JP2022115176A - 流量制御装置および流量制御方法 - Google Patents

流量制御装置および流量制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 流量を増加させる際のオーバーシュートが抑制された流量制御装置を提供する。【解決手段】 流量制御装置10は、開度調整可能なバルブV2と、流量検出部20と、バルブの開度を制御する制御回路16とを備え、制御回路16は、第1流量から第2流量に変更するとき、第2流量に対応付けられた初期駆動値SnをバルブV2に与えた後に、流量検出部20の出力に基づいてバルブV2の開度をフィードバック制御するように構成されており、初期駆動値Snは、第2流量で流体を流したときに測定されたバルブの駆動値の最大値である最大駆動値Anと、最大値が測定されてから後の流量安定状態において測定されたバルブの駆動値である安定時駆動値Bnとの差が所定閾値以下になるように設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、流量制御装置および流量制御方法に関し、特に、半導体製造装置等に供給されるガスの流量を制御するために好適に用いられる、オーバーシュートを防止するための流量制御装置および流量制御方法に関する。
半導体製造設備又は化学プラント等において、原料ガスやエッチングガスなどの種々のガスがプロセスチャンバへと供給される。供給されるガスの流量を制御する装置としては、マスフローコントローラ(熱式質量流量制御器)や圧力式流量制御装置が知られている。
圧力式流量制御装置は、コントロール弁とその下流側の絞り部(例えばオリフィスプレートや臨界ノズル)とを組み合せた比較的簡単な構成によって、各種流体の質量流量を高精度に制御することができる。圧力式流量制御装置は、圧力を制御することで流量を制御することができる装置であり、一次側の供給圧力が大きく変動しても安定した流量制御が行えるという優れた流量制御特性を有している(例えば、特許文献1)。
一方で、オリフィスプレート等の開度固定の絞り部を用いない流量制御装置としては、特許文献2に記載のサーマル流量センサなどの流量測定部を備えた質量流量制御器や、ピエゾバルブを用いて流量に適合する開度にバルブを調節するように構成された流量制御器が知られている。特許文献3および4には、開度検出するための歪センサをピエゾ素子に取り付けた態様の流量制御装置が開示されており、ピエゾバルブを開度可変な絞り部として用いて流量制御を行うことができる。
特許第3546153号公報 特開平7-160338号公報 国際公開第2018/123852号 国際公開第2019/1027215号
ただし、圧力式流量制御装置とは異なり、絞り部を用いずに流量調整バルブの開度調整によって流量を制御する場合、特に、流量の立ち上げ時にオーバーシュートが発生することがある。流量測定部の測定した流量や開度測定機構の出力、あるいは、上流側の圧力センサの出力などに基づいて流量調整バルブをフィードバック制御する場合において、オーバーシュートは、過剰な駆動電圧が流量調整バルブに与えられた結果、開きすぎの状態が生じることによって発生する場合がある。
このようなオーバーシュートを防止するための方式が、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2には、サーマル流量センサを備えた質量流量制御器において、サーマル流量センサの出力に基づく流量調整バルブのフィードバック制御を行う前に、初期操作量を設定し、一定開度にまで一気にバルブを開いてからフィードバック制御を行うことで、オーバーシュートを防止することが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、所望の流量安定供給が行えるときの操作量の例えば0.6~0.7倍の操作量に初期操作量を設定している。このため、オーバーシュートの発生状況によっては、より適切な初期操作量(バルブの初期駆動値)を設定することが好適な場合もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、バルブの初期駆動値を適切に設定して、オーバーシュートを防止することが可能な流量制御装置および流量制御方法を提供することをその主たる目的とする。
本発明の実施形態による流量制御装置は、開度調整可能なバルブと、流量検出部と、前記バルブの開度を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、第1流量から第2流量に変更するとき、前記第2流量に対応付けられた初期駆動値を前記バルブに与えた後に、前記流量検出部の出力に基づいて前記バルブの開度をフィードバック制御するように構成されており、前記初期駆動値は、前記第2流量で流体を流したときに測定された前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差が所定閾値以下になるように設定されている。
ある実施形態において、前記制御回路は、前記初期駆動値を与えずに前記第1流量から前記第2流量に流量を変更したときの前記バルブの最大駆動値と前記安定時駆動値との差が所定閾値以下であるか否かを判定し、前記所定閾値以下でないときは、第1試行初期駆動値を与えてから前記バルブの開度をフィードバック制御するとともに、このときに測定された最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下であるか否かを判定し、前記所定閾値以下であるときには、前記第1試行初期駆動値が初期駆動値に設定される。
ある実施形態において、前記第1試行初期駆動値は、前記初期駆動値を与えずに前記第1流量から前記第2流量に流量を変更したときの前記安定時駆動値である。
ある実施形態において、前記第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下にない場合、第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差に基づいて第2試行初期駆動値が決定され、前記第2試行初期駆動値与えてから前記バルブの開度をフィードバック制御するとともに、このときに測定された最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下であるときには、前記第2試行初期駆動値が初期駆動値に設定される。
ある実施形態において、前記第2試行初期駆動値は、第1試行初期駆動値に、前記最大駆動値と安定時駆動値との差を加算した値である。
ある実施形態において、前記第2試行初期駆動値は、第1試行初期駆動値から、前記最大駆動値と安定時駆動値との差を減算した値である。
ある実施形態において、前記制御回路は、前記第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差と、前記第2試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差とを比較した結果に基づいて、次の第3試行初期駆動値を決定するように構成されている。
ある実施形態において、上記の流量制御装置は、前記流量検出部としての、前記バルブの上流側の圧力を測定する圧力センサを備え、前記圧力センサの出力に基づいて前記バルブがフィードバック制御されるように構成されている。
ある実施形態において、上記の流量制御装置は、前記バルブの上流側に設けられ前記第2流量で流体を流す期間中、前記バルブの上流側の圧力を一定に維持するための圧力制御バルブをさらに有する。
ある実施形態において、上記の流量制御装置は、前記圧力制御バルブの上流側に設けられた開閉バルブと、前記開閉バルブと前記圧力制御バルブとの間の供給圧力を測定する圧力センサとを前記流量検出部として有し、前記開閉バルブを閉じている期間において測定された前記供給圧力の圧力降下特性が、所望流量に適合するように、前記バルブがフィードバック制御されるように構成されている。
本発明の実施形態による流量制御方法は、開度調整可能なバルブと、流量検出部と、前記バルブの開度を制御する制御回路とを備え、前記バルブの開度を前記流量検出部の出力に基づいてフィードバック制御するように構成された流量制御装置においてオーバーシュートを防止するための流量制御方法であって、第1流量から第2流量に変更して第2流量で流体を流したときに測定された前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大駆動値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差が所定閾値以下であるか否か判定する工程と、前記差が所定閾値以下でない場合、前記測定された差に基づいて前記第2流量に対応づけられた初期駆動値を決定し、前記初期駆動値を前記バルブに与えた後に前記バルブの開度をフィードバック制御する工程と、前記初期駆動値を与えた後に前記バルブの開度をフィードバック制御したときに、前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大駆動値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差を測定し、前記差が前記所定閾値以下であるか否かを再度判定する工程とを含み、前記差が前記所定閾値以下になるまで前記初期駆動値の更新が行われる。
本発明の実施形態に係る流量制御装置および流量制御方法によれば、流量立ち上げまたは流量増加の際のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態による流量制御装置が組み込まれたガス供給システムをしめす図である。 本発明の実施形態による流量制御装置の動作を示す図であり、上流開閉バルブV0の開閉信号、供給圧力P0、第1バルブV1の開度変化、保持圧力P1、第2バルブV2の開度変化をそれぞれ示す。 オーバーシュートの発生を防止することができる第2バルブの初期駆動値を求めるためのフローチャートを示す。 調整モードでの1回目の試行における上流開閉バルブV0、第1バルブV1、第2バルブV2の駆動電圧および供給圧力P0、保持圧力P1、下流側流量圧力PT(流量に対応)を示す。 2回目の試行における上流開閉バルブV0、第1バルブV1、第2バルブV2の駆動電圧および供給圧力P0、保持圧力P1、下流側流量圧力PTを示す。 3回目の試行における上流開閉バルブV0、第1バルブV1、第2バルブV2の駆動電圧および供給圧力P0、保持圧力P1、下流側流量圧力PTを示す。
本出願人は、特願2020-183372において、上流弁を閉鎖したときの下流側の圧力降下を検出に基づくビルドダウン式の流量検出が可能な流量制御装置を開示している。この流量制御装置は、ビルドダウン式の流量検出部の検出結果に基づいて、下流側のピエゾバルブの開度をフィードバック制御で調整することによって、所望流量でガスを流すことができるように構成されている。
この方式では、流量は、ピエゾバルブの開度によって直接的に決まり、オリフィスプレートなどの開度固定の絞り部を介在させていないので、圧力式流量制御装置と比較して、大流量でのガス供給が容易である。また、流量を制御するピエゾバルブの即時閉鎖によって、ガス遮断性つまり流量立ち下げの応答性を向上させることができる。
しかしながら、絞り部を用いずにピエゾバルブの開度調整によりバルブ下流側の流量を制御するため、ピエゾバルブの開度が流量にそのまま反映されやすい。このため、特に流量ゼロから所望流量への立ち上げのときに、例えば流量検出部の流量に適合させようとしてピエゾバルブをフィードバック制御した結果、最初にバルブが開きすぎの状態となり、これによってオーバーシュートが発生することがあった。
これに対して、本願発明者は、流量立ち上げ時のオーバーシュートを抑制するために、最初に一定の開度まで一気にバルブを開いた後に、流量検出部の出力に基づくフィードバック制御を開始する方式について鋭意検討を行った。そして、最初の一定の開度を、実際に所望流量で流体を流そうとしたときのバルブの駆動値(典型的にはバルブのアクチュエータに与えられる駆動電圧値)の測定結果に基づいて求めることとし、適切な一定の開度に対応する初期駆動値を与えてからフィードバック制御を開始することによってオーバーシュートを抑制した。
なお、本発明の実施形態におけるオーバーシュート防止のための流量制御方法は、特願2020-183372に記載される流量制御方式において好適に適用されるが、これに限られるものではない。流量検出部の出力に基づいてバルブ開度のフィードバック制御を行うように構成された種々の流量制御装置に対して適用することが可能である。
また、本明細書において、流量検出部は、流量を直接的に検出するように構成された機構に限られず、流量に関連付けられる種々の要素を検出することができる機構であればよい。流量検出部は、例えば流量に対応して変化する任意の場所での流体圧力や圧力変化率を検出する機構などであってもよく、その出力に基づいてバルブ開度がフィードバック制御されるように構成されている限り、任意の態様を取り得る。
以下、本発明の一実施形態として、特願2020-183372に記載の流量制御装置に適用した形態を例に説明するが、上記のように流量制御装置の構成としては他の種々の態様を取り得る。また、以下にはガス供給システムに組み込まれた流量制御装置を説明するが、ガス以外の流体の制御にも適用され得る。
図1は、本発明の実施形態による流量制御装置10を含むガス供給システム100を示す。ガス供給システム100は、ガス供給源2と、ガス供給源2に接続されガスの流量を制御する流量制御装置10と、下流遮断弁4を介して流量制御装置10の下流側に接続されたプロセスチャンバ6と、プロセスチャンバ6に接続された真空ポンプ8とを有している。
ガス供給源2からのガスは、流量制御装置10によって制御された流量で、プロセスチャンバ6に供給される。ガス供給源2からは、原料ガス、エッチングガスまたはパージガスなど、半導体製造プロセスに用いられる種々のガスが供給されてよい。また、チャンバ内およびチャンバに接続された流路は、真空ポンプ8を用いて真空引きすることができる。なお、図1には、1系統のガス供給ラインのみが示されているが、他の態様において、種々のガスを供給するために、プロセスチャンバ6には、複数のガス供給ラインが共通ラインを介して接続されていてもよい。
本実施形態の流量制御装置10は、上流開閉バルブV0と、上流開閉バルブV0の下流に設けられた開度調節可能(あるいは開度可変)な第1バルブV1と、第1バルブV1の下流側に設けられた開度調節可能(あるいは開度可変)な第2バルブV2とを備えている。
開度調節可能な第1バルブV1および第2バルブV2としては、例えば、比例制御弁が用いられ、より具体的には、ピエゾ素子駆動型バルブ(以下、ピエゾバルブと称することがある)が用いられる。ピエゾ素子駆動型バルブは、ピエゾ素子への印加電圧の制御によってダイヤフラム弁体の移動量を調節することができ、その開度を任意に調節することができる。
一方、上流開閉バルブV0は、流路を開閉することができればよく、オンオフ弁または開度調節可能弁のいずれであってもよい。上流開閉バルブV0としては、AOV(空気駆動弁)や電磁弁などのオンオフ弁、または、第1バルブV1および第2バルブV2と同様のピエゾバルブが好適に用いられる。
また、本実施形態の流量制御装置10は、上流開閉バルブV0と第1バルブV1との間の供給圧力P0を測定する第1圧力センサ12と、第1バルブV1と第2バルブV2との間の保持圧力P1を測定する第2圧力センサ14とを備えている。第1圧力センサ12および第2圧力センサ14としては、例えば、歪ゲージが設けられた感圧ダイヤフラムを有するシリコン単結晶製の圧力センサやキャパシタンスマノメータが好適に用いられる。
流量制御装置10には、制御回路16が設けられており、制御回路16によって上流開閉バルブV0、第1バルブV1、および、第2バルブV2の動作を制御することができる。制御回路16はまた、第1圧力センサ12および第2圧力センサ14にも接続されており、各圧力センサの出力に基づいて各バルブV0、V1、V2の動作を制御することができる。
制御回路16は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ等を内蔵し、後述する動作を実行するコンピュータプログラムを含んでいてよく、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって実現され得る。制御回路16は、各バルブや各圧力センサと一体的な装置として内蔵されていても良いし、その一部または全部が外部装置に設けられていても良い。
流量制御装置10は、従来の圧力式流量制御装置とは異なり、オリフィスプレートや臨界ノズルなどの開度固定の絞り部を有しておらず、代わりに、第2バルブV2が設けられている。第2バルブV2は、下流側の供給するガスの流量を直接的に制御する、流量制御のためのバルブ(開度可変絞り部)として用いられている。第2バルブV2は、後述するように、上流開閉バルブV0と第1圧力センサ12とによって構成される流量検出部20の出力(より具体的には、上流開閉バルブV0を閉じた後の第1圧力センサ12の出力)に基づいてフィードバック制御される。
一方、第1バルブV1は、その下流側の保持圧力P1の値が所望流量に対応する一定値に維持されるように、保持圧力P1に基づいてフィードバック制御され、圧力制御のためのバルブとして用いられている。
ただし、他の態様において、第1バルブV1(および第1圧力センサ12か第2圧力センサ14のいずれか)は必ずしも設けられている必要はない。後述するように流量検出部20を用いてビルドダウン式の流量測定を行う場合には、流量検出の精度を向上させるために、第1バルブV1を用いて第2バルブV2の上流側の圧力を一定に保つことが好適であるが、流量検出部として他の構成を採用する場合には、圧力制御用の第1バルブV1を用いずに流量制御装置10を構成することも可能である。ただし、第1バルブV1を用いる場合、第2バルブV2の上流側の圧力を任意の大きさに維持することができるので、第2バルブV2の開度調整による流量制御範囲を変更することができるという利点が得られる。
以下、図2を参照しながら、本実施形態の流量制御装置10のガス供給中の流量制御の動作制御(制御回路16による動作制御)を詳細に説明する。図2は、所望流量でガス供給を行っている期間(プロセス期間)における上流開閉バルブの開閉信号(V0)、供給圧力(P0)、第1バルブV1の開度変化(V1)、保持圧力(P1)、第2バルブV2の開度変化(V2)をそれぞれ示す。
図2からわかるように、ガス供給中、上流開閉バルブV0は、パルス的に開閉される。図示する態様では、上流開閉バルブV0が閉じられた状態から、まず、時間t1-t2間に開放され、その後、時間t2-t3間に閉鎖され、その後、時間t3-t4間に開放、時間t4-t5間に閉鎖、時間t5-t6間に開放、時刻t6後に閉鎖が連続的に行われる。
一方で、上記のように上流開閉バルブV0がパルス的に開閉制御されている期間、保持圧力P1が所定圧力に維持されるように、第1バルブV1は、第2圧力センサ14の出力に基づいてフィードバック制御される。その結果、上流開閉バルブV0の開閉にかかわらず、保持圧力P1は略一定の値に維持される。このときの所定圧力は、流したい流量に適合する圧力に設定される。保持圧力P1をより高い値に維持すれば、第2バルブV2の開度調整によって制御できる流量範囲が大流量の範囲となり、保持圧力P1をより低い値に維持すれば、第2バルブV2の開度調整によって制御できる流量範囲が小流量の範囲となる。
そして、上記のように上流開閉バルブV0がパルス的に開閉制御されている期間、開度可変の絞り部として用いられる第2バルブV2(流量制御バルブ)は、所望流量に対応する開度に調整される。この第2バルブV2の開度の調整は、後述するビルドダウン方式で求めた演算流量が所望流量に適合するよう行われる。
この態様において、上流開閉バルブV0の閉期間にガスが流出することによって供給圧力P0は経時的に低下する。そして、その後に上流開閉バルブV0を開放すると、上流からガスが流れ込むため、供給圧力P0は回復する。また、回復後は、供給圧力P0は、上流開閉バルブV0が開放されている期間にわたってほぼ同じ圧力(上流開閉バルブV0の上流側の圧力と等価)となる。上流開閉バルブV0の上流側の圧力は、図示しないレギュレータによって一定圧力に制御されていることが好適である。
また、上流開閉バルブV0の閉期間には供給圧力P0が低下するので、保持圧力P1を一定に保つために、その下流側の第1バルブV1は、供給圧力P0の低下にともなって少ししずつ大きく開かれる。このように、供給圧力P0が低下したとしても、第1バルブV1をフィードバック制御し、保持圧力P1を一定に保つことができるので、第1バルブV1と第2バルブとの間の容積のガスの物質量(モル数)をほぼ一定量に維持することができる。
以上のようにして、第1バルブV1のフィードバック制御により保持圧力P1が一定に保たれているとき、供給圧力P0の低下は、第2バルブV2を介して下流側に流れたガスの量に対応するものと考えることができる。上記のように、第1バルブV1と第2バルブV2との間のガスの物質量が略一定に保たれているからである。
そこで、本実施形態では、この供給圧力P0の降下を監視し、ビルドダウン方式に基づいて、その圧力降下率ΔP/Δtから、第2バルブV2の下流側に流れたガスの流量を演算により求めることができる。ビルドダウン方式では、流量Qは、例えば、以下の式によって求めることができる。
Figure 2022115176000002
上記式において、Tはガス温度(℃)、Vsはビルドダウン容量(ここでは上流開閉バルブV0と第1バルブV1との間の流路容積)、ΔP/Δtは、上記の圧力降下率である。ΔP/Δtは、例えば、上流開閉バルブV0の閉鎖時間(例えば時刻t2から時刻t3までの期間)と、その間に低下した圧力の大きさである圧力降下量ΔPとから得られる。
なお、上記の式は、ケルビン換算のガス温度Tkが一定であると仮定すると、定数C1(=1000・60・273/(760・Tk))を用いて、Q=C1・Vs1・(ΔP/Δt)と記載することができる。ここでVs1は、上流開閉バルブV0と第1バルブV1との間の流路容積である。
このように、上流開閉バルブV0の閉鎖期間における供給圧力P0の圧力降下率(ΔP/Δt)から、第2バルブV2の下流側に流れているガスの実際の流量をリアルタイムで求め得る。したがって、この演算により求められる流量が、設定された所望流量となるように、第2バルブV2の開度調整を行うことで、所望流量でガスを下流側に流すことができる。
本明細書では、上記の複数回にわたり測定した供給圧力P0の値や、所定期間における圧力降下率(時間に対する傾き)を、「圧力降下特性」と称することとする。「圧力降下特性」は、ビルドダウン中の圧力の変化の程度や変遷に対応する特性を意味している。そして、任意の時刻tにおける目標圧力値や、任意の時間Δtにおける目標圧力降下率を、「基準圧力降下特性」と称することとする。ここで、測定した供給圧力の圧力降下特性と所定制御流量に対応する基準圧力降下特性とを比較するという場合、少なくとも、測定した供給圧力値と目標圧力値との比較および測定した供給圧力の圧力降下率と目標圧力降下率との比較が含まれるものとする。
本実施形態では、所望の流量に制御するために、上流開閉バルブV0の閉鎖期間においてリアルタイムに測定した各時刻の供給圧力P0と、当該時刻における基準値(目標供給圧力)とを比較し、その結果に基づいて第2バルブV2の開度調整を行っている。なお、微小時間ごとの圧力降下率を基準降下率(流量に対して固定)と比較して第2バルブV2を調整する制御も可能であるが、外乱の影響を受けやすいため、現実対応としては、時刻で決まる目標圧力値と測定した圧力値とを比較して第2バルブV2を制御することが好適である。
圧力降下特性の比較は、サンプリング周期ごとの所定時刻における測定供給圧力P0と、予め設定されている基準供給圧力(目標値)とを比較することによって実行できる。目標値となる基準供給圧力は、例えば時間の関数として定義しておいてもよいし、時刻ごとにテーブルに目標値が設定されていてもよい。時刻ごとの目標値が予め決定されている場合、ある時刻で測定した供給圧力P0とその時刻での目標値とを比較し、測定供給圧力P0の方が大きいときには、流量が不足していると判断する。したがって、第2バルブV2の開度をわずかに増加させる制御が行われる。また、ある時刻で測定した供給圧力P0が目標値よりも小さいときには、流量が過多であると判断する。したがって、第2バルブV2の開度をわずかに減少させる制御が行われる。
以上のようにして、経時的に測定した供給圧力P0(流量検出部20の出力)に基づいて、第2バルブV2の開度をフィードバック制御することによって、流量をリアルタイムで補正し、所望流量でガスを流すことができる。なお、図2には、供給圧力P0の出力に基づいて第2バルブV2がフィードバック制御された結果、供給圧力P0の降下特性が所望流量に対応する降下率に維持されるとともに、第2バルブV2の開度がほぼ一定に維持されている様子が示されている。ただし、測定した供給圧力P0の降下特性が所望流量に対応していないときには、第2バルブV2の開度がリアルタイムで調整されることになる。
また、上流開閉バルブV0が開放されている期間(例えば時間t1-t2)において、第2バルブV2の開度は、直前の遮断期間における開度に維持される。これは供給圧力P0が急激に増加したとしても、保持圧力P1は一定に保たれているので、直前の期間と同様の流量でガスを流し続けられると考えられるからである。
また、上記態様では、上流開閉バルブV0の1パルス開閉ごとに、遮断期間においては供給圧力P0の圧力降下の測定を行い、ビルドダウン方式での流量測定に基づいて、第2バルブV2の開度調節を連続的に継続的に行っている。ただし、これに限られず、ビルドダウン流量測定および第2バルブV2の開度調節は間欠的に行うことも可能である。
以下、図3~図6を参照しながら、流量制御装置10における流量立ち上げのための動作について説明する。
(実施形態1)
流量制御装置10は、第1流量(ここでは流量ゼロ)から第2流量(ここでは任意の所望流量)に変更するとき、第2流量に対応付けられた初期駆動値を第2バルブV2に与えた後に、流量検出部20の出力に基づいて第2バルブV2の開度をフィードバック制御するように構成されている。
なお、本実施形態において、流量検出部20は、上述したビルドダウン式の流量測定を行うための上流開閉バルブV0および供給圧力P0を測定する第1圧力センサ12によって構成されている。上流開閉バルブV0を閉じた後の第1圧力センサ12の出力を測定することによって、流量制御装置10では、第2バルブV2の下流側に流れるガスの実際の流量を測定することができる。
そして、流量制御装置10は、フィードバック制御に移行する前に第2バルブV2に最初に与える初期駆動値を、実際に第2流量でガスを流したときのバルブの駆動値の測定に基づいて学習により決定するように構成されている。バルブの駆動値は、ここではピエゾバルブを駆動するためのピエゾアクチュエータに印加される駆動電圧の値である。
図3は、ガス供給を行う前の調整モードにおいて、適切な初期駆動値を求めておくためのフローチャートを示す。ステップS1に示すように、まず、ピエゾAD値(バルブ駆動値)のサンプリングが開始される。次に、ステップS2に示すように、第2流量でガスを流す流量制御が行われる。
このとき、本実施形態では、1回目の試行のときには、初期駆動値をゼロとして、すなわち、初期駆動値を与えることなく、流量検出部の出力に基づく通常のフィードバック制御を行う。図4は、初期駆動値ゼロのときの動作(1回目)を示している。
なお、図4~図6において、上流開閉バルブV0、第1バルブV1、第2バルブV2の駆動電圧および供給圧力P0、保持圧力P1の測定結果とともに、下流側流量圧力PTも示されている。下流側流量圧力PTは、第2バルブV2の下流側に実験用絞り部を設けた状態で第2バルブV2と実験用絞り部との間の流体圧力を測定したものであり、第2バルブV2の下流側の流量に対応している。また、図4~図6において、左側の縦軸は、供給圧力P0[kPa abs.]および第1バルブV1、第2バルブV2の駆動電圧[V]に対応し、右側の縦軸は、下流側流量圧力PT[kPa abs.]および上流開閉バルブV0の駆動電圧[V]に対応する。
次に、図3のステップS3に示すように、フィードバック制御による流量制御中の第2バルブV2のピエゾAD値を監視し、そのうちの最大駆動値Aをメモリに記録する。また、流量制御終了間際の駆動値Bもメモリに記録する。
ここで、図4からわかるように、最大駆動値Aは、オーバーシュートが生じたときの初期の駆動電圧に対応する。また、流量制御終了間際の駆動値Bは、流量制御が適切に行われて流量が安定した状態におけるバルブ駆動値(安定時駆動値Bと呼ぶ)に対応する。図4に示すように、1回目の試行では、第2バルブV2の最大駆動値Aと安定時駆動値Bとの差が比較的大きいものとなることがあり、これによってオーバーシュート量OSも大きいものとなっている。
そこで、図3のステップS4およびS5に示すように、流量制御を終了するとともに、オーバーシュートが生じていたか否かを、最大駆動値Aと安定時駆動値Bとの差である(A-B)と、予め設定された所定閾値(判定値)との比較により判断する。
ステップS5において、差分(A-B)が判定値以上であったときには、オーバーシュートありと判断して、ステップS7以降の第2バルブV2の初期駆動値を求めるフローに続く。一方、ステップS5において、差分(A-B)が判定値未満であったときには、オーバーシュートは生じていないと判断して、ステップS6においてフローを終了する。
ステップS5において、オーバーシュートが生じていると判断されたときは、ステップS7に示すように、学習が1回目であるかどうかが判定される。
ここで、1回目である場合、本実施形態では、ステップS8に示すように、ピエゾ一定量、すなわち、1回目のバルブ初期駆動値Sとして、メモリされていた安定時駆動値Bが設定される。安定時駆動値Bは、所望流量でガスを流すことができるバルブ開度に対応する駆動値であると推定できるので、ステップS10においてピエゾ一定量をゼロから基準となる安定時駆動値Bに更新し、次の2回目の試行においては、この安定時駆動値Bを与えて一気にバルブを開いてから、流量検出部20の出力に基づくフィードバック制御を行う。
その後、ステップS2に戻って、バルブに初期駆動値Sを与えた後、フィードバック制御を行い、ステップS3~S5に示すように、2回目の試行における最大駆動値Aおよび安定時駆動値Bの測定結果から再びオーバーシュートの有無の判断を行う。
ここで、オーバーシュートがないと判断された場合には、初期駆動値Sが適切であると判断され、ステップS6において初期駆動値を求めるフローは終了する。一方、1回目の試行(初期駆動値なしのフィードバック制御)における安定時駆動値Bを初期駆動値Sとして与えた場合にも、オーバーシュートが発生することがある。このときのオーバーシュートは、安定時駆動値Bを与えてバルブを開いた直後に流量検出部20が検出した流量(ここでは供給圧力P0の低下率)がまだ不足しており、フィードバック制御に切り替えたときに流量不足を補うために、第2バルブV2がさらに開いてしまったために生じたものと考えられる。
図5は、初期駆動値Sを1回目の安定時駆動値Bに設定したときの動作(2回目)を示す。図5からわかるように、初期駆動値Sを与えたときにも、図4に示す1回目の差分(A-B)よりは小さいものの、ある程度の大きさの差分(A-B)が観察されることがある。そして、オーバーシュート量OSが抑制されてはいるものの、わずかなオーバーシュートは生じており、したがって、より適切な初期駆動値を求めることが好適である。
このように、1回目の安定時駆動値Bを初期駆動値Sとして用いただけではオーバーシュートがまだ発生する場合、初期駆動値を更新するフローが行われる。本実施形態では、ステップS7で学習1回目ではないと判定されると、ステップS9に示すように、初期駆動値S=Sn-1+(A-B)に従って2回目の試行以降の初期駆動値Sが設定される。2回目の場合、S=S+(A-B)となり、前回の初期駆動値S(=B)に、2回目でのオーバーシュートの要因となっている差分(A-B)を加算した初期駆動値Sに更新される。
同様の操作がステップS5においてオーバーシュートがないと判断されるまで、必要に応じて回数を重ねて実行される。図6は、3回目の試行において初期駆動値Sを用いた場合に、差分(A-B)が所定閾値内に収まり、オーバーシュートの発生なしと判定された様子を示している。
このようにして第2流量でガスを流したときの第2バルブV2の最大駆動値Aおよび安定時駆動値Bの測定に基づいて、オーバーシュートが生じない初期駆動値Sが求められる。そして、実際に第2流量でガスを流すように流量立ち上げを行う際にも、予め求めておいた適切な初期駆動値Sを与えてから流量検出部の出力に基づくフィードバック制御を行うことによって、最大駆動値と安定時駆動値との差が所定閾値以下となり、すなわち、オーバーシュートが抑制された流量立ち上げ動作を行うことができる。
以上、流量立ち上げの際のオーバーシュート防止方法について説明したが、第1流量は第2流量以下のゼロ以外の任意の流量であっても良い。この場合、第1流量から第2流量への流量増加のときのオーバーシュートを防止するために、上記方法を適用することができる。
また、上記の第2流量は任意の設定流量であって良く、上記の初期駆動値を求める動作も、第2流量に対応づけて行われることが好適である。これは、目標となる第2流量(または圧力)の大きさによって、適切な初期駆動値も通常は異なるものと考えられるからである。
また、各設定流量に対応する初期駆動値を求めるタイミングは、実際に当該設定流量でガス供給を行う前であれば、任意のタイミングであってよい。対応する初期駆動値は、設定流量(圧力)が決定されるたびに求められてもよいし、最初に全ての設定流量(圧力)について最適値を求めておき、制御回路のメモリに記憶しておいて、それぞれ必要な設定になった際に記憶したデータを読み出して使用するようにしても良い。
また、複数のとびとびの設定流量について複数のバルブ初期駆動値がそれぞれ設定され記憶されている場合において、実際にガスを流したい所望流量がとびとびの設定流量の間にある場合、記憶されている初期駆動値から近似値を求めるようにしてもよい。例えば、所望流量Qxが、対応する初期駆動値SQ1、SQ2がそれぞれ格納されている設定流量Q1とQ2との間にある場合、所望流量Qxに対応する初期駆動値SQxは、(SQ1、Q1)と(SQ2、Q2)とによって規定される直線式にQxを代入することによって求めるようにしてもよい。
さらに、上記には、1回目の試行時のバルブ初期駆動値をゼロとして差分(A-B)を求めて所定閾値と比較したうえで初期駆動値を安定時駆動値Bに設定する例を説明したが、これに限られない。オーバーシュートが生じやすいような状況では、1回目の試行時は最大駆動値Aを測定することなく安定時駆動値Bのみ測定および記憶し、これを初期駆動値Sとして設定したところから、適切な初期駆動値Sを求める動作を行うようにしてもよい。また、1回目の初期駆動値Sは、安定時駆動値Bそのものではなく、安定時駆動値Bから一義的に決定される値(例えば、安定時駆動値Bの0.5~1.5倍など)に設定されても良い。また、2回目以降の初期駆動値Sも、前回値Sn-1に差分(A-B)をそのまま加算して更新するのではなく、差分(A-B)に任意の補正係数を乗じてから加算するなどしてもよい。初期駆動値Sは、流量制御動作中におけるバルブの最大駆動値Aと安定時駆動値Bとの測定結果を用いる限り、任意の式に従って決定され得る。
(実施形態2)
以下、オーバーシュート抑制のための別の実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、初期駆動値Sは、試行回数nが増えるほど大きくなる、すなわち、バルブの初期一定開度を段々と大きくしていき、オーバーシュートが生じない初期駆動値Sを求める制御であった。ただし、初期駆動値Sを前回よりも小さく設定する場合にオーバーシュートが抑制されることも想定される。このようなケースにおいて、実施形態1の方法を実施した場合、試行回数を重ねてもオーバーシュート量が増大していくだけで収束しないおそれもある。
そこで、本実施形態2では、2回目以降の試行時において、前回の初期駆動値Sn-1よりも大きい値Snaと、前回の初期駆動値Sn-1よりも小さい値Snbとの2つについてそれぞれオーバーシュート量を求める動作を試行し、これによって、より適切な更新式を求めることとする。
より具体的には、増加側の初期駆動値Snaは、実施形態1と同様にSna=Sn-1+(A-B)で与えられる。一方、減少側の初期駆動値Snbnb=Sn-1-(A-B)で与えられる。そして、2回目の試行時には、S2a=S+(A-B)と、S2b=S-(A-B)との2つの初期駆動値を用いて2回の流量制御を行い、そのときの各最大駆動値A3a、A3bと安定時駆動値B3a、B3bとをそれぞれ測定する。
そして、それぞれ求められた差分(A3a-B3a)と差分(A3b-B3b)とを比較し、より小さい方の差分に対応する更新式が、効果的な更新式であると判定する。すなわち、差分(A3a-B3a)<差分(A3b-B3b)の場合、更新式としてSna=Sn-1+(A-B)を3回目以降の試行時の更新式として採用し、一方、差分(A3a-B3a)>差分(A3b-B3b)の場合、更新式としてSnb=Sn-1-(A-B)を3回目以降の試行時の更新式として採用する。
以上のようにして初期駆動値Sを更新するようにすれば、試行回数を重ねるごとにバルブをより開く制御だけでなく、バルブをより閉じる制御も組み入れることができる。このため、より多様なケースにおいてオーバーシュートの抑制が可能になる。
(実施形態3)
以下、オーバーシュート抑制のためのさらに別の実施形態3について説明する。上述した実施形態1では、初期駆動値Sは、試行回数nが増えるほど大きくなる、すなわち、バルブの初期一定開度を徐々に大きくしていき、オーバーシュートが生じない初期駆動値Sを求める制御であった。しかしながら、初期駆動値Sは、前回値Sn-1に対して差分(A-B)を加えて更新されるものであるので、この差分(A-B)が比較的大きい場合には、最適値を超えた値に初期駆動値Sが更新される場合がある。そして、最適値を超えた後の試行時に、差分(A-B)が所定閾値よりも大きくなって、オーバーシュートありと判断されるおそれがある。この場合、さらに初期駆動値Sを増加させるように更新する動作が継続されるので、これ以降の差分(A-B)は増加していくことになり、適切な初期駆動値Sが求められなくなるケースが想定される。
これに対して、本実施形態3では、前回の差分(An-1-Bn-1)と今回の差分(A-B)の値について比較を行い、偏差が減っているかどうかを確認する事で、最適値に近づいているかどうかが判断できる。この方式において、前回の差分(An-1-Bn-1)よりも今回の差分(A-B)の方が小さかったときは、最適値を超えていないと判断し、更新式を変更せずS=Sn-1+(A-B)を用いて以降の動作を行う。
一方、前回の差分(An-1-Bn-1)よりも今回の差分(A-B)の方が大きかったときには、最適値を超えていると判断し、このときには更新式を変更してS=Sn-1-(A-B)として、以降の動作を行う。さらに、この動作中に、再び、前回の差分(An-1-Bn-1)よりも今回の差分(A-B)が大きくなった場合、再び更新式をS=Sn-1+(A-B)に戻して以降の動作を行う。なお、これらの動作の途中で(A-B)が所定閾値以下になった場合には、その時点で初期駆動値Sを適切な値と判断し、制御を終了させることはもちろんである。
より具体的な例を説明すると、1回目は、実施形態1と同様に、フィードバック制御のみを用いて流量制御を実施し、オーバーシュートが確認された場合には、安定時駆動値Bを初期駆動値Sに設定する。また、2回目において流量制御を実施し、最大駆動値Aと安定時駆動値Bとを測定、保存し、差分(A-B)を閾値と比較することでオーバーシュートの有無を判定する。
ここでオーバーシュートが観測される場合、初期駆動値S=S+(A-B)として、3回目の試行を行う。3回目の試行においても、最大駆動値Aと安定時駆動値Bとを測定、保存し、求めた差分(A-B)を閾値と比較することでオーバーシュートの有無を判定する。
ここで、さらにオーバーシュートが生じていると判断された場合、2回目の試行で得られた差分(A-B)と、3回目の試行で得られた差分(A-B)との大小を比較する。
このとき、差分(A-B)が差分(A-B)よりも小さかった場合、初期駆動値Sが最適値を超えていないと考えられる。このため、そのままバルブをより開く方向の操作を行い、すなわち、初期駆動値S=Sn-1+(A-B)の式を採用する。そして、初期駆動値S=S+(A-B)として、3回目と同じ動作を4回目以降で繰り返すこととする。
一方、上記比較した結果、差分(A-B)が差分(A-B)よりも小さかった場合、3回目の試行での初期駆動値Sが最適値を超えていたものと考えられる。このため、これ以降の動作を中止し、再び3回目の試行として、今度は、初期駆動値S=S-(A-B)の式に変更したうえで(すなわち、バルブを閉じる方向に初期駆動値Sを更新したうえで)、3回目の動作を行う。これ以降は、初期駆動値Sを用いて3回目と同じ動作を4回目以降で繰り返し、そして、(A-B)が所定閾値未満となったときには終了する。
つまり、4回目以降は、常に(A-B)と(An-1-Bn-1)と算出、比較し、(A-B)が(An-1-Bn-1)よりも大きくなった時は、Sを算出する式(S=Sn-1+(A-B)またはS=Sn-1-(A-B)のいずれか)を切り替えて演算を一つ前の段階に戻してやり直し、(A-B)が(An-1-Bn-1)よりも小さくなるように制御を行う。
このように、前回と今回との差分(A-B)の比較に基づいて初期駆動値Sを算出する式を常に更新するようにすれば、初期駆動値Sが最適値を超えたときにも、初期駆動値Sが最適値に近づくように制御可能である。このため、より多様なケースにおいてオーバーシュートの抑制が可能になる。
本発明の実施形態にかかる流量制御装置および流量制御方法は、例えば、半導体製造装置において供給ガスの流量を制御するために好適に利用される。
2 ガス供給源
4 下流遮断弁
6 プロセスチャンバ
8 真空ポンプ
10 流量制御装置
12 第1圧力センサ
14 第2圧力センサ
16 制御回路
20 流量検出部
100 ガス供給システム
V0 上流開閉バルブ
V1 第1バルブ(圧力制御バルブ)
V2 第2バルブ(流量制御バルブ)
P0 供給圧力
P1 保持圧力

Claims (11)

  1. 開度調整可能なバルブと、流量検出部と、前記バルブの開度を制御する制御回路とを備える流量制御装置であって、
    前記制御回路は、第1流量から第2流量に変更するとき、前記第2流量に対応付けられた初期駆動値を前記バルブに与えた後に、前記流量検出部の出力に基づいて前記バルブの開度をフィードバック制御するように構成されており、
    前記初期駆動値は、前記第2流量で流体を流したときに測定された前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差が所定閾値以下になるように設定されている、流量制御装置。
  2. 前記初期駆動値を与えずに前記第1流量から前記第2流量に流量を変更したときの前記バルブの最大駆動値と前記安定時駆動値との差が所定閾値以下であるか否かを判定し、前記所定閾値以下でないときは、第1試行初期駆動値を与えてから前記バルブの開度をフィードバック制御するとともに、このときに測定された最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下であるか否かを判定し、前記所定閾値以下であるときには、前記第1試行初期駆動値が初期駆動値に設定される、請求項1に記載の流量制御装置。
  3. 前記第1試行初期駆動値は、前記初期駆動値を与えずに前記第1流量から前記第2流量に流量を変更したときの前記安定時駆動値である、請求項2に記載の流量制御装置。
  4. 前記第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下にない場合、第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差に基づいて第2試行初期駆動値が決定され、前記第2試行初期駆動値与えてから前記バルブの開度をフィードバック制御するとともに、このときに測定された最大駆動値と安定時駆動値との差が前記所定閾値以下であるときには、前記第2試行初期駆動値が初期駆動値に設定される、請求項2または3に記載の流量制御装置。
  5. 前記第2試行初期駆動値は、第1試行初期駆動値に、前記最大駆動値と安定時駆動値との差を加算した値である、請求項4に記載の流量制御装置。
  6. 前記第2試行初期駆動値は、第1試行初期駆動値から、前記最大駆動値と安定時駆動値との差を減算した値である、請求項4に記載の流量制御装置。
  7. 前記第1試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差と、前記第2試行初期駆動値を与えたときの前記最大駆動値と安定時駆動値との差とを比較した結果に基づいて、次の第3試行初期駆動値を決定するように構成されている、請求項4に記載の流量制御装置。
  8. 前記流量検出部としての、前記バルブの上流側の圧力を測定する圧力センサをさらに備え、前記圧力センサの出力に基づいて前記バルブがフィードバック制御される、請求項1から7のいずれかに記載の流量制御装置。
  9. 前記バルブの上流側に設けられ前記第2流量で流体を流す期間中、前記バルブの上流側の圧力を一定に維持するための圧力制御バルブをさらに有する、請求項1から7のいずれかに記載の流量制御装置。
  10. 前記圧力制御バルブの上流側に設けられた開閉バルブと、前記開閉バルブと前記圧力制御バルブとの間の供給圧力を測定する圧力センサとを前記流量検出部として有し、
    前記開閉バルブを閉じている期間において測定された前記供給圧力の圧力降下特性が、所望流量に適合するように、前記バルブがフィードバック制御されるように構成されている、請求項9に記載の流量制御装置。
  11. 開度調整可能なバルブと、流量検出部と、前記バルブの開度を制御する制御回路とを備え、前記バルブの開度を前記流量検出部の出力に基づいてフィードバック制御するように構成された流量制御装置においてオーバーシュートを防止するための流量制御方法であって、
    第1流量から第2流量に変更して第2流量で流体を流したときに測定された前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大駆動値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差が所定閾値以下であるか否か判定する工程と、
    前記差が所定閾値以下でない場合、前記測定された差に基づいて前記第2流量に対応づけられた初期駆動値を決定し、前記初期駆動値を前記バルブに与えた後に前記バルブの開度をフィードバック制御する工程と、
    前記初期駆動値を与えた後に前記バルブの開度をフィードバック制御したときに、前記バルブの駆動値の最大値である最大駆動値と、前記最大駆動値が測定されてから後の流量安定状態において測定された前記バルブの駆動値である安定時駆動値との差を測定し、前記差が前記所定閾値以下であるか否かを再度判定する工程と
    を含み、
    前記差が前記所定閾値以下になるまで前記初期駆動値の更新が行われる、流量制御方法。

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