JP2022120692A - 繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みが均一な繊維強化複合材料の製造方法を提供する。【解決手段】シート材を具備する加圧体を用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧する繊維強化複合材料の製造方法であって、前記シート材の空隙率が50体積%以下である、繊維強化複合材料の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化複合材料の製造方法に関する。
航空機部品、自動車部品、電気・電子部品等の様々な分野において、強化繊維基材にマトリックス樹脂組成物を複合化した繊維強化複合材料の成形体が用いられている。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、プリプレグ等の中間材料や成形体の製造時に、強化繊維や樹脂層のバラツキを有する繊維強化複合材料前駆体に対し、適切に圧力を掛け、マトリックス樹脂と強化繊維を複合化する必要がある。例えば、特許文献1には、製造前の繊維強化複合材料と負荷圧力の均一性を付与するシートとの間にC/Cコンポジットからなる加圧板を配置し、連続的に熱可塑性樹脂プリプレグを製造する方法が示されている。
特許第3876276号公報
繊維強化複合材料の厚みが設計と異なることにより、成形後の部品について設計した強度や剛性が得られない場合があった。
本発明は、厚みが均一な繊維強化複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
[1]シート材を具備する加圧体を用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧する繊維強化複合材料の製造方法であって、前記シート材の空隙率が50体積%以下である、繊維強化複合材料の製造方法。
[2]前記シート材が、黒鉛、テトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるシート材である、[1]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[3]前記繊維強化複合材料が炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる、[1]または[2]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[4]密度が1.1g/cm以上である黒鉛シートを用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧する、繊維強化複合材料の製造方法。
[5]前記黒鉛シートの密度が3.0g/cm以下である、[4]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[6]前記繊維強化複合材料が炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる、[4]または[5]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[7]前記繊維強化複合材料前駆体が、炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる中間材に離型紙または離型フィルムが積層された積層体である、[1]~[6]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[8]前記繊維強化複合材料前駆体が、炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる中間材が複数積層され、最表面に離型紙または離型フィルムが積層された積層体である、[1]~[7]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[9]前記マトリクス樹脂が熱可塑樹脂からなる、[1]~[8]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[10]前記繊維強化複合材料前駆体を200℃以上に加熱する工程を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[11]連続的または間欠的に加圧する、[1]~[10]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[12]前記繊維強化複合材料がプリプレグである、[1]~[11]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
[13]前記繊維強化複合材料が成形体である、[1]~[11]のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
本発明によれば、厚みのバラツキの少ない繊維強化複合材料の製造方法を提供できる。また、繊維強化複合材料の製造方法で得られた繊維強化複合材料を用いて成形することにより強度や剛性が部位によるバラツキの少ない部品を提供できる。
本発明の態様を示す図である。 本発明の態様を示す図である。 本発明の態様を示す図である。
[繊維強化複合材料の製造方法]
繊維強化複合材料(以下、本複合材料と称する場合がある)の製造方法の態様の一つは、空隙率が50体積%以下であるシート材を具備する加圧体を用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧するものである。シート材は加圧体の形状に合わせて配置できる。空隙率が50体積%以下であることにより、厚みムラのある繊維強化複合材料前駆体に対する加圧時に、厚みムラの原因となっている凹凸にはシート材が追従しないことにより繊維強化複合材料前駆体の厚い部分(凸部分)から先に圧力が伝達し、凹凸の差が小さくなるように徐々に均一化されることで、繊維強化複合材料の厚みを均一にすることができる。シート材は、加圧体の表面に配置することができ、加圧体が複数の部品からなる場合には部品の間に挟むこともできる。加圧方向側の面(加圧面)に配置されることが好ましい。加圧面に沿わせることにより、加圧面が複雑形状を有する場合であっても形状に合わせて熱や圧力を均一になるように伝達することができる。加圧方向側とは、加圧体で繊維強化複合材料前駆体を加圧する状態における加圧体の繊維強化複合材料前駆体側である。具体的には、図1に示すように、上下に配置された加圧体1で繊維強化複合材料前駆体3を挟むことで加圧する。上下に配置された加圧体1の加圧方向である繊維強化複合材料前駆体3に近い面にシート材2を具備している。
また、他の態様として、密度が1.1g/cm以上である黒鉛シートを用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧することもできる。密度が1.1g/cm以上である黒鉛シートは、前述の加圧体が具備していてもよいし、繊維強化複合材料前駆体が具備していてもよい。
いずれの態様においても、圧力を適切に負荷できることから、連続的または間欠的に加圧する場合に適用することが好ましい。
シート材の面積は、繊維強化複合材料前駆体の加圧される面の面積の10%~300%であることが好ましく、50%~150%であることがより好ましい。シート材と繊維強化複合材料前駆体との接触面積は、繊維強化複合材料前駆体の加圧される面の面積の10%~100%であることが好ましく、50%~100%であることがより好ましい。
本複合材料がプリプレグである場合には、シート材を具備する加圧体で繊維強化複合材料前駆体を加圧する加圧工程は、複合化工程として機能する。複合化工程としては、強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程、または強化繊維基材にマトリックス樹脂から成形したフィルム、不織布、繊維、または粒子を付着させる付着工程が挙げられる。例えば、図2に示すように、上下に配置された平板の加圧体1で未含浸の強化繊維が表面に存在するプリプレグ3aと内部に空隙を残して含浸されたプリプレグ3bとを挟んで加圧することでマトリクス樹脂を強化繊維基材に含浸して積層されたプリプレグを得ることができる。上下に配置された加圧体1の加圧方向であるプリプレグ3aおよびプリプレグ3bに近い面にそれぞれシート材2を具備している。加圧状態においては、シート材2とプリプレグ3aおよびプリプレグ3bとはそれぞれ直接接している。プリプレグ3aとプリプレグ3bとを重ねた例を示したが、プリプレグ3aまたはプリプレグ3bをそれぞれ単独で加圧してもよい。プリプレグ3aを複数積層したプリプレグ積層体3A、プリプレグ3bを複数積層したプリプレグ積層体3Bをそれぞれ単独で加圧してもよく、プリプレグ積層体3Aと3Bとをさらに積層してから加圧してもよい。繊維強化複合材料前駆体としてのプリプレグ1枚またはプリプレグ積層体どうしの間に加圧体やシート材を挿入して複数の繊維強化複合材料としてのプリプレグを得ることもできる。また、プリプレグを積層する場合には、プリプレグの繊維体積含有率(Vf)が65体積%以上となるように設定しておいてプリプレグどうしの間にマトリクス樹脂シートを挿入して加圧することもできる。複合化工程においては、加温することが好ましく、繊維強化複合材料前駆体の表面温度が100~450℃となるように調整することが好ましく、高耐熱用途の部材に用いられる場合は、200℃以上となるように調整することが好ましい。熱可塑性樹脂繊維又は熱可塑性樹脂粒子を強化繊維基材に付与し、ロールや平板等による加圧と共に加熱溶融してマトリックス樹脂を含浸させ、繊維間の空気を除去する方法を用いてもよい。マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂繊維を用いる場合、樹脂繊維の繊維径は、5~50μmが好ましい。マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂粒子を用いる場合、樹脂粒子の平均粒径は、10~100μmが好ましい。その他に、マトリックス樹脂を用いて成形した熱可塑性樹脂フィルムや不織布と強化繊維基材とを重ね、加熱溶融して含浸させ、強化繊維間の空気を除去することもできる。モノマー、低分子量体を強化繊維基材に含浸させた後、重合させて繊維強化複合材料としてもよい。含浸工程においては、含浸を促進する観点から強化繊維基材の表面温度がマトリックス樹脂の軟化温度以上であることが好ましい。
成形性を向上させるため、切込み加工を施した切込みプリプレグとしたり、連続繊維プリプレグをリボン状に切断してスリットテーププリプレグとしたり、長方形もしくは平行四辺形のチョップドストランドとし、前記チョップドストランドを等方的もしくは異方的にランダムに分散させたランダムシートとすることができる。強化繊維束の繊維軸方向が同一または異なるプリプレグを複数枚積層した積層体としてもよい。例えば、各プリプレグの強化繊維束の繊維軸方向が揃えられた一方向性材料、各プリプレグの強化繊維束の繊維軸方向が直交する直交積層材料、各プリプレグの強化繊維束の繊維軸方向が擬似等方となる擬似等方積層材料が挙げられる。積層体におけるプリプレグの積層枚数は、プリプレグの厚さと成形体に求められる厚さに応じて適宜設定できる。
本複合材料が成形体である場合には、シート材を具備する加圧体で繊維強化複合材料前駆体を加圧する加圧工程は、成形工程として機能する。本複合材料前駆体を成形することにより成形体を得ることができる。例えば、図3に示すように、一対の金型を用いて、上型である加圧体3と下型である加圧体3でマトリクス樹脂が強化繊維基材に含浸されたプリプレグ2cを挟んで加圧することで形状を付与した成形体を得ることができる。上型と下型のそれぞれの加圧方向であるプリプレグ2cに近い面にシート材1を具備している。加圧状態においては、シート材1とプリプレグ2cは直接接している。繊維強化複合材料前駆体としてのプリプレグ1枚またはプリプレグ積層体どうしの間に加圧体やシート材を挿入して複数の繊維強化複合材料として成形体を得ることもできる。本複合材料と、本複合材料以外の複合材料とが成形された成形体であってもよい。本複合材料の形状及び寸法は、用途に応じて適宜設定できる。成形工程は、特に限定されず、スタンピングプレス法、ヒートアンドクール法、オートクレーブ法、自動積層法等が挙げられる。
(シート材)
シート材の材料は、成形する温度に合わせて選択でき、複数の材料含んでいてもよい。加圧時に繊維強化複合材料へ適切に均一に圧力をかけられる程度の柔軟性を有する観点から、黒鉛、テトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるシート材であることが好ましい。シート材の空隙率(P)は、下記式1を用いて算出することができる。かさ密度(Db)は、JIS K7222記載のシート材の重量を体積で除して求めることができるが、その他公知の方法により、かさ密度を求めてもよい。真密度(Dt)は、JIS Z8807記載の気体置換法で求められるが、シート材の空隙を除去した後の密度を測定してもよく、参考文献値を用いてもよい。
P=1-Db/Dt …式(1)
P:空隙率(体積%)
Db:シート材のかさ密度(g/cm
Dt:シート材の真密度(g/cm

別の方法としては、シート材の切断面画像から空隙部と空隙以外の部分を画像解析により二値化処理して、空隙率を求めることもできる。繊維強化複合材料の厚みを均一にする観点から、空隙率は30体積%以下が好ましく、15体積%以下が好ましい。シート材に柔軟性を付与し、繊維強化複合材料前駆体へ均一に圧力をかけられる観点から、空隙率は1体積%以上が好ましく、5体積%以上が好ましい。シート材は、400℃以上の耐熱性があり、成形温度を高くできることから、黒鉛からなるシート材(黒鉛シート)が好ましい。シート材は、繊維強化複合材料前駆体へ均一に圧力をかけられることから、密度が3.0g/cm以下が好ましく、2.1g/cm以下がより好ましい。繊維強化複合材料の厚みバラツキや耐久性の観点から1.1g/cm以上が好ましく、1.5g/cm以上がより好ましい。シート材は、繊維強化複合材料の成形時の膨張変形を抑制できるため、面内方向の線膨張係数が50×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、20×10-6(1/℃)以下であることがより好ましく、10×10-6(1/℃)以下であることが更に好ましい。面内方向の線膨張係数は通常1×10-6(1/℃)以上である。シート材の厚みは、熱伝導の観点から、0.01~5.0mmが好ましく、0.04~2.0mmがより好ましい。
(加圧体)
加圧体は、加圧時にシート材に対して効率よく圧力をかけられるようにするため、押圧時に変形しないものであれば限定されず、目的の繊維強化複合材料の形状に対応した形状とすることができる。プリプレグ等の平らな繊維強化複合材料を製造する場合には、平板形状の加圧体が適している。加圧体として金型を用いることができる。加圧体は、C/Cコンポジット、鉄鋼、インバー、繊維強化プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種の材料からなる部分を含むことが好ましい。400℃以上の耐熱性があり、成形温度を高くできることからC/Cコンポジットからなる部分を含むことがより好ましい。加圧体の面内方向の線膨張係数は、繊維強化複合材料の成形時の変形を抑制できるため、20×10-6(1/℃)以下が好ましく、5×10-6(1/℃)以下がより好ましい。面内方向の線膨張係数は通常1×10-6(1/℃)以上である。加圧体とシート材との間には耐熱性のあるフィルム、紙、金属シートを挿入してもよく、加圧体とシート材とが容易に剥離または分割しないように接合してもよい。
(繊維強化複合材料および繊維強化複合材料前駆体)
繊維強化複合材料(以下、本複合材料と称する場合がある)は、強化繊維とマトリックス樹脂とからなる。繊維強化複合材料としては、部品に成形するためのプリプレグ、特定形状に成形された成形体が挙げられる。繊維強化複合材料前駆体としては、強化繊維基材にマトリクス樹脂を含浸させたプリプレグ、および強化繊維基材にマトリクス樹脂シートを積層した積層材等の炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる中間材が挙げられる。中間材に離型紙または離型フィルムが積層された積層体としてもよい。中間材が複数積層され、最表面に離型紙または離型フィルムが積層された積層体とすることもできる。離型紙または離型フィルムは、公知の離型処理を施したプラスチック、金属箔やフッ素樹脂などの材料からなるものを使用できるが、耐熱性の観点でポリイミドフィルムが好ましい。
本複合材料の厚さは、プリプレグの場合は、成形体の残留応力の点から、0.015~10.0mmが好ましく、0.04~6.0mmがより好ましい。成形体の場合は、例えば0.1~50mmで成形体の形状により適宜決定できる。本複合材料が成形体である場合のボイド率は、0.1~20体積%が好ましく、0.2~2体積%がより好ましく、0.2~1体積%がさらに好ましい。下限値以上では生産性に優れ、上限値以下では機械特性に優れる。強度の観点から、繊維体積含有率(Vf)は、20~75体積%が好ましく、40~65体積%がより好ましい。繊維強化複合材料前駆体全体の厚さは、成形体の残留応力の点から、0.015~10.0mmが好ましく、0.04~6.0mmがより好ましい。繊維強化複合材料としてプリプレグを製造する場合の繊維強化複合材料前駆体であるプリプレグの含浸率は、5~98%が好ましく、20~80%がさらに好ましい。この場合の繊維体積含有率(Vf)は、1~74体積%が好ましく、4~60体積%がより好ましい。繊維強化複合材料として成形体を製造する場合の繊維強化複合材料前駆体であるプリプレグの含浸率は、10~98体積%が好ましく、30~80体積%がより好ましい。この場合のプリプレグのボイド率は、2~90%が好ましく、20~70%がさらに好ましい。この場合の繊維体積含有率(Vf)は、2~74体積%が好ましく、6~60体積%がより好ましい。
(強化繊維)
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、樹脂繊維等が挙げられ、それらを複数組み合わせてもよい。剛性、強度の点から炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等が挙げられる。強化繊維基材中の強化繊維の割合は、強化繊維基材の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。強化繊維を複数本束ねてサイジング剤を付着させることにより、強化繊維束とすることができる。
(強化繊維束)
強化繊維束としては、工業的規模における生産性及び力学特性に優れる点から、3,000~60,000本からなるトウが好ましい。優れた引張強度を有する成形体を得るには、強化繊維束のストランド強度は、4000MPa以上が好ましく、5000MPa以上がより好ましい。強化繊維束のストランド弾性率は、十分な成形体の剛性が発現しやすいため、200GPa以上であることが好ましく、230GPa以上であることがより好ましい。また、強化繊維の表面及び内部の黒鉛結晶サイズが小さくなり、繊維断面方向の強度及び繊維軸方向の圧縮強度の低下が抑制されやすいことから380GPa以下であることが好ましく、350GPa以下であることがより好ましい。なお、強化繊維束のストランド強度及びストランド弾性率は、ASTM D4018に準拠した方法で測定される。
(強化繊維基材)
強化繊維基材の形態としては、連続した強化繊維束を一方向に引き揃えた一方向連続繊維形態、連続した強化繊維束を用いた平織、綾織、朱子織、ノンクリンプファブリック(NCF)、三次元織物等の織物形態、強化繊維束を用いたコンティニュアスストランドマットやチョップドストランドマット等の繊維形態が挙げられる。織物の配列を保持するため、強化繊維等によるステッチや熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂繊維の溶着等の固定方法を適用することができる。
強化繊維基材のサイジング剤付着率は、0.1~5.0質量%が好ましく、0.2~3.0質量%がより好ましく、0.2~1.5質量%がさらに好ましい。サイジング剤の付着率が前記範囲の下限値以上であれば、強化繊維が十分に収束しプリプレグ製造時に毛羽が発生しにくく、力学特性に優れた成形体が得られやすい。
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂等の熱可塑性樹脂や、それらを組み合わせた樹脂を用いることができる。成形サイクルの観点で、熱可塑性樹脂が好ましく、中でもポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、またはポリエーテルケトンケトン樹脂を含むことが好ましい。アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑エポキシ樹脂等の、モノマーや低分子量体を強化繊維基材に含浸させた後、重合可能な樹脂を用いることができる。マトリックス樹脂には発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて公知の熱硬化性樹脂、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃剤、顔料などの各種添加剤を含有させてもよい。マトリックス樹脂がフィルム形態の場合、フィルムの厚さは、10~100μmが好ましい。フィルムは、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよく、二次加工性に優れる点から、無延伸フィルムが好ましい。なお、無延伸フィルムには、延伸倍率が2倍未満であるフィルムを含むものとする。プリプレグ用フィルムの製造法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、マトリックス樹脂組成物に用いる材料を溶融混練した後、フィルム状に押出成形し、冷却する方法が挙げられる。溶融混練には、単軸又は二軸押出機等の公知の混練機を用いることができる。押出成形は、例えば、Tダイ等の金型を用いることにより行える。溶融温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整できる。冷却は、例えば、冷却されたキャストロール等の冷却機に接触させる方法が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
炭素繊維TRH50 18M(三菱ケミカル社製)を使用し、炭素繊維目付(FAW)が64g/mの一方向性繊維基材とTダイにてPEEK樹脂(ダイセルエボニック社製 3300G、融点330~340℃)を押出成形した25μm厚みのフィルムを熱融着により張り合わせ、未含浸繊維が残る繊維強化複合材料前駆体プリプレグを得た。
前記繊維強化複合材料前駆体プリプレグを繊維方向長さ118mm、繊維直角方向長さが198mmに切断し、下から黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-50、厚み0.5mm、密度2.0g/cm、寸法118mm×198mm)、離型フィルム(東レ社製ポリイミドフィルム、商品名カプトン、50μm厚み)、感圧フィルム(富士フィルム社製プレスケール、中圧用)、前記繊維強化複合材料前駆体プリプレグ3枚、前記離型フィルム、前記黒鉛シートの順に重ね、鋼材金型(内寸120mm×200mm)に封入し、加熱冷却二段式プレス(神藤金属工業社製50トンプレス)にて、室温にてプレス成形(2MPa×45秒、8MPa×45秒、2MPa×45秒)を行った。次に前記感圧フィルムを圧力画像解析システム(富士フィルム社製FPD9210)にて画像解析したところ、加圧時の圧力分布の指標となる標準偏差は7.2MPaであった。
次に下から黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-50、厚み0.5mm、密度2.0g/cm、空隙率9体積%、寸法118mm×198mm)、離型フィルム(東レ社製ポリイミドフィルム、商品名カプトン、50μm厚み)、前記繊維強化複合材料前駆体プリプレグ3枚、前記離型フィルム、前記黒鉛シートの順に重ね、鋼材金型(内寸120mm×200mm)に封入し、前記加熱冷却二段式プレスにて、ヒートアンドクールプレス成形(380℃×2MPa×45秒、380℃×8MPa×45秒、80℃×2MPa×120秒)を行い、約0.2mm厚さのプリプレグを得た。マイクロメーター(ミツトヨ社製)を使用し、得られたプリプレグの厚みを100か所(繊維方向に5点×繊維直角方向に20点)計測し、その標準偏差を計測した。その結果プリプレグ厚みの標準偏差は7μmとバラツキが小さいことを示した。
次に得られたプリプレグの中心部分を切り出し、繊維直角方向を観察するためにプリプレグの切断面を研磨し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX-5000シリーズ)にて200倍で観察し、200μmの格子スケールを画面上に表示し、縦400μm×横2000μmの画面内にプリプレグの厚みがすべて含まれるよう水平に配置した。その200μm間隔のある格子スケールの縦線とプリプレグの上面との交点と、200μm隣の縦線とプリプレグ上面との交点を結び直線を引いて、次にその格子スケールの縦線とプリプレグの下面も同様に交点を結び直線を得た。上面と下面からなる2つの線の角度を0°以上180°未満の範囲で値を得た。1つの撮影画像から8か所の角度を求め、プリプレグ内をランダムに5か所撮影し、計40か所の角度の平均値をプリプレグの平均凹凸度とした。実施例1のプリプレグの平均凹凸度は0.4°と表面平滑性に優れるプリプレグであった。
[実施例2]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(カネカ製グラフィニティ40GS、密度2.0g/cm、空隙率9体積%、厚み40μm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は9μmであった。圧力分布の標準偏差は8.4MPaを示した。プリプレグの平均凹凸度は0.4°と表面平滑性に優れていた。
[実施例3]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-50、厚み0.5mm、密度1.8g/cm、空隙率18体積%、寸法118mm×198mm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は6μmであった。圧力分布の標準偏差は5.6MPaを示した。プリプレグの平均凹凸度は0.6°と表面平滑性に優れていた。
[実施例4]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-50、厚み0.5mm、密度1.6g/cm、空隙率27体積%、寸法118mm×198mm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は8μmであった。圧力分布の標準偏差は4.6MPaを示した。プリプレグの平均凹凸度は0.7°と表面平滑性に優れていた。
[実施例5]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-50、厚み0.5mm、密度1.2g/cm、空隙率45体積%、寸法118mm×198mm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は9μmであった。圧力分布の標準偏差は2.8MPaを示した。プリプレグの平均凹凸度は1.2°と表面平滑性に優れていた。
[比較例1]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-60、厚み0.6mm、密度1.0g/cm、空隙率55体積%、寸法118mm×198mm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は13μmであった。圧力分布の標準偏差は、1.6MPaを示 した。プリプレグの平均凹凸度は1.6°であった。
[比較例2]
実施例1と同様のプレス条件にて、異なる黒鉛シート(東洋炭素社製 PF-80、厚み0.8mm、密度0.7g/cm、空隙率68体積%、寸法118mm×198mm)を使用したところ、プリプレグ厚みの標準偏差は9μmであった。圧力分布の標準偏差は、2.0MPaを示した。プリプレグの平均凹凸度は2.4°であった。
Figure 2022120692000002

表1に示すように、実施例では特定のシート材を使用することにより、比較例1、2に比べて厚みの標準偏差値や表面の凹凸が小さい繊維強化複合材料を製造できた。
1 加圧体
2 シート材
3 繊維強化複合材料前駆体

Claims (13)

  1. シート材を具備する加圧体を用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧する繊維強化複合材料の製造方法であって、前記シート材の空隙率が50体積%以下である、繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 前記シート材が、黒鉛、テトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるシート材である、請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記繊維強化複合材料が炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 密度が1.1g/cm以上である黒鉛シートを用いて繊維強化複合材料前駆体を加圧する、繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記黒鉛シートの密度が3.0g/cm以下である、請求項4に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 前記繊維強化複合材料が炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる、請求項4または5に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 前記繊維強化複合材料前駆体が、炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる中間材に離型紙または離型フィルムが積層された積層体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記繊維強化複合材料前駆体が、炭素繊維とマトリクス樹脂とからなる中間材が複数積層され、最表面に離型紙または離型フィルムが積層された積層体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 前記マトリクス樹脂が熱可塑樹脂からなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記繊維強化複合材料前駆体を200℃以上に加熱する工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 連続的または間欠的に加圧する、請求項1~10のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  12. 前記繊維強化複合材料がプリプレグである、請求項1~11のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  13. 前記繊維強化複合材料が成形体である、請求項1~11のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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