルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋の外周縁部の下端にL字形状の治具を引っ掛け、300mm/minの速度で引き上げた(図3参照)。そして、パルプモールド製蓋体またはプラスチック製蓋と容器との嵌合が解除されたときの荷重値(開封ショックピーク値)を開封力とした。
(液体の漏れ)
各実施例、比較例で作製したパルプモールド製蓋体と容器(市販の紙コップ、外径約80mm、高さ:90mm)を、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に24時間静置し、調温および調湿した。その後、パルプモールド製蓋体を容器の開口端部の上方に、開口端部の上端に対して水平に置き、手で閉め、2分間静置後に、手で蓋を開ける。手で開ける箇所は常に同じところとし、その動作を50回繰り返し、下記の液体漏れを評価した。
容器に、上端から15mm程度まで80℃のホットコーヒーを入れ、パルプモールド製蓋体と嵌合させ、コーヒーが流れ出る程度で、前記手で開けた箇所に対して傾け、その状態で10秒間保持し、コーヒーの流出の有無を確認し、下記の方法で評価を行った。
5:コーヒーの流出および滲出が全くない。
4:コーヒーがわずかに滲みている。
3:コーヒーの流出はないが、滲出している。
2:コーヒーの流出はないが、実用上問題ない程度に滲出している。
1:コーヒーの流出が見られる。
(平滑感)
各実施例、比較例で作製したパルプモールド製蓋体を10個ずつ用意し、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、24時間静置し、調温および調湿を行った。
上記環境でパルプモールド製蓋体の表と裏を手で触り、下記のように評価した。
5:非常に平滑で、つるつるしている。
4:表面にわずかに繊維が感じられるが、平滑である。
3:平滑感はあるが、表面に繊維が多く感じられるレベル。
2:平滑感はあるが、表面に繊維が非常に多く感じられるレベル。
1:平滑感がなく、ざらざらしている。
0:1のレベル以下。
表中の数字は10個の平均値(小数点は四捨五入)である。
(耐油性)
ヒマシ油/トルエン/ヘプタン=50/25/25の比率で試験液200mL(JAPAN TAPPI No.41:2000のキットナンバー6の配合相当)を作製し、実験に用いた。
各実施例、比較例で作製したパルプモールド製蓋体を5個ずつ用意し、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、24時間静置し、調温および調湿を行った。上記環境でパルプモールド製蓋体の裏(内面)に、上記試験液を25mmの高さから試薬瓶のスポイド(JAPAN TAPPI No.41:2000と同様の試薬瓶)を用いて、蓋の水平部分に1滴を落とし、15秒後に、パルプモールド製蓋体の表(外面)から観察した。
4:蓋の表に液の浸透が全く見られなかった
3:蓋の表に液の浸透がわずかに確認されたが、その面積は、裏の液の広がりの15%以下であった
2:蓋の表に液の浸透が見られ、その面積は、裏の液の広がりの15%を超え、50%以下であった
1:蓋の表に液の浸透が見られ、その面積は、裏の液の広がりの50%を超えるものであった
表中の数字は5個の平均値(小数点は四捨五入)である。
(口触り)
各実施例および比較例で作製したパルプモールド製蓋体を5個ずつ用意し、以下の写真に示すように開口部を設け、ISO 187:1990に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)に、24時間静置し、調温および調湿を行った。蓋を紙コップにかぶせ、上記環境で開孔部から水を飲むような形で口にあて、口に当たった際の感触を評価した。
5:繊維が口に当たる感触がなく、全く違和感がない。
4:わずかではあるが、繊維が口に当たる感じがあるが、違和感はない。
3:繊維が口に当たるが、違和感を感じるほどではない。
2:繊維が口に当たり、少し違和感がある。
1:繊維が口に当たり、違和感がある。
表中の数字は5個の平均値(小数点は四捨五入)である。
Figure 2022131534000003
表2からわかるように、本発明のパルプモールド製蓋体によれば、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくい。
本発明のパルプモールド製蓋体は、容器との嵌合および嵌合解除を繰り返しても変形が生じにくく、容器の内容物が漏れにくいので、たとえば紙コップ等の飲料用容器などの容器の蓋に好適である。
100,110,120,130,200,210:パルプモールド製蓋体、10:頂部、11:第一傾斜部、12:第二傾斜部、13:第三傾斜部、14:第四傾斜部、15:凹み段差部、15A:第一凹み段差部、15B:第二凹み段差部、15C:第三凹み段差部、17:飲み口、17A:飲み口切込み、19:貫通孔、30:外周縁部、31:(外周縁部の)下端、33:凸部、34:溝部、35:フランジ部、37:面取り部、41:小蓋、43:ヒンジ部、45:取手部、47:ヒンジ部凹部、50(51,53,55,57,57):四角柱状部、51:傾斜部、53:垂直部、55:矩形状部、57:台形状部、61:小蓋嵌合部、63:小蓋嵌合部傾斜部、65:小蓋嵌合部垂直部、67:、小蓋嵌合部矩形状部、69:小蓋嵌合部台形状部、1:容器、3:開口端部、5:(開口端部の)上端、N:L字形状の治具、H:凸部の高さ、W:凸部の幅

Claims (11)

  1. 頂部と、該頂部の外周縁から垂下する外周縁部と、を備え、容器の開口端部に嵌合および嵌合解除可能なパルプモールド製蓋体であって、該蓋体の密度が0.40g/cm以上であり、かつ、該蓋体の平均厚みが0.25mm以上1.50mm以下であり、パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを80質量%以上含有する、パルプモールド製蓋体。
  2. パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、バージンパルプを100質量%含有する、請求項1のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  3. パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、バガス、および竹よりなる群から選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載のパルプモールド製蓋体。
  4. パルプモールド製蓋体のパルプ原料が、針葉樹クラフトパルプおよび広葉樹クラフトパルプから選択される1種以上の木材パルプと、バガスおよび竹から選択される1種以上の非木材パルプとの混合パルプである、請求項1~3のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  5. パルプモールド製蓋体のパルプ原料中、針葉樹クラフトパルプおよびバガスの配合量が50質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  6. パルプモールド製蓋体を構成するパルプのカナダ標準ろ水度が100mL以上700mL以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  7. パルプモールド製蓋体が1層構成である、請求項1~6のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  8. 前記容器は、飲料用容器である、請求項1~7のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  9. 前記頂部は、飲み口および切込みの少なくともいずれかを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  10. 前記容器は、ホット飲料用容器であり、かつ、ホット飲料用である、請求項1~9のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
  11. 前記容器は、紙コップである、請求項1~10のいずれか1項に記載のパルプモールド製蓋体。
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