JP2022108494A - Ims分析装置 - Google Patents

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Shozo Moriya
正 岩松
Tadashi Iwamatsu
智 森本
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Yoshihiko Kunoki
幸治 新川
Koji Shinkawa
翔平 鴻丸
Shohei Komaru
俊輔 松尾
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Abstract

【課題】一次イオンの生成量を安定化することができ分析結果を安定化することができる分析装置を提供する。【解決手段】IMS分析装置40は、電子放出素子2と、コレクタ6と、電場形成部7と、制御部12とを備え、電子放出素子は、下部電極3と、表面電極4と、下部電極と表面電極の間に配置された中間層5とを有し、制御部は、下部電極と表面電極との間に電圧を印加するように設けられ、コレクタ及び制御部は、イオンがコレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、制御部は、下部電極と表面電極との間への印加電圧の大きさを電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられ、かつ、下部電極と表面電極との間へ電圧を印加する際のデューティ比を電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、IMS分析装置に関する。
IMS(Ion Mobility Spectrometry)は物質をイオン化しガス中でのイオン移動度を測定することで対象物質の成分分析を行う技術であり、そのイオン化源として放射性物質、コロナ放電、深紫外線などが用いられてきた。
しかしながら、放射性物質はその取扱いに特有の注意と管理が必要であり、コロナ放電はイオン化時のエネルギーが高く不要なイオンを生成するとともに、測定対象物質を変質させて測定への悪影響を生じる場合がある。また、深紫外線を用いた方法では、紫外線の波長によってイオン化可能な対象物が限定されるという課題がある。
これらの問題点を解決するイオン化方法として、電子放出素子を用いたソフトイオン化方法が提案されており(例えば、特許文献1参照)、電子放出素子をIMS分析装置のイオン化源として使用する方法(例えば、特許文献2参照)も提案されている。
特開2015-011837号公報 特開2019-186190号公報
同じ電圧印加条件で電子放出素子に電圧を印加した場合でも電子放出素子から放出される電子によって生成される一次イオンの量は、気温、湿度などの環境条件や素子の寿命特性によって変動する。このため、環境条件や素子の寿命特性などにより分析装置のイオン化能力が変動し分析結果が安定しない。また、従来のIMS分析装置では試料ガス成分を定量的に測定することが難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一次イオンの生成量を安定化することができ分析結果を安定化することができる分析装置を提供する。
本発明は、電子放出素子と、コレクタと、電場形成部と、制御部とを備え、前記電子放出素子は、下部電極と、表面電極と、前記下部電極と前記表面電極の間に配置された中間層とを有し、前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間に電圧を印加するように設けられ、前記電場形成部は、前記電子放出素子から放出された電子により直接的に又は間接的に生成されたイオンが前記コレクタへ向かって移動するイオン移動領域に電場を形成するように設けられ、前記コレクタ及び前記制御部は、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間への印加電圧の大きさを前記電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられ、かつ、前記下部電極と前記表面電極との間へ電圧を印加する際のデューティ比を前記電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられたことを特徴とするIMS分析装置を提供する。
前記制御部は、電子放出素子の下部電極と表面電極との間に電圧を印加するように設けられる。このため、電子放出素子から電子を放出させることができ、空気成分をイオン化し一次イオンを生成することができる。また、この一次イオンと試料ガス中の検出対象成分とのイオン分子反応によって検出対象成分をイオン化することができる。
前記電場形成部は、生成されたイオンがコレクタへ向かって移動するイオン移動領域に電場を形成するように設けられる。また、前記コレクタ及び前記制御部は、イオンがコレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられる。このため、生成された各種イオンは、イオン移動度の違いを利用して分離され電流波形のピークとして検出される。電流波形のピーク高さ又はピーク面積はコレクタに到達するイオン量を表す。
前記制御部は、下部電極と表面電極との間への印加電圧の大きさを前記電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられる。このため、気温、湿度などの環境条件や素子の寿命特性によって変動する一次イオンの生成量などを安定化することができる。この結果、IMS分析装置のイオン化能力を安定化することができ分析結果を安定化することができる。
前記制御部は、下部電極と表面電極との間へ電圧を印加する際のデューティ比を前記電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられる。このことにより、電子放出素子から放出される電子量及び一次イオンの生成量を微調整することができ、IMS分析装置のイオン化能力を高精度で安定化することが可能になる。
また、本発明のIMS分析装置を用いて検出対象成分を定量的に測定することが可能になる。
本発明の一実施形態のIMS分析装置の概略断面図である。 回収電流の電流波形を示すグラフである。 回収電流の電流波形を示すグラフである。 回収電流の電流波形を示すグラフであり、第1調節の説明図である。 素子印加電圧と素子放出電流との関係を示すグラフである。 (a)~(c)は、それぞれ素子印加電圧と素子放出電流との関係を示すグラフである。 (a)は素子駆動電圧の変化を示すグラフであり、(b)はイオン化領域におけるイオン量の変化を示すグラフであり、(c)はイオン移動領域のイオン量の変化を示すグラフであり、(d)は回収電流の電流波形を示すグラフである。 (a)~(c)はデューティ比100%、90%、80%のときの素子駆動電圧の変化を示すグラフであり、(d)はイオン化領域におけるイオン量の変化を示すグラフであり、(e)はイオン移動領域のイオン量の変化を示すグラフであり、(f)は回収電流の電流波形を示すグラフである。 素子印加電圧とコレクタ回収電流の出力強度との関係を表したグラフであり、グラフ上にフィードバック制御時の出力変化の推移を丸印と矢印で表示している。 素子印加電圧とコレクタ回収電流の出力強度との関係を表したグラフであり、グラフ上にフィードバック制御時の出力変化の推移を丸印と矢印で表示している。 素子印加電圧とコレクタ回収電流の出力強度との関係を表したグラフであり、グラフ上にフィードバック制御時の出力変化の推移を丸印と矢印で表示している。 素子印加電圧を13Vから16Vまで上昇させた際の一次イオンピーク波形の変化を示すグラフである。 一次イオン生成量が同じになるようにデューティ比調節を行った時の回収電流の電流波形を示すグラフである。 一次イオン生成量が同じになるようにデューティ比調節を行った時の回収電流の電流波形を示すグラフである。
本発明のIMS分析装置は、電子放出素子と、コレクタと、電場形成部と、制御部とを備え、前記電子放出素子は、下部電極と、表面電極と、前記下部電極と前記表面電極の間に配置された中間層とを有し、前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間に電圧を印加するように設けられ、前記電場形成部は、前記電子放出素子から放出された電子により直接的に又は間接的に生成されたイオンが前記コレクタへ向かって移動するイオン移動領域に電場を形成するように設けられ、前記コレクタ及び前記制御部は、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間への印加電圧の大きさを前記電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられ、かつ、前記下部電極と前記表面電極との間へ電圧を印加する際のデューティ比を前記電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられたことを特徴とする。
前記電流波形は、コレクタに到達するイオン種に対応するピークを有することが好ましく、前記制御部は、第1調節又は第2調節において、空気成分がイオン化され生成する一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは前記電流波形の総ピーク面積が目標範囲内となるように下部電極と表面電極との間に印加する電圧又はデューティ比を調節するように設けられることが好ましい。このことにより、測定の定量性を向上させることができる。
前記制御部は、デューティ比を一定にして第1調節を行うことにより一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは電流波形の総ピーク面積が目標範囲内とならない場合に第2調節を行うように設けられることが好ましい。下部電極と表面電極との間に印加する電圧が低電圧領域で第1調節を行う場合、電圧の単位変化量に対するイオン量の変化が大きく、オーバーシュートとアンダーシュートを繰り返して目標範囲内に終息しない場合がある。出力値が再近傍となった地点から、さらにデューティ比制御による微調整(第2調節)を行うことで、目標値に対する制御精度を高めることができる。
前記制御部は、デューティ比を調整範囲の中央付近に設定して第1調節を行うように設けられることが好ましい。デューティ比の設定範囲(中央付近)は特に限定されないが、例えば30%以上70%以下であることが好ましい。デューティ比の調節(第2調節)では微調整が可能となる反面、1タップ辺りの制御量が少なく、目標値に到達するまでの時間(試行回数)が長くなる。第1調節におけるデューティ比を中間レベルとして上下両方向への制御性を確保することにより、電圧制御(第1調節)の最終点を目標範囲の上下に関わらず再近傍とすることができ、第2調節時の試行回数を最小化できる可能性が高くなる。
前記制御部は、デューティ比を調整範囲の下限付近に設定して第1調節を行うように設けられ、かつ、第1調節を行うことにより前記一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは前記電流波形の総ピーク面積が前記目標範囲の下限に近づいた後に第2調節を行うように設けられることが好ましい。第1調節を行う際のデューティ比の設定範囲(下限付近)は特に限定されないが、例えば、5%以上30%であることが好ましい。
電子放出素子への印加電圧が低い領域では、電圧上昇に伴いイオン生成量は指数的に増加するが、電圧を上げていくに従い、その変化カーブは次第になだらかになり、最終的には飽和して一定値となるか、若干低下するという特性がある。この飽和領域以降では、印加電圧を大きく変更してもイオン生成量はほぼ変化しない為、電圧調整(第1調節)によるイオン量調整がほぼ不可能である。第1調節におけるデューティ比を調整範囲の下限付近に設定しておくことにより、電子放出素子への印加電圧が高電圧領域になっても、デューティ比調整(第2調節)による上方向への可制御性を確保することができる。
前記一次イオンに対応するピークが、第1ピークと、下部電極と表面電極との間への印加電圧が大きくなると出現する第2ピークとを有する場合、前記制御部は、第1ピークのピーク高さ又はピーク面積と第2ピークのピーク高さ又はピーク面積との合計に占める第1ピークのピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように設定された電圧範囲内において第1調節を行うように設けられることが好ましい。電子放出によるイオン化では、出力調整のために素子印加電圧を変更することにより、生成される一次イオンの構成(ピーク数・割合など)が変化する場合がある。それぞれのピークは異なる分子のイオンに相当し、これらは試料ガスよってそれぞれ異なる反応性を示し、測定結果に影響を与える場合がある。このため、測定の定量性を確保するためには、出力調整をしても一次イオンの構成が変わらないことが望ましい。所望の一次イオン構成を実現する電圧範囲条件を予め抽出しておき、電圧調整(第1調節)はその範囲内のみで行い、それ以上に調整が必要な場合はPWM制御(第2調節)を用いることで、電圧変更に伴う一次イオン構成の変化を抑えることが可能となる。
前記一次イオンに対応するピークが、第1ピークと、下部電極と表面電極との間への印加電圧が大きくなると出現する第2ピークとを有する場合、前記制御部は、第1ピークのピーク高さ又はピーク面積と第2ピークのピーク高さ又はピーク面積との合計に占める第1ピークのピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように第1調節を行うように設けられることが好ましい。第1調節における電圧範囲を規定するためには事前の条件出し実験などが必要であり、また、厳密には電圧以外の条件も影響する。本手法では結果としてのピーク比の制限のみを定義しておけばよい為、事前の条件出し実験が不要であり、また、電圧以外の条件も包含した制御結果を得ることができる。
以下、複数の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
第1実施形態
図1は本実施形態のIMS分析装置の概略断面図である。
本実施形態のIMS分析装置40は、電子放出素子2と、コレクタ6と、電場形成部7と、制御部12とを備え、電子放出素子2は、下部電極3と、表面電極4と、下部電極3と表面電極4の間に配置された中間層5とを有し、制御部12は、下部電極3と表面電極4との間に電圧を印加するように設けられ、電場形成部7は、電子放出素子2から放出された電子により直接的に又は間接的に生成されたイオンがコレクタ6へ向かって移動するイオン移動領域11に電場を形成するように設けられ、コレクタ6及び制御部12は、イオンがコレクタ6に到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、制御部12は、下部電極3と表面電極4との間への印加電圧の大きさを前記電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられ、かつ、下部電極3と表面電極4との間へ電圧を印加する際のデューティ比を前記電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられたことを特徴とする。
以下、本実施形態のIMS分析装置40について説明する。
本実施形態のIMS分析装置40は、試料をイオン移動度分析(IMS)で分析する装置である。分析装置40はイオン移動度スペクトロメータであってもよい。分析装置40は、ドリフトチューブ方式IMSで分析するIMS分析装置であってもよく、フィールド非対称方式IMS(FAIMS)で分析するIMS分析装置であってもよい。本実施形態では、ドリフトチューブ方式IMSで分析するIMS分析装置について説明する。
IMS分析装置40で分析する試料ガスは、気体試料であってもよく、液体を気化した試料であってもよい。
制御部12は、IMS分析装置40を制御する部分である。制御部12は、例えば、CPU、メモリ、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラを含むことができる。また、制御部12は、電場制御部26、ゲート制御部27、駆動電圧制御部17、PWM制御部18、回収電流測定部19、電源部などを含むことができる。
駆動電圧制御部17及びPWM制御部18は電子放出素子2の電子放出を制御するように設けられ、ゲート制御部27は静電ゲート電極8の開閉を制御するように設けられる。
本実施形態のIMS分析装置40は、試料ガスに含まれる検出対象成分を分析する分析チャンバ30を有し、分析チャンバ30は、電子放出素子2とコレクタ6との間に試料ガスに含まれる検出対象成分をイオン化しイオン(負イオン又は正イオン)を生成するためのイオン化領域10と、イオンを移動させ分離するためのイオン移動領域11(ドリフト領域)とを有する。イオン化領域10とイオン移動領域11とは、静電ゲート電極8により仕切られる。また、イオン化領域10の静電ゲート電極8と逆の端には、表面電極4がイオン化領域側となるように電子放出素子2が配置される。また、イオン移動領域11の静電ゲート電極8と逆の端には、コレクタ6が配置される。
試料注入部16は、分析チャンバ30に試料ガスを注入する部分である。この注入された試料ガスに含まれる検出対象成分がイオン移動度分析により分析される。試料が気体である場合、試料注入部16は試料ガスを連続的に分析チャンバ30に供給するように設けることができる。また、試料が液体である場合、試料注入部16は気化室を有することができ、この気化室で気化した試料ガスを分析チャンバ30に注入することができる。
ドリフトガス注入部15は、ドリフトガスを分析チャンバ30に注入するように設けられた部分である。ドリフトガスは、イオン移動領域11においてイオンの移動方向とは逆方向に流すガスであり、イオンがイオン移動領域11を移動する際の抵抗となるガスである。ドリフトガスは、大気中の空気を浄化した空気(清浄空気)であってもよく、圧縮空気シリンダーから供給される空気であってもよく、排気部20により分析チャンバ30から排出された空気を浄化したものであってもよい。
排気部20は、分析チャンバ30の気体を排出するように設けられた部分である。排気部20は、ドリフトガス及び試料ガスを分析チャンバ30から排出するように設けられる。排気部20は、排気ファンなどにより分析チャンバ30の気体を強制排気するように設けられてもよく、分析チャンバ30の気体を自然排気するように設けられてもよい。
試料注入部16及び排気部20は、試料ガスがイオン化領域10を流れるように設けることができる。このことにより、イオン化領域10において電子放出素子2の表面電極4から放出させた電子により直接的又は間接的に試料ガスに含まれる成分をイオン化し負イオン又は正イオンを生成することができる。
ドリフトガス注入部15及び排気部20は、イオン移動領域11においてドリフトガスがコレクタ側から静電ゲート電極側に向かって流れるように設けられる。例えば、ドリフトガス注入部15は、コレクタ側からドリフトガスをイオン移動領域11に供給するように設けることができ、排気部20は、イオン化領域10の周りの筐体28の開口(ガス出口)からドリフトガスを排気するように設けることができる。
電子放出素子2は、表面電極4から電子を放出するように設けられた素子であり、この放出された電子により直接的又は間接的に試料ガスに含まれる検出対象成分をイオン化し負イオン又は正イオンを生成するための素子である。
電子放出素子2は、下部電極3と、表面電極4と、下部電極3と表面電極4との間に配置された中間層5とを有する。
表面電極4は、電子放出素子2の表面に位置する電極である。表面電極4は、好ましくは10nm以上100nm以下の厚さを有することができる。また、表面電極4の材質は、例えば、金、白金である。また、表面電極4は、複数の金属層から構成されてもよい。
表面電極4は、40nm以上の厚さを有する場合であっても、複数の開口、すき間、10nm以下の厚さに薄くなった部分を有してもよい。中間層5を流れた電子がこの開口、すき間、薄くなった部分を通過又は透過することができ、表面電極4から電子を放出することができる。このような開口、すき間、薄くなった部分は、下部電極3と表面電極4との間に電圧を印加することによっても形成することができる。
下部電極3は、中間層5を介して表面電極4と対向する電極である。下部電極3は、金属板であってもよく、絶縁性基板上もしくはフィルム上に形成した金属層又は導電体層であってもよい。また、下部電極3が金属板からなる場合、この金属板は電子放出素子2の基板であってもよい。下部電極3の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどである。下部電極3の厚さは、例えば200μm以上1mm以下である。
中間層5は、表面電極4と下部電極3との間に電圧を印加することにより形成される電界により電子が流れる層である。中間層5は、半導電性を有することができる。中間層5は、絶縁性樹脂、絶縁性微粒子、金属酸化物のうち少なくとも1つを含むことができる。また、中間層5は導電性微粒子を含むことが好ましい。中間層5の厚さは、例えば、0.5μm以上1.8μm以下とすることができる。中間層5は、例えば、銀微粒子を分散状態で有するシリコーン樹脂層である。
電子放出素子2は、表面電極4と下部電極3との間に絶縁層29を有してもよい。この絶縁層29は、開口を有することができる。絶縁層29の開口は、表面電極4の電子放出領域を規定するように設けられる。絶縁層29には電子が流れることができないため、絶縁層29の開口に対応する中間層5に電子が流れ表面電極4から電子が放出される。従って、開口を有する絶縁層29を設けることにより、表面電極4に形成される電子放出領域が規定される。電子放出領域は、例えば5mm角の領域とすることができ、電場形成用電極9の開口部やコレクタ6の大きさなどに併せて自由に設計することができる。
表面電極4及び下部電極3はそれぞれ制御部12(PWM制御部18、駆動電圧制御部17)と電気的に接続することができる。
駆動電圧制御部17は、表面電極4と下部電極3との間に印加する電圧(電子放出素子2の駆動電圧)の大きさを制御するように設けられる。駆動電圧制御部17を用いて下部電極3の電位を表面電極4の電位と実質的に同じにする(駆動電圧を0Vにする)と、中間層5には電流は流れず電子放出素子2から電子は放出されない。
駆動電圧制御部17を用いて下部電極3の電位が表面電極4の電位よりも低くなるように下部電極3と表面電極4との間に電圧(駆動電圧)を印加すると中間層5に電流が流れ、中間層5を流れた電子が表面電極4を通過しイオン化領域10へ放出される。電子放出素子2から電子を放出させるために下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧は、例えば5V以上40V以下とすることができる。
駆動電圧制御部17を用いて駆動電圧の大きさを調節すると、中間層5を流れる電流が変化し、電子放出素子2から放出される電子の量が変化する。また、電子放出素子2から放出される電子のエネルギーも変化する。
PWM制御部18は、駆動電圧制御部17が表面電極4及び下部電極3に印加する電圧(駆動電圧)の周期的なパルス波のデューティ比を変化させて変調する部分である。このPWM制御部18により、電子放出素子2に供給する電圧のデューティ比を調節することにより(PWM制御することにより)、表面電極4と下部電極3との間の中間層5に流れる電流が変化し、電子放出素子2から放出される電子の量が変化する。なお、このPWM制御によりデューティ比を調節しても、電子放出素子2から放出される電子のエネルギーは変化しない。このPWM制御により、駆動電圧制御部17による制御よりもより細かな電子放出量の調節が可能になる。なお、デューティ比(duty cycle)は、表面電極4及び下部電極3に印加される電圧のパルスが最大値にとどまる時間(パルス幅)の周期に対するパーセンテージである。
従って、IMS分析装置40では、駆動電圧制御部17とPWM制御部18との両方を用いて電子放出素子2の電子放出量を調節することができる。
分析チャンバ30内へのドリフトガスの供給を開始した後でイオン化領域10への試料ガスの供給を開始する前において、電子放出素子2からイオン化領域10へ電子を放出させると、電子は直ちに空気成分と衝突し一次イオン(マイナスイオン又はプラスイオン)を形成する。電子放出素子2から放出された電子が表面電極4の近傍の気体成分に付着すると(電子付着現象)、気体成分のマイナスイオンが生成する。電子放出素子2から放出された電子のエネルギーが表面電極4の近傍の気体成分のイオン化エネルギーよりも高い場合、気体成分のプラスイオンが生成する。
一次イオンは例えば、空気中の酸素ガスがイオン化された酸素イオンである。このときイオン化領域10には、電子放出素子2の電子放出量に応じた量の一次イオンが存在する。ただし、イオン化領域10における一次イオンの量は、気温、湿度などの環境条件や素子の寿命特性によって変動する。
この一次イオンの量は、表面電極4と下部電極3との間に印加する電圧を調節することなど(電子放出素子2の電子放出量を調節すること)により調節することができる。
分析チャンバ30内へのドリフトガスの供給及びイオン化領域10への試料ガスの供給を開始した後において、電子放出素子2からイオン化領域10へ電子を放出させると、電子は直ちに空気成分と衝突し一次イオン(マイナスイオン又はプラスイオン)を形成する。この一次イオンは、イオン化領域10において試料ガスに含まれる検出対象成分に電荷を受け渡し試料ガスに含まれる検出対象成分のマイナスイオン又はプラスイオンを生成する(イオン分子反応)。つまり、電子放出素子2を用いてイオン化領域10に試料ガスに含まれる検出対象成分のマイナスイオン又はプラスイオンを間接的に生成することができる。このとき、イオン化領域10には、試料ガスに含まれる検出対象成分から生成されたイオンと一次イオンとが存在する。
電場形成部7は、電子放出素子2とコレクタ6との間の領域に電位勾配を形成するための部分である。電場形成部7は、イオンが電子放出素子側からコレクタ側へ移動するような電位勾配を形成するように設けられる。IMS分析装置40がマイナスイオンを検出する場合(マイナスイオンモード)、制御部12(電場制御部26)は、電子放出素子側の電位がコレクタ側の電位よりも低くなるような電位勾配が形成されるように電場形成部7に電圧を印加する。IMS分析装置40がプラスイオンを検出する場合(プラスイオンモード)、制御部12(電場制御部26)は、電子放出素子側の電位がコレクタ側の電位よりも高くなるような電位勾配が形成されるように電場形成部7に電圧を印加する。
電場形成部7は、複数の電場形成用電極9a~9h(以後、電場形成用電極9ともいう)から構成されてもよい。電場形成用電極9は、電子放出素子2とコレクタ6との間の領域に電位勾配を形成することができればその形状は限定されないが、例えば、リング状電極であってもよく、アーチ状電極であってもよい。複数の電場形成用電極9は、リング内部又はアーチ内側にイオン化領域10及びイオン移動領域11(ドリフト領域)が形成されるように一列に並ぶ。また、電場形成部7を構成する電場形成用電極9は、制御部12の電場制御部26と電気的に接続する。また、電子放出素子2の表面電極4又は下部電極3が電場形成部7として機能してもよい。
静電ゲート電極8は、イオン化領域10とイオン移動領域11とを仕切る電極であり、イオン化領域10において生成したイオンのイオン移動領域11への注入をイオンと静電ゲート電極8との静電相互作用を利用して制御する電極である。
静電ゲート電極8は、例えばグリッド状の電極(シャッターグリッド)である。静電ゲート電極8は、電場形成部7を構成する複数の電場形成用電極9と共に一列に並べて配置することができる。静電ゲート電極8は、制御部12のゲート制御部27と電気的に接続することができる。また、静電ゲート電極8は、電場形成部7により形成される電位勾配を変化させることができるように設けられる。
ゲート制御部27は、低電位側クローズ(静電ゲート電極8の電位が低いためイオン化領域10のイオンが静電ゲート電極8を通過できずイオン移動領域11へ移動できない状態)から高電位側クローズ(静電ゲート電極8の電位が高いためイオン化領域10のイオンが静電ゲート電極8を通過できずイオン移動領域11へ移動できない状態)に瞬間的に変化させるように、又は高電位側クローズから低電位側クローズに瞬間的に変化させるように、静電ゲート電極8の電位を変化させる。このことにより、静電ゲート電極8をごく短い時間だけオープン状態とすることができ、イオン化領域10のイオンをこの短い時間にだけイオン移動領域11に注入することができる。従って、イオン化領域10のイオンを単発パルス状にイオン移動領域11に注入することができる。
イオン移動領域11に注入されたマイナスイオン又はプラスイオンは、電場形成部7が形成する電位勾配によりイオン移動領域11をコレクタ6へと向かって移動し、コレクタ6へ到達する。この際、マイナスイオン又はプラスイオンは、ドリフトガスの流れに逆らって移動する。このドリフトガスの流れは、静電ゲート電極8からコレクタ6へと向かって移動するマイナスイオン又はプラスイオンの抵抗となる。この抵抗の大きさ(イオンの移動度)はイオン種により異なる。一般的に移動度はイオンの衝突断面積(イオンの大きさ)に反比例するため、イオンの衝突断面積が大きいほどイオンがコレクタ6に到達するためにかかる時間が長くなる(大きいイオン程、ドリフトガス中の空気の分子と衝突する頻度が高くなり、移動速度が遅くなってコレクタ6への到達時間が遅くなる)。従って、静電ゲート電極8によりイオン移動領域11に注入されてからコレクタ6へと到達するまでの時間(到達時間、ピーク位置)がマイナスイオン又はプラスイオンのイオン種により異なる。従って、この到達時間(ピーク位置)に基づきマイナスイオン又はプラスイオン(試料に含まれる検出対象成分)を特定することが可能になる。また、試料ガスに含まれる複数の検出対象成分のイオンをイオン移動領域11において分離することができる。
コレクタ6は、マイナスイオン又はプラスイオンの電荷を集める金属製の部材である。コレクタ6は制御部12の回収電流測定部19と電気的に接続することができる。また、この回収電流測定部19は、マイナスイオン又はプラスイオンがコレクタ6に電荷を受け渡すことにより生じる回収電流を時系列で測定するように設けられる。このことにより回収電流の電流波形を計測することができる。
回収電流測定部19は、回収電流の大きさに応じて測定レンジ(検出感度)を変更できるように設けられてもよい。試料ガスに含まれる検出対象成分が高濃度の場合と低濃度の場合でこの測定レンジ(検出感度)を切り替えることにより、検出対象成分を適切に定性分析又は定量分析することが可能になる。
静電ゲート電極8を用いて単発パルス状にイオン移動領域11に注入された複数種のイオンはイオン移動領域11を移動する間に各種イオンに分離され、各種イオンが時間的にずれてコレクタ6に到達する。この結果として、回収電流の電流波形は各種イオンの到着時間に応じたピークを持つ波形を示すこととなり、そのピーク位置(到達時間)から移動度を算出し、イオンの成分を判別することが可能となる。また、回収電流の電流波形のピーク高さ又はピーク面積は各種イオンがコレクタ6に受け渡した電荷量に相当するため、ピーク高さ又はピーク面積に基づき検出対象成分を定量分析することが可能になる。
図2は測定波形(回収電流の電流波形)の例であり、試料ガス導入前の1次イオンのみの波形(実線)と、試料ガスを導入して試料ガスイオンを発生させた場合の波形(破線)を示している。横軸は、静電ゲート電極8を開いた瞬間を0としたイオンの到達時間を示しており、縦軸はコレクタ6に到達したイオンの電荷回収によって発生する回収電流である。
回収電流の電流波形において、同一種の分子のイオンのピークは一つ正規分布に近い分布を示し、そのピーク位置(到達時間)が分子の種類固有の値を示すため、これにより試料ガス組成を判別する。試料ガスを導入した場合、一次イオンから試料ガスに電荷が受け渡される形で試料ガス中の成分がイオン化されるため、一次イオンのピークが減少し、試料ガスイオンのピークが出現してくる。また、分子によっては単量体のイオンだけでなく二量体、三量体などの多量体イオンを生じることもあり、それぞれで到達時間が変わってくるため、複数のピーク波形を生じることがある。図2中の試料ガスイオンの波形(破線)は、単量体、二量体および残った一次イオンの3種のイオンに対するピークを示した例である。
図3は環境条件や電子放出素子2の経時変化により一次イオンの発生量が低下した場合の測定波形(グレーの実線及び破線)を示している(黒の実線及び破線は、一次イオンの発生量が低下していないときの波形)。一次イオンの発生量が低下するのに伴い、同条件で試料ガスを導入した場合の試料ガスイオンの生成量も低下する。このようにピーク高さが変動した場合、ピーク位置を判別可能な範囲であれば、イオンの到達時間の測定には差し支えないが、試料ガスの濃度を推定して比較するなどの定量的な評価を行うことができない。
このような課題を解決するために、本実施形態では、制御部12は、下部電極3と表面電極4との間への印加電圧の大きさを回収電流の電流波形に基づき調節するように設けられる(制御部12は、回収電流の電流波形に基づいて電子放出素子2の駆動電圧をフィードバック制御するように設けられる)。具体的には、回収電流の電流波形に現れるピークのピーク高さ又はピーク面積に目標範囲を設けて、ピーク高さ又はピーク面積がこの目標範囲内となるように、駆動電圧制御部17を用いて下部電極3と表面電極4との間への印加電圧の大きさを調節(第1調節)しながら(フィードバック制御しながら)IMS分析を繰り返す。このことにより、測定の定量性を向上させることができ、また、測定ダイナミックレンジを拡大することができる。
図4は駆動電圧制御(駆動電圧制御部17により下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を調節する制御、第1調節)によって出力調整(回収電流の調整)を行う場合における回収電流波形の例である。図4では、目標範囲を目標波形として示している。現波形が目標波形に対して過小出力である場合は駆動電圧を漸増し、過大出力である場合は駆動波形を漸減させるという形でフィードバック制御を行う。なお、目標波形と現波形の比較は、一次イオンのピーク高さを用いる方法や、波形全体の総ピーク面積を指標として用いる方法があるが、本実施形態では説明の簡素化のために総ピーク面積を用いる方法を例に説明を行うこととする。図4では目標波形として一つの波形を記載しているが、実際に制御を行う場合は、例えば目標波形の総ピーク面積に対して測定波形の総ピーク面積が所定の誤差範囲(目標範囲の上限と下限との間)に収まることを目標にフィードバック制御を行う。
図5は、電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧(素子印加電圧)を変化させたときの素子放出電流の変化を示すグラフである。図6(a)は、図5の点線の丸(a)で示した素子印加電圧10V付近の素子放出電流曲線(線形)の拡大図であり、図6(b)は、図5の点線の丸(b)で示した素子印加電圧13V付近の素子放出電流曲線(線形)の拡大図であり、図6(c)は、図5の点線の丸(c)で示した素子印加電圧16V付近の素子放出電流曲線(線形)の拡大図である。
素子放出電流は、電子放出素子2から放出される電子の量を表し、素子自体の出力特性を示している。また、素子放出電流は、電子放出素子2の表面電極4の直近に配置したコレクタ電極に、電子放出素子2から放出された電子が到達することにより流れる電流である。素子放出電流の測定回路では、電子放出素子2から放出された電子が周辺の空気をイオン化(一次イオンの相当)し、それが反対極性のコレクタ電極に移動することで電流が流れる。つまり、図5の素子放出電流は、IMS分析装置40における一次イオン生成量と等価であるとみなすことができる。
図5に示すように、電子放出素子2への印加電圧を上げていくことにより素子放出電流は増えていくが、電圧域によってその変化特性が変わってくる。低電圧領域(例えば、9V以上14.5V以下)では指数的な変化をするが、次第に線形的な変化に近くなり(例えば、14.5V以上17.5V以下)、最終的には飽和して上限に達する(例えば、17.5V以上)。このため、電圧域によって電圧調節の単位電圧辺りの回収電流の変動率が大きく異なり、フィードバック制御による調節精度も異なってくる。図5、図6ではその単位電圧辺りの回収電流の変動率は、16V付近では4.2%/0.1Vであり(図6(c)参照)、13V付近では10%/0.1Vであり(図6(b)参照)、10V付近では22%/0.1Vとなっている(図6(a)参照)。電圧調節の最小調節単位電圧が0.1Vの場合、最終調節後の目標値に対する調整誤差は16Vで±2.1%、13Vで±5%、10Vで±11%となる。このため、16V付近の調節精度に対し、10V付近の調節精度は非常に悪くなっている。
図7(a)は、素子駆動電圧(素子印加電圧)の変化を示すグラフであり、図7(b)はイオン化領域10(静電ゲート電極8の前)におけるイオン量(一次イオンと試料ガスイオンの総量)の変化を示すグラフであり、図7(c)はイオン移動領域11(静電ゲート電極8通過直後)のイオン量の変化を示すグラフであり、図7(d)はコレクタ6の回収電流の電流波形を示すグラフである。破線で示したタイミングで静電ゲート電極8を瞬間的に開放している。
図7(a)のグラフのように電子放出素子2に電圧印加して電子が放出されることにより、イオン化領域10において、一次イオンが発生し、それが更に試料ガスと反応して試料ガスイオンが生成される。イオン化領域10におけるイオン量(一次イオンと試料ガスイオンの総量)は、例えば、図7(b)に示したグラフのように変化する。素子特性および、空間中のイオン滞留の影響によって、図7(b)に示したイオン量の波形は、図7(a)に示した印加電圧波形に対して遅れ要素を持った波形となる。このようにイオン化領域10においてイオンが生成されている状態で静電ゲート電極8の電位を瞬間的に開放電位にすることにより、イオン化領域10に存在するイオンの一部が静電ゲート電極8を通過する。
静電ゲート電極8を通過したイオンは、図7(c)に示したグラフのように、イオン量が正規分布に近い形状のピークとなりイオン移動領域11をコレクタ6へ向かって移動する。静電ゲート電極8を通過した直後のイオン量のピーク形状には一次イオンのピークと試料ガスイオンのピークの両方が含まれている。
イオン移動領域11のイオンは、電場形成部7により形成される電場によりイオン移動領域11を移動しコレクタ6に到達する。そして、コレクタ6に到達したイオン量に応じて、図7(d)に示したグラフのような回収電流が計測される。静電ゲート電極8を通過したイオンがイオン移動領域11を移動することによりイオン種によってピークが分離され、回収電流波形の分離したピークとして現れる。このようなイオン種による移動度の違いを比較することで試料ガスの分析が可能となる。
また、実線の波形は、駆動電圧(下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧)を10.1Vとしたときの波形であり、点線の波形は、駆動電圧を10Vとしたときの波形である。また、図7(a)~(d)の実線波形と点線波形は、図5、図6(a)で説明した10V付近での最小単位電圧(0.1V)の電圧調整による各部でのイオン量の変化を示しており、図5で示した素子出力特性が、コレクタ回収電流波形のゲイン変動に直結していることを示しており、また、電子放出素子2の駆動電圧の調節(第1調節)のみでは、回収電流波形をこれ以上の精度で調整することはできないことを示している。
また、電子放出素子2の駆動電圧の調節(第1調節)では、印加電圧に対して生成イオン量が指数的に変化するため、微少な電圧調節でイオン生成量を大きく変更できる。このため、電子放出素子2の駆動電圧の第1調節を行うことにより、回収電流波形の大体の調整を迅速に行うことができる。
本実施形態のIMS分析装置40では、制御部12は、下部電極3と表面電極4との間へ印加する電圧のデューティ比を回収電流の電流波形に基づき調節する第2調節(PWM制御、フィードバック制御)を行いながらIMS分析を繰り返すように設けられる。具体的には、駆動電圧制御部17により電子放出素子2に出力する駆動電圧のデューティ比をPWM制御部18を用いて調節することにより、下部電極3と表面電極4との間の中間層5に流れる電流を変化させ、電子放出素子2から放出される電子量を変化させる。
図8(a)はデューティ比100%のときの素子駆動電圧(素子印加電圧)の変化を示すグラフであり、図8(b)はデューティ比90%のときの素子駆動電圧の変化を示すグラフであり、図8(c)はデューティ比80%のときの素子駆動電圧の変化を示すグラフである。図8(d)はイオン化領域10(静電ゲート電極8の前)におけるイオン量(一次イオンと試料ガスイオンの総量)の変化を示すグラフであり、図8(e)はイオン移動領域11(静電ゲート電極8通過直後)のイオン量の変化を示すグラフであり、図8(f)はコレクタ6の回収電流の電流波形を示すグラフである。図8(d)~(f)において、実線波形は素子駆動電圧のデューティ比を100%としたときの波形であり、破線波形は素子駆動電圧のデューティ比を90%としたときの波形であり、点線波形は素子駆動電圧のデューティ比を80%としたときの波形である。また、破線で示したタイミングで静電ゲート電極8を瞬間的に開放している。
図8(a)~(c)に示したグラフのように、素子駆動電圧のデューティ比を変化させると、デューティ比が小さいほど、下部電極3と表面電極4との間の中間層5に流れる電流量が小さくなり電子放出素子2から放出される電子量が小さくなる。このため、図8(d)に示したイオン化領域10におけるイオン量、図8(e)に示したイオン移動領域11におけるイオン量及び図8(f)に示した回収電流量もデューティ比が小さいほど、小さくなる。
イオン化領域10におけるイオン量は印加電圧の波形変動に対して遅れ要素を持つため、その応答に対して十分に速い周波数でPWM制御を行うことができる。このことにより、PWM制御重畳前(デューティ比=100%に相当)の波形の振幅をデューティ比に応じて減じた波形を得ることができ、最終的なコレクタ回収電流波形もそれに準じたゲインの波形となる。図8ではデューティ比=100%,90%,80%の場合のイメージ図を示しているが、デューティ比の調節ステップを小さくすることにより、さら高精度で回収電流波形のゲインを調整することが可能となる。
第1調節により大体の調整を行った後にこのような第2調節を行うことにより、回収電流波形が迅速にかつ高精度に目標範囲内となるように調整することができる。
本発明では、電流波形に基づく素子駆動電圧のフィードバック制御の制御因子に、素子駆動電圧の大きさの調節(第1調節)と、素子駆動電圧のデューティ比の調節(第2調節)の2つの要素を持っているが、電圧の大きさの調節(第1調節)は微小な電圧調整で指数的な出力変動(回収電流におけるピーク高さ又はピーク面積の変動)を得るのに対し、デューティ比の調節(第2調節)はデューティ比=100%時を最大値として、比例的な変化により近い単調な出力変化となる。このため、出力目標値に対して効率的に素早く近づけるために、まずはデューティ比を固定して印加電圧の大きさの調節(第1調節)のみによるフィードバック制御を行い、出力値が目標範囲に入らない場合は、印加電圧のデューティ比の調節(第2調節)によって微調整を行うという段階的な手順でフィードバック制御を行う。
図9は素子印加電圧とコレクタ回収電流の出力強度(例えば、一次イオンのピーク高さ)との関係を表したグラフであり、グラフ上にフィードバック制御時の出力変化の推移を丸印と矢印で表示している。なお、出力強度は目標値に対する比をパーセンテージで表示しており、デューティ比=80%~100%時の出力特性と、出力強度の目標範囲(98%から102%)を表示している。
この例では、印加電圧=9.8V(デューティ比=100%)から開始し、最小電圧調整単位である0.1Vずつ電圧を上げ、10.1Vで目標範囲を通りこしてしまったため、電圧の大きさの調節(第1調節)からデューティ比の調節(第2調節)に切り替え、デューティ比を100%から5%ずつ下げていき、85%時に目標範囲内に収束したことを示している。
同一出力を得る電圧とデューティ比の組み合わせは無数にあるが、上記手順で制御を行うことにより、短期間で目標範囲内へ収束させることができる。
第2実施形態
図10には初期デューティ比=100%としてフィードバック制御を開始した場合と、初期デューティ比=50%としてフィードバック制御を開始した場合の出力変化を丸と矢印で示している。
初期デューティ比=100%の場合、印加電圧10.1Vで目標範囲の再近傍に到達する(第1調節)。しかし、第2調節においてデューティ比を減少させる方向にしか調整ができないため、さらに印加電圧を10.2Vまで上げ(第1調節)、上限目標値の上側の近傍点を始点にデューティ比調節(第2調節)に移行し、デューティ比を88%まで下げた時点でようやく目標範囲に収束している。最終的な制御精度を上げる為、目標範囲を狭く設定した場合、デューティ比の制御ステップをより小さく設定する必要があり、例えば制御ステップを1%とすると、100%から88%に移行するまで12回のフィードバック制御を繰り返す必要がある。この回数を減らすためには、初期の電圧制御(第1調節)によって目標範囲の上下に関わらず、最近傍となる点を開始点としてデューティ比制御(第2調節)を開始する必要がある。そのためには、上下の両方向にデューティ比調節による調節可能幅を持たせておく必要がある。
初期デューティ比を50%として第1調節を始めた場合は、10.5Vで目標範囲の下側の最近傍点となり、10.6Vで上側の最近傍点となる。それぞれの点での出力値と目標範囲との誤差を算出し、より誤差の小さい10.5V(下側)に電圧を再調節し、そこを起点にデューティ比を上げる方向に調節する(第2調節)。最終的にデューティ比が53%である3回目のデューティ比調節で目標範囲に到達している。
このように第1調節における初期デューティ比を中間値(例えば、30%以上70%以下のデューティ比)として上下両方向へのデューティ比調節幅を持たせることにより、電圧調節(第1調節)で可能な最近傍点からデューティ比調節(第2調節)を開始することができ、短時間で目標値に収束させることが可能となる。
第3実施形態
図11は素子印加電圧の高電圧域で出力(例えば、一次イオンのピーク高さ又は総ピーク面積)が飽和する領域でのフィードバック制御の例を示している。低い初期デューティ比で電圧調節(第1調節)を開始し、出力が目標範囲に届かないまま飽和した場合、そこからデューティ比を上げる方向に調節し(第2調節)目標値へ収束させる。本例では説明の簡素化の為、電圧調節の最小単位を0.5V、飽和判定を行う出力差分閾値を1%、デューティ比調節ステップを1%としている。
初期デューティ比=20%として印加電圧16Vから電圧調節(第1調節)を開始し、19V~19.5Vへの電圧調節後のIMS分析において出力変化量閾値の1%以下となったため、デューティ比調節(第2調節)に移行し、デューティ比を23%まで上げたところで、出力が目標範囲に収束している。
このように、飽和判定後にデューティ比調節(第2調節)に移行することにより、出力が飽和する高電圧領域でもさらなる出力調整が可能となる、また、第1調節における初期デューティ比を調節範囲の下限付近(例えば、5%以上30%以下のデューティ比)に設定しておくことにより、飽和後の調節可能幅を大きくとることができ、制御可能領域を広くとることができる。
第4実施形態
図12は素子印加電圧を13Vから16Vまで上昇させた際の一次イオンピーク波形の変化の例である。電圧上昇の際に、ピークの高さだけでなくピーク形状も変化していることが分かる。13Vでは10ms付近をピークとする単一ピーク波形であるが、電圧を上げるにつれて9.5ms付近をピークとする2つ目のピークが発生し、素子印加電圧の上昇と共にその割合が増えている。これらのピークはそれぞれ組成が異なるイオンであり、素子印加電圧の上昇に伴って電子放出素子から放出される電子のエネルギーが上昇し、低電圧ではイオン化されなかった分子がイオン化されるようになることに起因している。いずれも空気から発生する一次イオンではあるが、試料ガスを導入した際に試料ガスとの反応性が異なる場合がある。また、この場合、一次イオンに対応するピークは、ピーク1と、下部電極3と表面電極4との間への印加電圧が大きくなると出現するピーク2とを有する。
図13には、素子印加電圧を13Vとしたときと、16Vとしたときとで一次イオン生成量(一次イオンの総ピーク面積)が同じになる(同じ目標範囲内となる)ようにデューティ比調節を行い一次イオンのみをIMS分析した時の回収電流の電流波形と、そこに試料ガスを導入した際の電流波形を示している。素子印加電圧を13Vとしたときに電流波形に現れる一次イオンのピークはピーク1(10ms付近のピーク)のみであり、素子印加電圧を16Vとしたときに電流波形に現れる一次イオンのピークは、ピーク1とピーク2(9.5ms付近のピーク)である。一次イオンのイオン生成量(総ピーク面積)が同じになるようにデューティ比調節を行うと、素子印加電圧を16Vとしたときの電流波形では、素子印加電圧を13Vとしたときの電流波形に比べてピーク1のピーク面積が小さくなり、ピーク2が発生している。ここに試料ガスを導入する。試料ガスの種類によってピーク1のイオンとの反応性と、ピーク2のイオンとの反応性とが異なる場合があり、本例は試料ガスがピーク1のイオンとは反応しやすいが、ピーク2のイオンとはほとんど反応しない場合の例である。この例では、試料ガスを導入した後のIMS分析における回収電流の電流波形における試料ガスピーク3は、反応しやすいピーク1のイオン量(ピーク1のピーク面積)に応じて差がでており、元の一次イオンのイオン生成量、試料ガス濃度が同じであっても、素子印加電圧によって試料ガスピークの検出量が変わるという結果となる。
本実施形態では、この影響を最小限とするため、想定する試料ガス種に応じて素子印加電圧の調節範囲を限定・選択することを特徴とする。具体的には、制御部12は、ピーク1のピーク高さ又はピーク面積とピーク2のピーク高さ又はピーク面積との合計に占めるピーク1のピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように設定された電圧範囲内において第1調節を行うように設けられる。例えば、電圧調節の上限を14Vに設定し、第1調節により素子印加電圧が14Vの上限に達した以降はPWM制御(デューティ比調節、第2調節)のみで追加の調整を行うことにより、ピーク2のイオンの発生を抑え、総イオンに対するピーク1のイオンの割合をほぼ一定に確保し、試料ガスのイオン化率の再現性を保つことができる。
また、試料ガスによっては、ピーク1のイオンとの反応性が低く、ピーク2のイオンとの反応性が高い物質も存在する。この場合、第1調節における電圧調節範囲の下限を所定電圧(例えば15V)とすることにより、必ずピーク2のイオンを所定割合以上で生成することにより、試料ガスに対する検出感度を向上させることができる。
このように、想定する試料ガスによって第1調節における電圧調節範囲を限定・選択することにより、試料ガス測定に対する定量性や、感度を確保することが可能となる。
第5実施形態
図14は、素子印加電圧を13V、14V、15V又は16Vとし、一次イオン生成量(一次イオンの総ピーク面積)が同じになるようにデューティ比調節を行った場合の回収電流の電流波形(一次イオンの波形)であり、その際の総イオン量(総ピーク面積)に対するピーク1のイオン量(ピーク面積)の割合を示した例である。第4実施形態では、複数の一次イオンピークの構成比を制限するために、制御電圧範囲を指定するが、そのためには素子印加電圧と各一次イオンピークの生成量(比)の関係を実験結果などの元に予め把握しておく必要がある。また、素子特性や使用環境によるばらつきも発生するため、厳密な閾値を設けることが難しく、ある程度のマージンを持つ必要がある。
本実施形態では、素子印加電圧の制御範囲を直接指定するのではなく、フィードバック制御時に測定した回収電流の電流波形に基づき、一次イオンの複数のピークの総イオン量(総ピーク面積)に対するピーク1のピーク面積の割合を算出し、その割合によって電圧制御の可否を判定する。具体的には、制御部12は、ピーク1のピーク高さ又はピーク面積とピーク2のピーク高さ又はピーク面積との合計に占めるピーク1のピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように第1調節を行うように設けられる。
例えば、ピーク1のピーク面積の割合の下限を95%に設定した場合を考える。第1調節において低電圧からイオン量確保のために素子印加電圧を上げていくと、電圧上昇とともにピーク2のピーク面積の割合が増え、ピーク1のピーク面積の割合が減ってくる。ピーク1割合が閾値の95%まで下がると、素子印加電圧の調節(第1調節)を止めてPWM制御(デューティ比調節)による出力調整(第2調節)に移行する。このように所定ピークのピーク面積の比率を閾値として用いることにより、予め素子特性を測定しておく必要が無く、また環境による影響を排除して制御することが可能となる。
なお、上記例ではピーク1のピーク面積の比率の下限値として閾値を設定したが、ピークのピーク高さや、その他のピークのピーク面積又はピーク高さや、上限値を指標としたり、それらの組み合わせを用いてもよい。
2:電子放出素子 3:下部電極 4:表面電極 5:中間層 6:コレクタ 7:電場形成部 8:静電ゲート電極 9、9a~9h:電場形成用電極 10:イオン化領域 11:イオン移動領域 12:制御部 15:ドリフトガス注入部 16:試料注入部 17:駆動電圧制御部 18:PWM制御部 19:回収電流測定部 20:排気部 22:素子ホルダー 25:グリッド電極 26:電場制御部 27:ゲート制御部 28:筐体 29:絶縁部 30:分析チャンバ 40:IMS分析装置

Claims (7)

  1. 電子放出素子と、コレクタと、電場形成部と、制御部とを備え、
    前記電子放出素子は、下部電極と、表面電極と、前記下部電極と前記表面電極の間に配置された中間層とを有し、
    前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間に電圧を印加するように設けられ、
    前記電場形成部は、前記電子放出素子から放出された電子により直接的に又は間接的に生成されたイオンが前記コレクタへ向かって移動するイオン移動領域に電場を形成するように設けられ、
    前記コレクタ及び前記制御部は、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、
    前記制御部は、前記下部電極と前記表面電極との間への印加電圧の大きさを前記電流波形に基づき調節する第1調節を行うように設けられ、かつ、前記下部電極と前記表面電極との間へ電圧を印加する際のデューティ比を前記電流波形に基づき調節する第2調節を行うように設けられたことを特徴とするIMS分析装置。
  2. 前記電流波形は、前記コレクタに到達するイオン種に対応するピークを有し、
    前記制御部は、第1調節又は第2調節において、空気成分がイオン化され生成する一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは前記電流波形の総ピーク面積が目標範囲内となるように前記下部電極と前記表面電極との間に印加する電圧又はデューティ比を調節するように設けられた請求項1に記載のIMS分析装置。
  3. 前記制御部は、デューティ比を一定にして第1調節を行うことにより前記一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは前記電流波形の総ピーク面積が前記目標範囲内とならない場合に第2調節を行うように設けられた請求項2に記載のIMS分析装置。
  4. 前記制御部は、30%以上70%以下のデューティ比で第1調節を行うように設けられた請求項3に記載のIMS分析装置。
  5. 前記制御部は、5%以上30%以下のデューティ比で第1調節を行うように設けられ、かつ、第1調節を行うことにより前記一次イオンに対応するピークのピーク高さ又はピーク面積或いは前記電流波形の総ピーク面積が前記目標範囲の下限に近づいた後に第2調節を行うように設けられた請求項3に記載のIMS分析装置。
  6. 前記一次イオンに対応するピークは、第1ピークと、前記下部電極と前記表面電極との間への印加電圧が大きくなると出現する第2ピークとを有し、
    前記制御部は、第1ピークのピーク高さ又はピーク面積と第2ピークのピーク高さ又はピーク面積との合計に占める第1ピークのピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように設定された電圧範囲内において第1調節を行うように設けられた請求項2~5のいずれか1つに記載のIMS分析装置。
  7. 前記一次イオンに対応するピークは、第1ピークと、前記下部電極と前記表面電極との間への印加電圧が大きくなると出現する第2ピークとを有し、
    前記制御部は、第1ピークのピーク高さ又はピーク面積と第2ピークのピーク高さ又はピーク面積との合計に占める第1ピークのピーク高さ又はピーク面積のパーセンテージが所定の範囲内となるように第1調節を行うように設けられた請求項2~5のいずれか1つに記載のIMS分析装置。
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