JP2022129739A - ラテックス組成物、ディップ成形体および積層体 - Google Patents

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友哉 谷山
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Abstract

【課題】オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供する。【解決手段】ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを混合してなるラテックス組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ラテックス組成物に関し、さらに詳しくは、オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体および積層体を与えることができるラテックス組成物に関する。
従来、工場での製造作業、軽作業、工事作業、農作業等の様々な用途で、繊維製手袋をゴムや樹脂等により被覆することで、耐溶剤性、グリップ性、耐摩耗性等を向上させた保護手袋が用いられている。
このような保護手袋は、作業性の観点より、水付着時やオイル付着時のオイルグリップ性や、耐薬品透過性に優れていることが求められている。
たとえば、引用文献1には、繊維基材と、繊維基材上の少なくとも一部に付着し、ポリマーコーティングを形成する第1のポリマー組成物と、前記ポリマーコーティング上に存在し、第2のポリマー組成物を含む複数の突起構造とを有する手袋において、前記ポリマーコーティングと、前記複数の突起構造とが、異なるポリマー組成物を含む手袋が開示されている。
国際公開第2015/074106号
上記特許文献1の技術によれば、オイルグリップ性に優れた手袋が得られるものの、耐薬品透過性について検討されておらず、オイル等の薬品を扱う際に、薬品が透過することを防ぐという観点より、耐薬品透過性のさらなる改善が求められている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを混合してなるラテックス組成物によれば、得られるディップ成形体を、オイルグリップ性及び耐薬品透過性に優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを混合してなるラテックス組成物が提供される。
本発明のラテックス組成物において、前記共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成する共役ジエン系重合体(A)100重量部に対する、前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が0.1~5重量部であることが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックスをさらに含むことが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、前記重合体(B)が、メタクリル酸エステル単量体単位を含有する重合体であることが好ましい。
本発明のラテックス組成物において、前記重合体(B)のラテックスの含有割合が、前記共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成する共役ジエン系重合体(A)100重量部に対する、前記重合体(B)の含有量で、1~40重量部であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記のラテックス組成物を用いてなるディップ成形体が提供される。
また、本発明によれば、複数の繊維から構成される繊維基材と、上記のラテックス組成物からなる重合体層とを積層してなる積層体が提供される。
本発明によれば、オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができるラテックス組成物を提供することができる。
<ラテックス組成物>
本発明のラテックス組成物は、ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを混合してなるものである。
ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックス(以下、適宜、「共役ジエン系重合体(A)のラテックス」とする。)を構成する、ガラス転移温度が10℃以下の共役ジエン系重合体(A)(以下、適宜、「共役ジエン系重合体(A)」とする。)としては、共役ジエン系単量体に由来の単位を有する重合体であればよく、特に限定されないが、たとえば、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-イソプレン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレン共重合ゴムなどが挙げられる。これらのなかでも、本発明の効果がより顕著になるという観点から、合成ゴムが好ましく、NBRなどのニトリル基を含有する共役ジエン系重合体(以下、適宜、「ニトリル基含有共役ジエン系重合体」とする。)がより好ましい。
ニトリル基含有共役ジエン系重合体としては、特に限定されないが、たとえば、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体、および共役ジエン単量体、ならびに、必要に応じて用いられる共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体を共重合したものを用いることができる。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、ニトリル基を有し、炭素数が、好ましくは3~18であるエチレン性不飽和化合物を用いることができる。このようなα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロゲン置換アクリロニトリルなどが挙げられ、これらの中でも、アクリロニトリルが特に好ましい。なお、これらのα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリル基含有共役ジエン系重合体におけるα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは10~45重量%、より好ましくは20~40重量%であり、さらに好ましくは25~40重量%である。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高め、耐薬品透過性をより高めることができる。
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4~6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3-ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリル基含有共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは40~80重量%、より好ましくは52~78重量%、さらに好ましくは55~75重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲にすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高め、耐薬品透過性をより高めることができる。
また、ニトリル基含有共役ジエン系重合体は、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成する単量体、および共役ジエン単量体単位を形成する単量体と、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体とを共重合したものであってもよい。
このような共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、ジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。
モノカルボン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;クロトン酸メチル等のクロトン酸エステル;などが挙げられる。
ジカルボン酸ジエステル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸ジエステル;イタコン酸ジメチル等のイタコン酸ジエステル;などが挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸-3-クロロ-2-リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸-2-リン酸エチル、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
これらの共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がさらに好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
ニトリル基含有共役ジエン系重合体に、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体の単位を含有させる場合における、共重合可能なその他のエチレン性不飽和酸単量体の単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは0.1~15重量%であり、より好ましくは1~10重量%、さらに好ましくは2~8重量%である。
ニトリル基含有共役ジエン系重合体のラテックスは、たとえば、上記の単量体を含有してなる単量体混合物を乳化重合することにより得ることができる。乳化重合に際しては、通常用いられる、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の重合副資材を使用することができる。
乳化重合に用いる乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤などが挙げられるが、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノレン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のモノアルキルリン酸塩;β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩; 等が挙げられる。
乳化重合に用いる乳化剤の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは1~8重量部である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル開始剤が好ましい。ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などが挙げられ、これらの中でも、無機過酸化物または有機過酸化物が好ましく、無機過酸化物がより好ましく、過硫酸塩が特に好ましい。これらの重合開始剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01~2重量部、より好ましくは0.05~1.5重量部である。
重合開始剤として過酸化物を用いる場合は、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。この還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のカルボン酸化合物;などが挙げられる。これらの還元剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、過酸化物100重量部に対して3~1000重量部であることが好ましい。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、たとえば、α-メチルスチレンダイマー;t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物;などが挙げられ、これらの中でも、メルカプタン類が好ましく、t-ドデシルメルカプタンがより好ましい。これらの分子量調整剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子量調整剤の使用量は、その種類によって異なるが、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1~1.5重量部、より好ましくは0.2~1.0重量部である。
乳化重合は、通常、水中で行なわれる。水の使用量は、使用する全単量体100重量部に対して、好ましくは80~500重量部、より好ましくは100~200重量部である。
乳化重合に際し、必要に応じて、上記以外の重合副資材をさらに用いてもよい。重合副資材としては、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等が挙げられ、これらの種類、使用量とも特に限定されない。
単量体の添加方法としては、たとえば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。
また、各単量体は、使用する各種単量体を予め混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
乳化重合する際の重合温度は、特に限定されないが、通常、0~95℃であり、好ましくは5~70℃である。重合時間は、特に限定されないが、通常、5~40時間程度である。
重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整してもよい。
共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度は、10℃以下であり、好ましくは-45~-10℃、より好ましくは-40~-10℃である。共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度が高すぎると、得られるディップ成形体は、オイルグリップ性に劣るものとなってしまう。共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、共役ジエン系重合体(A)を構成する各単量体の単位の含有割合を上述した範囲とする方法などが挙げられる。
共役ジエン系重合体(A)の粒子の体積平均粒子径は、好ましくは30~1000nm、より好ましくは50~500nm、さらに好ましくは70~200nmである。共役ジエン系重合体(A)の粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体中において、共役ジエン系重合体(A)中に、後述する熱膨張性マイクロカプセルをより良好に微分散させることができ、これにより、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。共役ジエン系重合体(A)の粒子の体積平均粒子径は、たとえば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
本発明のラテックス組成物は、上記した共役ジエン系重合体(A)のラテックスに、熱膨張性マイクロカプセルを混合してなるものである。
熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂材料からなる外殻と、外殻の内部に内包された揮発性物質とからなり、加熱によって外殻が軟化するとともに揮発性物質が揮発することで膨張するものである。
熱膨張性マイクロカプセルの外殻を構成する外殻用熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等の重合体およびこれらの共重合体を例示することができる。これらの中でも、外殻用熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル系共重合体が好適である。また、外殻用熱可塑性樹脂としては、得られるディップ成形体のオイルグリップ性をより高めることができるという観点から、ガラス転移温度が10℃超の範囲にあるものが好ましく、50℃超の範囲にあるものがより好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルに内包される揮発性物質としては、特に限定されないが、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-オクタン、n-デカン、n-ドデカン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素;1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ素化炭化水素等の低沸点炭化水素等を例示することができる。
熱膨張性マイクロカプセルの軟化温度は、好ましくは60~160℃、より好ましくは80~150℃である。軟化温度は、熱膨張性マイクロカプセルを加熱した際に、熱膨張性マイクロカプセルの重量が減少し始める温度を指す。熱膨張性マイクロカプセルの軟化温度を上記温度範囲とすることで、ラテックス組成物を架橋するための加熱温度にて、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることができ、生産性を向上することができる。
熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張前の体積平均粒子径は、好ましくは6~18μmであり、より好ましくは10~16μmである。熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張前の体積平均粒子径を上記範囲内とすることで、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径は、たとえば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率は、好ましくは2~10倍であり、より好ましくは3~7倍である。熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率は、加熱前後の熱膨張性マイクロカプセルの体積比である。熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率を上記範囲内とすることで、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率は、以下の方法で測定することができる。すなわち、任意の量の熱膨張性マイクロカプセルをメスシリンダーに入れ、体積を測定する(V1)。次に、当該メスシリンダーをオーブンで加熱して熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる。その後、加熱後の熱膨張性マイクロカプセル全体の体積をメスシリンダーで測定する(V2)。V1とV2とを用いて熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率を測定することができる。
上記の熱膨張性マイクロカプセルとしては、たとえば、市販の「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」:F-30、F-36、F-36LV、F-48、F-50(以上、松本油脂製薬社製)、および、「エクスパンセルDUシリーズ」:031 DU 40、043 DU 80、053 DU 40、093 DU 120、909 DU 80、920 DU 40、920 DU 80、920 DU 120(以上、AkzoNobel社製)等を用いることができる。
本発明のラテックス組成物中における、熱膨張性マイクロカプセルの含有量割合は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体(A)100重量部に対し、0.1~5重量部であることが好ましく、0.3~3重量部であることがより好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの含有割合を上記範囲とすることにより、得られる成形体のオイルグリップ性および耐薬品透過性をより高めることができる。
本発明のラテックス組成物は、上記の共役ジエン系重合体(A)のラテックスに、上記の熱膨張性マイクロカプセルを混合してなるものである。本発明のラテックス組成物によれば、オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたディップ成形体を与えることができる。本発明のラテックス組成物を用いて得られるディップ成形体が優れたオイルグリップ性および耐薬品透過性を発現する理由としては、必ずしも明らかではないが、たとえば、以下の理由が考えられる。すなわち、共役ジエン系重合体(A)よりも硬度の高い熱膨張性マイクロカプセルを含有することで、ディップ成形体とした場合における、オイルグリップ性の向上を可能とすることができ、さらには、ディップ成形体を得る過程において、熱膨張性マイクロカプセルが膨張することによって、共役ジエン系重合体(A)と熱膨張性マイクロカプセルとの界面の密着性が高まり、これにより、耐薬品透過性の向上をも可能にすることができると考えられる。
本発明のラテックス組成物は、共役ジエン系重合体(A)および熱膨張性マイクロカプセルに加え、ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックスをさらに含んでいてもよい。ラテックス組成物にガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックスをさらに含有することで、得られるディップ成形体のオイルグリップ性をより高めることができる。
ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックス(以下、適宜、「重合体(B)のラテックス」とする。)を構成する、ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)(以下、適宜、「重合体(B)」とする。)としては、特に限定されないが、たとえば、アクリル樹脂、PTFE樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、ポリウレタンなどを挙げることができ、これらのうち、オイルグリップ性の改善効果が高いという観点より、アクリル樹脂が好ましい。なお、これらの重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂は、たとえば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、またはメタクリル酸の単独重合体、アクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸との共重合体、メタクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体、メタクリル酸エステルとメタクリル酸との共重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとメタクリル酸との共重合体、および、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとアクリル酸とメタクリル酸との共重合体が挙げられる。これらのうち、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、またはメタクリル酸の単独重合体を用いることが好ましく、メタクリル酸エステルの単独重合体を用いることが好ましい。
アクリル樹脂を形成するために使用されるアクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸sec-ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸ネオヘキシル、アクリル酸sec-ヘキシル、およびアクリル酸tert-ヘキシル等が挙げられ、なかでも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、およびアクリル酸n-ブチルが好ましく、アクリル酸メチルがより好ましい。
アクリル樹脂を形成するために使用されるメタクリル酸エステルとしては、たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸sec-ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸イソヘキシル、メタクリル酸ネオヘキシル、メタクリル酸sec-ヘキシル、およびメタクリル酸tert-ヘキシル等が挙げられ、なかでも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、およびメタクリル酸n-ブチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましく、メタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメタクリル酸メチル)が特に好ましい。
また、重合体(B)としてのアクリル樹脂としては、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸単量体、またはメタクリル酸単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合したものであってもよい。
共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα-オレフィン単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノエチルなどのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸モノエステル;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジ-n-ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ-2-エチルヘキシルなどのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸アミド;N-置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルセチルエーテルなどのビニルエーテル単量体;塩化ビニリデンなどのビニリデン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、芳香族系単量体が好ましく、スチレンがより好ましい。共重合可能なその他の単量体の単位の含有割合は、好ましくは1~99重量%であり、より好ましくは5~95重量%である。
重合体(B)としてのアクリル樹脂のラテックスの製造方法としては、上記単量体を重合可能な方法であればよく、特に限定されないが、ラジカル重合による公知の乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合による方法などが挙げられる。
また、重合体(B)は、重合開始剤として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩を用いて得られたものであることが好ましく、重合開始剤として、過硫酸塩を用いることで、重合体(B)を、重合開始剤の残基として、硫酸基を重合体鎖末端に有するものとすることができ、これにより、重合体(B)のラテックスを、化学的安定性により優れたものとすることができる。
重合体(B)としてのアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは10,000~10,000,000であり、より好ましくは10,000~5,000,000である。
重合体(B)のラテックスを構成する、重合体(B)のガラス転移温度は、10℃超であり、好ましくは30℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは95℃以上であり、特に好ましくは105℃以上である。また、重合体(B)のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは150℃以下である。
本発明のラテックス組成物中における重合体(B)の含有割合は、共役ジエン系重合体(A)100重量部に対して、1~40重量部であり、好ましくは3~20重量部である。重合体(B)の含有割合を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体のオイルグリップ性をより高めることができる。
本発明のラテックス組成物は、共役ジエン系重合体(A)と熱膨張性マイクロカプセルに加え、重合体(B)をさらに含有していることで、オイルグリップ性及び耐薬品透過性により優れたディップ成形体を与えることができる。この理由としては、必ずしも明らかではないが、次の理由が考えられる。すなわち、熱膨張性マイクロカプセルに加え、重合体(B)を含有していることで、これらは、共役ジエン系重合体(A)よりも硬いものであることから、ディップ成形体とした場合における、オイルグリップ性のさらなる向上を可能とするものであり、しかも、ディップ成形体を得る過程において、熱膨張性マイクロカプセルが膨張することにより、共役ジエン系重合体(A)と熱膨張性マイクロカプセルとの界面に加え、共役ジエン系重合体(A)と重合体(B)との界面の密着性も高めることができるため、耐薬品透過性の向上の向上効果も十分なものとすることができると考えられる。
また、本発明のラテックス組成物は、共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルと、必要に応じて用いられる重合体(B)のラテックスに加えて、硫黄系架橋剤をさらに含有することが好ましい。
硫黄系架橋剤としては、特に限定されないが、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、カプロラクタムジスルフィド、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらの硫黄系架橋剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄系架橋剤の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.01~5重量部、より好ましくは0.05~3重量部、さらに好ましくは0.1~2重量部である。
また、本発明のラテックス組成物は、硫黄系架橋剤に加えて、架橋促進剤(加硫促進剤)や、酸化亜鉛をさらに含有することが好ましい。架橋促進剤(加硫促進剤)としては、特に限定されないが、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホリニル-2-ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3-ビス(2-ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられ、これらの中でも、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの架橋促進剤は、1種単独用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋促進剤の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。また、酸化亜鉛の含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。
また、本発明のラテックス組成物は、水溶性ポリマーをさらに含有していてもよい。
水溶性ポリマーとしては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系化合物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体およびその塩;ポリアクリル酸等のポリカルボン酸系化合物およびそのナトリウム塩;ポリエチレングリコールエーテル等のポリオキシエチレン誘導体;等が挙げられる。水溶性ポリマーとしては、セルロース誘導体およびその塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩がより好ましい。
水溶性ポリマーは、水に可溶であるものであればよく、水溶性ポリマーの水に対する溶解度は、特に限定されないが、温度25℃の水100gに対し、好ましくは1g以上であり、より好ましくは7g以上であり、特に好ましくは10g以上である。水溶性ポリマーの水に対する溶解度の上限は、特に限定されないが、通常、1,000g以下である。
水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、5,000,000以下が好ましく、3,000,000以下がより好ましい。
水溶性ポリマーの含有量は、ラテックス組成物中に含まれる重合体成分100重量部に対し、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.1~5重量部である。水溶性ポリマーの配合量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体の耐薬品透過性をより高めることができる。
また、本発明のラテックス組成物には、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム、酸化チタンなどの充填剤を添加してもよい。また、本発明のラテックス組成物には、必要に応じて、上記水溶性塩や充填剤以外の添加剤、たとえば、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、湿潤剤、分散剤、顔料、染料、補強剤、pH調整剤などの各種添加剤を所定量添加することもできる。
本発明のラテックス組成物は、たとえば、上記した成分を混合することにより調整することができる。各成分の混合順序は特に限定されないが、重合体(B)を含むラテックス組成物を調整する場合には、各成分の分散性をより高めるという観点より、共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスとを混合した後に、必要に応じて配合される各成分を添加し、混合する方法が好ましい。共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスとを混合する方法としては、特に限定されないが、分散性をより高めるという観点より、共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、重合体(B)のラテックスとをラテックス状態で混合する方法(ラテックスブレンド)が好ましい。
<ディップ成形体>
本発明のディップ成形体は、上述したラテックス組成物をディップ成形することにより得られる。
本発明のディップ成形体は、上述したラテックス組成物を用いて得られるため、ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)と、熱膨張性マイクロカプセルとを含有する重合体層を少なくとも有する。ディップ成形体中における共役ジエン系重合体(A)と熱膨張性マイクロカプセルとの含有比率の好適な範囲は、ラテックス組成物中における共役ジエン系重合体(A)と熱膨張性マイクロカプセルとの含有比率の好適な範囲と同様である。
ディップ成形体としては、ディップ成形型を、上述した本発明のラテックス組成物などのラテックス組成物に浸漬することで得られる、ラテックス組成物からなるディップ成形体であってもよいし、あるいは、基材をラテックス組成物に浸漬することで得られる、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体であってもよい。以下においては、本発明のディップ成形体が、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体である場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
基材としては特に限定されないが、ディップ成形体を保護手袋として用いる場合には、繊維基材を好適に用いることができる。繊維基材としては特に限定されないが、たとえば、繊維として単繊維の撚糸を使用し、この撚糸を織ることで手袋形状としたものを用いることができる。繊維基材の平均厚みは、好ましくは50~3,000μm、より好ましくは100~2,000μmである。
ディップ成形体は、たとえば、基材を、ラテックス組成物に浸漬させることにより、基材上に、ラテックス組成物からなる重合体層を形成することで製造することができる。この際には、予め基材を所望の形状の成形用型に被せた状態で、基材をラテックス組成物に浸漬させることが好ましい。
基材を被せる成形用型としては、特に限定されないが、材質は磁器製、ガラス製、金属製、プラスチック製など種々のものを用いることができる。成形用型の形状は、最終製品の形状に合わせて、所望の形状とすればよい。たとえば、ディップ成形体を保護手袋として使用する場合には、基材を被せる成形用型として、手首から指先までの形状を有する成形用型など、各種の手袋用の成形用型を用いることが好ましい。
また、基材をラテックス組成物に浸漬させる前には、予め基材を凝固剤溶液に浸漬させ、基材に凝固剤溶液を付着させることが好ましい。この際には、予め基材を所望の形状の成形用型に被せた状態で、基材を凝固剤溶液に浸漬させることが好ましい。所望の形状の成形用型としては、上述したものが挙げられる。また、凝固剤溶液を基材に付着させ、基材に凝固剤溶液を付着させた後には、乾燥を行うことで、凝固剤溶液に含まれている溶媒を除去することが好ましい。この際の乾燥温度は、特に限定されず、用いる溶媒に応じて選択すればよいが、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~70℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、好ましくは600~1秒間、より好ましくは300~5秒間である。
次いで、凝固剤溶液を付着させた基材を、所望の形状の成形用型に被せた状態のまま、ラテックス組成物に浸漬させることで、ラテックス組成物を凝固させて、基材上に、ラテックス組成物からなる重合体層を付着させる。
そして、基材を、ラテックス組成物に浸漬させた後には、乾燥を行うことが好ましい。この際における乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~80℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、好ましくは120分間~5秒間、より好ましくは60分間~10秒間である。
なお、ラテックス組成物として、硫黄系架橋剤を含有するものを用いる場合には、ラテックス組成物として、予め熟成(前加硫ともいう。)させたものを用いてもよい。
熟成させる際の温度条件は、特に限定されないが、好ましくは20~50℃である。また、熟成させる際の時間は、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との剥離を防止する観点、得られるディップ成形体の耐摩耗性を向上させる観点から、好ましくは4時間以上120時間以下、より好ましくは24時間以上72時間以下である。
次いで、基材に付着させたラテックス組成物を加熱することにより、ラテックス組成物に含まれる重合体成分を架橋させることが好ましい。このとき、加熱によりラテックス組成物中の熱膨張性マイクロカプセルについても膨張させることが好ましい。
架橋のための加熱温度は、好ましくは60~160℃、より好ましくは80~150℃である。加熱温度を上記範囲にすることにより、架橋反応に要する時間を短くしてディップ成形体の生産性を向上させることができるとともに、過剰な加熱による重合体成分の酸化劣化を抑制して、得られるディップ成形体の物性を向上させることができる。架橋のための加熱時間は、加熱温度に応じて適宜選択すればよいが、通常、5~120分である。
なお、このようにして得られるディップ成形体に対し、必要に応じて、基材上に形成される重合体層を20~80℃の温水に0.5~60分程度浸漬することにより、重合体層から水溶性不純物(乳化剤、水溶性高分子、凝固剤など)を除去しておくことが好ましい。このような重合体層を温水に浸漬させる処理は、重合体層中の重合体成分を架橋させた後に行なってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、重合体層中の重合体成分を架橋させる前に行なうことが好ましい。
温水に浸漬させた後には、さらに乾燥を行ってもよい。この際における乾燥温度、乾燥時間は、特に限定されないが、上述した、ラテックス組成物に浸漬させた後の乾燥工程における乾燥温度、乾燥時間と同様とすることができる。
そして、以上のように基材を成形用型に被せた状態で基材上に、重合体層を形成した後、成形用型から脱着(あるいは脱型)することによって、ディップ成形体を得ることができる。脱着方法としては、手で成形用型から剥したり、水圧や圧縮空気の圧力により剥したりする方法を採用することができる。
ディップ成形体を成形用型から脱着する前、または脱着した後には、さらに60~120℃の温度で、10~120分の加熱処理(後架橋工程)を行ってもよい。また、ディップ成形体を成形用型から脱着した後には、ディップ成形体の内側および/または外側の表面に、塩素化処理やコーティング処理などによる表面処理層を形成してもよい。
このようにして得られる、ディップ成形体は、凝固剤を用いた凝固により、基材上に、上述した本発明のラテックス組成物からなる重合体層を形成するものであるため、重合体層の膜厚を、好ましくは0.05~1.0mm、より好ましくは0.06~0.8mm、さらに好ましくは0.07~0.7mm、特に好ましくは0.3mm超、0.7mm以下と比較的厚膜なものとすることが好ましい。重合体層の膜厚を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体の耐摩耗性を高めることができる。
本発明のディップ成形体は、上述した本発明のラテックス組成物を用いるものであるため、オイルグリップ性、柔軟性、および耐薬品透過性に優れるものであり、たとえば、手袋用途、特に保護手袋用途に好適に用いることができるものである。なお、上記においては、本発明のディップ成形体が、基材と、ラテックス組成物からなる重合体層との積層体である場合を例示して説明したが、上述したように、本発明はこのような態様に何ら限定されるものではなく、たとえば、ディップ成形型を、ラテックス組成物に浸漬することで得られる、ラテックス組成物からなるディップ成形体とすることも、もちろん可能である。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の物性は以下のように測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
各重合体(重合体(A-1)、(B-1))のガラス転移温度(Tg)を、JIS K7121に従い、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の「EXSTAR DSC6220」)を用いて測定した。
<熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率>
任意の量の熱膨張性マイクロカプセルをメスシリンダーに入れ、体積を測定した(V1)。次に、当該メスシリンダーをオーブンにいれ、ラテックス組成物の架橋温度に加熱して熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた。その後、加熱後の熱膨張性マイクロカプセル全体の体積をメスシリンダーで測定する(V2)。V1とV2を用いて熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率を以下の式で算出した。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率(倍)=V2/V1
<熱膨張性マイクロカプセルの軟化温度>
アルミ皿に熱膨張性マイクロカプセル2gを精秤し、アルミ皿をオーブンに入れ加熱し、重量が減少し始めた温度を軟化温度として測定した。
<熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の体積平均粒子径>
熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の体積平均粒子径は、光散乱回折粒子測定装置(コールター社製、商品名「LS-230」)を用いて測定した。
<オイルグリップ性>
重さ0.6kgの円筒状の金属モールドおよび重さ0.5kgの重りを用意し、金属モールドに試験油IRM903を付着させた。そして、作業者に、保護手袋を装着してもらい、試験油IRM903を付着させた金属モールドを持ち上げてもらい、持ち上げることができたら、重りを1枚ずつ追加していき、持ち上げることができた最大重量を求めた。合計2名の作業者に同様の作業を行わせ、持ち上げることができた最大重量の平均値を求めた。持ち上げることができた最大重量が大きいほど、オイルグリップ性に優れると判断できる。
<耐薬品透過性>
以下の手順によりオイル透過率を測定した。
(1)保護手袋(ディップ成形体)を適当な円形の大きさに切り取り、サンプルとした。
(2)ろ紙の重量(W1)を測定した。
(3)試験油IRM903(JIS K 6258で規定されている加硫ゴムや熱可塑性ゴムの耐液性試験油) 2mLの重量(W2)を測定し、それを試薬瓶に入れた。
(4)試験油IRM903が入った試薬瓶の上に、サンプルのゴム層が接液するように置いた。
(5)固定具を用いて試薬瓶とサンプルとをしっかりと密着させた。
(6)試験油IRM903がサンプルに触れるようにするため、試薬瓶をひっくり返し、あらかじめ重量(W1)を測っておいたろ紙上に置き、室温で放置した。
(7)72時間放置後、ろ紙の重量(W3)を測定した。
(8)試験油IRM903がサンプルを透過した割合(オイル透過率)を以下の式で計算した。
オイル透過率(%)=(W3-W1)÷W2×100
オイル透過率の値が小さいほど、オイルなどの薬品に対する耐薬品透過性に優れると判断できる。
<実施例1>
(コロイド硫黄の水分散液の調製)
コロイド硫黄(細井化学工業社製)1.0部、分散剤(花王社製、商品名「デモールN」)0.5部、5重量%水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業社製)0.0015部、および水1.0部を、ボールミル中で48時間粉砕攪拌することで、固形分濃度50重量%のコロイド硫黄の水分散液を調製した。
(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の水分散液、酸化亜鉛の水分散液、酸化チタンの水分散液の調製)
コロイド硫黄に代えて、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業社製)、酸化亜鉛(正同化学工業社製)、および酸化チタンをそれぞれ使用した以外は、上記と同様にして、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の水分散液、酸化亜鉛の水分散液、および酸化チタンの水分散液をそれぞれ調製した。
(ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスの調製)
重合反応器に、共役ジエン単量体として1,3-ブタジエン65部、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としてアクリロニトリル30部、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としてメタクリル酸5部、t-ドデシルメルカプタン0.4部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を30~40℃に保持して重合を行い、重合転化率が94%に達するまで反応させることで、共重合体のラテックスを得た。
そして、得られた共重合体のラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度40重量%、pH=8のニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスを得た。得られたニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックス中に含まれる、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)について、ガラス転移温度(Tg)を測定したところ、-27℃であった。また、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)の単量体組成は、仕込み割合とほぼ同じ割合であった。
(ラテックス組成物の調製)
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスの重合体成分100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF-36」)(膨張前の体積平均粒子径13μm、軟化温度80℃、アクリロニトリル系の外殻樹脂、ガラス転移温度10℃超)2.04部を添加した(「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1):熱膨張性マイクロカプセル」の重量比で98:2)。
次に、得られた混合物の固形分100部に対して、それぞれ固形分換算で、コロイド硫黄1.0部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1.0部、酸化亜鉛1.5部、および酸化チタン3.0部となるように、上記にて調製した各配合剤の水分散液を添加した。なお、各配合剤の水分散液を添加する際には、ラテックス組成物を撹拌した状態で、所定の量をゆっくり添加した。そして、各配合剤が均一に混合された後に、水溶性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース(ダイセル社製、商品名「Daicel2200」、重量平均分子量:550,000、酸量:3.7mmol/g)0.25部を添加し、固形分濃度を調整することで、固形分濃度40重量%のラテックス組成物を得た。
(凝固剤溶液の調製)
凝固剤としての硝酸カルシウムを、3.0重量%の割合でメタノールに溶解させることで、凝固剤溶液を調製した。
(保護手袋(ディップ成形体)の製造)
まず、上記にて得られたラテックス組成物を、温度30℃、48時間の条件にて、熟成(前加硫ともいう。)させた。次いで、手袋形状の繊維基材(材質:ナイロン、線密度:300デニール、ゲージ数:13ゲージ、厚み:0.8mm)を被せたセラミックス製手袋型を、上記にて調製した凝固剤溶液に5秒間浸漬し、凝固剤溶液から引き上げた後、温度30℃、1分間の条件で乾燥させた。その後、セラミックス製手袋型を、上記のディップ成形用ラテックス組成物に5秒間浸漬し、ラテックス組成物から引き上げた後、温度30℃、30分間の条件で乾燥させた。次いで温度100℃、10分間の条件でラテックス組成物を加熱し架橋させると共に、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることで、繊維基材上に、膜厚0.6mmの重合体層を形成した。その後、重合体層を形成したセラミックス製手袋型を、60℃の温水に90秒間浸漬して、重合体層から水溶性の不純物を溶出させた後、温度30℃、10分間の条件で乾燥させ、さらに温度125℃、30分間の条件で熱処理を行う事で、重合体層中の重合体に架橋処理を施した。次いで、重合体層が形成された繊維基材をセラミックス製手袋型から剥がすことで、保護手袋(ディップ成形体)を得た。
そして、得られた保護手袋(ディップ成形体)を用いて、オイルグリップ性および耐薬品透過性の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
熱膨張性マイクロカプセルとして、松本油脂製薬社製-商品名「マツモトマイクロスフェアーF-50」(膨張前の体積平均粒子径14μm、軟化温度100℃、アクリロニトリル系の外殻樹脂、ガラス転移温度10℃超)2.04部を用いた以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物を得た(「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1):熱膨張性マイクロカプセル」の重量比で98:2)。そして、架橋の温度を120℃とした以外は、実施例1と同様にして膜厚0.6mmの重合体層を有する保護手袋(ディップ成形体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
(ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスの調製)
重合反応器に、メタクリル酸メチル100部、1,1’-オキシビステトラプロピレン誘導体のベンゼンスルホン酸エステル6部、t-ドデシルメルカプタン0.1部、イオン交換水200部、過硫酸カリウム1.5部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.1部を仕込み、重合温度を30~70℃に保持して重合を行い、重合転化率が95%に達するまで反応させることで、重合体のラテックスを得た。
そして、重合体のラテックスのpHおよび固形分濃度を調整することで、固形分濃度30重量%、pH=8.5のポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスを得た。得られたポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックス中に含まれる、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)について、ガラス転移温度(Tg)を測定したところ、105℃であった。また、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)の単量体組成は、仕込み割合とほぼ同じ割合であった。
(ラテックス組成物の調製・ディップ成形体の製造)
実施例1と同様にして調製したニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスの重合体成分100部に対して、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスの重合体成分の割合が5.29部となるように、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスにポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスを混合した。
得られたラテックス混合物のpHを調整した後、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)のラテックスの重合体成分100部に対し0.53部の熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF-36」)を添加した(「ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1):ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1):熱膨張性マイクロカプセル」の重量比で、94.5:5:0.5)。その後、実施例1と同様に各配合剤を添加し、ラテックス組成物を調製し、実施例1と同様にしてディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4,5>
ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)、および熱膨張性マイクロカプセルの重量比が、表1に示すものとなるように、配合割合を変更した以外は、実施例3と同様にして、ラテックス組成物の調製およびディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1~3>
熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF-36」)を使用せず、かつ、ニトリル基含有共役ジエン系重合体(A-1)、およびポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)の重量比が、表1に示すものとなるように、配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、ラテックス組成物の調製およびディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022129739000001
表1に示すように、ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを含むラテックス組成物から得られるディップ成形体は、オイルグリップ性および耐薬品透過性に優れたものであった(実施例1~5)。
一方、熱膨張性マイクロカプセルを含まないラテックス組成物からなるディップ成形体においては、ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックスとしての、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスを含有しない場合には、オイルグリップ性に劣る結果となり(比較例1)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(B-1)のラテックスを含有する場合には、オイルグリップ性が向上するものの、耐薬品透過性に劣るものであった(比較例2,3)。

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が10℃以下である共役ジエン系重合体(A)のラテックスと、熱膨張性マイクロカプセルとを混合してなるラテックス組成物。
  2. 前記共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成する共役ジエン系重合体(A)100重量部に対する、前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が0.1~5重量部である請求項1に記載のラテックス組成物。
  3. ガラス転移温度が10℃超である重合体(B)のラテックスをさらに含む請求項1または2に記載のラテックス組成物。
  4. 前記重合体(B)が、メタクリル酸エステル単量体単位を含有する重合体である請求項3に記載のラテックス組成物。
  5. 前記重合体(B)のラテックスの含有割合が、前記共役ジエン系重合体(A)のラテックスを構成する共役ジエン系重合体(A)100重量部に対する、前記重合体(B)の含有量で、1~40重量部である請求項3または4に記載のラテックス組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のラテックス組成物からなるディップ成形体。
  7. 複数の繊維から構成される繊維基材と、請求項1~5のいずれかに記載のラテックス組成物からなる重合体層とを積層してなる積層体。
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